説明

定盤および研磨装置

【課題】被処理物の被処理面に対する研磨効率を向上させつつ、被処理物の破損や、スクラッチの発生を防止することができる定盤およびこの定盤を備えた研磨装置を提供すること。
【解決手段】下定盤130は、環状の研磨面131と、研磨面131に開口する複数の凹部132が形成されている。また、複数の凹部132は、それぞれ、独立して形成されている。また、各凹部132の開口形状は、略円状である。また、各凹部132の開口の径は、それぞれ、20μm〜2mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定盤および研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリコンウエハ等の被処理物の表面(被処理面)の平坦度を向上させるための加工として、被処理面を研磨する研磨加工(ラッピング加工、ポリッシング加工等)が行われている。この研磨加工は、研磨面を有する定盤を用いて行われる。具体的には、研磨面を被処理物の被処理面に押圧した状態で、研磨面と被処理面との間にスラリー状の研磨剤(研磨粒子を懸濁させた液体)を供給しつつ、定盤をその周方向に回転することにより行われる。このような研磨加工の際に使用される定盤としては、その研磨面に複数の溝が形成されているものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の定盤は、円環状の研磨面に、碁盤目状に形成された複数の溝(x軸方向に延在する複数の第1の溝と、軸方向に直交するy軸方向に延在する複数の第2の溝)が形成されており、この複数の溝によって、研磨面と被処理面との間に研磨剤を浸透し易くしている。しかしながら、このような構成の研磨面を備える定盤では、研磨効率が向上する一方、隣り合う一対の第1の溝と隣り合う一対の第2の溝とで形成された複数のブロック部の角部(エッジ部)によって、被処理面にスクラッチ(擦り傷)が発生したり、被処理物が破損したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−109924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、被処理物の被処理面に対する研磨効率を向上させつつ、被処理物の破損や、スクラッチの発生を防止することができる定盤およびこの定盤を備えた研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の定盤は、環状の研磨面と、
前記研磨面に開口する複数の凹部とを有し、
前記複数の凹部は、それぞれ、独立して形成されており、
前記複数の凹部の開口形状は、それぞれ、略円状であることを特徴とする。
これにより、研磨面に突出した角部(エッジ)が形成されないため、被処理物の被処理面に対する研磨効率を向上させつつ、被処理物の破損や、スクラッチの発生を防止することができる定盤を提供することができる。また、研磨能力の異方性がなく、被処理物がどのような方向で凹部上を通過しても、被処理物の被処理面を同じように研磨することができる。そのため、被処理面を均一に研磨することができる。
【0007】
[適用例2]
本発明の定盤では、前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域に形成された複数の前記凹部の平均開口径は、前記第2の領域に形成された複数の前記凹部の平均開口径よりも大きいことが好ましい。
これにより、研磨面の内周側と外周側とで、被処理面に対する研磨レートの差を小さくすることができ、被処理面の全域を均一に研磨することができる。
【0008】
[適用例3]
本発明の定盤では、前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域に形成された複数の前記凹部の平均深さは、前記第2の領域に形成された複数の前記凹部の平均深さよりも深いことが好ましい。
これにより、研磨面の内周側と外周側とで、被処理面に対する研磨レートの差を小さくすることができ、被処理面の全域を均一に研磨することができる。
【0009】
[適用例4]
本発明の定盤では、前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域における1cmあたりの前記凹部の数は、前記第2の領域における1cmあたりの前記凹部の数よりも多いことが好ましい。
これにより、研磨面の内周側と外周側とで、被処理面に対する研磨レートの差を小さくすることができ、被処理面の全域を均一に研磨することができる。
【0010】
[適用例5]
本発明の定盤では、前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域における前記凹部の占有率は、前記第2の領域における前記凹部の占有率よりも高いことが好ましい。
これにより、研磨面の内周側と外周側とで、被処理面に対する研磨レートの差を小さくすることができ、被処理面の全域を均一に研磨することができる。
【0011】
[適用例6]
本発明の定盤では、前記複数の凹部は、それぞれ、湾曲凹面で構成されている部分を有していることが好ましい。
これにより、凹部内に収容された研磨剤(研磨微粒子)が凹部内から研磨面と被処理面との間に流動し易くなる。そのため、研磨面と被処理面との間に十分な量の研磨剤を供給することができ、被処理面の研磨効率が向上する。また、凹部内に長時間留まる研磨微粒子を無くすことができ、経時的に、複数の研磨微粒子の径をそれぞれほぼ等しく保つことができる。そのため、ラッピングの際に、被処理面にスクラッチが発生したり、被処理物が破損したりすることを効果的に防止することができる。
