減衰力調整式緩衝器
【課題】伸び側及び縮み側共通の減衰力調整機構を備えた減衰力調整式緩衝器において、所望の減衰力特性が得られるようにする。
【解決手段】ピストンロッド6の伸び側行程時には、ピストン5の逆止弁13が閉じ、ベースバルブ10の逆止弁17が開き、縮み行程時には、逆止弁13が開き、逆止弁17が閉じることにより、伸縮いずれの行程においても作動液がシリンダ上室2Aから環状通路21、減衰力調整機構25を通ってリザーバ4に流れ、減衰力調整機構25によって減衰力が発生する。逆止弁13に、ピストン速度の極低速域で開弁してオリフィス通路を介して作動液を流通させるサブ逆止弁を並列に設け、ピストン速度の上昇に対してこれらの逆止弁を順次開弁させることにより、ピストン速度の極低速域において、ピストンロッド6の縮み側の減衰力を充分小さくしつつ、ピストン速度の上昇時には適度な減衰力を得る。
【解決手段】ピストンロッド6の伸び側行程時には、ピストン5の逆止弁13が閉じ、ベースバルブ10の逆止弁17が開き、縮み行程時には、逆止弁13が開き、逆止弁17が閉じることにより、伸縮いずれの行程においても作動液がシリンダ上室2Aから環状通路21、減衰力調整機構25を通ってリザーバ4に流れ、減衰力調整機構25によって減衰力が発生する。逆止弁13に、ピストン速度の極低速域で開弁してオリフィス通路を介して作動液を流通させるサブ逆止弁を並列に設け、ピストン速度の上昇に対してこれらの逆止弁を順次開弁させることにより、ピストン速度の極低速域において、ピストンロッド6の縮み側の減衰力を充分小さくしつつ、ピストン速度の上昇時には適度な減衰力を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減衰力特性を調整可能とした減衰力調整式緩衝器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両のサスペンション装置に装着される筒型の緩衝器は、一般的に作動油が封入されたシリンダ内に、ピストンロッドが連結されたピストンを挿入し、ピストンロッドのストロークに対して、シリンダ内のピストンの摺動によって生じる作動液の流れをオリフィス及びディスクバルブ等からなる減衰力発生機構によって制御して減衰力を発生させる。そして、可変オリフィス等を用いて減衰力発生機構の流通抵抗を変化させることにより減衰力特性を調整可能とした減衰力調整式緩衝器が公知である。
【0003】
減衰力調整式緩衝器として、例えば特許文献1に記載されているように、シリンダの底部のベースバルブに設けられてリザーバからシリンダの底部側の室への作動液の流通を許容する逆止弁と、ピストン部に設けられてシリンダの底部側の室からピストンロッド側の室への作動液の流通を許容する逆止弁と、シリンダの外部に設けられてシリンダのピストンロッド側の室とリザーバとを連通する減衰通路とを備え、この減衰通路に作動液の流れを制御し、減衰力を調整可能とした減衰力調整機構を設けた構造のものがある。
【0004】
この構造では、ピストンロッドの伸縮行程共にシリンダのピストンロッド側の室から減衰通路を通ってリザーバへ作動液が流れ、減衰力調整機構によって減衰力が発生する。このように、ピストンロッドの伸縮ストロークに対して、減衰通路に常時一方向の作動液の流れが生じるので、ピストンロッドの伸び及び縮み行程共に1つの減衰力調整機構によって減衰力を発生させてその減衰力特性を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−281584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されたもののように、減衰通路に生じる一方向の作動液の流れに対して1つの減衰力調整機構によって減衰力を発生させるようにした減衰力調整式緩衝器では、次のような問題がある。1つの減衰力調整機構によって伸び側及び縮み側の減衰力特性を調整するため、一方の減衰力特性が他方の減衰力特性に影響するので、減衰力特性の調整範囲に制約があり、所望の減衰力特性を得にくい。
【0007】
本発明は、伸び側及び縮み側共通の減衰力調整機構を用いつつ所望の減衰力特性が得られるようにした減衰力調整式緩衝器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る減衰力調整式緩衝器は、作動液が封入されたシリンダと、作動液及びガスが封入されたリザーバと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されて該シリンダ内を第1室と第2室とに画成するピストンと、一端部が前記ピストンに連結され、他端部が前記第1室を通って外部へ延出されたピストンロッドと、前記第2室と前記リザーバとを画成するベースバルブと、前記ピストンに設けられて前記第2室側から前記第1室側への作動液の流通を許容する第1逆止弁と、前記ベースバルブに設けられて前記リザーバ側から前記第2室側への作動液の流通を許容する第2逆止弁と、前記第1室と前記リザーバとを接続する通路と、該通路の作動液の流れを制御して減衰力を調整する減衰力調整機構とを備え、
前記第1及び第2逆止弁の少なくとも一方に対して、並列にオリフィス通路を設け、該オリフィス通路にはサブ逆止弁を設け、該サブ逆止弁は、前記オリフィス通路が並列に設けられた逆止弁に対して、より低い圧力で開弁して同じ方向の作動液の流れを許容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、伸び側及び縮み側共通の減衰力調整機構を用いつつ、所望の減衰力特性を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る減衰力調整式緩衝器の縦断面図である。
【図2】図1の減衰力調整式緩衝器のピストン部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図2に示すピストン部の逆止弁の開閉状態を示す拡大縦断面図である。
【図4】図1の減衰力調整式緩衝器の逆止弁を構成するディスクの平面図である。
【図5】図1の減衰力調整式緩衝器の減衰力特性を示すグラフ図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る減衰力調整式緩衝器のピストン部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】図6に示すピストン部の逆止弁の開閉状態を示す拡大縦断面図である。
【図8】図6に示すピストン部の逆止弁を構成するディスクの平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る減衰力調整式緩衝器のベースバルブ部を拡大して示す縦断面図である。
【図10】図9に示すベースバルブ部の逆止弁の開閉状態を示す拡大縦断面図である。
【図11】図9に示すベースバルブ部の逆止弁を構成するディスクの平面図である。
【図12】車両用の減衰力調整式緩衝器の減衰力特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施の形態は、上述の発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄に記載した内容に止まる事無くその他にもいろいろな課題を解決し、効果を呈している。以下の実施の形態が解決する課題の主なものを、上述の欄に記載した内容をも含め、次に列挙する。
【0012】
〔減衰力特性と車両挙動〕
図12を用いて、車両に求められる緩衝器の減衰力特性と車両挙動の関係を説明する。図12は、緩衝器の縮み側のピストン速度に対する減衰力特性を示すものである。昨今、車両挙動に対して求められていることをピストン速度の領域毎に説明する。図12を参照して、ピストン速度低速域では、減衰力をF1以下にすることで、車両動き出し時の滑らかさ、言い換えるとストローク感を向上することができる。またピストン速度中速域では、減衰力をF2以上にすることで、車両にいわゆるブルブル感を与えるような振動を抑制することができる。さらに、ピストン速度高速域では、減衰力をF3以下にすることで、突起入力時の突き上げを低減することができる。これらF1〜F3を何れも満足することで良好な乗り心地が得られると考えられる。
【0013】
良好な乗り心地を得るため、F1〜F3を何れも満足するように、減衰力調整機構やピストンのオリフィス面積やそれらに設けられるディスクバルブの開度をチューニングする。ここでは、説明のため、減衰力調整機構に設けられるオリフィス、ディスクバルブを含めて減衰力調整機構Aと称し、ピストンに設けられるオリフィス、ディスクバルブを含めてピストンBと称する。
【0014】
例えば、図12に示すようなピストンBの減衰力特性にすると、減衰力調整機構AとピストンBのそれぞれが負担する減衰力値を加えたトータル減衰力A+Bが、F2、F3は満足するものの、F1を上回ってしまい、ストローク感が悪化する。そこで、ピストンBのオリフィス面積を大きくするなどしてピストンBの減衰力特性を下げると、F1は満足するものの、F2以上の減衰力を満足することができずに車体にブルブル感を与えてしまうという課題が生じる。
【0015】
〔伸び側及び縮み側共通の減衰力調整機構〕
図1に示されるように、外筒の側壁に減衰力調整機構を備える緩衝器において、車両への取付け性を向上させるため、減衰力調整機構は伸び側、縮み側共通のものを用いることが要求されている。しかし、減衰力調整機構の特性を変化させずに、縮み側のソフト減衰力を図5に示すA点に調整すると、破線で示す特性となり、伸び側のハード減衰力が低下してしまうという課題が生じる。
【0016】
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の第1実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る緩衝器1は、筒型の減衰力調整式緩衝器であって、シリンダ2の外側に外筒3を設けた複筒構造で、シリンダ2と外筒3との間に環状のリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装されており、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2A(第1室)とシリンダ下室2B(第2室)との2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2Aを通り、シリンダ2及び外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられている。
