説明

映像音声記録再生装置

【課題】チューナの種類やコンテンツ種別等により様々な長さのCMが放送されるテレビジョン放送から、高精度にCM放送を検出する。
【解決手段】チューナの種類によって検出しようとするCM放送の長さの種類を変えることで、本編をCMであると判断する誤検出を少なくし、且つ常に最適な条件でCM放送検出処理を行うことが可能になる。さらに、コンテンツ種別等によって検出しようとするCM放送の長さの種類を変えることでも同様の効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビジョン放送等の映像音声信号を記録再生する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送は、その内容から大きく「番組本編放送」と「コマーシャルメッセージ放送」に分類することができる。番組本編放送とは映画番組であれば映画の内容自体の映像音声データである。一方、コマーシャルメッセージ放送は広告主や広告代理店などの依頼主が放送局と契約を結んで依頼主から提供を受けた映像音声データを番組本編放送の合間に放送するものである。また放送局が自らの広告宣伝を放送する場合もある。コマーシャルメッセージ(Commercial Message)は一般にCMと略称されて用いられており、本稿においても以降はCMと略す。番組本編放送とCM放送とは内容の関連が希薄である場合が多く、番組本編放送の視聴に集中したい視聴者にとっては、テレビジョン放送を録画する際、あるいは視聴する際には番組本編放送のみを録画したい、またはCM放送をスキップし番組本編放送のみを連続して視聴したい、とする要望がある。一方、近年のCM放送は、最新の映像技術を駆使した技術的に高度なものや、高い芸術性や独創性を有する内容のものが多く、CMのみを見たいという要望もある。これらの要望を満たすためには、番組本編放送とCM放送とを高い精度で自動識別する技術が必要となる。
【0003】
CM放送区間を特定する方法として、番組本編放送とCM放送との境界に生じる無音声箇所を検出して無音声箇所の出現間隔からCM放送区間を特定しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−47031号公報(第5−8頁、第1図)
【0005】
しかしながらこの方法では、CM以外の箇所、すなわち本編中においてCM放送特有の時間と同じ時間間隔で無音声箇所が検出されることがあり、誤検出が多数生じることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、様々な長さのCM放送が含まれていても、本編の誤検出を最小限に抑え、高精度にCM放送区間を検出することである。
【0007】
日本におけるCM放送は、伝統的に1つのCMが15秒や30秒、60秒といった長さであることがほとんどである。しかし、90秒や120秒、180秒といった長尺のCMが放送されるケースも少なからず存在する。
【0008】
このような長尺のCMも含めた全てのCM放送区間を検出しようとした場合、無音声箇所などCM放送の境界で出現する変化点の発生間隔として、従来の15秒や30秒、60秒といった間隔に加えて、90秒や120秒、180秒といったよりたくさんの時間間隔候補を用意したCM放送検出条件を設定し、CM放送区間の識別を行う必要がある。
【0009】
しかし、CM区間の判定を行う変化点の時間間隔候補を増やすことで、本編中にCM区間と同じ時間間隔で変化点が検出されるケースも増えることとなり、番組本編の誤検出も増加してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、テレビジョン放送の映像信号および音声信号を記録媒体に記録する映像音声記録装置であって、
テレビジョン放送を受信する複数の種類のチューナ手段と、
前記テレビジョン放送の映像音声信号から変化点を検出する変化点検出手段と、
前記変化点検出手段によって検出された変化点が所定の時間間隔の候補に所定の誤差を加えた範囲内で発生しているかを判断し、当該変化点ではさまれる区間をCM放送区間と識別するCM放送区間検出手段と、
前記所定の時間間隔の候補を前記チューナ手段の種類により増減させる時間間隔候補選別手段と、
前記CM放送区間検出手段によって識別されたCM放送区間を表す時間情報を記録媒体に記録する情報記録手段と
