説明

振動板、球殻振動板、及び電気音響変換器

【課題】音響特性の変化がより少なく、成形品の反りがより抑制され、成形性に優れた振動板を提供する。
【解決手段】nを3以上の整数としたとき、振動板(1)は、円に内接する正n角形形状の外形部(1gk)を有し、円の中心位置(C1)を含んで設けられた突出部(1b)と、突出部(1b)を囲み外形部(1gk)まで延在するリング状の平坦面部(1a)と、を有し、突出部(1b)と平坦面部(1a)との連結位置を示す連結線(L1)が、円の中心(C1)とは異なる中心(C2)を有する閉曲線であり、平坦面部(1a)が、一端側が連結線(1L)と交わると共に一端側から他端側に向かうに従って連結線(1L)から離隔するよう延在したリブ(1c1〜1c6)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動板、球殻振動板、及び電気音響変換器に係る。
【背景技術】
【0002】
本出願人の出願に係る特許文献1には、次のような電気音響装置が記載されている。
電気音響装置は、所定形状の振動板を要素となる振動板(以下、要素振動板とも称する)として複数個組み合わせることで略球殻状に形成した球殻振動板と、この球殻振動板の内部に各要素振動板に対応して収納された複数の駆動部と、を有する。
各要素振動板と要素振動板それぞれに対応する駆動部のボイスコイルボビンとは連結されており、球殻振動板が駆動部によって拡縮方向に駆動されることで、音を全方位的に放出する。
【0003】
特許文献1には、要素振動板の形状の例が開示されている。
要素振動板の外形形状は正5角形である。中央部に山状の突出部が形成されており、その中心と外形形状の中心とは一致している。突出部を囲む外縁側を平坦な平坦面部とし、突出部と平坦面部との境界線が、外形形状の中心から偏倚した位置を中心とする円となるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−229933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された球殻振動板には、同一の要素振動板が複数枚用いられる。そのため、要素振動板の製造には、量産によるコストダウン効果が得られ、各要素振動板の特性のばらつきが抑えられて品質が安定するという理由から、射出成形法を用いることが望まれる。
射出成形に用いる材料として、例えばポリプロピレン(PP)樹脂がある。
【0006】
振動板を射出成形で形成する場合、成形品の、成形に起因する反りなどの変形に留意する必要がある。
特許文献1に記載した要素振動板を射出成形で形成すると、五角形の周縁における頂点部分に大きな反りが生じる場合のあることが明らかになっている。
また、五角形の各頂点の内、特に、近傍の平坦面部の面積が広い頂点部分(平坦面部と突出部との境界線の中心が偏倚する方向とは反対側になる頂点部分)には、他の頂点部分と比較して大きな反りが生じ易い。
五角形の周縁部に大きな反りが生じると、複数の要素振動板をエッジを介して繋いで球殻振動板を形成した際に、球殻振動板全体の歪みが大きくなって振動が不均一になる、振動板の形状差から各面の放射音そのものが異なる、などの影響により、その球殻振動板を用いた電気音響変換器の音質を損ねる可能性がある。
従って、要素振動板の成形に起因する反りは、できるだけ小さいことが望まれる。
【0007】
一般に、成形品の反りを抑制する方法として、(a)材料を高剛性化する、(b)成形品の板厚を厚くする、(c)射出圧を低く抑えると共に射出後の冷却速度を低下させる、などの方法が知られている。
しかしながら、発明者の検討により、(a)の方法を要素振動板に適用すると、周波数特性が全体的に高域にシフトし、音圧周波数特性,指向特性,及び音色の音響特性が変わるという問題の生じることが判明した。
また、(b)の方法を要素振動板に適用すると、振動板の質量が増加し、周波数特性において、中高域がより高域へシフトした特性となり、全体の音圧が低下してしまうという問題の生じることが判明した。
また、(c)の方法は、要素振動板に限らず、成形品の生産性が低下する点で課題がある。
【0008】
そのため、音響特性の変化がより少なく、成形品の反りがより抑制され、成形性に優れた要素振動板となる振動板の開発が望まれている。
その要素振動板を用いて球殻振動板を形成すれば、生産性に優れ、形状の歪みが少なく音響特性に優れた球殻振動板が得られる。
また、その球殻振動板を用いて電気音響変換器を製造すれば、生産性に優れ、音響特性に優れた電気音響変換器が得られる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、音響特性の変化がより少なく、成形品の反りがより抑制され、成形性に優れた振動板を提供することにある。
