木造建築物の補強方法、木造建築物の補強構造及び木造建築物の補強用接合具
【課題】柱と水平部材とのガタを縮小しつつ構造上の強度を補強し、補強に必要なスペースを縮小可能な木造建築物の補強方法を提供する。
【解決手段】柱3と柱3の端面3aに水平面2aが当接する土台2とを有する木造建築物BLD1の補強方法は、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部11a及び水平部材側プレート部11bを有する接合具11を柱3に固定する工程と、柱3に固定された接合具11を、水平部材側プレート部11bから土台2の方向へ水平部材側プレート部11bを貫通して土台2に挿入されるラグスクリュー15により、土台2に固定する工程とを備える。
【解決手段】柱3と柱3の端面3aに水平面2aが当接する土台2とを有する木造建築物BLD1の補強方法は、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部11a及び水平部材側プレート部11bを有する接合具11を柱3に固定する工程と、柱3に固定された接合具11を、水平部材側プレート部11bから土台2の方向へ水平部材側プレート部11bを貫通して土台2に挿入されるラグスクリュー15により、土台2に固定する工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の補強方法、木造建築物の補強構造及び木造建築物の補強用接合具に関し、より詳細には、柱と、土台や梁等の水平部材(横臥材)とを有する木造建築物の補強方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生したときの柱の浮き上がり防止等の耐震補強方法として、柱と水平部材との固定部(仕口部)に補強用の金物を固定する方法が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1では、T字の平面形状を有する金物等を仕口部に取り付ける技術が開示されている。
【特許文献1】特開平09−144143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建築物においては、部材の寸法誤差や建築時あるいは補強時の作業員の技量等に起因して、柱と水平部材との間にガタが生じる場合がある。この場合、ガタに相当する量だけ柱と水平部材とのずれが生じ易くなり、構造上の強度が低下する。なお、木造建築において当該ガタに着目した補強方法は提案されていない。
【0004】
ホールダウン金型を用いる補強方法では、柱と水平部材とを密着させる方向にボルトの締結力が作用するために柱と水平部材とのガタを縮小可能と考えられる。しかし、ホールダウン金型を用いる場合には、柱の外周側にホールダウン金型を配置するスペースを要し、ホールダウン金型による補強方法を適用できる範囲は制限されている。
【0005】
本発明は、柱と水平部材とのガタを縮小しつつ構造上の強度を補強し、補強に必要なスペースを縮小可能な木造建築物の補強方法、木造建築物の補強構造及び木造建築物の補強用接合具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点の木造建築物の補強方法は、柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強方法であって、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具を、前記柱に固定する工程と、前記柱に固定された接合具を、前記水平部材側プレート部から前記水平部材の方向へ前記水平部材側プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する工程と、を備える。
【0007】
好適には、前記水平部材の水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、2つの前記柱間に横架される補強用水平材(横架材)に前記接合具を固定する工程を更に備え、前記接合具を前記柱に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記柱と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、前記接合具を前記補強用水平材に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記補強用水平材と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、前記接合具を前記水平部材に固定する工程では、前記柱及び前記補強用水平材に固定された前記接合具を、前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記水平部材プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する。
【0008】
本発明の第2の観点の木造建築物の補強方法は、柱と水平部材とを有し、前記柱及び水平部材のうち一方の部材の端面が他方の部材の側面に当接する木造建築物の補強方法であって、
【0009】
互いに直交して断面L字形を形成する2つのプレート部を有する接合具であって、一方のプレート部が前記一方の部材の側面に対向配置されて固定され、前記他方のプレート部が前記他方の部材の側面に対向配置されて固定される接合具を、前記一方の部材に固定する工程と、前記一方の部材に固定された接合具を、前記他方のプレート部から前記他方の部材の方向へ前記他方のプレート部を貫通して前記他方の部材に挿入されるねじ又は釘により、前記他方の部材に固定する工程とを備える。
【0010】
本発明の第3の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記水平部材の前記水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、前記2本の柱の間に横架される補強用水平材と、前記接合具から前記補強用水平材の方向へ前記接合具及び前記補強用水平材に挿入されるねじ又は釘と、前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記接合具を貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、を備える。
【0011】
本発明の第4の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記水平部材側プレート部に積層されるカバープレートと、前記カバープレートから前記水平部材の方向へ前記カバープレート及び前記水平部材側プレートを貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、を備える。
【0012】
本発明の第5の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記2本の柱に固定される合板と、を備え、前記合板は、該合板と前記水平部材との間に開口部が形成されるように配置されている。
【0013】
本発明の第6の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記土台の水平面に対向配置されて固定される接合具と、を前記2本の柱それぞれに対して備える。
【0014】
本発明の第7の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記柱に固定され、前記土台に挿入されるボルトが挿通されるホールダウン金物と、を前記2本の柱それぞれに対して備える。
【0015】
好適には、前記水平部材側プレート部には、前記柱側プレート部とは反対側に切欠き部が設けられている。
【0016】
本発明の第8の観点の補強用接合具は、柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強用接合具であって、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を備え、前記水平部材側プレート部は、ねじ又は釘を挿通するための複数の孔部と、前記水平部材側プレート部を打ち抜くことにより形成され、L字の下側に突出する突起部と、を備える。
【0017】
なお、本発明の第1〜第8の観点の補強方法、補強構造及び接合具は適宜に組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、柱と水平部材とのガタを縮小しつつ構造上の強度を補強し、補強に必要なスペースを縮小できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の実施形態
補強構造
図1は、本発明の第1の実施形態の補強構造STR1を示す正面図であり、図2は補強構造STR1を示す断面図である。補強構造STR1は、木造建築物BLD1を耐震補強するための壁構造として構成されている。
【0020】
木造建築物BLD1は、例えばいわゆる軸組工法により建設された家屋である。木造建築物BLD1は、内壁又は外壁を構成する部材として、コンクリート等で構成された基盤1と、基盤1に支持される土台2と、土台2に支持される柱3と、柱3に支持される胴差4とを備えている。なお、土台2及び胴差4はそれぞれ本発明の水平部材として機能する。
