説明

統合化されたプロセス条件検知用ウェハおよびデータ解析システム

【課題】プロセス条件測定装置と処理システムとを製造環境と高度に統合化する。
【解決手段】統合化において、プロセス条件測定装置の寸法は製造基板の寸法に近い寸法となり、処理システム880は製造基板用として使用する基板搬送装置と類似のものとなる。製造環境に対する障害をほとんど伴うことなくプロセス条件の測定が可能となる。人間の介在をほとんど或いは全く伴うことなくプロセス条件測定装置からユーザへデータ転送を行うことも可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ処理工程、LCDディスプレイ用ガラス基板処理工程、磁気メモリディスク処理工程並びに薄膜工程から製造されるその他の素子に関し、特に、プロセス条件を検知し、記録し、受信機へデータを送信することができるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路、ディスプレイ或いはディスクメモリの製造には一般に多数の処理工程が用いられる。個々の処理工程が注意深くモニタされ、使用中の装置が示される。画像処理システム工程、成膜および成長工程、エッチングおよびマスキング工程などの間ずっと、個々の工程について、例えば、温度、ガスの流れ、真空度、圧力、化学薬品、ガスやプラズマの組成および照射距離などを注意深く制御することが極めて重要となる。個々の工程に含まれる種々のプロセス条件に対する注意深い配慮は、最適の半導体製造工程、すなわち薄膜製造工程の要件である。最適のプロセス条件からの何らかの偏りに起因して、次の集積回路や素子が準標準レベルで実行されたり、さらに悪い場合には完全に故障したりする可能性がある。
【0003】
処理用チャンバ内でプロセス条件は変化する。温度、ガス流量および/またはガス組成などのプロセス条件の変動は、集積回路の形成、したがって集積回路のパフォーマンスに大きな影響を与えることになる。集積回路や他の素子と同じ或いは同様の材料からなるプロセス条件測定用基板を用いることによって、前記条件の最も正確な測定が行われる。というのは、処理される基板の材料の特性が実際の回路と同じだからである。ほとんどすべてのプロセス条件用チャンバのいたるところに勾配および変動が生じる。したがって、これらの勾配は基板面の両端にわたってのみならず、基板面の上下にもやはり存在することになる。ウェハにおいて正確にプロセス条件を制御するために、ウェハ上で測定値をとることおよび自動化制御システムやオペレータがリアルタイムで読み出し値を利用できるようにして、チャンバのプロセス条件の最適化を容易に達成できるようにすることが非常に重要である。プロセス条件の中には、半導体や他の素子の製造を制御するのに用いる任意のパラメータ或いは製造業者がモニタしたいと望む任意の条件が含まれる。
【0004】
処理用チャンバ内ではロボットが検査対象ウェハや基板の輸送を行う。ロボットを組み込む装置の一例が、テル コーポレイションによって製造されている。このロボットおよび処理用チャンバに関するさらに多くの情報については、“基板の交換および処理を行うための半導体処理システム及び方法”というアラキに付与された米国特許第5,564,889号(特許文献1)を参照されたい。この特許は、その全体が参照により本願明細書において援用されている。本願は、2002年12月3日に出願された米国仮特許出願第60/430,858号(特許文献2)、2003年8月19日に出願された米国仮特許出願第60/496,294号(特許文献3)、2003年10月17日に出願された“統合化されたプロセス条件検知用ウェハおよびデータ解析システム”というウエイン・レンケンらによる米国仮特許出願第60/512,243号(特許文献4)並びにレンケンによる米国特許出願第10/056,906号(特許文献5)に関係するものであり、これらの特許および特許出願は、その全体が参照により本願明細書において援用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,564,889号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/430,858号
【特許文献3】米国仮特許出願第60/496,294号
【特許文献4】米国仮特許出願第60/512,243号
【特許文献5】米国特許出願第10/056,906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ターゲット環境へ配信できるプロセス条件測定装置(PCMD)であり、広範囲のデータを取得し、ターゲット環境やターゲット環境を含むツールに対する瞬断をほとんど伴うことなく処理システムへ戻ることができるプロセス条件測定装置(PCMD)が開示される。このPCMDは、通常ツールによって処理される基板と類似する特性を持つように設計される。このような基板の特性は一般に業界規格によって指定されている。したがって、300mmシリコンウェハ向けに設計されたシステムの場合、PCMDはシリコン基板を有し、300mmウェハの物理寸法と類似する物理寸法を有することになる。300mmウェハのプロファイルと同じまたはこのプロファイルに近くなるようにPCMDのプロファイルを保つための構成要素を基板内のキャビティに配置してもよい。PCMDは、その寸法とその無線設計に起因して、あたかも300mmウェハであるかのようにロボットにより操作することが可能である。PCMDは、エッチング、洗浄、フォトリソグラフィなどのようなウェハが受ける処理工程を受けることができる。PCMDは、要求された場合、データの処理とアップロード中に、温度、圧力およびガス流量などのプロセス条件を記録する。輸送と格納中の条件をモニタし、記録することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
PCMDの製造には、半導体ICの製造時に用いられる処理工程と類似する多数の処理工程が用いられる。絶縁層が基板上に成膜される。トレースを形成するために導電層が成膜され、そのパターンが形成される。キャビティが基板面に形成され、部品がキャビティに配置される。次いで、部品はトレースと接着されて電気接続が形成される。次いで、基板、部品およびワイヤボンドを保護するために表面にパッシベーション層を成膜することができる。
【0008】
PCMDは、化学薬品や電気的障害から部品を保護することにより厳しい環境に対する互換性を持つことができる。パッケージ用ICで使用する部品の場合と同様、重要な部品にはカバーを設けることができる。サファイアなどの特殊な材料からカバーをつくってもよいし、或いは電気的保護用としてシリコンや金属カバーをつくってもよい。PCMDは、その指定温度の範囲外での発振器の実行を可能にするために、温度補正用回路を組み込むことにより高温にも適合させることができる。
【0009】
処理システムによってPCMDにベース部が設けられる。PCMDは、処理システムにドックされたり、電子モジュールから電力を受け取ったりした場合も、電子モジュールとデータの交換を行う。この処理システムは正面開口式カセット一体形搬送/保管装置(FOUP)などの標準基板搬送装置内に電子モジュールを備えてもよい。これによって、処理システムは、ツールを備えた、或いは自動化設備を備えた高度に統合化されたものにすることが可能となる。PCMDはツールよってFOUP間を往来して移動してもよいし、FOUPは自動化設備によって1つのツールから別のツールへ移動させることができる。FOUPはPCMDにクリーンな環境を提供し、このクリーンな環境の中でPCMDを格納したり、輸送したりすることもできる。さらに、FOUP用の装荷ステーションには通常RFIDリーダが設けられて、FOUPの識別子が検出され、ネットワークを介してトラッキングシステムへ情報がリレーされる。FOUP内の電子モジュールをRFID送受信装置と接続することにより、電子モジュールからのデータをネットワークへ送ることができ、そのネットワークでデータにアクセスすることが可能となる。
【0010】
処理システムは処理システム内でPCMDを移動させることができる位置合わせモジュールであってもよい。回転段またはPCMDの視野計を支持しているホイールによってPCMDの垂直方向の運動と回転運動とを行うことができる。PCMDを上げることによって、電子モジュールとのより好適な結合が可能となる。PCMDの下面と接触する移動用ベルトまたはホイールによってPCMDの横運動を行って、PCMDを移動させ、PCMDが所定の位置に入るようにすることが可能となる。
【0011】
PCMDはその表面にパターンを形成することができ、このパターンによってPCMDの配向を決定することが可能となる。PCMDの表面の端面に印刷されたグレイコードは、PCMDの回転配向の決定を可能にすることができる。調査時にPCMDを送る前およびPCMDが戻った後にPCMDの配向を知るために、グレイコードリーダを処理システムにインストールすることができる。このようなシステムは、リーダに対するPCMDの移動を必要とせずに配向の決定を図ることができる。
【0012】
PCMDは、部品の高温作動を可能にする温度補正回路を備えたものであってもよい。クロック回路内の発振器は、温度変化につれて、発振器がその指定温度の範囲以上でも機能を続けるようにそのバイアスを調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】プロセス条件測定装置(“PCMD”)100の平面図である。
【図1B】PCMD100内の部品を描写する図である。
【図1C】PCMD100内の単一の部品の横断面図である。
