説明

炭化ケイ素焼成用原料の製造方法、及び、ハニカム構造体の製造方法

【課題】多孔質炭化ケイ素焼結体の作製に適した炭化ケイ素焼成用原料であって、鉄化合物粉末が均一に分散した炭化ケイ素焼成用原料を提供する。
【解決手段】少なくとも炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を含むことを特徴とする製造方法により炭化ケイ素焼成用原料を製造する。このような炭化ケイ素焼成用原料を用いることにより、炭化ケイ素の焼結が確実に進行することとなり、製造したハニカム構造体の気孔径及び気孔率のバラツキを少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素焼成用原料の製造方法、及び、ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが種々提案されている。
このようなハニカム構造体としては、高温耐熱性に優れるとの点から炭化ケイ素からなるハニカム焼成体を用いたものが提案されている。
【0003】
上述したような、炭化ケイ素からなるハニカム焼成体を製造する方法としては、例えば、特許文献1に開示された方法が知られている。
具体的には、Al元素、B元素及びFe元素の含有率の合計が1重量%以下で、遊離炭素の含有率が5重量%以下の炭化ケイ素粉末を出発材料として成形しハニカム状成形体を得る第1工程、上記ハニカム状成形体の所定の貫通孔の端部を所定の栓材で目封じする第2工程、及び、上記目封じしたハニカム状成形体を非酸化性雰囲気中で焼結せしめる第3工程を行う方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−258715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにハニカム構造体の製造方法では、押出成形によりハニカム成形体を作製した後、ハニカム成形体に脱脂処理を施すこととなる。
この脱脂処理では、バインダや分散媒液等が分解、除去されることとなる。しかしながら、この脱脂処理において、脱脂処理を完全に進行させ、ハニカム成形体中の有機成分を完全に分解、除去してしまうと、脱脂処理されたハニカム成形体(ハニカム脱脂体)は、強度が低下し、自身の形状を保持することができなくなってしまい、ハニカム脱脂体を焼成処理して得たハニカム焼成体にピンホールやクラック等が生じることがある。
そのため、ハニカム脱脂体中には、バインダ等由来の炭素が残留していることが必要となる。
【0006】
一方、ハニカム脱脂体に焼成処理を施して、ハニカム焼成体を作製する際には、ハニカム脱脂体中に炭素が残留していると、この炭素が、炭化ケイ素粉末間に介在して炭化ケイ素粉末同士の接触を阻害し、その結果、炭化ケイ素の焼結を阻害する原因となってしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上述した課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、焼成処理において、ハニカム脱脂体中に残留する炭素を除去するために、予め、原料組成物中に鉄化合物粉末を配合しておくとの着想を得た。
そして、本発明者等のさらに検討を重ね、単に、鉄化合物粉末を添加するのみでは、上記課題は解決することができず、鉄化合物粉末を原料組成物中に高分散させることによって上記課題を解決することができ、そのためには、炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより原料組成物を調製すればよいことを見出し、本発明の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法を完成した。
また、このような炭化ケイ素焼成用原料を使用することにより、炭化ケイ素からなるハニカム焼成体を好適に製造することができることを見出し、本発明のハニカム構造体の製造方法を完成した。
【0008】
請求項1に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法は、少なくとも炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を含むことを特徴とする。
請求項1に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法によれば、炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を有しているため、鉄化合物粉末が均一に分散した状態の炭化ケイ素焼成用原料を製造することができる。
【0009】
請求項2に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法では、上記鉄化合物粉末が、Fe、Fe及びFeOのうちの少なくとも1種からなるものである。
請求項2に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法によれば、鉄化合物粉末が、Fe、Fe及びFeOのうちの少なくとも1種であるため、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて、多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、確実に焼結が進行することとなる。
この理由については、後述する。
【0010】
請求項3に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法では、上記鉄化合物粉末の含有量が、0.25〜2.5重量%である。
請求項3に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法によれば、上記鉄化合物粉末の含有量が、0.25〜2.5重量%であるため、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて、多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、確実に焼結が進行することとなる。
【0011】
請求項4に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法は、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物において、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後(以下、単に混合後ともいう)の鉄化合物粉末の平均粒子径(D50)が、0.1〜1.0μmで、かつ、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)以下である。
請求項4に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法のように、混合後の鉄化合物粉末の平均粒子径、及び、混合後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径が上記範囲にあるように湿式混合又は湿式粉砕混合を行えば、鉄化合物粉末と炭化ケイ素粉末とが均一に混合された状態になりやすいからである。
【0012】
請求項5に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法は、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、さらに、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径(D50)が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する。
