換気送風装置
【課題】矩形波通電の換気送風装置において、スイッチング素子の発熱が多い場合、高温雰囲気では放熱部品が必要となるため駆動回路が大きくなるという課題があり、発熱が少なく高温雰囲気でも駆動可能で信頼性の高いスイッチング素子及び、放熱部品を不要にして、駆動回路が小型になることおよび、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、高所で作業しなければならないため作業がしづらいという課題があり、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業できること目的とする。
【解決手段】スイッチング素子に双方向スイッチング素子2を使用しスイッチング素子に内蔵されたダイオードに流れる電流を抑制し発熱を抑えたものである。
【解決手段】スイッチング素子に双方向スイッチング素子2を使用しスイッチング素子に内蔵されたダイオードに流れる電流を抑制し発熱を抑えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子に双方向素子を使用したブラシレスDCモータの駆動回路を搭載したレンジフード等の換気送風装置に係り、矩形波通電で通電切替えをする駆動回路において、スイッチング素子の発熱を抑えて高温雰囲気内でも駆動できる換気送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラシレスDCモータやその駆動回路は消費電力が少なく、耐久性に優れていることから、長時間にわたり使用される換気送風装置、例えばレンジフードや天井埋込形換気扇に搭載されるようになってきた。レンジフードは、ガスレンジが燃焼するため高温雰囲気で使用され、更に、その駆動回路はスイッチング素子が発熱し、放熱部品が必要となるので大型化していた。
【0003】
図10は従来のレンジフードにブラシレスDCモータを搭載し、実際に台所に設置された例を示している。図10(a)はレンジフードの説明図であり、レンジフード119はキャビネット115の内部にブラシレスDCモータ132及び送風ファン116を取り付けた構造としている。また、キャビネット115の外部にブラシレスDCモータの駆動回路112を内蔵した回路ケース127を取り付け、フード118の内部にブラシレスDCモータ132の運転停止を行うスイッチ回路107を内蔵した回路ケース126を取り付け、ブラシレスDCモータの駆動回路112はスイッチ回路107の運転停止信号を接続線114により受け取り、モータ接続線125を通してブラシレスDCモータ132を駆動させる。一方、台所で調理する時に発生する熱気、煙や蒸気はブラシレスDCモータ132により送風ファン116が回転することによって、フード118に取り付けられた整流板120及びフィルタ117を通って送風される。
【0004】
図10(b)はレンジフード119の設置状態の例を示し、室外側はキャビネット115が外壁122のはり桟等に取り付けられ、室内側は幕板123が取り付けられている。ブラシレスDCモータ132に取り付けられた送風ファン116を回転させることによって、台所の熱気、煙や蒸気を室内からアダプタ128及び外壁122に設けられたフード121を通して、室外に排出させる。
【0005】
ここで、回路ケース126に内蔵された転停止等のスイッチ操作をするスイッチ回路107の周囲は台所で調理する時に発生する熱気で高温になるため、回路ケース127に内蔵された駆動回路112はスイッチング素子の発熱の余裕が少なくブラシレスDCモータ132の出力アップができない。このため、直接高温にならないキャビネット115の上に設置している。
【0006】
図11、図12及び図13は従来の回転子の位置を回転子の磁石の磁極を3つ磁気センサで検出し、その信号の組合せによってブラシレスDCモータの3相の固定子巻線に印加するモータ電圧を決定し、矩形波通電で回転させるブラシレスDCモータの駆動回路が知られている。(例えば、特許文献1参照)以下、そのブラシレスDCモータの駆動回路の動作について説明する。
【0007】
図11に示すように、直流電源105は、インバータ回路101に直流電圧を供給する。インバータ回路101は3相インバータブリッジの構成であり、Q1,Q2,Q3はそれぞれU,V,W相の上アームのスイッチング素子102であり、同じようにQ4,Q5,Q6はそれぞれU,V,W相の下アームのスイッチング素子102である。各スイッチング素子102は通常MOSFETが使用され、それぞれ並列に還流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6を内蔵した構造となっている。また、スイッチング素子102の発熱が多い場合、放熱部品124が配置されている。図12はスイッチング素子102に放熱部品124が配置された図を示す。放熱部品124は一般に熱伝導率の良いアルミニウムでできたいわゆる放熱フィンが使われ、スイッチング素子102の発熱が多いほど放熱のために大型化する。ブラシレスDCモータ132は固定子103と回転子104から構成され、固定子103には電気角で120度の位相差を持つように3相固定子巻線LU,LV,LWが配置される。
【0008】
直流電源105とインバータ回路101のスイッチング素子102の間にはモータ電流を検出するための電流検出抵抗106を接続する。
【0009】
回転子104は磁石がN極、S極と交互に配置され、その近傍には位置検出手段109である120度の位相差を持つように3個の磁気センサHU,HV,HWが配置され、回転子104の磁極の位置を検出する位置検出信号を出力し、ブラシレスDCモータの駆動回路112のマイクロコンピュータ110に内蔵された通電手段108に出力される。
【0010】
一方スイッチ回路107はブラシレスDCモータ132を運転、停止させる運転信号を通電手段108に出力する。通電手段108はスイッチ回路107より出力される運転信号が運転の時、位置検出手段109より出力させる3つの位置検出信号の組合せより、インバータ回路101のどの双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をスイッチングさせるかの通電信号をドライブ回路111に出力する。また、通電手段108はスイッチ回路107より出力される運転信号が停止の時、インバータ回路101の双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をオフする通電信号をドライブ回路111に出力する。
【0011】
ドライブ回路111は通電手段108から出力される通電信号に基づいて、実際に動作させるゲート電圧VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−をインバータ回路101の双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6に出力させる。インバータ回路101はドライブ回路111のゲート電圧に基づいて実際にスイッチング素子102をオン、オフさせてブラシレスDCモータ132を運転又は停止させる。
【0012】
図13は各部の波形を示し、図13(a)は運転時の波形であり、HU,HV,HWは位置検出手段29から出力される位置検出信号の組合せである。VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−は位置検出信号の組合せに対し通電手段108から出力され、例えば、(HU,HV,HW)=(H,H,L)の組合せに対し(A部の破線のタイミング参照)、(VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−)=(L,L,PWM,L,L,H)のゲート電圧を出力する。ここで、PWMは交互にH,Lの信号を交互に出力し、H,L信号の幅の比率を変え、モータ電圧を調整する信号である。回転子104の回転に応じて順次変わる位置検出信号の組合せに対応して、図に示すようなゲート電圧を出力する。この時双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6はゲート電圧がH(PWMがHの場合も含む)の場合、オンし、Lの(PWMがLの場合も含む)場合、オフする。
【0013】
また、図示はしていないが、停止時、HU,HV,HWの位置検出信号の組合せにかかわらず(VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−)=(L,L,L,L,L,L)の通電信号を出力する。
【0014】
図13(b)は双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6と還流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6に流れる電流を示した図である。例えばQ5,D5において、Q5を正の方向に流れる電流を上部の電流波形とすると、D5は逆に負の 方向に流れるので、下部の波形になる。つまり、VgV+がPWMでHの場合、Q2及びQ6はオンし、直流電源105からQ2を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6にモータ電流が流れる。(A部の破線のタイミング参照)この時、D2、Q5、D5にはモータ電流は流れない。次に、VgV+がPWMでLの信号の場合、モータ電流は固定子巻線LV,LWのインダクタンスによって流れ続けようとするので、Q2はオフし、D5を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6に流れる。その他のスイッチング素子や還流ダイオードについても同じ現象となる。
【特許文献1】特開平10−146090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、このような従来の構成では、ゲート電圧VgV+がPWMのHの場合、上段のスイッチング素子Q2はオンするとともに、モータ電流が流れ、ゲート電圧VgV+がPWMのLの場合、下段の還流ダイオードD5に電流が流れる。したがって、スイッチング素子Q2に電流が流れる場合、スイッチング素子のオン電圧は少ないため、この時の発熱はほとんどないが、下段の還流ダイオードD5に流れる場合、0.7V程度の順方向電圧降下が発生するため、発熱が著しい。他のスイッチング素子や還流ダイオードについても同じ現象となり、還流ダイオードD4,D6に流れる場合、0.7V程度の順方向電圧降下が発生するため発熱が著しい。
【0016】
このようなスイッチング素子を使用した駆動回路112は、風量アップによりモータ電流が多くなりスイッチング素子の発熱が所定の温度以上になると、レンジフードのスイッチ回路107を取り付けているフード118の内部の高温雰囲気に取り付けることができず、雰囲気温度の低いキャビネット115の外部の上面に設置されていた。
【0017】
したがって、スイッチング素子の発熱が多い場合、高温雰囲気では放熱部品が必要となるため駆動回路が大きくなるという課題があり、発熱が少なく高温雰囲気でも駆動可能で信頼性の高いスイッチング素子及び、放熱部品を不要にして、駆動回路が小型になることが求められている。
【0018】
またメンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、高所で作業しなければならないため作業がしづらいという課題があり、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業できることが求められている。
【0019】
操作回路と駆動回路が離れている場合、回路をつなぐ接続線や回路を格納するケースが余分に必要になり、省資源にならなくコストアップするという課題があり、接続線や回路を格納する回路ケースの材料を減らすことが求められている。
【0020】
また回路を一体化する場合、フード内の限られたスペースに取り付けなければならないため、駆動回路を更に小型化にすることが求められている。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、スイッチング素子の発熱が抑えられるため、高温雰囲気でも駆動が可能な信頼性の高いスイッチング素子ができ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路の小型化ができ、また、高温雰囲気で使用されるスイッチ回路と同じ場所で駆動回路が使用できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業でき、また、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため回路をつなぐリード線や回路を格納する余分なケースを不要にし、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる例えば、レンジフード等の換気送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の換気送風装置は上記目的を達成するために、直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路と、このインバータ回路に接続する3相の固定巻線と固定子を有するブラシレスDCモータと、前記スイッチング素子をPWM制御させるブラシレスDCモータの駆動回路とを搭載した換気送風装置において、前記スイッチング素子は、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置としたものである。
