説明

蓄電装置

【課題】 複数の蓄電素子が整列した状態で配置されたときに、それぞれの蓄電素子をバランスよく冷却することができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】 蓄電装置は、複数の蓄電素子を保持するホルダーを備える。蓄電素子間に蓄電素子間通気路が形成される。ホルダーのホルダー本体は、第二方向に延びる少なくとも一つの壁部であって、複数の蓄電素子のうちの第一方向の端にある蓄電素子に外側から対向する少なくとも一つの壁部と、第一方向及び第二方向と直交する第三方向で壁部と並んで形成される通気用開放部であって、第一方向及び第二方向に開放した通気用開放部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル(単電池)やキャパシタなどの蓄電素子と、蓄電素子を保持するホルダーとを備えた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機器の電力源として、蓄電装置の一形態である電池モジュールが提供されている。電池モジュールは、互いに電気的に接続された複数の単電池と、複数の単電池を保持するホルダーとを備える。
【0003】
複数の単電池は、第一方向に整列されている。隣り合う単電池は、第一方向に所定の間隔をあけた状態で配置される。これにより、単電池間には、第一方向と直交する第二方向に貫通した電池間通気路が形成されている。
【0004】
ホルダーには、種々のタイプがある。例えば、その一つとして、複数の単電池を収容可能に形成されたホルダー本体を備えたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ホルダー本体は、収容した複数の単電池の第一方向の両側に配置される一対の柱群を備える。一対の柱群のそれぞれは、第一方向の最も端にある単電池のみと対向する複数の柱部によって構成される。複数の柱部は、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に延び、第二方向に間隔をあけて配置されている。これにより、第一方向で開放した通気用開放部が第二方向に並んで形成されている。
【0006】
上記構成の電池モジュールによれば、電池間通気路に気体を流通させるとともに通気用開放部に気体を流通させることで、複数の単電池を冷却でき、充放電に伴う単電池の過剰な温度上昇を抑制できる、とされている。
【0007】
しかしながら、第一方向の最も端にある単電池と対向する柱部は、気体の流通方向(第二方向)と直交する第三方向に延びている。そのため、柱部が第二方向での気体の円滑な流通を阻害する。すなわち、柱部の存在が通気用開放部内で第二方向に流通する気体の圧力損失を大きくしてしまう。従って、上記構成の電池モジュールでは、第一方向の最も端にある単電池が効率的に冷却されないことがある。
【0008】
そして、この種の問題は、単電池に限られず、キャパシタなどの蓄電素子についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−181896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、複数の蓄電素子をそれぞれ効率的に冷却することができる蓄電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る蓄電装置は、
互いに電気的に接続された複数の蓄電素子と、
該複数の蓄電素子を保持するホルダーとを備え、
複数の蓄電素子は、第一方向に整列されるとともに、隣の蓄電素子と第一方向に所定の間隔をあけた状態で配置され、隣り合う蓄電素子間に第一方向と直交する第二方向に貫通した蓄電素子間通気路を形成し、
ホルダーは、複数の蓄電素子を収容可能なホルダー本体を備え、
該ホルダー本体は、
第二方向に延びる少なくとも一つの壁部であって、複数の蓄電素子のうちの第一方向の最も端にある蓄電素子に外側から対向する少なくとも一つの壁部と、
第一方向及び第二方向と直交する第三方向で壁部と並んで形成される通気用開放部であって、第一方向及び第二方向に開放した通気用開放部とを備える。
【0012】
上記構成の蓄電装置によれば、少なくとも一つの壁部が第一方向の最も端にある蓄電素子に外側から対向する。従って、複数の蓄電素子の第一方向での移動が規制される。
【0013】
そして、蓄電素子間通気路に気体を流通させたとき、気体は、蓄電素子間通気路の両側にある蓄電素子に沿って流通する。これにより、複数の蓄電素子のそれぞれが冷却される。また、通気用開放部は、上述のように、第一方向及び第二方向に開放している。これにより、通気用開放部に気体を流通させたとき、通気用開放部内の気体は、何ら流れが阻害されることなく、第一方向の最も端にある蓄電素子の外面に沿って第二方向に流れる。このとき、第二方向に開放している通気用開放部を流通する気体の圧力損失が大きくならず、通気用開放部を流通する気体は第二方向に円滑に流通する。従って、通気用開放部を流通する気体によって第一方向の最も端にある蓄電素子が効率的に冷却される。
【0014】
ここで、本発明に係る蓄電装置の一態様として、
二つのホルダー本体を第一方向に並べて配置した状態で、一方のホルダー本体の壁部及び通気用開放部が他方のホルダー本体の壁部及び通気用開放部と向き合うようになっている
ようにすることができる。
【0015】
このようにすれば、複数の蓄電装置のそれぞれにおける複数の蓄電素子のそれぞれが第二方向の一方側から他方側に向けて流通する気体によって冷却される。
【0016】
この場合、
一方のホルダー本体の壁部の少なくとも一部が他方のホルダー本体の通気用開放部と対向し、一方のホルダー本体の通気用開放部が他方のホルダー本体の壁部の少なくとも一部と対向する
ようにすることができる。
【0017】
このようにすれば、複数の蓄電装置を第一方向に並べた状態で、隣り合う蓄電装置の蓄電素子間に壁部の少なくとも一部が介在する。従って、第一方向に並べられた蓄電装置に第一方向の外力が作用しても、隣り合う蓄電装置の蓄電素子同士が直接接触しにくくなる。従って、隣り合う蓄電装置同士の絶縁性が高くなる。
【0018】
さらにこの場合、
一方のホルダー本体の壁部が他方のホルダー本体の通気用開放部と対向し、一方のホルダー本体の通気用開放部が他方のホルダー本体の壁部と対向する
ようにすることができる。
【0019】
このようにすれば、複数の蓄電装置を第一方向に並べた状態で、隣り合う蓄電装置の蓄電素子間に壁部が介在する。従って、第一方向に並べられた蓄電装置に第一方向の外力が作用しても、隣り合う蓄電装置の蓄電素子同士が直接接触することがない。従って、隣り合う蓄電装置同士の絶縁性がより高くなる。また、隣り合う蓄電装置の蓄電素子間に異物が混入して蓄電素子間が短絡するのを防止することができる。また、一方のホルダー本体の壁部が隣り合う他方のホルダー本体の通気用開放部の外側を閉じることにより、他方のホルダー本体の通気用開放部が第一方向で蓄電素子側が開放しつつ第二方向に貫通した通気路となる。また、一方のホルダー本体の通気用開放部は、隣り合う他方のホルダー本体の壁部によって外側が閉じられ、第一方向で蓄電素子側が開放しつつ第二方向に貫通した通気路となる。従って、通気用開放部によって形成される通気路が広くなりすぎず、隣り合う蓄電装置のそれぞれにおいて、第一方向の端にある蓄電素子が過度に冷却されることを防止できる。
【0020】
さらにこの場合、
壁部は、第三方向に間隔をあけて複数設けられ、
通気用開放部は、それぞれが複数の壁部のそれぞれと第三方向に並ぶように複数設けられ、
一方のホルダー本体の複数の壁部のそれぞれが他方のホルダー本体の複数の通気用開放部のそれぞれと対向し、一方のホルダー本体の複数の通気用開放部のそれぞれが他方のホルダー本体の複数の壁部のそれぞれと対向する
ようにすることができる。
【0021】
このようにすれば、一方のホルダー本体の複数の壁部のそれぞれが隣り合う他方のホルダー本体の複数の通気用開放部のそれぞれの外側を閉じることにより、他方のホルダー本体の複数の通気用開放部のそれぞれが第一方向で蓄電素子側が開放しつつ第二方向に貫通した通気路となる。また、一方のホルダー本体の複数の通気用開放部のそれぞれは、隣り合う他方のホルダー本体の複数の壁部によって外側が閉じられ、第一方向で蓄電素子側が開放しつつ第二方向に貫通した通気路となる。従って、隣り合う一方の蓄電装置において、複数の通気路が第三方向に間隔をあけて形成され、隣り合う他方の蓄電装置においても、複数の通気路が第三方向に間隔をあけて形成される。従って、隣り合う蓄電装置のそれぞれにおいて、第一方向の最も端にある蓄電素子に対する第三方向での冷却の偏りがなく、蓄電素子全体を均等に冷却することができる。
