吸着部材、ピックアップ装置およびピックアップ方法
【課題】半導体チップへの静電気によるダメージを十分に防ぐことができ、既存の半導体チップに幅広く適用することができる吸着部材を提供する。
【解決手段】半導体チップ20に接触させるための接触面11aと、接触面11aにつながる側面11cとを有する吸着部11と、側面11cから外方向に向かって突き出る第1放電部12とを備える。
【解決手段】半導体チップ20に接触させるための接触面11aと、接触面11aにつながる側面11cとを有する吸着部11と、側面11cから外方向に向かって突き出る第1放電部12とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造装置に関し、特に、個片化された半導体チップをピックアップする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、個片化された半導体チップは、コレットと呼ばれる部品が先端に取り付けられたピックアップ装置に吸着されながら移送される。しかし、半導体チップを移送するためにコレットが半導体チップに接近したとき、半導体チップの角部分からコレットの角部分に向けて、半導体チップに帯電していた電荷が静電気放電されることがある。放電現象の起点が半導体チップの内部(例えばフューズ開口部)であった場合には、半導体チップが静電気破壊されるおそれが高まる。そこで、ピックアップ工程における静電気放電を抑える様々な検討がなされており、例えば、特許文献1(特開平9−45749号公報)及び特許文献2(特開2008−205375号公報)に開示されている。
【0003】
特許文献1には、半導体素子を次工程へ移送する工程の静電気の抑制方法が開示されている。この静電気の抑制方法は、接地された吸着装置で半導体素子を吸着した時に、吸着装置と半導体素子の端子とを接触させることを特徴としている。特許文献1の静電気の抑制方法によれば、トランジスタなどの半導体素子の静電放電による静電破壊が防止できるというものである。
【0004】
特許文献2には、ピックアップ工程において、コレットとの間の静電気放電による故障を防止できる半導体装置が開示されている。この半導体装置は、半導体基板の導電型領域に接続された金属配線の表層の保護膜が除去され、その金属配線が露出していることを特徴としている。このような半導体装置は、コレットと金属配線との間で静電気放電が生じると、金属配線に流入した中和電荷が直ちに半導体基板に達するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−45749号公報
【特許文献2】特開2008−205375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、コレットが半導体チップに接触した後の静電気を抑えることを目的としている。しかし、コレットが半導体チップに接触する前に、半導体チップ内部からコレットに対して静電気放電が発生する場合、静電気破壊を十分に防止することは難しい。一方、特許文献2に記載の技術は、コレットが半導体チップに接近したときの静電気放電による故障を防止できるとある。しかし、コレットと半導体チップとの間で生じる静電気の放電経路が半導体チップ内部に設けられているため、配線をつなぐスルーホール等の半導体チップ内部のダメージが懸念される。しかも、特許文献2の技術では、新規に放電経路を成す冗長な回路を形成する必要があり、既存の半導体チップへ展開できない問題もある。このように、ピックアップ工程では、半導体チップへの静電気によるダメージを十分に防ぐことができ、更に、既存の半導体チップにも幅広く適用できることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明の吸着部材(3)は、半導体チップ(20)に接触させるための接触面(11a)と、接触面(11a)につながる側面(11c)とを有する吸着部(11)と、側面(11c)から外方向に向かって突き出る第1放電部(12)とを備える。
【0009】
本発明のピックアップ装置(1)は、前述した吸着部材(3)と、半導体チップ(20)をピックアップするために、吸着部(11)と第1放電部(12)とを半導体チップ(20)の表面に近づける駆動部(4)とを具備する。第1先端部(12b)は、接触面(11a)よりも半導体チップ(20)の近くに位置し、駆動部(4)は、第1先端部(12b)を半導体チップ(20)の外周部の近傍に位置するように近づける。
【0010】
本発明のピックアップ方法は、半導体チップ(20)に接触させるための接触面(11a)と、接触面(11a)につながる側面(11c)とを有する吸着部(11)と、接触面(11a)よりも第1先端部(12b)が半導体チップ(20)の近くに位置し、側面(11c)から外方向に向かって突き出る第1放電部(12)と、吸着部(11)と第1放電部(12)とを移動させる駆動部(4)とを具備するピックアップ装置(1)のピックアップ方法であって、駆動部(4)が、吸着部(11)と第1放電部(12)とを半導体チップ(20)の表面に近づけるステップと、駆動部(4)が、接触面(11a)を半導体チップ(20)の表面に接触させるステップとを具備する。表面に近づけるステップは、駆動部(4)が、第1先端部(12b)を半導体チップ(20)の外周部の近傍に位置するように近づけるステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸着部材は、半導体チップへの静電気によるダメージを十分に防ぐことができ、更に、既存の半導体チップに幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による吸着部材3を具備するピックアップ装置1の構成図である。
【図2】図2は、半導体チップ20に接触する側から見た吸着部材3である。
【図3A】図3Aは、本発明の吸着部材3を具備するピックアップ装置1のピックアップ方法を示した図である。
