説明

発光装置

【課題】より小型化された発光装置を、安定的にかつ確実に実装基板に実装することができる発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体発光素子2と、半導体発光素子2と電気的に接続された第1及び第2導電部材11、12を備え、半導体発光素子2を支持する基材1とを含み、基材1が、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面1c、1d、1e、1fを有し、記半導体発光素子1支持面に対する裏面1bであって長手方向に延長して対向する少なくとも一方の側面に、少なくとも1つの凹部16を備え、凹部16は、基材1の半導体発光素子2支持面から裏面1bに貫通するスルーホール15を有する発光装置であって、凹部16は、長手方向に延長して対向する一対の側面に跨って配置されてなる発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、より詳細には、高密度配列を可能とする形状の安定した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のLEDの発達により、白色LEDが、白熱電球及びハロゲンランプに比べて長寿命化及び小型化等を図ることが可能であるため、用途がますます広がり、その用途に応じてさらなる長寿命化及び小型化等が必要とされている。
そのために、白色LEDを単独で又は高密度/高集積に配列してモジュール化し、所望の明度を実現し、かつ適切な放熱性を備えるように種々の工夫がなされているが、特に、高出力及び高輝度のLEDを高密度/高集積配列したモジュールではより一層の小型化が求められている。
【0003】
従来から、放熱性を考慮して高密度/高集積を可能とする種々の形態の発光装置が提案されている。例えば、基板表面にLEDチップを搭載し、この基板裏面に絶縁性が確保された凸部を設け、LEDの電極に接続された端子が、凸部以外の基板裏面に配置されてなる発光装置が提案されている(特許文献1)。そして、この発光装置では、基板裏面に形成された凸部でない領域に、基板表面からのビア導体を設けて、裏面へ端子を引き回している。
このような発光装置では、発光装置の基板裏面の凸部が実装基板表面で固定され、ビア導体で引き回された端子が実装基板上の電極パッドに接続され、凸部と実装基板との固定によって放熱性を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−523578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の発光装置を、基板裏面の凸部で実装基板に安定に固定し、かつ放熱性を確保するためには、凸部にある程度の幅が必要となり、このために発光装置のより一層の小型化を実現することができない。
つまり、さらなる小型化が求められている状況下、発光装置自体、特に、基板及びその裏面に形成された凸部自体がより小型化すると、実装基板への実装の際に、基板裏面の凸部のみを実装基板に固定させても、発光装置が安定せず、実装の不具合が発生するとともに、放熱性の確保が図れないなどの問題が生じる。特に、さらなる小型化のために、発光装置自体がLEDの大きさに近づくに従って、このような実装の不具合が顕著となる。
【0006】
また、高性能化を図るために、発光装置に保護素子等を並存させる場合には、両者の載置領域を確保するために、これら素子の大きさに依存して、基板面積が大型化せざるを得ず、やはり発光装置自体のより一層の小型化を実現することができない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、より小型化を図ることにより、高密度/高集積配置をも実現することができるととともに、安定的にかつ確実に実装基板に実装することができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は以下の発明を含む。
(1)半導体発光素子と、
該半導体発光素子と電気的に接続された第1及び第2導電部材を備え、前記半導体発光素子を支持する基材とを含み、
前記基材が、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面を有し、
前記半導体発光素子支持面に対する裏面であって前記長手方向に延長して対向する少なくとも一方の側面に、少なくとも1つの凹部を備え、該凹部は、前記基材の半導体発光素子支持面から裏面に貫通するスルーホールを有する発光装置であって、
