走査光学装置及び画像形成装置
【課題】 レーザプリンタのスキャナユニットを容易に交換又は修理可能とする。
【解決手段】 感光ドラム上を走査される光束に関する特性(以下、光束特性という。)を、スキャナユニットに搭載されたROM443に記憶する。これにより、光束特性を計測する専用の計測器がなくても、サービスマンは勿論のことエンドユーザであっても、容易にスキャナユニット400を交換又は修理することができる。つまり、サービスマン又はエンドユーザは、レーザプリンタ100を特定サービスセンタに送ることなく、容易にレーザプリンタ100を修理することができる。
【解決手段】 感光ドラム上を走査される光束に関する特性(以下、光束特性という。)を、スキャナユニットに搭載されたROM443に記憶する。これにより、光束特性を計測する専用の計測器がなくても、サービスマンは勿論のことエンドユーザであっても、容易にスキャナユニット400を交換又は修理することができる。つまり、サービスマン又はエンドユーザは、レーザプリンタ100を特定サービスセンタに送ることなく、容易にレーザプリンタ100を修理することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を走査させる走査光学装置、及びこの走査光学装置を用いた電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、走査光学装置(スキャナ装置)から出射される光束により感光ドラムを露光して感光ドラムに現像剤を担持させるとともに、この感光ドラムに担持された現像剤像を記録用紙やOHPシート等の記録媒体に転写することにより記録媒体に画像を形成する。
【0003】
そして、カラーレーザプリンタでは、各色に対応した複数個の感光ドラムそれぞれが、スキャナ装置にて露光されて静電潜像が形成された後、現像剤が各静電潜像に供給されて各感光ドラム毎に現像剤像が形成され、その後、各現像剤像が重ね合わせられてカラー画像が形成されていく(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−178372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の説明からも明らかなように、スキャナ装置にて感光ドラムを露光する際に、正確な静電潜像を形成することができないと、記録媒体に形成された画像に色ずれ等が発生してしまう。
【0005】
また、スキャナ装置は、半導体レーザ等の光源から出射された光束を、ポリゴンミラー等の偏向器、及びfθレンズや反射鏡等の走査光学系を介して感光ドラムに導くので、感光ドラム上を走査される光束は、偏向器や走査光学系の寸法公差及び組み付け位置や調整の公差の影響を強く受けてしまう。
【0006】
そこで、通常、感光ドラム上を走査される光束に関する特性(走査線の走査直線性や走査線の軌跡等)を専用の計測器にて計測し、その計測結果に基づいて光源の発光タイミング等を調整することにより、偏向器や走査光学系の寸法バラツキ及び組み付け位置バラツキの影響を吸収している。
【0007】
しかし、上記の手段では、スキャナ装置をプリンタに組み付けた後、感光ドラム上を走査される光束に関する特性(以下、光束特性という。)の計測結果に基づいて光源の発光タイミング等を調整する必要があるので、スキャナ装置を容易に交換又は修理することはできない。
【0008】
つまり、光束特性を計測するための計測器が備えられているサービスセンタ(以下、このサービスセンサを特定サービスセンタという。)でなければ、スキャナ装置を交換又は修理することができないので、例えば、既にエンドユーザに納品されたレーザプリンタのスキャナ装置を交換又は修理する際には、プリンタを特定サービスセンタに送る必要があり、エンドユーザは、迅速なメインテナンスサービスの提供を受けることが難しい。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、スキャナユニット等の画像形成装置に適用される走査光学装置を容易に交換又は修理可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、複数個の感光ドラムを有し、複数個の感光ドラムそれぞれに形成された現像剤像を重ね合わせることによりカラー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に適用され、感光ドラムを露光して静電潜像を感光ドラムに形成する走査光学装置であって、複数個の光源と、光源から出射された光束を偏向走査する偏向器と、偏向器にて偏向走査された各光束それぞれを、対応する感光ドラムに導く走査光学系と、少なくとも偏向器及び走査光学系が組み付けられた筐体と、感光ドラム上を走査される光束に関する特性が記憶された記憶装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項1に記載の発明では、光束特性が記憶装置に記憶されているので、光束特性を計測する専用の計測器がなくても、サービスマンは勿論のことエンドユーザであっても、容易に走査光学装置を交換又は修理することができる。つまり、サービスマン又はエンドユーザは、画像形成装置を特定サービスセンタに送ることなく、容易に画像形成装置を修理することができる。
【0012】
なお、走査光学装置に光束特性が記憶されているので、メーカにおいては、走査光学装置の組み立て専用ライン(工場)で光束特性が計測された場合であっても、画像形成装置の完成組み立てライン(工場)で、記憶装置に記憶されている光束特性を読み取ることにより、新たに光束特性を計測することなく、自動的に光源の発光タイミング等を調整することが可能となる。したがって、画像形成装置の組み立て工数を低減して生産性を向上させることができるので、画像形成装置の製造原価低減を図ることができる。
【0013】
また、記憶装置が半導体にて構成されているので、バーコード等の記憶手段にて光束特性が記憶されている場合に比べて、より多くの情報を記憶させることができるとともに、光束特性(情報)を容易に利用することができ、走査光学装置の製造及びメインテナンス性を向上させることができる。
【0014】
また、複数個の感光ドラムに光束を導くための偏向器及び走査光学系が1つの筐体に収納されているので、色毎に走査光学装置を設けた画像形成装置用の走査光学装置と異なり、記憶装置に記憶されている光束特性は、各光束間の相対的な位置ズレ特性も含まれたものとなり、実際に画像形成装置で使用される状態と同様な光束特性を記憶装置に記憶させることができる。
【0015】
以上に説明したように、請求項1に記載の走査光学装置を画像形成装置に用いれば、例えば光源の発光タイミング等をより適切に調整することができるので、形成される画像の画質を向上させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、1台の偏向器にて複数個の光源から出射された全ての光束を偏向走査することを特徴とする。
これにより、請求項2に記載の発明では、複数台の偏向器を有する場合に比べて、光束特性として記憶すべき情報量を少なくすることができる。
【0017】
ところで、偏向器として複数の反射面を有する回転多面鏡を採用し、1台の偏向器にて複数個の光源から出射された全ての光束を偏向走査する手段としては、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法と、同一の反射面で偏向走査する手法とがあるが、同一の反射面で偏向走査する手法では、光源から感光ドラムまで光路が長くならざるを得ないので、光束の走査速度を等速化する走査レンズ(例えば、fθ走査レンズ)の設計が非常に難しくなる。
【0018】
一方、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法では、走査レンズの設計が容易になるものの、異なる2つの反射面で同時に光束を偏向走査するので、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0019】
これに対して、請求項3に記載の発明では、偏向器は、複数の反射面を有し、複数本の光束を、少なくとも異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡であり、さらに、走査光学系は、少なくとも感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されていることを特徴としている。
【0020】
これにより、請求項3に記載の発明では、走査レンズの設計が容易になるものの、各感光ドラム毎の光束の特性が走査レンズの公差等で異なるので、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0021】
