説明

熱源システム

【課題】 使用者の都合に細かく対応した湯水の貯湯及び浴槽への風呂湯張りを行うことができる利便性の高い熱源システムを提供する。
【解決手段】 湯水を生成して貯湯タンク4に貯湯する加熱手段Hと、貯湯タンク4に貯湯された湯水を用いて浴槽に風呂湯張りを行う風呂湯張り手段Bと、加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転を行う運転制御手段7が設けられている熱源システムであって、運転制御手段7が、入力された風呂湯張り目標時刻までに浴槽32への風呂湯張りが完了するように加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転を行う風呂湯張り処理と、入力された貯湯目標時刻までに貯湯タンク4への浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段Hの計画運転を行う浴用湯水貯湯処理とを選択的に実行可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を生成して貯湯タンクに貯湯する加熱手段と、貯湯タンクに貯湯された湯水を用いて浴槽に風呂湯張りを行う風呂湯張り手段と、加熱手段及び風呂湯張り手段の計画運転を行う運転制御手段が設けられている熱源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
予め湯水を生成して貯湯タンクに貯湯し、貯湯タンクに貯湯された湯水を用いて浴槽に風呂湯張りを行うような従来の熱源システムには、使用者に対して貯湯目標時刻を入力させるものがある。その結果、使用者自身によって入力された貯湯目標時刻までに貯湯タンクへの湯水の貯湯が行われることで、使用者による実際の湯水の消費時刻と、貯湯タンクへの湯水の貯湯時刻とが大きく逸脱しないことが確保されるようになって、使用者による湯水の使用時に、湯水の大幅な過不足が生じないようにすることが可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−5525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の熱源システムは、貯湯タンクに湯水が貯湯されるだけであり、自動的な風呂湯張りが望まれることもある。このため、浴槽への風呂湯張りが行われる風呂湯張り目標時刻を使用者に対して入力させ、その風呂湯張り時刻までに貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯を行った上で、風呂湯張り目標時刻までに浴槽への風呂湯張りを行うように構成されている熱源システムも提案されている。
【0005】
ところで、使用者の湯水の消費形態は日々変化するものであり、例えば、帰宅時刻がほぼ正確に予測され、その帰宅時刻頃に入浴をする可能性が非常に高いため、その帰宅時刻までに浴槽への風呂湯張りが行われることが好ましい日や、入浴する可能性は高いものの帰宅時刻が不確定であるため、その帰宅時刻までに浴槽への風呂湯張りが行われることは放熱などのエネルギ効率上好ましくなく、その帰宅時刻までに貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了しており、帰宅した使用者自身が風呂湯張りの指令操作を行うことが好ましいような日もある。従って、前者の場合は上述した風呂湯張り目標時刻を入力するような熱源システムの方が使用者の利便性から有効であり、後者の場合は予め浴槽に風呂湯張りされたときに発生する湯水の放熱を避けることができるという点で上述した貯湯目標時刻を入力するような熱源システムがエネルギ効率上有効である。
【0006】
そして、上記風呂湯張り目標時刻を入力するようなシステム及び上記貯湯目標時刻を入力するようなシステムの何れかのシステムも、上述のような使用者の都合に対応しきれていないのが現状である。つまり、目標時刻までに浴槽への風呂湯張りが毎日欠かさず行われてしまうシステムや、目標時刻までに貯湯タンクへの湯水の貯湯は行えるものの、自動的に風呂湯張りを行うことができないシステムでは、放熱などのエネルギ損失の発生を避けることが出来ず、又、利便性の低いものとなる不利があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の都合に細かく対応した湯水の貯湯及び浴槽への風呂湯張りを行うことができる利便性及びエネルギ効率の高い熱源システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る熱源システムの第1特徴構成は、湯水を生成して貯湯タンクに貯湯する加熱手段と、前記貯湯タンクに貯湯された湯水を用いて浴槽に風呂湯張りを行う風呂湯張り手段と、前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行う運転制御手段が設けられている熱源システムであって、前記運転制御手段が、入力された風呂湯張り目標時刻までに前記浴槽への風呂湯張りが完了するように前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行う風呂湯張り処理と、入力された貯湯目標時刻までに前記貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように前記加熱手段の計画運転を行う浴用湯水貯湯処理とを選択的に実行可能に構成されている点にある。
【0009】
上記第1特徴構成によれば、運転制御手段が、入力された風呂湯張り目標時刻までに浴槽への風呂湯張りが完了するように加熱手段及び風呂湯張り手段の計画運転を行う風呂湯張り処理と、入力された貯湯目標時刻までに貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段の計画運転を行う浴用湯水貯湯処理とを選択的に実行可能になり、帰宅時刻や入浴時刻などの使用者の都合を反映させることのできる風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻に従った風呂湯張り処理及び浴用湯水貯湯処理とが実行されるようになる。つまり、帰宅時刻がほぼ正確に予測され、その帰宅時刻頃に入浴をする可能性が非常に高いため、その帰宅時刻までに浴槽への風呂湯張りが完了していることが好ましい日には上記風呂湯張り目標時刻の入力を行えばよく、入浴する可能性は高いものの帰宅時刻が不確定であるため、その帰宅時刻までに浴槽への風呂湯張りが完了されていることは放熱などのエネルギ効率上好ましくない日には上記貯湯目標時刻の入力を行うなど、使用者の都合による湯水の消費形態が日々変化したとしても、その都合に応じた上記風呂湯張り処理及び上記浴用湯水貯湯処理を選択的に実行することが可能となる。
