説明

昇圧装置

【課題】特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供する。また、電力供給手段からの起動エネルギーの有無に依存せずに昇圧回路を起動することができる昇圧装置を提供する。
【解決手段】セルが直列接続されていない太陽電池11からの入力電圧よりも大きい起動電圧を有し、太陽電池11からの入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路12と、昇圧対象の入力電圧よりも高い電圧によって昇圧回路12の起動に必要な起動エネルギーおよび昇圧回路12の動作の継続に必要な動作エネルギーを昇圧回路12に供給する太陽電池14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇圧装置に関するものであり、特に、燃料電池出力のエネルギーや、太陽電池出力のエネルギーを利用した昇圧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、燃料電池や太陽電池を、携帯機器用電源として利用するための研究が進展している。その理由は、単位重量あたりのエネルギー密度が大である燃料電池の大容量性や、太陽電池が有する軽量、薄型構造による携帯性などの利点に目が向けられているからである。
【0003】
燃料電池は、水素と酸素の化学反応を利用した発電システムであり、窒素酸化物(NOx)などの排気ガスや騒音を出さないグリーンなエネルギー源である。また、燃料電池は、電池の性能を計る指標の一つである重量エネルギー密度が、リチウムイオン電池の10倍にもなると言われている。つまり、5時間駆動のノートパソコンが50時間使用できることを意味しており、携帯機器の利便性を飛躍的に高めるものとして期待されている。
【0004】
また、太陽電池は、排気ガスや騒音を出さないクリーンなエネルギー源であり、リチウムイオン電池や、ニッカド電池のような二次電池と比較してエネルギーを補充する必要がないという利点を有しているため、太陽電池のみ、あるいは、燃料電池と組み合わせた構成による携帯機器への適用が期待されている。
【0005】
ところで、携帯機器用電池として用いられるようなサイズの太陽電池において、その単セルの出力電圧は、0.5V程度と低い。また、携帯機器用電池として用いられることが期待されている固体高分子電解質型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)や、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)において、その単セルの出力電圧は、それぞれ、無負荷で0.6V〜0.7Vであり、定格出力時では0.3V前後と低い。これらの出力電圧は、燃料電池や太陽電池の発電原理に基づいて決定される要素であり、単セルの電池のみで、この値以上の出力電圧を得ることは困難である。
【0006】
したがって、単セルの電池を単独で用いて、電気・電子機器を直接動作させたり、ニッカド電池やリチウム電池などの二次電池を充電することはできない。このため、電気・電子機器の動作、あるいは二次電池の充電動作に必要な電圧を得るためには、これらの電池を直列に接続した電池モジュールを構成するなどの手法を用いなければならない。
【0007】
しかしながら、上記の手法においては、燃料電池および太陽電池には、以下に示すような問題点があった。
【0008】
まず、燃料電池における問題点とは、燃料や酸素(空気)をすべてのセルに均等分配するための構造に起因する製造上のコスト上昇である。上述の直列接続構成をとるとき、この構成から得られる出力電流は、燃料や酸素の供給が最も少ないセルか、あるいは混合比が不適切となることにより発電電流が最も少ないセルの電流値に制限される。このため、燃料電池の燃料と酸素の流路に溝を掘るなど燃料等が均一に分配されるような対策を行ってはいるが、この流路溝には腐食に耐えうる材料を用いなければならないなど、コスト上昇の原因となっていた。
【0009】
また、太陽電池においては、つぎの2つの問題点が存在する。1つ目は、電気的な問題点であり、太陽電池モジュールを構成する単セルの何割かが影になると、出力電圧が大幅に低下してしまうことにある。特に、携帯機器に搭載した場合、太陽電池モジュール全体が常に光を受光するのは難しく、また、太陽電池モジュール全体が光を受光するように強いることは、利用者に利用に際しての不満を残すことになる。
【0010】
2つ目は、コストの問題である。太陽電池単セルを直列接続して太陽電池モジュールを構成するには、バイパスダイオードの付加に加え、直列接続するための太陽電池表面に隣接する太陽電池裏面を繋ぐ配線やセル間の絶縁対策が必要不可欠である。また、モジール効率を高めるために、太陽電池セル間の配線や、セル間絶縁のための隙間を小さくする必要があり、高精度なセル配置技術が必要とされる。これらのセル間絶縁対策や、高精度なセル配置技術の適用がコスト上昇の一因となっている。
【0011】
上述の問題点を解決する従来技術として、出力電圧が比較的高い2V弱の電圧を出力するタンデム型太陽電池を使用することで、直列接続を回避し、昇圧回路を用いて二次電池を充電する太陽電池機器が開示されている(例えば、特許文献1など)。
【0012】
【特許文献1】特許第3025106号明細書(第3頁、第1図5など)
【0013】
この特許文献1に示された太陽電池機器では、太陽電池を多層化するとともに、セル内で各層を直接接続することで出力電圧を昇圧したタンデム型太陽電池が用いられている。また、このタンデム型太陽電池では2V弱の出力電圧が得られるため、最低起動電圧が1.4V程度であるCMOS型の発振回路を用いた昇圧回路を起動させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このタンデム型太陽電池は、単セルを直列接続した太陽電池と比較した場合に限って言えば製造コストを低減したことになるが、通常の単セルの太陽電池との比較では、依然として製造工程の複雑さは残っており、製造コストを大幅に低下させるには至らず、太陽電池利用にかかるコストを低減したことにはならなかった。
【0015】
また、上記の特許文献1に示された太陽電池機器には昇圧回路が備えられており、太陽電池機器を作動させるためには昇圧回路を最初に起動させる必要があり、電力供給手段からの所定の起動エネルギーを当該昇圧回路に付与する必要があった。したがって、電力供給手段のエネルギーがなくなった場合、あるいは不足している場合には、昇圧回路を起動できないといった課題があった。
【0016】
このような状況に鑑み、本発明は、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することを第1の目的とするものである。
【0017】
また、本発明は、電力供給手段からの起動エネルギーの有無に依存せずに昇圧回路を起動することができる昇圧装置を提供することを第2の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーおよび自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記起動エネルギーおよび前記動作エネルギーを前記昇圧回路に供給する電力供給手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーまたは自己の動作の継続に必要な動作エネルギーのいずれか一方が供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記起動エネルギーを供給する電力供給手段と、前記起動エネルギーまたは前記動作エネルギーのいずれか一方を前記昇圧回路に出力する選択回路と、を備え、記昇圧回路は、前記昇圧出力の全部または一部を前記動作エネルギーとして前記選択回路に出力することを特徴とする。
【0020】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、上記の発明において、前記選択回路は、前記電力供給手段と前記昇圧回路との間に順接続された整流素子と、前記昇圧出力の全部または一部が該昇圧回路自身にフィードバックされる方向に順接続された整流素子と、を有することを特徴とする。
【0021】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、上記の発明において、前記昇圧回路の後段に設けられ、該昇圧回路により得られた昇圧出力に対して出力制御を行う出力制御回路をさらに備えたことを特徴とする。
【0022】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、上記の発明において、前記昇圧回路は、前記出力制御回路の制御出力に基づいて昇圧能力を制御する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
上記のように、これらの発明では、昇圧回路を本電源である第1の電池とは異なる電力供給手段で駆動する構成とすることにより、本電源の出力電圧が低電圧電力であっても高効率に昇圧した電圧を得ることができ、本電源として直列接続した複数の電池を用いる必要がないため、出力電圧の不安定を解消でき、また、コスト的にも低減を図ることが可能となる。
【0024】
また、これらの発明では、電力供給手段からの発電電圧と昇圧対象である第1の電池から得られた昇圧出力の一部とを整流素子による選択出力または、同等の整流特性を有する整流素子(パイポーラトランジスタのベース−エミッタ間等)を用いた選択出力から昇圧回路の起動および動作に必要な電力を供給することで、昇圧回路の昇圧能力を向上させることが可能となる。また、出力制御回路を用いることにより、昇圧回路の起動時には、昇圧回路の動作が当該出力制御回路の制御出力の影響を受けず、安定した起動特性を得ることが可能となる。
【0025】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーおよび自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記起動エネルギーを前記昇圧回路に供給する電力供給手段と、を備え、前記昇圧回路は、前記昇圧出力の全部または一部を前記動作エネルギーとして自己にフィードバックすることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、昇圧回路には、昇圧対象の低電圧出力が供給されるとともに、電力供給手段から起動エネルギーが入力され、その一方で、昇圧回路自身にも自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが自身によってフィードバックされることで、低電圧出力のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができる。
【0027】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーまたは自己の動作の継続に必要な動作エネルギーのいずれか一方が供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記起動エネルギーを供給する電力供給手段と、前記起動エネルギーまたは前記動作エネルギーのいずれか一方を前記昇圧回路に出力する選択回路と、を備え、前記昇圧回路は、前記昇圧出力の全部または一部を前記選択回路および前記電力供給手段に出力することを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、昇圧回路には、昇圧対象の低電圧出力が供給され、起動エネルギーおよび動作エネルギーの双方が入力された選択回路が、起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧電力のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができ、昇圧出力エネルギーの効率的な利用を実現することができる。
【0029】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーおよび自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成して出力する昇圧回路と、前記昇圧出力を蓄電して定電圧出力を生成するとともに、該定電圧出力を前記起動エネルギーおよび前記動作エネルギーとして前記昇圧回路にフィードバックする蓄電素子と、を備えたことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、昇圧回路には、昇圧対象の低電圧出力が供給され、自己の起動に必要な起動エネルギーと自己の動作の継続に必要な動作エネルギーとが、昇圧出力が入力された蓄電素子から出力されるようにしているので、低電圧電力のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができ、昇圧出力エネルギーの効率的な利用を実現することができる。
【0031】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーまたは自己の動作の継続に必要な動作エネルギーのいずれか一方が供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記昇圧回路と自己との間に順接続された整流素子を介して入力された前記昇圧出力を蓄電して定電圧出力を生成するとともに、前記起動エネルギーを出力する蓄電素子と、前記起動エネルギーおよび前記動作エネルギーのいずれか一方を前記昇圧回路に出力する選択回路と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、昇圧回路には、昇圧対象の低電圧出力が供給され、蓄電素子の出力である起動エネルギーと昇圧回路の出力である動作エネルギーとの双方が入力された選択回路が、起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧電力のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができ、また、蓄電素子にかかる負担を軽減するとともに、昇圧出力エネルギーの効率的な利用を実現することができる。
【0033】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーおよび自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記起動エネルギーを供給する電力供給手段と、前記起動エネルギーの出力制御を行うスイッチング手段と、を備え、前記昇圧回路は、前記昇圧出力の全部または一部を前記動作エネルギーとして自己にフィードバックするとともに、該昇圧出力を前記起動エネルギーの供給停止信号として前記スイッチング手段に出力し、前記スイッチング手段は、前記昇圧対象として入力される低電圧出力の発電制御に基づく起動信号および前記供給停止信号に基づいて前記起動エネルギーを前記昇圧回路に出力させるか否かの制御を行うことを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、昇圧回路には、昇圧対象の低電圧出力が供給され、選択回路には、検出手段から出力される起動信号に基づいて動作するスイッチング手段を介した起動エネルギーと昇圧回路の出力である動作エネルギーとの双方が入力され、これらの起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧電力のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができ、また、昇圧回路を起動させる必要があるときのみ起動エネルギーを出力することができ、起動エネルギーの効率的な使用が可能となる。