また、生産性に優れ、形状の歪みが少なく音響特性に優れた球殻振動板を提供することにある。
また、生産性に優れ、音響特性に優れた電気音響変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本願発明は次の1)〜6)の構成を有する。
1) nを3以上の整数としたとき、円に内接する正n角形形状の外形部(1gk)を有する振動板(1)であって、
前記円の中心位置(C1)を含んで設けられた突出部(1b)と、
前記突出部(1b)を囲み前記外形部(1gk)まで延在するリング状の平坦面部(1a)と、を有し、
前記突出部(1b)と前記平坦面部(1a)との連結位置を示す連結線(L1)が、前記円の中心(C1)とは異なる中心(C2)を有する閉曲線であり、
前記平坦面部(1a)は、一端側が前記連結線(1L)と交わると共に前記一端側から他端側に向かうに従って前記連結線(1L)から離隔するよう延在したリブ(1c1〜1c6)を有することを特徴とする振動板(1)である。
2) nを3以上の整数としたとき、円に内接する正n角形形状の外形部(1gk)を有する振動板(1)であって、
前記円の中心位置(C1)を含んで設けられた突出部(1b)と、
前記突出部(1b)を囲み前記外形部(1gk)まで延在するリング状の平坦面部(1a)と、を有し、
前記突出部(1b)と前記平坦面部(1a)との連結位置を示す連結線(L1)が、前記円の中心位置(C1)に対して一の方向に偏倚した位置を中心(C2)とする円形であり、
前記平坦面部(1a)における、前記連結線(L1)と同径で前記円と同心なる仮想円(L2)の内側の領域と、前記連結線(L1)の外側の領域とが交わる領域(1ak)において、一端側が前記連結(L1)線に接近し、一端側から他端側に向かうに従って前記連結線(L1)から離隔するよう延在したリブ(1c1〜1c5)を有することを特徴とする振動板(1)である。
3) 前記リブ(1c1〜1c5)は、前記連結線(L1)に近い方の端部と前記円の中心(C1)とを通る直線で区切られる一方の側に延在していることを特徴とする1)又は2)に記載の振動板である。
4) 前記リブ(1c1〜1c5)は、前記他端側が前記外形部(1gk)に達していることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の振動板(1)である。
5) 1)〜4)のいずれかに記載の振動板(1)を複数備え、前記振動板(1)それぞれがその辺同士が対向するようエッジ(3)を介して略球殻形状に連結されていることを特徴とする球殻振動板(50)である。
6) 5)に記載の球殻振動板(50)と、前記球殻振動板(50)の内部に収められ前記球殻振動板(50)の前記複数の振動板(1)それぞれに連結した複数の駆動部(20)と、前記複数の駆動部(20)を固定した基体(80)と、を備えたことを特徴とする電気音響変換器(100)である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振動板について、音響特性の変化がより少なく、成形品の反りがより抑制され、成形性に優れるという効果が得られる。
また、球殻振動板について、生産性に優れ、形状の歪みが少なく、音響特性に優れるという効果が得られる。
また、電気音響変換器について、生産性に優れ、音響特性に優れるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の振動板の実施例を説明するための三面図である。
【図2】本発明の振動板の実施例を説明するための断面図である。
【図3】本発明の振動板の実施例を説明するための外観斜視図である。
【図4】本発明の電気音響変換器の実施例を説明するための外観斜視図である。
【図5】本発明の電気音響変換器の実施例を説明するための他の角度から見た外観斜視図である。
【図6】本発明の電気音響変換器の実施例を説明するための模式的斜視図である。
【図7】本発明の電気音響変換器の実施例における構造体を説明するための分解図である。
【図8】本発明の電気音響変換器の実施例における構造体を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の電気音響変換器の実施例におけるエッジを説明するための平面図と断面図である。
【図10】本発明の球殻振動板の実施例における球殻振動板の製造途中の中間形状について説明する平面図である。
【図11】本発明の電気音響変換器の実施例を説明するための平面図である。
【図12】本発明の球殻振動板の実施例における振動板接合部を説明するための断面図である。
【図13】本発明の振動板の実施例の効果を説明するための比較例,実施例、及び変形例の平面図である。
【図14】本発明の振動板の実施例及び変形例の効果を説明するためのグラフである。
【図15】本発明の振動板の実施例における変形例を説明する図である。
