背負い式動力作業機
【課題】 傾斜地や高い位置に対して軽快な操作を可能とし、可撓管の不当な発熱も抑制しながら快適に作業を行うことができる背負い式動力作業機を提供する。
【解決手段】 背負い式動力作業機Aは、操作管3の先端部3Aに支持した作業体4と、背負い枠1に支持した動力源2と、この動力源2に一端が連結され、操作管3の基端部に他端が連結された可撓管5と、この可撓管5ないし操作管3に通挿され、動力源2の回転出力を作業体4に伝達してこれを動作させる可撓性の伝動軸6とを備える。この背負い式動力作業機Aは、操作管3の基端方に設けられ、作業者の手によって操作管3を掴むように把持されるグリップ30と、操作管3の基端方に対して可撓管5の一端を横方向の回動軸周りに所定角度範囲内で回動可能に連結する可動連結機構7と、操作管3の中間部に設けられ、作業者の手によって操作管3を吊り下げるように把持されるハンドル33とを備える。
【解決手段】 背負い式動力作業機Aは、操作管3の先端部3Aに支持した作業体4と、背負い枠1に支持した動力源2と、この動力源2に一端が連結され、操作管3の基端部に他端が連結された可撓管5と、この可撓管5ないし操作管3に通挿され、動力源2の回転出力を作業体4に伝達してこれを動作させる可撓性の伝動軸6とを備える。この背負い式動力作業機Aは、操作管3の基端方に設けられ、作業者の手によって操作管3を掴むように把持されるグリップ30と、操作管3の基端方に対して可撓管5の一端を横方向の回動軸周りに所定角度範囲内で回動可能に連結する可動連結機構7と、操作管3の中間部に設けられ、作業者の手によって操作管3を吊り下げるように把持されるハンドル33とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば雑草などの草木を刈払うための動力刈払機、あるいは生け垣などの面を均一に刈り込むための動力刈込機といった背負い式動力作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の動力作業機として、たとえば動力源を背負いながら雑草などの草木を刈払うことができる背負い式の動力刈払機が特許文献1に開示されている。この背負い式の動力刈払機は、長手状に延びる操作管と、この操作管の先端部に支持した回転作業体と、背負い枠に支持した動力源としての小型ガソリンエンジンと、上記操作管の基端方と上記エンジンとをつなぐ可撓管と、上記エンジンの出力軸に連結され、可撓管ないし操作管に通挿されてエンジンの回転出力を回転作業体に伝達する伝動軸とを備える。伝動軸は、少なくとも可撓管を通って操作管に至るまでの部分は可撓性を備えている。操作管には、これを振回操作するためのグリップハンドルが左右両側に突出するように設けられている。
【0003】
刈払い作業は、背負い枠を身体の背中側に背負うようにしてエンジンを支持した作業者が上記の操作管を振回操作し、回転作業体を地面に沿って移動させることにより行う。このような背負い式の動力刈払機によれば、その重量の多くの割合を占めるエンジンが作業者の身体によって支持されるため、作業者の両腕にエンジンの重量による荷重がかからなくなり、作業者が振回操作する際に感じられる操作管の重量は比較的軽量となる。したがって、このような背負い式の動力刈払機による概ね平地での刈払い作業は、比較的軽快に行なうことができ、かつ、疲労も少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−194521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、刈払い作業の対象となる場所は、必ずしも平地になっているとは限らず、斜面の場合もある。具体的には、土手などのように、50度以上といった比較的大きな斜度をもち、斜面の長さが3m程度にもなる傾斜地がある。このような場合、回転作業体を斜面に対して平行とするために、たとえば操作管を持ち上げたり、あるいは操作管をその軸周りに回転させて回転作業体を左右に傾斜した姿勢にする必要がある。
【0006】
上記したように、この種の背負い式動力刈払機は、背負い枠に支持したエンジンと操作管とが可撓管とこれに通挿された可撓性の伝動軸によって繋がれているため、エンジンに対する操作管の自由度が高く、平地に沿って操作管を振回する操作は比較的行ないやすい。
【0007】
しかしながら、上記可撓管は、可撓性を有するとはいっても、エンジンと操作管とを連結する部材としての役割を果たし、かつ、その内部に通挿された伝動軸を安定的に回転させる必要があるため、ある程度の肉厚および引っ張り強度を持っている。そのため、可撓管は、曲げ変形および捻り変形においてある程度の抵抗を生じる。また、この可撓管は、操作管に対して固定的に連結される。このようなことから、操作管を持ち上げて行う振回操作においては、可撓管の変形抵抗などがその操作を阻害する要因となることがあった。
【0008】
具体的には、たとえば回転作業体を作業者の腰位置よりも高く配置するように操作管を持ち上げようとすると、操作管と可撓管とのなす角度が大きくなって可撓管の曲げ変形が大きくなり、この曲げ変形による抵抗力が操作管の基端方に作用して持ち上げにくくなる。しかも、操作管の先端部に設けられた回転作業体の重量は、操作管の先端部からグリップハンドルの位置までの距離に応じたモーメントとして作業者の両腕にかかるため、これによっても操作管を持ち上げるのが難儀になる。また、左右両側に突き出たグリップハンドルを左右の手で把持すると、作業者の両腕が伸びた状態になるため、操作管を軸周りに軸転させるなどして回転作業体の向きを変更するのも容易ではない。これらの理由により、操作管は、作業者の腰位置より高く持ち上げることがほとんど不可能であり、仮に持ち上げても軸転させるには相当重く感じられることとなる。そのため、従来の背負い式動力刈払機では、土手などの傾斜地や高位置の刈払い作業には不向きであるという難点があった。
【0009】
また別の問題として、操作管の先端部を高く持ち上げるほど可撓管の曲げ変形が大きくなり、それに伴い伝動軸が可撓管の内壁に接触しながら回転することにもなるので、エンジンの回転出力が無駄に消費されるとともに、可撓管が熱を帯びやすくなるという難点もあった。
【0010】
本発明は、上記のような事情のもとで考え出されたものであって、傾斜地や高い位置に対して軽快な操作を可能とし、可撓管の不当な発熱も抑制しながら快適に作業を行うことができる背負い式動力作業機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明により提供される背負い式動力作業機は、長手状に延びる操作管と、この操作管の先端部に支持した作業体と、背負い枠に支持した動力源と、この動力源に一端が連結され、上記操作管の基端方に他端が連結された可撓管と、この可撓管ないし上記操作管に通挿され、上記動力源の回転出力を上記作業体に伝達してこれを動作させるとともに、少なくとも上記可撓管を通って上記操作管に至るまでの部分は可撓性を備えている伝動軸とを備える背負い式動力作業機であって、上記操作管の基端方に設けられ、作業者の手によって把持されるグリップと、上記操作管の基端方に対して上記可撓管の他端を横方向の回動軸周りに所定角度範囲内で回動可能に連結する可動連結機構と、上記操作管の中間部に設けられ、作業者の手によって操作管を吊り下げるように把持されるハンドルと、を備えることを特徴としている。
【0013】
好ましい実施の形態として、上記可撓管の一端は、上記伝動軸の軸方向視において軸転可能な連結部材を介して上記動力源に連結されている。
【0014】
好ましい実施の形態として、上記可撓管の他端はまた、上記可動連結機構に対して軸転可能に連結されている。
【0015】
好ましい実施の形態として、上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップである。
【0016】
好ましい実施の形態として、上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップと、上記操作管の横方向片側に延びるように上記外嵌グリップの前端近傍に設けられた側方グリップとの2種類が備えられている。
【0017】
好ましい実施の形態として、上記外嵌グリップには、上記可動連結機構の下方へと延びる延出部が設けられている。
【0018】
好ましい実施の形態として、上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられているとともに、この支持アームの先端には、上記グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている。
【0019】
好ましい実施の形態として、上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられており、上記グリップは、上記操作管の横方向片側に延びるように上記支持アームに設けられた側方グリップである。
【0020】
好ましい実施の形態として、上記側方グリップは、上記可動連結機構の回動軸よりも後方側に設けられている。
【0021】
好ましい実施の形態として、上記支持アームの先端には、上記側方グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている。
【0022】
好ましい実施の形態として、上記グリップの近傍には、上記動力源の回転出力を制御するための操作部が設けられている。
【0023】
好ましい実施の形態として、上記ハンドルは、上記操作管の上方においてループ状をなすループハンドルである。
【0024】
好ましい実施の形態として、上記動力源は、上記背負い枠に対し、上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に支持されている。
【0025】
好ましい実施の形態として、上記作業体は、刈払用の回転刃である。
【0026】
好ましい実施の形態として、上記回転刃は、上記操作管に対し、この操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して交差する方向に延びる回転軸を中心として回転可能に支持されている。
【0027】
好ましい実施の形態として、上記回転軸は、上記操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して略直交している。
【0028】
好ましい実施の形態として、上記作業体は、往復剪断刃を有するヘッジトリマーである。
【0029】
このような構成によれば、たとえば作業者の腰位置より高い位置まで作業体を配置するように操作管を持ち上げると、この操作管の基端方が概ね下向きとされる。このとき、操作管の基端方に可動連結機構を介して連結された可撓管は、横方向の回動軸周りに回動可能に連結されているため、操作管に対して比較的小さく屈曲してその曲げ変形が緩和される。これにより、操作管の基端方には、可撓管の曲げ変形による抵抗力がほとんど作用しない。また、作業者は、操作管の基端方に設けられたグリップを一方の片手で把持し、その把持位置を支点としつつ他方の片手で操作管の中間部に設けられたハンドルを吊り下げるように把持することができる。これにより、作業者は、グリップおよびハンドルを両手で把持して操作管を持ちやすい態勢となり、操作管の先端部を高く上げるようにしても、その先端部に設けられた作業体の重量をさほど重く感じることはなく、操作管を容易に持ち上げることができる。さらに、操作管を持ち上げる際には、この操作管と可撓管が上記可動連結機構を介して連結されているため、操作管に対する可撓管の不当な程度までの屈曲が防止され、可撓管に対する伝動軸の長時間接触による回転出力低下や発熱が防止される。
【0030】
したがって、本発明に係る背負い式動力作業機によれば、作業者は、傾斜地や高位置に対して操作管を持ち上げながら軽快な操作を行うことができるとともに、可撓管の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0031】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】背負い式動力作業機の第1実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す背負い式動力作業機の要部分解斜視図である。
【図3】図1に示す背負い式動力作業機の要部側面図である。
【図4】図1に示す背負い式動力作業機の要部側面視断面図である。
【図5】図1に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図6】図1に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図7】図1に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図8】背負い式動力作業機の第2実施形態を示す全体斜視図である。
【図9】図8に示す背負い式動力作業機の要部分解斜視図である。
【図10】図8に示す背負い式動力作業機の要部側面図である。
【図11】図8に示す背負い式動力作業機の要部側面視断面図である。
【図12】図8に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図13】図8に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図14】図8に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図15】背負い式動力作業機の第3実施形態を示す要部側面視断面図である。
【図16】図15に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図17】背負い式動力作業機の第4実施形態を示す要部分解斜視図である。
【図18】図17に示す背負い式動力作業機の要部側面図である。
【図19】図17に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図20】図17に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図21】図17に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図22】背負い式動力作業機の第5実施形態を示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0034】
図1〜7は、背負い式動力作業機の第1実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A1は、動力源を背負いながら回転する作業体によって雑草などの草木を刈払うことができる背負い式の動力刈払機である。この背負い式動力作業機A1は、図1に示すように、背負い枠1、動力源としてのエンジン2、長手状に延びる操作管3、作業体としての回転刃B、エンジン2と操作管3とを繋ぐ可撓管5、操作管3ないし可撓管5に通挿される伝動軸6(図4および図5参照)、操作管3と可撓管5とを連結する可動連結機構7、エンジン2と可撓管5とを連結するための連結部材8を備える。
【0035】
背負い枠1には、エンジン2が搭載されている。操作管3の先端部3Aには、回転刃Bが支持される。操作管3の基端方には、作業者の手によって操作管3を掴むように把持するための外嵌グリップ30と、この外嵌グリップ30の近傍にあってエンジン2の回転出力を制御するための操作部31が設けられている。この操作管3の基端方にはまた、外嵌グリップ30を把持する作業者の前腕を下方から受ける肘受け部材32が支持アーム320および固定部材40を介して設けられている。操作管3の中間部には、作業者の手によって操作管3を吊り下げるように把持するためのループハンドル33が設けられている。伝動軸6は、エンジン2から連結部材8を貫通して可撓管5に通挿され、さらに可動連結機構7を貫通して操作管3に通挿されており、この操作管3の先端部3Aに至る。操作管3の先端部3Aには、図示しないベベルギア機構を介して伝動軸6が回転刃Bの回転軸に連結されている。
