説明

組電池の組立方法

【課題】積層される角型電池を理想的な状態で固定して、使用状態における電池性能の低下を防止する。
【解決手段】複数の角型電池を積層して電池ブロック3を形成するブロック組立工程と、電池ブロック3の積層方向における両端面にエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、105を配置する配置工程と、エンドプレート5、25、35、45、55、65、75、105を押圧して、エンドプレート5、25、35、45、55、65、75、105の間隔を狭めて電池ブロック3を圧縮する圧縮工程と、圧縮工程で圧縮された電池ブロック3を圧縮状態で固定する連結工程とを備え、連結工程は、両端に折曲部を有する金属バンド6、26、36、46、56、66、76、106をエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、105に固定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電源装置などに利用される電池パック及びこれに使用される電池パック用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の角型電池を積層する組電池は、図1に示すように、一対のエンドプレート905をボルト906で連結して、エンドプレート905の間に、積層する電池901を配置している。(特許文献1参照)
特許文献1の組電池は、図1に示すように、ボルト906を連結するために、エンドプレート905の両側にボルト906を挿通する耳状突出部908を設けている。ボルト906は、耳状突出部908に挿通されて、先端にナット907をねじ込んでエンドプレート905を固定している。この構造の組電池は、使用状態によって電池の性能が低下する欠点がある。とくに、この構造の組電池は、角型電池にリチウムイオン二次電池が使用されることから、電池の使用状態によって電池の内部抵抗が大きくなって出力が低下する欠点がある。それは、耳状突出部が変形しやすく、電池の外装缶が膨張するのを確実に阻止できないからである。リチウムイオン二次電池は、通常の充放電時や過充電時に電極が膨張して、正負の電極間の間隔が広くなる。この状態になると正負の電極間を移動するイオンの移動距離が長くなって内部抵抗が大きくなる。とくに、リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池などに比較すると、電極の対向面積に対する内部抵抗が大きいことから、内部抵抗を小さくするために、正負の電極板を薄くして電極間隔を狭くして対向面積を大きくしている。すなわち、正負の電極間の間隔を狭くして内部抵抗を小さくしていることから、電極が膨張して電極間隔がわずかに広くなっても、内部抵抗が大きくなる。電池の内部抵抗が大きくなると、取り出しできる最大電流が小さくなって出力電力も小さくなる。多数の角型電池を積層する組電池は、大出力が要求される車両用などに使用されることから、出力が小さくなることは大きな欠点となる。
【0003】
さらに、図1の組電池は、角型電池901が膨張するとボルト906が角型電池901の側面に接触する弊害もある。角型電池901が膨張して耳状突出部908が内側に曲がると、この耳状突出部908に挿通しているボルト906が内側に湾曲されるからである。積層される角型電池は、隣の外装缶との間に電位差がある。このため、ボルトが複数の角型電池の外装缶に接触すると短絡電流が流れて電池に弊害を与え、また安全性も低下させる。
【0004】
ボルトに代わって、金属バンドで、積層する電池を固定する組電池が開発されている。(特許文献2及び3参照)
特許文献2は、積層する角型電池の両面に金属バーを設け、この金属バーに金属バンドの両端を止ネジで固定する組電池を記載している。この構造の組電池は、角型電池が膨張して金属バーが変形しやすく、角型電池の膨張を確実に阻止して、電池性能の低下を確実に阻止するのが難しい。さらに、特許文献3は、積層する角型電池の両面に一対の端板を設け、端板に金属バーを溶接して固定する組電池を記載している。この組電池は、金属バーを溶接して固定することから、角型電池を正確な圧縮状態に調整して固定するのが難しい欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−32364号公報
【特許文献2】特開平5−343105号公報
【特許文献3】特表2001−507856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、さらに従来の以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、積層される角型電池を理想的な状態で固定して、使用状態における電池性能の低下を防止できる組電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の組電池の組立方法は、複数の角型電池を積層して電池ブロックを形成するブロック組立工程と、前記電池ブロックの積層方向における両端面にエンドプレートを配置する配置工程と、前記エンドプレートを押圧して、エンドプレートの間隔を狭めて前記電池ブロックを圧縮する圧縮工程と、前記圧縮工程で圧縮された電池ブロックを圧縮状態で固定する連結工程とを備え、前記連結工程は、両端に折曲部を有する金属バンドを前記エンドプレートに固定することを特徴とする。