しかし、請求項3に記載の発明では、各感光ドラムに対応した光束特性が記憶装置に記憶されているので、走査レンズの設計が容易にしつつ、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御することができる。
【0022】
なお、請求項4に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも各感光ドラム上を走査される走査線の走査直線性を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としているので、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明では、記憶装置は、走査線の走査直線性として、複数の区間に分割された走査線の走査時間を、各区間毎に記憶していることを特徴としている。
また、請求項6に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも感光ドラム上を走査される走査線の軌跡を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0024】
請求項7に記載の発明では、記憶装置は、走査線の軌跡として、複数の区間に分割された走査線の副走査方向の位置を、各区間毎に記憶していることを特徴としている。
また、請求項8に記載の発明では、偏向器にて偏向走査された光束を検出する書出し基準位置検出センサを備え、記憶装置は、少なくとも書出し基準位置検出センサが光束を検出した時を基準とした各感光ドラム毎の露光開始タイミングを、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0025】
また、請求項9に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線のなす角に関する情報を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0026】
そして、複数本の光束を、少なくとも異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡では、光束を反射する2つの面の相対的な角度に誤差があると、露光開始位置(書き出し位置)にずれが生じるので、請求項9に記載の発明を請求項3に記載の発明に適用すると、特に有効である。
【0027】
また、請求項10に記載の発明では、偏向器にて偏向走査された光束を検出する、1個の書出し基準位置検出センサを備え、走査光学系は、少なくとも感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されており、回転多面鏡のうち書出し基準位置検出センサに向けて光束を偏向させる反射面の垂線と、回転多面鏡を挟んで書出し基準位置検出センサと反対側に光束を偏向走査する反射面の垂線とのなす角は、[360/n]×m±Δθで表され、
n:反射面の数
m:自然数
Δθ:回転多面鏡の隣り合う反射面のなす角の公差[rad]
f:走査レンズの焦点距離[mm]
r:解像度[dpi]
さらに、Δθの絶対値は、25.4/[600×f]より小さいことを特徴としている。
【0028】
また、請求項11に記載の発明では、複数台の偏向器にて複数個の光源から出射された光束を偏向走査するとともに、複数台の偏向器は、複数の反射面を有して回転する回転多面鏡であり、記憶装置は、少なくとも回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線のなす角に関する情報を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0029】
また、請求項12に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも回転多面鏡それぞれの回転誤差に関する情報を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
請求項13に記載の発明では、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の走査光学装置を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、記憶装置に記憶された光束に関する特性に基づいて画像形成手段の作動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0030】
これにより、記録媒体に形成されるカラー画像の画質を向上させることができる。
なお、請求項14に記載の発明のごとく、電源投入時に、記憶装置に記憶された光束に関する特性が読み込まれることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本実施形態は本発明に係る走査光学装置を電子写真方式のカラー画像形成装置(カラーレーザプリンタ)に適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.レーザプリンタの外観構成
図1はレーザプリンタ100の要部を示す側断面図であり、このレーザプリンタ100は、紙面上側を重力方向上方側として設置され、通常、紙面右側を前側として使用される。
【0032】
レーザプリンタ100の筐体103は略箱状(立方体状)に形成されており、この筐体103の上面側には、印刷を終えて筐体103から排出される用紙やOHPシート等の記録媒体(以下、単に用紙という。)が載置される排紙トレイ105が設けられている。
【0033】
2.レーザプリンタの内部構成
画像形成部200は用紙に画像を形成する画像形成手段であり、フィーダ部300は、搬送機構350と共に画像形成部200に用紙を供給する搬送手段の一部を構成するものであり、搬送機構350は、画像形成部200を構成する4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cに用紙を搬送する搬送手段である。
【0034】
なお、画像形成部200にて画像形成が終了した用紙は、中間搬送ローラ380及び排出シュート(図示せず。)にてその搬送方向が上方側に略180°転向された後、排出ローラ390により排出部107から排紙トレイ105に排出される。
【0035】
2.1.フィーダ部
フィーダ部300は、筐体103の最下部に収納された給紙トレイ301、給紙トレイ301の端部に対応する部位のうち用紙の搬送方向前進側上方に設けられて給紙トレイ301に載置された用紙を画像形成部200に給紙(搬送)する給紙ローラ303、及び用紙に所定の搬送抵抗を与えることにより給紙ローラ303により給紙される用紙を1枚毎に分離する分離パッド305等を有して構成されている。
【0036】
そして、給紙トレイ301に載置されている用紙は、筐体103内の前方側にてUターンするようにして、筐体103内の略中央部に配設された画像形成部200に搬送される。
【0037】
また、給紙トレイ301から画像形成部200に至る用紙の搬送経路のうち、略U字状に転向する部位には、略U字状に湾曲しながら画像形成部200に搬送される用紙に搬送力を与える搬送ローラ307が配設され、一方、用紙を挟んで搬送ローラ307と対向する部位には、用紙を搬送ローラ307側に押さえ付ける加圧ローラ309が配設されている。なお、加圧ローラ309は、コイルバネ(図示せず。)等の弾性手段にて搬送ローラ307側に押圧されている。
【0038】
そして、搬送ローラ307よりも用紙搬送方向下流側には、搬送ローラ307により搬送されてくる用紙の先端に接触することでその用紙の斜行を補正した後、その用紙をさらに画像形成部200へ向けて搬送するレジストローラ311、及びレジストローラ311と対向して配置されたレジストコロ313が設けられている。なお、レジストコロ313はコイルバネ(図示せず。)等の弾性手段にてレジストローラ311側に押圧されている。
【0039】
2.2.搬送機構
搬送機構350は、画像形成部200の作動と連動して回転する駆動ローラ351、駆動ローラ351と離隔した位置に回転可能に配設された従動ローラ353、及び駆動ローラ351及び従動ローラ353間に巻き付けられた搬送ベルト355等から構成されている。
【0040】
そして、搬送ベルト355が用紙を載せた状態で回転することにより、給紙トレイ301から搬送されてきた用紙は、レーザプリンタ100の前後方向に搬送されることにより4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cに順次搬送される。
【0041】
なお、本実施形態では、搬送機構350の下方側に搬送ベルト355の表面に付着した廃トナーを除去するベルトクリーナ360が設けられている。
2.3.画像形成部
