説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法

【課題】筐体設計の制限や負荷動作の制限を軽減できると共に、画像形成条件にあった高精度な制御を行うことが可能な画像形成装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】複数のユニットと主制御部とを備え、複数のユニットおよび主制御部がそれぞれ光通信部および光通信チャンネルを有し、該光通信部および光通信チャンネルによって相互にデータを送受信する画像形成装置であって、光通信チャンネルは、複数のユニットの1つ以上と光通信可能であり、光通信チャンネルと、この光通信チャンネルと光通信可能な1つ以上のユニットとが可動中継ミラーにより中継され、可動中継ミラーが画像形成条件によって、光通信チャンネルと、この光通信チャンネルと光通信可能な1つ以上のユニットとの光通信関係を変更することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置およびその制御方法に関する。特に、画像形成装置内の各ユニット間でデータを光信号で送受信する光通信システムを採用する画像形成装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、無線LAN、ブルートゥース、RFID等の電波を用いた通信方式を利用して、画像データをユニット間で転送する技術が知られている。しかし、このような電波を用いた通信方式を用いて、各ユニットをリアルタイムに制御する場合には以下の問題があった。すなわち、他電波や通信間近傍の障害物による干渉、またプロトコルの処理遅延などにより通信のバラつきが大きく、リアルタイムに制御することが困難であった。また、そのために応用が困難であった。
【0003】
そこで上記電波干渉がなく、機内通信においてプロトコルの設計に比較的自由度のある光通信方式により各ユニット間の互いの情報をやり取りする方法が提案されている。
【0004】
例えば、光または超音波による非接触の送受信装置を用いて装置間の信号の送受を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、電線束(ハーネス)等の信号線を有する接触型の装置における断線や、コネクタの取付精度等の不具合を解決している。
【0005】
また、互いに離間された制御手段にそれぞれ光情報手段を設け、これらの光情報伝送手段によって制御情報を授受することにより、静電気の混入を防止し誤動作を減少させた画像形成装置が提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
【0006】
さらに、移動運動を行なうユニット間で光通信を行うことにより、信号線の接続をなくして、通信線の断線を防止した画像形成装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭58−81322号公報
【特許文献2】特開平2−32369号公報
【特許文献3】特開平8−88600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法および装置のように、光通信方式で画像形成装置の多数のユニット等を制御するためには、送信側と受信側の通信空間を多数確保しなければならない。そして通信空間を確保するためには、筐体設計の際に通信空間を遮断しないように設計を行う必要がある。したがって、ユニット配置や部品機構の動作に大きな制限ができてしまうという問題点があった。
【0008】
さらに近年では画像形成装置の高画質化、高速化、に伴い装置自体も複雑化、大型化している。そのため、従来のように中央演算装置(マスタCPU)にて全ての画像形成条件を処理することは困難である。したがって画像形成条件、プリントジョブの種類によっては、ユニット間のスレーブCPUで通信を行って処理しなければ、リアルタイムに高精度な制御ができない場合がある。そのため、ますますユニット配置や部品機構の動作に大きな制限ができてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、筐体設計の制限や負荷動作の制限を軽減できると共に、画像形成条件にあった高精度な制御を行うことが可能な画像形成装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、以下の構成を備える。
【0011】