前記凹部は、長手方向に延長して対向する一対の側面に跨って配置されてなる発光装置。
【0008】
(2)前記基材が、短手方向に延長する側面に第1及び第2導電部材を備える上記の発光装置。
(3)前記基材の裏面に、第1及び第2導電部材が露出してなる上記いずれかの発光装置。
(4)前記基材の裏面であって、第1及び第2導電部材の間に、第3導電部材が配置してなる上記いずれかの発光装置。
(5)前記半導体発光素子の底面が前記第1導電部材に電気的に接続され、前記半導体発光素子の上面が第2導電部材と電気的に接続されてなる上記いずれかの発光装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光装置によれば、より小型化を図ることにより、高密度/高集積配置をも実現することができ、さらに、ぐらつきを防止して、より安定的にかつ確実に実装基板に実装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の発光装置を示す短手方向の左側面図(a)、平面図(b)、b−b’線断面図(c)、右側面図(d)、長手方向のe−e’線断面図(e)、長手方向の側面図(f)、裏面図(g)である。ただし、図1の断面図においては、一部導電部材を省略している。
【図2】本発明の別の発光装置を示す裏面図である。
【図3】本発明のさらに別の発光装置を示す裏面図である。
【図4】本発明のさらに別の発光装置を示す裏面図である。
【図5】本発明のさらに別の発光装置を示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の発光装置は、少なくとも、半導体発光素子(以下、「発光素子」と称する)と、この発光素子を支持する基材とを備える。
【0012】
[半導体発光素子]
発光素子は、いわゆる発光ダイオードと称される素子であればどのようなものでもよい。例えば、基板上に、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体によって、発光層を含む積層構造が形成されたものが挙げられる。
基板としては、C面、A面、R面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgA124)のような絶縁性基板;炭化珪素(6H、4H、3C)、シリコン、ZnS、ZnO、GaAs、ダイヤモンド;ニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウム等の酸化物基板、窒化物半導体基板(GaN、AlN等)等が挙げられる。
【0013】
半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合、PN接合などのホモ構造、ヘテロ結合あるいはダブルヘテロ結合のものが挙げられる。
発光素子を構成する各半導体層には、Si、Ge等のドナー不純物及び/又はZn、Mg等のアクセプター不純物がドープされていてもよい。
発光層は、量子効果が生ずる薄膜に形成した単一量子井戸構造、多重量子井戸構造としてもよい。
発光素子の発光波長は、半導体の材料、混晶比、発光層のInGaNのIn含有量、発光層にドープする不純物の種類を変化させるなどによって、紫外領域から赤色まで変化させることができる。
このような発光素子は、フリップチップ実装(フェイスダウン)、フェイスアップ実装のいずれに対応し得る積層構造を有していてもよい。例えば、発光素子の表面側に、一対の電極が配置しているものであってもよいし、発光素子の表裏面に、一対の電極がそれぞれ配置しているものであってもよい。
【0014】
発光素子は、その大きさ及び形状等が特に限定されるものではなく、用いる材料、目的とする発光波長、出力及び特性等によって適宜調整することができる。例えば、150μm×150μm〜5mm×5mm程度の平面形状であって、厚みが50μm〜500μm程度の小型の発光素子が挙げられる。
発光素子は、後述する基材(例えば、第1又は第2導電部材)上に支持されている。支持のためには、通常、接合部材が用いられる。例えば、青及び緑発光を有し、絶縁基板上に窒化物半導体を成長させた発光素子の場合には、エポキシ樹脂、シリコーン等を用いることができる。また、発光素子からの光や熱による劣化を考慮して、発光素子裏面にAlメッキをあらかじめ施し、樹脂を使用せずに、Au−Sn共晶などの半田、低融点金属等のろう材等を用いることもできる。さらに、GaAs等からなり、赤色発光を有する発光素子のように、両面に電極が形成された発光素子の場合には、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト等によって支持されていてもよい。
