説明

反射鏡回転装置、視認装置および監視装置

【課題】 監視する対象物を確実に監視することができる反射鏡回転装置を提供すること。
【解決手段】 反射鏡2と、反射鏡2が固定された第1回転軸3と、第1回転軸3を両端で回転可能に支持している第1支持部材4と、第1回転軸3と直交して配置され、第1支持部材4が固定された第2回転軸5と、第2回転軸5を両端で回転可能に支持している第2支持部材6とを含む反射鏡回転装置1である。2つの回転軸3,5周りの回転を組み合わせることによって反射鏡2を上下左右に向けて自由に回転させることができるので、反射鏡2を広範囲の領域に向けることが可能であり、反射鏡2を対象物の動きに対応させて自由に動かすことができ、監視者は反射鏡2を用いてその対象物を確実に視認して監視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射鏡を回転させることによって視認対象物を正確に視認することができる反射鏡回転装置に関する。また、その反射鏡回転装置を備えた視認装置および監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、銀行,スーパーマーケット,コンビニエンスストアまたはパチンコホール等の各種分野においては、不正な行為あるいは違法な行為をしている者を監視することの必要性が増大している。
【0003】
そこで、そのような行為をしている者を確認または監視するために、撮影装置を採用することが想定される。そのような目的の撮影装置として、例えば特許文献1には、物体空間の着目領域の画像をカメラの視野内の所望領域で撮影可能にする反射面を有した反射鏡がカメラと物体空間との間に配置され、物体空間において着目する面に沿った寸法比がカメラで撮影された画像の少なくとも一方向での寸法比と一致するように反射鏡の反射面が形成されているものが提案されている。
【0004】
このような構成の撮影装置によれば、カメラにより撮影された画像に対して画像の歪みを補正するようなコンピュータ画像処理を行なうことなく、物体空間内の存在物についてほぼ正確な形状や寸法を認識することが可能になるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−221752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に提案された撮像装置においては、反射鏡が固定されており動かすことができないため、監視する対象物が動くものであってその対象物がカメラの撮像領域の範囲外に移動した場合には、対象物を確実に監視することが困難となるという問題点があった。
【0007】
また、特許文献1に提案された撮像装置の反射鏡を、監視したい場所の近傍に配置した場合には、監視の対象である不正あるいは違法な行為をしている者の近傍に反射鏡が配置されることとなるので、不正あるいは違法な行為をしている者に反射鏡の存在が気付かれてしまい、自分の行為が映らないように細工をされてしまう可能性があるという問題点があった。
【0008】
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、反射鏡を多様な方向に向けることができるように動かすことができ、また、反射鏡の存在を気付かれにくくすることができる反射鏡回転装置、視認装置および監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の反射鏡回転装置は、反射鏡と、該反射鏡が固定された第1回転軸と、該第1回転軸を両端で回転可能に支持している第1支持部材と、前記第1回転軸と直交して配置され、前記第1支持部材が固定された第2回転軸と、該第2回転軸を両端で回転可能に支持
している第2支持部材とを含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の視認装置は、本発明の反射鏡回転装置と、前記反射鏡回転装置が内部空間に配置されており、視認対象物が映っている前記反射鏡を外部から視認するための第1開口部、ならびに前記視認対象物および前記反射鏡の間に位置する第2開口部を有する筐体とを含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の監視装置は、本発明の視認装置と、該視認装置の前記第1開口部を通して、前記反射鏡に前記第2開口部を通して映っている前記視認対象物を撮像する撮像素子とを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の反射鏡回転装置によれば、反射鏡と、反射鏡が固定された第1回転軸と、第1回転軸を両端で回転可能に支持している第1支持部材と、第1回転軸と直交して配置され、第1支持部材が固定された第2回転軸と、第2回転軸を両端で回転可能に支持している第2支持部材とを含むことから、それぞれ第1回転軸および第2回転軸を中心軸とする回転の方向は互いに直交する関係にある。従って、これら2つの回転軸周りの回転を組み合わせることによって反射鏡を上下左右に向けて自由に回転させることができるので、反射鏡を広範囲の領域に向けることが可能となる。よって、例えば、本発明の反射鏡回転装置を使用する監視者の監視する対象物が動くものである場合にも、反射鏡をその対象物に向けてその動きに対応させて自由に動かすことができるので、監視者は反射鏡を用いてその対象物を確実に視認して監視することができる。