(1)画像形成処理に関する動作を行う複数のユニットと、前記複数のユニットを制御する少なくとも1つの制御手段とを備え、前記複数のユニットおよび制御手段がそれぞれ光通信手段を有し、該光通信手段によって相互にデータを送受信する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記複数のユニットの数以下の複数の光通信手段を有し、制御手段の有する該複数の光通信手段のそれぞれは、前記複数のユニットの1つ以上と光通信可能であり、前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとが、光通信手段からの光信号を所定方向に反射させることができる中継手段により中継され、前記中継手段が画像形成条件によって、前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとの光通信関係を変更することを特徴とする画像形成装置。
【0012】
(2)光通信手段を有し、画像形成処理に関する動作を行う複数のユニットと、前記複数のユニットの数以下の複数の光通信手段を有し、前記複数のユニットを制御する少なくとも1つの制御手段と、前記制御手段の有する光通信手段と前記ユニットとの光通信を中継する中継手段とを備え、該光通信手段によって相互にデータを送受信する画像形成装置の制御方法であって、制御手段の有する前記複数の光通信手段のそれぞれが、前記中継手段を介して前記複数のユニットの1つ以上と光通信可能であり、前記中継手段が画像形成条件によって、前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとの光通信関係を変更するように制御することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筐体設計の制限や負荷動作の制限を軽減できると共に、画像形成条件にあった高精度な制御を行うことが可能な画像形成装置およびその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0016】
本実施例に係る画像形成装置について説明する。図1は本実施例に係る画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。本実施例に係る画像形成装置は、複写機として構成されている。
【0017】
1は、露光手段としてのレーザユニット6、多面体ミラー(ポリゴンミラー)7、スキャナモータ8、ビーム検知信号(BD信号)発生回路200を有するスキャナユニットである。3は像担持体としての感光ドラム、4は中間転写手段としての中間転写ベルト、5はホームポジション検知センサである。10は、各色の現像手段としての現像ローラ10a〜10dを有する現像ロータリであり、11は二次転写手段としての二次転写ローラ、13はパッチ検出センサである。14および15はクリーニングブレードである。
【0018】
16は定着器、17は記録媒体としての記録紙、18は給紙カセットである。19は手差しトレイ、20は排出口である。21は手差しトレイ紙サイズ検知センサ、22は環境センサ、23は電位センサであり、24は帯電手段としての帯電ローラである。感光ドラム3、帯電ローラ24はプロセスユニットの構成要素である。また手差しトレイ19、手差しトレイ紙サイズ検知センサ21は、手差しユニットの構成要素である。しかしながら、各ユニットの構成は特にこれに限定されるものではない。
【0019】
なお、複写対象の原稿から画像を読み取る原稿読取機構の図示及び説明は省略する。
【0020】
上記の構成における画像形成装置の各部の動作を説明する。
【0021】
不図示の原稿読取機構より得られた画像データが画像形成装置内にて画像処理が施される。スキャナユニット1において、レーザユニット6は、画像処理の結果得られた画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光する。ポリゴンミラー7は、レーザユニット6から発光されたレーザ光を偏向して感光ドラム3上を走査し、感光ドラム3上に静電潜像を形成するための回転多面鏡である。スキャナモータ8は、ポリゴンミラー7を回転駆動する。BD信号発生回路200は、ポリゴンミラー7により偏向される主走査方向のレーザ光を検出する。
【0022】
副走査方向の各色のレーザの書き込みタイミングは、中間転写ベルト4の裏に貼付されたホームポジションマーク12をホームポジション検知センサ5で検知することで計られる。ホームポジションマーク12がホームポジション検知センサ5により検知されてから所定時間後に、各色のレーザの感光ドラム3への書き込みを開始する。これにより各色は常にホームポジションから一定の距離で現像され、各色の色合わせが行われる。
【0023】
帯電ローラ24は、感光ドラム3へ帯電バイアスを印加する。電位センサ23は帯電ローラ24にて印加された帯電バイアスの感光ドラム3上の電位を測定し、現像バイアス等の作像系高圧の出力値にフィードバックを行う。
【0024】