【図16】本発明の振動板の実施例における寸法例を説明する三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図16を用いて説明する。
【0014】
<要素振動板>
まず、要素となる振動板1について詳述する。
図1(a)は振動板1の平面図である、図1(b)は図1(a)における下方側側面図であり、図1(c)は右側側面図である。
図2は、図1(a)におけるS1−S1断面図である。
【0015】
図1〜図3に示すように、実施例の振動板1は、外形が正多角形に形成されている。具体的には、外形が円に内接する正n角形(n:3以上の整数)とされており、この例では正5角形である。
正5角形の各頂点を、図1(a)のように、P1〜P5として示す。
振動板1は、樹脂を射出成形することで形成される。使用する材料例として、ポリプロピレン(PP)樹脂がある。
PP樹脂のペレットに物性改質材を混合し成形を行ってもよい。
物性改質材として、マイカ、ケブラー(登録商標)がある。
【0016】
振動板1は、中央部分に一面側に突出する突出部1bを有し、外形側に突出部1bを囲む平坦面1a1を有する平坦面部1aが形成されている。
平坦面部1aは、正5角形の外形部1gkまで延在している。
突出部1bは、その先端側に設けられた環状部1kと、環状部1kから平坦面部1aに向け断面が曲線となる傾斜面を有する傾斜部1sと、を有している。
詳しく説明すると、環状部1kは、先端に設けられた幅d1(図2,図3参照)なるリング状平坦面の突出端面1b1と、突出端部1b1の外周縁に連結し概ね平坦面部1aと直交するよう形成された周面1b2と、を有している。
突出端面1b1の中心側は、平坦面1a側に凹んだ凹部1b3とされている。
凹部1b3は、例えば球面として形成されている。
【0017】
傾斜部1sは、周面1b2と平坦面1a1とを繋ぐ略漏斗状の曲面1s1を有している。
曲面1s1と平坦面1a1とが連結する位置を示す線を連結線L1とすると、
連結線L1は、外形の中心C1とは異なる中心を有する閉曲線とされている。
例えば、図1(a)及び図2に示すように、連結線L1は直径φL1なる円形であり、その中心C2が、外形の中心C1に対して頂点P1に向けΔdだけ偏倚した位置にある。
また、曲面1s1は、曲率中心が平坦面1a1に対して突出部1bの突出側と同じ側に位置するように設定された曲面であり、その曲率は、曲面1s1が少なくとも平坦面1a1に対し連続して連結するように設定されている。ここで、連続して連結するとは、接続部位が屈曲なく滑らかに接続していることを意味する。
連結線L1は、曲面1s1と平坦面1a1とが連続して接続している場合には、屈曲した位置を示す明確な線として認識されるものではなく、曲率の変化開始位置を示す線として認識されるものである。その場合でもここでは便宜的に実線として示している。
【0018】
図1〜図3を参照して詳しく説明すると、直径φL1なる連結線L1の中心C2(図1参照)を通り平坦面1a1に直交する中心軸LC2(図2参照)は、振動板1の中心C1(図1参照)を通る中心軸LC1(図2参照)に対してΔdだけ頂点P1側に偏った位置にある。
従って、曲面1s1は、頂点P1に向かう位置において曲率半径R1(曲率中心QC1として)が最も大きく、頂点P1から離れた位置において曲率半径R2(曲率中心QC2として)が最も小さく、その間の曲率が連続的に変化するように形成されている。
【0019】
図1〜図3において、連結線L1が円形でその中心C2が振動板1の外形の中心C1に対して一方に偏倚して位置していることから、平坦面部1aにおいては、一方側よりも他方側の平坦面1a1の面積の方が拡張して大きくなっている。
実施例では、一方側は頂点P1側である。
従って、振動板1の平坦面部1aは、頂点P1の近傍よりも頂点P3及び頂点P4の近傍の方が剛性が低くなっている。
このため、振動板1を射出成形で形成した場合の成形に起因する変形が、頂点P1の近傍よりも頂点P3及びP4の近傍に大きく生じ易い。
そこで、実施例の振動板1は、平坦面部1aに、一端側が連結線L1と交わると共に前記一端側から他端側に向かうに従って連結線L1から離隔するよう延在したリブ1c1〜1c6を有している。
このリブ1c1〜1c6は、例えば、一端側が連結線L1に略接線方向から接近し、一端側から他端側に向かうに従って連結線L1から離隔するよう延在する。
また、リブ1c1〜1c6は、平坦面部1aにおいて、頂点P1近傍を除く部分に設けられているとよい。
リブ1c1〜1c6は、少なくとも、平坦面部1aにおける連結線L1と同径で中心C1を中心とする仮想円L2の内側の領域と、連結線L1の外側の領域とが交わる領域1akに存在するように設けられているとよい。図1において仮想円L2の円弧の一部を一点鎖線で示している。
