説明

建築構造材および門型フレーム、建物の施工方法

【課題】建物躯体の耐久性を長期的に維持することが可能な建築構造材と、建築構造材を門型に組み立ててなる門型フレームと、建築構造材を用いる建物の施工方法とを提供することを目的とする。
【解決手段】住宅等の建物の建物躯体1を構成する建築構造材20であって、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられる腹材22とを備えており、この腹材22は、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成されていることを特徴とする。これにより、腹材自体の強度を確保できるとともに、例えば腹材だけで建築構造材を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物の建物躯体を構成する建築構造材および門型フレーム、建物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物として、長期間の構造的耐久性を有しつつ、居住空間の可変性を有した、所謂、スケルトン・インフィル住宅が知られている(例えば、特許文献1参照)。
スケルトンとは、住宅の柱や梁や床等の建物躯体部分を意味し、インフィルとは、スケルトンの内側の住宅間取り全体を含む内装・設備等を意味する。
スケルトン・インフィル住宅は、スケルトンとインフィルとを構造的に分離した構成とし、スケルトンを高強度に構築して、長期間の耐久性を有するようにするとともに、間取りや内装・設備等を、可変性を有するように構成したものである。
したがって、スケルトン・インフィル住宅は、長年に亘って居住することができ、かつ居住者のライフスタイルや家族構成の変化に応じて、あるいは居住者の多様なニーズに合わせて、比較的容易に改装することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2008−050832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば枠組壁工法や在来軸組工法等の既存の構造は、柱や梁あるいは耐力壁等の建築構造材で、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を支持するように構成されている。
ところで、スケルトン・インフィル住宅は、上述のように長期間の耐久性を有するものとしなければならない。ところが、既存の構造における柱や梁、耐力壁等の建築構造材では、スケルトン(以下、建物躯体)を高強度に構築するための十分な強度を得られない場合がある。
【0005】
本発明の課題は、建物躯体の長期的な耐久性を実現する高強度な建築構造材と、建築構造材を門型に組み立ててなる門型フレームと、建築構造材を用いる建物の施工方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、住宅等の建物の建物躯体1を構成する建築構造材20であって、
長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられ、互いに接合される腹材22とを備えており、
この腹材22は、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられ、互いに接合される腹材22とを備えており、この腹材22は、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成されているので、腹材22自体の強度を確保できる。さらに、この高強度な腹材22を一対の棒状部材21,21間に挟み込むようにして設けるので、例えば腹材22だけで建築構造材20を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材20を得ることができる。
そして、このような建築構造材20を柱や梁として用いることによって、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、請求項1に記載の建築構造材20において、
前記棒状部材21および框材24aは角材からなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記棒状部材21および框材24aは角材からなるので、これら棒状部材21および框材24aそれぞれを適宜加工したり、これら棒状部材21と框材24aとを互いに接合しやすい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、請求項2に記載の建築構造材20において、
前記棒状部材21の角材と木質パネル23とは同一厚さに形成され、面一に接合されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記棒状部材21の角材と木質パネル23とは同一厚さに形成され、面一に接合されるので、これら互いに接合された棒状部材21の角材と木質パネル23との表面に、例えば防水シートや内外装材等を取り付ける際に支障となる段差等が生じるのを防ぐことができ、防水シートや内外装材等を確実に取り付けることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、請求項1に記載の建築構造材20において、
前記一対の棒状部材21,21は、それぞれ複数の角材21a,21aを軸方向に連結することによって構成されており、
前記腹材22を構成する木質パネル23は、前記一対の棒状部材21,21の長手方向に連続して複数配置されており、これら複数の木質パネル23,23の棒状部材21側の縁部は、それぞれ前記一対の棒状部材21,21に接合されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記一対の棒状部材21,21は、それぞれ複数の角材21a,21aを軸方向に連結することによって構成されており、前記腹材22を構成する木質パネル23は、前記一対の棒状部材21,21の長手方向に連続して複数配置されており、これら複数の木質パネル23,23の棒状部材21側の縁部は、それぞれ前記一対の棒状部材21,21に接合されているので、建築構造材20を分割しておくことができる。
これによって、長尺で輸送しにくい建築構造材20であっても予め分割しておくことができるので、容易に輸送することができる。しかも、現場等で、分割された部材同士を連結すれば、高強度な建築構造材20を確実に得ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図2〜図5に示すように、請求項1または2に記載の建築構造材20を門型に組み立ててなる門型フレーム4であって、
前記建築構造材20を垂直に配置してなる柱2を、互いに所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら複数の柱2用の建築構造材20,20の上端部間に、前記建築構造材20を水平に配置してなる梁3を架設することによって形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記建築構造材20を垂直に配置してなる柱2を、互いに所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら複数の柱2用の建築構造材20,20の上端部間に、前記建築構造材20を水平に配置してなる梁3を架設することによって形成されているので、高い強度の建築構造材20同士を門型に組み合わせてなる高い強度の門型フレーム4を得ることができる。
また、このような門型フレーム4を用いることで、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図2〜図5に示すように、請求項3に記載の門型フレーム4において、
前記梁3用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の上端面に載置されており、
下方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21の側面に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、前記梁3用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の上端面に載置されており、下方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21の側面に取り付けられているので、前記上方に位置する棒状部材21と、前記柱2用の建築構造材20とを梁勝ち納まりとすることができ、前記下方に位置する棒状部材21と、前記柱2用の建築構造材20とを柱勝ち納まりとすることができる。
これによって、前記柱2と梁3とを、単に梁勝ちに納めたり、単に柱勝ちに納めたりする場合に比して強固に接合できるので、より高い強度の門型フレーム4を得ることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられるとともに、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成された腹材22とを備える建築構造材20を、建物躯体1を構成する柱2および梁3のうち、少なくとも梁3として用いることによって建物を施工する方法であって、