【0021】
基盤1は、例えばコンクリートにより構成され、土中に下部が埋没するとともに、上部が土中に突出している。土台2は例えば断面矩形の木材により構成され、基盤1の上部に横臥するように配置されている。なお、土台2の上方に床面FLが位置する。
【0022】
柱3は、例えば断面矩形の木材により構成され、下端面3aが土台2の上面(水平面、長手方向に対しては側面)2aに当接して支持されている。また、柱3は、下端面3aから突出する突出部3bが土台2の上面2aに設けられた穴部3bに嵌合挿入されることにより、土台2に対して水平方向の位置決めがなされている。柱3は1本の土台2上に所定の間隔で複数本設けられている。図1では2本の柱3を例示している。
【0023】
胴差4は、例えば断面矩形の木材により構成され、下面(水平面、長手方向に対しては側面)4aが柱3の上端面3cに当接して支持されている。また、胴差4は、下面4aに設けられた穴部4bに柱3の上端面3cから突出する突出部3dが嵌合挿入されることにより、柱3に対して水平方向の位置決めがなされている。1本の胴差4は複数本の柱3上に支持されている。図1では2本の柱3により支持されている状態を例示している。なお、胴差4の下方には天井面CLが位置する。土台2、柱3及び胴差4の寸法は適宜に設定してよいが、例えば断面の寸法を同一としてもよい。
【0024】
補強構造STR1は、木造建築物BLD1の構造上の強度を補強するために、2本の柱3に横架される受け材5と、柱3及び受け材5に固定される構造用合板6とを含んでいる。
【0025】
受け材5は、例えば断面矩形の木材により構成されている。受け材5は複数本配置され、例えば、合板6の上端、中央、下端を固定するために3本配置される。受け材5は、図2に示すように、受け材5の正面側の側面5aが柱3の正面側の側面3eと続するように配置されている。なお、受け材5は例えば柱3に固定された金具7を介して柱3に固定されている。
【0026】
合板6は、例えば板状の木材により構成され、2本の柱3に亘る幅と、土台2から胴差4までの間隔L1より短い長さL2(例えばL1の4/5)とを有している。合板6は、2本の柱3及び受け材5に対してラグスクリュー(ねじ)又は釘等の固定具8により固定されている。合板6は、合板6の下端部6aと土台2との間に開口部SP1が確保されるように、また、合板6の上端部6bと胴差4との間に開口部SP2が確保されるように、土台2と胴差4と間の中央側に配置されている。合板6は1枚で構成してもよいし、高さ方向の中段に位置する受け材5の高さの中間の位置で分断される2枚で構成してもよい。
【0027】
開口部SP1及びSP2は、後述する接合具11、16の土台2、胴差4への固定作業に必要な大きさが確保されればよい。例えば、L1=2730mm、L2=1820mm、柱間隔(中心間距離)L3=910mmで、SP1、SP2はそれぞれ、概ね400mm×800mm、200mm×800mmのスペースを確保してもよい。
【0028】
補強構造STR1は、土台2と柱3との間の引き抜き抵抗を高くして浮きを防止する等の目的で、土台2と柱3とを接合する接合具(第2の接合具)11と、接合具11と固定された補強用水平材12とを備えている。
【0029】
補強用水平材12は、例えば断面矩形の木材により構成され、土台2の上面2aに対して後述する接合部11の水平部材側プレート部11bを挟んで対向配置され、また、2本の柱3の間に横架されている。補強用水平材12の長さ(図1の紙面左右方向)は2本の柱3の間隔(側面間の距離)と略同一長さに設定されており、補強用水平材12は後述する接合部11の柱側プレート部11aを介して2本の柱3間に嵌合している。補強用水平材12(17)は、例えば断面105mm×105mmで、長さ800.4mmである。
【0030】
図3は接合具11を示す図であり、図3(a)は図1の紙面左右方向から見た図であり、図3(b)は図1の紙面垂直方向に見た図であり、図3(c)は図1の紙面上下方向に見た図であり、図3(d)は接合具11の一部を拡大して示す図である。
【0031】
接合具11は例えば金属で構成され、一枚の板を折り曲げ加工することにより形成される。接合具11は、全体として断面L字状に形成されており、それぞれ板状に形成されるとともに互いに直交する柱側プレート部11a及び水平部材側プレート部11bを有している。図1にも示すように、柱側プレート部11aが、柱3の土台2の延びる側であって他の柱3と対向する側の側面3gに対向し、水平部材側プレート部11bが、土台2の上面2aに対向するように、接合具11は配置されている。
【0032】
図3(a)及び図3(b)に示すように柱側プレート部11aには複数の貫通孔11cが設けられている。図1に示すように、ラグスクリュー又は釘等の固定具13が柱側プレート部11aから柱3の方向へ向かって貫通孔11cに挿通されるとともに、柱3に螺着され又は打ち込まれることにより、接合具11は柱3に固定されている。なお、固定具13としてボルト及びナットを用いてもよい。
【0033】
図3(b)及び図3(c)に示すように水平部材側プレート部11bには複数の貫通孔11d、11eが設けられている。図1に示すように、ラグスクリュー又は釘等の固定具14が水平部材側プレート部11bから補強用水平材12の方向へ向かって貫通孔11d、11eに挿通され、補強用水平材12に螺着され又は打ち込まれることにより、接合具11と補強用水平材12とは固定されている。なお、固定具14としてボルト及びナットを用いてもよい。
【0034】
また、ラグスクリュー又は釘等の固定具15が補強用水平材12から水平部材側プレート部11b及び土台2の方向へ向かって補強用水平材12を貫通するとともに貫通孔11d、11eに挿通され、補強用水平材土台2に螺着され又は打ち込まれることにより、接合具11、補強用水平材12及び土台2は互いに固定されている。
【0035】
なお、貫通孔11c、11d、11eの数や配置、固定具13、14、15の大きさは適宜に設定してよい。例えば、図3(c)に示すように、水平部材側プレート部11bにおいて、柱側プレート部11a側には貫通孔11dを、柱側プレート部11aとは反対側には貫通孔11dよりも径の小さい貫通孔11eを設け、当該貫通孔11eを、接合部11の土台2に対する位置決め用の比較的径の小さい固定具を挿通する貫通孔として利用するとともに、貫通孔11dを、接合部11を比較的堅固に土台2に対して固定するための比較的径の大きい固定具を挿通する貫通孔として利用してもよい。
【0036】
水平部材側プレート部11bには、水平部材側プレート部11bを打ち抜くことにより形成され、L字の外側、すなわち、土台2側に突出する突起部11fが設けられている。突起部11fは、例えば図3(c)に示すように、平面形状を、柱側プレート部11a側を頂点とし、柱側プレート部11aとは反対側を底辺とする2等辺3角形に形成され、当該三角形の底辺で折り曲げられて頂部が土台2側に突出するように打ち抜かれている。また、図3(d)示すように突出部11fの水平部材側プレート部11bに対する折り曲げ角度は直角よりも小さく設定されている。
【0037】
図1に示すように、補強構造STR1は、柱3と胴差4との間の引き抜き抵抗を高くして浮きを防止する等の目的で、柱3と胴差4とを接合する接合具16(第1の接合具)と、接合具16と固定された補強用水平材17とを備えている。
【0038】
接合具16及び補強用水平材17は、接合具11及び補強用水平材12と同様の構成であり、固定具18による接合具16の柱3への固定、固定具19による接合具16の補強用水平材17への固定、固定具20による接合具16の胴差4への固定は、それぞれ固定具13による接合具11の柱3への固定、固定具14による接合具11の補強用水平材12への固定、固定具15による接合具11の土台2への固定と同様である。ただし、接合具16、補強用水平材17、固定具18〜20は、いずれも接合具11、補強用水平材12、固定具13〜15に対して上下対称に配置されている。なお、以下では、接合具11の各部11a〜11fに対応する接合具16の各部を、符号11を16に置き換えて各部16a〜16fとして説明することがある。
【0039】
施工手順
図4は、補強方法の手順を示すフロー図である。まず、既に建築されている木造建築物BLD1について事前調査を行う(ステップST1)。なお、この時点では木造建築物CLD1は本実施形態の補強構造STR1による補強はなされていない。事前調査では、補強の可否や補強方法の選択等の施工に必要な種々の情報を得る等の作業を行う。例えば、柱脚部については、接合具11等の補強用の部材が取り付ける部分に、腐朽や凹凸が無いことを確認し、ゴミを除去する。また、近辺にアンカーボルトがあるか否か調査する。
【0040】
次に事前調査によって得られた情報に基づいて適宜に補強方法(タイプ)を選択する(ステップST2)。例えばアンカーボルトの有無、位置に応じて本実施形態や後述する第2〜第4の実施形態のいずれかを選択する。また、例えば柱3の付近の土台2にボルト等が突出しているか否かにより、本実施形態の接合具11又は後述するU字状の接合具を選択する。
【0041】
補強方法の選択において本実施形態が選択されると、補強用水平材12、17に接合具11、16が取り付けられる(ステップST3)。補強用水平材12、17の取り付け面の確認し、当該補強用水平材12、17を柱3間の取り付け面に位置させる(ステップST4)。