を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、テレビジョン放送を受信するチューナの種類によって検出しようとするCM放送区間候補の長さの種類を変えることで、チューナ毎のCM放送構成の特徴にあったCM放送検出処理を行い、不要な番組本編の誤検出を防ぎながら高い精度でCM放送区間の検出が行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1の映像音声記録再生装置を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の映像音声記録再生装置の動作を示すフローチャート図である。
【図3】地上波デジタル放送におけるCM放送の長さ別の放送回数を示す表である。
【図4】BSデジタル放送におけるCM放送の長さ別の放送回数を示す表である。
【図5】地上波デジタル放送とBSデジタル放送におけるCM放送構成を示す図である。
【図6】実施の形態2および3の映像音声記録再生装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の映像音声記録再生装置100の構成を概略的に示すブロック図である。図1に示されるように、映像音声記録再生装置100は、アンテナ1によって受信された放送波から録画する放送番組を選局するチューナとして、地上波デジタルチューナ2およびBSデジタルチューナ3と、受信するチューナを選択するチューナ選択部4と、各チューナから得られた映像音声信号を記録するハードディスクドライブ(HDD)5と、各チューナから得られた映像音声信号からCM境界における変化点を検出する変化点検出部6と、変化点検出部6で検出された変化点の発生間隔からCM放送区間を検出するCM放送区間検出部7と、CM放送区間検出部7でCM放送区間を検出する際に用いる所定の時間間隔の候補を各チューナ別に格納した時間間隔候補選別部8とを有している。
【0014】
図1では、アンテナとしてアンテナ1しか示されていないが、チューナ毎に複数のアンテナを接続しても良い。また、図1では記録手段としてHDD5を示しているが、記録手段はDVDやBlu−rayディスクといった光ディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリから構成されるシリコンドライブでも良い。また、映像音声記録再生装置100は、家庭用のビデオレコーダに限らず、パーソナルコンピュータ等であっても良い。
【0015】
以下に、映像音声記録再生装置100を用いて、テレビジョン放送の録画動作と並行して録画番組のCM放送区間を検出する動作について、これをフローチャートで示した図2を用いて説明する。ユーザーが手動で録画開始ボタン等により録画指示を出した、または予め録画予約によって設定された録画開始時刻になると、チューナ選択部4により録画対象番組を受信できるチューナとして地上波デジタルチューナ2またはBSデジタルチューナ3が選択され(ST1)、録画指定されたチャンネルが選局される(ST2)。放送波が正しく受信出来た場合、チューナから受信チャンネルの映像音声信号がストリームとして出力(ST3)され、これがHDD5に記録される(ST4)。ユーザーが手動で録画停止ボタン等により停止指示を出した、または予め録画予約によって設定された録画終了時刻になると、録画動作は、終了する(ST5)。録画終了を迎えるまでは、受信したストリームが順にHDD5へ記録される。
【0016】
なお、デジタルチューナからは映像音声信号以外の情報、例えば字幕情報やデータ放送信号なども得られる場合があり、これらもあわせてHDD5に記録しても良い。また、デジタルチューナから得られるMPEG2等で符号化圧縮された信号を、デコード・エンコード回路によって、H.264などの方式を使って再符号化圧縮し、HDD5に記録しても良い。
【0017】
ST1〜ST5が、録画の基本動作を示す一方、ST6〜ST14がCM放送区間を検出する動作となる。まず、ST1でチューナ選択部4により録画対象番組を受信出来るチューナが選択されると、チューナ選択部4から時間間隔候補選別部8に地上波デジタルチューナ2かBSデジタルチューナ3のいずれを選択したかの情報が送られ、チューナ種別が判別される(ST6)。
ここで、チューナすなわち放送波の種別によるCM放送構成の分布について調べた結果を示す。図3は、地上波デジタル放送19番組におけるCM放送の分布を示したものである。このように、全602のCM放送に対し15秒CMが478と80%弱を占め、15秒と30秒CMをあわせると全体の99%以上を占めている。この結果は、日本における伝統的なCM放送の分布と等しいものと捉えることができる。