【0020】
図1(a)において、リブ1c1〜1c6は、中心C1を通らない直線上に形成されている。具体的には、リブ1c1〜1c6は、中心C1に対して外側方向に向け放射状に一方向回りとなる直線状に形成されている。図1(a)では右回りの例を示している。
また、リブ1c1〜1c6は、突出部1bと同じ側に突出して形成されている。
また、リブ1c1〜1c6は、中心C1から遠い側の端部が振動板1の頂点または隣接する頂点同士を繋ぐ辺に位置し、中心C1に近い側の端部が連結線L1と交わるまたは接する位置とされている。
具体的には、リブ1c1〜1c6は、連結線L1の接線方向に設けられているか、または連結線1に接線に近い角度で交わる直線上に設けられている。
このように、リブ1c1〜1c6を連結線L1の接線方向に設ける、または接線に近い角度で交わる直線上に設けることで、リブ1c1〜1c6を中心C1を通る直線上に延在するように設けた場合や中心C1に対して同心円状に設けた場合と比較して、振動板1の外縁部分の変形を良好に抑制することができる。
また、リブ1c1〜1c6は、連結線L1に近い方の端部と円の中心C1とを通る直線で区切られる一方の側に延在している。図1におけるリブ1c3を代表として説明すると、リブ1c3は、連結線L1に近い方の端部1c3tと円の中心c1とを通る直線L100で区切られる左右の領域の内の左側の領域に延在している。
【0021】
図1(a)に示すように、実施例においては、リブ1c1,1c3,1c5は、それぞれ頂点P2,P3,P4に一方の端部が位置し、リブ1c2は、頂点P2と頂点P3とを繋ぐ辺の中点に一方の端部が位置し、リブ1c4は、頂点P3と頂点P4とを繋ぐ辺の中点に一方の端部が位置している。
リブ1c6については、一方の端部が頂点4と頂点5とを繋ぐ辺の中点以外に位置させている。これは、外観品位上、リブの密集をさけて意匠的に良いバランスを得るためである。
【0022】
振動板1は、連結線L1が、その中心C2が偏倚せず中心C1と一致するよう突出部1bが設けられていた場合に対し、中心C2がΔdだけ偏倚したことで拡張した平坦面部1aの拡張領域1akに必ずリブが存在するように形成されるとよい。この拡張領域1akは、上述のように平坦面部1aにおける仮想円L2連結線L1との間の領域である。
図1(a)において、拡張領域1akは斜線を付した範囲で示されている。
実施例では、拡張領域1akに、リブ1c6を除くリブ1c1〜1c5の少なくとも一部が存在している。
振動板1は、例えば平均肉厚0.3mmとされている。リブ1c1〜1c6の断面形状は例えば矩形であり、その寸法例としては、突出高さ0.6mm、幅0.35mmである。
【0023】
射出成形におけるゲート形式は、例えば、外形部1gkの端面に設けられるサイドゲートとする。そして、成形後にゲートカット処理を施して外形を整え振動板1を得る。
【0024】
上述した振動板1を一枚用い、振動板1とそれを駆動する一つの駆動部とを有する電気音響変換器を構成することができる。
【0025】
<球殻振動板及びそれを用いた電気音響変換器>
球殻振動板50及びそれを用いた電気音響変換器100について、主に図4〜図16を用いて説明する。
【0026】
球殻振動板50について図4〜図6を用いて説明する。
実施例の球殻振動板50は、振動板1を複数枚連結して概ね球殻状に構成したものである。
図4は、球殻振動板50を用いた電気音響変換器100の外観斜視図であり、支柱101とは反対側の斜め位置から見た斜視図である。
図5は、電気音響変換器100を支柱101側の斜め位置から見た斜視図である。図5においては、リブ1c1〜1c6の図示を省略している。
図6は、図4に対応する模式的斜視図で、球殻振動板50の外形形状のみ実線で示し、内部の構造体80を破線で示している。
【0027】
実施例の振動板1は、外形が正5角形なので、各辺同士を連結することで正12面体を形成することができる。
球殻振動板50は、11枚の振動板1を互いの辺同士を連結して一面が開放した正12面体状にした部分を有する。
球殻振動板50は、内部に複数の駆動部20を有する構造体80を収納し、構造体80と結合した支柱101が、球殻振動板50の開放した一面から外部に延出している。
球殻振動板50は、11枚の振動板1を有して構成され、開放した一面がプレート2で塞がれている(図5参照)。
図5に示すように、プレート2は、支柱101を挿通する孔2aを有して正5角形に形成され、支柱101の所定位置に取り付けられている。プレート2はアルミニウムにより板状に形成されている。支柱101は、アルミニウムにより中空環状に形成されている。
【0028】
11枚の振動板1及びプレート2は、互いにエッジ3を介して連結されている(図5参照)。
【0029】
図7は、構造体80を説明する斜視的分解図である。
