説明

発光装置

【課題】より小型化された発光装置を、安定的にかつ確実に実装基板に実装することができる発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上面に形成された窪み部13と、対向する少なくとも一対の側面1c、1eと、裏面に形成され、対向する一対の側面のいずれか一方の側面1c、1eに至る凹部16と、窪み部13内から裏面の凹部16内に貫通するスルーホール15とを備える基材1及び半導体発光素子2を含む発光装置であって、基材1の一対の側面1c、1eは、裏面側に垂直部1cs、1es及び上面側にテーパー部1ct、1etを備えており、垂直部1cs、1esは、上端が窪み部13の底面より上面側に配置され、垂直部1cs、1esの高さHs及び凹部16の深さDoが、Hs−Do>Doを満たす発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、より詳細には、高密度配列を可能とする形状の安定した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のLEDの発達により、白色LEDが、白熱電球及びハロゲンランプに比べて長寿命化及び小型化等を図ることが可能であるため、用途がますます広がり、その用途に応じてさらなる長寿命化及び小型化等が必要とされている。
【0003】
そのために、白色LEDを単独で又は高密度に配列してモジュール化し、所望の明度となるように種々の工夫がなされているが、高出力及び高輝度のLEDは発熱が著しいために、より放熱性を高める必要がある。また、LEDを高密度配列したモジュールではより一層の小型化が求められている。
【0004】
そこで、基板表面にLEDチップを搭載し、この基板裏面に絶縁性が確保された凸部を設け、LEDの電極に接続された端子が、凸部以外の基板裏面に配置されてなる発光装置が提案されている(特許文献1)。このような発光装置では、その端子を実装基板上の電極パッドに接続する際に、発光装置の基板裏面の凸部を実装基板表面に密着させることにより、実装基板への放熱路を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−523578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、さらなる小型化が求められている状況下、発光装置自体、特に基板及びその裏面に形成された凸部自体がより小型化するために、実装基板への実装の際に、基板裏面の凸部のみを実装基板に接触させると、発光装置が安定せず、実装の不具合が発生するなど新たな問題が生じる。
【0007】
また、通常、発光装置を実装基板に実装する際には、発光装置をジグによって把持して適所に配置することが必要であるが、より小型化され、特に基板裏面端部に凹みが配置する場合には、ジグにより安定して発光装置を把持することが困難となり、実装精度を低減させるなどの問題が生じることがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、より小型化された発光装置を、安定的にかつ確実に実装基板に実装することができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は以下の発明を含む。
【0010】
(1)上面に形成された窪み部と、
対向する少なくとも一対の側面と、
裏面に形成され、前記対向する一対の側面のいずれか一方の側面に至る凹部と、
前記窪み部内から前記裏面の凹部内に貫通するスルーホールとを備える基材及び
前記窪み部に載置された半導体発光素子を含む発光装置であって、
前記基材の一対の側面は、裏面側に垂直部及び上面側にテーパー部を備えており、
前記垂直部は、上端が前記窪み部の底面より上面側に配置され、
前記垂直部の高さHs及び前記凹部の深さDoが、Hs−Do>Doを満たす発光装置。
【0011】
(2)前記基材が、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面を備えており、かつ前記基材の一対の側面は短手方向に延長して対向する側面である上記の発光装置。
【0012】
(3)前記凹部は、裏面側の幅woが前記垂直部の裏面側の幅Wよりも小さい上記の発光装置。
【0013】
(4)前記凹部が、基材裏面において、短手方向の二方向及び長手方向の一方向に包囲され、短手方向の側面に開放されて配置されてなる上記の発光装置。
【0014】
(5)前記凹部の深さDoは、前記窪み部の深さDkの1/5以下である上記の発光装置。
【0015】
(6)前記垂直部の高さHsは、前記凹部の深さDoの4倍以上である上記の発光装置。
【0016】