【0012】
[適用例7]
本発明の研磨装置は、本発明の定盤と、
前記定盤の前記研磨面と接触するようにワークを保持する保持手段と、
前記ワークと前記定盤との間に研磨剤を供給する研磨剤供給手段と、
前記ワークと前記研磨面とを相対的に移動する移動手段とを有することを特徴とする。
これにより、被処理物の被処理面に対する研磨効率を向上させつつ、被処理物の破損や、スクラッチの発生を防止することができる定盤を備えた研磨装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の研磨装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す研磨装置の平面図である。
【図3】図1に示す研磨装置が備える下定盤の平面図である。
【図4】図3に示す下定盤の断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る研磨装置が備える下定盤の平面図である。
【図6】図5に示す下定盤の断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る研磨装置が備える下定盤の平面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る研磨装置が備える下定盤の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の定盤および研磨装置を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の定盤を備える研磨装置(本発明の研磨装置)について説明する。
図1は、本発明の研磨装置の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す研磨装置の平面図、図3は、図1に示す研磨装置が備える下定盤の平面図、図4は、図3に示す下定盤の断面図である。
【0015】
なお、以下の説明では、図1中互いに直交する3つの方向をx軸方向、y軸方向およびz軸方向とする。そのうち、下定盤130の研磨面131をxy平面とし、研磨面131の法線方向をz軸方向とする。以下、対応する方向はその他の図においても同様である。また、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図3および図4は、それぞれ、説明の便宜上、下定盤と凹部との大きさのバランスや凹部の数など、実際のものとは異なっている。
【0016】
研磨装置100は、ワーク(被処理物)10の上面および下面をそれぞれ研磨し平坦化(鏡面化)する装置である。
このような研磨装置100は、図1および図2に示すように、ワーク10を支持する4つのキャリア(保持手段)111、112、113、114と、キャリア111〜114の上方に位置する上定盤120と、キャリア111〜114の下方に位置する下定盤130と、駆動軸141の回転により駆動する上定盤支持部140と、駆動軸151の回転により駆動するサンギヤ150と、駆動軸161の回転により駆動する下定盤支持部160と、駆動軸171の回転により駆動するインターナルギヤ170と、上定盤120を昇降動可能に吊り下げる吊下装置180と、研磨剤を供給する研磨剤供給装置190と、駆動装置(移動手段)200とを有している。
【0017】
図1に示すように、4つの駆動軸141、151、161、171は、同心状に配置された多重軸に形成され、内側から、駆動軸141、駆動軸151、駆動軸161、駆動軸171の順で配置されている。これら4つの駆動軸141、151、161、171は、それぞれ、独立してZ軸まわりに回転可能となっている。
駆動軸141の上端には、上定盤支持部140が配置されている。上定盤支持部140は、吊下装置180の作動により上定盤120が下位置に配置されたときに、上定盤120と係合するものである。
また、駆動軸141の下端には、歯車142が配置されている。この歯車142は、後述する歯車204と噛合している。
【0018】
駆動軸151の上端には、サンギヤ150が配置されている。このサンギヤ150は、上定盤支持部140の下方に位置している。また、サンギヤ150は、上定盤支持部140と同心状に設けられた円環状をなしており、その外周に歯車部153が形成されている。
また、駆動軸151の下端には、歯車152が配置されている。この歯車152は、後述する歯車205と噛合している。
【0019】
駆動軸171の上端には、インターナルギヤ170が配置されている。このインターナルギヤ170は、サンギヤ150の周囲(外周)を囲むように配置されている。また、インターナルギヤ170は、サンギヤ150と同心状に形成された円環状をなしており、その内周に歯車部173が形成されている。
また、駆動軸171の下端には、歯車172が配置されている。この歯車172は、後述する歯車207と噛合している。
【0020】
駆動軸161の上端には、下定盤支持部160が配置されている。この下定盤支持部160は、サンギヤ150とインターナルギヤ170の間に、これらギヤと噛合することなく配置されている。また、下定盤支持部160は、サンギヤ150と同心状に形成された円環状をなしている。
このような下定盤支持部160の上面には、下定盤130が配置されている。下定盤130は、平面視形状が円環状の板状をなしており、その上面に研磨面131を備えている。下定盤130については、後に詳述する。
また、駆動軸161の下端には、歯車162が配置されている。この歯車162は、後述する歯車206と噛合している。
