説明

建物のシャッタ制御装置

【課題】建物の外周壁に設けられた建具が有する施錠機構との関係において、シャッタを有効に活用することのできるシャッタ制御装置を提供する。
【解決手段】シャッタ制御装置は、住宅の外周壁に設けられた玄関ドア10,複数の引き違い窓サッシ30が有する電子錠12,クレセント錠32の状態を検出する錠センサ14,34と、錠センサ14,34により検出される電子錠12,クレセント錠32の状態に基づいて、住宅に設けられた電動式シャッタ38を制御する制御部60とを備える。制御部60は、クレセント錠32の規制機構が規制状態にされたことが検出された場合に、電動式シャッタ38を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設けられたシャッタを制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の警備中に、窓サッシに設けられたクレセント錠が不正に開錠されたことを検出して、不正な開錠の発生を警備業者の基地局に送信するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−281636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のものは、クレセント錠が不正に開錠されたことを検出するものの、クレセント錠の状態を検出して実行する制御としては、未だ改善の余地を残すものとなっている。
【0005】
なお、窓サッシに設けられたクレセント錠に限らず、建物の外周壁に設けられた建具が有する施錠機構においては、こうした実情は概ね共通したものとなっている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、建物の外周壁に設けられた建具が有する施錠機構との関係において、シャッタを有効に活用することのできるシャッタ制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0008】
第1の発明は、建物の外周壁に設けられた建具が有する施錠機構の状態を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記施錠機構の状態に基づいて、前記建物に設けられた電動式シャッタを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、建物の外周壁に設けられた建具が有する施錠機構の状態に基づいて、建物に設けられた電動式シャッタが制御されるため、建物使用者が電動式シャッタを操作しない場合であっても、建具が有する施錠機構との関係において電動式シャッタを有効に活用することができる。
【0010】
なお、建物の建具が複数の施錠機構を有している場合には、少なくとも1つの施錠機構の状態に基づいて電動式シャッタを制御すればよい。また、建物の外周壁に施錠機構を有する複数の建具が設けられている場合には、いずれかの建具が有する施錠機構の状態に基づいて電動式シャッタを制御すればよい。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、前記施錠機構が施錠されたことが検出された場合に、前記電動式シャッタを閉じるため、施錠機構が施錠されることに伴って建物の防犯性を向上させることができる。その結果、建物使用者が電動式シャッタを閉じる操作を行う手間を省くことができるとともに、建物使用者による電動式シャッタの操作忘れに対処することができる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記制御手段は、前記施錠機構が解錠されたことが検出された場合に、前記電動式シャッタを開くため、施錠機構の解錠と電動シャッタを開くこととを1つの操作で行うことができる。その結果、建物使用者が電動式シャッタを開く操作を行う手間を省くことができる。
【0013】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記建物の所定の建具に施錠機構および電動式シャッタが設けられ、前記制御手段は、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具に設けられた電動式シャッタを制御するため、所定の建具に設けられた施錠機構および電動式シャッタを対応付けて管理することができる。
【0014】
第5の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記建物の所定の建具に施錠機構が設けられ、前記制御手段は、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具以外の建具に設けられた電動式シャッタを制御するため、同じ建具に設けられていない施錠機構と電動式シャッタとを対応付けて、より柔軟に電動式シャッタを活用することができる。
【0015】
第6の発明は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記建物の所定の建具に施錠機構および電動式シャッタが設けられ、前記制御手段は、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具に設けられた電動式シャッタを制御するモードと、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具以外の建具に設けられた電動式シャッタを制御するモードとを切替可能であるため、建物使用者の要望に応じた制御モードを選択することができる。