(7)前記垂直部の高さHsは、基材の高さHの1/2以上である上記の発光装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、より小型化された発光装置を、安定的にかつ確実に実装基板に実装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の発光装置の形状を示すための断面図(a)及び裏面図(b)である。ただし、図1(a)においては、導電部材の断面は省略している。
【図2】本発明の発光装置を示す短手方向の左側面図(a)、平面図(b)、短手方向の右側面図(c)、長手方向の側面図(d)、裏面図(e)及びf−f’線断面図(f)である。
【図3】本発明の発光装置をジグにより把持した状態を説明するための平面図(a)、長手方向からの側面図(b)及び短手方向からの側面図(c)である。
【図4】本発明の別の発光装置を示す短手方向の左側面図(a)、平面図(b)、短手方向の右側面図(c)、長手方向のd−d’線断面図(d)及び裏面図(e)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の発光装置は、少なくとも、半導体発光素子(以下、「発光素子」と称する)と、この発光素子を支持する基材とを備える。
【0020】
[半導体発光素子]
発光素子は、いわゆる発光ダイオードと称される素子であればどのようなものでもよい。例えば、基板上に、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体によって、発光層を含む積層構造が形成されたものが挙げられる。
【0021】
基板としては、C面、A面、R面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgA124)のような絶縁性基板;炭化珪素(6H、4H、3C)、シリコン、ZnS、ZnO、GaAs、ダイヤモンド;ニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウム等の酸化物基板、窒化物半導体基板(GaN、AlN等)等が挙げられる。
【0022】
半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合、PN接合などのホモ構造、ヘテロ結合あるいはダブルヘテロ結合のものが挙げられる。
【0023】
発光素子を構成する各半導体層には、Si、Ge等のドナー不純物及び/又はZn、Mg等のアクセプター不純物がドープされていてもよい。
【0024】
発光層は、量子効果が生ずる薄膜に形成した単一量子井戸構造、多重量子井戸構造としてもよい。
【0025】
発光素子の発光波長は、半導体の材料、混晶比、発光層のInGaNのIn含有量、発光層にドープする不純物の種類を変化させるなどによって、紫外領域から赤色まで変化させることができる。
【0026】
このような発光素子は、フリップチップ実装(フェイスダウン)、フェイスアップ実装のいずれに対応し得る積層構造を有していてもよい。例えば、発光素子の表面側に、一対の電極が配置しているものであってもよいし、発光素子の表裏面に、一対の電極がそれぞれ配置しているものであってもよい。
【0027】
発光素子は、その大きさ及び形状等が特に限定されるものではなく、用いる材料、目的とする発光波長、出力及び特性等によって適宜調整することができる。例えば、150μm×150μm〜5mm×5mm程度の平面形状であって、厚みが50μm〜500μm程度の小型の発光素子が挙げられる。
【0028】
発光素子は、後述する基材(例えば、第1又は第2導電部材)上に支持されている。支持のためには、通常、接合部材が用いられる。例えば、青及び緑発光を有し、絶縁基板上に窒化物半導体を成長させた発光素子の場合には、エポキシ樹脂、シリコーン等を用いることができる。また、発光素子からの光や熱による劣化を考慮して、発光素子裏面にAlメッキをあらかじめ施し、樹脂を使用せずに、Au−Sn共晶などの半田、低融点金属等のろう材等を用いることもできる。さらに、GaAs等からなり、赤色発光を有する発光素子のように、両面に電極が形成された発光素子の場合には、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト等によって支持されていてもよい。
【0029】
なお、本発明の発光装置では、発光素子は1つのみ搭載されていることが好ましいが、2つ以上搭載されていてもよい。
【0030】
[基材]
基材は、上述した発光素子を支持するものであり、発光素子をその中央又は中央付近で支持することが好ましい(例えば、図1(b)の発光素子2参照)。
【0031】
基材を構成する材料は、特に限定されず、発光素子から発生する熱を効果的に放熱させることができる材料であることが好ましい。
【0032】
例えば、熱伝導率が10W/(m・K)以上であることが適しており、20W/(m・K)以上であることが好ましく、100W/(m・K)以上であることがより好ましく、200W/(m・K)以上であることがさらに好ましい。