【0013】
本発明の視認装置によれば、本発明の反射鏡回転装置と、反射鏡回転装置が内部空間に配置されており、視認対象物が映っている反射鏡を外部から視認するための第1開口部、ならびに視認対象物および反射鏡の間に位置する第2開口部を有する筐体とを含むことから、外部から反射鏡回転装置を見ることのできる部分は、第1開口部および第2開口部の2箇所のみとすることができる。従って、反射鏡回転装置は、筐体における開口部以外の部分によって覆われていることとなるため、外部からは反射鏡回転装置の存在およびこの反射鏡回転装置を備えた視認装置の存在を気付かれにくくすることが可能となる。従って、視認装置の存在を視認対象物である行為者に特に意識させない状態で視認対象物を視認することが可能となる。
【0014】
本発明の監視装置によれば、本発明の視認装置と、視認装置の第1開口部を通して、反射鏡に第2開口部を通して映っている視認対象物を撮像する撮像素子とを含むことから、本発明の監視装置を使用する監視者は、撮像素子が撮像した画像を任意の場所で見ればよいだけとなるので、常に第1開口部を通して反射鏡を見通せるようなこの監視装置の周囲にいなくとも、監視の対象物である視認対象物を、所望の方向に反射鏡を向けて撮像素子を通して監視することができるようになる。また、複数の監視装置からの撮像素子で得られた画像を離れた場所で集中的に監視することもできるようになる。従って、監視者の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の反射鏡回転装置の実施の形態の一例を示す正面図である。
【図2】(a)は図1に示す反射鏡回転装置を上方から見た際の透視図であり、(b)は図1に示す反射鏡回転装置が回転した状態を上方から見た際の透視図である。
【図3】(a)は図1に示す反射鏡回転装置を側方から見た際の透視図であり、(b)は図1に示す反射鏡回転装置が回転した状態を側方から見た際の透視図である。
【図4】本発明の視認装置の実施の形態の一例を示す、側方から見た際の透視図である。
【図5】(a)は本発明の監視装置が設置された遊戯機を示す正面図であり、(b)はその遊戯機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の反射鏡回転装置の実施の形態の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の反射鏡回転装置の実施の形態の一例を示す正面図である。また、図2(a)は図1に示す反射鏡回転装置を上方から見た際の透視図であり、図2(b)は図1に示す反射鏡回転装置が回転した状態を上方から見た際の透視図である。
【0018】
図1および図2に示す例の反射鏡回転装置1は、反射鏡2と、反射鏡2が固定された第1回転軸3と、第1回転軸3を両端で回転可能に支持している第1支持部材4と、第1回転軸3と直交して配置され、第1支持部材4が固定された第2回転軸5と、第2回転軸5を両端で回転可能に支持している第2支持部材6とを含む。
【0019】
このような構成の反射鏡回転装置1は、第1回転軸3および第2回転軸5を中心軸とする回転の方向は互いに直交する関係にある。従って、これら2つの回転軸周りの回転を組み合わせることによって反射鏡2を上下左右の所望の方向に向けて自由に回転させることができるので、反射鏡2を広範囲の領域に向けることが可能となる。よって、例えば、本発明の反射鏡回転装置1を使用する監視者の監視する対象物が動くものである場合にも、反射鏡2をその対象物に向けてその動きに対応させて自由に動かすことができるので、監視者は反射鏡2を用いてその対象物を確実に確認して監視することができる。
【0020】
このような反射鏡回転装置1は、例えば、パチンコホール等で遊技機を操作している遊技者の操作状況を監視するために用いることができる。特に、遊戯者の手元は、遊戯者が不正行為あるいは違法行為に及んだ場合に、最も状況証拠を把握することができる部分であるが、遊戯者は手を遊技機の様々な場所に移動させるため、その手元の状況を監視するには、本発明の反射鏡回転装置1のように、遊戯者の手の動きに応じて反射鏡2を動かして遊戯者の手元を確実に監視できる装置が有効である。
【0021】
