説明

蓄電セル及び蓄電装置

【課題】蓄電セルの信頼性及び安全性を向上させること。
【解決手段】蓄電要素5を電解液と共に収容する容器10と、蓄電要素5に接続され給電装置20から送電される電力を非接触で受電する充電用の受電アンテナ6と、蓄電要素5に接続され蓄電要素5に蓄えられた電力を非接触で送電する放電用の送電アンテナ7とを備え、受電アンテナ6及び送電アンテナ7は容器10内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能な蓄電セル、及び蓄電セルを備える蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電セルは、蓄電機能を担う蓄電要素が容器に内包され電解液と共に液密・気密にシールされた構造を有している。蓄電要素の充放電は容器を貫通する電極端子を通じて行われるため、電極端子は液密・気密を損なわないように容器を貫通させる必要がある。この点が蓄電セルの設計及び製造において細心の注意が払われる事項となっている。特に、厳しい環境で使用される自動車用の蓄電セルでは、液密・気密を確保するために、過剰な部品や組立工数を必要とする事例が多く見られる。
【0003】
こうした蓄電セルの液密・気密の確保の観点から、蓄電セルに非接触で充電する技術が注目されている。特許文献1には、車両の蓄電装置に対して電力を非接触で給電する移動車両給電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−193657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しなしながら、特許文献1のような従来の非接触充電セルにおいても、蓄電要素の充放電は容器を貫通する電極端子を通じて行われるため、蓄電セルの液密・気密の確保という面では不十分であった。蓄電セルにおいて液密・気密が損なわれると、電解液漏れによる性能低下や、外気侵入による性能低下を引き起こすおそれがあり、蓄電セルの信頼性、安全性が損なわれる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、蓄電セルの信頼性及び安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る蓄電セルは、蓄電要素を電解液と共に収容する容器と、前記蓄電要素に接続され、給電装置から送電される電力を非接触で受電する充電用の受電アンテナと、前記蓄電要素に接続され、当該蓄電要素に蓄えられた電力を非接触で送電する放電用の送電アンテナと、を備え、前記受電アンテナ及び前記送電アンテナは前記容器内に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄電要素の充放電は容器内に配置された受電アンテナ及び放電アンテナにより非接触にて行われ、電極端子が容器を貫通する構造ではないため、電解液漏れや外部からのガス侵入が防止される。したがって、蓄電セルの信頼性及び安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタを示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は平面図である。
【図2】図1(B)の部分aの拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る蓄電装置を示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの充放電制御回路のブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る蓄電装置を車両に適用した場合の構成図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの変形例を示す斜視図であり、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電気二重層キャパシタを示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は平面図である。
【図9】図8(B)の部分bの拡大図である。
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、図1〜図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る蓄電セルとしての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と称する。)100、及びキャパシタ100を備える蓄電装置101について説明する。
【0011】