なお、本発明の発光装置では、発光素子は1つのみ搭載されていることが好ましいが、2つ以上搭載されていてもよい。
【0015】
[基材]
基材は、上述した発光素子を支持するものであり、発光素子をその中央又は中央付近で支持することが好ましい(例えば、図1(b)の発光素子2参照)。
基材を構成する材料は、特に限定されず、発光素子から発生する熱を効果的に放熱させることができる材料であることが好ましい。
例えば、熱伝導率が10W/(m・K)以上であることが適しており、20W/(m・K)以上であることが好ましく、100W/(m・K)以上であることがより好ましく、200W/(m・K)以上であることがさらに好ましい。
このような材料としては、例えば、Si、SiC等の半導体材料、Al23、AlN等のセラミック材料、樹脂(例えば、無機フィラー等を含有してもよい)、金属板等が挙げられる。なかでも、熱伝導率の高さ、加工性等を考慮すると、AlN、Si等が好ましい。なお、基材の構成材料として、導電性又は半導体等の特性を有する材料を用いる場合は、基材外表面又はその内部の一部において、絶縁性を確保するために、酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁材料を使用してもよい。
【0016】
基材の形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。例えば、平面視(発光素子の支持面側、つまり表面側)において、円又は楕円に近似する形状、四角形等の多角形、これら多角形に近似する形状(角が丸められた形状など、以下同じ)などが挙げられる。特に、長方形又はこれに近似する形状が挙げられる(図1(b)参照)。その大きさは、近年の発光装置の小型化を考慮すると、例えば、1.0mm〜8.0mm×1.5mm〜50mm程度が挙げられる。平面視が長方形の場合には、その長さを、縦:横=1:1.2〜10程度とすることが適しており、1:1.2〜5程度、さらに1:1.5〜2程度とすることが好ましい。その厚みは、例えば、発光素子の3倍〜10倍程度が適しており、具体的には、0.5mm〜5mm程度の小型のものが挙げられ、0.5mm〜3mm程度、0.8mm〜1.5mm程度が適している。
【0017】
基材の立体形状は、基本的には(上下面及び側面側からの投影形状として)、上述した平面視形状の柱状のものが適しており、直方体のものが好ましい。つまり、基材は、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面を有する形状が適している。ここで、長手方向に延長して対向する一対の側面(以下、「長手方向の側面」と記載することがある)は、例えば、図1(b)における側面1dと側面1fを指し、短手方向に延長して対向する一対の側面(以下、「短手方向の側面」と記載することがある)は、例えば、図1(b)における側面1cと側面1eを指す。基材の側面は、各対において、すくなくともその一部は互いに平行に配置されていることが好ましく、その一部において、テーパ又は逆テーパ部位を有していてもよいし(例えば、図1(d)の側面1c及び側面1e参照)、凹凸等が形成されていてもよい。特に、下側面はほぼ基材の表裏面に対して垂直とし、上側面において内側に傾斜するようなテーパ部位を有していることが好ましい。このような形状とすることにより、基材を金型によって形成する場合にはその取り出しを容易にすることができる。また、発光装置を実装基板に搭載する際に、側面方向からの発光素子の把持を確実に行うことができる。
【0018】
ただし、基材の裏面(発光素子が支持された面の反対面)において、基材の長手方向の少なくとも一方の側面に至る凹部を少なくとも1つ備えている(図1(f)(g)の凹部16参照)。言い換えると、基材の裏面であって、(a)長手方向の一側面において又は(b)長手方向の一対の側面に跨る凹部を有する。この凹部の形状は、特に限定されず、基本的に、球又は卵形の一部を欠いた形状、立方体又は直方体等の多角形柱又はこれに近似する形状などが挙げられる。なかでも、立方体又は直方体が好ましい。従って、基材の裏面から見て、好ましくは(a)基材裏面が、凹部に対して、長手方向の二方及び短手方向の一方において配置し、かつ長手方向の一方において開放するように配置されているか(図4(g)の凹部16参照)、あるいは、(b)基材裏面が、凹部に対して、長手方向の二方にのみ配置し、かつ短手方向の二方において開放するように配置されている(図1の凹部16参照)。凹部の大きさは特に限定されるものではなく、基材自体の大きさ、基材裏面の実装基板への安定性等によって、適宜調整することができる。