【図3B】図3Bは、本発明の比較例として、吸着部材5を具備するピックアップ装置のピックアップ方法を示した図である。
【図4A】図4Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材6である。
【図4B】図4Bは、図4Aのy方向から見た吸着部材6及び接続部2である。
【図5A】図5Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材7である。
【図5B】図5Bは、図5Aのy方向から見た吸着部材7及び接続部2である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態による吸着部材8を具備するピックアップ装置1aの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態による吸着部材、ピックアップ装置およびピックアップ方法を説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による吸着部材3を具備するピックアップ装置1の構成図である。ピックアップ装置1は、個片化された半導体チップ20を吸着し、所定の場所に移送する。図1を参照すると、ピックアップ装置1は、接続部2と、吸着部材3と、駆動部4とを具備する。
【0015】
接続部2は、一方の先端に吸着部材3が取り付けられ、他方に図示しない接地された吸引装置が接続される。
【0016】
図2は、半導体チップ20に接触する側から見た吸着部材3である。図1及び図2を参照すると、吸着部材3は、吸着部11と、放電部12とを備える。
【0017】
吸着部11は、半導体チップ20を吸着する部位である。図1及び図2を参照すると、吸着部11は、接触面11aと、上面11bと、側面11cと、吸引口11dとを有する。接触面11aは、半導体チップ20に接触させるための面である。上面11bは、接触面11aに対向する面である。側面11cは、接触面11aと上面11bとにつながる面である。吸引口11dは、吸引装置に繋がっており、吸引装置によって吸われた空気の通り道である。吸着部11は、吸引装置の吸引力に基づいて吸引口11d付近が負圧になると、半導体チップ20を接地面11aに吸着する。また、吸着部11は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0018】
放電部12は、吸着部11の側面11cから外方向に向かって突き出る部位である。詳細には、放電部12は、吸着部11から外方向に向かって徐々に細くなり、途中から先端まで細長く突き出る。放電部12は、接続部位12aと、先端部12bとを有する。接続部位12aは、吸着部11の側面11cとの接続部である。吸着部11の接触面11aの輪郭には静電気放電の起点となる角があるため、接続部位12aはその角が静電気放電の起点とならないように、接続面11aの近傍に位置して角を覆う。
【0019】
先端部12bは、放電部12の先端であり、接続部位12aよりも細く鋭い形状に形成される。先端部12bは、接触面11aの方向を基準として、側面11cのある側とは反対の側(接触面11aに対して、上面11bと反対の側)に位置する。言い換えると、先端部12bは、吸着部11が半導体チップ20に近づく方向(Z方向)に対して、吸着部11の接触面11aよりも半導体チップ20の近く(図1では接触面11aよりも下方向)に位置する。そして、接続部位12aから先端部12bまでの長さは、半導体チップ20の外周部の角に到達可能な長さである。従って、放電部12は、ピックアップ装置1が半導体チップ20を吸着するために近づいたとき、最初に半導体チップ20に接触する部位であり、特に先端部12bが半導体チップ20の角に接触することが好ましい。また、放電部12は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0020】
駆動部4は、半導体チップ20をピックアップするために、吸着部材3(吸着部11、放電部12)を水平及び鉛直方向に移動させて半導体チップ20の表面に近づける。このとき、駆動部4は、放電部12の先端部12bを半導体チップ20の外周部の角の近傍に位置するように近づけることが好ましい。静電気放電は、形状が鋭利な部分より発生する特性を持っている。従って、駆動部4が放電部12の先端部12bを半導体チップ20の角に位置するように近づけることで、半導体チップ20内部からの静電気放電が発生する前に、半導体チップ20の外周部からの放電を誘発させやすい効果を奏する。
【0021】
図3Aは、本発明の吸着部材3を具備するピックアップ装置1のピックアップ方法を示した図である。図3Aを参照しながら本発明によるピックアップ方法を説明する。
【0022】
まず、ピックアップ対象となる半導体チップ20を説明する。半導体チップ20は、図示しない外部電極端子と接続されるボンディングパッド21と、半導体チップ20内部の電位設定等に用いられるフューズ(図示略)と、フューズをトリミングするために表面保護膜が開口されたフューズ開口部22とを備える。
【0023】
駆動部4は吸着部11と放電部12とを、半導体チップ20の表面に近づける。このとき、駆動部4は、先端部12bが半導体チップ20の外周部の角の近傍に位置するように近づける。即ち、放電部12の先端部12bが、半導体チップ20の外周部に最初に接近する部位となる。両者間の距離が静電気放電の起こりうる距離まで接近すると、半導体チップ20に帯電した電荷量が静電気放電に十分な量であれば、半導体チップ20の外周部の角より放電部12の先端部12bに向けて静電気放電が発生する。その際の放電は、半導体チップ20の外周部にて発生するため、半導体チップ20内部に構成される回路群へのダメージは発生しない。
【0024】
次に、駆動部4は、接触面11aを半導体チップ20の表面(回路形成面)に接触させる。そして、ピックアップ装置1は、吸引装置の吸引力に基づいて、半導体チップ20を吸着部11の接触面11aに吸着してピックアップする。