【0036】
背負い枠1は、エンジン搭載部10、作業者の両肩に掛けるバンド部材11、作業者の背中に当接されるクッション部材12を備える。エンジン搭載部10は、フレームパイプを用いるなどして形成されており、このエンジン搭載部10において上下方向に沿う回動軸P周りに回動可能にエンジン2が支持される。バンド部材11は、エンジン搭載部10のフレームパイプの適部に係止されており、たとえばリュックサックを背負うのと同様にして作業者に装着される。クッション部材12は、エンジン搭載部10のフレームパイプの前部に取り付けられており、バンド部材11を装着した作業者の背中に当接してエンジン搭載部10の圧迫を和らげる。
【0037】
エンジン2は、たとえば小型2サイクルのガソリンエンジンが適用される。このエンジン2は、エンジン搭載部10のフレームパイプに支持された状態で、上下方向の回動軸P周りに回動可能である。図示しないエンジン2の出力軸は、エンジン搭載部10の後方に延出する。このようなエンジン2には、連結部材8を介して可撓管5が連結される。この可撓管5から連結部材8の内部を通ってエンジン2の後部に至る伝動軸6の基端は、図示しないクラッチ機構を介してエンジン2の出力軸に連結される。これによりエンジン2の回転出力は、ある一定以上の回転数になるとクラッチ機構が作動することで伝動軸6を軸転させ、これにより操作管3の先端部3Aに支持された回転刃Bを回転させる。
【0038】
操作管3は、たとえば比較的軽量で中空状の金属パイプにより形成される。操作管3の先端部3Aには、ベベルギア機構(図示略)が内蔵されており、このベベルギア機構を介して回転刃Bの回転軸(図示略)と伝動軸6の先端とが所定の角度をもって連結される。操作管3の中間部に設けられたループハンドル33は、操作管3の先端部3Aを上方に起こすように吊り下げて持ちやすいループ状をなす。操作管3の基端方には、図2〜5に示すように、外嵌グリップ30、操作部31、肘受け部材32、支持アーム320、固定部材40、可動連結機構7が設けられている。操作管3の内部には、図4および図5に示すように、たとえばゴム製の防振スペーサ34を介して支持された保持管35が挿入されている。この保持管35内には、軸転可能に伝動軸6が通挿される。これにより、操作管3内の伝動軸6は、操作管3に沿ってまっすぐ保持され、円滑に軸転させられる。なお、特許第4012492号公報あるいは特許第3806384号公報に示されるもののように、操作管の先端部が横軸周りに回動可能な構成としてもよい。このような構成が採用された背負い式動力作業機では、作業者による調節あるいは回転刃を地面に叩きつけることにより、回転刃の操作管に対する角度を適宜変更し、たとえば回転刃を操作管と平行な姿勢にまですることができる。
【0039】
図3および図4に示すように、外嵌グリップ30は、作業者が片手で握りやすい略筒状の部材であり、操作管3を取り巻くようにその基端方に外嵌されている。この外嵌グリップ30は、把持部300、延出部301、中空部302(図4参照)、長孔部303(図4参照)を備える。把持部300は、片手で掴まれる筒状の部分であり、その内部に中空部302および長孔部303を有する。把持部300の後端側下部には、中空部302や長孔部303の開口よりも外方に延出し、先端に向かうほど下寄りとなるように傾斜した延出部301が設けられている。この延出部301は、可動連結機構7の下方へと延びる。延出部301の下部は、複数の指を添えやすいように波状に形成されている。把持部300の後端側上部は、後端に向かうほど大きく盛り上がっている。中空部302には、操作管3の基端方が差し込まれる。長孔部303には、アクセル操作ケーブル305(図4参照)が通挿される。作業者は、操作管3を持つ際、外嵌グリップ30を把持した片手が他方のループハンドル33を持つ手よりも常に身体に近くなるため、外嵌グリップ30を把持する腕に余裕をもたせ、比較的楽に操作管3を持ちながら操作部31を操作することができる。たとえば操作管3の先端部3Aを上方に持ち上げる際には、延出部301まで手を移動させて外嵌グリップ30を把持することができる。
【0040】
図4に示すように、操作部31は、アクセル操作ケーブル305を介してエンジン2と繋がれており、このアクセル操作ケーブル305の内部ワイヤー(図示略)が引き込まれる操作本体部310、その内部ワイヤーを引っ張ることでエンジン2の回転出力を上昇させるL字状のアクセルレバー311を備える。操作本体部310は、操作管3に取り付けられた状態において、少なくとも外嵌グリップ30の前端上部よりも上方にある程度大きく延出している。たとえば外嵌グリップ30の前端方を把持する場合には、操作本体部310の上部後端に手が当接する。そのため、操作本体部310は、外嵌グリップ30を把持する手の滑り止めとしても機能する。アクセルレバー311は、操作本体部310の側方下部から上部へと延びて屈曲した形状を呈し、その下部に内部ワイヤーの先端が係止されている。このアクセルレバー311は、図3に実線で示すように、何ら操作がなされずに自然状態にあるときは、たとえば図示しないバネの弾性力によって前方側に常に位置する。同図に仮想線で示すように、作業者が外嵌グリップ30を持つ手の親指でアクセルレバー311を後方側に移動させると、アクセル操作ケーブル305の内部ワイヤーが引っ張られ、エンジン2の回転出力が上昇させられる。このアクセルレバー311は、適当に移動させると、たとえば摩擦係止によってその位置に留まるため、作業者は、常にアクセルレバー311を操作しなくてもよい。なお、操作部のアクセルレバーは、たとえば自転車のブレーキレバーあるいは摩擦式シフトレバーのようなタイプであってもよい。
【0041】
図2および図7に示すように、肘受け部材32は、操作管3の先端部3Aを下方に向けてこの操作管3を持つ場合に外嵌グリップ30を把持する前腕を下方から受けるものであり、作業者の前腕基部がすっぽりとはまり込むように断面略U字状に形成されている。この肘受け部材32は、支持アーム320の先端に支持されている。支持アーム320の基端には、この支持アーム320を図示しないネジによって固定部材40に固定するためのネジ孔321が設けられている。この支持アーム320は、固定部材40を介して操作管3に取り付けられた状態において、この操作管3に対して外嵌グリップ30の延出部301とは対称的な姿勢をなし、肘受け部材32が固定された先端に向かうほど上寄りに傾斜した姿勢をなす。これにより、支持アーム320と延出部301との間には、可動連結機構7が上下方向に所定の角度範囲内で回動可能な空間が確保される。作業者は、操作管3の先端部3Aを下方に向けて外嵌グリップ30を把持した場合、その外嵌グリップ30を把持する前腕が支持アーム320に沿う恰好になり、肘近傍の前腕基部がちょうど肘受け部材32に収まる。
【0042】
図6および図7に示すように、ループハンドル33は、操作管3を持ち上げたり左右に振回させたりする際に必要な手の力を操作管3に与えやすいものである。たとえば図6に示すように操作管3を持ち上げた姿勢にする場合、作業者は、たとえば外嵌グリップ30を右手で把持し、その把持位置を支点としつつ左手でループハンドル33を吊り下げ状に把持することができる。その際、作業者の両手は、操作管3の軸上に位置し、その操作管3を最も持ち上げやすい持ち方になる。また、作業者は、できる限り操作管3の基端方を持つ場合、支持アーム320の基端方から外嵌グリップ30の延出部301までの部分を握り持つにようにして外嵌グリップ30の後端寄りを把持することができる。これにより、作業者は、操作管3の先端部3Aを高く上げるようにしても、その先端部3Aに設けられた回転刃Bなどの重量をさほど重く感じることはなく、この操作管3を身体に近づけるように引き寄せて安定させた姿勢で持ち上げることができる。なお、操作管の中間部に設けるハンドルは、ループ状のタイプに限らず、操作管を吊り下げるような持ち方ができるものであればよい。たとえばハンドルの形状は、操作管の中間部から横方向に延び、さらにその中間部の上方に至るようなU字状であってもよく、このようなU字状のハンドルによっても操作管の中間部を吊り下げるように持つことができる。
【0043】
図2〜4に示すように、固定部材40は、操作管3の基端方に支持アーム320を介して肘受け部材32を固定し、かつ、その操作管3の基端方に可動連結機構7の一部を差し込んで固定しておくためのものである。この固定部材40はまた、操作管3の基端方に固定された状態において外嵌グリップ30の後端に当接するため、操作管3からの外嵌グリップ30の抜けを防ぐ役割も果たす。固定部材40は、支持アーム320の基端が固定される上部400、操作管3の基端方が嵌め込まれる嵌入部401、上部400から嵌入部401に達する切れ込み溝402、切れ込み溝402を横方向に貫いて両側面に至るネジ孔403、後述するカバー72を係止するための環状溝404を備える。上部400には、後方に向かうほど上寄りとなる傾斜面が設けられている。支持アーム320は、上部400の傾斜面に沿って取り付けられることにより、操作管3に対して傾斜した姿勢をなす。この固定部材40は、次のようにして固定される。まず、操作管3の基端方には、これを外嵌するように外嵌グリップ30および操作部31が取り付けられ、その後、操作管3の基端方には、可動連結機構7の一部(後述する筒部700)が差し込まれる。次に、可動連結機構7の一部が差し込まれた操作管3の外周面部分には、この部分を外嵌するように固定部材40の嵌入部401が嵌め合わされる。固定部材40の後端面は、操作管3の端面に概ね一致させられる。その後、固定部材40の上部400には、支持アーム320の基端が配置され、この支持アーム320のネジ孔321と固定部材40のネジ孔403とに図示しないネジが締め込まれて固定される。つまり、固定部材40は、切れ込み溝402が押しつぶされた状態で操作管3の基端方に締め付け固定される。その結果、固定部材40の嵌入部401に接する操作管3の外周面部分が均等に締め付けられるとともに、可動連結機構7の一部も操作管3の内周面部分によって強く締め付けられる。これにより、操作管3の基端方には、固定部材40を介して支持アーム320および可動連結機構7が確実に固定される。
【0044】
図2〜5に示すように、可動連結機構7は、操作管3の基端方に対して可撓管5の一端を回動軸S周りに回動可能に連結するものであり、操作管側の第1部材70、可撓管側の第2部材71、これらの連結部分を覆うカバー72を備える。カバー72は、たとえば柔軟性に富むチューブ状のものである。第1部材70および第2部材71は、次のような構成により、操作管3の軸に対して直交する水平横方向の回動軸S周りに一定角度範囲内で互いに回動可能となるように連結されている。
【0045】
第1部材70は、操作管3の基端方に軸転不能に内嵌される筒部700、この筒部700から後方に延びる連絡部701を備える。筒部700の内部には、連絡部701に近づくにつれて第2部材71が回動する方向に拡開するテーパ状の貫通孔702が形成されている。連絡部701は、左右一対の対向壁をなすように形成されており、これらの対向壁間に貫通孔702の開口が位置する。この連絡部701には、ネジ穴704が形成されている。連絡部701の先端には、第2部材71の回動範囲を規制するための規制縁705が形成されている。筒部700と連絡部701との間には、操作管3より大きい外径をもつ段部703が形成されている。筒部700は、段部703が固定部材40の後端面あるいは操作管3の端面に当たるまで操作管3の内部に差し込んで固定される。
【0046】
第2部材71は、可撓管5の先端を外嵌する筒部710、この筒部710から前方に延びるブラケット部711を備える。筒部710の内部には、可撓管5の先端を軸転不能に内嵌する嵌合孔712、ブラケット部711に近づくにつれてこのブラケット部711が回動する方向に拡開するテーパ状の貫通孔713が形成されている。ブラケット部711は、第1部材70の連絡部701を内側に配置可能な左右一対の対向壁をなすように形成されており、これらの対向壁間に貫通孔713の開口が位置する。このブラケット部711には、連絡部701のネジ穴704に対応するネジ孔714が設けられている。ブラケット部711の先端715は、このブラケット部711が第1部材70の段部703に対して当接することなくスムーズに動くように円弧状に形成されている。このような第2部材71は、第1部材70の連絡部701にブラケット部711を外嵌させ、ネジ孔714を貫通させたネジ73をネジ穴704に締め込むことにより、第1部材70に対して回動可能に連結される。第1部材70に対して第2部材71が回動軸S周りに回動する際、ある程度まで回動すると、第1部材70の規制縁705がブラケット部711の内側奥方の端面に当たる。これにより、第2部材71は、回動軸S周りに大凡±20°〜25°の角度範囲で回動可能である。そのため、第2部材71の筒部710に連結された可撓管5の先端も、上下方向に大凡±20°〜25°の角度範囲で回動可能である。
【0047】
カバー72は、操作管3の基端方に可動連結機構7が固定された状態において、第2部材71の筒部710の外周面一部に形成された環状溝716と固定部材40の環状溝404とにリング状の弾性バンド720を係止することによって密閉される。このカバー72の内部には、密封空間が形成されるため、第1部材70および第2部材71の連結部分にグリスなどの潤滑材を付着させておくことができる。
【0048】
可撓管5は、たとえばコイル状に巻かれた金属心材を筒状に成形した樹脂あるいは合成ゴム内にインサートされたものであり、軸方向の圧力に強く、かつ、所定の抵抗をもって撓曲可能である。このような可撓管5は、可動連結機構7と連結部材8とを繋ぐように設けられる。
【0049】
伝動軸6は、連結部材8を貫通して可撓管5の内部を延び、さらに可動連結機構7を貫通して操作管3の先端部3Aまで延び、この先端部3Aにおいて図示しないベベルギア機構の入力軸に連結される。操作管3の先端部3Aでは、この操作管3の軸視方向において、上記可動連結機構7が回動する方向(上下方向)に概ね沿うようにベベルギア機構の出力軸が方向転換され、このベベルギア機構の出力軸に回転刃Bの回転軸が取付けられている。
【0050】
連結部材8は、可動連結機構7と類似した構成からなり、エンジン側の第1部材80、可撓管側の第2部材81を備える。第1部材80および第2部材81は、伝動軸6が貫通する方向に対して直交する方向の回動軸S’周りに一定角度範囲内で互いに回動可能となるように連結されている。この連結部材8は、先述した可動連結機構7と同様の仕組みで回動軸S’周りに回動するものであり、その詳細な図示説明については割愛する。第1部材80は、伝動軸6が貫通する方向の軸X周りに軸転可能にエンジン2の後部に連結されている。第2部材81は、図1に示すように回動軸S’が上下方向に沿う状態にある場合、この回動軸S’周りに回動することで第1部材80に対して左右方向に揺動する。これにより、連結部材8に接続された可撓管5の基端方は、その延びる方向に高い自由度をもつ。たとえば、可撓管5全体が自重によって垂れ下がる場合、この可撓管5の曲げ変形による力を受ける方向に第1部材80が軸転し、それに応じて回動軸S’が上下方向よりある程度傾いた姿勢になる。回動軸S’が上下方向より傾くと、第1部材80に対して第2部材81が下方に屈曲しやすくなる。また、連結部材8が接続されたエンジン2の後部は、可撓管5の曲げ変形による力を受けることにより、回動軸P周りに回動して左右に振られる。このような連結部材8およびエンジン2の可動構造により、可撓管5の曲げ変形が効果的に緩和される。なお、連結部材の連結部分にも、可動連結機構と同様のカバーを設けて覆うようにしてもよい。