【0018】
一方、最近のテレビやBlu−rayレコーダなどには複数のデジタルチューナ、すなわち地上波デジタル放送、BSデジタル放送等の異なる放送波を受信できるチューナが搭載されていることが多い。このうち、BSデジタル放送におけるCM放送の分布は先に示した地上波デジタル放送とは異なっている。BSデジタル放送8番組におけるCM放送の分布を図4に示す。全82のCM放送に対し、15秒と30秒CMをあわせても全体の75%に満たず、60秒や90秒、120秒といった長尺のCMが比較的多いことが分かった。
【0019】
地上波デジタル放送とBSデジタル放送におけるCM放送時間別の構成割合を示したのが図5である。このように、BSデジタル放送は地上波デジタル放送に比べ、個々のCMが長くなっていることが特徴である。
【0020】
今回は、地上波デジタル放送とBSデジタル放送を比較したが、例えば海外の放送においては、15秒や30秒といった長さ以外にも、25秒や27秒といった日本においては一般的ではない長さのCMが放送されている場合もある。
【0021】
このように、あらかじめチューナで受信できる放送波の種別によってCM放送構成の分布が異なることが分かっている場合、それぞれのチューナに適したCM検出処理を行うことが可能となる。
【0022】
ST1での判別結果を受け、例えばチューナがBSデジタル放送であった場合、先に示したように同放送では長いCMが多く放送されているため、15秒、30秒、60秒、90秒、120秒、180秒の6候補を、後述するCM放送区間検出部7で用いる所定の時間間隔の候補として選別し設定する(ST8)。一方、地上波デジタル放送などのBSデジタル放送以外のチューナであった場合、長いCMはあまり放送されていないことがあらかじめ分かっているので、15秒、30秒、60秒の3候補を、後述するCM放送区間検出部7で用いる所定の時間間隔の候補として選別し設定する(ST7)。これら動作は録画開始直後に行っても良いし、録画予約などで予め録画対象番組の放送波が分かっている場合は、録画開始以前に行うこともできる。
【0023】
録画動作中、ST3で受信された映像音声ストリームは変化点検出部6で順次解析される(ST9)。この時、例えば変化点検出処理用に映像音声ストリームを一時保存するバッファメモリを別に用意してもかまわないし、映像音声ストリームをHDD5に記録する前段にあるバッファメモリを利用し、バッファメモリ上の映像音声ストリームを解析して変化点を検出しても良い。
【0024】
変化点検出部6では、映像音声信号を解析することで、CM放送区間を特定するための変化点の検出を行う。CM放送区間を特定するための変化点として、例えばシーンチェンジ発生箇所や、無音声区間がある。テレビジョン放送中の番組本編放送とCM放送とは、多くの場合は内容的なつながりが無く、その境界で映像が切り替わりシーンチェンジが発生しやすい。CM放送同士においても同様にシーンチェンジが発生する。また、CM放送の前後には一般的に無音声区間が挿入される。
【0025】
ここで、無音声区間の検出方法について説明する。一般的に日本国内におけるデジタル放送の音声信号は、AAC方式で符号化圧縮されたストリームとして配信されている。このAAC音声ストリームをデコードすることで、各データ値の振幅の大きさが音の大きさを表すPCM音声データが得られる。そこで、ある一定時間単位でPCM音声データを区切り、その時間内におけるPCM音声データの振幅値の和を求めることで、音量の大きさを得ることができる。CM放送前後の無音声区間の長さは、およそ数百ミリ秒なので、これを検出できる時間単位(たとえば32ms)でPCM音声データの振幅値の和を求め、この値がある閾値を下回った区間を無音声区間として検出する。
【0026】
上記に示した方法以外にも、音声信号に対してFFTなどを行って時間領域から周波数領域へと変換を行い、スペクトル情報からエネルギーを算出し、エネルギーがある閾値を下回った区間を無音声区間として検出してもよい。また、AAC方式は周波数符号化されているため、符号化されているMDCT係数値までをデコード処理し、周波数領域情報を直接取得してもよい。
【0027】
なお、変化点検出部6で検出する変化点は、シーンチェンジや無音声区間といった映像もしくは音声信号の単一の変化点ではなく、シーンチェンジと無音声区間が同時に発生した箇所としてもかまわない。シーンチェンジや無音声区間は、単独では番組本編放送中でもたびたび発生しうるものであり、これらが同時に発生した箇所を変化点とすることで、CM放送区間の検出精度を高めることができる。