従って、使用者の都合に細かく対応した湯水の貯湯及び浴槽への風呂湯張りを行うことができる利便性及びエネルギ効率の高い熱源システムが提供されることになる。
【0010】
本発明に係る熱源システムの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻を入力する時刻入力手段が設けられ、前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれかが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、入力された時刻に対応する処理を選択して実行するように構成されている点にある。
【0011】
上記第2特徴構成によれば、運転制御手段が、使用者が上記時刻入力手段を用いて風呂湯張り目標時刻を入力したときには上記風呂湯張り処理を実行し、及び、使用者が時刻入力手段を用いて貯湯目標時刻を入力したときには上記浴用湯水貯湯処理を実行するようになる。その結果、使用者にとって都合の良い上記貯湯目標時刻及び上記風呂湯張り目標時刻に対応した湯水の貯湯及び浴槽への風呂湯張りを選択的に行うことができるので、使用者にとって利便性及びエネルギ効率の高い熱源システムを構築することができる。
【0012】
本発明に係る熱源システムの第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、前記風呂湯張り処理を選択して実行するように構成されている点にある。
【0013】
上記第3特徴構成によれば、運転制御手段が、使用者が上記時刻入力手段を用いて風呂湯張り時刻及び貯湯目標時刻のいずれもを入力したときには、風呂湯張り処理及び浴用湯水貯湯処理のうちで、風呂湯張り処理を選択して実行するようになる。その結果、浴槽への風呂湯張りを実行するための特別の指令操作を不要にするという使用者の利便性を優先した熱源システムを構築することができる。
【0014】
本発明に係る熱源システムの第4特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、時刻入力が後の方の処理を選択して実行するように構成されている点にある。
【0015】
上記第4特徴構成によれば、運転制御手段が、使用者が上記時刻入力手段を用いて風呂湯張り時刻及び貯湯目標時刻のいずれもを入力したときには、時刻入力が後の方の処理を選択して実行するようになる。その結果、使用者の最近の都合が反映された処理を実行することが可能となる。
【0016】
本発明に係る熱源システムの第5特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のうちの一方を選択して入力する時刻入力手段が設けられ、前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻または前記貯湯目標時刻のいずれかが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、入力された時刻に対応する処理を選択して実行するように構成されている点にある。
【0017】
上記第5特徴構成によれば、運転制御手段が、使用者が風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻のうちの一方を選択して入力する時刻入力手段を使用して風呂湯張り目標時刻または貯湯目標時刻のいずれかを入力すると、風呂湯張り処理及び浴用湯水貯湯処理のうちで、入力された時刻に対応する処理を選択して実行するようになる。その結果、使用者によって最近に入力された目標時刻のみが運転制御手段によって受け付けられているので、使用者の最近の都合が反映された処理を実行することが可能となる。
【0018】
本発明に係る熱源システムの第6特徴構成は、上記第2から第5のいずれかの特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されないと、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻までに前記貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように前記加熱手段の計画運転を行う浴用湯水貯湯処理を実行するように構成されている点にある。
【0019】
上記第6特徴構成によれば、運転制御手段が、使用者が風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻のいずれもを入力しないと、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻までに貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段の計画運転を行う浴用湯水貯湯処理を実行するようになる。その結果、使用者による過去の湯水消費パターンと同様の通常の湯水の使用形態に応じて予測される、確度の高い湯水の消費時刻及び消費量に基づく浴用湯水貯湯処理を行うことが可能となる。
【0020】
本発明に係る熱源システムの第7特徴構成は、上記第2から第5のいずれかの特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されないと、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測風呂湯張り目標時刻までに前記浴槽への風呂湯張りが完了するように前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行う風呂湯張り処理を実行するように構成されている点にある。
【0021】
上記第7特徴構成によれば、運転制御手段が、使用者が風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻のいずれもを入力しないと、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測風呂湯張り目標時刻までに浴槽への風呂湯張りが完了するように加熱手段及び風呂湯張り手段の計画運転を行う風呂湯張り処理を実行するようになる。その結果、使用者による過去の湯水消費パターンと同様の通常の湯水の使用形態に応じて予測される、確度の高い風呂湯張り時刻及び風呂湯張りにおける湯水消費量に基づく風呂湯張り処理を行うことが可能となる。