【0017】
ピストン5には、シリンダ上下室2A、2B間を連通させる通路11、12が設けられている。そして、通路12には、シリンダ下室2B側からシリンダ上室2A側への流体の流通を許容する逆止弁13が設けられ、また、通路11には、シリンダ上室2A側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをシリンダ下室2B側へリリーフするディスクバルブ14が設けられている。
【0018】
ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通させる通路15、16が設けられている。そして、通路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への流体の流通を許容する第2逆止弁を構成する逆止弁17が設けられ、また、通路16には、シリンダ下室2B側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをリザーバ4側へリリーフするディスクバルブ18が設けられている。作動流体として、シリンダ2内には、作動液が封入され、リザーバ4内には作動液及びガスが封入されている。
【0019】
シリンダ2には、上下両端部にシール部材19を介してセパレータチューブ20が外嵌されており、シリンダ2とセパレータチューブ20との間に環状通路21が形成されている。環状通路21は、シリンダ2の上部の側壁に設けられた通路22によってシリンダ上室2Aに連通されている。セパレータチューブ20の側壁の下部には、接続口23が設けられている。外筒3の側壁には、接続口23よりも大径の流入口24が接続口23と略同心に開口されている。そして、外筒3の側壁には、接続口23及び流入口24に接続される減衰力調整機構25が取付けられている。
【0020】
減衰力調整機構25は、外筒の流入口24に取付けられた円筒状のケース26内に、パイロット型(背圧型)の圧力制御弁であるメインバルブ27及びメインバルブ27の開弁圧力を制御するソレノイド駆動の圧力制御弁であるパイロットバルブ28が設けられ、更に、パイロットバルブ28の下流側に、フェイル時に作動するフェイルバルブ29が設けられている。そして、接続口23に接続する減衰力調整機構25への入口通路としての連結管30から作動液を導入し、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通してケース26で囲まれた室26Aへ流通させる。室26A内の作動液は、連結管30に形成された通路30A、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通してリザーバ4へ流入する。
【0021】
このとき、メインバルブ27の開弁前には、パイロットバルブ28によって作動液の流れを制御して減衰力を発生し、メインバルブ27の開弁時には、主にメインバルブ27によって減衰力を発生する。また、パイロットバルブ28の上流側の作動液の一部をメインバルブ27の背部の背圧室32に導入し、その内圧をメインバルブ27の閉弁方向に作用させる。リード線41を介してソレノイド40に通電する電流によってパイロットバルブ27の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、フェイルバルブ29は、ソレノイド40が失陥したとき閉弁し、常時開となったパイロットバルブ28の代りに作動液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持するようになっている。
【0022】
次に、ピストン5の逆止弁13について図2乃至図4を参照して更に詳細に説明する。
図2に示すように、ピストン5の上端部には、ピストンロッド6の先端の小径部6Aが挿入される開口部5Aの周囲に円筒状の案内部42が突出している。ピストン5の上端部には、案内部42の周囲に、案内部42よりも突出高さが小さい環状の内側シート部43が突出し、また、ピストン5の外周部付近に内側シート部43とほぼ同じ突出高さの環状の外側シート部44が突出している。そして、ピストン5に設けられた通路11の上端部が外側シート部の外周側に開口し、通路12の上端部が内側シート部43と外側シート部44との間に開口している。
【0023】
逆止弁13は、図4(A)に示すサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク45と、図4(B)に示すシートディスク46と、図4(C)に示す切欠ディスク47と、図4(D)に示す通路ディスク48と、図4(E)に示す第1逆止弁を構成する逆止弁ディスク49とからなる5枚のディスク状の部材を有し、これらのディスクは、この順で上から積層され、中央の開口部に案内部42が挿通されて軸方向に沿って移動可能に案内されている。
【0024】
内側シート部43及び外側シート部44に着座する最も下側の第1逆止弁を構成する逆止弁ディスク49は、図4(E)に示すように、内周側に円弧状の2つの開口50が円周方向に等間隔で形成され、外周縁部に、外側シート部44に着座した状態で通路12をシリンダ上室2Aに常時連通させる4つの切欠51が円周方向に等間隔で形成されている。
逆止弁ディスク49の上に重ねられる通路ディスク48は、図4(D)に示すように、逆止弁ディスク49と同径で逆止弁ディスク49の開口50に対向する部位に円弧状の3つの開口52が円周方向に等間隔で形成されている。
通路ディスク48の上に重ねられる切欠ディスク47は、図4(C)に示すように、通路ディスク48と同径で、通路ディスク48の開口52に対向する部位に円弧状の2つの開口53が円周方向に等間隔で形成されている。開口53には、径方向外側に放射状に延びる複数の切欠53Aが延出されている。
【0025】
切欠ディスク47の上に重ねられるシートディスク46は、図4(B)に示すように、切欠ディスク47と同径で、切欠ディスク47の複数の切欠53Aに対向する部位に円弧状の2つの開口54が円周方向に等間隔で形成されている。また、シートディスク46は、他のディスクよりも板厚が厚くなっており、剛性が高く、殆ど撓みを生じない。
シートディスク46の上に重ねられるサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク45は、図4(A)に示すように、シートディスク46よりも小径で、外周部によりシートディスク46の開口54を閉じるようになっている。サブ逆止弁ディスク45は、可撓性を有しており、また、シートディスク46の開口54よりも内周側に円弧状の3つの開口55が円周方向に等間隔で形成されている。
【0026】
そして、シートディスク46、切欠ディスク47、通路ディスク48及び逆止弁ディスク49が積層されることにより、これらの開口54、53、52、50及び切欠53Aが互いに接続されて、通路12とシリンダ上室2Aとを連通させるオリフィス通路が形成される。
【0027】
サブ逆止弁ディスク45の上には、開口55よりも小径の環状のスペーサ56及びバネ受57が重ねられ、バネ受57と、ピストンロッド6の外周部に形成された段部58との間に圧縮コイルバネである弁バネ59が介装されている。そして、弁バネ59のバネ力により、逆止弁13を構成する5枚のディスクの内周部が内側シート部43に向かって押圧されている。
【0028】
ピストン5の下端部には、内周部に内側シート部60が突出し、外周部に外側シート部61が突出し、これらの間に通路11が開口し、外側シート部61の外周側に通路12が開口している。内側シート部60及び外側シート部61には、複数積層されたディスクバルブ14が着座し、その内周部がリテーナ62によってクランプされている。これにより、ディスクバルブ14は、通路11の圧力を受け、撓んで外周部が外側シート部61から離間することにより開弁する。
【0029】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
減衰力調整式緩衝器1は、ピストンロッド6側を上方に、ベースバルブ10側を下方に向けて車両のサスペンション装置のバネ上(車体側)、バネ下(車輪側)間等の相対移動可能な部材間に装着され、リード線41が制御装置に接続される。
【0030】
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13は、図3(A)に示すように、逆止弁ディスク49が内側及び外側シート部43、44に着座すると共にサブ逆止弁ディスク45がシートディスク46に着座して開口54を閉じることにより、逆止弁ディスク49の切欠51による僅かな流路面積を除いて、通路12が遮断される。これにより、ディスクバルブ14の開弁前には、シリンダ上室2A側の流体が加圧されて、通路22及び環状通路21を通り、セパレータチューブ20の接続口23から減衰力調整機構25の入口通路を形成する連結管30へ流入する。そして、連結管30から流入した流体は、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通ってケース26で囲まれた室26Aへ流れ、更に、連結管30に形成された通路30A、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4へ流入する。
【0031】
このとき、ピストン5が移動した分の作動液がリザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開いてシリンダ下室2Bへ流入する。なお、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のディスクバルブ14の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ14が開いて、シリンダ上室2Aの圧力をシリンダ下室2Bへリリーフすることにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力の上昇を防止する。