【0028】
変化点検出部6で変化点が検出された場合、その発生時刻情報がCM放送区間検出部7に送られる。変化点の発生時刻は、映像音声ストリームに付属するPTS(PresentationTimeStamp)などを使ってその正確な発生時刻が分かるようにするのが良い。
【0029】
CM放送区間検出部7では、変化点検出部6で検出された変化点が、所定の時間間隔の候補に所定の誤差を加えた範囲内で発生しているかを判断し(ST10)、当該変化点ではさまれる区間がCM放送区間か(ST12)、否か(ST11)を識別する。ここで所定の誤差とは、±数十〜数百ミリ秒程度の値である。
【0030】
CM放送区間検出部7でCM放送区間を検出する際に用いる所定の時間間隔の候補は、時間間隔候補選別部8においてST6〜ST8であらかじめ選別、設定されたものであり、チューナ毎にCM放送区間の識別に用いる時間間隔候補のセットが増減するようになっている。
【0031】
さらにCM放送区間検出部7には、時間的に連なる3つ以上の変化点がそれぞれ所定の時間間隔に所定の誤差を加えた範囲内で発生した場合のみ、CM放送区間として識別する(ST14)条件が備わっている。これは、CM放送では複数のCMが連続して放送されることが多いことを利用し、CM検出精度を高めようとするものである。変化点が3つの場合について具体的に説明すると、時間的に連続する変化点をA、B、Cとした時、A−BおよびB−Cのペアが両方とも所定の時間間隔に所定の誤差を加えた範囲内で検出された時のみCM放送区間として識別することになる。
【0032】
しかし、120秒や180秒といった長尺のCMの場合、単一CMのみですぐに番組本編に切り替わり、複数のCMが連続して放送されないこともある。こういったケースに対応するため、CM放送区間の識別条件を、変化点の時間間隔によって変更する。例えば、15秒、30秒、60秒、90秒の時間間隔に所定の誤差を加えた範囲で発生している変化点については、上述したように3つの変化点が連続して所定間隔で発生した場合にのみCM放送区間と識別し、120秒以上の時間間隔で発生している変化点については、2つの変化点が所定の時間間隔に所定の誤差を加えた範囲で発生しているだけでCM放送区間と識別する(ST13)。
【0033】
CM放送区間検出部7のCM放送区間検出条件には、この他にも様々な条件を追加してもよい。例えば、CM境界での無音声区間は一般に600ミリ秒から2000ミリ秒であり、したがって検出された無音声区間の区間長がこの範囲外にある場合には、この無音声区間はCM境界と見なさないとすることで、誤検出を防ぐことができる。
【0034】
また、ここではチューナ種別に応じてCM放送区間検出部7で用いる所定の時間間隔の候補を選別する方法について記述したが、録画を行う時間帯すなわち番組が放送される時間帯によって時間間隔候補を選別しても良い。一般にゴールデンタイムと呼ばれる19時から22時前後に放送される番組には数多くのスポンサー企業が付いており、CM放送は15秒や30秒といった短いものが多くなる。一方、早朝や昼間の時間帯では、地上波デジタル放送でも90秒以上の長尺のCMが放送されることが多々ある。これに対応するため、番組の録画時間帯によって長尺のCMを検出対象とするか否かを決定するようにすれば、誤検出の確率をさらに小さくできる。
【0035】
CM放送区間検出部7でCM放送区間と識別された区間に対し、当該変化点で挟まれた区間の時間情報をCM放送区間の時間情報としてHDD5に記録する(ST4)。HDD5に記録されたCM放送区間の時間情報は、同時に記録された録画番組の再生時にこれを参照することで、CMスキップ再生などを実現することが可能になる。
【0036】
本実施の形態1においては、チューナ毎のCM放送構成の特徴を元にCM放送区間を検出する時間間隔を選別し、さらに変化点の発生間隔によってCM放送区間の識別条件を変更することで、本編中の誤検出を抑えながら常に高い精度でCM放送区間の検出を行うことができるというメリットがある。
【0037】
また、チューナ単位でCM検出ルールを変更するため、録画番組のジャンル情報などが取得できる電子番組表(EPG)機能が無い機器でも、本発明を利用することが可能である。
【0038】
なお、本実施の形態においては、地上波デジタルチューナ2とBSデジタルチューナ3という2つのデジタルチューナを有する装置について説明したが、チューナの数は2つに限られることはなく、さらにCSデジタルチューナ等を備えた場合でも、同様の効果が得られる。