前記梁3用の建築構造材20を、それぞれ複数の角材21a,21aを軸方向に連結してなる一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21の長手方向に連続して複数配置された木質パネル23,23によって構成される腹材22とを備えたものとし、
さらに、この梁3用の建築構造材20を、前記木質パネル23の上下縁部にそれぞれ前記角材21aを固定してなる梁構成部材3aとして複数に分割しておき、
互いに所定の間隔をあけて柱2を複数配置した後、
これら複数の柱2,2の上端部間に、前記複数の梁構成部材3a,3a同士を連結していくことで前記梁3用の建築構造材20を架設することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、前記梁3用の建築構造材20を、前記木質パネル23の上下縁部にそれぞれ前記角材21aを固定してなる梁構成部材3aとして複数に分割しておき、互いに所定の間隔をあけて柱2を複数配置した後、これら複数の柱2,2の上端部間に、前記複数の梁構成部材3a,3a同士を連結していくことで前記梁3用の建築構造材20を架設するので、前記梁3用の建築構造材20が輸送しにくい長さに設定されていたとしても容易に輸送することができる。
また、前記梁構成部材3aを、前記木質パネル23の上下縁部にそれぞれ前記角材21aを固定することによって形成するので、前記角材21aと木質パネル23とを別個に前記柱2,2の上端部間に架設していく場合に比して、効率よく前記梁3用の建築構造材20を前記柱2,2の上端部間に架設することができる。
また、前記建築構造材20は、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられるとともに、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成された腹材22とを備えているので、腹材22自体の強度を確保できる。さらに、この高強度な腹材22を一対の棒状部材21,21間に挟み込むようにして設けるので、例えば腹材22だけで建築構造材20を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材20を得ることができる。
そして、このような建築構造材20を、建物躯体1を構成する柱2および梁3のうち、少なくとも梁3として用いることによって、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられるとともに、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成された腹材22とを備える建築構造材20を、建物躯体1を構成する柱2および梁3のうち、少なくとも梁3として用いることによって建物を施工する方法であって、
互いに所定の間隔をあけて柱2を複数配置し、これら複数の柱2,2の上端部間に、前記梁3用の建築構造材20を架設するに際し、
前記梁3用の建築構造材20を、それぞれ複数の角材21a,21aを軸方向に連結してなる一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21の長手方向に連続して複数配置された木質パネル23,23によって構成される腹材22とを備えたものとしておき、
前記梁3用の建築構造材20の下縁に設けられる棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に、該棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aを軸方向に連結しながら架設し、
これら複数の柱2,2間に架設された棒状部材21の上面に、該棒状部材21の長手方向に沿って前記複数の木質パネル23,23を取り付けるとともに、該複数の木質パネル23,23を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設し、
これら複数の柱2,2間に架設された複数の木質パネル23,23の上面に沿って、前記梁3用の建築構造材20の上縁に設けられる棒状部材21を取り付けるとともに、該棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設することを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、前記梁3用の建築構造材20の下縁に設けられる棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に、該棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aを軸方向に連結しながら架設し、これら複数の柱2,2間に架設された棒状部材21の上面に、該棒状部材21の長手方向に沿って前記複数の木質パネル23,23を取り付けるとともに、該複数の木質パネル23,23を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設し、これら複数の柱2,2間に架設された複数の木質パネル23,23の上面に沿って、前記梁3用の建築構造材20の上縁に設けられる棒状部材21を取り付けるとともに、該棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設するので、前記梁3用の建築構造材20が輸送しにくい長さに設定されていたとしても容易に輸送することができる。
また、前記複数の角材21a,21aと、前記複数の木質パネル23とを別個に前記柱2の上端部間に架設することができるので、これら複数の角材21a,21aと複数木質パネル23とを、それぞれ正確に、前記柱2の上端部間に架設することができ、延いては前記梁3用の建築構造材を、前記柱2の上端部間に正確に架設することが可能となる。
また、前記建築構造材20は、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられるとともに、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成された腹材22とを備えているので、腹材22自体の強度を確保できる。さらに、この高強度な腹材22を一対の棒状部材21,21間に挟み込むようにして設けるので、例えば腹材22だけで建築構造材20を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材20を得ることができる。
そして、このような建築構造材20を、建物躯体1を構成する柱2および梁3のうち、少なくとも梁3として用いることによって、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、例えば図2〜図5に示すように、請求項5または6に記載の建物の施工方法において、
前記複数の角材21a,21a同士を、隣り合う前記角材21a間に配置され、少なくとも一側面に開口部31aを有する金属製の連結ボックス31と、
一方の前記角材21aに埋設固定され、前記連結ボックス31に挿し込まれる第1ボルト32と、
他方の前記角材21aに埋設固定され、前記連結ボックス31に挿し込まれる第2ボルト33と、
前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記第1ボルト32に螺合して締め付けられる第1ナット35と、
前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記第2ボルト33に螺合して締め付けられる第2ナット36とを備える連結金具30によって連結することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、前記複数の角材21a,21a同士を、前記連結金具30によって連結するので、前記一方の角材21aに埋設固定した第1ボルト32を連結ボックス31に挿し込み、この第1ボルト32に連結ボックス31の開口部31aから挿入された第1ナット35を螺合して締め付けるとともに、前記他方の角材21aに埋設固定した第2ボルト33を前記連結ボックス31に挿し込み、この第2ボルト33に前記開口部31aから挿入された第2ナット36を螺合して締め付けることによって、前記角材21a,21a同士を強固に連結して、前記一対の棒状部材21,21を形成でき、前記木質パネル23の上下縁部をそれぞれ前記一対の棒状部材21,21に接合することによって、より高強度の建築構造材20を得ることができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、例えば図4〜図7に示すように、請求項9に記載の建物の施工方法において、
前記角材21aの端部には、この角材21aの端面および外周面を覆う座金38が設けられていることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば 前記角材21aの端部には、この角材21aの端面および外周面を覆う座金38が設けられているので、この座金38によって前記角材21 aの端部を外側から補強できる。また、座金38は、角材21aの端部の保護や緩み防止の機能を発揮することができる