反射鏡2は、視認して監視する視認対象物を写すためのものである。この反射鏡2の形状は、円形状,矩形状または楕円形状のいずれであってもよいものである。図1に示す例のように、反射鏡2の形状が円形状である場合は、反射鏡2の寸法は、例えば直径が5〜10mm程度であり、厚みが0.5〜1mm程度であるものとすればよい。
【0022】
第1回転軸3は、反射鏡2が固定されたものであり、この第1回転軸3を軸としてその周りに反射鏡2を回転させるためのものである。図1に示すように、第1回転軸3は反射鏡2を中央にして一方および他方に分割されていてもよい。この場合には、第1回転軸3の一方の一端が反射鏡2の一方の部分に固定されており、第1回転軸3の他方の一端が反射鏡2の反対側の他方の部分に固定されていることによって、第1回転軸3に反射鏡2が固定されている。また、反射鏡2における、この一方の部分と他方の部分とは、互いに反射鏡2の中心を挟んで対称な位置関係であることが望ましい。これによって、第1回転軸3の一方と他方とで軸心が一致するので、後述するように第1回転軸3を回転させる際に、反射鏡2が第1回転軸3を中心軸として滑らかに回転することができる。
【0023】
また、第1回転軸3は、反射鏡2が固定された1本の軸であってもよい。第1回転軸3の長さ方向の中心付近は、例えば円筒形状の第1回転軸3の表面の一部を、第1回転軸3の中心軸に沿って、切り口が平面となるように切り取った形状であるものとする。これにより、この位置における第1回転軸3の断面は、円から弧の一部を含む弦形状の一部を切
り取った形状となる。そして、第1回転軸3における、この切り取られた部分の平面に、反射鏡2を直接固定する。
【0024】
第1回転軸3が1本の軸である場合の寸法は、第1回転軸3の断面形状が円形状である場合には、例えば直径が1〜2mm程度であり、長さが12〜13mm程度であるものとすればよい。なお、第1回転軸3が前述したように一方および他方に分割されている場合は、第1回転軸3の一方および他方の長さはそれぞれ2〜5mm程度であるものとすればよい。また、第1回転軸3の材料には、例えば鉄等の金属が好適に用いられる。
【0025】
第1支持部材4は、第1回転軸3を両端で回転可能に支持しているものである。すなわち、第1回転軸3は、両端の2点で、軸受け(不図示)を介して第1支持部材4に自転可能に支持されている。
【0026】
第1支持部材4の形状は、例えば図2(a)に示すように、半球形状である。また、第1回転軸3を中心軸として回転したときに反射鏡2が第1支持部材4に接触しないように、半球形状の第1支持部材4は、少なくとも反射鏡2の直径よりも大きい寸法の開口7を有する半球形状の開口部8を有している。
【0027】
第1支持部材4の寸法は、半球形状である場合であれば、直径が14〜15mm程度であり、厚みが1〜2mm程度であり、開口7の直径が12〜13mm程度である半球形状の開口部8を有しているものとすればよい。また、第1支持部材4の材料には、例えばフェライト等の磁性体を使用することが好ましい。この場合には、後述する第2支持部材6に取り付けられているコイル61〜66等の磁気の影響が、後述する永久磁石11,12に及びにくくなるので、第1回転軸3は外部の磁気の影響を受けにくくなることから、正確な動作をすることができる反射鏡回転装置1として好適なものとなる。
【0028】
以下に、図2(a)および(b)を参照して、第1回転軸3の動作原理を説明する。
【0029】
例えば、図2(a)に示す例においては、反射鏡2は半球状筐体9の平面部分に取り付けられた構成となっており、この半球状筐体9における反射鏡2が取り付けられた側とは反対側の球面上に、相互に同形かつ同特性の永久磁石11,12が取り付けられている。これら永久磁石11,12は、第1回転軸3周りの回転方向に並ぶように例えば60°間隔で配置され、第1回転軸3の径方向に磁化されたものである。
【0030】
なお、それぞれの永久磁石11,12は、S極とN極とが互いに逆向きになるように配置される。例えば、永久磁石11は、半球状筐体9側にS極を、第1支持部材4側にN極を向けて配置されており、永久磁石12は、半球状筐体9側にN極を、第1支持部材4側にS極を向けて配置されている。
【0031】
また、図2(a)に示す例においては、第1支持部材4の開口部8の内側面には、第1回転軸3に向かって垂直に突き出した凸形状の芯材21〜26が複数、ここでは6つ形成されている。これらの芯材21〜26は、例えば相互に同じ形状を有しており、半球状筐体9の球面との間に間隙を有しつつ第1回転軸3周りの回転方向に例えば36°間隔で並ぶように配置されているものである。
【0032】