【図1D】グレイコード符号化を伴うPCMD100の実施形態を示す平面図である。
【図1E】中心軸199のまわりを回るPCMD100を示す。
【図2A】処理システム(“HS”)200の後面の透視図である。
【図2B】HS200の前面の透視図である。
【図2C】基板搬送装置と処理用チャンバ間で基板を転送するロボットを有する処理用ツール260である。
【図2D】処理用ツール260の断面図である。
【図3A】PCMD100の実施形態の横断面図である。
【図3B】PCMD100の別の実施形態の横断面図である。
【図4A】図3Aに示す横断面図を実行するステップを描くフローチャートである。
【図4B】図4Aに示す横断面図をつくるステップを描くフローチャートである。
【図5A】コイル508を誘導的に充電するE−コイル510の断面図である。
【図5B】磁気導電層555を用いてコイル508を誘導的に充電するE−コイル510の断面図である。
【図6】高温圧電水晶発振回路660の回路図である。
【図7】4つの送信機728〜731を備えたPCMD700を示す。
【図8A】処理システム880を示す。
【図8B】グレイコード850を備えたPCMDの一部を示す。
【図8C】位置合わせモジュール881を示す。
【図8D】正位置にPCMD800を備えた処理システム880を示す。
【図8E】上昇位置にPCMD800を備えた処理システム880を示す。
【図8F】PCMD800を備えた位置合わせモジュール881を示す。
【図8G】横方向にPCMD800を移動させる位置合わせモジュール881を示す。
【図8H】PCMD800を上げ、回転させる位置合わせモジュール881を示す。
【図8I】PCMD800へ向かって垂直方向に移動するE−コイル810を示す。
【図9】PCMD900、処理システム980およびソフトウェアアプリケーション987間での種々の通信システムを示す。
【図10A】PCMDの部品を保護する蓋部の様々な例を示す。
【図10B】PCMDの部品を保護する蓋部の様々な例を示す。
【図10C】PCMDの部品を保護する蓋部の様々な例を示す。
【図10D】PCMDの部品を保護する蓋部の様々な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1つの実施形態の測定システムでは、ウェハ、すなわち基板の種々の位置におけるプロセス条件が測定され、プロセス条件の将来の送信やダウンロードのためにこれらの位置がメモリ内に記録される。処理用チャンバがデータ送信能力を有するウィンドウを備えた測定システムの別の実施形態では、前記システムはリアルタイムでプロセス条件をデータ処理装置へ送信する能力をさらに有する。
【0015】
図1Aは、本発明の1つの実施形態であるプロセス条件測定装置(“PCMD”)100を示す。PCMD100は処理測定システムの一部であり、この処理測定システムのその他の構成要素については図2を参照しながら後程説明する。PCMD100はシリコンウェハ、ガラス基板などの基板や、当業者には周知のその他の基板を備える。(平面図では見ることはできない)基板102は好ましくはシリコンウェハが望ましく、任意の直径のものであってもよいが、好ましくは8,10または12インチの直径のウェハであることが望ましい。
【0016】
複数の構成要素が統合化されて、PCMD100が形成される。センサ124は、PCMD100のまわりに分散されているため、基板面の両端にわたって種々のプロセス条件における勾配を検出する能力を持っている。センサ124は導電性トレース120を介してマイクロプロセッサ104と接続される。導電性トレース120は好ましくはアルミニウムを含むことが望ましいが、任意の導電材であってもよく、PCMD100の構成にはこの導電性トレースが含まれ、またその他の部品については図3と図4を参照しながら後程説明する。マイクロプロセッサ104は、好ましくはプロセス条件並びにPCMD100の処理動作に必要な別の命令を格納するフラッシュメモリセルを含むことが望ましい。しかし、フラッシュメモリやその他のタイプのメモリは、マイクロプロセッサ104の必須部品ではなく、前述したのとは別の単体のEPROMやEEPROMの一部であってもよい。クロック水晶振動子132はPCMD100の種々の処理動作時に用いられるタイミング信号を生成する。送信機128は、好ましくはデータ送信用発光ダイオード(LED)を備えることが望ましい。送信機108の周りには、データを受信し、電源1112Aと112Bとを誘導的に充電するように機能する無線周波数(RF)誘導コイル108が設けられる。本発明の1つの実施形態では、送信機128は送受信装置としても機能し、データの送信のみならずデータの受信も行うことが可能である。さらに、コイル108は受信機としてだけでなく、送信機としても機能することが可能である。したがって、コイル108は、データと電力の双方を受け取ることも可能な受信用ユニットとして機能することが可能となる。
【0017】
例示された実施形態では、電源112Aと112BとはPCMD100の中心から等距離の位置にある薄膜リチウムイオンバッテリである。この0.25mm厚の薄形電源は製造ウェハと同様の0.70mmの厚さを持つ薄形PCMDの構造全体をサポートし、この薄形PCMDの構造は、通常ウェハ処理手順で用いられるロボットアームと互換性を有する。これらの電源は、同様に誘導的充電が行われる医療用の皮下注入用電源として従来からあるありふれたものである。電源112Aと112Bとは、180℃周辺のほぼリチウムの融点までの温度で連続的に作動する能力を有する。図1Dと図1Eに示す電源112A,112Bの等距離の間隔によってPCMD100のバランスが保たれ、これはPCMD100が処理モジュール内で回転できる状況では有利である。図1Eは、PCMD100の中心を貫通するPCMD100の中心軸199を示す。中心軸199はPCMD100の表面198に対して垂直である。PCMD100の重心は中心軸199に沿って存在する。中心軸199はPCMDが処理モジュール内で回転するときの回転軸線である。バッテリ112Aと112Bとは中心軸199から等距離の位置にあり、かつ180°離れている。したがって、バッテリ112Aと112Bとが同じ容量のものである場合、これらバッテリの合成された重心は中心軸199に沿って存在することになる。さらに、可能な限り均一な容量の熱プロファイルを保持するためにその他の部品が設けられる。部品と基板とを種々のプロセス条件から保護するために、特に、パッシベーション層116とオプションのシールド層とがPCMD100の部品から形成される。PCMD100を形成する層については図3と図4を参照しながら後程さらに詳細に説明する。
【0018】
図1のコイル108は基板内のキャビティ内に配置してもよい。コイル108を極度に細いものにして、コイル108がPCMD100の高さ全体に付加されないようにしてもよい。例えば、図5Aは、誘導充電中のコイル508の断面を示す図である。この例では、コイル508は次第に大きくなる半径を有するいくつかの巻線を備えたものである。しかし、コイル508は高さの点では唯一の巻線であるため、コイル508の厚さは巻線に使用される導体の厚さとほぼ同じものとなる。コイル508は、図1Aに示されているように、ウェハの中央に配置してもよい。図5Aは、基板502内のキャビティ550内の同様のコイル508を示す。図5Aは、電子モジュール508に配置されたE−コイル510と関連するコイル508の位置を示す。E−コイル510を用いてコイル508の巻線に電流を誘起することによりPCMD100への電力供給を行うことができる。E−コイル510を用いてコイル508へデータを送信することもできる。したがって、誘起された磁場を利用して電力とデータの双方がPCMD100へ送信されることになる。E−コイル510は、通常13.56MHzの周波数でRF磁場を出力する。コイル508の軸線がPCMDの中心を貫通するようにコイル508を配置する1つの利点として、コイル508をE−コイル510などの外部ユニットと簡単に位置合わせを行うことが可能であるという点が挙げられる。というのは、PCMD100の回転配向がコイル508の位置に影響を与えないからである。したがって、E−コイル510は電力とデータの双方を送信することができる送信ユニットとして機能できることになる。
【0019】
図5Bは、磁気導電層555を有するコイル508を示す。磁気導電層555は、フェライト材料からつくられたものであってもよい。誘起された磁場が磁気導電層555に集中されるため、基板502内の磁場は最小化される。基板502がドープされたシリコンなどのような導電材からつくられたものである場合、磁場の最小化は特に都合のよいものとなる。このRF磁場が導電性基板の中へ延在するとき、基板内で変化する磁場によってエディ電流が誘起される。これらのエディ電流はRF磁場を散逸し、結果としてE−コイル510とコイル508との間で低効率の電力伝送が行われる。さらに、導電性基板の中を通って流れるエディ電流が基板を加熱する可能性もあり、PCMD100が損傷を受けることも考えられる。
【0020】
クロック水晶振動子132は、圧電水晶発振回路の一部である。図6は、本願で使用可能な高温圧電水晶発振回路660の一例を示す図である。高温圧電水晶発振回路660は、従来形の圧電水晶発振回路661およびバイアス用回路670から構成される。従来形の発振回路661には水晶子632、増幅器662並びにコンデンサ663と664が含まれる。水晶子632がCPUの外部に存在するのに対して、増幅器662およびコンデンサ663と664はCPU604の内部に存在する。バイアス用回路670は、CPU604内にカウンタ671、リング発振器672並びにバイアス制御ユニット673を備える。さらに、バイアス用回路670は、バイアス制御ユニット673の制御下にある水晶子と接続可能な一連の抵抗器675を備える。抵抗器675はCPU604の外部に存在する。
