説明

止水用ゴムシート及び本管と分岐管接続用支管との接続構造

【課題】本管と分岐管接続用支管とを接続する際に用いられる止水効果の高い止水用ゴムシートを提供する。
【解決手段】止水用ゴムシート40のゴムシート裏面40Bには、下水本管1の環状リブ1Aを嵌着するためのリブ溝41が多数並設されており、かつ、該止水用ゴムシート40が該下水本管1に被着された状態で該下水本管1の外周面に直交する方向に突出する一条の止水用突条42がゴムシート開口部43を囲繞するように設けられており、さらに、上記リブ溝41のうち該止水用ゴムシート40が該下水本管1に被着された状態で該下水本管1の管軸方向において両端に位置するリブ溝41A,41Aが該止水用突条42の外側に配置されており、該止水用ゴムシート40が該下水本管1の外周面と該分岐管接続用支管2のサドル部材7との間に介在した状態で、該リブ溝41,41Aに該環状リブ1Aがそれぞれ嵌着し、かつ、該止水用突条42の先端縁が該下水本管1の外周面と該環状リブ1Aとにそれぞれ圧接するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リブ付きの本管に分岐管接続用支管を接続する際に使用される止水用ゴムシート、及び該止水用ゴムシートが使用された本管と分岐管接続用支管との接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、公共ますに接続された分岐管と外周面に環状リブが多数並設されているリブ付きの下水本管(本管)とが接続される場合には、まず該下水本管の周面に設けられた開口部に分岐管接続用支管が接続され、該分岐管接続用支管を介して該分岐管が該下水本管に接続される。
【0003】
また、該下水本管と該分岐管接続用支管との間には、漏水を防止すべくゴムシール材(止水用ゴムシート)が介装される。例えば特許文献1におけるゴムシール材の内面には、該下水本管の環状リブが嵌合するリブ嵌合溝、および該ゴムシール材に設けられた連通孔を囲繞する複数条の封水用小突出環が設けられている。また、該封水用小突出環cの突出方向は、該ゴムシール材bが該下水本管aの上部に被着された際に略鉛直下向き(すなわち装着方向)に突出するように設けられている(図18参照)。
そして、該ゴムシール材が該下水本管と該分岐管接続用支管との間に介装された状態で下水本管の各環状リブがゴムシール材のリブ嵌合溝に嵌合し、かつ、該ゴムシール材の各封水用小突出環が該下水本管の外周面に圧接されて水密状態が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO01/094834号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成において、ゴムシール材に設けられた封水用小突出環は複数(3本)であるため、該封水用小突出環が下水本管の外周面に圧接した際に、該封水用突出環を該外周面に押し付ける押圧力が各封水用小突出環に分散してしまい、該封水用小突出環と該下水本管の外周面との間に隙間が生じやすくなり、所望の止水効果が得られないという問題があった。
また、図18に示すように、該封水用小突出環cが、該ゴムシール材bが該下水本管aの上部に被着された際に略鉛直下向きとなる方向に突出していると、該ゴムシール材bが該下水本管aに被着された際に該封水用小突出環cの突出方向と該分岐管接続用支管のサドル部dによる該ゴムシール材bへの圧力方向とが一致せず、該封水用小突出環cが該下水本管aの外周面に対して斜めの向きに当接するため、該封水用小突出環cが該外周面に強く圧接されにくく、該封水用小突出環cと該下水本管aの外周面との間に隙間が生じやすくなって漏水が生ずるおそれがあった。
