編まれた要素を備えたアッパーを有する履物製品
【課題】アッパーに使用される材料要素の数を減らすことにより、廃棄物を減らしつつ、アッパーの製造効率および再生可能性を増加させる。
【解決手段】履物製品は、丸編み処理または平編み処理などの編み処理により少なくとも一部が形成されたさまざまな材料要素を組み込んでいてもよい。要素の例には、タング要素、カラー要素およびカラー−喉要素が含まれる。いくつかの構成では、要素は、圧縮可能な区域およびフランジ区域を含んでいる。圧縮可能な区域は、圧縮性を付与する発泡芯またはフローティングヤーンを含んでいてもよく、フランジ区域は、構成要素を履物製品に接合するために使用されてもよい。
【解決手段】履物製品は、丸編み処理または平編み処理などの編み処理により少なくとも一部が形成されたさまざまな材料要素を組み込んでいてもよい。要素の例には、タング要素、カラー要素およびカラー−喉要素が含まれる。いくつかの構成では、要素は、圧縮可能な区域およびフランジ区域を含んでいる。圧縮可能な区域は、圧縮性を付与する発泡芯またはフローティングヤーンを含んでいてもよく、フランジ区域は、構成要素を履物製品に接合するために使用されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、履物製品、履物製品の製造方法、ならびに履物製品用のタング要素およびカラー要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の履物製品は一般に、アッパーおよびソール(履物の底)構造という2つの主要な要素を含んでいる。アッパーは、ソール構造に固定されて、心地よく、かつ、しっかりと足を受け入れるために、履物の内部に空洞を形成している。ソール構造は、アッパーの下側区域に固定され、それによりアッパーと地面との間に配置される。例えば運動用の履物において、ソール構造は、ミッドソールおよびアウトソールを含んでいてもよい。ミッドソールはしばしば、ポリマー発泡材料を含んでいる。ポリマー発泡材料は、歩くこと、走ること、および他の歩行活動の最中に、足および脚への圧迫を軽減するため、地面の反力を減じる。くわえて、ミッドソールは、流体を充填したチャンバ、プレート、調節器、または、他の要素を含んでいてもよい。他の要素は、さらに力を減じ、安定性を高め、または足の動きに影響する。アウトソールは、ミッドソールの下面に固定されており、耐久性があり耐磨耗性である材料(通常はゴム)で形成されたソール構造の地面に触れる部分を形成する。ソール構造はまた、履物の快適性を高めるために、空洞内で足の下面に近接して配置された中敷を含んでいてもよい。
【0003】
アッパーは大略的に、足の甲および足指区域にわたり、足の内側側部および外側側部に沿い、足の下方を、かつ、足のかかと区域の周りを延びている。バスケットボール用履物およびブーツなどのいくつかの履物製品では、アッパーは上方へと、足首の周りに延びて、足首に支持または保護を与えてもよい。アッパーの内部の空洞へのアクセスは一般に、履物のかかと領域にある足首開口部により行われる。アッパーの履き心地を調節するために、しばしば締めひもシステムがアッパーに組み込まれており、それにより、アッパー内の空洞に足を入れること、および空洞から足を抜くことが可能となる。締めひもシステムにより、着用者がアッパーの特定の寸法(特に周長)を調節して、さまざまな寸法の足を収容できるようにすることも可能になる。くわえて、アッパーは、締めひもシステムの下方に延びて履物の調節可能性を高めるベロ(舌)を含んでいてもよく、アッパーは、かかとの動きを制限するために、ヒールカウンタを組み込んでいてもよい。
【0004】
さまざまな材料要素(例えば、織物、ポリマー発泡体、ポリマーシート、皮革、合成皮革)が、アッパーの製造に際して従来より使用されている。例えば運動用の履物において、アッパーは、接合されたさまざまな材料要素をそれぞれが含んでいる複数の層を有していてもよい。例えば、伸張抵抗、耐摩耗性、柔軟性、通気性、圧縮性、快適性および放湿性を、アッパーの異なる区域に付与するために、材料要素を選択してもよい。アッパーの異なる区域に異なる特性を付与するために、材料要素はしばしば、所望の形状に切断され、次いで、通常は縫製または接着剤による接着により、互いに接合される。さらに、材料要素はしばしば、同じ区域に複数の特性を付与するために、層状の構成に接合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アッパーに組み込まれる材料要素の数および種類が増加すると、材料要素の輸送、保管、切断および接合に関連した時間および費用も増加する場合がある。アッパーに組み込まれる材料要素の数および種類が増えると、裁断および縫製処理からの廃棄材料が、より大きく積み上がる場合もある。さらに、材料要素の数がより多いアッパーは、より少ない種類および数の材料要素で形成されたアッパーよりも、再生処理が困難な場合がある。ゆえに、アッパーに使用される材料要素の数を減らすことにより、廃棄物を減らしつつ、アッパーの製造効率および再生可能性を増加させることができる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に開示する履物は、アッパーと、アッパーに固定されたソール構造とを有している。アッパーは、アッパーの外面の少なくとも一部を形成する材料層を含んでいる。アッパーは、一体のニット(編物)構造で形成された編まれた構成要素をも含んでいる。編まれた構成要素は、圧縮性の区域およびフランジ区域を含んでいてもよい。圧縮性の区域は、アッパーの外面の一部および反対側の内面の一部を形成しており、フランジ区域は、圧縮性の区域から外側に向かって延びている。フランジ区域は、材料層の内側に配置されていてもよく、フランジ区域は、材料層と接合されていてもよい。
【0007】
いくつかの構成では、アッパーは、タング要素を含んでいてもよい。タング要素は、一体のニット構造で形成された編まれた構成要素を有しており、この編まれた構成要素は、タング要素の外部の大部分を形成している。圧縮可能な材料が、編まれた構成要素の空洞内に配置されていてもよく、編まれた構成要素の端部が、アッパーの喉区域に固定されていてもよい。
【0008】
別の構成では、アッパーはカラー要素を含んでいてもよい。カラー要素は、編まれた外部を有しており、この編まれた外部は、アッパーの足首開口部に隣接したアッパーの外面の少なくとも一部および内面を形成する。複数のフローティングヤーンが、編まれた構成要素の空洞内に配置されていてもよい。くわえて、カラー要素は、アッパーの他の部分とは別体の構成要素として形成されて、アッパーの他の部分に固定されていてもよい。
【0009】
履物製品の構成要素を形成するのに、さまざまな方法を使用してもよい。例えば、丸編みおよび平編み処理を使用して、一体のニット構造のさまざまな構成要素を形成してもよい。編みに続いて、構成要素が履物製品に組み込まれてもよい。さらに、編み処理を使用して、いくつかの構成要素の圧縮性の区域およびフランジ区域の両方を形成してもよい。例えば、圧縮性を高めるために、フローティングヤーンを圧縮性の区域に埋め込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】履物製品の斜視図である。
【図2】履物製品の外側側部立面図である。
【図3】履物製品の内側側部立面図である。
【図4】履物製品の上面図である。
【図5A】図4の5A断面線による、履物製品の断面図である。
【図5B】図4の5B断面線による、履物製品の断面図である。
【図5C】図4の5C断面線による、履物製品の断面図である。
【図6】履物製品のタング(舌)要素の斜視図である。
【図7】タング要素の分解斜視図である。
【図8】タング要素の平面図である。
【図9A】図8の切断線9Aによる、タング要素の断面図である。
【図9B】図8の切断線9Bによる、タング要素の断面図である。
【図10A】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10B】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10C】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10D】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10E】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10F】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10G】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10H】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10I】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10J】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図11A】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11B】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11C】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11D】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11E】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11F】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11G】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11H】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11I】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11J】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11K】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図12A】接合されたタング要素の平面図である。
【図12B】接合されたタング要素の平面図である。
【図13】履物製品のカラー要素の斜視図である。
【図14】カラー要素の平面図である。
【図15A】図14の切断線15Aによる、カラー要素の断面図である。
【図15B】図14の切断線15Bによる、カラー要素の断面図である。
【図16A】図14に対応し、カラー要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図16B】図14に対応し、カラー要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図16C】図14に対応し、カラー要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図17A】接合されたカラー要素の平面図である。
【図17B】接合されたカラー要素の平面図である。
【図18】図2に対応し、履物製品の別の構成を示した外側側部立面図である。
【図19】図18に示す履物製品の構成のカラー−喉要素の斜視図である。
【図20】カラー−喉要素の平面図である。
【図21A】図20の切断線21Aによる、カラー−喉要素の断面図である。
【図21B】図20の切断線21Bによる、カラー−喉要素の断面図である。
【図22A】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込むさまざまな方法を示した断面図である。
【図22B】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込む方法を示した断面図である。
【図22C】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込む方法を示した断面図である。
【図22D】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込む方法を示した断面図である。
【図23】別の要素の平面図である。
【図24】タング−バンプ(つま革)要素の平面図である。
【図25】図5Aに対応し、履物製品におけるタング−バンプ要素を示した断面図である。
【図26】図5Cに対応し、履物製品の別の構成を示した断面図である。
【図27A】別のカラー要素の平面図である。
【図27B】別のカラー要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の局面を特徴付ける新規な利点および特徴を、添付の特許請求の範囲において詳細に指摘する。しかし、新規な利点および特徴の理解を向上させるために、本発明に関連したさまざまな構成および概念を説明および例示する以下の説明および添付図面を参照してもよい。
以下の要約および以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むと、よりよく理解できるであろう。
【0012】
以下の説明および添付図面は、タングおよびカラーなどのさまざまなニット構成要素を含むアッパーを有する履物製品を開示している。この履物製品は、歩くことまたは走ることに適した一般的な構成を有するものとして開示されている。アッパーおよびさまざまな編まれた要素を含む、履物と関連する概念も、野球靴、バスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ、サッカーシューズ、ハイキング用ブーツなどを含む他の種類のさまざまな運動用の履物に適用されてもよい。この概念はまた、ドレスシューズ、カジュアルシューズ、ローファー、サンダルおよび作業用ブーツを含む、一般に非運動用とみなされている種類の履物に適用されてもよい。ゆえに、編まれた要素および編まれた要素の製造方法に関する、本明細書に開示する概念は、幅広い範囲の種類の履物に当てはまる。
【0013】
全体的な履物構造
履物製品10は、図1〜図5Cに示されており、ソール構造20およびアッパー30を含んでいる。参照を目的として、履物10は、図2および図3に示すように、爪先領域11、中間領域12およびかかと領域13という、3つの一般的な領域に分割されてもよい。履物10は、外側側部14および内側側部15をも含んでいる。爪先領域11は一般に、足指と、中足骨を指骨に接続する関節とに対応する履物10の部分を含んでいる。中間領域12は一般に、足の土踏まず区域に対応する履物10の部分を含んでおり、かかと領域13は、踵骨を含む足のかかと部に対応している。外側側部14および内側側部15は各領域11〜13を貫通しており、履物10の両側に対応している。領域11〜13および側部14、15は、履物10の厳密な区域を区分することを意図していない。むしろ、領域11〜13および側部14、15は、以下の説明の助けとなるよう、履物10の一般的な区域を示すことを意図している。履物10に加えて、領域11〜13および側部14、15はまた、ソール構造20、アッパー30およびそれらの個々の要素に適用されてもよい。
【0014】
ソール構造20はアッパー30に固定されており、履物10を履いたときに、足と地面との間を延びる。ソール構造20の主要な要素は、ミッドソール21、アウトソール22および中敷23である。ミッドソール21は、アッパー30の下側区域に固定されており、歩くこと、走ること、または他の歩行活動の最中に足と地面との間で圧縮されたときに地面の反力を減じる(すなわち緩衝を提供する)圧縮可能なポリマー発泡部材(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)で形成されていてもよい。追加の構成では、ミッドソール21は、流体を満たしたチャンバ、プレート、調節器、または、他の要素を組み込んでいてもよく、他の要素は、さらに力を減じ、安定性を高め、または足の動きに影響する。または、ミッドソール21は主に、流体を満たしたチャンバで形成されていてもよい。アウトソール22は、ミッドソール21の下面に固定されており、牽引力(トラクション)を付与するように織られた耐磨耗性のゴム材料で形成されていてもよい。中敷23はアッパー30内に配置されており、足の下面の下方を延びるよう配置されている。ソール構造20用のこの構成は、アッパー30とともに使用できるソール構造の例を提供するが、ソール構造20用の従来の、または従来のものでない、他のさまざまな構成も使用することができる。したがって、ソール構造20、またはアッパー30とともに使用されるいかなるソール構造の構成および特徴には、かなりの変化があってもよい。