【0021】
増幅器662は発振器信号を保持するために正帰還を行う。増幅器662などのような製品化された市販のICで利用可能な増幅器が、例えば、0〜85℃などの或る一定範囲の温度にわたって機能するものとして指定される。この温度が指定範囲よりも高くなった場合、従来形の発振器回路661はもはや正確に機能しなくなることがある。増幅器における部品のしきい値電圧はシフトする場合があり、このシフトによって、最終的に発振の中止や開始が生じて、故障を引き起こす原因となる。増幅器662は、その指定温度の範囲内で作動しているとき、50%のデューティサイクルで信号を生成する。温度の上昇とともに、このデューティサイクルは上昇し、次いで、デューティサイクルが100%に近づくにつれて、従来形の発振器回路661は機能を中止する。
【0022】
バイアス用回路670は、増幅器662の入力信号にバイアスをかけることによりこの問題を解決して、50%のデューティサイクルの維持を図るようにするものである。カウンタ671はリング発振器672からの入力信号を用いて、デューティサイクルを決定する。カウンタ671は、増幅器662の“オン”出力段の間、リング発振器672のクロックサイクル数をカウントする。次いで、カウンタ671は、増幅器662の“オフ”出力段の間、リング発振器672のクロックサイクル数をカウントする。そのカウント値はバイアス制御ユニット673へ送信され、このバイアス制御ユニット673でデューティサイクルが決定される。これらのカウントが等しければ、デューティサイクルは50%となる。“オン”出力段のカウントが“オフ”出力段のカウントを超えた場合、デューティサイクルは50%を越えることになる。リング発振器672の周波数の方が従来形の発振器回路661の出力信号の周波数よりも大きくなる。一般に、従来形の発振器回路は約32kHzの出力周波数を有するのに対して、リング発振器は約400kHz〜4MHzの出力周波数を有する。リング発振器672は高温時に周波数の変化を被る可能性がある。しかし、2周期の出力信号が比較されるため、所定の周期にわたる出力信号の絶対値がデューティサイクルの決定に影響を与えることはない。
【0023】
デューティサイクルが50%を越えたと判定された場合、バイアス制御ユニット673はバイアス入力信号676を変更して、デューティサイクルを下げることができる。このデューティサイクルの低下は複数の方法で行うことも可能である。図6に示す例では、異なる抵抗からなる一連の抵抗器675がバイアス電圧とバイアス入力信号676との間で接続される。使用するバイアス電圧はCPUチップのVccであってもよい。このようにして、増幅器662の入力側の電圧と電流のデューティサイクルを50%へ戻すように制御することが可能となる。この技法を用いて、CPUチップ604の前述した上限(85℃)から150℃もの高温まで高温圧電水晶発振回路660の有効温度の範囲を拡張することができる。これによってPCMD100は、規格部品を利用しない場合にはカスタム部品を要求するという条件で規格部品を利用することが可能となる。抵抗器675を使用する代わりに、別の同様の手段を用いてインピーダンスを変更し、バイアスの変更を行うようにする。これらの代替手段には、電子分圧計、トランジスタ、電圧抵抗器ネットワークが含まれる。
【0024】
図1Aに示す送信機128を用いてPCMDからデータを送信することができる。この場合、送信機128はLEDである。この送信方法は、コイル108を介してRFを用いる方法に比べて、さらにエネルギー効率のよいデータを送信する方法である。PCMDから送信を行う場合、エネルギー効率が重要であるのに対して、PCMDへのデータ送信の場合、一般にRFを使用できるようにするのにエネルギーはそれほど重要ではない。図1Aに示す例では、送信機はPCMDの上面の中心に配置される。LED128を中心に配置することにより、LED128を外部の任意の受信機とのさらに容易な位置合わせが可能となる。というのは、PCMD100が回転しても、外部の受信機に対するLED128の位置は変動しないからである。このことは、何らかの環境で生じる場合があるように、PCMD100が調査中に回転する場合に重要となる場合がある。
【0025】
図7に示す別の実施形態では、4つの送信機728〜731がコイル708の周辺に配置されている。この例は、LEDを送信機728〜731としても使用するものである。複数のLEDを使用することによって、電子モジュール778内の受信用ユニット777は、受信用ユニット777をPCMD700の中心と位置合わせしない場合であっても良好な信号受信が可能になる。(図1に示されているように)PCMDの中心に1つのLEDを使用し、しかも、電子モジュール内の受信用ユニットを中心からオフセットする場合、不良信号を受信したり、信号を受信しなかったりする場合が生じることになる。というのは、LEDが限定された円錐形で光を指向させるからである。受信用ユニット777がオフセットされる場合もある。というのは、E−コイルがPCMDの中心をカバーする空間を占有するからである。したがって、受信用ユニット777のオフセット位置にLED728〜731のうちの1つのLEDを位置合せすることが望ましいことになる。この位置合わせは、1つのLEDがPCMD700の回転配向に関係なく受信用ユニットよりも下に存在するように、2以上のLED(この例では4つのLED)を必要とする。しかし、エネルギー効率を上げるためには唯一のLEDを介して送信を行うことが望ましい。したがって、データ送信に最適のLEDを決定する技法が提供される。
【0026】
最適のLEDは、電子モジュール708とPCMD700間のハンドシェーキングルーチンの部品として決定される。まず電子モジュール708はRFコイル708を介してPCMD700へ信号を送信して送信を開始するようにPCMD700に命令する。PCMD700はLED728を用いて送信を開始する。電子モジュール708が所定時間後信号を受信しなかった場合、送信を要求して別の信号がPCMD700へ送信される。PCMD700はLED729を用いて送信を行う。受信用ユニット777が信号を受信しなければ、LED730が使用される。LED730から信号が受信されなければ、731が用いられる。LED731が受信用ユニット777のすぐ下にあるため、信号が受信され、LED731が最適LEDとして特定される。次いで、PCMDは、最適LED731のみを用いるため、他のLED728〜730のスイッチをオフにしてエネルギーの節減を図ることができる。単複の受信用ユニットの構成に応じてさらに多くのLEDを使用してもよい。LEDは、データを送る場所に応じて異なる位置にかつ異なる方向に配列してもよい。
【0027】
データ量およびPCMDの測定時間を最大化するためには、電源の限定された記憶容量を効率良く利用することが望ましい。起動するセンサグループはユーザによる選択が可能であり、これらのグループは必要な場合にのみ起動される。選択されたグループからの出力信号は多重化され、選択された間隔でメモリ内へ書き込まれるにすぎない。出力信号を圧縮して、データの格納に必要な時間およびエネルギー量の最少化も図られる。
【0028】
本願明細書に定義されているように、“プロセス条件”とは集積回路の製造時に使用される種々の処理用パラメータを意味する。プロセス条件には、半導体製造の制御に用いる任意のパラメータや、製造業者がモニタすることを望むような任意の条件として、例えば温度、処理用チャンバの圧力、チャンバ内のガス流量、チャンバ内のガスの化学組成、チャンバ内の位置、イオン電流密度、イオン電流エネルギー、光エネルギー密度並びにチャンバ内での或いはチャンバ間での往復運動中のウェハやその他の基板の振動と加速などが含まれるが、これらのみに限定されるわけではない。ここ数年にわたって必然的に様々な工程が開発され、したがって、プロセス条件も時間の経過に伴って変動することになる。したがって、条件がどのようなものになっても、説明された実施形態が前述したような条件を測定できるようになることが予想される。
【0029】
周知の半導体トランスデューサの設計に基づいて種々のプロセス条件の検出に用いるセンサ124が基板102にマウントされたり、組み立てられる。温度測定用として、ポピュラーなトランスデューサには温度係数を有する薄膜抵抗器材料を含むRTD、すなわちサーミスタがある。磁気抵抗材料を用いて、基板102に作用する磁束量を通じて温度の測定を行うことも可能である。抵抗検知材料の末端(サーミスタまたは磁気抵抗材料のいずれか)の間で抵抗から電圧への変換器を基板内に形成する場合が多く、それによって温度スケールと電圧との相関づけを容易に行うことも可能となる。別の例示の温度センサは、基板層内にリソグラフィによって形成された2つの異種の導体からつくられた熱電対を備えている。導体間の接合部が加熱されると、小さな熱電電圧が生成され、この熱電電圧が接合部の温度とともにほぼ直線的に上昇する。温度センサの別の例として、温度とともに上昇する電圧を生成するダイオードを備えた温度センサがある。正電源と負荷抵抗器との間にダイオードを接続することにより、負荷抵抗器から電流から電圧への変換を行うことができる。別のセンサとして、発振周波数に対応する温度を示す水晶配向でカットされた水晶から製造される水晶チューニング用フォークなどの圧電素子がある。配向された水晶から製造される水晶チューニング用フォークなどの圧電素子によって形成されるマスタ発振器に対してセンサの発振周波数を参照しながら、温度とともに周波数の変化を最小化することができる。センサとマスタ発振器間の周波数の差によって、信号に依存する直接デジタル温度が出力される。圧電形センサを用いて大量の変化を検知し、成膜量および成膜速度または別のプロセス条件を測定することも可能である。