構造体80は、五角形の基面80aを12面有する正12面体形状に形成された基体81と、12面の基面80aの内、11面に取り付けられる11個の駆動部20とを有して構成されている。図7では、代表して一つの駆動部20について示している。この駆動部20は基体81へ装着される直前の状態を示している。
【0030】
基体81は、アルミニウムのダイキャスト等により内部に空間を有する概ね殻状に形成されている。基体81は中実に形成されていてもよい。
各基面80aには、切削加工等により、開口部80bが形成され、内部空間と連通されている。
3つの基面80aが交わる頂点には、開口部80bに駆動部20が取り付けられた後に内部と外部との空気流動を可能とする空気孔80cが形成されている。
基体80の図7における底面側の基面80a側には穴(図示せず)が形成されており、支柱101がその穴に嵌着されている。
支柱101はネジ(図示せず)により基体80に固定されている。
【0031】
駆動部20は、筐体20kの先端部21側が開口部80bに挿入され筐体の段部26が基面80aに当接した位置で接着剤あるいはネジ(図示せず)などにより基体81に固定されている(図8参照)。
駆動部20は図示しない磁気回路とその磁気回路により往復駆動されるボイスコイルボビン24とを備えている。
ボイスコイルボビン24は、駆動部20が基体81に固定された状態で、基面80aに対して直交する駆動軸CL24(図8では一箇所について図示)を有するよう突設している。
ボイスコイルボビン24の先端は、球殻振動板50の各振動板1の環状部1kの裏面側(突出部1bが突出するのとは反対面側)に固定される。
各駆動部20に音声信号を供給する信号線(図示せず)は、外部から支柱101の内部に通され、さらに基体81の内部を経て各駆動部に接続されている。
【0032】
次に、振動板1を用いて球殻振動板50を形成しつつ構造体80と一体化する工程について説明する。
【0033】
図9にエッジ3の平面図と断面図(S9−S9)とを示す。
エッジ3は、振動板1の外形形状に対応して正5角形の環状に形成され、断面形状においてU字状を呈すると共に外形に沿って正5角形状に形成されたU字部3aと、U字部3aの内側に鍔状に延在するのりしろ部3bと、U字部3aから外側に張り出すように延在するフランジ部3cとを有して形成されている。
エッジ3の材料として、ポリイソブチレンゴム(IIR)やアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などを用いることができる。
振動板1は、のりしろ部3bの一面側(実施例では図9の平面図における紙面手前側)に、リブ1c1〜1c6が形成されていない側の面1n〔図1(b)参照〕が接着剤adh1(図12も参照)により固着される。のりしろ部3bは、中心に近い程、厚肉に形成されており、これにより振動板1とを固着した際の強度の偏りが生じにくくなる。
【0034】
このようなエッジ3を11枚の振動板1それぞれに固着する。
次に、図10に示すように、エッジ3付き振動板1の一つ(符号1Aで示す)の各辺に五つのエッジ3付き振動板1(符号1B1〜1B5で示す)の各辺を接着剤により固着する。
その際、振動板1B1〜1B5については、頂点P1が振動板1Aに連接せず、一方向回り(例えば、図10のRt1方向)の先頭位置となるようにする。
頂点P1は、連結線L1が偏倚している側の頂点である。
具体的には、図10において、振動板1B1〜1B5の頂点P1は、振動板1Aに対して左回りの先頭に位置するようになっている。
振動板1B1〜1B5における振動板1Aから遠い側で頂点P1を含まない辺それぞれに、エッジ3付き振動板1(符号1C1〜1C5で示す)の辺を接着剤により固着する。
その際、振動板1C1〜1C5については、頂点P1が振動板1Bに連接せず、一方向回り(例えば、図10のRt2方向)の先頭位置となるようにする。
具体的には、図10において、振動板1C1〜1C5の頂点P1は、振動板1Aに対して右回りの先頭に位置するようになっている。
【0035】
11枚の振動板1を図10のように、一つの振動板1Aとその各辺から伸びる5つの腕状部とを有する形態に形成したら、構造体80における11個のボイスコイルボビン24の先端部に接着剤を塗布し、振動板1Aを構造体80の支柱101とは反対側の駆動部20のボイスコイルボビン24に載せ、振動板1B1〜1B5及び振動板1C1〜1C5を各駆動部のボイスコイルボビン24に対応するように周方向の位置合わせをして両者を固着する。
具体的には、図2に示すように、ボイスコイル24の先端部と各振動板1の環状部1kの裏面側の壁とを接着剤により固着する。
また、隣接する振動板1のエッジ3同士を接着剤で固着する。具体的には、エッジ3のフランジ部3c同士を接着剤で固着する。
【0036】