現像ロータリ10は、感光ドラム3上に形成された静電潜像をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色の現像ローラ10a〜10dにより現像する。感光ドラム3は、現像ロータリ10により現像された感光ドラム3上の現像剤像を中間転写ベルト4に一次転写させる。クリーニングブレード14は感光ドラム3に当接し、感光ドラム3上の残留現像剤を掻き取ることで清掃を行う。
【0025】
二次転写ローラ11は、中間転写ベルト4に当接し、中間転写ベルト4上の現像剤像を、給紙カセット18或いは手差しトレイ19から給送される記録紙に二次転写させる。クリーニングブレード15は、中間転写ベルト4に対し離間、当接が可能な構成になっている。クリーニングブレード15は、当接時に中間転写ベルト4表面の残留現像剤を掻き取ることで清掃を行う。
【0026】
定着器16は、記録紙17上に転写された未定着現像剤像を加熱および加圧により定着させる定着動作を行う。給紙カセット18は、複数枚の記録紙17を収納するものである。
【0027】
給紙カセット18から繰り出された記録紙17は、中間転写ベルト4と二次転写ローラ11の当接する二次転写位置に給紙される。手差しトレイ19は、記録紙17を手差し給紙する際に使用されるものである。手差し給紙の際には、手差しトレイ19に記録紙17を挿入し、不図示の手差し用紙ガイドをスライドさせて、記録紙17のサイズに合わせる。これにより手差しトレイ紙サイズ検知センサ21にて記録紙17のサイズが検知される。記録紙17は、記録紙17のサイズのタイミングにて二次転写位置に給紙される。
【0028】
排出口20には、画像形成(コピー)が完了した記録紙17が排出される。
【0029】
ここで、本実施例における特有の作用・効果を説明するために、まず本実施例に係る画像形成装置における画像濃度制御を説明する。本実施例に係る画像形成装置には、画像濃度を制御するためのパッチ検出センサ13が設けられている。
【0030】
パッチ検出センサ13による画像濃度制御を説明する。本実施例に係る画像形成装置においては、その動作環境の変化や、プリント枚数等の画像形成における諸条件の変化に伴って、入力される画像信号に対して出力される画像濃度の度合(出力濃度特性)が変動してしまう。そのため、入力された画像における本来の正しい色調が常に得られるとは限らない。
【0031】
そこで、画像形成時における濃度再現状況を判断するために、感光ドラム3上に各色の濃度検知用の現像剤像(以下、パッチと称する)を試験的に形成する。そして、該パッチの濃度をパッチ検出センサ13で自動的に検出して、検出結果を露光量や現像バイアス等の画像形成条件にフィードバックする。これにより、カラー画像を本来の色調で形成すべく濃度制御を行い、安定したカラー画像出力を得る方法を採用している。
【0032】
パッチ検出センサ13の構成を、図2を用いて説明する。図2は、パッチ検出センサ13の概略構成図である。
【0033】
パッチ検出センサ13において、101は発光素子としての赤外線LED、102、103は受光素子としてのピンフォトダイオードである。赤外線LED101は、感光ドラム3に形成されたY、M、C、Bkトナーのパッチ105Aおよび105Bに赤外光を照射する。そして、その反射光を受光素子102、103で検知して電気信号に変換する。
【0034】
ここで、パッチの濃度を高精度に検出するために、パッチ1色に対し多点サンプリングを行い、そのサンプリング結果を平均化することでパッチ濃度を決定している。パッチ検出センサ13においては、赤外線LED101とピンフォトダイオード102、103の取り付け角度が異なる。ピンフォトダイオード102はパッチからの拡散光を測定し、ピンフォトダイオード103は正反射光を測定する構成になっている。このような構成により、2対のピンフォトダイオード102および103で、Y、M、C、Bk全ての現像剤の検知が可能となる。
【0035】
なお、パッチ濃度を自動的に検出して、検出結果を露光量や現像バイアス等の画像形成条件にフィードバックする制御は、以下のタイミングで行われる。すなわち、画像形成装置立ち上げ時のイニシャライズ動作において、各色の画像処理パタンのパッチを形成し、画像処理のパラメータを決定する制御を行う。さらにプリントジョブ中においても、濃度が変動しないように所定枚数印字する度に、各色の現像剤像間に濃度調整用のパッチを各色の現像タイミングに合わせて形成する。そしてそのパッチ濃度を随時検出することで、大量枚数印字するプリントジョブにおいても画像濃度が変動しないように制御を行う。
【0036】