請求項5に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法によれば、後からさらに平均粒子径(D50)が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合しているため、製造した炭化ケイ素焼成用原料中に、平均粒子径の異なる2種類の炭化ケイ素粒子が配合されていることとなり、このような炭化ケイ素焼成用原料は、多孔質炭化ケイ素焼結体を製造するのに際して、確実に焼結が進行することとなり、製造した多孔質炭化ケイ素焼結体の気孔径及び気孔率のバラツキを少なくすることができる。
【0013】
請求項6に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法は、請求項5に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法において、さらに、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)が、0.1〜1.0μmである。
また、請求項7に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法は、請求項5、6に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法において、さらに、上記炭化ケイ素粗粉末の平均粒子径(D50)が、0.3〜50μmである。
請求項6及び7に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法により得た炭化ケイ素焼成用原料は、ハニカムフィルタや触媒担体として好適に使用することができる気孔径及び気孔率を備えた多孔質炭化ケイ素焼結体を製造するのに特に適している。
【0014】
請求項8に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法では、請求項5〜7に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法において、さらに、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物中の上記鉄化合物粉末の含有量を1〜10重量%とする。
請求項8に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法によれば、上記鉄化合物の含有量が上記範囲にあるため、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、より確実に焼結が進行することとなる。
【0015】
請求項9に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法は、請求項5〜8に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法において、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に乾燥処理を施した後、上記炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する。
請求項9に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法によれば、湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、一旦、乾燥処理を施しているため、炭化ケイ素粉末及び/又は鉄化合物粉末が凝集しにくく、大きいサイズの粉末ができにくくなる。そのため、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、より確実に焼結が進行することとなる。さらに、製造した多孔質炭化ケイ素焼結体の気孔径及び気孔率のバラツキを少なくすることができる。
【0016】
請求項10に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法では、上記鉄化合物粉末の純度が、80%を超え、99%以下である。
請求項10に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法によれば、鉄化合物粉末の純度が上記範囲にあるため、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、より確実に焼結が進行することとなる。
【0017】
請求項11に記載のハニカム構造体の製造方法は、炭化ケイ素焼成用原料と添加材とを含む原料組成物を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、上記ハニカム成形体を脱脂処理することによりハニカム脱脂体を作製し、さらに、上記ハニカム脱脂体を焼成処理することによりハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
上記炭化ケイ素焼成用原料は、少なくとも炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を含む製造方法により製造することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載のハニカム構造体の製造方法によれば、所定の方法により製造した炭化ケイ素焼成用原料を使用してハニカム構造体を製造するため、鉄化合物粉末が均一に分散した炭化ケイ素焼成用原料を使用してハニカム構造体を製造することとなり、炭化ケイ素の焼結が確実に進行し、圧力損失が低く、気孔径及び気孔率のバラツキの少ないハニカム構造体を製造することができる。
【0019】
請求項12に記載のハニカム構造体の製造方法は、上記ハニカム構造体の製造方法において、上記鉄化合物粉末が、Fe、Fe及びFeOのうちの少なくとも1種からなるものである。
請求項12に記載のハニカム構造体の製造方法によれば、鉄化合物粉末が、Fe、Fe及びFeOのうちの少なくとも1種であるため、焼結が確実に進行したハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造することができる。
【0020】
請求項13に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記炭化ケイ素焼成用原料における上記鉄化合物粉末の含有量は、0.25〜2.5重量%である。
請求項13に記載のハニカム構造体の製造方法によれば、上記鉄化合物粉末の含有量が、0.25〜2.5重量%であるため、焼結が確実に進行したハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造することができる。
【0021】
請求項14に記載のハニカム構造体の製造方法は、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物において、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の鉄化合物粉末の平均粒子径(D50)が、0.1〜1.0μmで、かつ、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)以下である。
請求項14に記載のハニカム構造体の製造方法のように、混合後の鉄化合物粉末の平均粒子径、及び、混合後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径が上記範囲にあるように湿式混合又は湿式粉砕混合を行えば、鉄化合物粉末と炭化ケイ素粉末とが均一に混合された状態になりやすく、このような炭化ケイ素焼成用原料を用いることにより、焼結がより確実に進行したハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造することができる。
【0022】
