制御装置一体型モータポンプ
【課題】効率のよい制御装置一体型モータポンプを提供する。
【解決手段】制御装置一体型モータポンプは、ポンプ1と、ポンプ1を駆動するモータ2と、モータ2を制御する制御装置3と、ポンプの吐出側の流体の圧力を測定する吐出側圧力測定器16とを備える。制御装置3はモータ2のモータケーシングに取り付けられる。制御装置3は、商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成するインバータ25と、ポンプ1の運転を制御するためのトルク指令値を生成するポンプ制御部30と、トルク指令値を受けてインバータ25への電圧指令値を決定するベクトル制御部40とを有する。モータ2は、複数の永久磁石20を持つ回転子を有する。
【解決手段】制御装置一体型モータポンプは、ポンプ1と、ポンプ1を駆動するモータ2と、モータ2を制御する制御装置3と、ポンプの吐出側の流体の圧力を測定する吐出側圧力測定器16とを備える。制御装置3はモータ2のモータケーシングに取り付けられる。制御装置3は、商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成するインバータ25と、ポンプ1の運転を制御するためのトルク指令値を生成するポンプ制御部30と、トルク指令値を受けてインバータ25への電圧指令値を決定するベクトル制御部40とを有する。モータ2は、複数の永久磁石20を持つ回転子を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置一体型モータポンプに係り、特にモータをベクトル制御に基づいて制御する制御装置を一体に備えたモータポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
モータポンプは、ポンプの駆動源としてモータを備えたポンプである。このモータポンプは様々な用途に使用され、例えば、建物に水を供給する給水装置として使用される。モータの運転は、インバータを有する制御装置によって制御される。インバータは、モータに供給する電流の周波数を変えることで、モータの回転速度を増減する。モータの制御方法としては、応答性に優れたトルク制御を可能とするベクトル制御が知られている。このベクトル制御は、モータに流れる電流をトルク電流成分と励磁電流成分とに分解し、それぞれを独立して制御する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−57623号公報
【特許文献2】特開平9−9700号公報
【特許文献3】特開平7−245981号公報
【特許文献4】特開平11−206188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポンプ駆動用モータとしては、誘導モータが使用されているため、巻線方法が分布巻となり、小型化や導線使用量の削減などには限界がある。そのため、モータポンプ全体のコンパクト化や一体型構成を達成するのが難しかった。さらに、励磁エネルギーの供給が必要であるため、効率向上の面でも課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、効率のよい制御装置一体型モータポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、加圧ポンプと、前記加圧ポンプを駆動するモータと、前記モータを制御する制御装置と、前記ポンプの吐出側の流体の圧力を測定する吐出側圧力測定器とを備え、前記制御装置は前記モータのモータケーシングに取り付けられており、前記加圧ポンプは、前記モータの回転軸に固定された羽根車と、前記羽根車を収容するポンプケーシングとを有し、前記制御装置は、商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成するインバータと、前記ポンプの運転を制御するためのトルク指令値を生成するポンプ制御部と、前記トルク指令値を受けて前記インバータへの電圧指令値を決定するベクトル制御部とを有し、前記モータは、複数の永久磁石を持つ回転子を有することを特徴とする制御装置一体型モータポンプである。
【0007】
本発明の好ましい態様は、前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプによって加圧された前記流体の供給先の末端圧力を、前記加圧ポンプの吐出流量に拘わらず略一定にするための目標圧力を演算する推定末端圧力一定制御動作を行うことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御装置は、前記インバータから前記モータに供給される三相電流を検出する電流検出器をさらに有し前記ベクトル制御部は、前記電流検出器で検出された三相電流を二相回転座標系上の励磁電流およびトルク電流に変換する3/2相変換部と、前記ポンプ制御部からの前記トルク指令値を励磁電流指令値とトルク電流指令値とに変換する指令変換部と、前記励磁電流と前記励磁電流指令値との偏差を0とするためのd軸電圧指令値、および前記トルク電流成分と前記トルク電流成分指令値との偏差を0とするためのq軸電圧指令値を演算する電流制御部と、前記d軸電圧指令値と前記q軸電圧指令値を三相固定座標系上の三相電圧指令値に変換する2/3相変換部と、前記回転子の角周波数と位相を演算する位相演算部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記モータは、前記永久磁石が前記回転子に埋め込まれた埋め込み永久磁石型モータであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御装置は、前記モータの入力電力と前記インバータの入力電力を演算する電力演算部と、前記電力演算部で演算された電力を積算して単位時間当たりの電力量を計算する電力積算部と、前記電力量を表示する電力量表示部とをさらに有することを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記制御装置は、前記電力量をもとに、二酸化炭素排出量を計算する二酸化炭素排出量計算部と、前記二酸化炭素排出量を表示する二酸化炭素排出量表示部とをさらに有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプ制御部は、前記末端圧力をほぼ一定に調節するための前記加圧ポンプの吐出し流量と吐出し圧力との関係を記憶する記憶部を有し、実際の流量に対応して、前記吐出側圧力測定器で測定された前記流体の圧力が前記関係に従った圧力となるように前記トルク指令値を演算することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプの吐出し圧力を一定にする吐出圧力一定制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、永久磁石により励磁を補うので、励磁に必要なエネルギーが不要となり、その結果、効率が向上する。
また、固定子巻線は集中巻きを採用するので、巻線全体の体積やコイルエンドを小さくすることができる。その結果、銅損を減少させて効率が向上し、さらにはモータの小型化が可能となる。
さらには、商用周波数未満の範囲に加えて、商用周波数以上の範囲を含めた可変速運転をベクトル制御によって行なうことにより、負荷(例えば、吐出し圧力)に合わせた効率のよい運転が可能となる。
また、埋め込み永久磁石型モータとすることによって、次のような効果を得ることができる。永久磁石が回転子の内部に配置されるので、機械的強度が確保され、特に、永久磁石の飛散を確実に防止することができる。また、リラクタンストルクを活用できるので、トルク特性が向上する。さらに、磁気回路の突極性が大きく、回転子の磁極位置を検出することが容易となり、センサレス制御をより容易に実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御装置一体型モータポンプを示す断面図である。
【図2】図1に示すモータポンプの側面図である。
【図3】図1に示すモータの概略断面図である。
【図4】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係るモータポンプを給水装置に適用した場合の構成を示す模式図である。
【図6】推定末端圧力一定制御を説明するための運転特性曲線図である。
【図7】ポンプの決められた流量におけるポンプの回転速度と全揚程との関係を示すテーブルデータを示す図である。
【図8】ポンプの動作点を説明するための図である。
【図9】締切運転状態の検出の原理を示すQH線図である。
【図10】締切運転状態を検出するフロー図である。
【図11】ポンプの締切運転状態の他の検出方法を示すQH線図である。
【図12】デジタルサンプリング方式による有効電力の測定原理を示す図である。
【図13】総和平均方式による有効電力の測定原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る制御装置一体型モータポンプについて図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置一体型モータポンプを示す断面図であり、図2は、図1に示すモータポンプの側面図である。図1および図2に示すように、制御装置一体型モータポンプは、モータ2に制御装置3が取り付けられたタイプのポンプ装置であり、ポンプ1、モータ2、制御装置3が一体的に組み立てられた構造を有している。ポンプ1は、モータ2の回転軸5に固定された羽根車7を有している。この羽根車7は、ポンプケーシング10によって形成されたボリュート室11内に配置されている。ポンプケーシング10は、ボリュート室11に連通する吸込口10aおよび吐出口10bを有している。モータ2により羽根車7を回転させると、水などの液体は吸込口10aからボリュート室11に導入され、ここで加圧され、そして吐出口10bから排出される。羽根車7とモータ2との間にはメカニカルシール8が配置されており、これにより液体がモータ2に浸入することを防いでいる。