【0021】
サンギヤ150とインターナルギヤ170との間であって下定盤130の上方には、4つのキャリア(保持手段)111、112、113、114が設けられている。図2に示すように、これら4つのキャリア111、112、113、114は、サンギヤ150の周方向に等角度間隔(90°間隔)で配置されている。
次いで、図2に基づいて、キャリア111〜114の構成について説明するが、4つのキャリア111〜114は、それぞれ同様の構成であるため、キャリア111について代表して説明し、キャリア112〜114については、その説明を省略する。
【0022】
図2に示すように、キャリア111は、円盤状をなしている。また、キャリア111には、その厚さ方向(z軸方向)に貫通する4つの保持孔111aが、キャリア111の周方向に沿って等角度間隔(90°間隔)で形成されている。この4つの保持孔111aは、ワーク10の形状に対応した円形をなし、その径がワーク10の径よりも若干大きくなるように形成されている。そして、キャリア111は、保持孔111aの内側にワーク10を嵌め込むことにより、ワーク10を保持する。
【0023】
また、キャリア111の外周には、歯車部111bが形成されており、この歯車部111bがサンギヤ150およびインターナルギヤ170のそれぞれと噛合している。そのため、キャリア111は、サンギヤ150とインターナルギヤ170との回転に連動して、サンギヤ150およびインターナルギヤ170の回転方向と回転速度により定まる方向と速度で自転しつつ公転する。
【0024】
また、キャリア111の厚さ(z軸方向の長さ)は、ワーク10の厚さよりも若干薄くなっている。そのため、キャリア111が保持孔111aによってワーク10を保持している状態では、保持されたワーク10の上面および下面が、それぞれ、キャリア111の上面および下面から突出する。
このようなキャリア111の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ガラスエポキシ、塩化ビニルなどの樹脂材料が挙げられる。
【0025】
キャリア111〜114に保持されるワーク10は、平面視の形状が円形をなす板状のものである。なお、ワーク10の形状としては、特に限定されず、例えば、板状をなしていなくてもよいし、平面視形状が、三角形、四角形等の多角形をなしていてもよい。
このようなワーク10としては、特に限定されないが、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス、水晶等の結晶性材料、アルミナ、シリカ、チタニア等の各種セラミックス、シリコン、ガリウム−ヒ素等の各種半導体材料、ダイヤモンド、黒鉛等の炭素系材料、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、フェノール樹脂、アクリル樹脂等各種プラスチック(樹脂材料)のような誘電体材料で構成されたもの、その他、例えば、アルミニウム、銅、鉄系金属のような各種金属材料が挙げられる。
【0026】
吊下装置180は、上定盤120を回転可能に吊り下げて保持している。この吊下装置180は、上定盤120が上定盤支持部140に係合する前述した下位置と、その係合が解除される上位置(図1に示す位置)との間で、上定盤120をz軸方向に昇降動させることができる。また、吊下装置180は、前記下位置となっているときに、所定の圧力で上定盤120をワーク10に押圧するようになっている。
上定盤120は、平面視の形状が円環の板状をなしており、その下面に研磨面121を備えている。また、上定盤120には、厚さ方向に貫通する複数の研磨剤供給孔(図示せず)が形成されていて、この各研磨剤供給孔に研磨剤供給装置190が備える研磨剤供給管191が接続されている。上定盤120については、後に詳述する。
【0027】
研磨剤供給管191および研磨剤供給孔を介して供給された研磨剤は、その一部がワーク10と上定盤120との間に浸透するとともに、一部が各キャリア111〜114に形成された保持孔111a〜114aとワーク10との間を通過して、ワーク10と下定盤130との間に浸透する。
研磨剤供給装置190によって供給される研磨剤としては、特に限定されないが、例えば、研磨微粒子(砥粒)を例えば水系の分散媒に分散してスラリー状にしたものが挙げられる。
【0028】
研磨微粒子としては、特に限定されないが、例えば、酸化セリウム(CeO)、二酸化マンガン(MnO)、ヒュームドアルミナ、コロイダルアルミナ等のアルミニウム酸化物(Al)などの金属酸化物、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等の珪素酸化物(SiO)などが挙げられる。
研磨微粒子の平均粒径としては、研磨対象となるワーク10の種類や要求される加工速度等に応じて適宜設定することができるが、2μm〜10μm程度であるのが好ましく、5μm程度であるのがさらに好ましい。
【0029】
分散媒としては、水系、有機系のいずれでもよく、また、これらを混合したものであってもよい。ここで、有機系の分散媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノールなどのアルコール系、エチルセロソルブ、メチルセロソルブなどのエーテル系、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酪酸メチルなどのエステル系のもの、およびこれらの混合物などが挙げられる。また、水系の分散媒としては、例えば、水などが挙げられる。
【0030】