【0033】
このような材料としては、例えば、Si、SiC等の半導体材料、Al23、AlN等のセラミック材料、樹脂(例えば、無機フィラー等を含有してもよい)、金属板等が挙げられる。なかでも、熱伝導率の高さ、加工性等を考慮すると、AlN、Si等が好ましい。なお、基材の構成材料として、導電性又は半導体等の特性を有する材料を用いる場合は、基材外表面又はその内部の一部において、絶縁性を確保するために、酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁材料を使用してもよい。
【0034】
基材の形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。例えば、平面視(発光素子の支持面及び上面)において、円又は楕円、三角形、四角形、六角形等の多角形、これら多角形に近似する形状(角が丸められた形状など、以下同じ)などが挙げられる。特に、長方形又はこれに近似する形状が好ましい(図2(b)参照)。その大きさは、近年の発光装置の小型化を考慮すると、例えば、1.0mm〜8.0mm×1.5mm〜50mm程度が挙げられる。平面視が長方形の場合には、その長さを、縦:横=1:1.2〜10程度とすることが適している。
【0035】
基材の立体形状は、基本的には(上下面及び側面側からの投影形状として)、上述した平面視形状の柱状のものが適しており、直方体のものが好ましい。その厚み(高さ、図1(a)のH)は、例えば、発光素子の3倍〜10倍程度が適しており、具体的には、0.5mm〜5mm程度の小型のものが挙げられる。
【0036】
基材は、その上面において発光素子を支持するための窪み部を有している(図1(a)の13参照)。この窪み部の大きさは、発光素子よりも大きく、基材よりも小さければよい。窪み部の深さ(図1(a)のDk)は、特に限定されるものではないが、発光素子の高さよりも大きいことが必要である。これにより、発光素子を基材表面に搭載した場合に、発光装置の平坦性を確保することができる。また、発光素子からの光を上面に配向することができる。窪み部の深さは、具体的には、0.3〜3.0程度が適しており、0.5〜2程度が好ましい。
【0037】
なお、窪み部においては、発光素子が配置される部位の両側において、その窪み面よりも高さが高い凸部(図2(f)の14参照)が配置されていてもよい。これにより、平坦性を確保しながら、薄膜状の基材を補強することができるとともに、より発光素子からの光の配向に寄与させることができる。さらに、基材に後述するスルーホールが形成される場合には、スルーホールと発光素子との間に凸部を配置することにより、光学的な遮蔽性を確保することができ、発光素子からの光が直接スルーホールに当たることを回避できる。
【0038】
基材は、対向する一対の側面を有している。特に、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面を備えていることが好ましい。ここで、長手方向に延長して対向する一対の側面(以下、「長手方向の側面」と記載することがある)は、例えば、図1(b)における側面1dと側面1fを指し、短手方向に延長して対向する一対の側面(以下、「短手方向の側面」と記載することがある)は、例えば、図1(b)における側面1cと側面1eを指す。
【0039】
基材の側面は、その一部が基材の上面及び裏面に対して垂直となっており(以下、「垂直部」と記載する。例えば、図1(a)の側面1c及び側面1eにおける1cs及び1es参照)、また、別の一部において、内側に傾斜するテーパー形状を有している(以下、「テーパー部」と記載する。例えば、図1(a)の側面1c及び側面1eにおける1ct及び1et参照)。なお、これら側面における垂直部及びテーパー部の表面は若干の凹凸等が形成されていてもよい。
【0040】
垂直部は、裏面側が、基材の上裏面に対して垂直となっており、テーパー部は、上側面が内側に傾斜している。このような形状とすることにより、基材を金型によって形成する場合にはその取り出しを容易にすることができる。また、発光装置を実装基板に搭載する際に、側面方向からの発光装置のジグによる把持を確実に行うことができる。
【0041】
基材側面における垂直部及びテーパー部の高さ(図1(a)のHs及びHt)は、基材の全高さ(図1(a)のH)、上述した窪み部の深さ(図1(a)のDk)、後述する基材裏面に形成された凹部の深さ(図1(a)のDo)等によって適宜調整することができる。
【0042】
特に、基材の垂直部は、その上端が、窪み部の底面より上面側に配置されていることが適している(図1(a)参照)。これにより、ジグによる発光装置の把持に対する側面側からの応力に対して、基材自体の適切な強度を保持することができる。