以上のような構成を有する画像形成装置において、本実施例による固有の作用および効果を図に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図3は、本実施例に係る画像形成装置の光通信システムを説明する電気制御ブロック図である。本実施例においては、単一装置内に分散した複数の出力信号や入力信号を、物理的、機能的に複数のユニットにまとめた。そして各ユニットには、ユニット単位での入出力制御を行なう不図示のユニット制御部が設けられる。また、複数のユニット郡を統括制御するマスタCPUを含む制御手段としての主制御部301と情報伝達を行うための光通信手段としての光通信部305a〜308aが設けられる。光通信部305a〜308aは、発光素子を有する発光部と受光素子を有する受光部からなる。
【0038】
一方、主制御部301には、複数ユニットに対する送受信機能に対応するために光通信手段としての複数の光通信チャンネル(CH1〜CH10)を含む光通信部304を設けている。これにより各ユニットと主制御部301間のワイヤーハーネスを大幅に削減した装置内ユニットの入出力制御が可能となる。
【0039】
したがって各ユニットにつながる入出力素子、例えばセンサ、スイッチ、ソレノイド、ファン等は、光通信によるシリアルデータに基づいて制御される。また操作部ユニット316は主制御部301からの光通信によるシリアルデータに基づいた表示を行う。
【0040】
なお、本実施例においては、画像を形成する上で高いリアルタイム性が求められる色あわせ制御やレーザ走査制御に用いるホームポジション検知センサ5やレーザユニット6、スキャナユニット1はワイヤーハーネス接続とした。
【0041】
各CH1〜10で光通信するユニットは中継手段としての可動中継ミラー302や303にて中継される。これにより1−Nで通信することが可能である。例えば光通信部304のCH1には、手差し給紙動作に関する手差しユニット305と画像形成動作に関するプロセスユニット306が通信される。そして、CH1と2つのユニット305、306は可動中継ミラー302により中継される。
【0042】
可動中継ミラー302は、手差しユニット305と通信する場合には、手差しユニット305とCH1とで良好に送受信が行える角度(角度1)に合わせられ、通信が行われる。またプロセスユニット306と通信する場合には、プロセスユニット306とCH1とで良好に送受信が行える角度(角度2)に合わせられ、通信が行われる。このように、可動中継ミラー302をこの角度1、角度2に所定時間毎に変更することで、光通信のスイッチングを可能とする。これにより、一つの光通信チャンネル(この場合CH1)で複数のユニット(この場合、手差しユニット305とプロセスユニット306の2つのユニット)と光通信を行うことができる。
【0043】
次にこの可動中継ミラーの構造を、図4を用いて説明する。
【0044】
まず可動中継ミラー302、303として、近年、機械、電気、光等、多様な要素を集積する電気機械素子として応用されているMEMS技術によるデジタルミラーデバイスを用いた。図4は、角度の変化を図示するために2つのミラー401を集積した構成を示す図である。ミラー401は数ミリ角のごく小さいアルミニウム製のミラーである。ミラー401は下部にある駆動手段としての駆動用メモリーセル402の状態によって、2つの方向のどちらかに光を反射する構造になっている。
【0045】
ミラー401は、ミラー401とメモリーセル402の間の2つのギャップに働く電圧の差によって起こる静電引力によって、不図示のヒンジの周りに回転する。ミラー401の回転は、不図示の機械的なストッパーで±10°程度に制限される。メモリーがオン状態でプラス方向へ回転し、オフ状態でマイナス方向へ回転する構成である。
【0046】
さらに可動中継ミラー302、303は、支持体としての支持軸403を介して回転軸404に取り付けられている。回転軸404は不図示のモータにより矢印方向へ回転可能である。これにより可動中継ミラー302、303は回転軸404と共に矢印方向へ回転できる構成となっている。
【0047】
このような構成において、可動中継ミラー302、303は、回転軸404により2つのユニットが通信できる位置に角度が調整される。また駆動用メモリーセル402のメモリーを主制御部301からのスイッチング信号にて所定時間ごとにオン・オフすることで、ミラー401のプラス方向とマイナス方向のスイッチング可動を実行する。これにより、2つのユニットと光通信部304の各光通信チャンネル(CH)との間で、光通信による送受信を時系列に交互に行うことが可能となる。
【0048】
図5は本実施例に係る通信フォーマットを説明する図である。
【0049】
図5(a)は、主制御部301側がユニット側へデータ送信を行う場合の通信フォーマットを示す。この場合には、送信データはスタートビット(Start Bit)に続いて、ヘッダ(TxHead)、アドレス(TxAdrs)、アドレスデータ(Txdata)、冗長ビット(BCC)の順でデータを送信する。各データ間にはSyncHBit/SyncLBitが挿入されており、このSyncBitによって同期を取り直している。冗長ビット(BCC)にて受信が正常に終了した時は、ユニット側から主制御部301側に対してスタートビット(Start Bit)とアクナレッジビット(AckBit)を送信する。冗長ビット(BCC)でエラーを検知した場合にはスタートビット(start bit)を返さない。