駆動装置200は、駆動源としての駆動モータ201と、駆動モータ201の回転方向を直角に変更するギヤボックス202と、ギヤボックス202から延出した出力軸203と、出力軸203に固定された前述した4つの歯車204、205、206、207とを有している。また、前述したように、歯車204、205、206、207は、それぞれ、歯車142、152、162、172と噛合している。
駆動モータ201を作動すると、ギヤボックス202、出力軸203および歯車204、205、206、207を介して、駆動軸141、151、161、171がそれぞれ回転駆動し、上定盤120、サンギヤ150、下定盤130、インターナルギヤ170が、所定の回転数および回転方向で回転駆動する。
【0031】
次いで、上定盤120および下定盤130について説明する。
本発明の定盤は、ワーク10を研磨する際に用いられる定盤である。ここで、ワーク10の研磨には、荒い研磨を行うラッピングと、このラッピング後に鏡面研磨を行うポリッシングとが含まれる。本発明の定盤は、これら研磨のうち、ラッピングに用いられるラップ定盤である。
【0032】
また、本発明の定盤は、上定盤120および下定盤130の少なくとも一方に適用することができるが、双方に適用することが好ましい。本実施形態では、本発明の定盤を上定盤120および下定盤130の双方に適用したものについて説明する。
上定盤120は、前述した研磨剤供給孔が形成されている以外は、下定盤130と同様の構成であるため、下定盤130について代表して説明し、上定盤120については、その説明を省略する。また、図3、図4中の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」と言う。
【0033】
図3に示すように、下定盤130は、平面視形状が円環状の板状をなしている。また、下定盤130の上面(ワーク10側の面)は、円環状の研磨面131を構成している。
下定盤130の内径としては、特に限定されないが、300〜500mm程度であるのが好ましい。また、下定盤130の外径としては、特に限定されないが、500〜700mm程度であるのが好ましい。また、下定盤130の厚さとしては、特に限定されないが、20〜50mm程度であるのが好ましい。
【0034】
図3に示すように、研磨面131は、内周側に位置する第1の領域131aと、第1の領域131aの外側を囲むように位置する第2の領域131bとを有している。第1の領域131aおよび第2の領域131bは、それぞれ、研磨面131の内外周と同心的な円環状をなしている。また、第1の領域131aと第2の領域131bの境界(境界線)は、研磨面131の内周および外周の離間距離(径方向の距離)をRとしたとき、研磨面131の内周から径方向に1/3R〜2/3R程度離間した点を通るのが好ましい。本実施形態では、研磨面131の内周から径方向に1/2R離間した点を通るように前記境界を設定している。
【0035】
下定盤130は、このような研磨面131に開口する複数の凹部132を有している。なお、以下では、説明の便宜上、第1の領域131aに位置する凹部132を「第1の凹部132a」とも言い、第2の領域131bに位置する凹部132を「第2の凹部132b」とも言う。また、単に「凹部132」と記載されている時は、第1の凹部132aおよび第2の領域131bの双方を含むものとする。
【0036】
各凹部132は、一旦、その内側に研磨剤を収容(保持)し、その後、適量の研磨剤を研磨面131とワーク10の下面10a(以下、「被処理面10a」とも言う)との間に供給する(浸透させる)機能を有している。このような機能を有する凹部132を研磨面131に複数設けることにより、被処理面10aの研磨効率が向上する。また、研磨面131に複数の凹部132を形成しても、研磨面131に角部(従来のような各ブロックの角部)が形成されないため、被処理面10aの研磨中に被処理面10aにスクラッチが発生したり、酷くはワーク10が破損したりすることを防止できる。すなわち、本発明の定盤によれば、ワーク10の破損や、被処理面10aにスクラッチが発生するのを防止しつつ、被処理面10aの研磨効率を向上させることができる。
【0037】
このような各凹部132は、独立して形成されている(すなわち、他の凹部132と連通することなく形成されている)。また、各凹部132の開口形状は、略円形状である。これにより、研磨面131は、等方性の研磨特性を得ることができ(等方的な研磨が可能となり)、ワーク10がどのような方向で凹部132上を通過しても、被処理面10aを同じように(同じ研磨レートで)研磨することができる。そのため、研磨面131によれば、ワーク10の被処理面10aを均一に研磨することができる。
【0038】
このような各凹部132の径(直径)としては、特に限定されないが、20μm〜2mm程度であることが好ましい。これにより、特に、研磨剤中の研磨微粒子の径が前述したような2μm〜10μm程度の場合(好ましくは5μmの場合)、各凹部132に十分な量の研磨剤(研磨微粒子)を収容することができる。そのため、各凹部132内から、研磨面131と被処理面10aとの間に研磨剤を効率的に供給することができる。
また、本実施形態では、複数の第1の凹部132aの平均開口径が、複数の第2の凹部132bの平均開口径よりも大きく設定されている。これにより、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
【0039】