画像形成部200は、スキャナユニット400、プロセスカートリッジ500及び定着ユニット600等を有して構成されており、本実施形態に係る画像形成部200はカラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものである。
【0042】
具体的には、用紙の搬送方向上流側からブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のトナー(現像剤)に対応した4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cが、用紙の搬送方向に沿って直列に並んで配設されている。
【0043】
なお、4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cはトナーの色が異なるのみで、その他は同一であるので、以下、4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cを総称してプロセスカートリッジ500と記す。
【0044】
2.3.1.スキャナユニット
図2はスキャナユニット400の概略構成を示す側断面図であり、図3はスキャナユニット400の概略構成を表す上面図である。
【0045】
スキャナユニット400は、後述する感光ドラム510にレーザ光を照射することにより感光ドラム510の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段であり、本実施形態では、スキャナユニット400に本発明に係る走査光学装置を採用している。
【0046】
そして、スキャナユニット400は、図1に示すように、筐体103内のうちプロセスカートリッジ500の上方側に配設されており、スキャナユニット400の下面側からレーザ光が感光ドラム510に向けて出射される。
【0047】
図3中、半導体レーザ401K、401Y、401M、401C(以下、これらを総称するときは、半導体レーザ401と記す。)はレーザ光を出射する発光手段であり、コリメートレンズ402K、402Y、402M、402C(以下、これらを総称するときは、コリメートレンズ402と記す。)は、各半導体レーザ401それぞれの正面に配設されて、各半導体レーザ401から出射された発散光をビーム状の平行光とする集光手段である。
【0048】
つまり、本実施形態では、半導体レーザ401及びコリメートレンズ402により、ビーム状の光(光束)を出射する光源403が構成されている。そこで、以下、半導体レーザ401とコリメートレンズ402とを併せて光源403と記すとともに、4つの光源403それぞれを光源403K、403Y、403M、403Cと記す。
【0049】
なお、光源403Kは、プロセスカートリッジ500Kの感光ドラム510K(図2参照)に照射される光束の光源であり、光源403Yは、プロセスカートリッジ500Yの感光ドラム510Y(図2参照)に照射される光束の光源であり、光源403Mは、プロセスカートリッジ500Mの感光ドラム510M(図2参照)に照射される光束の光源であり、光源403Cは、プロセスカートリッジ500Cの感光ドラム510C(図2参照)に照射される光束の光源である。
【0050】
また、ミラー404Kは、光源403Kから出射された光束を略90°偏向させてシリンドリカルレンズ405Aに導く反射鏡であり、ミラー404Mは、光源403Mから出射された光束を略90°偏向させてシリンドリカルレンズ405Bに導く反射鏡である。
【0051】
なお、ミラー404K、404Mに対して紙面奥側にずれた部位には、光源403Yから出射された光束をシリンドリカルレンズ405Aに導き、光源403Cから出射された光束をシリンドリカルレンズ405Bに導く導光部(図示せず。)が設けられている。
【0052】
そして、シリンドリカルレンズ405Aに導かれた光源403K及び光源403Yの光束は、シリンドリカルレンズ405Aにて副走査方向(紙面垂直方向)に屈折され、ポリゴンミラー406の反射面に互いに異なる入射角度で照射され、同様に、シリンドリカルレンズ405Bに導かれた光源403C及び光源403Mの光束は、シリンドリカルレンズ405Bにて副走査方向(紙面垂直方向)に屈折され、ポリゴンミラー406の反射面に互いに異なる入射角度で照射される。
【0053】
ポリゴンミラー406は、光源403から出射された光束を偏向走査する偏向器であり、本実形態に係る偏向器(ポリゴンミラー406)は、多角形状(本実施形態では、六角形状)に配置された反射鏡を電動モータ(図示せず。)にて回転させることにより、光束を偏向させながら走査する回転多面鏡にて構成されている。
【0054】
また、fθレンズ407A、407B(以下、これらを総称するときは、fθレンズ407と記す。)は、ポリゴンミラー406によって等角速度で紙面左右方向(主走査方向)に走査される光束が感光ドラム510上にて等速度にて走査するように走査速度を変換する走査速度変換手段である。
【0055】
そして、fθレンズ407にて走査速度が変換された光束は、図2に示すように、複数枚のミラー410〜419及びトーリックレンズ420K、420Y、420M、420C(以下、これらを総称するときは、トーリックレンズ420と記す。)等から構成された光学部材にて感光ドラム510に結像される。
【0056】
なお、トーリックレンズ420は、光束の主走査方向と副走査方向とで曲率が異なるレンズであり、ポリゴンミラー406により規定された方向とは異なる方向に反射された光束を副走査方向に偏向する面倒れ補正手段である。
【0057】
そして、以上に述べた構成により、画像データに基づいて光源403から出射された光束は、シリンドリカルレンズ405A、405B(以下、これらを総称するときは、シリンドリカルレンズ405と記す。)を透過してポリゴンミラー406にて偏向走査され、fθレンズ407にて走査速度が等速化された後、ミラー410〜419によってその光路が折り返され、その後、トーリックレンズ420を経由してスキャナユニット400から各感光ドラム510に向けて結像されるように出射される。
【0058】
なお、ミラー410は全ての光束を全反射させることなく、光源403Cから出射された光束については反射させてミラー411に導き、光源403Kから出射された光束については屈折透過させてミラー413に導く。
【0059】
また、ケーシング430は、ポリゴンミラー406やミラー410〜419等のミラー類、及びfθレンズ407及びトーリックレンズ420等を収納する筐体であり、ミラー410〜419やfθレンズ407及びトーリックレンズ420等は、ケーシング430により塵埃から保護されている。
【0060】
なお、ケーシング430は、ミラー410〜419やトーリックレンズ420等が組み付け固定されたスキャナフレーム431、及びスキャナフレーム431のうちプロセスカートリッジ500と反対側を覆うスキャナカバー432等から構成されており、これら431、432は、PC/ABSポリマーアロイ製のインジェクション成形品である。
【0061】
また、ケーシング430内には、図3に示すように、ポリゴンミラー406にて偏向走査された光束を検出(受光)するBD(Beam Detect )センサ421が設けられており、BDセンサ421が光束を検出した時を基準とした各感光ドラム510毎の露光開始タイミングが制御される。
【0062】
つまり、BDセンサ421が光束を検出した時を基準として所定時間が経過した時に、光束が感光ドラム510における画像形成領域の走査方向端部に導かれたものと見なされ、感光ドラム510に静電潜像を形成するためのビデオ信号が半導体レーザ401に入力される。
【0063】
2.3.2.プロセスカートリッジ
4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cはトナーの色が異なるのみで、その他は同一であるので、以下、プロセスカートリッジ500Cを例にその構造を説明する。
【0064】
プロセスカートリッジ500は、図1に示すように、スキャナユニット400の下方側において着脱可能に筐体103内に配設されており、このプロセスカートリッジ500は、感光ドラム510、帯電器520、及びトナー収容部530等を収納するケーシング560を有して構成されている。
【0065】
そして、感光ドラム510は、用紙に転写される画像を担持する感光体をなすもので、最表層がポリカーボネート等からなる正帯電性の感光層により形成される円筒状のものである。
【0066】
帯電器520は、感光ドラム510の表面を帯電させる帯電手段をなすもので、感光ドラム510の後側斜め上方において、感光ドラム510と接触しないように所定間隔を有して感光ドラム510と対向配設されている。
【0067】
なお、本実施形態に係る帯電器520は、タングステン等からなる帯電用ワイヤからコロナ放電を行うことにより感光ドラム510の表面に略均一に正電荷を帯電させるスコロトロン型帯電器を採用している。