【0013】
ポンプケーシング10の吸込口10aには、液体の吸込側圧力を計測する吸込側圧力センサ14が取り付けられている。吐出口10bには、逆止弁15が接続されており、さらに逆止弁15の吐出側には吐出側圧力センサ16が接続されている。この吐出側圧力センサ16は、ポンプ1の吐出側の液体の圧力を計測するセンサである。吸込側圧力センサ14および吐出側圧力センサ16の出力信号は、図示しない信号線を介して制御装置3に送られる。
【0014】
制御装置3は、モータケーシング12の外面に固定されている。制御装置3は、吐出側圧力センサ16の出力信号に基づき、モータ2に供給する電流を制御する。制御装置3の下部には、電力線入口13が設けられており、商用電源などの入力電源からの電力線と、圧力センサ14,16の上記信号線は、この電力線入口13から制御装置3の内部に導入される。
【0015】
図3は、図1に示すモータ2の概略断面図である。モータ2は、回転子2aと固定子2bとを備えており、これらはモータケーシング12内に収容されている。回転子2aは回転軸5に固定されており、固定子2bはモータケーシング12の内周面に固定されている。回転子2aは、その内部に埋設された複数の永久磁石20を有している。固定子2bは、制御装置3から供給される電流から回転磁界を形成し、この回転磁界によって回転子2aおよび回転軸5が回転する。
【0016】
図4は制御装置3の構成を示すブロック図である。制御装置3は、モータ2に供給される電圧を生成するインバータ25と、ポンプ1の運転を所定の制御モードに従って制御するポンプ制御部30と、インバータ25への電圧指令値を決定するベクトル制御部40とを備えている。ポンプ制御部30は、ポンプ1の吐出側圧力が所定の目標圧力となるためのトルク指令値τ*を生成し、ベクトル制御部40はこのトルク指令値τ*を受け、公知のベクトル制御手法によってインバータ25への電圧指令値を決定する。インバータ25は、ベクトル制御部40からの電圧指令値に従って交流電力を生成する。
【0017】
ポンプ制御部30の制御モードは、モータポンプの用途に応じて決定される。例えば、本モータポンプを給水装置として使用する場合には、制御モードとしては、推定末端圧力一定制御、吐出圧力一定制御、少水量停止制御、差圧一定制御、吐出流量一定制御などが挙げられる。これら制御モードについては後述する。
【0018】
次に、ベクトル制御部40について詳細に説明する。インバータ25からモータ2に供給される三相電流Iu,Iv,Iwは電流検出器42によって測定され、その測定値は3/2相変換部45に送られる。この3/2相変換部45は、三相固定座標系(u−v−w軸)上の三相電流Iu,Iv,Iwを二相固定座標系(α−β軸)上の二相電流Iα,Iβに変換し、さらにこれを二相回転座標系(d−q軸)上の二相電流、すなわち励磁電流Idとトルク電流Iqに変換する。
【0019】
トルク指令値τ*は、指令変換部47に入力され、ここで励磁電流指令値Id*およびトルク電流指令値Iq*に変換される。指令変換部47には、励磁電流設定部48が接続されている。この励磁電流設定部48は、励磁電流指令値Id*を指定する入力器である。励磁電流指令値Id*は、モータ2の特性に依存して決定されるものであり、例えば、モータ2の無負荷電流を励磁電流の設定値として使用することができる。指令変換部47には、モータ2の定数(RやLなどのモータ2に依存した固定値)を記憶したメモリ49が接続されている。この定数は図示しない入力部からメモリ49に入力される。なお、メモリ49は指令変換部47に内蔵してもよい。指令変換部47は、メモリ49に記憶されたモータ2の定数と、励磁電流設定部48で設定された励磁電流指令値Id*とから、トルク電流指令値Iq*を算出する。この算出は公知の方法を用いて実行することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
モータ2の定数は、モータ仕様書やモータ試験成績証などから取得することができる。既知の定数を手動で入力部に入力する方法に代えて、制御装置3は、モータ2を所定の動作パターンで駆動し、そのモータ2の動作結果からモータ2の定数を自動的に測定するオートチューニング機能を有してもよい。より具体的には、モータ2の定格電圧や定格周波数を初期値入力部50に入力した上で、モータ2に定格範囲内の可変電圧をインバータ25から印加し、各条件(電圧/周波数)でのモータ定数を演算し、メモリ49に記憶する。
【0021】
3/2相変換部45で変換されたトルク電流Iqと、指令変換部47で変換されたトルク電流指令値Iq*は、位相演算部52に入力され、ここでモータ2の回転子2aの角周波数ωおよび位相θが求められる。より具体的には、トルク電流Iqおよびトルク電流指令値Iq*は位相演算部52の減算器53に入力され、ここでトルク電流Iqとトルク電流指令値Iq*との偏差が算出される。この偏差は積分器(PI制御器)54に入力され、積分器54からは回転子2aの角周波数ωが出力される。この角周波数ωはさらに積分器55に入力され、この積分器55から回転子2aの位相θが出力される。
【0022】
励磁電流指令値Id*、トルク電流指令値Iq*、励磁電流Id、トルク電流Iq、および角周波数ωは、電流制御部58に入力される。電流制御部58は、励磁電流Idおよびトルク電流Iqが、励磁電流指令値Id*およびトルク電流指令値Iq*に追従するようなd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を生成する。すなわち、電流制御部58は、励磁電流Idと励磁電流指令値Id*との偏差が0となるようなd軸電圧指令値Vd*を計算し、さらにトルク電流Iqとトルク電流指令値Iq*との偏差が0となるようなq軸電圧指令値Vq*を計算する。
【0023】
電圧指令値Vd*,Vq*および位相θは、2/3相変換部59に入力され、ここで三相(u相、v相、w相)の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換される。より具体的には、二相回転座標系(d−q軸)上の電圧指令値Vd*,Vq*は、二相固定座標系(α−β軸)上の電圧指令値Vα*,Vβ*に変換され、さらに三相固定座標系(u−v−w軸)上の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換される。この電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*はインバータ25の駆動回路26に入力される。このように、ベクトル制御部40は、モータ2に供給される三相電流をトルク電流成分と励磁電流成分とに分解し、これら電流成分を独立に制御する。
【0024】
インバータ25は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を受け、商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成する。インバータ25は、商用電源などの入力電源からの交流電流を直流電流に変換するAC/DC変換部27と、変換された直流電流をさらに交流電流に変換するDC/AC変換部28をさらに備えている。インバータ25の駆動回路26は、PAM方式やPWM方式などの電圧制御方法に従って、DC/AC変換部28を制御する。これにより、DC/AC変換部28は電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じた三相電力を生成し、この三相電力をモータ2に印加する。インバータ25は、ベクトル制御部40からの指令に基づいて、商用周波数未満の範囲に加えて、商用周波数以上の範囲を含めた広い周波数帯域での交流電力を生成するので、負荷(例えば、吐出し圧力)に合わせた効率のよい運転が可能となる。
【0025】
上述したトルク指令値τ*は、ポンプ制御部30で生成される。このトルク指令値τ*はポンプ制御部30の制御モードによって変わる。例えば、ポンプ制御部30が、吐出圧力一定制御を行うように構成されている場合、吐出側圧力センサ16の測定値(すなわち、ポンプ1の実際の吐出側の圧力)と予め設定された目標圧力との偏差を減算器32で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と角周波数ωから求められる現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。
【0026】
図5は、本実施形態に係るモータポンプを給水装置に適用した場合の構成を示す模式図である。図5に示すように、ポンプ1の吸込側には圧力センサ14が配置され、ポンプ1の吸込側圧力が測定される。逆止弁15の吐出側にはフロースイッチ19配置され、さらにその吐出側には圧力センサ16および圧力タンク18が配置されている。圧力センサ16は、ポンプ1の吐出側圧力(すなわち、給水装置に加わる背圧)を測定する。
【0027】
逆止弁15は、ポンプ1が停止したときの水の逆流を防止するための弁である。フロースイッチ19はポンプ1からの吐出流量が所定の値にまで低下したことを検知する流量検知器である。圧力センサ14は、ポンプの吸込側圧力を測定するための水圧測定器である。圧力タンク18は、ポンプ1が停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。
【0028】
フロースイッチ19、圧力センサ14、および圧力センサ16は、制御装置3に信号線を介して接続されている。フロースイッチ19により水の流量が所定の値にまで低下したことが検知されると、制御装置3は少水量停止動作を行うように構成されている。具体的には、ポンプ1の運転速度を一時的に上げ、吐出側圧力を所定の停止圧力にまで昇圧してからポンプ1の運転を停止させる。一方、吐出側圧力が所定の始動圧力にまで低下すると、制御装置3はポンプ1の運転を開始させる。
【0029】