【0022】
また、本発明に係る蓄電装置の他態様として、
壁部及び通気用開放部は、複数の蓄電素子の第一方向の両側のそれぞれに設けられ、
複数の蓄電素子のうちの第一方向の両端にある二つの蓄電素子のうちの一方の蓄電素子と対向する壁部及び通気用開放部と、二つの蓄電素子のうちの他方の蓄電素子と対向する壁部及び通気用開放部とは、第三方向で相対的に位置ずれして形成され、
一方の蓄電素子と対向する壁部の少なくとも一部が他方の蓄電素子と対向する通気用開放部と対応した位置に形成され、一方の蓄電素子と対向する通気用開放部が他方の蓄電素子と対向する壁部の少なくとも一部と対応した位置に形成される
ようにすることができる。
【0023】
このようにすれば、上記構成のホルダー本体を備えた蓄電装置が複数第一方向に並べられるときに、隣り合う蓄電装置のうちの一方の蓄電装置における両端にある二つの蓄電素子のうちの一方の蓄電素子と対向する壁部及び通気用開放部と、他方の蓄電装置における両端にある二つの蓄電素子のうちの他方の蓄電素子と対向する壁部及び通気用開放部とを向かい合わせにして配置することで、一方のホルダー本体の壁部の少なくとも一部が他方のホルダー本体の通気用開放部と対向し、一方のホルダー本体の通気用開放部が他方のホルダー本体の壁部の少なくとも一部と対向する。従って、複数の蓄電装置を並べて配置するにあたり、複数種類のホルダー本体を作製することなく、隣り合うホルダー本体の壁部と通気用開放部とを対応させた状態にすることができる。これにより、ホルダー本体の製作コスト、ひいては蓄電装置の製造コストを低減できる。
【0024】
また、本発明に係る蓄電装置の別の態様として、
一方のホルダー本体の通気用開放部によって形成される通気路の第二方向から見た断面積と、他方のホルダー本体の通気用開放部によって形成される通気路の第二方向から見た断面積とが同一又は略同一である
ようにすることができる。
【0025】
このようにすれば、隣り合う蓄電装置のうちの一方のホルダー本体の通気用開放部によって形成される通気路を流通する気体の流量と、他方のホルダー本体の通気用開放部によって形成される通気路を流通する気体の流量とを均一又は略均一にすることができる。これにより、隣り合う蓄電装置の蓄電素子を同等又は略同等の条件で冷却できる。従って、複数の蓄電装置のそれぞれにおける複数の蓄電素子を等しい条件で冷却することができ、安定した電力供給が可能となる。
【0026】
また、本発明に係る蓄電装置のさらに別の態様として、
通気用開放部によって形成される通気路の第二方向から見た断面積と、蓄電素子間通気路の第二方向から見た断面積とが同一又は略同一である
ようにすることができる。
【0027】
このようにすれば、それぞれの通気路を流通する気体の流量が等しく又は略等しくなる。従って、蓄電装置における複数の蓄電素子の全てを同じ又は略同じ条件で冷却することができる。
【0028】
また、本発明に係る蓄電装置の別の態様として、
複数の蓄電素子のうちの第一方向の中央にある蓄電素子間通気路の第二方向から見た断面積が通気用開放部によって形成される通気路の第二方向から見た断面積よりも大きい
ようにすることができる。
【0029】
このようにすれば、蓄電装置の中央にある蓄電素子間通気路を流通する気体の流量が通気用開放部によって形成される通気路を流通する気体の流量よりも多くなる。中央にある蓄電素子が温度上昇しやすい蓄電装置への対策である。
【0030】
また、本発明に係る蓄電装置のさらに別の態様として、
蓄電素子間通気路の第二方向から見た断面積が通気用開放部によって形成される通気路の第二方向から見た断面積よりも小さい
ようにすることができる。
【0031】
このようにすれば、それぞれの蓄電素子間通気路を流通する気体の流量が通気用開放部によって形成される通気路を流通する気体の流量よりも少なくなるものの、蓄電素子間に異物が混入して蓄電素子間が短絡するのを防止することができる。
【0032】
本発明の別の態様として、
ホルダーは、ホルダー本体に収容された複数の蓄電素子上に配置されるホールド部材をさらに備える
ようにすることができる。
【0033】
このようにすれば、ホールド部材によって、複数の蓄電素子の第三方向の移動が規制される。従って、かかる構成の蓄電装置は、振動の発生する機器に電力源として採用されても、複数の蓄電素子を適正な配置で確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、複数の蓄電素子をそれぞれ効率的に冷却することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの全体斜視図である。
【図2】図2は、同実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図である。
【図3】図3は、同実施形態に係る電池モジュールの単電池の説明図であって、図3Aは、単電池の平面図であり、図3Bは、単電池の正面図である。
【図4】図4は、同実施形態に係る電池モジュールの単電池及び電池間通気路の配置に関する説明図であって、モジュール部材及びカバーを取り除いた状態の平面図である。
【図5】図5は、同実施形態に係る電池モジュールのホルダー本体の斜視図であって、図5Aは、X方向及びY方向の一方側から見たホルダー本体の斜視図であり、図5Bは、X方向及びY方向の他方側から見たホルダー本体の斜視図である。
【図6】図6は、同実施形態に係る電池モジュールのホールド部材の平面図である。
【図7】図7は、同実施形態に係る電池モジュールを二つ並べた状態のY方向から見た正面図である。
【図8】図8は、図7のA部拡大図である。
【図9】図9は、図7のI−I断面図であって、第一モジュール間通気路での気体の流通状態を含む断面図を示す。
【図10】図10は、図7のII−II断面図であって、第二モジュール間通気路での気体の流通状態を含む断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態に係る電池モジュールについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0037】
図1及び図2に示すように、電池モジュール1は、複数の単電池2,…と、複数の単電池2,…を保持するホルダー3とを備えている。電池モジュール1は、単電池2,…同士を電気的に接続するバスバー4、及び複数の単電池2,…を保持したホルダー3を覆うカバー5をさらに備えている。
【0038】
複数の単電池2,…のそれぞれには、外観直方体状の角形電池や、外観円柱状の丸形電池が採用され得る。本実施形態において、単電池2には、角形電池が採用されている。
【0039】
単電池2は、図3A及び図3Bに示すように、ケース20と、ケース20内に収容された発電要素(図示しない)と、それぞれが発電要素に電気的に接続された状態で、ケース20の外面上に配置された一対の外部端子21,21とを備える。
【0040】
ケース20は、単電池のタイプに応じた形状に形成される。本実施形態では、単電池2が上述のように角形電池であるのに伴い、ケース20は、外観直方体に形成されている。すなわち、ケース20は、第一方向(図3Aに示された直交軸のうちのX方向)に間隔をあけて対向する一対の第一平板部200,200と、一対の第一平板部200,200の間で第一方向と直交する第二方向(図示された直交軸のうちのY方向)に間隔をあけて対向する一対の第二平板部201,201と、一対の第一平板部200,200の間及び一対の第二平板部201,201の間で第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向(図3Bに示された直交軸のうちのZ方向)に間隔をあけて対向する一対の第三平板部202,202とを含む。なお、図を参酌しつつ説明するにあたり、便宜上、第一方向をX方向といい、第二方向をY方向といい、第三方向をZ方向という。
【0041】
ケース20は、X方向に扁平している。より具体的に説明すると、一対の第一平板部200,200のそれぞれは、Y方向に長手をなした長方形状に形成されている。一対の第二平板部201,201のそれぞれは、X方向の長さが第一平板部200におけるY方向の長さよりも短く、Z方向で長手をなした長方形状に形成されている。これに伴い、一対の第三平板部202,202のそれぞれは、Y方向の長さが第一平板部200のY方向の長さと一致するとともに、X方向の長さが第二平板部201のX方向の長さと一致し、Y方向に長手をなす長方形状に形成されている。