【0068】
転写ローラ570は、搬送ベルト355を挟んで感光ドラム510と対向配置されて搬送ベルト355の回転と連動して回転するとともに、用紙が感光ドラム510近傍を通過する際に、感光ドラム510に帯電した電荷と反対の電荷(本実施形態では、負電荷)を印刷面と反対側から用紙に作用させることにより、感光ドラム510の表面に付着したトナーを用紙の印刷面に転写させる転写手段である。
【0069】
トナー収容部530は、トナーが収容されたトナー収容室531、トナーを感光ドラム510に供給するトナー供給ローラ532及び現像ローラ533等を有して構成されており、本実施形態に係るトナー収容部530は、プロセスカートリッジ500の本体部に対して着脱可能となっている。
【0070】
そして、トナー収容室531に収容されているトナーは、トナー供給ローラ532の回転によって現像ローラ533側に供給され、さらに、現像ローラ533側に供給されたトナーは、現像ローラ533の表面に担持されるとともに、層厚規制ブレード534により担持されたトナーの厚みが所定の厚みにて一定(均一)となるよう調整された後、スキャナユニット400にて露光された感光ドラム510の表面に供給される。
【0071】
2.3.3.定着ユニット
定着ユニット600は、用紙の搬送方向において感光ドラム510より後流側に配設され、用紙に転写されたトナーを加熱溶融させて定着させるものである。
【0072】
具体的には、定着ユニット600は、用紙の印刷面側に配設されてトナーを加熱しながら用紙に搬送力を付与する加熱ローラ610、及び用紙を挟んで加熱ローラ610と反対側に配設されて用紙を加熱ローラ610側に押圧する加圧ローラ620等を有して構成されている。
【0073】
なお、加熱ローラ610は、現像ローラ533や搬送ベルト355等と同期して回転駆動され、一方、加圧ローラ620は、加熱ローラ610に接触する用紙を介して加熱ローラ610から回転力を受けて従動回転する。
【0074】
2.3.4.画像形成作動の概略
画像形成部200においては、以下のようにして用紙に画像が形成される。
すなわち、感光ドラム510の表面は、その回転に伴って、帯電器520により一様に正帯電された後、スキャナユニット400から照射される光束(レーザビーム)の高速走査により露光される。これにより、感光ドラム510の表面には、用紙に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0075】
次いで、現像ローラ533の回転により、現像ローラ533上に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム510に対向して接触するときに、感光ドラム510の表面上に形成されている静電潜像、つまり、一様に正帯電されている感光ドラム510の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、感光ドラム510の静電潜像は、可視像化され、感光ドラム510の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0076】
その後、感光ドラム510の表面上に担持されたトナー像は、転写ローラ570に印加される転写バイアスによって用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は定着ユニット600に搬送されて加熱され、トナー像として転写されたトナーが用紙に定着して、画像形成が完了する。
【0077】
2.4.レーザプリンタの制御系
図4はレーザプリンタ100の電気系を示すブロック図である。
そして、スキャナユニット400には、半導体レーザ401を発光させるための半導体レーザ駆動回路441、ポリゴンモータを駆動するためのポリゴンモータ駆動回路442、BDセンサ421、及び感光ドラム510上を走査される光束に関する特性を示す情報(以下、この情報を光束特性と呼ぶ。)が記憶されたフラッシュメモリ等の半導体記憶装置にて構成されたROM443等が搭載されている。なお、ROM443に記憶されている光束特性の詳細は、後述する。
【0078】
そして、BDセンサ421の出力信号、及びROM443に記憶されている光束特性は、レーザプリンタ100の本体側に搭載されている制御装置110により読み取られ、制御装置110は、BDセンサ421の出力信号、及びROM443に記憶されている光束特性に基づいて画像形成部200、フィーダ部300、半導体レーザ駆動回路441及びポリゴンモータ駆動回路442等を制御する。
【0079】
なお、制御装置110は、CPU、ROM及びRAM等から構成された周知のマイクロコンピュータであり、ROMに予め記憶されているプログラムに従って画像形成部200等を制御する。
【0080】
また、図5はレーザプリンタ100の起動時(電源投入時)に制御装置110にて実行される制御を示すフローチャートであり、レーザプリンタ100の電源が投入されると、先ず、レーザプリンタ100を制御するための各パラメータ(変数)等が初期化(イニシャライズ)された後(S10)、ROM443に記憶されている光束特性が読み込まれて制御装置110のRAMに記憶される(S20)。
【0081】
3.ROM443に記憶されている光束特性
(1)感光ドラム510上を走査される走査線の走査直線性
前述したように、感光ドラム510上を走査される走査線(光束)により露光されて静電潜像が形成された後、現像剤が感光ドラム510に供給されることにより、感光ドラム510に現像剤像が形成される。そして、各感光ドラム510K、510Y、510M、510Cに形成された各現像剤像を用紙上で重ね合わせるように用紙に転写することにより、カラー画像が形成される。
【0082】
このとき、レーザプリンタ100では、BDセンサ421が光束を検出した時を基準時とし、その基準時からの経過時間に基づいて半導体レーザ401の発光タイミング(露光タイミング)が制御されるので、感光ドラム510上を走査させる走査線(光束)の走査速度が感光ドラム510毎に相違していると、各感光ドラム510毎に現像剤像の位置が相違してしまい、用紙に各現像剤像を転写したときに、色ずれが発生してしまう。
【0083】
したがって、走査線(光束)の走査速度、つまり走査線の走査直線性は、全ての感光ドラム510において同一であることが望ましい。
しかし、走査線の走査直線性は、fθレンズ407、ポリゴンミラー406及びケーシング430の寸法公差、これら部品の組み付け調整公差及びポリゴンモータの回転ムラ等の影響を受け、かつ、これらの影響を完全に排除することは非常に困難であるので、全て感光ドラム510において走査直線性を同一とすることは、現実的には難しい。
【0084】
そこで、本実施形態に係るスキャナユニット400では、スキャナユニット400の完成時にメーカにて検査された各感光ドラム510毎の走査直線性をROM443に記憶させるとともに、その記憶された各感光ドラム510毎の走査直線性に基づいて制御装置110が半導体レーザ401の発光タイミング(露光タイミング)を補正制御することにより、各感光ドラム510毎に現像剤像の位置が相違してしまうことを防止している。
【0085】
因みに、光束特性は、組立が完了したスキャナユニット400を専用の測定装置に装着することにより行われる。
なお、図6は、本実施形態における走査直線性の記憶形式を示す概念図であり、図6に示すように、本実施形態に係るROM443は、走査直線性として、複数の区間に分割された走査線の走査時間を、各区間毎に記憶している。具体的には、用紙の幅方向寸法(走査幅)を例えば4分割し、その分割された各区間を走査するに必要な時間をそれぞれROM443に記憶させている。
【0086】
(2)感光ドラム510上を走査される走査線の軌跡
感光ドラム510は、感光ドラム510上をその軸方向に走査される走査線(光束)により露光されるので、走査線の軌跡が湾曲又は傾いていると、感光ドラム510上に形成される現像剤像が歪んでしまい、用紙に形成される画像の品質が低下してしまう。
【0087】
そこで、本実施形態では、走査線の軌跡をROM443記憶させるとともに、その記憶された走査線の軌跡に基づいて制御装置110が半導体レーザ401の発光タイミング(露光タイミング)を補正制御することにより、現像剤像に歪みが発生することを防止している。
【0088】
なお、図7は本実施形態における走査線の軌跡の記憶形式を示す概念図であり、図7に示すように、本実施形態に係るROM443は、走査線の軌跡として、複数の区間に分割された走査範囲の分割点における、基準位置からの副走査方向(走査方向と直交する方向)のずれ量を記憶している。
【0089】