【0035】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーまたは自己の動作の継続に必要な動作エネルギーのいずれか一方が供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記起動エネルギーを供給する電力供給手段と、前記起動エネルギーの出力制御を行うスイッチング手段と、前記起動エネルギーおよび前記動作エネルギーのいずれか一方を前記昇圧回路に出力する選択回路と、を備え、前記昇圧回路は、前記昇圧出力の全部または一部を前記選択回路および前記電力供給手段に出力し、前記スイッチング手段は、前記昇圧対象として入力される低電圧出力の発電制御に基づく起動信号に基づいて前記起動エネルギーを前記選択回路に出力させるか否かの制御を行うことを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、昇圧回路には、昇圧対象の低電圧出力が供給され、選択回路には、起動信号に基づいて動作するスイッチング手段を介した起動エネルギーと昇圧回路の出力である動作エネルギーとの双方が入力され、これらの起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧電力のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができる。また、昇圧回路を起動させる必要があるときのみ起動エネルギーを出力することができ、起動エネルギーの効率的な使用が可能となる。さらに、昇圧出力の全部または一部を電力供給手段に出力して蓄積するようにしているので、消費した起動エネルギーを効果的に補充することができる。
【0037】
つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーまたは自己の動作の継続に必要な動作エネルギーのいずれか一方が供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記起動エネルギーを供給する電力供給手段と、前記起動エネルギーの出力制御を行うスイッチング手段と、前記起動エネルギーおよび前記動作エネルギーのいずれか一方を前記昇圧回路に出力する選択回路と、前記昇圧対象として入力される低電圧出力の発電制御のために送出される発電要求信号を所定時間だけ遅延させた遅延信号を生成して出力する信号遅延回路と、を備え、前記昇圧回路は、前記昇圧出力の全部または一部を前記選択回路および前記電力供給手段に出力し、前記スイッチング手段は、前記遅延信号に基づいて前記起動エネルギーを前記選択回路に出力させるか否かの制御を行うことを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、昇圧回路には、昇圧対象の低電圧出力が供給され、選択回路には、発電要求信号の遅延出力に基づいて動作するスイッチング手段を介した起動エネルギーと昇圧回路の出力である動作エネルギーとの双方が入力され、これらの起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧電力のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができる。また、昇圧回路を起動させる必要があるときのみ起動エネルギーを出力することができ、起動エネルギーの効率的な使用が可能となる。さらに、昇圧出力の全部または一部を電力供給手段に出力して蓄積するようにしているので、消費した起動エネルギーを効果的に補充することができる。
【0039】
また、つぎの発明にかかる昇圧装置にあっては、自己の起動に必要な起動エネルギーまたは自己の動作の継続に必要な動作エネルギーのいずれか一方が供給され、昇圧対象の入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、前記低電圧出力に基づいて生成した前記起動エネルギーを前記昇圧回路に出力する補助昇圧回路と、を備え、前記昇圧回路は、前記昇圧出力の一部を前記動作エネルギーとして自己にフィードバックすることを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、低電圧出力に基づいて生成した起動エネルギーを昇圧回路に出力する補助昇圧回路によって起動された昇圧回路は、自身が出力した昇圧出力の一部を動作エネルギーとして自己にフィードバックするようにしているので、低電圧出力を出力する発電素子以外の電力供給手段に依存することなく、自己を起動し、あるいは自己の昇圧動作を継続させることができるので、発電素子から出力された発電エネルギーの昇圧を確実に行うことができる。
【0041】
このように、上述した発明によれば、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供するという第1の目的を達成することができる。
【0042】
また、上述した発明によれば、電力供給手段からの起動エネルギーの有無に依存せずに昇圧回路の起動が可能な昇圧装置を提供するという第2の目的を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる昇圧装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0044】
[実施の形態1]
第1図は、本発明の実施の形態1にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。第1図に示す太陽電池出力の昇圧装置は、本装置の構成要件ではない太陽電池11の出力を昇圧対象とし、電力供給手段としての太陽電池14と、昇圧回路12とを備え、負荷としての負荷(二次電池)19に電力を供給する。
【0045】
昇圧対象である直列接続されていない太陽電池11に光が入射すると起電力が生じる。太陽電池11としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いたものなど、一般に広く普及しているものが使用できる。これらの太陽電池の単一セルの出力電圧は、最大で0.5V強である。太陽電池11で発電された電力は、昇圧回路12により昇圧されて負荷(二次電池)19に供給される。負荷(二次電池)19としては、電気・電子回路や二次電池が接続される。昇圧回路12は、0.6V未満の電圧では動作することはできないので、太陽電池11にて駆動することができないが、アモルファス太陽電池もしくは、同等のコストで作成可能な直列接続された太陽電池14から電力の供給を受ける構成にする。太陽電池14の面積は、昇圧回路12の消費電力を賄うだけでよく、1〜3.3平方センチメートル程度の小さな素子を用いることができる。
【0046】
昇圧回路12の電源としては、直列接続したアモルファス太陽電池14を用いることが有効である。アモルファス太陽電池は、半導体プロセスにおいて、直列接続できる特徴があり、上記の従来の技術で課題となっていた種々の課題を解決することができる。
【0047】
昇圧回路12は、ブースト型の昇圧回路構成が有効で、スイッチ素子には駆動電力が極めて小さい特徴を有するMOSFETを用いる。このMOSFETの駆動部には、CMOSロジックICによるマルチバイブレータ発振回路を用いる。マルチバイブレータの発振周波数は、発振回路の消費電力とブーストコンバータのコイルのインダクタンスや定格電流から決定する。マルチバイブレータの発振周波数とブーストコンバータのコイルのインダクタンス値とコイルの定格電流値は昇圧対象である太陽電池11の発電能力によって決まる設計上の項目であり、公知の技術であるので説明は省略する。
【0048】
必要最小限で構成されたこの昇圧回路12の消費電力は極めて少なく10kHz動作時に10μW以下の電力で動作できる。CMOSロジックIC74HC14をマルチバイブレータ回路に用いた昇圧回路の起動および動作電圧の最低電圧は1.2Vであった。大きさ33mm×10mm、5セルが内部で直列接続されたアモルファス太陽電池を太陽電池14に用いた場合、1100ルクス程度の明るさ以上で昇圧動作が確認できた。
【0049】
この基本構成では、昇圧能力を向上する目的でスイッチ素子として大型のMOSFETを用いたり、複数のMOSFETを並列接続すると、昇圧回路12の消費電力が増加して昇圧回路12の起動する最低照度を上昇させる原因となる。
【0050】
なお、この実施の形態において、第1の電池である太陽電池11は、低電圧出力型であり直列接続構成などの複雑な製造工程を経ずに製造できる単セルの太陽電池としているが、同じく低電圧出力型であり、直列接続せずに構成できる単セルの燃料電池を用いてもよい。また、昇圧回路12への出力を増加させたい場合には、複雑な製造工程を経ずに実現できる並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0051】
一方、第2の電池である太陽電池14は、起動エネルギー(動作エネルギー)を与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、リチウム蓄電池などを用いることができる。また、充電ができない乾電池のような一次電池でもよく、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【0052】
[実施の形態2]
第2図は、本発明の実施の形態2にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
第2図に示す昇圧装置は、昇圧回路の昇圧能力の向上を実現するとともに、昇圧回路を起動する最低照度の上昇を招かない構成である。同図の構成では、前述の実施の形態1における第1図の構成に整流素子32,33を有する選択回路15を付加している。
【0054】
同図に示す昇圧回路12は、起動時は、電力供給手段である太陽電池14の電力を用い、昇圧動作が開始された後は、昇圧された電力の一部を昇圧回路12に供給することで昇圧能力を飛躍的に向上させている。太陽電池14の電力と昇圧出力の一部との選択出力を昇圧回路12に供給しているので、太陽電池14の電力は昇圧回路12のみに供給され、負荷(二次電池)19に供給されることはないので、起動照度の低下を防ぐことができる。昇圧回路12は太陽電池14から電力の供給を受けると起動し、昇圧動作が始まると、昇圧出力から整流素子33を通じて、昇圧回路12に電力を供給する。この結果、昇圧回路12の昇圧能力が増加する。太陽電池11による発電電力が大きくなればなるほど、昇圧される電力が増加し、整流素子33を通じて昇圧回路12に供給される電力も増えるので、昇圧回路12の昇圧能力が増強されることとなり、好循環が生まれる。なお、整流素子32,33に替えて同等の整流特性を有する整流素子(パイポーラトランジスタのベース・エミッタ間等)を用いてもよい。なお、昇圧回路の回路構成の詳細については、実施例において後述する。
【0055】
なお、この実施の形態において、第1の電池である太陽電池11は、低電圧出力型であり直列接続構成などの複雑な製造工程を経ずに製造できる単セルの太陽電池としているが、同じく低電圧出力型であり、直列接続せずに構成できる単セルの燃料電池を用いてもよい。また、昇圧回路12への出力を増加させたい場合には、複雑な製造工程を経ずに実現できる並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0056】
一方、第2の電池である太陽電池14は、起動エネルギー(動作エネルギー)を与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、リチウム蓄電池などを用いることができる。また、充電ができない乾電池のような一次電池でもよく、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【0057】
つぎに、図面とともに本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0058】
まず、実施例1では、ブーストコンバータ構成の昇圧回路について説明する。
【0059】
第3図は、この発明の実施例1にかかるブーストコンバータ構成の太陽電池出力の昇圧回路の構成を示す図である。
【0060】
昇圧回路202の昇圧対象は、直列接続されていない太陽電池201であり、また、昇圧回路202の出力端子217には、負荷203として定電流・定電圧制御が可能な電子負荷(富士通伝送EULαXL150)を接続した。太陽電池201は、36平方センチメートルのシリコン多結晶でAM1.5の状況下にて開放端出力電圧が0.56V発生するものを用いた。昇圧回路202には、コイル206として、直流抵抗20ミリオーム、定格電流2A、インダクタンス値22マイクロヘンリーのものを用いた。スイッチ素子208には、MOSFETとしてシリコニクス製Si9948DYを用いた。ダイオード207には、ショトキーバリアダイオード東芝製CMS06を用いた。コンデンサ209には、三洋製電解コンデンサでESRが20ミリオーム、キャパシタンス220マイクロファラドのものを用いた。発振回路224は、汎用CMOSロジックゲートであるシュミットトリガ型インバータ74HC14によるマルチバイブレータ発振回路と出力電流強化のためのドライブ回路から構成した。
【0061】
マルチバイブレータ回路は、発振時定数を決定するコンデンサ210と抵抗211とシュミットトリガ型インバータ213から構成したが、ここには、一般的な低消費電力型の矩形波発振回路を用いることができる。
【0062】
ドライバ回路は、シュミットトリガ型インバータ212,214を並列にして用いた。ここでは、一般的な低消費電力型のインバータやバッファタイプのロジックゲートを用いることができる。並列数は、電流駆動能力と負荷の重さから決定すればよい。昇圧回路202の電源として、前述の発振回路224のシュミットトリガ型インバータ74HC14の電源端子215への電力供給が必要であるので、ここに直列接続された太陽電池204とコンデンサ216を接続した。太陽電池204には、三洋製アモルファス太陽電池で5セル構成の定格出力3.0V、3.2mA、型番AM1156を用いた。コンデンサ216には三洋製OS電解コンデンサ220マイクロファラドのものを用いた。太陽電池201と太陽電池204は近接し、かつ、平面上に配置した。
【0063】
照度の測定は、照度計横河電機製510−02を用い、光源から太陽電池表面までの距離と光源から照度計の受光球までの距離が等しくなるようにして行った。
【0064】
実験の結果、照度が1100ルクスから昇圧動作が始まることが確認された。発振回路224の発振周波数を調整することで昇圧開始電圧が変化し、発振周波数が1〜30kHz程度で昇圧開始電圧が最も高感度であった。昇圧回路の駆動源に用いた太陽電池204の出力電圧が1.1Vを超えると発振回路224は、発振を始めるが、スイッチ素子208の駆動には至らない。太陽電池204の出力電圧が1.4Vを超えると昇圧動作が始まることがわかった。照度が1100ルクスのときに太陽電池204の出力電圧が1.4Vに達していた。窓際または、太陽光下では、十分な昇圧動作が得られ、出力端子217には、20V以上の電圧が得られるが太陽電池204の出力電圧は1.9V程度であり、定格の3.0Vには到達しないため、つぎに、昇圧回路起動後の昇圧回路へのエネルギー供給の補強を行った。
【0065】
なお、上記の74HC14は、インバータロジック6個と当該ロジックへの電源供給端子をひとまとめにした標準パッケージである。また、発振回路224は、74HC14の3個のインバータロジック212,213,214と抵抗211とコンデンサ210を使用して構成されている。
【実施例2】
【0066】
本実施例では、前述の実施例1とは異なるブーストコンバータ構成の昇圧回路について説明する。
【0067】
第4図は、この発明の実施例2にかかるブーストコンバータ構成の太陽電池出力の昇圧回路の構成を示す図である。
【0068】