【0023】
この手段により、スイッチング素子の発熱を抑えることができ高温雰囲気でも駆動可能な信頼性の高いスイッチング素子が得られ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型化できる換気送風装置が得られる。
【0024】
また、他の手段は、駆動回路は第一ゲート端子、第二ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子を備えたスイッチング素子で構成したインバータ回路において、前記第一ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に双方向デバイスのオン状態と逆方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第二ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に順方向ダイオードと前記順方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオフして順逆双方向に電流を遮断する特性を有するように動作させて、前記スイッチング素子のダイオードに電流が流れる時に前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、発熱を減少させる構成としたものである。
【0025】
この手段により、ダイオードに流れる電流を抑制でき、スイッチング素子の発熱が抑えられ高温雰囲気でも駆動可能な信頼性の高いスイッチング素子が得られ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型化できる換気送風装置が得られる。
【0026】
また、他の手段は、駆動回路は上段のスイッチング素子のみPWM制御する構成の場合、前記双方向素子は下段のみに使用する構成としたものである。
【0027】
この手段により、上段の従来のスイッチング素子でダイオードには電流が流れず発熱が抑えられるため、上段のゲート回路が少なくて済み、回路の小型化とコストダウンができる換気送風装置が得られる。
【0028】
また、他の手段は、駆動回路はこの駆動回路の運転停止を操作するスイッチ回路を同じ場所に設置する構成としたものである。
【0029】
この手段により、スイッチ回路と同じフード内で駆動回路を設置できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業することができる換気送風装置が得られる。
【0030】
また、他の手段は、駆動回路は操作回路と一体にした構成としたものである。
【0031】
この手段により、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため、回路をつなぐリード線や回路を格納するケースが余分に必要でなくなり、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる換気送風装置が得られる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、発熱が抑えられ高温雰囲気でも駆動可能で信頼性の高いスイッチング素子ができ、また、放熱部品を不要にし駆動回路が小型化した換気送風装置を提供できる。
【0033】
また、上段の従来のスイッチング素子でダイオードには電流が流れず発熱が抑えられるため、上段のゲート回路が少なくて済み、回路の小型化とコストダウンができる換気送風装置を提供できる。
【0034】
また、高温雰囲気で使用されるスイッチ回路と同じ場所で駆動回路が使用できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業する換気送風装置を提供できる。
【0035】
また、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため、回路をつなぐリード線や回路を格納するケースが余分に必要でなくなり、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる換気送風装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の請求項1記載の発明は、直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路と、このインバータ回路に接続する3相の固定巻線と固定子を有するブラシレスDCモータと、前記スイッチング素子をPWM制御させるブラシレスDCモータの駆動回路とを搭載した換気送風装置において、前記スイッチング素子は、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置としたものである。
【0037】
このことにより、スイッチング素子の発熱が抑えることができ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型にすることができる。
【0038】
また、本発明の請求項2記載の発明は、駆動回路は第1ゲート端子、第2ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子を備えた前記スイッチング素子で構成したインバータ回路において、前記第1ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に双方向デバイスのオン状態と逆方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第2ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に順方向ダイオードと前記順方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第1ゲート端子及び前記第2ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、前記第1ゲート端子及び前記第2ゲート端子をオフして順逆双方向に電流を遮断する特性を有するように動作させて、前記スイッチング素子のダイオードに電流が流れる時に前記第1ゲート端子及び前記第2ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、発熱を減少させる構成としたものである。
【0039】
このことにより、ダイオードに流れる電流を抑制するため、スイッチング素子の発熱が抑えられられることができ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型にすることができる。
【0040】
本発明の請求項3記載の発明は、駆動回路は上段のスイッチング素子のみPWM制御する構成の場合、前記双方向素子は下段のみに使用した構成としたものである。
【0041】
このことにより、上段の従来のスイッチング素子でダイオードには電流が流れず発熱が抑えることができ、また、上段のゲート回路が少なくすることができる。
【0042】
本発明の請求項4記載の発明は、駆動回路はこの駆動回路の運転停止を操作するスイッチ回路を同じ場所に設置する構成としたものである。
【0043】
このことにより、スイッチング素子の発熱が抑えられ高温雰囲気で使用されるスイッチ回路と同じ場所で駆動回路が使用できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業することができる。
【0044】
本発明の請求項5記載の発明は、駆動回路は操作回路と一体にしたことを特徴とする請求項1乃至4記載の換気送風装置である。
【0045】
このことにより、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため、回路をつなぐリード線や回路を格納するケースが余分に必要でなくなり、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0047】
(実施の形態1)
図1に示すように、直流電源25は、インバータ回路1に直流電圧を供給する。インバータ回路1は3相インバータブリッジの構成であり、Q1,Q2,Q3はそれぞれU,V,W相の上アームに配置した双方向スイッチング素子2であり、同じようにQ4,Q5,Q6はそれぞれU,V,W相の下アームに配置した双方向スイッチング素子2である。ブラシレスDCモータ22は固定子23と回転子24から構成され、固定子23には電気角で120度の位相差を持つように3相固定子巻線LU,LV,LWが配置される。
【0048】
直流電源25とインバータ回路1の双方向スイッチング素子2の間にはモータ電流を検出するための電流検出抵抗26を接続する。
【0049】
回転子24は磁石がN極、S極と交互に配置され、その近傍には位置検出手段29として120度の位相差を持つように3つの磁気センサHU,HV,HWが配置され、回転子24の磁極の位置を検出する位置検出信号を出力し、ブラシレスDCモータの駆動回路32のマイクロコンピュータ30に内蔵された通電手段28に出力される。
【0050】
一方スイッチ回路27はブラシレスDCモータ22を運転させる時、通電手段28に運転信号を出力する。通電手段28はスイッチ回路27より出力される運転信号と位置検出手段29より出力させる3つの位置検出信号の組合せより、インバータ回路1のどの双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をスイッチングさせるかの通電信号をドライブ回路31に出力する。
【0051】
ドライブ回路31は通電手段28から出力される通電信号に基づいて、実際に動作させるゲート電圧Vg1U+,Vg2U+,Vg1U−,Vg2U−,Vg1V+,Vg2V+,Vg1V−,Vg2V−,Vg1W+,Vg2W+,Vg1W−,Vg2W−をインバータ回路1の双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6に出力させるいわゆるゲート回路である。インバータ回路1はドライブ回路31のゲート電圧に基づいて実際に双方向スイッチング素子2をオン、オフさせてブラシレスDCモータ22を駆動する。
【0052】
図2は双方向スイッチング素子2の構造を説明した図である。双方向スイッチング素子2は第1ゲート端子3と第2ゲート端子4とドレイン端子5とソース端子6により構成されている。双方向スイッチング素子2は、シリコン(Si)からなる基板7の上に厚さが10nm窒化アルミニウム(AlN)と厚さが10nmの窒化ガリウム(GaN)とが交互に積層されてなる厚さが1μmのバッファ層8が形成され、その上に半導体層積層体9が形成されている。半導体層積層体9は、第1の半導体層と第1の半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2の半導体層とが基板側から順次積層されている。第1の半導体層は、厚さが2μmのアンドープの窒化ガリウム(GaN)層10であり、第2の半導体層は、厚さが20nmのn型の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層11である。GaN層10のAlGaN層11とのヘテロ界面近傍には、自発分極及びピエゾ分極による電荷が生じる。これにより、シートキャリア濃度が1×1013cm−2以上でかつ移動度が1000cm2V/sec以上の2次元電子ガス(2DEG)層であるチャネル領域が生成されている。半導体層積層体9の上には、互いに間隔をおいて第1のオーミック電極12Aと第2のオーミック電極12Bとが形成されている。第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12Bは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とが積層されており、チャネル領域とオーミック接合を形成している。また、コンタクト抵抗を低減するために、AlGaN層11の一部を除去するとともにGaN層10を40nm程度掘り下げて、第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12BがAlGaN層11とGaN層10との界面に接するように形成した例を示している。なお、第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12Bは、AlGaN層11の上に形成してもよい。n型のAlGaN層11の上における第1のオーミック電極12Aと第2のオーミック電極12Bとの間の領域には、第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bが互いに間隔をおいて選択的に形成されている。