説明

自動湯張り機能付給湯機の制御装置

【課題】 自動湯張りの際の排水栓忘れの検出を誤作動なく行うと共に、センサの不良の検出ができる自動湯張り機能付の給湯機に関する。
【解決手段】 給湯缶体2の入口側の冷水と吐出側の温水を混合するミキシング機構11の出口と循環回路Aの循環パイプ5a・5bとをお湯張回路Bで連結する。通水弁12を開いて循環回路Aで循環可能となる所定水量を浴槽4に給湯した後、一旦通水弁12を閉止して水位センサ7もしくは通水センサ8によって浴槽4の風呂水の検出を行う。風呂水を不検出のときは通水弁12を開いて更に所定水量を給湯した後、再度風呂水の検出を行い、風呂水を不検出のときは排水栓忘れと判断して自動湯張りを停止する。また、通水センサ8による風呂水の検出がなくても、水位センサ7の水位データに変化があるときは通水センサ8の不良と判断し、正常に湯張りが行われていると判断して設定水位までの湯張りを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、予め設定した湯量を自動で浴槽へ給湯する自動湯張り機能付の給湯機に関するものである。
【0002】
バーナによって加熱される給湯缶体と風呂追焚熱交換器とを設け、給湯缶体で得られた温水を浴槽に所定水量供給してほぼ入浴可能に近い温水で満たし、一方、浴槽と風呂追焚熱交換器とを接続する循環パイプに循環ポンプを配置し、該循環ポンプを運転して風呂水を追焚熱交換器に強制循環することで所定温度に沸き上げる追焚機能付の給湯機が知られている。
【0003】
そして、最近ではこの追焚機能付の給湯機に自動給湯機能を付加したものが普及しており、この種の構造は給湯缶体の入口側の給水管と給湯缶体の吐出側の出湯管から夫々分岐した給水分岐管と出湯分岐管とを合流するミキシング機構を設け、このミキシング機構の出口と循環パイプとを接続する湯張回路に通水弁を備えており、自動湯張りを行うときは通水弁が開いてミキシング機構によって混合して得られた温水が循環パイプを経て浴槽に供給され、浴槽が設定水位となったときに通水弁を閉ざすものである。
【0004】
その後、循環パイプに取付けた循環ポンプが作動し、浴槽水が追焚熱交換器に送られて加熱し、浴槽内のお湯が設定湯温に沸き上がると循環ポンプが停止し、入浴可能になったことをブザー音などで知らせるものである。
【0005】
このような給湯機において、浴槽の排水栓の閉め忘れや閉め方が不完全であると、自動給湯運転の際にお湯が無駄に捨てられてしまうだけでなく、再度給湯をやり直さなければならず、使い勝手が悪いという問題がある。このための対策として、給湯機のコントローラには浴槽の水位が循環ポンプで循環可能となる給湯量が予め設定してあり、この給湯量に達した時点で一旦通水弁を閉止し、この時点で浴槽の風呂水が検出されない場合に通水弁を閉ざして排水栓忘れの表示を行うようにしており、排水栓忘れの際にお湯が無駄に捨てられることを防いでいるものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−283557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上記の構成は、自動湯張り途中で浴槽のお湯を使用して水位が下がった場合には、循環可能水位になる給湯量に達しても風呂水が検出されないことがあり、浴槽にはお湯があるのに排水栓忘れと判断されて湯張り途中で止まってしまうことがあり、使用者が故障と勘違いしてクレームとなることがあり、使い勝手の点では未だ改善の余地が残されている。
【0007】
また、水位センサや通水センサに故障やゴミ詰まり等によって不良が発生したときは、浴槽が循環可能水位に達していても風呂水の検出ができなくなり、浴槽にお湯があるにもかかわらず排水栓忘れと判断され、設定水位に達する前に自動湯張りが止まってしまうものである。
【0008】