図1に示すように、キャパシタ100は、電荷を蓄える蓄電要素5と、蓄電要素5を電解液と共に収容する容器10と、蓄電要素5に接続され給電装置20(図4参照)から送電される電力を非接触で受電する充電用の受電アンテナ6(充電用受電アンテナ6)と、蓄電要素5に接続され蓄電要素5に蓄えられた電力を非接触で送電する放電用の送電アンテナ7(放電用送電アンテナ7)とを備える。
【0012】
図3に示すように、蓄電装置101は、キャパシタ100と、キャパシタ100を収容するボビン枠13と、ボビン枠13に支持され放電用送電アンテナ7から送電される電力を非接触で受電する放電用の受電アンテナ8(放電用受電アンテナ8)とを備える。受電アンテナ8はキャパシタ100に充電された電力を消費する負荷40(図4参照)に接続される。負荷40は、例えばモータや二次電池である。
【0013】
蓄電要素5は、正極集電極と、負極集電極と、正極集電極と負極集電極の間に介在され両者を隔離するセパレータとを所定数積層した積層体で構成される。正極集電極及び負極集電極の表面には電気二重層を構成する活性炭が塗布される。正極集電極及び負極集電極のそれぞれにはリード2が接続される。同極の集電極のリード2は結束され、対応する極性の電極端子3に接続される。
【0014】
容器10は、蓄電要素5を囲む矩形の枠状部材である枠体としての矩形枠11と、矩形枠11の両面に貼り付けられた一対の膜体12とを備える。矩形枠11は樹脂製であり、膜体12はラミネートフィルムである。ラミネートフィルムは、金属箔の金属層を樹脂層にて被服した多層構造のフィルム材である。矩形枠11と膜体12は、互いの熱可塑性樹脂を熱溶着させることによって隙間なく接合される。これにより、容器10の内部に電解液が密封される。
【0015】
矩形枠11は内周全体に溝部11aを有する。溝部11a内には、充電用受電アンテナ6、放電用送電アンテナ7、及び充放電制御回路基板15がモールド材16にて固定される。放電用送電アンテナ7が外側、充放電制御回路基板15が内側に配置されるように固定される。モールド材16には、電気絶縁性及び防水性に優れた材料が用いられる。
【0016】
充電用受電アンテナ6は、二次自己共振コイル6aと二次コイル6bとから構成される。二次自己共振コイル6aは、両端がオープンのLC共振コイルである。二次自己共振コイル6aは、給電装置20(図4参照)における一次自己共振コイル23bと磁場の共鳴によって結合可能に構成される。二次コイル6bは、二次自己共振コイル6aと電磁誘導によって結合可能に構成される。
【0017】
放電用送電アンテナ7は一次誘導コイル7aとして構成され、放電用受電アンテナ8は二次誘導コイル8aとして構成される。一次誘導コイル7aは、二次誘導コイル8aと電磁誘導によって結合可能に構成される。
【0018】
充放電制御回路基板15は、電気絶縁性の基板に蓄電要素5の充放電を制御する充放電制御回路を構成したものである。図2に示すように、充放電制御回路基板15には、充電用受電アンテナ6の二次コイル6bの両端が配線17を介して接続されると共に、一次誘導コイル7aの両端が配線18を介して接続される。また、充放電制御回路基板15には、正極及び負極の電極端子3も接続される。
【0019】
電極端子3は、アルミニウムなど導電性を有する金属にて構成され、L字形状に形成される。電極端子3は、一方の辺の外面が膜体12の内面に沿うと共に他方の辺の外面が容器10の内面、つまりモールド材16に沿うように配置され、他方の辺を貫通してモールド材16に挿入された締結部材としてのボルト19を介して容器10に固定される。ボルト19は、アルミニウムなど導電性を有する金属にて構成され、先端部が充放電制御回路基板15に接続される。このように、電極端子3と充放電制御回路基板15は、ボルト19を介して電気的に接続される。なお、電極端子3と充放電制御回路基板15の電気的接続は、ボルト19ではなく配線を用いて行ってもよい。
【0020】
図3に示すように、二次誘導コイル8aは、矩形の枠状部材であるボビン枠13に支持される。ボビン枠13は、容器10を収容する矩形の内周面13aを有すると共に、外周面には溝部13bを有する。二次誘導コイル8aは、溝部13b内に巻き付けられる。二次誘導コイル8aの両端は、キャパシタ100に充電された電力を消費する負荷40(図4参照)に接続される。ボビン枠13は、フェライトや薄板鋼板を積層したものである。なお、ボビン枠13は、一次誘導コイル7aと二次誘導コイル8aの電力伝送効率が許容範囲内であれば、樹脂にて構成するようにしてもよい。その場合、キャパシタ100を軽量化することが可能となる。
【0021】
このように、二次誘導コイル8aは、容器10とは別体のボビン枠13に配置される。つまり、一次誘導コイル7aは容器10内に配置されるのに対して、二次誘導コイル8aは容器10外に配置される。
【0022】