請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法は、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、さらに、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径(D50)が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する。
請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法によれば、炭化ケイ素焼成用原料を製造する際に、後からさらに平均粒子径(D50)が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合しているため、炭化ケイ素焼成用原料中には、平均粒子径の異なる2種類の炭化ケイ素粒子が配合されていることとなり、このような炭化ケイ素焼成用原料を用いることにより、炭化ケイ素の焼結が確実に進行することとなり、製造したハニカム構造体の気孔径及び気孔率のバラツキを少なくすることができる。
【0023】
請求項16に記載のハニカム構造体の製造方法は、請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法において、さらに、上記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)が、0.1〜1.0μmである。
また、請求項17に記載のハニカム構造体の製造方法は、請求項15、16に記載のハニカム構造体の製造方法において、さらに、上記炭化ケイ素粗粉末の平均粒子径(D50)が、0.3〜50μmである。
請求項16、17に記載のハニカム構造体の製造方法によれば、上記のような炭化ケイ素焼成用原料を用いてハニカム構造体を製造しているため、ハニカムフィルタや触媒担体としての使用に適したハニカム構造体を好適に製造することができる。
【0024】
請求項18に記載のハニカム構造体の製造方法では、請求項15〜17に記載のハニカム構造体の製造方法において、さらに、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物中の上記鉄化合物粉末の含有量を1〜10重量%とする。
請求項18に記載のハニカム構造体の製造方法によれば、鉄化合物粉末の含有量が上記範囲にあるため、焼結がより確実に進行したハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造することができる。
【0025】
請求項19に記載のハニカム構造体の製造方法は、請求項15〜18に記載のハニカム構造体の製造方法において、上記炭化ケイ素粉末と上記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に乾燥処理を施した後、上記炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する。
請求項19に記載のハニカム構造体の製造方法によれば、炭化ケイ素焼成用原料を製造する際に、湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、一旦、乾燥処理を施しているため、炭化ケイ素粉末及び/又は鉄化合物粉末が凝集しにくく、大きいサイズの粉末ができにくくなる。そのため、この炭化ケイ素焼成用原料を用いることにより、炭化ケイ素の焼結が確実に進行することとなり、また、気孔径及び気孔率のバラツキの少ないハニカム構造体を製造することができる。
【0026】
請求項20に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記鉄化合物粉末の純度が、80%を超え、99%以下である。
請求項20のハニカム構造体の製造方法によれば、鉄化合物粉末の純度が上記範囲にあるため、焼結が確実に進行したハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
まず、本発明の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法について説明し、その後、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法は、少なくとも炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を含むことを特徴とする。
【0028】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、炭化ケイ素焼成用原料と添加材とを含む原料組成物を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、上記ハニカム成形体を脱脂処理することによりハニカム脱脂体を作製し、さらに、上記ハニカム脱脂体を焼成処理することによりハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
上記炭化ケイ素焼成用原料は、少なくとも炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を含む製造方法により製造することを特徴とする。
【0029】
上記ハニカム焼成体用原料の製造方法では、まず、出発材料となる炭化ケイ素粉末及び鉄化合物粉末を用意する。
上記鉄化合物粉末としては、Fe、Fe、FeO等の酸化鉄からなる粉末が望ましい。これらの酸化鉄を用いることが、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて多孔質炭化ケイ素焼結体を製造するの適しているからである。詳しくは後述する。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
次に、出発材料の炭化ケイ素粉末及び鉄化合物粉末を、湿式粉砕混合機又は湿式混合機に投入し、湿式粉砕混合又は湿式混合を行う。
ここで、湿式混合を行う場合には、混合後の炭化ケイ素粉末及び鉄化合物粉末と略同一の平均粒子径を有する出発材料を使用し、湿式粉砕混合を行う場合には、混合後の炭化ケイ素粉末及び鉄化合物粉末より大きい平均粒子径を有する出発材料を使用する。
【0031】
また、上記出発材料の炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物(炭化ケイ素焼成用原料)において、混合後の鉄化合物粉末は、その平均粒子径(D50)が0.1〜1.0μmで、かつ、混合後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)以下であることが望ましい。
混合後の鉄化合物粉末の平均粒子径、及び、混合後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径が上記範囲にあるように湿式混合又は湿式粉砕混合を行えば、得られた混合物中の鉄化合物粉末と炭化ケイ素粉末とが均一に混合された状態になりやすいからである。
一方、上記混合後の鉄化合物粉末の平均粒子径(D50)を0.1μm未満とすることは、多大な時間とコストを要するため不利であり、上記混合後の鉄化合物粉末の平均粒子径(D50)が1.0μmを超える場合や、上記混合後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)より大きい場合は、鉄化合物粉末を炭化ケイ素焼成用原料中に均一に分散させることが困難となる傾向にある。
なお、本明細書において、平均粒子径(D50)とは、体積基準のメジアン径のことをいう。
ここで、平均粒子径の具体的な測定法について簡単に説明する。
粒子の大きさ(粒子径)は、一般的に、多数の測定結果を積算することにより、粒子径ごとの存在比率の分布として表される。この粒子径ごとの存在比率の分布を粒度分布という。粒度分布の測定法としては、例えば、体積基準での測定を原理とするレーザー回折・散乱法等を採用することができる。なお、このような方法では、粒子の形状を球状と仮定して粒度分布を測定する。そして、測定した粒度分布を累積分布に変換して、上記メジアン径(粉体の集合をある粒子径を中心に2つの群に分けたとき、粒子径が大きい側の群に存在する粒子の量と粒子径が小さい側に存在する粒子の量とが等量になる径)を算出する。
