説明

新規ポジ型感光性ポリベンゾオキサゾール前躯体組成物

(a)少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、(a)少なくとも1つの可塑剤化合物、(b)少なくとも1つの溶媒を含有し、前記組成物中に存在する前記可塑剤の量が、その後の基材の金属化において、撮像された物の急角度に起因するストレス障害を防ぐために、基材上のコーティングフィルムにおいて撮像されて硬化された物の側壁角を減少させるのに効果的な量であり、ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーがポリマー内に光反応性部分を含まないポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーのみから構成される場合には(c)少なくとも1つの光反応性化合物も組成物中に存在するという条件付きの、耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ電子工学への応用における使用に適したポジ型感光性ポリベンゾオキサゾール(PBO)前躯体組成物に関する。より具体的には、本発明は、ポリベンゾオキサゾール前躯体および可塑剤を用いる、ポジ型として機能する感光性組成物、および感光性組成物を用いて耐熱性の凹凸構造作成のための工程に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子工学への応用において、高い耐熱性を示すポリマーが一般によく知られている。ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールなどの当該ポリマーの前躯体は、適切な添加物を加えることで光反応性になることができる。前躯体は、高熱への曝露などの既知の技術により望ましいポリマーに転換される。ポリマー前躯体は、高度耐熱性ポリマーの保護層、絶縁層、凹凸構造の作成に用いられる。
【0003】
従来のポジ型感光性ポリベンゾオキサゾール組成物は、米国特許第4,371,685号明細書に開示されているように、アルカリ可溶性PBO前躯体及びジアゾキノン化合物を含んでいる。ジアゾキノン化合物は、PBO前躯体の塩基水溶液中での溶解性を抑制する。しかし、光への曝露後、ジアゾキノン化合物は光分解を受け、PBO前躯体の塩基水溶液中での溶解性を促進するインデンカルボン酸に転換される。
【0004】
一部のフェノール基がアセタール保護基で保護されたPBO前躯体を含む化学的に増強されたポジ型感光性ポリベンゾオキサゾール組成物及び、照射で酸を生じる化合物(PAG)は、本願に参照して組み入れられる米国特許第6,143,467号明細書、および米国特許出願公開第20040253542号明細書で開示されている。適切な波長の光照射後、PAGはフェニール部分からアセタール保護基を除去する酸を生じる。この過程は、塩基水溶液中のPBO前躯体の溶解を促進し、適度に高い壁角度をもつ像を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一部の用途のために、マイクロ電子工学製造業者と技術者はより浅い、またはより柔らかい側面形状を提供する塗料を求めている。フォトイメージング処理の結果として得られる側面の形が垂直すぎる、および/または形成されたコーティング上面との角度が鋭角過ぎる場合、その後の形の金属化で高度の誘発ストレスを伴う金属層を形成する可能性がある。装置故障の故障をもたらす金属層の亀裂及び層間剥離が高度ストレス部位に形成される可能性もある。更に、急傾斜すぎる側面は、ワイヤー・ボンディング機器の問題の原因となる可能性もある。本発明は、PBO前躯体、及びフィルム用の標準的な軟焼成温度(100−150℃)で低蒸気圧である可塑剤を含む、新規の感光性組成物を開示する。調合中のこれらの可塑剤の存在は応力亀裂を防ぐ、より低い側面角度を提供し、組成物のリソグラフ性能の面で不利な影響なしに装置の信頼性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(a)少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、
(b)少なくとも1つの可塑剤化合物、
(c)少なくとも1つの溶媒を含有し、前記組成物中に存在する前記可塑剤の量が、その後の基材の金属化において、撮像された物の急角度に起因するストレス障害を防ぐために、基材上のコーティングフィルムにおいて撮像されて硬化された物の側壁角を減少させるのに効果的な量であり、ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーがポリマー内に光反応性部分を含まないポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーのみから構成される場合には(d)少なくとも1つの光反応性化合物も組成物中に存在するという条件付の、耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物を対象とする。
【0007】
また本発明は、上述のポジ型感光性PBO前躯体組成物から耐熱性凹凸構造を作成するための工程、および本発明に従った当該組成物と当該方法の使用の組合せによって得られる製品にも関する。
【0008】
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を、熱および機械的ストレスの緩衝コーティング、アルファ粒子バリアフィルム、層間絶縁膜、およびパターン化エンジニアリング樹脂層としてマイクロ電子機器またはマイクロ電気機械システム(MEMs)の製造に用いることもできる。
【0009】
一部の用途のために、ミクロ電子工学業者と技術者はより浅い、またはより柔らかい側面形状を提供するコーティング組成物を求めている。フォトイメージング処理の結果として得られる側面の形が垂直すぎる、および/または形成されたコーティング上面との角度が鋭角過ぎる場合、その後の形の金属化で高度の誘発ストレスを伴う金属層を形成する可能性がある。金属層の亀裂や層間剥離が高度ストレス部位に形成される可能性もある。(図1−3参照)これらの亀裂は、機器が開回路に起因する機能的障害を引き起こすほどに、金属層構造を通じて広まる可能性がある。更に、垂直側面がコーティングされた接着パッドは、ボンディングヘッドが垂直な壁の間にかみ合わないことからワイヤー・ボンディングが難しい可能性がある。明らかに、縁が丸みを帯び先細になった側面が必要である。本発明は、PBO前躯体組成物と当該フィルムの標準的な軟焼成温度(100−150℃)で低蒸気圧である可塑剤を含む新規の感光性組成物を開示する。調合中のこれらの可塑剤の存在は、より浅い壁角度、あるいは丸みを帯びた角と縁の提供に役立つ。本発明の目的のために、可塑剤は、本発明の組成物中に存在する場合に、本発明の組成物から成型されたコーティングからフォトイメージされた形へのPBO前躯体の硬化サイクルの間に、このような浅い壁角度および/または丸みを帯びた角と縁を作り出すことができる化合物と定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、
(a)少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、
(b)少なくとも1つの可塑剤化合物、
(c)少なくとも1つの溶媒を含有し、前記組成物中に存在する前記可塑剤の量が、その後の基材の金属化において、撮像された物の急角度に起因するストレス障害を防ぐために、基材上のコーティングフィルムにおいて撮像されて硬化された物の側壁角を減少させるのに効果的な量であり、ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーがポリマー内に光反応性部分を含まないポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーのみから構成される場合には(d)少なくとも1つの光反応性化合物を含むという条件付の、耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物を対象とする。
【0011】
本発明の一実施形態は、
(a)構造IまたはIIまたはIIIまたはIIIまたはIVまたはIVを有する、少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーであり、
【0012】
【化1】

式中、Arは四価の芳香族基、四価の複素環基、またはその混合であり;Arは二価の芳香族基、二価の複素環基、二価の脂環基、またはケイ素を含む場合がある二価の脂肪族基、あるいはその混合であり;Arは二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基、またはその混合であり;ArはAr(OH)または構造I、III,およびIIIのArであり、ArはAr(OD)(OH)または構造II,IVおよびIVのArであり、xは約10から約1000までであり;yは0から約900で(x+y)<1000であり;Dは以下の部分の1つであり、
【0013】
【化2】

式中、RはH,ハロゲン、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;kは約0.5までの任意の正の数である可能性があり、kは(k1+)=2であることを条件として約1.5から約2までの任意の正の数である可能性があり、GはポリマーのNH末端に直接結合したカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはスルホニル基を有する、置換されるか、あるいは置換されない一価の有機基であり、GはポリマーのNH末端に直接結合した少なくとも1つのカルボニル基またはスルホニル基を有する、置換されるか、あるいは置換されない二価の有機基であり、
(b)少なくとも1つの可塑剤化合物、
(c)少なくとも1つの溶媒を含有し、構造I、II、IIIもしくはその混合のみから構成される場合には(d)少なくとも1つの光反応性化合物が添加されるという条件付きの、ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含有するジアゾキノンを対象とする。
【0014】
任意で、ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、界面活性剤、接着促進剤、平滑化剤、および溶解速度調節剤を含む可能性もある、その他の添加物を含むこともできる。
【0015】
構造Iのポリマーを、構造X、XIおよびXIIを有するモノマーから調製することもできる。構造X、XIおよびXIIを有するモノマーを、構造Iのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーを合成するために塩基の存在下で反応させる。
【0016】
【化3】

Ar、Ar、Arは既に定義されたとおりであり、WはC(O)Cl、COOHまたはC(O)OR20であり、式中、R20はC-Cの線状または分岐したアルキル基またはC?Cのシクロアルキル基である。
【0017】
構造I、II、III、III、IV、IV、XおよびVI、VII、VII(下記参照)において、Arは四価の芳香族基または四価の複素環基、あるいはその混合である。Arの例は、以下を含むがこれに限定されるものではなく、
【0018】
【化4】

式中、Xは−O−、−S−、−C(CF−、−CH−、−SO−、−NHCO−または-SiR13−であり、各R13は独立にC-Cの線状または分岐したアルキル基またはC-Cのシクロアルキル基である。R13の例は−CH、−C、n−C、i−C、n−C、t−C、およびシクロヘキシルを含むが、これに限定されるものではない。二つ以上のAr基の混合が使用されてもよい。
【0019】
Arを含む構造Xを有するモノマーの例は、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、4,6−ジアミノレソルシノール、および2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを含むが、これに限定されるものではない。構造Xを有するモノマー中の二つのヒドロキシ基と二つのアミノ基の置換パターンは、ベンゾオキサゾール環を形成できるように各アミノ基がヒドロキシ基とオルトの関係を持つことを条件に、任意の可能な置換パターンであってもよい。更に、構造Iのポリマーに基づくポリベンゾオキサゾール前躯体は、一般構造Xで述べられた二つ以上のモノマーの混合を用いて合成されてもよい。
【0020】
構造I、II、III、III、IV、IV、XIおよびVI、VII、VII(下記参照)において、Arは二価の芳香族基、二価の複素環基、二価の脂環基、またはケイ素を含む場合がある二価の脂肪族基である。Arの例は、以下を含むがこれに限定されるものではなく、
【0021】
【化5】

式中、Xは−O−、−S−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−C(O)−、−SO−、−NHCO−または-SiR13−であり、各R13は独立してC-Cの線状または分岐したアルキル基またはC-Cのシクロアルキル基であり、Xは−O−、−S−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−SO−、または−NHCO−であり、ZはHまたはC−Cの線状、分岐した、または環状のアルキルであり、pは1から6の整数である。適切なZ基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルを含むが、これに限定されるものではない。二つ以上のAr基の混合が使用されてもよい。
【0022】
Arを含む構造XIを有するモノマーの例は、5(6)−ジアミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルリンデン(DAPI)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノ−1、1’−ビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4−トルエンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ガンマ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、メチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、2,11−ジアミニドデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,17−ジアミノエイコサン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−トリフルオロメチルピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4,−オキサジアゾール、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレン−ビス(o−クロロアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(3−メチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−メトキシアニリン)、4,4’−オキシ−ジアニリン、4,4’−オキシ−ビス−(2−メトキシアニリン)、4,4’−オキシ−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4’−チオ−ジアニリン、4,4’−チオ−ビス−(2−メチルアニリン)、4,4’−チオ−ビス−(2−メチオキシアニリン)、4,4’−チオ−ビス−(2−クロロアニリン)3,3’スルフォニル−ジアニリン、3,3’スルフォニル−ジアニリンを含むがこれに限定されるものではない。更に、構造Iのポリマーに基づくポリベンゾオキサゾール前躯体は、一般構造XIで述べられた二つ以上のモノマーの混合を用いて合成されてもよい。
【0023】
構造I、II、III、III、IV、IV、XIIおよびVI、VII、VII(下記参照)において、Arは二価の芳香族基、二価の脂肪族、または二価の複素環基である。Arの例は以下を含むが、これに限定されるものではなく、
【0024】
【化6】

式中、Xは−O−、−S−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−SO−、または−NHCO−である。二つ以上のAr基の混合が使用されてもよい。
【0025】
構造XIIにおいて、WはC(O)Cl、COOHまたはC(O)OR20であり、式中、R20はC-Cの線状または分岐したアルキル基、あるいはC-Cのシクロアルキル基である。R20の例は−CH、−C、n−C、i−C、n−C、t−C、およびシクロヘキシルを含むが、これに限定されるものではない。
【0026】
構造XIIを有するモノマーは、二塩基酸、二酸二塩化物、およびジエステルである。適切なジカルボン酸(W=COOH)の例は、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸およびその混合を含むが、これに限定されるものではない。適切な二酸塩化物(W=COCl)の例は、イソフタル酸ジクロリド、フタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド、1,4−オキシジベンゾイルジクロリドおよびその混合を含むが、これに限定されるものではない。適切なジカルボン酸エステル(W=C(O)OR20)の例は、イソフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジエチルおよびその混合を含むが、これに限定されるものではない。
【0027】
ジカルボン酸またはその二塩化物またはジエステルを少なくとも1つの芳香族ジヒドロキシジアミンおよび/または複素環ジヒドロキシジアミン、および任意で少なくとも1つのジアミンと反応させる任意の従来法が用いられてもよい。一般的に、二酸二塩化物(W=C(O)Cl)の反応は、約10℃から約30℃で、約6時間から48時間、化学量論比の量のアミン塩基の存在下で行われる。適切なアミン塩基の例はピリジン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、ジメチルピリジン、およびジメチルアニリンを含むが、これに限定されるものではない。構造Iのポリベンゾオキサゾール前躯体に基づくポリマーは、水への沈殿によって分離され、濾過で回収され乾燥されてもよい。ジエステルまたは二塩基酸に用いる適切な合成の説明は、本明細書に参照することで組み込まれる米国特許第4,395,482号明細書、第4,622,285号明細書、および第5,096,999号明細書に見られる。
【0028】
好適な反応溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル−2−ピペリドン、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、スルホラン、およびジグライムである。最も好適な溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、およびガンマ−ブチロラクトン(GBL)である。
【0029】
構造X、XIおよびXIIを有するモノマーは、[X+XI]/XIIの比が一般に約1から約1.2になるように使用される。好適には、[X+XI]/XIIの比は一般的に約1から約1.1である。構造Xを有するモノマーは、約10モル%から約100モル%の[X+XI]を使用し、構造XIを有するモノマーは、約0モル%から約90モル%の[X+XI]を使用する。ポリベンゾオキサゾール前躯体に基づく構造Iのポリマーにおいて構造XとXIを有するモノマーから生じるポリマー単位の分配は、ランダムかブロック状である。
【0030】
構造I、II、III、III、IV、IVおよびVI、VII、VII(下記参照)において、xは約10から約1000までの整数であり、yは約0から約900までの整数であり、(x+y)は約1000未満である。xの好適な範囲は約10から約300までであり、yの好適な範囲は約0から約250までである。xのより好適な範囲は約10から約100までであり、yのより好適な範囲は約0から約100までである。xの最も好適な範囲は約10から約50までであり、yの最も好適な範囲は約0から約5までである。
【0031】
(x+y)の量を、構造Iのポリマーの分子量の数(Mn)の平均を反復単位の分子量の平均で割ることで計算することもできる。Mnの値を、例えば、Jan Rabek, Experimental Methods in Polymer Chemistry, John Wiley & Sons, New York, 1983に述べられたように膜浸透圧法またはゲル浸透クロマトグラフィーといった標準的な方法によって決定してもよい。
【0032】
ポリマーの分子量と固有粘度、従って一定の化学量論比のxとyは、選択し考慮された溶媒の純度、湿度、周辺の窒素ガスまたはアルゴンガスの有無、反応温度、反応時間、およびその他の変数といった反応条件によって広い範囲にわたる可能性があることに留意しなくてはならない。
【0033】
構造IIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーは、構造Iのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの反応によって、構造Xのモノマー中のOH基の量の約0.5%から25%までのDCIのモル総量で、構造IIのポリベンゾオキサゾール前躯体を生じるための塩基存在下で反応1に従って合成されてもよい。
【0034】
【化7】