【0030】
単体のセンサか、基板102の層内に一体に形成されたセンサのいずれかのセンサとしてセンサ124を用いて、基板102の両端にわたる選択領域における圧力、力或いは歪みを測定することも可能である。ウェハに作用する大気圧の測定が可能な多くのタイプの圧力トランスデューサが存在する。適切な圧力トランスデューサはダイヤフラム式トランスデューサを備え、ダイヤフラム、すなわち弾性エレメントによって圧力が検知され、次いで、ダイヤフラムまたはダイヤフラムの後でキャビティと接続されたブリッジ回路によって読み出しが可能な対応する歪みや偏向が生成される。別の適切な圧力トランスデューサは、基板102の半導体基板内に配置されたピエゾ抵抗材料を含むものであってもよい。ドーピング用化合物が基板の中へ拡散することによってピエゾ抵抗材料が形成される。この結果生じるピエゾ抵抗材料は、このピエゾ抵抗材料に作用する圧力或いは歪みの量に比例する出力電流を生みだすものである。
【0031】
センサ124を用いて基板102の両端にわたる流量の測定も可能である。さらに、湿度センサと湿気センサとを基板102上に形成することも可能である。流量を測定する周知の方法である熱線の風速計を基板102の中へ組み込んでもよい。流体速度は流線形の流体フローが基板102上または基板102内に位置する非流線形の障害物に当たる際に生じる渦発生周波数に基づいている。流量の測定は、一般に障害物のいずれかの側における特別の渦の形成を含むものとなる。したがって、交番する圧力差が2つの側部の間に生じることになる。あるしきい値(このしきい値未満では渦の生成は行われない)以上では周波数は流体速度に比例する。交番する圧力差を検出する多くの方法のなかで、好ましくは障害物の2つの側部の間の小さなチャネルにホットサーミスタを配置することが望ましい。大文字の (capitalized)チャネルの中を通るフローの交番方向によって自己加熱サーミスタが周期的に冷却され、それによって渦周波数の2倍でAC信号および対応する電気パルスが生成される。したがって、サーミスタの正面で基板102から突き出る障害物は、固体素子の流量測定値を出力することができる。互いに近接して配置された自己加熱サーミスタの間で熱の転送を行うことができる。流体のフローによって隣接するサーミスタ間で熱エネルギーが転送され、多量のフローに比例して熱インバランスが生じる原因となる。2または3以上の隣接するセンサが配列され、ベクトルに沿ってフローの測定を行うことが可能である。或いは複数のフローベクトルを検知するようにしてもよい。熱インバランスを検出して、多量のフローと関連するDC信号を生成することも可能である。複数の方向のフローを比較してフローベクトルを検出することもできる。
【0032】
基板102上に配置されたセンサ124を用いてガス化学品濃度を測定することもできる。化学組成センサは、測定対象の特定のイオンに対して透過性を有する膜を利用する。理想的には、この膜は他のすべてのイオンに対して完全な不透過性を有することが望ましい。膜導電率は、膜を透過する選択イオンの輸送量に直接比例する。膜導電率の変動度を与えると、周囲を囲繞する基板102の範囲内に存在する化学品のイオン量と直接相関する測定値を受け取ることが可能となる。
【0033】
センサ124を使用して、並列プレート構造、収集用プレートのアレイ並びに収集用プレートの上方に支持されている制御グリッドを備えた収集用プレートを用いてイオン電流密度とイオン電流エネルギーとの測定を図ることも可能である。並列プレート間で流れる電流或いは収集用プレートのアレイへ流れる電流は、イオン電流密度とともに上昇する。一定のDC電位または変動するDC電位を印加することにより、プレートの上方にあるグリッド上でイオン電流エネルギーを検出することが可能となる。これはイオン電流エネルギーを用いて電流を変調し、検出対象のエネルギーの配分を可能にすることになる。このエネルギー配分は、成膜工程やエッチング工程をモニタし、調整する際に有用である。
【0034】
圧電形トランスデューサ/センサを基板102内へ統合化して、層の共振周波数、したがって層の質量や層の厚さを測定することも可能である。
【0035】
さらに、センサ124を用いて、基板102から離間して配置された物体の位置や変位の変化を検出することもできる。例示の変位トランスデューサには、光子エネルギー(すなわち強度)を測定し、光エネルギーを電界または電圧に変換できる光電素子を備える。比較的良く知られている光電素子には、発光ダイオード、フォトダイオード、フォトトランジスタなどが含まれ、基板内に内蔵された或いは基板面に配置された半導体基板や単体の素子上にこれらの素子を形成することができる。変位センサを利用して、エッチング室または成膜室内に隔置された電極に関する正確な情報を提供し、さらにウェハと、対応するマスクおよび/または放射源間の間隔情報を提供することもできる。
【0036】
図1Bは、基板102内のPCMD100のいくつかの部品を示す。図1Bは、PCMD100の真の横断面図ではなく、センサ124、発振器132、マイクロプロセッサ104、電源112、抵抗器113並びにコンデンサ115などの部品をPCMD100内に形成された凹部内に配置する方法を例示する役目を果たす図にすぎない。これについてのさらなる詳細は図1Cに示され、ここで構成要素140は、基板102(および基板102上の別の層)内のキャビティ142と接着材144で付着される。ボンドワイヤ148は図1Aに示す導電性トレース120を用いて部品140を電気的に結合する。ボンドワイヤ148と部品140とは封止材152によってカバーされる。
【0037】
図1Dは、端面周辺のグレイコード符号化150を用いてPCMD100の実施形態を例示する図である。このグレイコード符号化を利用して、基準軸線に関するPCMDの位置や回転が決定され、このグレイコード符号化については後程さらに詳細に説明する。
【0038】
図2Aと図2Bは、PCMD処理システム(“HS”)200を例示する図である。一般的に言えば、処理システム200は、ユーザインタフェース並びにマイクロプロセッサとメモリとを含む種々の電子部品であり、PCMDの構成、再充電および輸送用データを複数のPCMD間で往来させて転送する電子部品を備えたシステムである。
【0039】
カセット204は、いくつかのPCMDを収納することができ、処理用チャンバの開口部に配置されたり、多数の処理用チャンバを有するツールに配置されたりして、ロボットアームがカセット204の種々のスロット250のうちの1つのスロット内でPCMDを自動的に配置したり、取り外したりできるようにするものである。カセット204は、ある範囲のツールと互換性を有する標準的カセットである。前述したのとは別に、PCMDが使用される設備内で利用される機械的自動化と互換性がある限り、改変されたカセットの使用も可能である。図2Aは、HS200の後部または処理側を例示する。PCMDが挿入され、次いで処理側から取り外される。1つのPCMD100が電子モジュール208のすぐ下および充電用基板216の上方に示されている。PCMDがカセット内に配置されると、その電源は電子モジュール208と充電用基板216とによって誘導的に充電される。誘導充電率を高めるために追加の充電用基板を押す/引くの構成で設けてもよい。これまで説明した実施形態は誘導充電を利用するものであるが、別の実施形態は充電用およびデータ送信用として光学素子を利用するものであってもよい。但し、これらの光学素子を用いる場合、適切な再充電とデータ送信を行うための位置合わせがさらに重要なものとなる。いずれの実施形態でも、PCMDは周辺機器の周りにグレイコード符号化を含むものであってもよく、さらにHS200は、カセット204でグレイコード符号化(図1D)を行いながら、PCMDの位置合わせを検出する光センサを備えたものであってもよい。したがって、ウェハはデータの再充電とデータ送信を行うための最適の位置合わせを行うことが可能となる。さらに、出発したときとは異なる位置合わせでPCMDが戻ってきた場合、このことはPCMDが処理用チャンバ内で若干量回転した可能性があること、したがって、チャンバや別の環境から収集したプロセス条件データを分析する際、この回転を考慮すべきであることを示すものである可能性がある。
【0040】
基板は、一般に格納され、カセット204などの基板搬送装置で輸送される。処理用ツールは特定の標準基板搬送装置に適合される。典型的なツールは、基板搬送装置からツールを介して元の基板搬送装置へ戻る基板を移動させるロボットを備える。設備内の基板搬送装置は交換可能であり、ロボットが基板搬送装置に合わせて較正可能で、再較正を行うことなく同様の基板搬送装置を用いて動作を続行できるようになっている。1つのツールから別のツールへ基板搬送装置を移動し、個々のツール内のロボットが基板搬送装置の間を往来する基板を輸送することができるように、単一の基板搬送装置規格が用いられる。
【0041】