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、住宅等の建物の建物躯体を構成する建築構造材が、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材と、これら一対の棒状部材間に設けられる腹材とを備えており、この腹材は、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に貼設される面材とを有する木質パネルで構成されているので、腹材自体の強度を確保できる。さらに、この高強度な腹材を一対の棒状部材間に挟み込むようにして設けるので、例えば腹材だけで建築構造材を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材を得ることができる。
そして、このような建築構造材を柱や梁として用いることによって、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体を構成することができるので、建物躯体の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の建築構造材を示す斜視図である。
【図2】建築構造材を用いて形成される建物躯体を示す斜視図である。
【図3】梁構成部材として複数に分割された建築構造材を示す分解正面図である。
【図4】建築構造材を垂直に配置してなる柱と、建築構造材を水平に配置してなる梁との接合部の構造を示す断面図である。
【図5】建築構造材を垂直に配置してなる柱と、建築構造材を水平に配置してなる梁との接合部の構造を示す断面図である。
【図6】建築構造材を垂直に配置してなる柱と、基礎との接合部の構造を示す断面図である。
【図7】角材の端部と、この角材の端部に取り付けられた座金とを示す分解斜視図である。
【図8】梁構成部材として複数に分割された建築構造材を示す分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図2において符号1は、建物躯体を示す。この建物躯体1は、長期間の構造的耐久性を有しつつ、居住空間の可変性を有したスケルトン・インフィル住宅のスケルトンの部分を指している。すなわち、スケルトンとは、住宅の柱や梁や床等の建物躯体部分を意味している。
なお、インフィルとは、スケルトンの内側の住宅間取り全体を含む内装・設備等を意味しており、本実施の形態では説明を省略する。
【0029】
このような建物躯体1は2階建て構造になっており、基礎5に沿って、この基礎5の上面に土台6が設けられるとともに、土台6,6間に大引7が架設されている。そして、これら土台6および大引7間に床パネル(図示せず)を架設することによって建物下階の床が形成されるようになっている。
また、前記土台6および大引7上に、建築構造材20を垂直に配置するようにして複数の柱2が設けられており、これら複数の柱2,2間に、建築構造材20を水平に配置するようにして梁3が設けられている。
【0030】
また、前記建物下階に設けられる複数の梁3,3の上部には、建物躯体1の周縁部に沿うようにして胴差9が設けられており、この胴差9の枠内に配置されるようにして、床梁10が設けられている。
そして、これら胴差9および床梁10とで形成された枠内には、床パネル11が設けられており建物上階の床を形成している。
【0031】
また、この建物上階には、建物躯体の外部へと突出するバルコニー床パネル12が設けられている。
さらに、建物上階の床上には、建築構造材20を垂直に配置するようにして複数の柱2が設けられており、これら複数の柱2,2間に、建築構造材20を水平に配置するようにして梁3が設けられている。
【0032】
また、前記建物下階に設けられる複数の梁3,3の上部には、建物躯体1の周縁部に沿うようにして胴差14が設けられており、この胴差14の枠内に配置されるようにして、屋根パネル15が設けられている。
【0033】
ここで、前記建築構造材20は、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられる腹材22とを備えている。
なお、この建築構造材20は、上述のように、垂直に配置されることによって柱2として用いることができるとともに、水平に配置することによって梁3として用いることができる。その他、適宜、所定の角度となるように傾斜して配置するなどしてもよい。
【0034】
また、前記棒状部材21は、それぞれ複数の角材21a,21aを軸方向に連結することによって構成されている。
この角材21aは、複数のラミナを積層して形成される集成材が用いられており、前記棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aは、その断面形状が等しくなるように設定されている。
また、これら宴数の角材21a,21aは断面四角形に形成されるものである。なお、本実施の形態においては、これら複数の角材21a,21aは断面正四角形に形成されている。
【0035】
なお、前記一対の棒状部材21,21は同じ長さに設定されていなくてもよく、本実施の形態においては、図3に示すように、前記建築構造材20を構成する木質パネル23の一側縁部に設けられる棒状部材21と、他側縁部に設けられる棒状部材21とは長さが異なるように設定されている。
また、一側縁部の棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aもそれぞれ長さが異なるように設定されており、同じく、他側縁部の棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aもそれぞれ長さが異なるように設定されている。
【0036】
また、前記複数の角材21a,21aは、図2および図3に示すように、連結金具30によって連結されている。
なお、本実施の形態においては、前記複数の角材21a,21aは連結金具30によって連結されているものとしたが、これに限られるものではなく、図1に示すように連結金具30を使用せずに複数の角材21a,21a同士を接合してもよい。連結金具30を使用しない場合は、例えば隣り合う角材21a,21a同士を接着剤によって接合したり、一方の角材21aにほぞを形成するとともに他方の角材21aにほぞ穴を形成し、これら組み合わせることによって隣り合う角材21a,21a同士を接合したり、または、その他の接合方法によって接合する。
【0037】
前記腹材22は、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成されている。
この木質パネル23とは、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて建物を構築するパネル工法に利用される建築用パネルと同様の機能を有するものである。
なお、前記建物躯体1の床を構成する床パネル11や屋根パネル15は、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の上面に貼設される面材とを有するものである。また、枠体内には、適宜、補強桟材が組み付けられる。
【0038】
また、この木質パネル23は、上述のように枠体24と、面材25とを有している。さ
らに、その他にも、前記縦横の框材24aによって組まれた矩形枠の内部に補助桟材が組み付けられている。
さらに、前記面材25の内側、すなわち木質パネル23の内部中空部に、グラスウールやロックウール等の断熱材を装填することで、断熱性に優れた建築構造材20とすることができる。特に、屋外に面する木質パネル23の内部中空部に断熱材を充填することが好ましい。
また、前記縦横の框材24aは断面四角形に形成された角材からなる。なお、本実施の形態において、これら縦横の框材24aは断面矩形に形成されている。
【0039】
また、前記木質パネル23には、図2,図3,図5,図6に示すように、配線用穴部28やダクト用穴部29が形成されている。
前記配線用穴部28は、前記柱2用の建築構造材20を構成する木質パネル23の面材25に形成されている。また、この配線用穴部28が形成される柱2用の建築構造材20は、建物躯体1内に複数配置されており、例えば間取りを変更する際に適宜対応して配線できるようになっている。
前記ダクト用穴部29は、前記梁3用の建築構造材20を構成する木質パネル23の面材25に形成されている。また、このダクト用穴部29は、図3に示すように前記梁3の長さ方向に沿って複数形成されており、例えば間取りを変更する際に適宜対応してダクトを配置できるようになっている。
【0040】
そして、前記腹材22を構成する木質パネル23は、前記一対の棒状部材21,21の長手方向に連続して複数配置されており、これら複数の木質パネル23,23の棒状部材21側の縁部は、それぞれ前記一対の棒状部材21,21に接合されている。
なお、隣り合う木質パネル23,23同士は、接着剤によって互いに接合されている。
また、腹材22と一対の棒状部材21,21とは、接着剤や釘等の止着材によって接合されている。
【0041】
また、これら各木質パネル23,23は同じ長さに設定されていなくてもよく、本実施の形態においては、図3に示すように、前記建築構造材20の両端部に設けられる木質パネル23,23の長さが、他の木質パネル23よりも短くなるように設定されている。
さらに、これら木質パネル23の長さは、前記角材21aの長さとは異なるものとなるように設定されている。
【0042】
また、これら各木質パネル23と、前記各角材21a,21aとは、互いに長さが異なるように設定されており、これら木質パネル23と角材21aとは、各木質パネル23の端部の位置と、各角材21aの端部の位置とが揃わないようにして接合されている。