【0032】
上記混合後の炭化ケイ素粉末や混合後の鉄化合物粉末の平均粒子径は、湿式混合機を用いる場合には、分級等により予め出発材料の平均粒子径を調整しておくことにより調整することができ、湿式粉砕混合機を用いる場合には、適切な処理時間を選択することによって調整することができる。
【0033】
上記湿式混合機としては特に限定されず、例えば、タンブラーミキサー、ジェットミキサー、バグミキサー、コーン型ミキサー、ニーダー、リボンミキサー等の湿式混合機を使用することができる。
また、湿式粉砕混合機としては特に限定されず、例えば、コロイドミル、コーンミル、ビーズミル、V型ミル、サイドミル、ボールミル、アトライタ等の湿式粉砕混合機を使用することができる。
【0034】
また、上記湿式混合や湿式粉砕混合において使用する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ベンゼン、四塩化炭素、フェノール、アセトン、スルフォン酸、オレイン酸、ブチル酸、ナフテン酸、アミルアセテート、水酸化ナトリウム水溶液、ケイ酸ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。
【0035】
そして、湿式粉砕混合又は湿式混合終了後、必要に応じて、混合物に乾燥処理を施すことより、炭化ケイ素焼成用原料を製造することができる。
上記乾燥処理は、上記湿式混合や湿式粉砕混合において使用する溶媒を100%除去することができる条件で行なうことが望ましい。
【0036】
上記炭化ケイ素焼成用原料において、上記鉄化合物粉末の含有量は、0.25〜2.5重量%であることが望ましい。多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、焼結性に優れるからである。
これに対し、上記鉄化合物粉末の含有量が、0.25重量%未満では、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、炭化ケイ素の焼結が充分に進行しない場合があり、一方、2.5重量%を超えると、出来上がった炭化ケイ素焼成用原料を用いて多孔質炭化ケイ素焼結体を製造した際に、得られた多孔質炭化ケイ素焼結体の気孔径が大きくなりすぎ、その結果、強度が不充分になる場合がある。
【0037】
また、上記炭化ケイ素焼成用原料において、上記炭化ケイ素粉末の純度は、96.0〜99.5%であることが望ましい。
上記混合後の炭化ケイ素粉末の純度が上記範囲にあれば、多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に焼結性に優れるのに対し、その純度が96.0%未満では、炭化ケイ素の焼結の進行が不純物により阻害されることがあり、99.5%を超えると、焼結性向上の効果はほとんど得られないにも関わらず、混合後の炭化ケイ素粉末をこのような高純度とするには高コストを要するからである。
【0038】
なお、本明細書において、炭化ケイ素粉末の純度とは、製造した炭化ケイ素焼成用原料中に含まれる鉄化合物粉末以外の成分のうち、炭化ケイ素が占める割合をいう。
上記炭化ケイ素焼成用原料中には、炭化ケイ素粉末及び鉄化合物粉末のみが含まれていることが理想的であるが、実際には、不可避的不純物が含まれることとなる。
上記不可避的不純物は、出発材料中に混入していた不純物、湿式粉砕混合時や湿式混合時に混入する不純物であり、その混入を避けることができない不純物である。
【0039】
また、本発明の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法では、出発材料の炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、さらに、混合後の炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径(D50)が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合することが望ましい。
平均粒子径の異なる2種類の炭化ケイ素粒子が配合されている炭化ケイ素焼成用原料は、多孔質炭化ケイ素焼結体を製造するのに際して、確実に焼結が進行することとなり、製造した多孔質炭化ケイ素焼結体の気孔径及び気孔率のバラツキを少なくすることができるからである。
【0040】
さらに炭化ケイ素粗粉末を添加する製造方法を行う場合、混合後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)は、0.1〜1.0μmであることが望ましい。上記炭化ケイ素粗粉末の平均粒子径(D50)は、望ましい下限が0.3μmで、望ましい上限が50μmであり、より望ましい下限が5μmで、より望ましい上限が20μmである。
出来上がった上記炭化ケイ素粗粉末を含む炭化ケイ素焼成用原料は、ハニカムフィルタや触媒担体として好適に使用することができる気孔径及び気孔率を備えた多孔質炭化ケイ素焼結体を製造するの特に適しているからである。
【0041】
また、本発明の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法において、上記炭化ケイ素粉末と、この炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径の大きい炭化ケイ素粗粉末とを含む炭化ケイ素焼成用原料を製造する場合、即ち、平均粒子径(D50)の異なる炭化ケイ素粉末を混合した炭化ケイ素焼成用原料を製造する場合、炭化ケイ素粗粉末を添加するタイミングは特に限定されず、平均粒子径の異なる2種類の炭化ケイ素粉末(出発材料の炭化ケイ素粉末とこの炭化ケイ素粉末より平均粒子径の大きい炭化ケイ素粗粉末)と出発材料の鉄化合物粉末とを最初から同時に添加してもよいが、出発材料の炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを混合した後、炭化ケイ素粗粉末を添加してさらに混合することが望ましい。
【0042】
さらに、出発材料の炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを混合した後、炭化ケイ素粗粉末を添加する場合には、湿式混合又は湿式粉砕混合により出発材料の炭化ケイ素粗粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合して混合物を得た後、この混合物に乾燥処理を施し、その後、この混合物に乾式混合により炭化ケイ素粗粉末を混合し、炭化ケイ素焼成用原料とすることが望ましい。
このような手順で製造した炭化ケイ素焼成用原料は、焼結性に優れるからであり、その理由は次のように考えられる。
即ち、一旦、乾燥処理を施すことにより、炭化ケイ素粉末及び/又は鉄化合物粉末が凝集しにくくなるため、大きいサイズの粉末ができにくくなり、焼結が確実に進行することとなると考えられる。
なお、上記乾燥処理を施すことにより、製造した多孔質炭化ケイ素焼結体の気孔径及び気孔率のバラツキを少なくすることができる。
【0043】
本発明の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法で使用する炭化ケイ素粉末(炭化ケイ素粗粉末を含む)は、α型炭化ケイ素粉末であってもよいし、β型炭化ケイ素粉末であってもよいし、α型炭化ケイ素粉末とβ型炭化ケイ素粉末との混合物であってもよいが、α型炭化ケイ素粉末が望ましい。
α型炭化ケイ素粉末は、β型炭化ケイ素粉末に比べて安価であり、熱伝導性に優れているからである。
また、α型炭化ケイ素粉末ほうが、多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に、気孔径の制御がしやすく、均一な気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造するのに適しているからである。