【0039】
本実施の形態においては、映像音声ストリームをHDD等に記録する際に、同時にCM放送区間を検出する場合について説明したが、映像音声ストリームをHDD等に記録後にCM放送区間を検出し、検出結果を既に記録してある映像音声ストリームと関連付けて、HDD等に記録してもよい。当該検出結果は、必ずしも映像音声ストリームが記録してあるHDD等に記録する必要はなく、データの関連付けさえしてあれば、フラッシュメモリー等の別の記録媒体に記録してもよい。
【0040】
さらに、PC等の高速のデータ処理が可能で且つデータ処理のための十分なメモリを備えた装置においては、再生時にリアルタイムでCM放送区間を検出し、CMを取り除いた再生を行うことも可能である。たとえば、再生する映像音声ストリームに先行する数分間の映像音声ストリームをメモリに予め蓄え、この蓄えた映像音声ストリームに対して、図2のST6からST14の処理を施すことで、リアルタイムでCM放送区間を検出し、その検出結果を再生に反映させれば良い。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態2は、テレビジョン放送を受信するチューナの種類に加え、番組のジャンル情報を使って検出しようとするCM放送の長さの種類を変えることで、より適切に不要な番組本編の誤検出を防ぎながら高い精度でCM放送区間の検出を行うものである。
【0042】
番組のジャンルによって、番組内の各コーナーがCM放送と同じ長さで構成される場合があり、このような番組では番組本編をCM放送と誤検出してしまうことがある。
【0043】
特にこれが顕著なのが、アニメ番組である。アニメ番組は、BSデジタル放送であっても90秒や120秒、180秒といった長尺のCMが放送されることは稀である。また、アニメ番組は、番組の始まりと終わりにオープニングテーマやエンディングテーマが放送されることが常であるが、これらシーンは90秒で構成されることが多い。
【0044】
さらにアニメ番組は、BGMが流れていないシーンなどでは無音が発生しやすく、番組本編中にもCM境界と類似した無音区間やシーンチェンジが発生しやすい特徴があり、CM放送区間検出を行う際に用いる変化点発生の時間間隔候補を安易に増やすと、やはり番組本編をCM区間と誤検出してしまうケースが増加してしまう。
【0045】
本実施の形態に係る発明においては、テレビジョン放送を受信するチューナの種類に加え、こういった特定ジャンルの番組に対するCM放送区間の検出を適切に行えるようにしたことに特徴がある。
【0046】
図6は本発明の実施の形態2の映像音声記録再生装置200の構成を概略的に示すブロック図である。図6に示されるように、映像音声記録再生装置200は、アンテナ1によって受信された放送波から録画する放送番組を選局するチューナとして、地上波デジタルチューナ2およびBSデジタルチューナ3と、受信するチューナを選択するチューナ選択部4と、各チューナから得られた映像音声信号を記録するハードディスクドライブ(HDD)5と、各チューナで受信された放送番組の電子番組ガイド(EPG)情報を取得する番組属性情報取得部9と、各チューナから得られた映像音声信号からCM境界における変化点を検出する変化点検出部6と、変化点検出部6で検出された変化点の発生間隔からCM放送区間を検出するCM放送区間検出部7と、CM放送区間検出部7でCM放送区間を検出する際に用いる所定の時間間隔の候補を各チューナ別に格納した時間間隔候補選別部8とを有している。
【0047】
以下において、映像音声記録再生装置200を用いて、テレビジョン放送の録画動作と並行して録画番組のCM放送区間を検出する動作について説明する。なお、各部の動作について、実施の形態1で説明したものと同じものは、ここでは説明を省略する。
【0048】
番組属性情報取得部9は、放送番組の電子番組ガイド情報を取得し、電子番組ガイド情報に含まれる番組属性情報として、録画番組のジャンル情報を取得する。ジャンル情報は、大ジャンル情報と小ジャンル情報からなり、例えば(ドラマ―国内ドラマ)や、(スポーツ−野球)といった番組ジャンルを示す情報が取得できる。ジャンル情報は、1つの番組に対して複数付与されている場合もある。
【0049】
CM放送区間検出部7でCM放送区間を検出する際に用いる所定の時間間隔の候補は、実施の形態1では録画番組の受信チューナの種類により変更できるようになっていたが、実施の形態2ではさらに番組属性情報取得部9で取得した録画番組のジャンル情報により変更できるようになっており、両者の情報を用いて時間間隔候補選別部8で用いる時間間隔候補のセットを増減させることができる。