また、これら前記一対の棒状部材21,21のうち、一方の棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aと、他方の棒状部材21を構成する複数の角材21a,21a同士も、互いに長さが異なるように設定されている。
このように、前記建築構造材20は、各木質パネル23の端部の位置と、各角材21aの端部の位置とが揃わないように形成されているので、曲げ強度が高くなる。
【0043】
また、前記棒状部材21の角材21aと木質パネル23とは同一厚さに形成され、面一に接合されている。すなわち、図1に示すように、前記棒状部材21の角材21aの横の厚さと、前記木質パネル23を構成する框材24aと2文の面材25,25との並設方向の長さとが略等しくなるように設定されている。
さらに、この棒状部材21の角材21aと木質パネル23とが面一に接合されているので、建築構造材20の両側面に、該建築構造材20の長さ方向に沿ってフラットな面を形成することができる。
【0044】
また、以上のような建築構造材20は、上述のように柱2や梁3として用いることができ、さらに、これら柱2および梁3を組み合わせて門型フレーム4を形成することができる。そして、本実施の形態の建物躯体1は、この門型フレーム4を複数用いて構成されている。
すなわち、建物躯体1は、図2に示すように、門型フレーム4を、前記建物下階および建物上階の床上の両端部に配置するとともに、これら建物下階および建物上階の床上の両端部の門型フレーム4,4間に、それぞれ所定の間隔で複数配置することによって構成されている。
【0045】
この門型フレーム4は、図2、図4および図5に示すように、前記建築構造材20を垂直に配置してなる柱2を、互いに所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら複数の柱2用の建築構造材20,20の上端部間に、前記建築構造材20を水平に配置してなる梁3を架設することによって形成されている。
【0046】
また、前記柱2の上端部に、前記梁3の側端部を接合する際は、互いの棒状部材21,21同士を連結金具30によって連結するようにして行われる。
より詳細には、前記梁3用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の上端面に載置されており、下方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21の側面に、この棒状部材21の端面と前記柱2用の建築構造材20の側面とを前記連結金具30によって連結するようにして取り付けられている。
【0047】
また、前記建物下階および建物上階の床上の両端部にそれぞれ配置された門型フレーム4の柱2用の建築構造材20には、平面視において、この建築構造材20と直交して配置される補強柱16が接合されている。
そして、これら前記建物下階および建物上階の床上の両端部にそれぞれ配置された門型フレーム4の柱2用の建築構造材20と、補強柱16とによって、建物躯体1のコーナー部に、平面視L宇型の柱を形成できるようになっている。
この補強柱16は、前記門型フレーム4の柱2用の建築構造材20の建物コーナー側の棒状部材21と所定の間隔をあけて配置されるコーナー用棒状部材17と、これら棒状部材21,17間に設けられるコーナー用木質パネル18とを備えている。
なお、このコーナー用木質パネル18は、前記木質パネル23と同様に、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に貼設される面材とを有するものである。また、枠体内には、適宜、補強桟材が組み付けられる。
【0048】
さらに、前記補強柱16と、前記建物下階および建物上階の床上の両端部にそれぞれ配置された門型フレーム4を除く門型フレーム4,4との間、および、これら建物下階および建物上階の床上の両端部にそれぞれ配置された門型フレーム4を除く門型フレーム4,4間には、小壁8,13がそれぞれ架設されている。
なお、これら建物下階の小壁8および建物上階の小壁13は、前記木質パネル23と同様に、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に貼設される面材とを有するものである。また、枠体内には、適宜、補強桟材が組み付けられる。
【0049】
また、前記建物躯体1は2階建て構造となっているため、建物上階にも、前記柱2が配置されることになる。前記建築構造材20を垂直に配置してなる建物上階の柱2は、前記建築構造材20を垂直に配置してなる建物下階の柱2の上方に、前記建築構造材20を水平に配置してなる梁3と建物上階の床とを介して設けられている。
なお、この上階の床とは、図2に示すように、前記胴差9と床パネル11とを指しており、これら胴差9と床パネル11の端部とが当接する部分の上面に、前記建物上階の柱2を構成する建築構造材20の棒状部材21が立設されている。
そして、前記梁3と上階の床(胴差9および床パネル11)とを介して、前記建物下階の柱2と建物上階の柱2とを接合する際は、互いの棒状部材21,21同士を連結金具30によって連結するようにして行われる。
【0050】
前記棒状部材21,21同士、または複数の角材21a,21a同士を連結する連結金具30は、図3〜図6に示すように、連結ボックス31、第1ボルト32、第2ボルト33、第1ナット35、第2ナット36等を備えている。
連結ボックス31は、箱状に形成された鉄製のものであり、対向する側面に開口部31a,31aが形成されている。この開口部31aは略側面全体に形成されたものであり、スパナやレンチ、ドライバー等の工具を連結ボックス31内に挿入できるような大きさとなっている。また、これら開口部31a,31aが形成された側面とは異なる連結ボックス31の対向する側面には、側壁31b,31bが設けられている。
また、連結ボックス31の両端面の中央部には、ボルト挿通孔が同軸に形成されており、このボルト挿通孔は前記第1ボルト11、第2ボルト12を挿通可能な直径となっている。
【0051】
さらに、連結ボックス31の一方の端面には、ビス孔が、ボルト挿通孔を挟んで、端面の対角方向に対称的に配置されており、これらビス孔にはビスが挿通され、このビスは前記角材21aにねじ込まれる。
このようにビスを角材21aにねじ込めば、前記連結ボックス31と角材21aとの仮連結を行ったり、角材21aの軸回りの回転を防止できたりする。
【0052】
前記第1ボルト32は、一端部が、前記角材21aに埋設固定されるとともに、他端部が、前記連結ボックス31の端面に形成されているボルト挿通孔を通して連結ボックス31に挿し込まれるものである。
なお、前記第1ボルト32が埋設固定される角材21aには、それぞれボルト挿通孔21bが形成されている。また、第1ボルト32の直径は、ボルト挿通孔21bの内径より小さくなっており、これによって、第1ボルト32とボルト挿通孔21bの内壁との間に隙間を形成できる。そして、この隙間には、例えばエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤等の接着剤が充填される。
【0053】
前記第1ナット35は、前記連結ボックス31に挿し込まれる第1ボルト32に螺合されるものである。この第1ボルト32に螺合させる際は、前記連結ボックス31の開口部31aから挿入するようにして行われる。
なお、この第1ナット35と前記連結ボックス31の端面との間には、図示しない座金が介在される。
【0054】
前記第2ボルト33は、一端部が、前記角材21aに埋設固定されるとともに、他端部が、前記連結ボックス31の端面に形成されているボルト挿通孔を通して連結ボックス31に挿し込まれるものである。
なお、前記第2ボルト33が埋設固定される角材21aには、それぞれボルト挿通孔21cまたは貫通孔27が形成されている。また、第2ボルト33の直径は、ボルト挿通孔21cおよび貫通孔27の内径より小さくなっており、これによって、第2ボルト33とボルト挿通孔21cおよび貫通孔27の内壁との間に隙間を形成できる。そして、この隙間には、例えばエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤等の接着剤が充填される。
【0055】
前記第2ナット36は、前記連結ボックス31に挿し込まれる第2ボルト33に螺合されるものである。この第2ボルト33に螺合させる際は、前記連結ボックス31の開口部31aから挿入するようにして行われる。
なお、この第2ナット36と前記連結ボックス31の端面との間には、図示しない座金が介在される。
また、第2ボルト33には、前記第2ナット36とともに前記連結ボックス31の端面を形成する壁部を挟むようにして第3ナット37が螺合されている。さらに、この第3ナット37と、前記連結ボックス31の端面を形成する壁部との間には、座金37aが介在している。
そして、この第2ナット36および第3ナット37をスパナやレンチ等の工具によって締め付けることによって、複数の角材21a,21aと連結ボックス31とが強固に連結される。この連結された状態では、図4〜図6に示すように、前記角材21aの端面と連結ボックス31の端面とに所定の隙間が形成される。
【0056】
また、例えば、前記柱2の上端部に、前記梁3の側端部を、互いの棒状部材21同士を連結金具30によって連結するようにして接合する際や、建物下階の柱2の棒状部材21,21と、建物上階の柱2の棒状部材21,21とを連結する際において、前記第2ボルト33だけでは長さが足りない場合がある。