【0051】
次に、上記背負い式動力作業機A1の作用について説明する。
【0052】
図6は、土手などのように、たとえば斜度が50度以上といった急斜面の高い位置における雑草などの刈払い作業を行う場合を示している。同図に示すような状態において、作業者は、背負い枠1を背負った状態とし、たとえば右手で外嵌グリップ30を把持するとともに、その右手の把持位置よりも左手でループハンドル33を高く掲げて吊り下げるように把持する。
【0053】
このとき、作業者の左右両手は、操作管3の軸上に位置する。これにより、作業者は、操作管3を軸転させずに真っ直ぐ持ち上げることができる。また、作業者は、できる限り外嵌グリップ30の後端方を把持し、支持アーム320の基端および外嵌グリップ30の延出部301を握り持つことができる。そうした場合、外嵌グリップ30を持つ手は、可動連結機構7の近傍に位置する。そのため、作業者は、可撓管5の曲げ変形に応じて可動連結機構7を容易に屈曲させやすくなり、外嵌グリップ30を持つ手を前後に押し引きするようにして操作管3の傾き具合を容易に変化させることができる。すなわち、操作管3を立てるようにして持ち上げる際、作業者は、外嵌グリップ30を持つ方の手に可撓管5に引っ張られるような違和感を感じることなく力を加えることができ、操作管3を安定した姿勢で持ち上げることができる。操作管3の先端部3Aを高く上げるようにしても、作業者は、外嵌グリップ30の後端方を軽く操作することで操作管3の傾き具合を調整することができ、回転刃Bを斜面に対して概ね平行な姿勢とすることができる。その際には、作業者が回転刃Bなどの重量をさほど重く感じることもなく、これによって操作管3を持ち上げる際の負荷が軽減される。
【0054】
また、外嵌グリップ30を持つ手は、可動連結機構7の近傍に位置するが、可動連結機構7の連結部分がカバー72によって覆われているため、その手が潤滑材で汚れたり可動連結機構7の動作に支障をきたすといったことはない。なお、外嵌グリップ30およびループハンドル33の持ち方については、作業者が適宜操作し易い持ち方を選択することができ、上記とは左右反対の手の持ち方であってもよい。
【0055】
このような把持態勢をとると、操作管3は、その先端部3Aが例えば作業者の腰位置よりも高く上方に持ち上げられた恰好となり、作業対象となる斜面に対して回転刃Bが概ね平行になる。回転刃Bは、アクセルレバー311の操作に応じてエンジン2の回転出力が伝動軸6に伝達され、この伝動軸6が軸転して図示しないベベルギア機構が作動させられることにより回転させられる。その際、作業者は、操作管3の先端部3Aを左右に振回操作することができ、斜面の広範囲にわたって雑草などを刈払うことができる。これにより、作業者は、斜面の高い位置に生えた雑草などを回転刃Bによって容易に刈払うことができる。また、極端な例として操作管3が鉛直方向に沿う姿勢となっても、作業者は、外嵌グリップ30の後端方を持つ手とループハンドル33を持つ手によって操作管3を安定した姿勢に保つことができる。
【0056】
上記のように操作管3を持つ場合、この操作管3は、作業者の概ね正面から上方へと延びるように位置する。このとき、可動連結機構7は、肘受け部材32の方へと屈曲しやすくなる。これにより、可撓管5の曲げ変形が抑えられ、可撓管5は、可動連結機構7から緩やかに湾曲して作業者の背中側に位置するエンジン2に至る。可動連結機構7は、操作管3と可撓管5とを水平横方向の回動軸S周りに回動可能に連結するため、操作管3を上方に持ち上げる際、可撓管5の曲げ変形をそれほど大きく変化させることはない。
【0057】
したがって、操作管3を立てるように持ち上げて振回操作する際には、上記したような操作管3の持ち方に加えて、可撓管5の曲げ変形による無駄な抵抗も操作管3の基端方にかかることがないので、その操作に軽快さが増す。また、可動連結機構7は、操作管3に対する可撓管5の上下方向における曲げ変形を制限するため、可撓管5に通挿された伝動軸6も必要以上に屈曲させられることがない。これにより、伝動軸6の軸転に無駄な抵抗が生じることがなく、エンジン2の出力低下を抑制することができる。可動連結機構7において伝動軸6が通挿される第1部材70および第2部材71の貫通孔702,713は、互いに連結される箇所に向かうほど拡開するようにテーパ状であることから、可動連結機構7が屈曲しても、軸転する伝動軸6が貫通孔702,713の内周面に強く接触することを回避することができる。これによっても、伝動軸6が可動連結機構7に接触することによる摩擦熱の発生や、出力低下を抑制することができる。
【0058】
さらに、可撓管5をエンジン2に連結するための連結部材8は、エンジン2に対して可撓管5を回動軸S’周りに回動可能かつ軸X周りに軸転可能とし、これらの2軸動作によって可撓管5の基端方を左右上下のあらゆる方向に振る。エンジン2もまた、回動軸P周りに回動可能であって左右方向に振られる。これにより、操作管3を上下方向や左右方向に振回操作する際には、可撓管5の曲げ変形ができる限り小さくなり、その曲げ変形による無駄な抵抗がエンジン2や背負い枠1にかかることはない。そのため、作業時には、操作管3の操作に軽快さが増すとともに、伝動軸6の軸転に無駄な抵抗も生じることがなく、エンジン2の出力低下を抑制することができる。
【0059】
したがって、上記背負い式動力作業機A1によれば、操作管3が作業者の腰位置よりも高く容易に持ち上げられ、その操作管3が振回操作されても可撓管5の曲げ変形をできる限り小さく抑えることができ、可撓管5に対して伝動軸6を長時間接触させることもない。そのため、作業者は、傾斜地や高位置に対して操作管3を持ち上げながら軽快な操作を行うことができるとともに、可撓管5の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0060】
このように、可撓管5の必要以上の曲げ変形を防止してエンジン2の出力低下を抑制することができることは、エンジン2をより小出力の小型のものを採用できることにつながる。このことは、背負い式動力作業機A1のさらなる軽量化に寄与し、操作性の向上にもつながる。
【0061】
図7は、平地などにおける雑草などの刈払い作業を行う場合を示している。同図に示すような状態において、作業者は、背負い枠1を背負った状態とし、右手で外嵌グリップ30を把持するとともに、その右手の把持位置よりも若干低く下げるように左手でループハンドル33を把持する。この場合、外嵌グリップ30を把持する手は、支持アーム320の基端よりも前側となる把持部300を握ればよい。このような把持態勢をとると、外嵌グリップ30を把持した前腕が支持アーム320に沿って延び、その前腕の肘付近が肘受け部材32にちょうど収まる。操作管3の先端部3Aは、作業対象となる平地の地面に対して近づいた恰好となり、その地面に対して回転刃Bが概ね平行になる。回転刃Bは、先述したようにアクセルレバー311の操作に応じて回転させられる。その際、作業者は、操作管3の先端部3Aを左右に振回操作することにより、平地の広範囲にわたって雑草などを刈払うことができる。
【0062】
このとき、操作管3は、基端方から先端部3Aに向けて下方に傾斜した姿勢となる。この操作管3を左右に振回操作したり保持するための力は、ループハンドル33を把持した左手や外嵌グリップ30を把持した右手のみならず、その右手の前腕が肘受け部材32を左右方向や下向きに押すことによっても、操作管3に対して十分有効かつ効果的に伝えられる。すなわち、操作管3は、作業者の両手と右腕の肘部分とによって3点で支持され、安定した姿勢で左右に振回操作される。また、操作管3の先端部3Aに設けられた回転刃Bは、必要以上に地面に近づけられることはなく、この回転刃Bが地面に擦れるといった状態ができる限り回避される。これにより、作業者は、平地に生えた雑草なども回転刃Bによって軽快かつ容易に刈払うことができる。なお、先述したように、外嵌グリップ30およびループハンドル33の持ち方については、もちろん上記とは左右反対の手の持ち方であってもよい。
【0063】
また、操作管3が左右に振回操作されるのに伴い、可撓管5をエンジン2に連結した連結部材8は、エンジン2に対して可撓管5を回動軸S’周りに回動可能かつ軸X周りに軸転可能とし、これらの2軸動作によって可撓管5の基端方を左右上下のあらゆる方向に振る。エンジン2もまた、回動軸P周りに回動可能であって左右方向に振られる。これにより、操作管3の先端部3Aを下向きにして左右に振回操作するといった作業時においても、可撓管5の曲げ変形による無駄な抵抗がエンジン2や背負い枠1にかかることはなく、操作管3の操作に軽快さが増すとともに、伝動軸6の軸転に無駄な抵抗も生じることがなく、エンジン2の出力低下を抑制することができる。
【0064】
したがって、背負い式動力作業機A1を用いた平地に対する刈払い作業においても、軽快かつ容易に操作管3を振回操作することができるとともに、可撓管5の曲げ変形をできる限り小さく抑えることができ、可撓管5の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0065】
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、先述したものと同一または類似の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図8〜14は、背負い式動力作業機の第2実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A2は、2種類のグリップとして、外嵌グリップ30および側方グリップ30’を備える。外嵌グリップ30、肘受け部材32、固定部材40、可動連結機構7、および連結部材8は、先述した第1実施形態によるものと細部において異なる。その他の構成は、先述した第1実施形態によるものと同様である。
【0067】
図9〜11によく示すように、外嵌グリップ30は、先述したものよりも短身であり、支持アーム320の基端方を作業者が片手で握るのに必要十分な大きさである。作業者は、外嵌グリップ30を把持することによって必然的に可動連結機構7の近傍の部位を持つことができる。作業者は、操作管3の先端部3Aを基端方よりも高く上げた姿勢で操作管3を持つ場合、先述した第1実施形態の場合と同様に、支持アーム320の基端および外嵌グリップ30の延出部301を握り持つことができる。なお、操作管3を持ち上げる際、作業者は、外嵌グリップ30を必ず持つ必要はなく、図13に示すように側方グリップ30’を持ってもよい。
【0068】
図9に示すように、側方グリップ30’は、作業者が外嵌グリップ30から持ち替え可能な棒状のグリップであり、操作管3に対して水平横方向片側(たとえば図8に示すように操作管3の基端方から先端部3Aの方を見て右側)に延出している。側方グリップ30’は、外嵌グリップ30と操作部31との間に固定された支持部材300’を介して操作管3の基端方に支持されており、外嵌グリップ30の前端近傍に設けられている。図13および図14に示すように、作業者は、操作管3の先端部3Aが高位置あるいは低位置となるいずれの場合においても、その操作管3の基端方において右側に突き出た側方グリップ30’を右手で把持し、ループハンドル33を持つ左手とバランスをとりながら操作管3を左右に振回操作することができる。その際、作業者は、いわゆる逆手によって側方グリップ30’を把持し、上下左右方向にバランスよく操作管3を持つことができる。なお、操作管3を持ち上げる際には、先述したように外嵌グリップ30を持ってもよい。
【0069】
図8および図9に示すように、肘受け部材32は、操作管3に対して側方グリップ30’が配置された側と同一側に位置するように支持アーム320の先端片側に支持されている。たとえば図14に示すように、作業者が右手で側方グリップ30’を把持すると、その右手の肘近傍の前腕基部がちょうど肘受け部材32に収まる。
【0070】
図9および図12に示すように、固定部材40は、操作管3の基端方に対し、支持アーム320の基端を固定するとともに、可動連結機構7における第1部材70の筒部700を締め付け固定し、さらに止めネジ405(図12参照)によってその筒部700を軸転不能に固定する。固定部材40の適部には、止めネジ405を締め込むためのネジ孔406が設けられている。止めネジ405は、操作管3の一部を横方向に貫いて筒部700に当接するまでネジ孔406に締め込まれる。
【0071】
図9〜12に示すように、可動連結機構7は、操作管3の基端方に対して可撓管5の先端を回動軸S周りに回動可能に連結するほか、可撓管5を筒部710の中心軸である軸T周りに軸転可能にも連結する。可動連結機構7は、第1実施形態によるものと同様に、第1部材70および第2部材71を備えるが、第2部材71は、筒部710とブラケット部711とが別個の構成部品であり、さらにブラケット部711に対して筒部710を軸T周りに軸転可能に連結するキャップ部717を有する。
【0072】
図12によく示すように、第1部材70における筒部700は、端部を除く外周面700Aが円錐面状に形成されており、さらに外周面700Aにおいて固定部材40のネジ孔406と対向する部位には、段差面700Bが形成されている。この段差面700Bには、ネジ孔406に締め込まれた止めネジ405の先端部が当接する。すなわち、段差面700Bが止めネジ405によって押さえ止められることにより、第1部材70は、操作管3の基端方に対して軸転不能に確実に固定される。
【0073】
図12によく示すように、第2部材71の筒部710は、軸転不能に連結された可撓管5とは反対側により大径の端部710Aを有する。キャップ部717は、筒部710を軸方向後方側に貫通させる一方、ブラケット部711の後端面に端部710Aを連結させ、この端部710Aの軸方向移動を規制している。キャップ部717は、端部710Aを掛け止めながらブラケット部711の後端方にネジ711Aで固定される。これにより、キャップ部717とブラケット部711との間には、端部710Aが軸T周りに軸転しうる隙間が形成され、端部710Aと一体の筒部710は、ブラケット部711に対して軸転可能に連結される。また、ブラケット部711は、回動軸S周りに回動可能に第1部材70の連絡部701に連結されている。これにより、可動連結機構7は、操作管3の基端方に対して可撓管5の一端を、第2部材71のブラケット部711によって回動軸S周りに回動可能としつつ、筒部710によって軸T周りに軸転可能とする。
【0074】
連結部材8は、可撓管5の基端方をエンジン2の後部に対して軸X周りに軸転可能に連結するものである。この連結部材8’は、可動連結機構7の第2部材71と同様の筒部80’およびキャップ部81’を有し、これらによって可撓管5の基端方を軸X周りに軸転可能に連結している。可撓管5に通挿された伝動軸6は、連結部材8の内部を通って軸転可能にエンジン2の出力軸に連結される。これにより、伝動軸6が軸転すると可撓管5が捻れ作用を受けて捻り変形しやすくなる。このとき、可動連結機構7における第2部材71の筒部710とともに連結部材8の筒部80’が軸転することにより、可撓管5の捻り変形が緩和され、ひいては可撓管5全体の曲げ変形も緩和される。また、エンジン2の後部が回動軸P周りに振られることによっても、可撓管5の曲げ変形とともに捻り変形がある程度緩和される。
【0075】
次に、上記背負い式動力作業機A2の作用について説明する。
【0076】
本実施形態の背負い式動力作業機A2では、先述した第1実施形態によるものと同様に可動連結機構7が回動軸S周りに回動するのに加え、その一部(第2部材71の筒部710)が軸T周りに軸転する。
【0077】