並びの中で1つおきの第1の組の芯材21,23,25には、連続した1本の導線Aが巻き付けられて、第1の組のコイル31,33,35が形成されている。同様に、並びの中で1つおきの第2の組の芯材22,24,26には、別の連続した1本の導線Bが巻き付けられて、第2の組のコイル32,34,36が形成されている。なお、これらコイルの並びの中で1番目,4番目,5番目のコイル31,34,35は導線A,Bを巻き付ける方向が同じであり、同様に、2
番目,3番目,6番目のコイル32,33,36も導線A,Bを巻き付ける方向が同じである。
【0033】
図2(a)に示す例においては、導線Aにおける点A1から点A2に向かって電流が流れ、導線Bにおける点B1から点B2に向かって電流が流れる。これにより、コイル31,34,35は半球状筐体9側がN極に、第1支持部材4側がS極になり、コイル32,33,36は半球状筐体9側がS極に、第1支持部材4側がN極になる。そして、永久磁石11の第1支持部材4側がN極であり、コイル32,33の半球状筐体9側がS極になり、永久磁石12の第1支持部材4側がS極であり、コイル34,35の半球状筐体9側がN極になる。これによって、図2(a)に示すように、永久磁石11はコイル32,33の間で静止し、永久磁石12はコイル34,35の間で静止することとなる。
【0034】
次に、図2(b)に示す例においては、導線Aにおける点A1から点A2に向かって電流が流れ、導線Bにおける点B2から点B1に向かって電流が流れる。これにより、コイル33,34は半球状筐体9側がN極に、第1支持部材4側がS極になり、コイル31,32,35,36は半球状筐体9側がS極に、第1支持部材4側がN極になる。そして、永久磁石11の第1支持部材4側がN極であり、コイル31,32の半球状筐体9側がS極になり、永久磁石12の第1支持部材側がS極であり、コイル33,34の半球状筐体9側がN極になる。これによって、図2(b)に示すように、永久磁石11はコイル31,32の間で静止し、永久磁石12はコイル33,34の間で静止することとなる。
【0035】
従って、導線Bに流す電流の向きを切り換えることによって、図2(a)に示す向きに保持された反射鏡2が図2(b)に示す向きに保持された状態となるので、反射鏡2は第1回転軸3を中心に36°回転することとなる。
【0036】
なお、図2(b)では、紙面における下方を向くように反射鏡2が回転する例を示しているが、同様にして紙面における上方を向くように反射鏡2を回転させてもよい。
【0037】
また、図2(b)では、コイル31〜36は6つであるが、これらのコイル31〜36間にさらに複数のコイルを配置することによって、反射鏡2の回転角度をより細かく制御することができる。
【0038】
また、図2(b)に示す例では、反射鏡2の回転角度は第1回転軸3を中心軸にして36°程度であるが、第1支持部材4を上方から見た場合に、第1支持部材4の開口7の周縁部が反射鏡2よりも前方に突き出しており、その第1支持部材4の突き出している部分の内側面にも同様にコイルを形成しておけば、反射鏡2をより大きな角度でもって回転させることができる。例えば、図2(b)に示したコイル31〜36の配列の両端にコイルを1つずつ36°の間隔でもって配置した場合には、反射鏡2を第1回転軸3を中心軸にして最大で72°回転させることができるようになる。
【0039】
なお、図2(a)および(b)では、永久磁石11,12が平面に反射鏡2が取り付けられた半球状筐体9の球面上に取り付けられている例を示したが、永久磁石11,12は、第1回転軸3周りの回転方向に配置されていれば、第1回転軸3の側面に配置されていてもよい。例えば、前述したように第1回転軸3が1本の軸であって、第1回転軸3の長さ方向の中心付近に反射鏡2が直接固定されており、第1回転軸3の反射鏡2が固定された部位とは反対側に、第1回転軸3周りの回転方向に沿って永久磁石11,12が配置されていてもよい。
【0040】
また、図2(a)および(b)では、反射鏡2が平面に取り付けられた半球状筐体9における、反射鏡2が取り付けられた側とは反対側の球面上に永久磁石11,12が取り付けられている構成を示したが、永久磁石11,12が第1回転軸3周りの回転方向に沿って取り付
けられていれば、半球状筐体9に代えて、反射鏡2の一方と反射鏡2の中心点を挟んで対称の位置にある反射鏡2の他方とを支持する、アーチ形状の第1支持体4であってもよい。そして、このアーチ形状の第1支持体4に、第1回転軸3周りの回転方向に沿って永久磁石11,12を取り付ければよい。
【0041】
また、図2(a)および(b)では、永久磁石11,12およびコイル31〜36の引力および斥力によって第1回転軸3周りに反射鏡2を回転させる構成を示したが、第1回転軸3周りに回転する構成であれば、例えば、モータ等の駆動力によって第1回転軸3周りに回転させてもよい。
【0042】