さらに、上記特許文献1の構成においては、該ゴムシール材が該下水本管に被着された際に、該ゴムシール材の側面が該環状リブの側面に当接するが、該本管の成形精度が悪く該本管のリブの寸法や位置にくるいがあると該ゴムシール材の両端面と該リブとの間に隙間が形成されてしまい、この隙間から漏水が生ずるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、上記問題を解決すべく、外周面に環状リブが多数並設されているリブ付きの本管の周面に設けられた分岐管接続用開口部に分岐管接続用支管が接続される場合に、該本管の外周面と該分岐管接続用支管に設けられたサドル部との間に介在される止水用ゴムシートであって、該止水用ゴムシートの略中央には該止水用ゴムシートが該本管に被着された状態で該分岐管接続用開口部に連通するゴムシート開口部が形成されており、また該本管の外周面に接触する該止水用ゴムシートの裏面には、該止水用ゴムシートが該本管に被着された状態で該本管の外周面に直交する方向に突出する一条の止水用突条が該ゴムシート開口部を囲繞するように設けられており、かつ、該本管の環状リブを嵌着するためのリブ溝が多数並設されており、さらに、該リブ溝のうち該止水用ゴムシートが該本管に被着された状態で該本管の管軸方向において両端に位置するリブ溝が該止水用突条の外側に配置されており、該止水用ゴムシートが該本管の外周面と該分岐管接続用支管のサドル部との間に介在した状態で、該リブ溝に該環状リブがそれぞれ嵌着し、かつ、該止水用突条の先端縁が該本管の外周面と該環状リブとにそれぞれ圧接することを特徴とする止水用ゴムシートを提供するものである。
【0007】
上記構成において、止水用突条を一条のみとすることにより、該止水用突条が該本管の外周面に圧接した際に該止水用ゴムシートを該本管の外周面に押し付ける押圧力が分散してしまうことがなくなる。このため、該止水用突条が従来構成に比して強く該本管の外周面に圧接されることとなり、止水効果が向上して漏水を防止できる。
また、該止水用突条の突出方向を、該止水用ゴムシートが該本管に被着された状態で該本管の外周面に直交する方向としたため、該止水用ゴムシートが該本管に被着された際に該止水用突条の突出方向と該分岐管接続用支管のサドル部の該止水用ゴムシートへの圧力方向とが一致し、該止水用突条が該外周面に対して略垂直に押し当てられることとなる。これによって該止水用突条と該本管の外周面とが従来に比してより強く密着することとなり、止水効果が一層向上する。
さらに、上記のようにリブ溝を本管の管軸方向において該止水用突条の外側にも配置し、該止水用突条の外側領域において該リブ溝に該環状リブが嵌着する構成とすることにより、該止水用ゴムシートが該止水用突条の外側領域でも該環状リブを跨ぐ(該環状リブを該リブ溝で挟む)こととなり、たとえ該本管の成形の精度が低いような場合にも該止水用ゴムシートと該本管との間に隙間が形成されにくくなって止水効果が向上する。
【0008】
また、該止水用ゴムシートの裏面において、互いに交差している該リブ溝と該止水用突条とが該止水用ゴムシートの裏面側から見て直交状とされている構成が好ましい。
【0009】
上記構成においては、環状リブが該リブ溝内に挿入される際に該環状リブと該止水用突条とが干渉しにくい。したがって、上記構成は、環状リブが該リブ溝内に挿入される際に該止水用突条に干渉して該止水用突条がねじれてしまい、ねじれた止水用突条の先端縁が該本管の外周面及び該環状リブに適切に圧接しない、という不具合が起こらない。
【0010】
また、該止水用ゴムシートの裏面とは反対にある該止水用ゴムシートの表面に一条の補助突条が該ゴムシート開口部を囲繞するように設けられている構成であって、該補助突条は、該止水用突条の突出方向において該止水用突条の真裏位置に配置され、かつ該止水用突条の突出方向とは反対の方向に突出し、該止水用ゴムシートが該本管の外周面と該分岐管接続用支管のサドル部との間に介在した状態で、該補助突条の先端縁が該サドル部に圧接する構成が好ましい。
【0011】
上記構成にあっては、該補助突条のサドル部への圧力方向、該止水用突条の本管外周面への圧力方向、並びに、該補助突条及び該止水用突条の突出方向とが略同一直線上に配置される。このため、該本管の外周面に対する該止水用ゴムシートの押圧力が該止水用突条に集中することとなり、該止水用突条がより一層強く該本管の外周面に圧接されることとなる。
【0012】