図2Cは、処理用チャンバ269へ基板を転送するロボット261を備える処理用ツール260の図を示す。ロボットは、基板264をピックアップできるアーム262の端部に取り付けられたブレード(またはエンドエフェクタ)263を備えた機械的アーム262を有する。基板264をピックアップするためにブレード263を基板264の下に延設できるように、基板264は基板搬送装置265の中に把持される。基板264をリフトするためにブレード263を上げてもよいし、或いはブレード263上へ基板264を下げてもよい。ブレード263が基板264をピックアップできるようにするために、基板264の位置が重要となる。一般に、基板搬送装置はマルチスロットを有し、個々のスロットは1つの基板を保有している。スロットが一方の側部に開かれ、基板の取り外しが可能になる。スロットによって基板の位置が確定される。特に、カセットの底面の上方にある基板の高さが確定され、基板のピックアップを可能にする。プラットフォーム上にカセットの底面を配置してもよく、さらにプラットフォームの上方にある基板の位置が正確に確定される結果、ロボットによる基板の自動的なピックアップが可能になる。
【0042】
図2Dは、基板264が基板搬送装置265内にある間、基板264の下に延在しているブレード263を示す処理用ツール260の側面図を示す図である。基板搬送装置265の底面266の上方にあるブレード263の高さが確定される。個々のスロットによって基板の位置が確定され、基板に接触することなくブレード263を基板間に挿入できるようになる。処理用ツールロボットは標準基板搬送装置に合わせて一般に較正され、その結果基板をピックアップしたり、任意のスロットヘ基板をはずしたりすることができるようになる。特定の設備の至る所で標準基板搬送装置が用いられ、それによって種々のツールが標準基板搬送装置に合わせて較正されることになる。したがって、同じ位置でロボットに対して基板が繰り返し示されることになり、1つの基板搬送装置から別の基板搬送装置への再較正は不要となる。これらの較正された位置のうちの1つの位置でロボットに対してPCMDを示すことは、あたかもPCMDが標準基板であるかのようにPCMDの転送を可能にする。このようにしてPCMDを示す基板搬送装置を用いて単一ユニット内に電子モジュールを組み込むことにより、データが交換され、自動化された方法でPCMDを再充電する都合のよい位置が提供される。
【0043】
実施形態によっては、前面開口形単一化ポート(FOUP)などのカセット204以外の基板搬送装置としてHSを使用するようになっているものもあり、このようにしてPCMDを格納し、輸送し、充電することができる処理システム(すなわちドック)が形成され、この処理システムでは、データの交換も可能である。図8Aは、このような処理システム880の一例を示す図である。FOUPは300mmウェハを処理する業界規格の搬送装置である。FOUPおよび300mmウェハ双方の仕様はSEMIにより確定された業界規格により設定されている。FOUPは、特にHSの一部として使用するのに適している。FOUPはウェハを把持し、広範囲の半導体処理および計測機器と互換性を有するように設計されている。FOUPはPCMDを保護し、PCMD用のクリーンな環境を提供して、PCMDがターゲット環境の中へ持ち込まれる可能性がある汚染をピックアップしないようにする。特定のピースの機器用として処理システム880が装荷ステーション側に配置されていれば、処理システムから、再構成を必要とすることなく300mmウェハ用として使用する同じロボットが使用される処理用チャンバなどのターゲット環境へPCMDを自動的に転送してもよい。したがって、PCMDの処理を300mmウェハの処理と同一にすることができることになる。同様に、処理システム880の処理はFOUPの処理と同一であってもよい。PCMDは、指定された時間中、例えば、ある特定の工程レシピ中にターゲット環境における条件を測定し、記録する。次いで、PCMDは自動的に処理システム880へ戻る。1つのピースの機器から別の機器への処理システム880の転送を自動化こともできる。したがって、PCMDと処理システム880との組み合わせによって、人間が少し介在し、製造環境に対する障害がほとんどなく、かつターゲット環境に対する最低限の汚染しか伴わずに、PCMDをその宛先へ配送することが可能になる。
【0044】
処理システム880の内部では、電子モジュール208と類似の電子モジュール808をマウントしてもよい。電子モジュール808にはバッテリ、E−コイル、データ受信用ユニットが含まれる。PCMD800は電子モジュールに隣接して配置してもよく、この例では、PCMD800は電子モジュール808よりも下にある。この位置で、PCMD800は電子モジュールからRF電力とRFデータ信号とを受信することができる。PCMD800は、LEDによって電子モジュール808へデータを送信することができる。
【0045】
処理システム880は、PCMD100を観察し、その回転配向を決定するために光学的リーダを備えたものであってもよい。従来技術では、フラットファインダまたはノッチファインダの中でウェハが回転して、所望の回転配向でウェハの位置合わせが行われる。フラットファインダは通常、ウェハのエッジに向けられた1組の光センサの上方においてフラットの軸線のまわりでウェハを回転させる。これらのセンサは、ウェハのフラット(またはノッチ)が通過するとき、ウェハのフラット(またはノッチ)を検出し、それによって、回転配向を決定する。次に、ウェハは再び位置合わせを行うことができる。したがって、ウェハとセンサ間での相対運動が必要となる。PCMDの表面にグレイコードを使用し、固定した光学的リーダを設けることにより、ウェハと光学的リーダとの間で少しの相対運動も伴うことなくウェハの回転位置を決定することができる。
【0046】
図8Bは、グレイコード850を設けたPCMD100の端面の断面部を示す図である。グレイコードはウェハのエッジにおける位置を一意に特定するパターンを出力する。一般に、グレイコードは、連続するワードがわずか1ビットで変化するコードである。ウェハ面でこのグレイコードは、成膜層のパターン化により作成された明領域と暗領域間の変化によって表される。A−A’またはB−B’などの半径に沿ってワードを読み取ることができる。A−A’で読み取られたワードは1,1,1,0になり、B−B’で読み取られたワードは1,0,1,1になり、ここで明は1を表し、暗は0を表す。この例は、4ビットのワードを用いる例である。8または9ビットのワードを使用することにより、より良好な分解能が可能となる。というのは、さらに多数の一意の位置の特定が可能となるからである。例えば、8ビットを用いれば、256個の異なる一意の特定位置を表すことが可能となる。直線アレイなどのリーダを利用して、リーダの位置における一意のワードのみならず、ウェハのエッジの位置における一意のワードも確定される。2つのこのようなリーダを用いて、ウェハの回転配向およびウェハの中心位置を発見することができる。センサを配置したPCMDの領域の外側にグレイコードを配置して、センサがグレイコード領域に入射しないように、さらにグレイコードがセンサに影響を与えないようにしてもよい。前述したのとは別に、センサがグレイコード領域に入射した場合、少なくとも1つのリーダがグレイコードを読み取ることができるように、リーダを配置してもよい。例えば、PCMDの端面の近くで60°離間してセンサを配置する場合、リーダを90°離間して配置することができ、その結果として一方のリーダをセンサと位置合わせする場合でも、他方のリーダが明瞭な読み取りを行うことになる。双方のリーダがそのままPCMDの端面の位置を読み取り、それによってPCMDの中心位置を確定できるようにすることが望ましい。
【0047】
グレイコードを使用する回転配向の決定にPCMDの回転が必要でない間、別の理由のためにPCMDの運動が望ましい場合もある。PCMD800と電子モジュール808間の磁気結合は、それらの間の距離が短くなるにつれて改善する。PCMD800と電子モジュール808との中心位置の間の改善された位置合わせによって結合の改善が可能になる。結合が改善した場合、エネルギー移動がさらに高速になり、それに応じてPCMD800の再充電時間を短くすることができる。PCMD800が正確に配置されていれば、通信の改善も可能となる。したがって、電子モジュール808に対する最適位置へPCMD800を移動させることは価値のあるものになる。PCMD800の特定の回転配向を選択できるようにするために、PCMD800の回転が望ましい場合がある。一般に、1つの調査から別の調査へ移る場合も同じ配向を維持することが望ましい。このようにして、毎回個々のセンサによって同じ位置でデータの収集が行われるため、1つの調査から得たデータを別の調査から得たデータと正確に比較することが可能となる。加熱用ゾーンにわたる特定のPCMDセンサの測位のような処理用チャンバエレメントとの位置合わせのためにPCMD800を回転させて、PCMDの温度プロファイルを加熱ゾーンと相関づけることが必要な場合もある。時として調査間でPCMDの回転配向を変更することが望ましい場合もある。PCMDは個々のセンサ間での変動に起因して生じるある固有の不均一性を有するものであってもよい。異なるPCMDの配向で多数の調査を実施することによってこのような均一性の影響を低減したり、省いたりすることが可能となる。例えば、PCMDは、第1の配向で、次いで、第1の配向からオフセットされた90°、180°および270°で調査を実施してもよい。次いで、これらの調査から得られたデータを平均して、さらに正確な結果を出すこともできる。
【0048】
図8Cは、処理システム880などの処理システム内でPCMDを移動させることができる位置合わせモジュール881を示す。位置合わせモジュール881は別の部品を取り付けるための剛直プラットフォームを形成する基礎構造884を備える。基礎構造884は、処理システム内にスロットを適合させるように設計される。例えば、処理システム880が300mmのシリコンウェハ用の大きさである場合、基礎構造884はほぼ300mmの直径を持つディスクであってもよい。しかし、基礎構造はシリコンウェハよりも厚いものにしてもよい。というのは、基礎構造はスロット内でまたはスロットの中から移動させる必要がないからである。基礎構造884は金属やプラスチックのような強い、剛直な材料からつくられたものであってもよい。