【0032】
したがって、ピストンロッド6の伸び行程時には、減衰力調整機構25において、メインバルブ27の開弁前(ピストン速度低速域)においては、パイロットバルブ28によって減衰力が発生し、メインバルブ27の開弁後(ピストン速度高速域)においては、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、ソレノイド40への通電電流によってパイロットバルブ27の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室32の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、万一、ソレノイド40が失陥した場合には、フェイルバルブ29が閉弁し、常時開となったパイロットバルブの代りに作動液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持することができる。
【0033】
なお、減衰力調整機構25は、上述のパイロット型の圧力制御弁のほか、シリンダ上室2A側からリザーバ4側への作動液の流れを制御して減衰力を発生させるものであればよく、例えば、圧力制御弁あるいは流量制御弁とすることができ、アクチュエータによらず、手動で減衰力を調整するものでもよい。
【0034】
また、ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動に対して、ベースバルブ10の通路15の逆止弁17が閉じて、ディスクバルブ18の開弁前には、ピストン下室2Bの流体が逆止弁13を通してシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した分の作動液がシリンダ上室2Aから、上記伸び行程時と同様の経路を通ってリザーバ4へ流れる。
【0035】
なお、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のディスクバルブ18の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ18が開いて、シリンダ下室2Bの圧力をリザーバ4へリリーフすることにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力の上昇を防止する。
【0036】
逆止弁13は、ピストン速度の極低速時(例えば0.01m/s未満)には、図3(A)に示すように、サブ逆止弁ディスク45がシートディスク46に着座して開口54を閉じ、また、逆止弁ディスク49が内側シート部43及び外側シート部44に着座して通路12を閉じるので、作動液は、逆止弁ディスク49の切欠51のみを通ってシリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aに流れる。ピストン速度が上昇し(例えば0.01m/s以上に上昇)、シリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、先ず、図3(B)に示しように、サブ逆止弁ディスク45が撓んでその外周部がディスク46から離間することにより開口54が開き、シリンダ下室2Bの作動液は、開口50、52、53、切欠53A及び開口54によって形成されるオリフィス通路を通ってシリンダ上室2Aに流れる。更にピストン速度が上昇して(例えば0.05m/s以上に上昇)、シリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、次いで、図3(C)に示すように、弁バネ59が圧縮されて逆止弁ディスク49が他のディスク及びスペーサ56、バネ受57と共に移動して、内側シート部43及び外側シート部44から離間することにより、シリンダ下室2B側の作動液が通路12からシリンダ上室2Aに直接流れる。このようにサブ逆止弁ディスク45及び逆止弁ディスク49が順次開弁することにより、通路12の流路面積が段階的に増大して、その減衰力の上昇(減衰力特性の傾き)が段階的に小さくなる。
【0037】
なお、逆止弁ディスク49の開弁時のピストン速度は、極低速で、フリクションによる減衰力が発生する程度の0.05m/s程度(0.1m/s以下)に設定される。よって、サブ逆止弁ディスク45は、さらに遅い0.01m/s程度(0.05m/s)以下に設定することでより効果を発揮する。また、逆止弁ディスク49の開弁時のピストン速度は、減衰力調整機構25のメインバルブ27の開弁時のピストン速度より低速となる。
【0038】
そして、ピストンロッド6の縮み側の減衰力は、逆止弁13によって発生する減衰力と、減衰力調整機構25によって発生する減衰力の和であるから、逆止弁13において、ピストン速度の極低速域から逆止弁13の減衰力の上昇が段階的に小さくなることにより、ピストン速度の極低速域において適度な減衰力を発生させながら、低速域、中速域及び高速域においては、逆止弁の減衰力の上昇を段階的に小さくして適度な減衰力を得ることができる。このとき、上記伸び行程の場合と同様、減衰力調整機構25によって減衰力を調整することができる。逆止弁13は、ピストンロッド6の伸び行程時には、閉弁するので、伸び側の減衰力特性に影響を与えない。
【0039】
減衰力調整式緩衝器1の減衰力特性を図5に示す。図5において、減衰力調整機構25を減衰力が最も小さくなるソフト側に調整したとき、逆止弁13のサブ逆止弁ディスク45の開弁点を符号Aで示し、逆止弁ディスク49の開弁点を符号Bで示す。縮み側のピストン速度低速域でのソフト側の開弁点をAとすることができたので、車両動き出し時の滑らかさ、言い換えるとストローク感を向上することができる。さらにサブ逆止弁ディスク45によりピストン速度中速域でのソフト側の開弁点をBとすることができたので、車両にブルブル感を与えるような振動を抑制することができる。さらに、逆止弁ディスク49が内側シート部43及び外側シート部44から離間することにより、通路12の流通を妨げることなく流路面積を増大させることができるので、ピストン速度高速域でのソフト側の減衰力の上昇を抑えることができ、路面からの突起入力時の突き上げを低減することができる。
【0040】
このようにピストン速度が低速域から高速域に亘って縮み側のソフト側の減衰力を満足することができるので、車両の良好な乗り心地を実現することができる。また、伸び縮み共通の減衰力調整機構25の部分ではなく、伸び側、縮み側で特性変更可能なピストン部に設けられる逆止弁13を工夫したことにより、縮み側のピストン速度低速域での減衰力特性を下げると共に、ハード側の減衰力の低下を抑え、さらに伸び側の減衰力特性に影響を与えないようにすることができる。よって、縮み側のピストン速度低速域でのソフト側の減衰力を低くした場合であっても、伸び側、縮み側のハード側の減衰力特性を高いまま維持できるため、車両の良好な乗り心地を維持しつつ、操縦安定性も向上することができる。
【0041】
よって、伸び側、縮み側の減衰力調整機構を1つにした場合でも、伸び側、縮み側で減衰力特性を異ならせることが可能となり、減衰力調整機構は伸び側、縮み側共通のものを用いることができるので、車両への取付け性を向上することができる。
【0042】
上述の構成において、サブ逆止弁ディスク45の径を小さくすると共に、剛性を低くして撓み易くすることにより、応答性を高めることができる。サブ逆止弁ディスク45の内周部に開口55を設けることにより、サブ逆止弁ディスク45の剛性を低くすると共に、流体力によるシートディスク46への貼付を防止して円滑な開弁が可能になる。よって、伸び側から縮み側に行程反転してすぐにサブ逆止弁45は開弁することが可能となり、ピストンロッド6に伝わるいわゆるコトコト音の低減も図ることができる。また、逆止弁13は、積層するディスクの枚数、厚さ、開口、切欠の大きさ等によって開弁特性を変化させることができるので、調整の自由度が高い。
【0043】
次に本発明の第2実施形態について、図6乃至図8を参照して説明する。なお、以下の説明では、ピストン部のみを図示し、上記実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0044】
本実施形態に係る減衰力調整式緩衝器では、図6乃至図8に示すように、ピストン5の通路11は、ピストン5の内周側に、その軸に平行に配置され、通路12は、ピストン5の外周側に、その軸に平行に配置されている。ピストン5の上端部は、案内部42が省略され、開口5Aの周縁部に環状のクランプ部63が突出し、クランプ部63と外側シート部44との中間部に内側シート部43が突出しており、通路11がクランプ部63と内側シート部44との間に開口している。
【0045】
逆止弁13は、後述の複数のディスク状の部材からなり、ピストンロッド6の小径部6Aの基部の段部とピストン5のクランプ部63との間で、逆止弁13と略同径のリテーナ64及びクランプ部63よりもやや小径のスペーサ65を介して内周部がクランプされて内側シート部43及び外側シート部44に着座している。リテーナ64は、逆止弁13のリフト量を制限しており、径方向中間部に開口64が設けらている。
【0046】
逆止弁13は、図8(A)に示すサブ逆止弁ディスク66と、図8(B)に示すシートディスク67と、図8(C)に示すオリフィスディスク68と、図8(D)に示す逆止弁ディスク69とからなる4枚のディスク状の部材を有し、これらは、この順で上から積層され、中央の開口部にピストンロッド6の小径部6Aが挿通されてクランプ部63とスペーサ65との間で内周部がクランプされている。
【0047】
内側シート部43及び外側シート部44に着座する最も下側の第1逆止弁を構成する逆止弁ディスク69は、図8(D)に示すように、内周側に円弧状の3つの開口70が円周方向に等間隔で形成され、外周側に円弧状の2つの開口71が円周方向に等間隔で形成され、また、外周縁部に、外側シート部44に着座した状態で通路12をシリンダ上室2Aに常時連通させる切欠72(オリフィス)が形成されている。
逆止弁ディスク69の上に重ねられるオリフィスディスク68は、図8(C)に示すように、逆止弁ディスク69と同径で逆止弁ディスク69の開口70に対向する部位に円弧状の3つの開口73が円周方向に等間隔で形成されている。また、逆止弁ディスク69の開口71に対向する部位に5つのオリフィス74が円周方向に等間隔で形成されている。