同図に示す構成は、前述の実施例1の回路構成における、シュミットトリガ型インタバータ74HC14の電源端子215に、太陽電池204と昇圧回路の昇圧出力とをショットキーダイオード218とショットキーダイオード219によるオア回路を介して印加する構成とした。
【0069】
太陽電池204の出力は、昇圧回路202にのみ供給され、ダイオード219により負荷203に供給されることはないので、前述の実施例1に比べ、起動照度が劣化することはない。
【0070】
実験では、1200ルクス以上の光照射により昇圧回路が起動し、太陽電池201からの昇圧出力が得られた。昇圧出力は、負荷203に供給されると同時に出力の一部を電流制限抵抗220とダイオード219を介して昇圧回路202に供給する。すなわち、発振回路を構成するシュミットトリガ型インバータ74HC14の電源端子215に供給した。昇圧出力からのエネルギー供給が昇圧回路202に開始されると、74HC14の電源端子215の電圧が上昇し、発振回路224の動作が安定すると同時に、昇圧回路202のスイッチ素子208,221を十分な駆動能力で駆動し始めるため、スイッチ素子208,221のオン抵抗を低くすることができる。この実験では、スイッチ素子208,221としてSi9948DYを用いたが、オン抵抗の合成値は10ミリオームを得た。
【0071】
これは、コイル206の直流抵抗が20ミリオームの場合、昇圧回路の直流的な抵抗値は30ミリオーム程度となり、太陽電池201の発電電圧が0.3Vのときに最大10Aまでの発電電流を太陽電池201から昇圧回路202に取り込めることを意味している。
【0072】
本実施例の昇圧回路では、一旦、昇圧回路202が起動すると、昇圧出力の一部を昇圧回路202に供給するため、起動に用いた太陽電池204は不要となる。
【0073】
5000ルクス程度の光照射において、昇圧出力は7Vを超えるため、負荷203に富士通電装電子負荷EULαXL150を接続し、定電圧動作に設定した。
【0074】
以下に示す表1は、照度を変えて、昇圧対象である直列接続されていない太陽電池201の出力電圧Vinを変化させたときの実験結果の一例である。
【0075】
【表1】

【0076】
この実験では、負荷203として用いた電子負荷は、定電圧動作の5.00Vに設定した。昇圧回路の出力端子217における出力電圧と出力電流から昇圧出力を測定した。この結果から、太陽電池201の出力電圧が0.1Vでも昇圧出力が得られ、また、8割台の高い変換効率が得られることがわかる。実験に用いたマルチバイブレータによる矩形発振回路は、ディユーティ比を変化させる構成としなかったので、例えば、太陽電池201の出力電圧Vinが0.5Vのときの太陽電池201からの供給電流Iinが330ミリアンペアとなっている。しかし、ディユーティ比を調節できる。別な矩形波発振回路による実験において、ディユーティ比を増加させることで、太陽電池201からの出力電流Iinが1500ミリアンペアを超えても昇圧回路202が取り込めることを確認した。なお、上記の74HC14は、インバータロジック6個と当該ロジックへの電源供給端子をひとまとめにした標準パッケージである。また、発振回路224は、74HC14の3個のインバータロジック212,213,214と抵抗211とコンデンサ210を使用して構成されている。
【0077】
[実施の形態3]
第5図は、本発明の実施の形態3にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【0078】
第5図では、出力制御回路を設けた太陽電池出力の昇圧装置の構成を示しており、前述の実施の形態2における第2図の昇圧装置に出力制御回路16を付加した構成である。
【0079】
昇圧対象である太陽電池11にて発電した電力は、昇圧回路12により昇圧され、出力制御回路16により定電圧や定電流や充電のための出力制御を受けた後に整流素子34を通じて電気・電子回路あるいは、二次電池である負荷(二次電池)19に供給される。昇圧された電力の一部は出力制御回路16と昇圧回路12に供給される。昇圧回路12を起動するための太陽電池14の電力は、整流素子33の働きにより昇圧回路12にのみ供給されるため、起動照度の低下を防ぐことができる。整流素子34により負荷(二次電池)19から出力制御回路16の方向に電流が逆流することはないので、負荷(二次電池)19に二次電池を用いた場合は、二次電池の不要な放電を防ぐことができる。負荷19が二次電池でない場合は、整流素子34を省略してもよい。また、出力制御回路16は、3端子シリーズレギュレータを用いてもよいし、定電圧ダイオードを用いた簡単な構成でもよい。なお、昇圧回路の回路構成の詳細については、実施例において後述する。
【0080】
なお、この実施の形態において、第1の電池である太陽電池11は、低電圧出力型であり直列接続構成などの複雑な製造工程を経ずに製造できる単セルの太陽電池としているが、同じく低電圧出力型であり、直列接続せずに構成できる単セルの燃料電池を用いてもよい。また、昇圧回路12への出力を増加させたい場合には、複雑な製造工程を経ずに実現できる並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0081】
一方、第2の電池である太陽電池14は、起動エネルギー(動作エネルギー)を与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、リチウム蓄電池などを用いることができる。また、充電ができない乾電池のような一次電池でもよく、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【0082】
[実施の形態4]
第6図は、本発明の実施の形態4にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、昇圧能力を可変にするための太陽電池出力の昇圧装置の構成を示すものであり、また、前述の実施の形態3における第5図の昇圧回路において、出力制御回路16から昇圧回路12に制御信号を送り、昇圧能力を可変とすることで、制御目標を達成する構成について説明するための図である。
【0083】
同図に示す太陽電池出力の昇圧装置は、昇圧回路12の起動時に太陽電池14から電力を受けて起動する。この時点では、昇圧出力が発生していないか、出力制御回路16の最低動作電圧に達していないため、出力制御回路16からの制御信号は存在しなかったり、不定な動作をする。このため、不本意な制御信号状態により起動し始めた昇圧回路が停止して、正常な動作が行われないおそれがある。この問題を解決するには、以下の特徴を有する回路構成にする必要がある。
(1) 起動時に出力制御回路16から昇圧回路12に不定な制御出力を与えないこと。
(2) 起動時に出力制御回路16の制御信号出力端子はハイインピーダンスであること。
【0084】
出力制御回路16が不定な制御信号を出力しないようにするためには、制御信号出力段にバイポーラトランジスタなどの電流駆動素子を用いることが有効である。当該素子では、オンするのに電流が必要であり、昇圧回路起動時は、出力制御回路16は、電流駆動素子を駆動するだけの能力を持っていない。また、出力端子をハイインピーダンスにすることで、昇圧回路12から出力制御回路16に電流が流れ、昇圧回路の起動特性が劣化するのを防止することができる。したがって、出力制御回路16の制御信号出力段には、オープンコレクタやゲート・ソース問に抵抗を並列接続して電流駆動型にしたオープンドレイン構成をとるのが有効である。なお、昇圧回路の回路構成の詳細については、実施例において後述する。
【0085】
なお、この実施の形態において、第1の電池である太陽電池11は、低電圧出力型であり直列接続構成などの複雑な製造工程を経ずに製造できる単セルの太陽電池としているが、同じく低電圧出力型であり、直列接続せずに構成できる単セルの燃料電池を用いてもよい。また、昇圧回路12への出力を増加させたい場合には、複雑な製造工程を経ずに実現できる並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0086】
一方、第2の電池である太陽電池14は、起動エネルギー(動作エネルギー)を与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、リチウム蓄電池などを用いることができる。また、充電ができない乾電池のような一次電池でもよく、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【実施例3】
【0087】
本実施例では、出力制御機能を有するブーストコンバータ構成の昇圧回路について説明する。
【0088】
第7図は、本発明の実施例3にかかる太陽電池出力の昇圧回路の構成を示す図である。
【0089】
昇圧回路244内の短形波発振回路は、汎用CMOSロジックゲートであるシュミットトリガ型2入力NAND(74HC132)によるマルチバイブレータ発振回路と出力電流強化のためのドライブ回路から構成した。マルチバイブレータ発振回路は、発振時定数を決定するコンデンサ233と抵抗232とシュミットトリガ型2入力NAND234から構成したが、この他にも、発振回路外部から発振状態の制御が可能な低消費電力型の矩形波発振回路を用いることができる。ドライブ回路は、シュミットトリガ型2入力NANDゲート235,236,237を並列にして用いた。ここには、電流駆動能力の優れた低消費電力型のインバータタイプのロジックゲートを用いるとよい。並列数は負荷の重さに応じて決定すればよい。昇圧回路244の電源としてシュミットトリガ型2入力NAND74HC132の電源端子230への電力供給が必要であるので、ここに直列接続された太陽電池204をダイオード218を介して接続した。太陽電池204には、三洋製アモルファス太陽電池で大きさが3.3平方センチメートル、5セル構成の定格出力3.0V、3.2mA、型番AM1156を用いた。コンデンサ216には、三洋製低ESR型電解コンデンサ220マイクロファラドのものを用いた。前述の電源端子230には、前述の実施例2と同様に太陽電池204の発電出力と昇圧回路244の昇圧出力とをダイオード218および219によるオア構成として接続した。
【0090】
本構成により、太陽電池204の発電出力は電源端子230にのみ供給でき、また、昇圧出力から太陽電池204に逆流することなく電源端子230に昇圧出力の一部を供給することができる。昇圧出力から電源端子230に昇圧出力の一部を供給する際に、電流制限抵抗220を挿入することで電源端子230に過大な電力が供給されるのを防ぎ、昇圧回路の変換効率を向上することができる。
【0091】
ダイオード218,219,207,238には、順方向降下電圧が小さい特徴を持つショットキーバリアダイオードを用いるとよい。本実施例では、東芝製CMSO6を用いた。
【0092】
つぎに、出力制御回路について説明する。
【0093】
本実施例は、直列接続していない太陽電池出力を昇圧回路244により昇圧する際に昇圧出力を定電圧化するための回路溝成例である。昇圧出力を一定電圧に制御するか、あるいは、一定電流に制御するかは、この昇圧回路の本質ではなく、公知の出力制御技術が利用可能である。ここで、必要なのは、これら出力制御回路が必要とする電力をどこから得ているかということと制御信号のインタフエース方法である。昇圧対象である太陽電池201の出力電圧は、0.4V程度、最大でも0.5V強である。このような低電圧で一般的な出力制御回路を構成するコンパレータや基準電圧源を駆動することは不可能である。もう一つのエネルギー源である太陽電池204は、昇圧回路244の起動動作に必要なエネルギーを供給するためのものであり、ごく小面積の太陽電池の利用を前提にしている。
【0094】
仮に、太陽電池204からエネルギーを流用すると、太陽電池204の出力電圧低下を招き、本昇圧回路の低照度動作の特性を著しく低下させるか、昇圧回路244の起動ができない事態を招くこととなる。出力制御回路は、昇圧回路244から昇圧出力が発生しているときのみ機能すれば良い。したがって、第7図のように、直列接続されていない太陽電池201の昇圧出力から電圧を得るように接続することで、本昇圧回路の低照度動作の特性を全く劣化させることなく、公知の出力制御手段を利用することができる。
【0095】
つぎに、制御信号のインタフエース方法について説明する。定電圧制御や定電流制御などの出力制御は、昇圧回路244の昇圧動作に働きかけて昇圧能力を調節することで実現する。ここで、出力制御手段が昇圧回路244の昇圧出力から電力を得て動作している場合、昇圧回路244から昇圧出力が得られるまでは、出力制御手段は動作することができない。昇圧回路内の発振回路がこの出力制御手段からゼロボルトでない発振許可信号を受けて発振し、昇圧動作を制御する場合、以下の問題が発生する。
【0096】
昇圧回路244は、発振制御端子260をロジックのハイレベルに相当する発振許可信号を受信することで、発振を開始し昇圧動作が行われる。昇圧回路244が起動する際には、昇圧出力はまだ発生していないため、出力制御手段から発振許可信号を得ることができないので、発振回路は発振することができない。したがって、昇圧動作ができず昇圧出力が得られない。そこで、第7図のように、発振制御端子260を電源端子230に抵抗231とコンデンサ245による積分回路を介して接続する。また、発振許可信号出力時以外の出力制御回路の出力端子のインピーダンスを高くするため、制御信号の出力端子の回路構成をオープンドレイン構成かオープンコレクタ構成になるようにする。この回路構成では、起動時の発振制御端子260の電圧は、電源端子230の電源電圧とほぼ等しいため、ロジックハイレベルを安定して得られる特徴を持つ。
【0097】
また、本昇圧回路の低照度特性を劣化させる電力消費要因は存在しない。上記の問題を克服する直列接続されていない太陽電池出力の昇圧装置のための出力制御方法として、定電圧出力制御の例を本実施例において示し、定電圧制御動作について説明する。
【0098】
定電圧制御回路は、オープンドレイン出力構成のコンパレータ241と基準電圧源242とバイアス抵抗239および出力電圧値設定のための出力電圧抵抗240および243から溝成され、第7図のように結線した。コンパレータ241は、オープンドレイン出力もしくは、オープンコレクタ構成以外の場合でもコンパレータ出力端子にN型MOSFETかNPN型パイポーラトランジスタを介して発振制御端子260に接続することも可能である。
【0099】
つぎに、動作について説明する。
【0100】
大陽光照射による起動時は、昇圧出力が得られていないため、コンパレータ241の出力段のN型MOSFETあるいは、NPNトランジスタはオフ状態にあり、発振制御端子260の電圧が上昇して、昇圧回路内のマルチバイブレータが発振を開始し、昇圧出力が得られる。0分割抵抗240と243による昇圧電圧の分割電圧が基準電圧源242の電圧より高くなると、コンパレータの出力は電流を引き込むので発振制御端子260は、ロジックローレベルになり、発振を停止し、昇圧動作が停止する。出力電圧が前述の分割抵抗240と243による設定値以下になるとコンパレータのオープンドレイン出力回路はオフし、発振制御端子260の電圧が積分回路を介して電圧を上昇し、ロジックハイレベルになると、昇圧回路244が発振を再開して昇圧動作を行い、出力電圧が一定になるように制御される。
【0101】
実験では、太陽電池201と太陽電池204は近接し、かつ、平面上に配置した。照度の測定は、照度計に横河電機製510−02を用い、光源から太陽電池表面までの距離と光源から照度計の受光球までの距離が等しくなるようにして行った。実験の結果、照度が800ルクスから発振動作が始まることが確認された。発振回路の発振周波数を調整することで昇圧開始電圧が変化し、発振周波数が1〜30kHz程度で昇圧開始電圧が最も高感度であった。昇圧回路の駆動源に用いた太陽電池204の出力電圧が0.95Vを超えると発振回路は発振を始めるが、スイッチ素子208の駆動には至らない。照度が1100ルクスのときに太陽電池204の出力電圧が1.2Vに達し、昇圧動作が始まることがわかった。窓際や太陽光下では十分な昇圧動作が得られ、分割抵抗240と243で設定した出力電圧が出力端子217から得られた。