【0042】
発電要素は、電気絶縁性を有するセパレータと、セパレータを間に挟んで重ね合わされた正極板及び負極板とを含む。一方の外部端子21は、発電要素の正極板に電気的に接続されている。これに対し、他方の外部端子21は、発電要素の負極板に電気的に接続されている。これにより、一方の外部端子21は、正極端子と称され、他方の外部端子21は、負極端子と称される。
【0043】
一対の外部端子21,21は、一方の第三平板部202の外面上に配置されている。第三平板部202は、Y方向に長手をなしている。これに伴い、一対の外部端子21,21は、Y方向に間隔をあけて配置されている。なお、本実施形態の外部端子21には、電気的な負荷を接続するにあたってナットNを螺合させるボルト端子が採用されている(図2参照)。
【0044】
複数の単電池2,…は、図2及び図4に示すように、X方向に整列されている。複数の単電池2,…は、それぞれの第二平板部201,…が同一の仮想面VS1上に位置し(図4参照)、それぞれの第三平板部202,…が同一の仮想面VS2上に位置するよう(図2参照)、X方向に整列した状態で配置される。
【0045】
これに伴い、複数の単電池2,…のそれぞれは、図4に示すように、一対の第一平板部200,200を隣り合う単電池2,2のそれぞれの第一平板部200に対向させた状態になっている。また、複数の単電池2,…のそれぞれは、一対の外部端子21,21をZ方向の一方側(上方側)に位置させるように配置されている。
【0046】
隣り合う単電池2,2は、X方向に所定の間隔をあけた状態で配置される。これにより、単電池2,2間には、Y方向に貫通した通気路(以下、電池間通気路という)Rが形成されている。すなわち、複数の単電池2,…がX方向に間隔をあけて配置されることで、隣り合う単電池2,2の第一平板部200,200間に冷却用の気体Gを流通させる電池間通気路Rが形成されている。
【0047】
図2に戻り、ホルダー3は、複数の単電池2,…を収容可能なホルダー本体30を備える。ホルダー3は、ホルダー本体30に加え、ホルダー本体30に収容された複数の単電池2,…上に配置されるホールド部材31をさらに備える。
【0048】
ホルダー本体30は、図5A及び図5Bに示すように、第二方向に延びる壁部304,306であって、X方向の最も端にある単電池2に外側から対向する壁部304,306と、Z方向で壁部304,306と並んで壁部304,306に沿って形成される通気用開放部305,307であって、X方向及びY方向に開放した通気用開放部305,307と、を備える。
【0049】
より具体的に説明すると、ホルダー本体30は、複数の単電池2,…を載置可能に形成された底部300と、底部300に載置された複数の単電池2,…の上部を一括して包囲可能に形成された枠部301と、電池間通気路Rに非対向状態で配置された柱部302,303とを備える。ホルダー本体30は、X方向の最も端にある一方の単電池2に外側から対向する壁部304であって、Y方向に延びる少なくとも一つの壁部(以下、第一壁部という)304と、Z方向で第一壁部304と並んで第一壁部304に沿って形成される通気用開放部305であって、X方向及びY方向に開放した通気用開放部(以下、第一通気用開放部という)305と、X方向の最も端にある他方の単電池2に外側から対向する壁部306であって、Y方向に延びる少なくとも一つの壁部(以下、第二壁部という)306と、Z方向で第二壁部306と並んで第二壁部306に沿って形成される通気用開放部307であって、X方向及びY方向に開放した通気用開放部(以下、第二通気用開放部という)307とを備える。
【0050】
底部300は、それぞれがX方向に延びてY方向に間隔をあけて並ぶ一対の第一縁部E1,E1及びそれぞれがY方向に延びて一対の第一縁部E1,E1の間でX方向に間隔をあけて並ぶ一対の第二縁部E2,E2を有する。底部300は、整列した複数の単電池2,…を載置可能に構成されている。
【0051】
より具体的に説明すると、底部300は、整列した複数の単電池2,…全体が占有する平面領域と対応するように平面形状及び平面サイズが設定された底部本体300aと、底部本体300aの外周縁全周から起立し、底部本体300aに載置された複数の単電池2,…の下部を一括して包囲する底枠部300bとを備える。
【0052】
本実施形態では、上述のように、角形電池の単電池2が採用され、複数の単電池2,…がX方向に整列して配置される。すなわち、複数の単電池2,…全体が占有する平面領域は、四角形状である。これに伴い、底部本体300aは、外郭略四角形状に形成される。底部本体300aの外郭は、底部300全体の外郭と一致している。そして、底部300は、底部本体300a上に配置された複数のスペーサ300c,…を備える。複数のスペーサ300c,…のそれぞれは、Y方向に長手をなす帯板状に形成されている。スペーサ300cのX方向の厚みは、それぞれの電池間通気路RのX方向のサイズに対応している。複数のスペーサ300c,…は、単電池2のX方向のサイズに対応した間隔をX方向にあけて配置されている。
【0053】
底枠部300bは、底部本体300a外郭に沿って設けられる。すなわち、底枠部300bは、それぞれがX方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有するとともに、それぞれがZ方向に第三端部及び第三端部の反対側の第四端部を有する一対の第一起立部300d,300dであって、X方向に延びてY方向に間隔をあけて並ぶ一対の第一起立部300d,300dと、それぞれがY方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有するとともに、それぞれがZ方向に第三端部及び第三端部の反対側の第四端部を有する一対の第二起立部300e,300eであって、一対の第一起立部300d,300dの間でX方向に間隔をあけて並ぶ一対の第二起立部300e,300eとを備えている。
【0054】
一対の第一起立部300d,300dのそれぞれは、X方向に真っ直ぐに延びている。一対の第二起立部300e,300eのそれぞれは、Y方向に真っ直ぐに延びている。一方の第一起立部300dの第一端部は、一方の第二起立部300eの第一端部に接続される。一方の第一起立部300dの第二端部は、他方の第二起立部300eの第一端部に接続されている。他方の第一起立部300dの第一端部は、一方の第二起立部300eの第二端部に接続されている。他方の第一起立部300dの第二端部は、他方の第二起立部300eの第二端部に接続されている。一対の第一起立部300d,300dのそれぞれの第三端部及び一対の第二起立部300e,300eのそれぞれの第三端部は、底部本体300aに接続されている。
【0055】
これにより、一対の第一起立部300d,300dが底部300全体における一対の第一縁部E1,E1を構成し、一対の第二起立部300e,300eが底部300全体における一対の第二縁部E2,E2を構成している。
【0056】
枠部301は、それぞれが底部300における一対の第一縁部E1,E1のそれぞれに対応して配置された一対の枠板部(以下、それぞれ第一枠板部という)301a,301aと、それぞれが一対の第二縁部E2,E2のそれぞれに対応して配置された一対の枠板部(以下、それぞれ第二枠板部という)301b,301bとを含む。枠部301は、一対の第一枠板部301a,301a及び一対の第二枠板部301b,301bによって包囲可能に構成されている。
【0057】
一対の第一枠板部301a,301aのそれぞれは、X方向に真っ直ぐに延びている。これに伴い、一対の第一枠板部301a,301aのそれぞれは、X方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有するとともに、Z方向に第三端部及び第三端部の反対側の第四端部を有する。一対の第二枠板部301b,301bのそれぞれは、Y方向に真っ直ぐに延びている。これに伴い、一対の第二枠板部301b,301bのそれぞれは、Y方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有するとともに、Z方向に第三端部及び第三端部の反対側の第四端部を有する。
【0058】
一方の第一枠板部301aの第一端部は、一方の第二枠板部301bの第一端部に接続される。一方の第一枠板部301aの第二端部は、他方の第二枠板部301bの第一端部に接続されている。他方の第一枠板部301aの第一端部は、一方の第二枠板部301bの第二端部に接続されている。他方の第一枠板部301aの第二端部は、他方の第二枠板部301bの第二端部に接続されている。