第1のp型半導体層13Aの上には第1のゲート電極14Aが形成され、第2のp型半導体層13Bの上には第2のゲート電極14Bが形成されている。第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bは、それぞれパラジウム(Pd)と金(Au)とが積層されており、第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bとオーミック接触している。AlGaN層11及び第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bを覆うように窒化シリコン(SiN)からなる保護膜15が形成されている。保護膜15を形成することで、いわゆる電流コラプスの原因となる欠陥を保障し、電流コラプスを改善することが可能となる。第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bは、それぞれ厚さが300nmで、マグネシウム(Mg)がドープされたp型のGaNからなる。第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bと、AlGaN層11とによりPN接合がそれぞれ形成される。これにより、第1のオーミック電極12Aと第1のゲート電極14Aとの間の電圧が例えば0Vでは、第1のp型GaN層からチャネル領域中に空乏層が広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができ、同様に、第2のオーミック電極12Bと第2のゲート電極14Bとの間の電圧が例えば0V以下のときには、第2のp型GaN層からチャネル領域中に空乏層が広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができ、いわゆるノーマリーオフ動作をする半導体素子を実現している。第1のオーミック電極12Aの電位をV1、第1のゲート電極14Aの電位をV2、第2のゲート電極14Bの電位をV3、第2のオーミック電極12Bの電位をV4とする。この場合において、V2がV1より1.5V以上高ければ、第1のp型半導体層13Aからチャネル領域中に広がる空乏層が縮小するため、チャネル領域に電流を流すことができる。同様にV3がV4より1.5V以上高ければ、第2のp型半導体層13Bからチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができる。つまり、第1のゲート電極14Aのいわゆるしきい値電圧及び第2のゲート電極14Bのいわゆるしきい値電圧は共に1.5Vである。以下においては、第1のゲート電極14Aの下側においてチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができるようになる第1のゲート電極14Aのしきい値電圧を第1のしきい値電圧とし、第2のゲート電極14Bの下側においてチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができるようになる第2のゲート電極14Bのしきい値電圧を第2のしきい値電圧とする。また、第1のp型半導体層13Aと第2のp型半導体層13Bとの間の距離は、第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12Bに印加される最大電圧に耐えられるように設計する。第1のオーミック電極12Aと第1のゲート電極14Aとの間にゲート駆動信号(すなわち、第1ゲート端子3への制御信号)を入力するようになっている。第2のオーミック電極12Bと第2のゲート電極14Bとの間も同様である。なお、ソース端子6は第1のオーミック電極12Aに接続され、ドレイン端子5は第2のオーミック電極12Bに接続され、第1ゲート端子3は第1のゲート電極14Aに接続され、第2ゲート端子4は第2のゲート電極14Bに接続されている。
【0053】
次に、双方向スイッチング素子2の動作について説明する。説明のため、第1のオーミック電極の電位を0Vとし、第1ゲート端子3に印加するゲート電圧をVg1、第2ゲート端子4に印加するゲート電圧をVg2、第2のオーミック電極12Bと第1のオーミック電極12Aとの間の電圧をVs2s1、第2のオーミック電極12Bと第1のオーミック電極12Aとの間に流れる電流をIs2s1とする。
【0054】
V4がV1よりも高い場合、例えば、V4が+100Vで、V1が0Vの場合において、第1ゲート端子3と第2ゲート端子4の入力電圧であるVg1及びVg2をそれぞれ第1のしきい値電圧及び第2のしきい値電圧以下の電圧、例えば0Vとする。これにより、第1のp型半導体層13Aから広がる空乏層が、チャネル領域中を第2のp型GaN層の方向へ向けて広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができる。したがって、V4が正の高電圧であっても、第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aへ流れる電流を遮断する遮断状態を実現できる。一方、V4がV1よりも低い場合、例えばV4が−100Vで、V1が0Vの場合においても、第2のp型半導体層13Bから広がる空乏層が、チャネル領域中を第1のp型半導体層13Aの方向へ向けて広がり、チャネルに流れる電流を遮断することができる。このため、第2のオーミック電極12Bに負の高電圧が印加されている場合においても、第1のオーミック電極12Aから第2のオーミック電極12Bへ流れる電流を遮断することができる。すなわち、双方向スイッチング素子2の双方向の電流を遮断することが可能となる。
【0055】
以上のような構造及び動作において、耐圧を確保するためのチャネル領域を第1のゲート電極14Aと第2のゲート電極14Bとが共有する。この素子は、1素子分のチャネル領域の面積で双方向スイッチング素子2が実現可能であり、双方向スイッチング素子2全体を考えると、2つのダイオードと2つのノーマリーオフ型のAlGaN/GaN−HFETとを用いた場合と比べてチップ面積をより少なくすることができ、双方向スイッチング素子2の低コスト化及び小型化が可能となる。
【0056】
次に、第1ゲート端子3、第2ゲート端子4の入力電圧であるVg1及びVg2が、それぞれ第1のしきい値電圧及び第2のしきい値電圧よりも高い電圧、例えば5Vの場合には、第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bに印加される電圧は、共にしきい値電圧よりも高くなる。したがって、第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bからチャネル領域に空乏層が広がらないため、チャネル領域は第1のゲート電極14Aの下側においても、第2のゲート電極14Bの下側においてもピンチオフされない。その結果、第1のオーミック電極12Aと第2のオーミック電極12Bとの間に双方向に電流が流れる導通状態を実現できる。
【0057】
次に、Vg1を第1のしきい値電圧よりも高い電圧とし、Vg2を第2のしきい値電圧以下とした場合の動作について説明する。第1ゲート端子3、第2ゲート端子4を備えた双方向スイッチング素子2を等価回路で表すと図3(a)に示すように第1のトランジスタ16と第2のトランジスタ17とが直列に接続された回路とみなすことができる。この場合、第1のトランジスタ16のソース(S)が第1のオーミック電極12A、第1のトランジスタ16のゲート(G)が第1のゲート電極14Aに対応し、第2のトランジスタ17のソース(S)が第2のオーミック電極12B、第2のトランジスタ17のゲート(G)が第2のゲート電極14Bに対応する。このような回路において、例えば、Vg1を5V、Vg2を0Vとした場合、Vg2が0Vであるということは第2のトランジスタ17のゲートとソースが短絡されている状態と等しいため、双方向スイッチング素子2は図3(b)に示すような回路とみなすことができる。更に、図3(b)に示す第2のトランジスタ17のソース(S)をA端子、ドレイン(D)をB端子、ゲート(G)をC端子として説明を行う。図に示すB端子の電位がA端子の電位よりも高い場合には、A端子がソースでB端子がドレインであるトランジスタとみなすことができ、このような場合、C端子(ゲート)とA端子(ソース)との間の電圧は0Vであり、しきい値電圧以下のため、B端子(ドレイン)からA端子(ソース)に電流は流れない。一方、A端子の電位がB端子の電位よりも高い場合には、B端子がソースでA端子がドレインのトランジスタとみなすことができる。このような場合、C端子(ゲート)とA端子(ドレイン)との電位が同じであるため、A端子の電位がB端子を基準としてしきい値電圧以下の場合にはA端子(ドレイン)からB端子(ソース)へ電流を通電しない。A端子の電位がB端子を基準としてしきい値電圧以上となると、ゲートにB端子(ソース)を基準としてしきい値電圧以上の電圧が印加され、A端子(ドレイン)からB端子(ソース)へ電流を流すことができる。つまり、トランジスタのゲートとソースとを短絡させた場合、ドレインがカソードでソースがアノードのダイオードとして機能し、その順方向立ち上り電圧はトランジスタのしきい値電圧となる。そのため、図3(a)に示す第2のトランジスタ17の部分は、ダイオードとみなすことができ、図3(c)に示すような等価回路となる。図3(c)に示す等価回路において、双方向スイッチング素子2のドレイン端子5の電位がソース端子6の電位よりも高い場合、第1のトランジスタ16の第1ゲート端子3に5Vが印加されている場合には、第1のトランジスタ16はオン状態であり、S2からS1へ電流を流すことが可能となる。ただし、ダイオードの順方向立ち上り電圧によるオン電圧が発生する。また、双方向スイッチング素子2のS1の電位がS2の電位よりも高い場合、その電圧は第2のトランジスタ17からなるダイオードが担い、双方向スイッチング素子2のS1からS2へ流れる電流を阻止する。つまり、第1ゲート端子3にしきい値電圧以上の電圧を与え、第2ゲート端子4にしきい値電圧以下の電圧を与えることにより、いわゆる双方向素子をオンした状態とドレイン側にダイオードのカソード側を直列接続した動作が可能なスイッチが実現できる。
【0058】
図4は、双方向スイッチング素子2のVs2s1とIs2s1との関係であり、図4(a)は、Vg1とVg2とを同時に変化させた場合を示し、図4(b)はVg2を第2のしきい値電圧以下の0Vとし、Vg1を変化させた場合を示し、図4(c)はVg1を第1のしきい値電圧以下の0VとしてVg2を変化させた場合を示している。なお、図4において横軸であるS2−S1間電圧(Vs2s1)は、第1のオーミック電極12Aを基準とした電圧であり、縦軸であるS2−S1間電流(Is2s1)は第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aへ流れる電流を正としている。図4(a)に示すように、Vg1及びVg2が0Vの場合及び1Vの場合には、Vs2s1が正の場合にも負の場合にもIs2s1は流れず、双方向スイッチング素子2は遮断状態となる。また、Vg1とVg2とが共にしきい値電圧よりも高くなると、Vs2s1に応じてIs2s1が双方向に流れる導通状態となる。一方、図4(b)に示すように、Vg2を第2のしきい値電圧以下の0Vとし、Vg1を第1のしきい値電圧以下の0Vとした場合には、Is2s1は双方向に遮断される。しかし、Vg1を第1のしきい値電圧以上の2V〜5Vとした場合には、Vs2s1が1.5V未満の場合にはIs2s1が流れないが、Vs2s1が1.5V以上になるとIs2s1が流れる。つまり、第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aにのみに電流が流れ、第1のオーミック電極12Aから第2のオーミック電極12Bには電流が流れない逆阻止状態となる。また、Vg1を0Vとし、Vg2を変化させた場合には図4(c)に示すように、第1のオーミック電極12Aから第2のオーミック電極12Bにのみに電流が流れ、第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aには電流が流れない逆阻止状態となる。
【0059】
以上より、双方向スイッチング素子2は、そのゲートバイアス条件により、双方向の電流を遮断・通電する機能を有するとともに、ダイオードの動作も可能であり、そのダイオードの電流が通電する方向も切り換えることができる。すなわち、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置としたものである。
【0060】
以上、説明したように双方向スイッチング素子2の第1ゲート端子3と第2ゲート端子4のオンあるいはオフ条件に応じて、4つの動作モードで動作することができる。図5は4つの動作モードとして状態(1)、状態(2)、状態(3)、状態(4)を等価回路として具体的に示したものである。
【0061】