【0008】
さらに、前記連結工程は、前記金属バンドに形成された貫通孔にボルトあるいはリベットを挿通して前記金属バンドを前記エンドプレートの外側表面に固定する固定工程を含むことが好ましい。
【0009】
さらに、前記連結工程は、前記エンドプレートに形成された位置決嵌着部によって、前記金属バンドを定位置に配置する位置決め工程を含むことが好ましい。
【0010】
さらに、前記金属バンドの両側に突出する突起で形成される前記位置決嵌着部を介して、位置決めされ、前記金属バンドの貫通孔と前記エンドプレートの固定孔とを合致させる工程であって、前記連結工程は、前記位置決め工程の後に、前記固定工程を行う工程であることが好ましい。
【0011】
さらに、前記連結工程の後に、前記エンドプレートの押圧を行っている治具を外し、前記電池ブロックの寸法を前記金属バンドの寸法に対応する所定の寸法に保持すると共に、前記金属バンドを介して、前記電池ブロックを圧縮状態で固定する圧縮緩和工程を備えることが好ましい。
【0012】
さらに、前記ブロック組立工程は、前記複数の角型電池と絶縁性のスペーサとを交互に積層して前記電池ブロックを形成する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組電池は、積層される角型電池を理想的な状態で固定して、使用状態における電池性能の低下を防止できる特徴がある。それは、本発明の組電池が、積層している角型電池の両端面に配置される一対のエンドプレートと、このエンドプレートに、先端の折曲部を連結して積層状態の角型電池を圧縮状態に固定してなる金属バンドとからなる固定部品で、積層する角型電池を固定しているからである。この状態で積層状態に固定される角型電池は、両側のエンドプレートで膨張が阻止される。このため、電極が膨張して内部抵抗が大きくなって、出力が低下する欠点が解消される等の効果を奏する。
【0014】
とくに、金属バンドの端部に、エンドプレートの表面に向かって折曲される折曲部を設けており、この折曲部をエンドプレートの外側表面に固定している。この構造の組電池は、金属バンドを連結するために、従来の組電池のように角型電池の両側に突出して耳状突出部を設ける必要がなく、耳状突出部が変形して角型電池が膨張し、あるいは金属バンドが角型電池の角型電池に接触してショートするのを確実に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の組電池の平面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる組電池を備える電源装置の斜視図である。
【図3】図2に示す電源装置の平面図である。
【図4】本発明の実施例1の組電池の斜視図である。
【図5】本発明の実施例2の組電池の斜視図である。
【図6】図5に示す組電池の組み立て工程を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例3の組電池の斜視図である。
【図8】図7に示す組電池の組み立て工程を示す斜視図である。
【図9】図7に示す組電池の組み立て工程を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例4の組電池の斜視図である。
【図11】本発明の実施例5の組電池の斜視図である。
【図12】図11に示す組電池の組み立て工程を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の実施例6の組電池の斜視図である。
【図14】図13に示す組電池の背面斜視図である。
【図15】図13に示す組電池の組み立て工程を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施例7の組電池の斜視図である。
【図17】本発明の実施例8の組電池の斜視図である。
【図18】図17に示す組電池の
【図19】本発明の実施例9の組電池の斜視図である。
【図20】図19に示す組電池の組み立て工程を示す斜視図である。
【図21】本発明の実施例10の組電池の斜視図である。
【図22】図21に示す組電池の組み立て工程を示す斜視図である。
【図23】図21に示す組電池の組み立て工程を示す背面斜視図である。
【図24】図21に示す組電池の固定部品を示す斜視図である。
【図25】図24に示す固定部品の背面斜視図である。