式中、Ar、Ar、Ar、Ar、D、k、k、xおよびyは既に述べられたとおりである。
【0035】
PBO前躯体ポリマーIと反応する可能性があるジアゾキノン化合物DCIの例は以下を含むが、これに限定されるものではなく、
【0036】
【化8】

式中、RはH,ハロゲン、C-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。適切なR基の例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルを含むがこれに限定されるものではない。
【0037】
一般的に、反応は約0℃から約30℃で約3時間から約24時間まで、塩基存在下の溶媒中で行われる。一般的にDCIに対して少々過剰な塩基が用いられる。塩基の例は、ピリジン、トリアルキルアミン、メチルピリジン、ルチジン、n−メチルモルホリンなどといったアミン塩基を含むがこれに限定されるものではない。最も好適な塩基はトリエチルアミンである。好適な反応溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル−2−ピペリドン、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、スルホラン、およびジグライムである。最も好適な反応溶媒はテトラヒドロフランとアセトンである。反応混合液は化学線から保護されなければならない。
【0038】
0.01から約0.5までのkを生じるために、DCIのモル総量は構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約25%までの範囲にわたる可能性もある。約0.01から約0.20までのkを生産するために好適なDCI量は、構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約10%である。約0.01から約0.10までのkを生産するためにより好適なDCI量は、構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約5%である。約0.01から約0.05までのkを生産するために最も好適なDCI量は、構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約2.5%である。
【0039】
構造IIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーは、G−Mの構造Iで、式中Gがカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはスルホニル基を有する一価の有機基であり、Mが反応性離脱基であるポリベンゾオキサゾールポリマーの反応によって合成されてもよい。
【0040】
Gの例は以下の構造を含むが、これに限定されるものではない。
【0041】
【化9】

M基の例はCl、Br、メシラート、トリフレート、置換されたカルボニルオキシ基、置換された炭酸基を含むが、これに限定されるものではない。
【0042】
好適なクラスのG−M化合物の例は、カルボン酸クロリドとスルホン酸クロリド、臭化炭素とスルホン酸ブロミド、線状と環状の炭素無水物およびスルホン酸無水物、およびアルコキシまたはアリールオキシで置換された酸塩化物を含むが、これに限定されるものではない。好適なG−M化合物の例は、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水酢酸、プロピオン酸無水物、ノルボルネン無水物、無水フタル酸、ショウノウスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物、エタンスルホン酸無水物、ブタンスルホン酸無水物、ペルフルオロブタンスルホン酸無水物、塩化アセチル、塩化メタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化ベンゾイル、ノルボルネンカルボン酸クロリド、ジ−t−ブチルジカーボネート、ジメチルジカーボネート、ジエチルジカーボネート、ジブチルジカーボネート、クロロギ酸t−ブチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸n−ブチル、およびクロロギ酸メチルを含む。更なる例は、以下に示す構造を有する化合物を含む。
【0043】
【化10】

反応は、適切な溶媒中で構造Iのポリベンゾオキサゾール前躯体塩基ポリマーの乾燥溶液中へのG−Mの添加によって、約25℃から約50℃までの温度で行われてもよい。より好適な温度は約0℃から約25℃までである。最も好適な温度は約5℃から約10℃までである。反応時間は約1時間から約24時間までである。G−Mのモル総量は、構造XおよびXIのモノマーのモル総量の合計より少々過剰(3-6%)であり、構造XIIのモノマーのモル総量よりやや少ない。有機塩基または無機塩基の添加が利用される場合もある。適切な有機アミン塩基の例はピリジン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、ジメチルピリジン、およびジメチルアニリンを含むが、これに限定されるものではない。その他の適切な塩基の例は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびケイ酸ナトリウムを含む。
【0044】
好適な反応溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル−2−ピペリドン、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、スルホラン、およびジグライムである。最も好適な反応溶媒はジグライムとPGMEAである。
【0045】
一部の例では、環状無水物などの特定のエンドキャップ試薬によるエンドキャップ反応は、エンドキャップ反応後に停止しない場合もある。その後の脱水工程も二価のエンドキャップ(構造III、IV、およびVII中のG(下記参照))形成を生じる可能性もある。この追加反応を受ける可能性がある環状無水物の例は、無水マレイン酸、無水コハク酸、ノルボルナン無水物、ノルボルネン無水物、およびショウノウ無水物を含むが、これに限定されるものではない。
【0046】
【化11】

構造IVのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーは、構造IIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの反応によって、構造Xのモノマー中のOH基の量の約0.5%から25%までのDCIのモル総量で、構造IVのポリベンゾオキサゾール前躯体を生じるための塩基存在下で反応2に従って合成されてもよい。
【0047】
【化12】

式中、Ar、Ar、Ar、Ar、D、k、k、x、yおよびGは既に述べられたとおりである。同様に、構造IVを有するポリマーは、構造IIIを有するポリマーから合成されてもよい。
【0048】
PBO前躯体ポリマーIII(III)と反応する可能性があるジアゾキノン化合物DCIの例は以下のうちの1つを含むが、これに限定されるものではなく、
【0049】
【化13】

式中、RはH,ハロゲン、C-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。適切なR基の例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルを含むがこれに限定されるものではない。
【0050】
0.01から約0.5までのkを生じるために、DCIのモル総量は構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約25%までの範囲にわたる可能性もある。約0.01から約0.20までのkを生産するために好適なDCI量は、構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約10%である。約0.01から約0.10までのkを生産するためにより好適なDCI量は、構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約5%である。約0.01から約0.05までのkを生産するために最も好適なDCI量は、構造Xのモノマー由来のOH基の量の約0.5%から約2.5%である。
【0051】
反応条件は、構造IIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの合成についての説明と同じである。
構造IVのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーは、G−Mを有する構造IIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの反応によって調製されてもよい。同様に、構造IVは構造IIを有するG−Mを反応させることよって調製されてもよい。G、GおよびMの定義は既に定義されたとおりであり、反応条件は構造IIIまたはIIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの調製で述べられたものと同じである。
【0052】
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、少なくとも1つの可塑剤を含む。可塑剤は、軟焼成後にフィルム中に残るように典型的な焼成温度である約70℃から約150℃で溶媒よりも揮発性が低くなくてはならない。これは一般的に、可塑剤の官能基のポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンの他の成分との相互作用が揮発性を十分に低下させないかぎりは、本発明の可塑剤は使用される溶媒よりも沸点が高いことを意味する。この沸点差は少なくとも約10℃であることが好ましい。より好適な沸点差は、少なくとも約15℃である。
【0053】
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに関する本発明の一実施形態では、可塑剤は、少なくとも二つのOH基を持つ少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物であり、沸点がポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒を含むジアゾキノンの沸点より高い。少なくとも二つのOH基を持つポリヒドロキシ化合物の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ソルビトール、シクロヘキサンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.0/2,6)デカン、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールとの2−オキセパノンのコポリマーを含むが、これに限定されるものではない。少なくとも二つのOH基を持つポリヒドロキシ化合物の好適な例は、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールとの2−オキセパノンのコポリマーである。より好適な少なくとも2つのOH基をもつポリヒドロキシ化合物は、トリプロピレングリコールおよび2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーである。
【0054】
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに関する本発明のもう一つの実施形態では、可塑剤は、沸点がポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒を含むジアゾキノンの沸点より高い、少なくとも1つの飽和グリコールモノエーテルである。適切な飽和グリコールモノエーテルの例は、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールの飽和モノエーテルを含むが、これに限定されるものではない。好適な飽和グリコールモノエーテルはトリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールの飽和モノエーテルである。より好適な飽和グリコールモノエーテルはトリ(プロピレングリコール)メチルエーテル、トリ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、およびトリ(プロピレングリコール)ブチルエーテルである。
【0055】
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに関する本発明のもう一つの実施形態では、可塑剤は、沸点がポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒を含むジアゾキノンの沸点より高い、少なくとも1つの飽和カルボン酸エステルである。例は、エチルシクロヘキシルアセテート、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、n−ブチルシンナメート、エチル−3,3’−ジエトキシプロピオネート、コハク酸ジメチル、コハク酸ジイソプロピル、マレイン酸ジメチル、マロン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アセトアミドマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、およびシス−トランス異性体の混合物、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチルを含むが、これに限定されるものではない。好適なカルボン酸エステルは、少なくとも二つのカルボン酸基を含むカルボン酸に由来する。例はコハク酸ジメチル、コハク酸ジイソプロピル、マレイン酸ジメチル、マロン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アセトアミドマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、およびシス−トランス異性体の混合物、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチルを含むが、これに限定されるものではない。
【0056】
本発明の好適な実施形態は、少なくとも2つのOH基とグリコールエーテルを有するポリヒドロキシ化合物からなる群から選択された、少なくとも1つの可塑剤を含むポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンである。
【0057】
本発明のより好適な実施形態は、少なくとも2つのOH基を有するポリヒドロキシ化合物からなる群から選択された、少なくとも1つの可塑剤を含むポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンである。
【0058】
このポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンの適切な溶媒は極性有機溶媒である。極性有機溶媒の適切な例は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル−2−ピペリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、およびそれらの混合を含むが、これに限定されるものではない。好適な溶媒はガンマ−ブチロラクトン、N−エチル−2−ピロリドン、およびN−メチル−2−ピロリドンである。最も好適な溶媒はガンマ−ブチロラクトンである。
【0059】
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンの光活性化合物(d)は、1つ以上の構造Dの化合物(上述)を有する約2つから約9つまでの芳香族ヒドロキシル基を含む化合物の縮合生成物である1つ以上のジアゾナフトキノン光活性化合物を含む。好適な構造Dは、5−ナフトキノンジアジドスルホニル化合物および/または4−ナフトキノンジアジドスルホニル化合物である。
【0060】
適切な光活性化合物の例は、式中、Qが独立に水素原子、あるいは少なくとも1つのQ=Dであることを条件としてQがDであってDが以前定義されたとおりである構造XIIIa-rを含むが、これに限定されるものではない。
【0061】
【化14】



光活性化合物の調製に一般的に用いられるフェノール化合物(即ち、骨格)は、任意の適切な方法によって調製されてもよい。一般的な合成方法は、適切なフェノール誘導体と適切なアルデヒドまたはケトンとのメタノールなどの溶媒存在化での反応によるものである。反応は、強酸(例えば、硫酸またはp−トルエンスルホン酸)による触媒が最も頻繁に行われる。一般的に反応は約15℃から約80℃で、約3時間から約48時間まで行われる。
【0062】
光活性化合物XIIIは、DCIを有する骨格の反応によって合成される。一般的に反応は約0℃から約30℃で、約4時間から約36時間まで塩基の存在下で行われる。一般的に、DCIに対して少々過剰な塩基が用いられる。塩基の例はピリジン、トリアルキルアミン、メチルピリジン、ルチジン、n−メチルモルホリンなどといったアミン塩基を含むが、これに限定されるものではない。最も好適な塩基はトリエチルアミンである。好適な反応溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル−2−ピペリドン、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、スルホラン、およびジグライムである。最も好適な反応溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、アセトン、およびガンマ−ブチロラクトン(GBL)である。反応混合液は化学線から保護されなければならない。
【0063】
本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むポジ型ジアゾキノンは、少なくとも1つの構造IまたはIIまたはIIIまたはIIIまたはIVまたはIVのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーを総組成物の少なくとも約5重量%から約50重量%まで含む。少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体IまたはIIまたはIIIまたはIIIまたはIVまたはIVのより好適な量は、約10重量%から約45重量%までである。少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体IまたはIIまたはIIIまたはIIIまたはIVまたはIVの最も好適な量は、約20重量%から約40重量%までである。
【0064】
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに用いられるポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーは、構造Iで述べられたポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、構造IIで述べられたポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、構造IIIで述べられたポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、構造IIIで述べられたポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、構造IVで述べられたポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、構造IVで述べられたポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、あるいはそれらの混合物を含んでもよい。構造I、II、III、III、IV、IVで述べられたポリマーは、任意の比で混合されてもよい。
【0065】
本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに用いられる可塑剤の量は、組成物総重量の約0.1重量%から約20重量%であり、好適には約1重量%から約10重量%であり、より好適には約1.25重量%から約7.5重量%であり、最も好適には約1.5重量%から約5重量%である。可塑剤は任意の適切な比で共に混合されてもよい。
【0066】
溶媒は、ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンを約40重量%から約80重量%含む。好適な溶媒の範囲は、約45重量%から約70重量%までである。より好適な溶媒の範囲は、約50重量%から約65重量%までである。
【0067】
本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに用いられる光活性化合物の量は、組成物総重量の約0重量%から約20重量%であり、好適には約2重量%から約10重量%であり、最も好適には約3重量%から約5重量%である。光活性化合物は、任意の適切な比で共に混合されてもよい。
【0068】
任意で、接着促進剤がポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに含まれてもよい。使用する場合には、接着促進剤の量は組成物総重量の約0.1重量%から約2重量%の範囲にわたる。好適な接着促進剤の量は約0.2重量%から約1.5重量%である。より好適な接着促進剤の量は約0.3重量%から約1重量%である。適切な接着促進剤はアミノシランおよびそれらの混合物または誘導体を含むが、これに限定されるものではない。本発明で使用される可能性がある適切な接着促進剤の例は、構造XIVで述べられるものでもよく、
【0069】
【化15】