【0016】
第7の発明は、第1〜第3、第5のいずれかの発明において、前記建具は施錠機構を有するドアを含み、前記建物の複数の建具に電動式シャッタが設けられ、前記制御手段は、前記ドアに設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記複数の建具に設けられた電動式シャッタを制御するため、ドアが有する施錠機構との関係において複数の電動式シャッタをまとめて制御することができる。
【0017】
第8の発明は、第7の発明において、前記制御手段は、前記電動式シャッタを制御する前記複数の建具を変更可能であるため、建物使用者が電動式シャッタを制御することを要望する建具とそうでない建具とで制御の実行の有無を選択することができる。
【0018】
第9の発明は、第7の発明において、前記ドアは前記建物の玄関ドアであり、前記制御手段は、前記玄関ドアに設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたことが検出された場合に、前記建物に設けられた全ての電動式シャッタを閉じるため、外出時に電動式シャッタを個々に閉じる操作を行う手間を省くことができる。
【0019】
第10の発明によるように、第1〜第9のいずれかの発明において、前記電動式シャッタは、複数のスラットを有するシャッタカーテンが閉じられた状態で前記スラットの開閉状態を制御可能な可変スラット電動式シャッタを含み、前記制御手段は、前記建物の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記可変スラット電動式シャッタの前記スラットの開閉を制御するといった態様により、建具が有する施錠機構との関係において可変スラット電動式シャッタを有効活用することができる。
【0020】
第11の発明は、第10の発明において、前記制御手段は、前記施錠機構が施錠されたことが検出された場合に、前記可変スラット電動式シャッタの前記スラットを閉じるため、施錠機構が施錠されることに伴って建物の防犯性を向上させることができる。その結果、建物使用者が可変スラット電動式シャッタのスラットを閉じる操作を行う手間を省くことができるとともに、建物使用者によるスラットの操作忘れに対処することができる。
【0021】
第12の発明は、第1の発明において、前記建具はサッシ戸を有する窓サッシであり、前記電動式シャッタは、複数のスラットを有するシャッタカーテンが閉じられた状態で前記スラットの開閉状態を制御可能な可変スラット電動式シャッタであり、前記窓サッシに前記可変スラット電動式シャッタが設けられ、前記制御手段は、前記シャッタカーテンが閉じられ且つ前記スラットが閉じられている状態で前記サッシ戸が開かれた場合に、前記シャッタカーテンを閉じた状態で前記スラットを開くことを特徴とする。
【0022】
第12の発明によれば、前記シャッタカーテンが閉じられ且つ前記スラットが閉じられている状態で前記サッシ戸が開かれた場合に、前記シャッタカーテンが閉じられた状態で前記スラットが開かれるため、建物使用者がスラットを開くことを意図している可能性が高い場合にスラットを開くことができる。
【0023】
第13の発明は、第1〜第11のいずれかの発明において、前記施錠機構は、施錠された状態又は解錠された状態が変化することを規制するように作動する規制機構を含み、前記制御手段は、前記規制機構の状態に基づいて、前記建物に設けられた電動式シャッタを制御するため、施錠機構の状態が変化することを規制する規制機構との関係において、電動式シャッタを有効に活用することができる。
【0024】
なお、規制機構を作動させるボタン等が電動式シャッタに電気的に接続されているといった構成を採用することにより、簡易な構成により電動式シャッタを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】建物のシャッタ装置の概略を示す模式図。
【図2】クレセント錠を示す斜視図。
【図3】シャッタ開閉制御1の処理手順を示すフローチャート。
【図4】シャッタ開閉制御2の処理手順を示すフローチャート。
【図5】窓サッシに設けられる錠の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、窓サッシの屋外側に電動式シャッタが設けられた建物に具体化している。さらに、この建物は、電子キーとの間の無線通信によって建物使用者の認証を行うスマートエントリーシステムを備えている。
【0027】
図1に示すように、本シャッタ制御装置が装備されている建物としての住宅は、複数の建具を備えている。複数の建具は、住宅の外周壁に設けられた建具であり、玄関ドア10,複数の引き違い窓サッシ30等を含んでいる。窓サッシ30の屋外側の上部には電動式シャッタ38が設けられている。この電動式シャッタ38は、その開閉状態を操作ボタン及び制御信号に基づいて変更可能に構成されており、閉められた状態において窓サッシ30の屋外側の面を覆う。
【0028】