キャパシタ100は、蓄電要素5の正極集電極と負極集電極の両極それぞれで電気二重層による静電容量によって電荷を蓄えると共に、蓄えた電荷を放出するものである。充放電は充電用受電アンテナ6及び放電用送電アンテナ7を通じて非接触にて行われる。このため、キャパシタ100は、容器10を貫通する電極端子を有さず、容器10におけるシール部は矩形枠11と膜体12の接合部のみである。
【0023】
蓄電装置101は、二次誘導コイル8aが巻き付けられたボビン枠13内にキャパシタ100を配置するだけで構成することができる。
【0024】
次に、図4を参照して、蓄電要素5の充放電を制御する充放電制御回路について説明する。
【0025】
充放電制御回路は、充電用受電アンテナ6の二次コイル6bからの高周波電力を直流に整流する整流器30と、蓄電要素5への電力の充電を行う充電回路31と、蓄電要素5から一次誘導コイル7aへの電力の放電を行う放電回路32と、蓄電要素5の充電量(SOC)を検出するSOCセンサ33と、充電回路31及び放電回路32の制御を行うコントローラ34とを備える。
【0026】
コントローラ34は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータ及び電力制御素子で構成される。コントローラ34を複数のアナログ素子で構成することも可能である。
【0027】
給電装置20は、交流電源21と、交流電源21の電力を送電可能な電力に変換する電力変換部22と、電力変換部22から供給される電力を非接触でキャパシタ100の充電用受電アンテナ6に送電する充電用の送電アンテナ23(充電用送電アンテナ23)とを備える。
【0028】
交流電源21は例えば系統電源により構成される。電力変換部22は所定の高周波を発生する発振回路22aと、交流電源21の出力電力を発振回路22aの高周波の電力に変換して充電用送電アンテナ23へ出力する駆動回路22bとからなる。
【0029】
充電用送電アンテナ23は、一次コイル23aと、一次コイル23aと電磁誘導によって結合可能な一次自己共振コイル23bとを備える。一次コイル23aは、駆動回路22bから受け取った電力を電磁誘導によって一次自己共振コイル23bへ伝送する。一次自己共振コイル23bは、両端がオープンのLC共振コイルである。
【0030】
給電装置20を稼働させると、充電用送電アンテナ23の一次自己共振コイル23bとキャパシタ100の充電用受電アンテナ6の二次自己共振コイル6aとが磁場の共鳴によって結合し、充電用送電アンテナ23から充電用受電アンテナ6への送電が行われる。キャパシタ100では、充電用受電アンテナ6が受け取った高周波電力が整流器30にて直流に変換され、充電回路31を介して蓄電要素5に蓄電される。この際、コントローラ34は、蓄電要素5の充電量を検出するSOCセンサ33からの充電量信号に基づいて、蓄電要素5が過充電とならないように充電回路31の制御を行う。
【0031】
蓄電要素5に蓄電された電力が負荷40に供給される際には、キャパシタ100の一次誘導コイル7aと蓄電装置101の二次誘導コイル8aとが電磁誘導によって結合し、放電回路32を介して蓄電要素5に蓄電された電力が一次誘導コイル7aから二次誘導コイル8aへ送電される。二次誘導コイル8aが受け取った高周波電力は整流器41にて直流に変換され、負荷40へ供給される。
【0032】
ここで、負荷40がキャパシタ100に接続されていない場合には、放電回路32を停止させないと蓄電要素5に充電された電力が無駄に消費されるおそれがある。そこで、負荷40には、負荷40の負荷状態を検出する負荷検出器42が接続される。負荷検出器42の検出結果は、絶縁インターフェース43を介してコントローラ34に出力される。コントローラ34は、負荷検出器42の検出結果に基づいて負荷40の負荷状態を判定して、放電回路32の動作を制御する。したがって、負荷40がキャパシタ100に接続されていない場合には、負荷検出器42が負荷40の無負荷を検出し、コントローラ34は放電回路32を停止するように制御するため、電力の無駄な消費を防止することができる。
【0033】
絶縁インターフェース43は、負荷検出器42とコントローラ34とを電気的に絶縁しつつ、負荷検出器42からコントローラ34への検出信号の伝達を可能にするものである。
【0034】
なお、負荷検出器42を設ける代わりに、キャパシタ100の一次誘導コイル7aを負荷検出器として用いるようにしてもよい。この場合、コントローラ34は、一次誘導コイル7aの電圧又は電流に基づいて負荷40の負荷状態を判定して、放電回路32の動作を制御する。このように構成すれば、負荷40に接続される負荷検出器42及び絶縁インターフェース43を廃止することができ、構造を簡素化することができる。
【0035】