【0015】
アッパー30は、足をしっかりと快適に受け入れるための構造を提供するために組み合わされるさまざまな要素で形成されている。アッパー30の構成は大きく変化してもよいが、ソール構造20に対して足を受け入れて固定するために、さまざまな要素は一般に、履物10内に空洞を区画している。アッパー30内の空洞の表面は、足を収容する形状とされており、足の甲および足指領域にわたり、足の内側側部および外側側部に沿い、足の下方を、および、足のかかと区域の周りを延びている。アッパー30の一部は、図5A〜図5Cに示すように、さまざまな層31および32で形成されている。層31がアッパー30の外面の一部を形成しているのに対し、層32はアッパー30の内面(すなわち、アッパー30内の空洞を区画する表面)の一部を形成している。層31および32はそれぞれ、互いに縫製または接着される複数の材料(例えば、織物、ポリマー発泡体、皮革、合成皮革)の1つ以上で形成されていてもよい。一例として、層31は合成皮革材料で形成されていてもよく、層32は吸湿性の織物材料で形成されていてもよい。別の例として、層31および32はそれぞれ、異なる織物材料で形成されていてもよい。いくつかの構成では、別のポリマー発泡体層が、快適性を高めるために、層31と層32との間に配置されていてもよい。アッパー30の他の構成では、さまざまな材料で形成された1層、3層または他の多層構造が、層31および32に代わって使用されていてもよい。
【0016】
ひも33が、さまざまなひも開口34を貫通しアッパー30の喉区域にわたって延びており、着用者がアッパー30の寸法を調節し足の輪郭に合わせることを可能にする。すなわち、ひも33は全体として従来の仕方で機能して、アッパー30を足の周りに締め付け(すなわち、ひも33を結んだ場合)、アッパー30を緩める(すなわち、ひも33をほどいた場合)。タング要素40がひも33の下方を延びて、履物10の快適性および調節性を高めている。アッパー30は、少なくともかかと領域13に配置されるカラー要素50をも含んでいる。履物10の快適性を高めることに加えて、カラー要素50は、足がアッパー30内の空洞にアクセスできるように、足首開口部を形成している。すなわち、アッパー30に足の周りで緩く合わされた構成を与えるために、ひも33がほどかれたときに特に、カラー要素50により区画された足首開口部により、足を空洞に入れることおよび足を空洞から出すことが促進される。
【0017】
タング要素40およびカラー要素50を含むアッパー30の部分は、比較的少ない数の材料要素で形成された編まれた構成要素であってもよい。上記背景技術(発明が解決しようとする課題)で説明したように、アッパーで使用する材料要素の数が減少すれば、廃棄物を減少させながら、アッパーの製造効率および再生可能性を増加させることもできる。従来のアッパーのタングおよびカラーはしばしば、接合された複数の材料要素で形成されている。しかし、以下に、より詳細に説明するように、タング要素40およびカラー要素50は主に、廃棄物を減少させ製造効率および再生可能性を増加させる編み処理(縫製および返し(ターン)法ではなく)によって形成されていてもよい。くわえて、タング要素40およびカラー要素50の構造においては、縫い目および他の不連続の数を減らすことにより、履物10の全体的な快適性を高めてもよい。
タング要素構成
タング要素40は、アッパー30の喉区域の中央に配置されており、足先領域11からかかと領域13へと、および、外側側部14から内側側部15へと延びている。タング要素40の側方区域は、ひも開口34を形成する層32の区域に隣接かつ接触して配置されており、タング要素40の中央区域は、ひも33に接触しており、互いに交差するひも33の区域の間で露出していてもよい。足先領域11で、タング要素40は層31および32に接合されているが、タング要素40の残部は一般に、アッパー30の他の区域に対して、拘束または固定されていない。かかと領域13で、タング要素40は、カラー要素50により形成された足首開口部から突出していてもよい。
【0018】
タング要素40の主な構成要素は、図6〜図9Bに示すように、編まれた鞘41および圧縮可能な芯42である。一般に、鞘41は、芯42の周りに延びた編まれた要素として形成されている。より詳しくは、鞘41は、タング要素40の外部の大部分を形成しており、芯42が配置される内部空洞を区画してもいる。芯42はタング要素40内の圧縮可能な構造体であり、履物10の全体的な快適性を高めている。芯42はポリマー発泡材料(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)で形成されていてもよいが、芯42はまた、例えば、ヤーンまたは流体を満たしたチャンバで形成されていてもよい。いくつかの構成では、タング要素40は、(a)鞘41にスクリーン印刷、縫製もしくは接着されたロゴもしくは商標、(b)タング要素40の動きを制限するために、ひも34の一部を受け入れるひもループ、または、(c)鞘41に縫製もしくは接着された注意書きおよび材料表示などの追加の構成要素を含んでいてもよい。
【0019】
鞘41は一般に、芯42が配置される空洞を形成する筒状の構造を有している。一般に、鞘41は、上側領域43、下側領域44、第1端部45、第2端部46および1対のフランジ47を含んでいる。上側領域43は、芯42の1つの面にわたって延びており、互いに交差するひも33の区域の間で、履物10の外部に露出されている。上側領域43の反対側に配置された下側領域44は、芯42の別の面にわたって延びており、アッパー30の内面(すなわち、アッパー30内の空洞を区画する表面)の一部を形成している。例えば図9Aおよび図9Bを参照して、領域43および44は、芯42の両側に配置され互いに接合された編まれた材料の層を効率的に形成しており、それにより、芯42の周りを効率的に延びている。第1端部45が閉じた構成を有しているのに対し、第2端部46は、芯42が鞘41内の空洞へと挿入される開口部を形成している。フランジ47は、第2端部46に、かつ、開口部の両側に配置されている。フランジ47は、タング要素40から外側に向かって延びており、タング要素40をアッパー30に接合するのに使用されていてもよい。例えば図5Aを参照して、フランジ47は、アッパー30の喉区域において層31と層32との間に延び、層31および32のいずれかまたは両方に固定されている。領域43および44はそれぞれ1つのフランジ47を含んでいるが、いくつかの構成では、鞘41は単独のフランジ47のみを形成していてもよく、または、両方のフランジ47が存在していなくてもよい。
【0020】
従来の履物タングの多くは、例えば縫製または接着により接合された複数の織物要素または他の材料要素で形成された鞘を有しているが、鞘41は、丸編みまたは平編みなどの編み処理により一体の要素として形成されている。より詳しくは、鞘41は一般に、編み処理により一体のニット構造として形成されている。本明細書中で使用される際、鞘41などの編まれた構成要素は、追加の縫製または接着処理が実質的に存在しない一体のニット要素として構成されている場合、「一体のニット構造」で形成されていると定義される。すなわち、編み処理により、重要な追加の製造工程または処理を必要とせずに、鞘41のさまざまな特徴および構造が実質的に形成される。いくつかの構成では、鞘41内に芯42を封止するために縫製もしくは接着により第1端部45もしくは第2端部46を閉じた場合、または、編み処理に続いて区域をトリミングした(切り落とした)場合、鞘41は、一体のニット構造として形成されたままである。くわえて、他の重要性の低い要素(例えば、ロゴ、商標、ひもループ、注意書きおよび材料表示)を編み処理に続いてタング要素40に追加した場合、鞘41は、一体のニット構造として形成されたままである。
【0021】
一体のニット構造の鞘41を形成するために使用される編み処理は一般に、一連の縫い目を形成するために、1本以上のヤーンを機械的に操作することを含んでいる。多様な異なる種類のヤーンが、編み処理中に鞘41に組み込まれてもよい。例えばポリエステルは、比較的高い耐久性および再生可能性を示し、また、鞘41内のニットパターンに応じて非伸張性の特性を付与してもよい。綿は、手触りのよさ、自然な美観および生分解性を示す。エラステンおよび伸張性のポリエステルはそれぞれ、実質的に伸張性および復元性を示し、伸張性のポリエステルは比較的容易な再生可能性をも示す。レーヨンは高い光沢および吸湿を示す。ウールも、絶縁特性に加えて、高い吸湿を示す。ナイロンは、比較的高い強度を有する耐久性かつ耐磨耗性の材料である。特定の材料に加えて、ヤーンに関連する他の特徴が、鞘41およびタング40の特性に影響する場合がある。例えば、ヤーンは単繊維ヤーンまたは多繊維ヤーンであってもよい。ヤーンはまた、異なる材料でそれぞれが形成された別個の繊維を含んでいてもよい。ヤーンはまた、2種以上の異なる材料でそれぞれが形成された繊維を含んでいてもよい(例えば、鞘−芯構成または異なる材料で形成された2つの片割れを有する繊維を備える複合ヤーン)。程度の異なる撚りおよび襞ならびに異なるデニールにより、鞘41およびタング40の特性が影響を受ける場合がある。ヤーンはまた、ヒートセットにさらした材料で形成されたときに、意図した形状を保持してもよい。したがって、鞘41およびタング40の所望の特性に応じ、さまざまな種類のヤーンを鞘41に組み込むことができる。
【0022】
タング要素40は、従来の履物タングに対して、さまざまな利点を提供する。例えば、タング要素40は、足に接触する区域に縫い目または他の不連続をわずかしか組み込まないことで、履物の快適性を高めている。別の例として、タング要素40は、比較的少数の材料要素のみを含んでいる。上記背景技術(発明が解決しようとする課題)の項で説明したように、アッパーに使用される材料要素の数を減らすことにより、廃棄物を減らしつつ、アッパーの製造効率および再生可能性を増加させることができる。効率をさらに高めるために、鞘41を編み処理により形成することで、一般に廃棄材料を生み出す切断処理または他の処理の数を制限しながら、縫製および返し法では比較的困難な形状を生み出すことが可能になる。
さらなるタング要素構成
上述したタング要素40の構成は、履物10および他の種類のさまざまな履物用として適切な構成の例を示している。しかし、タング要素40はさまざまな他の特徴を組み込んでいてもよい。鞘41を丸編みで形成するか、または平編みで形成するかで、タング要素40の全体的な形状が大きく変化する場合がある。例えば図10Aは、タング要素40が図6〜図8の構成よりも大きな長さおよび小さな幅を有する構成を示しているが、図10Bは、タング要素40が、より小さな長さおよびより大きな幅を有する構成を示している。図10Cを参照して、タング要素40は窪んだ側部区域を有している。別の構成が図10Dに示されており、そこではタング要素40は先細になって、大略的に三角形状を付与している。くわえて、タング要素40は、図10Eに示すように、大略的に菱形の構成を有していてもよい。図10Jを参照して、フランジ47は鞘41に存在しなくてもよい。
【0023】
図6〜8および図10A〜10Eに示すさまざまな形状を付与するために、さまざまな方法を使用してもよい。例えば、鞘41を形成するのに使用した丸編みまたは平編み処理により、さまざまな形状のいずれかを付与してもよい。すなわち、編み機をプログラミングしてヤーンを機械的に操作し、上述したさまざまな形状のいずれか、および、さまざまな他の形状を付与するために組み合わされるステッチを形成してもよい。別の例として、ストレッチャーフォームを鞘41の空洞内に配置してもよく、熱またはスチームを当てる際に、ストレッチャーフォームが鞘41の全体的な形状を修正してもよい。くわえて、鞘41に異なる形状を付与するために、芯42の形状が変更されてもよい。ストレッチャーフォームまたは異なる形状の芯42を使用することの利点は、実質的に同一の形状の複数の鞘41を形成できることにあり、さまざまな寸法を有する履物または異なる種類の履物に適した形状をタング40に付与するために、ストレッチャーフォームまたは異なる形状の芯42が使用されてもよい。
【0024】
図6〜8に示す鞘41の構成は、単一の種類のヤーンおよび単一の種類のステッチを組み込んでいる。すなわち、ヤーンおよびステッチの種類により付与される特性が、鞘41のさまざまな区域を通じて大略的に同一である、大略的に連続した構成を、鞘41は有していてもよい。鞘41のさまざまな領域で使用するヤーンおよびステッチの種類の一方または両方を変更することにより、さまざまな領域の特性を修正してもよい。ゆえに、タング40の異なる区域に異なる特性を付与するために、ヤーンおよびステッチの種類は変化してもよい。さらに、丸編みおよび平編みの両方により、ヤーンおよびステッチの種類の組み合わせを鞘41のさまざまな領域用に選択することが可能となり、それにより、快適性または性能特性に応じて、領域の特性を選択することができる。
【0025】
上述したように、鞘41はさまざまな種類のヤーンおよびステッチを組み込んでいてもよい。一例として、鞘41は図10Gにおいて、異なる種類のヤーンで形成された2つの領域を有するものとして示されている。第1端部45に隣接した領域が1つの種類のヤーンで形成されているのに対し、第2端部46に隣接した領域は別の種類のヤーンで形成されている。一方の領域が伸張性を高めるためにエラスタンを組み込んでいてもよいのに対し、他方の領域は耐摩耗性および耐久性を高めるためにナイロンを組み込んでいてもよい。同様に、一方の領域が1デニールのヤーンを組み込んでいてもよいのに対し、他方の領域は、厚みまたはかさを増すために、より大きなデニールのヤーンを組み込んでいてもよい。別の例として、図10Hに示すように、ステッチの種類が領域の間で変化してもよい。第1端部45に隣接した領域が、比較的織り目のない構成を与えるステッチを含んでいるのに対し、第2端部46に隣接した領域は、伸張性または異なる審美性を付与することのできる織り目のある構成を有している。図10Hの異なる領域で使用されるヤーンの種類はまた、タング40の特性をさらに高めるまたは変化させるために変化してもよい。関連事項として、例えば浸透性のより低いまたは剛性がより高い部分を形成するために、鞘41内のニットの密度は領域間で変化してもよい。したがって、領域用に選択された特定のヤーンおよびニットの種類に応じて、鞘41は、個別の領域においてさまざまな特性を示してもよい。
【0026】
ヤーンおよびニットの種類はまた、履物10の組み立てに関連した特徴を高めるために変化してもよい。図10Iを参照して、鞘41は、第2端部46の開口部の周りで、リブ状の構成を有していてもよい。リブ状の構成は、伸張して芯42の挿入を可能にしてもよく、次いで、リブ状の構成は、芯42が鞘41内に適切に配置されたままになるよう収縮してもよい。図10Jに示すように、ニットの種類によっても、鞘41にさまざまな開口を形成してもよい。空気がアッパー30内で循環するよう、より大きな浸透性を付与することに加えて、開口はタング40の柔軟性および伸張性の両方を増加させてもよい。さらなる例として、鞘41用に特定のヤーンおよびニットの種類を選択することを通じて変化させてもよい他の特性には、液体に対する浸透性、鞘41が伸張するまたは伸張に抵抗する方向、および、鞘41の剛性が含まれる。
【0027】
芯42の全体的な構成も、タング40が組み込まれている履物の寸法および種類を含めたさまざまな要因に依存して変化してもよい。例えば、芯42の厚み、長さおよび幅は変更されてもよい。図11Aを参照して、芯42は先細の構成を有している。芯42はまた、図11Bに示すような外形とされていてもよい。タング40のいくつかの構成では、図11Cに示すように、芯42は、2つの別体の要素(例えば、異なる密度を有する発泡材料)で形成されていてもよい。類似の構成では、芯42は、図11Dに示すように、重なり合った2つの要素(例えば、異なる密度を有する発泡要素)で形成されていてもよく、これは、より大きな厚みおよび外形を与える。発泡材料を芯42として使用してもよいが、他のさまざまな材料を使用してもよい。図11Eを参照して、さまざまなフローティングヤーンが、鞘41により形成された空洞内に配置されている。カラー要素50に関して以下に、より詳しく説明するように、平編み処理により、ニット層の間に形成された空洞内にフローティングヤーンを配置してもよい。図11Fを参照して、例えば、丸編み処理におけるヤーンの切断された端部が、芯42用の材料を提供する。同様に、テリークロス材料のループに似たヤーンのループを、芯42用の材料に提供してもよい。いくつかの構成では、芯42はまた、アッパー30の他の区域で使用された再生利用の織物もしくはヤーン材料でできた繊維性のマットで形成されていてもよく、または、芯42は流体を充填したブラダであってもよい。