【0025】
図3Bは、本発明の比較例として、吸着部材5を具備するピックアップ装置のピックアップ方法を示した図である。尚、図3Bのピックアップ装置は、本発明のピックアップ装置1と同様の構成には同じ符号を付けている。図3Bを参照すると、吸着部材5は放電部を備えていない。従って、吸着部材5が、半導体チップ20に接近したとき、半導体チップ20のフューズ開口部22から吸着部材5の角部分に向けて、半導体チップ20に帯電していた電荷が静電気放電される。つまり、放電現象の起点が半導体チップ20の内部であり、その結果、半導体チップ20が静電気破壊されるおそれがある。
【0026】
本発明の第1の実施の形態による吸着部材3は、半導体チップ20と接触する前に、放電部12によって静電気放電を誘発させることができ、しかも、誘発させた放電経路は、半導体チップ20の外周部から放電部12、吸着部11へと繋がるため、半導体チップ20へのダメージを著しく低下させる効果を奏する。更に、本発明の第1の実施の形態による吸着部材3は、半導体チップ20に対する変更を必要としないため、既存の半導体チップ20に対する汎用性も高い。以上のように、本発明の吸着部材3は、半導体チップ20への静電気によるダメージを十分に防ぎ、更に、既存の製品にも幅広く適用できる効果を奏する。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態の吸着部材3の形状を変形したものである。従って、第2の実施の形態におけるピックアップ装置は、吸着部材以外の構成が、第1の実施の形態のピックアップ装置1と同様である。図4Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材6である。図4Bは、図4Aのy方向から見た吸着部材6及び接続部2である。
【0028】
図4A及び図4Bを参照すると、吸着部材6は、吸着部14と、放電部15とを備える。吸着部14は、吸着部11と同様に、半導体チップ20を吸着する部位である。図4A及び図4Bを参照すると、吸着部14は、接触面14aと、上面14bと、側面14cと、吸引口14dとを有する。吸着部14の各部は、第1の実施の形態の吸着部11の各部に相当し、詳細には接触面14aは接触部11aに相当し、上面14bは上面11bに相当し、側面14cは側面11cに相当し、吸引口14dは吸引口11dに相当する。そして、吸着部14は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0029】
放電部15は放電部12と同様に、吸着部14の側面14cから外方向に向かって突き出る部位である。詳細には、放電部15は、吸着部14から外方向に向かって徐々に細くなる。図4A及び図4Bを参照すると、放電部15は、接続部位15aと、先端部15bとを有する。接続部位15aは、吸着部14の側面14cとの接続部である。吸着部14の接触面14aの輪郭には静電気放電の起点となる角があるため、接続部位15aはその角が静電気放電の起点とならないように、接続面14aの近傍に位置して角を覆う。
【0030】
先端部15bは、放電部15の先端であり、接続部位15aよりも細く鋭い形状に形成される。先端部15bは、接触面14aの方向を基準として、側面14cのある側とは反対の側(接触面14aに対して、上面14bと反対の側)に位置する。言い換えると、先端部15bは、吸着部14が半導体チップ20に近づく方向(Z方向)に対して、吸着部14の接触面14aよりも半導体チップ20の近く(図4Bでは接触面14aよりも下方向)に位置する。そして、接続部位15aから先端部15bまでの長さは、半導体チップ20の外周部の角に到達可能な長さである。従って、放電部15は、ピックアップ装置が半導体チップ20を吸着するために近づいたとき、最初に半導体チップ20に接触する部位であり、特に先端部15bが半導体チップ20の角に接触することが好ましい。また、放電部15は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0031】
本発明の第2の実施の形態による吸着部材6は、放電部15の先端部15bが最初に半導体チップ20の角に近づいて静電気放電を誘発することができるため、第1の実施の形態と同様に、半導体チップ20への静電気によるダメージを十分に防ぎ、更に、既存の製品にも幅広く適用できる効果を奏する。特に、本発明の第2の実施の形態による吸着部材6は、放電部15を太く頑丈な形状にする事により、製造上の加工を容易にし、さらに使用環境下においても、磨耗等による構成部材の飛散を防止する効果を奏している。
【0032】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態の吸着部材3の形状を変形したものである。従って、第3の実施の形態におけるピックアップ装置は、吸着部材以外の構成が、第1の実施の形態のピックアップ装置1と同様である。図5Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材7である。図5Bは、図5Aのy方向から見た吸着部材7及び接続部2である。
【0033】
図5A及び図5Bを参照すると、吸着部材7は、吸着部16と、放電部17とを備える。吸着部16は、吸着部11と同様に、半導体チップ20を吸着する部位である。吸着部16は、接触面16aと、上面16bと、側面16cと、吸引口16dとを有する。吸着部16の各部は、第1の実施の形態の吸着部11の各部に相当し、詳細には接触面16aは接触部11aに相当し、上面16bは上面11bに相当し、側面16cは側面11cに相当し、吸引口16dは吸引口11dに相当する。そして、吸着部16は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0034】
