説明

建築用接合金具、圧入部材の引抜き方法及び圧入部材の引抜き工具

【課題】木部材を傷つけることなく、楔の打込み及び引抜きを行なうことができ、また、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【解決手段】建築用接合金具1は、テーパ面211の形成された対向する一対の楔板21、上板22及び楔用ナット23を有する楔2と、連結部本体31、連結手段32及び係止手段(係止用ナット)33を有し、梁8の連結部材用穴83に挿入される連結部材3と、連結部本体用孔42の形成された湾曲板41からなり、梁8の楔用穴84に収納され、楔2と当接する当接部材4とを備え、楔2が、当接部材4と係止手段(係止用ナット)33との間に、一対の楔板21が連結部本体31を挟んだ状態で、圧入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木部材を傷つけることなく、楔の打込み及び引抜きを行なうことができ、また、製造原価のコストダウンを図ることができる建築用接合金具、圧入部材の引抜き方法及び圧入部材の引抜き工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、我が国における伝統的な木造軸組建築では、木部材の接合や組立てに独特の軸組工法が採用されてきた。この伝統的な軸組工法においては、複雑な軸組作業をともなう上、接合する各木部材の仕口や継ぎ手等に種々の特殊な加工及び工作法が必要となり、かつ、その作業には高度に熟練した大工職人等の技術が要求されていた。さらに、それらの作業は建築物ごとに実際の施工現場において行なわれていたため、きわめて作業効率が悪く、昨今の人手不足と相まって、工期の長期化や高コスト化等のさまざまな問題を招来していた。
【0003】
そこで、近年、このような問題を解決するべく、木部材の接合に建築用接合金具を用いる、新しい木造軸組工法が採用されるに至った。この木造軸組工法によれば、木部材及びその接合構造を規格化し、仕口や継ぎ手等の加工を不要、あるいは、きわめて単純化することができる。また、必要な加工作業等も全て工場内で集中的に行なうことによって、施工現場においては、これらの加工された木部材を、建築用接合金具を用いて接合するだけですみ、工期の短縮化やコスト削減を図ることができる。
【0004】
上述したように、建築用接合金具を用いた木造軸組工法によれば、特別な技術や加工作業等が不要となり、軸組作業もきわめて単純かつ簡単となるため、施工現場において効率の良い軸組作業を行なうことができる。
上記の建築用接合金具は、様々な構造のものが提案されており、これらの中には、金属製の楔を用いた建築用接合金具も提案されている。
【0005】
たとえば、特許文献1には、接合金物部材、楔受材及び楔を有し、楔を打ち込むことにより、横木部材の仕口面を柱に密着接合した状態に保持する建築仕口接合金物組体(建築用接合金具)の技術が開示されている。
この技術によれば、仕口を常に密着接合した状態に保持することができる。
【特許文献1】特許第3355552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の建築仕口接合金物組体は、楔及び楔受材にテーパ面などを加工する必要があり、加工費が高額となり、製造原価のコストダウンを図ることができないといった問題があった。
また、楔の端部が梁などの木部材から突出するので、外観が損なわれるといった問題があった。
さらに、打ち込まれた楔を容易に引き抜くことができなくなる、あるいは、打ち込まれた楔を引き抜くことができないといった問題があった。また、無理に楔を引き抜こうとすると、木部材に傷を付けてしまう場合があるといった問題もあった。
【0007】
本発明は、上記諸問題を解決すべく、木部材を傷つけることなく、楔の打込み及び引抜きを行なうことができ、また、製造原価のコストダウンを図ることができる建築用接合金具、圧入部材の引抜き方法及び圧入部材の引抜き工具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の建築用接合金具は、縦木部材と横木部材を、押圧した状態で接合する建築用接合金具において、テーパ面の形成された対向する一対の楔板、及び、前記一対の楔板の幅広側の端部どうしを連結する基部を有する楔と、棒状又は筒状の連結部材本体、この連結部材本体の一方の端部に設けられ、前記縦木部材と連結するための連結手段、及び、前記連結部材本体の他方の端部に設けられ、前記楔と当接する係止手段を有し、前記横木部材の連結部材用穴に挿入される連結部材と、前記連結部材本体の貫通する貫通部を有し、前記横木部材の楔用穴に収納され、前記楔と当接する当接部材とを備え、前記楔が、前記当接部材と前記横木部材の楔用穴の内部に突き出た前記係止手段との間に、前記一対の楔板が前記連結部材本体を挟んだ状態で、圧入される構成としてある。
このようにすると、楔が直接的に木部材と当接しないので、木部材を傷つけることなく、楔の打込み及び引抜きを行なうことができる。また、金属製の楔を廉価にかつ容易に製造することができるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0009】
また、好ましくは、前記楔の基部が、該基部を貫通する雌ねじを有するとよい。
