説明

苗移植機

【課題】
苗載せ台を畦際側とは反対側へ移動させるときは、苗植機の走行を直ちに停止して、植付装置の植付操作を停止して、苗タンクを目的の方向へ大きく移動させて、苗移植機の旋回操作等を行わせる。又、この一旦横端へ移動させていた苗タンクを移動前の苗植付停止位置に戻してから、苗移植機の植付動作を行わせる必要があり、煩雑で正確な操作を要し、相当の時間と熟練を要する。
【解決手段】
植付装置3の伝動を停止した状態で苗タンク2を横端へ移動させるときの、摺動軸1の横送回転数をタンク送りセンサ6で検出し、この苗タンク2が横端に移動した後に前記苗植作用を開始するときは、前記タンク送りセンサ6が検出した横送回転数に基づいて摺動軸1を伝動回転して、前回苗植停止位置に苗タンク2を移動復帰する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗移植機の苗植装置に関し、植付装置に対して苗載せ台を左、右の方向へ往復横移動させながら、マット苗の供給を行わせる形態において、苗載せ台を速かに横端へ移動させたり、又、元の苗植開始位置に復帰可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
リードカム軸の回転により苗載せ台を左、右横方向へ往復移動させながら、この苗載せ台の苗取口部で作動する苗植爪の作動によって、前記苗載せ台のマット苗の繰出端縁部を、横方向へ順次分離しながら植付作動する苗植形態の技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−93565号公報(第4頁、図5)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場の畦際や、隅部等において、苗移植機を旋回させたり、操向する場合に、車体後部の苗植装置の苗載せ台が、苗植装置の横方向へ大きく張出していて畦際の高い岸壁や、構造物等に接触して、操向し難く、又は、操向、乃至旋回し難いことがある。このようなとき、苗載せ台を畦際側とは反対側へ移動させるときは、苗移植機の走行を直ちに停止して、苗植装置の苗植作動を停止し、苗載せ台を移動させるリードカム軸の伝動のみに行わせて、苗載せ台を目的の方向へ大きく移動させることによって、苗移植機の旋回操作等を行わせる。又、この旋回後の苗植作業を再開するときは、この一旦横端へ移動させた苗載せ台を、移動前の苗植付停止位置に戻してから、苗植装置の苗植作動を再開させる必要があり、煩雑で正確な操作を要し、相当の時間と熟練を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、摺動軸(1)の回転により苗載せ台(2)を移動して、定位置で作動の植付装置(3)に対して左右横方向へ往復移動させながら、前記植付装置(3)を苗載せ台(2)の苗取口(4)に作動させて、この苗取口(4)に繰出される苗を分離保持して下方のフロート(5)で均平された土壌面に植付ける苗移植機において、前記植付装置(3)の伝動を停止した状態で苗載せ台(2)を横端へ移動させるときの、摺動軸(1)の横送回転数をタンク送りセンサ(6)で検出し、この苗載せ台(2)が横端に移動した後に前記植付装置(3)の伝動で苗植作用を開始するときは、前記タンク送りセンサ(6)が検出した横送回転数に基づいて摺動軸(1)を伝動回転して、前回苗植停止位置に苗載せ台(2)を移動復帰することを特徴とする苗移植機の構成とする。
【0006】
圃場における苗植作業中に、横方向へ移動する苗載せ台2が畦際等の邪魔になるときは、苗植装置3を停止した状態で、操作レバー等によるスイッチ操作によって苗載せ台2を現在位置する側とは反対側へ移動操作する。このときリードカム軸1の回転によって苗載せ台2が横端へ移動されるときの横送回転数がタンク送りセンサ6によって検出されている。そして、苗移植機の旋回操向等が終って、苗植作業を再開するときは、このタンク送りセンサ6によって検出された横送回転数に基づいて、前記リードカム軸1が伝動回転されて、旋回操向前において苗植停止した位置に苗載せ台2を復帰移動させる。そして、この苗載せ台2が苗植停止位置に復帰したことによって、植付装置3をして苗植作業を開始することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記苗載せ台(2)を横端へ移動するための横端寄せスイッチ(7)を、前記苗載せ台(2)の移動方向と同側へ操作するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とする。
