説明

端末位置判定システム

【課題】例えば車両のイグニッションスイッチがオン状況下で端末が車外に放置されないようにするために、端末の車内外位置を判定することができる端末位置判定システムを提供する。
【解決手段】車両1のイグニッションスイッチがオン状態のとき、車外スピーカ21から車外音波信号Ssw1を送信するとともに、車内スピーカ22から車内音波信号Ssw2を送信する。キー機能を有する携帯電話2は、マイク27にてこれら音波信号Ssw1,Ssw2を受信する。そして、携帯電話2は、音波信号Ssw1,Ssw2の強さを比較し、自身が車外又は車内のどちらにあるのかを判定する。携帯電話2は、車外に持ち出されたことを確認すると、携帯電話2側において警告動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末の車内外位置を音波によって判定する端末位置判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの車両には、キー照合を電子キーによって無線により行う電子キーシステムが搭載されている。電子キーシステムには、車両からの通信を契機として狭域無線通信(通信距離:数m)によりID照合を実行するキー操作フリーシステムがある。キー操作フリーシステムでは、車両の送信機から送信されるリクエスト信号にて電子キーにID信号を送信させ、このID信号でID照合を行い、車外の電子キーとID照合が成立すれば、例えばドアロック施解錠が許可/実行され、車内の電子キーとID照合が成立すれば、エンジン始動が許可される。
【0003】
ところで、電子キーシステムでは、車両のイグニッションスイッチが電源オン(例えばACCオン又はIGオン)状況下での電子キーの車外持ち出しが防止されている(特許文献1等参照)。これは、イグニッションスイッチが電源オンのまま電子キーが車外に持ち出されてしまうと、電子キーを車外に放置したまま車両を走行させてしまう懸念があり、この場合、次回のエンジン始動操作が不可能となってしまうからである。電子キーが車内に存在するか否かの判定は、イグニッションスイッチが電源オンのとき、車内の電子キーとID照合が成立するか否かを確認することにより行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−106579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は、ユーザが常時携帯する携帯電話を車両の電子キーとして使用することが検討されている。携帯電話には、例えばFeliCa(登録商標)やブルートゥース(登録商標)が搭載されていることが多いので、これら通信インフラを使用してID照合を行うことになる。しかし、携帯電話を電子キーとしたシステムでは、携帯電話の車外持ち出しを監視する機能は検討されておらず、何らかの対策が必要であった。なお、この問題は、キー機能を持つ携帯電話に限らず、キー機能を持たない携帯電話や他端末の場合でも同様である。
【0006】
本発明の目的は、例えば車両のイグニッションスイッチがオン状況下で端末が車外に放置されないようにするために、端末の車内外位置を判定することができる端末位置判定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、集音手段を有した端末が、車内及び車外のどちらに位置するのかを判定する端末位置判定システムにおいて、車外に音波信号を出力する車外音波信号送信手段と、車内に音波信号を出力する車内音波信号送信手段と、前記音波信号を前記端末に受信させ、これら信号を基に、車両のイグニッションスイッチがオン時の前記端末の位置を判定する位置判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明の構成によれば、端末は、車内に存在するとき、車内音波信号送信手段からの音波信号を高い信号レベルで受信し、車外に存在するとき、車外音波信号送信手段からの音波信号を高い信号レベルで受信する。よって、端末においてこれら音波信号を入力したときの強さを比較すれば、端末の位置を判定することが可能となるので、端末が車内及び車外のどちらに位置するのかを判定することが可能となる。従って、例えば車両のイグニッションスイッチがオンのときの端末の車外持ち出しや、意図せぬ端末の車外への落下を検出することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記車両のイグニッションスイッチがオン状況下で前記端末が車外に位置するとき、その旨をユーザに警告する警告実行手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、車両のイグニッションスイッチがオン状態のまま端末が車外に持ち出してしまったことを、警告実行手段によってユーザに知らせることが可能となるので、端末を車内に戻すなどの行為をユーザに課すことが可能となる。