このようにすると、楔を引き抜く際、雌ねじにボルトを締め込むと、基部からボルトの先端が突き出て連結部材本体と当接し、さらにボルトを締め込むことにより、容易に楔を引き抜くことができる。また、楔を打ち込む際、雌ねじに締め込まれたボルトを介して、楔を打ち込むことができる。すなわち、ボルトと楔が連結されるので、楔の打ち込まれる方向が安定し、容易に打ち込むことができる。したがって、高所作業における安全性を大幅に向上させることができる。
【0010】
また、好ましくは、前記楔が、板部材と前記一対の楔板との折曲げ加工によって、一体的に形成されるとよい。
このようにすると、楔を容易に製造することができ、さらに、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0011】
また、好ましくは、前記連結部材本体の前記他方の端部に、雄ねじが切られており、前記係止手段が前記雄ねじに締め込まれる係止用ナットであるとよい。
このようにすると、楔が打ち込まれた際に、縦木部材と横木部材とに作用する押圧力を、容易に微調整することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記連結手段が、前記縦木部材に固定された被連結金具を介して、前記縦木部材と連結され、前記被連結金具が、前記横木部材の掛けられる掛け部を有するとよい。
このようにすると、立設された縦木部材に横木部材を接合する際、横木部材を被連結金具に掛けることができるので、作業性及び安全性を大幅に向上させることができる。
【0013】
また、好ましくは、前記横木部材の楔用穴を丸穴とし、前記当接部材が、前記丸穴の側面に対応して湾曲しているとよい。
このようにすると、楔が押し込まれると、対向する一対の楔板どうしが接近する方向に外力を受けるので、楔板どうしが開いてしまい楔が緩むといった不具合を効果的に防止することができる。
【0014】
また、好ましくは、前記圧入された楔が、前記横木部材の楔用穴の内部に収容されるとよい。
このようにすると、圧入された楔が横木部材から突き出た状態で露出し、外観を損なうといった不具合を回避することができる。
【0015】
また、本発明の圧入部材の引抜き方法は、一方の端部が縦木部材と連結され、他方の端部に係止手段を有する、横木部材の連結部材用穴に挿入される連結部材と、前記横木部材及び前記係止手段と当接するように圧入されることにより、前記横木部材を前記縦木部材に押圧する圧入部材とを備えた建築用接合金具の、前記圧入された圧入部材の引抜き方法であって、まず、前記圧入された圧入部材の雌ねじに、雄ねじを有する引抜き工具を締め込み、次に、前記圧入部材から突き出た前記雄ねじの先端が前記連結部材と当接し、続いて、前記引抜き工具をさらに締め込むことにより、前記圧入された圧入部材が引き抜かれる方法としてある。
このように、本発明は、圧入部材の引抜き方法の発明としても有効であり、圧入部材をスムースに移動させ、容易に引き抜くことができる。これにより、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。
【0016】
また、好ましくは、前記圧入部材を、テーパ面の形成された対向する一対の楔板を有する楔とするとよい。
このようにすると、金属製の楔(圧入部材)を廉価にかつ容易に製造することができるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0017】
また、本発明の圧入部材の引抜き工具は、一方の端部が縦木部材と連結され、他方の端部に係止手段を有する、横木部材の連結部材用穴に挿入される連結部材と、前記横木部材及び前記係止手段と当接するように圧入されることにより、前記横木部材を前記縦木部材に押圧する圧入部材とを備えた建築用接合金具の、前記圧入された圧入部材の引抜き工具であって、雄ねじ部と、この雄ねじ部を回転させるためのハンドル又は頭部とを備え、前記圧入された圧入部材の雌ねじに、前記雄ねじ部が締め込まれ、前記圧入部材から突き出た前記雄ねじ部の先端が前記連結部材と当接し、前記雄ねじ部をさらに締め込むことにより、前記圧入された圧入部材を引き抜く構成としてある。
このように、本発明は、圧入部材の引抜き工具の発明としても有効であり、圧入部材をスムースに移動させ、容易に引き抜くことができる。これにより、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における建築用接合金具、圧入部材の引抜き方法及び圧入部材の引抜き工具によれば、木部材を傷つけることなく、楔の打込み及び引抜きを行なうことができ、また、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[建築用接合金具の一実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略斜視図を示している。
図1において、建築用接合金具1は、縦木部材と横木部材(本実施形態においては、柱7と梁8)を、押圧した状態で接合する建築用接合金具であり、楔2、連結部材3、当接部材4、被連結金具5及び連結ピン6などを備えている。
【0020】
(楔)
図2は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の楔を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は上面図を示しており、(c)は側面図を示している。
図2において、楔2は、対向する一対の楔板21、上板22及び楔用ナット23を有している。