具体的には、前述した研磨装置100を用いて(ワーク10を保持したキャリア111が自転しながら公転することにより)ワーク10の被処理面10aを研磨する場合、ワーク10が第1の領域131aを通過する際の移動速度(回転速度)は、第2の領域131bを通過する際の移動速度よりも遅いため、研磨面131の被処理面10aに対する研磨レートは、第1の領域131aの方が第2の領域131bよりも低くなる。そのため、第1の領域131aの研磨レートを第2の領域131bの研磨レートと同程度まで高めるために、複数の第1の凹部132aの平均開口径を、複数の第2の凹部132bの平均開口径よりも大きく設定した。これにより、被処理面10aに対する研磨レートが第1の領域131aと第2の領域131bとでほぼ等しくなり、前述したように、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
【0040】
複数の第1の凹部132aの平均開口径としては、特に限定されないが、1mm〜2mm程度であるのが好ましい。また、複数の第2の凹部132bの平均開口径としては、特に限定さないが、20μm〜200μm程度であるのが好ましい。このような組み合わせにすることにより、上述した効果がより顕著となる(すなわち、被処理面10aの全域をより均一に研磨することができる)。
【0041】
また、図3に示すように、本実施形態では、研磨面131の内周から外周に向けて、凹部132の径が徐々に小さくなっている。言い換えれば、第1の領域131aと第2の領域131bとの境界付近に位置する凹部132の径は、研磨面131の内周近傍に位置する凹部132の開口径よりも小さく、研磨面131の外周近傍に位置する凹部132の開口径よりも大きい。これにより、研磨レートを研磨面131の内周側から外周側に向けて徐々に変化させることができる。
【0042】
図4は、下定盤130の断面図である。同図に示すように、各凹部132は、湾曲凹面で構成されている。これにより、凹部132内に収容された研磨微粒子が凹部132内から研磨面131と被処理面10aとの間に流動し易くなる。そのため、研磨面131と被処理面10aとの間に十分な量の研磨微粒子(研磨剤)を供給することができ、被処理面10aに対する研磨効率が向上する。
【0043】
また、凹部132を湾曲凹面で構成すると、凹部132内に長時間留まる研磨微粒子が無くなる(減少する)。ここで、前述した研磨剤供給装置190から研磨面131と被処理面10aとの間に供給された研磨剤は、例えば下定盤130の縁から排出された後回収され、再度、研磨剤供給装置190から研磨面131と被処理面10aとの間に供給されることがある。この場合には、凹部132を湾曲凹面で構成し、凹部132内に長時間留まる研磨微粒子を無くすことにより、全ての研磨微粒子が均一に研磨の用に供され、研磨微粒子の粒径分布を経時的に一定に保つことができる。すなわち、研磨剤を再利用し、使用を重ねても、多数の研磨微粒子の径をほぼ等しく保ち続けることができるため、ラッピングの際に、被処理面10aにスクラッチが発生したり、ワーク10が破損したりすることを効果的に防止することができる。
【0044】
各凹部132の深さ(最大深さ)としては、特に限定されないが、10μm〜1mm程度であるのが好ましい。これにより、特に、研磨剤中の研磨微粒子の径が前述したような2μm〜10μm程度の場合(好ましくは5μmの場合)、各凹部132に十分な量の研磨剤(研磨微粒子)を収容することができる。そのため、各凹部132内から、研磨面131と被処理面132との間に研磨剤を効率的に供給することができる。
【0045】
また、研磨面131、1cmあたりに形成された凹部132の数としては、特に限定されないが、10〜100個程度であるのが好ましい。これにより、各凹部132内に収容された研磨剤を、研磨面131と被処理面10aとの間の全領域に効率よく供給することができるため、研磨面131と被処理面10aとの間に研磨剤が存在しない部位が発生するのを効果的に防止でき、被処理面10aにスクラッチが発生したり、ワーク10が破損したりするのを防止することができる。さらに、被処理面10aに対する研磨効率が向上する。
【0046】
また、研磨面131に対する複数の凹部132の占有率は、特に限定されないが、20〜80%程度であるのが好ましい。これにより、各凹部132に収容された研磨剤を研磨面131と被処理面10aとの間に十分に供給することができるとともに、被処理面10aに対する研磨効率が向上する。
このような複数の凹部132の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、研削材を研磨面131に高速で噴射し、その衝撃力で研磨面131に複数の凹部132を形成する各種ブラスト加工や、研削材を混合した水を高圧に圧縮して研磨面131に噴射することにより、研磨面131に複数の凹部132を形成するウォータージェット加工により形成することが好ましい。ブラスト加工やウォータージェット加工によれば、比較的簡単に、湾曲凹面で構成された微小径の凹部132を高い密度(または低い密度)で形成することができる。また、平坦面である研磨面131に後から凹部132を形成するため、研磨面131の平面度を優れたものとすることができる。
【0047】