次に、図5を参照して、蓄電装置101を車両50に適用した場合の蓄電装置101の使用例について説明する。
【0036】
車両50は、車輪に結合するモータ51と、モータ51の動力源である二次電池52と、二次電池52に電力を供給する補助電源としての蓄電装置101とを備える。この例では、二次電池52が図4に示す負荷40に該当する。
【0037】
例えば、二次電池52の充電量が低下した場合には、車両50を蓄電装置101が給電装置20に対峙する給電位置に停止させて給電装置20を稼働させる。これにより、充電用送電アンテナ23の一次自己共振コイル23bとキャパシタ100の充電用受電アンテナ6の二次自己共振コイル6aとが磁場の共鳴によって結合し、交流電源21からキャパシタ100へ電力が非接触にて供給され、キャパシタ100の急速充電が行われる。
【0038】
キャパシタ100への充電が完了した後は、車両50の走行中に、キャパシタ100から二次電池52に電力が非接触にて供給され、二次電池52の充電が比較的長い時間をかけて行われる。
【0039】
このように、車両50の駆動源である二次電池52の充電量が低下した場合には、補助電源としての蓄電装置101に給電装置20を用いて急速充電し、その後、蓄電装置101を用いて二次電池52の充電が行われる。
【0040】
蓄電装置101の他の使用例として、蓄電装置101をモータ51の動力源として用いるようにしてもよい。この場合、車両50の制動時には、モータ51は車輪の回転トルクでジェネレータとして駆動して回生発電を行い、その回生電力がキャパシタ100に充電される。このように、この例では、モータ51が図4に示す負荷40に該当すると共に、給電装置20にも該当する。
【0041】
なお、蓄電装置101は車両搭載用に限られるものではない。蓄電装置101は充放電を非接触にて行うものであり、充放電電流が比較的小さい。したがって、充放電電流が小さくても足りる用途には好適である。例えば、電子機器の電源や補助電源としても用いることができる。
【0042】
以上の第1の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0043】
蓄電要素5の充放電は容器10内に配置された充電用受電アンテナ6及び放電用送電アンテナ7により非接触にて行われ、電極端子3が容器10を貫通する構造ではないため、容器10からの電解液漏れや外部から容器10内へのガス侵入が防止される。したがって、キャパシタ100の信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0044】
また、電極端子3が容器10を貫通する構造ではないため、キャパシタ100を多数積層したモジュールをコンパクトに構成することができる。
【0045】
また、電極端子3が容器10を貫通する構造ではないため、絶縁性の確保が容易となると共に、キャパシタ100及び蓄電装置101を維持、管理する際に感電するおそれがない。
【0046】
また、キャパシタ100を多数積層しても、キャパシタ100同士の電気的接続が不要であるため、組み立てが容易となる。
【0047】
また、蓄電装置101は、キャパシタ100がボビン枠13に収容される構成であるため、キャパシタ100の交換を極めて簡単に行うことができる。例えば、キャパシタ100に故障が発生した場合には、ボビン枠13に収容されたキャパシタ100を取り出し、他のキャパシタ100をボビン枠13に収容するだけでよく、電気配線の取り外しや取り付け作業が不要である。また、ボビン枠13に巻き付けられた二次誘導コイル8aに短絡が生じた場合でも、それがキャパシタ100に影響することがない。
【0048】
以下に、以上にて説明した第1の実施の形態の変形例について説明する。
【0049】
(1)キャパシタ100を複数積層してモジュールを構成する場合において、図6に示すように、単一のボビン枠13内に複数積層したキャパシタ100を収容するようにしてもよい。つまり、複数のキャパシタ100に対して共通の1つのボビン枠13を用いるようにしてもよい。この場合、ボビン枠13はキャパシタ100の厚さ方向に延在して形成され、ボビン枠13の外周には1本の二次誘導コイル8aが巻き付けられる。このように、二次誘導コイル8aも複数のキャパシタ100に対して共通に用いられる。
【0050】
(2)膜体12を矩形枠11の両面に貼り付ける構成ではなく、図7に示すように、一対の膜体12の向かい合わせ、互いの外縁部を接合するようにしてもよい。この場合、矩形枠11は膜体12内に収容される。キャパシタ100をボビン枠13内に収容する際には、膜体12外周の接合部12aが折り曲げられる。
【0051】
(3)上記第1の実施の形態では、蓄電セルがキャパシタである場合について説明したが、蓄電セルはニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの他の蓄電セルであってもよい。