楔板21は、ほぼ矩形状の平板の正面側及び背面側の端面に、楔として機能するテーパ面211が形成されている。すなわち、楔板21は、テーパ面211によって、下方ほど幅が狭くなっている。また、テーパ面211の上方には、垂直方向に当接面212が形成されている。この対向する当接面212は、楔2が打ち込まれた際、それぞれ当接部材4及び係止手段33と当接する。この際、当接面212は、テーパ面211のように傾斜していないので、楔2を押し上げようとする外力を受けない。
【0021】
また、上記のテーパ面211は、楔板21の外形を形成する過程で、切断加工などによって形成される。すなわち、フライス加工などの加工を行なわなくてもすむので、金属製(通常、鋼製)の楔2を廉価にかつ容易に製造することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0022】
上板22は、ほぼ正方形状の平板(板部材)であり、一対の楔板21の幅広側の端部(上方の端部)どうしを連結する基部である。
また、上板22及び一対の楔板21は、上述した各形状に対応する一枚の鋼板を折曲げ加工することによって、一体的に形成されている。このようにすると、楔2を容易にかつ効率よく製造することができ、さらに、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0023】
ここで、好ましくは、図示してないが、上板22に、この上板22を貫通する雌ねじが切られているとよい。このようにすると、後述するように、打設された楔2を引き抜く際、上板22の雌ねじにボルトを締め込むと、上板22からボルトの先端が突き出て連結部本体31と当接し、さらにボルトを締め込むことにより、容易に楔2を引き抜くことができる。また、楔2を打ち込む際、雌ねじに締め込まれたボルトを介して、楔2を打ち込むことができる。すなわち、ボルトと楔2が連結されるので、楔2の打ち込まれる方向が安定し、容易に打ち込むことができる。したがって、高所作業における安全性を大幅に向上させることができる。
【0024】
本実施形態の基部である上板22は、楔用ナット23を有している。この楔用ナット23は、市販の四角ナットであり、上板22の上面に溶接される。さらに、上板22は、楔用ナット23に締め込まれたボルト(打込・引抜治具9の雄ねじ部材92)が貫通するボルト用孔221が形成されている。このようにすると、上板22に雌ねじの加工を行なわなくても済むので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
なお、本実施形態の基部は、上記の楔用ナット23を有する上板22としてあるが、この構成に限定されるものではない。たとえば、楔用ナット23を基部として、楔板21を楔用ナット23の側面に溶接する構成としてもよい。また、四角ナットの代わりに、六角ナットを用いてもよい。
【0025】
(連結部材)
図3は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の連結部材を説明するための概略側面図を示している。
図3において、連結部材3は、連結部本体31、連結手段32及び係止手段33を有している。
連結部本体31は、鋼製の丸棒であり、一方の端部が連結手段32と接合され、他方の端部に雄ねじ311が切られている。
連結手段32は、鋼製の円柱部材であり、中心軸方向に挿入穴321が形成され、さらに、側面のほぼ中央部に、中心軸と直交する方向に連結孔322が形成されている。挿入穴321に、連結部本体31の一方の端部が挿入され、連結手段32の端面と連結部本体31の外周面が溶接される。また、連結孔322には、後述するように、先端の尖った連結ピン6が挿入され、これによって、連結部材3は、柱7に固定された被連結金具5と連結される。
【0026】
係止手段33は、市販の六角ナット(係止用ナット)であり、連結部本体31の雄ねじ311に、位置調整された状態で、締め込まれる。このようにすると、楔2が打ち込まれた際に、柱7と梁8とに作用する押圧力を、上記の位置調整によって、容易に微調整することができる。この係止手段(係止用ナット)33は、ナットとしての底面が楔2のテーパ面211及び当接面212と当接する。
なお、係止手段33は、上記構成に限定されるものではなく、たとえば、六角ナットの代わりに、平座金付きナットを用いてもよい。
さらに、雄ねじ311に締め込まれる六角ナットの代わりに、図示してないが、テーパ面211及び当接面212と当接する係止部材(たとえば、棒状部材)を連結部本体31の他方の端部に係合させる構成(たとえば、連結部本体31の他方の端部の貫通孔に棒状部材を挿入し、Tの字状に係合する構成)としてもよい。また、この場合には、連結部本体31として、鋼製のパイプなどを用いてもよい。
【0027】
(当接部材)
図4は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の当接部材を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は上面図を示している。
図4において、当接部材4は、円筒を中心軸に沿って二つ割りした形状に湾曲された鋼板であり、ほぼ中央部に、連結部本体31が貫通する連結部本体用孔42が形成されている。上記鋼板の外面の曲率半径は、梁8に穿設される楔用穴(丸穴)84の半径とほぼ同じである。したがって、当接部材4は、楔用穴84に収納された際、楔用穴84の側面とほぼ密着する。また、当接部材4の内面は、楔2のテーパ面211及び当接面212と当接する。
この当接部材4によって、楔2が直接的に梁8と当接しないので、梁8を傷つけることなく、楔2の打込み及び引抜きを行なうことができる。また、当接部材4は、楔用穴84の側面とほぼ密着しているので、楔2が打ち込まれた際、外力が分散され、大きく変形するといった不具合を回避することができる。