本構造はJFETに類似しているが、キャリア注入を意図的に行うという点で、ゲート電界によりチャネル領域内のキャリア変調を行うJFETとは全く異なった動作原理により動作する。具体的には、ゲート電圧が3VまではJFETとして動作するが、pn接合のビルトインポテンシャルを超える3V以上のゲート電圧が印加された場合には、ゲートに正孔が注入され、前述したメカニズムにより電流が増加し、大電流かつ低オン抵抗の動作が可能となる。
【0062】
また、双方向スイッチング素子2は、第1のゲート電極14Aがp型の導電性を有する第1のp型半導体層13Aの上に形成され、第2のゲート電極14Bがp型の導電性を有する第2のp型半導体層13Bの上に形成されている。このため、第1の半導体層と第2の半導体層との界面領域に生成されるチャネル領域に対して、第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bから順方向のバイアスを印加することにより、チャネル領域内に正孔を注入することができる。窒化物半導体においては正孔の移動度は、電子の移動度よりもはるかに低いため、チャネル領域に注入された正孔は電流を流す担体としてほとんど寄与しない。このため、第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bから注入された正孔は同量の電子をチャネル領域内に発生させるので、チャネル領域内に電子を発生させる効果が高くなり、ドナーイオンのような機能を発揮する。つまり、チャネル領域内においてキャリア濃度の変調を行うことが可能となるため、動作電流が大きいノーマリオフ型の窒化物半導体層双方向スイッチング素子を実現することが可能となる。
【0063】
図6は各部の波形を示し、図6(a)は駆動時の波形であり、HU,HV,HWの位置検出手段29から出力される位置検出信号の組合せの波形は従来の図13(a)と同じであるので省略している。ゲート電圧Vg1U+,Vg2U+,Vg1U−,Vg2U−,Vg1V+,Vg2V+,Vg1V−,Vg2V−,Vg1W+,Vg2W+,Vg1W−,Vg2W−は位置検出信号の組合せに対し通電手段28から出力され、例えば、位置検出信号(HU,HV,HW)=(H,H,L)の組合せに対し、(Vg1U+,Vg2U+,Vg1U−,Vg2U−,Vg1V+,Vg2V+,Vg1V−,Vg2V−,Vg1W+,Vg2W+,Vg1W−,Vg2W−)=(L,H,L,H,PWM,H,PWM,H、L,H,H,H)のゲート電圧を出力する。(A部の破線のタイミング参照)したがって、(Vg1V+,Vg2V+)=(PWM,H)となり、PWMがHの時、図5より状態(3)となりQ2は双方向の通電状態になりオンしている。PWMがLの時、同様に状態(2)となり、Q2はダイオードの向きより遮断状態になりオフしている。また、Vg1V−,Vg2V−も同様でありQ5をオン、オフしている。他のゲート電圧の組やスイッチング素子も同様となっている。また、Vg1V+のPWMに対し、Vg1V−のPWMはゲート電圧のH,Lが相反しており、Vg1V+がHの場合、Vg1V−はLとなっている。逆に、Vg1V+がLの場合、Vg1V−はHとなっている。他のゲート電圧の組やスイッチング素子も同様となっている。なお、Vg1V+,Vg2V+とVg1V−,Vg2V−のゲート電圧の組が同時にHになって、直流電源25を双方向スイッチング素子2のQ2,Q5が同時に短絡しないように、いわゆるデッドタイムの期間をいれている。他のゲート電圧の組や双方向スイッチング素子も同様となっている。図7はこれらの詳細を示している。例えば、Vg1V+,Vg2V+のゲート電圧の組でQ2は期間(1),(5)において状態(3)、期間(2),(3),(4),(6)において状態(2)でオン、オフしている。また、Vg1V−,Vg2V−のゲート電圧の組でQ5は期間(1),(2),(4),(5),(6)において状態(2)、期間(3),(7)において状態(2)でオン、オフしている。この時、期間(2),(4),(6)はデットタイムの期間となり、Q2,Q5は状態(2)にすることにより上下短絡をしないようにしている。
【0064】
図6(b)は双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6に流れる電流を示した図である。例えばQ5において、Q5を正の方向に流れる電流を上部の電流波形とすると、逆に負の方向に流れる電流は下部の波形になる。ここで、Q2のゲート電圧Vg1V+がPWMでHの信号の場合、Q2及びQ6はオンし、直流電源25からQ2を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6にモータ電流が流れ、Q5にはモータ電流は流れない。(A部の破線のタイミング参照)この時、Q2及びQ5は図7の期間(1)に示す状態になる。すなわち、Q2は状態(3)、Q5は状態(2)となる。次にゲート電圧Vg1V+がPWMでLの信号の場合、Q2はオフするがモータ電流は固定子巻線LV,LWのインダクタンスによって流れ続けようとするので、Q5のゲート電圧Vg1V−をHにしてQ5をオンし、Q5を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6に流れる。この時、Q2及びQ5は図7の期間(3)に示す状態になる。すなわち、Q2は状態(2)、Q5は状態(3)となる。従来の構成では図13(b)の還流ダイオードD5にモータ電流が流れ、0.7V程度の順方向電圧降下が発生するために発熱が著しかったが、本実施の形態ではこの位置に配置したQ5をオンする、すなわち状態(3)に制御するので発熱は抑えられる。
【0065】
また、本実施の形態の双方向スイッチング素子2は、寄生ダイオードを形成することなく第1ゲート端子3と第2ゲート端子4とドレイン端子5とソース端子6により構成するものである。そして、第1ゲート端子3と第2ゲート端子4へのへの入力信号の組合わせによって、双方向スイッチング素子2内部に、図5の状態(1)や状態(2)に示すようなスイッチング素子とダイオードが直列に接続した状態を構成することができるので、スイッチング素子の発熱を抑えるために寄生ダイオードに流れる電流の立ち上がりや遮断のタイミングを考慮してスイッチング素子を駆動する必要もなく、容易にインバータの各アームのスイッチングをおこなうことができる。
【0066】
ここで、図7に示す期間(1)から期間(3)に移行する場合、Q2及びQ5が上下短絡しないようにデットタイムとして期間(2)を設けている。その他の双方向スイッチング素子2も同様に制御することで、下アームに配置した双方向スイッチング素子2のQ4,Q5,Q6の発熱が抑えられる。
【0067】
上記構成において、スイッチング素子の発熱が抑えられ高温雰囲気でも駆動可能な信頼性の高いスイッチング素子が得られ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型化できる換気送風装置が得られる。
【0068】
なお、位置検出手段に3つの磁気センサを用いたが、誘起電圧やモータ電流波形より推定するいわゆるセンサレスの位置検出手段を用いても良く、その作用効果に差異を生じない。
【0069】
(実施の形態2)
図6(b)に示すように、インバータ回路33は双方向スイッチング素子2のQ1,Q3,Q5にはほとんど負の方向に流れる電流はない。したがって、還流ダイオードD1,D3,D5の存在するの従来のスイッチング素子を使用してもほとんど発熱には影響しないため、上アームスイッチング素子は従来のスイッチング素子102を使用し下アームは双方向スイッチング素子2を使用しても十分に発熱が抑えられる。
【0070】
図8は上段を従来のスイッチング素子102を使用し、下段は本発明の双方向スイッチング素子2を使用した場合の駆動回路である。ドライブ回路34は上段を従来のスイッチング素子102を使用しているため、Vg2U+,Vg2V+,Vg2W+のゲート電圧が不要になり、したがって、ゲート回路が不要になる。その他は図1と同じなので説明を省く。
【0071】
上記構成において、上段の従来のスイッチング素子のダイオードには電流が流れず発熱が抑えられ、また、上段のゲート回路が少なくて済み、回路の小型化とコストダウンができる換気送風装置が得られる。
【0072】
(実施の形態3)
図1や図8において、双方向スイッチング素子2やスイッチング素子102は発熱が抑えられるため、図12の放熱部品124は不要になる。したがって、図10で従来のレンジフードの駆動回路112は大型の放熱部品124がなくなるため小型になる。また、周囲温度の高いフード118内に設置することができる。したがって、スイッチ回路107と駆動回路112は一体化し駆動回路32として回路ケース126に内蔵し、余分な回路ケース127は不要になり、また、接続線114は省略することができる。
【0073】
図9は本発明のレンジフードに放熱部品124がなくなって小型化し、同じフード118内にスイッチ回路107と一体化した駆動回路32を1つの回路ケース126内に設置したものである。
【0074】
上記構成において、駆動回路はスイッチ回路と同じ場所のフード内で設置できるためメンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業することができる換気送風装置が得られる。また駆動回路はスイッチ回路と一体化して設置でき接続線が省略できるため、回路ケースや回路をつなぐ接続線が余分に必要でなくなり、回路ケースや接続線の材料を減らすことができる換気送風装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
双方向スイッチング素子を用いた駆動回路は発熱を抑え放熱部品が不要になり回路の小型化及び低コスト化ができるので、DCモータのみならず、一般の誘導機や同期機のモータ駆動装置やそれを応用した用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例1のブラシレスDCモータ駆動回路を示す図
【図2】同、双方向スイッチング素子の構造を説明する図
【図3】同、双方向スイッチング素子の等価回路を示す図
【図4】同、双方向スイッチング素子のVs2s1とIs2s1との関係を示す図
【図5】同、双方向スイッチング素子の4つの動作モードの等価回路を示す図
【図6】同、ブラシレスDCモータ駆動回路の各部の波形を示す図((a)駆動時の各部の波形を示す図、(b)スイッチング素子に流れる電流波形を示す図)
【図7】同、駆動時の波形の拡大図
【図8】上段を従来のスイッチング素子、下段を本発明の双方向スイッチング素子を使用した場合の駆動回路を示す図
【図9】同、ブラシレスDCモータの駆動回路を搭載したレンジフードを示す図
【図10】従来技術のブラシレスDCモータの駆動回路を搭載したレンジフードを示す図((a)レンジフードの説明図、(b)レンジフードの設置状態の説明図)
【図11】従来技術のブラシレスDCモータの駆動回路を示す図
【図12】スイッチング素子に放熱部品が配置された状態を示す図
【図13】従来技術のブラシレスDCモータ駆動回路の各部の波形を示す図((a)駆動時の各部の波形を示す図、(b)スイッチング素子と還流ダイオードに流れる電流波形を示す図)
【符号の説明】
【0077】
1 インバータ回路
2 双方向スイッチング素子
22 ブラシレスDCモータ
23 固定子
24 回転子
25 直流電源
26 電流検出抵抗
27 スイッチ回路
28 通電手段
29 位置検出手段
30 マイクロコンピュータ
31 ドライブ回路
32 駆動回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子に双方向素子を使用したブラシレスDCモータの駆動回路を搭載したレンジフード等の換気送風装置に係り、矩形波通電で通電切替えをする駆動回路において、スイッチング素子の発熱を抑えて高温雰囲気内でも駆動できる換気送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラシレスDCモータやその駆動回路は消費電力が少なく、耐久性に優れていることから、長時間にわたり使用される換気送風装置、例えばレンジフードや天井埋込形換気扇に搭載されるようになってきた。レンジフードは、ガスレンジが燃焼するため高温雰囲気で使用され、更に、その駆動回路はスイッチング素子が発熱し、放熱部品が必要となるので大型化していた。
【0003】
図10は従来のレンジフードにブラシレスDCモータを搭載し、実際に台所に設置された例を示している。図10(a)はレンジフードの説明図であり、レンジフード119はキャビネット115の内部にブラシレスDCモータ132及び送風ファン116を取り付けた構造としている。また、キャビネット115の外部にブラシレスDCモータの駆動回路112を内蔵した回路ケース127を取り付け、フード118の内部にブラシレスDCモータ132の運転停止を行うスイッチ回路107を内蔵した回路ケース126を取り付け、ブラシレスDCモータの駆動回路112はスイッチ回路107の運転停止信号を接続線114により受け取り、モータ接続線125を通してブラシレスDCモータ132を駆動させる。一方、台所で調理する時に発生する熱気、煙や蒸気はブラシレスDCモータ132により送風ファン116が回転することによって、フード118に取り付けられた整流板120及びフィルタ117を通って送風される。