【0059】
枠部301には、周方向に間隔をあけて複数の係合穴301c,…が設けられている。すなわち、一対の第一枠板部301a,301a及び一対の第二枠板部301b,301bのそれぞれには、長手方向に間隔をあけて二つ以上の係合穴301c,…が設けられている。なお、係合穴301c,…は、内側に開放していれば貫通穴でも非貫通穴でもよいが、本実施形態では貫通穴で構成されている。
【0060】
柱部302,303のそれぞれは、Z方向の第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有する。第一端部が底部300における第一縁部E1に接続されるとともに、第二端部が第一端部が接続された第一縁部E1と対応する枠部301における第一枠板部301aに接続されている。すなわち、柱部302,302のそれぞれは、底部300と枠部301との間でZ方向に延びている。本実施形態では、複数の柱部302,…と複数の柱部303,…を備えている。複数の柱部302,…及び複数の柱部303,…は、互いにX方向に間隔をあけて配置されている。
【0061】
より具体的に説明すると、ホルダー本体30は、底部300における一方の第一縁部E1と一方の第一縁部E1と対応する一方の第一枠板部301aとを接続した複数の第一柱部302,…と、底部300における他方の第一縁部E1と他方の第一縁部E1と対応する他方の第一枠板部301aとを接続する複数の第二柱部303,…とを備える。
【0062】
複数の第一柱部302,…のそれぞれは、Z方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有する。複数の第一柱部302,…のそれぞれは、X方向が単電池2の第二平板部201のX方向の長さ未満に設定され、Z方向に長手をなす帯板状に形成される。
【0063】
複数の第一柱部302,…のそれぞれは、電池間通気路Rを躱すように、電池間通気路Rと非対向状態で配置されている。すなわち、複数の第一柱部302,…のそれぞれは、複数の単電池2,…のそれぞれに対応するように配置されている。複数の第一柱部302,…は、対応する電池間通気路Rに対する空気に流入又は流出を阻害することのないように、対応する単電池2の第二平板部201のみと対向している。これにより、複数の第一柱部302,…のそれぞれは、隣り合う第一柱部302との間に電池間通気路Rと対向する開口を形成した状態になっている。
【0064】
複数の第一柱部302,…のそれぞれの第一端部は、底枠部300bにおける一方の第一起立部300dの第四端部に接続されている。複数の第一柱部302,…のそれぞれの第二端部は、枠部301における一方の第一枠板部301aの第三端部に接続されている。
【0065】
複数の第二柱部303,…のそれぞれは、Z方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有する。複数の第二柱部303,…のそれぞれは、X方向が単電池2の第二平板部201のX方向の長さ未満に設定され、Z方向に長手をなす帯板状に形成される。
【0066】
複数の第二柱部303,…のそれぞれは、電池間通気路Rを躱すように、電池間通気路Rと非対向状態で配置されている。すなわち、複数の第二柱部303,…のそれぞれは、複数の単電池2,…のそれぞれに対応するように配置されている。複数の第二柱部303,…は、対応する電池間通気路Rに対する空気に流入又は流出を阻害することのないように、対応する単電池2の第二平板部201のみと対向している。これにより、複数の第二柱部303,…のそれぞれは、隣り合う第二柱部303との間に電池間通気路Rと対向する開口を形成した状態になっている。なお、複数の第一柱部302,…のそれぞれは、対応する単電池2を挟んで複数の第二柱部303,…のそれぞれと互いに対峙している。
【0067】
複数の第二柱部303,…のそれぞれの第一端部は、底枠部300bにおける他方の第一起立部300dの第四端部に接続されている。複数の第二柱部303,…のそれぞれの第二端部は、枠部301における他方の第一枠板部301aの第三端部に接続されている。
【0068】
第一壁部304は、一方の第二枠板部301bと一方の第二縁部E2との間に配置されている。より具体的に説明すると、第一壁部304は、Y方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有する。第一壁部304は、Y方向に長手をなす帯板状に形成される。第一壁部304は、複数(本実施形態では二つ)設けられている。複数の第一壁部304,…は、底部300と枠部301との間でZ方向に所定の間隔をあけて配置されている。本実施形態では、一方の第一壁部304は、Z方向で枠部301の第二枠板部301bと所定の間隔をあけて配置されている。他方の第一壁部304は、底部300の第二起立部300eと一体的に形成されている。本実施形態では、一方の第一壁部304と枠部301の第二枠板部301bとの間隔は、二つの第一壁部304,304の間隔と同一に設定されている。
【0069】
なお、底部300と枠部301との間隔と、複数の第一壁部304,…の間隔との関係で、二つの第一壁部304,304のそれぞれのY方向の長さが異なっている。しかしながら、第一壁部304,…が複数配置される場合、第一壁部304,…の数、底部300と枠部301との間隔、複数の第一壁部304,…の間隔との関係を考慮し、複数の第一壁部304,…のそれぞれにおけるZ方向の長さが均一にされてもよい。
【0070】
X方向の最も一方側に配置された第一柱部302及び第二柱部303のそれぞれが、一対の第一起立部300d,300dのそれぞれの第一端部に連結されている。これに伴い、複数の第一壁部304,…のそれぞれの第一端部は、X方向の最も一方側に配置された第一柱部302に直接接続され、複数の第一壁部304,…のそれぞれの第二端部は、X方向の最も一方側に配置された第二柱部303に直接接続されている。これにより、複数の第一壁部304,…のそれぞれは、X方向の最も外側にある一方の単電池3,…と対向した状態で固定されている。
【0071】
ここで、複数の第一壁部304,…の厚みは、底部300から枠部301に向かうにつれて薄くなっている。そのため、複数の第一壁部304,…の内面とX方向の最も端にある単電池2の側面(ケース20の第一平板部200)との距離は、底部300から枠部301に向かうにつれて大きくなっている。すなわち、複数の第一壁部304,…の内面は、底部300から枠部301に向かうにつれて次第に単電池2の側面から離間する傾斜状となっている。複数の第一壁部304,…をこのように形成することで、X方向の最も端にある単電池2をホルダー本体30内に挿入する際、挿入がしやすくなり、また、X方向の最も端にある単電池2を冷却して加温された気体が上部に逃げやすくなっている。
【0072】
なお、複数の第一壁部304,…のそれぞれは、内面にリブ308を有している。それぞれのリブ308は、Z方向に沿って形成され、且つ、Z方向の同一線上に形成されている。より具体的に説明すると、それぞれのリブ308は、第一壁部304の上縁から下縁にかけてZ方向に沿って形成され、且つ、Z方向の同一線上に並ぶように形成されている。そのため、それぞれのリブ308は、Z方向に長尺な一本のリブが第一通気用開放部305によって分断された形態となっている。Z方向に長尺な一本のリブは、本実施形態では、複数の第一壁部304,…のそれぞれY方向の第一端部と第二端部の左右二箇所に形成されている(図5Bでは、左側のみ現れている)。そして、それぞれのリブ308は、X方向の最も端にある単電池2の側面と平行に当接し、該単電池2のX方向における移動を規制している。
【0073】
第一通気用開放部305は、X方向で開放するとともにY方向に開放している。より具体的に説明すると、第一通気用開放部305は、第一壁部304に沿って形成される第一壁部304の非形成領域である空間で構成される。第一通気用開放部305のZ方向のサイズは、Y方向の全長に亘って均一に設定されている。複数の第一壁部304,…がZ方向に間隔をあけて配置されるのに伴い、第一通気用開放部305は、Z方向で間隔をあけて複数箇所に形成される。本実施形態では、二つの第一壁部304,304がZ方向に間隔をあけて配置される。これに伴い、第一通気用開放部305は、Z方向で隣り合う枠部301の第二枠板部301bと一方の第一壁部304との間及びZ方向で隣り合う二つの第一壁部304,304間に形成される。そして、上述のように、一方の第一壁部304と枠部301との間隔が二つの第一壁部304,304の間隔と同一に設定されることにより、二つの第一通気用開放部305,305のそれぞれのZ方向のサイズは同一になっている。