なお、当接部材4は、上記構成に限定されるものではなく、たとえば、湾曲板41の代わりに、楔用穴84に嵌入されるパイプ(図示せず)を用いてもよい。
【0028】
(被連結金具)
図5は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の被連結金具を説明するための概略斜視図を示している。
図5において、被連結金具5は、固定板51と、この固定板51の左右方向の両端部から立設された一対の対向する側板52とを有している。
固定板51は、垂直方向に細長いほぼ矩形状の鋼板であり、ほぼ中央の上下位置の異なる二箇所に、ボルト53が挿入される固定孔511が形成されている。この固定板51は、上記のボルト53などによって、柱7の側面に固定される。
側板52は、垂直方向に細長いほぼ矩形状の鋼板であり、上部に、ガイド面を有するほぼ長円状のあご掛け部(掛け部)522が形成されている。また、中段部及び下部には、連結ピン6の挿入される連結孔521が形成されている。
また、固定板51及び一対の側板52は、上述した各形状に対応する一枚の鋼板を折曲げ加工することによって、一体的に形成されている。このようにすると、被連結金具5を容易にかつ効率よく製造することができ、さらに、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0029】
また、本実施形態の建築用接合金具1は、連結部材3の連結手段32が、柱7に固定された被連結金具5を介して、梁8と連結される。さらに、この被連結金具5は、梁8の掛けられるあご掛け部522を有している。これにより、立設された柱7に梁8を接合する際、梁8を被連結金具5に掛けることができるので、作業性及び安全性を大幅に向上させることができる。
【0030】
次に、上記構成の建築用接合金具1を用いて、柱7と梁8とを接合する手順、及び、これらの接合状態について、図面を参照して説明する。
図6は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略断面図を示している。
図6において、まず、被連結金具5は、ボルト53、平座金54及びナット55によって、柱7の側面に固定されている。なお、これらの作業は、通常、工場内で行なわれ、被連結金具5の取り付けられた柱7は、施工現場に搬送され、立設される。
【0031】
梁8は、工場において、仕口加工が施される。すなわち、梁8は、端面に、ナット55及びボルト53のねじ部を逃げるための溝81、及び、側板52の嵌入されるスリット82が加工される。また、溝81の端面から、連結部本体31及び連結手段32の挿入される連結部材用穴83が穿設され、さらに、梁8の上面から、楔用穴84が穿設される。また、柱7の側面には、被連結金具5のあご掛け部522及び連結孔521と対応する位置に、連結ピン6が挿入される貫通孔(図示せず)が穿設される。
【0032】
次に、当接部材4が楔用穴84に装入され、続いて、連結部材3の連結部本体31が連結部材用穴83に挿入され、雄ねじ311が連結部本体用孔42を貫通して、楔用穴84内に突き出る。ここで、たとえば、係止手段(係止用ナット)33を把持する、スパナなどを改良した治具を用いて、係止手段(係止用ナット)33を楔用穴84に挿入し、雄ねじ311を係止手段33に締め込む。この際、係止手段(係止用ナット)33は、楔2が打ち込まれた際、柱7と梁8との間に、所定の押圧力が発生する位置まで締め込まれる。
続いて、上述したあご掛け部522に対応する、梁8の貫通孔に、連結ピン6が挿入され、その後、施工現場に搬送される。
【0033】
施工現場に搬送された梁8は、吊り上げられ、まず、既に挿入された連結ピン6が、被連結金具5のあご掛け部522に掛けられる。これにより、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。続いて、梁8の貫通孔、連結孔521及び連結孔322に、連結ピン6が挿入され、さらに、梁8の貫通孔及び連結孔521に、連結ピン6が挿入される。このとき、あご掛け部522に掛けられた上方の連結ピン6、及び、梁8の貫通孔及び連結孔521に挿入された下方の連結ピン6によって、梁8は、柱7に一定の押圧力で締め付けられている。また、中段の連結ピン6は、梁8と柱7を接合しているものの、この段階では、楔2が打ち込まれていないので、梁8を柱7に押圧していない。
【0034】
次に、楔2は、当接部材4と楔用穴84の内部に突き出た係止手段(係止用ナット)33との間に、一対の楔板21が連結部本体31を挟んだ状態で、圧入される。本実施形態では、棒状のハンドル91の中央部に雄ねじ部材92を溶接した打込・引抜治具9を用いて、楔2が打設される。ここで、雄ねじ部材92は、楔用ナット23から突き出ないように、楔用ナット23に締め込まれ、打込・引抜治具9と楔2が連結される。これにより、楔2の打ち込まれる方向が安定するので、打込・引抜治具9のハンドル91をハンマーなどで打つことにより、楔2を容易に打ち込むことができる。
【0035】
楔2が打ち込まれると、テーパ面211が当接部材4及び係止手段(係止用ナット)33上を摺動し、連結手段32を柱7と反対側の方向に移動させる。この際、図示してないが、梁8の貫通孔、連結孔521及び連結孔322に挿入された連結ピン6は、まず、連結孔521と連結孔322とに挟まれ、水平方向の位置が固定される。この状態では、柱7に対して、連結部材3の水平方向の位置も固定されている。続いて、さらに、楔2が打ち込まれると、当接部材4と係止手段(係止用ナット)33との間に、楔2が圧入されるので、梁8が柱7の方向に移動し、梁8の端面が柱7の側面に押圧される。すなわち、建築用接合金具1は、楔2が圧入されることにより、梁8と柱7の接合強度を向上させるとともに、上記の一定の押圧力より大きな押圧力で、梁8を柱7に締め付けることができる。