たとえば操作管3が軸転させられると、操作管3に固定された第1部材70も一体的に軸転させられ、この第1部材70に連結された第2部材71のブラケット部711は、その軸転の中心軸周りに回る。
【0078】
このとき、ブラケット部711は、第1部材70に対して回動軸S周りに回動可能であるが、それほど大きく回動させられず、操作管3の長手方向に概ね沿った姿勢になる。そのため、ブラケット部711は、操作管3の軸転に伴い、ほとんど軸Tに沿った軸周りに転回する。
【0079】
一方、ブラケット部711には、軸T周りに軸転可能な筒部710を介して可撓管5の先端が連結されており、この可撓管5は、ブラケット部711に対して相対的に軸転しやすくなっている。すなわち、操作管3が軸転させられる際には、ブラケット部711と可撓管5とが互いに軸T周りにずれ動きやすいため、可撓管5の先端がブラケット部711の動きにつられて大きく捻られることはない。
【0080】
また、本実施形態の背負い式動力作業機A2では、連結部材8の筒部80’も軸X周りに軸転可能になっている。そのため、この筒部80’は、上記可動連結機構7の筒部710と同様の作用を呈し、筒部80’に連結された可撓管5の基端は、大きく軸転して捻られることはない。
【0081】
このような可動連結機構7および連結部材8によって可撓管5が捻られにくく、その捻り変形による抵抗が操作管3に伝わりにくいため、作業者は、操作管3を上下左右に振回操作させるだけでなく、作業状況に応じて容易に操作管3を軸転させることができる。
【0082】
また、可撓管5は、その内部の内周面に軸転する伝動軸6が接触することで軸周りの方向に摩擦力が生じ、この摩擦力によっても捻り変形しようとする。この捻り変形は、伝動軸6の軸転する速度が高速になるほど顕著となる。このような摩擦による可撓管5の捻り変形も、可動連結機構7および連結部材8を介して伝わりにくいため、作業者は、操作管3やエンジン2に可撓管5の捻り変形による抵抗をそれほど感じることなく作業を行うことができる。
【0083】
たとえば図13に示すように操作管3を持ち上げる場合、作業者は、右手で逆手状に側方グリップ30’を把持し、左手でループハンドル33を引き上げるようにして操作管3を持ち上げることができる。このようにして斜面に対する刈払い作業を行う場合、作業者は、たとえば斜面を横方向から見る位置に立って前進しながら操作管3を動かす。なお、右手は、外嵌グリップ30を持ってもよい。
【0084】
このとき、作業者は、回転刃Bを斜面に対して概ね平行な姿勢としつつ、その斜面に沿って操作管3を上下に動かすことになる。その際、操作管3は、回転刃Bが斜面に沿うように水平な姿勢より傾けられることである程度軸転させられるが、先述したように操作管3が軸転しても可撓管5が捻り変形しにくいため、作業者は、可撓管5の曲げ変形だけでなく捻り変形による抵抗もそれほど感じずに操作管3を軽快に操作することができる。
【0085】
また、図14に示すように回転刃Bを平地に沿うように配置する場合、作業者は、右腕の肘部分を肘受け部材32に押し当てた状態で側方グリップ30’およびループハンドル33を把持し、操作管3の先端部3Aを下方に降ろした姿勢で操作管3を持つことができる。このようにして平地に対する刈払い作業を行う場合でも、作業者は、草木を効率よく刈払うために操作管3を軸転させることがある。この場合においても、可撓管5が捻り変形しにくいため、作業者は、可撓管5の捻り変形による抵抗をそれほど感じずに操作管3を軽快に操作することができる。
【0086】
一方、上記のような作業中、可撓管5の捻り変形が過度となり、その捻り変形による力が操作管3を軸転させる外力として操作管3に伝わることがある。その場合においても、作業者は、操作管3の横方向に突き出た側方グリップ30’を把持しており、その側方グリップ30’に加える力のモーメントによって上記外力を効果的に制することができるので、操作管3の不必要な軸転を確実に抑えることができる。
【0087】
したがって、上記背負い式動力作業機A2によれば、先述した第1実施形態によるものの効果に加え、操作管3を軸転させても軽快に操作することができるといった効果を発揮することができる。
【0088】
図15および図16は、背負い式動力作業機の第3実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A3は、可動連結機構7の第2部材71におけるキャップ部717をブラケット部711の後端方にねじ込み式で固定したものであり、その他の構成は、先述した第2実施形態によるものと同様である。なお、図15および図16では、連結部分を覆うカバーを略している。このようなねじ込み式のキャップ部717によれば、そのねじ込み量を調整することでブラケット部711との隙間を容易に調整することができ、たとえば端部710Aを遊動しやすくしてブラケット部711に対する筒部710の軸T周りの軸転をより円滑にすることができる。
【0089】
図17〜21は、背負い式動力作業機の第4実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A4は、外嵌グリップを備えず、側方グリップ30’および操作部31を支持アーム320に備えたものである。この側方グリップ30’は、操作管3の先端部3Aを持ち上げる際にも用いられる。その他の構成は、先述した第2実施形態によるものと同様である。
【0090】
図17に示すように、側方グリップ30’は、支持アーム320に対して肘受け部材32が配置された側と同一側において水平横方向に延出し、この支持アーム320に直接取り付けられている。図18および図19に示すように、側方グリップ30’は、可動連結機構7の回動軸Sにより近い位置に設けられている。具体的に本実施形態の側方グリップ30’の取り付け位置は、操作管3の軸方向に沿って回動軸Sから後方側にたとえば2〜3cm程度後退した位置である。このように可動連結機構7の回動軸S付近に側方グリップ30’が位置すると、これを把持する手で感じられる抵抗が少なくなり、その手の動きに応じて可動連結機構7がスムーズに動作させられる。操作部31は、側方グリップ30’の基端部近傍において前側に位置し、支持アーム320に直接取り付けられている。この操作部31のアクセルレバー311も、たとえば摩擦係止によって移動された位置に留まるため、作業者は、常にアクセルレバー311を操作しなくてもよい。このような本実施形態の可動連結機構7および連結部材8も、第2実施形態によるものと同じ構成であるため、作業者は、容易に操作管3を軸転させることができ、操作管3やエンジン2に可撓管5の捻り変形による抵抗をそれほど感じることなく、操作管3を軽快に操作して作業を行うことができる。
【0091】
特に本実施形態によるものによれば、たとえば図20に示すように操作管3を持ち上げる場合、作業者は、左手でループハンドル33を引き上げるのにつれて側方グリップ30’を持つ右手を若干前方に押し出す。その際、右手の位置が可動連結機構7の回動軸S付近にあるため、作業者は、それより遠い位置を持つ場合に比べて可撓管5の曲げ変形や捻り変形による抵抗をそれほど感じることなく、操作管3をスムーズに操作することができる。
【0092】
また、図21に示すように操作管3の先端部3Aを下方に降ろし、右腕の肘部分を肘受け部材32に押し当てた状態で側方グリップ30’を持つ場合においても、作業者は、右手に可撓管5の曲げ変形や捻り変形による抵抗をそれほど感じることはなく、操作管3をスムーズに操作することができる。これにより、操作管3を左右に振回操作したり軸転させる際、作業者は、右手と右腕の肘部分とにそれほど負担をかけることなく、より軽い力で操作管3を操作することができる。
【0093】
したがって、上記背負い式動力作業機A4によれば、先述した第1および第2実施形態によるものの効果に加え、可撓管5の変形による抵抗をより感じることなく、操作管3を軽快に操作することができるといった効果を発揮することができる。
【0094】
図22は、背負い式動力作業機の第5実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A5は、先述した図1に示す背負い式動力作業機A1とは作業体が異なるだけである。この背負い式動力作業機A5は、たとえば比較的高い樹木における枝葉のトリミングに好適なものであり、往復剪断刃B’を有する作業体としてのヘッジトリマーHを備える。
【0095】
ヘッジトリマーHは、下方に突出した櫛歯状の刃を有する左右の往復剪断刃B’、これらの往復剪断刃B’を前後に相対往復移動させる駆動ユニット9を備える。駆動ユニット9の内部には、図示しないベベルギア機構や往復剪断刃B’の基端部に連結された往復動作機構が内蔵されており、このベベル機構および往復動作機構を介して往復剪断刃B’と伝動軸6とが連結される。このようなヘッジトリマーHを備えた背負い式動力作業機A5によれば、たとえば作業者の背丈よりも高い位置における枝葉をカットする場合、先述した実施形態と同様に、作業者は、背負い枠1を背負った状態とし、右手でグリップ30を把持するとともに、その右手の把持位置よりも高く掲げるように左手でループハンドル33を把持した態勢をとればよい。そうすると、操作管3の先端部に設けられたヘッジトリマーHが上方に高く持ち上げられた恰好となり、作業対象となる樹木の高い位置に対して往復剪断刃B’を配置することができる。往復剪断刃B’は、アクセルレバー311の操作に応じてエンジン2の回転出力が伝動軸(図示略)に伝達され、この伝動軸が軸転して図示しないベベルギア機構や往復動作機構が作動させられることで相対往復移動させられる。そうした状態において、作業者は、操作管3の先端部に対して下向きに力を与えるように操作することができ、そうすることで枝葉のトリミングを行うことができる。これにより、作業者は、樹木の高い位置にある枝葉などでも往復剪断刃B’によって容易にトリミングを行うことができる。
【0096】
したがって、上記背負い式動力作業機A5によっても、操作管3が作業者の腰位置よりも高く容易に持ち上げられ、その操作管3が振回操作されても可撓管5の曲げ変形をできる限り小さく抑えることができ、可撓管5に対して伝動軸6を長時間接触させることもない。そのため、作業者は、樹木の高い位置に対して操作管3を持ち上げながら軽快な操作を行うことができるとともに、可撓管5の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0097】
なお、本発明の範囲は上述した各実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
【0098】
たとえば、可動連結機構は、操作管の横軸周りに回動するといった上記実施形態で説明したものに限らず、たとえばユニバーサルジョイントあるいはボールジョイントといったものを適用してもよい。
【0099】
エンジンの後部に接続される連結部材も、たとえばユニバーサルジョイントあるいはボールジョイントといったものを適用してもよい。
【0100】
上記第2〜4実施形態の背負い式動力作業機には、たとえば往復剪断刃を有するヘッジトリマーを作業体として適用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
A1〜A5 背負い式動力作業機
1 背負い枠
2 エンジン(動力源)
3 操作管
3A 先端部
30 外嵌グリップ
30’ 側方グリップ
301 延出部
31 操作部
32 肘受け部材
320 支持アーム
33 ループハンドル
40 固定部材
B 回転刃(作業体)
H ヘッジトリマー(作業体)
B’ 往復剪断刃
5 可撓管
6 伝動軸
7 可動連結機構
8 連結部材
S 回動軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば雑草などの草木を刈払うための動力刈払機、あるいは生け垣などの面を均一に刈り込むための動力刈込機といった背負い式動力作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の動力作業機として、たとえば動力源を背負いながら雑草などの草木を刈払うことができる背負い式の動力刈払機が特許文献1に開示されている。この背負い式の動力刈払機は、長手状に延びる操作管と、この操作管の先端部に支持した回転作業体と、背負い枠に支持した動力源としての小型ガソリンエンジンと、上記操作管の基端方と上記エンジンとをつなぐ可撓管と、上記エンジンの出力軸に連結され、可撓管ないし操作管に通挿されてエンジンの回転出力を回転作業体に伝達する伝動軸とを備える。伝動軸は、少なくとも可撓管を通って操作管に至るまでの部分は可撓性を備えている。操作管には、これを振回操作するためのグリップハンドルが左右両側に突出するように設けられている。
【0003】
刈払い作業は、背負い枠を身体の背中側に背負うようにしてエンジンを支持した作業者が上記の操作管を振回操作し、回転作業体を地面に沿って移動させることにより行う。このような背負い式の動力刈払機によれば、その重量の多くの割合を占めるエンジンが作業者の身体によって支持されるため、作業者の両腕にエンジンの重量による荷重がかからなくなり、作業者が振回操作する際に感じられる操作管の重量は比較的軽量となる。したがって、このような背負い式の動力刈払機による概ね平地での刈払い作業は、比較的軽快に行なうことができ、かつ、疲労も少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−194521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、刈払い作業の対象となる場所は、必ずしも平地になっているとは限らず、斜面の場合もある。具体的には、土手などのように、50度以上といった比較的大きな斜度をもち、斜面の長さが3m程度にもなる傾斜地がある。このような場合、回転作業体を斜面に対して平行とするために、たとえば操作管を持ち上げたり、あるいは操作管をその軸周りに回転させて回転作業体を左右に傾斜した姿勢にする必要がある。
【0006】
上記したように、この種の背負い式動力刈払機は、背負い枠に支持したエンジンと操作管とが可撓管とこれに通挿された可撓性の伝動軸によって繋がれているため、エンジンに対する操作管の自由度が高く、平地に沿って操作管を振回する操作は比較的行ないやすい。
【0007】
しかしながら、上記可撓管は、可撓性を有するとはいっても、エンジンと操作管とを連結する部材としての役割を果たし、かつ、その内部に通挿された伝動軸を安定的に回転させる必要があるため、ある程度の肉厚および引っ張り強度を持っている。そのため、可撓管は、曲げ変形および捻り変形においてある程度の抵抗を生じる。また、この可撓管は、操作管に対して固定的に連結される。このようなことから、操作管を持ち上げて行う振回操作においては、可撓管の変形抵抗などがその操作を阻害する要因となることがあった。
【0008】
具体的には、たとえば回転作業体を作業者の腰位置よりも高く配置するように操作管を持ち上げようとすると、操作管と可撓管とのなす角度が大きくなって可撓管の曲げ変形が大きくなり、この曲げ変形による抵抗力が操作管の基端方に作用して持ち上げにくくなる。しかも、操作管の先端部に設けられた回転作業体の重量は、操作管の先端部からグリップハンドルの位置までの距離に応じたモーメントとして作業者の両腕にかかるため、これによっても操作管を持ち上げるのが難儀になる。また、左右両側に突き出たグリップハンドルを左右の手で把持すると、作業者の両腕が伸びた状態になるため、操作管を軸周りに軸転させるなどして回転作業体の向きを変更するのも容易ではない。これらの理由により、操作管は、作業者の腰位置より高く持ち上げることがほとんど不可能であり、仮に持ち上げても軸転させるには相当重く感じられることとなる。そのため、従来の背負い式動力刈払機では、土手などの傾斜地や高位置の刈払い作業には不向きであるという難点があった。