その場合、前記第2ボルト33には、図4および図5に示すように、継手ナット34aを介して延長ボルト34が継手される。また、この継手ナット34aとして、通常のナットよりも軸方向に沿って長尺な高ナットが用いられている。
【0057】
この延長ボルト34が設けられる位置は、前記第2ボルト33の延長線上であり、例えば前記角材21aに形成されるボルト挿通孔21cや、柱2用の建築構造材20に形成されるボルト挿通孔26等に挿入固定される。
また、これらボルト挿通孔21c,26の、第2ボルト33と延長ボルト34とが前記継手ナット34aによって継手されるべき位置には、この継手ナット34aの形状に合わせて切り欠かれた切欠部21d,26aがそれぞれ形成されている。
【0058】
なお、前記ボルト挿通孔26は、図4に示すように、前記柱2の上端部に、前記梁3の側端部を、互いの棒状部材21同士を連結金具30によって達結するようにして接合する際において、前記柱2用の建築構造材20の梁側面から内部にかけて、前記梁3を構成する建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうちの下方に位置する棒状部材21の延長線に沿って形成されている。すなわち、このボルト挿通孔26は、前記柱2の建物内部側の棒状部材21から、木質パネル23の框材24aおよび補助桟材24bにかけて形成されている。
【0059】
また、前記ボルト挿通孔21cは、図5に示すように、建物下階の柱2の棒状部材21,21と、建物上階の柱2の棒状部材21,21とを連結する際において、下階の柱2の一対の棒状部材21,21の上端面から、該棒状部材21,21の軸芯に沿って形成されており、貫通孔27と連続している。また、前記切欠部21dは、該一対の棒状部材21,21の上端部に形成されている。
【0060】
次に、前記柱2を構成する建築構造材20の上端部に、前記梁3を構成する建築構造材20の側端部を接合してなる建築構造材20の接合構造について説明する。
【0061】
すなわち、図4に示すように、前記建築構造材20を垂直に配置してなる柱2の上端部に、前記建築構造材20を水平に配置してなる梁3の側端部が、互いの棒状部材21同士を連結金具30によって連結するようにして接合されている。
そして、前記梁3用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の上端面に載置されており、下方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21の側面に、この棒状部材21の端面と前記柱2用の建築構造材20の側面とを前記連結金具30によって連結するようにして取り付けられている。
【0062】
そして、前記連結金具30の連結ボックス31は、前記下方に位置する棒状部材21の端面と、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21の側面との間に配置されている。
また、前記第1ボルト32は、前記下方に位置する棒状部材21の端面に埋設固定されるとともに、前記連結ボックス31に挿し込まれている。
【0063】
また、前記第2ボルト33は、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21の側面に埋設固定されるとともに、前記連結ボックス31に挿し込まれている。
なお、この第2ボルト33は、前記柱2用の建築構造材20に形成されたボルト挿通孔26に挿入固定された延長ボルト34に、継手ナット34aを介して継手されている。
【0064】
また、前記第1ナット35は、前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記第1ボルト32に螺合して締め付けられている。
また、前記第2ナット36は、前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記第2ボルト33に螺合している。
【0065】
さらに、前記第3ナット37は、前記第2ボルト33に、前記第2ナット36とともに前記連結ボックス31の端面を形成する壁部を挟むようにして、かつ該連結ボックス31の端面を形成する壁部との間に座金37aを介して螺合している。なお、この第3ナット37は、前記第2ボルト33を前記連結ボックス31に挿し込む前に、前記第2ボルト33に対して予め螺合している。
【0066】
そして、前記第2ナット36および第3ナット37がスパナやレンチ等の工具によって締め付けられており、これによって、前記梁3用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうち、下方に位置する棒状部材21と、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21とを強固に連結することができる。
【0067】
次に、建物下階の柱2を構成する建築構造材20と、建物上階の柱2を構成する建築構造材20とを接合してなる建築構造材20の接合構造について説明する。
【0068】
すなわち、図5に示すように、前記建築構造材20を垂直に配置してなる建物下階の柱2の上方に、前記建築構造材20を水平に配置してなる梁3と建物上階の床(胴差9および床パネル11)とを介して、前記建築構造材20を垂直に配置してなる建物上階の柱2が設けられており、これら建物下階および建物上階の柱2用の建築構造材20,20同士は、前記梁3用の建築構造材20と建物上階の床(例えば胴差9および床パネル11)とを介して、互いの棒状部材21,21同士を連結金具30によって連結するようにして接合されている。
【0069】
そして、前記梁3用の建築構造材20の一端部は、前記建物下階の柱2用の建築構造材20の上端部に、該梁3用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうちの上方に位置する棒状部材21を、前記建物下階の柱2用の建築構造材20の上端面に載置するようにして取り付けられている。
また、前記上階の床(例えば胴差9および床パネル11)の端部は、前記梁3用の建築構造材20の上方に位置する棒状部材21の上面に載置されている。
また、前記梁3用の建築構造材20の上方の棒状部材21と上階の床(例えば胴差9および床パネル11)の端部とには、前記建物下階および建物上階の柱2用の建築構造材20,20の一対の棒状部材21,21同士をそれぞれ結ぶ直線に沿って貫通孔27が形成されている。
【0070】
そして、前記連結金具30の連結ボックス31は、前記建物下階の柱2用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21の端面と、前記建物上階の柱2用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21の端面との間に、前記梁3の建築構造材の上方に位置する棒状部材21と上階の床とを介して、それぞれ配置されている。
つまり、この連結ボックス31は、前記梁3の建築構造材の上方に位置する棒状部材21と上階の床との当接部分の上面と、前記建物上階の柱2用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21の下端面との間に配置されている。
また、前記第1ボルト32は、前記建物上階の柱2用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21の下端面にそれぞれ埋設固定され、前記連結ボックス31に挿し込まれている。
【0071】
また、前記第2ボルト33は、前記建物下階の柱2用の建築構造材20を構成する一対の棒状部材21,21に形成されたボルト挿通孔21c,21c挿入固定された延長ボルト34に、継手ナット34aを介して継手されている。
さらに、この第2ボルト33は、前記連結ボックス31にそれぞれ挿し込まれるとともに前記貫通孔27に挿通されている。
【0072】
また、前記第1ナット35は、前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記第1ボルト32に螺合して締め付けられている。
また、前記第2ナット36は、前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記第2ボルト33に螺合している。
【0073】
さらに、前記第3ナット37は、前記第2ボルト33に、前記第2ナット36とともに前記連結ボックス31の端面を形成する壁部を挟むようにして、かつ該連結ボックス31の端面を形成する壁部との間に座金37aを介して螺合している。なお、この第3ナット37は、前記第2ボルト33を前記連結ボックス31に挿し込む前に、前記第2ボルト33に対して予め螺合している。
【0074】
そして、前記第2ナット36および第3ナット37がスパナやレンチ等の工具によって締め付けられており、これによって、建物下階の柱2を構成する建築構造材20と、建物上階の柱2を構成する建築構造材20とを強固に連結することができる。
【0075】
次に、建物下階の柱2用の建築構造材20と基礎5とを連結してなる建築構造材20と基礎5との連結構造について説明する。
【0076】
ずなわち、図6に示すように、前記基礎5は、この基礎5の上面から上方に突出するとともに、互いに所定の間隔をあけて配置されたアンカーボルト5a,5aを備えている。