【0044】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法で製造するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
【0045】
ハニカム構造体100では、図2(a)、(b)に示すようなハニカム焼成体110がシール材層(接着材層)101を介して複数個結束されてハニカムブロック103を構成し、さらに、このハニカムブロック103の外周にシール材層(コート層)102が形成されている。
また、ハニカム焼成体110は、図2(a)に示すように、長手方向(図2(a)中、a参照)に多数のセル111が並設され、セル111同士を隔てるセル壁113がフィルタとして機能するようになっている。
【0046】
即ち、ハニカム焼成体110に形成されたセル111は、図2(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封止材112により目封じされ、一のセル111に流入した排ガスは、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他のセル111から流出するようになっており、排ガスがこのセル壁113を通過する際、パティキュレートがセル壁113部分で捕捉され、排ガスが浄化される。
【0047】
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法を工程順に説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、まず、炭化ケイ素焼成用原料と添加材とを含む原料組成物を調製する。
上記炭化ケイ素焼成用原料としては、本発明の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法より製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いればよい。
上記添加材としては、例えば、有機バインダ、可塑剤、潤滑剤等が挙げられる。
【0048】
上記バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記バインダの配合量は、通常、炭化ケイ素焼成用原料100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0049】
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0050】
さらに、上記原料組成物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
【0051】
また、上記ハニカム構造体の製造方法において、炭化ケイ素焼成用原料を製造する場合には、既に説明したように、出発材料の炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、さらに、混合後の炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合することが望ましい。このような手順で製造した炭化ケイ素焼成用原料は、焼結性に優れるからである。
この理由は、次のように考えられる。
【0052】
即ち、本発明のハニカム構造体の製造方法の特徴は、炭化ケイ素焼成用原料中に鉄化合物粉末が配合されていることにある。そして、鉄化合物粉末を配合する目的は、後工程を経て作製するハニカム成形体中の炭素を焼成処理時に除去することにある。
具体的には、例えば、酸化鉄粉末として、Feからなる粉末が含まれている場合には、
下記式(1)に示すようなFeと炭素との反応が進行し、ハニカム成形体中から炭素が除去されることなる。
【0053】
【化1】

【0054】
ここで、ハニカム成形体(ハニカム脱脂体)中の炭素を確実に除去するには、鉄化合物粉末を炭化ケイ素焼成用原料中に均一に分散させることが重要となる。
上記鉄化合物粉末の分散が不均一であると、ハニカム成形体中に残留する炭素のうち、鉄化合物粉末との反応が進行しない炭素が多量に存在し、その部分で炭化ケイ素の焼結が阻害されるおそれがあるからである。
【0055】
そして、炭化ケイ素焼成用原料を製造する際に、炭化ケイ素焼成用原料中に鉄化合物粉末を均一に分散させるには、出発材料の炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、さらに、上記炭化ケイ素粗粉末を添加、混合することが望ましい。
出発材料の炭化ケイ素粉末及び鉄化合物粉末と出発材料の炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径の大きい炭化ケイ素粗粉末とを同時に湿式混合したり、上記鉄化合物粉末と上記炭化ケイ素粗粉末とを先に湿式混合し、その後、上記炭化ケイ素粗粉末より平均粒子径の小さい炭化ケイ素粉末を添加、混合した場合には、鉄化合物粉末が偏在しやすい傾向にあり、炭化ケイ素焼成用原料中に鉄化合物粉末を均一に分散させることが難しくなるからである。
【0056】
また、ここで調製した、炭化ケイ素焼成用原料を含む原料組成物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、上記原料組成物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましく、水分の含有量は8〜20重量%であることが望ましい。
【0057】
次に、この原料組成物を押出成形法等により押出成形する。そして、押出成形により得られた成形体を切断機で切断することにより、図2(a)に示した柱状のハニカム焼成体110と同形状で、目封じのされていない形状のハニカム成形体を作製する。
なお、本明細書において、「柱状」には円柱状や楕円柱状、多角柱状等の任意の柱の形状を含む。
【0058】
次に、上記ハニカム成形体に、必要に応じて、各セルのいずれか一方の端部に封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
具体的には、セラミックフィルタとして機能するハニカム構造体を製造する場合には、各セルのいずれか一方の端部を目封じする。
また、上記ハニカム成形体を目封じする前には、必要に応じて、乾燥処理を施してもよく、この場合、上記乾燥処理は、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、減圧乾燥機、誘電乾燥機、凍結乾燥機等を用いて行えばよい。
【0059】
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て形成される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、上記原料組成物と同様のものを用いることができる。
【0060】
上記封止材ペーストの充填は、必要に応じて行えばよく、上記封止材ペーストを充填した場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体をハニカムフィルタとして好適に使用することができ、上記封止材ペーストを充填しなかった場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体を触媒担持体として好適に使用することができる。
【0061】
次に、必要に応じて封止材ペーストが充填されたハニカム成形体に、所定の条件(例えば、200〜500℃で2〜4時間)で脱脂処理を施す。
【0062】
次に、脱脂処理されたハニカム成形体(ハニカム脱脂体)に所定の条件(例えば、1400〜2300℃)の焼成処理を施すことにより、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルのいずれか一方の端部が封止された柱状のハニカム焼成体を製造する。
なお、上記ハニカム成形体の脱脂条件や焼成条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