このような基材裏面の凹部の形状及び配置によって、小型化された発光装置であっても、発光装置の裏面を利用して、従来のような不安定さを解消して、最大限に安定して実装基板へ固定することができる。
【0019】
基材が後述するスルーホールを有する場合を考慮すると、スルーホールの直径よりも短手又は長手方向の幅を有していればよい。具体的には、基材の一辺の5〜80%程度の幅、5〜50%程度の幅、5から30%程度の幅で側面に対して開放されていることが好ましい。深さは、特に限定されるものではないが、基材の強度等を考慮して、基材の厚さの50%程度以下であることが適しており、40%程度以下が好ましく、30%程度以下が好ましく、20%程度以下が好ましく、5%以上であればよく、8%以上であることが好ましい。なお、この凹部を構成する基材の壁はテーパ又は逆テーパを有していてもよいし、若干の凹凸又は段差があってもよい。
【0020】
凹部は、上述した形状を確保することができるかぎり、基材裏面のどの位置にあってもよい。例えば、上述した(a)の場合には、長手方向のいずれか及び/又は短手方向のいずれかに偏っていてもよいし(図4の凹部46参照)、長手方向/短手方向の中央部分に配置されていてもよい。(b)の場合には、長手方向のいずれかに偏っていてもよいし(図1(g)の凹部16参照)、長手方向の中央部分に配置されていてもよい(図5の凹部56参照)。
また、凹部は、裏面において対向する辺に対して2つ配置されていてもよい。なお、凹部が2つ配置されている場合には、いずれか一方の凹部にのみスルーホールが形成されていればよく、双方の凹部にスルーホールが形成されていてもよい。
【0021】
基材には、後述する第1又は第2導電部材を、その表面から裏面に通すためのスルーホールを1以上有している(図1(a)の15参照)。スルーホールの位置は、特に限定されるものではないが、スルーホールの裏面側は、上述した凹部内に配置されている。スルーホールを通して導電部材等が埋設されるなどの場合に、その埋設物による裏面側への突出の影響を回避し、実装基板と接する基材裏面を平坦に維持することができるからである。
【0022】
基材は、その表面において発光素子を支持する部位に窪みを有していてもよい(図1(e)の13参照)。この窪みの大きさは、発光素子よりも大きく、基材よりも小さければよい。これにより、発光素子を基材表面に搭載した場合に、発光装置上面の平坦性を確保することができる。また、発光素子からの光を上面に配向することができる。この場合、発光素子が配置される部位の両側において、その窪み面よりも高さが高い凸部(図1(e)の14参照)を形成していてもよい。これにより、平坦性を確保しながら、薄膜状の基材を補強することができるとともに、より発光素子からの光の配向に寄与させることができる。さらに、基材に上述したスルーホールが形成される場合には、スルーホールと発光素子との間に凸部を配置することにより、光学的な遮蔽性を確保することができ、発光素子からの光が直接スルーホールに当たることを回避できる。
【0023】
基材には、後述する第1及び第2導電部材以外に、発光素子を載置するため、発光素子からの光を効果的に反射させるため、発光素子の放熱性を確保するためなどの種々の目的のために、第1及び第2導電部材と同様の材料によって形成された導電部材を、その外表面(好ましくは裏面)又は内部に、1以上備えていてもよい(例えば、図1(e)の17参照)。この場合の形状及び位置は特に限定されないが、特に、放熱性を確保するためには、発光素子の直下を含む領域に形成することが好ましい。
基材は、後述する第1及び第2導電部材等とともに、モールディング、導電部材及びセラミック材料等が積層されたグリーンシートの焼結等の公知の方法によって形成することができる。
【0024】
(第1及び第2導電部材)
基材は、その表面から内部に至る第1及び第2導電部材を備える。第1及び第2導電部材は、それぞれ、発光素子の一対の電極とそれぞれ電気的に接続されている。
第1及び第2導電部材を構成する材料は、特に限定されず、電極又は端子として機能し得る導電性を有しているものであればよく、発光素子から発生する熱を効果的に放熱させることができるものであることが好ましい。