また、この基礎5の上面には、前記土台6が設けられている。この土台6には、前記アンカーボルト5a,5aを貫通させるための貫通孔6a,6aが形成されており、前記アンカーボルト5a,5aの上端部は、前記土台6の上面よりも上方に突山している。
【0077】
このような土台6の上面に前記建築構造材20を垂直に配置してなる建物下階の柱2が立設されている。
この柱2を構成する建築構造材20は、一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられる木質パネル23とを備えており、一対の棒状部材21,21と、前記アンカーボルト5a,5aとが連結金具30によって連結されている。
【0078】
そして、前記連結金具30の連結ボックス31は、前記一対の棒状部材21,21の下端面と、前記土台6の上面との間に配置されている。
また、前記第1ボルト32は、前記一対の棒状部材21,21の下端面に埋設固定されるとともに、前記連結ボックス31に挿し込まれている。
【0079】
なお、この柱2用の建築構造材20と基礎5との連結時には、第2ボルト33の代わりに前記アンカーボルト5a,5aが、前記連結ボックス31に挿し込まれている。
また、前記第1ナット35は、前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記第1ボルト32に螺合して締め付けられている。
また、前記第2ナット36は、前記連結ボックス31にその開口部31aから挿入されたうえで、前記アンカーボルト5a,5aに螺合している。
【0080】
さらに、前記第3ナット37は、前記アンカーボルト5aに、前記第2ナット36とともに前記連結ボックス31の端面を形成する壁部を挟むようにして、かつ該連結ボックス31の端面を形成する壁部との間に座金37aを介して螺合している。なお、この第3ナット37は、前記アンカーボルト5aを前記連結ボックス31に挿し込む前に、前記第2ボルト33に対して予め螺合している。
【0081】
そして、前記第2ナット36および第3ナット37がスパナやレンチ等の工具によって締め付けられており、これによって、建物下階の柱2用の建築構造材20と基礎5とを強固に連結することができる。
【0082】
なお、図4〜図7に示すように、前記角材21aの端部には、この角材21aの端面および外周面を覆う座金38が設けられている。
角材21aの下端外周部には 後述する環状部38bが装着される装着面21eが形成されている。装着面21eは角材21aの下端外周部を周方向に沿って所定の幅で所定の深さだけ削って形成されたものであり、角材21aの外周面(側面)との間に所定の段差を有している。
【0083】
前記座金38は、角材21aの下端部に取り付けられるものであり、平板部38aと環状部38bとを備えて構成されている。
平板部38aは正方形板状のものであり、角材21aの下端面と略等しい大きさに形成されている。また、平板部38aの中央部には、第1ボルト32の直径と略等しい内径のボルト挿通孔39が形成されている。さらに、平板部38aにはボルト挿通孔39を挟んでビス穴40,40が平板部38aの対角方向に離間して形成されている。
環状部38bは平板部38aの外周部に沿って正方形環状に、かつ、平板部38aに対して直角に形成されている。また、環状部38bの高さは前記装着面21eの幅と略等しくなっており、環状部38bの厚さは、装着面21eと角材21aの外周面との間の段差と略等しくなっている。
さらに、座金38の4つの角部には、角穴38cがそれぞれ形成されている。
【0084】
このように構成された座金38は、平板部38aの裏面を角材21aの下端面に当接するともに、ボルト挿通孔39に前記第1ボルト32を挿通し、さらに、環状部38bを角材21aの下端外周部の装着面21eに外嵌して取り付けられている。この状態において、ボルト挿通孔39と第1ボルト32とは同軸に配置され、かつ、第1ボルト32の先端部(下端部)は座金38の平板部38aより所定の長さだけ突出している。また、平板部38aに形成されたビス穴40,40には木ねじ40a,40aが挿通され、角材21aの下端面にねじ込まれている。これによって、座金38は角材21aの下端部に強固に固定されている。さらに、座金38の角穴38cに、角材21aの下端面の4つの角部が露出しており、これによって、角材21aの下端面を座金38の平板部38aの裏面に確実に当接させるとともに、角材21aの下端面の4つの角部の潰れを防止している。
【0085】
次に、前記建築構造材20を用いて建物を施工する建物の施工方法について説明する。
【0086】
まず、図3に示すように、前記梁3用の建築構造材20を、前記木質パネル23の上下縁部にそれぞれ前記角材21aを固定してなる梁構成部材3a,3a,3aとして複数に分割しておく。
なお、中央の梁構成部材3aは左右両側の梁構成部材3a,3aより左右の長さが長くなっており、左右の梁構成部材3a,3aは左右の向きが互いに逆となっている。
また、これら中央の梁構成部材3aの両端部と、左右両側の梁構成部材3a,3aの中央側端部とは、互いに係合できるように構成されている。
すなわち、中央の梁構成部材3aの棒状部材21,21の長さは、腹材22の長さよりも所定長さ分、短くなるように設定されるとともに、これら棒状部材21,21の側端部が腹材22の側端部よりも中央側に位置している。さらに、この中央の梁構成部材3aの一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21は、下方に位置する棒状部材21よりも長さが長くなるように形成されている。
また、左右両側の梁構成部材3a,3aの棒状部材21,21の長さは、腹材22の長さよりも所定長さ分、長くなるように設定されている。
さらに、これら左右両側の梁構成部材3a,3aのそれぞれの一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21,21の中央側端部は、腹材22の中央側端部と揃うようにして設けられており、連結金具30が取り付けられる分の長さだけ、中央側へと突出している。また、下方に位置する棒状部材21,21の中央側端部は、腹材22の中央側端部よりも中央側に突出しており、その突出方向側端部に連結金具30が取り付けられている。また、これに伴って、前記中央の梁構成部材3aの一対の棒状部材21,21の長さも設定されているものとする。
【0087】
また、左右両側の梁構成部材3a,3aのそれぞれの一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21,21は、前記腹材22の外側端部よりも外側に突出している。そして、この突出する部分が前記柱2用の建築構造材20の上端面に載置されるようになっている。
【0088】
続いて、前記左右両側の梁構成部材3a,3aのそれぞれの棒状部材21,21の中央側端部に、第1ボルト32をそれぞれ埋設固定する。
そして、これら第1ボルト32を、連結ボックス31のボルト挿通孔を通して挿し込み、この第1ボルト32に連結ボックス31の開口部31aから挿入された第1ナット35を螺合して締め付けることによって、前記左右両側の梁構成部材3a,3aのそれぞれの棒状部材21,21の中央側端部に、それぞれ連結ボックス31を取り付ける。
また、これら左右両側の梁構成部材3a,3aのそれぞれの下方に位置する棒状部材21,21の外側端部にも、第1ボルト32を埋設固定しておくとともに、連結ボックス31を取り付けておく。
さらに、前記中央の梁構成部材3aの棒状部材21,21の両側端部に、第2ボルト33をそれぞれ埋設固定しておく。
【0089】
続いて、前記建築構造材20を垂直に配置してなる柱2を、床上に、互いに所定の間隔をあけて複数配置する。
また、これら柱2用の建築構造材20の中央側に位置する棒状部材21,21の中央側側面に、端部が中央側に水平に突出するようにして第2ボルト33を埋設固定しておく。
【0090】
そして、図4に示すように、前記柱2用の建築構造材20,20の上端面に、前記左右両側の梁構成部材3a,3aのそれぞれの上方に位置する棒状部材21,21を載置しながら、下方に位置する棒状部材21,21の外側端部を、前記柱2用の建築構造材20の中央側に位置する棒状部材21に取り付ける。
この時、前記柱2側の第2ボルト33を、左右両側の梁構成部材3a,3a側の連結ボックス31のボルト挿通孔を通して挿し込み、この第2ボルト33に連結ボックス31の開口部31aから挿入された第2ナット36を螺合して締め付けるようにする。
なお、前記柱2用の建築構造材20,20と、これら柱2用の建築構造材20,20の上端面にされた前記左右両側の梁構成部材3a,3aのそれぞれの上方に位置する棒状部材21,21とは、単に載置するだけでなく、接着剤や釘等の止着材を用いて接合してもよい。
【0091】
続いて、図2および図3に示すように、前記柱2用の建築構造材20,20の上端部に取り付けられた左右両側の梁構成部材3a,3a間に、前記中央の梁構成部材3aを架け渡すようにして取り付ける。
この時、前記中央の梁構成部材3aの棒状部材21,21の両側端部にそれぞれ埋設固定された第2ボルト33を、前記左右両側の梁構成部材3a,3aの棒状部材21,21の中央側端部に取り付けられた連結ボックス31のボルト挿通孔を通して挿し込み、この第2ボルト33に連結ボックス31の開口部31aから挿入された第2ナット36を螺合して締め付けるようにする。
【0092】