【0063】
本発明のハニカム構造体の製造方法では、既に説明したように、炭化ケイ素焼成用原料中に、鉄化合物粉末として、Fe、Fe、FeO等の酸化鉄からなる粉末等が含まれているため、上記焼成処理の際には、上記式(1)に示すような反応や、下記式(2)又は(3)に示すような酸化鉄と炭素との反応が進行し、ハニカム脱脂体中から炭素が除去されることとなる。
【0064】
【化2】

【0065】
【化3】

【0066】
このように、ハニカム脱脂体中から炭素を除去することにより、炭化ケイ素同士がより接触しやすくなり、炭化ケイ素の焼結が確実に進行することとなる。
上記鉄化合物粉末として、Fe、Fe、FeO等の酸化鉄からなる粉末が望ましい理由は、安価な材料であり、仮に多孔質炭化ケイ素焼結体中に残留しても、多孔質炭化ケイ素焼結体を腐食させることがないからである。
【0067】
次に、ハニカム焼成体の側面に、シール材層(接着材層)となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布し、このシール材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、所定の大きさのハニカム焼成体の集合体を作製する。
【0068】
上記シール材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等が挙げられる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0069】
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0070】
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなるセラミックファイバ等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
【0071】
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
【0072】
さらに、上記シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0073】
次に、このハニカム焼成体の集合体を加熱してシール材ペーストを乾燥、固化させてシール材層(接着材層)とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体がシール材層(接着材層)を介して複数個接着されたハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱形状のハニカムブロックを作製する。
【0074】
そして、ハニカムブロックの外周に上記シール材ペーストを用いてシール材層(コート層)を形成することで、ハニカム焼成体がシール材層(接着材層)を介して複数個接着された円柱形状のハニカムブロックの外周部にシール材層(コート層)が設けられたハニカム構造体を製造することができる。
【0075】
その後、必要に応じて、ハニカム構造体に触媒を担持させる。上記触媒の担持は集合体を作製する前のハニカム焼成体に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
【0076】
上記ハニカム構造体の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH(NO]HNO、白金濃度4.53重量%)等をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
【0077】
また、ここまで説明したハニカム構造体の製造方法は、集合型ハニカム構造体の製造方法であるが、本発明の製造方法により製造するハニカム構造体は、柱形状のハニカムブロックが1つのハニカム焼成体から構成されているハニカム構造体(一体型ハニカム構造体)であってもよい。
【0078】
このような一体型ハニカム構造体を製造する場合は、まず、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きく、ハニカム成形体の外形が集合型ハニカム構造体を製造する場合と異なる以外は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様の方法を用いて、ハニカム成形体を作製する。
【0079】
次に、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、必要に応じて、乾燥処理や封止材ペーストの充填を行い、さらに、その後、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、脱脂、焼成を行うことによりハニカムブロックを製造し、必要に応じて、シール材層(コート層)の形成を行うことにより、一体型ハニカム構造体を製造することができる。また、上記一体型ハニカム構造体にも、上述した方法で触媒を担持させてもよい。
【0080】
以上、説明した本発明のハニカム構造体の製造方法では、所定の形状のハニカム構造体を好適に製造することができる。
またここでは、ハニカム構造体として、排ガス中のパティキュレートを捕集する目的でも用いるハニカムフィルタを中心に説明したが、上記ハニカム構造体は、排ガスを浄化する触媒担体(ハニカム触媒)としても好適に使用することができる。
即ち、各セルのいずれか一方の端部を目封じした場合には、ハニカムフィルタとして好適に使用することができ、各セルの端部を目封じしなかった場合には、触媒担体として好適に使用することができる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を掲げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)平均粒子径(D50)12μmのα型炭化ケイ素粉末96kgと、平均粒子径(D50)1.0μmとしたFe粉末(和光純薬工業製、純度95%以上)4kgとを出発材料とし、湿式粉砕混合機を用いて湿式粉砕混合することにより、平均粒子径(D50)0.5μmのα型炭化ケイ素粉末(炭化ケイ素微粉末ともいう)と、平均粒子径(D50)0.5μmのFe粉末との混合物を作製した。なお、湿式粉砕混合時の溶媒としては、NaOH水溶液を使用した。
なお、平均粒子径は、本実施例を含めすべての実施例、参考例及び比較例においてレーザー回折・散乱法を用いて測定した。
上記混合物中のFe粉末の含有量は、4重量%である。
【0082】
(2)次に、上記混合物を乾燥機で乾燥させた後、乾燥後の上記混合物に、平均粒子径(D50)12μmのα型炭化ケイ素粗粉末300kgを添加し、乾式混合機を用いて乾式混合することにより炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
炭化ケイ素焼成用原料中のFe粉末の含有量は、1重量%である。
【0083】
(実施例2)
実施例1の(1)の工程において、Fe粉末に代えて、平均粒子径(D50)1.0μmとしたFe粉末(和光純薬工業製、純度95%以上)を使用した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
【0084】
(実施例3)
実施例1の(1)の工程において、Fe粉末に代えて、平均粒子径(D50)1.0μmとしたFeO粉末(和光純薬工業製、純度95%以上)を使用した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
【0085】
(実施例4、5)
実施例1の(1)の工程において、Fe粉末の配合量を1kg(実施例4)、又は、10kg(実施例5)に変更した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
なお、炭化ケイ素焼成用原料中のFe粉末の含有量は、実施例4では0.25重量%、実施例5では2.46重量%である。
【0086】
(実施例6)