給水装置として使用されるモータポンプにおいては、圧力センサ16の出力信号に基づいて、ポンプ1がインバータ25によって可変速駆動される。一般的には、圧力センサ16により測定された圧力信号(すなわち、ポンプ1の吐出し圧力)が設定された目標圧力と一致するようにポンプ1の運転速度を制御する吐出圧力一定制御や、目標圧力を管路抵抗に応じて変化させることにより末端の給水栓における供給水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御などが行われる。
【0030】
ここで、推定末端圧力一定制御について、図6の運転特性曲線図を参照して説明する。図6において、横軸は水量すなわち流量であり、縦軸はヘッドすなわち揚程(以下適宜「圧力」ともいう)であり、曲線Nxはポンプ1の回転速度を一定としたときの運転特性を示す。抵抗曲線Rは、ポンプ1から給水末端(例えば給水栓)までの使用水量に応じた管路抵抗であり、末端圧力をほぼ一定に調節するためのポンプ1の吐出し流量とポンプ1の吐出し圧力との関係を示す曲線である。この抵抗曲線Rは、ポンプ制御部30の記憶部38に記憶されている。
【0031】
推定末端圧力一定制御においては、使用水量に応じた(抵抗曲線Rで示される)管路抵抗を考慮して、ポンプ1の回転速度が制御される。すなわち、ポンプ1の吐出し圧力が抵抗曲線Rに沿って変化するように圧力センサ16の測定値に基づいてポンプ1の回転速度が制御される。すなわち、ポンプ制御部30では、流量Qと抵抗曲線Rとによって決定される目標圧力と、吐出側圧力センサ16の測定値との偏差を減算器32(図4参照)で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。流量Qは、ポンプ1の回転速度から間接的に求めることができる。
【0032】
図6の例では、ポンプ1の回転速度は、Na(最大水量時に目標推定末端圧力を達成するための回転速度)とNb(水量0のとき上記目標推定末端圧力を達成するための回転速度)との間で制御される。例えば、流量Q1では、ポンプ1は回転速度Ncで運転される。図6のPaは、最大水量時に目標推定末端圧力を達成するために必要なポンプ1の吐出圧力であり、Pbは、水量0時に目標推定末端圧力を達成するために必要なポンプ1の吐出圧力である。
【0033】
推定末端圧力一定制御では、ポンプ1の回転速度からポンプ1の吐出し流量を推定し、その流量に対応する目標圧力を決定する。しかしながら、ポンプ1の回転速度とポンプ1の吐出し流量との関係は、ポンプ1の吸込側圧力に依存して変化するため、ポンプ1の吸込側圧力が変動すると、正確な吐出し流量が推定できなくなってしまう。そこで、ポンプ制御部30は、吸込側圧力センサ14で測定されたポンプ1の吸込側圧力に基づいて、推定吐出し流量を補正するように構成されている。
【0034】
ポンプ制御部30が実行するポンプ運転の制御モードとしては、吐出圧力一定制御のほかにも、推定末端圧力一定制御、差圧一定制御、吐出流量一定制御などが挙げられる。これら制御モードは、制御モード設定部37からポンプ制御部30に指令される。ユーザーは、制御モード設定部37を介して所望の制御モードを選択することができる。
【0035】
ここで、差圧一定制御とは、ポンプ1の吸込側圧力と吐出側圧力との差圧を一定に保つ制御である。この制御の場合は、吸込側圧力センサ14で計測されたポンプ1の吸込側圧力と、吐出側圧力センサ16で計測されたポンプ1の吐出側圧力との差圧を算出し、この差圧と予め設定されている目標差圧との偏差を減算器32で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。
【0036】
吐出流量一定制御とは、ポンプ1の吐出流量を一定に維持する制御である。この吐出流量一定制御について図7および図8を参照して説明する。まず、ポンプ1の吐出し流量を目標流量Q1に固定したときのポンプ1の回転速度Nと全揚程との関係を示すテーブルデータを取得する。図7は得られたテーブルデータを示す。ポンプ1の回転速度Nと全揚程との関係を示すテーブルデータは、実測により求められる。具体的には、吐出し流量をQ1に固定した条件下で、様々な回転速度でポンプ1を運転したときの全揚程を測定することによりテーブルデータが求められる。図8は、ポンプ1の吐出し流量と吐出し圧力との関係を示すグラフである。ここでは、説明の簡略化のために、吸込圧力が0として説明する。吸込圧力が0であるとき(すなわち、吸込側圧力センサ14の計測値が0であるとき)、吐出し圧力は、全揚程に等しい。
【0037】
図8において、符号SCは、システムの抵抗および損失から決定されるシステムカーブを示す。ポンプ1の回転速度がN2であるとき、ポンプ1の運転点は、回転速度N2のときの運転特性曲線とシステムカーブSCとの交点Aとなる。この運転点Aでの吐出し圧力は、吸込側圧力が0である条件下では、全揚程(実測全揚程)を示す。一方、図7のテーブルデータでは、ポンプ1の回転速度がN2であるときの全揚程(目標全揚程)はPBである。そこで、実測全揚程と、そのときの回転速度に対応したテーブルデータ上の目標全揚程との偏差が0となるようにポンプ1の回転速度を増加または減少させる。具体的には、実測全揚程とテーブルデータ上の目標全揚程との偏差を減算器32(図4参照)で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。
【0038】
ポンプ1を上記のように制御することにより、ポンプ1の吐出し側に定流量弁を設けなくても吐出し流量を一定にすることができる。またポンプ1の吐出し圧力が使用される負荷、即ちシステムカーブSCに合致してポンプ1を運転できるから、定流量弁を用いる場合のように、定流量弁の圧力損失が大きく、ポンプ1の吐出し圧力の調整が難しいという問題が解決でき、最適な運転が可能となる。例えば、システムカーブが図8の点線SC’の場合はポンプ1は交点イで運転されることになる。
【0039】
ポンプ制御部30は、ポンプ1の回転速度とその締切圧力との関係のデータテーブルをさらに備えている。このデータテーブルは、ポンプ1の吐出側のバルブ(図示せず)を閉じて締切状態として、ポンプ1の回転速度を徐々に上げていき、その時の回転速度と吐出側圧力センサ16で測定される締切圧力とを計測することにより作成される。このデータテーブルは、ポンプ制御部30の記憶部38に記憶される。なお、使用するポンプ1の特性曲線は予め判明している場合が多い。この場合には既知の特性曲線から、ポンプ1の回転速度とその締切圧力とのデータテーブルの作成を行い、これをポンプ制御部30の記憶部38に記憶するようにしてもよい。また、給水装置においては、他の制御項目、例えば推定末端圧力一定制御においては、別途ポンプ回転速度とその締切圧力とのデータが必要となる。このため、別途準備されたデータテーブルを利用してもよい。
【0040】
図9は、締切運転状態の検出の原理を示すQH線図である。現在の運転状態は、吐出側圧力P、水量Qであるとする。このときポンプ1の回転速度がN+であり、この回転速度における締切圧力がP+であるとする。このように、通常の給水流量がある場合には、動作点の検出圧力Pと、そのときの回転速度N+に対応する締切圧力P+は、必ず
P+>P
という関係になる。
【0041】
これに対して、吐出側圧力Pが一定で、水量Qが殆どゼロとなった場合には、いわゆる締切運転状態となる。逆止弁15は一方通行の弁であるので、逆止弁15の下流側の圧力が目標圧力よりも僅かに高い状態となる場合がある。このような場合には、検出圧力が目標圧力を上回るので、ポンプ1には減速指令が与えられる。しかしながら、締切運転状態においてはポンプ速度が低下しても吐出側圧力は逆止弁15に保持されて目標圧力以下には下がらない。このため、回転速度がN−まで低下したときに対応する締切圧力P−は、検出圧力Pよりも低い。即ち、
P>P−
という関係になる。これにより給水流量がゼロの完全な締切運転状態と判断することができる。
【0042】
図10は、上述した締切運転状態を検出するフロー図である。まず、圧力センサ16による現在の吐出側圧力Pと、現在の回転速度Nに対応したポンプ締切圧力Pxの関係が判断される。図9に示すように現在の給水流量がQであり、検出された吐出側圧力がPであるとする。現在の回転速度N+に対して、その対応する締切時の圧力P+は、現在の検出圧力Pよりも大である。従って、この状態はポンプ1が締切運転状態ではないと判断され、通常運転が継続される。これに対して、水量Qがゼロとなり、締切運転状態となると、逆止弁15により吐出側圧力が保持され、目標圧力P以下に下がらなくなる。この場合には、ポンプ1の吐出側圧力を低下させるように回転速度の減速指令がポンプ1に与えられる。そして、ポンプ1の回転速度が低下していき、回転速度に対応する締切圧力Pxが、
P>Px
という関係となる。このような状態はポンプ1の締切運転状態であると判断され、少水量停止動作にはいる。より好ましくは、この状態をタイマ等で所定の時間検出して、この状態が継続することをもってポンプ締切運転状態と判断する。
【0043】
図11は、ポンプ1の締切運転状態の他の検出方法を示すQH線図である。この検出方法においては、締切運転時における目標圧力PBに対応した回転速度HzBに減少した時に、ポンプ1の回転速度をその回転速度HzBよりも少し低い回転速度(HzB−1Hz)まで低下させる。そして、その時点で吐出側圧力センサ16の検出圧力が所定値(例えば、PB−1m)以下に低下するか否かを一定時間監視する。検出圧力が低下しない場合には、ポンプ1の回転速度を低下させても逆止弁15により吐出側圧力センサ16の検出圧力が変化しないので、締切運転状態であると判断する。そして、ポンプ1の少水量停止動作が行われる。この少水量停止動作では、締切運転検出時の圧力PBに対して、例えば+3m程度の吐出圧力となるように、回転速度をHzB′に上げて一定時間運転し、その後ポンプ1を停止させる。一方、ポンプ1の回転速度を下げて運転して、圧力センサ16による検出圧力が低下する場合には、完全な締切運転状態ではないので、ポンプ1の通常運転を継続する。
【0044】