また、該止水用ゴムシートが該本管の外周面の適正位置に被着された際に該本管に予め設定されている目印と適合する位置合わせ用目印が、該止水用ゴムシートの裏面以外の部分に設けられていてもよい。
【0013】
上記構成とすることにより、作業者は該位置合わせ用目印を目視しながら該止水用ゴムシートを該本管の分岐管接続用開口部の周りに適正に配置することができるため、全体として分岐管接続用支管の接続作業が容易となり、作業性が向上する。
【0014】
また、上記した止水用ゴムシートが使用された該本管と該分岐管接続用支管との接続構造において、該分岐管接続用支管のサドル部の該止水用ゴムシートと接触する接触面が湾曲形状であり、さらに該接触面の曲率半径が、該本管の外周面に被着されて湾曲状態にある該止水用ゴムシートの表面の曲率半径よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする本管と分岐管接続用支管との接続構造が好ましい。
【0015】
上記構成においては、該本管の該分岐管接続用開口部に該分岐管接続用支管が接続される際に、該サドル部が該止水用ゴムシートに強く食い込んで接触することとなるため、該止水用ゴムシートのシール性がより一層向上することとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、本管と分岐管接続用支管との接続部位において止水効果が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一実施形態における下水本管と分岐管接続用支管との接続構造を示す縦断面図
【図2】第一実施形態における分岐管接続用支管の分解図
【図3】第一実施形態における分岐管接続用支管の取り付けるときの状態を示す説明縦断面図
【図4】第一実施形態の止水用ゴムシートの外観斜視図
【図5】第一実施形態の止水用ゴムシートの正面図
【図6】第一実施形態の止水用ゴムシートの側面図
【図7】第一実施形態の止水用ゴムシートの裏面図
【図8】図6のA−A線断面図
【図9】図6の部分拡大断面図
【図10】第一実施形態における使用状態の止水用ゴムシートの平面図
【図11】第一実施形態における使用状態の止水用ゴムシートの側面図
【図12】図11の部分拡大断面図
【図13】第一実施形態における下水本管と分岐管接続用支管とを側方から示す概略図
【図14】第二実施形態の止水用ゴムシートの外観斜視図
【図15】第二実施形態の止水用ゴムシートの裏面図
【図16】使用状態の支管接続用ガイド部材の外観斜視図
【図17】分岐管接続用支管を接続する方法を説明する説明図
【図18】従来構成のゴムシート材を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
以下、本発明を具体化した第1実施形態を詳細に説明する。
図1等に示すように、外周面に環状リブ1Aが多数並設されているリブ付き円筒形状の下水本管(本管)1に分岐管(図示せず)を接続する際には、該下水本管1の周面に設けられた分岐管接続用開口部3に分岐管接続用支管2が接続される。
なお、該下水本管1の該環状リブ1Aは、該下水本管1が埋設された際の土圧に対して強度、剛性を確保するためのものである。また、該分岐管接続用開口部3は、分岐管の配置を考慮しながら、作業現場にてホルソー等の穿孔手段を用いて下水本管1の周壁に貫通状に形成される。但し、該分岐管接続用開口部3を作業現場で形成することに限らず、予め工場等で該分岐管接続用開口部3を形成しておいてもよい。
【0019】
上記分岐管接続用支管2について図1等に従って説明する。
図1,2に示すように、分岐管接続用支管2は、下水本管1に係止される係止部材6と、該係止部材6に外嵌されて該下水本管1の外周面に装着されるサドル部材7と、該サドル部材7に内挿され、最終的に分岐管が接続されることとなる接続部材9とを有している。なお、該サドル部材7により本発明のサドル部が構成される。
【0020】