式中、R14は独立にC-Cのアルキル基、またはC-Cのシクロアルキル基であり、各R15は独立にC-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基、C-Cのシクロアルキル基、またはC-Cのシクロアルコキシ基であり、dは0から3の整数でqは1から6の整数であり、R16は次の部分の1つであり、
【0070】
【化16】

式中、各R17とR18は独立にC-Cのアルキル基、またはC-Cのシクロアルキル基であり、R19はC-Cのアルキル基、またはC-Cのシクロアルキル基である。好適な接着促進剤は、R16が次から選択されたものである。
【0071】
【化17】

より好適な接着促進剤は、R16
【0072】
【化18】

である。
【0073】
最も好適な接着促進剤は、
【0074】
【化19】

である。
【0075】
本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、更に他の添加物を含んでもよい。適切な添加物は、例えば平滑化剤、溶解抑制剤などを含む。このような添加物は、ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンに組成物総重量の約0.03重量%から約10重量%で含まれてもよい。
【0076】
本発明の別の実施形態は、
(a)構造VIまたはVIIまたはVIIを有する少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーであり、
【0077】
【化20】

式中、Arは四価の芳香族基、四価の複素環基、またはその混合であり;Arは二価の芳香族基、二価の複素環基、二価の脂環基、またはケイ素を含む場合がある二価の脂肪族基であり;Arは二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基、またはそれらの混合であり;ArはAr(OB)(OH)またはArである可能性があり;xは約10から約1000までの整数であり;yは0から約900の整数で(x+y)<1000であり;Bは酸感受性基のRまたは酸感受性基のRを含むE−O−R部分であり;Eは酸に不安定でなく−E−OH部分をアルカリ可溶化部分にする任意の適した二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基であり、kは0.1から2までの任意の数である可能性があり、kは(k+k)=2で与えられる0−1.9の任意の数である可能性があり;GはポリマーのNH末端に直接結合したカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはスルホニル基を有する置換されたまたは置換されていない一価の有機基であり、GはポリマーのNH末端に直接結合した少なくとも1つのカルボニル基またはスルホニル基を有する置換された、または置換されていない一価の有機基であり;
(b)少なくとも1つの可塑剤化合物;
(c)照射によって酸を放出する少なくとも1つの光活性化合物(PAG);および
(d)少なくとも1つの溶媒
を含有する、熱耐性ポジ型の化学的に増強された感光性PBO前躯体組成物である。
【0078】
任意で、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、光増感剤、界面活性剤、塩基、接着促進剤、平滑化剤、および加速剤を含む可能性がある、その他の添加物を含んでもよい。
【0079】
基に結合したO原子と組合わさるRは、アセタール基、ケタール基、エーテル基、およびシリルエーテル基といった基を形成する。R基の混合が用いられてもよい。適切なR基の例は以下を含むが、これに限定されるものではない。
【0080】
【化21】

好適なR基は、A基に結合したO原子と組合さってアセタール基を形成する基である。より好適なR基は以下を含むが、これらに限定されるものではない。
【0081】
【化22】

E−O−Rにおいて、Eは酸に不安定でなく、−E−OH部分をアルカリ可溶化部分にする任意の適切な二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基である。Rは任意の酸に不安定な基である。当業者は、Rの除去した後に結果として生じた−E−OH部分が塩基水溶液中でアルカリ可溶化するはずであることを理解するだろう。好適な−E−OHは、フェノール類、または芳香族酸、または脂肪族カルボン酸である。E基の例は次の構造を含むが、これらに限定されるものではない。
【0082】
【化23】

E−O−Rの具体的な例は次の構造を含むが、これらに限定されるものではない。
【0083】
【化24】

Eの一部と組み合わさるRは、アセタール基、ケタール基、エーテル基、シリルエーテル基、酸感受性メチレンエステル基(例えば、メチレンt−ブチルエステル基)、酸感受性エステル基、および炭酸といった基を形成する。EおよびRの混合が用いられてもよい。RとRが活性化エネルギーの低い基(例えば、アセタール)である場合、Gは環状無水物に由来しないことが望ましいが、Gは環状無水物に由来してもよい。
【0084】
好適なE−O−R基は、アセタールまたは酸感受性エステルを含むものである。より好適なE−O−R基は以下を含むが、これらに限定されるものではない。
【0085】
【化25】

構造I、IIIおよびIIIのPBO前躯体ポリマーのヒドロキシル基の一部は、構造VI、VIIおよびVIIの酸感受性PBO前躯体ポリマーを生じるよう反応が行われる場合もある。構造I、IIIおよびIIIのPBO前躯体ポリマー(構造Xのモノマーに由来する)のモノマー単位のOH基のこの反応は、酸感受性部分が用いられる場合、あるいはスペーサ基のEが用いられる場合によっては、別の方法で行われてもよい。例えば、米国特許第6143467号明細書および米国特許出願公開第20040253542号明細書で述べられたものと同様の方法で、構造VIIまたはVIIの酸感受性PBO前躯体がキャップされた酸感受性末端は、酸が触媒のビニルエーテルの付加反応によって構造IIIまたはIIIのPBO前躯体から調製されてもよい。例えば塩酸、p−トルエンスルホン酸、およびピリジニウム−p−トルエンスルホン酸といった任意の適切な酸触媒が反応に用いられてもよい。酸触媒は、反応物の総重量の0.001重量%から約3.0重量%の範囲の量で加えられてもよい。この反応には、酸に誘導される脱保護に関して、一連の活性化エネルギーの範囲のビニルエーテルを使うこともできる。このようなビニルエーテルの例はエチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ジヒドロフラン、2−メトキシ−1−プロパン、およびジヒドロピランを含むが、これらに限定されるものではない。
【0086】
本発明に有用な構造VI、VIIおよびVIIのPBO前躯体ポリマーは、本願で参照して組み込まれる米国特許第6,133,412号明細書でヒドロキシスチレンに由来するポリマーについて述べられたように、構造I、IIIまたはIIIの酸が触媒のPBO前躯体ポリマー、t−ブチルビニルエーテル、ならびにアルキルアルコール、アルキレンアルコール、シクロアルキルアルコール、シクロアルキルアルキルアルコールまたはアリールアルキルアルコールの反応からなる方法を用いて調製されてもよい。
【0087】
アセタールで保護されたPBO前躯体生産のための典型的な合成反応メカニズムは、以下に示す構造VIIによって表され、
【0088】
【化26】

式中、G,Ar、Ar、Ar、k、k、x、およびyは既に定義され、ArはAr(OH)または構造IIIのArおよびAr(OB)(OH)または構造VII−1のArである。Rの例は置換された、または置換されていない、線状、分岐、または環状の好ましくは1から18炭素原子を有するアルキル基、置換された、または置換されていない、線状、分岐、または環状の好ましくは1から18炭素原子を有するハロゲン化アルキル基、またはアリールアルキル基を含むが、これに限定されるものではない。R基とR基の例は、水素;線状、分岐、または環状のアルキル基;シクロアルキル置換、置換されたシクロアルキル、アリール、および置換されたアリール基を有する好ましくは1から10炭素原子を有する線状または分岐のアルキレン基を含むが、これに限定されるものではない。
【0089】
酸に不安定な官能基を有する構造VI、VIIおよびVIIのPBO前躯体ポリマーを得る別の適切な方法は、米国特許第5,612,170号明細書においてヒドロキシスチレン単位を含むポリマーに関して述べられたような、t−ブチル(またはその他の第3酸感受性基)ブロモ酢酸を含む構造I、III、またはIIIのPBO前躯体の塩基存在下での反応に由来するものである。酸感受性置換基(例えば、t−ブチルエステル、炭酸塩またはアルファ−アルコキシエステル)を持つベンジルブロミドは、同様の方法で反応する可能性もある。シリル基で保護された構造VI、VIIおよびVIIのPBO前躯体ポリマーは、同様に塩基性条件下でシリルハロゲン化合物とポリマーが反応することによって調製されてもよい。エーテル(例えばt−ブチル)で保護された構造VI、VIIおよびVIIのPBO前躯体ポリマーは、アルコール基のエーテル基への転換のための標準的な合成方法を用いて調製されてもよい。
【0090】
本発明のPBO前躯体ポリマーは、約0.1から約2のkを有する。好適なkの値は、約0.1から約1.5である。より好適なkの値は、約0.2から約1.2である。対応するkの値は、2−kである。
【0091】
化学的に増強された本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物は、少なくとも1つの可塑剤を更に含む。可塑剤は、軟焼成後のフィルムに残留するように、一般的な焼成温度である約100℃から約150℃までで使用される溶媒よりも低い揮発性を有していなければならない。このことは一般的に、可塑剤の官能基の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンの他の成分との相互作用が揮発性を十分に低下させないかぎりは、本発明の可塑剤は使用される溶媒よりも沸点が高いことを意味する。この沸点差は少なくとも約10℃であることが好ましい。より好適な沸点差は、少なくとも約15℃である。
【0092】
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物に関する本発明の一実施形態では、可塑剤は少なくとも二つのOH基を持つ少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物であり、沸点が化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点より高い。少なくとも二つのOH基を持つポリヒドロキシ化合物の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ソルビトール、シクロヘキサンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.0/2,6)デカン、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーを含むが、これに限定されるものではない。少なくとも二つのOH基を持つ好適なポリヒドロキシ化合物は、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーである。少なくとも二つのOH基を持つより好適なポリヒドロキシ化合物は、トリプロピレングリコールと、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーである。
【0093】
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物に関する本発明のもう一つの実施形態では、可塑剤は沸点が化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点より高い、少なくとも1つの飽和グリコールモノエーテルである。適切な飽和グリコールモノエーテルの例は、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールの飽和モノエーテルを含むが、これに限定されるものではない。好適な飽和グリコールモノエーテルはトリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールの飽和モノエーテルである。より好適な飽和グリコールモノエーテルは、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル、トリ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、およびトリ(プロピレングリコール)ブチルエーテルである。
【0094】
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物に関する本発明のもう一つの実施形態では、可塑剤は、沸点が化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点より高い、少なくとも1つの飽和カルボン酸エステルである。例は、エチルシクロヘキシルアセテート、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、n−ブチルシンナメート、エチル−3,3’−ジエトキシプロピオネート、コハク酸ジメチル、コハク酸ジイソプロピル、マレイン酸ジメチル、マロン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アセトアミドマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、およびシス−トランス異性体の混合物、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチルを含むが、これに限定されるものではない。好適なカルボン酸エステルは、少なくとも二つのカルボン酸基を含むカルボン酸に由来する。例はコハク酸ジメチル、コハク酸ジイソプロピル、マレイン酸ジメチル、マロン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アセトアミドマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、およびシス−トランス異性体の混合物、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチルを含むが、これに限定されるものではない。
【0095】
本発明の好適な実施形態は、少なくとも2つのOH基とグリコールエーテルを有するポリヒドロキシ化合物からなる群から選択された、少なくとも1つの可塑剤を含む化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物である。
【0096】
本発明のより好適な実施形態は、少なくとも2つのOH基を有するポリヒドロキシ化合物からなる群から選択された、少なくとも1つの可塑剤を含む化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物である。
【0097】
化学的に増強された本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物は、照射で酸を放出する光活性化合物を更に含む。このような材料は、一般的に光酸発生剤(PAG)と呼ばれる。本発明で用いられるPAGは、好適には約300nmから約460nmの間の照射に対して活性である。これらは化学的に増強された本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物中で均質な溶液にならなければならず、また照射で強酸を産生しなければならない。このような酸の例は、ハロゲン化水素またはスルホン酸を含む。このようなPAGのクラスは、オキシムスルホン酸、トリアジン、ジアゾキノンスルホン酸、またはスルホン酸のスルホニウム塩またはヨードニウム塩を含むが、これに限定されるものではない。適切なPAGの例は以下を含むが、これに限定されるものではなく、
【0098】
【化27】