更に、自動湯張りが途中で停止したときには常に浴槽の排水栓忘れとして表示されてしまうため、浴槽にお湯がある場合には自動湯張りが停止した原因がわかりにくく、各種センサの不良が発生した場合の不良箇所の特定を難しくしていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するこの発明は、バーナ1によって加熱される給湯缶体2と風呂追焚熱交換器3とを設置し、該風呂追焚熱交換器3と浴槽4とを接続する二本の循環パイプ5a・5bに循環ポンプ6を取付けて風呂の循環回路Aを構成し、該循環回路Aには浴槽4の水位を検出する水位センサ7と、循環回路Aの通水を検出する通水センサ8とを設けると共に、給湯缶体2に接続する給水管9・出湯管10を夫々分岐した給水分岐管9aと出湯分岐管10aとをミキシング機構11で合流し、該ミキシング機構11の出口と前記循環パイプ5a・5bとを連結するお湯張回路Bには通水弁12と水量センサ13とを備え、前記通水弁12を開いて循環回路Aで循環可能となる所定水量を浴槽4に供給した後、水位センサ7によって浴槽4内の水位を検出して設定水位までの給湯量を算出し、この算出した給湯量と水量センサ13の検出データに基づいて浴槽4が設定水位に達するまで通水弁12の開路を維持する自動お湯張機能付給湯機において、前記通水弁12によって所定水量を浴槽4に供給後に水位センサ7もしくは通水センサ8が風呂水を不検出のときは、通水弁12を開いて更に所定水量を浴槽4に供給後に再度風呂水の検出を行い、水位センサ7もしくは通水センサ8が風呂水を不検出のときは、自動湯張りを停止する制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、バーナ1によって加熱される給湯缶体2と風呂追焚熱交換器3とを設置し、該風呂追焚熱交換器3と浴槽4とを接続する二本の循環パイプ5a・5bに循環ポンプ6を取付けて風呂の循環回路Aを構成し、該循環回路Aには浴槽4の水位を検出する水位センサ7と、循環回路Aの通水を検出する通水センサ8とを設けると共に、給湯缶体2に接続する給水管9・出湯管10を夫々分岐した給水分岐管9aと出湯分岐管10aとをミキシング機構11で合流し、該ミキシング機構11の出口と前記循環パイプ5a・5bとを連結するお湯張回路Bには通水弁12と水量センサ13とを備え、前記通水弁12を開いて循環回路Aで循環可能となる所定水量を浴槽4に供給した後、水位センサ7によって浴槽4内の水位を検出して設定水位までの給湯量を算出し、この算出した給湯量と水量センサ13の検出データに基づいて浴槽4が設定水位に達するまで通水弁12の開路を維持する自動お湯張機能付給湯機において、前記通水弁12によって所定水量を浴槽4に供給後、通水センサ8が通水を不検出のときに作動して水位センサ7の水位データを記憶する記憶手段14と、更に所定水量供給後に通水センサ8が通水を不検出のときに作動する比較手段15とを設け、該比較手段15は水位センサ7で検出した水位データと記憶手段14に記憶した水位データとから水位差データを検出し、水位差データが所定範囲を外れたときに自動湯張りを停止する制御装置を備えた構成にしてもよい。
【0011】
また、通水センサ8が通水を不検出のときにおいて、比較手段15の水位差データが所定範囲にあるときは、水位センサ7で検出した水位データから設定水位までの給湯量を算出して通水弁12を開き、算出した給湯量と水量センサ13の検出データに基づいて設定水位に達するまで通水弁12の開路を維持することで、通水センサ8が通水を検出できない場合でも、浴槽4の水位の変化が検出できるときは設定水位までの給湯が可能となっている。
【0012】
更に、自動湯張り運転中の異常発生時に作動する警報手段16を備え、該警報手段16は水位センサ7と通水センサ8の検出データによって異なる信号を出力するので、自動湯張りが停止したときの原因を容易に特定できるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の給湯機は自動湯張り運転を選択すると通水弁12を開いて浴槽4への湯張りを開始し、水量センサ13が循環回路Aで循環可能となる所定水量を検出したときに一旦通水弁12を閉止し、水位センサ7もしくは通水センサ8によって風呂水の検出を行い、風呂水を不検出のときは更に所定水量給湯を行った後で再度水位センサ7もしくは通水センサ8によって風呂水の検出を行い、風呂水を不検出のときに自動湯張りを停止するものであり、排水栓忘れのときは設定水位まで湯張りを行わないので、排水栓忘れのときに無駄に捨てられてしまうお湯の量を少なく抑えることができる。