【0004】
図10(b)はレンジフード119の設置状態の例を示し、室外側はキャビネット115が外壁122のはり桟等に取り付けられ、室内側は幕板123が取り付けられている。ブラシレスDCモータ132に取り付けられた送風ファン116を回転させることによって、台所の熱気、煙や蒸気を室内からアダプタ128及び外壁122に設けられたフード121を通して、室外に排出させる。
【0005】
ここで、回路ケース126に内蔵された転停止等のスイッチ操作をするスイッチ回路107の周囲は台所で調理する時に発生する熱気で高温になるため、回路ケース127に内蔵された駆動回路112はスイッチング素子の発熱の余裕が少なくブラシレスDCモータ132の出力アップができない。このため、直接高温にならないキャビネット115の上に設置している。
【0006】
図11、図12及び図13は従来の回転子の位置を回転子の磁石の磁極を3つ磁気センサで検出し、その信号の組合せによってブラシレスDCモータの3相の固定子巻線に印加するモータ電圧を決定し、矩形波通電で回転させるブラシレスDCモータの駆動回路が知られている。(例えば、特許文献1参照)以下、そのブラシレスDCモータの駆動回路の動作について説明する。
【0007】
図11に示すように、直流電源105は、インバータ回路101に直流電圧を供給する。インバータ回路101は3相インバータブリッジの構成であり、Q1,Q2,Q3はそれぞれU,V,W相の上アームのスイッチング素子102であり、同じようにQ4,Q5,Q6はそれぞれU,V,W相の下アームのスイッチング素子102である。各スイッチング素子102は通常MOSFETが使用され、それぞれ並列に還流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6を内蔵した構造となっている。また、スイッチング素子102の発熱が多い場合、放熱部品124が配置されている。図12はスイッチング素子102に放熱部品124が配置された図を示す。放熱部品124は一般に熱伝導率の良いアルミニウムでできたいわゆる放熱フィンが使われ、スイッチング素子102の発熱が多いほど放熱のために大型化する。ブラシレスDCモータ132は固定子103と回転子104から構成され、固定子103には電気角で120度の位相差を持つように3相固定子巻線LU,LV,LWが配置される。
【0008】
直流電源105とインバータ回路101のスイッチング素子102の間にはモータ電流を検出するための電流検出抵抗106を接続する。
【0009】
回転子104は磁石がN極、S極と交互に配置され、その近傍には位置検出手段109である120度の位相差を持つように3個の磁気センサHU,HV,HWが配置され、回転子104の磁極の位置を検出する位置検出信号を出力し、ブラシレスDCモータの駆動回路112のマイクロコンピュータ110に内蔵された通電手段108に出力される。
【0010】
一方スイッチ回路107はブラシレスDCモータ132を運転、停止させる運転信号を通電手段108に出力する。通電手段108はスイッチ回路107より出力される運転信号が運転の時、位置検出手段109より出力させる3つの位置検出信号の組合せより、インバータ回路101のどの双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をスイッチングさせるかの通電信号をドライブ回路111に出力する。また、通電手段108はスイッチ回路107より出力される運転信号が停止の時、インバータ回路101の双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をオフする通電信号をドライブ回路111に出力する。
【0011】
ドライブ回路111は通電手段108から出力される通電信号に基づいて、実際に動作させるゲート電圧VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−をインバータ回路101の双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6に出力させる。インバータ回路101はドライブ回路111のゲート電圧に基づいて実際にスイッチング素子102をオン、オフさせてブラシレスDCモータ132を運転又は停止させる。
【0012】
図13は各部の波形を示し、図13(a)は運転時の波形であり、HU,HV,HWは位置検出手段29から出力される位置検出信号の組合せである。VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−は位置検出信号の組合せに対し通電手段108から出力され、例えば、(HU,HV,HW)=(H,H,L)の組合せに対し(A部の破線のタイミング参照)、(VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−)=(L,L,PWM,L,L,H)のゲート電圧を出力する。ここで、PWMは交互にH,Lの信号を交互に出力し、H,L信号の幅の比率を変え、モータ電圧を調整する信号である。回転子104の回転に応じて順次変わる位置検出信号の組合せに対応して、図に示すようなゲート電圧を出力する。この時双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6はゲート電圧がH(PWMがHの場合も含む)の場合、オンし、Lの(PWMがLの場合も含む)場合、オフする。
【0013】
また、図示はしていないが、停止時、HU,HV,HWの位置検出信号の組合せにかかわらず(VgU+,VgU−,VgV+,VgV−,VgW+,VgW−)=(L,L,L,L,L,L)の通電信号を出力する。
【0014】
図13(b)は双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6と還流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6に流れる電流を示した図である。例えばQ5,D5において、Q5を正の方向に流れる電流を上部の電流波形とすると、D5は逆に負の 方向に流れるので、下部の波形になる。つまり、VgV+がPWMでHの場合、Q2及びQ6はオンし、直流電源105からQ2を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6にモータ電流が流れる。(A部の破線のタイミング参照)この時、D2、Q5、D5にはモータ電流は流れない。次に、VgV+がPWMでLの信号の場合、モータ電流は固定子巻線LV,LWのインダクタンスによって流れ続けようとするので、Q2はオフし、D5を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6に流れる。その他のスイッチング素子や還流ダイオードについても同じ現象となる。
【特許文献1】特開平10−146090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、このような従来の構成では、ゲート電圧VgV+がPWMのHの場合、上段のスイッチング素子Q2はオンするとともに、モータ電流が流れ、ゲート電圧VgV+がPWMのLの場合、下段の還流ダイオードD5に電流が流れる。したがって、スイッチング素子Q2に電流が流れる場合、スイッチング素子のオン電圧は少ないため、この時の発熱はほとんどないが、下段の還流ダイオードD5に流れる場合、0.7V程度の順方向電圧降下が発生するため、発熱が著しい。他のスイッチング素子や還流ダイオードについても同じ現象となり、還流ダイオードD4,D6に流れる場合、0.7V程度の順方向電圧降下が発生するため発熱が著しい。
【0016】
このようなスイッチング素子を使用した駆動回路112は、風量アップによりモータ電流が多くなりスイッチング素子の発熱が所定の温度以上になると、レンジフードのスイッチ回路107を取り付けているフード118の内部の高温雰囲気に取り付けることができず、雰囲気温度の低いキャビネット115の外部の上面に設置されていた。
【0017】
したがって、スイッチング素子の発熱が多い場合、高温雰囲気では放熱部品が必要となるため駆動回路が大きくなるという課題があり、発熱が少なく高温雰囲気でも駆動可能で信頼性の高いスイッチング素子及び、放熱部品を不要にして、駆動回路が小型になることが求められている。
【0018】
またメンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、高所で作業しなければならないため作業がしづらいという課題があり、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業できることが求められている。
【0019】
操作回路と駆動回路が離れている場合、回路をつなぐ接続線や回路を格納するケースが余分に必要になり、省資源にならなくコストアップするという課題があり、接続線や回路を格納する回路ケースの材料を減らすことが求められている。
【0020】
また回路を一体化する場合、フード内の限られたスペースに取り付けなければならないため、駆動回路を更に小型化にすることが求められている。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、スイッチング素子の発熱が抑えられるため、高温雰囲気でも駆動が可能な信頼性の高いスイッチング素子ができ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路の小型化ができ、また、高温雰囲気で使用されるスイッチ回路と同じ場所で駆動回路が使用できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業でき、また、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため回路をつなぐリード線や回路を格納する余分なケースを不要にし、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる例えば、レンジフード等の換気送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の換気送風装置は上記目的を達成するために、直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路と、このインバータ回路に接続する3相の固定巻線と固定子を有するブラシレスDCモータと、前記スイッチング素子をPWM制御させるブラシレスDCモータの駆動回路とを搭載した換気送風装置において、前記スイッチング素子は、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置としたものである。
【0023】
この手段により、スイッチング素子の発熱を抑えることができ高温雰囲気でも駆動可能な信頼性の高いスイッチング素子が得られ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型化できる換気送風装置が得られる。
【0024】
また、他の手段は、駆動回路は第一ゲート端子、第二ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子を備えたスイッチング素子で構成したインバータ回路において、前記第一ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に双方向デバイスのオン状態と逆方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第二ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に順方向ダイオードと前記順方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオフして順逆双方向に電流を遮断する特性を有するように動作させて、前記スイッチング素子のダイオードに電流が流れる時に前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、発熱を減少させる構成としたものである。
【0025】
この手段により、ダイオードに流れる電流を抑制でき、スイッチング素子の発熱が抑えられ高温雰囲気でも駆動可能な信頼性の高いスイッチング素子が得られ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型化できる換気送風装置が得られる。
【0026】
また、他の手段は、駆動回路は上段のスイッチング素子のみPWM制御する構成の場合、前記双方向素子は下段のみに使用する構成としたものである。
【0027】
この手段により、上段の従来のスイッチング素子でダイオードには電流が流れず発熱が抑えられるため、上段のゲート回路が少なくて済み、回路の小型化とコストダウンができる換気送風装置が得られる。
【0028】
また、他の手段は、駆動回路はこの駆動回路の運転停止を操作するスイッチ回路を同じ場所に設置する構成としたものである。