【0028】
鞘41は一体のニット構造で形成されていてもよいが、鞘41はまた、それぞれが編み処理により形成された接合された材料で形成されていてもよい。図11Gを参照して、鞘41は、第1端部45に隣接した第1ニット要素と、第1ニット要素から第2端部46へと延びた第2ニット要素とを含んでおり、ニット要素は縫製により接合されている。いくつかの構成では、縫製は、図11Hに示すように、タング40全体を貫通して、タング40に外形または他の特徴を付与してもよい。第2端部46は、芯42を挿入するために開いた構成を有していてもよいが、芯42を挿入するために、図11Iに示すように、フラップが下側領域44に形成されていてもよい。上述したように、ひもループを含む他の要素を、図11Jに示すように、鞘41に追加してもよい。代わりに、図11Kに示すように、ひもループを、平編み処理中に、鞘41を有する一体のニット構造として形成してもよい。
【0029】
上記説明に基づき、タング40に異なる特性を付与するために、鞘41および芯42のさまざまな特徴は変化してもよい。上述したように、鞘41の全体的な形状は、タング40が組み込まれる履物の種類または寸法に応じて変化してもよい。いくつかの構成では、ヤーンおよび/またはステッチの種類も、異なる特性を付与するために、鞘41の異なる領域の間で変化してもよい。芯42はまた、さまざまな形状を有していてもよく、または、さまざまな種類の要素で形成されていてもよい。
編み処理
丸編みおよび平編みを含むさまざまな編み処理を、鞘41を形成するために使用してもよい。丸編みは、縫い目のないチューブを作る編みの形態であり、これは鞘41の形態に有効である。さまざまな編み機を使用して、円形のニット構造を有するよう鞘41を形成してもよい。例えば、専用の靴下編み機は、丸い骨組みに各ステッチを作るために、個々のラッチフック針を使用する。使用する丸編み機の種類に応じて、第1端部45は編みサイクルの一部として閉じられてもよく、または、第1端部45を閉じるために追加の仕上げ工程が行われてもよい。平編みは、周期的に折り返される編み材料(すなわち、側方から交互に編まれる材料)を製造するための方法である。材料の2つの側(あるいは端縁と呼ばれる)は従来から、表面(すなわち、外側に向いた、見る者に向かう側)および裏面(すなわち、内側に向いた、見る者の反対側)と呼ばれている。
【0030】
有利なことに、丸編みおよび平編みの両方を使用して、例えば、(a)鞘41の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のヤーン、および、(b)鞘41の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のニットを持つ鞘41を形成してもよい。丸編みおよび平編みはそれぞれ、鞘41の多くの構成を製造するために使用してもよいが、平編みは、タング40にさらなる特徴を追加するために使用してもよい。これには、(a)図11Dにあるように、鞘41内にフローティングヤーンを配置して、芯42を形成すること、および、(b)図11Iにあるように、一体のニット構造のひもループを形成する編まれた層を重ね合わせることが含まれる。
【0031】
履物タングに組み込まれた多くの織物要素の縁は、織物要素を形成しているヤーンの端部を露出させるように切断されるが、鞘41は、丸編みまたは平編みにより製造されたときに、仕上がった構成を有するよう形成してもよい。すなわち、丸編みまたは平編みを使用して、鞘41内のヤーンの端部が鞘41の縁に実質的に存在しないように、鞘41を形成してもよい。仕上がった構成の利点は、鞘41の縁を形成しているヤーンが、よりほつれにくく、かつ、鞘41を製造したあとの仕上げ工程の必要が、より少なくなることにある。仕上がった縁を形成することにより、鞘41の一体性が強まり、ほつれを防ぐための後処理工程の必要が、より少なくなる、または全くなくなる。くわえて、緩いヤーンも、タング40の美観を、より損ねにくい。すなわち、鞘41の仕上がった構成は、製造効率を増加させつつ、タング40の耐久性および審美性を高めることができる。
【0032】
丸編み機および平編み機を使用して、個々の鞘41を形成してもよい。製造効率を増加させるため、図12Aおよび図12Bに示すように、編み機を、一連の接合された鞘41を形成するために使用してもよい。すなわち、編み機は、複数の鞘41を含む単一の構成要素を形成してもよい。図12Aを参照して、各鞘41は、実質的に同一の形状および寸法を有していてもよい。代わりに、各鞘41は、図12Bに示すように、異なる形状および寸法を有していてもよい。さらに、切断操作の必要なしにさまざまな鞘41を分離することができるように、ニット解放区域を一連の鞘41に編み込んでいてもよい。
カラー要素構成
カラー要素50は、かかと領域13を巡って外側側部14から内側側部15へと延び、足がアッパー30内の空洞にアクセスできるようにするための足首開口部を形成する。カラー要素50は、図13〜図15Bに個別に示されており、重なり合い、かつ、少なくとも部分的に同一の平面を持った編まれた材料の2つの層(特に、外層51および反対側の内層52)により形成されており、これらは複数のフローティング(定着していない)ヤーン53を包んでいる。層51および52の縁は、(すなわち、一体のニット構造の)縫い目のない仕方でニット処理により互いに固定されているが、層51と層52との間の中央区域は一般に、フローティングヤーン53が配置される空洞を形成するために、互いに固定されていない。このように、編まれた材料の層は、チューブまたはチューブ状の構造を効率よく形成しており、フローティングヤーン53は、層51と層52との間に配置され、または埋め込まれて、層51および52の表面に大略的に平行に向けられていてもよい。すなわち、フローティングヤーン53は、層51と層52との間を延びており、層51と層52との間の内部空洞を貫通および充填してもいる。層51および52が、機械的に操作されるヤーンにより(すなわち平編み処理により)形成されているのに対し、フローティングヤーン53は、全体的に自由にされているか、あるいは、編み処理中に層51と層52との間の空洞に埋め込まれている。
【0033】
外層51が、足首開口部の区域で、アッパー30の外面の一部を形成しているのに対し、内層52は、アッパー30の内面の一部(すなわち、アッパー30内の空洞を区画している表面)を形成している。カラー要素50の上側区域では、層51および52は、縫い目なしで互いに接合されている。同様に、層51および52は、カラー要素50の下側区域では、縫い目なしで互いに接合されている。くわえて、フランジ54が、層51および52から外側に向かって延びており、カラー要素50をアッパー30の残りと接合するために使用されている。より詳しくは、図5Aおよび図5Cに示すように、フランジ54は、層31と層32との間を延びて、層31および32の一方または両方に固定されている。
【0034】
フローティングヤーン53が存在することで、カラー要素50に圧縮特性が付与され、それにより、足首開口部の区域で、履物10の快適性が高められている。多くの従来の履物製品が、ポリマー発泡材料または他の圧縮可能な材料をカラー区域に組み込んでいる。従来の履物製品と異なり、カラー要素50は、フローティングヤーン53を使用して圧縮可能な構造を提供している。いくつかの構成では、発泡要素または他の繊維性の要素(例えば、フローティングヤーンおよびヤーンの切断された端部)が、カラー要素50内に、フローティングヤーン53に代わって配置されていてもよい。
【0035】
鞘41用の上述したさまざまな種類のヤーンのいずれかを、カラー要素50で使用してもよい。いくつかの構成では、層51および52に使用するヤーンは、フローティングヤーン53用に使用するヤーンと同じであってもよく、または、異なる種類のヤーンをフローティングヤーン53用に使用してもよい。鞘要素41と同様、カラー要素50は、さまざまな領域で異なるヤーンにより、または、さまざまな領域で異なる種類のステッチにより形成されていてもよい。
【0036】
カラー要素50は、一体のニット構造を有するよう、平編み処理により形成されていてもよい。このように、カラー要素50は、追加の縫製または接着処理が実質的に存在しない一体のニット要素として構成されている。すなわち、編み処理により実質的に、重要な追加の処理を必要とせずに、カラー要素50のさまざまな特徴および構造が形成される。上述したように、平編みを使用して、例えば、(a)カラー要素50の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のヤーン、および、(b)カラー要素50の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のニットを持つカラー要素50を形成してもよい。平編みも、カラー要素50にさらなる特徴を追加するために使用してもよい。これには、(a)層51および52のチューブ状の構造を形成すること、(b)層51および52のチューブ状の構造から縫い目なしに外側に向かって延びるフランジ54を形成すること、ならびに、(c)層51と層52との間にフローティングヤーン53を配置することが含まれる。
【0037】
別の事項として、カラー要素50は、平編みにより製造される際、仕上がった構成を有するよう形成されていてもよい。すなわち、平編みを使用して、ヤーンの端部がカラー要素50の縁に実質的に存在しないように、カラー要素50を形成してもよい。鞘41と同様、仕上がった構成の利点は、ヤーンが、よりほつれにくく、かつ、カラー要素50を製造したあとの仕上げ工程の必要が、より少なくなることにある。仕上がった縁を形成することにより、カラー要素50の一体性が強まり、ほつれを防ぐための後処理工程の必要が、より少なくなる、または全くなくなる。くわえて、緩いヤーンも、カラー要素50の美観を、より損ねにくい。
【0038】
図13および図14のカラー要素50の特別な形状は、履物10に適した形状の例を提供するよう意図されている。さまざまな他の形状を使用してもよい。一例として、図16Aは、より複雑な輪郭の構成を示している。さらなる例として、図16Bおよび図16Cは、さまざまな種類の履物に組み込むことのできる類似のカラー輪郭を示している。
平編み機を使用して、個々のカラー要素50を形成してもよい。製造効率を増加させるため、図17Aおよび図17Bに示すように、編み機を、一連の接合されたカラー要素50を形成するために使用してもよい。すなわち、編み機は、複数のカラー要素50を含む単一の構成要素を形成してもよい。図17Aを参照して、各カラー要素50は、実質的に同一の形状を、しかし、履物10の異なる寸法に適した異なる寸法を、有していてもよい。代わりに、各カラー要素50は、図17Bに示すように、異なる形状および寸法を有していてもよい。切断操作の必要なしにさまざまなカラー要素50を分離することができるように、ニット解放区域を一連のカラー要素50に編み込んでもよい。より詳しくは、編み処理中に解放区域に配置される解放糸55が、さまざまなカラー要素50の間を延びていてもよい。解放糸55を引く、または他のやり方で除去することにより、切断せずに、または、他の製造工程なしに、カラー要素50が分離されてもよい。類似の解放糸を使用して、図12Aおよび図12Bに示すさまざまな鞘を分離してもよい。
カラー−喉要素
履物10の別の構成が、カラー−喉要素60を含むものとして図18に示されている。カラー−喉要素60は、足首開口部の少なくとも一部の周りに延び、履物10の喉区域へも延びており、外側側部14にさまざまなひも開口34を区画している。類似のカラー−喉要素が、内側側部15に配置されていてもよい。カラー−喉要素60は、構造がカラー要素50と類似しており、外層61、反対側の内層62、複数のフローティングヤーン63およびフランジ64を含んでいる。層61および62の縁は互いに固定されているが、層61と層62との間の中央区域は一般に、フローティングヤーン63が配置される空洞を形成するために、互いに固定されていない。このように、編まれた材料の層は、チューブまたはチューブ状の構造を効率よく形成しており、フローティングヤーン63は、層61と層62との間に配置されていても、または埋め込まれていてもよい。
【0039】
外層61が、足首開口部の区域で、アッパー30の外面の一部を形成しているのに対し、内層62は、アッパー30の内面の一部(すなわち、アッパー30内の空洞を区画している表面)を形成している。カラー要素50の上側区域では、層61および62は、縫い目なしで互いに接合されている。同様に、層61および62は、カラー−喉要素60の下側区域では、縫い目なしで互いに接合されている。くわえて、フランジ64は、層61および62から外側に向かって延びており、カラー−喉要素60をアッパー30の残りと接合するために使用されている。カラー要素50と同様、フランジ64は、層31と層32との間を延びていてもよく、層31および32の一方または両方に固定されている。フランジ64は、喉区域内へと延びて、さまざまなひも開口34を区画している。ひも開口34に隣接したフランジ64の部分も、層31と層32との間を延びていてもよく、層31および32の一方または両方に固定されていてもよい。
【0040】
カラー−喉要素60は、一体のニット構造を有するよう、平編み処理により形成されていてもよく、また、仕上がった構成を有するよう形成されていてもよい。くわえて、上述したさまざまな種類のヤーンおよびステッチのいずれかを、カラー−喉要素60に使用してもよい。図19および図20のカラー−喉要素60の特別な形状は、履物10に適した形状の例を提供するよう意図されている。図19および図20に示した構成では、カラー−喉要素60は外側側部14に限定されており、別の要素が内側側部15で使用されていてもよい。しかし、さらなる構成では、単独のカラー−喉要素60が、かかと領域13の周りを延びて、側部14および15の両方で足首開口部を形成していてもよく、単独のカラー−喉要素60は、側部14および15の両方で喉区域を貫通し、各ひも開口34を形成していてもよい。他のさまざまな形状を使用してもよい。鞘41およびカラー要素50と同様に、製造効率を増加させるため、編み機は、複数の接合されたカラー−喉要素60を含む単一の構成要素を形成してもよい。
【0041】
別の要素70が、タング要素40とカラー−喉要素60との組み合わせとして、図23に示されている。平編みおよび丸編みを使用して、アッパー30の個々の比較的小さな区域(すなわち、タング要素40、カラー要素50およびカラー−喉要素60により形成される区域)を形成してもよいが、編み処理を使用して、一体のニット構造を有する、より大きな区域を形成してもよい。別の例として、タング−バンプ(つま革)要素80を図24に示している。タング−バンプ要素80は、一体のニット構造で形成されたタング区域81およびバンプ区域82を含んでいる。タング区域81がタング要素40の大略的な構成を有していてもよいのに対し、バンプ区域82は、例えば単層の材料であってもよい。履物10に組み込まれたとき、図25に示すように、バンプ区域82は、内部裏地を形成してもよい。さらに、バンプ区域82の一部は、層31および32の開口を介して露出されていてもよい。バンプ区域82は、単一の種類のニット構造を有するよう形成されていてもよく、または、さまざまなニット構造を有するよう形成されていてもよい。例えば、層31および32の開口を介して露出された区域により、通気性を高めるさまざまな開口が区画されてもよい。
履物の組み込み
タング要素40、カラー要素50およびカラー−喉要素60はそれぞれ、圧縮可能な区域およびフランジ区域を含んでいる。一般に、圧縮可能な区域は、足を支えることのできる快適な構造を形成するが、フランジ区域は、(例えば、層31と層32との間を接合することにより)要素を履物10に接合するのに使用される。タング要素40に関し、圧縮可能な区域は、芯42が配置されたタング要素40の部分を含んでおり、フランジ区域は2つのフランジ47を含んでいる。カラー要素50に関し、圧縮可能な区域は、層51および52ならびにフローティングヤーン53を含んでおり、フランジ区域はフランジ54を含んでいる。同様に、カラー−喉要素60に関し、圧縮可能な区域は、層61および62ならびにフローティングヤーン63を含んでおり、フランジ区域はフランジ64を含んでいる。これらの要素それぞれまたはすべてにおいて、さまざまなフランジ47、54および64が、圧縮可能な区域から外側に向かって延びており、アッパー30を形成する材料層の1つ(すなわち層31)の内側に配置されており、さまざまなフランジ47、54および64は、アッパー30の材料層または別の部分により接合されている。