また、本実施形態の楔2は、テーパ面211の上方に、当接面212を有しており、梁8の端面が柱7の側面に所定の力で押圧されるとき、当接面212が、当接部材4及び係止手段(係止用ナット)33と当接している。これにより、打ち込んだ楔2が、上方に移動するといった不具合を防止することができる。
【0036】
ここで、図7に示すように、楔2は、対向する一対の楔板21が連結部本体31を挟んだ状態で打設されるが、上述したように、当接部材4は、楔用穴84の丸穴の側面に対応して湾曲している。したがって、楔2が押し込まれると、対向する一対の楔板21どうしが接近する方向(連結部本体31の中心軸に接近する方向)に外力を受けるので、楔板21どうしが開いてしまい楔2が緩むといった不具合を効果的に防止することができる。
また、楔2を打設した後、打込・引抜治具9を楔用ナット23から容易に外すことができ、楔2を梁8の楔用穴84に完全に収納することができる。これにより、楔2が梁8から突き出た状態で露出し、外観を損なうといった不具合を回避することができる。
さらに、図7に示すように、楔板21の柱7側の端面を、湾曲板41の湾曲形状に応じて面取りしてもよく、このようにすると、楔板21と湾曲板41との接触面積が増えるので、湾曲板41を傷つけることなく、楔2をスムースに圧入することができる。
【0037】
ところで、たとえば、建物をリフォームする場合などにおいては、打ち込んだ楔2を引き抜く作業も発生する。かかる場合、建築用接合金具1は、図8に示すように、打込・引抜治具9の雄ねじ部材92を楔用ナット23に締め込むと、楔用ナット23及び上板22を突き出た雄ねじ部材92の先端が、連結部本体31と当接する。さらに、雄ねじ部材92を締め込むと、連結部本体31に支持された雄ねじ部材92が、楔2をスムースに上方に移動させ、容易に楔2を引き抜くことができる。これにより、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の建築用接合金具1は、楔2が直接的に梁8と当接しないので、梁8を傷つけることなく、楔2の打込み及び引抜きを行なうことができる。また、楔2の打込み及び引抜きを容易に行なうことができるので、高所作業における安全性を大幅に向上させることができる。さらに、楔2を廉価にかつ容易に製造することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
なお、本実施形態の建築用接合金具1は、様々な応用例を有している。
次に、上述した建築用接合金具1の応用例について、図面を参照して説明する。
【0039】
<第一応用例>
図9は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の第一応用例を説明するための、連結部材の概略斜視図を示している。
図9において、本応用例は、上記の建築用接合金具1と比べると、連結部材3の代わりに、連結部材3´を備えた点が相違する。他の構成は建築用接合金具1とほぼ同様としてある。
したがって、図9において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0040】
(連結部材)
連結部材3´は、連結部本体31´、連結手段32´及び係止手段(係止用ナット)33を有している。
連結部本体31´は、市販の六角ボルトであり、六角ボルトの頭部が、連結手段32´の溶接板321´に溶接されている。
連結手段32´は、溶接板321´と、この溶接板321´の左右方向の両端部から立設された一対の対向する側板322´を有している。溶接板321´は、ほぼ正方形状の鋼板である。また、側板322´は、ほぼ正方形状の鋼板であり、ほぼ中央に、連結ピン6が挿入される連結孔323´が形成されている。また、溶接板321´及び一対の側板322´は、上述した各形状に対応する一枚の鋼板を折曲げ加工することによって、一体的に形成されている。このようにすると、連結手段32´を容易にかつ効率よく製造することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
なお、本応用例のその他の構成及び接合状態等は、上記の建築用接合金具1とほぼ同様としてある。
【0041】
このように、本応用例によっても、建築用接合金具1とほぼ同様の効果を得ることができ、梁8を傷つけることなく、楔2の打込み及び引抜きを行なうことができ、また、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0042】
<第二応用例>
図10は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の第二応用例を説明するための概略斜視図を示している。
また、図11は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の第二応用例の接合状態を説明するための概略断面図を示している。
図10及び図11において、本応用例は、上記の建築用接合金具1と比べると、連結部材3及び被連結金具5の代わりに、連結部材3a及び被連結金具5aを備えた点などが相違する。他の構成は建築用接合金具1とほぼ同様としてある。