【0074】
第一通気用開放部305によって形成される通気路(後述する第一モジュール間通気路)R1(図7及び図8参照)のY方向から見た断面積(気体が流通する全領域の面積)、より詳しくは、ホルダー本体30を外部からY方向に見た場合の第一モジュール間通気路R1の断面積がそれぞれの電池間通気路RのY方向から見た断面積と同一又は略同一になるように、第一通気用開放部305のX方向のサイズ及びZ方向のサイズが設定されている。本実施形態では、二箇所に第一通気用開放部305,305が形成されている。そのため、二箇所の第一通気用開放部305,305のそれぞれによって形成される第一モジュール間通気路R1,R1の断面積の合計がそれぞれの電池間通気路Rの断面積と同一又は略同一になるように、二つの第一通気用開放部305,305のそれぞれのサイズが設定されている。
【0075】
第二壁部306は、他方の第二枠板部301bと他方の第二縁部E2との間に配置されている。より具体的に説明すると、第二壁部306は、Y方向に第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有する。第二壁部306は、Y方向に長手をなす帯板状に形成される。第二壁部306は、複数(本実施形態では二つ)設けられている。複数の第二壁部306,…は、底部300と枠部301との間でZ方向に所定の間隔をあけて配置されている。本実施形態では、一方の第二壁部306が枠部301の第二枠板部301bと一体的に形成されている。他方の第二壁部306は、底部300の第二起立部300eと間隔をあけて配置されている。本実施形態では、他方の第二壁部306と底部300の第二起立部300eとの間隔は、二つの第二壁部306,306の間隔と同一に設定されている。
【0076】
なお、底部300と枠部301との間隔と、複数の第二壁部306,…の間隔との関係で、二つの第二壁部306,306のそれぞれのY方向の長さが異なっている。しかしながら、第二壁部306,…が複数配置される場合、第二壁部306,…の数、底部300と枠部301との間隔、複数の第二壁部306,…の間隔との関係を考慮し、複数の第二壁部306,…のそれぞれのZ方向の長さが均一にされてもよい。
【0077】
X方向の最も他方側に配置された第一柱部302及び第二柱部303のそれぞれが、一対の第一起立部300d,300dのそれぞれの第二端部に連結されている。これに伴い、複数の第二壁部306,…のそれぞれの第一端部は、X方向の最も一方側に配置された第一柱部302に直接接続され、複数の第二壁部306,…のそれぞれの第二端部は、X方向の最も一方側に配置された第二柱部303に直接接続されている。これにより、複数の第二壁部306,…のそれぞれは、X方向の最も外側にある他方の単電池3,…と対向した状態で固定されている。
【0078】
ここで、複数の第二壁部306,…の厚みは、底部300から枠部301に向かうにつれて薄くなっている。そのため、複数の第二壁部306,…の内面とX方向の最も端にある単電池2の側面(ケース20の第一平板部200)との距離は、底部300から枠部301に向かうにつれて大きくなっている。すなわち、複数の第二壁部306,…の内面は、底部300から枠部301に向かうにつれて次第に単電池2の側面から離間する傾斜状となっている。複数の第二壁部306,…をこのように形成することで、X方向の最も端にある単電池2をホルダー本体30内に挿入する際、挿入がしやすくなり、また、X方向の最も端にある単電池2を冷却して加温された気体が上部に逃げやすくなっている。
【0079】
なお、複数の第二壁部306,…のそれぞれは、内面にリブ309を有している。それぞれのリブ309は、Z方向に沿って形成され、且つ、Z方向の同一線上に形成されている。より具体的に説明すると、それぞれのリブ309は、第二壁部306の上縁から下縁にかけてZ方向に沿って形成され、且つ、Z方向の同一線上に並ぶように形成されている。そのため、それぞれのリブ309は、Z方向に長尺な一本のリブが第二通気用開放部307によって分断された形態となっている。Z方向に長尺な一本のリブは、本実施形態では、複数の第二壁部306,…のそれぞれY方向の第一端部と第二端部の左右二箇所に形成されている(図5Aでは、左側のみ現れている)。そして、それぞれのリブ309は、X方向の最も端にある単電池2の側面と平行に当接し、該単電池2のX方向における移動を規制している。
【0080】
第二通気用開放部307は、X方向で開放するとともにY方向に開放している。より具体的に説明すると、第二通気用開放部307は、第二壁部306に沿って形成される第二壁部306の非形成領域である空間で構成される。第二通気用開放部307のZ方向のサイズは、Y方向の全長に亘って均一に設定されている。複数の第二壁部306,…がZ方向に間隔をあけて配置されるのに伴い、第二通気用開放部307は、Z方向に間隔をあけて複数箇所に形成される。本実施形態では、二つの第二壁部306,306がZ方向に間隔をあけて配置される。これに伴い、第二通気用開放部307は、Z方向で隣り合う二つの第二壁部306,306の間及び他方の第二壁部306と底部300の第二起立部300eとの間に形成される。そして、上述のように、他方の第二壁部306と底部300の第二起立部300eとの間隔が二つの第二壁部306,306の間隔と同一に設定されることにより、二つの第二通気用開放部307,307のそれぞれのZ方向のサイズは同一になっている。
【0081】
第二通気用開放部307によって形成される通気路(後述する第二モジュール間通気路)R2(図7及び図8参照)のY方向から見た断面積(気体が流通する全領域の面積)、より詳しくは、ホルダー本体30を外部からY方向に見た場合の第二モジュール間通気路R2の断面積が第一通気用開放部305によって形成される第一モジュール間通気路R1(図7及び図8参照)のY方向から見た断面積(気体が流通する全領域の面積)と同一又は略同一になるように、第二通気用開放部307のX方向のサイズ及びZ方向のサイズが設定されている。
【0082】
本実施形態では、上述のように、第一モジュール間通気路R1(図7及び図8参照)の断面積がそれぞれの電池間通気路Rの断面積と同一又は略同一になるように、第一通気用開放部305のX方向のサイズ及びZ方向のサイズが設定されている。従って、本実施形態では、第二モジュール間通気路R2(図7及び図8参照)の断面積についても、それぞれの電池間通気路RのY方向から見た断面積と同一又は略同一になるように、第二通気用開放部307のX方向のサイズ及びZ方向のサイズが設定されている。本実施形態では、二箇所に第二通気用開放部307,307が形成されている。そのため、二箇所の第二通気用開放部307,307のそれぞれによって形成される第二モジュール間通気路R2,R2の断面積の合計がそれぞれの電池間通気路Rの断面積と同一又は略同一になるように、二つの第二通気用開放部307,307のそれぞれのサイズが設定されている。
【0083】
そして、第一壁部304,…、第一通気用開放部305,…、第二壁部306,…及び第二通気用開放部307が上記のように配置されることで、本実施形態では、第一壁部304,…及び第二壁部306,…は、Z方向で相対的に位置ずれして配置された状態になっている。
【0084】
これにより、Z方向において、第一通気用開放部305の配置が第二壁部306の配置に対応するとともに、第二通気用開放部307の配置が第一壁部304の配置に対応している。すなわち、構成の共通する二つ以上の電池モジュール1がX方向に整列されたときに、隣り合う電池モジュール1,1の第一通気用開放部305と第二壁部306とがX方向で重なるとともに、隣り合う電池モジュール1,1の第二通気用開放部307と第一壁部304とがX方向で重なるようになっている。
【0085】
ホールド部材31は、図6に示すように、枠部301内に嵌め込み可能な外枠部310と、外枠部310内に架設された梁部311とを備える。外枠部310は、ホルダー本体30の底部300上に配置された複数の単電池2,…のうちのX方向の最も外側にある二つの単電池2,2のうちの一方の単電池2の一方の外部端子(正極端子)21と、他方の単電池2の他方の外部端子(負極端子)21とを避けた状態で、複数の単電池2,…の全ての外部端子21,…を取り囲むように形成されている。すなわち、外枠部310は、電池モジュール1の外部出力用の端子となる正極端子21及び負極端子21のみを外部に露出可能に形成されている。外枠部310の外周には、ホルダー本体30の枠部301に設けられた係合穴301cと係合可能な係合突起312が設けられている。係合突起312は、係合穴の配置に対応して複数設けられている。これにより、ホールド部材31は、外枠部310を枠部301に嵌め合わせた状態で、複数の係合突起312,…のそれぞれと複数の係合穴のそれぞれとが係合し、ホルダー本体30と連結されるようになっている。