上記建具には施錠機構がそれぞれ設けられている。具体的には、玄関ドア10,複数の窓サッシ30に、それぞれ電子錠12,クレセント錠32が設けられている。クレセント錠32は、手動操作によって施解錠が行われる。
【0029】
本シャッタ制御装置は、制御部60(制御手段)と、上記玄関ドア10,複数の窓サッシ30の施解錠状態をそれぞれ検出する錠センサ14,34(検出手段)と、玄関ドア10の開閉状態を検出するドア開閉センサ15と、住宅の使用者(家人)によって所持されている電子キー56とを備えている。
【0030】
電子キー56は、送信回路,送信アンテナ,受信回路,受信アンテナ,マイコン等を含んで構成されている。そして、電子キー56は、IDコード(固有の識別情報)に基づいて電子錠12との間で無線通信を行う。また、電子キー56は、制御部60との間でも無線通信可能に構成されている。なお、電子キー56は、車両の電子キーと共通のものを用いることもできる。さらに、電子キー56は、腕時計や携帯電話に電子錠12との送受信回路を組み込んだものを用いることもできる。
【0031】
電子錠12は、屋外アンテナ部,屋内アンテナ部,送信回路,受信回路,電動サムターン等を含んで構成されている。そして、電子錠12は、電子キー56との無線通信に基づいて玄関ドア10に対する使用者の接近および離間を検出するとともに、制御部60との無線通信に基づいて電動サムターンの施解錠を行う。
【0032】
錠センサ14,34は、それぞれ電子錠12の電動サムターン,クレセント錠32の施解錠状態を検出し、その検出結果を無線通信により制御部60に出力する。
【0033】
制御部60は、マイコン,受信回路,受信アンテナ,通報部等を含んで構成されている。マイコンは、具体的にはCPU,ROM,RAMからなるCPUユニットである。マイコンには、電子キー56のIDコードが予め記憶されている。そして、マイコンは、電子錠12から入力されたIDコードと予め記憶(登録)されたIDコードとに基づいて使用者の認証を行う。また、マイコンは、ドア開閉センサ15の出力に基づいて玄関ドア10の開閉を検出する。マイコンは、上記錠センサ14,34の検出結果を入力している。
【0034】
クレセント錠32の構成について、図2を参照して説明する。
【0035】
図2に示すように、クレセント錠32は、サッシ戸のサッシ障子36に取り付けられた基台32aを有している。基台32aには、クレセント本体32cが回動可能に取り付けられている。また、クレセント錠32は、サッシ戸のサッシ障子37に取り付けられたクレセント受け32bを有している。そして、クレセント本体32cの回動に基づいて、クレセント本体32cとクレセント受け32bとが係合することによりサッシ戸が施錠状態に切り替えられ、これらの係合が解除されることによりサッシ戸が解錠状態に切り替えられる。すなわち、クレセント本体32cとクレセント受け32bとが係合する位置がクレセント本体32cの施錠位置であり、これらの係合が解除される位置がクレセント本体32cの解錠位置である。
【0036】
クレセント錠32は、クレセント錠32のクレセント本体32cが回動することを規制するスライドボタン32dを有している。スライドボタン32dは、サッシ戸を施錠状態に切り替えたクレセント本体32cが、サッシ戸を解錠状態に切り替えるように回動することを規制する。スライドボタン32dは、一方(上方)へスライドされた位置(規制位置)でクレセント本体32cを規制状態に維持し、他方(下方)へスライドされた位置(規制解除位置)でクレセント本体32cを規制解除状態に維持する。すなわち、スライドボタン32dが上方にスライドされた状態では、クレセント本体32cを回動させることができなくなる。
【0037】
なお、上記クレセント本体32cを含む機構、及び上記スライドボタン32dを含む機構(規制機構)は、それぞれ施錠機構を構成する。
【0038】
上述した錠センサ34は、スライドボタン32dの状態(位置)を検出する。すなわち、錠センサ34は、クレセント本体32cをスライドボタン32dが規制状態・規制解除状態のいずれの状態に維持しているかを検出する。そして、錠センサ34は、その検出結果を無線通信により制御部60に出力する。
【0039】
次に、電動式シャッタ38の開閉状態を制御する処理手順について、図3,4のフローチャートを参照して説明する。これらのシャッタ開閉制御1,2は、制御部60によって並行して、所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0040】
図3に示すように、シャッタ開閉制御1では、まず、窓サッシ30に設けられた施錠機構が施錠状態であるか否か判定される(S13)。具体的には、錠センサ34の検出結果に基づいて、スライドボタン32dが規制位置にあるか否か判定される。ここでは、クレセント錠32の状態として、サッシ戸を施錠状態に切り替えたクレセント本体32cを規制状態と規制解除状態とに切り替えるスライドボタン32dの状態が検出される。
【0041】