このような材料としては、例えば、Ni、Ti、Au、Pt、Pd、W、Co、Au、Mn、V、Cr、Zr、Rh、Cu、Al、Mg、Bi、Sn、Ir、Ga、Nd及びRe等の金属;鉄−ニッケル合金、燐青銅、鉄入り銅等の合金;これらの金属又は合金の表面に、銀、アルミニウム、銅、金等の金属メッキ膜が施こされたもの等が挙げられる。さらに、タングステン、モリブデン等の高融点金属を樹脂バインダーに含有させたペースト状の導電性材料であってもよい。これらの膜は、単層であってもよいし、材料等の異なる積層膜であってもよい。なかでも、薄膜状に製造しやすいめっき膜とするために、例えば、基材側から順に銅−Ni−Au、銅−Ni−銀等の積層膜とすることが好ましい。第1及び第2導電部材の厚みは、基材外表面に配置されている部位においては、例えば、1〜100μm程度が挙げられる。
【0025】
この第1及び第2導電部材は、発光素子の電極と電気的な接続を図る観点から、発光素子を支持する基材表面に露出していることが必要であり、さらに発光装置を実装基板に実装するために、基材裏面にまで至っていることが好ましい。この場合、第1及び第2導電部材のいずれか一方又は双方が、基材の表面から側面を通って裏面に及んでいてもよいし(例えば、図1(a)及び(d)の第1導電部材11及び第2導電部材12参照)、基材の表面から裏面に貫通するスルーホールを通して、基材の表面から裏面に及んでいてもよい。なお、基材にスルーホールが形成され、そのスルーホール内を導電部材が通る場合には、通常、スルーホール内を通る導電部材は、発光素子のアノード電極とカソード電極のいずれでもよい。
【0026】
第1及び第2導電部材は、基材裏面においては、少なくともその一部が、上述した基材裏面に形成された凹部以外の裏面に配置されていることが適しており、特に、基材の凹部の長手方向の両側に、第1及び第2導電部材がそれぞれ配置していることが好ましい。
また、基材の発光素子支持面において窪みを有し、かつ、窪み内に凸部が形成されている場合には、凸部表面にも、第1及び第2導電部材が配置していることが好ましい。これにより、凸部表面において、発光素子との電気的な接続を容易に行うことができる。
【0027】
[透光性部材]
本発明の発光装置は、発光素子、任意にワイヤ等を保護するために透光性部材が発光素子等を被覆していることが好ましい。例えば、基材が窪んだ形状の発光素子載置部を有する場合には、窪んだ形状の部位に、さらに基材表面から盛り上がるように、透光性部材を配置してもよい(図1(e)の透光性部材50参照)。
透光性部材は、外力、水分等から発光素子を保護し、発光素子と導電部材との接続を確保するワイヤ等を保護し得る材料によって形成することが好ましい。
透光性部材としては、シリコーン樹脂、ユリア樹脂脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂又はこれらの組み合わせ等の耐候性に優れた透明樹脂又は硝子等が挙げられる。特に、透明樹脂は、工程中あるいは保管中に透光性被覆部材内に水分が含まれた場合でも、100℃程度で14時間程度以上のベーキングを行うことによって、樹脂内に含有された水分を外気へ逃がすことができる。従って、水蒸気爆発、発光素子と後述する封止部材との剥がれを防止することができる。
ここで、透光性とは、発光素子から出射された光を70%程度以上、80%程度以上、90%程度以上、95%程度以上透過させる性質を意味する。
【0028】
透光性部材には、拡散剤又は蛍光物質を含有させてもよい。拡散剤は、光を拡散させるものであり、発光素子からの指向性を緩和させ、視野角を増大させることができる。蛍光物質は、発光素子からの光を変換させるものであり、発光素子から外部へ出射される光の波長を変換することができる。発光素子からの光がエネルギーの高い短波長の可視光の場合、有機蛍光物質であるペリレン系誘導体、ZnCdS:Cu、YAG:Ce、Eu及び/又はCrで賦活された窒素含有CaO−Al23−SiO2などの無機蛍光物質等の公知のものが種々用いられる。本発明において、白色光を得る場合、特にYAG:Ce蛍光物質を利用すると、その含有量によって青色発光素子からの光と、その光を一部吸収して補色となる黄色系が発光可能となり白色系が比較的簡単に信頼性よく形成できる。同様に、Eu及び/又はCrで賦活された窒素含有CaO−Al23−SiO2蛍光物質を利用した場合は、その含有量によって青色発光素子からの光と、その光を一部吸収して補色となる赤色系が発光可能であり白色系が比較的簡単に信頼性よく形成できる。
【0029】
[保護素子]
本発明の発光装置には、さらに保護素子が搭載されていることが好ましい(例えば、図1(b)の保護素子18参照)。保護素子の種類は、特に限定されるものではなく、発光装置に搭載される公知のもののいずれでもよい。例えば、発光素子に印加される逆方向の電圧を短絡したり、発光素子の動作電圧より高い所定の電圧以上の順方向電圧を短絡したりさせることができる素子、つまり、過熱、過電圧、過電流、保護回路、静電保護素子等が挙げられる。具体的には、ツェナーダイオード、トランジスタのダイオード等が利用できる。保護素子は、通常、発光素子よりも小さいサイズのものが好適である。