【0052】
(4)上記第1の実施の形態では、充電用送電アンテナ23と充電用受電アンテナ6との結合には磁場の共鳴による送電方式を採用し、放電用送電アンテナ7と放電用受電アンテナ8との結合には電磁誘導による送電方式が採用した。しかし、非接触の送電方式はこれに限られるものではなく、充電用送電アンテナ23と充電用受電アンテナ6との結合に電磁誘導による送電方式を採用し、放電用送電アンテナ7と放電用受電アンテナ8との結合に磁場の共鳴による送電方式を採用するようにしてもよい。また、マイクロ波等の他の送電方式を採用するようにしてもよい。
【0053】
(第2の実施の形態)
以下、図8及び図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るキャパシタ200、及びキャパシタ200を備える蓄電装置201について説明する。以下では、上記第1の実施の形態に係るキャパシタ100及び蓄電装置101と異なる点を中心に説明し、キャパシタ100及び蓄電装置101と同様の構成には図面中に同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
キャパシタ200では、容器11の矩形枠11は、内周全体に溝部11aを有すると共に、外周全体にも溝部11bを有する。放電用送電アンテナ7及び充放電制御回路基板15は、第1の実施の形態に係るキャパシタ100と同様に溝部11a内にモールド材16にて固定されるのに対して、充電用受電アンテナ6の二次自己共振コイル6aと二次コイル6bは膜体12内に組み込まれる。
【0055】
具体的には、二次自己共振コイル6aと二次コイル6bは、予めそれぞれ電気絶縁性フィルムにパターンプリントにより形成される。二次自己共振コイル6aが形成された電気絶縁性フィルムは、膜体12を構成するラミネートフィルムの2つの樹脂層間に予め挿入される。二次コイル6bが形成された電気絶縁性フィルムは、ラミネートフィルムの別の2つの樹脂層間に予め挿入される。
【0056】
充放電制御回路基板15には、充電用受電アンテナ6の二次コイル6bの両端が配線17を介して接続されると共に、一次誘導コイル7aの両端が配線18を介して接続される。また、充放電制御回路基板15には、正極及び負極の電極端子3も接続される。
【0057】
電極端子3は板状に形成される。電極端子の一端は対応する極性の集電極のリード2に接続され、他端はモールド材16に挿入され充放電制御回路基板15に直接接続される。このように、本実施の形態では、電極端子3と充放電制御回路基板15は、直接電気的に接続される。
【0058】
蓄電装置201では、ボビン枠13は有さず、二次誘導コイル8aは容器10の外周に支持される。具体的には、二次誘導コイル8aは矩形枠11の外周の溝部11b内に巻き付けられる。
【0059】
このように、一次誘導コイル7aは矩形枠11の内周の溝部11a内に配置され、二次誘導コイル8aは矩形枠11の外周の溝部11b内に配置される。したがって、蓄電装置201は、第1の実施の形態に係る蓄電装置101とは異なり、一体の装置として構成される。したがって、キャパシタ200を蓄電装置201から取り外すことができない。その分、蓄電装置201は、第1の実施の形態に係る蓄電装置101と比較してコンパクトに構成することができる。
【0060】
充電用受電アンテナ6及び放電用送電アンテナ7の配置態様は、第1及び第2の実施の形態にて説明した態様に限られるものではない。
【0061】
他の態様としては、充電用受電アンテナ6を矩形枠11の溝部11a内にモールド材16にて固定し、放電用送電アンテナ7を膜体12内に組み込むようにしてもよい。
【0062】
また、充電用受電アンテナ6及び放電用送電アンテナ7の双方を膜体12内に組み込むようにしてもよい。この場合には、矩形枠11の溝部11a内には充放電制御回路基板15のみが配置される。
【0063】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0064】
100,200 電気二重層キャパシタ(キャパシタ)
101,201 蓄電装置
2 リード
3 電極端子
5 蓄電要素
6 充電用受電アンテナ
6a 二次自己共振コイル
6b 二次コイル
7 放電用送電アンテナ
7a 一次誘導コイル
8 放電用受電アンテナ
8a 二次誘導コイル
10 容器
11 矩形枠
12 膜体
13 ボビン枠
15 充放電制御回路基板
16 モールド材
20 給電装置
23 充電用送電アンテナ
23a 一次コイル
23b 一次自己共振コイル
40 負荷
42 負荷検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電要素を電解液と共に収容する容器と、