【0008】
前記のように、苗載せ台2を左、右方向のいずれか横端へ移動させるときは、一旦苗植作動を停止した状態で、直接横端寄せスイッチ7を操作するか、又は操作レバー等で連動して横端寄せスイッチ7を操作する等によって、この横端寄せスイッチ7を苗載せ台2の横端寄移動側へ向けて操作するか、乃至はこの横端寄せ移動側のスイッチ7を選択操作する。これによって、リードカム軸1の回転による苗載せ台2の移動方向が、この横端寄せスイッチ7の操作方向へ同調して移動される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記横端寄せスイッチ(7)を操作すると、植付クラッチ(8)の切りにおいて、苗載せ台(2)横移動の摺動軸クラッチ(9)を入りにして横端へ移動するように伝動し、横端センサ(10)が、この苗載せ台(2)が横端に移動されたことを検出して、前記摺動軸クラッチ(9)を切りにして移動を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機とする。
【0010】
前記苗植装置14の苗植作動を一旦停止した状態で、横端寄せスイッチ7を操作して、苗載せ台2を左、右いずれかの選択側の横端へ移動させる。このとき植付クラッチ8が切り位置に維持されて苗植作動は行われないで、このリードカムクラッチ9が入り位置に作動されて、このリードカムクラッチ9の連繋による苗載せ台2が横端へ移動されて移動途中で停止することはない。この苗載せ台2が横端に移動されると、横端センサ10によって検出されて、前記リードカムクラッチ9の連継を切り位置にして、苗載せ台2の移動を横端位置に停止させる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記植付クラッチ(8)、又は走行クラッチ(11)が入りのときは、苗載せ台(2)を端寄せするための横端寄せスイッチ(7)のON操作を牽制することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機とする。
【0012】
前記苗載せ台2を横端へ移動させるときは、横端寄せスイッチ7の操作によって、苗植装置3による苗植付作用を行われない状態や、苗移植機の走行が停止した状態において、苗載せ台2のみの横端移動が行われる。これによって、苗載せ台2の横端移動時の植付装置3による苗取口4における苗の取乱しをなくし、誤植をなくする。又、苗載せ台2の横端移動時に走行、旋回させて、苗載せ台2が隣接構造物等に接触するのを阻止するものである。そして、前記植付クラッチ8、及び走行クラッチ11が切り位置で、植付装置3が停止し、走行が停止した状態において、横端寄せスイッチ7の操作により、リードカム軸1を回転して苗載せ台2を横端移動させる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記苗載せ台(2)の底部に配置の苗繰出ベルト(12)を手動操作の苗繰出ハンドル(13)で回動可能に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機とする。
【0014】