したがって、図10、11において、図1、6と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0043】
(連結部材)
連結部材3aは、連結部本体及び連結手段としての六角ボルト31aと係止手段(係止用ナット)33を有している。
六角ボルト31aは、胴部が連結部本体として機能し、頭部が連結手段として機能する。また、図示してないが、楔2が打ち込まれていないとき、頭部を、ほぞ85の先端部より柱7側に引き出すことができる。したがって、この引き出された頭部は、吊り上げられた梁8を柱7に接合する際、初めに、被連結金具5aの被連結用切欠521aに掛けられる。これにより、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。
【0044】
(被連結金具)
被連結金具5aは、固定板51a、被連結板52a及びナット56を有している。
固定板51aは、鋼製の円板であり、正面側に被連結板52aが溶接され、背面側にナット56が溶接されている。
被連結板52aは、ほぼ溝型にプレス加工された鋼製の板状部材であり、ほぼ正方形状の正面板に被連結用切欠521aが形成されている。また、固定板51aと被連結板52aとで囲まれた空間に、六角ボルト31aの頭部が、上方から収納され、六角ボルト31aの胴部が、被連結用切欠521aの底部と当接する。
なお、建築用接合金具1aのその他の構成については、ほぼ建築用接合金具1と同様としてある。
【0045】
次に、上記構成の建築用接合金具1aが、柱7と梁8とを接合する手順及び接合状態について説明する。
図11に示すように、まず、被連結金具5aは、柱7の対向する一対の側面に形成された取付穴72に、収納された状態で取り付けられる。すなわち、一対の被連結金具5aは、柱7の全ねじ用孔71に挿入された全ねじ57に、各ナット56が締め込まれることにより、柱7に固定される。また、柱7は、取付穴72の下方に、ほぞ85が嵌入されるほぞ穴73が加工されている。なお、これらの作業は、通常、工場内で行なわれ、被連結金具5aの取り付けられた柱7は、施工現場に搬送され、立設される。
【0046】
梁8は、工場において、仕口加工が施される。すなわち、梁8は、端面に、ほぞ85が加工され、さらに、ほぞ85の上方の端面から、六角ボルト31aの挿入される連結部材用穴83aが穿設され、さらに、梁8の上面から、楔用穴84が穿設される。
【0047】
次に、当接部材4が楔用穴84に装入され、続いて、連結部材3aの六角ボルト31aが連結部材用穴83aに挿入され、雄ねじ311が連結部本体用孔42を貫通して、楔用穴84内に突き出る。ここで、上述したように、雄ねじ311を係止手段(係止用ナット)33に締め込み、その後、施工現場に搬送される。
【0048】
施工現場に搬送された梁8は、吊り上げられ、まず、柱7側に引き出された六角ボルト31aの頭部が、固定板51aと被連結板52aとで囲まれた空間に、上方から収納され、六角ボルト31aの胴部が、被連結用切欠521aの底部と当接する。これにより、梁8を柱7に掛けることができ、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。続いて、梁8が柱7側に移動され、ほぞ85がほぞ穴73に嵌入される。このとき、梁8は、柱7と接合されているものの、梁8は、柱7に押圧されていない。
【0049】
次に、上述したように、打込・引抜治具9を用いて、楔2が打設される。
楔2が打ち込まれると、テーパ面211が当接部材4及び係止手段(係止用ナット)33上を摺動し、まず、六角ボルト31aを柱7と反対側の方向に移動させる。この際、六角ボルト31aは、頭部が被連結板52aに係止されることによって、水平方向の位置が固定される。この状態では、柱7に対して、連結部材3aの水平方向の位置も固定されている。続いて、さらに、楔2が打ち込まれると、当接部材4と係止手段(係止用ナット)33との間に、楔2が圧入されるので、梁8が柱7側の方向に移動し、梁8の端面が柱7の側面に押圧される。
なお、その他の接合状態等については、建築用接合金具1とほぼ同様である。
【0050】
このように、本応用例によっても、建築用接合金具1とほぼ同様の効果を得ることができ、梁8を傷つけることなく、楔2の打込み及び引抜きを行なうことができ、また、製造原価のコストダウンを図ることができる。
さらに、ほぞ85を介して、梁8を柱7に接合する場合にも、建築用接合金具1aを好適に使用することができる。
【0051】
[圧入部材の引抜き方法の一実施形態]
また、本発明は、圧入部材の引抜き方法の発明としても有効である。
本実施形態の圧入部材の引抜き方法は、上述した建築用接合金具1の楔2の引抜き方法である。なお、本実施形態においては、圧入部材を楔2としてある。
まず、本実施形態における建築用接合金具1は、上述したように、連結部材3の一方の端部(連結手段32)が、被連結金具5などを介して、柱7と連結され、他方の端部に係止手段(係止用ナット)33を有している。この連結部材3は、梁8の連結部材用穴83に挿入される。また、楔2は、梁8の楔用穴84に挿入された当接部材4及び係止手段(係止用ナット)33と当接するように打設され、梁8を柱7に押圧する。
【0052】
打設された楔2は、上述したように、楔2の楔用ナット23の雌ねじ231に、打込・引抜治具9の雄ねじ部材92を締め込み、次に、楔2の上板22から突き出た雄ねじ部材92の先端が連結部材3の連結部本体31と当接し、続いて、雄ねじ部材92をさらに締め込むことにより、打設された状態から引き抜かれる。