以上のように、前記複数の柱2,2の上端部間に、前記複数の梁構成部材3a,3a同士を連結していくことで、これら複数の柱2,2の上端部間に前記梁3用の建築構造材20を架設できるようになっている。
【0093】
なお、本実施の形態の梁構成部材3a,3a,3aは、図3に示すような構成とされているが、これに限られるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、図8に示す梁3用の建築構造材20は、中央の梁構成部材3bと、左右両側の梁構成部材3b,3bとを備えている。中央の梁構成部材3bは左右両側の梁構成部材3b,3bより左右の長さが長くなっており、左右の梁構成部材3b,3bは左右の向きが互いに逆となっている。また、これら中央の梁構成部材3bの両端部と、左右両側の梁構成部材3b,3bの中央側端部とは、互いに係合できるように構成されている。
また、中央の梁構成部材3bの一対の棒状部材21,21は略等しい長さに設定されている。また、左右両側の梁構成部材3b,3bのそれぞれの一対の棒状部材21,21の中央側端部は、腹材22の中央側端部と揃うようにして設けられており、連結金具30が取り付けられる分の長さだけ、中央側へと突出している。また、これに伴って、前記中央の梁構成部材3bの一対の棒状部材21,21の長さも設定されているものとする。
このような構成の梁構成部材3b,3b,3bであっても、図3に示す梁構成部材3a,3a,3aと同様に、梁3用の建築構造材20として用いることができる。
【0094】
なお、前記建築構造材20を用いて建物を施工する建物の施工方法は、以上のように、前記複数の柱2,2の上端部間に、前記複数の梁構成部材3a,3a同士を連結していく方法に限られるものではない。
すなわち、まず、前記建築構造材20を垂直に配置してなる柱2を、床上に、互いに所定の間隔をあけて複数配置する。
【0095】
続いて、前記梁3用の建築構造材20の下縁に設けられる棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に、該棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aを軸方向に連結しながら架設する。
【0096】
続いて、これら複数の柱2,2間に架設された棒状部材21の上面に、該棒状部材21の長手方向に沿って前記複数の木質パネル23,23を取り付けるとともに、該複数の木質パネル23,23を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設する。
【0097】
そして、これら複数の柱2,2間に架設された複数の木質パネル23,23の上面に沿って、前記梁3用の建築構造材20の上縁に設けられる棒状部材21を取り付けるとともに、該棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設する。
【0098】
なお、複数の角材21a,21a同士も、前記梁3用の建築構造材20の下縁に設けられる棒状部材21の外側端部と、前記柱2用の前記柱2用の建築構造材20,20の中央側に位置する棒状部材21,21同士も、上述の建物の施工方法と同様に、連結金具30によって連結する。
【0099】
以上のように、前記複数の柱2,2の上端部間に、前記梁3用の建築構造材20を構成する下方の棒状部材21と、木質パネル23と、上方の棒状部材21とを順番に、かつ別個に架設することで、これら複数の柱2,2の上端部間に前記梁3用の建築構造材20を架設できるようになっている。
このような建物の施工方法を採用して建物を施工してもよいものとする。
【0100】
なお、このように梁3をなるべく長く構成することによって、建物の内部空間を広く取ることができるので、間取り等の可変性を向上させることができる。このためにも、前記建築構造材20の強度をできる限り高めておく必要がある。
【0101】
本実施の形態によれば、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられる腹材22とを備えており、この腹材22は、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成されているので、腹材22自体の強度を確保できる。さらに、この高強度な腹材22を一対の棒状部材21,21間に挟み込むようにして設けるので、例えば腹材22だけで建築構造材20を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材20を得ることができる。
そして、このような建築構造材20を柱や梁として用いることによって、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【0102】
また、前記棒状部材21および框材24aは角材からなるので、これら棒状部材21および框材24aそれぞれを適宜加工したり、これら棒状部材21と框材24aとを互いに接合しやすい。
【0103】
また、前記棒状部材21の角材と木質パネル23とは同一厚さに形成され、面一に接合されるので、これら互いに接合された棒状部材21の角材と木質パネル23との表面に、例えば防水シートや内外装材等を取り付ける際に支障となる段差等が生じるのを防ぐことができ、防水シートや内外装材等を確実に取り付けることができる。
【0104】
また、前記一対の棒状部材21,21は、それぞれ複数の角材21a,21aを軸方向に連結することによって構成されており、前記腹材22を構成する木質パネル23は、前記一対の棒状部材21,21の長手方向に連続して複数配置されており、これら複数の木質パネル23,23の棒状部材21側の縁部は、それぞれ前記一対の棒状部材21,21に接合されているので、建築構造材20を分割しておくことができる。
これによって、長尺で輸送しにくい建築構造材20であっても予め分割しておくことができるので、容易に輸送することができる。しかも、現場等で、分割された部材同士を連結すれば、高強度な建築構造材20を確実に得ることができる。
【0105】
また、前記建築構造材20を垂直に配置してなる柱2を、互いに所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら複数の柱2用の建築構造材20,20の上端部間に、前記建築構造材20を水平に配置してなる梁3を架設することによって形成されているので、高い強度の建築構造材20同士を門型に組み合わせてなる高い強度の門型フレーム4を得ることができる。
また、このような門型フレーム4を用いることで、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【0106】
また、前記梁3用の建築構造材20の一対の棒状部材21,21のうち、上方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の上端面に載置されており、下方に位置する棒状部材21は、前記柱2用の建築構造材20の棒状部材21の側面に取り付けられているので、前記上方に位置する棒状部材21と、前記柱2用の建築構造材20とを梁勝ち納まりとすることができ、前記下方に位置する棒状部材21と、前記柱2用の建築構造材20とを柱勝ち納まりとすることができる。
これによって、前記柱2と梁3とを、単に梁勝ちに納めたり、単に柱勝ちに納めたりする場合に比して強固に接合できるので、より高い強度の門型フレーム4を得ることができる。
【0107】
また、前記梁3用の建築構造材20を、前記木質パネル23の上下縁部にそれぞれ前記角材21aを固定してなる梁構成部材3aとして複数に分割しておき、互いに所定の間隔をあけて柱2を複数配置した後、これら複数の柱2,2の上端部間に、前記複数の梁構成部材3a,3a同士を連結していくことで前記梁3用の建築構造材20を架設するので、前記梁3用の建築構造材20が輸送しにくい長さに設定されていたとしても容易に輸送することができる。
また、前記梁構成部材3aを、前記木質パネル23の上下縁部にそれぞれ前記角材21aを固定することによって形成するので、前記角材21aと木質パネル23とを別個に前記柱2,2の上端部間に架設していく場合に比して、効率よく前記梁3用の建築構造材20を前記柱2,2の上端部間に架設することができる。
また、前記建築構造材20は、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられるとともに、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成された腹材22とを備えているので、腹材22自体の強度を確保できる。さらに、この高強度な腹材22を一対の棒状部材21,21間に挟み込むようにして設けるので、例えば腹材22だけで建築構造材20を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材20を得ることができる。
そして、このような建築構造材20を、建物躯体1を構成する柱2および梁3のうち、少なくとも梁3として用いることによって、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【0108】