【0050】
以下に、実施の形態2における時間間隔候補選別部8の動作を具体的に示す。例えば録画している番組が地上波デジタル放送の番組の場合、15秒、30秒、60秒の3候補が所定の時間間隔の候補として選別され、BSデジタル放送の番組の場合は、15秒、30秒、60秒、90秒、120秒、180秒の6候補が所定の時間間隔の候補として選別される。これら時間間隔候補は、それぞれのチューナ毎のCM放送の分布(いろいろなジャンルを含む平均的な分布)を基にして、あらかじめ決定されたものである。
【0051】
次に番組のジャンル情報がアニメ番組か否かを判定する。アニメ番組を示すジャンル情報は、一般には大ジャンルがアニメ/特撮、もしくは大ジャンルが映画で小ジャンルがアニメのケースである。このようなジャンル情報が番組に付与されている場合、当該番組がアニメ番組だと判断し、受信するチューナとしてBSデジタルチューナ3が選択された場合であっても、15秒、30秒、60秒の3候補だけを所定の時間間隔の候補として選別する。90秒以上の長尺の時間間隔を候補として選択しないことによって、アニメ番組中に現れる無音声区間に挟まれた区間をCM区間であると誤検出する可能性を小さくするためである。
【0052】
ジャンル情報が当該番組に対して複数付与されている場合(現在は最大3つのジャンル情報が付与されるケースがある)、例えば以下に示す方法で当該番組がアニメ番組か否かを判定することができる。
【0053】
例えば、懐かしのアニメソングをランキング形式等で紹介する音楽番組には、(アニメ/特撮−国内アニメ)と(音楽−国内ロック・ポップス)の2つのジャンル情報が付与されている場合がある。他にも、アニメ映画の監督を特集するドキュメンタリー番組には、(アニメ/特撮−国内アニメ)と(ドキュメンタリー/教養―ドキュメンタリー全般)の2つのジャンル情報が付与されている場合もある。このような番組は、いわゆるアニメ番組とは異なっているため、アニメ番組では無いと判断するのが適切である。
【0054】
そこで、ジャンル情報にアニメ番組を示すジャンル情報のみが付与されている場合のみ、当該番組をアニメ番組と判定し、それ以外のジャンル情報が存在している場合は、アニメ番組と判定しない。
【0055】
本実施の形態2においては、チューナ毎のCM放送構成の特徴に加え、番組のジャンル情報を基にCM放送区間を検出する時間間隔を選別することで、本編中の誤検出を抑えながら常に高い精度でCM放送区間の検出を行うことができるというメリットがある。
【0056】
特にアニメ番組など、CM放送と同じ時間間隔で各コーナーが構成され、また、番組本編中にCM境界と類似の変化点が検出されやすい場合において、本発明の効果が期待できる。
【0057】
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態2と同様にテレビジョン放送を受信するチューナの種類に加え、番組のジャンル情報を使って検出しようとするCM放送の長さの種類を変えることで、より適切に不要な番組本編の誤検出を防ぎながら高い精度でCM放送区間の検出を行うものである。
【0058】
図6は本発明の実施の形態2の映像音声記録再生装置200の構成を概略的に示すブロック図であり、動作については実施の形態2で説明を行ったため、詳細については省略する。
【0059】
図5に示したように、チューナの種類によって放送されるCM放送の長さの分布に違いがある他、同じチューナで受信された番組であっても、番組のジャンルによってCM放送の長さの分布が異なる場合がある。たとえば、情報/ワイドショーのジャンルに属する番組では、地上波デジタル放送であっても90秒以上のCMが放送される場合が多い。
【0060】
実施の形態3における時間間隔候補選別部8においては、例えば録画している番組が地上波デジタル放送の番組の場合であっても、情報/ワイドショーのジャンルに属する番組の場合には、15秒、30秒、60秒の3候補だけでなく、90秒、120秒、180秒も含め他6候補が所定の時間間隔の候補として選別される。
【0061】
本実施の形態3においては、チューナ毎のCM放送構成の特徴に加え、番組のジャンル情報を基にCM放送区間を検出する時間間隔を選別することで、CM放送区間を確実にCM放送区間であると検出を行うことができるというメリットがある。
【符号の説明】
【0062】