【0009】
また別の問題として、操作管の先端部を高く持ち上げるほど可撓管の曲げ変形が大きくなり、それに伴い伝動軸が可撓管の内壁に接触しながら回転することにもなるので、エンジンの回転出力が無駄に消費されるとともに、可撓管が熱を帯びやすくなるという難点もあった。
【0010】
本発明は、上記のような事情のもとで考え出されたものであって、傾斜地や高い位置に対して軽快な操作を可能とし、可撓管の不当な発熱も抑制しながら快適に作業を行うことができる背負い式動力作業機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明により提供される背負い式動力作業機は、長手状に延びる操作管と、この操作管の先端部に支持した作業体と、背負い枠に支持した動力源と、この動力源に一端が連結され、上記操作管の基端方に他端が連結された可撓管と、この可撓管ないし上記操作管に通挿され、上記動力源の回転出力を上記作業体に伝達してこれを動作させるとともに、少なくとも上記可撓管を通って上記操作管に至るまでの部分は可撓性を備えている伝動軸とを備える背負い式動力作業機であって、上記操作管の基端方に設けられ、作業者の手によって把持されるグリップと、上記操作管の基端方に対して上記可撓管の他端を横方向の回動軸周りに所定角度範囲内で回動可能に連結する可動連結機構と、上記操作管の中間部に設けられ、作業者の手によって操作管を吊り下げるように把持されるハンドルと、を備えることを特徴としている。
【0013】
好ましい実施の形態として、上記可撓管の一端は、上記伝動軸の軸方向視において軸転可能な連結部材を介して上記動力源に連結されている。
【0014】
好ましい実施の形態として、上記可撓管の他端はまた、上記可動連結機構に対して軸転可能に連結されている。
【0015】
好ましい実施の形態として、上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップである。
【0016】
好ましい実施の形態として、上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップと、上記操作管の横方向片側に延びるように上記外嵌グリップの前端近傍に設けられた側方グリップとの2種類が備えられている。
【0017】
好ましい実施の形態として、上記外嵌グリップには、上記可動連結機構の下方へと延びる延出部が設けられている。
【0018】
好ましい実施の形態として、上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられているとともに、この支持アームの先端には、上記グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている。
【0019】
好ましい実施の形態として、上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられており、上記グリップは、上記操作管の横方向片側に延びるように上記支持アームに設けられた側方グリップである。
【0020】
好ましい実施の形態として、上記側方グリップは、上記可動連結機構の回動軸よりも後方側に設けられている。
【0021】
好ましい実施の形態として、上記支持アームの先端には、上記側方グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている。
【0022】
好ましい実施の形態として、上記グリップの近傍には、上記動力源の回転出力を制御するための操作部が設けられている。
【0023】
好ましい実施の形態として、上記ハンドルは、上記操作管の上方においてループ状をなすループハンドルである。
【0024】
好ましい実施の形態として、上記動力源は、上記背負い枠に対し、上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に支持されている。
【0025】
好ましい実施の形態として、上記作業体は、刈払用の回転刃である。
【0026】
好ましい実施の形態として、上記回転刃は、上記操作管に対し、この操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して交差する方向に延びる回転軸を中心として回転可能に支持されている。
【0027】
好ましい実施の形態として、上記回転軸は、上記操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して略直交している。
【0028】
好ましい実施の形態として、上記作業体は、往復剪断刃を有するヘッジトリマーである。
【0029】
このような構成によれば、たとえば作業者の腰位置より高い位置まで作業体を配置するように操作管を持ち上げると、この操作管の基端方が概ね下向きとされる。このとき、操作管の基端方に可動連結機構を介して連結された可撓管は、横方向の回動軸周りに回動可能に連結されているため、操作管に対して比較的小さく屈曲してその曲げ変形が緩和される。これにより、操作管の基端方には、可撓管の曲げ変形による抵抗力がほとんど作用しない。また、作業者は、操作管の基端方に設けられたグリップを一方の片手で把持し、その把持位置を支点としつつ他方の片手で操作管の中間部に設けられたハンドルを吊り下げるように把持することができる。これにより、作業者は、グリップおよびハンドルを両手で把持して操作管を持ちやすい態勢となり、操作管の先端部を高く上げるようにしても、その先端部に設けられた作業体の重量をさほど重く感じることはなく、操作管を容易に持ち上げることができる。さらに、操作管を持ち上げる際には、この操作管と可撓管が上記可動連結機構を介して連結されているため、操作管に対する可撓管の不当な程度までの屈曲が防止され、可撓管に対する伝動軸の長時間接触による回転出力低下や発熱が防止される。
【0030】
したがって、本発明に係る背負い式動力作業機によれば、作業者は、傾斜地や高位置に対して操作管を持ち上げながら軽快な操作を行うことができるとともに、可撓管の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0031】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】背負い式動力作業機の第1実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す背負い式動力作業機の要部分解斜視図である。
【図3】図1に示す背負い式動力作業機の要部側面図である。
【図4】図1に示す背負い式動力作業機の要部側面視断面図である。
【図5】図1に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図6】図1に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図7】図1に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図8】背負い式動力作業機の第2実施形態を示す全体斜視図である。
【図9】図8に示す背負い式動力作業機の要部分解斜視図である。
【図10】図8に示す背負い式動力作業機の要部側面図である。
【図11】図8に示す背負い式動力作業機の要部側面視断面図である。
【図12】図8に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図13】図8に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図14】図8に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図15】背負い式動力作業機の第3実施形態を示す要部側面視断面図である。
【図16】図15に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図17】背負い式動力作業機の第4実施形態を示す要部分解斜視図である。
【図18】図17に示す背負い式動力作業機の要部側面図である。
【図19】図17に示す背負い式動力作業機の要部上面視断面図である。
【図20】図17に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図21】図17に示す背負い式動力作業機の使用例を説明するための斜視図である。
【図22】背負い式動力作業機の第5実施形態を示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0034】
図1〜7は、背負い式動力作業機の第1実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A1は、動力源を背負いながら回転する作業体によって雑草などの草木を刈払うことができる背負い式の動力刈払機である。この背負い式動力作業機A1は、図1に示すように、背負い枠1、動力源としてのエンジン2、長手状に延びる操作管3、作業体としての回転刃B、エンジン2と操作管3とを繋ぐ可撓管5、操作管3ないし可撓管5に通挿される伝動軸6(図4および図5参照)、操作管3と可撓管5とを連結する可動連結機構7、エンジン2と可撓管5とを連結するための連結部材8を備える。
【0035】
背負い枠1には、エンジン2が搭載されている。操作管3の先端部3Aには、回転刃Bが支持される。操作管3の基端方には、作業者の手によって操作管3を掴むように把持するための外嵌グリップ30と、この外嵌グリップ30の近傍にあってエンジン2の回転出力を制御するための操作部31が設けられている。この操作管3の基端方にはまた、外嵌グリップ30を把持する作業者の前腕を下方から受ける肘受け部材32が支持アーム320および固定部材40を介して設けられている。操作管3の中間部には、作業者の手によって操作管3を吊り下げるように把持するためのループハンドル33が設けられている。伝動軸6は、エンジン2から連結部材8を貫通して可撓管5に通挿され、さらに可動連結機構7を貫通して操作管3に通挿されており、この操作管3の先端部3Aに至る。操作管3の先端部3Aには、図示しないベベルギア機構を介して伝動軸6が回転刃Bの回転軸に連結されている。
【0036】
背負い枠1は、エンジン搭載部10、作業者の両肩に掛けるバンド部材11、作業者の背中に当接されるクッション部材12を備える。エンジン搭載部10は、フレームパイプを用いるなどして形成されており、このエンジン搭載部10において上下方向に沿う回動軸P周りに回動可能にエンジン2が支持される。バンド部材11は、エンジン搭載部10のフレームパイプの適部に係止されており、たとえばリュックサックを背負うのと同様にして作業者に装着される。クッション部材12は、エンジン搭載部10のフレームパイプの前部に取り付けられており、バンド部材11を装着した作業者の背中に当接してエンジン搭載部10の圧迫を和らげる。
【0037】
エンジン2は、たとえば小型2サイクルのガソリンエンジンが適用される。このエンジン2は、エンジン搭載部10のフレームパイプに支持された状態で、上下方向の回動軸P周りに回動可能である。図示しないエンジン2の出力軸は、エンジン搭載部10の後方に延出する。このようなエンジン2には、連結部材8を介して可撓管5が連結される。この可撓管5から連結部材8の内部を通ってエンジン2の後部に至る伝動軸6の基端は、図示しないクラッチ機構を介してエンジン2の出力軸に連結される。これによりエンジン2の回転出力は、ある一定以上の回転数になるとクラッチ機構が作動することで伝動軸6を軸転させ、これにより操作管3の先端部3Aに支持された回転刃Bを回転させる。
【0038】
操作管3は、たとえば比較的軽量で中空状の金属パイプにより形成される。操作管3の先端部3Aには、ベベルギア機構(図示略)が内蔵されており、このベベルギア機構を介して回転刃Bの回転軸(図示略)と伝動軸6の先端とが所定の角度をもって連結される。操作管3の中間部に設けられたループハンドル33は、操作管3の先端部3Aを上方に起こすように吊り下げて持ちやすいループ状をなす。操作管3の基端方には、図2〜5に示すように、外嵌グリップ30、操作部31、肘受け部材32、支持アーム320、固定部材40、可動連結機構7が設けられている。操作管3の内部には、図4および図5に示すように、たとえばゴム製の防振スペーサ34を介して支持された保持管35が挿入されている。この保持管35内には、軸転可能に伝動軸6が通挿される。これにより、操作管3内の伝動軸6は、操作管3に沿ってまっすぐ保持され、円滑に軸転させられる。なお、特許第4012492号公報あるいは特許第3806384号公報に示されるもののように、操作管の先端部が横軸周りに回動可能な構成としてもよい。このような構成が採用された背負い式動力作業機では、作業者による調節あるいは回転刃を地面に叩きつけることにより、回転刃の操作管に対する角度を適宜変更し、たとえば回転刃を操作管と平行な姿勢にまですることができる。
【0039】
図3および図4に示すように、外嵌グリップ30は、作業者が片手で握りやすい略筒状の部材であり、操作管3を取り巻くようにその基端方に外嵌されている。この外嵌グリップ30は、把持部300、延出部301、中空部302(図4参照)、長孔部303(図4参照)を備える。把持部300は、片手で掴まれる筒状の部分であり、その内部に中空部302および長孔部303を有する。把持部300の後端側下部には、中空部302や長孔部303の開口よりも外方に延出し、先端に向かうほど下寄りとなるように傾斜した延出部301が設けられている。この延出部301は、可動連結機構7の下方へと延びる。延出部301の下部は、複数の指を添えやすいように波状に形成されている。把持部300の後端側上部は、後端に向かうほど大きく盛り上がっている。中空部302には、操作管3の基端方が差し込まれる。長孔部303には、アクセル操作ケーブル305(図4参照)が通挿される。作業者は、操作管3を持つ際、外嵌グリップ30を把持した片手が他方のループハンドル33を持つ手よりも常に身体に近くなるため、外嵌グリップ30を把持する腕に余裕をもたせ、比較的楽に操作管3を持ちながら操作部31を操作することができる。たとえば操作管3の先端部3Aを上方に持ち上げる際には、延出部301まで手を移動させて外嵌グリップ30を把持することができる。
【0040】
図4に示すように、操作部31は、アクセル操作ケーブル305を介してエンジン2と繋がれており、このアクセル操作ケーブル305の内部ワイヤー(図示略)が引き込まれる操作本体部310、その内部ワイヤーを引っ張ることでエンジン2の回転出力を上昇させるL字状のアクセルレバー311を備える。操作本体部310は、操作管3に取り付けられた状態において、少なくとも外嵌グリップ30の前端上部よりも上方にある程度大きく延出している。たとえば外嵌グリップ30の前端方を把持する場合には、操作本体部310の上部後端に手が当接する。そのため、操作本体部310は、外嵌グリップ30を把持する手の滑り止めとしても機能する。アクセルレバー311は、操作本体部310の側方下部から上部へと延びて屈曲した形状を呈し、その下部に内部ワイヤーの先端が係止されている。このアクセルレバー311は、図3に実線で示すように、何ら操作がなされずに自然状態にあるときは、たとえば図示しないバネの弾性力によって前方側に常に位置する。同図に仮想線で示すように、作業者が外嵌グリップ30を持つ手の親指でアクセルレバー311を後方側に移動させると、アクセル操作ケーブル305の内部ワイヤーが引っ張られ、エンジン2の回転出力が上昇させられる。このアクセルレバー311は、適当に移動させると、たとえば摩擦係止によってその位置に留まるため、作業者は、常にアクセルレバー311を操作しなくてもよい。なお、操作部のアクセルレバーは、たとえば自転車のブレーキレバーあるいは摩擦式シフトレバーのようなタイプであってもよい。