本発明の発光装置では、保護素子は、発光素子から出射される光の照射範囲外に載置されていることが好ましい。これにより、保護素子における光吸収を抑制できる。保護素子は、通常、1つのみが搭載されていているが、2つ以上搭載されていてもよい。
【0030】
以下、本発明の発光装置を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1
この発光装置10は、図1(a)〜(g)に示すように、基材1と、発光素子2とを備える。
基材1は、窒化アルミナによって形成されており、長手方向の外形が5mm程度、短手方向の外形が3mm程度の大きさで、その厚みが1mm程度の、基本外形が直方体形状として形成されている。
基材1の表面1aの中央付近には、発光素子2を載置する窪み13を備える。その窪み13の中央付近を挟むように、短手方向に平行に、2本の凸部14が形成されている。この凸部14の高さは、窪み13の深さよりも若干低く、幅は0.22mm程度である。この窪み13内であって、一方の凸部14に、スルーホール15が1つ形成されている。
また、基材1の裏面1bには、凹部16が形成されている。凹部16は、短手方向に平行に、基材1の長手方向の一対の側面1d、1fに跨って、つまり、長手方向の側面1d、1fの双方で開放されて、ストライプ状に配置されている。凹部16の内部、凹部の短手方向の略中央には、スルーホール15が配置されている。このように、凹部16が、基材1の長手方向の一対の側面1d、1fに跨って配置されることにより、発光装置の角がかけることなく、基材に半導体発光素子を実装する際にぐらついて傾くことなく安定して実装できるとともに、基材の最表面にガラス板またはガラスレンズを設ける際にぐらつきを防止して安定して設けることができるとともに、発光装置を実装した場合のぐらつきも防止でき、安定した配光を得ることができる。
【0031】
基材1の表面1aであって、窪み13内に、第1導電部材11としてカソード電極が配置されている。第1導電部材11は、窪み13内の発光素子2載置部位以外の領域に延長しており、2つの凸部14の上面、スルーホール15近傍及びその内部に至る。
第1導電部材11は、スルーホール15を通って、基材1の裏面1bに貫通しており、スルーホール15から、その両側に向かって、基材1の短手方向に略平行に、基材1の裏面1bに引き回されている。スルーホール15から延長したこの第1導電部材11の一方は、基材1の裏面1bにおいて分岐して、基材1の長手方向の側面1d側に、他方は基材1の短手方向の側面側1cに至っている。スルーホール15から延長した第1導電部材11の他方は、基材1の他の長手方向の側面1f側に至っている。
【0032】
また、基材1の表面1aであって、窪み13内の発光素子2載置部位に、第2導電部材12としてアノード電極が、第1導電部材11と互いに電気的に絶縁されて配置されている。
第2導電部材12は、基板1の窪み13内から、長手方向の一側面1dに沿って延長し、さらに短手方向の側面1eの中央部分を高さ方向に引き回され、裏面1bに至っている。また、他の短手方向の側面1cでは、その端部近傍を高さ方向に引き回され、裏面1bに至っている。
なお、基材1の裏面1bには、凹部16と短手方向の側面1e側の第2導電部材12との間であって、発光素子2の直下に相当する部分に、これらの第1及び第2導電部材11、12と短絡しないように、短手方向の長さよりも若干短い大きさで、第3導電部材17が形成されている。この第3導電部材17は、放熱部材として有効に機能する。
例えば、第1〜第3導電部材11、12、17は、基材側から銅(7μm)−Ni(6μm)−Au(0.3μm)の積層順序で、めっきによる積層膜として形成されている。
【0033】
基材1の短手方向の下側面(例えば、下から40%程度の高さ)は、基材1の表裏面に対して略垂直であり、上側面(例えば、上から60%程度の高さ)は、5°程度内側に傾斜したテーパ形状となっている。これによって、発光装置を実装基板に搭載する際に、発光素子2の側面方向からの把持を確実に行うことができる。
【0034】
発光素子2は、InGaAlN系の窒化物半導体層の積層体によって形成され、発光波長が385nmであり、1mm×1mmのチップサイズ、300μm(単位)のチップ高さを有する。一対の電極は、発光素子の上下面にそれぞれ形成されており、フェイスアップで基材1に搭載されている。