放電部17は放電部12と同様に、吸着部16の側面16cから外方向に向かって突き出る部位である。図5A及び図5Bを参照すると、放電部17は、接続部位17aと、先端部17bとを有する。放電部17の各部は、第2の実施の形態の放電部15の各部に相当し、詳細には接触部位17aは接触部位15aに相当し、先端部17bは先端部15bに相当する。従って、放電部17は、ピックアップ装置が半導体チップ20を吸着するために近づいたとき、最初に半導体チップ20に接触する部位であり、特に先端部17bが半導体チップ20の角に接触することが好ましい。また、放電部17は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0035】
第3の実施の形態における放電部17は、第1の実施の形態で説明した放電部12に相当する構造であってもよい。
【0036】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を説明する。本発明の第4の実施の形態の吸着部材は、複数の放電部を備えるものである。図6は、本発明の第4の実施の形態による吸着部材8を具備するピックアップ装置1aの構成図である。図6を参照すると、ピックアップ装置1aは、接続部2と、吸着部材8と、駆動部4とを具備する。吸着部材8は、吸着部11と、複数の放電部12とを備える。吸着部11と、複数の放電部12の各々は、第1の実施の形態と同じである。尚、接続部2と、駆動部4とも第1の実施の形態と同様である。
【0037】
本発明の第4の実施の形態によるピックアップ方法を説明する。駆動部4は吸着部11と複数の放電部12とを、半導体チップ20の表面に近づける。このとき、駆動部4は、複数の先端部12bの各々が、半導体チップ20の外周部の異なる角の近傍に位置するように近づける。半導体チップ20に帯電した電荷量が静電気放電に十分な量であれば、半導体チップ20の何れかの外周部の角より、対応する放電部12の先端部12bに向けて静電気放電が発生する。本発明の第4の実施の形態によるピックアップ装置1aは、複数の放電部12を具備することで、半導体チップ20に対してより確実に静電気放電を誘発できることができ、半導体チップ20の静電気によるダメージを防ぐ効果を高めている。
【0038】
以上説明した第1から第4の実施の形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1、1a ピックアップ装置
2 接続部
3、5、6、7、8 吸着部材
11、14、16 吸着部
11a、14a、16a 接触面
11b、14b、16b 上面
11c、14c、16c 側面
11d、14d、16d 吸引口
12、15、17 放電部
12a、15a、17a 接続部位
12b、15b、17b 先端部
4 駆動部
20 半導体チップ
21 ボンディングパッド
22 フューズ開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造装置に関し、特に、個片化された半導体チップをピックアップする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、個片化された半導体チップは、コレットと呼ばれる部品が先端に取り付けられたピックアップ装置に吸着されながら移送される。しかし、半導体チップを移送するためにコレットが半導体チップに接近したとき、半導体チップの角部分からコレットの角部分に向けて、半導体チップに帯電していた電荷が静電気放電されることがある。放電現象の起点が半導体チップの内部(例えばフューズ開口部)であった場合には、半導体チップが静電気破壊されるおそれが高まる。そこで、ピックアップ工程における静電気放電を抑える様々な検討がなされており、例えば、特許文献1(特開平9−45749号公報)及び特許文献2(特開2008−205375号公報)に開示されている。
【0003】
特許文献1には、半導体素子を次工程へ移送する工程の静電気の抑制方法が開示されている。この静電気の抑制方法は、接地された吸着装置で半導体素子を吸着した時に、吸着装置と半導体素子の端子とを接触させることを特徴としている。特許文献1の静電気の抑制方法によれば、トランジスタなどの半導体素子の静電放電による静電破壊が防止できるというものである。
【0004】
特許文献2には、ピックアップ工程において、コレットとの間の静電気放電による故障を防止できる半導体装置が開示されている。この半導体装置は、半導体基板の導電型領域に接続された金属配線の表層の保護膜が除去され、その金属配線が露出していることを特徴としている。このような半導体装置は、コレットと金属配線との間で静電気放電が生じると、金属配線に流入した中和電荷が直ちに半導体基板に達するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−45749号公報
【特許文献2】特開2008−205375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、コレットが半導体チップに接触した後の静電気を抑えることを目的としている。しかし、コレットが半導体チップに接触する前に、半導体チップ内部からコレットに対して静電気放電が発生する場合、静電気破壊を十分に防止することは難しい。一方、特許文献2に記載の技術は、コレットが半導体チップに接近したときの静電気放電による故障を防止できるとある。しかし、コレットと半導体チップとの間で生じる静電気の放電経路が半導体チップ内部に設けられているため、配線をつなぐスルーホール等の半導体チップ内部のダメージが懸念される。しかも、特許文献2の技術では、新規に放電経路を成す冗長な回路を形成する必要があり、既存の半導体チップへ展開できない問題もある。このように、ピックアップ工程では、半導体チップへの静電気によるダメージを十分に防ぐことができ、更に、既存の半導体チップにも幅広く適用できることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明の吸着部材(3)は、半導体チップ(20)に接触させるための接触面(11a)と、接触面(11a)につながる側面(11c)とを有する吸着部(11)と、側面(11c)から外方向に向かって突き出る第1放電部(12)とを備える。