【0042】
接合具11、18を柱3に固定具13、18により固定する(ステップST5)。次に受け材5を柱3に取り付ける(ステップST6)。そして、合板6を受け材5に取り付ける(ステップST7)。
【0043】
突起部11f、16fは土台2、胴差4から受ける荷重により補強用水平材12、17方向へ変形する。当該変形により、柱3は突起部11f、16fから土台2、胴差4から離間する方向へ付勢力を受ける。換言すれば、突起部11f、16fは、柱3と土台2、胴差4との間に介在する板ばね(付勢手段)として機能している。突起部11f、16fの曲げ剛性が比較的高く設定されている場合、接合具11、16の水平部材側プレート部11b、16bと、土台2又は胴差4との間には隙間が生じている。
【0044】
次に固定具15により土台2と接合具11とを固定するとともに、固定具20により胴差4と接合具16とを固定する(ステップST8)。この際、突起部11f、16fの付勢力に反して固定具15、20の締結が行われる。接合具11、16の水平部材側プレート部11b、16bと、土台2又は胴差4との間に隙間が生じていた場合には、突起部11f、16fは土台2又は胴差4により押し込められ、当該隙間はなくなる。その後、取り外した床板や天井を再度取り付ける。
【0045】
なお、接合具11と土台2との固定(ステップST8)は、当該固定により、柱3の端面3aと土台2の上面2aとの間の隙間が縮小あるいは圧力が増加して、ガタが縮小すればよい。従って、例えば、接合具11と柱3とを固定具13により仮止めした状態で、固定具13による接合具11と柱3との最終的な締結を行って、固定具15による接合具16と土台2との最終的な締結を行うようにしてもよい。接合具16と胴差4との固定も同様である。
【0046】
以上の実施形態によれば、接合具11、16を柱3に固定した後に、柱3が土台2又は胴差4に対して当接する方向へ接合具11、16を押圧して土台2又は胴差4に接合具11、16を固定するため、柱3と土台2又は胴差4とのガタが縮小される。
【0047】
水平部材側プレート部11b、16bに挿入されるラグスクリュー等によって補強するため、図1の紙面垂直方向や2本の柱3の外側に接合具を設けるスペースを必要とせず、従来に比較して柱3の取り外しや取り付けのために天井や床板等の取り外しや取り付けをしなくてもよい。
【0048】
開口部SP1、SP2が形成されるように合板6が配置されるため、固定具15、20により接合具11、16を土台2、胴差4に取り付ける作業スペースが確保され、作業が容易になる。
【0049】
柱3と土台2との固定、柱3と胴差4との固定の双方を補強しているため、構造上の強度が効果的に高くなる。
【0050】
突起部11f、16fの付勢力に反して固定具15、20の締結を行うから、固定具15、20による締結力を大きくすることができる。すなわち、柱3と土台2、胴差4とのガタの縮小と等価の効果が得られる。また、突起部11f、16fを三角形に打ち抜いて先端を鋭角に形成していることから、先端が土台2、胴差4を噛み込み、接合具11、16の固定がより堅固になされる。
【0051】
第2の実施形態
補強構造
図5は、本発明の第2の実施形態の補強構造STR2を示す図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
第2の実施形態では、第1の実施形態の土台2側に横架される補強用水平材12に相当する部材が設けられておらず、接合具11と土台2との固定において第1の実施形態と異なっている。
【0053】
図6は、接合具11と土台2との固定部分を拡大して示す断面図である。図6に示すように、接合具11の水平部材側プレート部11bの上面側(土台2とは反対側)には、カバープレート31が積層されている。
【0054】
図7(a)はカバープレート31を図5の紙面上下方向から見た図であり、図7(b)はカバープレート31を水平部材側プレート部11bに積層した状態で図5の紙面上下方向から見た図である。
【0055】
カバープレート31は、例えば金属により構成されている。カバープレート31は、例えば略矩形の板状に形成されるとともに、水平部材側プレート部11bよりもやや狭く形成されている。例えばカバープレート31は、土台2の長手方向に直交する方向の幅(図7の上下方向の幅)が水平部材側プレート部11bと略同じ幅に設定されるとともに、土台2の長手方向の長さ(図7の左右方向の長さ)が横臥部材側プレート部11bの長さの8割〜9割に設定されている。また、カバープレート31は、水平部材側プレート部11bよりも厚く形成されている。例えば、カバープレート31の厚さは水平部材側プレートの厚さの2倍に設定されている。図6に示すようにカバープレート31は、縁部31aが柱側プレート部11aに当接するように配置されており、柱側プレート部11aとは反対側においては、水平部材側プレート部11bの端部が露出している。
【0056】
図7に示すように、カバープレート31には、水平部材側プレート部11bの複数の貫通孔11d(図3(c)及び図6参照)にそれぞれ連なる複数の貫通孔31bと、水平部材側プレート部11bの複数の貫通孔11e(図3(c)及び図6参照)にそれぞれ連なる複数の貫通孔31cとが形成されている。なお、水平部材プレート部11bの複数の貫通孔11eのうち一部についてはカバープレート31が被せられずに露出している。
【0057】
図6に示すように、接合具11は、接合具11から土台2の方向へ向かって、カバープレート31が被せられずに露出している貫通孔11eに挿通されて土台2に螺着又は打ち込まれるラグスクリュー又は釘等の固定具32と、カバープレート31から土台2の方向へ向かって、カバープレート31の貫通孔31c、接合具11の貫通孔11eに挿通されて土台2に螺着され又は打ち込まれるラグスクリュー又は釘等の固定具33と、カバープレート31から土台2の方向へ向かって、カバープレート31の貫通孔31b、接合具11の貫通孔11dに挿通されて土台2に螺着され又は打ち込まれるラグスクリュー又は釘等の固定具34とにより、土台2に対して固定されている。
【0058】
なお、固定具32は接合具11の位置決めに利用され、固定具33はカバープレート31の位置決めに利用され、固定具34は接合具11とカバープレート31及び接合具11とをより堅固に固定する目的で利用されるものであり、例えば固定具34には固定具32、33よりも径の大きいものが利用される。
【0059】
施工方法
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に図4で示した手順で施工してよい。
【0060】
なお、接合具11を土台2へ固定する場合には、まず、水平部材側プレート部11bと土台2の上面2aとの間に所定量(例えば2mm)の隙間を確保するように、固定具13により柱側プレート部11aを柱3に固定する。この際、固定具32による接合具11の位置決めも行う。次に、カバープレート31を固定具33により位置決めし、その後、固定具34により接合具11と土台2との最終的な締結を行う。
【0061】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、カバープレート31が水平部材側プレート部11bに積層されることにより、水平部材プレート部11bの曲げ剛性が補強され、引き抜き抵抗が強化される。
【0062】
第3の実施形態
補強構造
図8は、本発明の第3の実施形態の補強構造STR3を示す図である。第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0063】
補強構造STR3では、土台2と柱3との間の引き抜き抵抗を高くして浮きを防止する等の目的で、ホールダウン金物(第2の接合具)41と、ホールダウン金物41に挿通されるボルト42が利用される。図9は、ホールダウン金物41を示す斜視図である。ホールダウン金物41は、柱3に取り付けるための取り付け部41aと、ボルト42を挿通するためのボルト挿通部41bとを備えている。取り付け部41aは長尺な平板状に形成され、ラグスクリュー、ボルト又は釘等の固定具を挿通するための貫通孔41cが長手方向に沿って複数設けられている。挿通部41bには、取り付け部41aの長手方向に平行な方向にボルト42を挿通するための孔部41dが形成されている。
【0064】
図8に示すように、ホールダウン金物41は、柱3の土台2が延びる側の側面であって、2本の柱3の外側の側面3hに取り付け部41aが対向配置され、貫通孔41c(図9参照)に挿通される不図示の固定具により柱3に固定される。そして、ホールダウン金物41に挿通されたボルト42が土台2を貫通するとともに、基盤1に挿入されて、土台2と柱3との固定部の補強がなされる。
【0065】
施工方法
第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に図4で示した手順で施工してよい。ただし、ステップST3は省略され、ステップST5では、ホールダウン金物41の柱3への固定が行われる。
【0066】
また、事前調査(ステップST1)においては、基礎1に耐力劣化がないことを確認したり、基礎1が有筋か無筋かを確認又は推測するなど、基礎1に関する情報を収集等する必要がある。
【0067】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0068】