また、各感光ドラム510は用紙の搬送方向に直列に並んでいるので、各感光ドラム510毎に露光開始タイミングがずれているが、レーザプリンタ100では、各感光ドラム510に形成された現像剤像を重ね合わせてカラー画像を形成するので、各感光ドラム510に設定された露光開始位置に対して各走査線の走査開始位置は、全ての走査線において基準位置と一致している必要がある。
【0090】
そこで、本実施形態では、図8に示すように、感光ドラム510K上の所定位置L0を基準として、感光ドラム510K上の所定位置L0に対応する各感光ドラム510C、510M、510Yの基準位置L1〜L3と各走査線の走査開始位置とのずれ量も、走査線の軌跡としてROM443に記憶されている。因みに、図8は、副走査方向における、各走査線の走査開始位置と基準位置L1〜L3とのずれ量を示す概念図である。
【0091】
なお、本実施形態では、ポリゴンミラー406の同一反射面で反射される光束を1単位として、半導体レーザ401の発光タイミングが補正されることにより、各走査線の走査開始位置と基準位置L0〜L3とのずれが補正される。
【0092】
(3)各感光ドラム毎の露光開始タイミング
各感光ドラム510では、BDセンサ421が光束を検出した時を基準として露光開始タイミングが決定されるので、この露光開始タイミング(露光開始時)は、各感光ドラム510において、搬送される用紙に対して同一の位置に対応する必要がある。
【0093】
つまり、レーザプリンタ100では、走査線の走査方向は、用紙の記録面と平行であって、かつ、搬送させる用紙の搬送方向と直交する方向である。さらに、各感光ドラム510で形成された現像剤像を重ね合わせることによりカラー画像が用紙上に形成されるので、各感光ドラム510において、露光が開始された時の感光ドラム510上の位置は、用紙に対して同一の位置である必要がある。
【0094】
したがって、各感光ドラム510毎に、露光開始タイミングに対応する用紙上の位置がずれていると、現像剤像が用紙に転写されたときに、各現像剤像が相互にずれてしまうので、形成された画像に色ずれが発生してしまう。
【0095】
そこで、本実施形態に係るROM443では、各感光ドラム510毎の露光開始タイミングが記憶されている。なお、図9は露光開始タイミングのずれを示す概念図である。
そして、制御装置110は、ROM443に記憶された各感光ドラム510毎の露光開始タイミングに基づいて半導体レーザ401の発光タイミングを補正し、用紙に形成される画像に色ずれが発生することを防止している。
【0096】
(4)ポリゴンミラーの寸法公差
本実施形態では、感光ドラム510の本数に比べてBDセンサ421の数が少ないので、各感光ドラム510の露光開始タイミングは、各感光ドラム510に導かれる各光束毎にBDセンサを設けた場合と異なり、特定の光束(本実施形態では、感光ドラム510Kに導かれる光束)を検出したタイミングを基準時とし、その基準時からの経過時間に基づいて各感光ドラム510の露光開始タイミングが設定される。
【0097】
すなわち、図10及び図11に示すように、ポリゴンミラー406の反射面Aで反射した光束AがBDセンサ421にて検出されると、光束Aは、その検出した時からT1秒後を露光開始タイミングとして露光走査範囲内においてビデオ信号に基づいて制御される。
【0098】
一方、ポリゴンミラー406の反射面Eで反射した光束Eは、ポリゴンミラー406の反射面Aで反射した光束AがBDセンサ421にて検出した時からT2(>T1)秒後を露光開始タイミングとして露光走査範囲内においてビデオ信号に基づいて制御される。
【0099】
なお、図10はポリゴンミラー406による光束の偏向走査を示す説明図であり、図11は露光タイミングを示すタイムチャートである。
また、ポリゴンミラー406は、多角形状に配置された複数枚の反射面を回転させることにより、光源403から出射された光束を偏向走査する偏向器であるので、隣り合う反射面のなす角が設計中心値からずれていると、ポリゴンミラー406の反射面Aで反射した光束AがBDセンサ421にて検出した時からT2秒後における感光ドラム510上の光束Eの位置が設計中心値からずれてしまい、光束Eにより形成される静電潜像の位置がずれてしまう。
【0100】
そこで、本実施形態では、ポリゴンミラー406うち隣り合う反射面の垂線がなす角θ1(図10参照)に関する情報が、光束特性としてROM443に記憶されているとともに、制御装置110は、角度θ1に基づいて露光開始タイミングを補正している。
【0101】
なお、本実施形態では、ポリゴンミラー406うちBDセンサ421に向けて光束を偏向させる反射面の垂線と、ポリゴンミラー406を挟んでBDセンサ421と反対側に光束を偏向走査する反射面の垂線とのなす角θ2(図10参照)が、[360/n]×m±Δθとなり、かつ、Δθの絶対値が、25.4/[r×f]より小さい値となるようなポリゴンミラー406が用いられている。
【0102】
n:反射面の数(本実施形態では、6)
m:自然数(本実施形態では、2)
Δθ:回転多面鏡の隣り合う反射面のなす角の公差[rad]
f:fθレンズ407の焦点距離[mm]
r:解像度[dpi](例えば、600dpi)
4.本実施形態に係るレーザプリンタ(スキャナユニット)の特徴
本実施形態では、光束特性がROM443に記憶されているので、光束特性を計測する専用の計測器がなくても、サービスマンは勿論のことエンドユーザであっても、容易にスキャナユニット400を交換又は修理することができる。つまり、サービスマン又はエンドユーザは、レーザプリンタ100を特定サービスセンタに送ることなく、容易にレーザプリンタ100を修理することができる。
【0103】
また、スキャナユニット400に光束特性が記憶されているので、メーカにおいては、スキャナユニット400の組み立て専用ライン(工場)で光束特性が計測された場合であっても、レーザプリンタ100の完成組み立てライン(工場)で、ROM443に記憶されている光束特性を読み取ることにより、新たに光束特性を計測することなく、自動的に半導体レーザ401の発光タイミング等を調整することが可能となる。したがって、レーザプリンタ100の組み立て工数を低減して生産性を向上させることができるので、レーザプリンタ100の製造原価低減を図ることができる。
【0104】
また、ROM443が半導体にて構成されているので、バーコード等の記憶手段にて光束特性が記憶されている場合に比べて、より多くの情報を記憶させることができるとともに、光束特性(情報)を容易に利用することができ、スキャナユニット400の製造及びメインテナンス性を向上させることができる。
【0105】
また、複数個の感光ドラム510に光束を導くためのポリゴンミラー406やfθレンズ407等が1つのケーシング430に収納されているので、色毎(感光ドラム510毎)にスキャナユニットを設けたレーザプリンタ用のスキャナユニットと異なり、ROM443に記憶されている光束特性は、各光束間の相対的な位置ズレ特性も含まれたものとなり、実際にレーザプリンタ100で使用される状態と同様な光束特性をROM443に記憶させることができる。
【0106】
以上に説明したように、本実施形態によれば、例えば半導体レーザ401の発光タイミング等をより適切に調整することができるので、形成される画像の画質を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態では、1台のポリゴンミラー406にて複数個の光源403から出射された全ての光束を偏向走査するので、複数台のポリゴンミラー406を有する場合に比べて、光束特性として記憶すべき情報量を少なくすることができ、ROM443の大型化を抑制できる。
【0108】
ところで、偏向器として複数の反射面を有する回転多面鏡(ポリゴンミラー)を採用し、1台のポリゴンミラー406にて複数個の光源403から出射された全ての光束を偏向走査する手段としては、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法と、同一の反射面で偏向走査する手法とがあるが、同一の反射面で偏向走査する手法では、光源403から感光ドラム510まで光路が長くならざるを得ないので、光束の走査速度を等速化するfθレンズ407の設計が非常に難しくなる。
【0109】
一方、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法では、fθレンズ407の設計が容易になるものの、異なる2つの反射面で同時に光束を偏向走査するので、例えば光源403の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0110】
これに対して、本実施形態では、複数の反射面を有し、複数本の光束を異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡(ポリゴンミラー406)を偏向器として用いていているので、fθレンズ407の設計が容易になるものの、各感光ドラム510毎の光束の特性がfθレンズ407の公差等で異なるので、例えば光源403の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0111】