【図26】角形電池である電池セルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための組電池を例示するものであって、本発明は組電池を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0017】
本発明の組電池は、用途を特定するものではないが、主として、ハイブリッドカーや電気自動車などの電動車両に搭載されて、車両の走行モータに電力を供給して、車両を走行させる電源装置に適している。
【0018】
図2ないし図4は、本発明の実施例にかかる組電池を示す図である。図2と図3は、4組の組電池を備える車両用の電源装置を示し、図4はこれらの電源装置に組み込まれる組電池の斜視図を示している。さらに、図5ないし図25は他の実施例にかかる組電池を示している。ただし、図5ないし図25は、図面を簡単にするために、角型電池に設けている安全弁を図示しない。
【0019】
これらの図に示す組電池は、複数の角型電池からなる電池セル1を積層している電池ブロック3と、この電池ブロック3の電池セル1を固定する固定部品4、24、34、44、54、64、74、84、94、104とを備える。
【0020】
電池セル1の角型電池はリチウムイオン二次電池である。ただし、角型電池はリチウム
イオン二次電池には特定されず、充電できる全ての電池、たとえばニッケル水素電池なども使用できる。角型電池は、正負の電極板を積層している電極体をケースに収納して電解液を充填したものである。ケースは、図26に示すように、底を閉塞する四角筒状に成形している外装缶1Aの開口部を封口板1Bで閉塞している。外装缶1Aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を、深絞り加工して制作される。積層される角型電池のケースは、薄い角形に成形される。封口板1Bもアルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で制作される。この封口板1Bは、正負の電極端子10を両端部に絶縁材を介して固定している。正負の電極端子10は内蔵する正負の電極板に接続される。リチウムイオン二次電池は、金属板からなる外装缶1Aを、リード線を介して電極に接続しない。ただ、外装缶1Aは電解液を介して電極に接続されることから、正負の電極の中間電位となる。ただし、角型電池は、一方の電極端子10をリード線で一方の電極に接続することもできる。この角型電池は、外装缶1Aに接続される電極端子10を絶縁することなく封口板1Bに固定できる。さらに、封口板1Bは、安全弁の開口部11を設けている。安全弁は、ケースの内圧が設定値よりも高くなると開弁して、ケースが破損するのを防止する。安全弁が開弁すると内部のガスが封口板1Bの開口部11から外部に排出される。図の角型電池は、封口板1Bに安全弁の開口部11を設けている。この外装缶1Aは、開弁する安全弁の開口部11からガスを排出できる。それは、ケース内部にはガスが溜まっているからである。角型電池は、外装缶の底部や側部に安全弁の開口部を設けることもできる。ただ、この角型電池は、安全弁が開口するときに電解液が排出される。電解液は導電性の液体で、これが排出されると、接触部をショートさせることがある。ケースの封口板1Bに安全弁を設ける角型電池は、開口する安全弁からガスを排出して内圧を低下できる。このため、安全弁が開口するときに、電解液の排出を制限して、電解液による弊害を少なくできる。
【0021】
図2と図3の電源装置は、安全弁から排出されるガスを外部に排気するために、組電池の上にガス抜きダクト12を設けている。このガス抜きダクト12は、下方の開口部を、安全弁の開口部11に連結して、安全弁から排出されるガスを外部に排気する。この構造は、安全弁が開弁して角型電池から排出されるガスを速やかに外部に排気できる。
【0022】
積層される角型電池は、隣接する電極端子10を連結具13で連結して、互いに直列に接続される。さらに、各々の角型電池の電極端子10にはリード線(図示せず)が接続される。このリード線は、電池の電圧を検出する保護回路を実装する回路基板(図示せず)に接続される。図示しないが、回路基板は、図4において、組電池の上方に配設される。
【0023】
角型電池の電池セル1は、その間にスペーサ2、22を挟着している。スペーサ2、22は、隣接する角型電池の外装缶1Aを絶縁すると共に、電池セル1の間に電池を冷却する送風ダクト15を設ける。したがって、スペーサ2、22は、プラスチック等の絶縁材を成形して制作される。スペーサ2、22は、両面に送風溝を設けて、角型電池の間に送風ダクト15を設ける。スペーサ2、22は、水平方向、いいかえると角型電池の両側に連結するように送風溝を設けている。このスペーサ2、22で設けられる送風ダクト15は、空気を水平方向に送風して角型電池を冷却する。
【0024】