実施例1の(1)の工程において、平均粒子径(D50)12μmのα型炭化ケイ素粉末96kgと、平均粒子径(D50)1.0μmとしたFe粉末(和光純薬工業製、純度95%以上)4kgとを出発材料とし、湿式粉砕混合機を用いて湿式粉砕混合することにより、平均粒子径(D50)0.1μmのα型炭化ケイ素粉末(炭化ケイ素微粉末ともいう)と、平均粒子径(D50)0.1μmのFe粉末との混合物を作製した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
【0087】
(実施例7)
実施例1の(1)の工程において、平均粒子径(D50)12μmのα型炭化ケイ素粉末96kgと、平均粒子径(D50)1.0μmとしたFe粉末(和光純薬工業製、純度95%以上)4kgとを出発材料とし、湿式粉砕混合機を用いて湿式粉砕混合することにより、平均粒子径(D50)1.0μmのα型炭化ケイ素粉末と、平均粒子径(D50)1.0μmのFe粉末との混合物を作製した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
【0088】
(実施例8)
実施例1の(2)の工程において、平均粒子径(D50)12μmのα型炭化ケイ素粗粉末に代えて、平均粒子径(D50)5μmのα型炭化ケイ素粗粉末を使用した以外は実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
【0089】
(実施例9)
実施例1の(2)の工程において、平均粒子径(D50)12μmのα型炭化ケイ素粗粉末に代えて、平均粒子径(D50)20μmのα型炭化ケイ素粗粉末を使用した以外は実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
【0090】
(参考例)
実施例1の(2)の工程において、平均粒子径(D50)12μmのα型炭化ケイ素粗粉末に代えて、平均粒子径(D50)0.5μmのα型炭化ケイ素粉末を使用した以外は実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
従って、参考例では、(1)の工程で作製した混合物に含まれるα型炭化ケイ素粉末、及び、(2)の工程で添加したα型炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)は、いずれも0.5μmである。
【0091】
(比較例)
実施例1の(1)の工程において、Fe粉末を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素焼成用原料を製造した。
【0092】
次に、実施例1〜9、参考例、及び、比較例で製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いて、下記(i)〜(vii)の工程を行うことによりハニカム構造体を製造した。
【0093】
(i)上記炭化ケイ素焼成用原料350kgと、有機バインダ(メチルセルロース)20kgとを混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水65kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と上記混合粉末とを湿式混合機を用いて混合し、湿潤混合物を調製した。
【0094】
(ii)次に、搬送装置を用いて、この湿潤混合物を押出成形機に搬送し、押出成形機の原料投入口に投入した。
そして、押出成形により、セルの端部が封止されていない以外は、図2(a)に示した形状と同様の形状の成形体を作製した。
【0095】
(iii)次に、マイクロ波と熱風とを併用した乾燥機を用いて上記ハニカム成形体を乾燥させ、その後、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。
さらに、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、封止材ペーストが充填されたハニカム成形体を、脱脂温度350℃、雰囲気中のO濃度9%、脱脂時間3時間の条件で脱脂することにより、ハニカム脱脂体を作製した。
【0096】
(iv)続いて、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことにより、気孔率が40%、その大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm、セル壁の厚さが0.25mmの四角柱状の多孔質炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を製造した。
【0097】
(v)次に、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材ペースト(接着材ペースト)を用いてハニカム焼成体を多数接着させ、さらに、120℃で乾燥させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、シール材層(接着材層)の厚さ1.0mmの円柱状のハニカムブロックを作製した。
【0098】
(vi)次に、無機繊維としてシリカ−アルミナファイバ(平均繊維長100μm、平均繊維径10μm)23.3重量%、無機粒子として平均粒子径0.3μmの炭化ケイ素粉末30.2重量%、無機バインダとしてシリカゾル(ゾル中のSiOの含有率:30重量%)7重量%、有機バインダとしてカルボキシメチルセルロース0.5重量%及び水39重量%を混合、混練してシール材ペースト(コート層ペースト)を調製した。
【0099】
(vii)次に、上記シール材ペースト(コート層ペースト)を用いて、ハニカムブロックの外周部に厚さ0.2mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にシール材層(コート層)が形成された直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0100】
実施例1〜9、参考例及び比較例で製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いて、ハニカム構造体を作製した結果、実施例1〜9で製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いた場合には、所望(設計値)の気孔径(8〜12μm)を有するとともに、低い圧力損失を備えたハニカム構造体を作製することができた。
参考例で製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いて作製したハニカム構造体は、その気孔径が所望の気孔径より広い範囲(5〜15μm)となり、実施例で製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いて作製したハニカム構造体に比べて、気孔径のバラツキ、及び、圧力損失の点で劣るものであった。これは、参考例では、(2)の工程で添加したα型炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)が0.5μmと小さく、(1)の工程で作製した混合物に含まれるα型炭化ケイ素粉末の平均粒子径と同一であることが影響していると考えられる。
【0101】
これに対し、比較例1で製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いた場合には、作製したハニカム構造体の気孔径が充分に大きくならず(3〜9μm)、そのバラツキも大きく、さらに、その強度も実施例1〜9、及び、参考例で製造した炭化ケイ素焼成用原料を用いた場合に比べて低かった。
なお、気孔径は、水銀圧入法による細孔分布測定装置(島津製作所社製、オートポアIII 9405)を用いて測定し、圧力損失としては、1000N・m/hrのガス流量で初期圧力損失を測定した。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明のハニカム構造体の製造方法で製造するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示したハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0103】