【0043】
垂直部の高さHsは、基材の高さHの1/2程度以上であることが適しており、基材高さの60%程度以上、65%程度以上であることが好ましい。具体的には、0.5mm以上、さらに0.5〜3.5程度が適しており、0.6〜2.0程度が好ましい。これにより、ジグの大きさ及び種類にかかわらず、発光装置を確実に把持することができる。
【0044】
テーパー部の高さHtは、例えば、0.3〜3.0程度が適しており、0.5〜2.0程度が好ましい。これにより、発光素子の基材を金型等によって形成する場合に、金型から容易に取り出すことができる。
【0045】
基材の裏面(発光素子が支持された面、上面の反対面)から、基材の全側面のうちの一側面、好ましくは、対向する少なくとも一対の側面、さらに好ましくは、短手方向の側面のいずれかにのみに至る凹部を少なくとも1つ備えている(図1(b)の凹部16参照)。いいかえると、基材の裏面であって、一側面側(好ましくは、短手方向の一側面)の中央部分において、凹部を有する。さらに言い換えると、基材の裏面であって、基材の角部を含まない側面に開放された(基材の角部以外の側面に至る)凹部を有する。この凹部の形状は、特に限定されず、基本的に、球又は卵形の一部を欠いた形状、立方体又は直方体等の多角形柱又はこれに近似する形状などが挙げられる。なかでも、立方体又は直方体が好ましい。従って、この凹部は、基材の裏面から見て、好ましくは三方において基材裏面が配置し、一方において開放するように配置されている。好ましくは、凹部は、短手方向の二方向及び長手方向の一方向に包囲され、短手方向の側面に開放されて配置されている。
【0046】
凹部の大きさは特に限定されるものではなく、基材自体の大きさによって、適宜調整することができる。例えば、その三方において基材裏面が配置されることから、基材の一辺よりも短かければよい。また、基材が後述するスルーホールを有する場合を考慮すると、スルーホールの直径よりも長ければよい。具体的には、基材の一辺の20〜80%程度の長さの範囲で調整することが好ましい。特に、凹部は、裏面側の幅が、垂直部の裏面側の幅よりも小さいことが適している。なかでも、裏面側の短手方向の幅(図1(a)のwo)が、垂直部の裏面側の短手方向の幅(図1(a)のW)よりも小さいことが好ましい。
【0047】
凹部の深さ(図1(a)のDo)は、特に限定されるものではないが、基材の強度等を考慮して、基材の厚さの50%程度以下であることが適しており、40%程度以下が好ましく、5%以上であればよく、10%以上であることが好ましい。別の観点から、凹部の深さ(図1(a)のDo)は、上述した窪み部の深さDkの1/5以下であることが適しており、1/6以下であることが好ましい。言い換えると、凹部は、その上端が、窪み部の底面より裏面側に配置されていることが好ましい。また別の観点から、凹部の深さ(図1(a)のDo)は、垂直部の高さHsとの間で、Hs−Do>Doを満たすことが好ましく、具体的には、垂直部の高さHsの1/4以下、好ましくは1/5以下、つまり、垂直部の高さHsが、凹部の深さDoの4倍以上、5倍以上であることが好ましい。
【0048】
なお、この凹部を構成する基材の壁はテーパー又は逆テーパーを有していてもよいし、若干の凹凸又は段差があってもよい。また、凹部は、裏面において対向する辺に対して2つ以上配置されていてもよい。
【0049】
このように、発光装置の基材において、窪み部、凹部、側面等が種々の形状に設計される場合であっても、窪み部、凹部、側面の垂直部及びテーパー部の高さ又は深さの関係が、上述した関係の1以上を満たすことにより、より一層小型化された場合においても、適切な強度、ジグによる発光装置の容易かつ確実な把持及び実装精度等を確保することができ、高品質の発光装置を提供することができる。
【0050】
基材には、後述する第1又は第2導電部材を、その表面から裏面に通すためのスルーホールを1以上有している(図1(a)の15参照)。スルーホールは、上述した基材の窪み部内から裏面の凹部内に貫通していればよい。スルーホールを通して導電部材等が埋設されるなどの場合に、その埋設物による裏面側への突出の影響を回避し、実装基板と接する基材裏面を平坦に維持することができるからである。なお、凹部が2つ以上配置されている場合は、少なくとも1つの凹部内にスルーホールが配置されていればよい。
【0051】
基材には、後述する第1及び第2導電部材以外に、発光素子を載置するため、発光素子からの光を効果的に反射させるため、発光素子の放熱性を確保するためなどの種々の目的のために、第1及び第2導電部材と同様の材料によって形成された導電部材を、その外表面又は内部に、1以上備えていてもよい(例えば、図1(b)の17参照)。この場合の形状及び位置は特に限定されないが、特に、放熱性を確保するためには、発光素子の直下を含む領域に形成することが好ましい。
【0052】