【0041】
図2および図7に示すように、肘受け部材32は、操作管3の先端部3Aを下方に向けてこの操作管3を持つ場合に外嵌グリップ30を把持する前腕を下方から受けるものであり、作業者の前腕基部がすっぽりとはまり込むように断面略U字状に形成されている。この肘受け部材32は、支持アーム320の先端に支持されている。支持アーム320の基端には、この支持アーム320を図示しないネジによって固定部材40に固定するためのネジ孔321が設けられている。この支持アーム320は、固定部材40を介して操作管3に取り付けられた状態において、この操作管3に対して外嵌グリップ30の延出部301とは対称的な姿勢をなし、肘受け部材32が固定された先端に向かうほど上寄りに傾斜した姿勢をなす。これにより、支持アーム320と延出部301との間には、可動連結機構7が上下方向に所定の角度範囲内で回動可能な空間が確保される。作業者は、操作管3の先端部3Aを下方に向けて外嵌グリップ30を把持した場合、その外嵌グリップ30を把持する前腕が支持アーム320に沿う恰好になり、肘近傍の前腕基部がちょうど肘受け部材32に収まる。
【0042】
図6および図7に示すように、ループハンドル33は、操作管3を持ち上げたり左右に振回させたりする際に必要な手の力を操作管3に与えやすいものである。たとえば図6に示すように操作管3を持ち上げた姿勢にする場合、作業者は、たとえば外嵌グリップ30を右手で把持し、その把持位置を支点としつつ左手でループハンドル33を吊り下げ状に把持することができる。その際、作業者の両手は、操作管3の軸上に位置し、その操作管3を最も持ち上げやすい持ち方になる。また、作業者は、できる限り操作管3の基端方を持つ場合、支持アーム320の基端方から外嵌グリップ30の延出部301までの部分を握り持つにようにして外嵌グリップ30の後端寄りを把持することができる。これにより、作業者は、操作管3の先端部3Aを高く上げるようにしても、その先端部3Aに設けられた回転刃Bなどの重量をさほど重く感じることはなく、この操作管3を身体に近づけるように引き寄せて安定させた姿勢で持ち上げることができる。なお、操作管の中間部に設けるハンドルは、ループ状のタイプに限らず、操作管を吊り下げるような持ち方ができるものであればよい。たとえばハンドルの形状は、操作管の中間部から横方向に延び、さらにその中間部の上方に至るようなU字状であってもよく、このようなU字状のハンドルによっても操作管の中間部を吊り下げるように持つことができる。
【0043】
図2〜4に示すように、固定部材40は、操作管3の基端方に支持アーム320を介して肘受け部材32を固定し、かつ、その操作管3の基端方に可動連結機構7の一部を差し込んで固定しておくためのものである。この固定部材40はまた、操作管3の基端方に固定された状態において外嵌グリップ30の後端に当接するため、操作管3からの外嵌グリップ30の抜けを防ぐ役割も果たす。固定部材40は、支持アーム320の基端が固定される上部400、操作管3の基端方が嵌め込まれる嵌入部401、上部400から嵌入部401に達する切れ込み溝402、切れ込み溝402を横方向に貫いて両側面に至るネジ孔403、後述するカバー72を係止するための環状溝404を備える。上部400には、後方に向かうほど上寄りとなる傾斜面が設けられている。支持アーム320は、上部400の傾斜面に沿って取り付けられることにより、操作管3に対して傾斜した姿勢をなす。この固定部材40は、次のようにして固定される。まず、操作管3の基端方には、これを外嵌するように外嵌グリップ30および操作部31が取り付けられ、その後、操作管3の基端方には、可動連結機構7の一部(後述する筒部700)が差し込まれる。次に、可動連結機構7の一部が差し込まれた操作管3の外周面部分には、この部分を外嵌するように固定部材40の嵌入部401が嵌め合わされる。固定部材40の後端面は、操作管3の端面に概ね一致させられる。その後、固定部材40の上部400には、支持アーム320の基端が配置され、この支持アーム320のネジ孔321と固定部材40のネジ孔403とに図示しないネジが締め込まれて固定される。つまり、固定部材40は、切れ込み溝402が押しつぶされた状態で操作管3の基端方に締め付け固定される。その結果、固定部材40の嵌入部401に接する操作管3の外周面部分が均等に締め付けられるとともに、可動連結機構7の一部も操作管3の内周面部分によって強く締め付けられる。これにより、操作管3の基端方には、固定部材40を介して支持アーム320および可動連結機構7が確実に固定される。
【0044】
図2〜5に示すように、可動連結機構7は、操作管3の基端方に対して可撓管5の一端を回動軸S周りに回動可能に連結するものであり、操作管側の第1部材70、可撓管側の第2部材71、これらの連結部分を覆うカバー72を備える。カバー72は、たとえば柔軟性に富むチューブ状のものである。第1部材70および第2部材71は、次のような構成により、操作管3の軸に対して直交する水平横方向の回動軸S周りに一定角度範囲内で互いに回動可能となるように連結されている。
【0045】
第1部材70は、操作管3の基端方に軸転不能に内嵌される筒部700、この筒部700から後方に延びる連絡部701を備える。筒部700の内部には、連絡部701に近づくにつれて第2部材71が回動する方向に拡開するテーパ状の貫通孔702が形成されている。連絡部701は、左右一対の対向壁をなすように形成されており、これらの対向壁間に貫通孔702の開口が位置する。この連絡部701には、ネジ穴704が形成されている。連絡部701の先端には、第2部材71の回動範囲を規制するための規制縁705が形成されている。筒部700と連絡部701との間には、操作管3より大きい外径をもつ段部703が形成されている。筒部700は、段部703が固定部材40の後端面あるいは操作管3の端面に当たるまで操作管3の内部に差し込んで固定される。
【0046】
第2部材71は、可撓管5の先端を外嵌する筒部710、この筒部710から前方に延びるブラケット部711を備える。筒部710の内部には、可撓管5の先端を軸転不能に内嵌する嵌合孔712、ブラケット部711に近づくにつれてこのブラケット部711が回動する方向に拡開するテーパ状の貫通孔713が形成されている。ブラケット部711は、第1部材70の連絡部701を内側に配置可能な左右一対の対向壁をなすように形成されており、これらの対向壁間に貫通孔713の開口が位置する。このブラケット部711には、連絡部701のネジ穴704に対応するネジ孔714が設けられている。ブラケット部711の先端715は、このブラケット部711が第1部材70の段部703に対して当接することなくスムーズに動くように円弧状に形成されている。このような第2部材71は、第1部材70の連絡部701にブラケット部711を外嵌させ、ネジ孔714を貫通させたネジ73をネジ穴704に締め込むことにより、第1部材70に対して回動可能に連結される。第1部材70に対して第2部材71が回動軸S周りに回動する際、ある程度まで回動すると、第1部材70の規制縁705がブラケット部711の内側奥方の端面に当たる。これにより、第2部材71は、回動軸S周りに大凡±20°〜25°の角度範囲で回動可能である。そのため、第2部材71の筒部710に連結された可撓管5の先端も、上下方向に大凡±20°〜25°の角度範囲で回動可能である。
【0047】
カバー72は、操作管3の基端方に可動連結機構7が固定された状態において、第2部材71の筒部710の外周面一部に形成された環状溝716と固定部材40の環状溝404とにリング状の弾性バンド720を係止することによって密閉される。このカバー72の内部には、密封空間が形成されるため、第1部材70および第2部材71の連結部分にグリスなどの潤滑材を付着させておくことができる。
【0048】
可撓管5は、たとえばコイル状に巻かれた金属心材を筒状に成形した樹脂あるいは合成ゴム内にインサートされたものであり、軸方向の圧力に強く、かつ、所定の抵抗をもって撓曲可能である。このような可撓管5は、可動連結機構7と連結部材8とを繋ぐように設けられる。
【0049】
伝動軸6は、連結部材8を貫通して可撓管5の内部を延び、さらに可動連結機構7を貫通して操作管3の先端部3Aまで延び、この先端部3Aにおいて図示しないベベルギア機構の入力軸に連結される。操作管3の先端部3Aでは、この操作管3の軸視方向において、上記可動連結機構7が回動する方向(上下方向)に概ね沿うようにベベルギア機構の出力軸が方向転換され、このベベルギア機構の出力軸に回転刃Bの回転軸が取付けられている。
【0050】
連結部材8は、可動連結機構7と類似した構成からなり、エンジン側の第1部材80、可撓管側の第2部材81を備える。第1部材80および第2部材81は、伝動軸6が貫通する方向に対して直交する方向の回動軸S’周りに一定角度範囲内で互いに回動可能となるように連結されている。この連結部材8は、先述した可動連結機構7と同様の仕組みで回動軸S’周りに回動するものであり、その詳細な図示説明については割愛する。第1部材80は、伝動軸6が貫通する方向の軸X周りに軸転可能にエンジン2の後部に連結されている。第2部材81は、図1に示すように回動軸S’が上下方向に沿う状態にある場合、この回動軸S’周りに回動することで第1部材80に対して左右方向に揺動する。これにより、連結部材8に接続された可撓管5の基端方は、その延びる方向に高い自由度をもつ。たとえば、可撓管5全体が自重によって垂れ下がる場合、この可撓管5の曲げ変形による力を受ける方向に第1部材80が軸転し、それに応じて回動軸S’が上下方向よりある程度傾いた姿勢になる。回動軸S’が上下方向より傾くと、第1部材80に対して第2部材81が下方に屈曲しやすくなる。また、連結部材8が接続されたエンジン2の後部は、可撓管5の曲げ変形による力を受けることにより、回動軸P周りに回動して左右に振られる。このような連結部材8およびエンジン2の可動構造により、可撓管5の曲げ変形が効果的に緩和される。なお、連結部材の連結部分にも、可動連結機構と同様のカバーを設けて覆うようにしてもよい。
【0051】
次に、上記背負い式動力作業機A1の作用について説明する。
【0052】
図6は、土手などのように、たとえば斜度が50度以上といった急斜面の高い位置における雑草などの刈払い作業を行う場合を示している。同図に示すような状態において、作業者は、背負い枠1を背負った状態とし、たとえば右手で外嵌グリップ30を把持するとともに、その右手の把持位置よりも左手でループハンドル33を高く掲げて吊り下げるように把持する。
【0053】
このとき、作業者の左右両手は、操作管3の軸上に位置する。これにより、作業者は、操作管3を軸転させずに真っ直ぐ持ち上げることができる。また、作業者は、できる限り外嵌グリップ30の後端方を把持し、支持アーム320の基端および外嵌グリップ30の延出部301を握り持つことができる。そうした場合、外嵌グリップ30を持つ手は、可動連結機構7の近傍に位置する。そのため、作業者は、可撓管5の曲げ変形に応じて可動連結機構7を容易に屈曲させやすくなり、外嵌グリップ30を持つ手を前後に押し引きするようにして操作管3の傾き具合を容易に変化させることができる。すなわち、操作管3を立てるようにして持ち上げる際、作業者は、外嵌グリップ30を持つ方の手に可撓管5に引っ張られるような違和感を感じることなく力を加えることができ、操作管3を安定した姿勢で持ち上げることができる。操作管3の先端部3Aを高く上げるようにしても、作業者は、外嵌グリップ30の後端方を軽く操作することで操作管3の傾き具合を調整することができ、回転刃Bを斜面に対して概ね平行な姿勢とすることができる。その際には、作業者が回転刃Bなどの重量をさほど重く感じることもなく、これによって操作管3を持ち上げる際の負荷が軽減される。
【0054】
また、外嵌グリップ30を持つ手は、可動連結機構7の近傍に位置するが、可動連結機構7の連結部分がカバー72によって覆われているため、その手が潤滑材で汚れたり可動連結機構7の動作に支障をきたすといったことはない。なお、外嵌グリップ30およびループハンドル33の持ち方については、作業者が適宜操作し易い持ち方を選択することができ、上記とは左右反対の手の持ち方であってもよい。
【0055】
このような把持態勢をとると、操作管3は、その先端部3Aが例えば作業者の腰位置よりも高く上方に持ち上げられた恰好となり、作業対象となる斜面に対して回転刃Bが概ね平行になる。回転刃Bは、アクセルレバー311の操作に応じてエンジン2の回転出力が伝動軸6に伝達され、この伝動軸6が軸転して図示しないベベルギア機構が作動させられることにより回転させられる。その際、作業者は、操作管3の先端部3Aを左右に振回操作することができ、斜面の広範囲にわたって雑草などを刈払うことができる。これにより、作業者は、斜面の高い位置に生えた雑草などを回転刃Bによって容易に刈払うことができる。また、極端な例として操作管3が鉛直方向に沿う姿勢となっても、作業者は、外嵌グリップ30の後端方を持つ手とループハンドル33を持つ手によって操作管3を安定した姿勢に保つことができる。
【0056】
上記のように操作管3を持つ場合、この操作管3は、作業者の概ね正面から上方へと延びるように位置する。このとき、可動連結機構7は、肘受け部材32の方へと屈曲しやすくなる。これにより、可撓管5の曲げ変形が抑えられ、可撓管5は、可動連結機構7から緩やかに湾曲して作業者の背中側に位置するエンジン2に至る。可動連結機構7は、操作管3と可撓管5とを水平横方向の回動軸S周りに回動可能に連結するため、操作管3を上方に持ち上げる際、可撓管5の曲げ変形をそれほど大きく変化させることはない。
【0057】
したがって、操作管3を立てるように持ち上げて振回操作する際には、上記したような操作管3の持ち方に加えて、可撓管5の曲げ変形による無駄な抵抗も操作管3の基端方にかかることがないので、その操作に軽快さが増す。また、可動連結機構7は、操作管3に対する可撓管5の上下方向における曲げ変形を制限するため、可撓管5に通挿された伝動軸6も必要以上に屈曲させられることがない。これにより、伝動軸6の軸転に無駄な抵抗が生じることがなく、エンジン2の出力低下を抑制することができる。可動連結機構7において伝動軸6が通挿される第1部材70および第2部材71の貫通孔702,713は、互いに連結される箇所に向かうほど拡開するようにテーパ状であることから、可動連結機構7が屈曲しても、軸転する伝動軸6が貫通孔702,713の内周面に強く接触することを回避することができる。これによっても、伝動軸6が可動連結機構7に接触することによる摩擦熱の発生や、出力低下を抑制することができる。
【0058】
さらに、可撓管5をエンジン2に連結するための連結部材8は、エンジン2に対して可撓管5を回動軸S’周りに回動可能かつ軸X周りに軸転可能とし、これらの2軸動作によって可撓管5の基端方を左右上下のあらゆる方向に振る。エンジン2もまた、回動軸P周りに回動可能であって左右方向に振られる。これにより、操作管3を上下方向や左右方向に振回操作する際には、可撓管5の曲げ変形ができる限り小さくなり、その曲げ変形による無駄な抵抗がエンジン2や背負い枠1にかかることはない。そのため、作業時には、操作管3の操作に軽快さが増すとともに、伝動軸6の軸転に無駄な抵抗も生じることがなく、エンジン2の出力低下を抑制することができる。
【0059】
したがって、上記背負い式動力作業機A1によれば、操作管3が作業者の腰位置よりも高く容易に持ち上げられ、その操作管3が振回操作されても可撓管5の曲げ変形をできる限り小さく抑えることができ、可撓管5に対して伝動軸6を長時間接触させることもない。そのため、作業者は、傾斜地や高位置に対して操作管3を持ち上げながら軽快な操作を行うことができるとともに、可撓管5の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0060】