少水量停止動作は、吐出圧力をPB+3mに上げて蓄圧運転を行う。少水量停止動作中に、ポンプ1の回転速度が対応した締切運転速度HzB′よりも1Hz以上大きくなった場合には、ポンプ1を通常運転に戻して運転する。通常の少水量停止動作では、ポンプ1は目標圧力(PB+3m)で、これに対応した回転速度HzB′で運転される。しかしながら、この少水量停止動作中に給水流量が増加した場合には、締切運転状態が解除されたと考えられ、ポンプ1は少水量停止動作から通常運転に戻る。
【0045】
図4に戻って、制御装置3が備える消費電力表示機能について説明する。制御装置3は、図4に示すように、電力演算部61を備えている。この電力演算部61は、インバータ25に入力される電力を計算するインバータ入力電力演算部61Aと、モータ2に入力される電力を計算するモータ入力電力演算部61Bとを有している。インバータ25は、その入力側は例えば三相200Vの50Hz又は60Hzの商用交流電源に接続され、その出力側はモータ2に接続され、任意の交流周波数及び電圧の電力を供給する。入力電源からの三相電力はAC/DC変換部27に入力される。AC/DC変換部27で変換された直流電力の電流および電圧は電流検出器63および電圧検出器64によって測定される。測定された電流および電圧はインバータ入力電力演算部61Aに入力され、ここで電力が計算される。
【0046】
モータ2に入力される三相電力の電流及び相間電圧は、それぞれ電流検出器42および電圧検出器43により検出される。三相のうち少なくとも二相の電流および電圧を測定すればよい。測定された電流および電圧はモータ入力電力演算部61Bに入力され、モータ入力電力演算部61Bはこれらの電流及び電圧からモータ2に供給される有効電力の電力値を計算する。
【0047】
図12は、デジタルサンプリング方式による有効電力の測定原理を示す。電圧検出器43の出力値から電圧波形のサンプリング結果が図12(a)に示すように得られる。同様に電流検出器42の出力値から電流波形のサンプリング結果が図12(b)に示すように得られる。一般に有効電力は、電圧と電流の瞬時値の積である瞬時電力を積分し、一周期Tで平均したものとして次式で表される。
【0048】
【数1】
【0049】
上式の右側の近似式から、有効電力はサンプル周期Δtの幅をもつk(=T/Δt)個の瞬時電力の短冊の総和(1周期分)を周期Tで平均化することにより得られる。このような式の内容をモータ入力電力演算部61Bがほぼそのまま実行することで、デジタルサンプリング方式による電力の計測が可能である。実際には、波形測定時間は測定精度を上げるため1周期分より長く設定される場合が多い。また、Δtは数十μs程度が一般的で、その逆数がサンプリング周波数になる。また、上式は一相当たりの電力であるので、三相の場合は3倍になる。
【0050】
図13は、総和平均方式による有効電力の測定原理を示す。電圧検出器43及び電流検出器42の出力である電圧入力波形及び電流入力波形は図13(a)に示すようになる。有効電力は次式に示すように、電圧と電流の瞬時値の積を1周期(あるいはn周期)の時間で積分して周期で割ったものである。
【0051】
【数2】
【0052】
そこで、電圧及び電流の入力波形の1周期分(あるいはn周期分)を正確にサンプリングする必要がある。この方式では、図13(b)に示すように電流入力波形を基準としたゼロクロス信号を用いて電圧、電流の入力波形の周期とサンプリング期間を同期させることによって実現している。有効サンプル期間内の電圧と電流の瞬時値の積を上式の近似式を用いて平均化することによって、有効電力が求められる。サンプリングによる近似式を以下に示す。尚、電流入力信号が小さいときは電圧波形のゼロクロス信号が基準になる。
【0053】
【数3】
【0054】
電力演算部61は、インバータ入力電力演算部61Aおよびモータ入力電力演算部61Bで求められた電力を合算し、その内部に設けられた記憶装置(図示せず)に記憶する。電力演算部61によって求められた電力は、電力積算部66に入力される。この電力積算部66は、逐次記憶される電力値を一定時間ごとに積算し、単位時間の積算値を算出することにより、単位時間当たりの電力量(kwh)を算出することができる。そしてこれを電力量表示部67に出力し、電力量表示部67は単位時間当たりの電力量(kwh)を表示する。
【0055】
電力積算部66によって計算された電力量(kwh)は、電力料金計算部68および二酸化炭素排出量計算部73に入力される。電力料金計算部68には、電力料金記憶部70が接続され、さらに電力料金入力部71が接続されている。電力料金入力部71は、例えばテンキーなどの入力装置であり、単位電力量当たりの電力料金の入力が可能となっている。単位電力量当たりの電力料金は、電力会社によって異なるため、利用している電力会社に応じた電力料金がユーザーによって設定される。入力された単位電力量当たりの電力料金は、電力料金記憶部70に記憶される。電力料金計算部68は、記憶されている単位電力量当たりの電力料金と、電力積算部66によって算出された電力量(kwh)とを乗算することにより、電力料金を計算する。電力料金計算部68で求められた電力料金は電力料金表示部69に送られ、ここで電力料金が表示される。基本料金や夜間料金等の差がある場合には、電力料金計算部68内の時計機能を利用して、夜間と昼間の積算電力量を別々に記憶しておき、それぞれの時間帯別の料金に合わせた電力料金を算出することも可能である。
【0056】
二酸化炭素排出量計算部73には、二酸化炭素排出係数を記憶する二酸化炭素排出係数記憶部74が接続されており、さらに二酸化炭素排出係数記憶部74には、二酸化炭素排出係数を入力するための二酸化炭素排出係数入力部75が接続されている。二酸化炭素排出係数とは、電気器機の消費電力から二酸化炭素の排出量を算出するための係数であり、単位電力量(kWh)あたりの二酸化炭素排出量(t:トン)を表す数値である(単位:t−CO2/kWh)。この係数は、電力会社別に異なり、また年によっても異なる。二酸化炭素排出係数は、各電力会社によって毎年公表される。
【0057】
ユーザーが、二酸化炭素排出係数を二酸化炭素排出係数入力部75に入力すると、二酸化炭素排出係数は二酸化炭素排出係数記憶部74に記憶され、二酸化炭素排出量計算部73は、記憶された二酸化炭素排出係数と、電力積算部66で算出された電力量とから、単位時間当たりの二酸化炭素排出量を計算する。求められた二酸化炭素排出量は、二酸化炭素排出量表示部76に送られ、ここで表示される。
【0058】
以上説明した本発明のモータポンプは、上記実施の形態に限定されるものではなく、また図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 ポンプ
2 モータ
3 制御装置
7 羽根車
15 逆止弁
16 吐出側圧力センサ
25 インバータ
30 ポンプ制御部
40 ベクトル制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置一体型モータポンプに係り、特にモータをベクトル制御に基づいて制御する制御装置を一体に備えたモータポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
モータポンプは、ポンプの駆動源としてモータを備えたポンプである。このモータポンプは様々な用途に使用され、例えば、建物に水を供給する給水装置として使用される。モータの運転は、インバータを有する制御装置によって制御される。インバータは、モータに供給する電流の周波数を変えることで、モータの回転速度を増減する。モータの制御方法としては、応答性に優れたトルク制御を可能とするベクトル制御が知られている。このベクトル制御は、モータに流れる電流をトルク電流成分と励磁電流成分とに分解し、それぞれを独立して制御する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−57623号公報
【特許文献2】特開平9−9700号公報
【特許文献3】特開平7−245981号公報
【特許文献4】特開平11−206188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポンプ駆動用モータとしては、誘導モータが使用されているため、巻線方法が分布巻となり、小型化や導線使用量の削減などには限界がある。そのため、モータポンプ全体のコンパクト化や一体型構成を達成するのが難しかった。さらに、励磁エネルギーの供給が必要であるため、効率向上の面でも課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、効率のよい制御装置一体型モータポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、加圧ポンプと、前記加圧ポンプを駆動するモータと、前記モータを制御する制御装置と、前記ポンプの吐出側の流体の圧力を測定する吐出側圧力測定器とを備え、前記制御装置は前記モータのモータケーシングに取り付けられており、前記加圧ポンプは、前記モータの回転軸に固定された羽根車と、前記羽根車を収容するポンプケーシングとを有し、前記制御装置は、商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成するインバータと、前記ポンプの運転を制御するためのトルク指令値を生成するポンプ制御部と、前記トルク指令値を受けて前記インバータへの電圧指令値を決定するベクトル制御部とを有し、前記モータは、複数の永久磁石を持つ回転子を有することを特徴とする制御装置一体型モータポンプである。
【0007】