【0042】
図5Aおよび図5Cを参照して、タング要素40からのフランジ47、カラー要素50からのフランジ54は、層31と層32との間に配置されており、層31および32の少なくとも一方に接合されている。別の構成では、フランジ47および54は、単層で形成されたアッパーに接合されていてもよく、または、複数の層で形成されたアッパーに接合されていてもよい。例えば、図22(図22A〜図22D)は、カラー要素50が、層31のみを含むアッパー30の区域に接合された構成を示している。フランジ54は、層32などの材料層の内側でアッパー30に接合されていてもよいが、図22Bは、カラー要素50が層31の外側部に接続されている構成を示している。図22Cは、カラー要素50が、中央層35が存在するアッパー30の区域に接合されている構成を示しており、フランジ54は、層32と層35との間に配置されている。図22Dに示す別の構成では、カラー要素50は、フローティングヤーン53が存在する2つの圧縮可能な区域を含んでおり、圧縮可能な区域の一方は、層31の開口を介して露出されている。タング要素40およびカラー−喉要素60をアッパー30の他の区域に接合するやり方に、類似の概念を適用してもよい。図26に示す別の構成では、カラー要素50からのフランジ54は、アッパー30内の空洞の内面に沿って延びて、連続した裏地を形成している。ゆえに、フランジ47、54および64を使用して要素を履物製品に接合するやり方は、大きく変化してもよい。
【0043】
カラー−喉要素60を編む際、層61および62、ならびに、フランジ64の両側は、対称に、かつ、同一の品質に編まれてもよい。このようにして形成する際、カラー−喉要素60を外側側部14または内側側部15で使用してもよい。すなわち、履物10のいずれかの側に組み込まれることを可能にし、それにより履物10で使用するために製造された要素の種類を減少させる対称的な特徴を、カラー−喉要素60は有していてもよい。
【0044】
同一の品質である両側を有する編まれた要素を形成することのさらなる利点は、右足または左足用のさまざまな履物10に個々の要素を組み込めることにある。例えば図27Aおよび図27Bを参照して、別のカラー要素80の両側を示す。カラー要素80はカラー要素50に類似しており、(a)履物10の外側側部14へと延びることを意図した外側側部部分81、および、(b)履物10の内側側部15へと延びることを意図した内側側部部分82を有している。部分81および82は異なる形状とされており、側部14および15に適した対称な特徴をカラー要素80に付与する。しかし、カラー要素80の両側部または両端面は、対称で、かつ、同一の品質である。履物10に組み込まれたとき、外側を向く側部は、履物10が右足用の形状とされているか、または左足用の形状とされているかに依存する。すなわち、一方の側部(すなわち、図27Bに示す側部)が、右足用として履物10に組み込まれたときに、外側を向くことになり、反対の側部(すなわち、図27Aに示す側部)が、左足用として履物10に組み込まれたときに、外側を向くことになる。ゆえに、どちらの側部が外側を向いているかに応じて、同一のカラー要素80を、右足および左足用の履物製品に組み込むことができる。この構成の利点は、異なる型の履物10で使用するために製造される要素の種類が減少することにある。
【0045】
編まれた要素を履物10に組み込むことを支援するために、レジストレーションマーク(表示印)を要素に編み込んでもよい。すなわち、異なる色のヤーンまたは異なる種類のステッチを要素に編み込んで、レジストレーションマークを形成してもよい。一例として、図23に示すように、要素70は、中央に配置されたレジストレーションマーク71を含んでいる。要素70を履物10に組み込む際、要素70が中央に配置され他の要素と適切に整列されるのを確実にするために、レジストレーションマーク71を使用することができる。類似のレジストレーションマークを、タング要素40(すなわちフランジ47上の)、カラー要素50およびカラー−喉要素60のために使用してもよい。
【0046】
さまざまな構成を参照しながら、上および添付図面に本発明を開示した。しかし、この開示の目的は、本発明に関連したさまざまな特徴および概念の例を示すことであり、本発明の範囲を限定することではない。添付の特許請求の範囲に規定する本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変更および修正を上記構成に行うことができることを、当業者は理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
この発明は、履物製品、履物製品の製造方法、ならびに履物製品用のタング要素およびカラー要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の履物製品は一般に、アッパーおよびソール(履物の底)構造という2つの主要な要素を含んでいる。アッパーは、ソール構造に固定されて、心地よく、かつ、しっかりと足を受け入れるために、履物の内部に空洞を形成している。ソール構造は、アッパーの下側区域に固定され、それによりアッパーと地面との間に配置される。例えば運動用の履物において、ソール構造は、ミッドソールおよびアウトソールを含んでいてもよい。ミッドソールはしばしば、ポリマー発泡材料を含んでいる。ポリマー発泡材料は、歩くこと、走ること、および他の歩行活動の最中に、足および脚への圧迫を軽減するため、地面の反力を減じる。くわえて、ミッドソールは、流体を充填したチャンバ、プレート、調節器、または、他の要素を含んでいてもよい。他の要素は、さらに力を減じ、安定性を高め、または足の動きに影響する。アウトソールは、ミッドソールの下面に固定されており、耐久性があり耐磨耗性である材料(通常はゴム)で形成されたソール構造の地面に触れる部分を形成する。ソール構造はまた、履物の快適性を高めるために、空洞内で足の下面に近接して配置された中敷を含んでいてもよい。
【0003】
アッパーは大略的に、足の甲および足指区域にわたり、足の内側側部および外側側部に沿い、足の下方を、かつ、足のかかと区域の周りを延びている。バスケットボール用履物およびブーツなどのいくつかの履物製品では、アッパーは上方へと、足首の周りに延びて、足首に支持または保護を与えてもよい。アッパーの内部の空洞へのアクセスは一般に、履物のかかと領域にある足首開口部により行われる。アッパーの履き心地を調節するために、しばしば締めひもシステムがアッパーに組み込まれており、それにより、アッパー内の空洞に足を入れること、および空洞から足を抜くことが可能となる。締めひもシステムにより、着用者がアッパーの特定の寸法(特に周長)を調節して、さまざまな寸法の足を収容できるようにすることも可能になる。くわえて、アッパーは、締めひもシステムの下方に延びて履物の調節可能性を高めるベロ(舌)を含んでいてもよく、アッパーは、かかとの動きを制限するために、ヒールカウンタを組み込んでいてもよい。
【0004】
さまざまな材料要素(例えば、織物、ポリマー発泡体、ポリマーシート、皮革、合成皮革)が、アッパーの製造に際して従来より使用されている。例えば運動用の履物において、アッパーは、接合されたさまざまな材料要素をそれぞれが含んでいる複数の層を有していてもよい。例えば、伸張抵抗、耐摩耗性、柔軟性、通気性、圧縮性、快適性および放湿性を、アッパーの異なる区域に付与するために、材料要素を選択してもよい。アッパーの異なる区域に異なる特性を付与するために、材料要素はしばしば、所望の形状に切断され、次いで、通常は縫製または接着剤による接着により、互いに接合される。さらに、材料要素はしばしば、同じ区域に複数の特性を付与するために、層状の構成に接合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アッパーに組み込まれる材料要素の数および種類が増加すると、材料要素の輸送、保管、切断および接合に関連した時間および費用も増加する場合がある。アッパーに組み込まれる材料要素の数および種類が増えると、裁断および縫製処理からの廃棄材料が、より大きく積み上がる場合もある。さらに、材料要素の数がより多いアッパーは、より少ない種類および数の材料要素で形成されたアッパーよりも、再生処理が困難な場合がある。ゆえに、アッパーに使用される材料要素の数を減らすことにより、廃棄物を減らしつつ、アッパーの製造効率および再生可能性を増加させることができる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に開示する履物は、アッパーと、アッパーに固定されたソール構造とを有している。アッパーは、アッパーの外面の少なくとも一部を形成する材料層を含んでいる。アッパーは、一体のニット(編物)構造で形成された編まれた構成要素をも含んでいる。編まれた構成要素は、圧縮性の区域およびフランジ区域を含んでいてもよい。圧縮性の区域は、アッパーの外面の一部および反対側の内面の一部を形成しており、フランジ区域は、圧縮性の区域から外側に向かって延びている。フランジ区域は、材料層の内側に配置されていてもよく、フランジ区域は、材料層と接合されていてもよい。
【0007】
いくつかの構成では、アッパーは、タング要素を含んでいてもよい。タング要素は、一体のニット構造で形成された編まれた構成要素を有しており、この編まれた構成要素は、タング要素の外部の大部分を形成している。圧縮可能な材料が、編まれた構成要素の空洞内に配置されていてもよく、編まれた構成要素の端部が、アッパーの喉区域に固定されていてもよい。
【0008】
別の構成では、アッパーはカラー要素を含んでいてもよい。カラー要素は、編まれた外部を有しており、この編まれた外部は、アッパーの足首開口部に隣接したアッパーの外面の少なくとも一部および内面を形成する。複数のフローティングヤーンが、編まれた構成要素の空洞内に配置されていてもよい。くわえて、カラー要素は、アッパーの他の部分とは別体の構成要素として形成されて、アッパーの他の部分に固定されていてもよい。
【0009】
履物製品の構成要素を形成するのに、さまざまな方法を使用してもよい。例えば、丸編みおよび平編み処理を使用して、一体のニット構造のさまざまな構成要素を形成してもよい。編みに続いて、構成要素が履物製品に組み込まれてもよい。さらに、編み処理を使用して、いくつかの構成要素の圧縮性の区域およびフランジ区域の両方を形成してもよい。例えば、圧縮性を高めるために、フローティングヤーンを圧縮性の区域に埋め込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】履物製品の斜視図である。
【図2】履物製品の外側側部立面図である。
【図3】履物製品の内側側部立面図である。
【図4】履物製品の上面図である。
【図5A】図4の5A断面線による、履物製品の断面図である。
【図5B】図4の5B断面線による、履物製品の断面図である。
【図5C】図4の5C断面線による、履物製品の断面図である。
【図6】履物製品のタング(舌)要素の斜視図である。
【図7】タング要素の分解斜視図である。
【図8】タング要素の平面図である。
【図9A】図8の切断線9Aによる、タング要素の断面図である。
【図9B】図8の切断線9Bによる、タング要素の断面図である。
【図10A】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10B】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10C】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10D】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10E】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10F】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10G】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10H】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10I】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図10J】図8に対応し、タング要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図11A】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11B】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11C】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11D】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11E】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11F】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11G】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11H】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11I】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11J】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図11K】図9Aに対応し、タング要素のさらなる構成を示した断面図である。
【図12A】接合されたタング要素の平面図である。
【図12B】接合されたタング要素の平面図である。
【図13】履物製品のカラー要素の斜視図である。
【図14】カラー要素の平面図である。
【図15A】図14の切断線15Aによる、カラー要素の断面図である。
【図15B】図14の切断線15Bによる、カラー要素の断面図である。
【図16A】図14に対応し、カラー要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図16B】図14に対応し、カラー要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図16C】図14に対応し、カラー要素のさらなる構成を示した平面図である。
【図17A】接合されたカラー要素の平面図である。
【図17B】接合されたカラー要素の平面図である。
【図18】図2に対応し、履物製品の別の構成を示した外側側部立面図である。
【図19】図18に示す履物製品の構成のカラー−喉要素の斜視図である。
【図20】カラー−喉要素の平面図である。
【図21A】図20の切断線21Aによる、カラー−喉要素の断面図である。
【図21B】図20の切断線21Bによる、カラー−喉要素の断面図である。
【図22A】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込むさまざまな方法を示した断面図である。
【図22B】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込む方法を示した断面図である。
【図22C】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込む方法を示した断面図である。
【図22D】図5Cの一部に対応し、カラー要素を履物製品に組み込む方法を示した断面図である。
【図23】別の要素の平面図である。
【図24】タング−バンプ(つま革)要素の平面図である。
【図25】図5Aに対応し、履物製品におけるタング−バンプ要素を示した断面図である。
【図26】図5Cに対応し、履物製品の別の構成を示した断面図である。
【図27A】別のカラー要素の平面図である。
【図27B】別のカラー要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の局面を特徴付ける新規な利点および特徴を、添付の特許請求の範囲において詳細に指摘する。しかし、新規な利点および特徴の理解を向上させるために、本発明に関連したさまざまな構成および概念を説明および例示する以下の説明および添付図面を参照してもよい。