【0048】
オリフィスディスク68の上に重ねられるシートディスク67は、図8(B)に示すように、オリフィスディスク68と同径で、内周側のオリフィスディスク68の3つの開口73に対向する部位に円弧状の3つの開口75が円周方向に等間隔で形成されている。また、外周側のオリフィスディスク68の5つのオリフィス74に対向する部位に、円弧状の2つの開口76が円周方向に等間隔で形成されている。
シートディスク67の上に重ねられるサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク66は、シートディスク67よりも小径で、内周側のシートディスク67の3つの開口75に対向する部位に円弧状の2つの開口77が円周方向に等間隔で形成されており、また、外周部によってシートディスク67の開口76を閉じるようになっている。
【0049】
サブ逆止弁ディスク66、シートディスク67、オリフィスディスク68及び逆止弁ディスク69が積層されることにより、これらの内周側の開口70、73、75、77が互いに接続して油路11とシリンダ上室2Aとを常時連通させ、また、外周側の開口71、オリフィス74及び開口76が互いに接続して、通路12とシリンダ上室2Aとをオリフィス74を介して連通させるオリフィス通路が形成される。
【0050】
このように構成したことにより、ピストンロッド6の縮み行程において、逆止弁13は、ピストン速度の極低速時には、図7(A)に示すように、サブ逆止弁ディスク66がシートディスク67に着座して開口76を閉じ、また、逆止弁ディスク69が内側シート部43及び外側シート部44に着座して通路12を閉じるので、作動液は、逆止弁ディスク69の切欠72のみを通ってシリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aに流れる。ピストン速度が上昇し、シリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、先ず、図7(B)に示すように、サブ逆止弁ディスク66が撓んでその外周部がシートディスク67から離間することにより開口76が開き、シリンダ下室2Bの作動液は、開口71、オリフィス74及び開口76によって形成されるオリフィス通路を通ってシリンダ上室2Aに流れる。更にピストン速度が上昇してシリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、次いで、図7(C)に示すように、逆止弁ディスク69がオリフィスディスク68及びシートシートディスク67と共に撓んでその外周部が外側シートから離間することにより、シリンダ下室2B側の作動液が通路12からシリンダ上室2Aに直接流れる。このようにして、通路12の流路が段階的に増大して、その減衰力の上昇が段階的に小さくなる。これにより、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
次に本発明の第3実施形態について、図9乃至図11を参照して説明する。なお、以下の説明では、ベースバルブ部のみを図示し、上記実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。また、本実施形態に係る減衰力調整式緩衝器では、ベースバルブ10の逆止弁17が図6乃至図8に示す第2実施形態のピストン5の逆止弁13と同様の構造を有している。
【0052】
図9乃至図11に示すように、ベースバルブ10では、通路16は、ベースバルブ10の内周側に、その軸に平行に配置され、通路15は、ベースバルブ10の外周側に、その軸に平行に配置されている。ベースバルブ10の上端部は、ピン78が挿入される開口10Aの周縁部に環状のクランプ部79が突出し、外周部に環状の外側シート部80が突出し、クランプ部79と外側シート部80との中間部に環状の内側シート部81が突出している。そして、外側シート部80と内側シート部81との間に通路15が開口し、内側シート部81とクランプ部79との間に通路16が開口している。
【0053】
逆止弁17は、ピン78の先端部に取付けられたナット82とクランプ部79との間で、リテーナ83及びスペーサ84を介して内周部がクランプされて内側シート部81及び外側シート部80に着座している。リテーナ83には、径方向中間部に開口85が設けられている。
【0054】
逆止弁17は、図11(A)に示すサブ逆止弁ディスク86と、図11(B)に示すシートディスク87と、図11(C)に示すオリフィスディスク88と、図11(D)に示す逆止弁ディスク89とからなる4枚のディスク状の部材を有し、これらは、この順で上から積層され、中央の開口部にピン78が挿通されてクランプ部79とスペーサ84との間で内周部がクランプされている。
【0055】
これらのサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク86、シートディスク87、オリフィスディスク88及び第2逆止弁を構成する逆止弁ディスク89は、図8(A)〜(D)に示すものと同様の形状であり、それぞれ、開口90、開口91、92、開口93、オリフィス94、開口95、96及び切欠97が形成されている。
【0056】
そして、サブ逆止弁ディスク86、シートディスク87、オリフィスディスク88及び逆止弁ディスク89が積層されることにより、これらの内周側の開口90、91、93及び95が互いに接続して油路16とシリンダ下室2Bとを常時連通させ、また、外周側の開口92、オリフィス94及び開口96が互いに接続して、通路15とシリンダ下室2Bとをオリフィス94を介して連通させるオリフィス通路が形成される。
【0057】
ベースバルブ10の下端部には、内周部にクランプ部98が突出し、外周部に外側シート部99が突出し、これらの間に通路16が開口し、外側シート部99の外周側に通路15が開口している。外側シート部99には、複数積層されたディスクバルブ18が着座し、その内周部がクランプ部98とスペーサ100との間でクランプされている。これにより、ディスクバルブ18は、通路16の圧力を受け、撓んで外周部が外側シート部99から離間することにより開弁する。
【0058】
このように構成したことにより、ピストンロッド6の伸び行程において、ベースバルブの逆止弁17は、ピストン速度の極低速時には、図10(A)に示すように、サブ逆止弁ディスク86がシートディスク87に着座して開口92を閉じ、また、逆止弁ディスク89が内側シート部81及び外側シート部80に着座して通路15を閉じるので、作動液は、逆止弁ディスク89の切欠97を通ってリザーバ4からシリンダ下室2Bに流れる。ピストン速度が上昇し、リザーバ4とシリンダ下室2Bとの差圧が増大すると、先ず、図11(B)に示しように、サブ逆止弁ディスク86が撓んでその外周部がシートディスク87から離間することにより開口92が開き、リザーバ4の作動液は、開口92、オリフィス94及び開口96によって形成されるオリフィス通路を通ってシリンダ下室2Bに流れる。更にピストン速度が上昇してリザーバ4とシリンダ下室2Bとの差圧が増大すると、次いで、図11(C)に示すように、逆止弁ディスク89がオリフィスディスク88及びシートシートディスク87と共に撓んでその外周部が外側シート部80から離間することにより、リザーバ4側の作動液が通路15からシリンダ下室2Bに直接流れる。このようにして、通路15の流路が段階的に増大して、その減衰力の上昇が段階的に小さくなる。
【0059】
そして、ピストンロッド6の伸び側の減衰力は、ベースバルブ10の逆止弁17によって発生する減衰力と、減衰力調整機構25によって発生する減衰力の和であるから、逆止弁17において、ピストン速度の極低速域から逆止弁17による減衰力の上昇が段階的に小さくなることにより、ピストン速度の極低速機において適度な減衰力を発生させながら、低速域、中速域及び高速域においては、逆止弁17の減衰力の上昇を段階的に小さくして適度な減衰力を得ることができる。逆止弁17は、ピストンロッド6の縮み行程時には、閉弁するので、縮み側の減衰力特性に影響を与えない。
【符号の説明】
【0060】
1…減衰力調整式緩衝器、2…シリンダ、2A…シリンダ上室(第1室)、2B…シリンダ下室(第2室)、4…リザーバ、5…ピストン、6…ピストンロッド、10…ベースバルブ、17…第2逆止弁、25…減衰力調整機構、45…サブ逆止弁ディスク(サブ逆止弁)、49…逆止弁ディスク(第1逆止弁)、50、52、53、54…開口(オリフィス通路)、53A…切欠(オリフィス通路)
【技術分野】
【0001】
本発明は、減衰力特性を調整可能とした減衰力調整式緩衝器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両のサスペンション装置に装着される筒型の緩衝器は、一般的に作動油が封入されたシリンダ内に、ピストンロッドが連結されたピストンを挿入し、ピストンロッドのストロークに対して、シリンダ内のピストンの摺動によって生じる作動液の流れをオリフィス及びディスクバルブ等からなる減衰力発生機構によって制御して減衰力を発生させる。そして、可変オリフィス等を用いて減衰力発生機構の流通抵抗を変化させることにより減衰力特性を調整可能とした減衰力調整式緩衝器が公知である。
【0003】
減衰力調整式緩衝器として、例えば特許文献1に記載されているように、シリンダの底部のベースバルブに設けられてリザーバからシリンダの底部側の室への作動液の流通を許容する逆止弁と、ピストン部に設けられてシリンダの底部側の室からピストンロッド側の室への作動液の流通を許容する逆止弁と、シリンダの外部に設けられてシリンダのピストンロッド側の室とリザーバとを連通する減衰通路とを備え、この減衰通路に作動液の流れを制御し、減衰力を調整可能とした減衰力調整機構を設けた構造のものがある。
【0004】