【実施例4】
【0102】
本実施例では、出力制御機能を有するブーストコンバータ構成の昇圧回路について説明する。
【0103】
第8図は、本発明の実施例4にかかる出力制御機能を有するブーストコンバータ構成を用いた直列接続されていない太陽電池出力の昇圧回路の構成を示す図である。
【0104】
本実施例では、第7図に示す実施例3の回路構成同様に、出力制御回路の制御出力により、昇圧回路244の発振制御端子260を介して昇圧能力を調節して定電圧出力動作を実現するものである。前述の実施例3との差異は、昇圧回路244の発振制御端子260がロジックローレベルのときに発振回路が動作し、昇圧回路を動作させることで、実施例3では必要であった電源端子230からのバイアス回路を不要とするものである。
【0105】
また、発振制御端子260がロジックハイレベルのときに発振回路の動作が停止するので、コンパレータ出力の後にPNPトランジスタ272あるいは、P型MOSFETによるレベルシフト回路を付加する。抵抗273と274は、PNPトランジスタ272のバイアス抵杭である。
【0106】
抵抗270は、発振制御端子260のプルダウン抵抗、抵抗271は、PNPトランジスタ272からの過電流防止と発振回路制御端子への過電圧印加によるラッチアップを防止するものである。コンデンサ275は、発振回路制御端子の耐ノイズ特性を向上するためのものである。
【0107】
つぎに、上記の構成における動作を説明する。
【0108】
太陽電池に光が照射され、太陽電池204から出力電圧が発生すると、電源端子230の電圧が上昇し、シュミットトリガ型2入力NANDロジックゲート74HC132が動作可能な状態となる。昇圧出力はないので、発振制御端子260は、プルダウン抵抗270によりロジックローレベルにあり、発振回路は発振を開始し、昇圧回路が起動し昇圧出力が発生する。昇圧出力電圧が分割抵抗240と243により分割された電圧と基準電圧源242の電圧とをコンパレータ241にて比較し、昇圧出力電圧の方が高圧電圧であるときは、コンパレータ241は、後段のPNPトランジスタ272をオンするように正入力端子と負入力端子を接続する。トランジスタ272が、オンすると昇圧出力からプルダウン抵抗270に電流が流れ、発振回路制御端子がロジックハイレベルとなり、発振動作が停止して昇圧動作が停止する。
【0109】
また、出力電圧が設定電圧以下になると、コンパレータ出力はオフとなり、PNPトランジスタ272は、オフするので発振制御端子260は、ロジックローレベルとなる。このため、発振回路が動作して昇圧動作が再開されるので出力電圧は一定電圧に制御される。
【0110】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々の変更または応用が可能である。
【0111】
以上説明したように、本発明の昇圧装置によれば、太陽電池の出力電圧が0.15V下であっても何等問題なく、高効率に昇圧した電圧を得ることができる。したがって、太陽電池を多数直列接続する必要がないため、従来の直列接続した太陽電池で問題であった、構成する太陽電池の何割かが影になると、太陽電池モジュール全体の何割かが影になったのと同じ効果となり、出力が大幅に低下してしまうという問題を解決することができる。
【0112】
また、従来、直列接続された太陽電池モジュールを作成するには、バイパスダイオードの付加に加え、太陽電池表面と隣接する太陽電池裏面を繋ぐ配線やセル間の絶縁対策が必要であり、モジュール効率を高めるためには、各太陽電池セルにおいて、配線のための隙間やセル間絶縁のための隙間を小さくし、かつ、精度よくセルを配置する技術が要求されるため、コスト高の太陽電池モジュールとなっていた。これに対し、本発明を適用することで、直列接続する必要がないので、太陽電池モジュールのコストを低減できる。
【0113】
さらに、従来はモジュール効率を高めるため、セル形状は四角形となり、意匠的な工夫を凝らすことが困難であったが、発電対象である太陽電池を直列接続する必要がないので、本発明により、様々な形状の太陽電池を並列接続して用いることができ、太陽電池モジュールの形状の制約から解放される。
【0114】
[実施の形態5]
第9図は、本発明の実施の形態5にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、0.6V〜0.7V(無負荷)程度の低電圧を出力する単セルの燃料電池21(第1の電池)から出力された低電圧出力を昇圧対象として所定の電圧(例えば、負荷が動作可能な電圧)程度に昇圧する昇圧回路12と、昇圧回路12に起動エネルギーを与えるための電力供給手段であるリチウム蓄電池23(第2の電池)とを備えている。なお、燃料電池21は、単に昇圧対象となる低電圧出力を昇圧回路12に供給しているものであり、本昇圧装置の構成要件ではない。
【0115】
ここで、燃料電池21は、低電圧出力型であり直列接続構成などの複雑な製造工程を経ずに製造できる単セルの燃料電池である。リチウム蓄電池23は、充電可能な二次電池であり、起動エネルギーを与えるエネルギー源としての役割を有している。昇圧回路12は、例えば、回路構成の容易なブーストコンバート型の回路で構成され、この昇圧回路内に備えられるスイッチング素子のオン/オフ制御を行うことで、コンデンサなどの蓄電素子に蓄えられる電圧の昇圧を行うことができる。なお、スイッチング素子のオン/オフ制御を行うための発振回路としては、CMOS型の回路を用いるのが好適である。
【0116】
つぎに、第9図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。同図において、燃料電池21では、送出された燃料や酸素(空気)によって化学反応が行われ、この化学反応によって電気エネルギーが生成される。このとき生成される出力は、一般的に低電圧であり、例えば、無負荷(負荷が接続されていない)ときでは0.6V〜0.7Vであり、定格出力時では、せいぜい0.3V前後の出力電圧である。したがって、燃料電池21からの出力では、ノートパソコンや携帯電話などの携帯機器を直接動作させることはできない。
【0117】
燃料電池21からの低電圧出力は昇圧回路12に入力される。昇圧回路12では、図示を省略したコンデンサなどの蓄電素子に昇圧された電気エネルギーが蓄積される。昇圧回路12を動作させるためには、所定の起動エネルギーが必要とされる。リチウム蓄電池23は、昇圧回路12に起動エネルギーを供給する。昇圧回路12は、起動時にはある程度のエネルギーを必要とするが、起動後は起動時に与えられるエネルギーよりも小さなエネルギーにて動作を継続させることができる。
【0118】
例えば、ブーストコンバート型の昇圧回路であれば、起動時に1.4V程度の入力電圧が必要であるが、起動後は、0.1V程度の小さな入力電圧であっても昇圧回路12自身の動作を継続させるこができる。したがって、この実施の形態の昇圧装置では、昇圧回路12に対して、起動時のみ、リチウム蓄電池23から起動エネルギーを出力し、起動後は昇圧回路12自身の出力を動作エネルギーとしてフィードバックさせることで、昇圧回路12自身の動作を継続させ、所定の昇圧出力を得ている。
【0119】
また、昇圧回路12の出力、すなわち昇圧出力は、接続される携帯機器などの動作電圧に応じて任意の所定電圧に設定することができるので、低電圧出力しか得られない燃料電池21のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることが可能となる。
【0120】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路には、第1の電池から昇圧対象の低電圧出力が入力されるとともに、第2の電池から起動エネルギーが入力され、その一方で、昇圧回路自身にも自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが自身によってフィードバックされることで、所定の昇圧出力を得るようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができ、また、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することができる。
【0121】
なお、この実施の形態において、第1の電池である燃料電池21は、低電圧出力型であり直列接続構成などの複雑な製造工程を経ずに製造できる単セルの燃料電池としているが、同じく低電圧出力型であり、直列接続せずに構成できる単セルの太陽電池を用いてもよい。また、昇圧回路12への出力を増加させたい場合には、複雑な製造工程を経ずに実現できる並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0122】
一方、第2の電池であるリチウム蓄電池23は、充電可能な二次電池であり、起動エネルギーを与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、充電ができない乾電池のような一次電池でもよい。また、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【0123】
また、この昇圧回路内のスイッチング素子のオン/オフ制御を行うための発振回路としてCMOS型の発振回路を用いることを好適としているが、他の回路、例えば、バイポーラ型の発振回路を用いてもよい。このバイポーラ型の発振回路は、消費電力が大きいという欠点はあるものの、最低動作電圧が低いという利点も有しており、この利点を生かした回路構成とすることもできる。
【0124】
[実施の形態6]
第10図は、本発明の実施の形態6にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第9図に示す実施の形態5の構成に加え、昇圧回路12の出力の一部を次回以降の起動の際に利用されるエネルギーとしてリチウム蓄電池23に出力するための整流素子35を備えている。なお、その他の構成は、第9図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0125】
つぎに、第10図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。ただし、昇圧回路12が、単セルの燃料電池21からの低電圧出力と、リチウム蓄電池23から起動エネルギーと、自身の出力の一部をフィードバックした動作エネルギーとを用いて昇圧動作を行う点は、実施の形態5と同一であり、ここでの説明は省略する。
【0126】
この実施の形態では、昇圧回路12の昇圧出力の全部または一部を整流素子35を介してリチウム蓄電池23に出力する。このとき出力されるエネルギーは、自己の動作を再開させるためのエネルギーであり、リチウム蓄電池23に蓄電される。例えば、昇圧回路12に燃料電池21から低電圧出力が供給されない場合には、無駄な電力消費を抑制するために昇圧回路12の動作を停止させたい場合がある。この場合、昇圧回路12を再起動させるためには、新たな起動エネルギーが必要となる。このとき、昇圧回路12の出力の全部または一部をリチウム蓄電池23に蓄電しておき、昇圧回路12を再起動させる場合に、このエネルギーを昇圧回路12に出力するようにしている。
【0127】
また、整流素子35は、リチウム蓄電池23の蓄電電圧が昇圧出力に比べて高い場合に、リチウム蓄電池23から出力(昇圧回路12)側に電流が流れ込むのを防止するために備えられている。
【0128】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路には、第1の電池から昇圧対象の低電圧出力が入力され、第2の電池から起動エネルギーが入力され、その一方で、昇圧回路自身にも自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが自身によってフィードバックされることで、所定の昇圧出力を得るようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができ、また、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することができる。
【0129】
また、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路は、自己の動作を再開させるための起動エネルギーとして昇圧出力を第2の電池に出力して蓄電するようにしているので、無駄な電力消費を抑制することができる。また、過負荷によって昇圧出力が低下して、自己の昇圧動作を継続することができないような状態に陥っても、第2の電池に蓄電されたエネルギーによって、再起動が可能となるので、継続動作が容易な構成を簡易に実現することができる。
【0130】
なお、実施の形態5では、リチウム蓄電池23は、充電ができない乾電池のような一次電池でもよいとしているが、この実施の形態では、昇圧回路を再起動させるためのエネルギーを蓄電する必要がある。したがって、充電可能な二次電池のほかに、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子を用いるようにすればよい。
【0131】
[実施の形態7]
第11図は、本発明の実施の形態7にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第10図に示す実施の形態6の構成に加え、起動エネルギーおよび動作エネルギーのいずれか一つのエネルギーを昇圧回路12に出力するか否かを選択する整流素子36,37を具備する選択回路25を備えている。なお、その他の構成は、第10図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0132】
つぎに、第11図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。同図において、昇圧回路12には、燃料電池21からの低電圧出力が入力される。ここで、第5,実施の形態6では、起動エネルギーおよび動作エネルギーの両者を昇圧回路に入力させるようにしていたが、この実施の形態の昇圧回路12では、選択回路25を介して起動エネルギーと動作エネルギーのいずれかを入力させる構成としている。その理由は、つぎのとおりである。
【0133】
昇圧回路12は、上記で説明したように、起動時にはある程度の入力電圧を供給する必要があるが、一旦起動してしまえば、僅かな入力電圧で動作を継続することができる。つまり、この実施の形態の構成のように、起動エネルギーと動作エネルギーの出力のうちの優位な出力を選択回路25を介して昇圧回路12に入力するようにすれば、エネルギーの効率的な利用が実現できるからである。
【0134】
また、過負荷による昇圧出力の低下や、リチウム蓄電池23に蓄電されたエネルギーの低下の両者が同時に起こらない限り、昇圧回路12の再起動が可能となるので、稼働性の高いシステム構成を容易に実現することもできる。
【0135】
なお、整流素子35は、リチウム蓄電池23の蓄電電圧が昇圧出力に比べて高い場合に、リチウム蓄電池23から出力側に電流が流れ込むのを防止するために備えられているものである。
【0136】
また、整流素子36,37は、起動エネルギーおよび動作エネルギーの出力のうち優位な出力(出力電圧の高い出力)を昇圧回路12へ供給するための手段として選択回路25に備えられているものである。
【0137】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路には、第1の電池から昇圧対象の低電圧出力が入力され、起動エネルギーおよび動作エネルギーの双方が入力された選択回路が、起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができるとともに、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することができる。また、昇圧出力エネルギーの効率的な利用を実現するとともに、稼働性の高いシステム構成を容易に実現することができる。