本発明の好ましい態様は、前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプによって加圧された前記流体の供給先の末端圧力を、前記加圧ポンプの吐出流量に拘わらず略一定にするための目標圧力を演算する推定末端圧力一定制御動作を行うことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御装置は、前記インバータから前記モータに供給される三相電流を検出する電流検出器をさらに有し前記ベクトル制御部は、前記電流検出器で検出された三相電流を二相回転座標系上の励磁電流およびトルク電流に変換する3/2相変換部と、前記ポンプ制御部からの前記トルク指令値を励磁電流指令値とトルク電流指令値とに変換する指令変換部と、前記励磁電流と前記励磁電流指令値との偏差を0とするためのd軸電圧指令値、および前記トルク電流成分と前記トルク電流成分指令値との偏差を0とするためのq軸電圧指令値を演算する電流制御部と、前記d軸電圧指令値と前記q軸電圧指令値を三相固定座標系上の三相電圧指令値に変換する2/3相変換部と、前記回転子の角周波数と位相を演算する位相演算部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記モータは、前記永久磁石が前記回転子に埋め込まれた埋め込み永久磁石型モータであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御装置は、前記モータの入力電力と前記インバータの入力電力を演算する電力演算部と、前記電力演算部で演算された電力を積算して単位時間当たりの電力量を計算する電力積算部と、前記電力量を表示する電力量表示部とをさらに有することを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記制御装置は、前記電力量をもとに、二酸化炭素排出量を計算する二酸化炭素排出量計算部と、前記二酸化炭素排出量を表示する二酸化炭素排出量表示部とをさらに有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプ制御部は、前記末端圧力をほぼ一定に調節するための前記加圧ポンプの吐出し流量と吐出し圧力との関係を記憶する記憶部を有し、実際の流量に対応して、前記吐出側圧力測定器で測定された前記流体の圧力が前記関係に従った圧力となるように前記トルク指令値を演算することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプの吐出し圧力を一定にする吐出圧力一定制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、永久磁石により励磁を補うので、励磁に必要なエネルギーが不要となり、その結果、効率が向上する。
また、固定子巻線は集中巻きを採用するので、巻線全体の体積やコイルエンドを小さくすることができる。その結果、銅損を減少させて効率が向上し、さらにはモータの小型化が可能となる。
さらには、商用周波数未満の範囲に加えて、商用周波数以上の範囲を含めた可変速運転をベクトル制御によって行なうことにより、負荷(例えば、吐出し圧力)に合わせた効率のよい運転が可能となる。
また、埋め込み永久磁石型モータとすることによって、次のような効果を得ることができる。永久磁石が回転子の内部に配置されるので、機械的強度が確保され、特に、永久磁石の飛散を確実に防止することができる。また、リラクタンストルクを活用できるので、トルク特性が向上する。さらに、磁気回路の突極性が大きく、回転子の磁極位置を検出することが容易となり、センサレス制御をより容易に実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御装置一体型モータポンプを示す断面図である。
【図2】図1に示すモータポンプの側面図である。
【図3】図1に示すモータの概略断面図である。
【図4】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係るモータポンプを給水装置に適用した場合の構成を示す模式図である。
【図6】推定末端圧力一定制御を説明するための運転特性曲線図である。
【図7】ポンプの決められた流量におけるポンプの回転速度と全揚程との関係を示すテーブルデータを示す図である。
【図8】ポンプの動作点を説明するための図である。
【図9】締切運転状態の検出の原理を示すQH線図である。
【図10】締切運転状態を検出するフロー図である。
【図11】ポンプの締切運転状態の他の検出方法を示すQH線図である。
【図12】デジタルサンプリング方式による有効電力の測定原理を示す図である。
【図13】総和平均方式による有効電力の測定原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る制御装置一体型モータポンプについて図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置一体型モータポンプを示す断面図であり、図2は、図1に示すモータポンプの側面図である。図1および図2に示すように、制御装置一体型モータポンプは、モータ2に制御装置3が取り付けられたタイプのポンプ装置であり、ポンプ1、モータ2、制御装置3が一体的に組み立てられた構造を有している。ポンプ1は、モータ2の回転軸5に固定された羽根車7を有している。この羽根車7は、ポンプケーシング10によって形成されたボリュート室11内に配置されている。ポンプケーシング10は、ボリュート室11に連通する吸込口10aおよび吐出口10bを有している。モータ2により羽根車7を回転させると、水などの液体は吸込口10aからボリュート室11に導入され、ここで加圧され、そして吐出口10bから排出される。羽根車7とモータ2との間にはメカニカルシール8が配置されており、これにより液体がモータ2に浸入することを防いでいる。
【0013】
ポンプケーシング10の吸込口10aには、液体の吸込側圧力を計測する吸込側圧力センサ14が取り付けられている。吐出口10bには、逆止弁15が接続されており、さらに逆止弁15の吐出側には吐出側圧力センサ16が接続されている。この吐出側圧力センサ16は、ポンプ1の吐出側の液体の圧力を計測するセンサである。吸込側圧力センサ14および吐出側圧力センサ16の出力信号は、図示しない信号線を介して制御装置3に送られる。
【0014】
制御装置3は、モータケーシング12の外面に固定されている。制御装置3は、吐出側圧力センサ16の出力信号に基づき、モータ2に供給する電流を制御する。制御装置3の下部には、電力線入口13が設けられており、商用電源などの入力電源からの電力線と、圧力センサ14,16の上記信号線は、この電力線入口13から制御装置3の内部に導入される。
【0015】
図3は、図1に示すモータ2の概略断面図である。モータ2は、回転子2aと固定子2bとを備えており、これらはモータケーシング12内に収容されている。回転子2aは回転軸5に固定されており、固定子2bはモータケーシング12の内周面に固定されている。回転子2aは、その内部に埋設された複数の永久磁石20を有している。固定子2bは、制御装置3から供給される電流から回転磁界を形成し、この回転磁界によって回転子2aおよび回転軸5が回転する。
【0016】
図4は制御装置3の構成を示すブロック図である。制御装置3は、モータ2に供給される電圧を生成するインバータ25と、ポンプ1の運転を所定の制御モードに従って制御するポンプ制御部30と、インバータ25への電圧指令値を決定するベクトル制御部40とを備えている。ポンプ制御部30は、ポンプ1の吐出側圧力が所定の目標圧力となるためのトルク指令値τ*を生成し、ベクトル制御部40はこのトルク指令値τ*を受け、公知のベクトル制御手法によってインバータ25への電圧指令値を決定する。インバータ25は、ベクトル制御部40からの電圧指令値に従って交流電力を生成する。
【0017】
ポンプ制御部30の制御モードは、モータポンプの用途に応じて決定される。例えば、本モータポンプを給水装置として使用する場合には、制御モードとしては、推定末端圧力一定制御、吐出圧力一定制御、少水量停止制御、差圧一定制御、吐出流量一定制御などが挙げられる。これら制御モードについては後述する。
【0018】
次に、ベクトル制御部40について詳細に説明する。インバータ25からモータ2に供給される三相電流Iu,Iv,Iwは電流検出器42によって測定され、その測定値は3/2相変換部45に送られる。この3/2相変換部45は、三相固定座標系(u−v−w軸)上の三相電流Iu,Iv,Iwを二相固定座標系(α−β軸)上の二相電流Iα,Iβに変換し、さらにこれを二相回転座標系(d−q軸)上の二相電流、すなわち励磁電流Idとトルク電流Iqに変換する。
【0019】
トルク指令値τ*は、指令変換部47に入力され、ここで励磁電流指令値Id*およびトルク電流指令値Iq*に変換される。指令変換部47には、励磁電流設定部48が接続されている。この励磁電流設定部48は、励磁電流指令値Id*を指定する入力器である。励磁電流指令値Id*は、モータ2の特性に依存して決定されるものであり、例えば、モータ2の無負荷電流を励磁電流の設定値として使用することができる。指令変換部47には、モータ2の定数(RやLなどのモータ2に依存した固定値)を記憶したメモリ49が接続されている。この定数は図示しない入力部からメモリ49に入力される。なお、メモリ49は指令変換部47に内蔵してもよい。指令変換部47は、メモリ49に記憶されたモータ2の定数と、励磁電流設定部48で設定された励磁電流指令値Id*とから、トルク電流指令値Iq*を算出する。この算出は公知の方法を用いて実行することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
モータ2の定数は、モータ仕様書やモータ試験成績証などから取得することができる。既知の定数を手動で入力部に入力する方法に代えて、制御装置3は、モータ2を所定の動作パターンで駆動し、そのモータ2の動作結果からモータ2の定数を自動的に測定するオートチューニング機能を有してもよい。より具体的には、モータ2の定格電圧や定格周波数を初期値入力部50に入力した上で、モータ2に定格範囲内の可変電圧をインバータ25から印加し、各条件(電圧/周波数)でのモータ定数を演算し、メモリ49に記憶する。
【0021】