この構造では、ピストンロッドの伸縮行程共にシリンダのピストンロッド側の室から減衰通路を通ってリザーバへ作動液が流れ、減衰力調整機構によって減衰力が発生する。このように、ピストンロッドの伸縮ストロークに対して、減衰通路に常時一方向の作動液の流れが生じるので、ピストンロッドの伸び及び縮み行程共に1つの減衰力調整機構によって減衰力を発生させてその減衰力特性を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−281584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されたもののように、減衰通路に生じる一方向の作動液の流れに対して1つの減衰力調整機構によって減衰力を発生させるようにした減衰力調整式緩衝器では、次のような問題がある。1つの減衰力調整機構によって伸び側及び縮み側の減衰力特性を調整するため、一方の減衰力特性が他方の減衰力特性に影響するので、減衰力特性の調整範囲に制約があり、所望の減衰力特性を得にくい。
【0007】
本発明は、伸び側及び縮み側共通の減衰力調整機構を用いつつ所望の減衰力特性が得られるようにした減衰力調整式緩衝器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る減衰力調整式緩衝器は、作動液が封入されたシリンダと、作動液及びガスが封入されたリザーバと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されて該シリンダ内を第1室と第2室とに画成するピストンと、一端部が前記ピストンに連結され、他端部が前記第1室を通って外部へ延出されたピストンロッドと、前記第2室と前記リザーバとを画成するベースバルブと、前記ピストンに設けられて前記第2室側から前記第1室側への作動液の流通を許容する第1逆止弁と、前記ベースバルブに設けられて前記リザーバ側から前記第2室側への作動液の流通を許容する第2逆止弁と、前記第1室と前記リザーバとを接続する通路と、該通路の作動液の流れを制御して減衰力を調整する減衰力調整機構とを備え、
前記第1及び第2逆止弁の少なくとも一方に対して、並列にオリフィス通路を設け、該オリフィス通路にはサブ逆止弁を設け、該サブ逆止弁は、前記オリフィス通路が並列に設けられた逆止弁に対して、より低い圧力で開弁して同じ方向の作動液の流れを許容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、伸び側及び縮み側共通の減衰力調整機構を用いつつ、所望の減衰力特性を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る減衰力調整式緩衝器の縦断面図である。
【図2】図1の減衰力調整式緩衝器のピストン部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図2に示すピストン部の逆止弁の開閉状態を示す拡大縦断面図である。
【図4】図1の減衰力調整式緩衝器の逆止弁を構成するディスクの平面図である。
【図5】図1の減衰力調整式緩衝器の減衰力特性を示すグラフ図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る減衰力調整式緩衝器のピストン部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】図6に示すピストン部の逆止弁の開閉状態を示す拡大縦断面図である。
【図8】図6に示すピストン部の逆止弁を構成するディスクの平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る減衰力調整式緩衝器のベースバルブ部を拡大して示す縦断面図である。
【図10】図9に示すベースバルブ部の逆止弁の開閉状態を示す拡大縦断面図である。
【図11】図9に示すベースバルブ部の逆止弁を構成するディスクの平面図である。
【図12】車両用の減衰力調整式緩衝器の減衰力特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施の形態は、上述の発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄に記載した内容に止まる事無くその他にもいろいろな課題を解決し、効果を呈している。以下の実施の形態が解決する課題の主なものを、上述の欄に記載した内容をも含め、次に列挙する。
【0012】
〔減衰力特性と車両挙動〕
図12を用いて、車両に求められる緩衝器の減衰力特性と車両挙動の関係を説明する。図12は、緩衝器の縮み側のピストン速度に対する減衰力特性を示すものである。昨今、車両挙動に対して求められていることをピストン速度の領域毎に説明する。図12を参照して、ピストン速度低速域では、減衰力をF1以下にすることで、車両動き出し時の滑らかさ、言い換えるとストローク感を向上することができる。またピストン速度中速域では、減衰力をF2以上にすることで、車両にいわゆるブルブル感を与えるような振動を抑制することができる。さらに、ピストン速度高速域では、減衰力をF3以下にすることで、突起入力時の突き上げを低減することができる。これらF1〜F3を何れも満足することで良好な乗り心地が得られると考えられる。
【0013】
良好な乗り心地を得るため、F1〜F3を何れも満足するように、減衰力調整機構やピストンのオリフィス面積やそれらに設けられるディスクバルブの開度をチューニングする。ここでは、説明のため、減衰力調整機構に設けられるオリフィス、ディスクバルブを含めて減衰力調整機構Aと称し、ピストンに設けられるオリフィス、ディスクバルブを含めてピストンBと称する。
【0014】
例えば、図12に示すようなピストンBの減衰力特性にすると、減衰力調整機構AとピストンBのそれぞれが負担する減衰力値を加えたトータル減衰力A+Bが、F2、F3は満足するものの、F1を上回ってしまい、ストローク感が悪化する。そこで、ピストンBのオリフィス面積を大きくするなどしてピストンBの減衰力特性を下げると、F1は満足するものの、F2以上の減衰力を満足することができずに車体にブルブル感を与えてしまうという課題が生じる。
【0015】
〔伸び側及び縮み側共通の減衰力調整機構〕
図1に示されるように、外筒の側壁に減衰力調整機構を備える緩衝器において、車両への取付け性を向上させるため、減衰力調整機構は伸び側、縮み側共通のものを用いることが要求されている。しかし、減衰力調整機構の特性を変化させずに、縮み側のソフト減衰力を図5に示すA点に調整すると、破線で示す特性となり、伸び側のハード減衰力が低下してしまうという課題が生じる。
【0016】
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の第1実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る緩衝器1は、筒型の減衰力調整式緩衝器であって、シリンダ2の外側に外筒3を設けた複筒構造で、シリンダ2と外筒3との間に環状のリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装されており、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2A(第1室)とシリンダ下室2B(第2室)との2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2Aを通り、シリンダ2及び外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられている。
【0017】
ピストン5には、シリンダ上下室2A、2B間を連通させる通路11、12が設けられている。そして、通路12には、シリンダ下室2B側からシリンダ上室2A側への流体の流通を許容する逆止弁13が設けられ、また、通路11には、シリンダ上室2A側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをシリンダ下室2B側へリリーフするディスクバルブ14が設けられている。
【0018】
ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通させる通路15、16が設けられている。そして、通路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への流体の流通を許容する第2逆止弁を構成する逆止弁17が設けられ、また、通路16には、シリンダ下室2B側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをリザーバ4側へリリーフするディスクバルブ18が設けられている。作動流体として、シリンダ2内には、作動液が封入され、リザーバ4内には作動液及びガスが封入されている。
【0019】
シリンダ2には、上下両端部にシール部材19を介してセパレータチューブ20が外嵌されており、シリンダ2とセパレータチューブ20との間に環状通路21が形成されている。環状通路21は、シリンダ2の上部の側壁に設けられた通路22によってシリンダ上室2Aに連通されている。セパレータチューブ20の側壁の下部には、接続口23が設けられている。外筒3の側壁には、接続口23よりも大径の流入口24が接続口23と略同心に開口されている。そして、外筒3の側壁には、接続口23及び流入口24に接続される減衰力調整機構25が取付けられている。
【0020】
減衰力調整機構25は、外筒の流入口24に取付けられた円筒状のケース26内に、パイロット型(背圧型)の圧力制御弁であるメインバルブ27及びメインバルブ27の開弁圧力を制御するソレノイド駆動の圧力制御弁であるパイロットバルブ28が設けられ、更に、パイロットバルブ28の下流側に、フェイル時に作動するフェイルバルブ29が設けられている。そして、接続口23に接続する減衰力調整機構25への入口通路としての連結管30から作動液を導入し、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通してケース26で囲まれた室26Aへ流通させる。室26A内の作動液は、連結管30に形成された通路30A、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通してリザーバ4へ流入する。
【0021】