【0049】
ハウジング887は基礎構造884の上面にマウントされる。回転段883とアーム888とがハウジング887の上面から延伸する。ハウジング887は、回転段883とアーム888とに何らかの支持部を設けて、ハウジング887内に密封された可動部が生みだすすべての粒子に対するある封じ込めを行うこともできる。
【0050】
アーム888は、ハウジング887の中へ後退させたり、アーム888がハウジング887から突き出るように伸ばしたりすることが可能な可動部である。アーム888は電子モジュールから出されたコマンド信号に応答して電気モータにより動かすことが可能である。アーム888の端部にはベルト882が設けられている。ベルト882はホイールまたは軸受の周りを通過し、それによってアーム888の端部の周りを回転できるようになっている。前述したのとは別に、ベルト882の代わりにホイールを単独で使用してもよい。別の例では、アーム888のような軸回転アームの代わりに、ポストを使用してもよい。このようなポストは、ホイールまたはベルトがその上面から延伸して垂直方向に移動する。前述したのとは別に、PCMD800を上げて、その視野計の周りでホイールによってPCMD800を支持するようにしてもよい。ウェハ視野計で押し上がるホイールはPCMD800を上げることができるため、ホイールはFOUPまたはカセットレッジの上方で浮動していることになる。ホイールを回転させることにより、V字形スロットの中へホイールを駆動し、次いで指定した距離だけホイールを後退させて元に戻すことによりPCMD800を中心に置くことができる。次いで、所望の回転角までPCMD800を回転させることができる。
【0051】
回転段883は、ハウジング887の上面の上方に突き出たディスクである。回転段883は回転するものであってもよく、さらに縦方向に延伸するものであってもよい。回転は上昇位置および下降位置の双方の位置で可能であるが、一般に上昇位置で行われる。
【0052】
ロボットブレード検出器886は基礎構造884にマウントされる。ロボットブレード検出器886は、その視野内に物体の存在を検出することができる光学的検出器であってもよい。ロボットブレード検出器886は、ホストシステムからロボットブレードを延伸できる場所にその視野を配置するように配置される。
【0053】
図8Dと図8Eは、処理システム880の範囲内に配置された位置合わせモジュール881を示す。基礎構造884は、位置合わせモジュール881を支える処理システム880のスロットの中へ延在する。安定したプラットフォームを提供するために基礎構造884はこの位置に固定されたものであってもよい。電子モジュール808は位置合わせモジュール881の上方に配置される。PCMD800は位置合わせモジュール881と電子モジュール808との間に存在する。図8Dは、正位置のPCMD800を示す。PCMD800の端面は、処理システム880の範囲内に設けられているシェルフ上に残っている。図8Eは、上昇位置のPCMD800を示す。この位置では、PCMD800は電子モジュール808に近い位置にあり、それによって電子モジュール808とPCMD800間のRF電力の結合が改善されるようになる。PCMD800は回転段883によってこの位置まで上げられる。
【0054】
図8F〜図8Hは、PCMD800と位置合わせを行う位置合わせモジュール881を示す。図8F〜図8Hの各々は、2つの透視画法を示す。左図は上方からかつ一方の側部へ見た図である。右図は対応する断面図である。図8Fは、位置合わせモジュール881の上方に配置されたPCMD800を示す。図8Dに示されているように、PCMD800はその端面で把持される。アーム888は後退しているため、この図では見えない。回転段883はPCMD800から明らかである。PCMD800は、この時点で正確に中心に配置されなくてもよい。これは、PCMD800の中心が電子モジュールの中心の真下にあるものでなくてもよいことを意味する。また、PCMD800は所望の回転配向を有するものでなくてもよい。PCMD800の直線的位置ずれまたは回転による位置ずれのいずれかのずれを前述したようなグレイコードリーダによって検出してもよい。PCMD800によって測定された条件の正確なマップを取得するために、PCMD800上のセンサの位置は既知でなければならない。したがって、生成されたいずれのマップもある一定の回転配向を想定している。何らかの変化が生じた場合に、PCMD800をこの配向へ戻すことが一般に望ましい。
【0055】
図8Gは、上昇位置におけるアーム888を示す。アーム888がこの位置に在る状態で、ベルト882はPCMD800の下側面に接触する。ベルト882はPCMD800の下側面を係合し、指示方向にPCMD800をドラッグする。処理システムでは、この方向はPCMDをそのスロット内へより深くドラッグすることに対応する。したがって、PCMD800の進行はスロットの物理的制限によって制限される。ベルト882は、モータによって回転され、PCMD800のドラッグを行うのに十分な牽引力を与える表面を有するベルトであってもよい。
【0056】
図8Hは、アーム888を後退位置(図示せず)にし、回転段883を上昇位置にした位置合わせモジュール881を示す。PCMD800は回転段883によって支持される。PCMD800はこの時点における処理システムの他の部品から明らかである。所望の配向に達するまで、回転段883によってPCMD800を回転させてもよい。PCMD800は電子モジュール808から再充電を行うために上昇位置にそのまま残っていてもよい。再充電が終了すると、回転段883を下げ、PCMD800をその正位置に戻すことができ、ここでPCMD800の下で延伸し、PCMD800をそのスロットからリフトするロボットブレードは、PCMD800の正位置でPCMD800をピックアップすることができる。
【0057】
ロボットブレードがPCMD800の下で延伸している間、位置合わせモジュール881がPCMD800の係合を試みないことがロボットブレード検出器886によって保証される。位置合わせモジュール881がこのような時点で係合を試みたりすると、PCMD800、位置合わせモジュール881或いはロボットブレードに障害が生じる可能性がある。このような障害を防ぐために、位置合わせモジュール881は、ロボットブレード検出器886がロボットブレードの存在を検出したとき、位置合わせモジュール881が動作しないようにするインターロック用メカニズムを設けてもよい。
【0058】
PCMDによってデータを収集し、処理システムへ転送した後、エンドユーザがアクセスできるポイントまでデータをまだ転送しなければならない場合がある。この転送は図9に示すような種々の方法で行うことができる。例えば、エンドユーザ985は、USBケーブル、IRDA接続Wi−Fi或いはブルートゥース無線接続によって処理システムと接続されたラップトップコンピュータを用いることにより、PCMD900が収集したデータにアクセスすることができる。処理システム980は、エンドユーザが別の位置にあるPCでデータの受信を行うことを可能にするイーサネット接続によってネットワークと接続することができる。データを受け取り、表示するためにPCの代わりに、PDAを使用してもよい。前述したのとは別に、データをフラッシュメモリカードに記録し、ラップトップ、PDA或いは別のデバイスへ物理的にこのデータを移すことができる。ソフトウェアアプリケーション987は、処理システム980が送ってくるデータを処理して、適切なフォーマットでエンドユーザ985へデータを提供する。例えば、デジタルデータを温度読取り値に変換してもよい。ソフトウェアアプリケーション987は、ラップトップ形PC、デスクトップ形PC或いはPDAを含む種々のプラットフォームで稼動するものであってもよい。
【0059】
1つの実施形態では、処理システム980でアクティブなRFID送信機を使用することにより処理システム980からのデータ転送が行われる。このデータ転送には、FOUPの近傍にあるRFIDリーダの存在を利用して、エンドユーザがデータにアクセスすることができるネットワークへデータを送信するという利点がある。FOUPを用いる半導体製造用設備(Fab)は一般に、RFIDタグによって個々のFOUPとFOUPの内容を追跡する。一般に、タグとは、リーダによって問い合わせを受けたときに、識別番号を提供する能力を有する受動素子である。一般に、リーダとは、FOUPが処理システムと接続するロードポートに設けられて、任意の特定時点におけるロードポートでのFOUPの識別子を知るためのものである。Fabの至る所に在るこのようなリーダのネットワークは、異なるFOUPの位置をモニタし、FOUPの運動を調整して効率を最適化することができるソフトウェアシステムと接続される。このようなネットワークに関するある業界規格については、“一般的通信用モデルおよび製造用機器の制御”(GEM),SEMIE30並びにSEMI E87−0703に詳述されている。ネットワークと接続されたこのようなリーダの存在によって処理システムからエンドユーザへデータを転送する便利な方法が提供される。
【0060】