【0014】
また、排水栓が確実に閉めてあっても、自動湯張りの途中で浴槽4のお湯を使用して水位が下がった場合には、最初の所定水量の給湯時に風呂水を不検出となることがあるが、最初の所定水量の給湯時に風呂水を不検出でも、更に所定水量の給湯を行った後で再度風呂水の検出を行うので、風呂水の使用等によって水位が変化したときの誤作動を防ぐことができ、使い勝手が向上できた。
【0015】
また、通水弁12を開いて所定水量供給した後、通水センサ8によって循環回路Aの通水の検出を行い、通水センサ8が通水を不検出のときは水位センサ7で検出した水位を記憶手段14に記憶し、更に所定水量給湯を行った後で再度通水センサ8によって通水の検出を行い、通水センサ8が通水を不検出のときは比較手段15によって水位センサ7の検出した水位データと記憶手段14に記憶された水位データから水位差データを算出し、水位差データが所定範囲を外れたときに自動湯張りを停止する構成としても、排水栓忘れのときに無駄に捨てられてしまうお湯の量を少なく抑えることができると共に、自動湯張りの途中で風呂水を使用して水位が下がったときの誤作動を防ぐことができ、使い勝手が向上できた。
【0016】
この構成において、通水センサ8が通水を不検出でも比較手段15によって検出した水位差データが所定範囲内にあるときは、浴槽4の湯張りが正常に行われているので通水センサ8の不良と判断することができ、通水センサ8の不良が特定できるものとなった。そして、このときは水位センサ7によって検出した水位データから設定水位までの給湯量を算出できるので、設定水位までの湯張りを行うことができるものであり、故障やゴミ詰まり等により通水センサ8の不良が発生しても自動湯張りが可能となり、修理までの間の不便さを解消することができた。
【0017】
また、この構成であれば、所定水量給湯後に通水センサ8が通水を検出したときは、水位センサ7によって水位の検出を行うが、このとき水位センサ7による水位の検出がないときは水位センサ7の不良と判断できるものであり、自動湯張りが途中で停止したときの原因が特定できるものとなった。
【0018】
更に、自動湯張りが途中で停止したときに作動する警報手段16を備えており、この警報手段16は排水栓忘れや水位センサ7の不良や通水センサ8の不良で異なる信号を出力するので、自動湯張り停止時の原因が容易に判断できるものとなり、修理等の対応がしやすいものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は自動給湯機の熱源であるバーナ、2はバーナ1によって加熱される給湯缶体、9は給湯缶体2の入口側に冷水を供給する給水管、10は給湯缶体2で加熱した温水を吐出する出湯管、17は給水管9と出湯管10とが接続される混合蛇口であり、混合蛇口17を開くと給水管9の冷水と出湯管10の温水が混合して適温となったお湯を取出すことができる。
【0020】
3は給湯缶体2と同様にバーナ1によって加熱される風呂追焚熱交換器、4は浴槽、4aは浴槽4の底部に設けた排水栓、5a・5bは浴槽4と風呂追焚熱交換器3とを接続する二本の循環パイプ、6は循環パイプ5a・5bのいずれかに取付けた循環ポンプであり、風呂の循環回路Aを構成している。図2に示す風呂追焚熱交換器3は給湯缶体2の中に配設したコイル状の熱交換パイプで構成されており、循環ポンプ6を運転すると浴槽4の風呂水は強制的に風呂追焚熱交換器3に送られ、風呂追焚熱交換器3を通過する時に給湯缶体2の温水によって加熱されて追焚を行う。
【0021】
7は循環パイプ5a・5bの適所に取付けた圧力式の水位センサ、18は浴槽4から風呂追焚熱交換器3に向かう循環パイプ5bに取付けた湯温センサであり、水位センサ7は循環ポンプ6の停止時に現在の浴槽4の水位を知ることができ、湯温センサ18は循環ポンプ6の運転中に風呂水と接触して現在の浴槽水の温度を知ることができる。