前記係止部材6には、下水本管1に設けられた分岐管接続用開口部3の周縁に係止される可動爪4及び固定爪5が設けられている。該係止部材6において該可動爪4及び該固定爪5は、断面略L字状とされ、それぞれが略水平に差し出された係止板10を有している。該係止板10の形状は、下水本管1の分岐管接続用開口部3の周縁部の内周面の形状に沿ったアーチ形状とされている。そして、該可動爪4は、その上部側面から一対の枢着ピン11が突設されており、該枢着ピン11を介して該係止部材6に回動可能に枢着されている。一方、該固定爪5は、該係止部材6に一体的に設けられている。また、該係止部材6の内周面であって、該可動爪4及び該固定爪5の係止板10の上方には、下方へ向けて縮径したテーパー状の当接段部13が設けられている。
なお、本実施例において該可動爪4及び該固定爪5は、該分岐管接続用開口部3に係止された際には下水本管1の管軸方向に並ぶように配置される。
【0021】
前記サドル部材7の下部には、略水平に差し出された一対のサドル板14,14が設けられている。該サドル板14は硬質の塩化ビニル樹脂で構成されており、後述の止水用ゴムシート40のゴムシート表面40Aに当接する下向きの接触面15は、下水本管1の外周面に沿った湾曲形状とされている。また、該サドル板14の上向きの周面にはリブ7Aが設けられており、該サドル板14の剛性、強度等が確保されている。
また、該サドル部材7の上部内周面には当接段部16が設けられており、さらに該サドル部材7の上端の内周面には環状係合爪17が突設されている。
【0022】
前記接続部材9の下部には、フランジ部21を介して挿入部18が設けられている。また該フランジ部21の下部には下向きの段面23が形成されており、該段面23に沿ってリング状のパッキン24が嵌着されている。また、該段面23の下方には、係止段部22が形成されている。さらに、該挿入部18の下端部には、該挿入部18の先端方向に縮径したテーパー状の当接部20が設けられている。
さらに該接続部材9の外周には左右一対の折り畳み可能な把手25が取り付けられている。また、該接続部材9の上部には分岐管が差し込まれるゴム輪受口8が設けられており、該ゴム輪受口8の内周面には分岐管の周面に当接するゴム輪31が装着されている。
【0023】
加えて、該接続部材9において、該係止段部22にはリング状の押圧部材26が嵌着される。図2に示すように該押圧部材26は断面略L字状とされており、該接続部材9の挿入部18に外挿され、該パッキン24を介して該接続部材9の段面23に該押圧部材26の上周面27が当接し、かつ該接続部材9の係止段部22に該押圧部材26の内側上周面30が当接している。
さらに該押圧部材26には、前記サドル部材7の当接段部16と係止部材6の上端6Aとが当接する下周面28が設定されている。
【0024】
本発明にかかる止水用ゴムシート40について図4等を用いて説明する。
該止水用ゴムシート40は、図1,3に示すように、該下水本管1の外周面と、該サドル部材7におけるサドル板14との間に介装されて使用される。該止水用ゴムシート40の材料は、天然ゴム又は合成ゴムなどのゴム材料が採用され、全体として略馬鞍状に成形されている。
【0025】
図4等に示すように、該止水用ゴムシート40の略中央には、略矩形状のゴムシート開口部43が形成されている。また、図7,8に示すように、該止水用ゴムシート40において下水本管1の外周面に接触するゴムシート裏面40Bには、該ゴムシート開口部43を囲繞するように、一条の止水用突条42が設けられている。該止水用突条42は、図12に示すように、該止水用ゴムシート40が上記下水本管1に被着された状態で、該止水用突条42の先端縁が該下水本管1の外周面に圧接するものであり、さらに図9に示すように、該止水用突条42の突出方向Lは、該止水用ゴムシート40が該下水本管1に被着された状態で該下水本管1の外周面に直交する方向に設定されている。
【0026】
また、該ゴムシート裏面40Bには、該下水本管1の環状リブ1Aを嵌着するためのリブ溝41が多数並設されている。該ゴムシート裏面40Bにおいて、該リブ溝41と該止水用突条42とが交差する部位においては該リブ溝41内にも溝壁に沿って該止水用突条42が設けられており、該リブ溝41に該環状リブ1Aが嵌着された際に該環状リブ1Aに該止水用突条42の先端縁が圧接するように設定されている。