第4の実施形態
図10は、本発明の第4の実施形態の補強構造STR3を示す図である。第4の実施形態において、第1及び第3の実施形態と同一の構成については第1及び第3の実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
第4の実施形態では、ホールダウン金物41は、柱3の土台2が延びる側の側面であって、2本の柱3の内側の側面3gに取り付け部41aが対向配置されて、柱3に固定されている。施工方法は第3の実施形態と同様である。
【0070】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
接合具の変形例
図11は、第1及び第2の実施形態の接合具11又は16の変形例である接合具50を示す図である。接合具50は、接合具11と同様の構成を有する。図11では、接合具11の各部11a〜11fに対応する接合具50の各部を、符号11を50に置き換えて各部50a〜50bfとして説明することがある。
【0072】
接合具50は、水平部材側プレート部50bの柱側プレート部50aとは反対側に切欠き部50hが設けられており、平面形状が略U字状に形成されている。
【0073】
また、図11では、第2の実施形態のカバープレート31の変形例であるカバープレート51を点線で示している。カバープレート51は、水平部材側プレート部50bの柱側プレート部50aとは反対側に切欠き部51hが設けられており、平面形状が略U字状に形成されている。切欠き部51hは、縁部が切欠き部50hの縁部と一致する形状、大きさに形成されている。
【0074】
この変形例によれば、例えば土台2の上面2a上に、土台2を基礎1に固定するためのボルトのボルト頭が突出している場合に、これを避けるようにして水平部材側プレート部50bやカバープレート51を配置することができる。
【0075】
本発明は以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施してよい。
【0076】
本発明は、既に建築されている木造建築物の構造上の強度を補強する際に適用するだけでなく、木造建築物を新築する際に適用してもよい。
【0077】
水平部材は、柱を支持又は柱により支持され、柱に対して直交するものであばよく、胴差に限定されない。例えば、端面を柱の側面に当接させて柱に支持される梁又は桁であってもよい。
【0078】
突出部は、当接する土台2等の部材の側面を付勢可能に突出していればよく、その形状、大きさ、プレート部に対する折り曲げ角度は適宜に設定してよい。
【0079】
カバープレートは、水平部材側プレート部の曲げ剛性を補強できるものであればよく、水平部材側プレート部よりも狭いものや水平部材側プレートよりも厚いものに限定されない。例えば、カバープレートは、水平部材側プレート部と同一の面積あるいはそれ以上の面積を有していてもよいし、水平部材側プレートと同一の厚さあるいはそれ以下の厚さでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態の補強構造を示す図である。
【図2】図1の補強構造を示す断面図である。
【図3】図1の補強構造に含まれる接合具を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の施工手順を示すフロー図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の補強構造を示す図である。
【図6】図5の補強構造に含まれる接合具を示す図である。
【図7】図5の補強構造に含まれるカバープレートを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の補強構造を示す図である。
【図9】図8の補強構造に含まれるホールダウン金物を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態の補強構造を示す図である。
【図11】本発明の第1及び第2の実施形態の補強構造に含まれる接合具の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
2…水平部材、3…柱、11…接合具、11a…柱側プレート部、11b…水平部材側プレート部、15…ねじ、釘。
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の補強方法、木造建築物の補強構造及び木造建築物の補強用接合具に関し、より詳細には、柱と、土台や梁等の水平部材(横臥材)とを有する木造建築物の補強方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生したときの柱の浮き上がり防止等の耐震補強方法として、柱と水平部材との固定部(仕口部)に補強用の金物を固定する方法が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1では、T字の平面形状を有する金物等を仕口部に取り付ける技術が開示されている。
【特許文献1】特開平09−144143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建築物においては、部材の寸法誤差や建築時あるいは補強時の作業員の技量等に起因して、柱と水平部材との間にガタが生じる場合がある。この場合、ガタに相当する量だけ柱と水平部材とのずれが生じ易くなり、構造上の強度が低下する。なお、木造建築において当該ガタに着目した補強方法は提案されていない。
【0004】
ホールダウン金型を用いる補強方法では、柱と水平部材とを密着させる方向にボルトの締結力が作用するために柱と水平部材とのガタを縮小可能と考えられる。しかし、ホールダウン金型を用いる場合には、柱の外周側にホールダウン金型を配置するスペースを要し、ホールダウン金型による補強方法を適用できる範囲は制限されている。
【0005】
本発明は、柱と水平部材とのガタを縮小しつつ構造上の強度を補強し、補強に必要なスペースを縮小可能な木造建築物の補強方法、木造建築物の補強構造及び木造建築物の補強用接合具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点の木造建築物の補強方法は、柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強方法であって、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具を、前記柱に固定する工程と、前記柱に固定された接合具を、前記水平部材側プレート部から前記水平部材の方向へ前記水平部材側プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する工程と、を備える。
【0007】
好適には、前記水平部材の水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、2つの前記柱間に横架される補強用水平材(横架材)に前記接合具を固定する工程を更に備え、前記接合具を前記柱に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記柱と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、前記接合具を前記補強用水平材に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記補強用水平材と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、前記接合具を前記水平部材に固定する工程では、前記柱及び前記補強用水平材に固定された前記接合具を、前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記水平部材プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する。
【0008】
本発明の第2の観点の木造建築物の補強方法は、柱と水平部材とを有し、前記柱及び水平部材のうち一方の部材の端面が他方の部材の側面に当接する木造建築物の補強方法であって、
【0009】
互いに直交して断面L字形を形成する2つのプレート部を有する接合具であって、一方のプレート部が前記一方の部材の側面に対向配置されて固定され、前記他方のプレート部が前記他方の部材の側面に対向配置されて固定される接合具を、前記一方の部材に固定する工程と、前記一方の部材に固定された接合具を、前記他方のプレート部から前記他方の部材の方向へ前記他方のプレート部を貫通して前記他方の部材に挿入されるねじ又は釘により、前記他方の部材に固定する工程とを備える。
【0010】
本発明の第3の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記水平部材の前記水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、前記2本の柱の間に横架される補強用水平材と、前記接合具から前記補強用水平材の方向へ前記接合具及び前記補強用水平材に挿入されるねじ又は釘と、前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記接合具を貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、を備える。