基材は、後述する第1及び第2導電部材等とともに、モールディング、導電部材及びセラミック材料等が積層されたグリーンシートの焼結等の公知の方法によって形成することができる。
【0053】
(第1及び第2導電部材)
基材は、その表面から内部に至る第1及び第2導電部材を備える。第1及び第2導電部材は、それぞれ、発光素子の一対の電極とそれぞれ電気的に接続されている。
【0054】
第1及び第2導電部材を構成する材料は、特に限定されず、電極又は端子として機能し得る導電性を有しているものであればよく、発光素子から発生する熱を効果的に放熱させることができるものであることが好ましい。
【0055】
このような材料としては、例えば、Ni、Ti、Au、Pt、Pd、W、Co、Au、Mn、V、Cr、Zr、Rh、Cu、Al、Mg、Bi、Sn、Ir、Ga、Nd及びRe等の金属;鉄−ニッケル合金、燐青銅、鉄入り銅等の合金;これらの金属又は合金の表面に、銀、アルミニウム、銅、金等の金属メッキ膜が施こされたもの等が挙げられる。さらに、タングステン、モリブデン等の高融点金属を樹脂バインダーに含有させたペースト状の導電性材料であってもよい。これらの膜は、単層であってもよいし、材料等の異なる積層膜であってもよい。なかでも、薄膜状に製造しやすいめっき膜とするために、例えば、基材側から順に銅−Ni−Au、銅−Ni−銀等の積層膜とすることが好ましい。第1及び第2導電部材の厚みは、基材外表面に配置されている部位においては、例えば、1〜100μm程度が挙げられる。
【0056】
この第1及び第2導電部材は、発光素子の電極と電気的な接続を図る観点から、発光素子を支持する基材表面に露出していることが必要であり、さらに発光装置を実装基板に実装するために、基材裏面にまで至っていることが好ましい。この場合、第1及び第2導電部材のいずれか一方又は双方が、基材の表面から側面を通って裏面に及んでいてもよいし(例えば、図2(c)の第2導電部材12参照)、基材の表面から裏面に貫通するスルーホールを通して、基材の表面から裏面に及んでいてもよい(例えば、図2(f)の第1導電部材11参照)。なお、基材にスルーホールが形成され、そのスルーホール内を導電部材が通る場合には、通常、スルーホール内を通る導電部材は、発光素子のアノード電極とカソード電極のいずれでもよい。
【0057】
第1及び第2導電部材は、基材裏面においては、少なくともその一部が、上述した基材裏面に形成された凹部以外の裏面に配置されていることが適しており、特に、基材の一側面側に配置された凹部の両側に、第1及び第2導電部材がそれぞれ配置していることが好ましい。
【0058】
また、基材の発光素子支持面において窪みを有し、かつ、窪み内に凸部が形成されている場合には、凸部表面にも、第1及び第2導電部材が配置していることが好ましい。これにより、凸部表面において、発光素子との電気的な接続を容易に行うことができる。
【0059】
[透光性部材]
本発明の発光装置は、発光素子、任意にワイヤ等を保護するために透光性部材が発光素子等を被覆していることが好ましい。例えば、基材が窪んだ形状の発光素子載置部を有する場合には、窪んだ形状の部位に、さらに基材表面から盛り上がるように、透光性部材を配置してもよい(図1(f)の透光性部材50参照)。
【0060】
透光性部材は、外力、水分等から発光素子を保護し、発光素子と導電部材との接続を確保するワイヤ等を保護し得る材料によって形成することが好ましい。
【0061】
透光性部材としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、PBT樹脂等の樹脂又はこれらの組み合わせ等の耐候性に優れた透明樹脂又は硝子等が挙げられる。特に、透明樹脂は、工程中あるいは保管中に透光性被覆部材内に水分が含まれた場合でも、100℃程度で14時間程度以上のベーキングを行うことによって、樹脂内に含有された水分を外気へ逃がすことができる。従って、水蒸気爆発、発光素子と後述する封止部材との剥がれを防止することができる。
【0062】
ここで、透光性とは、発光素子から出射された光を70%程度以上、80%程度以上、90%程度以上、95%程度以上透過させる性質を意味する。
【0063】
透光性部材には、拡散剤又は蛍光物質を含有させてもよい。拡散剤は、光を拡散させるものであり、発光素子からの指向性を緩和させ、視野角を増大させることができる。蛍光物質は、発光素子からの光を変換させるものであり、発光素子から外部へ出射される光の波長を変換することができる。発光素子からの光がエネルギーの高い短波長の可視光の場合、有機蛍光物質であるペリレン系誘導体、ZnCdS:Cu、YAG:Ce、Eu及び/又はCrで賦活された窒素含有CaO−Al23−SiO2などの無機蛍光物質等の公知のものが種々用いられる。本発明において、白色光を得る場合、特にYAG:Ce蛍光物質を利用すると、その含有量によって青色発光素子からの光と、その光を一部吸収して補色となる黄色系が発光可能となり白色系が比較的簡単に信頼性よく形成できる。同様に、Eu及び/又はCrで賦活された窒素含有CaO−Al23−SiO2蛍光物質を利用した場合は、その含有量によって青色発光素子からの光と、その光を一部吸収して補色となる赤色系が発光可能であり白色系が比較的簡単に信頼性よく形成できる。