【0010】
本発明では、前記端末は、前記車両の電子キーとして機能するキー機能付き端末であることを要旨とする。この構成によれば、キー機能付き端末の車外置き忘れを監視することが可能となるので、例えばキー機能付き端末を車外に放置したままの車両の再発進を防止することが可能となる。よって、車両再発進後、例えば目的地に到着したときに手元にキーがない状況が回避されるので、その点で効果が高い。
【0011】
本発明では、前記車外音波信号送信手段は、前記車両が自身の存在を音によって周囲に通知する電子音発生装置が兼用されていることを要旨とする。この構成によれば、電子音発生装置を端末の位置判定の機能にも流用するので、車両に搭載する部品点数を少なく抑えることが可能となる。
【0012】
本発明では、前記車両に設けられ、前記車両のイグニッションスイッチがオンとなったとき、前記端末の位置判定の機能を起動させる起動要求信号を、前記車両から前記端末に無線により通知する起動要求通知手段と、前記端末に設けられ、前記車両から前記起動要求信号を受信すると、前記位置判定の機能を起動状態に切り換える状態切換手段とを備えたことを要旨とする。この構成によれば、端末の位置判定の機能を無駄に起動させずに済むので、端末の省電力化に効果が高くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば車両のイグニッションスイッチがオン状況下で端末が車外に放置されないようにするために、端末の車内外位置を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態における携帯電話車外持ち出し監視システムの構成図。
【図2】(a)〜(c)は、車両のイグニッションスイッチがオン状況下での携帯電話の車外持ち出しの様子を示す説明図。
【図3】携帯電話が受信する車外音波信号及び車内音波信号の変化を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した端末位置判定システムの一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、キー機能を有する携帯電話2との近距離無線通信(通信距離:10数cm)によってキー照合を行う近距離無線認証システム3が搭載されている。近距離無線通信は、車両1側からの電波を電力として携帯電話2が動作する双方向通信の近距離無線認証の一種であって、例えばNFC(Near Field Communication)が使用されている。なお、携帯電話2が端末(キー機能付き端末)に相当する。
【0016】
車両1には、携帯電話2とのID照合を行う照合ECU4と、車載電装品の電源を管理するボディECU5と、エンジン7を制御するエンジンECU6とが設けられ、これらが車内バス8を通じて接続されている。照合ECU4のメモリ(図示略)には、近距離無線認証で用いるIDコードが登録されている。照合ECU4には、車外の携帯電話2と近距離無線により通信する車外リーダライタ9と、車内の携帯電話2と近距離無線により通信する車内リーダライタ10とが接続されている。車外リーダライタ9及び車内リーダライタ10は、例えばLF(Low Frequency)帯やHF(High Frequency)帯の電波を送受する。また、車外リーダライタ9が例えばドアミラーやドアトリム等に配置され、車内リーダライタ10が車内のセンタコンソール等に配置されている。
【0017】
ボディECU5には、車両ドアの施解錠を行うときの駆動源となるドアロックモータ11と、車両1の電源状態を切り換える際に操作するプッシュモーメンタリ式のエンジンスイッチ12とが接続されている。また、ボディECU5には、車載アクセサリに繋がるACC(アクセサリ)リレー13と、走行系の電装品に繋がるIG(イグニッション)リレー14と、スタータモータに繋がるスタータリレー15とが接続されている。