3/2相変換部45で変換されたトルク電流Iqと、指令変換部47で変換されたトルク電流指令値Iq*は、位相演算部52に入力され、ここでモータ2の回転子2aの角周波数ωおよび位相θが求められる。より具体的には、トルク電流Iqおよびトルク電流指令値Iq*は位相演算部52の減算器53に入力され、ここでトルク電流Iqとトルク電流指令値Iq*との偏差が算出される。この偏差は積分器(PI制御器)54に入力され、積分器54からは回転子2aの角周波数ωが出力される。この角周波数ωはさらに積分器55に入力され、この積分器55から回転子2aの位相θが出力される。
【0022】
励磁電流指令値Id*、トルク電流指令値Iq*、励磁電流Id、トルク電流Iq、および角周波数ωは、電流制御部58に入力される。電流制御部58は、励磁電流Idおよびトルク電流Iqが、励磁電流指令値Id*およびトルク電流指令値Iq*に追従するようなd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を生成する。すなわち、電流制御部58は、励磁電流Idと励磁電流指令値Id*との偏差が0となるようなd軸電圧指令値Vd*を計算し、さらにトルク電流Iqとトルク電流指令値Iq*との偏差が0となるようなq軸電圧指令値Vq*を計算する。
【0023】
電圧指令値Vd*,Vq*および位相θは、2/3相変換部59に入力され、ここで三相(u相、v相、w相)の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換される。より具体的には、二相回転座標系(d−q軸)上の電圧指令値Vd*,Vq*は、二相固定座標系(α−β軸)上の電圧指令値Vα*,Vβ*に変換され、さらに三相固定座標系(u−v−w軸)上の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換される。この電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*はインバータ25の駆動回路26に入力される。このように、ベクトル制御部40は、モータ2に供給される三相電流をトルク電流成分と励磁電流成分とに分解し、これら電流成分を独立に制御する。
【0024】
インバータ25は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を受け、商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成する。インバータ25は、商用電源などの入力電源からの交流電流を直流電流に変換するAC/DC変換部27と、変換された直流電流をさらに交流電流に変換するDC/AC変換部28をさらに備えている。インバータ25の駆動回路26は、PAM方式やPWM方式などの電圧制御方法に従って、DC/AC変換部28を制御する。これにより、DC/AC変換部28は電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じた三相電力を生成し、この三相電力をモータ2に印加する。インバータ25は、ベクトル制御部40からの指令に基づいて、商用周波数未満の範囲に加えて、商用周波数以上の範囲を含めた広い周波数帯域での交流電力を生成するので、負荷(例えば、吐出し圧力)に合わせた効率のよい運転が可能となる。
【0025】
上述したトルク指令値τ*は、ポンプ制御部30で生成される。このトルク指令値τ*はポンプ制御部30の制御モードによって変わる。例えば、ポンプ制御部30が、吐出圧力一定制御を行うように構成されている場合、吐出側圧力センサ16の測定値(すなわち、ポンプ1の実際の吐出側の圧力)と予め設定された目標圧力との偏差を減算器32で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と角周波数ωから求められる現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。
【0026】
図5は、本実施形態に係るモータポンプを給水装置に適用した場合の構成を示す模式図である。図5に示すように、ポンプ1の吸込側には圧力センサ14が配置され、ポンプ1の吸込側圧力が測定される。逆止弁15の吐出側にはフロースイッチ19配置され、さらにその吐出側には圧力センサ16および圧力タンク18が配置されている。圧力センサ16は、ポンプ1の吐出側圧力(すなわち、給水装置に加わる背圧)を測定する。
【0027】
逆止弁15は、ポンプ1が停止したときの水の逆流を防止するための弁である。フロースイッチ19はポンプ1からの吐出流量が所定の値にまで低下したことを検知する流量検知器である。圧力センサ14は、ポンプの吸込側圧力を測定するための水圧測定器である。圧力タンク18は、ポンプ1が停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。
【0028】
フロースイッチ19、圧力センサ14、および圧力センサ16は、制御装置3に信号線を介して接続されている。フロースイッチ19により水の流量が所定の値にまで低下したことが検知されると、制御装置3は少水量停止動作を行うように構成されている。具体的には、ポンプ1の運転速度を一時的に上げ、吐出側圧力を所定の停止圧力にまで昇圧してからポンプ1の運転を停止させる。一方、吐出側圧力が所定の始動圧力にまで低下すると、制御装置3はポンプ1の運転を開始させる。
【0029】
給水装置として使用されるモータポンプにおいては、圧力センサ16の出力信号に基づいて、ポンプ1がインバータ25によって可変速駆動される。一般的には、圧力センサ16により測定された圧力信号(すなわち、ポンプ1の吐出し圧力)が設定された目標圧力と一致するようにポンプ1の運転速度を制御する吐出圧力一定制御や、目標圧力を管路抵抗に応じて変化させることにより末端の給水栓における供給水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御などが行われる。
【0030】
ここで、推定末端圧力一定制御について、図6の運転特性曲線図を参照して説明する。図6において、横軸は水量すなわち流量であり、縦軸はヘッドすなわち揚程(以下適宜「圧力」ともいう)であり、曲線Nxはポンプ1の回転速度を一定としたときの運転特性を示す。抵抗曲線Rは、ポンプ1から給水末端(例えば給水栓)までの使用水量に応じた管路抵抗であり、末端圧力をほぼ一定に調節するためのポンプ1の吐出し流量とポンプ1の吐出し圧力との関係を示す曲線である。この抵抗曲線Rは、ポンプ制御部30の記憶部38に記憶されている。
【0031】
推定末端圧力一定制御においては、使用水量に応じた(抵抗曲線Rで示される)管路抵抗を考慮して、ポンプ1の回転速度が制御される。すなわち、ポンプ1の吐出し圧力が抵抗曲線Rに沿って変化するように圧力センサ16の測定値に基づいてポンプ1の回転速度が制御される。すなわち、ポンプ制御部30では、流量Qと抵抗曲線Rとによって決定される目標圧力と、吐出側圧力センサ16の測定値との偏差を減算器32(図4参照)で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。流量Qは、ポンプ1の回転速度から間接的に求めることができる。
【0032】
図6の例では、ポンプ1の回転速度は、Na(最大水量時に目標推定末端圧力を達成するための回転速度)とNb(水量0のとき上記目標推定末端圧力を達成するための回転速度)との間で制御される。例えば、流量Q1では、ポンプ1は回転速度Ncで運転される。図6のPaは、最大水量時に目標推定末端圧力を達成するために必要なポンプ1の吐出圧力であり、Pbは、水量0時に目標推定末端圧力を達成するために必要なポンプ1の吐出圧力である。
【0033】
推定末端圧力一定制御では、ポンプ1の回転速度からポンプ1の吐出し流量を推定し、その流量に対応する目標圧力を決定する。しかしながら、ポンプ1の回転速度とポンプ1の吐出し流量との関係は、ポンプ1の吸込側圧力に依存して変化するため、ポンプ1の吸込側圧力が変動すると、正確な吐出し流量が推定できなくなってしまう。そこで、ポンプ制御部30は、吸込側圧力センサ14で測定されたポンプ1の吸込側圧力に基づいて、推定吐出し流量を補正するように構成されている。
【0034】
ポンプ制御部30が実行するポンプ運転の制御モードとしては、吐出圧力一定制御のほかにも、推定末端圧力一定制御、差圧一定制御、吐出流量一定制御などが挙げられる。これら制御モードは、制御モード設定部37からポンプ制御部30に指令される。ユーザーは、制御モード設定部37を介して所望の制御モードを選択することができる。
【0035】
ここで、差圧一定制御とは、ポンプ1の吸込側圧力と吐出側圧力との差圧を一定に保つ制御である。この制御の場合は、吸込側圧力センサ14で計測されたポンプ1の吸込側圧力と、吐出側圧力センサ16で計測されたポンプ1の吐出側圧力との差圧を算出し、この差圧と予め設定されている目標差圧との偏差を減算器32で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。
【0036】
吐出流量一定制御とは、ポンプ1の吐出流量を一定に維持する制御である。この吐出流量一定制御について図7および図8を参照して説明する。まず、ポンプ1の吐出し流量を目標流量Q1に固定したときのポンプ1の回転速度Nと全揚程との関係を示すテーブルデータを取得する。図7は得られたテーブルデータを示す。ポンプ1の回転速度Nと全揚程との関係を示すテーブルデータは、実測により求められる。具体的には、吐出し流量をQ1に固定した条件下で、様々な回転速度でポンプ1を運転したときの全揚程を測定することによりテーブルデータが求められる。図8は、ポンプ1の吐出し流量と吐出し圧力との関係を示すグラフである。ここでは、説明の簡略化のために、吸込圧力が0として説明する。吸込圧力が0であるとき(すなわち、吸込側圧力センサ14の計測値が0であるとき)、吐出し圧力は、全揚程に等しい。
【0037】