このように、可撓管5の必要以上の曲げ変形を防止してエンジン2の出力低下を抑制することができることは、エンジン2をより小出力の小型のものを採用できることにつながる。このことは、背負い式動力作業機A1のさらなる軽量化に寄与し、操作性の向上にもつながる。
【0061】
図7は、平地などにおける雑草などの刈払い作業を行う場合を示している。同図に示すような状態において、作業者は、背負い枠1を背負った状態とし、右手で外嵌グリップ30を把持するとともに、その右手の把持位置よりも若干低く下げるように左手でループハンドル33を把持する。この場合、外嵌グリップ30を把持する手は、支持アーム320の基端よりも前側となる把持部300を握ればよい。このような把持態勢をとると、外嵌グリップ30を把持した前腕が支持アーム320に沿って延び、その前腕の肘付近が肘受け部材32にちょうど収まる。操作管3の先端部3Aは、作業対象となる平地の地面に対して近づいた恰好となり、その地面に対して回転刃Bが概ね平行になる。回転刃Bは、先述したようにアクセルレバー311の操作に応じて回転させられる。その際、作業者は、操作管3の先端部3Aを左右に振回操作することにより、平地の広範囲にわたって雑草などを刈払うことができる。
【0062】
このとき、操作管3は、基端方から先端部3Aに向けて下方に傾斜した姿勢となる。この操作管3を左右に振回操作したり保持するための力は、ループハンドル33を把持した左手や外嵌グリップ30を把持した右手のみならず、その右手の前腕が肘受け部材32を左右方向や下向きに押すことによっても、操作管3に対して十分有効かつ効果的に伝えられる。すなわち、操作管3は、作業者の両手と右腕の肘部分とによって3点で支持され、安定した姿勢で左右に振回操作される。また、操作管3の先端部3Aに設けられた回転刃Bは、必要以上に地面に近づけられることはなく、この回転刃Bが地面に擦れるといった状態ができる限り回避される。これにより、作業者は、平地に生えた雑草なども回転刃Bによって軽快かつ容易に刈払うことができる。なお、先述したように、外嵌グリップ30およびループハンドル33の持ち方については、もちろん上記とは左右反対の手の持ち方であってもよい。
【0063】
また、操作管3が左右に振回操作されるのに伴い、可撓管5をエンジン2に連結した連結部材8は、エンジン2に対して可撓管5を回動軸S’周りに回動可能かつ軸X周りに軸転可能とし、これらの2軸動作によって可撓管5の基端方を左右上下のあらゆる方向に振る。エンジン2もまた、回動軸P周りに回動可能であって左右方向に振られる。これにより、操作管3の先端部3Aを下向きにして左右に振回操作するといった作業時においても、可撓管5の曲げ変形による無駄な抵抗がエンジン2や背負い枠1にかかることはなく、操作管3の操作に軽快さが増すとともに、伝動軸6の軸転に無駄な抵抗も生じることがなく、エンジン2の出力低下を抑制することができる。
【0064】
したがって、背負い式動力作業機A1を用いた平地に対する刈払い作業においても、軽快かつ容易に操作管3を振回操作することができるとともに、可撓管5の曲げ変形をできる限り小さく抑えることができ、可撓管5の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0065】
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、先述したものと同一または類似の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図8〜14は、背負い式動力作業機の第2実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A2は、2種類のグリップとして、外嵌グリップ30および側方グリップ30’を備える。外嵌グリップ30、肘受け部材32、固定部材40、可動連結機構7、および連結部材8は、先述した第1実施形態によるものと細部において異なる。その他の構成は、先述した第1実施形態によるものと同様である。
【0067】
図9〜11によく示すように、外嵌グリップ30は、先述したものよりも短身であり、支持アーム320の基端方を作業者が片手で握るのに必要十分な大きさである。作業者は、外嵌グリップ30を把持することによって必然的に可動連結機構7の近傍の部位を持つことができる。作業者は、操作管3の先端部3Aを基端方よりも高く上げた姿勢で操作管3を持つ場合、先述した第1実施形態の場合と同様に、支持アーム320の基端および外嵌グリップ30の延出部301を握り持つことができる。なお、操作管3を持ち上げる際、作業者は、外嵌グリップ30を必ず持つ必要はなく、図13に示すように側方グリップ30’を持ってもよい。
【0068】
図9に示すように、側方グリップ30’は、作業者が外嵌グリップ30から持ち替え可能な棒状のグリップであり、操作管3に対して水平横方向片側(たとえば図8に示すように操作管3の基端方から先端部3Aの方を見て右側)に延出している。側方グリップ30’は、外嵌グリップ30と操作部31との間に固定された支持部材300’を介して操作管3の基端方に支持されており、外嵌グリップ30の前端近傍に設けられている。図13および図14に示すように、作業者は、操作管3の先端部3Aが高位置あるいは低位置となるいずれの場合においても、その操作管3の基端方において右側に突き出た側方グリップ30’を右手で把持し、ループハンドル33を持つ左手とバランスをとりながら操作管3を左右に振回操作することができる。その際、作業者は、いわゆる逆手によって側方グリップ30’を把持し、上下左右方向にバランスよく操作管3を持つことができる。なお、操作管3を持ち上げる際には、先述したように外嵌グリップ30を持ってもよい。
【0069】
図8および図9に示すように、肘受け部材32は、操作管3に対して側方グリップ30’が配置された側と同一側に位置するように支持アーム320の先端片側に支持されている。たとえば図14に示すように、作業者が右手で側方グリップ30’を把持すると、その右手の肘近傍の前腕基部がちょうど肘受け部材32に収まる。
【0070】
図9および図12に示すように、固定部材40は、操作管3の基端方に対し、支持アーム320の基端を固定するとともに、可動連結機構7における第1部材70の筒部700を締め付け固定し、さらに止めネジ405(図12参照)によってその筒部700を軸転不能に固定する。固定部材40の適部には、止めネジ405を締め込むためのネジ孔406が設けられている。止めネジ405は、操作管3の一部を横方向に貫いて筒部700に当接するまでネジ孔406に締め込まれる。
【0071】
図9〜12に示すように、可動連結機構7は、操作管3の基端方に対して可撓管5の先端を回動軸S周りに回動可能に連結するほか、可撓管5を筒部710の中心軸である軸T周りに軸転可能にも連結する。可動連結機構7は、第1実施形態によるものと同様に、第1部材70および第2部材71を備えるが、第2部材71は、筒部710とブラケット部711とが別個の構成部品であり、さらにブラケット部711に対して筒部710を軸T周りに軸転可能に連結するキャップ部717を有する。
【0072】
図12によく示すように、第1部材70における筒部700は、端部を除く外周面700Aが円錐面状に形成されており、さらに外周面700Aにおいて固定部材40のネジ孔406と対向する部位には、段差面700Bが形成されている。この段差面700Bには、ネジ孔406に締め込まれた止めネジ405の先端部が当接する。すなわち、段差面700Bが止めネジ405によって押さえ止められることにより、第1部材70は、操作管3の基端方に対して軸転不能に確実に固定される。
【0073】
図12によく示すように、第2部材71の筒部710は、軸転不能に連結された可撓管5とは反対側により大径の端部710Aを有する。キャップ部717は、筒部710を軸方向後方側に貫通させる一方、ブラケット部711の後端面に端部710Aを連結させ、この端部710Aの軸方向移動を規制している。キャップ部717は、端部710Aを掛け止めながらブラケット部711の後端方にネジ711Aで固定される。これにより、キャップ部717とブラケット部711との間には、端部710Aが軸T周りに軸転しうる隙間が形成され、端部710Aと一体の筒部710は、ブラケット部711に対して軸転可能に連結される。また、ブラケット部711は、回動軸S周りに回動可能に第1部材70の連絡部701に連結されている。これにより、可動連結機構7は、操作管3の基端方に対して可撓管5の一端を、第2部材71のブラケット部711によって回動軸S周りに回動可能としつつ、筒部710によって軸T周りに軸転可能とする。
【0074】
連結部材8は、可撓管5の基端方をエンジン2の後部に対して軸X周りに軸転可能に連結するものである。この連結部材8’は、可動連結機構7の第2部材71と同様の筒部80’およびキャップ部81’を有し、これらによって可撓管5の基端方を軸X周りに軸転可能に連結している。可撓管5に通挿された伝動軸6は、連結部材8の内部を通って軸転可能にエンジン2の出力軸に連結される。これにより、伝動軸6が軸転すると可撓管5が捻れ作用を受けて捻り変形しやすくなる。このとき、可動連結機構7における第2部材71の筒部710とともに連結部材8の筒部80’が軸転することにより、可撓管5の捻り変形が緩和され、ひいては可撓管5全体の曲げ変形も緩和される。また、エンジン2の後部が回動軸P周りに振られることによっても、可撓管5の曲げ変形とともに捻り変形がある程度緩和される。
【0075】
次に、上記背負い式動力作業機A2の作用について説明する。
【0076】
本実施形態の背負い式動力作業機A2では、先述した第1実施形態によるものと同様に可動連結機構7が回動軸S周りに回動するのに加え、その一部(第2部材71の筒部710)が軸T周りに軸転する。
【0077】
たとえば操作管3が軸転させられると、操作管3に固定された第1部材70も一体的に軸転させられ、この第1部材70に連結された第2部材71のブラケット部711は、その軸転の中心軸周りに回る。
【0078】
このとき、ブラケット部711は、第1部材70に対して回動軸S周りに回動可能であるが、それほど大きく回動させられず、操作管3の長手方向に概ね沿った姿勢になる。そのため、ブラケット部711は、操作管3の軸転に伴い、ほとんど軸Tに沿った軸周りに転回する。
【0079】
一方、ブラケット部711には、軸T周りに軸転可能な筒部710を介して可撓管5の先端が連結されており、この可撓管5は、ブラケット部711に対して相対的に軸転しやすくなっている。すなわち、操作管3が軸転させられる際には、ブラケット部711と可撓管5とが互いに軸T周りにずれ動きやすいため、可撓管5の先端がブラケット部711の動きにつられて大きく捻られることはない。
【0080】
また、本実施形態の背負い式動力作業機A2では、連結部材8の筒部80’も軸X周りに軸転可能になっている。そのため、この筒部80’は、上記可動連結機構7の筒部710と同様の作用を呈し、筒部80’に連結された可撓管5の基端は、大きく軸転して捻られることはない。
【0081】
このような可動連結機構7および連結部材8によって可撓管5が捻られにくく、その捻り変形による抵抗が操作管3に伝わりにくいため、作業者は、操作管3を上下左右に振回操作させるだけでなく、作業状況に応じて容易に操作管3を軸転させることができる。
【0082】
また、可撓管5は、その内部の内周面に軸転する伝動軸6が接触することで軸周りの方向に摩擦力が生じ、この摩擦力によっても捻り変形しようとする。この捻り変形は、伝動軸6の軸転する速度が高速になるほど顕著となる。このような摩擦による可撓管5の捻り変形も、可動連結機構7および連結部材8を介して伝わりにくいため、作業者は、操作管3やエンジン2に可撓管5の捻り変形による抵抗をそれほど感じることなく作業を行うことができる。
【0083】
たとえば図13に示すように操作管3を持ち上げる場合、作業者は、右手で逆手状に側方グリップ30’を把持し、左手でループハンドル33を引き上げるようにして操作管3を持ち上げることができる。このようにして斜面に対する刈払い作業を行う場合、作業者は、たとえば斜面を横方向から見る位置に立って前進しながら操作管3を動かす。なお、右手は、外嵌グリップ30を持ってもよい。
【0084】
このとき、作業者は、回転刃Bを斜面に対して概ね平行な姿勢としつつ、その斜面に沿って操作管3を上下に動かすことになる。その際、操作管3は、回転刃Bが斜面に沿うように水平な姿勢より傾けられることである程度軸転させられるが、先述したように操作管3が軸転しても可撓管5が捻り変形しにくいため、作業者は、可撓管5の曲げ変形だけでなく捻り変形による抵抗もそれほど感じずに操作管3を軽快に操作することができる。
【0085】
また、図14に示すように回転刃Bを平地に沿うように配置する場合、作業者は、右腕の肘部分を肘受け部材32に押し当てた状態で側方グリップ30’およびループハンドル33を把持し、操作管3の先端部3Aを下方に降ろした姿勢で操作管3を持つことができる。このようにして平地に対する刈払い作業を行う場合でも、作業者は、草木を効率よく刈払うために操作管3を軸転させることがある。この場合においても、可撓管5が捻り変形しにくいため、作業者は、可撓管5の捻り変形による抵抗をそれほど感じずに操作管3を軽快に操作することができる。
【0086】
一方、上記のような作業中、可撓管5の捻り変形が過度となり、その捻り変形による力が操作管3を軸転させる外力として操作管3に伝わることがある。その場合においても、作業者は、操作管3の横方向に突き出た側方グリップ30’を把持しており、その側方グリップ30’に加える力のモーメントによって上記外力を効果的に制することができるので、操作管3の不必要な軸転を確実に抑えることができる。
【0087】
したがって、上記背負い式動力作業機A2によれば、先述した第1実施形態によるものの効果に加え、操作管3を軸転させても軽快に操作することができるといった効果を発揮することができる。
【0088】
図15および図16は、背負い式動力作業機の第3実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A3は、可動連結機構7の第2部材71におけるキャップ部717をブラケット部711の後端方にねじ込み式で固定したものであり、その他の構成は、先述した第2実施形態によるものと同様である。なお、図15および図16では、連結部分を覆うカバーを略している。このようなねじ込み式のキャップ部717によれば、そのねじ込み量を調整することでブラケット部711との隙間を容易に調整することができ、たとえば端部710Aを遊動しやすくしてブラケット部711に対する筒部710の軸T周りの軸転をより円滑にすることができる。
【0089】
図17〜21は、背負い式動力作業機の第4実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A4は、外嵌グリップを備えず、側方グリップ30’および操作部31を支持アーム320に備えたものである。この側方グリップ30’は、操作管3の先端部3Aを持ち上げる際にも用いられる。その他の構成は、先述した第2実施形態によるものと同様である。
【0090】