【0018】
携帯電話2には、携帯電話2の各種動作を制御する端末制御部16が設けられている。端末制御部16には、携帯電話2における通話動作やインターネット通信動作等を制御する主制御部17や、携帯電話2を車両1の電子キーとして動作させるキー認証処理部18が設けられている。携帯電話2(キー認証処理部18)のメモリ(図示略)には、近距離無線認証で用いるIDコードが登録されている。携帯電話2のIDコードは、予め携帯電話2に登録されていてもよいし、サーバからネットワーク通信により取得してもよい。端末制御部16には、近距離無線通信に準ずる電波を送受する近距離通信部19が接続されている。
【0019】
車両ドアを携帯電話2で施解錠するときは、車外から携帯電話2を車外リーダライタ9にかざす操作をとる。車外リーダライタ9は、携帯電話2の電力となる駆動電波Sccを定期的に送信している。よって、キー認証処理部18は、車外リーダライタ9からの駆動電波Sccを受信すると起動し、車外リーダライタ9との車外近距離無線通信が確立すると、近距離無線認証用のID信号Sidを送信する。このID信号Sidには、携帯電話2に登録された近距離無線認証用のIDコードが含まれる。照合ECU4は、携帯電話2からID信号Sidを受信すると、自身に登録されたIDコードで車外近距離無線認証を行う。そして、車外近距離無線認証が成立すると、ボディECU5によるドアロック施解錠を実行させる。
【0020】
また、運転者が乗車したことが例えばカーテシスイッチ(図示略)により検出されると、車外リーダライタ9に代えて今度は車内リーダライタ10から駆動電波Sccの間欠送信が開始される。このとき、車内に持ち込まれた携帯電話2が車内リーダライタ10にかざされると、車内近距離無線認証が開始される。そして、車内近距離無線認証が成立すると、エンジンスイッチ12による電源遷移操作/エンジン始動操作が許可される。
【0021】
車両1には、車両1のイグニッションスイッチがオン状態下での携帯電話2の車外持ち出しを防止する携帯電話車外持ち出し監視システム20が設けられている。本例の携帯電話車外持ち出し監視システム20は、音波を利用して携帯電話2が車内及び車外のどちらにあるのかを判定し、イグニッションスイッチがオンであるにもかかわらず、携帯電話2が車外に持ち出されたことを確認すると、車外持ち出し警告をユーザに行うものである。また、イグニッションスイッチがオンとは、例えばACCリレー13やIGリレー14がオンになった状態のことを言う。なお、携帯電話車外持ち出し監視システム20が端末位置判定システムに相当する。
【0022】
この場合、車両1には、車外に音波信号(以降、車外音波信号Ssw1と記す)を送信する車外スピーカ21と、車内に音波信号(以降、車内音波信号Ssw2と記す)を送信する車内スピーカ22とが設けられている。車外スピーカ21は、例えば車両1がハイブリッド車の場合、自車の存在を音によって周囲に通知する電子音発生装置が使用されている。また、車内スピーカ22は、車内に設置された既存のオーディオスピーカが使用されている。なお、車外スピーカ21が車外音波信号送信手段を構成し、車内スピーカ22が車内音波信号送信手段を構成する。
【0023】
音波信号Ssw1,Ssw2は、人が聞きとることのできる可聴音や、人が聞き取ることのできない超音波のどちらでもよい。また、音波信号Ssw1,Ssw2は、これらが混信しないようにするために、異なる周波数に設定されている。車外音波信号Ssw1は、車両1の周囲全域に行き渡るエリアで形成される。また、車内音波信号Ssw2は、車内全域に行き渡るエリアで形成される。
【0024】
車両1には、車外スピーカ21及び車内スピーカ22の動作を管理するスピーカ制御部23が設けられている。スピーカ制御部23は、ACCリレー13やIGリレー14からオン信号(イグニッションオン信号)を入力すると、スピーカ21,22から音波信号Ssw1,Ssw2を送信させる。音波信号Ssw1,Ssw2は、イグニッションオン中、常時送信されてもよいし、例えばドア開閉や窓開閉などの携帯電話2が車外に持ち出される可能性が発生したときに送信を開始してもよい。なお、スピーカ制御部23が車外音波信号送信手段及び車内音波信号送信手段を構成する。