図8において、符号SCは、システムの抵抗および損失から決定されるシステムカーブを示す。ポンプ1の回転速度がN2であるとき、ポンプ1の運転点は、回転速度N2のときの運転特性曲線とシステムカーブSCとの交点Aとなる。この運転点Aでの吐出し圧力は、吸込側圧力が0である条件下では、全揚程(実測全揚程)を示す。一方、図7のテーブルデータでは、ポンプ1の回転速度がN2であるときの全揚程(目標全揚程)はPBである。そこで、実測全揚程と、そのときの回転速度に対応したテーブルデータ上の目標全揚程との偏差が0となるようにポンプ1の回転速度を増加または減少させる。具体的には、実測全揚程とテーブルデータ上の目標全揚程との偏差を減算器32(図4参照)で算出し、その偏差がゼロとなるような目標回転速度をPI制御器33で算出し、その目標回転速度と現在の回転速度との偏差を減算器34で算出し、その偏差がゼロとなるようなトルク指令値τ*をPI制御器35で算出する。
【0038】
ポンプ1を上記のように制御することにより、ポンプ1の吐出し側に定流量弁を設けなくても吐出し流量を一定にすることができる。またポンプ1の吐出し圧力が使用される負荷、即ちシステムカーブSCに合致してポンプ1を運転できるから、定流量弁を用いる場合のように、定流量弁の圧力損失が大きく、ポンプ1の吐出し圧力の調整が難しいという問題が解決でき、最適な運転が可能となる。例えば、システムカーブが図8の点線SC’の場合はポンプ1は交点イで運転されることになる。
【0039】
ポンプ制御部30は、ポンプ1の回転速度とその締切圧力との関係のデータテーブルをさらに備えている。このデータテーブルは、ポンプ1の吐出側のバルブ(図示せず)を閉じて締切状態として、ポンプ1の回転速度を徐々に上げていき、その時の回転速度と吐出側圧力センサ16で測定される締切圧力とを計測することにより作成される。このデータテーブルは、ポンプ制御部30の記憶部38に記憶される。なお、使用するポンプ1の特性曲線は予め判明している場合が多い。この場合には既知の特性曲線から、ポンプ1の回転速度とその締切圧力とのデータテーブルの作成を行い、これをポンプ制御部30の記憶部38に記憶するようにしてもよい。また、給水装置においては、他の制御項目、例えば推定末端圧力一定制御においては、別途ポンプ回転速度とその締切圧力とのデータが必要となる。このため、別途準備されたデータテーブルを利用してもよい。
【0040】
図9は、締切運転状態の検出の原理を示すQH線図である。現在の運転状態は、吐出側圧力P、水量Qであるとする。このときポンプ1の回転速度がN+であり、この回転速度における締切圧力がP+であるとする。このように、通常の給水流量がある場合には、動作点の検出圧力Pと、そのときの回転速度N+に対応する締切圧力P+は、必ず
P+>P
という関係になる。
【0041】
これに対して、吐出側圧力Pが一定で、水量Qが殆どゼロとなった場合には、いわゆる締切運転状態となる。逆止弁15は一方通行の弁であるので、逆止弁15の下流側の圧力が目標圧力よりも僅かに高い状態となる場合がある。このような場合には、検出圧力が目標圧力を上回るので、ポンプ1には減速指令が与えられる。しかしながら、締切運転状態においてはポンプ速度が低下しても吐出側圧力は逆止弁15に保持されて目標圧力以下には下がらない。このため、回転速度がN−まで低下したときに対応する締切圧力P−は、検出圧力Pよりも低い。即ち、
P>P−
という関係になる。これにより給水流量がゼロの完全な締切運転状態と判断することができる。
【0042】
図10は、上述した締切運転状態を検出するフロー図である。まず、圧力センサ16による現在の吐出側圧力Pと、現在の回転速度Nに対応したポンプ締切圧力Pxの関係が判断される。図9に示すように現在の給水流量がQであり、検出された吐出側圧力がPであるとする。現在の回転速度N+に対して、その対応する締切時の圧力P+は、現在の検出圧力Pよりも大である。従って、この状態はポンプ1が締切運転状態ではないと判断され、通常運転が継続される。これに対して、水量Qがゼロとなり、締切運転状態となると、逆止弁15により吐出側圧力が保持され、目標圧力P以下に下がらなくなる。この場合には、ポンプ1の吐出側圧力を低下させるように回転速度の減速指令がポンプ1に与えられる。そして、ポンプ1の回転速度が低下していき、回転速度に対応する締切圧力Pxが、
P>Px
という関係となる。このような状態はポンプ1の締切運転状態であると判断され、少水量停止動作にはいる。より好ましくは、この状態をタイマ等で所定の時間検出して、この状態が継続することをもってポンプ締切運転状態と判断する。
【0043】
図11は、ポンプ1の締切運転状態の他の検出方法を示すQH線図である。この検出方法においては、締切運転時における目標圧力PBに対応した回転速度HzBに減少した時に、ポンプ1の回転速度をその回転速度HzBよりも少し低い回転速度(HzB−1Hz)まで低下させる。そして、その時点で吐出側圧力センサ16の検出圧力が所定値(例えば、PB−1m)以下に低下するか否かを一定時間監視する。検出圧力が低下しない場合には、ポンプ1の回転速度を低下させても逆止弁15により吐出側圧力センサ16の検出圧力が変化しないので、締切運転状態であると判断する。そして、ポンプ1の少水量停止動作が行われる。この少水量停止動作では、締切運転検出時の圧力PBに対して、例えば+3m程度の吐出圧力となるように、回転速度をHzB′に上げて一定時間運転し、その後ポンプ1を停止させる。一方、ポンプ1の回転速度を下げて運転して、圧力センサ16による検出圧力が低下する場合には、完全な締切運転状態ではないので、ポンプ1の通常運転を継続する。
【0044】
少水量停止動作は、吐出圧力をPB+3mに上げて蓄圧運転を行う。少水量停止動作中に、ポンプ1の回転速度が対応した締切運転速度HzB′よりも1Hz以上大きくなった場合には、ポンプ1を通常運転に戻して運転する。通常の少水量停止動作では、ポンプ1は目標圧力(PB+3m)で、これに対応した回転速度HzB′で運転される。しかしながら、この少水量停止動作中に給水流量が増加した場合には、締切運転状態が解除されたと考えられ、ポンプ1は少水量停止動作から通常運転に戻る。
【0045】
図4に戻って、制御装置3が備える消費電力表示機能について説明する。制御装置3は、図4に示すように、電力演算部61を備えている。この電力演算部61は、インバータ25に入力される電力を計算するインバータ入力電力演算部61Aと、モータ2に入力される電力を計算するモータ入力電力演算部61Bとを有している。インバータ25は、その入力側は例えば三相200Vの50Hz又は60Hzの商用交流電源に接続され、その出力側はモータ2に接続され、任意の交流周波数及び電圧の電力を供給する。入力電源からの三相電力はAC/DC変換部27に入力される。AC/DC変換部27で変換された直流電力の電流および電圧は電流検出器63および電圧検出器64によって測定される。測定された電流および電圧はインバータ入力電力演算部61Aに入力され、ここで電力が計算される。
【0046】
モータ2に入力される三相電力の電流及び相間電圧は、それぞれ電流検出器42および電圧検出器43により検出される。三相のうち少なくとも二相の電流および電圧を測定すればよい。測定された電流および電圧はモータ入力電力演算部61Bに入力され、モータ入力電力演算部61Bはこれらの電流及び電圧からモータ2に供給される有効電力の電力値を計算する。
【0047】
図12は、デジタルサンプリング方式による有効電力の測定原理を示す。電圧検出器43の出力値から電圧波形のサンプリング結果が図12(a)に示すように得られる。同様に電流検出器42の出力値から電流波形のサンプリング結果が図12(b)に示すように得られる。一般に有効電力は、電圧と電流の瞬時値の積である瞬時電力を積分し、一周期Tで平均したものとして次式で表される。
【0048】
【数1】
【0049】
上式の右側の近似式から、有効電力はサンプル周期Δtの幅をもつk(=T/Δt)個の瞬時電力の短冊の総和(1周期分)を周期Tで平均化することにより得られる。このような式の内容をモータ入力電力演算部61Bがほぼそのまま実行することで、デジタルサンプリング方式による電力の計測が可能である。実際には、波形測定時間は測定精度を上げるため1周期分より長く設定される場合が多い。また、Δtは数十μs程度が一般的で、その逆数がサンプリング周波数になる。また、上式は一相当たりの電力であるので、三相の場合は3倍になる。
【0050】
図13は、総和平均方式による有効電力の測定原理を示す。電圧検出器43及び電流検出器42の出力である電圧入力波形及び電流入力波形は図13(a)に示すようになる。有効電力は次式に示すように、電圧と電流の瞬時値の積を1周期(あるいはn周期)の時間で積分して周期で割ったものである。
【0051】
【数2】
【0052】
そこで、電圧及び電流の入力波形の1周期分(あるいはn周期分)を正確にサンプリングする必要がある。この方式では、図13(b)に示すように電流入力波形を基準としたゼロクロス信号を用いて電圧、電流の入力波形の周期とサンプリング期間を同期させることによって実現している。有効サンプル期間内の電圧と電流の瞬時値の積を上式の近似式を用いて平均化することによって、有効電力が求められる。サンプリングによる近似式を以下に示す。尚、電流入力信号が小さいときは電圧波形のゼロクロス信号が基準になる。
【0053】
【数3】
【0054】
電力演算部61は、インバータ入力電力演算部61Aおよびモータ入力電力演算部61Bで求められた電力を合算し、その内部に設けられた記憶装置(図示せず)に記憶する。電力演算部61によって求められた電力は、電力積算部66に入力される。この電力積算部66は、逐次記憶される電力値を一定時間ごとに積算し、単位時間の積算値を算出することにより、単位時間当たりの電力量(kwh)を算出することができる。そしてこれを電力量表示部67に出力し、電力量表示部67は単位時間当たりの電力量(kwh)を表示する。
【0055】