しかし、本実施形態では、各感光ドラム510に対応した光束特性がROM443に記憶されているので、fθレンズ407の設計が容易にしつつ、例えば光源403の発光タイミング等を高い精度で制御することができる。
【0112】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、ポリゴンミラー406が特許請求の範囲に記載された偏向器に相当し、fθレンズ407が特許請求の範囲に記載された走査レンズに相当し、ミラー410〜419及びトーリックレンズ420が特許請求の範囲に記載された走査光学系に相当し、ケーシング430が特許請求の範囲に記載された筐体に相当し、ROM443が特許請求の範囲に記載された記憶装置に相当し、BDセンサ421が特許請求の範囲に記載された書出し基準位置検出センサに相当する。
【0113】
(第2実施形態)
本実施形態は、複数台のポリゴンミラー(偏向器)にて光源403から出射される光束を偏向走査するように構成したものである。
【0114】
図12は、本実施形態に係るスキャナユニット400の概略構造を示す図であり、本実施形態では、第1ポリゴンミラー406Aにて感光ドラム510K、510Cに導かれる光束が偏向走査され、第2ポリゴンミラー406Bにて感光ドラム510K、510Cに導かれる光束が偏向走査される。
【0115】
そして、本実施形態に係るROM443は、上記の光束特性に加えて、各ポリゴンミラー406A、406Bそれぞれの回転誤差に関する情報も記憶している。これは、各ポリゴンミラー406A、406Bの回転周期にずれがあると、第1ポリゴンミラー406Aにて走査された光束にて形成された静電潜像と第2ポリゴンミラー406Bにて走査された光束にて形成された静電潜像との間で位置ずれが発生してしまうからである。
【0116】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、偏向器として、回転多面鏡(ポリゴンミラー)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばレゾナントやガルバノ等を用いてもよい。
【0117】
また、上述の実施形態では、ポリゴンミラーの個数とBDセンサの個数とが一致していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、感光ドラム510の個数、つまり光源403の個数と同数のBDセンサを用いて、光束毎に露光開始タイミングを検出してもよい。
【0118】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタ100の要部を示す側断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスキャナユニット400の概略構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るスキャナユニット400の概略構成を表す上面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るレーザプリンタ100の電気系を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係るレーザプリンタ100の起動時(電源投入時)に制御装置110にて実行される制御を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態における走査直線性の記憶形式を示す概念図である。
【図7】本実施形態における走査線の軌跡の記憶形式を示す概念図である。
【図8】副走査方向における、各走査線の走査開始位置と基準位置L1〜L3とのずれ量を示す概念図である。
【図9】露光開始タイミングのずれを示す概念図である。
【図10】ポリゴンミラー406による光束の偏向走査を示す説明図である。
【図11】露光タイミングを示すタイムチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係るスキャナユニット400の概略構造を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
100…レーザプリンタ、103…筐体、105…排紙トレイ、107…排出部、
110…制御装置、180…略、200…画像形成部、300…フィーダ部、
301…給紙トレイ、303…給紙ローラ、307…搬送ローラ、
309…加圧ローラ、311…レジストローラ、313…レジストコロ、
350…搬送機構、351…駆動ローラ、353…従動ローラ、
355…搬送ベルト、360…ベルトクリーナ、390…排出ローラ、
400…スキャナユニット、401…半導体レーザ、402…コリメートレンズ、
403…光源、405…シリンドリカルレンズ、406…ポリゴンミラー、
407…fθレンズ、407A…fθレンズ、410〜419…ミラー、
413…ミラー、420…トーリックレンズ、421…BDセンサ、
430…ケーシング、431…スキャナフレーム、441…半導体レーザ駆動回路、
442…ポリゴンモータ駆動回路、500…プロセスカートリッジ、
510…感光ドラム、520…帯電器、530…トナー収容部、
531…トナー収容室、532…トナー供給ローラ、533…現像ローラ、
534…層厚規制ブレード、560…ケーシング、570…転写ローラ、
600…定着ユニット、610…加熱ローラ、620…加圧ローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を走査させる走査光学装置、及びこの走査光学装置を用いた電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、走査光学装置(スキャナ装置)から出射される光束により感光ドラムを露光して感光ドラムに現像剤を担持させるとともに、この感光ドラムに担持された現像剤像を記録用紙やOHPシート等の記録媒体に転写することにより記録媒体に画像を形成する。
【0003】
そして、カラーレーザプリンタでは、各色に対応した複数個の感光ドラムそれぞれが、スキャナ装置にて露光されて静電潜像が形成された後、現像剤が各静電潜像に供給されて各感光ドラム毎に現像剤像が形成され、その後、各現像剤像が重ね合わせられてカラー画像が形成されていく(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−178372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の説明からも明らかなように、スキャナ装置にて感光ドラムを露光する際に、正確な静電潜像を形成することができないと、記録媒体に形成された画像に色ずれ等が発生してしまう。
【0005】
また、スキャナ装置は、半導体レーザ等の光源から出射された光束を、ポリゴンミラー等の偏向器、及びfθレンズや反射鏡等の走査光学系を介して感光ドラムに導くので、感光ドラム上を走査される光束は、偏向器や走査光学系の寸法公差及び組み付け位置や調整の公差の影響を強く受けてしまう。
【0006】
そこで、通常、感光ドラム上を走査される光束に関する特性(走査線の走査直線性や走査線の軌跡等)を専用の計測器にて計測し、その計測結果に基づいて光源の発光タイミング等を調整することにより、偏向器や走査光学系の寸法バラツキ及び組み付け位置バラツキの影響を吸収している。
【0007】
しかし、上記の手段では、スキャナ装置をプリンタに組み付けた後、感光ドラム上を走査される光束に関する特性(以下、光束特性という。)の計測結果に基づいて光源の発光タイミング等を調整する必要があるので、スキャナ装置を容易に交換又は修理することはできない。
【0008】