【0025】
車両1と携帯電話2とは、例えばブルートゥース等の狭域無線通信によって双方向通信が可能となっている。この場合、車両1には、車両1側において狭域通信を行う狭域無線通信部24が設けられ、これがボディECU5に接続されている。また、携帯電話2にも、同様の狭域無線通信部25が設けられ、これが端末制御部16に接続されている。
【0026】
ボディECU5には、例えばイグニッションスイッチがオンとなったときに、携帯電話2の車外持ち出し監視機能を起動させる起動要求通知部26が設けられている。起動要求通知部26は、例えばイグニッションスイッチがオンとなったことを確認すると、狭域無線通信部24から起動要求信号Sonを送信させる。起動要求信号Sonは、例えばブルートゥース通信に準ずる電波であって、携帯電話2を特定するIDや、携帯電話2の車外持ち出し監視機能を開始させる指令などを含む。なお、起動要求通知部26が起動要求通知手段に相当する。
【0027】
携帯電話2には、各スピーカ21,22から出力された音波信号Ssw1,Ssw2を集音するマイク27が設けられている。マイク27は、携帯電話2での通話時に音を集音するマイクであって、携帯電話2の通話機能と、携帯電話2の車外持ち出し監視機能とで共用されている。マイク27は、集音した音波データDswを端末制御部16に出力する。マイク27は、携帯電話2が車両1から起動要求信号Sonを受信すると、停止状態から起動状態に切り換わる。音波データDswには、車外音波信号Ssw1に準ずる車外音波データDsw1と、車内音波信号Ssw2に準ずる車内音波データDsw2とがある。なお、マイク27が集音手段に相当する。
【0028】
端末制御部16には、車両1から送信された起動要求信号Sonを基に、携帯電話2の車外持ち出し監視機能を起動させる状態切換部28が設けられている。状態切換部28は、起動要求信号Sonを狭域無線通信部25で受信すると、起動要求信号Sonの指示により動いて、携帯電話2の車外持ち出し監視機能を起動させる。携帯電話2の車外持ち出し監視機能とは、例えばマイク27や、後述する各種機能部のことを言う。なお、状態切換部28が状態切換手段に相当する。
【0029】
端末制御部16には、マイク27によって得られた音波データDsw1,Dsw2を取得する音波信号取得部29が設けられている。音波信号取得部29は、音波データDswを取得した際、音波データDswの周波数を基に、音波データDswが車外音波データDsw1又は車内音波データDsw2かを識別する。なお、音波信号取得部29が位置判定手段を構成する。
【0030】
端末制御部16には、音波信号取得部29が取得した音波データDsw1,Dsw2を基に携帯電話2の位置を判定する位置判定部30が設けられている。位置判定部30は、例えば車外音波データDsw1と車内音波データDsw2との強さを比較し、この比較結果を基に、携帯電話2が車内及び車外のどちらに位置するのかを判定する。なお、位置判定部30が位置判定手段を構成する。
【0031】
端末制御部16には、イグニッションスイッチオン状況下での携帯電話2の車外持ち出し時に、携帯電話2側において警告動作を実行する端末側警告動作実行部31が設けられている。端末側警告動作実行部31は、例えば携帯電話2の画面やスピーカで、携帯電話2の車外持ち出しを警告する。また、端末側警告動作実行部31は、車両1でも警告動作を行う場合、狭域無線通信部25を介して車外持ち出し通知信号Skを送信する。車外持ち出し通知信号Skは、携帯電話2が車外に持ち出されたことを車両1に通知する指令である。なお、端末側警告動作実行部31が警告実行手段を構成する。
【0032】
ボディECU5には、イグニッションスイッチオン状況下での携帯電話2の車外持ち出し時に、車両1側において警告動作を実行する車両側警告動作実行部32が設けられている。車両側警告動作実行部32は、携帯電話2から狭域無線通信により車外持ち出し通知信号Skを受信すると、車両1側において警告動作を実行する。なお、車両側警告動作実行部32が警告実行手段を構成する。
【0033】
次に、本例の携帯電話車外持ち出し監視システム20の動作を、図2及び図3を用いて説明する。