スペーサ2、22を介して積層される角型電池の電池セル1は、固定部品4、24、34、44、54、64、74、84、94、104で定位置に固定される。固定部品4、24、34、44、54、64、74、84、94、104は、積層している角型電池の両端面に配置される一対のエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105と、このエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105に、端部を連結して積層状態の角型電池を圧縮状態に固定してなる金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106とからなる。
【0025】
エンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105は、アルミニウムやその合金などの金属で成形され、あるいは硬質プラスチックを成形して制作される。図のエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105は、外側面に縦横に伸びる補強リブ16を一体的に成形して設けている。このエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105は、補強リブ16で曲げ強度を強くできる。曲げ強度の優れたエンドプレートは、角型電池の中央部分の膨張を有効に阻止できる。金属バンドに連結されるエンドプレートが変形しないかぎり、角型電池の中央部分は膨張しないからである。エンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105は、広い面積で角型電池を挟着するために、その外形を電池セル1の角型電池とおなじ四角形としている。四角形のエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105は、角型電池と同じ大きさに、あるいは角型電池よりもわずかに大きくしている。さらに、図のエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105は、電池セル1との対向面に送風溝を設けて、角型電池との間に送風ダクト15を設けている。ただ、エンドプレートは、電池セルとの対向面を平面状として、角型電池又はスペーサと面接触状態に接触させることもできる。プラスチック製のエンドプレートは、直接に角型電池に積層され、金属製のエンドプレートは積層材を介して角型電池に積層される。
【0026】
エンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105には、金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106の端部が連結される。金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106は、止ネジ7を介してエンドプレート5、25、45、55、75、105に連結され、あるいは端部を内側に折曲してエンドプレート35、65に連結され、あるいはまた、金属バンド86の端部にナット87をねじ込んで、あるいは、金属バンド96の端部をカシメてエンドプレート85、95に連結する。止ネジ7で金属バンド6、26、46、56、76、106を連結するエンドプレート5、25、45、55、75、105は、止ネジ7をねじ込む雌ネジ孔8を設けている。雌ネジ孔8は、エンドプレート5、25、45、55、75、105の外側表面に設けられて、金属バンド6、26、46、56、76、106の折曲部を貫通する止ネジ7をねじ込んで金属バンド6、26、46、56、76、106を連結する。
【0027】
図4の組電池は、角型電池の上端部に沿って配置される第1の金属バンド6Aと、角型電池の下端部に沿って配設される第2の金属バンド6Bをエンドプレート5に連結している。この組電池は、エンドプレート5の上端と下端であって、外側表面の両側部に雌ネジ孔8を設けている。この組電池は、角型電池の上下を金属バンド6で固定する。組電池は、図5ないし図24に示すように、金属バンド26、36、46、56、66、76、86、96、106を上下の中間であって、中央部の上下に配設することもできる。金属バンド26、46、56、76、106の端部を止ネジ7で固定するエンドプレート25、45、55、75、105は、雌ネジ孔8を金属バンド26、46、56、76、106の連結位置に設けている。
【0028】
図7ないし図9に示す組電池のように、金属バンド36の端部を内側に折曲して固定するエンドプレート35は、雌ネジ孔を設ける必要がない。このエンドプレート35は、金属バンド36の端部を定位置に連結する位置決嵌着部9を側面に設けている。位置決嵌着部9は、エンドプレート35の側面に設けられて、金属バンド36を挿通する貫通孔で、ここに金属バンド36を挿通して定位置に連結する。ここに挿通された金属バンド36は、端部を内側に折曲してエンドプレート35に連結される。