【0138】
なお、第1の電池である燃料電池21は、他の実施の形態と同様に、単セルの燃料電池のほかに、単セルの太陽電池を用いることができる。また、並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0139】
さらに、第2の電池であるリチウム蓄電池23は、実施の形態6と同様に、上述の再起動のためのエネルギーを蓄電できればよく、充電可能な二次電池のほかに、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子を用いることができる。
【0140】
[実施の形態8]
第12図は、本発明の実施の形態8にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第9図に示す実施の形態5の構成において、昇圧回路12の出力を蓄電するための蓄電素子24を備える一方で、リチウム蓄電池23を備えない構成としている。なお、その他の構成は、第9図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0141】
つぎに、第12図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。同図において、昇圧回路12には、単セルの燃料電池21からの低電圧出力が入力される。ここで、第5,実施の形態6では、起動エネルギーをリチウム蓄電池23から出力させ、動作エネルギーを自身から出力させるようにしていたが、この実施の形態の昇圧回路12では、起動時に供給する起動エネルギーや、動作中に供給し続ける動作エネルギーの両者ともに蓄電素子24から出力する構成としている。
【0142】
ところで、負荷変動の大きい負荷にこの昇圧出力を直接的に供給するような場合、負荷電流が大きく変化し、昇圧出力が大きく変動してしまう。このような場合、第12図に示すように昇圧回路12内に定電圧回路を組み込むか、昇圧回路12と負荷(図示省略)との間に蓄電素子24のような定電圧装置を設けることがよく行われる。
【0143】
このような定電圧を供給する蓄電素子24を備えることで、昇圧回路12に出力していた起動エネルギーと動作エネルギーとを、蓄電素子24から出力させることで、昇圧回路12を起動させるとともに、起動後の昇圧回路12の動作を継続させることができ、実際のシステム構成に近い形の構成とすることができ、また、昇圧回路12をコンパクトにすることができる。さらに、蓄電素子24を用いることで、電源容量の比較的大きな昇圧装置を実現することができる。
【0144】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路には、第1の電池から昇圧対象の低電圧出力が入力され、自己の起動に必要な起動エネルギーと自己の動作の継続に必要な動作エネルギーとが、昇圧出力が入力された蓄電素子から出力されるようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させる定電圧出力を得ることができる。また、電源容量の比較的大きな昇圧装置を実現することができる。
【0145】
なお、第1の電池である燃料電池21は、他の実施の形態と同様に、単セルの燃料電池のほかに、単セルの太陽電池を用いることができる。また、並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0146】
また、蓄電素子24は、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子を用いることができる。
【0147】
また、この実施の形態では、昇圧回路12と蓄電素子24とを異なる構成としているが、蓄電素子24を昇圧回路12内に組み込んだ形態で構成することも可能である。
【0148】
[実施の形態9]
第13図は、本発明の実施の形態9にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第12図に示す実施の形態8の構成に加え、起動エネルギーおよび動作エネルギーのいずれか一つのエネルギーを昇圧回路12に出力するか否かを選択する整流素子45,46を具備する選択回路26と、蓄電素子24から昇圧回路12への逆流を防止する整流素子44とを備えた構成としている。なお、その他の構成は、第12図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0149】
つぎに、第13図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。同図において、昇圧回路12には、単セルの燃料電池21からの低電圧出力が入力される。ここで、実施の形態8では、起動時に供給する起動エネルギーや、動作中に供給し続ける動作エネルギーの両者ともに蓄電素子24から出力するようにしていたが、この実施の形態では、動作エネルギーだけは昇圧回路12から供給するようにしている。
【0150】
第13図に示す選択回路26において、起動エネルギーと動作エネルギーのうちの優位な出力が選択回路26を介して昇圧回路12に供給される。すなわち、起動時においては、通常、昇圧回路12は動作を停止しているので、蓄電素子24の出力電圧(起動エネルギー)の方が昇圧回路12の出力電圧(動作エネルギー)よりも高いので、この起動エネルギーが整流素子46を介して昇圧回路12に供給される。
【0151】
一方、動作時においては、蓄電素子24の出力電圧(起動エネルギー)よりも昇圧回路12の出力電圧(動作エネルギー)の方が高いので、この動作エネルギーが整流素子45を介して昇圧回路12自身に供給される。
【0152】
これらの構成において、例えば、蓄電素子24に負荷変動の大きな負荷が接続されている場合、蓄電素子24にかかる負担が増大する。このような場合であっても、この実施の形態の選択回路26のように、昇圧回路12の動作を継続させるための動作エネルギーを昇圧回路12自身から供給するように構成しているので、蓄電素子24にかかる負担を軽減することができる。
【0153】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路には、第1の電池から昇圧対象の低電圧出力が入力され、蓄電素子の出力である起動エネルギーと昇圧回路の出力である動作エネルギーとの双方が入力された選択回路が、起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができるとともに、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することができる。また、蓄電素子にかかる負担を軽減するとともに、昇圧出力エネルギーの効率的な利用を実現することができる。
【0154】
なお、第1の電池である燃料電池21は、他の実施の形態と同様に、単セルの燃料電池のほかに、単セルの太陽電池を用いることができる。また、並列接続の燃料電池または太陽電池を用いてもよい。
【0155】
また、蓄電素子24は、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子を用いることができる。
【0156】
また、この実施の形態では、昇圧回路12と蓄電素子24とを異なる構成としているが、蓄電素子24と整流素子44とを昇圧回路12内に組み込んだ形態で構成することも可能である。
【0157】
[実施の形態10]
第14図は、本発明の実施の形態10にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第9図に示す実施の形態5の構成に加え、燃料や酸素(空気)が燃料電池21に供給されたことを検出する燃料等供給検出手段29と、リチウム蓄電池23と昇圧回路12との間に接続されて燃料等供給検出手段29からの起動信号および昇圧回路12からの供給停止信号が入力されるスイッチング素子51を備えたスイッチング手段27とを備えている。なお、その他の構成は、第9図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0158】
つぎに、第14図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。同図において、燃料等供給検出手段29は、燃料電池21に燃料や酸素(空気)(以下「燃料等」と称する)が供給されたことを検出し、起動信号を出力する。昇圧回路12は、燃料電池21からの低電圧出力を昇圧した昇圧出力を生成する。スイッチング手段27は、燃料等供給検出手段29から出力される起動信号と昇圧回路12から出力される供給停止信号とに基づいて、リチウム蓄電池23から供給される起動エネルギーを昇圧回路12に出力するか否かの制御を行う。その一方で、昇圧回路12の出力を昇圧回路12自身にフィードバックさせることで、自己の昇圧動作を継続させることができる。
【0159】
燃料等供給検出手段29は、燃料等が燃料電池21に供給されている間、起動信号を出力する。この起動信号は、燃料等が供給されている間に出力され(起動信号「オン」)、スイッチング手段27のスイッチング素子51を導通させるように作用する。一方、供給停止信号は、昇圧回路12の昇圧出力自身であり、昇圧出力電圧が所定の電圧以上(供給停止信号「オン」)のときに、スイッチング手段27のスイッチング素子51を遮断するように作用し、逆に、所定の電圧以下(供給停止信号「オフ」)のときにスイッチング素子51を導通させるように作用する。
【0160】
また、これらの起動信号および供給停止信号とスイッチング手段27との関係は、つぎのとおりである。すなわち、起動信号がオンの状態であり、かつ、供給停止信号がオフの状態のときには、スイッチング素子51は導通し、リチウム蓄電池23から起動エネルギーが昇圧回路12に供給される。
【0161】
一方、起動信号がオフの状態であるか、あるいは、供給停止信号がオンの状態であるかのいずれかのときには、スイッチング素子51は遮断され、昇圧回路12への起動エネルギーの供給はない。
【0162】
このように、この実施の形態の昇圧装置では、燃料等が燃料電池に供給される 状態にあり、かつ、昇圧回路12が起動していないときに、リチウム蓄電池23から昇圧回路12に対して起動エネルギーを出力するようにしている。つまり、昇圧回路12を起動させる必要があるときのみ、起動エネルギーを出力するように制御することで、起動エネルギーの効率的な使用を可能としている。
【0163】
第15図は、第14図のスイッチング手段27を、直列接続のスイッチング素子51a,51bで構成した場合のブロック図である。同図に示すように、起動信号をスイッチング素子51aに接続し、供給停止信号をスイッチング素子51bに接続するように構成することで、第14図のスイッチング手段27の機能を簡易に実現することができる。
【0164】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、第1の電池からの低電圧出力が入力された昇圧回路に接続されたスイッチング手段が、燃料等供給検出手段から出力される起動信号および昇圧出力自身である供給停止信号に基づいて、第2の電池から供給される起動エネルギーを昇圧回路に出力させるか否かの制御を行うようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができるとともに、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することができる。また、昇圧回路を起動させる必要があるときのみ起動エネルギーを出力することができ、起動エネルギーの効率的な使用が可能となる。
【0165】
なお、この実施の形態の特徴である、燃料等供給検出手段から出力される起動信号および昇圧出力自身である供給停止信号に基づいて、起動エネルギーを昇圧回路に出力させるか否かの制御を行う構成を、第8,実施の形態9に適用することもでき、この実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0166】
また、第2の電池であるリチウム蓄電池23は、充電可能な二次電池であり、起動エネルギーを与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、充電ができない乾電池のような一次電池でもよい。また、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【0167】
[実施の形態11]
第16図は、本発明の実施の形態11にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第14図に示す実施の形態10の構成に加え、起動エネルギーおよび動作エネルギーのいずれか一つのエネルギーを昇圧回路12に出力するか否かを選択する整流素子36,37を具備する選択回路25と、昇圧回路12の出力の全部または一部をリチウム蓄電池23に出力するための整流素子35とを備えている。なお、その他の構成は、第14図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0168】
つぎに、第16図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。ただし、燃料等供給検出手段29が起動信号を出力する動作や、燃料電池21が昇圧回路12に対して低電圧出力を供給する動作については、実施の形態10と同一であり、ここでの説明は省略する。
【0169】
この実施の形態では、昇圧回路12の昇圧出力の全部または一部を整流素子35を介してリチウム蓄電池23に出力する。整流素子35は、実施の形態6と同様に、リチウム蓄電池23から昇圧回路12側への電流の逆流を防止するために備えられている。
【0170】
スイッチング手段27は、燃料等供給検出手段29から出力される起動信号に基づいて、リチウム蓄電池23から供給される起動エネルギーを昇圧回路12に出力するか否かの制御を行う。この起動信号は、燃料等が供給されている間にスイッチング手段27を導通させるための起動信号(「オン」信号)を出力する。このとき、リチウム蓄電池23からのエネルギーが選択回路25に出力される。
【0171】
選択回路25は、実施の形態7と同様に、スイッチング手段27から出力される起動エネルギーと昇圧回路12の昇圧出力である動作エネルギーのうちの優位な出力を昇圧回路12に出力する。これらの起動エネルギーまたは動作エネルギーが供給された昇圧回路12は、所定の昇圧出力を生成して出力する。
【0172】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路には、第1の電池から昇圧対象の低電圧出力が入力され、選択回路には、燃料等供給検出手段から出力される起動信号に基づいて動作するスイッチング手段を介した起動エネルギーと昇圧回路の出力である動作エネルギーとの双方が入力され、これらの起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができるとともに、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することができる。また、昇圧回路を起動させる必要があるときのみ起動エネルギーを出力することができ、起動エネルギーの効率的な使用が可能となる。
【0173】
なお、この実施の形態の特徴である、燃料等供給検出手段から出力される起動信号基づいて起動エネルギーを出力させ、この起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれかを昇圧回路に出力させるか否かの制御を行う構成を、実施の形態8,9に適用することもでき、この実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0174】