【0022】
本発明に係る熱源システムの第8特徴構成は、上記第2から第5のいずれかの特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記浴用湯水貯湯処理として、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻及び前記貯湯目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、前記平均目標時刻までに前記貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように前記加熱手段の計画運転を行うように構成されている点にある。
【0023】
上記第8特徴構成によれば、運転制御手段が上記浴用湯水貯湯処理を実行するときには、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻及び使用者によって入力された貯湯目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、その平均目標時刻までに貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段の計画運転を行うようになる。その結果、使用者が入力した主観的な貯湯目標時刻に対して、過去の湯水消費パターンという客観的なデータが加味されるので、使用者が入力した貯湯目標時刻が確度の低いものであっても、上記予測貯湯目標時刻を用いて導出される平均目標時刻を用いて確度の高い浴用湯水貯湯処理を実行することが可能となる。
【0024】
本発明に係る熱源システムの第9特徴構成は、上記第2から第5のいずれかの特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記風呂湯張り処理として、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測風呂湯張り目標時刻及び前記風呂湯張り目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、前記平均目標時刻までに前記浴槽への風呂湯張りが完了するように前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行うように構成されている点にある。
【0025】
上記第9特徴構成によれば、運転制御手段が上記風呂湯張り処理を実行するときには、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測風呂湯張り目標時刻及び使用者によって入力された風呂湯張り目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、その平均目標時刻までに浴槽への風呂湯張りが完了するように加熱手段及び風呂湯張り手段の計画運転を行うようになる。その結果、使用者が入力した主観的な風呂湯張り目標時刻に対して、過去の湯水消費パターンという客観的なデータが加味されるので、使用者が入力した風呂湯張り目標時刻が確度の低いものであっても、上記予測風呂湯張り目標時刻を用いて導出される平均目標時刻を用いて確度の高い風呂湯張り処理を実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態の熱源システムについて説明する。
この熱源システムは、図1および図2に示すように、ガスエンジン1によって発電装置2を駆動するように構成された熱電併給装置3と、その熱電併給装置3にて発生する熱を利用しながら、貯湯タンク4への貯湯および熱消費端末5への熱媒供給を行う貯湯ユニット6と、熱電併給装置3および貯湯ユニット6の運転を制御する運転制御手段としての運転制御部7などから構成されている。
前記発電装置2の出力側には、系統連系用のインバータ8が設けられ、そのインバータ8は、発電装置2の出力電力を商用系統9から供給される電力と同じ電圧および同じ周波数にするように構成されている。
前記商用系統9は、例えば、単相3線式100/200Vであり、商業用電力供給ライン10を介して、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電力負荷11に電気的に接続されている。
また、インバータ8は、熱電併給装置用供給ライン12を介して商業用電力供給ライン10に電気的に接続され、発電装置2からの発電電力がインバータ8および熱電併給装置用供給ライン12を介して電気負荷11に供給するように構成されている。
【0027】
前記商業用電力供給ライン10には、電力負荷11の負荷電力を計測する電力負荷計測手段13が設けられ、この電力負荷計測手段13は、商業用電力供給ライン10を通して流れる電流に逆潮流が発生するか否かをも検出するように構成されている。
そして、逆潮流が生じないように、インバータ8により発電装置2から商業用電力供給ライン10に供給される電力が制御され、発電電力の余剰電力は、その余剰電力を熱に代えて回収する電気ヒータ14に供給されるように構成されている。
【0028】
前記電気ヒータ14は、複数の電気ヒータから構成され、冷却水循環ポンプ17の作動により冷却水循環路15を通流するガスエンジン1の冷却水を加熱するように設けられ、発電装置2の出力側に接続された作動スイッチ16によりON/OFFが切り換えられている。また、作動スイッチ16は、余剰電力の大きさが大きくなるほど、電気ヒータ14の消費電力が大きくなるように、余剰電力の大きさに応じて電気ヒータ14の消費電力を調整するように構成されている。
【0029】
前記貯湯ユニット6は、温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する貯湯タンク4、湯水循環路18を通して貯湯タンク4内の湯水を循環させる湯水循環ポンプ19、熱源用循環路20を通して熱源用湯水を循環させる熱源用循環ポンプ21、熱媒循環路22を通して熱媒を熱消費端末5に循環供給させる熱媒循環ポンプ23、湯水循環路18を通流する湯水を加熱させる貯湯用熱交換器24、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる熱源用熱交換器25、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させる熱媒加熱用熱交換器26、ファン27を作動させた状態でのバーナ28の燃焼により貯湯タンク4内から取り出した湯水および熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる補助加熱用熱交換器29などを備えて構成されている。また、貯湯タンク4内の湯水の温度を計測する複数の温度センサTが貯湯タンク4に設けられており、これにより、貯湯タンク4内の湯水の温度成層の形成状態を知ることができる。