このとき、メインバルブ27の開弁前には、パイロットバルブ28によって作動液の流れを制御して減衰力を発生し、メインバルブ27の開弁時には、主にメインバルブ27によって減衰力を発生する。また、パイロットバルブ28の上流側の作動液の一部をメインバルブ27の背部の背圧室32に導入し、その内圧をメインバルブ27の閉弁方向に作用させる。リード線41を介してソレノイド40に通電する電流によってパイロットバルブ27の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、フェイルバルブ29は、ソレノイド40が失陥したとき閉弁し、常時開となったパイロットバルブ28の代りに作動液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持するようになっている。
【0022】
次に、ピストン5の逆止弁13について図2乃至図4を参照して更に詳細に説明する。
図2に示すように、ピストン5の上端部には、ピストンロッド6の先端の小径部6Aが挿入される開口部5Aの周囲に円筒状の案内部42が突出している。ピストン5の上端部には、案内部42の周囲に、案内部42よりも突出高さが小さい環状の内側シート部43が突出し、また、ピストン5の外周部付近に内側シート部43とほぼ同じ突出高さの環状の外側シート部44が突出している。そして、ピストン5に設けられた通路11の上端部が外側シート部の外周側に開口し、通路12の上端部が内側シート部43と外側シート部44との間に開口している。
【0023】
逆止弁13は、図4(A)に示すサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク45と、図4(B)に示すシートディスク46と、図4(C)に示す切欠ディスク47と、図4(D)に示す通路ディスク48と、図4(E)に示す第1逆止弁を構成する逆止弁ディスク49とからなる5枚のディスク状の部材を有し、これらのディスクは、この順で上から積層され、中央の開口部に案内部42が挿通されて軸方向に沿って移動可能に案内されている。
【0024】
内側シート部43及び外側シート部44に着座する最も下側の第1逆止弁を構成する逆止弁ディスク49は、図4(E)に示すように、内周側に円弧状の2つの開口50が円周方向に等間隔で形成され、外周縁部に、外側シート部44に着座した状態で通路12をシリンダ上室2Aに常時連通させる4つの切欠51が円周方向に等間隔で形成されている。
逆止弁ディスク49の上に重ねられる通路ディスク48は、図4(D)に示すように、逆止弁ディスク49と同径で逆止弁ディスク49の開口50に対向する部位に円弧状の3つの開口52が円周方向に等間隔で形成されている。
通路ディスク48の上に重ねられる切欠ディスク47は、図4(C)に示すように、通路ディスク48と同径で、通路ディスク48の開口52に対向する部位に円弧状の2つの開口53が円周方向に等間隔で形成されている。開口53には、径方向外側に放射状に延びる複数の切欠53Aが延出されている。
【0025】
切欠ディスク47の上に重ねられるシートディスク46は、図4(B)に示すように、切欠ディスク47と同径で、切欠ディスク47の複数の切欠53Aに対向する部位に円弧状の2つの開口54が円周方向に等間隔で形成されている。また、シートディスク46は、他のディスクよりも板厚が厚くなっており、剛性が高く、殆ど撓みを生じない。
シートディスク46の上に重ねられるサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク45は、図4(A)に示すように、シートディスク46よりも小径で、外周部によりシートディスク46の開口54を閉じるようになっている。サブ逆止弁ディスク45は、可撓性を有しており、また、シートディスク46の開口54よりも内周側に円弧状の3つの開口55が円周方向に等間隔で形成されている。
【0026】
そして、シートディスク46、切欠ディスク47、通路ディスク48及び逆止弁ディスク49が積層されることにより、これらの開口54、53、52、50及び切欠53Aが互いに接続されて、通路12とシリンダ上室2Aとを連通させるオリフィス通路が形成される。
【0027】
サブ逆止弁ディスク45の上には、開口55よりも小径の環状のスペーサ56及びバネ受57が重ねられ、バネ受57と、ピストンロッド6の外周部に形成された段部58との間に圧縮コイルバネである弁バネ59が介装されている。そして、弁バネ59のバネ力により、逆止弁13を構成する5枚のディスクの内周部が内側シート部43に向かって押圧されている。
【0028】
ピストン5の下端部には、内周部に内側シート部60が突出し、外周部に外側シート部61が突出し、これらの間に通路11が開口し、外側シート部61の外周側に通路12が開口している。内側シート部60及び外側シート部61には、複数積層されたディスクバルブ14が着座し、その内周部がリテーナ62によってクランプされている。これにより、ディスクバルブ14は、通路11の圧力を受け、撓んで外周部が外側シート部61から離間することにより開弁する。
【0029】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
減衰力調整式緩衝器1は、ピストンロッド6側を上方に、ベースバルブ10側を下方に向けて車両のサスペンション装置のバネ上(車体側)、バネ下(車輪側)間等の相対移動可能な部材間に装着され、リード線41が制御装置に接続される。
【0030】
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13は、図3(A)に示すように、逆止弁ディスク49が内側及び外側シート部43、44に着座すると共にサブ逆止弁ディスク45がシートディスク46に着座して開口54を閉じることにより、逆止弁ディスク49の切欠51による僅かな流路面積を除いて、通路12が遮断される。これにより、ディスクバルブ14の開弁前には、シリンダ上室2A側の流体が加圧されて、通路22及び環状通路21を通り、セパレータチューブ20の接続口23から減衰力調整機構25の入口通路を形成する連結管30へ流入する。そして、連結管30から流入した流体は、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通ってケース26で囲まれた室26Aへ流れ、更に、連結管30に形成された通路30A、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4へ流入する。
【0031】
このとき、ピストン5が移動した分の作動液がリザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開いてシリンダ下室2Bへ流入する。なお、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のディスクバルブ14の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ14が開いて、シリンダ上室2Aの圧力をシリンダ下室2Bへリリーフすることにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力の上昇を防止する。
【0032】
したがって、ピストンロッド6の伸び行程時には、減衰力調整機構25において、メインバルブ27の開弁前(ピストン速度低速域)においては、パイロットバルブ28によって減衰力が発生し、メインバルブ27の開弁後(ピストン速度高速域)においては、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、ソレノイド40への通電電流によってパイロットバルブ27の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室32の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、万一、ソレノイド40が失陥した場合には、フェイルバルブ29が閉弁し、常時開となったパイロットバルブの代りに作動液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持することができる。
【0033】
なお、減衰力調整機構25は、上述のパイロット型の圧力制御弁のほか、シリンダ上室2A側からリザーバ4側への作動液の流れを制御して減衰力を発生させるものであればよく、例えば、圧力制御弁あるいは流量制御弁とすることができ、アクチュエータによらず、手動で減衰力を調整するものでもよい。
【0034】
また、ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動に対して、ベースバルブ10の通路15の逆止弁17が閉じて、ディスクバルブ18の開弁前には、ピストン下室2Bの流体が逆止弁13を通してシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した分の作動液がシリンダ上室2Aから、上記伸び行程時と同様の経路を通ってリザーバ4へ流れる。
【0035】
なお、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のディスクバルブ18の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ18が開いて、シリンダ下室2Bの圧力をリザーバ4へリリーフすることにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力の上昇を防止する。
【0036】
逆止弁13は、ピストン速度の極低速時(例えば0.01m/s未満)には、図3(A)に示すように、サブ逆止弁ディスク45がシートディスク46に着座して開口54を閉じ、また、逆止弁ディスク49が内側シート部43及び外側シート部44に着座して通路12を閉じるので、作動液は、逆止弁ディスク49の切欠51のみを通ってシリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aに流れる。ピストン速度が上昇し(例えば0.01m/s以上に上昇)、シリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、先ず、図3(B)に示しように、サブ逆止弁ディスク45が撓んでその外周部がディスク46から離間することにより開口54が開き、シリンダ下室2Bの作動液は、開口50、52、53、切欠53A及び開口54によって形成されるオリフィス通路を通ってシリンダ上室2Aに流れる。更にピストン速度が上昇して(例えば0.05m/s以上に上昇)、シリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、次いで、図3(C)に示すように、弁バネ59が圧縮されて逆止弁ディスク49が他のディスク及びスペーサ56、バネ受57と共に移動して、内側シート部43及び外側シート部44から離間することにより、シリンダ下室2B側の作動液が通路12からシリンダ上室2Aに直接流れる。このようにサブ逆止弁ディスク45及び逆止弁ディスク49が順次開弁することにより、通路12の流路面積が段階的に増大して、その減衰力の上昇(減衰力特性の傾き)が段階的に小さくなる。