【0009】
本発明のピックアップ装置(1)は、前述した吸着部材(3)と、半導体チップ(20)をピックアップするために、吸着部(11)と第1放電部(12)とを半導体チップ(20)の表面に近づける駆動部(4)とを具備する。第1先端部(12b)は、接触面(11a)よりも半導体チップ(20)の近くに位置し、駆動部(4)は、第1先端部(12b)を半導体チップ(20)の外周部の近傍に位置するように近づける。
【0010】
本発明のピックアップ方法は、半導体チップ(20)に接触させるための接触面(11a)と、接触面(11a)につながる側面(11c)とを有する吸着部(11)と、接触面(11a)よりも第1先端部(12b)が半導体チップ(20)の近くに位置し、側面(11c)から外方向に向かって突き出る第1放電部(12)と、吸着部(11)と第1放電部(12)とを移動させる駆動部(4)とを具備するピックアップ装置(1)のピックアップ方法であって、駆動部(4)が、吸着部(11)と第1放電部(12)とを半導体チップ(20)の表面に近づけるステップと、駆動部(4)が、接触面(11a)を半導体チップ(20)の表面に接触させるステップとを具備する。表面に近づけるステップは、駆動部(4)が、第1先端部(12b)を半導体チップ(20)の外周部の近傍に位置するように近づけるステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸着部材は、半導体チップへの静電気によるダメージを十分に防ぐことができ、更に、既存の半導体チップに幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による吸着部材3を具備するピックアップ装置1の構成図である。
【図2】図2は、半導体チップ20に接触する側から見た吸着部材3である。
【図3A】図3Aは、本発明の吸着部材3を具備するピックアップ装置1のピックアップ方法を示した図である。
【図3B】図3Bは、本発明の比較例として、吸着部材5を具備するピックアップ装置のピックアップ方法を示した図である。
【図4A】図4Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材6である。
【図4B】図4Bは、図4Aのy方向から見た吸着部材6及び接続部2である。
【図5A】図5Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材7である。
【図5B】図5Bは、図5Aのy方向から見た吸着部材7及び接続部2である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態による吸着部材8を具備するピックアップ装置1aの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態による吸着部材、ピックアップ装置およびピックアップ方法を説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による吸着部材3を具備するピックアップ装置1の構成図である。ピックアップ装置1は、個片化された半導体チップ20を吸着し、所定の場所に移送する。図1を参照すると、ピックアップ装置1は、接続部2と、吸着部材3と、駆動部4とを具備する。
【0015】
接続部2は、一方の先端に吸着部材3が取り付けられ、他方に図示しない接地された吸引装置が接続される。
【0016】
図2は、半導体チップ20に接触する側から見た吸着部材3である。図1及び図2を参照すると、吸着部材3は、吸着部11と、放電部12とを備える。
【0017】
吸着部11は、半導体チップ20を吸着する部位である。図1及び図2を参照すると、吸着部11は、接触面11aと、上面11bと、側面11cと、吸引口11dとを有する。接触面11aは、半導体チップ20に接触させるための面である。上面11bは、接触面11aに対向する面である。側面11cは、接触面11aと上面11bとにつながる面である。吸引口11dは、吸引装置に繋がっており、吸引装置によって吸われた空気の通り道である。吸着部11は、吸引装置の吸引力に基づいて吸引口11d付近が負圧になると、半導体チップ20を接地面11aに吸着する。また、吸着部11は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0018】
放電部12は、吸着部11の側面11cから外方向に向かって突き出る部位である。詳細には、放電部12は、吸着部11から外方向に向かって徐々に細くなり、途中から先端まで細長く突き出る。放電部12は、接続部位12aと、先端部12bとを有する。接続部位12aは、吸着部11の側面11cとの接続部である。吸着部11の接触面11aの輪郭には静電気放電の起点となる角があるため、接続部位12aはその角が静電気放電の起点とならないように、接続面11aの近傍に位置して角を覆う。
【0019】
先端部12bは、放電部12の先端であり、接続部位12aよりも細く鋭い形状に形成される。先端部12bは、接触面11aの方向を基準として、側面11cのある側とは反対の側(接触面11aに対して、上面11bと反対の側)に位置する。言い換えると、先端部12bは、吸着部11が半導体チップ20に近づく方向(Z方向)に対して、吸着部11の接触面11aよりも半導体チップ20の近く(図1では接触面11aよりも下方向)に位置する。そして、接続部位12aから先端部12bまでの長さは、半導体チップ20の外周部の角に到達可能な長さである。従って、放電部12は、ピックアップ装置1が半導体チップ20を吸着するために近づいたとき、最初に半導体チップ20に接触する部位であり、特に先端部12bが半導体チップ20の角に接触することが好ましい。また、放電部12は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0020】