このように、振動板1同士を、エッジ3を介して固着した状態の断面図を図12に示す。図12では、エッジ3同士を接着する接着剤を符号4で示している。
【0037】
振動板1C1〜1C5については、振動板1B1〜1B5と固着するのに加えてプレート2に対応するエッジ3の各辺とプレート2の各辺とを同様に接着剤で固着する。
【0038】
接着剤adh1,4は汎用品を使用することができる。接着剤が硬化後に可撓性を有するか否かは限定されない。
以上の工程を経て、振動板1により球殻振動板50を形成しつつ構造体80と一体化して、電気音響変換器100が製造される。
【0039】
図11は、電気音響変換器100の側面図である。
図11では、電気音響変換器100を、天面に配設された振動板1Aと、振動板1Aに接続された振動板1B1〜1B5の内の振動板1B5,1B1と、振動板1B5,1B1に接続された振動板の内の振動板1C4,1C5,1C1と、が視認される向きで示している。
【0040】
振動板1B1〜1B5と振動板1C1〜1C5とが連結された境界線RLは、ジグザグ状に球殻振動板50を図11の上側と下側とに2分している。
球殻振動板50は、境界線RLの図11における上側と下側とで、各振動板1における頂点P1の位置が右向きと、左向きと、逆になるように形成されている。
具体的には、境界線RLの上側では、頂点P1は、図11の右側に位置するように各振動板1B1〜1B5の向きが設定され、下側では、頂点P1は、図11の左側に位置するように各振動板1C1〜1C5の向きが設定されている。
【0041】
これにより、電気音響変換器100は、図11の上下方向での音圧変動が平均化され、聴取位置によらず良好な再生音が得られる。
境界線RLの上側においては振動板1B1〜1B5が、また、下側においては振動板1C1〜1C5が、互いに平坦面部1aにおけるリブ1c1〜1c6を設けた側と設けてない側とで連結されている。すなわち、リブ1c1〜1c6を設けていない側同士は連結されていない。これにより、球殻振動板50の剛性が一様に向上し、分割振動がより抑制されるのでより良好な再生音が得られる。
【0042】
球殻振動板50の剛性向上に寄与する振動板1の剛性向上について実測データを基に図13(a)〜(c)及び図14を用いて説明する。
図13(b)は、振動板1の平面図であり、図13(a)は、振動板1におけるリブ1c1〜1c6を削除した比較例としての振動板200の平面図であり、図13(c)は、振動板1にリブ201c7〜201c10を加えた形状の振動板201を示す平面図である。具体的にリブは、振動板1におけるリブ1c1〜1c6に相当するリブ201c1〜201c6と、さらにリブ201c7〜201c10とを有する。振動板201は実施例の振動板1の変形例である。
以下、図13(a)〜(c)で示される振動板200,1,201を、便宜的にそれぞれ、「リブなし」、「一部リブ有」、「全周リブ有り」とも称する。
【0043】
振動板201のリブ201c1〜201c10の内、リブ201c1〜201c5は、振動板1のリブ1c1〜1c6と同じに設けられている。
リブ201c7〜201c10は、平坦面部1aに、一端側が連結線L1に略接線方向から接近し、一端側から他端側に向かうに従って連結線L1から離隔するよう延在するリブとして、201c1〜201c6と同じ側に突出して形成されている。
各リブ201c7〜201c10は、中心C1から遠い側の端部が振動板1の頂点または隣接する頂点同士を繋ぐ辺に位置し、中心C1に近い側の端部が連結線L1と交わるまたは接する位置とされている。具体的には、各リブ201c7〜201c10は、連結線L1の接線方向に設けられているか、または連結線1に接線に近い角度で交わる直線上に設けられている。
リブ201c7,201c9、それぞれ頂点P5,P1に一方の端部が位置し、リブ201c8は、頂点P5と頂点P1とを繋ぐ辺の中点に一方の端部が位置し、リブ201c10は、頂点P1と頂点P2とを繋ぐ辺の中点に一方の端部が位置している。
リブ201c6については、一方の端部が頂点4と頂点5とを繋ぐ辺の中点以外に位置させている。これは、外観品位上、リブの密集をさけて意匠的に良いバランスを得るためである。
振動板201は、平坦面部1aにおいて、頂点P1の近傍を含めほぼ全周にわたるようにリブ201c1〜201c10が設けられている。
【0044】
振動板200,1,201それぞれのモード周波数(Hz)を、モード次数1〜6について測定した結果と、リブなしの振動板200のモード周波数を基準とし、それに対するリブ態様別、すなわち、一部リブ有りの振動板1と全周リブ有りの振動板201とについて、モード周波数のシフト量(増減分)をパーセントで示した結果を表1に示す。
表1ではモード周波数が高い方へシフトした場合をプラス、低い方へシフトした場合をマイナスで示している。
【表1】

図14は、表1で示されたシフト量をグラフ化したものである。