【0064】
[保護素子]
本発明の発光装置には、さらに保護素子が搭載されていてもよい(例えば、図1(b)の保護素子18参照)。保護素子の種類は、特に限定されるものではなく、発光装置に搭載される公知のもののいずれでもよい。例えば、発光素子に印加される逆方向の電圧を短絡したり、発光素子の動作電圧より高い所定の電圧以上の順方向電圧を短絡したりさせることができる素子、つまり、過熱、過電圧、過電流、保護回路、静電保護素子等が挙げられる。具体的には、ツェナーダイオード、トランジスタのダイオード等が利用できる。
【0065】
本発明の発光装置では、保護素子は、発光素子から出射される光の照射範囲外に載置されていることが好ましい。これにより、保護素子における光吸収を抑制できる。保護素子は、通常、1つのみが搭載されていているが、2つ以上搭載されていてもよい。
【0066】
以下、本発明の発光装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0067】
実施の形態1
この発光装置10は、図1(a)及び(b)並びに図2(a)〜(f)に示すように、基材1と、発光素子2とを備える。なお、図1(a)においては、特に厚み方向のサイズをわかりやすく説明するために誇張して表しており、その実際の厚みとは必ずしも一致しない。
【0068】
基材1は、窒化アルミナによって形成されており、長手方向の外形の幅が5mm程度、短手方向の外形の幅Wが3mm程度の大きさ、その厚みが1.1mm程度の、基本外形が直方体形状として形成されている。
【0069】
基材1の表面1aの中央付近には、発光素子2を載置する窪み部13を備える。窪み部13の外形の大きさは、1.3×1.5mm程度であり、その深さDkは、0.6mm程度である。
【0070】
その窪み部13の中央付近を挟むように、短手方向に平行に、2本の凸部14が形成されている。この凸部14の高さは、窪み部13の深さよりも若干低く、幅は0.22mm程度である。この窪み部13内であって、一方の凸部14に、スルーホール15が1つ形成されている。
【0071】
基材1は、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面1d、1f及び1c、1eを備えている。短手方向の側面1c、1eは、それぞれ、裏面側に垂直部1cs、1es及び上面側にテーパー部1ct、1etを備えている。なお、長手方向の側面1d及び1fは、この実施形態では垂直部及びテーパー部を備えていないが、備えていてもよい。垂直部1cs、1esは、裏面側から基材全厚みの40%程度の高さHs、例えば、0.5mm程度を有しており、基材1の表裏面に対して略垂直である。テーパー部1ct、1etは、上側面から基材全厚みの60%程度の高さHt、例えば、0.6mm程度を有しており、裏面の法線方向から5°程度内側に傾斜したテーパー形状となっている。これによって、発光装置を実装基板に搭載する際に、側面方向からのジグによる把持を確実に行うことができる。
【0072】
基材1の裏面1bには、凹部16が形成されている。凹部16は、基材1の全側面のうちの、例えば、1つの短手方向の側面1cにのみに至っており、基材1の角部以外の領域に配置されている。基材1の裏面1bにおいて、凹部16の短手方向の両側は、基材1の他の裏面1bとほぼ面一となっている。なお、凹部16は、短手方向の側面の略中央に配置されており、その内部には、スルーホール15(直径=0.5mm)が配置されている。
【0073】
凹部16の大きさは、例えば、側面から1.5mm程度の長さ、幅woが1.5mm程度であり、その深さDoは、0.1mm程度である。
【0074】
基材1の表面1aであって、窪み部13内に、第1導電部材11としてカソード電極が配置されている。第1導電部材11は、窪み部13内の発光素子2載置部位以外の領域に延長しており、2つの凸部14の上面、スルーホール15近傍及びその内部に至る。
【0075】
第1導電部材11は、スルーホール15を通って、基材1の裏面1b側に貫通しており、スルーホール15から、その両側に向かって、基材1の短手方向に略平行に、基材1の裏面1bに至るように引き回されている。スルーホール15から延長したこの第1導電部材11の一方は、基材1の裏面1bにおいて分岐して、基材1の長手方向の側面1d側に、他方は基材1の短手方向の側面1cに至っている。
【0076】