【0029】
この手段により、スイッチ回路と同じフード内で駆動回路を設置できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業することができる換気送風装置が得られる。
【0030】
また、他の手段は、駆動回路は操作回路と一体にした構成としたものである。
【0031】
この手段により、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため、回路をつなぐリード線や回路を格納するケースが余分に必要でなくなり、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる換気送風装置が得られる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、発熱が抑えられ高温雰囲気でも駆動可能で信頼性の高いスイッチング素子ができ、また、放熱部品を不要にし駆動回路が小型化した換気送風装置を提供できる。
【0033】
また、上段の従来のスイッチング素子でダイオードには電流が流れず発熱が抑えられるため、上段のゲート回路が少なくて済み、回路の小型化とコストダウンができる換気送風装置を提供できる。
【0034】
また、高温雰囲気で使用されるスイッチ回路と同じ場所で駆動回路が使用できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業する換気送風装置を提供できる。
【0035】
また、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため、回路をつなぐリード線や回路を格納するケースが余分に必要でなくなり、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる換気送風装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の請求項1記載の発明は、直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路と、このインバータ回路に接続する3相の固定巻線と固定子を有するブラシレスDCモータと、前記スイッチング素子をPWM制御させるブラシレスDCモータの駆動回路とを搭載した換気送風装置において、前記スイッチング素子は、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置としたものである。
【0037】
このことにより、スイッチング素子の発熱が抑えることができ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型にすることができる。
【0038】
また、本発明の請求項2記載の発明は、駆動回路は第1ゲート端子、第2ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子を備えた前記スイッチング素子で構成したインバータ回路において、前記第1ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に双方向デバイスのオン状態と逆方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第2ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に順方向ダイオードと前記順方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第1ゲート端子及び前記第2ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、前記第1ゲート端子及び前記第2ゲート端子をオフして順逆双方向に電流を遮断する特性を有するように動作させて、前記スイッチング素子のダイオードに電流が流れる時に前記第1ゲート端子及び前記第2ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、発熱を減少させる構成としたものである。
【0039】
このことにより、ダイオードに流れる電流を抑制するため、スイッチング素子の発熱が抑えられられることができ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型にすることができる。
【0040】
本発明の請求項3記載の発明は、駆動回路は上段のスイッチング素子のみPWM制御する構成の場合、前記双方向素子は下段のみに使用した構成としたものである。
【0041】
このことにより、上段の従来のスイッチング素子でダイオードには電流が流れず発熱が抑えることができ、また、上段のゲート回路が少なくすることができる。
【0042】
本発明の請求項4記載の発明は、駆動回路はこの駆動回路の運転停止を操作するスイッチ回路を同じ場所に設置する構成としたものである。
【0043】
このことにより、スイッチング素子の発熱が抑えられ高温雰囲気で使用されるスイッチ回路と同じ場所で駆動回路が使用できるため、メンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業することができる。
【0044】
本発明の請求項5記載の発明は、駆動回路は操作回路と一体にしたことを特徴とする請求項1乃至4記載の換気送風装置である。
【0045】
このことにより、スイッチ回路と駆動回路を一体化できるため、回路をつなぐリード線や回路を格納するケースが余分に必要でなくなり、リード線や回路を格納するケースの材料を減らすことができる。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0047】
(実施の形態1)
図1に示すように、直流電源25は、インバータ回路1に直流電圧を供給する。インバータ回路1は3相インバータブリッジの構成であり、Q1,Q2,Q3はそれぞれU,V,W相の上アームに配置した双方向スイッチング素子2であり、同じようにQ4,Q5,Q6はそれぞれU,V,W相の下アームに配置した双方向スイッチング素子2である。ブラシレスDCモータ22は固定子23と回転子24から構成され、固定子23には電気角で120度の位相差を持つように3相固定子巻線LU,LV,LWが配置される。
【0048】
直流電源25とインバータ回路1の双方向スイッチング素子2の間にはモータ電流を検出するための電流検出抵抗26を接続する。
【0049】
回転子24は磁石がN極、S極と交互に配置され、その近傍には位置検出手段29として120度の位相差を持つように3つの磁気センサHU,HV,HWが配置され、回転子24の磁極の位置を検出する位置検出信号を出力し、ブラシレスDCモータの駆動回路32のマイクロコンピュータ30に内蔵された通電手段28に出力される。
【0050】
一方スイッチ回路27はブラシレスDCモータ22を運転させる時、通電手段28に運転信号を出力する。通電手段28はスイッチ回路27より出力される運転信号と位置検出手段29より出力させる3つの位置検出信号の組合せより、インバータ回路1のどの双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をスイッチングさせるかの通電信号をドライブ回路31に出力する。
【0051】
ドライブ回路31は通電手段28から出力される通電信号に基づいて、実際に動作させるゲート電圧Vg1U+,Vg2U+,Vg1U−,Vg2U−,Vg1V+,Vg2V+,Vg1V−,Vg2V−,Vg1W+,Vg2W+,Vg1W−,Vg2W−をインバータ回路1の双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6に出力させるいわゆるゲート回路である。インバータ回路1はドライブ回路31のゲート電圧に基づいて実際に双方向スイッチング素子2をオン、オフさせてブラシレスDCモータ22を駆動する。
【0052】
図2は双方向スイッチング素子2の構造を説明した図である。双方向スイッチング素子2は第1ゲート端子3と第2ゲート端子4とドレイン端子5とソース端子6により構成されている。双方向スイッチング素子2は、シリコン(Si)からなる基板7の上に厚さが10nm窒化アルミニウム(AlN)と厚さが10nmの窒化ガリウム(GaN)とが交互に積層されてなる厚さが1μmのバッファ層8が形成され、その上に半導体層積層体9が形成されている。半導体層積層体9は、第1の半導体層と第1の半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2の半導体層とが基板側から順次積層されている。第1の半導体層は、厚さが2μmのアンドープの窒化ガリウム(GaN)層10であり、第2の半導体層は、厚さが20nmのn型の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層11である。GaN層10のAlGaN層11とのヘテロ界面近傍には、自発分極及びピエゾ分極による電荷が生じる。これにより、シートキャリア濃度が1×1013cm−2以上でかつ移動度が1000cm2V/sec以上の2次元電子ガス(2DEG)層であるチャネル領域が生成されている。半導体層積層体9の上には、互いに間隔をおいて第1のオーミック電極12Aと第2のオーミック電極12Bとが形成されている。第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12Bは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とが積層されており、チャネル領域とオーミック接合を形成している。また、コンタクト抵抗を低減するために、AlGaN層11の一部を除去するとともにGaN層10を40nm程度掘り下げて、第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12BがAlGaN層11とGaN層10との界面に接するように形成した例を示している。なお、第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12Bは、AlGaN層11の上に形成してもよい。n型のAlGaN層11の上における第1のオーミック電極12Aと第2のオーミック電極12Bとの間の領域には、第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bが互いに間隔をおいて選択的に形成されている。第1のp型半導体層13Aの上には第1のゲート電極14Aが形成され、第2のp型半導体層13Bの上には第2のゲート電極14Bが形成されている。第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bは、それぞれパラジウム(Pd)と金(Au)とが積層されており、第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bとオーミック接触している。AlGaN層11及び第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bを覆うように窒化シリコン(SiN)からなる保護膜15が形成されている。保護膜15を形成することで、いわゆる電流コラプスの原因となる欠陥を保障し、電流コラプスを改善することが可能となる。第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bは、それぞれ厚さが300nmで、マグネシウム(Mg)がドープされたp型のGaNからなる。第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bと、AlGaN層11とによりPN接合がそれぞれ形成される。これにより、第1のオーミック電極12Aと第1のゲート電極14Aとの間の電圧が例えば0Vでは、第1のp型GaN層からチャネル領域中に空乏層が広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができ、同様に、第2のオーミック電極12Bと第2のゲート電極14Bとの間の電圧が例えば0V以下のときには、第2のp型GaN層からチャネル領域中に空乏層が広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができ、いわゆるノーマリーオフ動作をする半導体素子を実現している。第1のオーミック電極12Aの電位をV1、第1のゲート電極14Aの電位をV2、第2のゲート電極14Bの電位をV3、第2のオーミック電極12Bの電位をV4とする。この場合において、V2がV1より1.5V以上高ければ、第1のp型半導体層13Aからチャネル領域中に広がる空乏層が縮小するため、チャネル領域に電流を流すことができる。同様にV3がV4より1.5V以上高ければ、第2のp型半導体層13Bからチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができる。つまり、第1のゲート電極14Aのいわゆるしきい値電圧及び第2のゲート電極14Bのいわゆるしきい値電圧は共に1.5Vである。以下においては、第1のゲート電極14Aの下側においてチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができるようになる第1のゲート電極14Aのしきい値電圧を第1のしきい値電圧とし、第2のゲート電極14Bの下側においてチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができるようになる第2のゲート電極14Bのしきい値電圧を第2のしきい値電圧とする。また、第1のp型半導体層13Aと第2のp型半導体層13Bとの間の距離は、第1のオーミック電極12A及び第2のオーミック電極12Bに印加される最大電圧に耐えられるように設計する。第1のオーミック電極12Aと第1のゲート電極14Aとの間にゲート駆動信号(すなわち、第1ゲート端子3への制御信号)を入力するようになっている。第2のオーミック電極12Bと第2のゲート電極14Bとの間も同様である。なお、ソース端子6は第1のオーミック電極12Aに接続され、ドレイン端子5は第2のオーミック電極12Bに接続され、第1ゲート端子3は第1のゲート電極14Aに接続され、第2ゲート端子4は第2のゲート電極14Bに接続されている。