【0045】
図13(a)〜(c)及び図14から明らかなように、リブなしの振動板200に対して、リブを設けた振動板1,201は、モード周波数が高い方へ移動する傾向が顕著である。
詳しくは、モード次数1,2,4,及び5で明確な高域へのシフトが見られる。モード次数1,2,5において10%以上の大きなシフト量が得られている。シフトが発生するモード次数及びシフト量について、リブ態様の違いによらずほぼ同じになっている。
【0046】
一般に、振動板の剛性が高くなると、モード周波数が高い方へシフトするので、振動板200(リブなし)よりも振動板1(一部リブ有り)及び振動板201(全周リブ有り)の方が、剛性が高いことがわかる。
振動板1(一部リブ有り)と振動板201(全周リブ有り)とは、モード周波数のシフト量がほぼ同じで、モード周波数の値もほぼ同じになっている。
すなわち、振動板1と振動板201とは剛性がほぼ同じである。
従って、振動板201よりもリブが少なく質量が小さい振動板1の方が、同じ駆動回路で駆動させた場合の応答が速くなり、より良好な再生音が得られる。
各振動板をPP樹脂で成形した場合の具体的な質量例は次の通りである。
振動板200(リブなし) :0.6825g
振動板1(一部リブ有り) :0.7158g
振動板201(全周リブ有り):0.7347g
従って、振動板として同様の剛性を得たい場合は、全周リブ有りの振動板201よりも、一部リブ有りの振動板1の態様とした方が、質量において、
(0.7347−0.7158)/0.7347=25.72×10-3 だけ、
すなわち、約2.6%軽量化することができる。
【0047】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0048】
振動板1のリブ1c1〜1c6及び振動板201のリブ201c7〜201c10は、種々変形が可能である。
いくつかの変形例を図15(a)〜図15(c)に模式的に示す。これらの例では代表として振動板1のリブ1c1〜1c6について説明するが、振動板201のリブ201c1〜201c10にも同様に適用できる。
図15(a)は、リブ11aを直線状ではなく曲線状に形成した例である。
この例において、各リブ11aの曲率中心は、各リブ11aに対して同じ側にある。
図15(b)は、リブ11bの中心Coに対する放射方向が、左まわり方向のリブ11b1と右方向のリブ11b2との両方設けた例である。
図15(c)は、図15(b)における回転方向が異なるリブを、振動板1の表面と裏面のそれぞれに分けて形成した例である。
【0049】
上述した実施例及びその変形例によれば、リブ1c1〜1c6,リブ201c1〜201c10,又はリブ11a〜11bが設けられているので、射出成形に起因よる振動板1の反りが抑制され、球殻振動板50に採用できない振動板1の成形不良率が大幅に低減する。
リブ1c1〜1c6,リブ201c1〜201c10,又はリブ11a〜11bを設けることにより、図1(a)に示されるように、振動板1は左右に非対称形状となるので、振動板の分割振動の不均一化が促進でき、音響特性において顕著な共振ピークやディップの発生を抑制することができる。
音質面においては、大振幅の信号が入力されても、球殻振動板50の跳躍現象発生が抑制され、異音が生じることがない。
リブ1c1〜1c6,リブ201c1〜201c10,又はリブ11a〜11bを設けることで平坦面部1aの剛性が高まっているので、平坦面部1aの分割振動が大幅に軽減され、歪みのより少ない良質の再生音が得られる。
また、リブ1c1〜1c6,リブ201c1〜201c10,又はリブ11a〜11bを設けることで、振動板1の剛性が周方向により均一になっている。
そのため、各リブを設けた振動板1を一枚用い、振動板1とそれを駆動する一つの駆動部とを有する電気音響変換器を構成した場合、例えば振動板1の中心軸上で聴取する再生音は、振動板1の中心軸まわりの向き(姿勢)による音質差が極めて少ないものになる。
従って、リブ1c1〜1c6,リブ201c1〜201c10,又はリブ11a〜11bを設けた振動板1により形成した球殻振動板50を用いた電気音響変換器100は、全体の放射音がより均一化されて良好な音響特性が得られる。
【0050】
実施例の振動板1の寸法例を図16に示す。図16では平面図において突出部1bの領域に斜線を付している。振動板1の寸法はこの図16に示されるものに限定されない。
要素振動板が正5角形以外の正多角形では、隣接する振動板の辺と辺とを離して連結しないと略球殻状に形成できない場合もある。
その場合は、エッジの形状を、エッジが略球殻面の一部を形成する形状とし、そのエッジが各要素振動板の間の隙間を埋める構造にすることで球殻状に形成することができる。
【0051】
リブ1c1〜1c6,201c1〜201c10,11a〜11bの断面形状は、実施例の矩形に限らない。