【0011】
本発明の第4の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記水平部材側プレート部に積層されるカバープレートと、前記カバープレートから前記水平部材の方向へ前記カバープレート及び前記水平部材側プレートを貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、を備える。
【0012】
本発明の第5の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記2本の柱に固定される合板と、を備え、前記合板は、該合板と前記水平部材との間に開口部が形成されるように配置されている。
【0013】
本発明の第6の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記土台の水平面に対向配置されて固定される接合具と、を前記2本の柱それぞれに対して備える。
【0014】
本発明の第7の観点の木造建築物の補強構造は、少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、前記柱に固定され、前記土台に挿入されるボルトが挿通されるホールダウン金物と、を前記2本の柱それぞれに対して備える。
【0015】
好適には、前記水平部材側プレート部には、前記柱側プレート部とは反対側に切欠き部が設けられている。
【0016】
本発明の第8の観点の補強用接合具は、柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強用接合具であって、互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を備え、前記水平部材側プレート部は、ねじ又は釘を挿通するための複数の孔部と、前記水平部材側プレート部を打ち抜くことにより形成され、L字の下側に突出する突起部と、を備える。
【0017】
なお、本発明の第1〜第8の観点の補強方法、補強構造及び接合具は適宜に組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、柱と水平部材とのガタを縮小しつつ構造上の強度を補強し、補強に必要なスペースを縮小できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の実施形態
補強構造
図1は、本発明の第1の実施形態の補強構造STR1を示す正面図であり、図2は補強構造STR1を示す断面図である。補強構造STR1は、木造建築物BLD1を耐震補強するための壁構造として構成されている。
【0020】
木造建築物BLD1は、例えばいわゆる軸組工法により建設された家屋である。木造建築物BLD1は、内壁又は外壁を構成する部材として、コンクリート等で構成された基盤1と、基盤1に支持される土台2と、土台2に支持される柱3と、柱3に支持される胴差4とを備えている。なお、土台2及び胴差4はそれぞれ本発明の水平部材として機能する。
【0021】
基盤1は、例えばコンクリートにより構成され、土中に下部が埋没するとともに、上部が土中に突出している。土台2は例えば断面矩形の木材により構成され、基盤1の上部に横臥するように配置されている。なお、土台2の上方に床面FLが位置する。
【0022】
柱3は、例えば断面矩形の木材により構成され、下端面3aが土台2の上面(水平面、長手方向に対しては側面)2aに当接して支持されている。また、柱3は、下端面3aから突出する突出部3bが土台2の上面2aに設けられた穴部3bに嵌合挿入されることにより、土台2に対して水平方向の位置決めがなされている。柱3は1本の土台2上に所定の間隔で複数本設けられている。図1では2本の柱3を例示している。
【0023】
胴差4は、例えば断面矩形の木材により構成され、下面(水平面、長手方向に対しては側面)4aが柱3の上端面3cに当接して支持されている。また、胴差4は、下面4aに設けられた穴部4bに柱3の上端面3cから突出する突出部3dが嵌合挿入されることにより、柱3に対して水平方向の位置決めがなされている。1本の胴差4は複数本の柱3上に支持されている。図1では2本の柱3により支持されている状態を例示している。なお、胴差4の下方には天井面CLが位置する。土台2、柱3及び胴差4の寸法は適宜に設定してよいが、例えば断面の寸法を同一としてもよい。
【0024】
補強構造STR1は、木造建築物BLD1の構造上の強度を補強するために、2本の柱3に横架される受け材5と、柱3及び受け材5に固定される構造用合板6とを含んでいる。
【0025】
受け材5は、例えば断面矩形の木材により構成されている。受け材5は複数本配置され、例えば、合板6の上端、中央、下端を固定するために3本配置される。受け材5は、図2に示すように、受け材5の正面側の側面5aが柱3の正面側の側面3eと続するように配置されている。なお、受け材5は例えば柱3に固定された金具7を介して柱3に固定されている。
【0026】
合板6は、例えば板状の木材により構成され、2本の柱3に亘る幅と、土台2から胴差4までの間隔L1より短い長さL2(例えばL1の4/5)とを有している。合板6は、2本の柱3及び受け材5に対してラグスクリュー(ねじ)又は釘等の固定具8により固定されている。合板6は、合板6の下端部6aと土台2との間に開口部SP1が確保されるように、また、合板6の上端部6bと胴差4との間に開口部SP2が確保されるように、土台2と胴差4と間の中央側に配置されている。合板6は1枚で構成してもよいし、高さ方向の中段に位置する受け材5の高さの中間の位置で分断される2枚で構成してもよい。
【0027】
開口部SP1及びSP2は、後述する接合具11、16の土台2、胴差4への固定作業に必要な大きさが確保されればよい。例えば、L1=2730mm、L2=1820mm、柱間隔(中心間距離)L3=910mmで、SP1、SP2はそれぞれ、概ね400mm×800mm、200mm×800mmのスペースを確保してもよい。
【0028】
補強構造STR1は、土台2と柱3との間の引き抜き抵抗を高くして浮きを防止する等の目的で、土台2と柱3とを接合する接合具(第2の接合具)11と、接合具11と固定された補強用水平材12とを備えている。
【0029】
補強用水平材12は、例えば断面矩形の木材により構成され、土台2の上面2aに対して後述する接合部11の水平部材側プレート部11bを挟んで対向配置され、また、2本の柱3の間に横架されている。補強用水平材12の長さ(図1の紙面左右方向)は2本の柱3の間隔(側面間の距離)と略同一長さに設定されており、補強用水平材12は後述する接合部11の柱側プレート部11aを介して2本の柱3間に嵌合している。補強用水平材12(17)は、例えば断面105mm×105mmで、長さ800.4mmである。
【0030】
図3は接合具11を示す図であり、図3(a)は図1の紙面左右方向から見た図であり、図3(b)は図1の紙面垂直方向に見た図であり、図3(c)は図1の紙面上下方向に見た図であり、図3(d)は接合具11の一部を拡大して示す図である。
【0031】
接合具11は例えば金属で構成され、一枚の板を折り曲げ加工することにより形成される。接合具11は、全体として断面L字状に形成されており、それぞれ板状に形成されるとともに互いに直交する柱側プレート部11a及び水平部材側プレート部11bを有している。図1にも示すように、柱側プレート部11aが、柱3の土台2の延びる側であって他の柱3と対向する側の側面3gに対向し、水平部材側プレート部11bが、土台2の上面2aに対向するように、接合具11は配置されている。
【0032】
図3(a)及び図3(b)に示すように柱側プレート部11aには複数の貫通孔11cが設けられている。図1に示すように、ラグスクリュー又は釘等の固定具13が柱側プレート部11aから柱3の方向へ向かって貫通孔11cに挿通されるとともに、柱3に螺着され又は打ち込まれることにより、接合具11は柱3に固定されている。なお、固定具13としてボルト及びナットを用いてもよい。
【0033】
図3(b)及び図3(c)に示すように水平部材側プレート部11bには複数の貫通孔11d、11eが設けられている。図1に示すように、ラグスクリュー又は釘等の固定具14が水平部材側プレート部11bから補強用水平材12の方向へ向かって貫通孔11d、11eに挿通され、補強用水平材12に螺着され又は打ち込まれることにより、接合具11と補強用水平材12とは固定されている。なお、固定具14としてボルト及びナットを用いてもよい。
【0034】
また、ラグスクリュー又は釘等の固定具15が補強用水平材12から水平部材側プレート部11b及び土台2の方向へ向かって補強用水平材12を貫通するとともに貫通孔11d、11eに挿通され、補強用水平材土台2に螺着され又は打ち込まれることにより、接合具11、補強用水平材12及び土台2は互いに固定されている。
【0035】
なお、貫通孔11c、11d、11eの数や配置、固定具13、14、15の大きさは適宜に設定してよい。例えば、図3(c)に示すように、水平部材側プレート部11bにおいて、柱側プレート部11a側には貫通孔11dを、柱側プレート部11aとは反対側には貫通孔11dよりも径の小さい貫通孔11eを設け、当該貫通孔11eを、接合部11の土台2に対する位置決め用の比較的径の小さい固定具を挿通する貫通孔として利用するとともに、貫通孔11dを、接合部11を比較的堅固に土台2に対して固定するための比較的径の大きい固定具を挿通する貫通孔として利用してもよい。