【0029】
さらに、図17と図18に示す組電池は、金属バンド86の先端に設けたネジ部86Aをエンドプレート85に挿通し、ネジ部85Aにナット87をねじ込んで連結している。
このエンドプレート85は、金属バンド86を挿通して定位置に配置する貫通孔の位置決嵌着部89を設けて、その外側面に突出するネジ部86Aにナット87をねじ込んで金属バンド86をエンドプレート85に連結する。
【0030】
さらに、図19と図20の組電池は、金属バンド96の先端に設けたカシメ部96Aをエンドプレート95に挿通し、カシメ部96Aの先端を拡開するようにカシメ加工して金属バンド96をエンドプレート95に連結している。このエンドプレート95は、金属バンド96を挿通して定位置に配置する貫通孔の位置決嵌着部99を設けて、その外側面に突出するカシメ部96Aをカシメ加工して金属バンド96をエンドプレート95に連結する。
【0031】
エンドプレート25、35、45、55、65、75、85、95、105は、側面に位置決嵌着部9、29、89、99を設けて金属バンド26、36、46、56、66、76、86、96、106を定位置に配置できる。これらの位置決嵌着部9、29、89、99は、図5、図6、図11、及び図12に示すように金属バンド26、56を嵌着する嵌合溝とし、あるいは、図7ないし図10、及び図13ないし図25に示すように金属バンド36、46、66、76、86、96、106を挿入する貫通孔として、金属バンド26、36、46、56、66、76、86、96、106を定位置に配置する。貫通孔の位置決嵌着部9、89、99は、金属バンド36、46、66、76、86、96、106をエンドプレート35、45、65、75、85、95、105の側面から外れないように定位置に固定できる。したがって、貫通孔の位置決嵌着部9は、図7ないし図9、及び図13ないし図15に示すように、金属バンド36、66の先端を内側に折曲して連結する構造のエンドプレート35、65に適している。位置決嵌着部9が、折曲された金属バンド36、66を、エンドプレート35、65から外れないようにできるからである。また、嵌合溝である位置決嵌着部29は、金属バンド26、56の端部の折曲部の貫通孔17に止ネジ7を挿通して、止ネジ7をエンドプレート25、55の雌ネジ孔8にねじ込んで固定する構造に適している。止ネジ7で固定される金属バンド26、56は、エンドプレート25、55から側方には外れないからである。
【0032】
金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106は、所定の厚さの金属板を所定の幅に加工して製作される。金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106は、端部をエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105に連結して、一対のエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105を連結して、その間に角型電池を圧縮状態に保持する。金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106は、一対のエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105を所定の寸法に固定して、その間に積層される角型電池を所定の圧縮状態に固定する。角型電池の膨張圧力で金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106が伸びると、角型電池の膨張を阻止できない。したがって、金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106には、角型電池の膨張圧で伸びない強度の金属板、たとえばSUS304等のステンレス板や鋼板等の金属板を十分な強度を有する幅と厚さに加工して製作される。さらに、図4に示す金属バンド6は、金属板を溝形に加工している。この形状の金属バンド6は、曲げ強度を強くできるので、幅を狭くしながら、積層する角型電池をしっかりと所定の圧縮状態に固定できる特長がある。
【0033】
金属バンド6、26、36、46、56、66、76、86、96、106は、端部に折曲部を設けて、折曲部をエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105に連結する。折曲部は、止ネジ7の貫通孔17を設け、あるいは貫通孔を設けることなくエンドプレート5、25、35、45、55、65、75、85、95、105に連結される。貫通孔17のある折曲部は、貫通孔17に挿通される止ネジ7を
エンドプレート5、25、45、55B、75B、105Bの雌ネジ孔8にねじ込んで連結される。貫通孔のない折曲部は、内側に折曲されてエンドプレート35、65に連結される。ただし、金属バンド86、96は、前述したように、その端部にネジ部86Aやカシメ部96Aを設けて、エンドプレート85、95に連結することもできる。