式中、RとRは、それぞれ独立に線状、分岐した、または環状の1から20の炭素原子を含むアルキル基またはアリール基であり、XはR21SOであり、R21は置換された、または置換されていない線状、分岐した、または環状のC-C25アルキル、または合計6から25の炭素を有する単一または多核のアリール基である;R、R、R10とR11は、独立に線状、分岐した、または環状アルキル基であり、R12は線状または分岐したC-Cアルキル基、C-Cシクロアルキル基、カンフォロイル基、またはトルイル基である。
【0099】
あるいは、酸はPAGと増感剤の組合せによって発生させることもできる。このようなシステムでは、照射のエネルギーは増感剤に吸収され何らかの方法でPAGに伝達される。伝達されたエネルギーは、PAGの分解と光酸発生を引き起こす。任意の適切な光酸発生剤化合物が使われてよい。スルホン酸を発生させる適切な光酸発生剤のクラスは、スルホニウム塩またはヨードニウム塩、オキシミドスルホン酸、ビススルホニルジアゾメタン化合物、およびニトロベンジルスルホン酸エステルを含むが、これに限定されるものではない。好適な光酸発生剤化合物は、例えば、本願に参照して組み入れられる、米国特許第5,558,978号明細書および第5,468,589号明細書に開示されている。その他の適切な光酸発生剤は、米国特許第5,554,664号明細書に開示されているように、ペルフルオロアルキルスルホニルメチドおよびペルフルオロアルキルスルホニルイミドである。
【0100】
更に他の適切な光酸発生剤の例は、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニルエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、フェナシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホン酸、4−ニトロフェナシルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホン酸、および4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルヘキサヒドロチオピリリウムトリフルオロメタンスルホン酸である。
【0101】
本発明に用いる適切な光酸発生剤の更なる例は、トリフェニルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホン酸、トリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホン酸、メチルフェニルジフェニルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホン酸、4−n−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホン酸、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホン酸、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸、フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム4−ドデシルベンゼンスルホン酸、トリス(−t−ブチルフェニル)スルホニウムペルフルオロオクタンスルホン酸、トリス(−t−ブチルフェニル)スルホニウムペルフルオロブタンスルホン酸、トリス(−t−ブチルフェニル)スルホニウム2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸、トリス(−t−ブチルフェニル)スルホニウムベンゼンスルホン酸、およびフェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムペルフルオロオクタンスルホン酸を含む。
【0102】
本発明で用いる適切なヨードニウム塩の例は、ジフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホン酸、ビス−(t−ブチルフェニル)ヨードニウムペルフルオロブタンスルホン酸、ビス−(t−ブチルフェニル)ヨードニウムペルフルオロオクタンスルホン酸、ジフェニルヨードニウムペルフルオロオクタンスルホン酸、ビス−(t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホン酸、ビス−(t−ブチルフェニル)ヨードニウム2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸、およびジフェニルヨードニウム4−メトキシベンゼンスルホン酸を含むが、これに限定されるものではない。
【0103】
本発明に用いる適切な光酸発生剤の更なる例は、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロ−ヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−メタンスルホニル−2−メチル−(4−メチルチオプロピオフェノン)、2,4−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペント−3−オン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、2−(シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、1−シクロヘキシルスルホニル−1シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3−メチル−2−ブタノン、シクロヘキシル2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)アセテート、tert−ブチル2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニルアセテート、イソプロピル−2−ジアゾ−2−メタンスルホニルアセテート、シクロヘキシル2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニルアセテート、tert−ブチル2ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)アセテート、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホン酸、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホン酸、および2,4−ジニトロベンジルp−トリフルオロメチルベンゼン−スルホン酸である。
【0104】
増感剤の例は、9−メチルアントラセン、アントラセンメタノール、アセナフテン、チオキサントン、メチル−2−ナフチルケトン、4−アセチルビフェニル、1,2−ベンゾフルオレンを含むが、これに限定されるものではない。
【0105】
この化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の好適な反応溶媒は極性有機溶媒である。溶媒は、PAGからの光酸発生、または酸に触媒される架橋反応を妨げてはならず、全ての成分を溶解し、良好なフィルムを形成しなければならない。適切な極性有機溶媒の例は、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、およびそれらの混合を含むが、これに限定されるものではない。好適な溶媒は、ガンマ−ブチロラクトン、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートである。最も好適な溶媒はプロピレングリコールメチルエーテルアセテートである。
【0106】
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物における構造VI、VIIまたはVIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの量は、約5重量%から約50重量%までである。より好適な構造VI、VIIまたはVIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの量は、約20重量%から約45重量%までであり、最も好適な構造VI、VIIまたはVIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの量は、約30重量%から約40重量%までである。構造VI、VIIまたはVIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーは、単独で用いることも、あるいは任意の比で組み合わせることもできる。
【0107】
本発明の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物に用いられる可塑剤の量は、組成物総重量の約0.1重量%から約20重量%であり、好適には約1重量%から約10重量%であり、より好適には約1.25重量%から約7.5重量%であり、最も好適には約1.5重量%から約5重量%である。可塑剤は任意の適切な比で共に混合されてもよい。
【0108】
PAGの量は、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の約0.13重量%から約7重量%である。PAGの好適な量は、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の約0.7重量%から約5重量%である。PAGのより好適な量は、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の約0.7重量%から約3.5重量%である。任意の増感剤の量は、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の約0.03重量%から約1.7重量%である。
【0109】
溶剤成分(c)は、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の約45重量%から約87重量%を占める。好適な溶媒の範囲は、約50重量%から約65重量%である。より好適な溶媒の範囲は、約50重量%から約65重量%である。溶媒は任意の適切な比で共に混合されてもよい。
【0110】
任意で、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物に接着促進剤が含まれてもよい。使用される場合には、接着促進剤の量は化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物総重量の約0.1重量%から約2重量%の範囲にわたる。好適な接着促進剤の量は約0.2重量%から約1.5重量%である。より好適な接着促進剤の量は約0.3重量%から約1重量%である。適切な接着促進剤は既に述べられている。
【0111】
本発明の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、界面活性剤、染料、時間遅延添加物、溶解抑制剤などといった他の添加物を更に含んでもよいが、これに限定されるものではない。前記添加物は化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物中に、組成物総重量の約0.03重量%から約10重量%で含まれてもよい。
【0112】
本発明の別の実施形態は、凹凸パターンを形成するための方法に関する。方法は、
(a)適切な基材のコーティングの工程であり、
1. 構造I、またはII、またはIII、またはIII、またはIV、またはIV、またはそれらの混合、少なくとも1つの可塑剤、および少なくとも1つの溶媒を有する、1つ以上のポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーを含むポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンで、ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーが構造I、またはII、またはIII、またはIII、またはそれらの混合のみから成る場合には、少なくとも1つの光活性剤化合物が添加されることを条件とするか、あるいは、
2. 構造VI、またはVII、またはVII、またはそれらの混合、少なくとも1つの可塑剤、照射で酸を放出する少なくとも1つの光活性剤化合物(PAG)、および少なくとも1つの溶媒を有する、1つ以上のポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーを含む化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物であり、
それによってコーティングされた基材を形成する工程;
(b)コーティングされた基材の前焼成の工程;
(c)前焼成してコーティングされた基材の化学線曝露の工程;
(d)任意で、コーティングして露光された基材の露光後焼成の工程;
(e)現像された、コーティングされた基材上の未硬化の凹凸像を形成するための、コーティングされ露光された基材の水性現像液による現像の工程;および
(f)現像された、コーティングされた基材を高温で焼成し、凹凸像を硬化する工程、を含み、
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物(組成物2)が工程(a)で用いられる場合は露光後の工程(d)が必要であることを条件とする工程である。
【0113】
方法は、任意での基材の溶媒による前浸潤の工程を含んでもよい。当業者に周知の、溶媒による基材処理の任意の適切な方法が使われてもよい。例は、基材への溶媒の噴霧、流水、または侵漬による、溶媒での基材の処理を含む。処理の時間と温度は、具体的な基材、および高い温度を利用する可能性がある方法に依存する。任意の適切な溶媒、または溶媒の混合物が使用されてもよい。好適なのは、ポジ型感光性PBO前躯体組成物に用いられる溶媒である。
【0114】
方法は、任意で基材の接着促進剤を含む溶媒での前コーティングの工程を含んでもよい。当業者に周知の、接着促進剤による任意の適切な基材処理方法が使われてもよい。例は、蒸気、溶液、または100%の濃度での接着促進剤での基材の処理を含む。処理の時間と温度は、特定の基材、接着促進剤、および高い温度を利用する可能性がある方法に依存するだろう。任意の適切な外部接着促進剤が使用されてもよい。適切な外部接着促進剤のクラスは、ビニルアルコキシシラン、メタアクリルオキシアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、およびグリシドキシアルコキシシランを含むが、これに限定されるものではない。アミノシランとグリシドキシシランが好適である。主に、アミノアルコキシシランがより好適である。適切な外部接着促進剤の例は、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、および3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含むが、これに限定されるものではない。ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランがより好適である。更なる適切な接着促進剤は、「Silane Coupling Agent」Edwin P. Plueddemann, 1982 Plenum Press, New Yorkに述べられている。
【0115】
本発明のポジ型感光性PBO前躯体組成物は適切な基材上にコーティングされる。基材は、例えばシリコンウエハー、(III−V族)または(II−VI族)化合物半導体ウエハー、セラミック、ガラス、またはクォーツ基材などの半導体であってもよい。また基材は、フィルム、あるいは有機または無機の誘電体、銅あるいはその他の配線材料といった電気回路製造に用いられる構造を含んでもよい。
【0116】
コーティング方法は、噴霧、塗布、回転塗布、オフセット印刷、ローラー塗布、スクリーン印刷、押し出しコーティング、メニスカスコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティングを含むが、これに限定されるものではない。
【0117】
結果として得られるフィルムは高温で前焼成される。ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンでコーティングされたウエハーは、約70℃から約130℃までの温度範囲の1つ以上の温度で焼成されてもよい。好適には、温度範囲は約80℃から約130℃までであり、より好適には、温度範囲は約80℃から約120℃までであり、最も好適には、コーティングは約90℃から約100℃で焼成される。
【0118】
同様に、化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物でコーティングされたウエハーは、約70℃から約150℃までの温度範囲で焼成されてもよい。好適には、温度範囲は約80℃から約130℃までであり、より好適には、温度範囲は約90℃から約120℃までであり、最も好適には、コーティングは約100℃から約120℃で焼成される。
【0119】
焼成の継続時間は、残存する溶媒を蒸発させる方法によって数分間から30分間である。任意の適切な焼成方法が利用されてもよい。適切な焼成方法の例は、熱板と対流式オーブンを含むが、これに限定されるものではない。結果として得られる乾燥フィルムは、厚さが約3μmから50μmであり、より好適には約4μmから20μmであり、最も好適には約5μmから15μmである。
【0120】
焼成工程の後、結果として得られた乾燥フィルムは、マスクを通して好ましいパターンで化学線に曝露される。X線、電子ビーム、紫外線、可視光などが化学線として用いられてもよい。最も好適な光線は、波長436nm(gライン)と365nm(iライン)の光線である。
【0121】
化学線への曝露の後、曝露され化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物でコーティングされた基材を約70℃から約150℃までの温度で加熱すると好都合である可能性がある。好適には、温度範囲は約80℃から約140℃までである。より好適には、温度範囲は約90℃から約130℃までである。最も好適には、温度範囲は約100℃から約130℃までである。
【0122】
露光され、ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンでコーティングされた基材に対する化学線照射後のこの追加加熱工程は任意である。用いる場合には、基材は130℃を越えて加熱してはならない。
【0123】
露光されコーティングされた基材は、一般的には数秒から数分間、この温度範囲で短時間加熱されるか、または任意の適切な加熱方法を用いて行われてもよい。好適な方法は、熱板上または対流式オーブンでの焼成を含む。当業者はこの方法の工程を一般的に露光後焼成と呼ぶ。
【0124】
次に、フィルムは水性現像液を用いて現像され、凹凸パターンが形成される。水性現像液は、水溶性塩基を含む。適切な塩基の例は、無機アルカリ(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水)、第1級アミン(例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン)、第2級アミン(例えば、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン)、第3級アミン(例えば、トリエチルアミン)、アルコールアミン(例えば、トリエタノールアミン)、第4級アンモニウム塩(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム)、およびそれらの混合を含むが、これに限定されるものではない。使用される塩基の濃度は、使用されるポリマーへの塩基の溶解性と使用される具体的な塩基によって様々である。最も好適な現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含むものである。TMAHの適切な濃度は、約1%から約5%までの範囲である。更に、適切な量の界面活性剤が現像液に添加されてもよい。現像は、浸漬、噴霧、撹拌による方法、またはその他の同様の現像方法で、約10℃から約40℃までの温度で、約30秒間から約5分間行われてもよい。現像後、凹凸パターンは、任意で脱イオン水を使って洗浄し、脱水や、熱板上やオーブンでの焼成、あるいはその他の適切な方法によって乾燥してもよい。
【0125】
現像後、任意の工程では、露光、コーティング、現像された基材を約70℃から約150℃までの温度で加熱すると好都合である可能性がある。好適には、温度範囲は約80℃から約140℃までである。より好適には、温度範囲は約80℃から約130℃までである。最も好適には、温度範囲は約90℃から約130℃までである。露光、コーティング、現像された基材はこの温度範囲で、一般的には数秒から数分間、任意の適切な加熱方法を用いて短期間加熱される。好適な方法は、熱板上、または対流式オーブン中での焼成を含む。当業者はこの方法の工程を一般的に現像後焼成と呼ぶ。
【0126】
次に、高熱耐性の最終的なパターンを得るために、硬化されていない凹凸パターンの硬化させることによってベンゾオキサゾール環が形成される。硬化は、高熱耐性をもたらすベンゾオキサゾール環を得るために、ポジ型感光性PBO前躯体組成物のガラス転移温度T以上で、現像された硬化されていない凹凸パターンの焼成によって行われる。一般的に200℃以上の温度が用いられる。
【0127】
【化28】

好適には、約250℃から約400℃までの温度が加えられる。硬化時間は使用される具体的な加熱方法によって、約15分から約24時間までである。より好適には、硬化時間の範囲は約20分から約5時間までであり、最も好適には、硬化時間の範囲は30分から約3時間までである。硬化は、空気中、また好適には窒素ブランケット下で行われてもよく、任意の適切な加熱方法で行われてもよい。好適な方法は、熱板、対流式オーブン、環状炉、垂直環状炉、または急速熱処理機での焼成を含む。あるいは、硬化はマイクロ波または赤外線の作用によって行われてもよい。
【実施例】
【0128】
本発明は次の実施例によって説明されるが、これに限定されるものではない。他に指示がない限りは、割合とパーセンテージは重量(重量%)である。
合成例1
構造タイプIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの合成
【0129】
【化29】