図2(a)に示すように、車両1の狭域無線通信部24は、車両1のイグニッションスイッチがオンになったことを確認すると、例えばブルートゥース通信を介して、起動要求信号Sonを携帯電話2に送信する。状態切換部28は、車両1から起動要求信号Sonを受信すると、携帯電話2の車外持ち出し監視機能を、それまでの待機状態から起動状態に切り換える。これにより、携帯電話2の持ち出し監視機能に関する各種機能部やマイク27が起動し、携帯電話2における車外持ち出し監視機能が有効となる。
【0034】
続いて、図2(b)に示すように、スピーカ制御部23は、イグニッションスイッチがオンとなったことを確認すると、車外スピーカ21及び車内スピーカ22から音波信号Ssw1,Ssw2の送信を開始する。このとき、携帯電話2は、車外音波信号Ssw1及び車内音波信号Ssw2をマイク27で受信する。
【0035】
ここで、図2(c)に示すように、車両1のイグニッションスイッチがオン状態のまま、携帯電話2が車外に持ち出されたとする。このとき、図3に示すように、携帯電話2が受信する車外音波信号Ssw1及び車内音波信号Ssw2の各々の信号レベル(受信信号の強度レベル)は、最初、携帯電話2は車内に位置していることから、車内音波信号Ssw2の信号レベルの方が車外音波信号Ssw1よりも高くなる。そして、車両ドアが開かれ、ユーザが降車したとき、その付近で、車外音波信号Ssw1と車内音波信号Ssw2の強弱が入れ替わり、車両ドアが閉じられた付近で、車外音波信号Ssw1の信号レベルの方が車内音波信号Ssw2よりも大きくなる。
【0036】
位置判定部30は、車外音波信号Ssw1及び車内音波信号Ssw2の信号レベルが、図3のような波形変化をとることを確認すると、携帯電話2が車外に持ち出されたと認識する。つまり、位置判定部30は、最初、車内音波信号Ssw2の信号レベルが上限閾値Eh以上をとり、車外音波信号Ssw1が下限閾値El未満をとっているものが、時間の経過により、車外音波信号Ssw1の信号レベルが上限閾値Eh以上をとり、車内音波信号Ssw2の信号レベルが下限閾値El未満に変化することを確認すると、携帯電話2の車外持ち出しを認識する。
【0037】
端末側警告動作実行部31は、イグニッションスイッチオン状況下での携帯電話2の車外持ち出しを認識すると、携帯電話2において携帯電話2の車外持ち出しをユーザに警告する。この警告動作としては、例えば携帯電話2の画面でのメッセージ警告や、携帯電話2のスピーカを用いた音声警告などがある。
【0038】
また、車両1でも持ち出し警告を行う場合、端末側警告動作実行部31は、狭域無線通信(ブルートゥース通信)を介して、車外持ち出し通知信号Skを車両1に送信する。車両側警告動作実行部32は、車外持ち出し通知信号Skを狭域無線通信部24で受信すると、車両1において携帯電話2の車外持ち出しをユーザに通知する。この警告動作としては、この警告動作としては、例えば車両1のブザーやホーンを鳴らしたり、ハザードを点滅させたりする警告がある。
【0039】
以上により、本例においては、車両1のイグニッションスイッチがオンのとき、車内スピーカ22及び車内スピーカ22からそれぞれ音波信号Ssw1,Ssw2を出力させ、携帯電話2がマイク27で音波信号Ssw1,Ssw2を集音したときの強度の変化により、携帯電話2が車内及び車外のどちらにあるのかを判定する。そして、イグニッションスイッチがオン状況下で携帯電話2が車外に持ち出されたことを確認すると、その車外持ち出しを携帯電話2や車両1でユーザに警告する。
【0040】
従って、イグニッションスイッチのオン状況下での携帯電話2の車外持ち出しをユーザに通知することが可能となるので、例えば携帯電話2を車内に戻すなどの行為をユーザにとらせることが可能となる。よって、携帯電話2を車外に放置したままの車両1の再発進が防止されるので、目的地に到着した後に携帯電話2が手元にない状況が回避されることになる。
【0041】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)携帯電話2が車内に位置するとき、携帯電話2には高いレベルの車内音波信号Ssw2が付与され、携帯電話2が車外に位置するとき、携帯電話2には高いレベルの車外音波信号Ssw1が付与されるので、これら音波信号Ssw1,Ssw2の強さを比較すれば、携帯電話2の車内外位置を判定することができる。よって、車両1のイグニッションスイッチがオン状態下での携帯電話2の車外持ち出しを監視することができ、車外持ち出しを検出したとき、その旨を車両1や携帯電話2でユーザに警告すれば、イグニッションスイッチオン状況下における携帯電話2の車外持ち出しを防止することができる。