【0034】
金属バンド56、66、76、86、96は、図11ないし図20に示すように、中間を折り返すように折曲し、折り返し部分を一方のエンドプレート55A、65A、75A、85A、95Aの外側表面に当てて連結し、その両端を他方のエンドプレート55B、65B、75B、85B、95Bに連結することもできる。この金属バンド56、66、76、86、96は、中間の折り返し部分を一方のエンドプレート55A、65A、75A、85A、95Aにしっかりと連結できる。さらに、金属バンド106は、図21ないし図25に示すように、エンドプレート105Aと一体構造に固定することもできる。この金属バンド106は、最も強固に一方のエンドプレート105Aに連結できる。
【0035】
以上の組電池は、以下の工程で組み立てられる。
【0036】
図2ないし図6の組電池は以下の工程で組み立てられる。
[電池ブロックの圧縮工程]
角型電池である電池セル1の間にスペーサ2、22を配設し、スペーサ2、22と角型電池を積層して電池ブロック3とし、電池ブロック3の両側にエンドプレート5、25を配置する。この状態で両側のエンドプレート5、25を治具で押圧し、エンドプレート5、25の間隔が所定の寸法となるまで圧縮して、この状態に保持する。
[金属バンドの連結工程]
電池ブロック3を圧縮状態に保持して、金属バンド6、26の両端をエンドプレート5、25に固定する。図の金属バンド6、26は、両端に貫通孔17のある折曲部を設けている。この金属バンド6、26は、折曲部の貫通孔17に挿通する止ネジ7をエンドプレート5、25の雌ネジ孔8にねじ込んでエンドプレート5、25に固定される。さらに、図5と図6の組電池は、金属バンド26が、エンドプレート25の両側に設けている嵌合溝の位置決嵌着部29に嵌着されて定位置に配置される。
[治具から外す工程]
全ての金属バンド6、26をエンドプレート5、25に固定した後、治具から外す。
【0037】
以上の工程で、積層される角型電池は一対のエンドプレート5、25で圧縮状態に保持される。したがって、角型電池が過充電などで膨張しようとしても、両エンドプレート5、25間の間隔は変化せず、エンドプレート5、25で角型電池の膨張は阻止される。この組電池は、金属バンド6、26の両端をエンドプレート5、25に止ネジ7で固定するので、金属バンド6、26を強固にエンドプレート5、25に固定して、金属バンド6、26でエンドプレート5、25を所定の寸法に保持できる。
【0038】
図7ないし図9の組電池は、以下の工程で組み立てられる。
[電池ブロックの圧縮工程]
図4ないし図6の組電池と同じように、スペーサ22と角型電池である電池セル1を積層し、両側のエンドプレート35を治具で押圧し、エンドプレート35の間隔が所定の寸法となるまで圧縮してこの状態に保持する。
[金属バンドの連結工程]
電池ブロック3を圧縮状態に保持して、金属バンド36の両端をエンドプレート35に固定する。図の金属バンド36は、両端に貫通孔のない折曲部を設けている。この金属バンド36は、一端にのみ折曲部を設け、あるいは両端に折曲部を設けない状態で、エンドプレート35の両側に設けている貫通孔の位置決嵌着部9に挿通する。挿通された金属バンド36の端部を内側に折曲し、この折曲部をエンドプレート35の外側表面に密着させ
て、金属バンド36をエンドプレート35に連結する。この金属バンド36は、一端に折曲部を設けて、折曲部のない金属バンド36の先端を貫通孔の位置決嵌着部9に挿通し、折曲部のない直線状の先端を内側に折曲してエンドプレート35に連結することもできる。
[治具から外す工程]
金属バンド36をエンドプレート35に固定した後、治具から外す。
【0039】
以上の工程で、積層される角型電池は、一対のエンドプレート35で圧縮状態に保持される。この組電池も、角型電池が過充電などで膨張しようとしても、両エンドプレート35間の間隔は変化せず、エンドプレート35で角型電池の膨張を阻止できる。この組電池は、金属バンド36の端部を折曲してエンドプレート35に固定できるので、金属バンド36を簡単にエンドプレート35に固定できる。
【0040】
図10の組電池は、折曲部のない直線状をしている金属バンド46の先端を、エンドプレート45に設けた貫通孔の位置決嵌着部9に挿通した後、折曲して折曲部とし、この折曲部の貫通孔17に止ネジ7を挿通し、止ネジ7をエンドプレート45の雌ネジ孔8にねじ込んで、金属バンド46をエンドプレート45に固定する以外は、図7ないし図9の組電池と同じようにして組み立てられる。
【0041】