【0036】
水平部材側プレート部11bには、水平部材側プレート部11bを打ち抜くことにより形成され、L字の外側、すなわち、土台2側に突出する突起部11fが設けられている。突起部11fは、例えば図3(c)に示すように、平面形状を、柱側プレート部11a側を頂点とし、柱側プレート部11aとは反対側を底辺とする2等辺3角形に形成され、当該三角形の底辺で折り曲げられて頂部が土台2側に突出するように打ち抜かれている。また、図3(d)示すように突出部11fの水平部材側プレート部11bに対する折り曲げ角度は直角よりも小さく設定されている。
【0037】
図1に示すように、補強構造STR1は、柱3と胴差4との間の引き抜き抵抗を高くして浮きを防止する等の目的で、柱3と胴差4とを接合する接合具16(第1の接合具)と、接合具16と固定された補強用水平材17とを備えている。
【0038】
接合具16及び補強用水平材17は、接合具11及び補強用水平材12と同様の構成であり、固定具18による接合具16の柱3への固定、固定具19による接合具16の補強用水平材17への固定、固定具20による接合具16の胴差4への固定は、それぞれ固定具13による接合具11の柱3への固定、固定具14による接合具11の補強用水平材12への固定、固定具15による接合具11の土台2への固定と同様である。ただし、接合具16、補強用水平材17、固定具18〜20は、いずれも接合具11、補強用水平材12、固定具13〜15に対して上下対称に配置されている。なお、以下では、接合具11の各部11a〜11fに対応する接合具16の各部を、符号11を16に置き換えて各部16a〜16fとして説明することがある。
【0039】
施工手順
図4は、補強方法の手順を示すフロー図である。まず、既に建築されている木造建築物BLD1について事前調査を行う(ステップST1)。なお、この時点では木造建築物CLD1は本実施形態の補強構造STR1による補強はなされていない。事前調査では、補強の可否や補強方法の選択等の施工に必要な種々の情報を得る等の作業を行う。例えば、柱脚部については、接合具11等の補強用の部材が取り付ける部分に、腐朽や凹凸が無いことを確認し、ゴミを除去する。また、近辺にアンカーボルトがあるか否か調査する。
【0040】
次に事前調査によって得られた情報に基づいて適宜に補強方法(タイプ)を選択する(ステップST2)。例えばアンカーボルトの有無、位置に応じて本実施形態や後述する第2〜第4の実施形態のいずれかを選択する。また、例えば柱3の付近の土台2にボルト等が突出しているか否かにより、本実施形態の接合具11又は後述するU字状の接合具を選択する。
【0041】
補強方法の選択において本実施形態が選択されると、補強用水平材12、17に接合具11、16が取り付けられる(ステップST3)。補強用水平材12、17の取り付け面の確認し、当該補強用水平材12、17を柱3間の取り付け面に位置させる(ステップST4)。
【0042】
接合具11、18を柱3に固定具13、18により固定する(ステップST5)。次に受け材5を柱3に取り付ける(ステップST6)。そして、合板6を受け材5に取り付ける(ステップST7)。
【0043】
突起部11f、16fは土台2、胴差4から受ける荷重により補強用水平材12、17方向へ変形する。当該変形により、柱3は突起部11f、16fから土台2、胴差4から離間する方向へ付勢力を受ける。換言すれば、突起部11f、16fは、柱3と土台2、胴差4との間に介在する板ばね(付勢手段)として機能している。突起部11f、16fの曲げ剛性が比較的高く設定されている場合、接合具11、16の水平部材側プレート部11b、16bと、土台2又は胴差4との間には隙間が生じている。
【0044】
次に固定具15により土台2と接合具11とを固定するとともに、固定具20により胴差4と接合具16とを固定する(ステップST8)。この際、突起部11f、16fの付勢力に反して固定具15、20の締結が行われる。接合具11、16の水平部材側プレート部11b、16bと、土台2又は胴差4との間に隙間が生じていた場合には、突起部11f、16fは土台2又は胴差4により押し込められ、当該隙間はなくなる。その後、取り外した床板や天井を再度取り付ける。
【0045】
なお、接合具11と土台2との固定(ステップST8)は、当該固定により、柱3の端面3aと土台2の上面2aとの間の隙間が縮小あるいは圧力が増加して、ガタが縮小すればよい。従って、例えば、接合具11と柱3とを固定具13により仮止めした状態で、固定具13による接合具11と柱3との最終的な締結を行って、固定具15による接合具16と土台2との最終的な締結を行うようにしてもよい。接合具16と胴差4との固定も同様である。
【0046】
以上の実施形態によれば、接合具11、16を柱3に固定した後に、柱3が土台2又は胴差4に対して当接する方向へ接合具11、16を押圧して土台2又は胴差4に接合具11、16を固定するため、柱3と土台2又は胴差4とのガタが縮小される。
【0047】
水平部材側プレート部11b、16bに挿入されるラグスクリュー等によって補強するため、図1の紙面垂直方向や2本の柱3の外側に接合具を設けるスペースを必要とせず、従来に比較して柱3の取り外しや取り付けのために天井や床板等の取り外しや取り付けをしなくてもよい。
【0048】
開口部SP1、SP2が形成されるように合板6が配置されるため、固定具15、20により接合具11、16を土台2、胴差4に取り付ける作業スペースが確保され、作業が容易になる。
【0049】
柱3と土台2との固定、柱3と胴差4との固定の双方を補強しているため、構造上の強度が効果的に高くなる。
【0050】
突起部11f、16fの付勢力に反して固定具15、20の締結を行うから、固定具15、20による締結力を大きくすることができる。すなわち、柱3と土台2、胴差4とのガタの縮小と等価の効果が得られる。また、突起部11f、16fを三角形に打ち抜いて先端を鋭角に形成していることから、先端が土台2、胴差4を噛み込み、接合具11、16の固定がより堅固になされる。
【0051】
第2の実施形態
補強構造
図5は、本発明の第2の実施形態の補強構造STR2を示す図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
第2の実施形態では、第1の実施形態の土台2側に横架される補強用水平材12に相当する部材が設けられておらず、接合具11と土台2との固定において第1の実施形態と異なっている。
【0053】
図6は、接合具11と土台2との固定部分を拡大して示す断面図である。図6に示すように、接合具11の水平部材側プレート部11bの上面側(土台2とは反対側)には、カバープレート31が積層されている。
【0054】
図7(a)はカバープレート31を図5の紙面上下方向から見た図であり、図7(b)はカバープレート31を水平部材側プレート部11bに積層した状態で図5の紙面上下方向から見た図である。
【0055】
カバープレート31は、例えば金属により構成されている。カバープレート31は、例えば略矩形の板状に形成されるとともに、水平部材側プレート部11bよりもやや狭く形成されている。例えばカバープレート31は、土台2の長手方向に直交する方向の幅(図7の上下方向の幅)が水平部材側プレート部11bと略同じ幅に設定されるとともに、土台2の長手方向の長さ(図7の左右方向の長さ)が横臥部材側プレート部11bの長さの8割〜9割に設定されている。また、カバープレート31は、水平部材側プレート部11bよりも厚く形成されている。例えば、カバープレート31の厚さは水平部材側プレートの厚さの2倍に設定されている。図6に示すようにカバープレート31は、縁部31aが柱側プレート部11aに当接するように配置されており、柱側プレート部11aとは反対側においては、水平部材側プレート部11bの端部が露出している。
【0056】
図7に示すように、カバープレート31には、水平部材側プレート部11bの複数の貫通孔11d(図3(c)及び図6参照)にそれぞれ連なる複数の貫通孔31bと、水平部材側プレート部11bの複数の貫通孔11e(図3(c)及び図6参照)にそれぞれ連なる複数の貫通孔31cとが形成されている。なお、水平部材プレート部11bの複数の貫通孔11eのうち一部についてはカバープレート31が被せられずに露出している。
【0057】
図6に示すように、接合具11は、接合具11から土台2の方向へ向かって、カバープレート31が被せられずに露出している貫通孔11eに挿通されて土台2に螺着又は打ち込まれるラグスクリュー又は釘等の固定具32と、カバープレート31から土台2の方向へ向かって、カバープレート31の貫通孔31c、接合具11の貫通孔11eに挿通されて土台2に螺着され又は打ち込まれるラグスクリュー又は釘等の固定具33と、カバープレート31から土台2の方向へ向かって、カバープレート31の貫通孔31b、接合具11の貫通孔11dに挿通されて土台2に螺着され又は打ち込まれるラグスクリュー又は釘等の固定具34とにより、土台2に対して固定されている。
【0058】