【0022】
19は湯温センサ18を通過した後の循環パイプ5bと循環ポンプ6の吸引側の循環パイプ5aとを連絡する風呂追焚熱交換器3のためのバイパス管、20はバイパス管19に設けた開閉弁であり、開閉弁20はバイパス管19と循環パイプ5a・5bとの接続部に設けた電動三方弁もしくはバイパス管19の途中に設けた電動閉止弁で構成され、風呂水の温度を検出するために循環ポンプ6を運転するときに、風呂水をバイパス管19に流すことで風呂追焚熱交換器3の影響が湯温センサ18に現れず、正確な風呂水の温度を知ることができる。
【0023】
9aは給湯缶体2の入口側の給水管9から分岐した給水分岐管、10aは給湯缶体2の吐出側の出湯管10から分岐した出湯分岐管、11は給水分岐管9aと出湯分岐管10aとが接続されるミキシング機構であり、給水分岐管9aの冷水と出湯分岐管10aの温水がミキシング機構11で混合される。Bはミキシング機構11の出口と循環パイプ5a・5bとを連結するお湯張り回路、21はお湯張り回路Bに設けた循環パイプ5a・5bからミキシング機構11への流れを遮断する逆止弁であり、給水側の水圧が断水などで低下しても、風呂水がお湯張り回路Bから給水側に逆流しないようになっている。
【0024】
12はお湯張り回路Bに設けて温水の流路を開閉する通水弁、13はお湯張り回路Bに通水弁12と直列接続した水量カウンタで構成する水量センサであり、通水弁12を開くとミキシング機構11で混合されたお湯がお湯張り回路Bから循環パイプ5a・5bに流れ、循環パイプ5a・5bから浴槽4へ給湯され、水量センサ13によってお湯張り回路Bの通過水量が検出される。
【0025】
22は給湯機の操作を行うためのリモコンに設けた自動湯張りスイッチ、23は浴槽4の水位を設定する水位設定手段、24は水位センサ7と水位設定手段22の信号を入力して設定水位までの給湯量を算出するための水量演算手段、12aは通水弁12をコントロールする通水弁制御手段、25は浴槽4のお湯張り温度を設定する湯温設定手段、26は湯温設定手段25で設定した温水を得るために冷水と温水を混合するミキシング機構11をコントロールする温度演算手段である。
【0026】
自動湯張りスイッチ22を操作すると、温度演算手段26がミキシング機構11を作動して冷水と温水の混合比を変えて風呂水温度を設定し、通水弁制御手段12aが通水弁12を開いて浴槽4への給湯を開始し、水量センサ13が予め設定された所定水量の通過を検出したときに通水弁12を一旦閉止する。このときの浴槽4の水位は浴槽4に接続した循環パイプ5bの接続口よりも上に位置して浴槽4の風呂水が循環回路Aで循環可能となるものであり、給湯機のコントローラには湯張りの開始からこの水位に達するまでの給湯量が設定されている。
【0027】
6aは循環ポンプ6をコントロールする循環ポンプ制御手段であり、通水弁12を閉止した通水弁制御手段12aの信号を受けて循環ポンプ制御手段6aは循環ポンプ6を作動し、湯温センサ18を入力とする温度演算手段26に起動信号を送ると共に、水位センサ7を入力とする水量演算手段24に起動信号を送る。
【0028】
温度演算手段26は湯温センサ18で検出した湯温と湯温設定手段25で設定された温度に基づいて改めて演算を行い、風呂水が設定された温度となるようにミキシング機構11に指示すると共に、水量演算手段24は水位センサ7で検出した水位と水位設定手段23で設定された水位に基づいて演算を行い、設定水位までに必要となる残りの給湯量を算出し、通水弁制御手段12aは通水弁12を開いて湯張りを再開し、水量センサ13がこの算出された所定水量を検出すると、設定水位に達したと判断して通水弁12を閉止する。
【0029】
そして、自動湯張りが完了すると自動的に保温運転に入り、循環ポンプ制御手段6aは循環ポンプ6を作動して湯温センサ18によって浴槽4の湯温を測定し、湯温設定手段25で設定された温度より低温度のときは循環ポンプ6の運転を継続すると共にバーナ1を起動して追焚を開始し、湯温設定手段25で設定された湯温を湯温センサ18が検出すれば、循環ポンプ6を停止して風呂の沸き上がりを知らせる。