【0050】
次に、主制御部301が、通信相手先(ユニット側)よりデータを受信する場合には、図5(b)のようにデータの送受信を行う。すなわち、主制御部301は、スタートビット(Start Bit)に続いて、ヘッダ(TxHead)、アドレス(TxAdrs)、冗長ビット(BCC)の順でデータを送信する。通信相手先(ユニット側)は、これに対しスタートビット(Start Bit)に続いて、ヘッダ(RxHead)、アドレスデータ(Rxdata)、冗長ビット(BCC)を返信する。主制御部301側は冗長ビット(BCC)にてエラー情報でないか否かの判断を行う。エラーの場合には、受信データを無効とし、再度データを通信相手先(ユニット側)に要求する。
【0051】
このような通信フォーマットを用いることで、ヘッダ情報によりどのユニットからのデータなのかを判断する。そして、その後のアドレス、アドレスデータ情報を検出することでユニット内のどの負荷情報なのかを確定し制御を行う。
【0052】
続いて、上記構成の画像形成装置における動作を具体的に説明する。
【0053】
図6(a)はモノクロプリントジョブや、手差し給紙によるプリントジョブ時において、手差しユニット305とプロセスユニット306からのデータを光通信部304のCH1で受信するタイミングを示す図である。モノクロプリントジョブのように画像濃度変動が少ないプリントジョブでは、プロセスユニット306に接続されているパッチ検出センサ13、環境センサ22のサンプリングデータは少なくてもよい。一方、手差し給紙によるプリントジョブの場合には、手差し給紙クラッチ310などを給紙の度に精度よく動作させなければならない。そのため、手差しユニット305とプロセスユニット306が交互に受信できるように、可動中継ミラー302を動作させる駆動用メモリーセル402を時間t毎にオン・オフさせる。これにより手差しユニット305とプロセスユニット306のデータを時間t毎に主制御部301へ、光通信部304のCH1を介して交互に送信する。図5(a)では、駆動用メモリーセル402がオフで手差しユニット305側へ、オンでプロセスユニット306側へ可動中継ミラー302がスイッチングする場合を示す。
【0054】
次に、画像濃度の安定性が求められるフルカラーで、かつ大量の出力を行うプリントジョブの場合を図6(b)に示す。図6(b)は、フルカラー大量プリントジョブ時において、手差しユニット305とプロセスユニット306から光通信部304のCH1でデータを受信するタイミングを示す図である。
【0055】
図6(a)の場合とは異なり、フルカラーの大量プリントジョブの場合においては、長時間連続でプリントジョブを繰り返す。そのためプリントジョブ時以外に行われるパッチ検出を用いた画像濃度調整を行うことができない。一方で出力された画像に画像濃度ばらつきが起きないようにしなければならない。
【0056】
したがって上述のように、プリントジョブ中においても所定枚数印字する度に、各色のトナー画像間に濃度調整用のパッチを各色の現像タイミングに合わせて形成する。そしてそのパッチ濃度を随時多数サンプリングにて検出し、大量枚数印字するプリントジョブにおいても画像濃度が変動しないような制御を行っている。
【0057】
この場合、パッチ濃度を短時間で高精度に読む必要性が出てくる。そこで図6(b)に示すように、プロセスユニット306からデータを読む回数を増やすように可動中継ミラー302を制御する。本実施例においては、時間tの周期で4回プロセスユニット306のデータを受信した後に手差しユニット305のデータを受信するシーケンスに変更した。
【0058】
すなわち、可動中継ミラー302の駆動用メモリーセル402の時間t毎に行うオン・オフの周期を、このシーケンスのように変更する。これにより、手差しユニット305とプロセスユニット306のデータ量の割合を変更して、主制御部301へ光通信部304のCH1を介して送信する。
【0059】
これにより画像濃度調整用のパッチ濃度のサンプリング回数を増やすことが可能となり、形成されたパッチ濃度を短時間でさらに忠実に検出することができる。そして、プリントジョブ中においても、検知結果を露光量や現像バイアス等の画像形成条件にフィードバックすることができ、大量に出力された出力画像の濃度を均一に保つことができる。
【実施例2】
【0060】
以下に、本実施例に係る画像形成装置について説明する。
【0061】
本実施例については、実施例1と異なる構成のみについて説明し、同一の構成については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0062】