【0053】
次に、双方向スイッチング素子2の動作について説明する。説明のため、第1のオーミック電極の電位を0Vとし、第1ゲート端子3に印加するゲート電圧をVg1、第2ゲート端子4に印加するゲート電圧をVg2、第2のオーミック電極12Bと第1のオーミック電極12Aとの間の電圧をVs2s1、第2のオーミック電極12Bと第1のオーミック電極12Aとの間に流れる電流をIs2s1とする。
【0054】
V4がV1よりも高い場合、例えば、V4が+100Vで、V1が0Vの場合において、第1ゲート端子3と第2ゲート端子4の入力電圧であるVg1及びVg2をそれぞれ第1のしきい値電圧及び第2のしきい値電圧以下の電圧、例えば0Vとする。これにより、第1のp型半導体層13Aから広がる空乏層が、チャネル領域中を第2のp型GaN層の方向へ向けて広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができる。したがって、V4が正の高電圧であっても、第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aへ流れる電流を遮断する遮断状態を実現できる。一方、V4がV1よりも低い場合、例えばV4が−100Vで、V1が0Vの場合においても、第2のp型半導体層13Bから広がる空乏層が、チャネル領域中を第1のp型半導体層13Aの方向へ向けて広がり、チャネルに流れる電流を遮断することができる。このため、第2のオーミック電極12Bに負の高電圧が印加されている場合においても、第1のオーミック電極12Aから第2のオーミック電極12Bへ流れる電流を遮断することができる。すなわち、双方向スイッチング素子2の双方向の電流を遮断することが可能となる。
【0055】
以上のような構造及び動作において、耐圧を確保するためのチャネル領域を第1のゲート電極14Aと第2のゲート電極14Bとが共有する。この素子は、1素子分のチャネル領域の面積で双方向スイッチング素子2が実現可能であり、双方向スイッチング素子2全体を考えると、2つのダイオードと2つのノーマリーオフ型のAlGaN/GaN−HFETとを用いた場合と比べてチップ面積をより少なくすることができ、双方向スイッチング素子2の低コスト化及び小型化が可能となる。
【0056】
次に、第1ゲート端子3、第2ゲート端子4の入力電圧であるVg1及びVg2が、それぞれ第1のしきい値電圧及び第2のしきい値電圧よりも高い電圧、例えば5Vの場合には、第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bに印加される電圧は、共にしきい値電圧よりも高くなる。したがって、第1のp型半導体層13A及び第2のp型半導体層13Bからチャネル領域に空乏層が広がらないため、チャネル領域は第1のゲート電極14Aの下側においても、第2のゲート電極14Bの下側においてもピンチオフされない。その結果、第1のオーミック電極12Aと第2のオーミック電極12Bとの間に双方向に電流が流れる導通状態を実現できる。
【0057】
次に、Vg1を第1のしきい値電圧よりも高い電圧とし、Vg2を第2のしきい値電圧以下とした場合の動作について説明する。第1ゲート端子3、第2ゲート端子4を備えた双方向スイッチング素子2を等価回路で表すと図3(a)に示すように第1のトランジスタ16と第2のトランジスタ17とが直列に接続された回路とみなすことができる。この場合、第1のトランジスタ16のソース(S)が第1のオーミック電極12A、第1のトランジスタ16のゲート(G)が第1のゲート電極14Aに対応し、第2のトランジスタ17のソース(S)が第2のオーミック電極12B、第2のトランジスタ17のゲート(G)が第2のゲート電極14Bに対応する。このような回路において、例えば、Vg1を5V、Vg2を0Vとした場合、Vg2が0Vであるということは第2のトランジスタ17のゲートとソースが短絡されている状態と等しいため、双方向スイッチング素子2は図3(b)に示すような回路とみなすことができる。更に、図3(b)に示す第2のトランジスタ17のソース(S)をA端子、ドレイン(D)をB端子、ゲート(G)をC端子として説明を行う。図に示すB端子の電位がA端子の電位よりも高い場合には、A端子がソースでB端子がドレインであるトランジスタとみなすことができ、このような場合、C端子(ゲート)とA端子(ソース)との間の電圧は0Vであり、しきい値電圧以下のため、B端子(ドレイン)からA端子(ソース)に電流は流れない。一方、A端子の電位がB端子の電位よりも高い場合には、B端子がソースでA端子がドレインのトランジスタとみなすことができる。このような場合、C端子(ゲート)とA端子(ドレイン)との電位が同じであるため、A端子の電位がB端子を基準としてしきい値電圧以下の場合にはA端子(ドレイン)からB端子(ソース)へ電流を通電しない。A端子の電位がB端子を基準としてしきい値電圧以上となると、ゲートにB端子(ソース)を基準としてしきい値電圧以上の電圧が印加され、A端子(ドレイン)からB端子(ソース)へ電流を流すことができる。つまり、トランジスタのゲートとソースとを短絡させた場合、ドレインがカソードでソースがアノードのダイオードとして機能し、その順方向立ち上り電圧はトランジスタのしきい値電圧となる。そのため、図3(a)に示す第2のトランジスタ17の部分は、ダイオードとみなすことができ、図3(c)に示すような等価回路となる。図3(c)に示す等価回路において、双方向スイッチング素子2のドレイン端子5の電位がソース端子6の電位よりも高い場合、第1のトランジスタ16の第1ゲート端子3に5Vが印加されている場合には、第1のトランジスタ16はオン状態であり、S2からS1へ電流を流すことが可能となる。ただし、ダイオードの順方向立ち上り電圧によるオン電圧が発生する。また、双方向スイッチング素子2のS1の電位がS2の電位よりも高い場合、その電圧は第2のトランジスタ17からなるダイオードが担い、双方向スイッチング素子2のS1からS2へ流れる電流を阻止する。つまり、第1ゲート端子3にしきい値電圧以上の電圧を与え、第2ゲート端子4にしきい値電圧以下の電圧を与えることにより、いわゆる双方向素子をオンした状態とドレイン側にダイオードのカソード側を直列接続した動作が可能なスイッチが実現できる。
【0058】
図4は、双方向スイッチング素子2のVs2s1とIs2s1との関係であり、図4(a)は、Vg1とVg2とを同時に変化させた場合を示し、図4(b)はVg2を第2のしきい値電圧以下の0Vとし、Vg1を変化させた場合を示し、図4(c)はVg1を第1のしきい値電圧以下の0VとしてVg2を変化させた場合を示している。なお、図4において横軸であるS2−S1間電圧(Vs2s1)は、第1のオーミック電極12Aを基準とした電圧であり、縦軸であるS2−S1間電流(Is2s1)は第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aへ流れる電流を正としている。図4(a)に示すように、Vg1及びVg2が0Vの場合及び1Vの場合には、Vs2s1が正の場合にも負の場合にもIs2s1は流れず、双方向スイッチング素子2は遮断状態となる。また、Vg1とVg2とが共にしきい値電圧よりも高くなると、Vs2s1に応じてIs2s1が双方向に流れる導通状態となる。一方、図4(b)に示すように、Vg2を第2のしきい値電圧以下の0Vとし、Vg1を第1のしきい値電圧以下の0Vとした場合には、Is2s1は双方向に遮断される。しかし、Vg1を第1のしきい値電圧以上の2V〜5Vとした場合には、Vs2s1が1.5V未満の場合にはIs2s1が流れないが、Vs2s1が1.5V以上になるとIs2s1が流れる。つまり、第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aにのみに電流が流れ、第1のオーミック電極12Aから第2のオーミック電極12Bには電流が流れない逆阻止状態となる。また、Vg1を0Vとし、Vg2を変化させた場合には図4(c)に示すように、第1のオーミック電極12Aから第2のオーミック電極12Bにのみに電流が流れ、第2のオーミック電極12Bから第1のオーミック電極12Aには電流が流れない逆阻止状態となる。
【0059】
以上より、双方向スイッチング素子2は、そのゲートバイアス条件により、双方向の電流を遮断・通電する機能を有するとともに、ダイオードの動作も可能であり、そのダイオードの電流が通電する方向も切り換えることができる。すなわち、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置としたものである。
【0060】
以上、説明したように双方向スイッチング素子2の第1ゲート端子3と第2ゲート端子4のオンあるいはオフ条件に応じて、4つの動作モードで動作することができる。図5は4つの動作モードとして状態(1)、状態(2)、状態(3)、状態(4)を等価回路として具体的に示したものである。
【0061】
本構造はJFETに類似しているが、キャリア注入を意図的に行うという点で、ゲート電界によりチャネル領域内のキャリア変調を行うJFETとは全く異なった動作原理により動作する。具体的には、ゲート電圧が3VまではJFETとして動作するが、pn接合のビルトインポテンシャルを超える3V以上のゲート電圧が印加された場合には、ゲートに正孔が注入され、前述したメカニズムにより電流が増加し、大電流かつ低オン抵抗の動作が可能となる。
【0062】
また、双方向スイッチング素子2は、第1のゲート電極14Aがp型の導電性を有する第1のp型半導体層13Aの上に形成され、第2のゲート電極14Bがp型の導電性を有する第2のp型半導体層13Bの上に形成されている。このため、第1の半導体層と第2の半導体層との界面領域に生成されるチャネル領域に対して、第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bから順方向のバイアスを印加することにより、チャネル領域内に正孔を注入することができる。窒化物半導体においては正孔の移動度は、電子の移動度よりもはるかに低いため、チャネル領域に注入された正孔は電流を流す担体としてほとんど寄与しない。このため、第1のゲート電極14A及び第2のゲート電極14Bから注入された正孔は同量の電子をチャネル領域内に発生させるので、チャネル領域内に電子を発生させる効果が高くなり、ドナーイオンのような機能を発揮する。つまり、チャネル領域内においてキャリア濃度の変調を行うことが可能となるため、動作電流が大きいノーマリオフ型の窒化物半導体層双方向スイッチング素子を実現することが可能となる。
【0063】
図6は各部の波形を示し、図6(a)は駆動時の波形であり、HU,HV,HWの位置検出手段29から出力される位置検出信号の組合せの波形は従来の図13(a)と同じであるので省略している。ゲート電圧Vg1U+,Vg2U+,Vg1U−,Vg2U−,Vg1V+,Vg2V+,Vg1V−,Vg2V−,Vg1W+,Vg2W+,Vg1W−,Vg2W−は位置検出信号の組合せに対し通電手段28から出力され、例えば、位置検出信号(HU,HV,HW)=(H,H,L)の組合せに対し、(Vg1U+,Vg2U+,Vg1U−,Vg2U−,Vg1V+,Vg2V+,Vg1V−,Vg2V−,Vg1W+,Vg2W+,Vg1W−,Vg2W−)=(L,H,L,H,PWM,H,PWM,H、L,H,H,H)のゲート電圧を出力する。(A部の破線のタイミング参照)したがって、(Vg1V+,Vg2V+)=(PWM,H)となり、PWMがHの時、図5より状態(3)となりQ2は双方向の通電状態になりオンしている。PWMがLの時、同様に状態(2)となり、Q2はダイオードの向きより遮断状態になりオフしている。また、Vg1V−,Vg2V−も同様でありQ5をオン、オフしている。他のゲート電圧の組やスイッチング素子も同様となっている。また、Vg1V+のPWMに対し、Vg1V−のPWMはゲート電圧のH,Lが相反しており、Vg1V+がHの場合、Vg1V−はLとなっている。逆に、Vg1V+がLの場合、Vg1V−はHとなっている。他のゲート電圧の組やスイッチング素子も同様となっている。なお、Vg1V+,Vg2V+とVg1V−,Vg2V−のゲート電圧の組が同時にHになって、直流電源25を双方向スイッチング素子2のQ2,Q5が同時に短絡しないように、いわゆるデッドタイムの期間をいれている。他のゲート電圧の組や双方向スイッチング素子も同様となっている。図7はこれらの詳細を示している。例えば、Vg1V+,Vg2V+のゲート電圧の組でQ2は期間(1),(5)において状態(3)、期間(2),(3),(4),(6)において状態(2)でオン、オフしている。また、Vg1V−,Vg2V−のゲート電圧の組でQ5は期間(1),(2),(4),(5),(6)において状態(2)、期間(3),(7)において状態(2)でオン、オフしている。この時、期間(2),(4),(6)はデットタイムの期間となり、Q2,Q5は状態(2)にすることにより上下短絡をしないようにしている。