なお、固定具32は接合具11の位置決めに利用され、固定具33はカバープレート31の位置決めに利用され、固定具34は接合具11とカバープレート31及び接合具11とをより堅固に固定する目的で利用されるものであり、例えば固定具34には固定具32、33よりも径の大きいものが利用される。
【0059】
施工方法
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に図4で示した手順で施工してよい。
【0060】
なお、接合具11を土台2へ固定する場合には、まず、水平部材側プレート部11bと土台2の上面2aとの間に所定量(例えば2mm)の隙間を確保するように、固定具13により柱側プレート部11aを柱3に固定する。この際、固定具32による接合具11の位置決めも行う。次に、カバープレート31を固定具33により位置決めし、その後、固定具34により接合具11と土台2との最終的な締結を行う。
【0061】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、カバープレート31が水平部材側プレート部11bに積層されることにより、水平部材プレート部11bの曲げ剛性が補強され、引き抜き抵抗が強化される。
【0062】
第3の実施形態
補強構造
図8は、本発明の第3の実施形態の補強構造STR3を示す図である。第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0063】
補強構造STR3では、土台2と柱3との間の引き抜き抵抗を高くして浮きを防止する等の目的で、ホールダウン金物(第2の接合具)41と、ホールダウン金物41に挿通されるボルト42が利用される。図9は、ホールダウン金物41を示す斜視図である。ホールダウン金物41は、柱3に取り付けるための取り付け部41aと、ボルト42を挿通するためのボルト挿通部41bとを備えている。取り付け部41aは長尺な平板状に形成され、ラグスクリュー、ボルト又は釘等の固定具を挿通するための貫通孔41cが長手方向に沿って複数設けられている。挿通部41bには、取り付け部41aの長手方向に平行な方向にボルト42を挿通するための孔部41dが形成されている。
【0064】
図8に示すように、ホールダウン金物41は、柱3の土台2が延びる側の側面であって、2本の柱3の外側の側面3hに取り付け部41aが対向配置され、貫通孔41c(図9参照)に挿通される不図示の固定具により柱3に固定される。そして、ホールダウン金物41に挿通されたボルト42が土台2を貫通するとともに、基盤1に挿入されて、土台2と柱3との固定部の補強がなされる。
【0065】
施工方法
第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に図4で示した手順で施工してよい。ただし、ステップST3は省略され、ステップST5では、ホールダウン金物41の柱3への固定が行われる。
【0066】
また、事前調査(ステップST1)においては、基礎1に耐力劣化がないことを確認したり、基礎1が有筋か無筋かを確認又は推測するなど、基礎1に関する情報を収集等する必要がある。
【0067】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0068】
第4の実施形態
図10は、本発明の第4の実施形態の補強構造STR3を示す図である。第4の実施形態において、第1及び第3の実施形態と同一の構成については第1及び第3の実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
第4の実施形態では、ホールダウン金物41は、柱3の土台2が延びる側の側面であって、2本の柱3の内側の側面3gに取り付け部41aが対向配置されて、柱3に固定されている。施工方法は第3の実施形態と同様である。
【0070】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
接合具の変形例
図11は、第1及び第2の実施形態の接合具11又は16の変形例である接合具50を示す図である。接合具50は、接合具11と同様の構成を有する。図11では、接合具11の各部11a〜11fに対応する接合具50の各部を、符号11を50に置き換えて各部50a〜50bfとして説明することがある。
【0072】
接合具50は、水平部材側プレート部50bの柱側プレート部50aとは反対側に切欠き部50hが設けられており、平面形状が略U字状に形成されている。
【0073】
また、図11では、第2の実施形態のカバープレート31の変形例であるカバープレート51を点線で示している。カバープレート51は、水平部材側プレート部50bの柱側プレート部50aとは反対側に切欠き部51hが設けられており、平面形状が略U字状に形成されている。切欠き部51hは、縁部が切欠き部50hの縁部と一致する形状、大きさに形成されている。
【0074】
この変形例によれば、例えば土台2の上面2a上に、土台2を基礎1に固定するためのボルトのボルト頭が突出している場合に、これを避けるようにして水平部材側プレート部50bやカバープレート51を配置することができる。
【0075】
本発明は以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施してよい。
【0076】
本発明は、既に建築されている木造建築物の構造上の強度を補強する際に適用するだけでなく、木造建築物を新築する際に適用してもよい。
【0077】
水平部材は、柱を支持又は柱により支持され、柱に対して直交するものであばよく、胴差に限定されない。例えば、端面を柱の側面に当接させて柱に支持される梁又は桁であってもよい。
【0078】
突出部は、当接する土台2等の部材の側面を付勢可能に突出していればよく、その形状、大きさ、プレート部に対する折り曲げ角度は適宜に設定してよい。
【0079】
カバープレートは、水平部材側プレート部の曲げ剛性を補強できるものであればよく、水平部材側プレート部よりも狭いものや水平部材側プレートよりも厚いものに限定されない。例えば、カバープレートは、水平部材側プレート部と同一の面積あるいはそれ以上の面積を有していてもよいし、水平部材側プレートと同一の厚さあるいはそれ以下の厚さでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態の補強構造を示す図である。
【図2】図1の補強構造を示す断面図である。
【図3】図1の補強構造に含まれる接合具を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の施工手順を示すフロー図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の補強構造を示す図である。
【図6】図5の補強構造に含まれる接合具を示す図である。
【図7】図5の補強構造に含まれるカバープレートを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の補強構造を示す図である。
【図9】図8の補強構造に含まれるホールダウン金物を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態の補強構造を示す図である。
【図11】本発明の第1及び第2の実施形態の補強構造に含まれる接合具の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
2…水平部材、3…柱、11…接合具、11a…柱側プレート部、11b…水平部材側プレート部、15…ねじ、釘。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強方法であって、
互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具を、前記柱に固定する工程と、
前記柱に固定された接合具を、前記水平部材側プレート部から前記水平部材の方向へ前記水平部材側プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する工程と、
を備える木造建築物の補強方法。
【請求項2】
前記水平部材の水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、2つの前記柱間に横架される補強用水平材に前記接合具を固定する工程を更に備え、
前記接合具を前記柱に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記柱と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、
前記接合具を前記補強用水平材に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記補強用水平材と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、
前記接合具を前記水平部材に固定する工程では、前記柱及び前記補強用水平材に固定された前記接合具を、前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記水平部材プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する
請求項1に記載の木造建築物の補強方法。
【請求項3】
柱と水平部材とを有し、前記柱及び水平部材のうち一方の部材の端面が他方の部材の側面に当接する木造建築物の補強方法であって、