【0037】
なお、逆止弁ディスク49の開弁時のピストン速度は、極低速で、フリクションによる減衰力が発生する程度の0.05m/s程度(0.1m/s以下)に設定される。よって、サブ逆止弁ディスク45は、さらに遅い0.01m/s程度(0.05m/s)以下に設定することでより効果を発揮する。また、逆止弁ディスク49の開弁時のピストン速度は、減衰力調整機構25のメインバルブ27の開弁時のピストン速度より低速となる。
【0038】
そして、ピストンロッド6の縮み側の減衰力は、逆止弁13によって発生する減衰力と、減衰力調整機構25によって発生する減衰力の和であるから、逆止弁13において、ピストン速度の極低速域から逆止弁13の減衰力の上昇が段階的に小さくなることにより、ピストン速度の極低速域において適度な減衰力を発生させながら、低速域、中速域及び高速域においては、逆止弁の減衰力の上昇を段階的に小さくして適度な減衰力を得ることができる。このとき、上記伸び行程の場合と同様、減衰力調整機構25によって減衰力を調整することができる。逆止弁13は、ピストンロッド6の伸び行程時には、閉弁するので、伸び側の減衰力特性に影響を与えない。
【0039】
減衰力調整式緩衝器1の減衰力特性を図5に示す。図5において、減衰力調整機構25を減衰力が最も小さくなるソフト側に調整したとき、逆止弁13のサブ逆止弁ディスク45の開弁点を符号Aで示し、逆止弁ディスク49の開弁点を符号Bで示す。縮み側のピストン速度低速域でのソフト側の開弁点をAとすることができたので、車両動き出し時の滑らかさ、言い換えるとストローク感を向上することができる。さらにサブ逆止弁ディスク45によりピストン速度中速域でのソフト側の開弁点をBとすることができたので、車両にブルブル感を与えるような振動を抑制することができる。さらに、逆止弁ディスク49が内側シート部43及び外側シート部44から離間することにより、通路12の流通を妨げることなく流路面積を増大させることができるので、ピストン速度高速域でのソフト側の減衰力の上昇を抑えることができ、路面からの突起入力時の突き上げを低減することができる。
【0040】
このようにピストン速度が低速域から高速域に亘って縮み側のソフト側の減衰力を満足することができるので、車両の良好な乗り心地を実現することができる。また、伸び縮み共通の減衰力調整機構25の部分ではなく、伸び側、縮み側で特性変更可能なピストン部に設けられる逆止弁13を工夫したことにより、縮み側のピストン速度低速域での減衰力特性を下げると共に、ハード側の減衰力の低下を抑え、さらに伸び側の減衰力特性に影響を与えないようにすることができる。よって、縮み側のピストン速度低速域でのソフト側の減衰力を低くした場合であっても、伸び側、縮み側のハード側の減衰力特性を高いまま維持できるため、車両の良好な乗り心地を維持しつつ、操縦安定性も向上することができる。
【0041】
よって、伸び側、縮み側の減衰力調整機構を1つにした場合でも、伸び側、縮み側で減衰力特性を異ならせることが可能となり、減衰力調整機構は伸び側、縮み側共通のものを用いることができるので、車両への取付け性を向上することができる。
【0042】
上述の構成において、サブ逆止弁ディスク45の径を小さくすると共に、剛性を低くして撓み易くすることにより、応答性を高めることができる。サブ逆止弁ディスク45の内周部に開口55を設けることにより、サブ逆止弁ディスク45の剛性を低くすると共に、流体力によるシートディスク46への貼付を防止して円滑な開弁が可能になる。よって、伸び側から縮み側に行程反転してすぐにサブ逆止弁45は開弁することが可能となり、ピストンロッド6に伝わるいわゆるコトコト音の低減も図ることができる。また、逆止弁13は、積層するディスクの枚数、厚さ、開口、切欠の大きさ等によって開弁特性を変化させることができるので、調整の自由度が高い。
【0043】
次に本発明の第2実施形態について、図6乃至図8を参照して説明する。なお、以下の説明では、ピストン部のみを図示し、上記実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0044】
本実施形態に係る減衰力調整式緩衝器では、図6乃至図8に示すように、ピストン5の通路11は、ピストン5の内周側に、その軸に平行に配置され、通路12は、ピストン5の外周側に、その軸に平行に配置されている。ピストン5の上端部は、案内部42が省略され、開口5Aの周縁部に環状のクランプ部63が突出し、クランプ部63と外側シート部44との中間部に内側シート部43が突出しており、通路11がクランプ部63と内側シート部44との間に開口している。
【0045】
逆止弁13は、後述の複数のディスク状の部材からなり、ピストンロッド6の小径部6Aの基部の段部とピストン5のクランプ部63との間で、逆止弁13と略同径のリテーナ64及びクランプ部63よりもやや小径のスペーサ65を介して内周部がクランプされて内側シート部43及び外側シート部44に着座している。リテーナ64は、逆止弁13のリフト量を制限しており、径方向中間部に開口64が設けらている。
【0046】
逆止弁13は、図8(A)に示すサブ逆止弁ディスク66と、図8(B)に示すシートディスク67と、図8(C)に示すオリフィスディスク68と、図8(D)に示す逆止弁ディスク69とからなる4枚のディスク状の部材を有し、これらは、この順で上から積層され、中央の開口部にピストンロッド6の小径部6Aが挿通されてクランプ部63とスペーサ65との間で内周部がクランプされている。
【0047】
内側シート部43及び外側シート部44に着座する最も下側の第1逆止弁を構成する逆止弁ディスク69は、図8(D)に示すように、内周側に円弧状の3つの開口70が円周方向に等間隔で形成され、外周側に円弧状の2つの開口71が円周方向に等間隔で形成され、また、外周縁部に、外側シート部44に着座した状態で通路12をシリンダ上室2Aに常時連通させる切欠72(オリフィス)が形成されている。
逆止弁ディスク69の上に重ねられるオリフィスディスク68は、図8(C)に示すように、逆止弁ディスク69と同径で逆止弁ディスク69の開口70に対向する部位に円弧状の3つの開口73が円周方向に等間隔で形成されている。また、逆止弁ディスク69の開口71に対向する部位に5つのオリフィス74が円周方向に等間隔で形成されている。
【0048】
オリフィスディスク68の上に重ねられるシートディスク67は、図8(B)に示すように、オリフィスディスク68と同径で、内周側のオリフィスディスク68の3つの開口73に対向する部位に円弧状の3つの開口75が円周方向に等間隔で形成されている。また、外周側のオリフィスディスク68の5つのオリフィス74に対向する部位に、円弧状の2つの開口76が円周方向に等間隔で形成されている。
シートディスク67の上に重ねられるサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク66は、シートディスク67よりも小径で、内周側のシートディスク67の3つの開口75に対向する部位に円弧状の2つの開口77が円周方向に等間隔で形成されており、また、外周部によってシートディスク67の開口76を閉じるようになっている。
【0049】
サブ逆止弁ディスク66、シートディスク67、オリフィスディスク68及び逆止弁ディスク69が積層されることにより、これらの内周側の開口70、73、75、77が互いに接続して油路11とシリンダ上室2Aとを常時連通させ、また、外周側の開口71、オリフィス74及び開口76が互いに接続して、通路12とシリンダ上室2Aとをオリフィス74を介して連通させるオリフィス通路が形成される。
【0050】
このように構成したことにより、ピストンロッド6の縮み行程において、逆止弁13は、ピストン速度の極低速時には、図7(A)に示すように、サブ逆止弁ディスク66がシートディスク67に着座して開口76を閉じ、また、逆止弁ディスク69が内側シート部43及び外側シート部44に着座して通路12を閉じるので、作動液は、逆止弁ディスク69の切欠72のみを通ってシリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aに流れる。ピストン速度が上昇し、シリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、先ず、図7(B)に示すように、サブ逆止弁ディスク66が撓んでその外周部がシートディスク67から離間することにより開口76が開き、シリンダ下室2Bの作動液は、開口71、オリフィス74及び開口76によって形成されるオリフィス通路を通ってシリンダ上室2Aに流れる。更にピストン速度が上昇してシリンダ下室2B側の圧力が上昇すると、次いで、図7(C)に示すように、逆止弁ディスク69がオリフィスディスク68及びシートシートディスク67と共に撓んでその外周部が外側シートから離間することにより、シリンダ下室2B側の作動液が通路12からシリンダ上室2Aに直接流れる。このようにして、通路12の流路が段階的に増大して、その減衰力の上昇が段階的に小さくなる。これにより、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
次に本発明の第3実施形態について、図9乃至図11を参照して説明する。なお、以下の説明では、ベースバルブ部のみを図示し、上記実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。また、本実施形態に係る減衰力調整式緩衝器では、ベースバルブ10の逆止弁17が図6乃至図8に示す第2実施形態のピストン5の逆止弁13と同様の構造を有している。