また、図7に示すように、互いに交差している該リブ溝41と該止水用突条42とが該ゴムシート裏面40B側から見た際に直交状となるように設定されている。
【0027】
さらに、上記したリブ溝41のうち、該止水用ゴムシート40が該下水本管1に被着された状態で該下水本管1の管軸方向において両端に位置する一対のリブ溝41A,41Aが、該止水用突条42の外側に配置されるように設定されている。
【0028】
一方、図9に示すように、該ゴムシート裏面40Bとは反対にあり、サドル部材7と接触するゴムシート表面40Aには、一条の補助突条45が該ゴムシート開口部43を囲繞するように設けられている。該補助突条45は、該止水用突条42の突出方向Lにおいて該止水用突条42の真裏位置に配置され、かつ該止水用突条42の突出方向Lとは反対の方向に突出している。
【0029】
また、該ゴムシート表面40Aは、両端のリブ溝41A,41Aの位置を示すものであり、該リブ溝41A,41Aに沿って設けられた両端リブ溝位置合わせ用目印46,46が溝状に設けられている。さらに、該ゴムシート表面40Aには、図4に示すように、該止水用ゴムシート40が該下水本管1に適正に被着された状態で該下水本管1の中央に設けられた管軸に沿う標線1B(図10参照)に適合する標線位置合わせ用目印47も設けられている。
さらに、該ゴムシート開口部43における該下水本管1の管軸に平行な一対の周縁にも、該下水本管1のリブ溝41の位置に適合するリブ溝位置合わせ用目印48が溝状に複数設けられている。
上記の位置合わせ用目印46,47,48の形状等は、その他の構成であってもよく、凸状としてもよいし、マーカーで表示するようにしてもよいし、また線状でもあってもよいし点状であってもよい。
【0030】
これまでに述べた構成において、該下水本管1に該分岐管接続用支管2を接続するには、まず、該下水本管1に該止水用ゴムシート40を被着する。
このとき、該下水本管1に設けられた分岐管接続用開口部3と、該止水用ゴムシート40のゴムシート開口部43とを連通させるようにしつつ、上記位置合わせ用目印46,47,48を目視しながら、両端リブ溝位置合わせ用目印46とこれに対応する環状リブ1A、標線位置合わせ用目印47と標線1B、リブ溝位置合わせ用目印48と環状リブ1Aと、をそれぞれ適合させて、該下水本管1の環状リブ1Aを該止水用ゴムシート40の該リブ溝41,41Aにそれぞれ嵌着し、かつ該下水本管1の外周面及び該環状リブ1Aに該止水用ゴムシート40の止水用突条42を圧接させた状態として、該止水用ゴムシート40を該下水本管1の外周面の適正位置に被着する。
なお、該下水本管1の外周面及び/又は該止水用ゴムシート40のゴムシート裏面40Bに接合剤を塗布してから該止水用ゴムシート40を被着してもよい。
【0031】
そして、次に、図3に示すような態様で上記サドル部材7のサドル板14の接触面15を該止水用ゴムシート40のゴムシート表面40A上に当接させるようにして、分岐管接続用支管2を該下水本管1に接続する。
具体的には、係止部材6の固定爪5を下水本管1の分岐管接続用開口部3の周縁の内周面に係止させると共に、可動爪4を枢着ピン11を中心として内側に回動させて、該可動爪4が該分岐管接続用開口部3を通過可能な状態とする。
次いで、該係止部材6の可動爪4を下水本管1の分岐管接続用開口部3を通過させた後、該可動爪4を枢着ピン11を中心として外側に回動させて、該可動爪4を該分岐管接続用開口部3の周縁の内周面に係止させる。その後、把手25を手掛かりとしながら接続部材9の挿入部18の当接部20を、係止部材6の当接段部13に当接させ、かつ接続部材9のフランジ部21とサドル部材7の環状係合爪17とを係合させ、さらに押圧部材26の下周面28に前記サドル部材7の当接段部16と係止部材6の上端6Aとを当接させる。そうすると、可動爪4の上部も、接続部材9の挿入部18の外周面とサドル部材7の内周面とによって挟持され、該可動爪4の回動が阻止され、該可動爪4が分岐管接続用開口部3を通過不可能とされる。