電力積算部66によって計算された電力量(kwh)は、電力料金計算部68および二酸化炭素排出量計算部73に入力される。電力料金計算部68には、電力料金記憶部70が接続され、さらに電力料金入力部71が接続されている。電力料金入力部71は、例えばテンキーなどの入力装置であり、単位電力量当たりの電力料金の入力が可能となっている。単位電力量当たりの電力料金は、電力会社によって異なるため、利用している電力会社に応じた電力料金がユーザーによって設定される。入力された単位電力量当たりの電力料金は、電力料金記憶部70に記憶される。電力料金計算部68は、記憶されている単位電力量当たりの電力料金と、電力積算部66によって算出された電力量(kwh)とを乗算することにより、電力料金を計算する。電力料金計算部68で求められた電力料金は電力料金表示部69に送られ、ここで電力料金が表示される。基本料金や夜間料金等の差がある場合には、電力料金計算部68内の時計機能を利用して、夜間と昼間の積算電力量を別々に記憶しておき、それぞれの時間帯別の料金に合わせた電力料金を算出することも可能である。
【0056】
二酸化炭素排出量計算部73には、二酸化炭素排出係数を記憶する二酸化炭素排出係数記憶部74が接続されており、さらに二酸化炭素排出係数記憶部74には、二酸化炭素排出係数を入力するための二酸化炭素排出係数入力部75が接続されている。二酸化炭素排出係数とは、電気器機の消費電力から二酸化炭素の排出量を算出するための係数であり、単位電力量(kWh)あたりの二酸化炭素排出量(t:トン)を表す数値である(単位:t−CO2/kWh)。この係数は、電力会社別に異なり、また年によっても異なる。二酸化炭素排出係数は、各電力会社によって毎年公表される。
【0057】
ユーザーが、二酸化炭素排出係数を二酸化炭素排出係数入力部75に入力すると、二酸化炭素排出係数は二酸化炭素排出係数記憶部74に記憶され、二酸化炭素排出量計算部73は、記憶された二酸化炭素排出係数と、電力積算部66で算出された電力量とから、単位時間当たりの二酸化炭素排出量を計算する。求められた二酸化炭素排出量は、二酸化炭素排出量表示部76に送られ、ここで表示される。
【0058】
以上説明した本発明のモータポンプは、上記実施の形態に限定されるものではなく、また図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 ポンプ
2 モータ
3 制御装置
7 羽根車
15 逆止弁
16 吐出側圧力センサ
25 インバータ
30 ポンプ制御部
40 ベクトル制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧ポンプと、
前記加圧ポンプを駆動するモータと、
前記モータを制御する制御装置と、
前記ポンプの吐出側の流体の圧力を測定する吐出側圧力測定器とを備え、
前記制御装置は前記モータのモータケーシングに取り付けられており、
前記加圧ポンプは、
前記モータの回転軸に固定された羽根車と、
前記羽根車を収容するポンプケーシングとを有し、
前記制御装置は、
商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成するインバータと、
前記ポンプの運転を制御するためのトルク指令値を生成するポンプ制御部と、
前記トルク指令値を受けて前記インバータへの電圧指令値を決定するベクトル制御部とを有し、
前記モータは、複数の永久磁石を持つ回転子を有することを特徴とする制御装置一体型モータポンプ。
【請求項2】
前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプによって加圧された前記流体の供給先の末端圧力を、前記加圧ポンプの吐出流量に拘わらず略一定にするための目標圧力を演算する推定末端圧力一定制御動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記インバータから前記モータに供給される三相電流を検出する電流検出器をさらに有し
前記ベクトル制御部は、
前記電流検出器で検出された三相電流を二相回転座標系上の励磁電流およびトルク電流に変換する3/2相変換部と、
前記ポンプ制御部からの前記トルク指令値を励磁電流指令値とトルク電流指令値とに変換する指令変換部と、
前記励磁電流と前記励磁電流指令値との偏差を0とするためのd軸電圧指令値、および前記トルク電流成分と前記トルク電流成分指令値との偏差を0とするためのq軸電圧指令値を演算する電流制御部と、
前記d軸電圧指令値と前記q軸電圧指令値を三相固定座標系上の三相電圧指令値に変換する2/3相変換部と、
前記回転子の角周波数と位相を演算する位相演算部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項4】
前記モータは、前記永久磁石が前記回転子に埋め込まれた埋め込み永久磁石型モータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記モータの入力電力と前記インバータの入力電力を演算する電力演算部と、
前記電力演算部で演算された電力を積算して単位時間当たりの電力量を計算する電力積算部と、
前記電力量を表示する電力量表示部とをさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記電力量をもとに、二酸化炭素排出量を計算する二酸化炭素排出量計算部と、
前記二酸化炭素排出量を表示する二酸化炭素排出量表示部とをさらに有することを特徴とする請求項5に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項7】
前記ポンプ制御部は、前記末端圧力をほぼ一定に調節するための前記加圧ポンプの吐出し流量と吐出し圧力との関係を記憶する記憶部を有し、実際の流量に対応して、前記吐出側圧力測定器で測定された前記流体の圧力が前記関係に従った圧力となるように前記トルク指令値を演算することを特徴とする請求項2に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項8】
前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプの吐出し圧力を一定にする吐出圧力一定制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項1】
加圧ポンプと、
前記加圧ポンプを駆動するモータと、
前記モータを制御する制御装置と、
前記ポンプの吐出側の流体の圧力を測定する吐出側圧力測定器とを備え、
前記制御装置は前記モータのモータケーシングに取り付けられており、
前記加圧ポンプは、
前記モータの回転軸に固定された羽根車と、
前記羽根車を収容するポンプケーシングとを有し、
前記制御装置は、
商用周波数以上の周波数を含む帯域内の周波数を持つ交流電力を生成するインバータと、
前記ポンプの運転を制御するためのトルク指令値を生成するポンプ制御部と、
前記トルク指令値を受けて前記インバータへの電圧指令値を決定するベクトル制御部とを有し、
前記モータは、複数の永久磁石を持つ回転子を有することを特徴とする制御装置一体型モータポンプ。
【請求項2】
前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプによって加圧された前記流体の供給先の末端圧力を、前記加圧ポンプの吐出流量に拘わらず略一定にするための目標圧力を演算する推定末端圧力一定制御動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記インバータから前記モータに供給される三相電流を検出する電流検出器をさらに有し
前記ベクトル制御部は、
前記電流検出器で検出された三相電流を二相回転座標系上の励磁電流およびトルク電流に変換する3/2相変換部と、
前記ポンプ制御部からの前記トルク指令値を励磁電流指令値とトルク電流指令値とに変換する指令変換部と、
前記励磁電流と前記励磁電流指令値との偏差を0とするためのd軸電圧指令値、および前記トルク電流成分と前記トルク電流成分指令値との偏差を0とするためのq軸電圧指令値を演算する電流制御部と、
前記d軸電圧指令値と前記q軸電圧指令値を三相固定座標系上の三相電圧指令値に変換する2/3相変換部と、
前記回転子の角周波数と位相を演算する位相演算部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項4】
前記モータは、前記永久磁石が前記回転子に埋め込まれた埋め込み永久磁石型モータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記モータの入力電力と前記インバータの入力電力を演算する電力演算部と、
前記電力演算部で演算された電力を積算して単位時間当たりの電力量を計算する電力積算部と、
前記電力量を表示する電力量表示部とをさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記電力量をもとに、二酸化炭素排出量を計算する二酸化炭素排出量計算部と、
前記二酸化炭素排出量を表示する二酸化炭素排出量表示部とをさらに有することを特徴とする請求項5に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項7】
前記ポンプ制御部は、前記末端圧力をほぼ一定に調節するための前記加圧ポンプの吐出し流量と吐出し圧力との関係を記憶する記憶部を有し、実際の流量に対応して、前記吐出側圧力測定器で測定された前記流体の圧力が前記関係に従った圧力となるように前記トルク指令値を演算することを特徴とする請求項2に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【請求項8】
前記ポンプ制御部は、前記加圧ポンプの吐出し圧力を一定にする吐出圧力一定制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置一体型モータポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−185190(P2011−185190A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52509(P2010−52509)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
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