【0030】
ところで、浴槽4の排水栓4aの閉め忘れや閉め方が不完全な状態で自動湯張りを行ったときは、浴槽4に送られる温水が無駄に捨てられてしまうが、自動湯張りの開始から所定水量供給後に通水弁12を一旦閉止することから、このとき水位センサ7が浴槽4の水位を検出できなければ排水栓忘れと判断して自動湯張りを停止することができ、排水栓忘れの際に無駄に捨てられるお湯の量を少なく抑えることができる。
【0031】
しかし、排水栓4aが確実に閉めてあっても、自動湯張りの途中で浴槽4のお湯を使ったときは、通水弁12を閉止して排水栓忘れの検出を行うときに浴槽4の水位が循環パイプ5bの接続口よりも下方に位置することがあり、この場合は風呂水を検出できないため、排水栓忘れと判断されて自動湯張りを停止してしまう欠点があった。
【0032】
この発明は上記の課題を解決するもので、湯張りの開始から所定水量通過したことを水量センサ13が検出して通水弁12が一旦閉止し、循環ポンプ6が作動後の水位センサ7が水位を不検出のときは、通水弁12を開いて更に所定水量の給湯を行った後、再度水位センサ7によって水位の検出を行う。このとき水位センサ7によって水位が検出されなければ排水栓忘れと判断し、通水弁12を閉止したまま自動湯張り運転を中止する。
【0033】
一方、この時点で水位の検出があれば、水量演算手段24と温度演算手段26に起動信号を出力し、湯温の補正と残りの給湯量を算出して通水弁12を開き、残りの湯張りを行うものであり、自動湯張りの途中で風呂水を使用して一時的に浴槽4の水位が下がった場合に誤作動を起こすことはなくなり、使い勝手が向上できた。
【0034】
また、8は循環パイプ5a・5bの適所に取付けて水の流れを検出する通水センサであり、水位センサ7に代わって通水センサ8によって風呂水の検出を行ってもよい。この発明の他の実施例において、湯張りの開始から所定水量の給湯後に一旦通水弁12を閉止し、循環ポンプ6を作動したときに通水センサ8が作動すれば、風呂水があると判断して残りの湯張りを行う。一方、通水センサ8が作動しないときは、再度通水弁12を開いて更に所定水量の給湯を行った後に循環ポンプ6を運転し、通水センサ8が作動しないときは排水栓忘れと判断して自動湯張りを停止するものであり、水位センサ7と同様に誤作動なく風呂水の検出を行うことができる。
【0035】
上記構成により自動湯張り途中に風呂水を使用したときの誤作動を防止することは可能であるが、水位センサ7や通水センサ8の不良が発生したときは、排水栓4aが確実に閉止されて浴槽4の水位が正常であっても風呂水が検出できないため、自動湯張りが停止してしまう。しかも、水位センサ7や通水センサ8に不良が発生したときでも常に排水栓忘れのエラーで停止してしまうため不良箇所の特定を難しくしていた。
【0036】
この発明の実施例において、14は水位センサ7で検出した水位データを記憶する記憶手段、15は水位センサ7の水位データと記憶手段14の記憶データから水位差データを検出する比較手段であり、浴槽4に所定水量供給して一旦通水弁12を閉止し、循環ポンプ6を作動したときに通水センサ8の作動を検出し、通水センサ8が通水を不検出のときは水位センサ7の水位データを記憶手段14に記憶し、通水弁12を開いて更に所定水量給湯を行う。
【0037】
そして、水量センサ13が所定水量の通過を検出して通水弁12が閉止すると再び循環ポンプ6を作動し、通水センサ8が通水を検出すれば通水弁12を開いて残りの湯張りを行う。一方、通水センサ8が通水を不検出のときは、比較手段15に起動信号を出力し、比較手段15はこのときの水位センサ7の水位データと記憶手段14に記憶した水位データから水位差データを検出する。この水位差データが所定範囲を外れたときは浴槽4の水位の上昇がないことを意味しており、排水栓忘れと判断して自動湯張りを停止する。16は自動湯張り運転中に異常が発生したときに作動する警報手段であり、警報手段16は排水栓忘れの警報を出力する。