【0030】
前記貯湯用熱交換器24においては、熱電併給装置3にて発生する熱を回収した冷却水循環路15の冷却水を通流させることにより、湯水循環路18を通流する湯水を加熱させるように構成されている。前記熱源用熱交換器25においては、熱電併給装置3にて発生する熱を回収した冷却水循環路15の冷却水を通流させることにより、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させるように構成されている。
【0031】
そして、加熱手段Hが、ガスエンジン1、熱電併給装置3、電気ヒータ14、冷却水循環路15、冷却水循環ポンプ17、湯水循環路18、湯水循環ポンプ19及び貯湯用熱交換器24により構成され、熱電併給装置3の発生発熱を用いて湯水の貯湯を行うようになっている。
また、熱源用循環路20には、熱源用湯水の通流を断続させる熱源用断続弁40が設けられている。
【0032】
前記冷却水循環路15は、貯湯用熱交換器24側と熱源用熱交換器25側とに分岐され、その分岐箇所に、貯湯用熱交換器24側に通流させる冷却水の流量と熱源用熱交換器25側に通流させる冷却水の流量との割合を調整する分流弁30が設けられている。
そして、分流弁30は、冷却水循環路15の冷却水の全量を貯湯用熱交換器24側に通流させたり、冷却水循環路15の冷却水の全量を熱源用熱交換器25側に通流させることもできるように構成されている。
【0033】
前記熱媒加熱用熱交換器26においては、熱源用熱交換器25や補助加熱用熱交換器29にて加熱された熱源用湯水を通流させることにより、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させるように構成されている。
前記熱消費端末5は、床暖房装置や浴室暖房装置などの暖房端末にて構成されている。
【0034】
補助加熱手段Mが、ファン27、バーナ28、補助加熱用熱交換器29により構成され、その補助加熱手段Mは、ファン27を作動させた状態でバーナ28を燃焼させる加熱状態で作動させたり、バーナ28の非燃焼状態でファン27を作動させる放熱状態で作動させることができるように構成されている。
そして、補助加熱手段Mを加熱状態で作動させることにより、補助加熱用熱交換器29において、貯湯タンク4内から取り出した湯水や熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させ、補助加熱手段Mを放熱状態で作動させることにより、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水から熱を放熱させるように構成されている。
【0035】
また、貯湯タンク4から取り出した湯水を給湯路33によって給湯するときの給湯熱負荷量を計測する給湯熱負荷計測手段31が設けられている。そして、給湯熱負荷計測手段31によって、シャワーなどの通常の給湯量と、湯張り路34を通過して浴槽32に供給される湯水の給湯量(湯張り量)とが計測される。
【0036】
前記運転制御部7は、熱源システムの運転状態において、熱電併給装置3の運転中には冷却水循環ポンプ17を作動させる状態で、熱電併給装置3の運転および冷却水循環ポンプ17の作動状態を制御すると共に、湯水循環ポンプ19、熱源用循環ポンプ21、熱媒循環ポンプ23の作動状態を制御することによって、貯湯タンク4内に湯水を貯湯する貯湯運転や、湯張り弁35の開閉を調整して、浴槽に湯水を湯張りする湯張り運転や、熱消費端末5に熱媒を供給する熱媒供給運転を行うように構成されている。尚、図示していないが、貯湯タンクに貯湯されている湯水と水道水とをミキシング弁によって混合して水温を調整した上で給湯(湯張りを含む)が行われている。
【0037】
そして、風呂湯張り手段Bが、給湯路33、湯張り路34及び湯張り弁35などにより構成され、貯湯タンク4に貯湯された湯水を用いて浴槽32に風呂湯張りを行うようになっている。
【0038】
ちなみに、給湯するときには、熱源用断続弁40を閉弁した状態で貯湯タンク4から取り出した湯水を給湯するように構成され、貯湯タンク4内に貯湯用設定温度の湯水が貯湯されていれば、その湯水を補助加熱手段Mにて加熱させずに給湯し、貯湯タンク4内に貯湯用設定温度の湯水が貯湯されていなければ、補助加熱手段Mを作動させて、貯湯タンク4から取り出し湯水を補助加熱手段Mにて加熱して給湯するように構成されている。
【0039】
次に、運転制御部7による加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転について説明する。
本実施形態の熱源システムは、使用者による湯水の使用形態が日々変化したとしても、その使用形態に対応できるように、運転制御部7が、入力された風呂湯張り目標時刻までに浴槽32への風呂湯張りが完了するように加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転を行う風呂湯張り処理と、入力された貯湯目標時刻までに貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段Hの計画運転を行う浴用湯水貯湯処理とを選択的に実行可能に構成されている。
また、運転制御部7は、熱源システムの使用者自身によって目標時刻の入力が行われなかったときには、過去と同様の使用形態で湯水が消費されるとみなして、使用者による過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて予測貯湯目標時刻を導出し、その予測貯湯目標時刻までに貯湯タンク4への浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段Hの計画運転を行う浴用湯水貯湯処理を実行するように構成されている。
【0040】
運転制御部7が上記風呂湯張り処理を実行するときの風呂湯張り目標時刻及び浴用湯水貯湯処理を実行するときの貯湯目標時刻は、リモコン50に設けられている時刻入力手段としての風呂湯張り目標時刻入力スイッチ53a、貯湯目標時刻入力スイッチ54a、増加キー55、減少キー56を使用して、使用者自身によって入力されるようになっている。
【0041】