アクティブなRFID送信機を用いて、処理システムからリーダへ記録済みのデータと別の情報とを送信することができる。FOUP用の識別番号に対して大きさ(一般に80バイト)の点で対応するパケットの中でデータ処理を行うようにネットワークを構成することが可能である。この場合、処理システムからの情報を一連の80バイト相当量で送る必要が生じる場合もある。この目的のためにRFIDシステムを利用することには、受信用ハードウェアが所望の位置に予め存在し、ネットワークと接続され、送信が非常に短い距離にわたって行われ、したがって電力をほとんど必要とせず、隣接するシステムから一般に干渉を受けないという利点がある。12インチ未満の範囲を有する125kHzの周波数の低周波数システムと、約90フィートの範囲を有する13.56MHzで動作する高周波数システムとの2つのタイプのRFIDが共用される。本発明に基づいていずれかのRFIDをデータ送信に利用することができる。アクティブなRFID送信機が3次元で送信を行うことができるため、送信機とリーダとの位置合わせは重要ではなくなる。このような送信機の一例として、ECM電子装置3DC1515がある。前記例は、300mmウェハに関して用いられるFOUP技術と関連するものであるが、本発明のこの態様は別の業界規格の基板並びに200mmウェハおよびSMIF(標準的機械インタフェース)などの基板搬送装置に関しても利用可能である。別の基板および搬送装置に対しても同様の業界規格が設けられている。
【0061】
図2Bは、HS200の前面またはユーザ側を示す。メモリカード228が電子モジュール208の中へ挿入された状態で示され、HS200の一部と考えることができる。HS200は、スマートカード(登録商標)、ソニーメモリスティック(登録商標)、セキュアデジタル(“SD”)カード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(“CF”)またはマルチメディアカード(登録商標)(“MMC”)などがあるが、これらのみに限定されない任意の数のメモリカードフォーマットを収納する。PCMDが“調査時に”送出されて、異なるタイプの環境で種々の条件の記録が図られる。個々の環境に対しておよび調査全体のために、サンプリングレート、サンプリング継続時間などの種々のPCMDのパラメータおよび使用されるセンサの変更を行うことが望ましい場合もある。表示部232は、調査時に使用するセンサの数と配置構成、調査の種々のサイクルの長さと回数およびセンサのサンプリングレート並びにセンサの電子装置などのPCMDのセットアップに関する情報をユーザへ迅速に伝える。調査プロファイルおよび調査時に検索されたデータをメモリカード228上にまたは電子モジュール208のフラッシュメモリ内に格納してもよい。
【0062】
PCMD100とHS200のすべてのパラメータにアクセスし、ポート224のユニバーサルシリアルバス(USB)を介してまたは赤外線ポート220を介して通信を行うパーソナルコンピュータや他のスマートデバイスによってすべてのパラメータを構成することも可能である。赤外線ポート220と通信を行う遠隔制御通信によってすべてのパラメータにアクセスすることも可能である。HS200とPCMDとを構成することも可能であり、さらにソフトウェア駆動形であるファンクションスイッチ240を用いて収集したデータを処理し、最も頻繁に使用するPCMDのパラメータの制御/アクセスを行うことも可能である。インジケータランプ232は、HS200と、HS200内のPCMDとの条件をユーザに知らせる機能も行う。ビューポート244はユーザが1または2以上のPCMDを見ることを可能にする。
【0063】
図3Aと図3Bは、図4Aと図4Bのフローチャートによってそれぞれ言及される(構成要素を伴わない)PCMD100の実施形態の横断面図である。PCMDを作成する方法について説明しているこの横断面図およびフローチャートは、タンデム構成で表示することが望ましい。
【0064】
図4Aは、回路トレースを備えた単一の導電層を用いて実施形態を行う処理について説明する図である。図4Aのステップ404で、絶縁層304が基板102上に形成される。絶縁層304は好ましくは酸化膜を備えることが望ましいが、任意の周知の絶縁材料であってもよく、さらに基板102の表面に成膜されたすなわち成長したものであってもよい。ステップ408で、絶縁層308は絶縁層304上に形成される。絶縁層304と308とは好ましくは異なる材料を含むことが望ましいが、必ずしも異なる材料を含むことに限定されるものではない。好ましい実施形態では、絶縁層308は窒化物を含む。ステップ412で、導電層312は絶縁層308上に形成される。次に、ステップ416で、周知のパターニング法とエッチング法とに従って導電層312上に電気トレースのパターンを形成し、エッチングを行う。ステップ420で、パッシベーション層316がステップ416の導電性トレース上に形成される。ステップ424で、部品140用キャビティ142が1または2以上の層の中を通って基板内に形成される。キャビティ142は機械的に形成してもよいし、或いはエッチングを行ってもよい。ステップ428で、部品140(図示せず)がキャビティ142内に挿入され、図1Cに示されているように、導電層312でトレースと電気的に接続される。次に、ステップ432で、パッシベーション層(図示せず)が部品140と別の層とにわたって形成される。パッシベーション層は、任意の周知の材料であってもよいが、好ましくはポリイミドまたは酸窒化物を含むことが望ましい。オプションとして、パッシベーション層上にわたって電気的および化学的保護シールド層を形成するステップ436を実行してもよい。これは、特にプラズマエッチングチャンバにおける場合のように、非常に厳しい処理環境からPCMDを保護する際に有用である。というのは、このシールド層がこのような環境に共通のガスおよび他の元素に対してほとんど不透過性を有するからである。シールド層は、プラズマチャンバ内での高エネルギーイオンによる衝撃によって誘導誘起されるエッチング工程に対して抵抗力を有することが望ましい。シールド層の一例として、実際に、Mylar(登録商標)、PE層、金属フォイルおよびsurlyn(登録商標)のような封止層などのポリマー層を含む異なる層の合成がある。シールド層の総ての厚さは25から99ミクロン超の範囲に及ぶものであってもよい。
【0065】
図4Bは、レベル間ビアによって結合された2つの導電層を用いて実施形態を実行する処理方法について説明する図である。ステップ404と408は、図4Aのステップと同じものである。ステップ412で、第1の導電層312Aが絶縁層304上に形成される。ステップ413で、誘電体層310が導電層312A上に形成される。その後、ステップ414でビア312C用の開口部が誘電体層310に形成される。次に、ステップ415で、導電層312Bとビア312Cとが誘電体層310上に/内に形成される。ステップ416で、導電層312Aと312Bの被照射部分に電気トレースのパターンを形成し、エッチングを行う。ステップ420〜436は、図4Aのステップと同じである。
【0066】
図10Aと図10Bは、PCMDの部品1020〜1022を環境から保護する蓋部1010〜1013の例を示す。図10Aでは、単一の蓋部は3つの部品用として使用される。単一の蓋部によってカバーされる部品の数は部品の大きさと位置に依存して決められるが、PCMD内の1つの部品からすべての部品まで任意の数であってもよい。図10Aは、3つの部品1020〜1022と、単一の蓋部1010によってカバーされた取り付け済みのワイヤボンド1048を示す。図10Bでは、個々の部品1020〜1022用として別々の蓋部1011〜1013が用いられている。種々の材料を用いて、蓋部1010〜1013のような蓋部を形成することができる。例えば、パッケージ用集積回路に使用するセラミック蓋部と類似したセラミック蓋部は、部品またはPCMD内の部品グループをカバーするように適合されたものであってもよい。特に厳しい化学的環境の場合、蓋部は化学的攻撃に抵抗力のあるサファイアなどの材料からつくるようにしてもよい。電磁場からの保護が必要な場合、蓋部は金属やドープされたシリコンなどの導電材からつくられたものであってもよい。いくつかの用途において、プラスチック蓋部を使用してもよい。蓋部1010〜1013は、通常の方法で基板1002と接着される。
【0067】
図10Cの例では、単一の蓋部1030を利用して、基板上面1002がカバーされる。蓋部1030は基板1002と同じ材料ものであってもよい。例えば、基板がシリコンからつくられていれば、蓋部もシリコンにすることができる。したがって、外側から見るとPCMD1000はシリコンウェハに似たものになる。PCMD1000の外観および特徴はシリコンウェハの外観および特徴と類似しているため、その測定値はシリコンウェハ内で得られる値に可能な限り近いものとなる。封止されたユニットを形成するために蓋部1030を基板1002と接着してもよい。このようなユニット内のキャビティを適切な材料で充填して、高温で膨張してユニットの故障原因になる可能性があるガスを排除することができる。
【0068】
図10Dに示す例では、3つの層構造が用いられる。トレース(図示せず)を形成してもよく、部品1020〜1022を基板1002に取り付け、トレースと接着してもよい。次いで、第2の層1050が適切な位置に置かれる。この層は部品1020〜1022用のカットアウト部を有する。基板1002と同様の特徴を有するように、この層をシリコンにしてもよい。次に、蓋部1030が層1050の上面に取り付けられる。この方法により、キャビティの深さを均一にすることが可能となる。というのは、個々のキャビティの深さは層1050の厚さに等しいからである。また、層1050の上面と下面を非常に平坦にして、基板1002を蓋部1030に好適に取り付けるようにしてもよい。