この判定において、窓サッシ30に設けられた施錠機構が施錠状態であると判定された場合には(S11:YES)、制御部60の制御信号に基づいてその窓サッシ30の電動式シャッタ38が閉じられる(S12)。すなわち、住宅使用者によって、クレセント本体32cが施錠位置に操作された後にスライドボタン32dが規制位置に操作されたことに連動して、その窓サッシ30に設けられている電動式シャッタ38が閉じられる。換言すれば、スライドボタン32dが規制位置に操作された窓サッシ30において、電動式シャッタ38が閉じられる。なお、電動式シャッタ38が閉じられる前に、既に電動式シャッタ38が閉じられていた場合にはその状態で維持される。その後、本処理は一旦終了される。
【0042】
一方、窓サッシ30に設けられた施錠機構が施錠状態でないと判定された場合には(S11:NO)、制御部60の制御信号に基づいてその窓サッシ30の電動式シャッタ38が開かれる(S13)。すなわち、住宅使用者によって、スライドボタン32dが規制解除位置に操作されたことに連動して、その窓サッシ30に設けられている電動式シャッタ38が開かれる。換言すれば、スライドボタン32dが規制解除位置に操作された窓サッシ30において、電動式シャッタ38が開かれる。なお、電動式シャッタ38が開かれる前に、既に電動式シャッタ38が開かれていた場合にはその状態で維持される。その後、本処理は一旦終了される。
【0043】
なお、S11の処理が検出手段としての処理に相当し、S11〜S13の処理が制御手段としての処理に相当する。
【0044】
図4に示すように、シャッタ開閉制御2では、まず、玄関ドア10に設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたか否か判定される(S21)。具体的には、電子錠12によって屋内側から玄関ドア10へ電子キー56が接近したことが検出された後、ドア開閉センサ15によって玄関ドア10が開閉されたことが検出され、更に錠センサ14によって電動サムターンの施錠が行われたことが検出され、電子錠12によって玄関ドア10から屋外側へ電子キー56が離間したことが検出された場合に、玄関ドア10に設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたと判定される。なお、電子錠12によって屋内側から玄関ドア10へ電子キー56が接近したことが検出されるといった条件や、ドア開閉センサ15によって玄関ドア10が開閉されたことが検出されるといった条件を省くこともできる。
【0045】
この判定において、玄関ドア10に設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたと判定された場合には(S21:YES)、制御部60の制御信号に基づいて住宅に設けられた全ての電動式シャッタ38が閉じられる(S22)。すなわち、住宅の使用者が外出して玄関ドア10の施錠機構が施錠されたため、住宅の全ての電動式シャッタ38を閉じて住宅の防犯性を向上させるようにする。なお、住宅の使用者が複数である場合には、制御部60に登録されている全ての電子キー56について使用者が外出したと判定された上で、玄関ドア10に設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたと判定された場合に、全ての電動式シャッタ38が閉じられるようにすればよい。その後、本処理は一旦終了される。
【0046】
一方、玄関ドア10に設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたと判定されなかった場合には(S21:NO)、本処理は一旦終了される。すなわち、その場合には、電動式シャッタ38の開閉は行われず、電動式シャッタ38のその時の状態が維持される。
【0047】
なお、S21の処理が検出手段としての処理に相当し、S21〜S22の処理が制御手段としての処理に相当する。
【0048】
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
【0049】
住宅の外周壁に設けられた建具が有する施錠機構の状態に基づいて、住宅に設けられた電動式シャッタ38が制御されるため、住宅使用者が電動式シャッタ38を操作しない場合であっても、建具が有する施錠機構との関係において電動式シャッタ38を有効に活用することができる。
【0050】
制御部60は、施錠機構が施錠されたことが検出された場合に、電動式シャッタ38を閉じるため、施錠機構が施錠されることに伴って住宅の防犯性を向上させることができる。その結果、住宅使用者が電動式シャッタ38を閉じる操作を行う手間を省くことができるとともに、住宅使用者による電動式シャッタ38の操作忘れに対処することができる。
【0051】
制御部60は、施錠機構が解錠されたことが検出された場合に、電動式シャッタ38を開くため、施錠機構の解錠と電動式シャッタ38を開くこととを1つの操作で行うことができる。その結果、住宅使用者が電動式シャッタ38を開く操作を行う手間を省くことができる。
【0052】
住宅の窓サッシ30にクレセント錠32および電動式シャッタ38が設けられ、制御部60は、窓サッシ30に設けられたクレセント錠32のスライドボタン32dの状態に基づいて、その窓サッシ30に設けられた電動式シャッタ38を制御するため、窓サッシ30に設けられたクレセント錠32および電動式シャッタ38を対応付けて管理することができる。
【0053】