また、下定盤130の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、金、白金、銀、銅、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉛、錫、チタン、タングステン等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金または金属間化合物、ダクタイル鋳鉄FCD400、FCD450、FCD700、またはねずみ鋳鉄FC400、FC450等の鋳鉄、さらには、これらの金属の酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられる。このうち、合金としては、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS303、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS318、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等)、インコネル、ハステロイ、黄銅、青銅、白洋、丹銅、真鍮、ベリリウム銅、超弾性合金(例えば、Ni−Ti系合金、Ni−Al系合金、Cu−Zn系合金)、超硬合金(例えば、炭化タングステンとコバルトを混合して焼結したもの)、その他例えばジュラルミン等の各種アルミニウム系合金が挙げられる。
【0048】
また、下定盤130の製法としては、特に限定されないが、例えば、鋳造、鍛造、粉体焼結(MIM法を含む)などが挙げられる。
以上のような研磨装置100は、次のようにして作動する。
まず、吊下装置180を前記上位置にした状態で、上定盤120および下定盤130をそれぞれ吊下装置180および下定盤支持部160に固定する。次いで、4つのキャリア111〜114の各保持孔111a〜114aにワーク10を嵌め込み(すなわち、本実施形態では、最大で16枚のワーク10を保持することができる)、その後、吊下装置180を作動して前記下位置とする。これにより、上定盤120と上定盤支持部140とが係合するとともに、上定盤120の研磨面121が、各ワーク10の上面に押圧接触する。
【0049】
この状態で、研磨剤供給装置190を作動して、上定盤120に形成された研磨剤供給孔を介して、ワーク10上面と研磨面121の間およびワーク10下面と研磨面131の間に研磨剤を浸透させるとともに、駆動モータ201を作動して、上定盤120、サンギヤ150、下定盤130およびインターナルギヤ170をそれぞれ所定の回転数および回転方向に回転駆動する。すると、キャリア111〜114が前述したように自転しながら公転するとともに、上定盤120および下定盤130が、それぞれ周方向に回転し、ワーク10と研磨面121、131とが相対的に移動する。これにより、ワーク10の上面および下面がそれぞれ研磨される。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明の研磨装置の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る研磨装置が備える下定盤の平面図、図6は、図5に示す下定盤の断面図である。なお、図5および図6は、それぞれ、説明の便宜上、下定盤と凹部との大きさのバランスや凹部の数など、実際のものとは異なっている。
以下、第2実施形態の研磨装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0051】
本発明の第2実施形態にかかる研磨装置では、上定盤および下定盤に形成された凹部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。また、上定盤は、研磨剤供給孔が形成されている以外は、下定盤の構成と同様であるため、下定盤について代表して説明し、上定盤については、その説明を省略する。
【0052】
図5に示すように、下定盤130の研磨面131には、開口形状が略円形状の凹部132が複数形成されている。複数の凹部132の開口径は、それぞれほぼ等しく、20μm〜2mm程度である。
図6は、下定盤130の断面図である。同図に示すように、本実施形態では、複数の第1の凹部132aの平均深さ(最大深さ)が、複数の第2の凹部132bの平均深さよりも深く設定されている。このような研磨面131によれば、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
【0053】
前述の第1実施形態で説明したように、研磨装置100を用いてワーク10の被処理面10aを研磨する場合、被処理面10aに対する研磨レートは、第1の領域131aの方が、第2の領域131bよりも低くなる。そのため、第1の領域131aの研磨レートを第2の領域131bの研磨レートと同程度まで高めるために、複数の第1の凹部132aの平均深さを複数の第2の凹部132bの平均深さよりも深く設定し、第1の領域131aに第2の領域131bよりも多くの(単位面積当たりに多くの)研磨剤が供給されるようにした。これにより、被処理面10aに対する研磨レートが第1の領域131aと第2の領域131bとでほぼ等しくなり、前述したように、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
【0054】
複数の第1の凹部132aの平均深さとしては、特に限定されないが、0.5mm〜1mm程度であるのが好ましい。また、複数の第2の凹部132bの平均深さとしては、特に限定さないが、10μm〜100μm程度であるのが好ましい。このような組み合わせにすることにより、上述した効果がより顕著となる。
また、本実施形態では、研磨面131の内周から外周に向けて、凹部132の深さが徐々に浅くなっている。言い換えれば、第1の領域131aと第2の領域131bとの境界付近に位置する凹部132の深さは、研磨面131の内周近傍に位置する凹部132の深さよりも浅く、研磨面131の外周近傍に位置する凹部132の深さよりも深い。これにより、研磨レートを研磨面131の内周側から外周側に向けて徐々に変化させることができる。