なお、例えば、モータ等の駆動力によって第1回転軸3周りに反射鏡2を回転させる場合には、図2(a)および(b)に示したように永久磁石11,12を半球状筐体9に取り付ける必要がなく、また、第1支持部材4にコイル31〜36を取り付ける必要もなくなる。従って、半球状筐体9は必要がなくなり、例えば、前述したように、第1回転軸3の中央部付近に反射鏡2が取り付けられているだけの構成であってもよいものとなる。
【0043】
また、第1支持部材4の形状は、第1回転軸3を両端で支持することができれば、環状であってもよい。例えば、この環状の第1支持部材4は、内周の直径が14〜15mm程度であり、外周の直径が14〜15mm程度であり、厚みが1〜2mm程度である。
【0044】
第2回転軸5は、第1回転軸3と直交して配置され、第1支持部材4が固定されたものである。
【0045】
例えば、図1に示すように、この例における第2回転軸5は、第1支持部材4を中央にして分割された一方および他方からなるものである。この場合には、第2回転軸5の一方に半球形状の第1支持部材4の開口7の周縁部の外表面の一方の部分が固定されており、第2回転軸5の他方に半球形状の第1支持部材4の開口7の周縁部の外表面の反対側の他方の部分が固定されている。また、第1支持部材4におけるこの一方の部分と他方の部分とは、互いに反射鏡2の中心を挟んで対称な位置関係であることが望ましい。これによって、第2回転軸5の一方と他方とで軸心が一致するので、後述するように第2回転軸5を中心軸として回転させる際に、第1支持部材4が第2回転軸5を軸心として滑らかに回転することができる。
【0046】
また、第2回転軸5は、第1支持部材4が固定された1本の軸であってもよい。第2回転軸5の長さ方向の中心付近は、例えば円筒形状の第2回転軸5の表面の一部を、半球形状の第1支持部材4の外表面の球面の形状に沿って、切り口が球面となるように切り取った形状であるものとする。そして、第2回転軸5における、この切り取られた部分の球面に、半球形状の第1支持部材4の外表面の球面を直接固定する。
【0047】
また、第2回転軸5が1本の軸であった場合の寸法は、第2回転軸5の断面形状が円形状である場合には、例えば直径が1〜2mm程度であり、長さが12〜13mm程度であるものとすればよい。なお、第2回転軸5が前述したように一方および他方に分割されている場合は、第2回転軸5の一方および他方の長さはそれぞれ2〜5mm程度であるものとすればよい。また、第2回転軸5の材料には、例えば鉄等の金属が好適に用いられる。
【0048】
第2支持部材6は、第2回転軸5を両端で回転可能に支持しているものである。すなわち、第2回転軸5は、両端の2点で、軸受け(不図示)を介して第2支持部材6に自転可能に支持されている。
【0049】
第2支持部材6の形状は、例えば図2(a)に示すように、半球形状である。また、第
2回転軸6を中心軸として回転したときに半球形状の第1支持部材4が第2支持部材6に接触しないように、半球形状の第2支持部材6は、少なくとも第1支持部材4の直径よりも大きい寸法の開口13を有する半球形状の開口部14を有している。
【0050】
第2支持部材6の寸法は、半球形状である場合であれば、直径が14〜15mm程度であり、厚みが1〜2mm程度であり、開口13の直径が12〜13mm程度であるものとすればよい。また、第2支持部材6の材料には、例えばフェライト等の磁性体を使用することが好ましい。この場合には、後述する第2支持部材6に取り付けられた永久磁石41,42が、第2支持部材6の外部の磁気の影響を受けにくくなるので、第2回転軸5周りに正確な動作をすることができる反射鏡回転装置1として好適なものとなる。
【0051】
以下に、図3(a)および(b)を参照して、第2回転軸5の動作原理を説明する。図3(a)は図1に示す反射鏡回転装置1を側方から見た際の透視図であり、図3(b)は図1に示す反射鏡回転装置1が回転した状態を側方から見た際の透視図である。
【0052】
図3(a)に示す例においては、半球形状の第1支持部材4の外表面の球面上に相互に同形かつ同特性の永久磁石41,42が取り付けられている。これら永久磁石41,42は、第2回転軸5周りの回転方向に並ぶように例えば60°間隔で配置され、第2回転軸5の径方向に磁化されたものである。
【0053】
なお、それぞれの永久磁石41,42は、S極とN極とが互いに逆向きになるように配置される。例えば、永久磁石41は、第1支持部材4側にS極を、第2支持部材6側にN極を向けて配置されており、永久磁石42は、第1支持部材4側にN極を、第2支持部材6側にS極を向けて配置されている。
【0054】
また、図3(a)に示す例においては、第2支持部材6の開口部14の内側面には、第2回転軸5に向かって垂直に突き出した凸形状の芯材51〜56が6つ形成されている。これらの芯材51〜56は、例えば相互に同じ形状を有しており、半球形状の第1支持部材4の外表面である球面との間に間隙を有しつつ第2回転軸5周りの回転方向に例えば36°間隔で並ぶように配置されているものである。
【0055】