図2及び図3に示すように、この熱源システムの使用者はリモコン50に設けられている時刻入力手段としての風呂湯張り目標時刻入力スイッチ53a、貯湯目標時刻入力スイッチ54a、増加キー55、減少キー56を使用して、上述の風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻を入力可能である。具体的には、風呂湯張り目標時刻入力スイッチ53aがオン操作されると風呂湯張り目標時刻用表示部53bが点灯し、増加キー55及び減少キー56の操作入力に応じて、表示部57に表示される風呂湯張り目標時刻の設定変更が行われる。また、貯湯目標時刻入力スイッチ54aがオン操作されると貯湯目標時刻用表示部54bが点灯し、増加キー55及び減少キー56の操作入力に応じて、表示部57に表示される貯湯目標時刻の設定変更が行われる。
本実施形態では、運転制御部7は、使用者が風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻の両方を入力したときには、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻の夫々を記憶することができるように構成されている。従って、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻の両方の入力が行われているときには、風呂湯張り目標時刻用表示部53b及び貯湯目標時刻用表示部54bの両方が点灯している。
【0042】
次に、運転制御部7による熱電併給装置3の計画運転処理について、まず、上記目標時刻が過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される場合の説明を行う。
運転制御部7は、貯湯タンク4に貯湯されている湯水の量に関して過不足が発生しないように、使用者が湯水を消費する前に、浴槽32への風呂湯張りやシャワーなどの浴用目的で消費される多量の湯水を貯湯タンク4に予め貯湯しておく必要がある。つまり、運転制御部7は、後述するように、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて予測貯湯目標時刻及び予測貯湯熱負荷量を予め導出し、その予測貯湯目標時刻の設定余裕時間前において、予測貯湯目標熱負荷量に相当する熱量の湯水を貯湯タンク4に貯湯しておかねばならない。尚、熱源システムの使用者が浴用目的で湯水の消費を開始する時刻の検出は、リモコン50の給湯スイッチ52aがオン操作された後、設定量以上の湯水が設定時間以上流れたことを給湯熱負荷計測手段31が検出することによって行われ、そのときの湯水の温度と量とにより貯湯熱負荷量を導出している。また、リモコン50の給湯スイッチ52a及び風呂湯張りスイッチ51aがオン操作された後、湯張り弁35が開放された状態で設定量以上の湯水が設定時間以上流れたことを給湯熱負荷計測手段31が検出することによって行った場合には、それが浴槽32への風呂湯張りに使用されたと記憶される。
【0043】
運転制御部7は、給湯時刻及び給湯熱負荷量を分単位のデータとして逐次収集して、1日分の給湯時刻データ及び給湯熱負荷量データを期間属性としての曜日と対応付けて記憶しており、記憶されている過去の給湯時刻データ及び給湯熱負荷量データを参照して、予測日の予測貯湯目標時刻を予測貯湯目標時刻導出条件に従って導出する演算処理を行う。そして、運転制御部7は、予測貯湯目標時刻の設定余裕時間前に、貯湯タンク4に予測貯湯目標熱負荷量に相当する熱量の湯水を貯湯するように加熱手段Hの運転制御を行う。
【0044】
図4(イ)に示すのは1日の電力負荷予測量データであり、過去の電力負荷実績量の時間的な変化パターンを時刻毎に平均化処理するなどの導出手法を用いて導出可能である。図4(ロ)に示すのは1日の予測貯湯熱負荷量データであり、後述する導出手法を用いて導出可能である。尚、浴用目的での熱負荷量の他に、熱消費端末5で消費される熱負荷量も存在するが、それらは浴用目的での熱負荷量と比べて非常に小さい。但し、運転制御部7は、貯湯タンク4には浴用目的での熱負荷量と他の暖房などの熱負荷量との合計熱負荷量に相当する湯水を貯湯するように加熱手段Hを運転制御するように構成されている。
【0045】
そして、運転制御部7は、過去の給湯時刻データ及び過去の給湯熱負荷量データの内、予測日の前日から4週間分のデータを、予測貯湯目標時刻及び予測貯湯熱負荷量を導出するために記憶しているものとする。表1及び表2に示すのは基準日である予測日の前日から4週間分の給湯時刻データ:Tと給湯熱負荷量データ:Qである。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
そして、運転制御部7は、過去の給湯時刻と〔数1〕に示す予測貯湯目標時刻導出条件とに基づいて予測日における予測貯湯目標時刻を導出し、過去の給湯熱負荷量と予測貯湯熱負荷量導出条件とに基づいて予測日における予測貯湯熱負荷量を導出する。尚、本実施形態では、参照する過去の給湯時刻として、予測日の前日の給湯時刻:TYと、予測日と同じ曜日の前三週間分の給湯時刻の平均値:TAとを用い、参照する過去の給湯熱負荷量として、予測日の前日の給湯熱負荷量:QYと、予測日と同じ曜日の前三週間分の給湯熱負荷量の平均値:QAとを用いている。具体的には、予測日の前日の給湯時刻:TYはT(0-tue)であり、予測日と同じ曜日の前三週間分の給湯時刻の平均値:TAは、T(1-wed)とT(2-wed)とT(3-wed)との平均値である。そして、予測日の前日の給湯熱負荷量:QYはQ(0-tue)であり、予測日と同じ曜日の前三週間分の給湯熱負荷量の平均値:QAは、Q(1-wed)とQ(2-wed)とQ(3-wed)との平均値である。また、定数k、mには適当な値が代入されて、予測日の前日の給湯時刻:TYと、予測日と同じ曜日の前三週間分の給湯時刻の平均値:TAとに重み付けを行い、予測日の前日の給湯熱負荷量:QYと、予測日と同じ曜日の前三週間分の給湯熱負荷量の平均値:QAとに重み付けを行っている。
【0049】
〔数1〕
予測貯湯目標時刻:TP=(1−k)TY+kTA (0≦k≦1)
予測貯湯熱負荷量:QP=(1−m)QY+mQA (0≦m≦1)
【0050】
上述のようにして、運転制御部7は予測貯湯目標時刻:TPと予測貯湯熱負荷量:QPとを導出する。そして、運転制御部7は、図4(ハ)に示すように、他の予測熱負荷量:QSを考慮し、予測貯湯目標時刻の設定余裕時間:TSだけ前に、貯湯タンク4にQP+QSに相当する熱量の湯水が蓄熱されるように、熱電併給装置3の運転を制御する。その結果、使用者が湯水の消費を開始するときには、貯湯タンク4に必要な熱量の湯水が貯湯されているようになる。また、加熱手段Hの計画運転を行ったにも拘わらず実際の湯水の貯湯完了時刻が予測貯湯目標時刻を超過したとしても、その超過時間は小さいものであると予測される。