これにより、分岐管接続用支管2が確実に該下水本管1に接続されることとなり、該サドル部材7のサドル板14の接触面15と該下水本管1の外周面との間に該止水用ゴムシート40が介装される。また、このような介装状態にあっては、該止水用ゴムシート40の補助突条45の先端縁が該サドル板14の接触面15に圧接し、かつ止水用突条42の先端縁が該下水本管1の外周面及び環状リブ1Aに圧接し、水密状態が確保される。
【0032】
ここで、該下水本管1と該分岐管接続用支管2との接続構造60においては、図13に示すように、該サドル部材7のサドル板14の接触面15の曲率半径R1が、該下水本管1の外周面に被着されて湾曲状態にある該止水用ゴムシート40のゴムシート表面40Aの曲率半径R2よりも小さくなるように設定されている。かかる構成とすることにより、該サドル板14が、該止水用ゴムシート40に強く食い込みながら当接することとなり、該止水用ゴムシート40のシール性がより一層向上する。
【0033】
〔第2実施形態〕
第二実施形態の止水用ゴムシート50を図14等に従って説明する。なお、第1実施形態と共通する構成については説明を簡略する。
図14,15に示すように、止水用ゴムシート50は、平面視略円形状とされており、中央に略円形のゴムシート開口部53が形成されている。また、該止水用ゴムシート50のゴムシート裏面50Bには、リブ溝51が多数並設されていると共に、該ゴムシート開口部53を囲繞するように止水用突条52が一条設けられている。
また、上記リブ溝51のうち、該止水用ゴムシート50が該下水本管1に被着された状態で該下水本管1の管軸方向において両端に位置するリブ溝51A,51Aは、該止水用突条52の外側に配置されている。
さらに、ゴムシート表面50Aには、補助突条55が設けられ、さらに位置合わせ用目印57,58が設けられている。
該止水用ゴムシート50においても、第1実施形態と同様な態様で下水本管1とサドル部材7との間に介装されて使用される。
【0034】
また本発明は、上記第1、第2実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更することができる。例えば、該止水用ゴムシート40,50の外観形状は適宜変更可能である。また、下水本管1と分岐管接続用支管2との接続構造や接続方法は適宜変更可能である。
また、上記した補助突条45,55が設けられていない止水用ゴムシート40,50も本発明に含まれる。
また、該サドル板14の接触面15の曲率半径R1と、止水用ゴムシート40、50のゴムシート表面40A,50Aの曲率半径R2とが等しくなるように設定された接続構造60も本発明に含まれる。
また、上記した位置合わせ用目印46,47,48,57,58が設けられていない止水用ゴムシート40,50も本発明に含まれる。
また、上記した分岐管接続用支管2は、いわゆる回転取付型支管であるが、その他の型の支管であってもよい。例えば、番線を用いて下水本管に固定するような公知の分岐管接続用支管であってもよい。
また、下水本管1の分岐管接続用開口部3に分岐管接続用支管2を接続する際に図16に示すような支管接続用ガイド部材65を用いてもよい。該支管接続用ガイド部材65は、例えば一枚のダンボールの板片からなり、該分岐管接続用接続支管2の管内に予め内嵌され、かつ該支管接続用ガイド部材65の一端が該分岐管接続用接続支管2の下水本管1側の管端から差し出され、この差し出された差出部65Aが該分岐管接続用開口部3に挿入可能な寸法形状とされている。
そして、接続作業時において、該支管接続用ガイド部材65の差出部65Aを該分岐管接続用開口部3に挿入しながら、該分岐管接続用接続支管2を該下水本管1に対して適正位置に配置する。
上記構成とすることにより、接続作業を行う作業者が、分岐管接続用支管2のサドル部材7によって分岐管接続用開口部3の位置が目視で確認できない場合でも容易かつ迅速に該分岐管接続用支管2を該下水本管1の外周面の適正位置に配置することが可能となる。
該支管接続用ガイド部材65は、二枚のダンボールからなる板片を平面視十字状に組み合わせてなるものでもよい。また、支管接続用ガイド部材65の材料は、ダンボールに代えて公知の発泡材料等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 下水本管(本管)