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0055】
<第3実施形態>
次に、本発明の研磨装置の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る研磨装置が備える下定盤の平面図である。なお、図7は、説明の便宜上、下定盤と凹部との大きさのバランスや凹部の数など、実際のものとは異なっている。
以下、第3実施形態の研磨装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0056】
本発明の第3実施形態にかかる研磨装置では、上定盤および下定盤に形成された凹部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。また、上定盤は、研磨剤供給孔が形成されている以外は、下定盤の構成と同様であるため、下定盤について代表して説明し、上定盤については、その説明を省略する。
【0057】
図7に示すように、下定盤130の研磨面131には、開口形状が略円形状の凹部132が複数形成されている。各凹部132の径は、ほぼ等しく20μm〜2mm程度である。また、各凹部132の深さ(最大深さ)は、それぞれほぼ等しく、10μm〜1mm程度である。
本実施形態では、第1の領域131a、1cmあたりの第1の凹部132aの数が、第2の領域131b、1cmあたりの第2の凹部132bの数よりも多く設定されている。このような研磨面131によれば、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
【0058】
前述の第1実施形態で説明したように、研磨装置100を用いてワーク10の被処理面10aを研磨する場合、被処理面10aに対する研磨レートは、第1の領域131aの方が、第2の領域131bよりも低くなる。そのため、第1の領域131aの研磨レートを第2の領域131bの研磨レートと同程度まで高めるために、第1の領域131a、1cmあたりの第1の凹部132aの数が、第2の領域131b、1cmあたりの第2の凹部132bの数よりも多くなるよう構成した。これにより、被処理面10aに対する研磨レートが第1の領域131aと第2の領域131bとでほぼ等しくなり、前述したように、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
【0059】
第1の領域131a、1cmあたりの第1の凹部132aの数としては、特に限定されないが、70〜100個程度であるのが好ましい。また、第2の領域131b、1cmあたりの第2の凹部132bの数は、特に限定さないが、10〜30個程度であるのが好ましい。このような組み合わせにすることにより、上述した効果がより顕著となる。
また、本実施形態では、研磨面131の内周から外周に向けて、研磨面131、1cmあたりの凹部132の数が段階的に減っている。言い換えれば、第1の領域131aと第2の領域131bとの境界部付近での研磨面131、1cmあたりの凹部132の数は、内周付近での研磨面131、1cmあたりの凹部132の数より少なく、外周近傍での研磨面131、1cmあたりの凹部132の数よりも多い。これにより、研磨レートを研磨面131の内周側から外周側に向けて段階的に変化させることができる。
以上のような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0060】
<第4実施形態>
次に、本発明の研磨装置の第4実施形態について説明する。
図8は、本発明の第4実施形態に係る研磨装置が備える下定盤の平面図である。なお、図8は、説明の便宜上、下定盤と凹部との大きさのバランスや凹部の数など、実際のものとは異なっている。
以下、第4実施形態の研磨装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0061】
本発明の第4実施形態にかかる研磨装置では、上定盤および下定盤に形成された凹部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。また、上定盤は、研磨剤供給孔が形成されている以外は、下定盤の構成と同様であるため、下定盤について代表して説明し、上定盤については、その説明を省略する。
図8に示すように、複数の凹部132の径は、それぞれ、異なっている。このような各凹部132の径としては、特に限定されないが、20μm〜2mm程度であるのが好ましい。
【0062】
本実施形態では、第1の領域131aでの第1の凹部132aの占有率が、第2の領域131bでの第2の凹部132bの占有率よりも高く設定されている。このような研磨面131によれば、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
前述の第一実施形態で説明したように、研磨装置100を用いてワーク10の被処理面10aを研磨する場合、被処理面10aに対する研磨レートは、第1の領域131aの方が、第2の領域131bよりも低くなる。そのため、第1の領域131aの研磨レートを第2の領域131bの研磨レートと同程度まで高めるために、第1の領域131aでの第1の凹部132aの占有率が、第2の領域131bでの第2の凹部132bの占有率よりも高くなるよう構成した。これにより、被処理面10aに対する研磨レートが第1の領域131aと第2の領域131bとでほぼ等しくなり、前述したように、被処理面10aの全域を均一に研磨することができる。
【0063】