並びの中で1つおきの第1の組の芯材51,53,55には、連続した1本の導線Cが巻きつけられて、第1の組のコイル61,63,65が形成されている。同様に、並びの中で1つおきの第2の組の芯材52,54,56には、別の連続した1本の導線Dが巻き付けられて、第2の組のコイル62,64,66が形成されている。なお、これらコイルの並びの中で1番目,4番目,5番目のコイル61,64,65は導線C,Dを巻き付ける方向が同じであり、同様に、2番目,3番目,6番目のコイル62,63,66も導線C,Dを巻き付ける方向が同じである。
【0056】
以下、第1回転軸3の動作原理と同様にして、図3(a)に示す向きに保持された反射鏡2が図3(b)に示す向きに保持された状態となるので、反射鏡2は第2回転軸5を中心に36°回転することとなる。
【0057】
なお、図3(b)では、紙面における下方を向くように反射鏡2が回転する例を示しているが、同様にして紙面における上方を向くように反射鏡2を回転させてもよい。
【0058】
また、図3(b)では、コイル61〜66は6つであるが、コイルの数を増やすことによって、反射鏡2の回転角度をより細かく制御することができる。
【0059】
また、図3(b)に示す例では、反射鏡2の回転角度は第2回転軸5を中心軸にして36°程度であるが、第2支持部材6を側方から見た場合に、第2支持部材6の開口13の周縁
部が反射鏡2よりも前方に突き出しており、その第2支持部材6の突き出している部分の内側面にも同様にコイルを形成しておくとよい。この構成によれば、反射鏡2をより大きな角度でもって回転させることができる。例えば、図3(b)に示したコイル61〜66の配列の両端にコイルを1つずつ加えた場合には、反射鏡2を第2回転軸5を中心軸にして最大で72°回転させることができるようになる。
【0060】
なお、図3(a)および(b)では、永久磁石41,42が半球形状の第1支持部材4の外表面の球面上に、第2回転軸5周りの回転方向に沿って並ぶように取り付けられている例を示したが、永久磁石41,42は、第2回転軸5周りの回転方向に配置されていれば、第2回転軸5の側面に配置されていてもよい。なお、この場合の第2回転軸5は、例えば前述したように1本の軸であり、半球形状の第1支持部材4の外表面の球面が第2回転軸5の長さ方向の中心付近に取り付けられている。そして、1本の軸である第2回転軸5における第1支持部材4が取り付けられた部位とは反対側に、永久磁石41,42が第2回転軸5周りの回転方向に沿って取り付けられている。
【0061】
また、図3(a)および(b)では、永久磁石41,42およびコイル61〜66の引力および斥力によって第2回転軸5周りに第1支持部材4を回転させる構成を示したが、第2回転軸5周りに回転する構成であれば、例えば、モータ等の駆動力によって第2回転軸5周りに回転させてもよい。
【0062】
なお、例えば、モータ等の駆動力によって第2回転軸5周りに第1支持部材4を回転させる場合には、図3(a)および(b)に示したように永久磁石41,42を第1支持部材4に取り付ける必要がないため、第1支持部材4の形状は、第1回転軸3を両端で支持することができれば、環状であってもよい。また、モータ等の駆動力によって第2回転軸5周りに回転させる場合には、図3(a)および(b)に示したようにコイル61〜66を第2支持部材6に取り付ける必要がないため、第2支持部材6の形状は、第2回転軸5を両端で支持することができれば、環状であってもよい。例えば、この環状の第2支持部材5は、内周の直径が14〜15mm程度であり、外周の直径が14〜15mm程度であり、厚みが1〜2mm程度である。
【0063】
導線A,Bへ供給する電流の向きの制御には、ドライバによって導線A,Bを介して反射鏡回転装置1に供給するパルス電流の波形を制御する方法が用いられる。
【0064】
ここで、ドライバによって供給されるパルス電流は、このドライバにコントローラ等からのパルス信号が入力されることによって生成される。ドライバによって供給されるパルス電流は、このコントローラにパソコン等からの反射鏡回転命令の信号が入力されることによって生成される。以上のようにして、導線A,Bおよび導線C,Dへ供給するパルス電流が制御される。
【0065】
次に、図4を参照して、本発明の視認装置について以下に説明する。図4は、本発明の視認装置の実施の形態の一例を示す、側方から見た際の透視図である。
【0066】
図4に示す例の本発明の視認装置10によれば、本発明の反射鏡回転装置1と、反射鏡回転装置1が内部空間に配置されており、視認対象物が映っている反射鏡2を外部から視認するための第1開口部15、ならびに視認対象物および反射鏡2の間に位置する第2開口部16を有する筐体17とを含むことから、外部から反射鏡回転装置1を見ることのできる部分は第1開口部15および第2開口部16の2箇所のみとすることができる。従って、反射鏡回転装置1は、筐体17の第1,第2開口部15,16以外の部分によって覆われていることとなるため、外部からは反射鏡回転装置1の存在を気付かれにくくすることが可能となる。