また、第2の電池であるリチウム蓄電池23は、充電可能な二次電池であり、起動エネルギーを与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、充電ができない乾電池のような一次電池でもよい。また、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【0175】
[実施の形態12]
第17図は、本発明の実施の形態12にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第17図に示す実施の形態11の構成において、スイッチング手段27に出力する起動信号を燃料電池21に供給する燃料および酸素(空気)の制御をそれぞれ行うための制御バルブ42,43に付与する発電要求信号を信号遅延回路28を介して出力するように構成している。なお、その他の構成は、第16図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0176】
つぎに、第17図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。発電要求信号が制御バルブ42,43に入力されると、これらの制御バルブ42,43が開かれ、燃料および酸素が燃料電池21に供給される。また、この発電要求信号は信号遅延回路28に入力される。信号遅延回路28は、入力された発電要求信号に対して所定時間だけ遅延させた信号を起動信号としてスイッチング手段27に出力する。
【0177】
ところで、燃料や酸素が燃料電池に行き渡るには、多少の時間が必要となる。したがって、スイッチング手段27をオンさせるタイミングを、燃料や酸素が燃料電池21に送出されるタイミングよりも所定時間だけ遅延させることで、燃料電池21による出力が昇圧回路12に出力されるタイミングと、起動エネルギーが昇圧回路12に出力されるタイミングとが、同期し、起動エネルギーの効率的な使用が可能となる。
【0178】
また、信号遅延回路28が遅延させる遅延時間は、発電要求信号が入力されてから燃料等が燃料電池21の内部に行き渡るまでの時間に設定すればよく、燃料電池のシステムに応じた任意の時間に設定することができる。なお、その後の動作は、実施の形態11と同様であり、昇圧回路12によって所定の昇圧出力を得ることができる。
【0179】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路には、第1の電池から昇圧対象の低電圧出力が入力され、選択回路には、発電要求信号の遅延出力に基づいて動作するスイッチング手段を介した起動エネルギーと昇圧回路の出力である動作エネルギーとの双方が入力され、これらの起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、低電圧出力しか得られない第1の電池のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための昇圧出力を得ることができるとともに、特殊な電池を用いることに起因する製造コストの増加を抑制し、汎用的な電池の利用によるコスト低減を可能とした昇圧装置を提供することができる。また、昇圧回路を起動させる必要があるときのみ起動エネルギーを出力することができ、起動エネルギーの効率的な使用が可能となる。
【0180】
なお、この実施の形態の特徴である、発電要求信号の遅延出力を基づいて起動エネルギーを出力させ、この起動エネルギーまたは動作エネルギーのいずれかを昇圧回路に出力させるか否かの制御を行う構成を、実施の形態8,9に適用することもでき、この実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0181】
また、第2の電池であるリチウム蓄電池23は、充電可能な二次電池であり、起動エネルギーを与えるエネルギー源としての役割を有しているが、エネルギーを供給できるものであればよく、例えば、充電ができない乾電池のような一次電池でもよい。また、通常のコンデンサや電気2重層コンデンサなどの蓄電素子であってもよい。
【0182】
[実施の形態13]
第18図は、本発明の実施の形態13にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、発電素子20から出力された低電圧出力を昇圧対象として所定の電圧(例えば、接続される負荷が動作可能な電圧)程度に昇圧する昇圧回路12と、昇圧回路12に起動エネルギーを与えるために設けられた補助昇圧回路13とを備えている。なお、発電素子20は、単に昇圧対象となる低電圧出力を昇圧回路12に供給するものであり、本昇圧装置の構成要件ではない。
【0183】
第18図において、発電素子20としては、例えば、無負荷時に0.6V〜0.7V程度の低電圧を出力する単セルの燃料電池や、最大で0.5V強の低電圧を出力する単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの組成を有する単セルの太陽電池などが用いられる。
【0184】
昇圧回路12は、例えば、回路構成の容易なスイッチングレギュレート型の回路で構成され、自身に備えられるスイッチング素子のオン/オフ制御によってコイルに発生させた逆起電力のエネルギーを自身の内部のコンデンサなどの蓄電素子に電荷として蓄えることで昇圧出力を得ることができる。
【0185】
一方、補助昇圧回路13は、例えば、スイッチドキャパシタ型の回路や、チャージポンプ型の回路で構成される。補助昇圧回路13の特徴は、0.2V〜0.3V程度の低電圧で起動することができ、蓄電素子の接続段数にもよるが、1.2V〜3Vの出力電圧を供給することにある。したがって、補助昇圧回路13が供給する起動エネルギーに基づいて昇圧回路12を起動することができる。なお、補助昇圧回路13の具体例である、スイッチドキャパシタ型の回路と、チャージポンプ型の回路の詳細については、後述する。
【0186】
つぎに、第18図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。同図において、発電素子20では、電気エネルギーが生成される。この生成された電気エネルギーに基づく出力は、一般的に低電圧である。例えば、燃料電池では、無負荷時(負荷が接続されていないとき)では0.6V〜0.7V程度であり、定格出力時では、たかだか0.3V前後である。また、太陽電池では、晴天時でも最大0.5V強であり、曇天時ではたかだか0.3V前後である。つまり、発電素子20からの出力では、ノートパソコンや携帯電話などの携帯機器を直接動作させることはできない。
【0187】
発電素子20からの低電圧出力は昇圧回路12に入力される。昇圧回路12では、図示を省略したコンデンサなどの蓄電素子に昇圧された電気エネルギーが蓄積される。一方、昇圧回路12を動作させるためには、所定の起動エネルギーが必要とされる。補助昇圧回路13は、昇圧回路12に起動電圧を供給する。昇圧回路12は、起動時には1V程度の起動電圧を必要とするが、起動電流は少なくてもよいという特徴を有している。したがって、この実施の形態の昇圧装置では、起動時には補助昇圧回路13からの起動電圧にて昇圧回路12を起動し、起動後は、昇圧回路12の動作を継続させるための動作エネルギーとして自身の出力をフィードバックさせつつ、昇圧出力を得るようにしている。このような構成にすれば、昇圧回路を起動するための電力供給手段が不要になるという利点を有する。
【0188】
昇圧回路の具体的な例を挙げると、例えば、一般的なスイッチングレギュレート型の昇圧回路であれば、起動時では、0.9V〜1.2V程度の入力電圧を必要とするが、起動後は、0.1V程度の小さな入力電圧であっても昇圧回路12自身の動作を継続させることができる。
【0189】
なお、昇圧回路12の出力、すなわち昇圧出力は、接続される携帯機器などの動作電圧に応じて任意の所定電圧に設定することができる。したがって、低電圧出力しか得られない発電素子20のエネルギーを利用して携帯機器などを動作させるための所定の昇圧出力を得ることが可能となる。
【0190】
つぎに、補助昇圧回路13の具体例として、スイッチドキャパシタ型の回路や、チャージポンプ型の回路の動作原理などについて説明する。
【0191】
第19図は、スイッチドキャパシタ型の動作原理を説明するための原理図である。同図において、Vddは直流電圧であり、第18図に示す発電素子20が出力する低電圧出力に相当する。また、SW11〜SW15や、SW21〜SW28は、MOSFETなどのスイッチング素子であり、図示しない制御回路などによってオンの状態、あるいはオフの状態のいずれかに制御される。コンデンサC11〜C15は電荷を蓄積するための蓄電素子であり、特に、コンデンサC15は昇圧回路12を起動するための起動エネルギー(補助昇圧回路出力)を蓄積する蓄電素子である。
【0192】
つぎに、第19図を用いて、このスイッチドキャパシタ型回路の動作について説明する。まず、同図の上段に示す状態では、SW21〜SW28のすべてがオン(閉)の状態にあり、SW11〜SW15のすべてがオフ(開)の状態にある。このとき、直流電圧Vddから見るとコンデンサC11〜C15が並列に接続された状態にあり、コンデンサC11〜C15は、略Vddの電圧まで充電(電荷が蓄積)される。
【0193】
この状態から、同図の下段に示すように、SW21〜SW28のすべてをオフの状態にし、SW11〜SW15のすべてをオンの状態に設定すれば、直流電圧Vddから見てコンデンサC11〜C14が直列に接続された状態となる。このとき、コンデンサC14の上端の電位は5Vddとなっているので、コンデンサC15の両端に5Vddの電圧(補助昇圧回路出力)を発生させることができる。なお、接続段数を増やせば、出力電圧をさらに増加させることもできる。一方、これらの一往復のスイッチング動作では、昇圧回路12を動作させるための電流容量を確保することができないので、これらのスイッチング動作を繰り返し行うことで、所定の電流容量を確保することができる。
【0194】
また、第20図は、チャージポンプ型の回路構成および動作原理を説明するための図である。同図において、Vddは直流電圧であり、第18図に示す発電素子20が出力する低電圧出力に相当する。また、SW31〜SW35や、SW41〜SW48は、MOSFETなどのスイッチング素子であり、図示しない制御回路などによってオンの状態、あるいはオフの状態のいずれかに制御される。コンデンサC11〜C15は電荷を蓄積するための蓄電素子であり、特に、コンデンサC15は昇圧回路12を起動するための起動エネルギー(補助昇圧回路出力)を蓄積する蓄電素子である。このように、チャージポンプ型の回路も、スイッチドキャパシタ型の回路と同様に、コンデンサとスイッチング素子だけで構成することができる。
【0195】
つぎに、第20図を用いて、このチャージポンプ型の回路の動作について説明する。まず、同図の上段に示す状態では、SW31,SW33,SW35がオンの状態にあり、SW32,SW34がオフの状態にある。また、SW41,SW44,SW45,SW48がオンの状態にあり、SW42,SW43,SW46,SW47がオフの状態にある。このとき、コンデンサC31は略Vddの電圧まで充電(電荷が蓄積)され、コンデンサC31の上端の電位Vは略Vddとなる。また、これ以後の動作で明らかになるが、コンデンサC32,C33,C34は、それぞれが、略2Vdd,3Vdd,4Vddの電圧まで充電されているので、コンデンサC32,C33,C34の各上端の電位V,V,V,Vは、図示のように、それぞれ、略3Vdd,3Vdd,5Vdd,5Vddとなる。
【0196】
この状態から、上記のスイッチング素子のすべての状態を反転すれば、同図の中段に示すような状態になる。このとき、コンデンサC31の上端の電位Vは、SW42がオンの状態にあるとともに、SW32,SW43もオンの状態なので、コンデンサC32は略2Vddの電圧まで充電され、コンデンサC32の上端の電位Vは略2Vddとなる。すなわち、第20図に示す上段の状態から中段の状態への遷移によって、1段目(コンデンサC31)から2段目(コンデンサC32)へと電荷が転送されたことになる。この関係は、3段目(コンデンサC33)と4段目(コンデンサC34)との間でも同様である。
【0197】
この状態から、上記のスイッチング素子のすべての状態を反転(つまり、上段の状態と同じスイッチ状態)すると、同図の下段に示すような状態になる。この状態では、発電素子(Vdd)から1段目、2段目(コンデンサC32)と3段目(コンデンサC33)との間、および4段目(コンデンサC34)と5段目(コンデンサC35)との間で電荷が転送される。第20図に示すチャージポンプ型の回路は、このようなバケツリレー式の電荷転送を交互に繰り返すことで、スイッチドキャパシタ型の回路と同様に、所定の電圧、および所定の電流容量を確保するようにしている。
【0198】
ところで、補助昇圧回路13として用いられるスイッチドキャパシタ型の回路や、チャージポンプ型の回路は、昇圧回路12として用いられるスイッチングレギュレート型の回路などに比べて、昇圧能力や、昇圧効率も低い。スイッチングレギュレート型の回路を高効率大電力型の昇圧回路とすれば、スイッチドキャパシタ型の回路や、チャージポンプ型の回路は、低効率小電力型の昇圧回路である。
【0199】
しかしながら、スイッチドキャパシタ型の回路や、チャージポンプ型の回路は、コンデンサと、MOSFETなどのスイッチング素子だけで構成することができる。また、MOSFETなどのスイッチング素子は、0.2V〜0.3V程度の僅かな電圧でスイッチング動作させることができる。一方、スイッチングレギュレート型の回路は、起動時には0.9V以上の起動電圧が必要であるが、起動電流はあまり必要ではない。したがって、スイッチングレギュレート型の回路の起動にスイッチドキャパシタ型の回路や、チャージポンプ型の回路を用いるようにすれば、両者の特徴を効果的に活用することができる。
【0200】
すなわち、低効率小電力型の昇圧回路は、発電電圧をあまり大きくできない発電素子と、起動電流は小さくてよいものの所定の起動電圧を必要とする高効率大電力型の昇圧回路との間に介在して、両者の欠点を相補う役目を果たすように動作させることができる。
【0201】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路12には、自己の起動に必要な起動エネルギーである補助昇圧回路出力が入力され、あるいは自己の動作の継続に必要な動作エネルギーが自身からフィードバックされ、昇圧対象として供給された低電圧出力に基づいて昇圧出力を生成するようにしているので、発電素子以外の電力供給手段からの起動エネルギーに依存することなく昇圧回路を起動することができる。
【0202】
[実施の形態14]
第21図は、本発明の実施の形態14にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、発電素子の発電エネルギーを効率的に利用するための構成である。同図の構成では、前述の実施の形態13における第18図の構成に補助昇圧回路13の起動を停止するか否かを判断するための制御信号を昇圧回路12から補助昇圧回路13に対して出力するようにしている。
【0203】
つぎに、第21図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。ただし、昇圧回路12が、補助昇圧回路13からの起動エネルギー、または自身の出力の一部をフィードバックした動作エネルギーのいずれかを用いて昇圧動作を行う点は、第1の実施の形態と同一であり、ここでの説明は省略する。
【0204】