図11と図12の組電池は、治具で一対のエンドプレート55を押圧して電池ブロック3を圧縮状態に保持して、金属バンド56の先端を一方のエンドプレート55Bに連結して組み立てられる。金属バンド56は、中間を折り返すように折曲加工して、両端に貫通孔17のある折曲部を設けている。この金属バンド56は、折り返し部分を他方のエンドプレート55Aの外側面に配置すると共に、エンドプレート55の両側に設けている嵌合溝の位置決嵌着部29に嵌着して、定位置に配置する。この状態で、両端の折曲部を止ネジ7で一方のエンドプレート55Bに固定する。この組電池は、2枚の金属バンド56で一対のエンドプレート55をしっかりと固定できる。
【0042】
図13ないし図15の組電池は、治具で一対のエンドプレート65を押圧して電池ブロック3を圧縮状態に保持して、金属バンド66の先端を一方のエンドプレート65Bに連結して組み立てられる。金属バンド66は、中間を折り返すように折曲加工しているが、両端は折曲部のない直線状としてエンドプレート65に連結される。この金属バンド66は、エンドプレート65Aの両側に設けている位置決嵌着部9の貫通孔に挿通して、折り返し部分を他方のエンドプレート65Aの外側面に配置する。さらに、この状態で、直線状である金属バンド66の先端を、位置決嵌着部9の貫通孔から突出させて、突出部を内側に折曲して、折曲部でもって一方のエンドプレート65Bに固定する。この組電池も、2枚の金属バンド66で一対のエンドプレート65をしっかりと固定できる。
【0043】
さらに、図16の組電池は、治具で一対のエンドプレート75を押圧して電池ブロック3を圧縮状態に保持して、金属バンド76の先端を一方のエンドプレート75Bに連結して組み立てられる。金属バンド76は、中間を折り返すように折曲加工しているが、両端は折曲部のない直線状としてエンドプレート75に連結される。この金属バンド76は、エンドプレート75の両側に設けている位置決嵌着部9の貫通孔に挿通して、折り返し部分を他方のエンドプレート75Aの外側面に配置する。さらに、この状態で、直線状である金属バンド76の先端を、位置決嵌着部9の貫通孔から突出させて、突出部を内側に折曲して折曲部とし、この折曲部の貫通孔17(あらかじめ設けられている)に止ネジ7を挿通して、止ネジ7で一方のエンドプレート75Bに固定する。この組電池も、2枚の金属バンド76で一対のエンドプレート75をしっかりと固定できる。
【0044】
図17と図18の組電池は、金属バンド86の先端にネジ部86Aを設けて、このネジ
部86Aにナット87をねじ込んで金属バンド86をエンドプレート85Bに連結する以外、図13ないし図15の組電池と同じようにして組み立てられる。ただし、エンドプレート85の両側に設けている貫通孔の位置決嵌着部89は、ネジ部86Aのある金属バンド86の先端を挿通できる内形としている。金属バンド86の先端のネジ部86Aを位置決嵌着部89の貫通孔に挿通した後、ネジ部86Aにナット87をねじ込んで金属バンド86をエンドプレート85に固定する。
【0045】
図19と図20の組電池は、金属バンド96の先端にカシメ部96Aを設けて、このカシメ部96Aを拡開するようにカシメ加工して、金属バンド96をエンドプレート95に連結する以外、図13ないし図15の組電池と同じようにして組み立てられる。ただし、エンドプレート95の両側に設けている貫通孔の位置決嵌着部99は、カシメ部96Aのある金属バンド96の先端を挿通できる内形としている。金属バンド96の先端のカシメ部96Aを位置決嵌着部99の貫通孔に挿通した後、カシメ部96Aをカシメ加工して金属バンド96をエンドプレート95に固定する。
【0046】
さらに、図21ないし図25に示す組電池は、金属バンド106を一方のエンドプレート105Aに一体的に連結している。この組電池は、以下の工程で組み立てられる。
[電池ブロックの圧縮工程]
角型電池である電池セル1の間にスペーサ22を配設し、スペーサ22と角型電池を積層して電池ブロック3とし、電池ブロック3の両側にエンドプレート105を配置する。このとき、一方のエンドプレート105Aに連結している金属バンド106を、他方のエンドプレート105Bの位置決嵌着部9である貫通孔に挿通する。エンドプレート105に連結している金属バンド106は、先端を折曲しない直線状としている。この状態で、両側のエンドプレート105を治具で押圧して、エンドプレート105の間隔が所定の寸法となるまで圧縮してこの状態に保持する。
[金属バンドの連結工程]
電池ブロック3を圧縮状態に保持して、位置決嵌着部9の貫通孔から突出する金属バンド106の先端を内側に折曲して、折曲部をエンドプレート105Bの外側面に密着させる。金属バンド106は、折曲部に位置するようにあらかじめ貫通孔17を設けている。折曲部の貫通孔17に止ネジ7を挿通し、これをエンドプレート105Bの雌ネジ孔8にねじ込んで金属バンド106の先端をエンドプレート105Bに固定する。
[治具から外す工程]
金属バンド106の両端をエンドプレート105Bに固定した後、治具から外す。
【0047】