【0051】
以上のように、運転制御部7が、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻までに貯湯タンク4への浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段Hの計画運転を行う浴用湯水貯湯処理を実行する場合について説明したが、これは使用者が過去と同様の使用形態で湯水の使用をするであろうという推測に基づいて行われているものである。
【0052】
一方で、使用者が特別な湯水の使用形態を行うときには、上記貯湯目標時刻及び上記風呂湯張り目標時刻を入力するリモコン50(風呂湯張り目標時刻入力スイッチ53a、貯湯目標時刻入力スイッチ54a、上キー55及び下キー56)が設けられているので、使用者の都合に基づいて入力される貯湯目標時刻までに貯湯タンク4への浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段Hの計画運転を行う後述の浴用湯水貯湯処理が実行されるようになる。また、使用者によって風呂湯張り目標時刻が入力されたときには、その風呂湯張り目標時刻までに浴槽32への風呂湯張りが完了するように加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転を行う後述の風呂湯張り処理が実行されるようになる。これらの目標時刻の入力又は変更は、各処理の実行が終了するまで可能であり、運転制御部7は、有効な目標時刻の入力又は変更が行われると、即座に処理の変更を行うように構成されている。
【0053】
以下に図5を参照して、入力された貯湯目標時刻に基づいて実行される浴用湯水貯湯処理と入力された風呂湯張り時刻に基づいて実行される風呂湯張り処理について説明する。
上述のようにして貯湯目標時刻が入力されると、図5(イ)及び図5(ロ)に示すように運転制御部7は、上記予測貯湯目標時刻をキャンセルして、入力された貯湯目標時刻の設定余裕時間:Tsだけ前に、貯湯タンク4に上述したQp+Qsに相当する熱量の湯水が蓄熱されるように加熱手段Hの運転計画を変更する。その結果、使用者の湯水の使用形態が通常とは異なる特別なものであっても、使用者の都合に応じた時刻までに貯湯タンク4に必要な量の湯水が貯湯されていることとなる。また、加熱手段Hの計画運転を行ったにも拘わらず実際の湯水の貯湯完了時刻が上記貯湯目標時刻を超過したとしても、その超過時間は小さいものであると予測される。
【0054】
また、上記風呂湯張り目標時刻が入力されると、運転制御部7は、図5に例示した浴用湯水貯湯処理の場合と同様に、その風呂湯張り目標時刻より前に、貯湯タンク4に上述した(Qp+Qs)に相当する熱量の湯水が蓄熱されるように加熱手段Hの運転を制御し、且つ、その風呂湯張り目標時刻までに浴槽32への風呂湯張りが完了するように風呂湯張り手段Bの運転を制御する。その結果、使用者の湯水の使用形態が通常とは異なる特別なものであっても、使用者の都合に応じた時刻までに貯湯タンク4に必要な量の湯水が貯湯され、且つ、浴槽32への風呂湯張りが自動的に行われることとなる。また、加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転を行ったにも拘わらず実際の風呂湯張り完了時刻が上記風呂湯張り目標時刻を超過したとしても、その超過時間は小さいものであると予測される。
【0055】
但し、本実施形態において、運転制御部7は、上記風呂湯張り目標時刻及び上記貯湯目標時刻のいずれもが入力されると、それらの目標時刻に応じた風呂湯張り処理及び浴用湯水貯湯処理のうちで、風呂湯張り処理を選択して実行するように構成されている。また、上述したように、これらの目標時刻の入力又は変更は各処理の実行が終了するまで可能であり、運転制御部7は、有効な目標時刻の入力又は変更が行われると、即座に処理の変更を行うように構成されている。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態の熱源システムは、運転制御部7が、使用者自身によって目標時刻の入力が行われなかったときには、過去と同様の使用形態で湯水が消費されるとみなして、使用者による過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて予測風呂湯張り目標時刻を導出し、その予測風呂湯張り目標時刻までに浴槽32への風呂湯張りが完了するように加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転を行う風呂湯張り処理を実行するように構成されている点で、予測貯湯目標時刻を導出し、その予測貯湯目標時刻までに貯湯タンク4への貯湯が完了するように加熱手段Hの計画運転を行う浴用湯水貯湯処理を実行するように構成されていた第1実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の熱源システムについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0057】
第1実施形態と同様に、運転制御部7は、給湯実績時刻及び実績給湯熱負荷量を分単位のデータとして収集して、1日分の給湯時刻データ及び給湯熱負荷量データを期間属性としての曜日と対応付けて記憶しており、記憶されている過去の給湯時刻データ及び給湯熱負荷量データを参照して、予測日の予測風呂湯張り目標時刻を予測風呂湯張り目標時刻導出条件に従って導出する演算処理を行う。
本実施形態において、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて行われる予測風呂湯張り目標時刻及び予測風呂湯張り熱負荷量の導出手法は、第1実施形態で説明した過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて行われる予測貯湯目標時刻及び予測貯湯熱負荷量の導出手法と同じである。つまり、本実施形態の予測風呂湯張り目標時刻及び予測風呂湯張り熱負荷量は、第1実施形態で導出した予測貯湯目標時刻及び予測貯湯熱負荷量と同じである。
【0058】
そして運転制御部7は、上述のようにして予測風呂湯張り目標時刻:TPと予測風呂湯張り熱負荷量:QPとを導出する。そして、運転制御部7は、図4(ハ)に示すように、他の予測熱負荷量:QSを考慮し、予測風呂湯張り目標時刻よりも前に、貯湯タンク4に上記予測風呂湯張り目標熱負荷量を賄えるだけの湯水の貯湯が行われるように加熱手段Hの運転を制御し、且つ、その予測風呂湯張り目標時刻までに浴槽32への風呂湯張りが完了するように風呂湯張り手段Bの運転を制御する。