本実施例に係る画像形成装置の光通信システムを図7のように構成した。光通信部704のCH1と通信するユニットとして、両面画像形成動作に関する両面駆動ユニット705、画質制御に関する高圧制御ユニット706が配置されている。両ユニットは、可動中継ミラー702にてそれぞれa経路、b経路で光通信部704のCH1を介して主制御部701と通信できる。CH2はプロセスユニット707のみと通信できるように配置されており、この場合、可動中継ミラー703は固定のままであってもよい。
【0063】
本実施例ではさらに、可動中継ミラー702の回転軸404を回転させることにより、可動中継ミラー702の角度を変更する。これによりa経路の通信を遮断する。また可動中継ミラー702を駆動用メモリーセル402により駆動させることで、プロセスユニット707が直接、高圧制御ユニット706と通信できるc経路へ変更できるようにした。
【0064】
続いて、上記構成の画像形成装置における動作を具体的に説明する。
【0065】
図8(a)は、通常画質モードが選択された場合のプリントジョブや、両面印字を行うプリントジョブ時において、両面駆動ユニット705と高圧制御ユニット706からのデータを光通信部704のCH1で受信するタイミングを示す図である。
【0066】
通常画質モードが選択された場合、高圧制御ユニット706による高圧制御は、イニシャライズ時や調整時に予め決定した制御値を作像シーケンスによりオン・オフするだけでよい。また両面印字を行うプリントジョブの場合には、不図示の両面モータ、クラッチなどの両面駆動関係の負荷を精度よく動作させなければならない。そのため、両面駆動ユニット705と高圧制御ユニット706が交互に受信できるように、可動中継ミラーを動作させている駆動用メモリーセル402を時間t毎にオン・オフさせる。
【0067】
これにより両面駆動ユニット705と高圧制御ユニット706のデータを時間t毎に主制御部701へ、光通信部704のCH1を介して送信する。図8(a)では、駆動用メモリーセル402がオフで両面駆動ユニット705側へ、オンで高圧制御ユニット706側へ可動中継ミラー702がスイッチングする場合を示す。
【0068】
さらにこの場合、プロセスユニット707と光通信部704のCH2間の通信を中継する可動中継ミラー703は固定したままでよく、駆動用メモリーセル402はオフのままである。
【0069】
次に、ユーザーにより高画質モードが選択された場合を説明する。
【0070】
図8(b)は、高画質モードのプリントジョブ時において、光通信部704のCH1とCH2がそれぞれ受信するデータと、プロセスユニット707と高圧制御ユニット706がデータを送受信するタイミングを示す図である。この場合には、上述のように可動中継ミラー702の回転軸404を回転させて可動中継ミラー702の角度を変更し、両面駆動ユニット705とCH1の通信経路にあたるa経路を遮断する。また、可動中継ミラー703を駆動用メモリーセル402で駆動させて、プロセスユニット707が直接高圧制御ユニット706と通信できるc経路に変更する。具体的には、帯電ローラ24による帯電バイアスの出力タイミングと同時に、プロセスユニット707が直接高圧制御ユニット706と通信できるc経路に変更する。
【0071】
この制御により、電位センサ23により検知された感光ドラム3上の帯電量である電位センサ検知電位による電位ムラ情報が、リアルタイムに高圧制御ユニット706にフィードバックされる。そして、現像バイアスなどの作像高圧系の調整を逐次行うことができる(図8(b)ではTc区間)。これにより高画質モードが選択された場合でも感光ドラム3の電位ムラを補正した高画質な画像を出力することができる。
【0072】
なお、実施例1においては、モノクロ・フルカラープリントの違い、給紙口、プリント枚数等の条件に基づいて可動中継ミラーを制御した。また、実施例2においては、画質モード、片面・両面画像形成等の条件に基づいて可動中継ミラーを制御した。しかしながら、本発明はこれらのみに限定されるものではない。例えば、記録紙のサイズ、記録紙の種類、後処理条件、記録紙の排出口、あるいは画像形成動作字の環境条件等に基づいて、各条件に関連するユニットを中継する可動中継ミラーを制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1および2に係る画像形成装置の内部構造を示す概略断面図
【図2】実施例1および2に係るパッチ検出センサ13の概略構成図
【図3】実施例1に係る光通信システムを説明する電気制御ブロック図
【図4】実施例1および2に係る可動中継ミラーの構成図
【図5】(a)、(b)は実施例1に係る通信フォーマットを説明する図
【図6】(a)、(b)は実施例1のプリントジョブ条件による光通信制御のタイミング図