三角形、半円、半楕円等、種々の断面形状としてよい。その高さは、板厚よりも大きくすると、振動板1の変形抑制効果がより大きくなる。
リブ1c1〜1c6,リブ201c1〜201c10,又はリブ11a〜11bを設けることで、振動板1自体の板厚を異ならせた場合や、材質を異ならせた場合の音色変化が少なくなる。
【0052】
リブは突出部1bにも設けてよい。
この場合、突出部1bは朝顔の花弁状に突出した部位であるのでリブを設けなくても平坦面部1aよりも剛性が高いことから、突出部1bに設けたリブにより突出部1bの剛性はより高くなる。従って、リブを設けた平坦面部1aとリブを設けた突出部1bの剛性差を顕著に縮めるものではない。
一方、突出部1bにリブを設けずに平坦面部1aにのみリブを設けると、平坦面部1aの剛性が向上することで突出部1bと平坦面部1aとの剛性差が少なくなり、振動板1として剛性バランスが良好になるので、より望ましい。
【0053】
上述のように、振動板1は、連結線L1が、その中心C2が偏倚せず中心C1と一致するよう突出部1bが設けられていた場合に対し、中心C2がΔdだけ偏倚したことで拡張した平坦面部1aの拡張領域1akに必ずリブが存在するように形成されるとよいものである。この場合、リブ1c1〜1c5の、中心C1側の端部が、必ずしも連結線L1上に位置していなくてもよく、例えば、平坦面部1a上に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,11,201 振動板(要素振動板)
1a 平坦面部
1ak 拡張領域
1a1 平坦面
1b 突出部
1b1 突出端面
1b2 周面
1b3 凹部
1c1〜1c6,201c1〜201c10,11a,11b1,11b2 リブ
1gk 外形部
1k 環状部
1s 傾斜部
1s1 曲面
2 プレート
2a 孔
3 エッジ
3a U字部
3b のりしろ部
3c フランジ部
4 接着剤
20 駆動部
24 ボイスコイルボビン
50 球殻振動板
80 構造体
80a 基面
80b 開口部
81 基体
100 電気音響変換器
101 支柱
L1 連結線
P1〜P5 頂点
φL1 (連結線の)直径
C1,C2 中心
CL24 駆動軸
LC1,LC2 中心軸
R1,R2 曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
nを3以上の整数としたとき、円に内接する正n角形形状の外形部を有する振動板であって、
前記円の中心位置を含んで設けられた突出部と、
前記突出部を囲み前記外形部まで延在するリング状の平坦面部と、を有し、
前記突出部と前記平坦面部との連結位置を示す連結線が、前記円の中心とは異なる中心を有する閉曲線であり、
前記平坦面部は、一端側が前記連結線と交わると共に前記一端側から他端側に向かうに従って前記連結線から離隔するよう延在したリブを有することを特徴とする振動板。
【請求項2】
nを3以上の整数としたとき、円に内接する正n角形形状の外形部を有する振動板であって、
前記円の中心位置を含んで設けられた突出部と、
前記突出部を囲み前記外形部まで延在するリング状の平坦面部と、を有し、
前記突出部と前記平坦面部との連結位置を示す連結線が、前記円の中心位置に対して一の方向に偏倚した位置を中心とする円形であり、
前記平坦面部における、前記連結線と同径で前記円と同心なる仮想円の内側の領域と、前記連結線の外側の領域とが交わる領域において、一端側が前記連結線に接近し、一端側から他端側に向かうに従って前記連結線から離隔するよう延在したリブを有することを特徴とする振動板。
【請求項3】
前記リブは、前記連結線に近い方の端部と前記円の中心とを通る直線で区切られる一方の側に延在していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の振動板。
【請求項4】
前記リブは、前記他端側が前記外形部に達していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の振動板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動板を複数備え、前記振動板それぞれがその辺同士が対向するようエッジを介して略球殻形状に連結されていることを特徴とする球殻振動板。
【請求項6】
請求項5記載の球殻振動板と、前記球殻振動板の内部に収められ前記球殻振動板の前記複数の振動板それぞれに連結した複数の駆動部と、前記複数の駆動部を固定した基体と、を備えたことを特徴とする電気音響変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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