【0069】
代替の実施形態では、PCMD800を上げる代わりに、PCMD800を電子モジュールに近づけるように移動させ、電子モジュールまたは電子モジュールの一部を下げて、電子モジュールをPCMD800に近づけるようにする。図8Iは、PCMD800の方へ下げられたE−コイル810を備える電子モジュールの一部を示す図である。E−コイル810とPCMD800との間の距離が短くなるにつれて、E−コイル810からPCMD800への電力送信効率が向上する。一般に、E−コイルがPCMD800の近傍にあるとき、PCMD800を再充電する時間は約10分である。
【0070】
ロボットブレード検出器886がPCMD800に接近するロボットブレードを検出するとき、ロボットブレードを妨害する可能性がある可動部を可動部が妨害しない位置に配置する必要がある。E−コイル810を下げてPCMD800との結合を改善する場合、ロボットブレードがPCMD800のリフトを試みる前に、E−コイル810を後退させる必要がある。一般に、これは、ロボットブレード検出器886がロボットブレードを検出した時点から0.1〜0.3秒の範囲内にE−コイル810を後退させなければならないことを意味する。
【0071】
1つの実施形態では、FOUPのドアの位置によってE−コイル810の位置を確定することができる。FOUPのドアが開いたとき、ロボットがPCMDのピックアップを試みることができるように、E−コイル810は上昇位置に保持される。FOUPのドアが閉じられたとき、ロボットがPCMDのピックアップを試みることはないため、E−コイル810は低い位置に配置される。FOUPのドアの運動によってE−コイル810の運動はトリガーしたり、電力を供給したりすることも可能である。前述したのとは別に、この運動にモータやスプリングによって電力を供給してもよい。FOUPのドアの運動とE−コイル運動とをリンクさせることによりロボットブレード検出器886を不要にすることも可能である。
【0072】
多チャネルのデータ用として圧縮アルゴリズムが利用される。このアルゴリズムは空間的圧縮と時間的圧縮の双方の圧縮を利用することができる。このアルゴリズムは、短時間の運動を伴う信号に適し、信号波形と環境とに依存する適応形圧縮を利用するものである。このアルゴリズムには3つのステップ、すなわち1)空間的温度分布を分析する、2)時間的分布を分析する、3)温度プロファイルと特性を分析するステップが含まれ、4)前記ステップで検出したウェハの両端にわたる差に基づいてあるデータを圧縮したり、省いたりする。
【0073】
前述した実施形態は、処理用チャンバ以外の位置におけるプロセス条件をモニタする際に適用される。輸送および格納中にウェハが経験した条件は生成された素子の特性に影響を与える場合もあり、したがってはこのような条件の測定と記録とを行うことが望ましい場合がある。例えば、PCMDはFOUP内の条件を記録するためにFOUPの中にそのまま残っていてもよい。このデータは、PCMDに記録してもよいし、或いは格納せずにRFIDによって送信してもよい。
【0074】
本発明の具体的な実施形態並びにこれら実施形態の利点を示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲により画定される本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態において種々の変化、代替および変更を行うことが可能であることが理解されよう。例えば、センサの位置とタイプは説明した例のものとは異なるものであってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット環境内の条件を測定するためのプロセス条件測定装置であって、
基板と、
前記基板に取り付けられる複数のセンサと、
前記基板面上にまたは前記基板面内に形成されたキャビティ内に配置される複数の構成要素と、
前記構成要素のうちの1または2以上の構成要素と結合する前記基板に取り付けられる誘導コイルと、を備え、
前記基板が中心軸のまわりを回るとき、前記複数のセンサと複数の構成要素とコイルとを備えた前記基板のバランスが前記基板のみのバランスと同じとなるように、前記センサとコイルと構成要素とを形成するプロセス条件測定装置。
【請求項2】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
前記プロセス条件測定装置の重心が前記プロセス条件測定装置の中心軸に沿って存在し、前記中心軸が垂直方向に前記基板面の中心を貫通するプロセス条件測定装置。
【請求項3】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
前記ターゲット環境が、所定の物理寸法を有する基板を処理する処理用チャンバであり、前記プロセス条件測定装置の物理寸法が前記所定の物理寸法と同じであるプロセス条件測定装置。
【請求項4】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
前記複数の構成要素が、前記中心軸から等距離の位置に、かつ前記中心軸の反対側に配置される2または3以上のバッテリを備えるプロセス条件測定装置。
【請求項5】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
前記誘導コイルが、基板の中心に配置されたRFリターンパッドを覆うRF誘導コイルであるプロセス条件測定装置。
【請求項6】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
前記プロセス条件測定装置からデータを送信する複数のデータ送信装置をさらに備えるプロセス条件測定装置。
【請求項7】
請求項6記載のプロセス条件測定装置において、
前記データ送信装置が異なる位置にあるLEDであり、前記複数のLEDのうちの個々のLEDのスイッチを個々にオンまたはオフにすることができるプロセス条件測定装置。
【請求項8】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
前記基板にマウントされ、前もって製造された蓋部によって個々にカバーされるCPUをさらに備えるプロセス条件測定装置。
【請求項9】
請求項8記載のプロセス条件測定装置において、
メモリICとクロック水晶振動子とをさらに備え、前記CPUと、前記メモリICと、前記クロック水晶振動子とが、前もって製造された蓋部によって個々にカバーされるプロセス条件測定装置。
【請求項10】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
前記基板面のほとんどまたはすべてをカバーし、さらに前記基板面にマウントされた複数の構成要素または前記基板面内の個々のキャビティ内にマウントされた複数の構成要素をカバーする単一の前もって製造された蓋部をさらに備えるプロセス条件測定装置。
【請求項11】
請求項10記載のプロセス条件測定装置において、
前記蓋部が、前記基板と同じ材料から構成されるプロセス条件測定装置。
【請求項12】
請求項1記載のプロセス条件測定装置において、
圧電水晶発振回路をさらに備え、前記回路が、温度変化を補正するために前記圧電水晶発振回路内でバイアス電圧を変える温度補正特性を有するプロセス条件測定装置。
【請求項13】
データを収集することが可能で、将来の利用のために前記データを記録したり、送信したりすることができるプロセス条件測定装置をつくる方法であって、
基板上に導電層を成膜するステップと、
複数のトレースを形成するために前記導電層のパターンを形成するステップと、
前記基板に複数のキャビティを形成するステップと、
前記複数のキャビティに複数の電気部品を配置するステップであって、前記複数の部品が少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのバッテリと、1つの誘導コイルとを備えるものである配置するステップと、
前記複数の電気部品のうちの個々の電気部品を前記複数のトレースの1または2以上のトレースと接続するステップと、
前記トレースと前記部品とにわたってパッシベーション層を成膜するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
前記パッシベーション層にわたってシールド層を形成するステップをさらに含む方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
前記シールド層が、異なる層の合成から成る方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、
第2の複数のトレースを形成するために、第2の導電層を形成し、前記第2の導電層のパターンを形成するステップをさらに含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【公開番号】特開2011−151399(P2011−151399A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24346(P2011−24346)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2004−570953(P2004−570953)の分割
【原出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.コンパクトフラッシュ
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】