機械攪拌機、窒素吸気口、追加の漏斗を備えた2Lの三つ口の丸底フラスコに、155.9g(426.0mmol)のヘキサフルオロ2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisAPAF)、64.3g(794.9mmol)のピリジン、および637.5gのN−メチルピロリドン(NMP)を加えた。全ての固体が溶解するまで溶液を室温で撹拌し、次に氷水槽中で0−5℃に冷却した。この溶液に、427.5gのNMPに溶解した39.3g(194mmol)のイソフタロイルクロリドと56.9g(194mmol)の1,4−オキシジベンゾイルクロリドを滴下して加えた。添加が完了した後、結果として得られた混合液を室温で18時間撹拌した。粘性溶液を激しく撹拌した10Lの脱イオン水に沈殿させた。ポリマーを濾過で回収し、脱イオン水と水/メタノール(50/50)混合液で洗浄した。ポリマーを減圧条件下で105℃にて24時間乾燥させた。
【0130】
収量はほぼ定量であり、ポリマーの固有粘度は、25℃で0.5g/dLの濃度のNMP中で測定して0.20dL/gだった。
合成例2
p−トルエンスルホニルエンドキャップを有する構造タイプIIIのPBO前躯体ポリマーの調製(IIIa-2)
【0131】
【化30】

合成例1で得られたPBO前躯体ポリマー(100g)を500gのジグライムと300gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合液に溶解した。残留水をPGMEAとジグライムの共沸混合物として、65℃(10−12torr)の減圧蒸留を用いて除去した。約400gの溶液の共沸混合物の蒸留中に除去した。反応液を窒素ブランケット下に置いた。反応混合液を氷水槽上で5℃まで冷却し、3.2gのピリジンをまず添加し、次に8.5gのp−トルエンスルホン酸クロリドを加えた。反応混合液を室温まで加熱して一晩撹拌した。
【0132】
反応混合液を撹拌しながら6Lの脱イオン水中に沈殿させた。沈殿したポリマーを濾過で回収し、一晩風乾させた。次に、ポリマーを500−600gのアセトンに溶解し、6Lの水/メタノール(70/30)混合液に沈殿させた。ポリマーを再度濾過で回収し、数時間風乾燥させた。まだ湿っているポリマーケーキを700gのTHFと70mLの脱イオン水の混合液に溶解した。Rohm and Haasから入手可能なイオン交換樹脂UP604(40g)を加え、溶液を1時間回転させた。最終産物を7Lの脱イオン水中に沈殿させ、濾過し、一晩風乾させ、次いで減圧オーブンで90℃にて24時間乾燥させた。
【0133】
H NMR解析は、キャップされていない6.4−6.7ppmのBisAPAF単位による芳香族のピークが存在しないだけでなく、〜4.5ppmのアミンのピークも全く存在しないことを示した。このことは、エンドキャッピングが完全だったことを示す。収量は77gだった。
【0134】
合成例3
アセチル・エンドキャップを有する構造タイプIIIのポリマーの合成(IIIa-1)
【0135】
【化31】

固有粘度0.205dL/gのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー100g(184.5mmole)を得るために、合成例1に従って合成されたポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの3つの小規模バッチを混合した。混合物を1000gのジグライムに溶解した。残留水は、ジグライムの共沸混合物として回転式蒸留機を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約500gの溶媒を除去した。
【0136】
吸気口、マグネット攪拌機を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに反応液を移した。反応混合液を氷水槽中で約5℃にて冷却した。3.3mLのアセチルクロリド(3.6g)を、シリンジを用いて5分以上の時間をかけ、反応混合液を撹拌しながら添加した。アセチルクロリドの添加完了後、反応混合液を更に10分ほど氷水槽中に置いた。氷水槽を外し、反応液を1時間以上かけて放置して温めた。反応混合液を氷水槽中で再度5℃に冷却し、3.7mLのピリジン(3.6g)を、シリンジを用いて1時間以上かけて添加した。反応混合液を氷水槽中に更に10分間置き、次いで1時間以上かけて放置して温めた。
【0137】
反応混合液を6Lの脱イオン水に沈殿させた。ポリマーを濾過で回収し、一晩風乾させた。次にポリマーを500−600gのアセトンに溶解し、6Lの70/30の水/メタノール混合液に沈殿させた。ポリマーを再度濾過して回収し、数時間風乾させた。湿ったポリマーケーキを700gのTHFに溶解し、7Lの脱イオン水に沈殿させ、濾過して一晩風乾させ、次に減圧オーブン中で90℃にて24時間乾燥させた。
【0138】
PBO前躯体ポリマーIIIaのH NMR解析は、末端NH基(@4.5ppm)のピークを示さず、全てのNH基が反応したことを示している。
合成例4
構造タイプIVのポリマーの合成(IVa-1)
【0139】
【化32】

機械攪拌機を備えた1Lの三つ口の丸底フラスコに、合成例3に従って合成された67.5g(約120mmole)のポリマーの2つのバッチの混合と650gのTHFを加えた。混合物を10分間撹拌し、固体物を完全に溶解させた。1.01g(3.8mmole)の2,1−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリドを次に加え、混合物を更に10分間撹拌した。0.39g(3.9mmole)のトリエチルアミンを50mLのTHFと混合し、30分以上の時間をかけて徐々に添加し、反応混合液を一晩撹拌した。
【0140】
次に、反応混合液を激しく撹拌している3Lの脱イオン水に徐々に加えた。沈殿した産物を濾過で分離し、各3Lの脱イオン水で2回再スラリー化した。濾過後、産物を2Lの脱イオン水で洗浄した。単離された産物を40℃で一晩乾燥させた。産物の収率は84%だった。
【0141】
合成例5
2,6−ジメトキシベンゾイルエンドキャップを有する構造タイプIIIのPBO前躯体ポリマーの調製(IIIa-4)
【0142】
【化33】

合成例1で得られたPBO前躯体ポリマー(100g)を500gのジグライムと300gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合液に溶解した。残留水をPGMEAとジグライムの共沸混合物として、減圧蒸留を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約400gの溶媒を除去した。反応液をNブランケット下に置いた。反応混合物を氷水槽上で5℃に冷却し、3.2gのピリジンを一度に添加した後、10gの2,6−ジメトキシベンゾイルクロリドを20分以上の時間をかけて添加した。反応混合液を放置して室温まで温め、一晩撹拌した。
【0143】
反応混合液を撹拌しながら6Lの脱イオン水中に沈殿させた。沈殿したポリマーを濾過で回収し、一晩風乾した。次にポリマーを500−600gのアセトンに溶解させ、6Lの水/メタノール(70/30)混合液に沈殿させた。まだ湿っているポリマーケーキを700gのTHFと70mLの水の混合液に溶解した。Rohm and Haasから入手可能なイオン交換樹脂UP604(40g)を加え、溶液を1時間回転させた。最終産物を7Lの脱イオン水中に沈殿させ、濾過し、一晩風乾させ、次いで減圧オーブンで90℃で24時間乾燥させた。
【0144】
H NMR解析は、キャップされていない6.4−6.7ppmのBisAPAF単位による芳香族のピークが存在しないだけでなく、〜4.5ppmのアミンのピークも全く存在しないことを示した。このことは、エンドキャッピングが完全だったことを示す。収量は89gだった。
【0145】
合成例6
構造タイプIIのポリマーの合成(IIa)
【0146】
【化34】

機械攪拌機を備えた100mLの三つ口の丸底フラスコに、合成例1で得られた5.42g(10.0mmole)のポリマーと50mLのテトラヒドロフラン(THF)を加えた。混合物を10分間撹拌し、固体物を完全に溶解させた。0.53g(2mmole)の2,1−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリドを次に加え、混合物を更に10分間撹拌した。0.2gのトリエチルアミン(2mmole)を15分以上の時間をかけて徐々に添加し、反応混合液を5時間撹拌した。
【0147】
次に、反応混合液を激しく撹拌している500mLの脱イオン水に徐々に加えた。沈殿した産物を濾過で分離し、200mLの脱イオン水で洗浄した。フィルターケーキを、別の600mLの脱イオン水中に再スラリー化し、30分間激しく撹拌した。濾過後、産物を100mLの脱イオン水で洗浄した。単離された産物を40℃で一晩乾燥した。ポリマーの固有粘度は、0.5g/dLの濃度で25℃にてNMP中で測定して0.20dL/gだった。
【0148】
合成例7
構造タイプIVとフタル酸エンドキャップのポリマーの合成(IVa-3)
【0149】
【化35】

機械攪拌機と窒素吸入口を備えた1Lの三つ口の丸底フラスコに、合成例6で述べた方法によって調製した100g(165.9mmole)のポリマーと290gのジグライムを加えた。混合物を約25分間撹拌し、固体物を完全に溶解させた。次に6.5g(43.9mmole)の無水フタル酸を室温で一部分ずつ1時間以内に加え、混合液を16時間撹拌した。
【0150】
次に、反応混合液を激しく撹拌している5200mLの脱イオン水60分以上の時間をかけて徐々に加えた。沈殿した産物を濾過で分離し、2000mLの脱イオン水で洗浄した。フィルターケーキを、別の4000mLの脱イオン水中に再スラリー化し、30分間激しく撹拌した。濾過後、産物を2000mLの脱イオン水で洗浄した。単離された産物を40℃で一晩乾燥した。産物の収率は90%だった。
【0151】
合成例8
光活性化合物PAC Aの合成
【0152】
【化36】

機械攪拌機、滴下漏斗、pHプローブ、温度計、窒素パージシステムを備えた500mLの三つ口フラスコに、225mLのTHFと30gの(4,4’−(1−フェニルエチルイデン)ビスフェノール)(Bisphenol AP)を加えた。Bisphenol APが完全に溶解するまで混合液を撹拌した。これに、27.75gの4−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリド(S214−Cl)と25mLのTHFを加えた。固体物が完全に溶解するまで反応混合液を撹拌した。50mLのTHFに溶解した10.48gのトリエチルアミンを、pHを工程中8未満に保ったまま反応混合液に徐々に加えた。この発熱反応の間、温度は30℃未満に保った。添加が完了したところで、反応混合液を48時間撹拌した。これに27.75gの5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリド(S215−Cl)と25mLのTHFを加え、反応混合液を30分間撹拌した。50mLのTHFに溶解した10.48gのトリエチルアミンを、pHを工程中8未満に保ったまま反応混合液に徐々に加えた。再度、この発熱反応の間、温度は30℃未満に保った。添加が完了したところで、反応混合液を20時間撹拌した。次に、6Lの脱イオン水と10gのHClの混合液に反応混合液を徐々に加えた。産物を濾過し、2Lの脱イオン水で洗浄した。次に産物を3Lの脱イオン水を用いて再スラリー化し、濾過して1Lの脱イオン水で洗浄した。次に産物を減圧オーブン中で40℃にて水分量が2%未満に減るまで乾燥した。HPLC解析で、産物は表1に示すようないくつかのエステルの混合物であることが明らかになった。
【0153】
【表1】

合成例9
イミドエンドキャップを有する構造タイプIIIのPBO前躯体ポリマーの調製(IIIa)
【0154】
【化37】

合成例1と同じ方法で調製されたPBO前躯体ポリマー(200g)を600gのジグライムと300gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合液に溶解した。残留水をPGMEAとジグライムの共沸混合物として、回転式蒸発器を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約550gの溶媒を除去した。反応液をNブランケット下におき、反応フラスコにはマグネット攪拌機を取りつけた。無水ナジック酸(7g)を添加し、次いで10gのピリジンを加えた。反応液を50℃で一晩撹拌した。次に、反応混合液を500gのテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、8Lの50/50のメタノール/水混合液に沈殿させた。ポリマーを濾過で回収し、80℃で減圧乾燥した。
【0155】
収量はほぼ定量であり、ポリマーの固有粘度は、0.5g/dLの濃度で25℃にてNMP中で測定して0.20dL/gだった。
合成例10
エチルビニルエーテルでブロックされた構造タイプVIIのPBO前躯体の調製(VIIa)
【0156】
【化38】

合成例9と同じ方法で調製したポリマー(100g)を、1000gのジグライムに溶解した。残留水をジグライムの共沸混合物として、回転式蒸発器を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約500gの溶媒を除去した。反応液をNブランケット下におき、反応フラスコにはマグネット攪拌機を取りつけた。シリンジを用いてエチルビニルエーテル(9mL)を添加し、次いで6.5mLのPBMEA中1.5重量%のp−トルエンスルホン酸溶液を添加した。反応混合液を25℃で4時間撹拌し、トリエチルアミン(1.5mL)を加え、次にエチル酢酸(500mL)を加えた。250mLの脱イオン水を加え、混合液を約30分間撹拌した。次に、撹拌を止め、有機層と水層を分離させた。水層は捨てた。この過程を更に3回繰り返した。次に、GBL(500mL)を添加し、沸点が低い方の溶媒を、回転式蒸発器を用いて60℃(10−12torr)で除去した。ポリマーを5Lの脱イオン水に沈殿させた。産物を濾過で回収し、減圧オーブンで45℃にて一晩乾燥させた。
【0157】
収量:90g。H NMR解析は、PBO前躯体中の〜17mole%のOH基がエチルビニルエーテルでブロックされたことを示した。
合成例11
別のモノマー比率の構造タイプIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの合成(Ic)
ポリマーIcを、1,4−オキシジベンゾイルクロリドのイソフタロイルクロリドに対する比を1/1から4/1に変更した点を除いて、合成例1の手順に従って合成した。
【0158】
収量は定量であり、ポリマーの固有粘度は、0.5g/dLの濃度で25℃にてNMP中で測定して0.185dL/gだった。
合成例12
構造タイプIIのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの合成(IIc)
【0159】
【化39】