苗載せ台2は、前記のように苗移植機走行や、旋回操向等の邪魔になるときは、この邪魔にならない側の横端部へ移動させることができるが、マット苗の繰出端部が苗取口4側へ滑り出して、この苗取口4の形成される苗取出口ガイドとの間に間隔が形成されないときは、この苗載せ台2の底部の苗繰出ベルト12を、苗繰出ハンドル13によって手動で操作して逆方向へ回わすことにより、繰出停止しているマット苗を苗載せ台2の上部側へ押し戻すことができる。又、苗載せ台2を元停止位置に戻すとき、マット苗の下端縁が苗取口4の苗取出口ガイド50に揃っていないときは、この苗繰出ベルト12を、苗繰出ハンドル13で前、後に回動させて、マット苗の下端縁を全幅にわたって均等圧力に苗取出口ガイド50に摺接させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明は、作業者が苗載せ台2を左、右いずれか邪魔にならない側へ移動させる選択操作を行えば、あとは、この植付装置3停止後のリードカム軸1の横送作動等が自動的に行われると共に、このときのリードカム軸1の横送回転数をタンク送りセンサ6で検出していて、苗載せ台2の元位置への復帰移動が、このタンク送りセンサ6による検出されていた横送回転数に基づいて行われるものであるから、作業者が苗載せ台2の復帰位置を正確に合せるような操作、時間を不要とし、苗載せ台の横端移動操作や、苗移植機の旋回操向操作等を簡単、迅速化して容易に行わせることができる。又、特に前記苗植停止位置から苗載せ台2の横端移動に至るまでのリードカム軸1の回転数をタンク送りセンサ6で検出しているため、元植付停止位置への苗載せ台2の復帰を正確に、的確に行わせて、この苗載せ台2の横端移動時は植付装置3による植付作動を正確に停止させて、誤植作動をなくすることができ、整然とした苗植を行わせることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、苗載せ台2を左、右いずれかの横端へ移動させるときは、横端寄せスイッチ7の操作によって簡単、迅速に行わせることができ、しかも、苗植作業者の操作、判断を誤らない限りにおいて、苗載せ台2の横端移動方向と、これを操作する横端寄せスイッチ7の操作方向とを一致させているため、誤操作を少くし、迅速、的確な操作を行うことができ、操作性を高めることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記のように苗載せ台2を横端へ移動するように横端寄せスイッチ7を操作すると、植付クラッチ8が切り位置にあるか、乃至切り位置に切替えられなければ、リードカムクラッチ9は入り位置にならないし、又は、この植付けクラッチ8が切り位置にあることによって、苗載せ台2を横移動するリードカムクラッチ9を入り位置にすることができるものであるから、苗載せ台2を横移動させるとき苗植付装置3の誤作動をなくして、苗取口4部における苗植爪による苗の取乱しをなくすることができる。又、苗載せ台2が横端に送られたことを横端センサ10で検出して、このリードカムクラッチ9を切り位置に作動するため、苗載せ台2の横端寄せ移動を正確に行うことができ、誤って植付クラッチ8が作動されて苗植作用が行われることもない。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記苗載せ台2の横端移動操作するための横端寄せスイッチ7は、植付クラッチ8、又は走行クラッチ11が入り位置にあるときは、このスイッチ操作が牽制されるため、苗載せ台2のみを横端寄せ移動するときや、この苗載せ台2を横端へ移動させてから走行する場合には、横端寄せスイッチ7の誤操作、誤作動等による苗載せ台2の移動を行わせないで、苗誤植や、苗乱し植等を少なくして、苗載せ台2のみ正確に、円滑に端寄せ移動させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、苗繰出ベルト12は、載置するマット苗を、苗載せ台2が横端に移動されたときに間歇的に回動されて、苗取口4側へ繰出すものであるが、この繰出状態が悪いときや、メンテナンス時等においては、必要に応じて苗繰出ハンドル13を取付けて、手動でこのハンドル13を操作して苗繰出ベルト12を簡単、容易に回動して、各マット苗の繰出供給状態等を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】苗移植機の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】苗載せ台端寄せ制御のブロック図。
【図4】そのフローチャート。
【図5】横端寄せスイッチの背面図。
【図6】一部別例を示す苗移植機の作用側面図。
【図7】一部別例を示す苗移植機の作用側面図。