この実施の形態の昇圧装置は、昇圧回路12の起動後に補助昇圧回路13から昇圧回路12に出力されている動作エネルギーの供給を停止するため、昇圧回路12から補助昇圧回路13に対して制御信号を出力するようにしている。この制御信号としては、昇圧回路12から出力される昇圧出力自身を用いることができる。このとき、動作エネルギーの供給を停止するか否かの判定は、昇圧出力のレベルに基づいて行えばよい。例えば、昇圧出力のレベルが所定値を超えていれば、動作エネルギーの供給を停止し、一方、昇圧出力のレベルが所定値未満であれば、動作エネルギーの供給を継続するように制御すればよい。また、補助昇圧回路13の内部の動作/非動作の制御は、当該制御信号を受けて、スイッチドキャパシタ回路をスイッチングする発振回路を停止するようにすればよい。
【0205】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路は、昇圧出力に基づいて補助昇圧回路の起動を制御するようにしているので、昇圧回路の起動後は発電素子の発電エネルギーのすべてを発電に振り向けることができるので、発電エネルギーの効率的な利用を促進することができる。
【0206】
[実施の形態15]
第22図は、本発明の実施の形態15にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置では、昇圧回路12の出力段に直列に接続される出力制御回路16aを付加した昇圧装置の構成を示すものである。なお、その他の構成については、実施の形態14の構成と同一、あるいは同等であり、これらの部分については、第21図に示す各回路と、同一の符号を付して示している。
【0207】
つぎに、第22図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。ただし、昇圧回路12が、補助昇圧回路13からの起動エネルギー、または自身の出力の一部をフィードバックした動作エネルギーのいずれかを用いて昇圧動作を行う点は、実施の形態1,2と同一であり、ここでの説明は省略する。
【0208】
第22図において、昇圧回路12で昇圧された昇圧出力は、出力制御回路16aによって、例えば、定電圧出力として出力され、図示しない負荷に安定した定電圧出力が供給される。また、実施の形態14と同様に、所定の昇圧出力が出力されているときは、昇圧回路12からの制御信号(起動停止制御信号)に基づいて補助昇圧回路13からの起動エネルギーの出力が停止する。
【0209】
なお、発電素子20が太陽電池などのエネルギー源であれば、出力制御回路16aの出力を定電流出力とし、このエネルギーを蓄積するための二次電池を出力制御回路16aに直接接続してもよい。また、出力制御回路16aと二次電池との間に整流素子を介して接続してもよい。このような構成にすれば、二次電池から出力制御回路16aへの電流の逆流を防止することができるので、二次電池の不要な放電を防ぐことができる。
【0210】
第23図は、出力制御回路16aの一例として定電圧素子(ツェナーダイオード)を用いた場合の構成を示す図であり、第24図は、出力制御回路16の一例として定電圧素子61(ツェナーダイオード)および定電流素子62を用いた場合の構成を示す図である。これらの図に示すように、定電圧出力、あるいは定電流出力を簡易に構成することができるので、出力制御機能を有する昇圧装置をローコストで、かつコンパクトに実現することができる。また、出力制御回路16の他の構成として、3端子シリーズレギュレータなども用いることができる。この場合には、出力電圧の安定度を高めることができる。
【0211】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、定電圧や定電流のための出力制御を行うようにしているので、実施の形態1,2の効果に加え、負荷に対して安定した出力を供給することができる。
【0212】
[実施の形態16]
第25図は、本発明の実施の形態16にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置では、昇圧回路12と並列に接続された出力制御回路16bを付加した昇圧装置の構成を示すものである。なお、その他の構成については、実施の形態14の構成と同一、あるいは同等であり、これらの部分については、第21図に示す各回路と、同一の符号を付して示している。
【0213】
つぎに、第25図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。ただし、昇圧回路12が、補助昇圧回路13からの起動エネルギー、または自身の出力の一部をフィードバックした動作エネルギーのいずれかを用いて昇圧動作を行う点や、所定の昇圧出力が出力されているときに、昇圧回路12からの制御信号に基づいて補助昇圧回路13からの起動エネルギーの出力が停止する点については実施の形態15と同一であり、ここでの説明は省略する。
【0214】
第25図において、昇圧回路12で昇圧された昇圧出力は、出力制御回路16bによってフィードバック制御され、定電圧可変出力として出力される。すなわち、この実施の形態の昇圧装置は、出力制御回路16bの制御にて昇圧回路12の出力を所定の定電圧に維持するとともに、その出力電圧を負荷容量に応じて可変する機能を有している。この定電圧可変出力機能は、例えば、昇圧回路12をスイッチング型の回路で構成し、出力制御回路16bから昇圧回路12に対してPWM制御や、PFM制御などの制御を行うことで実現することができる。
【0215】
第26図は、出力制御回路16bの構成例の一例を示す図である。同図に示す出力制御回路16bは、時比率変調回路64、発振回路65および比較回路66を備えており、つぎのように動作する。出力制御回路16bにおいて、比較回路66では、昇圧回路12の出力と所定の基準電圧値67とが比較され、当該出力間の差分出力電圧が時比率変調回路64に出力される。時比率変調回路64では、例えば、発振回路65から出力される三角波に対して比較回路66から出力される差分出力電圧に基づいてPWM制御信号などが生成され、昇圧回路12に出力される。なお、この実施の形態の回路構成では、上述したように、昇圧回路12の昇圧出力が出力制御回路16bによってフィードバック制御されるように構成されているので、出力電圧が安定化される。また、基準電圧値67に基づいて出力電圧を可変する構成としているので、定電圧の可変出力を得ることができる。
【0216】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路12の昇圧出力を出力制御回路16bにてフィードバック制御するとともに、基準電圧に基づいて出力電圧を可変するようにしているので、実施の形態1〜3の効果に加え、負荷容量に応じ、可変の、かつ安定した出力を供給することができる。
【0217】
[実施の形態17]
第27図は、本発明の実施の形態17にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第22図に示す実施の形態15の昇圧回路において、出力制御回路16から昇圧回路12に制御信号を送信し、昇圧能力を可変とすることで、制御目標を達成する構成を示すものである。なお、その他の構成については、実施の形態15の構成と同一、あるいは同等であり、これらの部分については、第22図に示す各回路と、同一の符号を付して示している。
【0218】
つぎに、第27図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。同図において、昇圧回路12は、前述のように起動時に補助昇圧回路13から起動エネルギーを受けて起動する。この時点では、昇圧出力が発生していないか、出力制御回路16の最低動作電圧に達していない。したがって、この時点では、出力制御回路16からの制御信号は存在しないか、あるいは、不定な制御信号が存在する。このため、起動し始めた昇圧回路12が不本意な制御信号状態により停止して、正常な動作が行われないおそれがある。この問題を解決するには、以下の特徴を有する回路構成にする必要がある。
【0219】
(1) 起動時に出力制御回路16aから昇圧回路12に対して不定な制御出力を与えないこと。
(2) 起動時に出力制御回路16aの制御信号出力端子はハイインピーダンスであること。
【0220】
出力制御回路16aが不定な制御信号を出力しないようにするためには、制御信号出力段にバイポーラトランジスタなどの電流駆動素子を用いることが有効である。当該素子を用いれば、当該素子をオンするのに所定の電流が必要であり、昇圧回路12の起動時、あるいは起動直後では、当該素子が誤って駆動されるのを防止することができる。また、出力端子をハイインピーダンスにすることで、昇圧回路12から出力制御回路16aの制御出力端子に電流が流れ、昇圧回路の起動特性が劣化するのを防止することができる。したがって、出力制御回路16aの制御信号出力段には、オープンコレクタやゲート・ソース間に抵抗を並列接続して電流駆動型にしたオープンドレイン構成をとるのが有効である。
【0221】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、昇圧回路は、出力制御回路の制御出力に基づいて昇圧能力を制御するようにしているので、起動直後などの不安定な状態において、起動し始めた昇圧回路に対して出力制御回路から不本意な制御が行われるのを防止することができる。
【0222】
[実施の形態18]
第28図は、本発明の実施の形態18にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第18図に示す実施の形態13において、昇圧回路12の出力の一部を次回以降の起動の際に利用されるエネルギーとして蓄積するための蓄電素子58と、蓄電素子58の出力が負荷側に流れないようにする逆流防止用の整流素子68とを備え、起動エネルギーの出力元を補助昇圧回路13または蓄電素子58のいずれかを選択するための整流素子72,73を具備する選択回路70を備えている。なお、その他の構成は、第18図に示す構成と同一あるいは同等であり、それらの部分には、同一符号を付して示している。
【0223】
つぎに、第28図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。ただし、昇圧回路12が、起動後に自身の出力の一部をフィードバックした動作エネルギーを用いて昇圧動作を行う点は、上述の他の実施の形態と同一であり、ここでの説明は省略する。
【0224】
第28図において、昇圧回路12は、補助昇圧回路13からの起動エネルギー、または蓄電素子58からの起動エネルギーのいずれかを受けて起動する。整流素子72,73を具備する選択回路70では、補助昇圧回路13の出力電圧、または蓄電素子58の出力電圧のいずれか高い方の出力が選択されて、昇圧回路12に出力される。昇圧回路12は、起動後、所定の昇圧出力を図示しない負荷などに供給する。また、蓄電素子58には、昇圧出力の一部が整流素子24を介して昇圧回路12を再起動させるためのエネルギーとして蓄電される。
【0225】
上述の他の実施の形態の昇圧装置では、昇圧回路12に発電素子20から所定の出力(発電エネルギー)が供給されない場合には、昇圧回路12の動作が不安定になり、昇圧回路12を停止させる必要がある。一方、昇圧回路12の停止後、昇圧回路12を再起動させるためには、新たな起動エネルギーが必要となる。このとき、昇圧回路12の出力の全部または一部を自己を再起動させるためのエネルギーとして蓄電素子58に蓄電しておけば、昇圧回路12を再起動させる場合に、補助昇圧回路13からの起動エネルギーではなく、蓄電素子58からの起動エネルギーを用いることができる。蓄電素子58からの起動エネルギーを用いて昇圧回路12を再起動することができれば、補助昇圧回路13を用いる場合に比べて、昇圧回路12の起動時間を短縮させることができるのとともに、昇圧回路12を確実に起動することができる。なお、昇圧回路12から所定の昇圧出力が出力されているときは、実施の形態14と同様に、昇圧回路12の制御信号に基づいて補助昇圧回路13および蓄電素子58からの起動エネルギーの出力を停止すればよい。
【0226】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、蓄電素子(電力蓄積手段)には、自己の動作を再開させるための起動エネルギーとして昇圧出力の全部または一部が蓄積され、補助昇圧回路から出力される起動エネルギーである第1の起動エネルギーまたは蓄電素子から出力される起動エネルギーである第2の起動エネルギーのいずれか一方を昇圧回路に出力するようにしているので、昇圧回路の起動を確実に行うことができる。
【0227】
なお、この実施の形態では、再起動のための起動エネルギーを蓄電するための素子として蓄電素子を用いているが、二次電池などを用いてもよい。二次電池を用いれば、昇圧回路の起動をさらに確実に行うことができる。
【0228】
[実施の形態19]
第29図は、本発明の実施の形態19にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置では、昇圧回路12に出力する補助昇圧回路出力の出力値(電圧)に基づいて昇圧回路12に出力するタイミングを制御する電圧判定部82aおよびスイッチング部83aを付加した昇圧装置の構成を示すものである。なお、その他の構成については、実施の形態13の構成と同一あるいは同等であり、これらの部分については同一の符号を付して示している。
【0229】
つぎに、第29図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。ただし、昇圧回路12が、補助昇圧回路13の補助昇圧回路出力である起動エネルギー、または自身の出力の一部がフィードバックした動作エネルギーのいずれかを用いて昇圧動作を行う点は、他の実施の形態と同一であり、ここでの説明は省略する。
【0230】
第29図において、補助昇圧回路13からの出力(補助昇圧回路出力)は、電圧判定部82aのコンデンサ86に蓄積され、当該蓄積された電圧が比較回路84にてツェナーダイオードなどの定電圧素子85が発生する基準電圧値(V)と比較される。このとき、コンデンサ86の蓄積電圧が基準電圧値(V)を超えているときは、スイッチング部83aに具備されるMOSFET87などのスイッチング素子が導通して補助昇圧回路出力(起動エネルギー)が昇圧回路12に対して出力される。一方、コンデンサ86の蓄積電圧が基準電圧値(V)を超えていないときは、スイッチング部83aのスイッチング素子が導通せず、昇圧回路12に対する補助昇圧回路出力の供給が保留される。なお、コンデンサ86と定電圧素子85とによって決定される基準電圧値(V)は、例えば、第19図に示したスイッチドキャパシタ型の回路や、第20図に示したチャージポンプ型の回路の最終段のコンデンサに蓄積されたエネルギーが昇圧回路12を起動させることができる所定のエネルギー量に達したときに、MOSFET87などのスイッチング素子がターンオンするような最適値に調整すればよい。
【0231】
発電素子20の発電量が少ない場合、補助昇圧回路13から出力される出力電流が昇圧回路12の起動に必要な電流値を下回ることがある。実施の形態1〜5までの昇圧装置による回路構成では、昇圧回路12を起動するための電流(起動電流)が不足する場合には、起動をかけた直後の補助昇圧回路13の出力電圧が瞬時に低下して、昇圧回路12を起動できない場合が生じる可能性がある。
【0232】
しかしながら、この実施の形態の昇圧装置では、コンデンサ86(キャパシタンスC)に蓄積されるエネルギー量E=(C)/2が昇圧回路12を起動可能にするエネルギー量に達したときに、補助昇圧回路13の出力が昇圧回路12に供給されるように基準電圧値(V)を設定するようにしている。したがって、発電素子20の発電量が微弱な場合であっても、コンデンサへの蓄積時間は長くなるものの、時間の経過とともに充分な起動エネルギーが蓄積され、昇圧回路12の起動を確実に行うことができる。
【0233】
発電素子20が太陽電池であれば、より低照度から昇圧出力を得ることができ、特に、屋外設置した太陽電池では、日の出から徐々に照度が増してくるので、昇圧装置が自動的に起動し、長時間にわたって昇圧出力を得ることができる。