第1の領域131aでの第1の凹部132aの占有率としては、特に限定さないが、60%〜80%であるのが好ましい。また、第2の領域131bでの第2の凹部132bの占有率は、特に限定されないが、20%〜40%であるのが好ましい。これにより、前述の効果がより顕著となる。
また、本実施形態では、研磨面131の内周から外周に向けて、研磨面131に対する凹部132の占有率が低くなっている。言い換えれば、第1の領域131aと第2の領域131bとの境界付近での研磨面131に対する凹部132の占有率は、内周付近での研磨面131に対する凹部132の占有率よりも低く、外周近傍での研磨面131に対する凹部132の占有率よりも高い。これにより、研磨レートを研磨面131の内周側から外周側に向けて段階的に変化させることができる。
以上のような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0064】
以上、本発明の定盤および研磨装置を、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。また、本発明の定盤は、前記各実施形態のうち、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。すなわち、例えば、研磨面の内周側から外周側に向けて、凹部の径を連続的に小さくしつつ、凹部の深さを連続的に浅くしてもよい。
【0065】
また、前述した実施形態では、ワークの両面を研磨する研磨装置について説明したが、これに限定されず、ワークの上面および下面のうちの一方の面のみを研磨するよう構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、上定盤の研磨面に形成された凹部と、下定盤の研磨面に形成された凹部とが、同様の構成となっているものについて説明したが、これに限定されず、例えば、前述した第1実施形態の下定盤と、前述した第2実施形態の上定盤とを組み合わせてもよい。すなわち、上定盤の研磨面に形成された溝と、下定盤の研磨面に形成された溝とが、異なる構成となっていてもよい。
また、前述した実施形態では、本発明の定盤を、上定盤および下定盤に適用したものについて説明したが、これに限定されず、例えば、上定盤および下定盤の一方のみに本発明の定盤を適用したものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10……ワーク 10a……被処理面 100……研磨装置 111〜114……キャリア 111a〜114a……保持孔 111b……歯車部 120……上定盤 121……研磨面 130……下定盤 131……研磨面 131a……第1の領域 131b……第2の領域 132……凹部 132a……第1の凹部 132b……第2の凹部 140……上定盤支持部 141……駆動軸 142……歯車 150……サンギヤ 151……駆動軸 152……歯車 153……歯車部 160……下定盤支持部 161……駆動軸 162……歯車 170……インターナルギヤ 171……駆動軸 172……歯車 173……歯車部 180……吊下装置 190……研磨剤供給装置 191……研磨剤供給管 200……駆動装置 201……駆動モータ 202……ギヤボックス 203……出力軸 204〜207……歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の研磨面と、
前記研磨面に開口する複数の凹部とを有し、
前記複数の凹部は、それぞれ、独立して形成されており、
前記複数の凹部の開口形状は、それぞれ、略円状であることを特徴とする定盤。
【請求項2】
前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域に形成された複数の前記凹部の平均開口径は、前記第2の領域に形成された複数の前記凹部の平均開口径よりも大きい請求項1に記載の定盤。
【請求項3】
前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域に形成された複数の前記凹部の平均深さは、前記第2の領域に形成された複数の前記凹部の平均深さよりも深い請求項1に記載の定盤。
【請求項4】
前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域における1cmあたりの前記凹部の数は、前記第2の領域における1cmあたりの前記凹部の数よりも多い請求項1に記載の定盤。
【請求項5】
前記研磨面は、内周側に位置する第1の領域と、前記第1の領域よりも外側に位置する第2の領域とを有し、前記第1の領域における前記凹部の占有率は、前記第2の領域における前記凹部の占有率よりも高い請求項1に記載の定盤。
【請求項6】
前記複数の凹部は、それぞれ、湾曲凹面で構成されている部分を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の定盤。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の定盤と、
前記定盤の前記研磨面と接触するようにワークを保持する保持手段と、
前記ワークと前記定盤との間に研磨剤を供給する研磨剤供給手段と、
前記ワークと前記研磨面とを相対的に移動する移動手段とを有することを特徴とする研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−194692(P2010−194692A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44808(P2009−44808)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】