住宅の玄関ドア10に電子錠12が設けられ、制御部60は、玄関ドア10に設けられた電子錠12の状態に基づいて、玄関ドア10以外の建具である窓サッシ30に設けられた電動式シャッタ38を制御するため、同じ建具に設けられていない電子錠12と電動式シャッタ38とを対応付けて、より柔軟に電動式シャッタ38を活用することができる。
【0054】
複数の建具は電子錠12を有する玄関ドア10を含み、住宅の複数の窓サッシ30に電動式シャッタ38が設けられ、制御部60は、玄関ドア10に設けられた電子錠12の状態に基づいて、複数の窓サッシ30に設けられた電動式シャッタ38を制御するため、玄関ドア10が有する電子錠12との関係において複数の電動式シャッタ38をまとめて制御することができる。
【0055】
特に、制御部60は、玄関ドア10に設けられた電子錠12が屋外側から施錠されたことが検出された場合に、住宅に設けられた全ての電動式シャッタ38を閉じるため、外出時に電動式シャッタ38を個々に閉じる操作を行う手間を省くことができる。
【0056】
クレセント錠32は、施錠された状態が変化することを規制するように作動する規制機構を含み、制御部60は、規制機構を構成するスライドボタン32dの状態に基づいて、窓サッシ30に設けられた電動式シャッタ38を制御するため、クレセント錠32のクレセント本体32cが回動することを規制する規制機構との関係において、電動式シャッタ38を有効に活用することができる。
【0057】
上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施することもできる。
【0058】
上記実施形態では、窓サッシ30に設けられた施錠機構が施錠状態であると判定された場合には、制御部60の制御信号に基づいて直ちに電動式シャッタ38が閉じられるようにしたが、その場合において所定時間経過後に電動式シャッタ38が閉じられるようにすることもできる。また、窓サッシ30に設けられた施錠機構が施錠状態でないと判定された場合に、所定時間経過後に制御部60の制御信号に基づいて電動式シャッタ38が開かれるようにすることもできる。
【0059】
上記実施形態では、玄関ドア10に設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたと判定された場合に、制御部60の制御信号に基づいて住宅に設けられた全ての電動式シャッタ38が閉じられるようにしたが、そのような場合に一部の複数の電動式シャッタ38が閉じられるようにしてもよい。例えば、そのような場合に、住宅の1階に設けられた電動式シャッタ38を全て閉じるとともに、住宅の2階に設けられた電動式シャッタ38は閉じないようにすることもできる。こうした構成によれば、住宅において特に防犯性を向上させる必要のある部分において、複数の電動式シャッタ38を閉じるようにすることができる。さらに、電動式シャッタ38を閉じる複数の窓サッシ30を変更可能とすることにより、建物使用者が電動式シャッタ38を閉じるように制御することを要望する窓サッシ30とそうでない窓サッシ30とで、電動式シャッタ38を閉じる制御の有無を選択することができる。また、住宅の玄関ドア10に設けられた施錠機構に限らず、住宅の勝手口ドアに設けられた施錠機構の状態に基づいて、住宅の複数の建具に設けられた電動式シャッタを制御するようにしてもよい。
【0060】
上記実施形態では、クレセント錠32の状態として、サッシ戸を施錠状態に切り替えたクレセント本体32cを規制状態と規制解除状態とに切り替えるスライドボタン32dの状態が錠センサ34によって検出されるようにしたが、錠センサ34によってクレセント本体32cの状態(位置)が検出されるようにしてもよい。そして、このクレセント本体32cの状態(位置)に基づいて、電動式シャッタ38が制御されるようにしてもよい。また、窓サッシ30の下部又は上部にサブロックを設けるとともに、錠センサによって検出されるサブロックの状態に基づいて電動式シャッタ38が制御されるようにしてもよい。具体的には、サブロックは、サブロック本体と、サブロック本体を回動可能に支持する部分とを有し、サブロック本体の回動に基づいて、サブロック本体がサッシ戸から突出することによりサッシ戸が施錠状態に切り替えられ、サブロック本体がサッシ戸内に収められることによりサッシ戸が解錠状態に切り替えられるといった構成を採用することができる。
【0061】
上記実施形態では、窓サッシ30にクレセント錠32が設けられるようにしたが、その他の錠と錠の状態を検出するセンサとを採用することもできる。図1,2に示すように、屋内外方向から見てクレセント錠32がサッシ戸のサッシ障子36の側方に設けられているのに対して、屋内方向から見てサッシ戸のサッシ障子36の正面にその他の錠が設けられていてもよい。図5に、この錠の正面図と断面図を示す。
【0062】
図5(a)に解錠状態を示すように、この錠70は、屋内側のサッシ戸のサッシ障子12cと、屋外側のサッシ戸のサッシ障子12dとにわたって設けられている。錠70は、サッシ障子12cに収められたケース71と、ケース71によって回転可能に支持された軸部75と、軸部75に接続されたつまみ72と、つまみ72を屋内方向に付勢するスプリング73と、サッシ障子12dに取り付けられるとともに軸部75とねじ締めにより係合する受け金具74とを備えている。解錠状態では、つまみ75及び軸部75が屋内側に移動しているため、軸部75はサッシ障子12dから離間している。このため、サッシ障子12cを有するサッシ戸と、サッシ障子12dを有するサッシ戸との開閉を行うことができる。