1A 環状リブ
2 分岐管接続用支管
3 分岐管接続用開口部
7 サドル部材(サドル部)
15 接触面
40,50 止水用ゴムシート
40A ゴムシート表面(止水用ゴムシートの表面)
40B ゴムシート裏面(止水用ゴムシートの裏面)
41,41A,51,51A リブ溝
42,52 止水用突条
43,53 ゴムシート開口部
45,55 補助突条
46,47,48,57,58 位置合わせ用目印
60 本管と分岐管接続用支管との接続構造
L 突出方向
R1 接触面の曲率半径
R2 ゴムシート表面の曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に環状リブが多数並設されているリブ付きの本管の周面に設けられた分岐管接続用開口部に分岐管接続用支管が接続される場合に、該本管の外周面と該分岐管接続用支管に設けられたサドル部との間に介在される止水用ゴムシートであって、
該止水用ゴムシートの略中央には該止水用ゴムシートが該本管に被着された状態で該分岐管接続用開口部に連通するゴムシート開口部が形成されており、
また該本管の外周面に接触する該止水用ゴムシートの裏面には、該止水用ゴムシートが該本管に被着された状態で該本管の外周面に直交する方向に突出する一条の止水用突条が該ゴムシート開口部を囲繞するように設けられており、かつ、該本管の環状リブを嵌着するためのリブ溝が多数並設されており、さらに、該リブ溝のうち該止水用ゴムシートが該本管に被着された状態で該本管の管軸方向において両端に位置するリブ溝が該止水用突条の外側に配置されており、
該止水用ゴムシートが該本管の外周面と該分岐管接続用支管のサドル部との間に介在した状態で、該リブ溝に該環状リブがそれぞれ嵌着し、かつ、該止水用突条の先端縁が該本管の外周面と該環状リブとにそれぞれ圧接することを特徴とする止水用ゴムシート。
【請求項2】
該止水用ゴムシートの裏面において、互いに交差している該リブ溝と該止水用突条とが該止水用ゴムシートの裏面側から見て直交状とされている請求項1記載の止水用ゴムシート。
【請求項3】
該止水用ゴムシートの裏面とは反対にある該止水用ゴムシートの表面に一条の補助突条が該ゴムシート開口部を囲繞するように設けられている構成であって、
該補助突条は、該止水用突条の突出方向において該止水用突条の真裏位置に配置され、かつ該止水用突条の突出方向とは反対の方向に突出し、
該止水用ゴムシートが該本管の外周面と該分岐管接続用支管のサドル部との間に介在した状態で、該補助突条の先端縁が該サドル部に圧接する請求項1又は請求項2記載の止水用ゴムシート。
【請求項4】
該止水用ゴムシートが該本管の外周面の適正位置に被着された際に該本管に予め設定されている目印と適合する位置合わせ用目印が、該止水用ゴムシートの裏面以外の部分に設けられている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の止水用ゴムシート。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の止水用ゴムシートが使用された該本管と該分岐管接続用支管との接続構造において、
該分岐管接続用支管のサドル部の該止水用ゴムシートと接触する接触面が湾曲形状であり、さらに該接触面の曲率半径が、該本管の外周面に被着されて湾曲状態にある該止水用ゴムシートの表面の曲率半径よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする本管と分岐管接続用支管との接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−219962(P2011−219962A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88852(P2010−88852)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】