つまり、光束特性を計測するための計測器が備えられているサービスセンタ(以下、このサービスセンサを特定サービスセンタという。)でなければ、スキャナ装置を交換又は修理することができないので、例えば、既にエンドユーザに納品されたレーザプリンタのスキャナ装置を交換又は修理する際には、プリンタを特定サービスセンタに送る必要があり、エンドユーザは、迅速なメインテナンスサービスの提供を受けることが難しい。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、スキャナユニット等の画像形成装置に適用される走査光学装置を容易に交換又は修理可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、複数個の感光ドラムを有し、複数個の感光ドラムそれぞれに形成された現像剤像を重ね合わせることによりカラー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に適用され、感光ドラムを露光して静電潜像を感光ドラムに形成する走査光学装置であって、複数個の光源と、光源から出射された光束を偏向走査する偏向器と、偏向器にて偏向走査された各光束それぞれを、対応する感光ドラムに導く走査光学系と、少なくとも偏向器及び走査光学系が組み付けられた筐体と、感光ドラム上を走査される光束に関する特性が記憶された記憶装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項1に記載の発明では、光束特性が記憶装置に記憶されているので、光束特性を計測する専用の計測器がなくても、サービスマンは勿論のことエンドユーザであっても、容易に走査光学装置を交換又は修理することができる。つまり、サービスマン又はエンドユーザは、画像形成装置を特定サービスセンタに送ることなく、容易に画像形成装置を修理することができる。
【0012】
なお、走査光学装置に光束特性が記憶されているので、メーカにおいては、走査光学装置の組み立て専用ライン(工場)で光束特性が計測された場合であっても、画像形成装置の完成組み立てライン(工場)で、記憶装置に記憶されている光束特性を読み取ることにより、新たに光束特性を計測することなく、自動的に光源の発光タイミング等を調整することが可能となる。したがって、画像形成装置の組み立て工数を低減して生産性を向上させることができるので、画像形成装置の製造原価低減を図ることができる。
【0013】
また、記憶装置が半導体にて構成されているので、バーコード等の記憶手段にて光束特性が記憶されている場合に比べて、より多くの情報を記憶させることができるとともに、光束特性(情報)を容易に利用することができ、走査光学装置の製造及びメインテナンス性を向上させることができる。
【0014】
また、複数個の感光ドラムに光束を導くための偏向器及び走査光学系が1つの筐体に収納されているので、色毎に走査光学装置を設けた画像形成装置用の走査光学装置と異なり、記憶装置に記憶されている光束特性は、各光束間の相対的な位置ズレ特性も含まれたものとなり、実際に画像形成装置で使用される状態と同様な光束特性を記憶装置に記憶させることができる。
【0015】
以上に説明したように、請求項1に記載の走査光学装置を画像形成装置に用いれば、例えば光源の発光タイミング等をより適切に調整することができるので、形成される画像の画質を向上させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、1台の偏向器にて複数個の光源から出射された全ての光束を偏向走査することを特徴とする。
これにより、請求項2に記載の発明では、複数台の偏向器を有する場合に比べて、光束特性として記憶すべき情報量を少なくすることができる。
【0017】
ところで、偏向器として複数の反射面を有する回転多面鏡を採用し、1台の偏向器にて複数個の光源から出射された全ての光束を偏向走査する手段としては、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法と、同一の反射面で偏向走査する手法とがあるが、同一の反射面で偏向走査する手法では、光源から感光ドラムまで光路が長くならざるを得ないので、光束の走査速度を等速化する走査レンズ(例えば、fθ走査レンズ)の設計が非常に難しくなる。
【0018】
一方、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法では、走査レンズの設計が容易になるものの、異なる2つの反射面で同時に光束を偏向走査するので、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0019】
これに対して、請求項3に記載の発明では、偏向器は、複数の反射面を有し、複数本の光束を、少なくとも異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡であり、さらに、走査光学系は、少なくとも感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されていることを特徴としている。
【0020】
これにより、請求項3に記載の発明では、走査レンズの設計が容易になるものの、各感光ドラム毎の光束の特性が走査レンズの公差等で異なるので、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0021】
しかし、請求項3に記載の発明では、各感光ドラムに対応した光束特性が記憶装置に記憶されているので、走査レンズの設計が容易にしつつ、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御することができる。
【0022】
なお、請求項4に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも各感光ドラム上を走査される走査線の走査直線性を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としているので、例えば光源の発光タイミング等を高い精度で制御することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明では、記憶装置は、走査線の走査直線性として、複数の区間に分割された走査線の走査時間を、各区間毎に記憶していることを特徴としている。
また、請求項6に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも感光ドラム上を走査される走査線の軌跡を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0024】
請求項7に記載の発明では、記憶装置は、走査線の軌跡として、複数の区間に分割された走査線の副走査方向の位置を、各区間毎に記憶していることを特徴としている。
また、請求項8に記載の発明では、偏向器にて偏向走査された光束を検出する書出し基準位置検出センサを備え、記憶装置は、少なくとも書出し基準位置検出センサが光束を検出した時を基準とした各感光ドラム毎の露光開始タイミングを、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0025】
また、請求項9に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線のなす角に関する情報を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0026】
そして、複数本の光束を、少なくとも異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡では、光束を反射する2つの面の相対的な角度に誤差があると、露光開始位置(書き出し位置)にずれが生じるので、請求項9に記載の発明を請求項3に記載の発明に適用すると、特に有効である。
【0027】
また、請求項10に記載の発明では、偏向器にて偏向走査された光束を検出する、1個の書出し基準位置検出センサを備え、走査光学系は、少なくとも感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されており、回転多面鏡のうち書出し基準位置検出センサに向けて光束を偏向させる反射面の垂線と、回転多面鏡を挟んで書出し基準位置検出センサと反対側に光束を偏向走査する反射面の垂線とのなす角は、[360/n]×m±Δθで表され、
n:反射面の数
m:自然数
Δθ:回転多面鏡の隣り合う反射面のなす角の公差[rad]
f:走査レンズの焦点距離[mm]
r:解像度[dpi]
さらに、Δθの絶対値は、25.4/[600×f]より小さいことを特徴としている。
【0028】
また、請求項11に記載の発明では、複数台の偏向器にて複数個の光源から出射された光束を偏向走査するとともに、複数台の偏向器は、複数の反射面を有して回転する回転多面鏡であり、記憶装置は、少なくとも回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線のなす角に関する情報を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
【0029】
また、請求項12に記載の発明では、記憶装置は、少なくとも回転多面鏡それぞれの回転誤差に関する情報を、光束に関する特性として記憶していることを特徴としている。
請求項13に記載の発明では、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の走査光学装置を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、記憶装置に記憶された光束に関する特性に基づいて画像形成手段の作動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0030】