【0067】
従って、例えば、この視認装置10が、例えばパチンコホールにおける不正行為あるいは違法行為を行なっている者の監視のために使用されている場合に、不正行為あるいは違法行為を行なっている者が筐体17によって覆われた反射鏡回転装置1に気が付きにくくすることができる。従って、不正行為あるいは違法行為を行なっている者が反射鏡回転装置1および視認装置10を警戒して、自身の不正行為あるいは違法行為が監視されるのを妨げるため、死角を作ったりする等の監視妨害行為をすることを抑制することができる。その結果、不正行為あるいは違法行為をしている者を確実に視認して監視することができる。
【0068】
筐体17の形状は略球形状,直方体形状または卵型形状のいずれであってもよいものである。筐体17の大きさは、筐体17が略球形状である場合には、例えば断面形状の直径が25〜35mm程度である。
【0069】
第1開口部15および第2開口部16の形状は、円形状,矩形状または楕円形状のいずれであってもよい。第1開口部15および第2開口部16の形状が円形状である場合は、第1開口部15および第2開口部16の直径は、例えばそれぞれ3〜6mm程度である。
【0070】
筐体17における第1開口部15および第2開口部16の配置は、例えば図4に示す例の筐体17の紙面における左側に第1開口部15が形成され、紙面における下側に第2開口部16が形成されている。
【0071】
次に、図5を参照して、本発明の監視装置の例を以下に説明する。図5(a)は本発明の監視装置が設置された遊戯機を正面から見た際の平面図であり、図5(b)はその遊戯機を側方から見た際の平面図である。
【0072】
図5に示す例の本発明の監視装置20によれば、本発明の視認装置10と、視認装置10の第1開口部15を通して、反射鏡2に第2開口部16を通して映っている視認対象物を撮像する撮像素子18とを含むことから、本発明の監視装置20を使用する監視者は、撮像素子18が撮像した画像を任意の場所で見ればよいだけとなるので、常に第1開口部15を通して反射鏡2を見通せるようなこの監視装置20の周囲にいなくとも、監視の対象物である視認対象物を、所望の方向に反射鏡2を向けて撮像素子18を通して監視することができるようになる。また、複数の監視装置20からの撮像素子18で得られた画像を離れた場所で集中的に監視することもできるようになる。従って、監視者の負担を軽減することが可能となる。
【0073】
図5に示す例において監視装置20を構成する、撮像素子18を備えた撮像モジュール19は、撮像素子18およびレンズユニット等を含むものである。
【0074】
監視装置20を構成する視認装置10は、図5に示す例のように、遊技機21の上部であって、前方に突き出した部分22に取り付けられている。視認装置10が取り付けられる位置は、遊戯者の頭上の1〜1.5m程度上方とすればよい。また、撮像モジュール19と視認装置10
との間隔は0.3〜0.5m程度とすればよい。
【0075】
なお、図5に示す例のように、本発明の監視装置20をパチンコホールの遊技機21で使用した際には、遊技機21において特に監視したい箇所は、図5に示した四角の破線で囲まれたいくつかの部分23〜26である。従って、撮像モジュール19の画角等は、図5中の四角の破線で囲まれたいくつかの部分23〜26を監視できるように設定される。
【実施例】
【0076】
図5に示すような、本発明の監視装置20の実施例を以下に説明する。
【0077】
図5に示す監視装置20に使用される視認装置10としては、図4に示す例のようなものを
作製した。視認装置10を構成する反射鏡回転装置1は、コイルおよび永久磁石の数以外は、図1に示す例の構成と同様のものを作製した。
【0078】
反射鏡2の形状は円形状とし、直径が5mmであり、厚みが0.5mmであるものとした

【0079】
第1回転軸3の一方および他方の長さはそれぞれ2mmとし、第1回転軸3の材料には鉄を使用した。
【0080】
第1支持部材4は半球形状であり、直径が11mmであり、厚みが1mm程度であり、開口部8の開口7の直径が9mmであるものとした。また、第1支持部材4の材料にはフェライトを使用した。
【0081】
半球状筐体9の球面上には、相互に同形かつ同特性の永久磁石を、第1回転軸3周りの回転方向に、それぞれの永久磁石がコイル同士の間に位置するように、4つ取り付けた。
【0082】
第1支持部材4の開口部8の内側面には、半球状筐体9の球面との間に間隙を有しつつ第1回転軸3周りの回転方向に15°間隔で並ぶように、12個のコイルを取り付けた。
【0083】