発光素子2は、第2導電部材12上に、例えば、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト等によってダイボンドされており、発光素子2の裏面側の電極と電気的に接続されている。また、第1導電部材11とは、窪み部13内の凸部14上面において、発光素子2の表面側に形成された2つのパッド電極によって金線19によるワイヤボンドにより電気的に接続されている。
第2導電部材12は、発光素子2を載置する部位以外に、窪み部13内に延長されており、その上に保護素子18が搭載され、保護素子18と電気的に接続されている。なお、この保護素子18は、表面側の電極が第1導電部材11と電気的に接続されている。
基材1の窪み部13内は中空で、基材の最表面がガラス板又はガラスレンズ(図示せず)で覆われている。
あるいは、例えば、エポキシ樹脂等からなる透光性部材60で覆われていてもよい。
【0035】
実施の形態2
この発光装置は、図2に示すように、基材20の裏面20bにおける第1導電部材21及び第2導電部材22の配置が異なっている以外、実質的に実施の形態1の発光装置10と同様の構成を有する。
つまり、スルーホール15を通って、基材20の裏面20bに至る第1導電部材21は、スルーホール15から、その両側に向かって、基材20の短手方向に略平行に、基材20の裏面20bに引き回されている。スルーホール15から延長した第1導電部材21の一方は、基材20の裏面20bにおいて分岐して、基材20の長手方向の側面20d側に至っており、他方は基材20の短手方向の側面側20cに幅広で配置されている。
【0036】
また、第2導電部材21は、基材20の短手方向の側面20e側から、発光素子2の直下に相当する部位を通って、凹部16近傍まで、幅広で配置されている。
なお、第1導電部材21及び第2導電部材22の側面20c側の端部は、実施の形態1における側面1c側の端部のように、第1導電部材11及び第2導電部材12の双方が幅狭で配置されていてもよい。
また、第2導電部材22の側面20e側の端部は、実施の形態1における第2導電部材12のように、狭い幅で配置されていてもよい。
このような構成により、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0037】
実施の形態3
この発光装置は、図3に示すように、基材30の裏面30bにおける第1導電部材31及び第2導電部材32の配置が異なっている以外、実質的に実施の形態1の発光装置10と同様の構成を有する。
つまり、スルーホール15を通って、基材30の裏面30bに至る第1導電部材31は、スルーホール15から、その両側に向かって、基材30の短手方向に略平行に、基材30の裏面30bに引き回されている。スルーホール15から延長した第1導電部材31の一方は、基材30の裏面30bにおいて分岐して、基材30の長手方向の側面30d側に至っており、他方は基材30の短手方向の側面30c側に幅広で配置されている。
【0038】
第2導電部材31は、基材30の裏面30bにおいて、第1導電部材31の短手方向の側面20c側端部と同様に、幅広で配置されている。
基材30の裏面30bには、凹部36と短手方向の側面30e側の第2導電部材32との間であって、発光素子2の直下に相当する部分に、これらの第1及び第2導電部材31、32と短絡しないように、短手方向の長さよりも若干短い大きさで、第3導電部材37が形成されている。この第3導電部材37は、放熱部材として有効に機能する。
なお、第1導電部材31及び第2導電部材32の側面30c側の端部は、実施の形態1における側面1c側の端部のように、第1導電部材11及び第2導電部材12の双方が幅狭で配置されているか、あるいは、第2導電部材32の側面30e側の端部は、実施の形態1における第2導電部材12のように、狭い幅で配置されているかの、いずれかであってもよい。
このような構成により、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0039】
実施の形態4
この発光装置は、図5に示すように、基材50の裏面50bにおける凹部56の位置、スルーホール55の位置が長手方向の中央部分に移動しており、それにともなって、第1導電部材51及び第2導電部材52の裏面50bにおける形状及び配置が異なっている。
また、このような裏面50bにおける第1導電部材51及び第2導電部材52の形状及び配置の変更に伴って、発光素子2の支持面側においては、この裏面50bにおける配置に対応して、スルーホール55と発光素子2との位置が入れ替わり、かつ、凸部の一方(短手方向の側面に近い側の一方)が配置されてない以外、実質的に実施の形態1の発光装置10と同様の構成を有する。