このように、本実施形態の圧入部材の引抜き方法によれば、楔2をスムースに移動させ、容易に引き抜くことができる。これにより、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。また、楔2は、テーパ面211の形成された対向する一対の楔板21を有しているので、廉価にかつ容易に製造することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0053】
[圧入部材の引抜き工具の一実施形態]
また、本発明は、圧入部材の引抜き工具の発明としても有効である。
本実施形態の圧入部材の引抜き工具は、上述した建築用接合金具1の打設された楔2を引き抜く打込・引抜治具9である。なお、本実施形態においては、圧入部材を楔2としてある。
まず、本実施形態における建築用接合金具1は、上述したように、連結部材3の一方の端部(連結手段32)が、被連結金具5などを介して、柱7と連結され、他方の端部に係止手段(係止用ナット)33を有している。この連結部材3は、梁8の連結部材用穴83に挿入される。また、楔2は、梁8の楔用穴84に挿入された当接部材4及び係止手段(係止用ナット)33と当接するように打設され、梁8を柱7に押圧する。
【0054】
打込・引抜治具9は、上述したように、雄ねじ部としての雄ねじ部材92と、この雄ねじ部材92を回転させるためのハンドル91とを備えている。この打込・引抜治具9は、楔2の楔用ナット23の雌ねじ231に、雄ねじ部材92を締め込み、次に、楔2の上板22から突き出た雄ねじ部材92の先端が連結部材3の連結部本体31と当接し、続いて、雄ねじ部材92をさらに締め込むことにより、打設された楔2を引き抜く構成としてある。
このように、本実施形態の圧入部材の引抜き工具によれば、楔2をスムースに移動させ、容易に引き抜くことができる。これにより、高所作業の安全性を大幅に向上させることができる。
【0055】
以上、本発明の建築用接合金具、圧入部材の引抜き方法及び圧入部材の引抜き工具について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る建築用接合金具、圧入部材の引抜き方法及び圧入部材の引抜き工具は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記建築用接合金具の実施形態等では、楔2の楔板21が、テーパ面211及び当接面212を有する構成としてあるが、この構成に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、テーパ面だけを有する構成としてもよい。また、楔板21の正面側又は背面側の端面にのみ、テーパ面を形成してもよい。
また、被連結金具5、5aは、上記構成のものに限定されるものではなく、様々な構成の被連結金具を用いることができる。
さらに、梁8が太く、かつ、上下方向の幅が広い場合、複数の建築用接合金具1、1aを用いてもよい。また、楔2を打ち込む方向を、水平方向としてもよい。
【0056】
また、建築用接合金具1、1aは、梁8を柱7に接合した後、楔用穴84にラチェットなどの工具を挿入し、係止手段(係止用ナット)33を増し締めすることができる。これにより、容易に押圧力を調整することも可能である。
さらに、楔2を圧入する際、当接部材4と係止手段(係止用ナット)との間に、スペーサやシムを挿入することによって、押圧力を調整してもよい。また、経年変化により、たとえば、押圧力が低下した場合、楔2を引き抜き、スペーサやシムを用いて、楔2を打設しなおしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具を説明するための概略斜視図を示している。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の楔を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は上面図を示しており、(c)は側面図を示している。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の連結部材を説明するための概略側面図を示している。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の当接部材を説明するための概略図であり、(a)は正面図を示しており、(b)は上面図を示している。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の被連結金具を説明するための概略斜視図を示している。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の接合状態を説明するための概略断面図を示している。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具における、楔の圧入状態を説明するための要部の概略断面図を示している。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具における、楔の引抜動作を説明するための要部の概略断面図を示している。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の第一応用例を説明するための、連結部材の概略斜視図を示している。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の第二応用例を説明するための概略斜視図を示している。