【0042】
(2)車両1のイグニッションスイッチオン状況下における携帯電話2の車外持ち出しを検出したとき、車両1や携帯電話2でその旨を警告するので、この状況をユーザに知らせることができる。よって、携帯電話2を車内に戻すなどの行為をユーザに課すことができる。
【0043】
(3)キー機能を有する携帯電話2の車外持ち出しを監視するので、キー機能を持った携帯電話2、つまりキー相当の部材を、車外に放置したまま車両1を再発進させてしまうことを防止することができる。よって、再発進後、例えば目的地に到着したときに車両キーがない状況が回避されるので、その点で効果が高いと言える。
【0044】
(4)車外スピーカ21として車両1の電子音発生装置を流用すれば、車両部品を共用することができる。よって、車両1に搭載する部品点数を少なく抑えることができる。なお、これは、車内スピーカとしてオーディオスピーカを流用した場合も同様に言える。また、携帯電話2のマイク27を使用したことによっても、同様にこの効果が言える。
【0045】
(5)車両1のイグニッションスイッチがオンとなったとき、狭域無線通信(ブルートゥース通信)を利用して起動要求信号Sonを携帯電話2に送信し、この起動要求信号Sonにて携帯電話2の位置判定機能を起動させる。よって、携帯電話2における位置判定機能を常時起動させておく必要がないので、携帯電話2の省電力化に効果が高くなる。
【0046】
(6)例えば車両ドアの開閉や窓ガラスの開閉などの携帯電話2の車外持ち出しが予期されるとき、スピーカ21,22から音波信号Ssw1,Ssw2の送信を開始するようにすれば、真に必要なときのみ音波信号Ssw1,Ssw2を送信することができる。よって、車両1のバッテリの省電力化に効果が高くなる。
【0047】
なお、実施形態はこれまでの述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・携帯電話2の位置判定機能やマイク27は、車両1からの起動要求信号Sonにて起動開始することに限定されない。例えば、携帯電話2が自ら車外持ち出しに相当する動きを監視し、この動きがあったとき、起動状態に入ってもよい。この一例としては、例えば携帯電話2にモーションセンサ(加速度センサ)を設け、このセンサで車外持ち出しの動きを検出したときに、携帯電話2の位置判定機能やマイク27が起動する。
【0048】
・携帯電話2の位置判定は、音波信号Ssw1,Ssw2の信号レベルが図3の波形変化をとるか否かによって検出する方式をとることに限定されず、例えば、単に信号レベルの強弱を見るだけの判定としてもよい。要は、位置判定の方式は、種々の方式を適宜使用可能である。
【0049】
・携帯電話2の位置判定機能やマイク27は、位置判定のときに起動するものに限定されず、常時起動としてもよい。この場合、ブルートゥース通信機能が不要になる。
・起動要求信号Sonの通信網は、ブルートゥース通信に限定されず、他の通信を採用してもよい。
【0050】
・音波信号Ssw1,Ssw2は、例えば間欠送信されるものでもよい。
・音波信号Ssw1,Ssw2の判定は、電波の周波数にて行う方式に限定されない。例えば、音波信号Ssw1,Ssw2を同一周波数とし、信号内のデータにて送信元を識別するようにしてもよい。
【0051】
・車両1には、他の電子キーシステムが並設されていてもよい。電子キーシステムには、車両1からの通信を契機に例えば狭域無線通信(通信距離:数m)によりID照合を行うキー操作フリーシステムや、電子キーからの通信を契機に狭域無線通によりID照合を行うワイヤレスキーシステムなどがある。
【0052】
・警告動作は、車両1及び携帯電話2の両方で行うことに限定されず、いずれか一方のみで行うようにしてもよい。
・車外スピーカ21及び車内スピーカ22は、車両1に予め搭載されている部材を流用することに限らず、新たに搭載された部材でもよい。
【0053】
・車外スピーカ21及び車内スピーカ22の数や設置位置は、適宜変更可能である。