なお、第1導電部材51及び第2導電部材52の側面50c側の端部は、実施の形態1における側面1c側の端部のように、第1導電部材11及び第2導電部材12の双方が幅狭で配置されていてもよい。
また、第2導電部材51の側面50e側の端部は、実施の形態1における第2導電部材12のように、狭い幅で配置されていてもよい。
このような構成により、実施の形態1と同様の効果に加えて、裏面において、第1導電部材及び第2導電部材による端子の面積を大きくとることができる。
【0040】
変形例
この発光装置は、図4に示すように、基材40の裏面40bにおける凹部46の形状が異なっている以外、実質的に実施の形態2の発光装置と同様の構成を有する。
つまり、凹部46は、長手方向の一対の側面40d、40fには跨らず、側面1d側でのみ開放されており、長手方向の2方向及び短手方向の1方向において、裏面40bに包囲されている。
なお、第1導電部材41及び第2導電部材42の側面40c側の端部は、実施の形態1における側面1c側の端部のように、第1導電部材11及び第2導電部材12の双方が幅狭で配置されていてもよい。
【0041】
また、第2導電部材41の側面40e側の端部は、実施の形態1における第2導電部材12のように、狭い幅で配置されていてもよい。
このような構成により、実装面積(設置面積)が増大するために、放熱性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の発光装置は、照明用光源、各種インジケーター用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源、液晶のバックライト用光源、信号機、車載部品、看板用チャンネルレターなど、種々の光源に利用することができるとともに、特に、超小型化、超高密度に配置して、より明度が要求される光源に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1、20、30、40、50 基材
1a 表面
1b、20b、30b、40b、50b 裏面
1c、1e、20c、20e、30c、30e、40c、40e、50c、50e 短手方向の側面
1d、1f、20d、30d、40d、50d 長手方向の側面
2 発光素子
10 発光装置
11、21、31、41、51 第1導電部材
12、22、32、42、52 第2導電部材
13 窪み部
14 凸部
15、55 スルーホール
16、46、56 凹部
17、37 第3導電部材
18 保護素子
19 金線
60 透光性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子と、
該半導体発光素子と電気的に接続された第1及び第2導電部材を備え、前記半導体発光素子を支持する基材とを含み、
前記基材が、長手方向及び短手方向にそれぞれ延長して対向する2対の側面を有し、
前記半導体発光素子支持面に対する裏面であって前記長手方向に延長して対向する少なくとも一方の側面に、少なくとも1つの凹部を備え、該凹部は、前記基材の半導体発光素子支持面から裏面に貫通するスルーホールを有する発光装置であって、
前記凹部は、長手方向に延長して対向する一対の側面に跨って配置されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記基材が、短手方向に延長する側面に第1及び第2導電部材を備える請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基材の裏面に、第1及び第2導電部材が露出してなる請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基材の裏面であって、第1及び第2導電部材の間に、第3導電部材が配置してなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記半導体発光素子の底面が前記第1導電部材に電気的に接続され、前記半導体発光素子の上面が第2導電部材と電気的に接続されてなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−74057(P2013−74057A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211410(P2011−211410)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】