100 ハニカム構造体
101 シール材層(接着材層)
102 シール材層(コート層)
103 ハニカムブロック
110 ハニカム焼成体
111 セル
112 封止材
113 セル壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を含むことを特徴とする炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項2】
前記鉄化合物粉末は、Fe、Fe及びFeOのうちの少なくとも1種からなるものである請求項1に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項3】
前記炭化ケイ素焼成用原料における前記鉄化合物粉末の含有量は、0.25〜2.5重量%である請求項1又は2に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項4】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物において、前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の鉄化合物粉末の平均粒子径(D50)は、0.1〜1.0μmで、かつ、前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)以下である請求項1〜3のいずれかに記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項5】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、さらに、前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径(D50)が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する請求項1〜4のいずれかに記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項6】
前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)は、0.1〜1.0μmである請求項5に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項7】
前記炭化ケイ素粗粉末の平均粒子径(D50)は、0.3〜50μmである請求項5又は6に記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項8】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物中において、前記鉄化合物粉末の含有量を1〜10重量%とする請求項5〜7のいずれかに記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項9】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に乾燥処理を施した後、前記炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する請求項5〜8のいずれかに記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項10】
前記鉄化合物粉末の純度は、80%を超え、99%以下である請求項1〜9のいずれかに記載の炭化ケイ素焼成用原料の製造方法。
【請求項11】
炭化ケイ素焼成用原料と添加材とを含む原料組成物を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、前記ハニカム成形体を脱脂処理することによりハニカム脱脂体を作製し、さらに、前記ハニカム脱脂体を焼成処理することによりハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
前記炭化ケイ素焼成用原料は、少なくとも炭化ケイ素粉末と鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合する工程を含む製造方法により製造することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項12】
前記鉄化合物粉末は、Fe、Fe及びFeOのうちの少なくとも1種からなるものである請求項11に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項13】
前記炭化ケイ素焼成用原料における前記鉄化合物粉末の含有量は、0.25〜2.5重量%である請求項11又は12に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項14】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物において、前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の鉄化合物粉末の平均粒子径(D50)は、0.1〜1.0μmで、かつ、前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)以下である請求項11〜13のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項15】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に、さらに、前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末よりも平均粒子径(D50)が大きい炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する請求項11〜14のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項16】
前記湿式混合又は湿式粉砕混合を行なった後の炭化ケイ素粉末の平均粒子径(D50)は、0.1〜1.0μmである請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項17】
前記炭化ケイ素粗粉末の平均粒子径(D50)は、0.3〜50μmである請求項15又は16に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項18】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物中において、前記鉄化合物粉末の含有量を1〜10重量%とする請求項15〜17のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項19】
前記炭化ケイ素粉末と前記鉄化合物粉末とを湿式混合又は湿式粉砕混合することにより得た混合物に乾燥処理を施した後、前記炭化ケイ素粗粉末を添加、混合する請求項15〜18のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項20】
前記鉄化合物粉末の純度は、80%を超え、99%以下請求項11〜19のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−303133(P2008−303133A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76615(P2008−76615)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】