【0038】
一方、水位差データが所定範囲内にあるときは浴槽4の水位が上昇しているものであり、このときは浴槽4の水位が上昇しているのに通水センサ8が作動していないと判断できるので、通水センサ8の不良を検出することができるものとなった。そして、通水センサ8に不良が発生しても、水位センサ7で浴槽4の水位を検出することができれば自動湯張りは可能であるから、通水センサ8の不良と判断したときは、水位演算手段24と温度演算手段26に起動信号を出力し、設定水位までの給湯を行った後で警報手段16が作動して通水センサ不良の警報を出力する構成としたものである。このような構成にすることで、通水センサ8に故障やゴミ詰まり等の不良が発生していても自動湯張りは可能となったから、従来のように修理までの間に自動湯張りができなくなるという不便さを解消することができた。
【0039】
また、この構成であれば、通水センサ8が通水を検出したときは水位センサ7によって水位を検出して、設定水位までの残りの給湯量を算出して湯張り動作を行うが、このとき水位センサ7が水位の検出をできないときは、水位センサ7の不良と判断することができるので、通水弁12は閉止したまま自動湯張りを停止し、警報手段16が作動して水位センサ不良の警報を出力するものである。
【0040】
上記のように自動湯張りが停止するときには複数の要因があるが、この発明の構成によって自動湯張りが停止したときには排水栓忘れと各種センサの不良が判定できるものとなった。そして、警報手段16は複数のエラー信号を備え、自動湯張りが停止したときの状態によってエラー信号を選択して出力するようにしたから、警報手段16が出力したエラー信号に基づいて容易に原因を特定できるものとなり、水位センサ7や通水センサ8の不良時にはその不良箇所も特定できるから、修理等の対応が行い易くなった。
【0041】
なお、通水センサ8の通水を不検出のときのその後の所定水量の湯張り動作については、1回の湯張り動作で所定水量の給湯を行ってもよいが、この場合には残りの給湯量が少なくなるため、ミキシング機構11で混合した補正後の温水が高温度になり、浴槽4に高温の温水が供給されて危険である。また、温水の温度を低く抑えると設定水位までの湯張りを行った後で追焚きによって沸き上げる時間が長くなり、湯張り完了までの時間が長くなってしまうため、排水栓4aが閉じてある場合にはできるだけ低い水位で通水を検出できるようにしたい。
【0042】
このための対策として、通水センサ8が通水を不検出のときの所定水量の湯張り動作を少量ずつ複数回に分けて行うように設定すると共に、この湯張り動作の回数をカウントする構成とし、例えば2回目の通水の検出動作のときに記憶手段14が作動して水位センサ7のデータを記憶し、5回目の通水の検出動作のときに比較手段15が作動して水位センサ7の水位データと記憶手段14の水位データとの水位差データを検出する方法にするとよいものである。
【0043】
このように湯張り動作を複数回に分けて少量ずつ給湯を行う構成であれば、湯張りが正常に行われている場合は少量の給湯で浴槽4の水位が低いときに風呂水の検出ができるので、設定水位までの残りの給湯で湯温の補正が行い易くなり、給湯温度が高くなりすぎることなく、短時間で自動湯張りを完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施例となる給湯機の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例となる給湯機の配管構造を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0045】
A 循環回路
B お湯張回路
1 バーナ
2 給湯缶体
3 追焚熱交換器
4 浴槽
5a 循環パイプ
5b 循環パイプ
6 循環ポンプ
7 水位センサ
8 通水センサ
9 給水管
9a 給水分岐管
10 出湯管
10a 出湯分岐管
11 ミキシング機構
12 通水弁
13 水量センサ
14 記憶手段