【0059】
<第3実施形態>
第3実施形態の熱源システムは、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻のうちの一方を選択して入力することができる、つまり、運転制御部7は、使用者が入力する風呂湯張り時刻及び貯湯目標時刻のうちの一方のみを記憶することができるように構成されている点で、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻の夫々を記憶することができるように構成されていた第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
【0060】
具体的には、図3に示したようなリモコン50において、風呂湯張り目標時刻入力スイッチ53aがオン操作されると風呂湯張り目標時刻用表示部53bが点灯し、増加キー55及び減少キー56の操作入力に応じて、表示部57に表示される風呂湯張り目標時刻の設定変更が行われる。しかし、その後に貯湯目標時刻入力スイッチ54aがオン操作されると貯湯目標時刻用表示部54bが点灯し、且つ、風呂湯張り目標時刻用表示部53bが消灯して風呂湯張り目標時刻がキャンセルされる。そして、増加キー55及び減少キー56の操作入力に応じて、表示部57に表示される貯湯目標時刻の設定変更が行われるようになる。
【0061】
<別実施形態>
<1>
上記第1実施形態及び第2実施形態では、運転制御部7が、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻のいずれもが入力されると、それらの目標時刻に応じた風呂湯張り処理及び浴用湯水貯湯処理のうちで、風呂湯張り処理を選択して実行するように構成されている場合について説明したが、時刻入力が後の方の処理を選択して実行するように構成してもよい。
【0062】
<2>
上記第1実施形態及び第2実施形態では、運転制御部7が、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻のいずれもが入力されると、それらの目標時刻に応じた風呂湯張り処理及び浴用湯水貯湯処理のうちで、風呂湯張り処理を選択して実行するように構成されている場合について説明したが、浴用湯水貯湯処理を選択して実行するように構成してもよい。
【0063】
<3>
上記実施形態では、運転制御部7が、使用者によって入力された貯湯目標時刻及び風呂湯張り目標時刻に応じて浴用湯水貯湯処理及び風呂湯張り処理を実行する場合について説明したが、使用者自身によって入力された上記目標時刻と実際の湯水消費時刻とが必ずしも合致する訳ではなく、過去の湯水消費パターンなど客観的なデータに基づいて導出された予測目標時刻を加味すべきであることもある。従って、運転制御部7が、使用者によって入力された主観的な貯湯目標時刻又は風呂湯張り目標時刻に対して客観的なデータを用いて補正処理を行い、補正後の貯湯目標時刻及び風呂湯張り目標時刻に応じて浴用湯水貯湯処理及び風呂湯張り処理を実行するようにしてもよい。
【0064】
具体的には、運転制御部7が浴用湯水貯湯処理を実行するとき、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻、及び、入力された貯湯目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、その平均目標時刻までに貯湯タンク4への浴用の湯水の貯湯が完了するように加熱手段Hの計画運転を行うようにしてもよい。
また、運転制御部7が風呂湯張り処理を行うとき、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測風呂湯張り目標時刻、及び、入力された風呂湯張り目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、その平均目標時刻までに浴槽32への風呂湯張りが完了するように加熱手段H及び風呂湯張り手段Bの計画運転を行うようにしてもよい。
上記重み付けの値は適宜変更可能であり、例えば、予測貯湯目標時刻までに貯湯を行うこと及び予測風呂湯張り時刻までに風呂湯張りを行うことの方が使用者の実際の湯水の消費時刻を考慮して適切であるときには、入力された貯湯目標時刻及び風呂湯張り目標時刻よりも予測貯湯目標時刻及び予測風呂湯張り目標時刻に対する重み付けが大きくなるようにすればよい。
【0065】
<4>
上記実施形態では、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻が使用者によって入力されるものとしていたが、予め運転制御部7に対して設定されている初期設定値を利用してもよい。この初期設定値としては、過去に使用者自身が入力した目標時刻の値を用いることができる。例えば、一旦、使用者によって入力された目標時刻がリモコン50の操作によってキャンセルされない間は、その目標時刻が有効となるように構成することができる。リモコン50の操作による目標時刻のキャンセル方法としては、例えば、風呂湯張り目標時刻が入力されて風呂湯張り目標時刻用表示部53bが点灯しているときに、風呂湯張り目標時刻入力スイッチ53aを押し操作することで風呂湯張り目標時刻用表示部53bを消灯させると共に風呂湯張り目標時刻をキャンセルする方法などがある。
【0066】
<5>
上記実施形態では、リモコン50によって、例えば、「17:30(17時30分)」や「19:00(19時)」などの形式で風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻を入力するように構成した場合について説明したが、他の形式で風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻を入力するように構成してもよい。例えば、現在の時刻が8:00(8時)であり、現在から10時間後の18:00を風呂湯張り目標時刻に設定したいとき、リモコン50によって「10(10時間後)」を入力させるように構成してもよい。つまり、現在の時刻から風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻までの所要時間を入力させる形式で、風呂湯張り目標時刻及び貯湯目標時刻の入力が行われることになる。
【0067】
<6>