【図8】一部別例を示す苗移植機の作用側面図。
【図9】一部別例を示す苗移植機の作用側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面に基づいて、苗植装置14は、乗用走行形態の車体15の後側に、リフトシリンダ16によって昇降する昇降リンク17の後端部のヒッチリンク16に装着され、ローリング軸19周りに回動自在である。この苗植装置14は、前記ローリング軸19を前側に有した苗植フレーム20が伝動ケースを主体として構成され、この苗植フレーム20の下方には、上下回動調節可能の支持リンク21を介して、走行幅方向の中央部に位置するセンタフロート22と、この左右両側部に位置するサイドフロート23とから成るフロート5を配置して、土壌面を滑走支持する形態とし、この苗植フレーム20の上方には、前上り傾斜の苗載せ台2を支架して、この苗載せ台2の底部は、リードカム軸1の回転によって左右横方向へ移動されるカムボス24を連結して、このカムボス24と一体的に左右横方向へ往復移動される。又、苗植フレーム20の伝動ケース部の後端部には、苗植爪25を有して苗植軸26の周りに回転駆動して、この苗植爪25先端部を側面視楕円形状の植付軌跡線Dに描いてダブルクランク機構形態に昇降駆動する植付装置3を設け、各フロート5による土壌均平跡に苗植付作動するように配置している。
【0022】
前記車体15は、ステアリングポスト27上のステアリングハンドル28の操向回動によって操向の前輪29と、リヤアクスルハウジング30に軸装の後輪31を有し、運転席32下のシートカバー内に搭載のエンジン33よって、ベルト34、油圧無断変速装置35、ミッションケース36内の連動機構、及び後輪31連動軸37等を介して連動駆動して走行する構成としている。フロア38前部のステヤリングポスト27の左右外側方には、マット苗を収容の苗トレイを支持する苗受枠39を設け、マット苗をこの苗受枠39上から取出しながら後方の苗載せ台2へ補給することができる。又、車体15後部のリヤフレーム42上には、肥料を収容する施肥ホッパー40、この施肥ホッパー40の肥料を繰出す繰出装置41、この繰出した肥料を送風機43の送風力で搬送させる施肥筒44、及びこの搬送肥料を各フロート5の作溝器で形成される施肥溝部へ案内する施肥ホース45等からなる施肥装置46を設けている。
【0023】
又、前記車体15の後部には、PTO軸47を軸受するPTO伝動ケースや、PTOクラッチを設けて、前記苗植装置14のフレーム20伝動ケースの入力軸を連結して、この苗植伝動ケース20内の伝動軸や、チエン、及び苗植軸26等を連動して、苗植付装置3を伝動し、これと共に、変速ギヤを介してリードカム軸1を伝動して、リードカムボス24、及びこのリードカムボス24と一体のロッド等の連動機構を介して苗載せ台2を左、右横方向へ往復移動する。これらリードカム軸1とこの外周に嵌合するリードカムボス24との構成は、既に周知の形態であるように、この苗載せ台2の横幅方向に沿うリードカム軸1の回転外周面には、一枚のマット苗の苗幅、乃至このマット苗を収容する各苗載せ台2のタンク幅と同横方向幅域にわたって、一定ピッチの螺旋状のガイド溝を往復形態に形成して、このガイド溝に前記リードカムボス24の内側に設けられるカム案内子を嵌合させて、このリードカム軸1の回転によってカム案内子をガイド溝に摺動案内させながら、リードカムボス24、及びこれと連結の苗載せ台2を横方向へ往復移動させるものである。このような苗載せ台2の一横移動行程において前記苗植爪25が、一定の回数(N=24回、往復行程では2N=2×24回)、苗取口4に作動して、各作動毎に苗分離保持しながら一苗植付を行う。又、前記各苗載せ台2に設けられている苗繰出ベルト12は、苗載せ台2が左横端、右横端に移動される毎に、苗植爪25による横端の苗分離、乃至苗取口4からの苗取出しが行われることによって、各苗載せ台2の後続のマット苗をこの苗取跡の横列空所に繰り出すもので、苗マットの繰出下端縁を苗取出口ガイド50に受けさせるものである。
【0024】