前記蓄電要素に接続され、給電装置から送電される電力を非接触で受電する充電用の受電アンテナと、
前記蓄電要素に接続され、当該蓄電要素に蓄えられた電力を非接触で送電する放電用の送電アンテナと、を備え、
前記受電アンテナ及び前記送電アンテナは前記容器内に配置されることを特徴とする蓄電セル。
【請求項2】
前記容器は、内周に溝部を有し前記蓄電要素を囲む枠体と、前記枠体の両面に貼り付けられた膜体と、を備え、
前記受電アンテナ及び前記送電アンテナは、前記溝部内に配置されてモールド材にて固定されることを特徴とする請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項3】
前記容器は、内周に溝部を有し前記蓄電要素を囲む枠体と、前記枠体の両面に貼り付けられた膜体と、を備え、
前記受電アンテナは前記膜体内に組み込まれ、前記送電アンテナは前記溝部内に配置されてモールド材にて固定されることを特徴とする請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項4】
前記容器は、内周に溝部を有し前記蓄電要素を囲む枠体と、前記枠体の両面に貼り付けられた膜体と、を備え、
前記受電アンテナは前記溝部内に配置されてモールド材にて固定され、前記送電アンテナは前記膜体内に組み込まれることを特徴とする請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項5】
前記容器は、内周に溝部を有し前記蓄電要素を囲む枠体と、前記枠体の両面に貼り付けられた膜体と、を備え、
前記受電アンテナ及び前記送電アンテナは、前記膜体内に組み込まれることを特徴とする請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項6】
前記蓄電要素の集電極に接続された電極端子と、
電気絶縁性の基板に前記蓄電要素の充放電を制御する充放電制御回路が構成された充放電制御回路基板と、をさらに備え、
前記充放電制御回路基板は、前記溝部内に配置されて前記モールド材にて固定され、
前記充放電制御回路基板には、前記受電アンテナ及び前記送電アンテナが接続されると共に、前記電極端子が接続されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一つに記載の蓄電セル。
【請求項7】
前記電極端子を前記モールド材に固定する導電性を有する締結部材をさらに備え、
前記充放電制御回路基板と前記電極端子は、前記締結部材を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項6に記載の蓄電セル。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の蓄電セルと、
放電用の前記送電アンテナから送電される電力を非接触で受電する放電用の受電アンテナと、を備え、
放電用の前記受電アンテナは前記容器外に配置されることを特徴とする蓄電装置。
【請求項9】
放電用の前記受電アンテナを支持するボビン枠をさらに備え、
前記蓄電セルは前記ボビン枠内に収容されることを特徴とする請求項8に記載の蓄電装置。
【請求項10】
単一の前記ボビン枠内に前記蓄電セルが複数積層して収容されることを特徴とする請求項9に記載の蓄電装置。
【請求項11】
放電用の前記受電アンテナは前記容器の外周に支持されることを特徴とする請求項8に記載の蓄電装置。
【請求項12】
請求項6又は請求項7に記載の蓄電セルと、
放電用の前記送電アンテナから送電される電力を非接触で受電する放電用の受電アンテナと、
放電用の前記受電アンテナが接続された負荷の負荷状態を検出する負荷検出器と、を備え、
前記充放電制御回路は、前記負荷検出器の検出結果に基づいて前記負荷の負荷状態を判定して、前記蓄電要素から放電用の前記送電アンテナへの放電制御を行うことを特徴とする蓄電装置。
【請求項13】
前記負荷検出器の検出結果は、絶縁インターフェースを介して前記充放電制御回路に出力されることを特徴とする請求項12に記載の蓄電装置。
【請求項14】
前記負荷検出器として放電用の前記送電アンテナを用い、
前記充放電制御回路は、放電用の前記送電アンテナの電圧又は電流に基づいて前記負荷の負荷状態を判定して、前記蓄電要素から放電用の前記送電アンテナへの放電制御を行うことを特徴とする請求項12に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−130094(P2012−130094A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276701(P2010−276701)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】