【0086】
梁部311は、X方向に長手をなし、X方向の第一端部及び第一端部の反対側の第二端部を有する。ホールド部材31は、複数の梁部311,311を備えている。複数の梁部311,311は、Y方向に間隔をあけて配置されている。梁部311,311は、二つ設けられており、外枠部310内でY方向に間隔をあけて配置されている。二つの梁部311,311のそれぞれの第一端部及び第二端部は、外枠部310に接続されている。これにより、外枠部310の包囲する領域は、二つの梁部311,311によってY方向に三つの領域S1,S2,S3に区切られている。なお、複数の梁部311,311同士や、梁部311のX方向の途中部分と外枠部310とが適宜連結され、ホールド部材31全体の強度が高められている。
【0087】
ホールド部材31は、外枠部310が枠部301に嵌め合わされた状態で、Y方向の一方側でX方向に整列する複数の外部端子21,…がY方向の一方側の領域S1内に配置され、Y方向の他方側でX方向に整列する複数の外部端子21,…がY方向の他方側の領域S3内に配置されるように構成されている。
【0088】
ホールド部材31は、ホルダー本体30の枠部301に連結された状態で、梁部311,…が底部300に載置された複数の単電池2,…の一方の第三平板部202上に配置されるように構成されている。
【0089】
図2に戻り、バスバー4は、金属製のプレートで構成され、隣り合う単電池2,2の正極端子21と負極端子21とを電気的に接続する。カバー5は、ホールド部材31の外枠部310によって包囲される領域の略全域を被覆可能に形成されている。すなわち、カバー5は、ホールド部材31の外枠部310の包囲する領域内に露呈する単電池2の外部端子21及びバスバー4を全体的に被覆可能に構成されている。カバー5は、外枠部310によって包囲される領域の略全域を被覆した状態で、ホルダー本体31の外枠部310に連結可能に構成されている。
【0090】
本実施形態に係る電池モジュール1は、以上の通りである。続いて、上記構成の電池モジュール1の作用及び効果について説明する。
【0091】
ホルダー本体30の底部300上に複数の単電池2,…が配置されることで、枠部301、複数の第一柱部302,…、複数の第二柱部303,…、複数の第一壁部304,…及び複数の第二壁部306,…が複数の単電池2,…を一括して取り囲んだ状態になる。これにより、複数の単電池2,…のX方向及びY方向への移動が規制された状態になり、複数の単電池2,…は、X方向に所定の間隔をあけて整列した状態で維持される。
【0092】
また、ホルダー本体30にホールド部材31を連結すると、ホールド部材31が底部300に載置された複数の単電池2,…上に配置される。これにより、複数の単電池2,…は、X方向及びY方向に加え、Z方向の移動も規制される。
【0093】
従って、振動の発生する機器に電力源として採用されても、複数の単電池2,…を電池間通気路Rの形成した適正な配置で確実に保持することができる。
【0094】
そして、外部出力用の外部端子21,21に電気的な負荷が接続される。なお、電池モジュール1は、冷却用の送風機を備えたパッケージングケース(図示しない)に収容される。パッケージングケースは、収容した電池モジュール1のY方向における両側に配置された一対の通風路A1,A2(図4参照)を備えている。一方の通風路A1は、送風機に気体的に接続され、他方の通風路A2は、排気口に接続される。これにより、一方の通風路A1に供給された気体が電池モジュール1の配置される領域を介して他方の通風路A2に流れ込んで排気口から排気される。
【0095】
これを前提に、図4に示すように、一方の通風路A1からの気体が電池間通気路Rのそれぞれに流れ込み、また、電池間通気路Rに流れ込んだ気体が他方の通風路A2に排気されることで、複数の電池間通気路Rのそれぞれを流通する気体によって、複数の単電池2,…のそれぞれが冷却される。これにより、充放電に伴う複数の単電池2,…の充放電に伴う温度上昇が抑制される。本実施形態では、単電池2,…のケース20の外面を構成する平板部200,201,203のうちの最も面積の広い第一平板部200,200の間に電池間通気路Rが形成されている。そのため、電池間通気路Rを流通する気体とケース20との接触面積が広くなる結果、良好な冷却、すなわち、温度上昇の抑制、が可能となる。
【0096】
そして、電池モジュール1が機器の電力源として複数搭載される場合、図7に示すように、複数の電池モジュール1…は、それぞれの単電池2,…がX方向で一列に並ぶように、X方向に整列して配置される。なお、この場合においても、一列に配置された複数の電池モジュール1,…のY方向の両側には、一対の通風路A1,A2が配置される。
【0097】
そして、上述のように、複数の電池モジュール1…がX方向に整列して配置されるにあたり、隣り合う二つ電池モジュール1,1の一方の電池モジュール1の第一壁部304及び第一通気用開放部305に対し、他方の電池モジュール1の第二壁部306及び第二通気用開放部307が向き合うように配置される。
【0098】
上述のように、複数の電池モジュール1,…のそれぞれにおいて、第一壁部304及び第二壁部306がZ方向で相対的に位置ずれして配置されている。そして、第一通気用開放部305の配置が第二壁部306の配置に対応するとともに、第二通気用開放部307が第一壁部304の配置に対応している。
【0099】
そのため、図8に示すように、隣り合う二つの電池モジュール1,1の一方の電池モジュール1の第一壁部304に、他方の電池モジュール1の第二通気用開放部307が重なるとともに、他方の電池モジュール1の第二壁部306に、一方の電池モジュール1の第一通気用開放部305が重なった状態になる。
【0100】
これにより、一方の電池モジュール1における第一通気用開放部305の外側に向けて開放する部位が他方の電池モジュール1における第二壁部306に閉塞される。また、他方の電池モジュール1における第二通気用開放部307の外側に向けて開放する部位が一方の電池モジュール1における第一壁部304に閉塞される。
【0101】
この状態で、一方の電池モジュール1における第一通気用開放部305は、X方向で一方の電池モジュール1における単電池2側のみが開放し、Y方向において両側で開放した第一モジュール間通気路R1となる。これにより、図9に示すように、第一モジュール間通気路R1は、一方の電池モジュール1の単電池間通気路Rと同様に、一方の電池モジュール1におけるX方向の最も一方側にある単電池2の第一平板部200に気体を接触させつつ、気体をY方向に流通させ得るように形成される。本実施形態では、上述のように、第一通気用開放部305は、二箇所に形成されるため、第一モジュール間通気路R1もZ方向に間隔をあけて二箇所に形成される。
【0102】
他方の電池モジュール1における第二通気用開放部307は、X方向で他方の電池モジュール1における単電池2側のみが開放し、Y方向において両側で開放した第二モジュール間通気路R2となる。これにより、図10に示すように、他方の電池モジュール1における第二モジュール間通気路R2は、他方の電池モジュール1の単電池間通気路Rと同様に、他方の電池モジュール1におけるX方向の最も他方側にある単電池2の第一平板部200に気体を接触させつつ、気体をY方向に流通させ得るように形成される。本実施形態では、上述のように、第二通気用開放部307は、二箇所に形成されるため、第二モジュール間通気路R2もZ方向に間隔をあけて二箇所に形成される。
【0103】
従って、第一モジュール間通気路R1を流通する気体は、一方の電池モジュール1におけるX方向の最も一方側の単電池2のみを冷却する。特に、第一モジュール間通気路R1が複数個所に形成されることで、単電池2のケース20(の第一平板部200)の全域が効率的に冷却される。また、第二モジュール間通気路R2を流通する気体は、他方の電池モジュール1におけるX方向の最も他方側の単電池2のみを冷却する。特に、第二モジュール間通気路R2が複数個所に形成されることで、単電池2のケース20(の第一平板部200)の全域が効率的に冷却される。
【0104】