前記苗載せ台2は、多条植形態に仕切リブ49を形成して広幅に構成されて、各仕切リブ49間のタンク幅底面には、繰出ベルト12が駆動される形態である。この苗載せ台2の底部には、前記苗植フレーム20に支持されて、後下端部を、この苗植フレーム20に固定して設けられる側面視アングル状断面形態の苗取出口ガイド50にのぞませ、前上端部を、苗植フレーム20と一体の支持フレーム51上の支持レール52に支持させて左右横移動自在に案内する。前記苗取出口ガイド50には各苗植付条位置における苗植爪25を下降介入させる苗取口4を形成している。この各苗取出口4の下側には、苗植爪25、及びこの苗植爪25によって分離保持された苗の植付下降を案内する円弧状樋形態の植付ガイド53を取付けている。
【0025】
前記苗植装置14の前側には、代掻ロータ57を設けて、各フロート5で滑走均平する前側部の土壌面を砕土して、均平し易くするものである。
ここにおいて、リードカム軸1の回転により苗載せ台2を移動して、定位置で作動の植付装置3に対して左右横方向へ往復移動させながら、前記植付装置3を苗載せ台2の苗取口4に作動させて、この苗取口4に繰出される苗を分離保持して下方のフロート5で均平された土壌面に植付ける苗移植機において、前記植付装置3の伝動を停止した状態で苗載せ台2を横端へ移動させるときの、リードカム軸1の横送回転数をタンク送りセンサ6で検出し、この苗載せ台2が横端に移動した後ちに前記植付装置3の伝動で苗植作用を開始するときは、前記タンク送りセンサ6が検出した横送回転数に基づいてリードカム軸1を伝動回転して、前回苗植停止位置に苗載せ台2を移動復帰する苗植装置を設ける構成とする。
【0026】
圃場における苗植作業中に、横方向へ移動する苗載せ台2が畦際等の邪魔になるときは、操作レバー等によるスイッチ操作によって苗載せ台2を現在位置する側とは反対側へ移動操作する。このときリードカム軸1の回転によって苗載せ台2が横端へ移動されるときの横送回転数がタンク送りセンサ6によって検出されている。そして、苗移植機の旋回操作等が終って、苗植作業を再開するときは、このタンク送りセンサ6によって検出された横送回転数に基づいて、前記リードカム軸1が伝動回転されて、旋回操向前等において苗植停止した位置に苗載せ台2を復帰移動させる。そして、この苗載せ台2が苗植停止位置に復帰したことによって、苗植作業を開始することができる。
【0027】
又、前記苗載せ台2を横端へ移動するための横端寄せスイッチ7を、前記苗載せ台2の移動方向と同側へ操作するように構成する。
前記のように、苗載せ台2を左、右方向いずれか横端へ移動させるときは、一旦苗植作動を停止した状態で直接横端寄せスイッチ7を操作するか、又は操作レバー等で連動して横端寄せスイッチ7を操作するか等によって、この横端寄せスイッチ7を苗載せ台2の横端寄移動側へ向けて操作するか、乃至はこの横端寄せ移動側のスイッチ7を選択操作することによって、リードカム軸1の回転による苗載せ台2の移動方向が、この横端寄せスイッチ7の操作方向へ同調して移動される。
【0028】
又、前記横端寄せスイッチ7を操作すると、植付スラッチ8が霧切りにおいて、苗載せ台2横移動のリードカムクラッチ9を入りにして横端へ移動するように伝動し、横端センサ10がこの苗載せ台2が横端に移動されたことを検出して前記リードカムクラッチ9を切りにして停止する形態とする。
【0029】
前記苗植装置14の苗植作動を一旦停止した状態で、横端寄せスイッチ7を操作して、苗載せ台2を左、右いずれかの選択側の横端へ移動させる。このとき植付クラッチ8が切り位置に維持されて苗植作動は行われないで、このリードカムクラッチ9が入り位置に作動されて、このリードカムクラッチ9の連継による苗載せ台2が横端へ移動されて、移動途中で停止することはない。この苗載せ台2が横端に移動されると、横端センサ10によって検出されて、前記リードカムクラッチ9の連継を切り位置にして、苗載せ台2の移動を横端位置に停止させる。
【0030】
又、前記植付クラッチ8、又は走行クラッチ11が入りのときは、苗載せ台2を端寄せするための横端寄せスイッチ7のON操作を牽制する。