以下の要約および以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むと、よりよく理解できるであろう。
【0012】
以下の説明および添付図面は、タングおよびカラーなどのさまざまなニット構成要素を含むアッパーを有する履物製品を開示している。この履物製品は、歩くことまたは走ることに適した一般的な構成を有するものとして開示されている。アッパーおよびさまざまな編まれた要素を含む、履物と関連する概念も、野球靴、バスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ、サッカーシューズ、ハイキング用ブーツなどを含む他の種類のさまざまな運動用の履物に適用されてもよい。この概念はまた、ドレスシューズ、カジュアルシューズ、ローファー、サンダルおよび作業用ブーツを含む、一般に非運動用とみなされている種類の履物に適用されてもよい。ゆえに、編まれた要素および編まれた要素の製造方法に関する、本明細書に開示する概念は、幅広い範囲の種類の履物に当てはまる。
【0013】
全体的な履物構造
履物製品10は、図1〜図5Cに示されており、ソール構造20およびアッパー30を含んでいる。参照を目的として、履物10は、図2および図3に示すように、爪先領域11、中間領域12およびかかと領域13という、3つの一般的な領域に分割されてもよい。履物10は、外側側部14および内側側部15をも含んでいる。爪先領域11は一般に、足指と、中足骨を指骨に接続する関節とに対応する履物10の部分を含んでいる。中間領域12は一般に、足の土踏まず区域に対応する履物10の部分を含んでおり、かかと領域13は、踵骨を含む足のかかと部に対応している。外側側部14および内側側部15は各領域11〜13を貫通しており、履物10の両側に対応している。領域11〜13および側部14、15は、履物10の厳密な区域を区分することを意図していない。むしろ、領域11〜13および側部14、15は、以下の説明の助けとなるよう、履物10の一般的な区域を示すことを意図している。履物10に加えて、領域11〜13および側部14、15はまた、ソール構造20、アッパー30およびそれらの個々の要素に適用されてもよい。
【0014】
ソール構造20はアッパー30に固定されており、履物10を履いたときに、足と地面との間を延びる。ソール構造20の主要な要素は、ミッドソール21、アウトソール22および中敷23である。ミッドソール21は、アッパー30の下側区域に固定されており、歩くこと、走ること、または他の歩行活動の最中に足と地面との間で圧縮されたときに地面の反力を減じる(すなわち緩衝を提供する)圧縮可能なポリマー発泡部材(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)で形成されていてもよい。追加の構成では、ミッドソール21は、流体を満たしたチャンバ、プレート、調節器、または、他の要素を組み込んでいてもよく、他の要素は、さらに力を減じ、安定性を高め、または足の動きに影響する。または、ミッドソール21は主に、流体を満たしたチャンバで形成されていてもよい。アウトソール22は、ミッドソール21の下面に固定されており、牽引力(トラクション)を付与するように織られた耐磨耗性のゴム材料で形成されていてもよい。中敷23はアッパー30内に配置されており、足の下面の下方を延びるよう配置されている。ソール構造20用のこの構成は、アッパー30とともに使用できるソール構造の例を提供するが、ソール構造20用の従来の、または従来のものでない、他のさまざまな構成も使用することができる。したがって、ソール構造20、またはアッパー30とともに使用されるいかなるソール構造の構成および特徴には、かなりの変化があってもよい。
【0015】
アッパー30は、足をしっかりと快適に受け入れるための構造を提供するために組み合わされるさまざまな要素で形成されている。アッパー30の構成は大きく変化してもよいが、ソール構造20に対して足を受け入れて固定するために、さまざまな要素は一般に、履物10内に空洞を区画している。アッパー30内の空洞の表面は、足を収容する形状とされており、足の甲および足指領域にわたり、足の内側側部および外側側部に沿い、足の下方を、および、足のかかと区域の周りを延びている。アッパー30の一部は、図5A〜図5Cに示すように、さまざまな層31および32で形成されている。層31がアッパー30の外面の一部を形成しているのに対し、層32はアッパー30の内面(すなわち、アッパー30内の空洞を区画する表面)の一部を形成している。層31および32はそれぞれ、互いに縫製または接着される複数の材料(例えば、織物、ポリマー発泡体、皮革、合成皮革)の1つ以上で形成されていてもよい。一例として、層31は合成皮革材料で形成されていてもよく、層32は吸湿性の織物材料で形成されていてもよい。別の例として、層31および32はそれぞれ、異なる織物材料で形成されていてもよい。いくつかの構成では、別のポリマー発泡体層が、快適性を高めるために、層31と層32との間に配置されていてもよい。アッパー30の他の構成では、さまざまな材料で形成された1層、3層または他の多層構造が、層31および32に代わって使用されていてもよい。
【0016】
ひも33が、さまざまなひも開口34を貫通しアッパー30の喉区域にわたって延びており、着用者がアッパー30の寸法を調節し足の輪郭に合わせることを可能にする。すなわち、ひも33は全体として従来の仕方で機能して、アッパー30を足の周りに締め付け(すなわち、ひも33を結んだ場合)、アッパー30を緩める(すなわち、ひも33をほどいた場合)。タング要素40がひも33の下方を延びて、履物10の快適性および調節性を高めている。アッパー30は、少なくともかかと領域13に配置されるカラー要素50をも含んでいる。履物10の快適性を高めることに加えて、カラー要素50は、足がアッパー30内の空洞にアクセスできるように、足首開口部を形成している。すなわち、アッパー30に足の周りで緩く合わされた構成を与えるために、ひも33がほどかれたときに特に、カラー要素50により区画された足首開口部により、足を空洞に入れることおよび足を空洞から出すことが促進される。
【0017】
タング要素40およびカラー要素50を含むアッパー30の部分は、比較的少ない数の材料要素で形成された編まれた構成要素であってもよい。上記背景技術(発明が解決しようとする課題)で説明したように、アッパーで使用する材料要素の数が減少すれば、廃棄物を減少させながら、アッパーの製造効率および再生可能性を増加させることもできる。従来のアッパーのタングおよびカラーはしばしば、接合された複数の材料要素で形成されている。しかし、以下に、より詳細に説明するように、タング要素40およびカラー要素50は主に、廃棄物を減少させ製造効率および再生可能性を増加させる編み処理(縫製および返し(ターン)法ではなく)によって形成されていてもよい。くわえて、タング要素40およびカラー要素50の構造においては、縫い目および他の不連続の数を減らすことにより、履物10の全体的な快適性を高めてもよい。
タング要素構成
タング要素40は、アッパー30の喉区域の中央に配置されており、足先領域11からかかと領域13へと、および、外側側部14から内側側部15へと延びている。タング要素40の側方区域は、ひも開口34を形成する層32の区域に隣接かつ接触して配置されており、タング要素40の中央区域は、ひも33に接触しており、互いに交差するひも33の区域の間で露出していてもよい。足先領域11で、タング要素40は層31および32に接合されているが、タング要素40の残部は一般に、アッパー30の他の区域に対して、拘束または固定されていない。かかと領域13で、タング要素40は、カラー要素50により形成された足首開口部から突出していてもよい。
【0018】
タング要素40の主な構成要素は、図6〜図9Bに示すように、編まれた鞘41および圧縮可能な芯42である。一般に、鞘41は、芯42の周りに延びた編まれた要素として形成されている。より詳しくは、鞘41は、タング要素40の外部の大部分を形成しており、芯42が配置される内部空洞を区画してもいる。芯42はタング要素40内の圧縮可能な構造体であり、履物10の全体的な快適性を高めている。芯42はポリマー発泡材料(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)で形成されていてもよいが、芯42はまた、例えば、ヤーンまたは流体を満たしたチャンバで形成されていてもよい。いくつかの構成では、タング要素40は、(a)鞘41にスクリーン印刷、縫製もしくは接着されたロゴもしくは商標、(b)タング要素40の動きを制限するために、ひも34の一部を受け入れるひもループ、または、(c)鞘41に縫製もしくは接着された注意書きおよび材料表示などの追加の構成要素を含んでいてもよい。
【0019】
鞘41は一般に、芯42が配置される空洞を形成する筒状の構造を有している。一般に、鞘41は、上側領域43、下側領域44、第1端部45、第2端部46および1対のフランジ47を含んでいる。上側領域43は、芯42の1つの面にわたって延びており、互いに交差するひも33の区域の間で、履物10の外部に露出されている。上側領域43の反対側に配置された下側領域44は、芯42の別の面にわたって延びており、アッパー30の内面(すなわち、アッパー30内の空洞を区画する表面)の一部を形成している。例えば図9Aおよび図9Bを参照して、領域43および44は、芯42の両側に配置され互いに接合された編まれた材料の層を効率的に形成しており、それにより、芯42の周りを効率的に延びている。第1端部45が閉じた構成を有しているのに対し、第2端部46は、芯42が鞘41内の空洞へと挿入される開口部を形成している。フランジ47は、第2端部46に、かつ、開口部の両側に配置されている。フランジ47は、タング要素40から外側に向かって延びており、タング要素40をアッパー30に接合するのに使用されていてもよい。例えば図5Aを参照して、フランジ47は、アッパー30の喉区域において層31と層32との間に延び、層31および32のいずれかまたは両方に固定されている。領域43および44はそれぞれ1つのフランジ47を含んでいるが、いくつかの構成では、鞘41は単独のフランジ47のみを形成していてもよく、または、両方のフランジ47が存在していなくてもよい。
【0020】
従来の履物タングの多くは、例えば縫製または接着により接合された複数の織物要素または他の材料要素で形成された鞘を有しているが、鞘41は、丸編みまたは平編みなどの編み処理により一体の要素として形成されている。より詳しくは、鞘41は一般に、編み処理により一体のニット構造として形成されている。本明細書中で使用される際、鞘41などの編まれた構成要素は、追加の縫製または接着処理が実質的に存在しない一体のニット要素として構成されている場合、「一体のニット構造」で形成されていると定義される。すなわち、編み処理により、重要な追加の製造工程または処理を必要とせずに、鞘41のさまざまな特徴および構造が実質的に形成される。いくつかの構成では、鞘41内に芯42を封止するために縫製もしくは接着により第1端部45もしくは第2端部46を閉じた場合、または、編み処理に続いて区域をトリミングした(切り落とした)場合、鞘41は、一体のニット構造として形成されたままである。くわえて、他の重要性の低い要素(例えば、ロゴ、商標、ひもループ、注意書きおよび材料表示)を編み処理に続いてタング要素40に追加した場合、鞘41は、一体のニット構造として形成されたままである。
【0021】
一体のニット構造の鞘41を形成するために使用される編み処理は一般に、一連の縫い目を形成するために、1本以上のヤーンを機械的に操作することを含んでいる。多様な異なる種類のヤーンが、編み処理中に鞘41に組み込まれてもよい。例えばポリエステルは、比較的高い耐久性および再生可能性を示し、また、鞘41内のニットパターンに応じて非伸張性の特性を付与してもよい。綿は、手触りのよさ、自然な美観および生分解性を示す。エラステンおよび伸張性のポリエステルはそれぞれ、実質的に伸張性および復元性を示し、伸張性のポリエステルは比較的容易な再生可能性をも示す。レーヨンは高い光沢および吸湿を示す。ウールも、絶縁特性に加えて、高い吸湿を示す。ナイロンは、比較的高い強度を有する耐久性かつ耐磨耗性の材料である。特定の材料に加えて、ヤーンに関連する他の特徴が、鞘41およびタング40の特性に影響する場合がある。例えば、ヤーンは単繊維ヤーンまたは多繊維ヤーンであってもよい。ヤーンはまた、異なる材料でそれぞれが形成された別個の繊維を含んでいてもよい。ヤーンはまた、2種以上の異なる材料でそれぞれが形成された繊維を含んでいてもよい(例えば、鞘−芯構成または異なる材料で形成された2つの片割れを有する繊維を備える複合ヤーン)。程度の異なる撚りおよび襞ならびに異なるデニールにより、鞘41およびタング40の特性が影響を受ける場合がある。ヤーンはまた、ヒートセットにさらした材料で形成されたときに、意図した形状を保持してもよい。したがって、鞘41およびタング40の所望の特性に応じ、さまざまな種類のヤーンを鞘41に組み込むことができる。
【0022】
タング要素40は、従来の履物タングに対して、さまざまな利点を提供する。例えば、タング要素40は、足に接触する区域に縫い目または他の不連続をわずかしか組み込まないことで、履物の快適性を高めている。別の例として、タング要素40は、比較的少数の材料要素のみを含んでいる。上記背景技術(発明が解決しようとする課題)の項で説明したように、アッパーに使用される材料要素の数を減らすことにより、廃棄物を減らしつつ、アッパーの製造効率および再生可能性を増加させることができる。効率をさらに高めるために、鞘41を編み処理により形成することで、一般に廃棄材料を生み出す切断処理または他の処理の数を制限しながら、縫製および返し法では比較的困難な形状を生み出すことが可能になる。
さらなるタング要素構成
上述したタング要素40の構成は、履物10および他の種類のさまざまな履物用として適切な構成の例を示している。しかし、タング要素40はさまざまな他の特徴を組み込んでいてもよい。鞘41を丸編みで形成するか、または平編みで形成するかで、タング要素40の全体的な形状が大きく変化する場合がある。例えば図10Aは、タング要素40が図6〜図8の構成よりも大きな長さおよび小さな幅を有する構成を示しているが、図10Bは、タング要素40が、より小さな長さおよびより大きな幅を有する構成を示している。図10Cを参照して、タング要素40は窪んだ側部区域を有している。別の構成が図10Dに示されており、そこではタング要素40は先細になって、大略的に三角形状を付与している。くわえて、タング要素40は、図10Eに示すように、大略的に菱形の構成を有していてもよい。図10Jを参照して、フランジ47は鞘41に存在しなくてもよい。
【0023】
図6〜8および図10A〜10Eに示すさまざまな形状を付与するために、さまざまな方法を使用してもよい。例えば、鞘41を形成するのに使用した丸編みまたは平編み処理により、さまざまな形状のいずれかを付与してもよい。すなわち、編み機をプログラミングしてヤーンを機械的に操作し、上述したさまざまな形状のいずれか、および、さまざまな他の形状を付与するために組み合わされるステッチを形成してもよい。別の例として、ストレッチャーフォームを鞘41の空洞内に配置してもよく、熱またはスチームを当てる際に、ストレッチャーフォームが鞘41の全体的な形状を修正してもよい。くわえて、鞘41に異なる形状を付与するために、芯42の形状が変更されてもよい。ストレッチャーフォームまたは異なる形状の芯42を使用することの利点は、実質的に同一の形状の複数の鞘41を形成できることにあり、さまざまな寸法を有する履物または異なる種類の履物に適した形状をタング40に付与するために、ストレッチャーフォームまたは異なる形状の芯42が使用されてもよい。
【0024】
図6〜8に示す鞘41の構成は、単一の種類のヤーンおよび単一の種類のステッチを組み込んでいる。すなわち、ヤーンおよびステッチの種類により付与される特性が、鞘41のさまざまな区域を通じて大略的に同一である、大略的に連続した構成を、鞘41は有していてもよい。鞘41のさまざまな領域で使用するヤーンおよびステッチの種類の一方または両方を変更することにより、さまざまな領域の特性を修正してもよい。ゆえに、タング40の異なる区域に異なる特性を付与するために、ヤーンおよびステッチの種類は変化してもよい。さらに、丸編みおよび平編みの両方により、ヤーンおよびステッチの種類の組み合わせを鞘41のさまざまな領域用に選択することが可能となり、それにより、快適性または性能特性に応じて、領域の特性を選択することができる。
【0025】