ポリマーIIcを、合成例11のポリマーIcを用い、5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリドのOH基に対するモル比を1.5%から1%に変更した点を除いて、合成例6の手順に従って合成した。
【0160】
【化40】

収量は定量であり、ポリマーの固有粘度(iv)は、0.5g/dLの濃度で25℃にてNMP中で測定して0.180dL/gだった。
【0161】
合成例13
イミドエンドキャップを有する構造タイプIVのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーの合成(IVc)
合成例12と同じ方法で調製したPBO前躯体ポリマー(200g)を600gのジグライムと300gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合液に溶解した。残留水をPGMEAとジグライムの共沸混合物として、回転式蒸発器を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約550gの溶媒を除去した。反応液をNブランケット下におき、反応フラスコにはマグネット攪拌機を取りつけた。7gの無水ナジック酸を添加し、次いで10gのピリジンを加えた。反応を50℃で一晩撹拌した。次に、反応混合液を500gのテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、8Lの50/50のメタノール/水混合液に沈殿させた。ポリマーを濾過で回収し、40℃で減圧乾燥した。
【0162】
収量はほぼ定量であり、ポリマーの固有粘度(iv)は、0.5g/dLの濃度で25℃にてNMP中で測定して0.181dL/gだった。
合成例14
p−トルエンスルホニルを有しエチルビニルエーテルでブロックされた構造タイプVIIのPBO前躯体ポリマーの調製(VIIa−2)
【0163】
【化41】

合成例2の手順で調製したポリマー(30g)を150gのジグライムに溶解した。残留水をジグライムの共沸混合物として、減圧蒸留器を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約50gの溶媒を除去した。反応混合液の水分含量は、60−150ppmの範囲だった。反応液をNブランケット下におき、反応フラスコにはマグネット攪拌機を取りつけ、25℃に冷却した。エチルビニルエーテル(15mL)をシリンジで加え、次いで、1mLのPGMEAの4重量%のp−トルエンスルホン酸溶液を添加した。反応混合液を25℃で2時間撹拌し、トリエチルアミン(1mL)を加えた。
【0164】
反応混合液を2Lの水/メタノール混合液(50/50)に沈殿させた。ポリマーを濾過で分離し、2時間風乾させ、200mLのTHFに溶解した。ポリマーは2Lの水/メタノール(50/50)の混合液にさらに2時間沈殿させ、濾過、風乾させた。次いで、ポリマーを45℃で一晩減圧乾燥した。
【0165】
H NMR解析は、PBO前躯体ポリマー中の約93〜97mole%のOH基がエチルビニルエーテルでブロックされたことを示した。これは、5.6ppmのアセタールピークと10.4ppmのフェノールピークの積分に基づいて結論づけられた。
【0166】
合成例15
ジメトキシベンゾイルのエンドキャップを有しエチルビニルエーテルでブロックされた構造タイプVIIのPBO前躯体の調製(VIIa−3)
【0167】
【化42】

このポリマーの合成は、合成例5の方法によって調製したポリマーを出発材料として用いた点を除いて、合成例14のポリマーに類似していた。
【0168】
合成例16
アセチル・エンドキャップを有しエチルビニルエーテルでブロックされた構造タイプVIIのPBO前躯体の調製(VIIa−1)
【0169】
【化43】

このポリマーの合成は、合成例3の方法によって調製したポリマーを出発材料として用いた点を除いて、合成例10のポリマーに類似していた。
【0170】
合成例17
t−ブチルビニルエーテルでブロックされた構造タイプVIIのPBO前躯体の調製(VIIa−1−BVE)
【0171】
【化44】

合成例3で述べられた手順で調製したポリマー(8.6g)を108gのジグライムに溶解した。残留水をジグライムの共沸混合物として、回転式蒸発器を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約40gの溶媒を除去した。反応液をNブランケット下におき、反応フラスコにはマグネット攪拌機を取りつけた。tert−ブチルビニルエーテル(2.5g)をシリンジで加え、次いで、1mLのPGMEA14重量%のp−トルエンスルホン酸溶液を添加した。反応混合液を25℃で4時間撹拌し、トリエチルアミン(1.5mL)を加えた。反応混合液を2Lの脱イオン水と5mLのトリエチルアミンの混合液に沈殿させた。沈殿を回収し、200gのTHFに再溶解させ、再度2Lの脱イオン水と5mLのトリエチルアミンの混合液に沈殿させた。産物を濾過で回収し、減圧オーブンで45℃にて一晩乾燥させた。収量は5.7gだった。
【0172】
H NMR解析は、PBO前躯体中の約50mole%のOH基がtert−ブチルビニルエーテルでブロックされたことを示した。
合成例18
t−ブトキシカルボニルメチルでブロックされた構造タイプVIIのPBO前躯体の調製(VIIa−1−BCM)
【0173】
【化45】

VIIa−1−BCM
合成例9と同じ方法で調製したポリマー(100g)を1000gのジグライムに溶解した。残留水をジグライムの共沸混合物として、回転式蒸発器を用いて65℃(10−12torr)で除去した。共沸蒸留で約500gの溶媒を除去した。反応液をNブランケット下におき、反応フラスコにはマグネット攪拌機を取りつけた。t−ブチルブロモアセテート(21.2g、107mmol)を加え、次いで、9.3g、117.6mmolのピリジンを加えた。反応混合液を40℃で5時間撹拌した。結果得られた混合液を、10Lの脱イオン水に滴下して加え、白い沈殿を生じさせる。沈殿を脱イオン水で5回洗浄し、濾過し、減圧オーブンで40℃にて一晩乾燥させて、101gのt−ブトキシカルボニルメチルオキシを有するポリマーを得た。産物をプロトンNMRで解析した。6から7ppmのフェニールのピークと1から2ppmのt−ブチルとメチレンのピークから、t−ブトキシカルボニルメチルオキシの導入率は利用可能なOH基の30mole%と計算される。
【0174】
(第1実施例)
合成例6から得たポリマーを100、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を13.5、ジフェニルシランジオールを2.5、ガンマ−ウレイドプロピルトリメトキシシランを3、トリプロピレングリコールを5の割合で、158の割合のGBLに溶解して濾過した。
【0175】
調合を700rpmで10秒間に次いで1200rpmで20秒間、シリコンウエハー上にスピンコートした。ウエハーを熱板上で90℃にて2分間、次いで120℃にて8分間焼成し、厚さ29.95μmのフィルムを得た。次に、Karl Suss MA−56を使用した広帯域ランプを用いて、400nmでランプ強度10.2mW/cmでフィルムを露光した。露光エネルギーは3000mJ/cmだった。コーティングし露光したフィルムを、次に0.262Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。露光されなかったフィルムの厚さは14.06μm減少して15.89μmになった(46.90%フィルム厚の損失)。
【0176】
【化46】

(第2実施例)
合成例6から得たポリマーを100、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を13.5、ジフェニルシランジオールを2.5、ガンマ−ウレイドプロピルトリメトキシシランを3、トリプロピレングリコールを10の割合で、158の割合のGBLに溶解して濾過した。
【0177】
調合を700rpmで10秒間に次いで1200rpmで20秒間、シリコンウエハー上にスピンコートした。ウエハーを熱板上で90℃にて2分間、次いで120℃にて8分間焼成し、厚さ29.95μmのフィルムを得た。次に、Karl Suss MA−56を使用した広帯域ランプを用いて、400nmでランプ強度10.2mW/cmでフィルムを露光した。露光エネルギーは3000mJ/cmだった。コーティングし露光したフィルムを、次に0.262Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。露光されなかったフィルムの厚さは8.31μm減少して21.64μmになった(27.7%フィルム厚の損失)。
【0178】
フィルムは、N下で350℃で1時間、オーブン内で硬化させた。導体パッドの光学的検査と走査型電子顕微鏡検査により、壁の傾斜は約26°(Θ)であることが示された。壁面の断面は、壁の最上部には明瞭な角度はなく非常に丸みを帯びていた。
【0179】
比較例1
合成例6から得たポリマーを100、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を13.5、ジフェニルシランジオールを2.5、ガンマ−ウレイドプロピルトリメトキシシランを3の割合で、158の割合のGBLに溶解して濾過した。
【0180】
調合を700rpmで10秒間に次いで1200rpmで20秒間、シリコンウエハー上にスピンコートした。ウエハーを熱板上で90℃にて2分間、次いで120℃にて8分間焼成し、厚さ31.87μmのフィルムを得た。次に、Karl Suss MA−56を使用した広帯域ランプを用いて、400nmでランプ強度10.2mW/cmでフィルムを露光した。露光エネルギーは3000mJ/cmだった。コーティングし露光したフィルムを、次に0.262Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。露光されなかったフィルムの厚さは9.84μm減少して22.78μmになった(31.5%フィルム厚の損失)。
【0181】
フィルムは、N下で350℃にて1時間、オーブン内で硬化させた。導体パッドの光学的検査と走査型電子顕微鏡検査により、壁の傾斜は約40°(Θ)であることが示された。壁面の断面は、壁の最上部で明瞭なとがった角を示した。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0182】
実施例2と比較例1の比較は、可塑剤を含む調合は可塑剤なしの同様の調合よりもより傾斜し丸みを帯びた壁断面をもつ特徴を実現することを示した。
(第3実施例)
合成例6から得たポリマーを100、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を13.5、ジフェニルシランジオールを2.5、ガンマ−ウレイドプロピルトリメトキシシランを3、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールを有するポリマーである2−オキセパノンを5の割合で、158の割合のGBLに溶解して濾過した。
【0183】
調合を700rpmで10秒間に次いで1200rpmで20秒間、シリコンウエハー上にスピンコートした。ウエハーを熱板上で90℃にて2分間、次いで120℃にて8分間焼成し、厚さ32.26μmのフィルムを得た。次に、Karl Suss MA−56を使用した広帯域ランプを用いて、400nmでランプ強度10.2mW/cmでフィルムを露光した。露光エネルギーは3000mJ/cmだった。コーティングし露光したフィルムを、次に0.262Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。露光されなかったフィルムの厚さは9.48μm減少して22.78μmになった(29.4%フィルム厚の損失)。
【0184】
【化47】

(第4実施例)
合成例6から得たポリマーを100、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を13.5、ジフェニルシランジオールを2.5、ガンマ−ウレイドプロピルトリメトキシシランを3、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールを有するポリマーである2−オキセパノンを10の割合で、158の割合のGBLに溶解して濾過した。
【0185】
調合を700rpmで10秒間に次いで1200rpmで20秒間、シリコンウエハー上にスピンコートした。ウエハーを熱板上で90℃にて2分間、次いで120℃にて8分間焼成し、厚さ34.55μmのフィルムを得た。次に、Karl Suss MA−56を使用した広帯域ランプを用いて、400nmでランプ強度10.2mW/cmでフィルムを露光した。露光エネルギーは3000mJ/cmだった。コーティングし露光したフィルムを、次に0.262Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。露光されなかったフィルムの厚さは10.87μm減少して23.68μmになった(31.5%フィルム厚の損失)。
【0186】
(第5実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを3、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを5、トリプロピレングリコールを5、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0187】
シリコンウエハーを次に調合でコーティングし、熱板上で120℃にて3分間焼成し、厚さ10μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムを、2.38%TMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。照射エネルギー200mJ/cmで3μmの像が解像された。
【0188】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、350℃まで5℃/分の割合で上昇させた。350℃に達したところで、温度を1時間350℃に保った。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0189】
(比較例2)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、GBLを16、PGMEAを130、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを3、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを5の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0190】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で110℃にて3分間焼成し、厚さ10μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを120℃で180秒、露光後焼成し、次に0.262NのTMAH水溶液による60秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率はほぼ100%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは300mJ/cmだった。
【0191】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0192】
(第6実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、GBLを16、PGMEAを130、トリプロピレングリコールを10、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを3、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを5の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0193】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で110℃にて3分間焼成し、厚さ11.5μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。露光したフィルムを120℃で180秒焼成し、次に0.262NのTMAH水溶液による60秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率は約95%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは325mJ/cmだった。
【0194】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例6で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0195】
(第7実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを3、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを5、速度エンハンサーSE2を7.5、トリプロピレングリコールを10、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0196】
【化48】

次にシリコンウエハーを上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8.95μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムを、2.38%TMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは75mJ/cmだった。
【0197】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0198】
(比較例3)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを3、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを5、速度エンハンサーSE2を7.5、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0199】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8.97μmのフィルムを得た。次に、ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし、露光したフィルムを130℃で90秒、露光後焼成し、次に0.262NのTMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率はほぼ100%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは100mJ/cmだった。
【0200】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0201】
(第8実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールを有するポリマーである2−オキセパノンを8、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0202】
【化49】

シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ9.03μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムを、2.38%TMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは125mJ/cmだった。
【0203】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0204】
(第9実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、マレイン酸ジブチルを10、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0205】
シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8.57μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムを、2.38%TMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは150mJ/cmだった。
【0206】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0207】
(第10実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、ジ(プロピレン)グリコールを15、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0208】
次にシリコンウエハーを上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃で3分間焼成し、厚さ8.52μmのフィルムを得た。フィルムをパターン露光アレイを用いて、i線ステッパによって露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムを、2.38%TMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは75mJ/cmだった。
【0209】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0210】
(比較例4)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0211】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8.51μmのフィルムを得た。次に、ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし、露光したフィルムを130℃で90秒、露光後焼成し、次に0.262NのTMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率はほぼ100%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは100mJ/cmだった。
【0212】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0213】
(比較例5)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、プロピレンカーボネートを12、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0214】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ9.05μmのフィルムを得た。次に、ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし、露光したフィルムを130℃で90秒、露光後焼成し、次に0.262NのTMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率はほぼ100%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは125mJ/cmだった。
【0215】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。プロピレンカーボネートは沸点が高い溶媒ではあるが、PBOポリマーの適切な可塑化に失敗した。
【0216】
(第11実施例)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例13で述べた方法によって調製したポリマーを100、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3、PAC B(下記参照)を15、トリプロピレングリコールを10、GBLを173の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0217】
【化50】

濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120℃にて5分間焼成し、厚さ約11.6μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による30秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率は約55%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは440mJ/cmだった。
【0218】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0219】
(比較例6)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例13で述べた方法によって調製したポリマーを100、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3、PAC B(実施例11を参照)を15、GBLを173の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0220】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120℃にて5分間焼成し、厚さ約11.04μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による30秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率は約55%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは425mJ/cmだった。
【0221】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0222】
(比較例7)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例13で述べた方法によって調製したポリマーを100、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3、PAC B(実施例11を参照)を15、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテルを10、GBLを173の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0223】
【化51】

濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120℃にて5分間焼成し、厚さ約11.63μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による30秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率は約82%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは800mJ/cmだった。
【0224】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。本実施例の像は露光不足だったが、これらの部分的な像は硬化した際に丸みを帯びなかった。PBOポリマーを可塑化する代わりに、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテルはむしろ溶解抑制剤に似かよった作用を与えたようである。
【0225】
(第12実施例)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例3で述べた方法によって調製したポリマーを100、N−フェニル−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを2.5、PAC F(下記参照)を22、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルを8、GBLを135、PGMEAを25、乳酸エチルを15の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0226】
【化52】

濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で100℃にて15分間焼成し、厚さ約12μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを110℃で2分間焼成し、2.38%TMAH水溶液の80秒間の連続噴霧下で現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0227】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0228】
(比較例8)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例3で述べた方法によって調製したポリマーを100、N−フェニル−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを2.5、PAC Fを22、GBLを135、PGMEAを25、乳酸エチルを15の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0229】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で100℃にて15分間焼成し、厚さ約12μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを110℃で2分間焼成し、2.38%TMAH水溶液の80秒間の連続噴霧下で現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0230】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0231】
(第13実施例)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例4で述べた方法によって調製したポリマーを100、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)マレイン酸モノアミドを2、PAC J(下記参照)を12、コハク酸ジメチルを12、GBLを165、乳酸エチルを10の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0232】
【化53】

濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120にて5分間焼成し、厚さ約11.5μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による40秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0233】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、300℃まで5℃/分の割合で上昇させた。300℃に達したところで、温度を90分間300℃に保った。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0234】
(比較例9)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例4で述べた方法によって調製したポリマーを100、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)マレイン酸モノアミドを2、PAC Jを12、GBLを165、乳酸エチルを10の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0235】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120℃にて5分間焼成し、厚さ約11.5μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による40秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0236】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、300℃まで5℃/分の割合で上昇させた。300℃に達したところで、温度を90分間300℃に保った。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0237】
(第14実施例)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例7で述べた方法によって調製したポリマーを100、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを4、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を16、テトラエチレングリコールを12、NMPを170の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0238】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120℃にて5分間焼成し、厚さ約11μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムは、ウエハーをウエハーボートに乗せ、0.262NのTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った。ウエハーボートをTMAH溶液から取り出し、更に20秒間、脱イオン水に浸漬した。次に、ボートをすすぎ脱水機内に置き、再度脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。
【0239】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0240】
(比較例10)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例7で述べた方法によって調製したポリマーを100、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを4、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を16、NMPを170の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0241】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120℃にて5分間焼成し、厚さ約11μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムは、ウエハーをウエハーボートに乗せ、0.262NのTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った。ウエハーボートをTMAH溶液から取り出し、更に20秒間、脱イオン水に浸漬した。次に、ボートをすすぎ脱水機内に置き、再度脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。
【0242】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0243】
(第15実施例)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例9で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2.5、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を24、マレイン酸ジブチルを8、NMPを80、GBLを95の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0244】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で125℃にて4分間焼成し、厚さ約10μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0245】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、380℃まで5℃/分の割合で上昇させた。380℃に達したところで、温度を50分間380℃に保った。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0246】
(比較例11)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例9で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2.5、合成例8から得たビスフェノールAP(PAC A)を24、NMPを80、GBLを95の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0247】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で125℃にて4分間焼成し、厚さ約10μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0248】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、380℃まで5℃/分の割合で上昇させた。380℃に達したところで、温度を50分間380℃に保った。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0249】
(第16実施例)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例12で述べた方法によって調製したポリマーを100、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3、PAC Bを16、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールを有するポリマーである2−オキセパノンを9、GBLを150、PGMEAを20、乳酸エチルを5の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0250】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で110℃にて10分間焼成し、厚さ約11.5μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0251】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0252】
(比較例12)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例12で述べた方法によって調製したポリマーを100、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを3、PAC Bを16、GBLを150、PGMEAを20、乳酸エチルを5の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0253】
濾過した製剤をスピンコーティングでシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で110℃にて10分間焼成し、厚さ約11.5μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による60秒のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。
【0254】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0255】
(第17実施例)
ポジ型感光性PBO前躯体組成物を含むジアゾキノンは、合成例13で述べた方法によって調製したポリマーを100、PAC Bを15、トリプロピレングリコールを10、GBLを173の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0256】
シリコンウエハーは、最初に0.5重量%の3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含む接着促進剤溶液で前処理を行った。シリコンウエハーを、リソグラフコーティングツールボウル内のチャックに固定して700rpmで回転させながら流れの中で塗布された20mLの溶液で約80秒間処理された。次に回転速度を2800rpmに加速することでシリコンウエハーを40秒間乾燥させた。
【0257】
濾過した製剤をスピンコーティングで前処理したシリコンウエハー上にコーティングし、熱板上で120℃にて5分間焼成し、厚さ約11.7μmのフィルムを得た。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムを0.262NのTMAH水溶液による25秒の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の保持率は約55%だった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは440mJ/cmだった。
【0258】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0259】
(第18実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例14で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、PAG2(下記参照)を5、速度エンハンサーSE1を3.75、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルを7、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0260】
【化54】

シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で130℃で2分間焼成し、厚さ8.5μmのフィルムを得た。フィルムをパターン露光アレイを用いて、i線ステッパによって露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムは、次に140℃で60秒焼成し、2.38%TMAH水溶液の90秒間の連続噴霧で現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0261】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0262】
(比較例13)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例14で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、PAG2(下記参照)を5、速度エンハンサーSE1を3.75、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0263】
次にシリコンウエハーを上記の調合でコーティングし、熱板上で130℃で2分間焼成し、厚さ8.5μmのフィルムを得た。フィルムをパターン露光アレイを用いて、i線ステッパによって露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。コーティングし露光したフィルムは、次に140℃で60秒焼成し、2.38%TMAH水溶液の90秒間の連続噴霧で現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0264】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0265】
(第19実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例10で述べた方法によって調製したポリマーを100、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、ジ(プロピレン)グリコールを15、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0266】
シリコンウエハーは最初に、1.5重量%のベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、70重量%のPGMEA、および28.5重量%のPGMEを含む接着促進剤溶液で前処理を行った。シリコンウエハーを、リソグラフコーティングツールボウル内のチャックに固定して200rpmで回転させながら流れの中で塗布された7mLの溶液で約30秒間処理された。次に回転速度を2000rpmに加速することでシリコンウエハーを50秒間乾燥させた。
【0267】
シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃で3分間焼成し、厚さ8.52μmのフィルムを得た。フィルムをパターン露光アレイを用いて、i線ステッパによって露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の60秒間のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。照射した領域(E)の全ての材料をクリアするのに必要な照射エネルギーは75mJ/cmだった。
【0268】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0269】
(第20実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例15で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、Ciba Specialty Chemicalsで入手可能なスルホニルオキシミノタイプのPAG CGI−725を10、コハク酸ジメチルを12、PGMEAを130、乳酸エチルを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0270】
次にシリコンウエハーを上記の調合でコーティングし、熱板上で110℃で4分間焼成し、厚さ10.5μmのフィルムを得た。フィルムをパターン露光アレイを用いて、i線ステッパによって露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを120℃で2分間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の40秒間の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0271】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、280℃まで3℃/分の割合で上昇させた。280℃に達したところで、温度を2時間280℃に保った。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0272】
(比較例14)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例15で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、Ciba Specialty Chemicalsで入手可能なスルホニルオキシミノタイプのPAG CGI−725を10、PGMEAを130、乳酸エチルを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0273】
シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で110℃にて4分間焼成し、厚さ10.5μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを120℃で2分間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の40秒間の二段階パドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0274】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、280℃まで3℃/分の割合で上昇させた。280℃に達したところで、温度を2時間280℃に保った。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0275】
(第21実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例16で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、PAG2を3、速度エンハンサーSE1を5、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを5、PGMEAを120、GBLを20、乳酸エチルを10の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0276】
次にシリコンウエハーを上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8.7μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを125℃で2分間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の80秒間のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。再度、ウエハーを125℃で2分間焼成した。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0277】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、400℃まで8℃/分の割合で上昇させた。400℃に達したところで、温度を30分間400℃に保った。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0278】
(比較例15)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例16で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、PAG2を3、速度エンハンサーSE1を5、PGMEAを120、GBLを20、乳酸エチルを10の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0279】
シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8.7μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを125℃で2分間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の80秒間のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。再度、ウエハーを125℃で2分間焼成した。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0280】
ウエハー上のパターンフィルムを窒素パージ下の減圧オーブン内で硬化させた。初期温度は100℃で、400℃まで8℃/分の割合で上昇させた。400℃に達したところで、温度を30分間400℃に保った。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0281】
(第22実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例17で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、ジ(プロピレン)グリコールを15、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0282】
次にシリコンウエハーを上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃で3分間焼成し、厚さ8μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の60秒間のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0283】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0284】
(比較例16)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例17で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0285】
次にシリコンウエハーを上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の60秒間のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0286】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0287】
(第23実施例)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例18で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、ジ(プロピレン)グリコールを15、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0288】
シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃で3分間焼成し、厚さ8μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の60秒間のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0289】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。硬化させた像は、描かれた像の壁からバルク材の表面へと滑らかな移行を示した。この結果得られた壁断面は、上端が丸みを帯びて傾斜した。
【0290】
(比較例17)
化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物は、合成例18で述べた方法によって調製したポリマーを100、トリエトキシシリルプロピルエトキシカルバメートを2、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−2−メチルフェニルアセトニトリルを4、速度エンハンサーSE1を3.75、PGMEAを130、GBLを20の割合で混合し、0.2μmテフロンフィルターで濾過して調製した。
【0291】
シリコンウエハーを次に上記の調合でコーティングし、熱板上で125℃にて3分間焼成し、厚さ8μmのフィルムを得た。パターン露光アレイを用いて、i線ステッパによってフィルムを露光した。ウエハー上のフィルム部分を、Cannon 4000 IE i線ステッパを用いて様々なレベルの照射エネルギーで露光した。ウエハーを130℃で90秒間、露光後焼成した。コーティングし露光したフィルムは、2.38%TMAH水溶液の60秒間のパドル現像を行った。現像したフィルムは、脱イオン水ですすぎ、乾燥して凹凸パターンを得た。濃い、または露光されなかったフィルム厚の損失は観察されなかった。
【0292】
ウエハー上のパターンフィルムを実施例5で述べた方法に従って硬化させた。この結果得られた壁断面は、壁の上端に明確なとがった角があり、比較的急勾配だった。この断面のとがった角は、応力点をもたらす原因になり、後でPBOフィルム上に被覆されパターン化される材料に亀裂を引き起こす可能性がある。
【0293】
本発明は、本願においてその具体的な実施例を参照して説明されてきたが、変更、改良、および変形が本明細書で開示された本発明コンセプトの主旨と範囲から逸脱することなく行えることが分かるであろう。従って、添付の特許請求の範囲の主旨と範囲に含まれるこのような変更、改良、および変形を全て含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0294】
【図1】緩衝コーティングまたはストレス軽減コーティングは、現在の大型メモリやマイクロプロセッサの信頼性に不可欠である。統合された機器上の緩衝コーティングの側面が垂直で鋭角を含む場合には、二つの問題が生じる。その問題を図1a−1cに理想化して示す。図1aは、基材(10)上の金属化した接着パッド(20)周辺の緩衝コーティング(30)の構造を理想化して示す。緩衝コーティング(30)は鋭い角(70、75)と垂直な側面(80)とを有する。極端な場合には、鋭い角70は緩衝コーティングの上面の上に隆起した縁または先端を形成する。接着パッドと緩衝コーティング表面は、図1bに理想化して示された構造を形成するため更に金属化される際に、高ストレス部位が60や65といった数カ所の金属化層に形成される。これらの高ストレス部位(60、65)は、金属化層(40)の亀裂や層間剥離の原因となる可能性もある。図1cは、垂直な側面によって引き起こされる問題を理想化して示す。図1cでは、限定された狭い垂直開口部が緩衝コーティング(30)に存在する場合、振動ワイヤボンディングヘッド(50)は十分な結合力を接着パッド(20)に加えることができない。ボンディングヘッド(50)に対して図1cに示された構造は、金属化層の存在の有無にかかわらず当てはまる。
【図2】誘発ストレス、亀裂、およびワイヤー・ボンディング特性の問題を解決する一つの方法を図2a−2cに図示する。ここで緩衝コーティング(30)の角(70、75)と側面の傾斜(80)の角度(図3に示されるように、ΘとΘ)が低下している。これは、金属化(40)における部位の誘導ストレス(60、65)を軽減し、ひいては金属化層(40)の亀裂や層間剥離を低下させる。図2cは、(図3で定義された)角度ΘとΘの低下が緩衝コーティング(30)の開口部を大きくし、振動ボンディングヘッド(50)のための更なる空間を提供することを示している。このことは、良好な接着を形成するためにボンディングヘッド(50)が十分な圧力を接着パッド(20)に加えることを可能にする。角(70)が鋭角ではなく丸い場合には、更に有利である。
【図3】角度ΘとΘを定義するための図。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図2a】