【0063】
そして、使用者がつまみ72を屋外側に押しながら回転させることによって、図5(b)に示す施錠状態となる。施錠状態では、軸部75と受け金具74とがねじ締めにより係合して、サッシ障子12cとサッシ障子12dとが固定される。これにより、2つのサッシ戸が施錠され、これらのサッシ戸を開くことができなくなる。また、使用者が施錠時と反対方向につまみ72を回転させることによって、軸部75と受け金具74とのねじ締めによる係合が解除される。そして、スプリング73の付勢力によりつまみ72が屋内側に移動させられて、図5(a)に示す解錠状態となる。ここで、錠70の状態をセンサにより検出することにより、窓サッシ30の施錠状態を把握して、窓サッシ30の屋外側に設けられた電動式シャッタ38の開閉を行うことができる。
【0064】
こうした構成によれば、錠70は建物の外部から視認することができないため、錠70が不正に開錠されにくくすることができる。また、クレセント錠32においては施錠が不適切な場合にクレセント本体32cがサッシ戸に当たるおそれがあるのに対して、錠70においては施錠が不適切な場合に軸部75がサッシ戸から離間することから、軸部75がサッシ戸に当たることを抑制することができる。なお、軸部75と受け金具74とは、ねじ締めにより係合する構成に限らず、軸部75の先端に設けられた張り出し部が、受け金具に形成された孔から挿入されて回転されることにより係合する構成等、その他の係合する構成を採用することもできる。
【0065】
上記実施形態では、窓サッシ30に設けられたクレセント錠32の状態に基づいてその窓サッシ30に設けられた電動式シャッタ38を制御するシャッタ開閉制御1と、玄関ドア10に設けられた電子錠12の状態に基づいて複数の窓サッシ30に設けられた電動式シャッタ38を制御するシャッタ開閉制御2とを実行するようにしたが、これらの制御のうち一方の制御を実行するようにしてもよい。また、こうしたシャッタ開閉制御1,2の実行を停止させる切替スイッチを設けたり、シャッタ開閉制御1を実行するモードとシャッタ開閉制御2を実行するモードとを切り替える切替スイッチを設けたりしてもよい。こうした構成によれば、建物使用者の要望に応じた制御モードを選択することができる。
【0066】
上記実施形態では、施錠機構の状態に基づいて電動式シャッタ38を開閉するようにしたが、電動式シャッタが、複数のスラットを有するシャッタカーテンが閉じられた状態でスラットの開閉状態を制御可能な可変スラット電動式シャッタである場合には、施錠機構の状態に基づいて可変スラット電動式シャッタのスラットの開閉状態を制御するようにすることもできる。具体的には、電動式シャッタのシャッタカーテンが閉じられた状態でスラットが開かれており且つ施錠機構が施錠状態であると判定された場合には、制御部60の制御信号に基づいて可変スラッタ電動式シャッタのスラットが閉じられるようにしてもよい。こうした構成によれば、建具が有する施錠機構との関係において可変スラット電動式シャッタを有効活用することができる。さらに、住宅使用者が可変スラット電動式シャッタのスラットを閉じる操作を行う手間を省くことができるとともに、住宅使用者によるスラットの操作忘れに対処することができる。また、電動式シャッタのシャッタカーテンが閉じられた状態でスラットが閉じられており且つ窓サッシが開かれていると判定された場合には、制御部60の制御信号に基づいて可変スラッタ電動式シャッタのスラットが開かれるようにしてもよい。こうした構成によれば、住宅使用者がスラットを開くことを意図している可能性が高い場合にスラットを開くことができる。なお、窓サッシにその開閉状態を検出する開閉センサを設けることにより、窓サッシの開閉状態を検出することができる。
【0067】
上記実施形態では、制御部60が、建具に設けられた施錠機構が施錠状態であると判定した場合に電動式シャッタ38を閉じさせるようにしたが、例えば規制機構を作動させるスライドボタン等が電動式シャッタ38に電気的に接続されているといった構成を採用することにより、簡易な構成により施錠機構の状態に基づいて電動式シャッタ38を制御することができる。
【0068】
上記実施形態では、電動式シャッタとして引き違い窓サッシ30に設けられた電動式シャッタ38を採用したが、上げ下げ窓に設けられている電動式シャッタや、建物に組み込まれたインナガレージに設けられた可変スラット電動式シャッタ等、建物のその他の建具に設けられた電動式シャッタを採用することもできる。