【図7】実施例2に係る光通信システムを説明する電気制御ブロック図
【図8】(a)、(b)は実施例2のプリントジョブ条件による光通信制御のタイミング図
【符号の説明】
【0074】
301、701 主制御部(制御手段に対応)
305 手差しユニット(ユニットに対応)
306、707 プロセスユニット(ユニットに対応)
705 両面駆動ユニット(ユニットに対応)
706 高圧制御ユニット(ユニットに対応)
CH1〜CH10 光通信チャンネル(光通信手段に対応)
305a〜308a 光通信部(光通信手段に対応)
302、303、702、703 可動中継ミラー(中継手段に対応)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成処理に関する動作を行う複数のユニットと、前記複数のユニットを制御する少なくとも1つの制御手段とを備え、前記複数のユニットおよび制御手段がそれぞれ光通信手段を有し、該光通信手段によって相互にデータを送受信する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記複数のユニットの数以下の複数の光通信手段を有し、
制御手段の有する該複数の光通信手段のそれぞれは、前記複数のユニットの1つ以上と光通信可能であり、
前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとが、光通信手段からの光信号を所定方向に反射させることができる中継手段により中継され、
前記中継手段が画像形成条件によって、前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとの光通信関係を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記光通信手段が、送信光信号を発信する発光素子と、通信相手先から送信された前記送信光信号を受信する受光素子を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記中継手段が、前記光通信手段からの光信号を反射可能なミラーと、前記ミラーの光信号の反射方向を制御する駆動手段と、前記ミラーを支持する支持体と、前記支持体が取り付けられる回転軸と、前記回転軸を回転させるモータとを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記光通信関係が、前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとの通信経路であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記光通信関係が、前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとの通信時間であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記画像形成条件が、モノクロ・フルカラープリントの違い、画質モード、片面・両面画像形成、記録媒体の給紙口、記録媒体の排出口、プリント枚数、記録紙のサイズ、記録紙の種類、後処理、あるいは画像形成動作時の環境のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記ユニットが、手差し給紙動作に関する手差しユニット、画像形成に関するプロセスユニット、両面画像形成動作に関する両面駆動ユニット、画質制御に関する高圧制御ユニットのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
光通信手段を有し、画像形成処理に関する動作を行う複数のユニットと、前記複数のユニットの数以下の複数の光通信手段を有し、前記複数のユニットを制御する少なくとも1つの制御手段と、前記制御手段の有する光通信手段と前記ユニットとの光通信を中継する中継手段とを備え、該光通信手段によって相互にデータを送受信する画像形成装置の制御方法であって、
制御手段の有する前記複数の光通信手段のそれぞれが、前記中継手段を介して前記複数のユニットの1つ以上と光通信可能であり、前記中継手段が画像形成条件によって、前記制御手段の有する各光通信手段と、該光通信手段と光通信可能な1つ以上の前記ユニットとの光通信関係を変更するように制御することを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−158503(P2007−158503A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347829(P2005−347829)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】