以上の工程で、積層される角型電池は一対のエンドプレート105で圧縮状態に保持される。したがって、角型電池が過充電などで膨張しようとしても、両エンドプレート105間の間隔は変化せず、エンドプレート105で角型電池の膨張は阻止される。この組電池は、金属バンド106の両端をエンドプレート105Bに止ネジ7で固定するので、金属バンド106を強固にエンドプレート105Bに固定して、金属バンド106でエンドプレート105を所定の寸法に保持できる。
【符号の説明】
【0048】
1…電池セル 1A…外装缶
1B…封口板
2…スペーサ
3…電池ブロック
4…固定部品
5…エンドプレート
6…金属バンド 6A…第1の金属バンド
6B…第2の金属バンド
7…止ネジ
8…雌ネジ孔
9…位置決嵌着部
10…電極端子
11…開口部
12…ガス抜きダクト
13…連結具
15…送風ダクト
16…補強リブ
17…貫通孔
22…スペーサ
24…固定部品
25…エンドプレート
26…金属バンド
29…位置決嵌着部
34…固定部品
35…エンドプレート
36…金属バンド
44…固定部品
45…エンドプレート
46…金属バンド
54…固定部品
55…エンドプレート 55A…エンドプレート
55B…エンドプレート
56…金属バンド
64…固定部品
65…エンドプレート 65A…エンドプレート
65B…エンドプレート
66…金属バンド
74…固定部品
75…エンドプレート 75A…エンドプレート
75B…エンドプレート
76…金属バンド
84…固定部品
85…エンドプレート 85A…エンドプレート
85B…エンドプレート
86…金属バンド 86A…ネジ部
87…ナット
89…位置決嵌着部
94…固定部品
95…エンドプレート 95A…エンドプレート
95B…エンドプレート
96…金属バンド 96A…カシメ部
99…位置決嵌着部
104…固定部品
105…エンドプレート 105A…エンドプレート
105B…エンドプレート
106…金属バンド
901…電池
905…エンドプレート
906…ボルト
907…ナット
908…耳状突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の角型電池を積層して電池ブロックを形成するブロック組立工程と、
前記電池ブロックの積層方向における両端面にエンドプレートを配置する配置工程と、
前記エンドプレートを押圧して、エンドプレートの間隔を狭めて前記電池ブロックを圧縮する圧縮工程と、
前記圧縮工程で圧縮された電池ブロックを圧縮状態で固定する連結工程とを備え、
前記連結工程は、両端に折曲部を有する金属バンドを前記エンドプレートに固定することを特徴とする組電池の組立方法。
【請求項2】
請求項1記載の組電池の組立方法において、
前記連結工程は、前記金属バンドに形成された貫通孔にボルトあるいはリベットを挿通して前記金属バンドを前記エンドプレートの外側表面に固定する固定工程を含むことを特徴とする組電池の組立方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の組電池の組立方法において、
前記連結工程は、前記エンドプレートに形成された位置決嵌着部によって、前記金属バンドを定位置に配置する位置決め工程を含むことを特徴とする組立方法。
【請求項4】
請求項3に記載の組電池の組立方法において、
前記位置決め工程は、
前記金属バンドの両側に突出する突起で形成される前記位置決嵌着部を介して、位置決めされ、前記金属バンドの貫通孔と前記エンドプレートの固定孔とを合致させる工程であって、
前記連結工程は、前記位置決め工程の後に、前記固定工程を行う工程であることを特徴とする組立方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の組電池の組立方法において、
さらに、前記連結工程の後に、前記エンドプレートの押圧を行っている治具を外し、前記電池ブロックの寸法を前記金属バンドの寸法に対応する所定の寸法に保持すると共に、前記金属バンドを介して、前記電池ブロックを圧縮状態で固定する圧縮緩和工程を備えることを特徴とする組電池の組立方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の組電池の組立方法であって、
前記ブロック組立工程は、前記複数の角型電池と絶縁性のスペーサとを交互に積層して前記電池ブロックを形成する工程を含むことを特徴とする組電池の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−55069(P2013−55069A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−276521(P2012−276521)
【出願日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【分割の表示】特願2007−123686(P2007−123686)の分割
【原出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】