・車外持ち出し通知信号Skの通信網は、ブルートゥース等の狭域通信に限定されず、他の通信を利用可能である。
【0054】
・閾値Eh,Elの値は、適宜変更可能である。また、閾値Eh,Elは、携帯電話2が車内に位置するときと、車外に位置するときとで、各々異なる値をとるものでもよい。
・端末をキーとするシステムは、近距離無線認証通信を用いたシステムに限定されず、他の通信を利用したシステムとしてもよい。
【0055】
・端末は、キー機能を有する携帯電話2に限定されず、キー機能のない単なる携帯電話でもよい。また、端末は、携帯電話2に限定されず、例えばICカードでもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0056】
(イ)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記車内音波信号送信手段及び前記車外音波信号送信手段は、車内外を通じさせる車載機器が操作されたことを検出すると、前記音波信号の出力を開始する。この構成によれば、音波信号の送信を真に必要なときのみ行うことが可能となるので、車両の電源の省電力化に寄与する。なお、車載機器は、例えば車両ドアや窓ガラス等がある。
【符号の説明】
【0057】
1…車両、2…端末(キー機能付き端末)としての携帯電話、20…端末位置判定システムとしての携帯電話車外持ち出し監視システム、21…車外音波信号送信手段としての車外スピーカ、22…車内音波信号送信手段としての車内スピーカ、23…車外音波信号送信手段及び車内音波信号送信手段を構成するスピーカ制御部、26…起動要求通知手段としての起動要求通知部、27…集音手段としてのマイク、28…状態切換手段としての状態切換部、29…位置判定手段を構成する音波信号取得部、30…位置判定手段を構成する位置判定部、31…警告実行手段を構成する端末側警告動作実行部、32…警告実行手段を構成する車両側警告動作実行部、Ssw1,Ssw2…音波信号、Son…起動要求信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集音手段を有した端末が、車内及び車外のどちらに位置するのかを判定する端末位置判定システムにおいて、
車外に音波信号を出力する車外音波信号送信手段と、
車内に音波信号を出力する車内音波信号送信手段と、
前記音波信号を前記端末に受信させ、これら信号を基に、車両のイグニッションスイッチがオン時の前記端末の位置を判定する位置判定手段と
を備えたことを特徴とする端末位置判定システム。
【請求項2】
前記車両のイグニッションスイッチがオン状況下で前記端末が車外に位置するとき、その旨をユーザに警告する警告実行手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の端末位置判定システム。
【請求項3】
前記端末は、前記車両の電子キーとして機能するキー機能付き端末である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末位置判定システム。
【請求項4】
前記車外音波信号送信手段は、前記車両が自身の存在を音によって周囲に通知する電子音発生装置が兼用されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の端末位置判定システム。
【請求項5】
前記車両に設けられ、前記車両のイグニッションスイッチがオンとなったとき、前記端末の位置判定の機能を起動させる起動要求信号を、前記車両から前記端末に無線により通知する起動要求通知手段と、
前記端末に設けられ、前記車両から前記起動要求信号を受信すると、前記位置判定の機能を起動状態に切り換える状態切換手段と
を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の端末位置判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−239021(P2012−239021A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106443(P2011−106443)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】