互いに直交して断面L字形を形成する2つのプレート部を有する接合具であって、一方のプレート部が前記一方の部材の側面に対向配置されて固定され、前記他方のプレート部が前記他方の部材の側面に対向配置されて固定される接合具を、前記一方の部材に固定する工程と、
前記一方の部材に固定された接合具を、前記他方のプレート部から前記他方の部材の方向へ前記他方のプレート部を貫通して前記他方の部材に挿入されるねじ又は釘により、前記他方の部材に固定する工程と、
を備える木造建築物の補強方法。
【請求項4】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記水平部材の前記水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、前記2本の柱の間に横架される補強用水平材と、
前記接合具から前記補強用水平材の方向へ前記接合具及び前記補強用水平材に挿入されるねじ又は釘と、
前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記接合具を貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、
を備える木造建築物の補強構造。
【請求項5】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記水平部材側プレート部に積層されるカバープレートと、
前記カバープレートから前記水平部材の方向へ前記カバープレート及び前記水平部材側プレートを貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、
を備える木造建築物の補強構造。
【請求項6】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記2本の柱に固定される合板と、
を備え、
前記合板は、該合板と前記水平部材との間に開口部が形成されるように配置されている
木造建築物の補強構造。
【請求項7】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記土台の水平面に対向配置されて固定される接合具と、
を前記2本の柱それぞれに対して備える木造建築物の補強構造。
【請求項8】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記柱に固定され、前記土台に挿入されるボルトが挿通されるホールダウン金物と、
を前記2本の柱それぞれに対して備える木造建築物の補強構造。
【請求項9】
前記水平部材側プレート部には、前記柱側プレート部とは反対側に切欠き部が設けられている請求項4〜8のいずれか1項に記載の木造建築物の補強構造。
【請求項10】
柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強用接合具であって、
互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を備え、
前記水平部材側プレート部は、
ねじ又は釘を挿通するための複数の孔部と、
前記水平部材側プレート部を打ち抜くことにより形成され、L字の外側に突出する突起部と、
を備える
木造建築物の補強用接合具。
【請求項1】
柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強方法であって、
互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具を、前記柱に固定する工程と、
前記柱に固定された接合具を、前記水平部材側プレート部から前記水平部材の方向へ前記水平部材側プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する工程と、
を備える木造建築物の補強方法。
【請求項2】
前記水平部材の水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、2つの前記柱間に横架される補強用水平材に前記接合具を固定する工程を更に備え、
前記接合具を前記柱に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記柱と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、
前記接合具を前記補強用水平材に固定する工程では、前記水平部材に固定されていない前記補強用水平材と前記水平部材に固定されていない前記接合具とを固定し、
前記接合具を前記水平部材に固定する工程では、前記柱及び前記補強用水平材に固定された前記接合具を、前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記水平部材プレート部を貫通して前記水平部材に挿入されるねじ又は釘により、前記水平部材に固定する
請求項1に記載の木造建築物の補強方法。
【請求項3】
柱と水平部材とを有し、前記柱及び水平部材のうち一方の部材の端面が他方の部材の側面に当接する木造建築物の補強方法であって、
互いに直交して断面L字形を形成する2つのプレート部を有する接合具であって、一方のプレート部が前記一方の部材の側面に対向配置されて固定され、前記他方のプレート部が前記他方の部材の側面に対向配置されて固定される接合具を、前記一方の部材に固定する工程と、
前記一方の部材に固定された接合具を、前記他方のプレート部から前記他方の部材の方向へ前記他方のプレート部を貫通して前記他方の部材に挿入されるねじ又は釘により、前記他方の部材に固定する工程と、
を備える木造建築物の補強方法。
【請求項4】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記水平部材の前記水平面に前記水平部材側プレート部を挟んで配置され、前記2本の柱の間に横架される補強用水平材と、
前記接合具から前記補強用水平材の方向へ前記接合具及び前記補強用水平材に挿入されるねじ又は釘と、
前記補強用水平材から前記水平部材の方向へ前記補強用水平材及び前記接合具を貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、
を備える木造建築物の補強構造。
【請求項5】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記水平部材側プレート部に積層されるカバープレートと、
前記カバープレートから前記水平部材の方向へ前記カバープレート及び前記水平部材側プレートを貫通し、前記水平部材に挿入されるねじ又は釘と、
を備える木造建築物の補強構造。
【請求項6】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記水平部材の前記水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記2本の柱に固定される合板と、
を備え、
前記合板は、該合板と前記水平部材との間に開口部が形成されるように配置されている
木造建築物の補強構造。
【請求項7】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記土台の水平面に対向配置されて固定される接合具と、
を前記2本の柱それぞれに対して備える木造建築物の補強構造。
【請求項8】
少なくとも2本の柱と、前記2本の柱を支持する土台と、前記2本の柱の上端面に水平面が当接して支持される胴差とを有する木造建築物の補強構造であって、
互いに直交して断面L字形を成す柱側プレート部及び水平部材側プレート部を有する接合具であって、前記柱側プレート部が前記柱の側面に対向配置されて固定され、前記水平部材側プレート部が前記胴差の水平面に対向配置されて固定される接合具と、
前記柱に固定され、前記土台に挿入されるボルトが挿通されるホールダウン金物と、
を前記2本の柱それぞれに対して備える木造建築物の補強構造。
【請求項9】
前記水平部材側プレート部には、前記柱側プレート部とは反対側に切欠き部が設けられている請求項4〜8のいずれか1項に記載の木造建築物の補強構造。
【請求項10】
柱と前記柱の端面に水平面が当接する水平部材とを有する木造建築物の補強用接合具であって、
互いに直交して断面L字形を形成する柱側プレート部及び水平部材側プレート部を備え、
前記水平部材側プレート部は、
ねじ又は釘を挿通するための複数の孔部と、
前記水平部材側プレート部を打ち抜くことにより形成され、L字の外側に突出する突起部と、
を備える
木造建築物の補強用接合具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−214135(P2006−214135A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27129(P2005−27129)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(505043409)株式会社シーエムシー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(505043409)株式会社シーエムシー (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]