また、前記梁3用の建築構造材20の下縁に設けられる棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に、該棒状部材21を構成する複数の角材21a,21aを軸方向に連結しながら架設し、これら複数の柱2,2間に架設された棒状部材21の上面に、該棒状部材21の長手方向に沿って前記複数の木質パネル23,23を取り付けるとともに、該複数の木質パネル23,23を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設し、これら複数の柱2,2間に架設された複数の木質パネル23,23の上面に沿って、前記梁3用の建築構造材20の上縁に設けられる棒状部材21を取り付けるとともに、該棒状部材21を、前記複数の柱2,2の上端部間に架設するので、前記梁3用の建築構造材20が輸送しにくい長さに設定されていたとしても容易に輸送することができる。
また、前記複数の角材21a,21aと、前記複数の木質パネル23とを別個に前記柱2の上端部間に架設することができるので、これら複数の角材21a,21aと複数木質パネル23とを、それぞれ正確に、前記柱2の上端部間に架設することができ、延いては前記梁3用の建築構造材を、前記柱2の上端部間に正確に架設することが可能となる。
また、前記建築構造材20は、長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材21,21と、これら一対の棒状部材21,21間に設けられるとともに、縦横の框材24aを矩形枠状に組み立ててなる枠体24と、この枠体24の両面に貼設される面材25とを有する木質パネル23で構成された腹材22とを備えているので、腹材22自体の強度を確保できる。さらに、この高強度な腹材22を一対の棒状部材21,21間に挟み込むようにして設けるので、例えば腹材22だけで建築構造材20を形成するよりも、さらに高い強度の建築構造材20を得ることができる。
そして、このような建築構造材20を、建物躯体1を構成する柱2および梁3のうち、少なくとも梁3として用いることによって、屋根や床等の上部構造の荷重や積載荷重を確実かつ十分に支持することが可能な建物躯体1を構成することができるので、建物躯体1の長期的な耐久性の維持を実現することが可能となる。
【0109】
また、前記複数の角材21a,21a同士を、前記連結金具30によって連結するので、前記一方の角材21aに埋設固定した第1ボルト32を連結ボックス31に挿し込み、この第1ボルト32に連結ボックス31の開口部31aから挿入された第1ナット35を螺合して締め付けるとともに、前記他方の角材21aに埋設固定した第2ボルト33を前記連結ボックス31に挿し込み、この第2ボルト33に前記開口部31aから挿入された第2ナット36を螺合して締め付けることによって、前記角材21a,21a同士を強固に連結して、前記一対の棒状部材21,21を形成でき、前記木質パネル23の上下縁部をそれぞれ前記一対の棒状部材21,21に接合することによって、より高強度の建築構造材20を得ることができる。
【0110】
また、前記角材21aの端部には、この角材21aの端面および外周面を覆う座金38が設けられているので、この座金38によって前記角材21aの端部を外側から補強できる。また、座金38は、角材21aの端部の保護や緩み防止の機能を発揮することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 建物本体
2 柱
3 梁
4 門型フレーム
20 建築構造材
21 棒状部材
22 腹材
23 木質パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅等の建物の建物躯体を構成する建築構造材であって、
長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材と、これら一対の棒状部材間に設けられ、互いに接合される腹材とを備えており、
この腹材は、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に貼設される面材とを有する木質パネルで構成されていることを特徴とする建築構造材。
【請求項2】
請求項1に記載の建築構造材において、
前記棒状部材および框材は角材からなることを特徴とする建築構造材。
【請求項3】
請求項2に記載の建築構造材において、
前記棒状部材の角材と木質パネルとは同一厚さに形成され、面一に接合されることを特徴とする建築構造材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の建築構造材において、
前記一対の棒状部材は、それぞれ複数の角材を軸方向に連結することによって構成されており、
前記腹材を構成する木質パネルは、前記一対の棒状部材の長手方向に連続して複数配置されており、これら複数の木質パネルの棒状部材側の縁部は、それぞれ前記一対の棒状部材に接合されていることを特徴とする建築構造材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の建築構造材を門型に組み立ててなる門型フレームであって、
前記建築構造材を垂直に配置してなる柱を、互いに所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら複数の柱用の建築構造材の上端部間に、前記建築構造材を水平に配置してなる梁を架設することによって形成されていることを特徴とする門型フレーム。
【請求項6】
請求項5に記載の門型フレームにおいて、
前記梁用の建築構造材の一対の棒状部材のうち、上方に位置する棒状部材は、前記柱用の建築構造材の上端面に載置されており、
下方に位置する捧状部材は、前記柱用の建築構造材の棒状部材の側面に取り付けられていることを特徴とする門型フレーム。
【請求項7】
長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材と、これら一対の棒状部材間に設けられるとともに、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に貼設される面材とを有する木質パネルで構成された腹材とを備える建築構造材を、建物躯体を構成する柱および梁のうち、少なくとも梁として用いることによって建物を施工する方法であって、
前記梁用の建築構造材を、それぞれ複数の角材を軸方向に連結してなる一対の棒状部材と、これら一対の棒状部材の長手方向に連続して複数配置された木質パネルによって構成される腹材とを備えたものとし、
さらに、この梁用の建築構造材を、前記木質パネルの上下縁部にそれぞれ前記角材を固定してなる梁構成部材として複数に分割しておき、
互いに所定の間隔をあけて柱を複数配置した後、
これら複数の柱の上端部間に、前記複数の梁構成部材同士を連結していくことで前記梁用の建築構造材を架設することを特徴とする建物の施工方法。
【請求項8】
長手方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配置される一対の棒状部材と、これら一対の棒状部材間に設けられるとともに、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に貼設される面材とを有する木質パネルで構成された腹材とを備える建築構造材を、建物躯体を構成する柱および梁のうち、少なくとも梁として用いることによって建物を施工する方法であって、
互いに所定の間隔をあけて柱を複数配置し、これら複数の柱の上端部間に、前記梁用の建築構造材を架設するに際し、
前記梁用の建築構造材を、それぞれ複数の角材を軸方向に連結してなる一対の棒状部材と、これら一対の棒状部材の長手方向に連続して複数配置された木質パネルによって構成される腹材とを備えたものとしておき、
前記梁用の建築構造材の下縁に設けられる棒状部材を、前記複数の柱の上端部間に、該棒状部材を構成する複数の角材を軸方向に連結しながら架設し、
これら複数の柱間に架設された棒状部材の上面に、該棒状部材の長手方向に沿って前記複数の木質パネルを取り付けるとともに、該複数の木質パネルを、前記複数の柱の上端部間に架設し、
これら複数の柱間に架設された複数の木質パネルの上面に沿って、前記梁用の建築構造材の上縁に設けられる棒状部材を取り付けるとともに、該棒状部材を、前記複数の柱の上端部間に架設することを特徴とする建物の施工方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の建物の施工方法において、
前記複数の角材同士を、隣り合う前記角材間に配置され、少なくとも一側面に開口部を有する金属製の連結ボックスと、
一方の前記角材に埋設固定され、前記連結ボックスに挿し込まれる第1ボルトと、
他方の前記角材に埋設固定され、前記連結ボックスに挿し込まれる第2ボルトと、
前記連結ボックスにその開口部から挿入されたうえで、前記第1ボルトに螺合して締め付けられる第1ナットと、
前記連結ボックスにその開口部から挿入されたうえで、前記第2ボルトに螺合して締め付けられる第2ナットとを備える連結金具によって連結することを特徴とする建物の施工方法。
【請求項10】
請求項9に記載の建物の施工方法において、
前記角材の端部には この角材の端面および外周面を覆う座金が設けられていることを特徴とする建物の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−144508(P2011−144508A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3810(P2010−3810)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】