前記苗載せ台2を横端へ移動させるときは、横端寄せスイッチ7の操作によって、苗植装置3による苗植付作用を行われない状態や、苗移植機の走行が停止した状態において、苗載せ台2のみの横端移動が行われる。これによって、苗載せ台2の横端移動時の植付装置3による苗取口4における苗取り乱しをなくし、誤植をなくする。又、苗載せ台2の横端移動時に走行、旋回させて、苗載せ台2が隣接構造物等に接触するのを阻止するものである。そして、前記植付クラッチ8、及び走行クラッチ11が切り位置で、植付装置3が停止し、走行が停止した状態において、横端寄せスイッチ7の操作により、リードカム軸1を回転して苗載せ台2を横端移動させる。
【0031】
更には、苗載せ台2の底部に配置の苗繰出ベルト12を手動操作の苗繰出ハンドル13で回動可能に設ける。
苗載せ台2は、前記のように苗移植機走行や、旋回操向等の邪魔になるときは、この邪魔にならない側の横端部へ移動させることができるが、マット苗の繰出端部が苗取口4側へ滑り出して、この苗取口4の形成される苗取出口ガイドとの間に間隔が形成されないときは、この苗載せ台2の底部の苗繰出ベルト12を、苗繰出ハンドル13によって手動で操作して逆方向へ回わすことにより、繰出停止しているマット苗を苗載せ台2の上部側へ押し戻すことができる。又、苗載せ台2を元停止位置に戻すとき、マット苗の下端縁が苗取口4の苗取出口ガイドに揃っていないときは、この苗繰出ベルト12を前、後回動させて、マット苗の下端縁を全幅にわたって均等圧力に苗取口ガイドに摺接させる。
【0032】
前記苗載せ台2の端寄せ制御を行うコントローラ60に入力側には、前記横端寄せスイッチ7としてレバースイッチ形態にして、このレバースイッチを中央部のN接点から、左右両側の左接点L、又は右接点Rに回動して切替操作することによって(ステップS1)、リードカムクラッチ9を切替えて、リードカム軸1の回転を制御して苗載せ台2を横移動させる。苗載せ台2が移動停止位置にあるとき、横端寄せスイッチ7をN接点位置におく状態を基準位置として、苗載せ台2を左横端へ移動させるときは(S2)、この横端寄せスイッチ7をN接点位置から左側へ倒してL接点位置へ切替操作すればよく、このL接点の入力によって前記停止位置の苗載せ台2は左端側へ移動される。この苗載せ台2が左端へ到達すると、端部センサ10によって検出されて(S3)、リードカム軸1の回転を停止させる。又、この苗載せ台2に左端停止位置から前記元の位置へ戻すときは、このL接点位置の横端寄せスイッチ7をN接点位置へ戻し操作することによって(S4)、前記リードカム軸1を回転制御して、戻し移動することができる。又、この横端寄せスイッチ7をN接点位置から右側のR接点位置へ回動操作して(S5)、苗載せ台2を右端へ移動させるときも同様である。又、これらの場合、前記入力側には、回転センサ6が、リードカム軸1、乃至このリードカム軸1を連動するための連動機構等の回転数を検出して(S3)、コントローラ60のメモリーに記録していて、横端寄せ移動時の回転数のもとに、N接点位置への戻り移動のための回転数を制御して、苗載せ台2を元苗植停止位置へ正確に戻すものである。又、前記スイッチ7や、センサ6、クラッチ9の他に、植付装置3の伝動系の植付クラッチ8を電磁的に入り、切り操作する植付クラッチレバー54や、走行伝動系の走行クラッチ11を電磁的に入り、切り操作する走行操作レバー55等を配置する。
【0033】
次に、主として図6、図7に基づいて、苗植作業を終って、苗移植機を走行移動したり、トレラー等に搭載して運搬したり、又は格納する等の場合は、車体15のリヤフレーム42と、苗植装置14の苗植フレーム20との間を、ロッド、乃至ワイヤーなどからなる連結具60で連結して、リフトシリンダ16で苗植装置14を上昇させた上昇姿勢を保持させる。これらリフトシリンダ16や、昇降リンク17等に負担をかけないようにするものである。61は接地用のスタンドである。連結具60の端部はフック形態として、苗植フレーム20のフック部62に対して簡単に掛け外しできる構成としている。
【0034】
又、前記連結具60は、図7のように、苗載せ台2を支持する支持フレーム51の上端中央部に設けるフック部62と、車体15前部の左、右両側に位置して苗受枠39用支柱63に設けたフック部64との間にわたって掛けわたして、安定した吊上姿勢を維持させるものである。
【0035】