上記実施形態では、給湯路33に設けられた給湯熱負荷計測手段31を用いて浴槽32へ供給される湯水の供給量を計測するように構成していたが、湯張り路34に、浴槽32へ供給される湯水の供給量のみを計測するための風呂湯張り熱負荷計測手段を設けるように構成してもよい。この風呂湯張り熱負荷計測手段を湯張り路34に設けた場合には、実際の風呂湯張り時刻及び風呂湯張り熱負荷量をより正確に計測できるようになるため、より確度の高い風呂湯張り処理を行うことができるようになる。
【0068】
<7>
上記実施形態では、加熱手段Hが、ガスエンジン1、熱電併給装置3、電気ヒータ14、冷却水循環路15、冷却水循環ポンプ17、湯水循環路18、湯水循環ポンプ19及び貯湯用熱交換器24により構成されている例について説明したが、加熱手段Hの構成はこれに限定されるものではなく、様々な改変を行うことができる。また、熱電併給装置3としてガスエンジン2を用いた熱源システムについて例に説明を行ったが、燃料電池などの他の装置を用いた熱電併給装置を用いた熱源システムを構築することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】熱源システムの概略図
【図2】熱源システムのブロック図
【図3】リモコンの概略図
【図4】時系列的なデータを示す図
【図5】時系列的なデータを示す図
【符号の説明】
【0070】
4 貯湯タンク
7 運転制御部(運転制御手段)
32 浴槽
H 加熱手段
B 風呂湯張り手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を生成して貯湯タンクに貯湯する加熱手段と、前記貯湯タンクに貯湯された湯水を用いて浴槽に風呂湯張りを行う風呂湯張り手段と、前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行う運転制御手段が設けられている熱源システムであって、
前記運転制御手段が、
入力された風呂湯張り目標時刻までに前記浴槽への風呂湯張りが完了するように前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行う風呂湯張り処理と、
入力された貯湯目標時刻までに前記貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように前記加熱手段の計画運転を行う浴用湯水貯湯処理とを選択的に実行可能に構成されている熱源システム。
【請求項2】
前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻を入力する時刻入力手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれかが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、入力された時刻に対応する処理を選択して実行するように構成されている請求項1記載の熱源システム。
【請求項3】
前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、前記風呂湯張り処理を選択して実行するように構成されている請求項2記載の熱源システム。
【請求項4】
前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、時刻入力が後の方の処理を選択して実行するように構成されている請求項2記載の熱源システム。
【請求項5】
前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のうちの一方を選択して入力する時刻入力手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻または前記貯湯目標時刻のいずれかが入力されると、前記風呂湯張り処理及び前記浴用湯水貯湯処理のうちで、入力された時刻に対応する処理を選択して実行するように構成されている請求項1記載の熱源システム。
【請求項6】
前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されないと、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻までに前記貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように前記加熱手段の計画運転を行う浴用湯水貯湯処理を実行するように構成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱源システム。
【請求項7】
前記運転制御手段が、前記風呂湯張り目標時刻及び前記貯湯目標時刻のいずれもが入力されないと、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測風呂湯張り目標時刻までに前記浴槽への風呂湯張りが完了するように前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行う風呂湯張り処理を実行するように構成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱源システム。
【請求項8】
前記運転制御手段が、前記浴用湯水貯湯処理として、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測貯湯目標時刻及び前記貯湯目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、前記平均目標時刻までに前記貯湯タンクへの浴用の湯水の貯湯が完了するように前記加熱手段の計画運転を行うように構成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱源システム。
【請求項9】
前記運転制御手段が、前記風呂湯張り処理として、過去の湯水消費パターンから予測される予測湯水消費パターンに基づいて導出される予測風呂湯張り目標時刻及び前記風呂湯張り目標時刻の夫々に重み付けを行った重み付け平均によって平均目標時刻を導出し、前記平均目標時刻までに前記浴槽への風呂湯張りが完了するように前記加熱手段及び前記風呂湯張り手段の計画運転を行うように構成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−17386(P2006−17386A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195871(P2004−195871)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】