駆動部4は、半導体チップ20をピックアップするために、吸着部材3(吸着部11、放電部12)を水平及び鉛直方向に移動させて半導体チップ20の表面に近づける。このとき、駆動部4は、放電部12の先端部12bを半導体チップ20の外周部の角の近傍に位置するように近づけることが好ましい。静電気放電は、形状が鋭利な部分より発生する特性を持っている。従って、駆動部4が放電部12の先端部12bを半導体チップ20の角に位置するように近づけることで、半導体チップ20内部からの静電気放電が発生する前に、半導体チップ20の外周部からの放電を誘発させやすい効果を奏する。
【0021】
図3Aは、本発明の吸着部材3を具備するピックアップ装置1のピックアップ方法を示した図である。図3Aを参照しながら本発明によるピックアップ方法を説明する。
【0022】
まず、ピックアップ対象となる半導体チップ20を説明する。半導体チップ20は、図示しない外部電極端子と接続されるボンディングパッド21と、半導体チップ20内部の電位設定等に用いられるフューズ(図示略)と、フューズをトリミングするために表面保護膜が開口されたフューズ開口部22とを備える。
【0023】
駆動部4は吸着部11と放電部12とを、半導体チップ20の表面に近づける。このとき、駆動部4は、先端部12bが半導体チップ20の外周部の角の近傍に位置するように近づける。即ち、放電部12の先端部12bが、半導体チップ20の外周部に最初に接近する部位となる。両者間の距離が静電気放電の起こりうる距離まで接近すると、半導体チップ20に帯電した電荷量が静電気放電に十分な量であれば、半導体チップ20の外周部の角より放電部12の先端部12bに向けて静電気放電が発生する。その際の放電は、半導体チップ20の外周部にて発生するため、半導体チップ20内部に構成される回路群へのダメージは発生しない。
【0024】
次に、駆動部4は、接触面11aを半導体チップ20の表面(回路形成面)に接触させる。そして、ピックアップ装置1は、吸引装置の吸引力に基づいて、半導体チップ20を吸着部11の接触面11aに吸着してピックアップする。
【0025】
図3Bは、本発明の比較例として、吸着部材5を具備するピックアップ装置のピックアップ方法を示した図である。尚、図3Bのピックアップ装置は、本発明のピックアップ装置1と同様の構成には同じ符号を付けている。図3Bを参照すると、吸着部材5は放電部を備えていない。従って、吸着部材5が、半導体チップ20に接近したとき、半導体チップ20のフューズ開口部22から吸着部材5の角部分に向けて、半導体チップ20に帯電していた電荷が静電気放電される。つまり、放電現象の起点が半導体チップ20の内部であり、その結果、半導体チップ20が静電気破壊されるおそれがある。
【0026】
本発明の第1の実施の形態による吸着部材3は、半導体チップ20と接触する前に、放電部12によって静電気放電を誘発させることができ、しかも、誘発させた放電経路は、半導体チップ20の外周部から放電部12、吸着部11へと繋がるため、半導体チップ20へのダメージを著しく低下させる効果を奏する。更に、本発明の第1の実施の形態による吸着部材3は、半導体チップ20に対する変更を必要としないため、既存の半導体チップ20に対する汎用性も高い。以上のように、本発明の吸着部材3は、半導体チップ20への静電気によるダメージを十分に防ぎ、更に、既存の製品にも幅広く適用できる効果を奏する。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態の吸着部材3の形状を変形したものである。従って、第2の実施の形態におけるピックアップ装置は、吸着部材以外の構成が、第1の実施の形態のピックアップ装置1と同様である。図4Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材6である。図4Bは、図4Aのy方向から見た吸着部材6及び接続部2である。
【0028】
図4A及び図4Bを参照すると、吸着部材6は、吸着部14と、放電部15とを備える。吸着部14は、吸着部11と同様に、半導体チップ20を吸着する部位である。図4A及び図4Bを参照すると、吸着部14は、接触面14aと、上面14bと、側面14cと、吸引口14dとを有する。吸着部14の各部は、第1の実施の形態の吸着部11の各部に相当し、詳細には接触面14aは接触部11aに相当し、上面14bは上面11bに相当し、側面14cは側面11cに相当し、吸引口14dは吸引口11dに相当する。そして、吸着部14は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0029】
放電部15は放電部12と同様に、吸着部14の側面14cから外方向に向かって突き出る部位である。詳細には、放電部15は、吸着部14から外方向に向かって徐々に細くなる。図4A及び図4Bを参照すると、放電部15は、接続部位15aと、先端部15bとを有する。接続部位15aは、吸着部14の側面14cとの接続部である。吸着部14の接触面14aの輪郭には静電気放電の起点となる角があるため、接続部位15aはその角が静電気放電の起点とならないように、接続面14aの近傍に位置して角を覆う。
【0030】
先端部15bは、放電部15の先端であり、接続部位15aよりも細く鋭い形状に形成される。先端部15bは、接触面14aの方向を基準として、側面14cのある側とは反対の側(接触面14aに対して、上面14bと反対の側)に位置する。言い換えると、先端部15bは、吸着部14が半導体チップ20に近づく方向(Z方向)に対して、吸着部14の接触面14aよりも半導体チップ20の近く(図4Bでは接触面14aよりも下方向)に位置する。そして、接続部位15aから先端部15bまでの長さは、半導体チップ20の外周部の角に到達可能な長さである。従って、放電部15は、ピックアップ装置が半導体チップ20を吸着するために近づいたとき、最初に半導体チップ20に接触する部位であり、特に先端部15bが半導体チップ20の角に接触することが好ましい。また、放電部15は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0031】