このように、複数の電池モジュール1,…が機器の電力源として搭載される場合、隣り合う電池モジュール1,1の単電池2,…のそれぞれを冷却可能な状態で気体を円滑に流通させることができる。また、隣り合う電池モジュール1,1のそれぞれに形成された第一通気用開放部305と第二通気用開放部307とが重なり合うことがないため、必要以上のサイズに通気路が形成されない。
【0105】
従って、隣り合う電池モジュール1,1の単電池2,2であって、互いに向き合う単電池2,2のそれぞれを必要以上に冷却することが防止される。これにより、X方向の両端にある二つの単電池2,2と、該二つの単電池2,2の間にある単電池2,…との間で冷却状態に相違が生じることがない。すなわち、電池モジュール1における複数の単電池2,…のそれぞれがバランスよく冷却される。
【0106】
従って、複数の単電池2,…のそれぞれの寿命の均一化が図られ、安定した電力供給が可能となる。すなわち、複数の電池モジュール1を整列して配置したときに、それぞれの電池モジュール1における複数の単電池2,…を全体的にバランスよく冷却することができるといった優れた効果を奏し得る。
【0107】
また、上述のように、第一モジュール間通気路R1のY方向から見た断面積と第二モジュール間通気路R2のY方向から見た断面積とが同一又は略同一になるように、第一通気用開放部305及び第二通気用開放部307のそれぞれにおけるX方向及びZ方向のサイズが設定されている。これにより、第一モジュール間通気路R1を流通する気体の流量と、第二モジュール間通気路R2を流通する気体の流量とを均一又は略均一にすることができる。これにより、隣り合う電池モジュール1,1の単電池2,…であって、互いに隣り合う単電池2,2を同等又は略同等の条件で冷却できる。従って、複数の電池モジュール1,1のそれぞれにおける複数の単電池2,…を等しい条件で冷却することができ、安定した電力供給が可能となる。
【0108】
特に、第一モジュール間通気路R1や第二モジュール間通気路R2のY方向から見た断面積がそれぞれの電池間通気路RのY方向から見た断面積と同一又は略同一になるように、第一通気用開放部305及び第二通気用開放部307のそれぞれにおけるX方向及びZ方向のサイズが設定されている。これにより、第一モジュール間通気路R1、第二モジュール間通気路R2及び電池間通気路R,…を流通する気体の流量が等しく又は略等しくなる。従って、電池モジュール1における複数の単電池2,…の全てを同じ又は略同じ条件で冷却することができる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは勿論である。
【0110】
上記実施形態において、第一壁部304、第一通気用開放部305、第二壁部306及び第二通気用開放部307のそれぞれが複数設けられたが、これに限定されるものではない。例えば、第一壁部304、第一通気用開放部305、第二壁部306及び第二通気用開放部307のそれぞれが一つずつ設けられてもよい。また、第一壁部304、第一通気用開放部305、第二壁部306及び第二通気用開放部307のそれぞれが三つ以上設けられてもよい。これらの場合においても、第一壁部304と第二壁部306とがZ方向で位置ずれした状態にされ、第一壁部304の配置と第二通気用開放部307の配置が対応し、第二壁部306の配置と第一通気用開放部305の配置が対応することが好ましい。
【0111】
上記実施形態において、第一壁部304の数と第二壁部306の数とが同数に設定されたが、これに限定されるものではない。第一壁部304と第二通気用開放部307の数及び配置が対応するとともに、第二壁部306と第一通気用開放部305の数及び配置が対応すれば、第一壁部304の数と第二壁部306の数とが異なってもよい。例えば、第一壁部304の両側に二つの第一通気用開放部305,305が形成される場合、第二通気用開放部307の両側に二つの第二壁部306,306が配置されればよい。このようにしても、第一通気用開放部305,305と第二壁部306,306とが対応した配置にされるとともに、第一壁部304と第二通気用開放部307とが対応した配置にされることで、二つの第一通気用開放部305,305のそれぞれの第一方向で外側に向けて開放した部分が二つの第二壁部306,306のそれぞれによって閉塞され、第一モジュール間通気路R1が形成される。また、第二通気用開放部307の第一方向で外側に向けて開放した部分が第一壁部304によって閉塞され、第二モジュール間通気路R2が形成される。
【0112】
上記実施形態において、ホルダー本体30の底部300が底部本体300aと底枠部300bとを備えたが、これに限定されるものではない。例えば、底部300は、複数の単電池2,…を載置可能な底部本体300aのみで構成されてもよい。また、上記実施形態において、底部300に、隣り合う単電池2,2の間隔を保つための複数のスペーサ300c,…が設けられたが、これに限定されるものではない。例えば、複数の第一柱部302,…のそれぞれと、複数の第二柱部303,…のそれぞれとが対応した配置にされ、隣り合う単電池2,2の間に配置されるスペーサが互いに対応する第一柱部302と第二柱部303とに架設されてもよい。この場合、スペーサは電池間通気路Rの形成を阻害しないように配置されることは言うまでもない。
【0113】
上記実施形態において、底部300と枠部301とを接続する柱部302及び柱部303は、それぞれ複数設けられたが、これに限定されるものではない。柱部302及び柱部303のそれぞれは、底部300と枠部301とを接続することができれば、少なくとも一つ設けられればよい。従って、第一柱部302及び第二柱部303は、少なくとも一つずつ設けられればよい。これらの場合においても、柱部302,303は、電池間通気路Rと非対向状態で配置されることは言うまでもない。また、上記実施形態において、第一柱部302と第二柱部303とが設けられたが、両方が設けられる必要はない。
【0114】
上記実施形態において、同じ形態の電池モジュール1を一列に配置することを前提に、第一壁部304と第二壁部306とがZ方向で相対的に位置ずれした状態に配置され、一方の電池モジュール1の第一壁部304と他方の電池モジュール1の第二通気用開放部307とが重なるとともに、一方の電池モジュール1の第一通気用開放部305と他方の電池モジュール1の第二壁部307とが重なるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、二種類の電池モジュール1,1を交互に配置することを前提に、第一壁部304と第二壁部306とがZ方向で同レベルに配置されるようにしてもよい。この場合、一方の電池モジュール1の第一壁部304及び第二壁部305に対し、隣り合う他方の電池モジュール1の第一壁部304及び第二壁部305を第三方向でずれた配置にすることで、一方の電池モジュール1の第一壁部304と他方の電池モジュール1の第二通気用開放部307とが重なるとともに、一方の電池モジュール1の第一通気用開放部305と他方の電池モジュール1の第二壁部307とが重なるようにできる。
【0115】
上記実施形態において、隣り合う電池モジュール1,1の一方の電池モジュール1の第一壁部304が他方の電池モジュール1の第二通気用開放部307全体に重なるとともに、隣り合う電池モジュール1,1の一方の電池モジュール1の第一通気用開放部305全体に他方の電池モジュール1の第二壁部306が重なるように構成されたが、これに限定されるものではない。例えば、一方の電池モジュール1の第一壁部304の少なくとも一部が他方の電池モジュール1の第二通気用開放部307に重なるとともに、一方の電池モジュール1の第一通気用開放部305に他方の電池モジュール1の第二壁部306の一部が重なるように構成されてもよい。このようにしても、第一通気用開放部304及び第二通気用開放部306のそれぞれにおいて、気体をY方向に円滑に流通させることができ、第一方向における最も端にある単電池2,2を冷却することができる。
【0116】
上記実施形態において、同じ形態の電池モジュール1がX方向に整列されることを前提にしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一つの電池モジュール1を対象とする場合、第一壁部304と第二壁部306との相対的な配置は適宜変更可能である。第一壁部304の配置に第二壁部306の配置が対応しなくても、第一通気用開放部305及び第二通気用開放部307のそれぞれが気体をY方向に流通させる通気路として機能し、X方向の最も端にある単電池2を適正に冷却することができる。
【0117】