また、基材1の表面1aであって、窪み部13内の発光素子2載置部位から、窪み部13を取り囲む領域に、第2導電部材12としてアノード電極が、第1導電部材11と互いに電気的に絶縁されて配置されている。
【0077】
第2導電部材12は、基板1の窪み部13の外周の表面1aを取り囲むように配置され、さらに短手方向の側面1eの中央部分を高さ方向に引き回され、裏面1bに至っている。また、他の短手方向の側面1cでは、その端部近傍を高さ方向に引き回され、裏面1bに至っている。
【0078】
基材1の裏面1bには、凹部16と短手方向の側面1e側の第2導電部材12との間であって、発光素子2の直下に相当する部分に、これらの第1及び第2導電部材11、12と短絡しないように、短手方向の長さよりも若干短い大きさで、第3導電部材17が形成されている。この第3導電部材17は、放熱部材として有効に機能する。
【0079】
例えば、第1〜第3導電部材11、12、17は、基材側から銅(7μm)−Ni(6μm)−Au(0.3μm)の積層順序で、めっきによる積層膜として形成されている。
【0080】
発光素子2は、InGaAlN系の窒化物半導体層の積層体によって形成され、発光波長が385nmであり、1mm×1mmのチップサイズ、300μm(単位)のチップ高さを有する。一対の電極は、発光素子の上下面にそれぞれ形成されており、フェイスアップで基材1に搭載されている。
【0081】
発光素子2は、第2導電部材12上に、例えば、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト等によってダイボンドされており、発光素子2の裏面側の電極と電気的に接続されている。また、第1導電部材11とは、窪み部13内の凸部14上面において、発光素子の表面側に形成された2つのパッド電極によって金線19によるワイヤボンドにより電気的に接続されている。
【0082】
第2導電部材12は、発光素子2を載置する部位以外に、窪み部13内に延長されており、その上に保護素子18が搭載され、保護素子18と電気的に接続されている。なお、この保護素子18は、表面側の電極が第1導電部材11と電気的に接続されている。
【0083】
基材1の窪み部13内は中空で、基材の最表面がガラス板又はガラスレンズ(図示せず)で覆われている。あるいは、例えば、エポキシ樹脂等からなる透光性部材50で覆われていてもよい。
【0084】
このような発光装置10は、非常に小型化されているために、挟持する応力を緩和させ、確実に発光装置を把持するために、対向するに側面のみならず、通常、図3(a)及び(b)に示すようなジグ50によって、その基材1の対角線状の2つの角をそれぞれ構成する2つの側面を把持する。
【0085】
よって、このような側面のジグ50による把持によっても、短手方向の側面1c、1eにおいて、テーパー部1ct、1etを有していても、裏面側の垂直部1cs、1ecによって、確実に把持することができる。特に、短手方向の側面において、凹部16があっても、その凹部16の両側には、基材1の裏面が配置しているため(図3(c)の丸部参照)、ジグ50による短手方向の押さえを確保することができ、適切な応力で把持することが可能となる。
【0086】
実施の形態2
この発光装置20は、図4(a)〜(e)に示すように、基材29と、発光素子2とを備える。
【0087】
基材29は、窒化アルミナによって形成されており、外形は、実施の形態1とほぼ同様である。
【0088】
基材29の短手方向の側面29c、29eには、それぞれ、裏面側に垂直部29cs、29es及び上面側にテーパー部29ct、29etを備えている。垂直部29cs、29esは、裏面側から、例えば、0.5mm程度の高さHsを有しており、基材29の表裏面に対して略垂直である。テーパー部29ct、29etは、上側面から、例えば、0.6mm程度の高さHtを有しており、裏面の法線方向から6°程度内側に傾斜したテーパー形状となっている。
【0089】
基材29の表面29aには、発光素子2を載置するための窪み部23(深さDk=0.6mm)を備える。この窪み部23内であって、発光素子2から長手方向に偏った両側に1つづつ、合計2つのスルーホール25(直径=0.5mm)が形成されている。また、窪み部23内には、発光素子2が載置されている位置よりも上面側に高くなる凸部24を備えており、凸部24上に保護素子18が載置されている。
【0090】
また、基材29の裏面29bには、2つの凹部26が形成されている。凹部26は、基材29の全側面のうちの一側面29c又は29eにのみに、それぞれ至っており、凹部26の短手方向の両側は、基材29の他の裏面29bとほぼ面一となっている。なお、凹部26の内部には、それぞれスルーホール25が配置されている。凹部26の長さは、凹部26の長さは、1.5mm、幅woは1.5mm、深さDoは0.1mmである。
【0091】