本発明の第2の実施の形態による吸着部材6は、放電部15の先端部15bが最初に半導体チップ20の角に近づいて静電気放電を誘発することができるため、第1の実施の形態と同様に、半導体チップ20への静電気によるダメージを十分に防ぎ、更に、既存の製品にも幅広く適用できる効果を奏する。特に、本発明の第2の実施の形態による吸着部材6は、放電部15を太く頑丈な形状にする事により、製造上の加工を容易にし、さらに使用環境下においても、磨耗等による構成部材の飛散を防止する効果を奏している。
【0032】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態の吸着部材3の形状を変形したものである。従って、第3の実施の形態におけるピックアップ装置は、吸着部材以外の構成が、第1の実施の形態のピックアップ装置1と同様である。図5Aは、半導体チップ20と接触する側から見た吸着部材7である。図5Bは、図5Aのy方向から見た吸着部材7及び接続部2である。
【0033】
図5A及び図5Bを参照すると、吸着部材7は、吸着部16と、放電部17とを備える。吸着部16は、吸着部11と同様に、半導体チップ20を吸着する部位である。吸着部16は、接触面16aと、上面16bと、側面16cと、吸引口16dとを有する。吸着部16の各部は、第1の実施の形態の吸着部11の各部に相当し、詳細には接触面16aは接触部11aに相当し、上面16bは上面11bに相当し、側面16cは側面11cに相当し、吸引口16dは吸引口11dに相当する。そして、吸着部16は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0034】
放電部17は放電部12と同様に、吸着部16の側面16cから外方向に向かって突き出る部位である。図5A及び図5Bを参照すると、放電部17は、接続部位17aと、先端部17bとを有する。放電部17の各部は、第2の実施の形態の放電部15の各部に相当し、詳細には接触部位17aは接触部位15aに相当し、先端部17bは先端部15bに相当する。従って、放電部17は、ピックアップ装置が半導体チップ20を吸着するために近づいたとき、最初に半導体チップ20に接触する部位であり、特に先端部17bが半導体チップ20の角に接触することが好ましい。また、放電部17は、半導体チップ20に対して物理的な損傷を与えないように、十分な弾性を有する導電性のゴム状物質で形成される。
【0035】
第3の実施の形態における放電部17は、第1の実施の形態で説明した放電部12に相当する構造であってもよい。
【0036】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を説明する。本発明の第4の実施の形態の吸着部材は、複数の放電部を備えるものである。図6は、本発明の第4の実施の形態による吸着部材8を具備するピックアップ装置1aの構成図である。図6を参照すると、ピックアップ装置1aは、接続部2と、吸着部材8と、駆動部4とを具備する。吸着部材8は、吸着部11と、複数の放電部12とを備える。吸着部11と、複数の放電部12の各々は、第1の実施の形態と同じである。尚、接続部2と、駆動部4とも第1の実施の形態と同様である。
【0037】
本発明の第4の実施の形態によるピックアップ方法を説明する。駆動部4は吸着部11と複数の放電部12とを、半導体チップ20の表面に近づける。このとき、駆動部4は、複数の先端部12bの各々が、半導体チップ20の外周部の異なる角の近傍に位置するように近づける。半導体チップ20に帯電した電荷量が静電気放電に十分な量であれば、半導体チップ20の何れかの外周部の角より、対応する放電部12の先端部12bに向けて静電気放電が発生する。本発明の第4の実施の形態によるピックアップ装置1aは、複数の放電部12を具備することで、半導体チップ20に対してより確実に静電気放電を誘発できることができ、半導体チップ20の静電気によるダメージを防ぐ効果を高めている。
【0038】
以上説明した第1から第4の実施の形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1、1a ピックアップ装置
2 接続部
3、5、6、7、8 吸着部材
11、14、16 吸着部
11a、14a、16a 接触面
11b、14b、16b 上面
11c、14c、16c 側面
11d、14d、16d 吸引口
12、15、17 放電部
12a、15a、17a 接続部位
12b、15b、17b 先端部
4 駆動部
20 半導体チップ
21 ボンディングパッド
22 フューズ開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップに接触させるための接触面と、前記接触面につながる側面とを有する吸着部と、
前記側面から外方向に向かって突き出る第1放電部と
を備える
吸着部材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着部材であって、
前記第1放電部は、第1先端部が前記接触面の方向を基準として、前記側面のある側とは反対の側に位置する
吸着部材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸着部材であって、
前記第1放電部は、前記側面との接続部位が前記接触面の近傍に位置する
吸着部材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の吸着部材と、