上記実施形態において、第一壁部304と第一通気用開放部305とが第三方向に並ぶように配置されるとともに、第二壁部306と第二通気用開放部307とが第三方向に並ぶように配置されたが、これに限定されるものではない。例えば、X方向の最も端にある二つの単電池2,2のうちの一方がバスバー4の接続で十分な放熱効果が得られる場合、第一壁部304又は第二壁部306のうちの何れか一方を設けるとともに、第一壁部304又は第二壁部306のうちの何れか一方と第三方向で隣り合う第一通気用開放部305又は第二通気用開放部306を設ければよい。
【0118】
上記実施形態において、第一モジュール間通気路R1や第二モジュール間通気路R2のY方向から見た断面積とそれぞれの電池間通気路Rの第二方向から見た断面積とが同一又は略同一に設定されているが、これに限定されるものではない。例えば、X方向の中央にある電池通気路RのY方向から見た断面積が、他の電池通気路RのY方向から見た断面積や、第一モジュール間通気路R1や第二モジュール間通気路R2のY方向から見た断面積よりも大きいなるよう、X方向の中央にある単電池2,2がその間の間隔を広げて配置されるようにしてもよい。かかる構成によれば、蓄電装置における複数の単電池2,…のうち、発熱度合いが高い、X方向の中央にある単電池2,2を効果的に冷却することができる。なお、この対策を講じる、X方向の中央にある電池通気路Rは、一つに限定されるものではなく、X方向の中央にあるいくつかの電気通気路R,…であっても勿論構わない。
【0119】
また、それぞれの電池通気路RのY方向から見た断面積が第一モジュール間通気路R1や第二モジュール間通気路R2のY方向から見た断面積よりも小さくなるよう、それぞれの単電池2がより接近して配置されるようにしてもよい。かかる構成によれば、それぞれの電池間通気路Rを流通する気体の流量が第一モジュール間通気路R1や第二モジュール間通気路R2を流通する気体の流量よりも少なくなるものの、単電池2,2間に異物が混入して単電池2,2間が短絡するのを防止することができる。
【0120】
上記実施形態において、リチウムイオン二次電池について説明した。しかしながら、電池の種類や大きさ(容量)は任意である。
【0121】
本発明は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
1…電池モジュール、2…単電池、3…ホルダー、4…バスバー、5…カバー、20…ケース、21…正極端子(外部端子)、21…負極端子(外部端子)、30…ホルダー本体、31…ホールド部材、40…第一挿通穴、41…第二挿通穴、200…第一平板部、201…第二平板部、202…第三平板部、300…底部、300a…底部本体、300b…底枠部、300c…スペーサ、300d…第一起立部、300e…第二起立部、301…枠部、301a…第一枠板部、301b…第二枠板部、301c…係合穴、302…第一柱部、303…第二柱部、304…第一壁部(壁部)、305…第一通気用開放部(通気用開放部)、306…第二壁部(壁部)、307…第二通気用開放部(通気用開放部)、310…外枠部、311…梁部、312…係合突起、E1…第一縁部、E2…第二縁部、G…気体、R…単電池間通気路(通気路)、R1…第一モジュール間通気路、R2…第二モジュール間通気路、VS1…仮想面、VS2…仮想面、S1,S2,S3…領域、A1,A2…通風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に接続された複数の蓄電素子と、
該複数の蓄電素子を保持するホルダーとを備え、
前記複数の蓄電素子は、第一方向に整列されるとともに、隣の蓄電素子と前記第一方向に所定の間隔をあけた状態で配置され、隣り合う蓄電素子間に前記第一方向と直交する第二方向に貫通した蓄電素子間通気路を形成し、
前記ホルダーは、前記複数の蓄電素子を収容可能なホルダー本体を備え、
該ホルダー本体は、
前記第二方向に延びる少なくとも一つの壁部であって、前記複数の蓄電素子のうちの前記第一方向の最も端にある蓄電素子に外側から対向する少なくとも一つの壁部と、
前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向で前記壁部と並んで形成される通気用開放部であって、前記第一方向及び前記第二方向に開放した通気用開放部とを備える
蓄電装置。
【請求項2】
二つのホルダー本体を前記第一方向に並べて配置した状態で、一方のホルダー本体の前記壁部及び前記通気用開放部が他方のホルダー本体の壁部及び通気用開放部と向き合うようになっている
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記一方のホルダー本体の前記壁部の少なくとも一部が前記他方のホルダー本体の前記通気用開放部と対向し、前記一方のホルダー本体の前記通気用開放部が前記他方のホルダー本体の前記壁部の少なくとも一部と対向する
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記一方のホルダー本体の前記壁部が前記他方のホルダー本体の前記通気用開放部と対向し、前記一方のホルダー本体の前記通気用開放部が前記他方のホルダー本体の前記壁部と対向する
請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記壁部は、前記第三方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記通気用開放部は、それぞれが前記複数の壁部のそれぞれと前記第三方向に並ぶように複数設けられ、
前記一方のホルダー本体の前記複数の壁部のそれぞれが前記他方のホルダー本体の複数の通気用開放部のそれぞれと対向し、前記一方のホルダー本体の前記複数の通気用開放部のそれぞれが前記他方のホルダー本体の複数の壁部のそれぞれと対向する
請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記壁部及び前記通気用開放部は、前記複数の蓄電素子の前記第一方向の両側のそれぞれに設けられ、
前記複数の蓄電素子のうちの前記第一方向の両端にある二つの蓄電素子のうちの一方の蓄電素子と対向する前記壁部及び前記通気用開放部と、前記二つの蓄電素子のうちの他方の蓄電素子と対向する前記壁部及び前記通気用開放部とは、前記第三方向で相対的に位置ずれして形成され、
前記一方の蓄電素子と対向する前記壁部の少なくとも一部が前記他方の蓄電素子と対向する前記通気用開放部と対応した位置に形成され、前記一方の蓄電素子と対向する前記通気用開放部が前記他方の蓄電素子と対向する前記壁部の少なくとも一部と対応した位置に形成される
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記一方のホルダー本体の前記通気用開放部によって形成される通気路の前記第二方向から見た断面積と、前記他方のホルダー本体の前記通気用開放部によって形成される通気路の前記第二方向から見た断面積とが同一又は略同一である
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記通気用開放部によって形成される通気路の前記第二方向から見た断面積と、前記蓄電素子間通気路の前記第二方向から見た断面積とが同一又は略同一である
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記複数の蓄電素子のうちの前記第一方向の中央にある前記蓄電素子間通気路の第二方向から見た断面積が前記通気用開放部によって形成される通気路の前記第二方向から見た断面積よりも大きい
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記蓄電素子間通気路の前記第二方向から見た断面積が前記通気用開放部によって形成される通気路の前記第二方向から見た断面積よりも小さい
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項11】
前記ホルダーは、前記ホルダー本体に収容された前記複数の蓄電素子上に配置されるホールド部材をさらに備える
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−84580(P2013−84580A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194035(P2012−194035)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【Fターム(参考)】