【0052】
図9乃至図11に示すように、ベースバルブ10では、通路16は、ベースバルブ10の内周側に、その軸に平行に配置され、通路15は、ベースバルブ10の外周側に、その軸に平行に配置されている。ベースバルブ10の上端部は、ピン78が挿入される開口10Aの周縁部に環状のクランプ部79が突出し、外周部に環状の外側シート部80が突出し、クランプ部79と外側シート部80との中間部に環状の内側シート部81が突出している。そして、外側シート部80と内側シート部81との間に通路15が開口し、内側シート部81とクランプ部79との間に通路16が開口している。
【0053】
逆止弁17は、ピン78の先端部に取付けられたナット82とクランプ部79との間で、リテーナ83及びスペーサ84を介して内周部がクランプされて内側シート部81及び外側シート部80に着座している。リテーナ83には、径方向中間部に開口85が設けられている。
【0054】
逆止弁17は、図11(A)に示すサブ逆止弁ディスク86と、図11(B)に示すシートディスク87と、図11(C)に示すオリフィスディスク88と、図11(D)に示す逆止弁ディスク89とからなる4枚のディスク状の部材を有し、これらは、この順で上から積層され、中央の開口部にピン78が挿通されてクランプ部79とスペーサ84との間で内周部がクランプされている。
【0055】
これらのサブ逆止弁を構成するサブ逆止弁ディスク86、シートディスク87、オリフィスディスク88及び第2逆止弁を構成する逆止弁ディスク89は、図8(A)〜(D)に示すものと同様の形状であり、それぞれ、開口90、開口91、92、開口93、オリフィス94、開口95、96及び切欠97が形成されている。
【0056】
そして、サブ逆止弁ディスク86、シートディスク87、オリフィスディスク88及び逆止弁ディスク89が積層されることにより、これらの内周側の開口90、91、93及び95が互いに接続して油路16とシリンダ下室2Bとを常時連通させ、また、外周側の開口92、オリフィス94及び開口96が互いに接続して、通路15とシリンダ下室2Bとをオリフィス94を介して連通させるオリフィス通路が形成される。
【0057】
ベースバルブ10の下端部には、内周部にクランプ部98が突出し、外周部に外側シート部99が突出し、これらの間に通路16が開口し、外側シート部99の外周側に通路15が開口している。外側シート部99には、複数積層されたディスクバルブ18が着座し、その内周部がクランプ部98とスペーサ100との間でクランプされている。これにより、ディスクバルブ18は、通路16の圧力を受け、撓んで外周部が外側シート部99から離間することにより開弁する。
【0058】
このように構成したことにより、ピストンロッド6の伸び行程において、ベースバルブの逆止弁17は、ピストン速度の極低速時には、図10(A)に示すように、サブ逆止弁ディスク86がシートディスク87に着座して開口92を閉じ、また、逆止弁ディスク89が内側シート部81及び外側シート部80に着座して通路15を閉じるので、作動液は、逆止弁ディスク89の切欠97を通ってリザーバ4からシリンダ下室2Bに流れる。ピストン速度が上昇し、リザーバ4とシリンダ下室2Bとの差圧が増大すると、先ず、図11(B)に示しように、サブ逆止弁ディスク86が撓んでその外周部がシートディスク87から離間することにより開口92が開き、リザーバ4の作動液は、開口92、オリフィス94及び開口96によって形成されるオリフィス通路を通ってシリンダ下室2Bに流れる。更にピストン速度が上昇してリザーバ4とシリンダ下室2Bとの差圧が増大すると、次いで、図11(C)に示すように、逆止弁ディスク89がオリフィスディスク88及びシートシートディスク87と共に撓んでその外周部が外側シート部80から離間することにより、リザーバ4側の作動液が通路15からシリンダ下室2Bに直接流れる。このようにして、通路15の流路が段階的に増大して、その減衰力の上昇が段階的に小さくなる。
【0059】
そして、ピストンロッド6の伸び側の減衰力は、ベースバルブ10の逆止弁17によって発生する減衰力と、減衰力調整機構25によって発生する減衰力の和であるから、逆止弁17において、ピストン速度の極低速域から逆止弁17による減衰力の上昇が段階的に小さくなることにより、ピストン速度の極低速機において適度な減衰力を発生させながら、低速域、中速域及び高速域においては、逆止弁17の減衰力の上昇を段階的に小さくして適度な減衰力を得ることができる。逆止弁17は、ピストンロッド6の縮み行程時には、閉弁するので、縮み側の減衰力特性に影響を与えない。
【符号の説明】
【0060】
1…減衰力調整式緩衝器、2…シリンダ、2A…シリンダ上室(第1室)、2B…シリンダ下室(第2室)、4…リザーバ、5…ピストン、6…ピストンロッド、10…ベースバルブ、17…第2逆止弁、25…減衰力調整機構、45…サブ逆止弁ディスク(サブ逆止弁)、49…逆止弁ディスク(第1逆止弁)、50、52、53、54…開口(オリフィス通路)、53A…切欠(オリフィス通路)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液が封入されたシリンダと、作動液及びガスが封入されたリザーバと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されて該シリンダ内を第1室と第2室とに画成するピストンと、一端部が前記ピストンに連結され、他端部が前記第1室を通って外部へ延出されたピストンロッドと、前記第2室と前記リザーバとを画成するベースバルブと、前記ピストンに設けられて前記第2室側から前記第1室側への作動液の流通を許容する第1逆止弁と、前記ベースバルブに設けられて前記リザーバ側から前記第2室側への作動液の流通を許容する第2逆止弁と、前記第1室と前記リザーバとを接続する通路と、該通路の作動液の流れを制御して減衰力を調整する減衰力調整機構とを備え、
前記第1及び第2逆止弁の少なくとも一方に対して、並列にオリフィス通路を設け、該オリフィス通路にはサブ逆止弁を設け、該サブ逆止弁は、前記オリフィス通路が並列に設けられた逆止弁に対して、より低い圧力で開弁して同じ方向の作動液の流れを許容することを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
【請求項2】
前記減衰力調整機構は、圧力制御弁であることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項3】
前記減衰力調整機構は、パイロット型圧力制御弁であることを特徴とする請求項2に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項4】
前記第1及び第2逆止弁の開弁時のピストン速度は、前記パイロット型圧力制御弁の開弁時のピストン速度より低速であることを特徴とする請求項3に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項5】
前記減衰力調整機構は、流量制御弁であることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項6】
前記第1及び第2逆止弁の開弁時のピストン速度を0.1m/s以下としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項1】
作動液が封入されたシリンダと、作動液及びガスが封入されたリザーバと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されて該シリンダ内を第1室と第2室とに画成するピストンと、一端部が前記ピストンに連結され、他端部が前記第1室を通って外部へ延出されたピストンロッドと、前記第2室と前記リザーバとを画成するベースバルブと、前記ピストンに設けられて前記第2室側から前記第1室側への作動液の流通を許容する第1逆止弁と、前記ベースバルブに設けられて前記リザーバ側から前記第2室側への作動液の流通を許容する第2逆止弁と、前記第1室と前記リザーバとを接続する通路と、該通路の作動液の流れを制御して減衰力を調整する減衰力調整機構とを備え、
前記第1及び第2逆止弁の少なくとも一方に対して、並列にオリフィス通路を設け、該オリフィス通路にはサブ逆止弁を設け、該サブ逆止弁は、前記オリフィス通路が並列に設けられた逆止弁に対して、より低い圧力で開弁して同じ方向の作動液の流れを許容することを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
【請求項2】
前記減衰力調整機構は、圧力制御弁であることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項3】
前記減衰力調整機構は、パイロット型圧力制御弁であることを特徴とする請求項2に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項4】
前記第1及び第2逆止弁の開弁時のピストン速度は、前記パイロット型圧力制御弁の開弁時のピストン速度より低速であることを特徴とする請求項3に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項5】
前記減衰力調整機構は、流量制御弁であることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器。
【請求項6】
前記第1及び第2逆止弁の開弁時のピストン速度を0.1m/s以下としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の減衰力調整式緩衝器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−215220(P2012−215220A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80194(P2011−80194)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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