第2回転軸5の一方および他方の長さはそれぞれ2mmとし、第2回転軸5の材料には鉄を使用した。
【0084】
第2支持部材6は半球形状であり、直径が17mmであり、厚みが1mm程度であり、開口部15の開口16の直径が15mmであるものとした。また、第2支持部材6の材料にはフェライトを使用した。
【0085】
半球形状の第1支持部材4の外表面の球面上には、相互に同形かつ同特性の永久磁石を、第2回転軸5周りの回転方向に、それぞれの永久磁石がコイル同士の間に位置するように、4つ取り付けた。
【0086】
第2支持部材6の開口部15の内側面には、第1支持部材4の外表面の球面との間に間隙を有しつつ第2回転軸5周りの回転方向に15°間隔で並ぶように、12個のコイルを取り付けた。
【0087】
視認装置10を構成する筐体17の形状は略球形状とし、その大きさは断面形状の直径を35mmとした。
【0088】
また、第1開口部15および第2開口部16の形状は円形状とし、第1開口部15および第2開口部16の直径は、それぞれ6mmおよび5mmとした。
【0089】
そして、監視装置20を構成する、撮像素子18を備えた撮像モジュール19を、図5に示す例のように、遊技機21の上面に配置した。
【0090】
また、視認装置10を、図5に示す例のように、遊技機21の上部であって、前方に突き出した部分22に取り付けた。この視認装置10は、遊戯者の頭上1mの位置に取り付けた。
【0091】
以上のようにして、本発明の実施例の監視装置20を作製した。
【0092】
次に、比較例として、回転しない反射鏡を有する監視装置を作製した。この比較例の監視装置のその他の構成と、遊技機に配置する位置は、実施例の監視装置20と同様とした。
【0093】
そして、実施例および比較例の監視装置を使用して、遊技場の開店時間(午前10時)から閉店時間(午後11時)まで、遊技機21の監視を行なった。
【0094】
その結果、実施例の監視装置20の撮像素子18によって撮像されてモニタに表示された画像に、不正な行為を行なっている遊戯者が映し出された。また、その遊戯者の手はいくつかの部分23〜26の間をよく動いたが、その手の動きに合わせて反射鏡2を回転させることによって、撮像素子18で撮像した画像には遊戯者の手元を常時映っているように設定できた。従って、その画像を状況証拠として、遊戯者にその行為を行なったことを確認することができるものであった。
【0095】
一方、比較例の監視装置によって表示された画像では、不審な行動をしている遊戯者の姿が映っており、その遊戯者の手元が最初は画像に映っていた。しかし、遊戯者の手が様々な方向に動くことによって、遊戯者の手元が撮像した画像から消えてしまうことが多々あった。よって、遊戯者の手元の不審な行動を明確に確認することができなかった。
【0096】
この結果から、本発明の監視装置20によれば、本発明の反射鏡回転装置1を有する本発明の視認装置10と、視認装置10の第1開口部15を通して、反射鏡2に第2開口部16を通して映っている視認対象物を撮像する撮像素子18とを含むことから、本発明の監視装置20を使用する監視者は、反射鏡回転装置1の存在を気付かれることなく、その視認対象物を確実に視認して監視できることが分かった。
【符号の説明】
【0097】
1:反射鏡回転装置
2:反射鏡
3:第1回転軸
4:第1支持部材
5:第2回転軸
6:第2支持部材
10:視認装置
15:第1開口部
16:第2開口部
17:筐体
18:撮像素子
20:監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射鏡と、
該反射鏡が固定された第1回転軸と、
該第1回転軸を両端で回転可能に支持している第1支持部材と、
前記第1回転軸と直交して配置され、前記第1支持部材が固定された第2回転軸と、
該第2回転軸を両端で回転可能に支持している第2支持部材と
を含むことを特徴とする反射鏡回転装置。
【請求項2】
請求項1に記載の反射鏡回転装置と、
前記反射鏡回転装置が内部空間に配置されており、視認対象物が映っている前記反射鏡を外部から視認するための第1開口部、ならびに前記視認対象物および前記反射鏡の間に位置する第2開口部を有する筐体と
を含むことを特徴とする視認装置。
【請求項3】
請求項2に記載の視認装置と、
該視認装置の前記第1開口部を通して、前記反射鏡に前記第2開口部を通して映っている前記視認対象物を撮像する撮像素子と
を含むことを特徴とする監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−151726(P2011−151726A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13210(P2010−13210)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】