【0064】
図6(b)は双方向スイッチング素子2のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6に流れる電流を示した図である。例えばQ5において、Q5を正の方向に流れる電流を上部の電流波形とすると、逆に負の方向に流れる電流は下部の波形になる。ここで、Q2のゲート電圧Vg1V+がPWMでHの信号の場合、Q2及びQ6はオンし、直流電源25からQ2を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6にモータ電流が流れ、Q5にはモータ電流は流れない。(A部の破線のタイミング参照)この時、Q2及びQ5は図7の期間(1)に示す状態になる。すなわち、Q2は状態(3)、Q5は状態(2)となる。次にゲート電圧Vg1V+がPWMでLの信号の場合、Q2はオフするがモータ電流は固定子巻線LV,LWのインダクタンスによって流れ続けようとするので、Q5のゲート電圧Vg1V−をHにしてQ5をオンし、Q5を通って固定子巻線LV及びLWを通ってQ6に流れる。この時、Q2及びQ5は図7の期間(3)に示す状態になる。すなわち、Q2は状態(2)、Q5は状態(3)となる。従来の構成では図13(b)の還流ダイオードD5にモータ電流が流れ、0.7V程度の順方向電圧降下が発生するために発熱が著しかったが、本実施の形態ではこの位置に配置したQ5をオンする、すなわち状態(3)に制御するので発熱は抑えられる。
【0065】
また、本実施の形態の双方向スイッチング素子2は、寄生ダイオードを形成することなく第1ゲート端子3と第2ゲート端子4とドレイン端子5とソース端子6により構成するものである。そして、第1ゲート端子3と第2ゲート端子4へのへの入力信号の組合わせによって、双方向スイッチング素子2内部に、図5の状態(1)や状態(2)に示すようなスイッチング素子とダイオードが直列に接続した状態を構成することができるので、スイッチング素子の発熱を抑えるために寄生ダイオードに流れる電流の立ち上がりや遮断のタイミングを考慮してスイッチング素子を駆動する必要もなく、容易にインバータの各アームのスイッチングをおこなうことができる。
【0066】
ここで、図7に示す期間(1)から期間(3)に移行する場合、Q2及びQ5が上下短絡しないようにデットタイムとして期間(2)を設けている。その他の双方向スイッチング素子2も同様に制御することで、下アームに配置した双方向スイッチング素子2のQ4,Q5,Q6の発熱が抑えられる。
【0067】
上記構成において、スイッチング素子の発熱が抑えられ高温雰囲気でも駆動可能な信頼性の高いスイッチング素子が得られ、また、放熱部品がいらなくなるため、駆動回路が小型化できる換気送風装置が得られる。
【0068】
なお、位置検出手段に3つの磁気センサを用いたが、誘起電圧やモータ電流波形より推定するいわゆるセンサレスの位置検出手段を用いても良く、その作用効果に差異を生じない。
【0069】
(実施の形態2)
図6(b)に示すように、インバータ回路33は双方向スイッチング素子2のQ1,Q3,Q5にはほとんど負の方向に流れる電流はない。したがって、還流ダイオードD1,D3,D5の存在するの従来のスイッチング素子を使用してもほとんど発熱には影響しないため、上アームスイッチング素子は従来のスイッチング素子102を使用し下アームは双方向スイッチング素子2を使用しても十分に発熱が抑えられる。
【0070】
図8は上段を従来のスイッチング素子102を使用し、下段は本発明の双方向スイッチング素子2を使用した場合の駆動回路である。ドライブ回路34は上段を従来のスイッチング素子102を使用しているため、Vg2U+,Vg2V+,Vg2W+のゲート電圧が不要になり、したがって、ゲート回路が不要になる。その他は図1と同じなので説明を省く。
【0071】
上記構成において、上段の従来のスイッチング素子のダイオードには電流が流れず発熱が抑えられ、また、上段のゲート回路が少なくて済み、回路の小型化とコストダウンができる換気送風装置が得られる。
【0072】
(実施の形態3)
図1や図8において、双方向スイッチング素子2やスイッチング素子102は発熱が抑えられるため、図12の放熱部品124は不要になる。したがって、図10で従来のレンジフードの駆動回路112は大型の放熱部品124がなくなるため小型になる。また、周囲温度の高いフード118内に設置することができる。したがって、スイッチ回路107と駆動回路112は一体化し駆動回路32として回路ケース126に内蔵し、余分な回路ケース127は不要になり、また、接続線114は省略することができる。
【0073】
図9は本発明のレンジフードに放熱部品124がなくなって小型化し、同じフード118内にスイッチ回路107と一体化した駆動回路32を1つの回路ケース126内に設置したものである。
【0074】
上記構成において、駆動回路はスイッチ回路と同じ場所のフード内で設置できるためメンテナンス等で駆動回路を取り替える場合、手元で簡単に作業することができる換気送風装置が得られる。また駆動回路はスイッチ回路と一体化して設置でき接続線が省略できるため、回路ケースや回路をつなぐ接続線が余分に必要でなくなり、回路ケースや接続線の材料を減らすことができる換気送風装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
双方向スイッチング素子を用いた駆動回路は発熱を抑え放熱部品が不要になり回路の小型化及び低コスト化ができるので、DCモータのみならず、一般の誘導機や同期機のモータ駆動装置やそれを応用した用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例1のブラシレスDCモータ駆動回路を示す図
【図2】同、双方向スイッチング素子の構造を説明する図
【図3】同、双方向スイッチング素子の等価回路を示す図
【図4】同、双方向スイッチング素子のVs2s1とIs2s1との関係を示す図
【図5】同、双方向スイッチング素子の4つの動作モードの等価回路を示す図
【図6】同、ブラシレスDCモータ駆動回路の各部の波形を示す図((a)駆動時の各部の波形を示す図、(b)スイッチング素子に流れる電流波形を示す図)
【図7】同、駆動時の波形の拡大図
【図8】上段を従来のスイッチング素子、下段を本発明の双方向スイッチング素子を使用した場合の駆動回路を示す図
【図9】同、ブラシレスDCモータの駆動回路を搭載したレンジフードを示す図
【図10】従来技術のブラシレスDCモータの駆動回路を搭載したレンジフードを示す図((a)レンジフードの説明図、(b)レンジフードの設置状態の説明図)
【図11】従来技術のブラシレスDCモータの駆動回路を示す図
【図12】スイッチング素子に放熱部品が配置された状態を示す図
【図13】従来技術のブラシレスDCモータ駆動回路の各部の波形を示す図((a)駆動時の各部の波形を示す図、(b)スイッチング素子と還流ダイオードに流れる電流波形を示す図)
【符号の説明】
【0077】
1 インバータ回路
2 双方向スイッチング素子
22 ブラシレスDCモータ
23 固定子
24 回転子
25 直流電源
26 電流検出抵抗
27 スイッチ回路
28 通電手段
29 位置検出手段
30 マイクロコンピュータ
31 ドライブ回路
32 駆動回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路と、このインバータ回路に接続する3相の固定巻線と固定子を有するブラシレスDCモータと、前記スイッチング素子をPWM制御させるブラシレスDCモータの駆動回路とを搭載した換気送風装置において、前記スイッチング素子は、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置とした換気送風装置。
【請求項2】
駆動回路は第一ゲート端子、第二ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子を備えたスイッチング素子で構成したインバータ回路において、前記第一ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に双方向デバイスのオン状態と逆方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第二ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に順方向ダイオードと前記順方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオフして順逆双方向に電流を遮断する特性を有するように動作させて、前記スイッチング素子のダイオードに電流が流れる時に前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、発熱を減少させるる構成とした請求項1記載の換気送風装置。
【請求項3】
駆動回路は上段のスイッチング素子のみPWM制御する構成の場合、前記双方向素子は下段のみに使用する構成とした請求項1乃至2記載の換気送風装置。
【請求項4】
駆動回路は前記駆動回路の運転停止を操作するスイッチ回路を同じ場所に設置する構成とした請求項1乃至3記載の換気送風装置。
【請求項5】
駆動回路は操作回路と一体にした構成とした請求項1乃至4記載の換気送風装置。
【請求項1】
直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路と、このインバータ回路に接続する3相の固定巻線と固定子を有するブラシレスDCモータと、前記スイッチング素子をPWM制御させるブラシレスDCモータの駆動回路とを搭載した換気送風装置において、前記スイッチング素子は、双方向に電流を流すモードと一方向に電流を流すダイオードモードとをゲートの信号により切り替える構成の第1の双方向素子と、前記第1の双方向素子と同じ構成にした第2の双方向素子とを有し、前記第1の双方向素子と前記第2の双方向素子は、ダイオードモードのときに互いにカソードが接続される配置とした換気送風装置。
【請求項2】
駆動回路は第一ゲート端子、第二ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子を備えたスイッチング素子で構成したインバータ回路において、前記第一ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に双方向デバイスのオン状態と逆方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第二ゲート端子のみをオンしてドレイン端子からソース端子間に順方向ダイオードと前記順方向ダイオードのカソード側が直列接続された半導体として動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオフして順逆双方向に電流を遮断する特性を有するように動作させて、前記スイッチング素子のダイオードに電流が流れる時に前記第一ゲート端子及び第二ゲート端子をオンしてドレイン端子からソース端子間にダイオードを介さない双方向に導通するように動作させ、発熱を減少させるる構成とした請求項1記載の換気送風装置。
【請求項3】
駆動回路は上段のスイッチング素子のみPWM制御する構成の場合、前記双方向素子は下段のみに使用する構成とした請求項1乃至2記載の換気送風装置。
【請求項4】
駆動回路は前記駆動回路の運転停止を操作するスイッチ回路を同じ場所に設置する構成とした請求項1乃至3記載の換気送風装置。
【請求項5】
駆動回路は操作回路と一体にした構成とした請求項1乃至4記載の換気送風装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−187426(P2010−187426A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28085(P2009−28085)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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