15 比較手段
16 警報手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ1によって加熱される給湯缶体2と風呂追焚熱交換器3とを設置し、
該風呂追焚熱交換器3と浴槽4とを接続する二本の循環パイプ5a・5bに循環ポンプ6を取付けて風呂の循環回路Aを構成し、
該循環回路Aには浴槽4の水位を検出する水位センサ7と、循環回路Aの通水を検出する通水センサ8とを設けると共に、
給湯缶体2に接続する給水管9・出湯管10を夫々分岐した給水分岐管9aと出湯分岐管10aとをミキシング機構11で合流し、該ミキシング機構11の出口と前記循環パイプ5a・5bとを連結するお湯張回路Bには通水弁12と水量センサ13とを備え、
前記通水弁12を開いて循環回路Aで循環可能となる所定水量を浴槽4に供給した後、水位センサ7によって浴槽4内の水位を検出して設定水位までの給湯量を算出し、この算出した給湯量と水量センサ13の検出データに基づいて浴槽4が設定水位に達するまで通水弁12の開路を維持する自動お湯張機能付給湯機において、
前記通水弁12によって所定水量を浴槽4に供給後に水位センサ7もしくは通水センサ8が風呂水を不検出のときは、
通水弁12を開いて更に所定水量を浴槽4に供給後に再度風呂水の検出を行い、水位センサ7もしくは通水センサ8が風呂水を不検出のときは、自動湯張りを停止する制御装置を備えたことを特徴とする自動湯張り機能付給湯機の制御装置。
【請求項2】
バーナ1によって加熱される給湯缶体2と風呂追焚熱交換器3とを設置し、
該風呂追焚熱交換器3と浴槽4とを接続する二本の循環パイプ5a・5bに循環ポンプ6を取付けて風呂の循環回路Aを構成し、
該循環回路Aには浴槽4の水位を検出する水位センサ7と、循環回路Aの通水を検出する通水センサ8とを設けると共に、
給湯缶体2に接続する給水管9・出湯管10を夫々分岐した給水分岐管9aと出湯分岐管10aとをミキシング機構11で合流し、該ミキシング機構11の出口と前記循環パイプ5a・5bとを連結するお湯張回路Bには通水弁12と水量センサ13とを備え、
前記通水弁12を開いて循環回路Aで循環可能となる所定水量を浴槽4に供給した後、水位センサ7によって浴槽4内の水位を検出して設定水位までの給湯量を算出し、この算出した給湯量と水量センサ13の検出データに基づいて浴槽4が設定水位に達するまで通水弁12の開路を維持する自動お湯張機能付給湯機において、
前記通水弁12によって所定水量を浴槽4に供給後、通水センサ8が通水を不検出のときに作動して水位センサ7の水位データを記憶する記憶手段14と、
更に所定水量供給後に通水センサ8が通水を不検出のときに作動する比較手段15とを設け、
該比較手段15は水位センサ7で検出した水位データと記憶手段14に記憶した水位データとから水位差データを検出し、水位差データが所定範囲を外れたときに自動湯張りを停止する制御装置を備えたことを特徴とする自動湯張り機能付給湯機の制御装置。
【請求項3】
前記通水センサ8が通水を不検出のときにおいて、比較手段15の水位差データが所定範囲にあるときは、水位センサ7で検出した水位データから設定水位までの給湯量を算出して通水弁12を開き、算出した給湯量と水量センサ13の検出データに基づいて設定水位に達するまで通水弁12の開路を維持することを特徴とする請求項2記載の自動湯張り機能付給湯機の制御装置。
【請求項4】
自動湯張り運転中の異常発生時に作動する警報手段16を備え、該警報手段16は水位センサ7と通水センサ8の検出データによって異なる信号を出力する請求項2から請求項4に記載した自動湯張り機能付給湯機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−125780(P2006−125780A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317238(P2004−317238)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】