上述したように、鞘41はさまざまな種類のヤーンおよびステッチを組み込んでいてもよい。一例として、鞘41は図10Gにおいて、異なる種類のヤーンで形成された2つの領域を有するものとして示されている。第1端部45に隣接した領域が1つの種類のヤーンで形成されているのに対し、第2端部46に隣接した領域は別の種類のヤーンで形成されている。一方の領域が伸張性を高めるためにエラスタンを組み込んでいてもよいのに対し、他方の領域は耐摩耗性および耐久性を高めるためにナイロンを組み込んでいてもよい。同様に、一方の領域が1デニールのヤーンを組み込んでいてもよいのに対し、他方の領域は、厚みまたはかさを増すために、より大きなデニールのヤーンを組み込んでいてもよい。別の例として、図10Hに示すように、ステッチの種類が領域の間で変化してもよい。第1端部45に隣接した領域が、比較的織り目のない構成を与えるステッチを含んでいるのに対し、第2端部46に隣接した領域は、伸張性または異なる審美性を付与することのできる織り目のある構成を有している。図10Hの異なる領域で使用されるヤーンの種類はまた、タング40の特性をさらに高めるまたは変化させるために変化してもよい。関連事項として、例えば浸透性のより低いまたは剛性がより高い部分を形成するために、鞘41内のニットの密度は領域間で変化してもよい。したがって、領域用に選択された特定のヤーンおよびニットの種類に応じて、鞘41は、個別の領域においてさまざまな特性を示してもよい。
【0026】
ヤーンおよびニットの種類はまた、履物10の組み立てに関連した特徴を高めるために変化してもよい。図10Iを参照して、鞘41は、第2端部46の開口部の周りで、リブ状の構成を有していてもよい。リブ状の構成は、伸張して芯42の挿入を可能にしてもよく、次いで、リブ状の構成は、芯42が鞘41内に適切に配置されたままになるよう収縮してもよい。図10Jに示すように、ニットの種類によっても、鞘41にさまざまな開口を形成してもよい。空気がアッパー30内で循環するよう、より大きな浸透性を付与することに加えて、開口はタング40の柔軟性および伸張性の両方を増加させてもよい。さらなる例として、鞘41用に特定のヤーンおよびニットの種類を選択することを通じて変化させてもよい他の特性には、液体に対する浸透性、鞘41が伸張するまたは伸張に抵抗する方向、および、鞘41の剛性が含まれる。
【0027】
芯42の全体的な構成も、タング40が組み込まれている履物の寸法および種類を含めたさまざまな要因に依存して変化してもよい。例えば、芯42の厚み、長さおよび幅は変更されてもよい。図11Aを参照して、芯42は先細の構成を有している。芯42はまた、図11Bに示すような外形とされていてもよい。タング40のいくつかの構成では、図11Cに示すように、芯42は、2つの別体の要素(例えば、異なる密度を有する発泡材料)で形成されていてもよい。類似の構成では、芯42は、図11Dに示すように、重なり合った2つの要素(例えば、異なる密度を有する発泡要素)で形成されていてもよく、これは、より大きな厚みおよび外形を与える。発泡材料を芯42として使用してもよいが、他のさまざまな材料を使用してもよい。図11Eを参照して、さまざまなフローティングヤーンが、鞘41により形成された空洞内に配置されている。カラー要素50に関して以下に、より詳しく説明するように、平編み処理により、ニット層の間に形成された空洞内にフローティングヤーンを配置してもよい。図11Fを参照して、例えば、丸編み処理におけるヤーンの切断された端部が、芯42用の材料を提供する。同様に、テリークロス材料のループに似たヤーンのループを、芯42用の材料に提供してもよい。いくつかの構成では、芯42はまた、アッパー30の他の区域で使用された再生利用の織物もしくはヤーン材料でできた繊維性のマットで形成されていてもよく、または、芯42は流体を充填したブラダであってもよい。
【0028】
鞘41は一体のニット構造で形成されていてもよいが、鞘41はまた、それぞれが編み処理により形成された接合された材料で形成されていてもよい。図11Gを参照して、鞘41は、第1端部45に隣接した第1ニット要素と、第1ニット要素から第2端部46へと延びた第2ニット要素とを含んでおり、ニット要素は縫製により接合されている。いくつかの構成では、縫製は、図11Hに示すように、タング40全体を貫通して、タング40に外形または他の特徴を付与してもよい。第2端部46は、芯42を挿入するために開いた構成を有していてもよいが、芯42を挿入するために、図11Iに示すように、フラップが下側領域44に形成されていてもよい。上述したように、ひもループを含む他の要素を、図11Jに示すように、鞘41に追加してもよい。代わりに、図11Kに示すように、ひもループを、平編み処理中に、鞘41を有する一体のニット構造として形成してもよい。
【0029】
上記説明に基づき、タング40に異なる特性を付与するために、鞘41および芯42のさまざまな特徴は変化してもよい。上述したように、鞘41の全体的な形状は、タング40が組み込まれる履物の種類または寸法に応じて変化してもよい。いくつかの構成では、ヤーンおよび/またはステッチの種類も、異なる特性を付与するために、鞘41の異なる領域の間で変化してもよい。芯42はまた、さまざまな形状を有していてもよく、または、さまざまな種類の要素で形成されていてもよい。
編み処理
丸編みおよび平編みを含むさまざまな編み処理を、鞘41を形成するために使用してもよい。丸編みは、縫い目のないチューブを作る編みの形態であり、これは鞘41の形態に有効である。さまざまな編み機を使用して、円形のニット構造を有するよう鞘41を形成してもよい。例えば、専用の靴下編み機は、丸い骨組みに各ステッチを作るために、個々のラッチフック針を使用する。使用する丸編み機の種類に応じて、第1端部45は編みサイクルの一部として閉じられてもよく、または、第1端部45を閉じるために追加の仕上げ工程が行われてもよい。平編みは、周期的に折り返される編み材料(すなわち、側方から交互に編まれる材料)を製造するための方法である。材料の2つの側(あるいは端縁と呼ばれる)は従来から、表面(すなわち、外側に向いた、見る者に向かう側)および裏面(すなわち、内側に向いた、見る者の反対側)と呼ばれている。
【0030】
有利なことに、丸編みおよび平編みの両方を使用して、例えば、(a)鞘41の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のヤーン、および、(b)鞘41の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のニットを持つ鞘41を形成してもよい。丸編みおよび平編みはそれぞれ、鞘41の多くの構成を製造するために使用してもよいが、平編みは、タング40にさらなる特徴を追加するために使用してもよい。これには、(a)図11Dにあるように、鞘41内にフローティングヤーンを配置して、芯42を形成すること、および、(b)図11Iにあるように、一体のニット構造のひもループを形成する編まれた層を重ね合わせることが含まれる。
【0031】
履物タングに組み込まれた多くの織物要素の縁は、織物要素を形成しているヤーンの端部を露出させるように切断されるが、鞘41は、丸編みまたは平編みにより製造されたときに、仕上がった構成を有するよう形成してもよい。すなわち、丸編みまたは平編みを使用して、鞘41内のヤーンの端部が鞘41の縁に実質的に存在しないように、鞘41を形成してもよい。仕上がった構成の利点は、鞘41の縁を形成しているヤーンが、よりほつれにくく、かつ、鞘41を製造したあとの仕上げ工程の必要が、より少なくなることにある。仕上がった縁を形成することにより、鞘41の一体性が強まり、ほつれを防ぐための後処理工程の必要が、より少なくなる、または全くなくなる。くわえて、緩いヤーンも、タング40の美観を、より損ねにくい。すなわち、鞘41の仕上がった構成は、製造効率を増加させつつ、タング40の耐久性および審美性を高めることができる。
【0032】
丸編み機および平編み機を使用して、個々の鞘41を形成してもよい。製造効率を増加させるため、図12Aおよび図12Bに示すように、編み機を、一連の接合された鞘41を形成するために使用してもよい。すなわち、編み機は、複数の鞘41を含む単一の構成要素を形成してもよい。図12Aを参照して、各鞘41は、実質的に同一の形状および寸法を有していてもよい。代わりに、各鞘41は、図12Bに示すように、異なる形状および寸法を有していてもよい。さらに、切断操作の必要なしにさまざまな鞘41を分離することができるように、ニット解放区域を一連の鞘41に編み込んでいてもよい。
カラー要素構成
カラー要素50は、かかと領域13を巡って外側側部14から内側側部15へと延び、足がアッパー30内の空洞にアクセスできるようにするための足首開口部を形成する。カラー要素50は、図13〜図15Bに個別に示されており、重なり合い、かつ、少なくとも部分的に同一の平面を持った編まれた材料の2つの層(特に、外層51および反対側の内層52)により形成されており、これらは複数のフローティング(定着していない)ヤーン53を包んでいる。層51および52の縁は、(すなわち、一体のニット構造の)縫い目のない仕方でニット処理により互いに固定されているが、層51と層52との間の中央区域は一般に、フローティングヤーン53が配置される空洞を形成するために、互いに固定されていない。このように、編まれた材料の層は、チューブまたはチューブ状の構造を効率よく形成しており、フローティングヤーン53は、層51と層52との間に配置され、または埋め込まれて、層51および52の表面に大略的に平行に向けられていてもよい。すなわち、フローティングヤーン53は、層51と層52との間を延びており、層51と層52との間の内部空洞を貫通および充填してもいる。層51および52が、機械的に操作されるヤーンにより(すなわち平編み処理により)形成されているのに対し、フローティングヤーン53は、全体的に自由にされているか、あるいは、編み処理中に層51と層52との間の空洞に埋め込まれている。
【0033】
外層51が、足首開口部の区域で、アッパー30の外面の一部を形成しているのに対し、内層52は、アッパー30の内面の一部(すなわち、アッパー30内の空洞を区画している表面)を形成している。カラー要素50の上側区域では、層51および52は、縫い目なしで互いに接合されている。同様に、層51および52は、カラー要素50の下側区域では、縫い目なしで互いに接合されている。くわえて、フランジ54が、層51および52から外側に向かって延びており、カラー要素50をアッパー30の残りと接合するために使用されている。より詳しくは、図5Aおよび図5Cに示すように、フランジ54は、層31と層32との間を延びて、層31および32の一方または両方に固定されている。
【0034】
フローティングヤーン53が存在することで、カラー要素50に圧縮特性が付与され、それにより、足首開口部の区域で、履物10の快適性が高められている。多くの従来の履物製品が、ポリマー発泡材料または他の圧縮可能な材料をカラー区域に組み込んでいる。従来の履物製品と異なり、カラー要素50は、フローティングヤーン53を使用して圧縮可能な構造を提供している。いくつかの構成では、発泡要素または他の繊維性の要素(例えば、フローティングヤーンおよびヤーンの切断された端部)が、カラー要素50内に、フローティングヤーン53に代わって配置されていてもよい。
【0035】
鞘41用の上述したさまざまな種類のヤーンのいずれかを、カラー要素50で使用してもよい。いくつかの構成では、層51および52に使用するヤーンは、フローティングヤーン53用に使用するヤーンと同じであってもよく、または、異なる種類のヤーンをフローティングヤーン53用に使用してもよい。鞘要素41と同様、カラー要素50は、さまざまな領域で異なるヤーンにより、または、さまざまな領域で異なる種類のステッチにより形成されていてもよい。
【0036】
カラー要素50は、一体のニット構造を有するよう、平編み処理により形成されていてもよい。このように、カラー要素50は、追加の縫製または接着処理が実質的に存在しない一体のニット要素として構成されている。すなわち、編み処理により実質的に、重要な追加の処理を必要とせずに、カラー要素50のさまざまな特徴および構造が形成される。上述したように、平編みを使用して、例えば、(a)カラー要素50の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のヤーン、および、(b)カラー要素50の個別の区域に異なる特性を付与するさまざまな種類のニットを持つカラー要素50を形成してもよい。平編みも、カラー要素50にさらなる特徴を追加するために使用してもよい。これには、(a)層51および52のチューブ状の構造を形成すること、(b)層51および52のチューブ状の構造から縫い目なしに外側に向かって延びるフランジ54を形成すること、ならびに、(c)層51と層52との間にフローティングヤーン53を配置することが含まれる。
【0037】
別の事項として、カラー要素50は、平編みにより製造される際、仕上がった構成を有するよう形成されていてもよい。すなわち、平編みを使用して、ヤーンの端部がカラー要素50の縁に実質的に存在しないように、カラー要素50を形成してもよい。鞘41と同様、仕上がった構成の利点は、ヤーンが、よりほつれにくく、かつ、カラー要素50を製造したあとの仕上げ工程の必要が、より少なくなることにある。仕上がった縁を形成することにより、カラー要素50の一体性が強まり、ほつれを防ぐための後処理工程の必要が、より少なくなる、または全くなくなる。くわえて、緩いヤーンも、カラー要素50の美観を、より損ねにくい。
【0038】
図13および図14のカラー要素50の特別な形状は、履物10に適した形状の例を提供するよう意図されている。さまざまな他の形状を使用してもよい。一例として、図16Aは、より複雑な輪郭の構成を示している。さらなる例として、図16Bおよび図16Cは、さまざまな種類の履物に組み込むことのできる類似のカラー輪郭を示している。
平編み機を使用して、個々のカラー要素50を形成してもよい。製造効率を増加させるため、図17Aおよび図17Bに示すように、編み機を、一連の接合されたカラー要素50を形成するために使用してもよい。すなわち、編み機は、複数のカラー要素50を含む単一の構成要素を形成してもよい。図17Aを参照して、各カラー要素50は、実質的に同一の形状を、しかし、履物10の異なる寸法に適した異なる寸法を、有していてもよい。代わりに、各カラー要素50は、図17Bに示すように、異なる形状および寸法を有していてもよい。切断操作の必要なしにさまざまなカラー要素50を分離することができるように、ニット解放区域を一連のカラー要素50に編み込んでもよい。より詳しくは、編み処理中に解放区域に配置される解放糸55が、さまざまなカラー要素50の間を延びていてもよい。解放糸55を引く、または他のやり方で除去することにより、切断せずに、または、他の製造工程なしに、カラー要素50が分離されてもよい。類似の解放糸を使用して、図12Aおよび図12Bに示すさまざまな鞘を分離してもよい。
カラー−喉要素
履物10の別の構成が、カラー−喉要素60を含むものとして図18に示されている。カラー−喉要素60は、足首開口部の少なくとも一部の周りに延び、履物10の喉区域へも延びており、外側側部14にさまざまなひも開口34を区画している。類似のカラー−喉要素が、内側側部15に配置されていてもよい。カラー−喉要素60は、構造がカラー要素50と類似しており、外層61、反対側の内層62、複数のフローティングヤーン63およびフランジ64を含んでいる。層61および62の縁は互いに固定されているが、層61と層62との間の中央区域は一般に、フローティングヤーン63が配置される空洞を形成するために、互いに固定されていない。このように、編まれた材料の層は、チューブまたはチューブ状の構造を効率よく形成しており、フローティングヤーン63は、層61と層62との間に配置されていても、または埋め込まれていてもよい。
【0039】
外層61が、足首開口部の区域で、アッパー30の外面の一部を形成しているのに対し、内層62は、アッパー30の内面の一部(すなわち、アッパー30内の空洞を区画している表面)を形成している。カラー要素50の上側区域では、層61および62は、縫い目なしで互いに接合されている。同様に、層61および62は、カラー−喉要素60の下側区域では、縫い目なしで互いに接合されている。くわえて、フランジ64は、層61および62から外側に向かって延びており、カラー−喉要素60をアッパー30の残りと接合するために使用されている。カラー要素50と同様、フランジ64は、層31と層32との間を延びていてもよく、層31および32の一方または両方に固定されている。フランジ64は、喉区域内へと延びて、さまざまなひも開口34を区画している。ひも開口34に隣接したフランジ64の部分も、層31と層32との間を延びていてもよく、層31および32の一方または両方に固定されていてもよい。