【図11】図11は、本発明の一実施形態にかかる建築用接合金具の第二応用例の接合状態を説明するための概略断面図を示している。
【符号の説明】
【0058】
1、1a 建築用接合金具
2 楔
3、3´、3a 連結部材
4 当接部材
5、5a 被連結金具
6 連結ピン
7、7a 柱
8、8a 梁
9 打込・引抜治具
21 楔板
22 上板
23 楔用ナット
31 連結部本体
31´ 六角ボルト
31a 六角ボルト
32、32´ 連結手段
33 係止手段
41 湾曲板
42 連結部本体用孔
51、51a 固定板
52 側板
52a 被連結板
53 ボルト
54 平座金
55 ナット
56 ナット
57 全ねじ
71 全ねじ用孔
72 取付穴
73 ほぞ穴
81 溝
82 スリット
83、83a 連結部材用穴
84 楔用穴
85 ほぞ
91 ハンドル
92 雄ねじ部材
211 テーパ面
212 当接面
221 ボルト用孔
231 雌ねじ
311 雄ねじ
321 挿入穴
321´ 溶接板
322 連結孔
322´ 側板
323´ 連結孔
511 固定孔
521 連結孔
521a 被連結用切欠
522 あご掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦木部材と横木部材を、押圧した状態で接合する建築用接合金具において、
テーパ面の形成された対向する一対の楔板、及び、前記一対の楔板の幅広側の端部どうしを連結する基部を有する楔と、
棒状又は筒状の連結部材本体、この連結部材本体の一方の端部に設けられ、前記縦木部材と連結するための連結手段、及び、前記連結部材本体の他方の端部に設けられ、前記楔と当接する係止手段を有し、前記横木部材の連結部材用穴に挿入される連結部材と、
前記連結部材本体の貫通する貫通部を有し、前記横木部材の楔用穴に収納され、前記楔と当接する当接部材と
を備え、
前記楔が、前記当接部材と前記横木部材の楔用穴の内部に突き出た前記係止手段との間に、前記一対の楔板が前記連結部材本体を挟んだ状態で、圧入されることを特徴とする建築用接合金具。
【請求項2】
前記楔の基部が、該基部を貫通する雌ねじを有することを特徴とする請求項1に記載の建築用接合金具。
【請求項3】
前記楔が、板部材と前記一対の楔板との折曲げ加工によって、一体的に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築用接合金具。
【請求項4】
前記連結部材本体の前記他方の端部に、雄ねじが切られており、前記係止手段が前記雄ねじに締め込まれる係止用ナットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項5】
前記連結手段が、前記縦木部材に固定された被連結金具を介して、前記縦木部材と連結され、前記被連結金具が、前記横木部材の掛けられる掛け部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項6】
前記横木部材の楔用穴を丸穴とし、前記当接部材が、前記丸穴の側面に対応して湾曲していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項7】
前記圧入された楔が、前記横木部材の楔用穴の内部に収容されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の建築用接合金具。
【請求項8】
一方の端部が縦木部材と連結され、他方の端部に係止手段を有する、横木部材の連結部材用穴に挿入される連結部材と、前記横木部材及び前記係止手段と当接するように圧入されることにより、前記横木部材を前記縦木部材に押圧する圧入部材とを備えた建築用接合金具の、前記圧入された圧入部材の引抜き方法であって、
まず、前記圧入された圧入部材の雌ねじに、雄ねじを有する引抜き工具を締め込み、
次に、前記圧入部材から突き出た前記雄ねじの先端が前記連結部材と当接し、
続いて、前記引抜き工具をさらに締め込むことにより、前記圧入された圧入部材が引き抜かれることを特徴とする圧入部材の引抜き方法。
【請求項9】
前記圧入部材を、テーパ面の形成された対向する一対の楔板を有する楔としたことを特徴とする請求項8に記載の圧入部材の引抜き方法。
【請求項10】
一方の端部が縦木部材と連結され、他方の端部に係止手段を有する、横木部材の連結部材用穴に挿入される連結部材と、前記横木部材及び前記係止手段と当接するように圧入されることにより、前記横木部材を前記縦木部材に押圧する圧入部材とを備えた建築用接合金具の、前記圧入された圧入部材の引抜き工具であって、
雄ねじ部と、この雄ねじ部を回転させるためのハンドル又は頭部とを備え、
前記圧入された圧入部材の雌ねじに、前記雄ねじ部が締め込まれ、前記圧入部材から突き出た前記雄ねじ部の先端が前記連結部材と当接し、前記雄ねじ部をさらに締め込むことにより、前記圧入された圧入部材を引き抜くことを特徴とする圧入部材の引抜き工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−24628(P2010−24628A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183891(P2008−183891)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(394016173)有限会社平田建設 (2)
【Fターム(参考)】