図17に示すように、側方グリップ30’は、支持アーム320に対して肘受け部材32が配置された側と同一側において水平横方向に延出し、この支持アーム320に直接取り付けられている。図18および図19に示すように、側方グリップ30’は、可動連結機構7の回動軸Sにより近い位置に設けられている。具体的に本実施形態の側方グリップ30’の取り付け位置は、操作管3の軸方向に沿って回動軸Sから後方側にたとえば2〜3cm程度後退した位置である。このように可動連結機構7の回動軸S付近に側方グリップ30’が位置すると、これを把持する手で感じられる抵抗が少なくなり、その手の動きに応じて可動連結機構7がスムーズに動作させられる。操作部31は、側方グリップ30’の基端部近傍において前側に位置し、支持アーム320に直接取り付けられている。この操作部31のアクセルレバー311も、たとえば摩擦係止によって移動された位置に留まるため、作業者は、常にアクセルレバー311を操作しなくてもよい。このような本実施形態の可動連結機構7および連結部材8も、第2実施形態によるものと同じ構成であるため、作業者は、容易に操作管3を軸転させることができ、操作管3やエンジン2に可撓管5の捻り変形による抵抗をそれほど感じることなく、操作管3を軽快に操作して作業を行うことができる。
【0091】
特に本実施形態によるものによれば、たとえば図20に示すように操作管3を持ち上げる場合、作業者は、左手でループハンドル33を引き上げるのにつれて側方グリップ30’を持つ右手を若干前方に押し出す。その際、右手の位置が可動連結機構7の回動軸S付近にあるため、作業者は、それより遠い位置を持つ場合に比べて可撓管5の曲げ変形や捻り変形による抵抗をそれほど感じることなく、操作管3をスムーズに操作することができる。
【0092】
また、図21に示すように操作管3の先端部3Aを下方に降ろし、右腕の肘部分を肘受け部材32に押し当てた状態で側方グリップ30’を持つ場合においても、作業者は、右手に可撓管5の曲げ変形や捻り変形による抵抗をそれほど感じることはなく、操作管3をスムーズに操作することができる。これにより、操作管3を左右に振回操作したり軸転させる際、作業者は、右手と右腕の肘部分とにそれほど負担をかけることなく、より軽い力で操作管3を操作することができる。
【0093】
したがって、上記背負い式動力作業機A4によれば、先述した第1および第2実施形態によるものの効果に加え、可撓管5の変形による抵抗をより感じることなく、操作管3を軽快に操作することができるといった効果を発揮することができる。
【0094】
図22は、背負い式動力作業機の第5実施形態を示している。本実施形態の背負い式動力作業機A5は、先述した図1に示す背負い式動力作業機A1とは作業体が異なるだけである。この背負い式動力作業機A5は、たとえば比較的高い樹木における枝葉のトリミングに好適なものであり、往復剪断刃B’を有する作業体としてのヘッジトリマーHを備える。
【0095】
ヘッジトリマーHは、下方に突出した櫛歯状の刃を有する左右の往復剪断刃B’、これらの往復剪断刃B’を前後に相対往復移動させる駆動ユニット9を備える。駆動ユニット9の内部には、図示しないベベルギア機構や往復剪断刃B’の基端部に連結された往復動作機構が内蔵されており、このベベル機構および往復動作機構を介して往復剪断刃B’と伝動軸6とが連結される。このようなヘッジトリマーHを備えた背負い式動力作業機A5によれば、たとえば作業者の背丈よりも高い位置における枝葉をカットする場合、先述した実施形態と同様に、作業者は、背負い枠1を背負った状態とし、右手でグリップ30を把持するとともに、その右手の把持位置よりも高く掲げるように左手でループハンドル33を把持した態勢をとればよい。そうすると、操作管3の先端部に設けられたヘッジトリマーHが上方に高く持ち上げられた恰好となり、作業対象となる樹木の高い位置に対して往復剪断刃B’を配置することができる。往復剪断刃B’は、アクセルレバー311の操作に応じてエンジン2の回転出力が伝動軸(図示略)に伝達され、この伝動軸が軸転して図示しないベベルギア機構や往復動作機構が作動させられることで相対往復移動させられる。そうした状態において、作業者は、操作管3の先端部に対して下向きに力を与えるように操作することができ、そうすることで枝葉のトリミングを行うことができる。これにより、作業者は、樹木の高い位置にある枝葉などでも往復剪断刃B’によって容易にトリミングを行うことができる。
【0096】
したがって、上記背負い式動力作業機A5によっても、操作管3が作業者の腰位置よりも高く容易に持ち上げられ、その操作管3が振回操作されても可撓管5の曲げ変形をできる限り小さく抑えることができ、可撓管5に対して伝動軸6を長時間接触させることもない。そのため、作業者は、樹木の高い位置に対して操作管3を持ち上げながら軽快な操作を行うことができるとともに、可撓管5の不当な発熱を抑制しながら快適に作業を行うことができる。
【0097】
なお、本発明の範囲は上述した各実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
【0098】
たとえば、可動連結機構は、操作管の横軸周りに回動するといった上記実施形態で説明したものに限らず、たとえばユニバーサルジョイントあるいはボールジョイントといったものを適用してもよい。
【0099】
エンジンの後部に接続される連結部材も、たとえばユニバーサルジョイントあるいはボールジョイントといったものを適用してもよい。
【0100】
上記第2〜4実施形態の背負い式動力作業機には、たとえば往復剪断刃を有するヘッジトリマーを作業体として適用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
A1〜A5 背負い式動力作業機
1 背負い枠
2 エンジン(動力源)
3 操作管
3A 先端部
30 外嵌グリップ
30’ 側方グリップ
301 延出部
31 操作部
32 肘受け部材
320 支持アーム
33 ループハンドル
40 固定部材
B 回転刃(作業体)
H ヘッジトリマー(作業体)
B’ 往復剪断刃
5 可撓管
6 伝動軸
7 可動連結機構
8 連結部材
S 回動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状に延びる操作管と、この操作管の先端部に支持した作業体と、背負い枠に支持した動力源と、この動力源に一端が連結され、上記操作管の基端方に他端が連結された可撓管と、この可撓管ないし上記操作管に通挿され、上記動力源の回転出力を上記作業体に伝達してこれを動作させるとともに、少なくとも上記可撓管を通って上記操作管に至るまでの部分は可撓性を備えている伝動軸とを備える背負い式動力作業機であって、
上記操作管の基端方に設けられ、作業者の手によって把持されるグリップと、
上記操作管の基端方に対して上記可撓管の他端を横方向の回動軸周りに所定角度範囲内で回動可能に連結する可動連結機構と、
上記操作管の中間部に設けられ、作業者の手によって操作管を吊り下げるように把持されるハンドルと、
を備えることを特徴とする、背負い式動力作業機。
【請求項2】
上記可撓管の一端は、上記伝動軸の軸方向視において軸転可能な連結部材を介して上記動力源に連結されている、請求項1に記載の背負い式動力作業機。
【請求項3】
上記可撓管の他端はまた、上記可動連結機構に対して軸転可能に連結されている、請求項2に記載の背負い式動力作業機。
【請求項4】
上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップである、請求項1ないし3のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項5】
上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップと、上記操作管の横方向片側に延びるように上記外嵌グリップの前端近傍に設けられた側方グリップとの2種類が備えられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項6】
上記外嵌グリップには、上記可動連結機構の下方へと延びる延出部が設けられている、請求項4または5に記載の背負い式動力作業機。
【請求項7】
上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられているとともに、この支持アームの先端には、上記グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項8】
上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられており、上記グリップは、上記操作管の横方向片側に延びるように上記支持アームに設けられた側方グリップである、請求項1ないし3のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項9】
上記側方グリップは、上記可動連結機構の回動軸よりも後方側に設けられている、請求項8に記載の背負い式動力作業機。
【請求項10】
上記支持アームの先端には、上記側方グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている、請求項8または9に記載の背負い式動力作業機。
【請求項11】
上記グリップの近傍には、上記動力源の回転出力を制御するための操作部が設けられている、請求項1ないし10のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項12】
上記ハンドルは、上記操作管の上方においてループ状をなすループハンドルである、請求項1ないし11のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項13】
上記動力源は、上記背負い枠に対し、上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に支持されている、請求項1ないし12のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項14】
上記作業体は、刈払用の回転刃である、請求項1ないし13のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項15】
上記回転刃は、上記操作管に対し、この操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して交差する方向に延びる回転軸を中心として回転可能に支持されている、請求項14に記載の背負い式動力作業機。
【請求項16】
上記回転軸は、上記操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して略直交している、請求項15に記載の背負い式動力作業機。
【請求項17】
上記作業体は、往復剪断刃を有するヘッジトリマーである、請求項1ないし13のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項1】
長手状に延びる操作管と、この操作管の先端部に支持した作業体と、背負い枠に支持した動力源と、この動力源に一端が連結され、上記操作管の基端方に他端が連結された可撓管と、この可撓管ないし上記操作管に通挿され、上記動力源の回転出力を上記作業体に伝達してこれを動作させるとともに、少なくとも上記可撓管を通って上記操作管に至るまでの部分は可撓性を備えている伝動軸とを備える背負い式動力作業機であって、
上記操作管の基端方に設けられ、作業者の手によって把持されるグリップと、
上記操作管の基端方に対して上記可撓管の他端を横方向の回動軸周りに所定角度範囲内で回動可能に連結する可動連結機構と、
上記操作管の中間部に設けられ、作業者の手によって操作管を吊り下げるように把持されるハンドルと、
を備えることを特徴とする、背負い式動力作業機。
【請求項2】
上記可撓管の一端は、上記伝動軸の軸方向視において軸転可能な連結部材を介して上記動力源に連結されている、請求項1に記載の背負い式動力作業機。
【請求項3】
上記可撓管の他端はまた、上記可動連結機構に対して軸転可能に連結されている、請求項2に記載の背負い式動力作業機。
【請求項4】
上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップである、請求項1ないし3のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項5】
上記グリップは、上記操作管を取り巻くように設けられた外嵌グリップと、上記操作管の横方向片側に延びるように上記外嵌グリップの前端近傍に設けられた側方グリップとの2種類が備えられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項6】
上記外嵌グリップには、上記可動連結機構の下方へと延びる延出部が設けられている、請求項4または5に記載の背負い式動力作業機。
【請求項7】
上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられているとともに、この支持アームの先端には、上記グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項8】
上記操作管の基端方にはまた、この操作管の上方かつ後方へと延びる支持アームが設けられており、上記グリップは、上記操作管の横方向片側に延びるように上記支持アームに設けられた側方グリップである、請求項1ないし3のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項9】
上記側方グリップは、上記可動連結機構の回動軸よりも後方側に設けられている、請求項8に記載の背負い式動力作業機。
【請求項10】
上記支持アームの先端には、上記側方グリップを把持する作業者の前腕をその下方から受ける肘受け部材が支持されている、請求項8または9に記載の背負い式動力作業機。
【請求項11】
上記グリップの近傍には、上記動力源の回転出力を制御するための操作部が設けられている、請求項1ないし10のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項12】
上記ハンドルは、上記操作管の上方においてループ状をなすループハンドルである、請求項1ないし11のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項13】
上記動力源は、上記背負い枠に対し、上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に支持されている、請求項1ないし12のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項14】
上記作業体は、刈払用の回転刃である、請求項1ないし13のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【請求項15】
上記回転刃は、上記操作管に対し、この操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して交差する方向に延びる回転軸を中心として回転可能に支持されている、請求項14に記載の背負い式動力作業機。
【請求項16】
上記回転軸は、上記操作管の軸方向視において、上記可動連結機構の回動軸に対して略直交している、請求項15に記載の背負い式動力作業機。
【請求項17】
上記作業体は、往復剪断刃を有するヘッジトリマーである、請求項1ないし13のいずれかに記載の背負い式動力作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−72301(P2011−72301A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275279(P2009−275279)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(502038783)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(502038783)
【Fターム(参考)】
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