前記半導体チップをピックアップするために、前記吸着部と第1放電部とを前記半導体チップの表面に近づける駆動部と
を具備し、
前記第1先端部は、前記接触面よりも前記半導体チップの近くに位置し、
前記駆動部は、前記第1先端部を前記半導体チップの外周部の近傍に位置するように近づける
ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のピックアップ装置であって、
前記半導体チップの外周部は、角である
ピックアップ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のピックアップ装置であって、
前記吸着部材は、
前記側面から外方向に向かって突き出る第2放電部
を更に備え、前記第2放電部の第2先端部は前記接触面よりも前記半導体チップの近くに位置し、
前記駆動部は、前記第2先端部を前記半導体チップの外周部の他の角の近傍に位置するように近づける
ピックアップ装置。
【請求項7】
半導体チップに接触させるための接触面と、前記接触面につながる側面とを有する吸着部と、前記接触面よりも第1先端部が前記半導体チップの近くに位置し、前記側面から外方向に向かって突き出る第1放電部と、前記吸着部と前記第1放電部とを移動させる駆動部とを具備するピックアップ装置のピックアップ方法であって、
前記駆動部が、前記吸着部と前記第1放電部とを前記半導体チップの表面に近づけるステップと、
前記駆動部が、前記接触面を前記半導体チップの表面に接触させるステップと
を具備し、
前記表面に近づけるステップは、
前記駆動部が、前記第1先端部を前記半導体チップの外周部の近傍に位置するように近づけるステップ
を含む
ピックアップ方法。
【請求項8】
請求項7に記載のピックアップ方法であって、
前記半導体チップの外周部は、角である
ピックアップ方法。
【請求項9】
請求項8に記載のピックアップ方法であって、
前記吸着部材は、前記接触面よりも第2先端部が前記半導体チップの近くに位置し、前記側面から外方向に向かって突き出る第2放電部を更に備え、
前記表面に近づけるステップは、
前記駆動部が、前記第2先端部を前記半導体チップの外周部の他の角の近傍に位置するように近づけるステップ
を含む
ピックアップ方法。
【請求項1】
半導体チップに接触させるための接触面と、前記接触面につながる側面とを有する吸着部と、
前記側面から外方向に向かって突き出る第1放電部と
を備える
吸着部材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着部材であって、
前記第1放電部は、第1先端部が前記接触面の方向を基準として、前記側面のある側とは反対の側に位置する
吸着部材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸着部材であって、
前記第1放電部は、前記側面との接続部位が前記接触面の近傍に位置する
吸着部材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の吸着部材と、
前記半導体チップをピックアップするために、前記吸着部と第1放電部とを前記半導体チップの表面に近づける駆動部と
を具備し、
前記第1先端部は、前記接触面よりも前記半導体チップの近くに位置し、
前記駆動部は、前記第1先端部を前記半導体チップの外周部の近傍に位置するように近づける
ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のピックアップ装置であって、
前記半導体チップの外周部は、角である
ピックアップ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のピックアップ装置であって、
前記吸着部材は、
前記側面から外方向に向かって突き出る第2放電部
を更に備え、前記第2放電部の第2先端部は前記接触面よりも前記半導体チップの近くに位置し、
前記駆動部は、前記第2先端部を前記半導体チップの外周部の他の角の近傍に位置するように近づける
ピックアップ装置。
【請求項7】
半導体チップに接触させるための接触面と、前記接触面につながる側面とを有する吸着部と、前記接触面よりも第1先端部が前記半導体チップの近くに位置し、前記側面から外方向に向かって突き出る第1放電部と、前記吸着部と前記第1放電部とを移動させる駆動部とを具備するピックアップ装置のピックアップ方法であって、
前記駆動部が、前記吸着部と前記第1放電部とを前記半導体チップの表面に近づけるステップと、
前記駆動部が、前記接触面を前記半導体チップの表面に接触させるステップと
を具備し、
前記表面に近づけるステップは、
前記駆動部が、前記第1先端部を前記半導体チップの外周部の近傍に位置するように近づけるステップ
を含む
ピックアップ方法。
【請求項8】
請求項7に記載のピックアップ方法であって、
前記半導体チップの外周部は、角である
ピックアップ方法。
【請求項9】
請求項8に記載のピックアップ方法であって、
前記吸着部材は、前記接触面よりも第2先端部が前記半導体チップの近くに位置し、前記側面から外方向に向かって突き出る第2放電部を更に備え、
前記表面に近づけるステップは、
前記駆動部が、前記第2先端部を前記半導体チップの外周部の他の角の近傍に位置するように近づけるステップ
を含む
ピックアップ方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【公開番号】特開2012−134359(P2012−134359A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285807(P2010−285807)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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