1 アンテナ、 2 地上波デジタルチューナ、 3 BSデジタルチューナ、 4 チューナ選択部、 5 ハードディスクドライブ、 6 変化点検出部、 7 CM放送区間検出部、 8 時間間隔候補選別部、 9 番組属性情報取得部、 100 映像音声記録再生装置、 200 映像音声記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送を受信する複数の種類のチューナ手段と、
前記テレビジョン放送の映像音声信号から変化点を検出する変化点検出手段と、
前記変化点検出手段によって検出された変化点と既に検出された他の変化点との時間間隔が、予め定められたひとつまたは複数の所定の時間間隔のいずれかと等しいかを判断し、所定の誤差範囲内で等しいと判断した場合に前記検出された変化点と前記既に検出された他の変化点ではさまれる区間をCM放送区間とするCM放送区間検出手段と、
前記所定の時間間隔を前記チューナ手段ごとに予め決定する時間間隔候補選別手段と、
前記CM放送区間検出手段によって識別されたCM放送区間を表す時間情報を記録媒体に記録する情報記録手段と
を備えたことを特徴とする映像音声記録再生装置。
【請求項2】
テレビジョン放送を受信する複数の種類のチューナ手段と、
前記テレビジョン放送に関する属性情報を含む電子番組ガイド情報を取得する番組属性情報取得部と、
前記テレビジョン放送の映像音声信号から変化点を検出する変化点検出手段と、
前記変化点検出手段によって検出された変化点と既に検出された他の変化点との時間間隔が、予め定められたひとつまたは複数の所定の時間間隔のいずれかと等しいかを判断し、所定の誤差範囲内で等しいと判断した場合に前記検出された変化点と前記既に検出された他の変化点ではさまれる区間をCM放送区間とするCM放送区間検出手段と、
前記所定の時間間隔を前記チューナ手段ごと、および前記番組属性取得部で取得した属性情報ごとに予め決定する時間間隔候補選別手段と、
前記CM放送区間検出手段によって識別されたCM放送区間を表す時間情報を記録媒体に記録する情報記録手段と
を備えたことを特徴とする映像音声記録再生装置。
【請求項3】
前記複数の種類のチューナ手段は、地上波デジタル放送とBSデジタル放送とを受信するチューナを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の映像音声記録再生装置。
【請求項4】
前記変化点検出手段は、前記テレビジョン放送に含まれる音声信号の無音声区間を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の映像音声記録再生装置。
【請求項5】
前記変化点検出手段は、前記テレビジョン放送に含まれる映像信号のシーンチェンジ箇所を検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の映像音声記録再生装置。
【請求項6】
前記CM放送区間検出手段は、前記変化点検出手段によって検出された変化点がn個以上連続して所定の時間間隔の候補に所定の誤差を加えた範囲内で発生しているかを判断して、当該変化点ではさまれる区間をCM放送区間と識別し、
前記nは、所定の時間間隔の候補が90秒以下のときは3、120秒以上のときは2とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の映像音声記録再生装置。
【請求項7】
前記所定の時間間隔とは、15秒、30秒、60秒、90秒、120秒、180秒のいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の映像音声記録再生装置。
【請求項8】
前記番組属性情報取得部は、少なくとも番組のジャンル情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の映像音声記録再生装置。
【請求項9】
前記時間間隔候補選別手段は、前記属性情報から当該テレビジョン放送がアニメ番組か否かを判定する手段を含むことを特徴とする請求項2または8に記載の映像音声記録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−9926(P2011−9926A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149816(P2009−149816)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】