また、建物は住宅に限らず、オフィスや工場等であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…建具としての玄関ドア、12…施錠機構としての電子錠、14,34…検出手段としての錠センサ、30…建具としての引き違い窓サッシ、32…施錠機構としてのクレセント錠、38…電動式シャッタ、60…制御手段としての制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周壁に設けられた建具が有する施錠機構の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記施錠機構の状態に基づいて、前記建物に設けられた電動式シャッタを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする建物のシャッタ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記施錠機構が施錠されたことが検出された場合に、前記電動式シャッタを閉じることを特徴とする請求項1に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記施錠機構が解錠されたことが検出された場合に、前記電動式シャッタを開くことを特徴とする請求項1又は2に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項4】
前記建物の所定の建具に施錠機構および電動式シャッタが設けられ、
前記制御手段は、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具に設けられた電動式シャッタを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項5】
前記建物の所定の建具に施錠機構が設けられ、
前記制御手段は、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具以外の建具に設けられた電動式シャッタを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項6】
前記建物の所定の建具に施錠機構および電動式シャッタが設けられ、
前記制御手段は、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具に設けられた電動式シャッタを制御するモードと、前記所定の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記所定の建具以外の建具に設けられた電動式シャッタを制御するモードとを切替可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項7】
前記建具は施錠機構を有するドアを含み、
前記建物の複数の建具に電動式シャッタが設けられ、
前記制御手段は、前記ドアに設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記複数の建具に設けられた電動式シャッタを制御することを特徴とする請求項1〜3、5のいずれか1項に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記電動式シャッタを制御する前記複数の建具を変更可能であることを特徴とする請求項7に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項9】
前記ドアは前記建物の玄関ドアであり、
前記制御手段は、前記玄関ドアに設けられた施錠機構が屋外側から施錠されたことが検出された場合に、前記建物に設けられた全ての電動式シャッタを閉じることを特徴とする請求項7に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項10】
前記電動式シャッタは、複数のスラットを有するシャッタカーテンが閉じられた状態で前記スラットの開閉状態を制御可能な可変スラット電動式シャッタを含み、
前記制御手段は、前記建物の建具に設けられた施錠機構の状態に基づいて、前記可変スラット電動式シャッタの前記スラットの開閉を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記施錠機構が施錠されたことが検出された場合に、前記可変スラット電動式シャッタの前記スラットを閉じることを特徴とする請求項10に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項12】
前記建具はサッシ戸を有する窓サッシであり、
前記電動式シャッタは、複数のスラットを有するシャッタカーテンが閉じられた状態で前記スラットの開閉状態を制御可能な可変スラット電動式シャッタであり、
前記窓サッシに前記可変スラット電動式シャッタが設けられ、
前記制御手段は、前記シャッタカーテンが閉じられ且つ前記スラットが閉じられている状態で前記サッシ戸が開かれた場合に、前記シャッタカーテンを閉じた状態で前記スラットを開くことを特徴とする請求項1に記載の建物のシャッタ制御装置。
【請求項13】
前記施錠機構は、施錠された状態又は解錠された状態が変化することを規制するように作動する規制機構を含み、
前記制御手段は、前記規制機構の状態に基づいて、前記建物に設けられた電動式シャッタを制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の建物のシャッタ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−265584(P2010−265584A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115218(P2009−115218)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】