【0040】
カラー−喉要素60は、一体のニット構造を有するよう、平編み処理により形成されていてもよく、また、仕上がった構成を有するよう形成されていてもよい。くわえて、上述したさまざまな種類のヤーンおよびステッチのいずれかを、カラー−喉要素60に使用してもよい。図19および図20のカラー−喉要素60の特別な形状は、履物10に適した形状の例を提供するよう意図されている。図19および図20に示した構成では、カラー−喉要素60は外側側部14に限定されており、別の要素が内側側部15で使用されていてもよい。しかし、さらなる構成では、単独のカラー−喉要素60が、かかと領域13の周りを延びて、側部14および15の両方で足首開口部を形成していてもよく、単独のカラー−喉要素60は、側部14および15の両方で喉区域を貫通し、各ひも開口34を形成していてもよい。他のさまざまな形状を使用してもよい。鞘41およびカラー要素50と同様に、製造効率を増加させるため、編み機は、複数の接合されたカラー−喉要素60を含む単一の構成要素を形成してもよい。
【0041】
別の要素70が、タング要素40とカラー−喉要素60との組み合わせとして、図23に示されている。平編みおよび丸編みを使用して、アッパー30の個々の比較的小さな区域(すなわち、タング要素40、カラー要素50およびカラー−喉要素60により形成される区域)を形成してもよいが、編み処理を使用して、一体のニット構造を有する、より大きな区域を形成してもよい。別の例として、タング−バンプ(つま革)要素80を図24に示している。タング−バンプ要素80は、一体のニット構造で形成されたタング区域81およびバンプ区域82を含んでいる。タング区域81がタング要素40の大略的な構成を有していてもよいのに対し、バンプ区域82は、例えば単層の材料であってもよい。履物10に組み込まれたとき、図25に示すように、バンプ区域82は、内部裏地を形成してもよい。さらに、バンプ区域82の一部は、層31および32の開口を介して露出されていてもよい。バンプ区域82は、単一の種類のニット構造を有するよう形成されていてもよく、または、さまざまなニット構造を有するよう形成されていてもよい。例えば、層31および32の開口を介して露出された区域により、通気性を高めるさまざまな開口が区画されてもよい。
履物の組み込み
タング要素40、カラー要素50およびカラー−喉要素60はそれぞれ、圧縮可能な区域およびフランジ区域を含んでいる。一般に、圧縮可能な区域は、足を支えることのできる快適な構造を形成するが、フランジ区域は、(例えば、層31と層32との間を接合することにより)要素を履物10に接合するのに使用される。タング要素40に関し、圧縮可能な区域は、芯42が配置されたタング要素40の部分を含んでおり、フランジ区域は2つのフランジ47を含んでいる。カラー要素50に関し、圧縮可能な区域は、層51および52ならびにフローティングヤーン53を含んでおり、フランジ区域はフランジ54を含んでいる。同様に、カラー−喉要素60に関し、圧縮可能な区域は、層61および62ならびにフローティングヤーン63を含んでおり、フランジ区域はフランジ64を含んでいる。これらの要素それぞれまたはすべてにおいて、さまざまなフランジ47、54および64が、圧縮可能な区域から外側に向かって延びており、アッパー30を形成する材料層の1つ(すなわち層31)の内側に配置されており、さまざまなフランジ47、54および64は、アッパー30の材料層または別の部分により接合されている。
【0042】
図5Aおよび図5Cを参照して、タング要素40からのフランジ47、カラー要素50からのフランジ54は、層31と層32との間に配置されており、層31および32の少なくとも一方に接合されている。別の構成では、フランジ47および54は、単層で形成されたアッパーに接合されていてもよく、または、複数の層で形成されたアッパーに接合されていてもよい。例えば、図22(図22A〜図22D)は、カラー要素50が、層31のみを含むアッパー30の区域に接合された構成を示している。フランジ54は、層32などの材料層の内側でアッパー30に接合されていてもよいが、図22Bは、カラー要素50が層31の外側部に接続されている構成を示している。図22Cは、カラー要素50が、中央層35が存在するアッパー30の区域に接合されている構成を示しており、フランジ54は、層32と層35との間に配置されている。図22Dに示す別の構成では、カラー要素50は、フローティングヤーン53が存在する2つの圧縮可能な区域を含んでおり、圧縮可能な区域の一方は、層31の開口を介して露出されている。タング要素40およびカラー−喉要素60をアッパー30の他の区域に接合するやり方に、類似の概念を適用してもよい。図26に示す別の構成では、カラー要素50からのフランジ54は、アッパー30内の空洞の内面に沿って延びて、連続した裏地を形成している。ゆえに、フランジ47、54および64を使用して要素を履物製品に接合するやり方は、大きく変化してもよい。
【0043】
カラー−喉要素60を編む際、層61および62、ならびに、フランジ64の両側は、対称に、かつ、同一の品質に編まれてもよい。このようにして形成する際、カラー−喉要素60を外側側部14または内側側部15で使用してもよい。すなわち、履物10のいずれかの側に組み込まれることを可能にし、それにより履物10で使用するために製造された要素の種類を減少させる対称的な特徴を、カラー−喉要素60は有していてもよい。
【0044】
同一の品質である両側を有する編まれた要素を形成することのさらなる利点は、右足または左足用のさまざまな履物10に個々の要素を組み込めることにある。例えば図27Aおよび図27Bを参照して、別のカラー要素80の両側を示す。カラー要素80はカラー要素50に類似しており、(a)履物10の外側側部14へと延びることを意図した外側側部部分81、および、(b)履物10の内側側部15へと延びることを意図した内側側部部分82を有している。部分81および82は異なる形状とされており、側部14および15に適した対称な特徴をカラー要素80に付与する。しかし、カラー要素80の両側部または両端面は、対称で、かつ、同一の品質である。履物10に組み込まれたとき、外側を向く側部は、履物10が右足用の形状とされているか、または左足用の形状とされているかに依存する。すなわち、一方の側部(すなわち、図27Bに示す側部)が、右足用として履物10に組み込まれたときに、外側を向くことになり、反対の側部(すなわち、図27Aに示す側部)が、左足用として履物10に組み込まれたときに、外側を向くことになる。ゆえに、どちらの側部が外側を向いているかに応じて、同一のカラー要素80を、右足および左足用の履物製品に組み込むことができる。この構成の利点は、異なる型の履物10で使用するために製造される要素の種類が減少することにある。
【0045】
編まれた要素を履物10に組み込むことを支援するために、レジストレーションマーク(表示印)を要素に編み込んでもよい。すなわち、異なる色のヤーンまたは異なる種類のステッチを要素に編み込んで、レジストレーションマークを形成してもよい。一例として、図23に示すように、要素70は、中央に配置されたレジストレーションマーク71を含んでいる。要素70を履物10に組み込む際、要素70が中央に配置され他の要素と適切に整列されるのを確実にするために、レジストレーションマーク71を使用することができる。類似のレジストレーションマークを、タング要素40(すなわちフランジ47上の)、カラー要素50およびカラー−喉要素60のために使用してもよい。
【0046】
さまざまな構成を参照しながら、上および添付図面に本発明を開示した。しかし、この開示の目的は、本発明に関連したさまざまな特徴および概念の例を示すことであり、本発明の範囲を限定することではない。添付の特許請求の範囲に規定する本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変更および修正を上記構成に行うことができることを、当業者は理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーが、
当該アッパーの外面の少なくとも一部を形成する材料層と、
一体のニット構造で形成され、圧縮可能な区域およびフランジ区域を有する、編まれた構成要素であって、前記圧縮可能な区域が、当該アッパーの前記外面の一部および反対側の内面の一部を形成し、前記フランジ区域が前記圧縮可能な区域から外側に向かって延びている編まれた構成要素とを含み、
前記フランジ区域が前記材料層の内側に配置され、前記フランジ区域が前記材料層と接合している、履物製品。
【請求項2】
前記圧縮可能な区域が、前記編まれた構成要素内に空洞を区画している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項3】
発泡部材、繊維材料および複数のフローティングヤーンの少なくともいずれかが、前記空洞内に配置されている、請求項2に記載の履物製品。
【請求項4】
前記編まれた構成要素が、前記アッパーのタングおよびカラーの少なくとも一方を形成している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項5】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーが、
当該アッパーの外面の少なくとも一部を形成している第1材料層と、
前記第1材料層に平行に、かつ、前記外面の内側に配置された第2材料層と、
一体のニット構造で形成された第1ニット層および第2ニット層を有する編まれた構成要素であって、前記第1ニット層が前記アッパーの前記外面の少なくとも一部を形成し、前記第2ニット層が前記アッパーの内面の少なくとも一部を形成しており、当該構成要素が、前記第1ニット層および前記第2ニット層の少なくとも一方から外側に向かって延びたフランジを区画している構成要素とを備え、
前記フランジは、前記第1材料層と前記第2材料層との間に配置され、前記フランジは、前記第1材料層および前記第2材料層の少なくとも一方に接合されている、履物製品。
【請求項6】
前記第1ニット層および前記第2ニット層の区域が、互いに間隔を空けられて、前記編まれた構成要素内に空洞を区画している、請求項5に記載の履物製品。
【請求項7】
発泡部材、繊維材料および複数のフローティングヤーンの少なくともいずれかが、前記空洞内に配置されている、請求項6に記載の履物製品。
【請求項8】
前記第1ニット層および前記第2ニット層の縁が、前記空洞の少なくとも一部の周りで互いに接合されている、請求項6に記載の履物製品。
【請求項9】
前記編まれた構成要素が、前記アッパーのタングおよびカラーの少なくとも一方を形成している、請求項5に記載の履物製品。
【請求項10】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーがタング要素を含み、前記タング要素が、
一体のニット構造で形成され、当該タング要素の外側部の大部分を形成し、内側空洞を区画する編まれた構成要素と、
前記空洞内に配置された圧縮可能な材料とを備え、
前記編まれた構成要素の端部が、前記アッパーの喉区域に固定されている、履物製品。
【請求項11】
前記圧縮可能な材料が発泡部材である、請求項10に記載の履物製品。
【請求項12】
前記チューブ状の構造の前記端部が、前記空洞のための開口部を含んでいる、請求項10に記載の履物製品。
【請求項13】
前記圧縮可能な材料が、前記編まれた構成要素と一体のニット構造で形成された複数のフローティングヤーンである、請求項10に記載の履物製品。
【請求項14】
前記編まれた構成要素が、第1ステッチタイプである第1領域と、第2ステッチタイプである第2領域とを含み、前記第1ステッチタイプは前記第2ステッチタイプとは異なっている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項15】
前記第1領域が第1ヤーンを含み、前記第2領域が第2ヤーンを含んでいる、請求項14に記載の履物製品。
【請求項16】
前記編まれた構成要素の別の端部が、前記アッパーの足首開口部に隣接して配置されており、閉じた構成を有している、請求項10に記載の履物製品。
【請求項17】
履物製品用のタング要素を製造する方法であって、
第1端部および第2端部を有するチューブ状の構造を編むステップであって、少なくとも前記第1端部が閉じた構成を有しているステップと、
前記第2端部を介して圧縮可能な材料を前記チューブ状の構造に挿入するステップと、
前記第2端部を前記履物製品のアッパーに固定するステップとを含む、方法。
【請求項18】
前記編むステップが、平編み技術および丸編み技術の一方を使用するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記編むステップが、第1ステッチタイプである第1領域と、第2ステッチタイプである第2領域とを形成するステップを含み、前記第1ステッチタイプは前記第2ステッチタイプとは異なっている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記挿入するステップが、発泡部材および繊維材料の少なくとも一方となるよう前記圧縮可能な材料を選択するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記挿入するステップが、前記チューブ状の構造内に複数のフローティングヤーンを埋めるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記チューブ状の構造内にフォームを配置し、前記チューブ状の構造を加熱して、前記チューブ状の構造に形状を付与するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーは、着用者の足を受け入れるための内部空洞を区画し、前記アッパーは、前記空洞へのアクセスを可能にする足首開口部を有し、前記アッパーは、一体のニット構造で形成されたカラー要素を有し、
(a)当該アッパーの足首開口部に隣接した当該アッパーの外面、および、(b)前記足首開口部に隣接した当該アッパーの内面の少なくとも一部を形成し、内部空洞を区画する編まれた外側部と、
前記空洞内に配置された複数のフローティングヤーンとを備え、
前記カラー要素は、前記アッパーの他の部分と別体の構成要素として形成され、前記アッパーの前記他の部分に固定されている、履物製品。
【請求項24】
前記カラー要素が、前記編まれた外側部と一体のニット構造で形成されたフランジを含み、前記フランジは、前記アッパーの前記他の部分に固定されている、請求項23に記載の履物製品。
【請求項25】
前記編まれた外側部が、第1の編まれた層および第2の編まれた層を含み、前記第1の編まれた層および前記第2の編まれた層は、前記足首開口部および前記足首開口部から間隔を空けられた箇所で、互いに接合されて空洞を区画している、請求項23に記載の履物製品。
【請求項26】
前記カラー要素が、前記足首開口部の区域において、前記アッパーの外側側部の一部に沿って、前記アッパーのかかと区域の周りに、そして、前記アッパーの内側側部の一部に沿って延びている、請求項23に記載の履物製品。
【請求項27】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーは、着用者の足を受け入れるための内部空洞を区画し、前記アッパーは、前記空洞へのアクセスを可能にする足首開口部を有し、前記アッパーは、カラー要素を有し、前記カラー要素は、
一体のニット構造で形成された第1ニット層および第2ニット層であって、当該第1ニット層が、前記足首開口部に隣接する前記アッパーの前記外面の少なくとも一部を形成し、当該第2ニット層が、前記足首開口部に隣接する前記アッパーの内面の少なくとも一部を形成し、当該第1ニット層および当該第2ニット層の区域が、互いに間隔を空けられて、前記編まれた構成要素内に空洞を区画している第1ニット層および第2ニット層と、
前記空洞内で、前記第1ニット層と前記第2ニット層との間に配置された複数のフローティングヤーンと、
前記第1ニット層および前記第2ニット層の少なくとも一方から外側に向かって延び、前記アッパーの別の要素に固定されているフランジとを備えた、履物製品。
【請求項28】
前記第1ニット層および前記第2ニット層の縁が、前記空洞の少なくとも一部の周りで互いに接合されている、請求項27に記載の履物製品。
【請求項29】
前記カラー要素が、前記足首開口部の区域において、前記アッパーの外側側部の一部に沿って、前記アッパーのかかと区域の周りに、そして、前記アッパーの内側側部の一部に沿って延びている、請求項27に記載の履物製品。