基材29の表面29aであって、窪み部23内に、第1導電部材21としてカソード電極が配置されており、スルーホール25近傍及びその内部を通り、凹部26から裏面29bの角部に至っている。同様に、窪み部23内には、第2導電部材22としてアノード電極が配置されており、スルーホール25近傍及びその内部を通り、凹部26から裏面29bの角部(長手方向の側面29dと短手方向の側面29c又は側面29e、長手方向の側面29fと短手方向の側面29c又は側面29e)に至っている。
【0092】
基材29の裏面29bには、凹部26間であって、発光素子2の直下に相当する部分に、第1及び第2導電部材21、22と短絡しないように、短手方向と略同様の長さの第3導電部材27が形成されている。
【0093】
また、発光素子2は、一方の電極が裏面側に形成されているタイプであって、発光素子2の上面の電極の2箇所から第1導電部材21にワイヤ19が接続され、発光素子2の下面の電極が、第2導電部材22と張り合わせ接続されている。
【0094】
これ以外の構成は、実質的に実施の形態1と同様である。
【0095】
このような発光装置においても、実施の形態1の発光装置と同様に、ジグによる把持を適度な応力で確実に把持することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の発光装置は、照明用光源、各種インジケーター用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源、液晶のバックライト用光源、信号機、車載部品、看板用チャンネルレターなど、種々の光源に利用することができるとともに、特に、超小型化、超高密度に配置して、より明度が要求される光源に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1、29 基材
1a、29a 表面
1b、29b 裏面
1c、1e、29c、29e 短手方向の側面
1d、1f、29d、29f 長手方向の側面
1cs、1es、29cs、29es 垂直部
1ct、1et、29ct、29et テーパー部
2 発光素子
10、20 発光装置
11、21 第1導電部材
12、22 第2導電部材
13、23 窪み部
14、24 凸部
15、25 スルーホール
16、26 凹部
17、27 第3導電部材
18 保護素子
19 金線
50 透光性部材
60 ジグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に形成された窪み部と、
対向する少なくとも一対の側面と、
裏面に形成され、前記対向する一対の側面のいずれか一方の側面に至る凹部と、
前記窪み部内から前記裏面の凹部内に貫通するスルーホールとを備える基材及び
前記窪み部に載置された半導体発光素子を含む発光装置であって、
前記基材の一対の側面は、裏面側に垂直部及び上面側にテーパー部を備えており、
前記垂直部は、上端が前記窪み部の底面より上面側に配置され、
前記垂直部の高さHs及び前記凹部の深さDoが、Hs−Do>Doを満たすことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記基材が、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面を備えており、かつ前記基材の一対の側面は短手方向に延長して対向する側面である請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記凹部は、裏面側の幅woが前記垂直部の裏面側の幅Wよりも小さい請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記凹部が、基材裏面において、短手方向の二方向及び長手方向の一方向に包囲され、短手方向の側面に開放されて配置されてなる請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記凹部の深さDoは、前記窪み部の深さDkの1/5以下である請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記垂直部の高さHsは、前記凹部の深さDoの4倍以上である請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記垂直部の高さHsは、基材の高さHの1/2以上である請求項1に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−74056(P2013−74056A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211408(P2011−211408)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】