【0234】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、電圧判定部には、補助昇圧回路出力を所定の基準電圧と比較するコンパレータが備えられ、コンパレータの比較結果に基づいてスイッチング部に具備されるスイッチング素子が制御されるように構成されているので、発電素子の発電状態に依存することなく昇圧装置の起動を確実に行うことができる。
【0235】
また、この実施の形態の昇圧装置では、第18図に示す実施の形態13の昇圧装置において、補助昇圧回路と昇圧回路との間に電圧判定部82aと、スイッチング部83aとを備える構成としているが、これと同等の構成を実施の形態14〜5の昇圧装置に対しても適用することができ、この実施の形態の昇圧装置と同様な効果が得られる。
【0236】
[実施の形態20]
第30図は、本発明の実施の形態20にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。同図に示す昇圧装置は、第29図に示す電圧判定部82aおよびスイッチング部83aのそれぞれに替えて同等の機能を有する電圧判定部82bおよびスイッチング部83bを備えるように構成している。なお、その他の構成については、実施の形態19の構成と同一あるいは同等であり、これらの部分については同一の符号を付して示している。
【0237】
つぎに、第30図を用いて、この昇圧装置の動作について説明する。なお、基本的な動作は、実施の形態19と同一であり、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0238】
第30図において、電圧判定部82bは、抵抗や、コンデンサ50や、ダーリントン接続されたトランジスタ91,92などを備えており、補助昇圧回路13内の最終段のコンデンサ90に蓄積された蓄積電圧が、ダーリントン接続のトランジスタ91,92のVBE(≒1.2V)を超えると、スイッチング部83bのスイッチング素子93が導通して昇圧回路12に起動エネルギーが供給される。なお、電圧判定部82bでは、ダーリントン接続されたトランジスタ91,92を用いているが、この接続に限定されるものではなく、抵抗と整流素子などを組み合わせ、整流素子に発生する電圧降下を利用するような構成としてもよい。
【0239】
なお、この実施の形態の昇圧装置においても、電圧判定部82bおよびスイッチング部83bの抵抗値を所定の値に設定することで、実施の形態19の昇圧装置と同様にコンデンサ90(容量をCとする)に蓄積されるエネルギー量E=(C)/2が昇圧回路12を起動可能にするエネルギー量に達したときに、補助昇圧回路13の出力が昇圧回路12に供給されるように動作させることができ、発電素子20の発電量が微弱な場合であっても、昇圧回路12の起動を確実に行うことができる。なお、この実施の形態の昇圧装置も、実施の形態19の昇圧装置と同等の効果が得られるが、実施の形態19の電圧判定部82aのようにコンパレータを必要としないので、消費電力が削減でき、蓄電素子へのエネルギー蓄積効率が改善されるとともに、コストが下げられるという利点が生じる。
【0240】
以上説明したように、この実施の形態の昇圧装置によれば、電圧判定部には、補助昇圧回路出力が所定の電圧に達したときに導通するダーリントン接続されたトランジスタが備えられ、補助昇圧回路出力と、ダーリントン接続されたトランジスタのベースーエミッタ間に発生する降下電圧とに基づいて、スイッチング部に具備されるスイッチング素子が制御されるように構成されているので、発電素子の発電状態に依存することなく昇圧装置の起動を確実に行うことができる。
【0241】
また、この実施の形態の昇圧装置では、第18図に示す実施の形態13の昇圧装置において、補助昇圧回路と昇圧回路との間に電圧判定部82bと、スイッチング部83bとを備える構成としているが、これと同等の構成を実施の形態14〜17の昇圧装置に対しても適用することができ、この実施の形態の昇圧装置と同様な効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0242】
以上のように、本発明にかかる昇圧装置は、携帯機器用電源に用いられる昇圧装置として有用であり、特に、エネルギー源として燃料電池出力や、太陽電池出力を利用する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施例1にかかるブーストコンバータ構成の太陽電池出力の昇圧回路の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施例2にかかるブーストコンバータ構成の太陽電池出力の昇圧回路の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態4にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例3にかかる太陽電池出力の昇圧回路の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例4にかかる出力制御機能を有するブーストコンバータ構成の直列接続されていない太陽電池出力の昇圧回路の溝成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態5にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態6にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態7にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態8にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態9にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態10にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図14のスイッチング手段27を、直列接続のスイッチング素子51a,51bで構成した場合のブロック図
【図16】本発明の実施の形態11にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態12にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態13にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図19】スイッチドキャパシタ型の動作原理を説明するための原理図である。
【図20】チャージポンプ型の回路構成および動作原理を説明するための図である。
【図21】本発明の実施の形態14にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の実施の形態15にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図23】出力制御回路16aの構成例の一例を示す図である。
【図24】出力制御回路16aの構成例の他の例を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態16にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図26】出力制御回路16bの構成例の一例を示す図である。
【図27】本発明の実施の形態17にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図28】本発明の実施の形態18にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図29】本発明の実施の形態19にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の実施の形態20にかかる昇圧装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0244】
11 太陽電池
12 昇圧回路
13 負荷(二次電池)
14 太陽電池
15 選択回路
16 出力制御回路
19 負荷(二次電池)
20 発電素子
21 燃料電池
23 リチウム蓄電池
24 蓄電素子
26 選択回路
27 スイッチング手段
28 信号遅延回路
29 燃料等供給検出手段
32 整流素子
33 整流素子
34 整流素子
35 整流素子
36 整流素子
37 整流素子
44 整流素子
45 整流素子
46 整流素子
51 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルが直列接続されていない太陽電池もしくはセルが直列接続されていない燃料電池から構成される第1の発電手段からの入力電圧よりも大きい起動電圧を有し、前記第1の発電手段からの入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、
前記昇圧対象の入力電圧よりも高い電圧によって前記昇圧回路の起動に必要な起動エネルギーおよび前記昇圧回路の動作の継続に必要な動作エネルギーを前記昇圧回路に供給する第2の発電手段と、
を備えたことを特徴とする昇圧装置。
【請求項2】
セルが直列接続されていない太陽電池もしくはセルが直列接続されていない燃料電池から構成される第1の発電手段からの入力電圧よりも大きい起動電圧を有し、前記第1の発電手段からの入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、
前記昇圧回路の起動に必要な起動エネルギーを供給する第2の発電手段と、
前記起動エネルギーまたは前記昇圧回路の動作継続に必要な動作エネルギーのいずれか一方を前記昇圧回路に出力する選択回路と、
を備え、
前記昇圧回路は、前記第2の発電手段からの前記起動エネルギーによって起動し、昇圧動作が開始された後は、前記昇圧出力の全部または一部を前記昇圧回路の動作継続に必要な動作エネルギーとして前記選択回路に出力することを特徴とする昇圧装置。
【請求項3】
前記選択回路は、
前記電力供給手段と前記昇圧回路との間に順接続された整流素子と、
前記昇圧出力の全部または一部が該昇圧回路自身にフィードバックされる方向に順接続された整流素子と、
を有することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の昇圧装置。
【請求項4】
前記昇圧回路の後段に設けられ、該昇圧回路により得られた昇圧出力に対して出力制御を行う出力制御回路をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第2項に記載の昇圧装置。
【請求項5】
前記昇圧回路は、
前記出力制御回路の制御出力に基づいて昇圧能力を制御する手段を有することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の昇圧装置。
【請求項6】
昇圧対象の発電素子からの入力電圧を昇圧した昇圧出力を生成する昇圧回路と、
前記発電素子からの前記昇圧回路の起動に要する電圧よりも低い入力電圧によって起動され、前記昇圧回路の起動に要する電圧を供給する補助昇圧回路と、
前記昇圧出力が所定のレベル以上か否かを判定し、該判定結果に基づいて前記補助昇圧回路の動作/非動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記昇圧回路は、前記昇圧回路の昇圧出力の一部を前記昇圧回路の動作継続に必要な動作エネルギーとして自己にフィードバックすることを特徴とする昇圧装置。
【請求項7】
前記昇圧回路の周辺に設けられ、該昇圧回路により得られた昇圧出力に対して出力制御を行う出力制御回路をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項8】
前記出力制御回路は、定電圧素子を備えたことを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項9】
前記出力制御回路は、定電圧素子および定電流素子を備えたことを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項10】
前記出力制御回路は、前記昇圧回路の昇圧能力を制御することを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項11】
前記出力制御回路は、前記昇圧回路に対して時比率変調制御を行うことを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項12】
前記昇圧出力の全部または一部を蓄電する電力蓄積手段をさらに備え、
前記昇圧回路は、前記昇圧出力の一部を前記動作エネルギーとして自己にフィードバックするとともに、該昇圧出力に基づいて前記補助昇圧回路および前記電力蓄積手段の起動をそれぞれ制御し、
前記選択回路は、前記補助昇圧回路から出力される起動エネルギーまたは前記電力蓄積手段から出力される起動エネルギーのいずれか一方を前記昇圧回路に出力することを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項13】
前記選択回路は、
前記補助昇圧回路と前記昇圧回路との間に順接続された整流素子と、
前記電力蓄積手段と前記昇圧回路との間に順接続された整流素子と、
を有することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の昇圧装置。
【請求項14】
前記昇圧回路と前記電力蓄積手段との間に整流素子が順接続されることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の昇圧装置。
【請求項15】
前記補助昇圧回路と前記昇圧回路との間に、
前記補助昇圧回路の出力である補助昇圧回路出力の出力電圧を判定する電圧判定部と、
前記電圧判定部の判定結果に基づいて前記昇圧回路に前記補助昇圧回路出力の供給/停止を切り換えるスイッチング部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項16】
前記電圧判定部は、前記補助昇圧回路出力を所定の基準電圧と比較するコンパレータを備え、
前記コンパレータの比較結果に基づいて前記スイッチング部に具備されるスイッチング素子が制御されることを特徴とする請求の範囲第15項に記載の昇圧装置。
【請求項17】
前記電圧判定部は、前記補助昇圧回路出力が所定の電圧に達したときに導通するダーリントン接続されたトランジスタを備え、
前記補助昇圧回路出力と、該ダーリントン接続されたトランジスタのベースーエミッタ間に発生する降下電圧とに基づいて、前記スイッチング部に具備されるスイッチング素子が制御されることを特徴とする請求の範囲第15項に記載の昇圧装置。
【請求項18】
前記補助昇圧回路が、スイッチドキャパシタ型の回路で構成されていることを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。
【請求項19】
前記補助昇圧回路が、チャージポンプ型の回路で構成されていることを特徴とする請求の範囲第項に記載の昇圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−38967(P2009−38967A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230214(P2008−230214)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【分割の表示】特願2005−511444(P2005−511444)の分割
【原出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】