【図2b】

【図2c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物であり、
(a)少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、
(b)少なくとも1つの可塑剤化合物、
(c)少なくとも1つの溶媒を含有し、前記組成物中に存在する前記可塑剤の量が、その後の基材の金属化において、撮像された物の急角度に起因するストレス障害を防ぐために、基材上のコーティングフィルムにおいて撮像されて硬化された物の側壁角を減少させるのに効果的な量であり、前記ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーがポリマー内に光反応性部分を含まないポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーのみから構成される場合には(d)少なくとも1つの光反応性化合物も前記組成物中に存在するという条件付きの、耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーが、構造I、II、III、III、IVおよびIVを有するポジ型感光性PBO前躯体ポリマーから成る群から選択された少なくとも1つのポジ型感光性PBO前躯体ポリマーを含み、
【化1】

式中、Arは四価の芳香族基、四価の複素環基、またはその混合からなる群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の複素環基、二価の脂環基、またはケイ素を含む場合がある二価の脂肪族基、あるいはその混合から成る群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基、またはその混合から成る群から選択され;ArはAr(OH)および構造I、III,およびIIIのArから成る群から選択され、ArはAr(OD)(OH)および構造II,IVおよびIVのArから成る群から選択され、xは約10から約1000までであり;yは0から約900かつ(x+y)<1000であり;Dは以下の部分の1つから成る群から選択され、
【化2】

式中、RはH,ハロゲン、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、シクロペンチル、またはシクロヘキシルから成る群から選択され;kは約0.5までの任意の正の数であり、kは(k+k)=2であることを条件として約1.5から約2までの任意の数であり、Gは前記ポリマーのNH末端に直接結合したカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはスルホニル基を有する、置換されるかあるいは置換されない一価の有機基であり、Gは前記ポリマーのNH末端に直接結合した少なくとも1つのカルボニル基またはスルホニル基を有する、置換されるかあるいは置換されない二価の有機基であり;前記ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーが構造IまたはIIIまたはIIIまたはそれらの混合物のみからなる場合、前記組成物は更に(d)少なくとも1つの光反応性化合物を含むという条件付きの、請求項1に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項3】
前記可塑剤が、少なくとも2つのOH基を有するとともに沸点が前記感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点より高い、少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物である、請求項2に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項4】
前記可塑剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ソルビトール、シクロヘキサンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.0/2,6)デカン、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーから成る群から選択される、請求項3に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項5】
前記可塑剤が、トリプロピレングリコール、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーから成る群から選択される、請求項4に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項6】
前記可塑剤が、沸点が前記感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つの飽和グリコールモノエーテルである、請求項2に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項7】
前記可塑剤が、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールの飽和モノエーテルから成る群から選択される、請求項6に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項8】
前記可塑剤が、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル、トリ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、およびトリ(プロピレングリコール)ブチルエーテルから成る群から選択される、請求項7に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項9】
前記可塑剤が、沸点が前記感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項2に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項10】
前記可塑剤が、少なくとも2つのカルボン酸基を含むカルボン酸に由来する少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項9に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項11】
前記組成物が更に少なくとも1つの接着促進剤を含有する、請求項2に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項12】
前記接着促進剤が構造XIVの化合物を含み、
【化3】

式中、各R14はC-Cのアルキル基、およびC-Cのシクロアルキル基から成る群から独立に選択され、各R15はC-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基、C-Cのシクロアルキル基、およびC-Cのシクロアルコキシ基から成る群から独立に選択され、dは0から3の整数であり、qは1から6の整数であり、R16は次の部分の1つから成る群から選択され、
【化4】

式中、各R17とR18はC-Cのアルキル基、およびC-Cのシクロアルキル基から成る群から独立に選択され、R19はC-Cのアルキル基、およびC-Cのシクロアルキル基から成る群から独立に選択される、請求項11に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項13】
式中、R16
【化5】

から成る群から選択される、請求項12に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項14】
前記接着促進剤が
【化6】

から成る群から選択される、請求項11に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーが、構造VI、VII、およびVIIを有するポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体ポリマーを含み、
【化7】

式中、Arは四価の芳香族基、四価の複素環基、およびその混合から成る群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の複素環基、二価の脂環基、およびケイ素を含む場合がある二価の脂肪族基から成る群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基、およびそれらの混合から成る群から選択され;ArはAr(OB)(OH)およびArから成る群から選択され;xは約10から約1000までの整数であり、yは0から約900の整数かる(x+y)<1000であり;Bは酸感受性基のRおよび酸感受性基のRを含むE−O−R部分から成る群から選択され;Eは酸に不安定でなく−E−OH部分をアルカリ可溶化部分にする任意の適した二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基から成る群から選択され、kは0.1から2までの任意の数であり、kは(k+k)=2の場合0−1.9の任意の数であり;Gは前記ポリマーのNH末端に直接結合したカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはスルホニル基から成る群から選択された基を有する、置換されたまたは置換されていない一価の有機基であり、Gは前記ポリマーの前記NH末端に直接結合した少なくとも1つのカルボニル基またはスルホニル基を有する置換された、または置換されていない一価の有機基であり、前記組成物が更に照射によって酸を放出する少なくとも1つの光活性化合物(PAG)を含む、請求項1に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項16】
式中、前記A基に結合しているO原子と組み合わさったRがアセタール基、ケタール基、エーテル基、シリルエーテル基、およびそれらの混合から成る群から選択された基を形成する、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項17】
式中、R
【化8】

から成る群から選択される、請求項16に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項18】
式中、前記Ar基に結合しているO原子と組み合わさったRがアセタール基を形成する前記Ar基に結合されている、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項19】
式中、R
【化9】

から成る群から選択される、請求項17に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項20】
式中、E−O−R
【化10】

から成る群から選択される、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項21】
式中、E−O−R
【化11】

から成る群から選択される、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項22】
前記可塑剤が、少なくとも2つのOH基を有するとともに、沸点が前記の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物である、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項23】
前記可塑剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ソルビトール、シクロヘキサンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.0/2,6)デカン、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーから成る群から選択される、請求項22に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項24】
前記可塑剤が、沸点が前記の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つの飽和グリコールモノエーテルである、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項25】
前記可塑剤が、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールのモノエーテルから成る群から選択される、請求項24に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項26】
前記可塑剤が、沸点が前記の化学的に増強された感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項27】
前記可塑剤が、少なくとも2つのカルボン酸基を含むカルボン酸に由来する少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項26に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つの光活性化合物が、オキシムスルホン酸、トリアジン、ジアゾキノンスルホン酸、あるいは、スルホン酸のスルホニウム塩またはヨードニウム塩から成る群から選択される、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項29】
前記の少なくとも1つの光活性化合物が
【化12】

からなる群から選択される、請求項15に記載の耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物。
【請求項30】
基材上の凹凸構造を形成するための方法であり、
(1)(a)少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマー、
(b)少なくとも1つの可塑剤化合物、
(c)少なくとも1つの溶媒を含有し、前記組成物中に存在する前記可塑剤の量が、その後の基材の金属化において、撮像された物の急角度に起因するストレス障害を防ぐために、基材上のコーティングフィルムにおいて撮像されて硬化された物の側壁角を減少させるのに効果的な量であり、前記ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーがポリマー内に光反応性部分を含まないポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーのみから構成される場合には(d)少なくとも1つの光反応性化合物も前記組成物中に存在するという条件付きの、耐熱性ポジ型感光性PBO前躯体組成物を基材にコーティングする工程、
(2)コーティングされた基材の前焼成の工程、
(3)前焼成された、コーティングされた基材の化学線曝露の工程、
(4)任意で、コーティングされて露光された基材の露光後焼成の工程、
(5)現像された、コーティングされた基材上の硬化していない凹凸像を形成するための、コーティングされて露光された基材の水性現像液による現像の工程、および
(6)凹凸像を硬化させるための、現像された、コーティングされた基材の高温での焼成の工程を備え、
工程(1)でポジ型感光性ポリベンゾオキサゾール前躯体が化学的に増強されたポジ型感光性ポリベンゾオキサゾール前躯体であった場合に後の曝露工程(4)が行われる、基材上の凹凸構造を形成するための方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーが、構造I、II、III、III、IVおよびIVを有するポジ型感光性PBO前躯体ポリマーから成る群から選択された少なくとも1つのポジ型感光性PBO前躯体ポリマーを含み、
【化13】

式中、Arは四価の芳香族基、四価の複素環基、またはその混合からなる群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の複素環基、二価の脂環基、またはケイ素を含む場合がある二価の脂肪族基、あるいはその混合から成る群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基、またはその混合から成る群から選択され;ArはAr(OH)および構造I、III,およびIIIのArから成る群から選択され、ArはAr(OD)(OH)および構造II,IVおよびIVのArから成る群から選択され、xは約10から約1000までであり;yは0から約900かつ(x+y)<1000であり;Dは以下の部分の1つから成る群から選択され、
【化14】

式中、RはH,ハロゲン、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、シクロペンチル、またはシクロヘキシルから成る群から選択され;kは約0.5までの任意の正の数であり、kは(k+k)=2であることを条件として約1.5から約2までの任意の数であり、Gは前記ポリマーのNH末端に直接結合したカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはスルホニル基を有する、置換されるかあるいは置換されない一価の有機基であり、Gは前記ポリマーのNH末端に直接結合した少なくとも1つのカルボニル基またはスルホニル基を有する、置換されるか、あるいは置換されない二価の有機基であり;前記ポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーが構造IまたはIIIまたはIIIまたはそれらの混合物のみからなる場合、前記組成物は更に(d)少なくとも1つの光反応性化合物を含むという条件付きの、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記可塑剤が、少なくとも2つのOH基を有するとともに沸点が前記ポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点より高い少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記可塑剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ソルビトール、シクロヘキサンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.0/2,6)デカン、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーから成る群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記可塑剤が、トリプロピレングリコール、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーから成る群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記可塑剤が、沸点が前記ポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つの飽和グリコールモノエーテルである、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記可塑剤が、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールの飽和モノエーテルから成る群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記可塑剤が、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル、トリ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、およびトリ(プロピレングリコール)ブチルエーテルから成る群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記可塑剤が、沸点が前記ポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記可塑剤が、少なくとも2つのカルボン酸基を含むカルボン酸に由来する少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が更に少なくとも1つの接着促進剤を含有する、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
前記接着促進剤が構造XIVの化合物を含み
【化15】

式中、各R14はC-Cのアルキル基、およびC-Cのシクロアルキル基から成る群から独立に選択され、各R15はC-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基、C-Cのシクロアルキル基、およびC-Cのシクロアルコキシ基から成る群から独立に選択され、dは0から3の整数であり、qは1から6の整数であり、R16は次の部分の1つから成る群から選択され、
【化16】

式中、各R17とR18はC-Cのアルキル基、およびC-Cのシクロアルキル基から成る群から独立に選択され、R19はC-Cのアルキル基、およびC-Cのシクロアルキル基から成る群から独立に選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
式中、R16
【化17】

から成る群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記接着促進剤が
【化18】

から成る群から選択される、請求項40記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つのポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーが、構造VI、VII、およびVIIを有するポリベンゾオキサゾール前躯体ポリマーから成る群から選択される少なくとも1つのPBO前躯体ポリマーを含み、
【化19】

式中、Arは四価の芳香族基、四価の複素環基、およびその混合から成る群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の複素環基、二価の脂環基、およびケイ素を含む場合がある二価の脂肪族基から成る群から選択され;Arは二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基、およびそれらの混合から成る群から選択され;ArはAr(OB)(OH)およびArから成る群から選択され;xは約10から約1000までの整数であり、yは0から約900の整数かつ(x+y)<1000であり;Bは酸感受性基のRおよび酸感受性基のRを含むE−O−R部分から成る群から選択され;Eは酸に不安定でなく−E−OH部分をアルカリ可溶化部分にする二価の芳香族基、二価の脂肪族基、二価の複素環基から成る群から選択され、kは0.1から2までの任意の数であり、kは(k+k)=2の場合0−1.9の任意の数であり;Gは前記ポリマーのNH末端に直接結合したカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはスルホニル基から成る群から選択された基を有する、置換されたまたは置換されていない一価の有機基であり、Gは前記ポリマーの前記NH末端に直接結合した少なくとも1つのカルボニル基またはスルホニル基を有する、置換された、または置換されていない二価の有機基であり、前記組成物が更に照射によって酸を放出する少なくとも1つの光活性化合物(PAG)を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
式中、前記Ar基と結合したO原子と組み合わさったRがアセタール基、ケタール基、エーテル基、シリルエーテル基、およびそれらの混合から成る群から選択された基を形成する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
式中、R
【化20】

から成る群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
式中、前記Ar基と結合したO原子と組み合わさったRがアセタール基を形成する、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
式中、R
【化21】

から成る群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
式中、E−O−R
【化22】

から成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
式中、E−O−R
【化23】

から成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記可塑剤が、少なくとも2つのOH基を有するとともに、沸点が前記の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物である、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記可塑剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ソルビトール、シクロヘキサンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.0/2,6)デカン、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと2−オキセパノンとのコポリマーから成る群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記可塑剤が、沸点が前記の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つの飽和グリコールモノエーテルである、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記可塑剤が、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびペンタエチレングリコールのモノエーテルから成る群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記可塑剤が、沸点が前記の化学的に増強されたポジ型感光性PBO前躯体組成物の溶媒の沸点よりも高い少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記可塑剤が、少なくとも2つのカルボン酸基を含むカルボン酸に由来する少なくとも1つのカルボン酸エステルである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つの光活性化合物が、オキシムスルホン酸、トリアジン、ジアゾキノンスルホン酸、あるいは、スルホン酸のスルホニウム塩またはヨードニウム塩から成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの光活性化合物が
【化24】

からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項59】
請求項30に記載の方法に従って製造された凹凸構造。
【請求項60】
請求項31に記載の方法に従って製造された凹凸構造。
【請求項61】
請求項44に記載の方法に従って製造された凹凸構造。

【図3】
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【公表番号】特表2009−505157(P2009−505157A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527040(P2008−527040)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/031725
【国際公開番号】WO2007/022124
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(305037086)フジフィルム・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・インコーポレイテッド (29)
【Fターム(参考)】