【請求項30】
履物製品用のカラー要素を製造する方法であって、
(a)内部空洞を有するチューブ状の構造、および、(b)前記空洞内の複数のフローティングヤーンを含む一体のニット構造を有するカラー要素を平編みするステップと、
前記カラー要素を前記履物製品のアッパーに固定するステップとを含む、方法。
【請求項31】
前記平編みするステップが、前記チューブ状の構造から外側に向かって延びるフランジを形成するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記固定するステップが、前記フランジを前記アッパーの材料層に隣接して配置し、前記フランジを前記材料層に接合するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記固定するステップが、前記カラー要素を、前記アッパーの外側側部の一部に沿って、前記アッパーのかかと区域の周りに、そして、前記アッパーの内側側部の一部に沿って配置するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
履物製品を製造する方法であって、
一連の履物要素を編むステップであって、前記履物要素の少なくとも2つが、解放ヤーンを含む解放区域により接合されるステップと、
前記履物要素を分離するために前記解放ヤーンを除去するステップと、
前記履物要素の少なくとも1つを前記履物製品に組み込むステップとを含む、方法。
【請求項35】
前記編むステップが、平編み技術および丸編み技術の一方を使用するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記編むステップが、一体のニット構造の前記履物要素のそれぞれを形成するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記編むステップが、前記履物要素にフランジを形成するステップを含み、前記組み込むステップが、前記フランジを前記履物製品に固定するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
加熱して前記履物要素の少なくとも1つの形状を変更するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
着用者の右足用の第1履物製品および前記着用者の左足用の第2履物製品を製造する方法であって、
第1要素および第2要素を編むステップであって、前記第1要素は前記第2要素と実質的に同一であるステップと、
前記第1要素を前記第1履物製品に組み込むステップと、
前記第2要素を前記第2履物製品に組み込むステップとを含む、方法。
【請求項40】
前記第1要素が、異なる形状の外側側部部分および内側側部部分を有し、前記第1要素が、実質的に対称な両側部を有している、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1要素が、圧縮可能な区域、および前記圧縮可能な区域から外側に向かって延びたフランジ区域を含み、前記第1要素を前記第1履物製品に組み込む前記ステップが、前記フランジ区域を前記第1履物製品の材料層に固定するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項1】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーが、
当該アッパーの外面の少なくとも一部を形成する材料層と、
一体のニット構造で形成され、圧縮可能な区域およびフランジ区域を有する、編まれた構成要素であって、前記圧縮可能な区域が、当該アッパーの前記外面の一部および反対側の内面の一部を形成し、前記フランジ区域が前記圧縮可能な区域から外側に向かって延びている編まれた構成要素とを含み、
前記フランジ区域が前記材料層の内側に配置され、前記フランジ区域が前記材料層と接合している、履物製品。
【請求項2】
前記圧縮可能な区域が、前記編まれた構成要素内に空洞を区画している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項3】
発泡部材、繊維材料および複数のフローティングヤーンの少なくともいずれかが、前記空洞内に配置されている、請求項2に記載の履物製品。
【請求項4】
前記編まれた構成要素が、前記アッパーのタングおよびカラーの少なくとも一方を形成している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項5】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーが、
当該アッパーの外面の少なくとも一部を形成している第1材料層と、
前記第1材料層に平行に、かつ、前記外面の内側に配置された第2材料層と、
一体のニット構造で形成された第1ニット層および第2ニット層を有する編まれた構成要素であって、前記第1ニット層が前記アッパーの前記外面の少なくとも一部を形成し、前記第2ニット層が前記アッパーの内面の少なくとも一部を形成しており、当該構成要素が、前記第1ニット層および前記第2ニット層の少なくとも一方から外側に向かって延びたフランジを区画している構成要素とを備え、
前記フランジは、前記第1材料層と前記第2材料層との間に配置され、前記フランジは、前記第1材料層および前記第2材料層の少なくとも一方に接合されている、履物製品。
【請求項6】
前記第1ニット層および前記第2ニット層の区域が、互いに間隔を空けられて、前記編まれた構成要素内に空洞を区画している、請求項5に記載の履物製品。
【請求項7】
発泡部材、繊維材料および複数のフローティングヤーンの少なくともいずれかが、前記空洞内に配置されている、請求項6に記載の履物製品。
【請求項8】
前記第1ニット層および前記第2ニット層の縁が、前記空洞の少なくとも一部の周りで互いに接合されている、請求項6に記載の履物製品。
【請求項9】
前記編まれた構成要素が、前記アッパーのタングおよびカラーの少なくとも一方を形成している、請求項5に記載の履物製品。
【請求項10】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーがタング要素を含み、前記タング要素が、
一体のニット構造で形成され、当該タング要素の外側部の大部分を形成し、内側空洞を区画する編まれた構成要素と、
前記空洞内に配置された圧縮可能な材料とを備え、
前記編まれた構成要素の端部が、前記アッパーの喉区域に固定されている、履物製品。
【請求項11】
前記圧縮可能な材料が発泡部材である、請求項10に記載の履物製品。
【請求項12】
前記チューブ状の構造の前記端部が、前記空洞のための開口部を含んでいる、請求項10に記載の履物製品。
【請求項13】
前記圧縮可能な材料が、前記編まれた構成要素と一体のニット構造で形成された複数のフローティングヤーンである、請求項10に記載の履物製品。
【請求項14】
前記編まれた構成要素が、第1ステッチタイプである第1領域と、第2ステッチタイプである第2領域とを含み、前記第1ステッチタイプは前記第2ステッチタイプとは異なっている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項15】
前記第1領域が第1ヤーンを含み、前記第2領域が第2ヤーンを含んでいる、請求項14に記載の履物製品。
【請求項16】
前記編まれた構成要素の別の端部が、前記アッパーの足首開口部に隣接して配置されており、閉じた構成を有している、請求項10に記載の履物製品。
【請求項17】
履物製品用のタング要素を製造する方法であって、
第1端部および第2端部を有するチューブ状の構造を編むステップであって、少なくとも前記第1端部が閉じた構成を有しているステップと、
前記第2端部を介して圧縮可能な材料を前記チューブ状の構造に挿入するステップと、
前記第2端部を前記履物製品のアッパーに固定するステップとを含む、方法。
【請求項18】
前記編むステップが、平編み技術および丸編み技術の一方を使用するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記編むステップが、第1ステッチタイプである第1領域と、第2ステッチタイプである第2領域とを形成するステップを含み、前記第1ステッチタイプは前記第2ステッチタイプとは異なっている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記挿入するステップが、発泡部材および繊維材料の少なくとも一方となるよう前記圧縮可能な材料を選択するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記挿入するステップが、前記チューブ状の構造内に複数のフローティングヤーンを埋めるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記チューブ状の構造内にフォームを配置し、前記チューブ状の構造を加熱して、前記チューブ状の構造に形状を付与するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーは、着用者の足を受け入れるための内部空洞を区画し、前記アッパーは、前記空洞へのアクセスを可能にする足首開口部を有し、前記アッパーは、一体のニット構造で形成されたカラー要素を有し、
(a)当該アッパーの足首開口部に隣接した当該アッパーの外面、および、(b)前記足首開口部に隣接した当該アッパーの内面の少なくとも一部を形成し、内部空洞を区画する編まれた外側部と、
前記空洞内に配置された複数のフローティングヤーンとを備え、
前記カラー要素は、前記アッパーの他の部分と別体の構成要素として形成され、前記アッパーの前記他の部分に固定されている、履物製品。
【請求項24】
前記カラー要素が、前記編まれた外側部と一体のニット構造で形成されたフランジを含み、前記フランジは、前記アッパーの前記他の部分に固定されている、請求項23に記載の履物製品。
【請求項25】
前記編まれた外側部が、第1の編まれた層および第2の編まれた層を含み、前記第1の編まれた層および前記第2の編まれた層は、前記足首開口部および前記足首開口部から間隔を空けられた箇所で、互いに接合されて空洞を区画している、請求項23に記載の履物製品。
【請求項26】
前記カラー要素が、前記足首開口部の区域において、前記アッパーの外側側部の一部に沿って、前記アッパーのかかと区域の周りに、そして、前記アッパーの内側側部の一部に沿って延びている、請求項23に記載の履物製品。
【請求項27】
アッパー、および、前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であって、前記アッパーは、着用者の足を受け入れるための内部空洞を区画し、前記アッパーは、前記空洞へのアクセスを可能にする足首開口部を有し、前記アッパーは、カラー要素を有し、前記カラー要素は、
一体のニット構造で形成された第1ニット層および第2ニット層であって、当該第1ニット層が、前記足首開口部に隣接する前記アッパーの前記外面の少なくとも一部を形成し、当該第2ニット層が、前記足首開口部に隣接する前記アッパーの内面の少なくとも一部を形成し、当該第1ニット層および当該第2ニット層の区域が、互いに間隔を空けられて、前記編まれた構成要素内に空洞を区画している第1ニット層および第2ニット層と、
前記空洞内で、前記第1ニット層と前記第2ニット層との間に配置された複数のフローティングヤーンと、
前記第1ニット層および前記第2ニット層の少なくとも一方から外側に向かって延び、前記アッパーの別の要素に固定されているフランジとを備えた、履物製品。
【請求項28】
前記第1ニット層および前記第2ニット層の縁が、前記空洞の少なくとも一部の周りで互いに接合されている、請求項27に記載の履物製品。
【請求項29】
前記カラー要素が、前記足首開口部の区域において、前記アッパーの外側側部の一部に沿って、前記アッパーのかかと区域の周りに、そして、前記アッパーの内側側部の一部に沿って延びている、請求項27に記載の履物製品。
【請求項30】
履物製品用のカラー要素を製造する方法であって、
(a)内部空洞を有するチューブ状の構造、および、(b)前記空洞内の複数のフローティングヤーンを含む一体のニット構造を有するカラー要素を平編みするステップと、
前記カラー要素を前記履物製品のアッパーに固定するステップとを含む、方法。
【請求項31】
前記平編みするステップが、前記チューブ状の構造から外側に向かって延びるフランジを形成するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記固定するステップが、前記フランジを前記アッパーの材料層に隣接して配置し、前記フランジを前記材料層に接合するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記固定するステップが、前記カラー要素を、前記アッパーの外側側部の一部に沿って、前記アッパーのかかと区域の周りに、そして、前記アッパーの内側側部の一部に沿って配置するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
履物製品を製造する方法であって、
一連の履物要素を編むステップであって、前記履物要素の少なくとも2つが、解放ヤーンを含む解放区域により接合されるステップと、
前記履物要素を分離するために前記解放ヤーンを除去するステップと、
前記履物要素の少なくとも1つを前記履物製品に組み込むステップとを含む、方法。
【請求項35】
前記編むステップが、平編み技術および丸編み技術の一方を使用するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記編むステップが、一体のニット構造の前記履物要素のそれぞれを形成するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記編むステップが、前記履物要素にフランジを形成するステップを含み、前記組み込むステップが、前記フランジを前記履物製品に固定するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
加熱して前記履物要素の少なくとも1つの形状を変更するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
着用者の右足用の第1履物製品および前記着用者の左足用の第2履物製品を製造する方法であって、
第1要素および第2要素を編むステップであって、前記第1要素は前記第2要素と実質的に同一であるステップと、
前記第1要素を前記第1履物製品に組み込むステップと、
前記第2要素を前記第2履物製品に組み込むステップとを含む、方法。
【請求項40】
前記第1要素が、異なる形状の外側側部部分および内側側部部分を有し、前記第1要素が、実質的に対称な両側部を有している、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1要素が、圧縮可能な区域、および前記圧縮可能な区域から外側に向かって延びたフランジ区域を含み、前記第1要素を前記第1履物製品に組み込む前記ステップが、前記フランジ区域を前記第1履物製品の材料層に固定するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図10J】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図11K】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図10J】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図11K】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【公表番号】特表2013−507183(P2013−507183A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533225(P2012−533225)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051144
【国際公開番号】WO2011/043998
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051144
【国際公開番号】WO2011/043998
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
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