次に、主として図8に基づいて、前記フロート5の苗植フレーム20、乃至支持リンク21に対する支持部を、横方向の支持軸65で枢支して、各フロート5をこの支持軸65の回りに回動自在に支持させるが、この支持軸65周りにダンパスプリング66を設けて、フロート5が略前後水平状の姿勢を維持するように弾発付勢することによって、土壌面を滑走支持するフロート5の均平作用を安定させるものである。67は支持ブラケットで、苗植フレーム20の下側に突出して、支持軸65を支持する。この支持ブラケット67と、フロート5との間にダンパスプリング66が弾発して設けられる。68はフロート5の前上り迎角回動域を規制するストッパである。
【0036】
次に、主として図9に基づいて、苗載せ台2は、ポット形の苗トレイを用いて育苗されたポット苗(野菜苗)の供給を受けて繰出搬送しながら、下端部の苗取口4では、この苗トレイから各ポット苗を押出して、苗植装置3で土壌面に植付けるものである。各苗植付条の上部に位置する苗載せ台2には、注水用の噴霧ノズル69が、苗の繰出行程に複数箇所に配置されて、繰出供給されるポット苗に噴霧することができる。この苗載せ台2の一部には、風速を検出する風速センサ70を設けて、この風速センサ70が所定以上の風速を検出することによって、噴霧バルブ等を開いて噴霧させるように構成している。苗植作業時の野菜苗の乾燥萎縮を防止し、植付苗の汚着性を高めるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 リードカム軸
2 苗載せ台
3 植付装置
4 苗取口
5 フロート
6 タンク送りセンサ
7 横端寄スイッチ
8 植付クラッチ
9 リードカムクラッチ
10 横端センサ
11 走行クラッチ
12 苗繰出ベルト
13 苗繰出ハンドル
14 苗植装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動軸(1)の回転により苗載せ台(2)を移動して、定位置で作動の植付装置(3)に対して左右横方向へ往復移動させながら、前記植付装置(3)を苗載せ台(2)の苗取口(4)に作動させて、この苗取口(4)に繰出される苗を分離保持して下方のフロート(5)で均平された土壌面に植付ける苗植機において、前記植付装置(3)の伝動を停止した状態で苗載せ台(2)を横端へ移動させるときの、摺動軸(1)の横送回転数をタンク送りセンサ(6)で検出し、この苗載せ台(2)が横端に移動した後に前記植付装置(3)の伝動で苗植作用を開始するときは、前記タンク送りセンサ(6)が検出した横送回転数に基づいて摺動軸(1)を伝動回転して、前回苗植停止位置に苗載せ台(2)を移動復帰することを特徴とする苗植装置。
【請求項2】
前記苗載せ台(2)を横端へ移動するための横端寄せスイッチ(7)を、前記苗載せ台(2)の移動方向と同側へ操作するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記横端寄せスイッチ(7)を操作すると、植付クラッチ(8)の切りにおいて、苗載せ台(2)横移動の摺動軸クラッチ(9)を入りにして横端へ移動するように伝動し、横端センサ(10)が、この苗載せ台(2)が横端に移動されたことを検出して、前記摺動軸クラッチ(9)を切りにして移動を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記植付クラッチ(8)、又は走行クラッチ(11)が入りのときは、苗載せ台(2)を端寄せするための横端寄せスイッチ(7)のON操作を牽制することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記苗載せ台(2)の底部に配置の苗繰出ベルト(12)を手動操作の苗繰出ハンドル(13)で回動可能に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−157288(P2012−157288A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19192(P2011−19192)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】