これにより、記録媒体に形成されるカラー画像の画質を向上させることができる。
なお、請求項14に記載の発明のごとく、電源投入時に、記憶装置に記憶された光束に関する特性が読み込まれることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本実施形態は本発明に係る走査光学装置を電子写真方式のカラー画像形成装置(カラーレーザプリンタ)に適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.レーザプリンタの外観構成
図1はレーザプリンタ100の要部を示す側断面図であり、このレーザプリンタ100は、紙面上側を重力方向上方側として設置され、通常、紙面右側を前側として使用される。
【0032】
レーザプリンタ100の筐体103は略箱状(立方体状)に形成されており、この筐体103の上面側には、印刷を終えて筐体103から排出される用紙やOHPシート等の記録媒体(以下、単に用紙という。)が載置される排紙トレイ105が設けられている。
【0033】
2.レーザプリンタの内部構成
画像形成部200は用紙に画像を形成する画像形成手段であり、フィーダ部300は、搬送機構350と共に画像形成部200に用紙を供給する搬送手段の一部を構成するものであり、搬送機構350は、画像形成部200を構成する4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cに用紙を搬送する搬送手段である。
【0034】
なお、画像形成部200にて画像形成が終了した用紙は、中間搬送ローラ380及び排出シュート(図示せず。)にてその搬送方向が上方側に略180°転向された後、排出ローラ390により排出部107から排紙トレイ105に排出される。
【0035】
2.1.フィーダ部
フィーダ部300は、筐体103の最下部に収納された給紙トレイ301、給紙トレイ301の端部に対応する部位のうち用紙の搬送方向前進側上方に設けられて給紙トレイ301に載置された用紙を画像形成部200に給紙(搬送)する給紙ローラ303、及び用紙に所定の搬送抵抗を与えることにより給紙ローラ303により給紙される用紙を1枚毎に分離する分離パッド305等を有して構成されている。
【0036】
そして、給紙トレイ301に載置されている用紙は、筐体103内の前方側にてUターンするようにして、筐体103内の略中央部に配設された画像形成部200に搬送される。
【0037】
また、給紙トレイ301から画像形成部200に至る用紙の搬送経路のうち、略U字状に転向する部位には、略U字状に湾曲しながら画像形成部200に搬送される用紙に搬送力を与える搬送ローラ307が配設され、一方、用紙を挟んで搬送ローラ307と対向する部位には、用紙を搬送ローラ307側に押さえ付ける加圧ローラ309が配設されている。なお、加圧ローラ309は、コイルバネ(図示せず。)等の弾性手段にて搬送ローラ307側に押圧されている。
【0038】
そして、搬送ローラ307よりも用紙搬送方向下流側には、搬送ローラ307により搬送されてくる用紙の先端に接触することでその用紙の斜行を補正した後、その用紙をさらに画像形成部200へ向けて搬送するレジストローラ311、及びレジストローラ311と対向して配置されたレジストコロ313が設けられている。なお、レジストコロ313はコイルバネ(図示せず。)等の弾性手段にてレジストローラ311側に押圧されている。
【0039】
2.2.搬送機構
搬送機構350は、画像形成部200の作動と連動して回転する駆動ローラ351、駆動ローラ351と離隔した位置に回転可能に配設された従動ローラ353、及び駆動ローラ351及び従動ローラ353間に巻き付けられた搬送ベルト355等から構成されている。
【0040】
そして、搬送ベルト355が用紙を載せた状態で回転することにより、給紙トレイ301から搬送されてきた用紙は、レーザプリンタ100の前後方向に搬送されることにより4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cに順次搬送される。
【0041】
なお、本実施形態では、搬送機構350の下方側に搬送ベルト355の表面に付着した廃トナーを除去するベルトクリーナ360が設けられている。
2.3.画像形成部
画像形成部200は、スキャナユニット400、プロセスカートリッジ500及び定着ユニット600等を有して構成されており、本実施形態に係る画像形成部200はカラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものである。
【0042】
具体的には、用紙の搬送方向上流側からブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のトナー(現像剤)に対応した4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cが、用紙の搬送方向に沿って直列に並んで配設されている。
【0043】
なお、4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cはトナーの色が異なるのみで、その他は同一であるので、以下、4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cを総称してプロセスカートリッジ500と記す。
【0044】
2.3.1.スキャナユニット
図2はスキャナユニット400の概略構成を示す側断面図であり、図3はスキャナユニット400の概略構成を表す上面図である。
【0045】
スキャナユニット400は、後述する感光ドラム510にレーザ光を照射することにより感光ドラム510の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段であり、本実施形態では、スキャナユニット400に本発明に係る走査光学装置を採用している。
【0046】
そして、スキャナユニット400は、図1に示すように、筐体103内のうちプロセスカートリッジ500の上方側に配設されており、スキャナユニット400の下面側からレーザ光が感光ドラム510に向けて出射される。
【0047】
図3中、半導体レーザ401K、401Y、401M、401C(以下、これらを総称するときは、半導体レーザ401と記す。)はレーザ光を出射する発光手段であり、コリメートレンズ402K、402Y、402M、402C(以下、これらを総称するときは、コリメートレンズ402と記す。)は、各半導体レーザ401それぞれの正面に配設されて、各半導体レーザ401から出射された発散光をビーム状の平行光とする集光手段である。
【0048】
つまり、本実施形態では、半導体レーザ401及びコリメートレンズ402により、ビーム状の光(光束)を出射する光源403が構成されている。そこで、以下、半導体レーザ401とコリメートレンズ402とを併せて光源403と記すとともに、4つの光源403それぞれを光源403K、403Y、403M、403Cと記す。
【0049】
なお、光源403Kは、プロセスカートリッジ500Kの感光ドラム510K(図2参照)に照射される光束の光源であり、光源403Yは、プロセスカートリッジ500Yの感光ドラム510Y(図2参照)に照射される光束の光源であり、光源403Mは、プロセスカートリッジ500Mの感光ドラム510M(図2参照)に照射される光束の光源であり、光源403Cは、プロセスカートリッジ500Cの感光ドラム510C(図2参照)に照射される光束の光源である。
【0050】
また、ミラー404Kは、光源403Kから出射された光束を略90°偏向させてシリンドリカルレンズ405Aに導く反射鏡であり、ミラー404Mは、光源403Mから出射された光束を略90°偏向させてシリンドリカルレンズ405Bに導く反射鏡である。
【0051】
なお、ミラー404K、404Mに対して紙面奥側にずれた部位には、光源403Yから出射された光束をシリンドリカルレンズ405Aに導き、光源403Cから出射された光束をシリンドリカルレンズ405Bに導く導光部(図示せず。)が設けられている。
【0052】
そして、シリンドリカルレンズ405Aに導かれた光源403K及び光源403Yの光束は、シリンドリカルレンズ405Aにて副走査方向(紙面垂直方向)に屈折され、ポリゴンミラー406の反射面に互いに異なる入射角度で照射され、同様に、シリンドリカルレンズ405Bに導かれた光源403C及び光源403Mの光束は、シリンドリカルレンズ405Bにて副走査方向(紙面垂直方向)に屈折され、ポリゴンミラー406の反射面に互いに異なる入射角度で照射される。
【0053】
ポリゴンミラー406は、光源403から出射された光束を偏向走査する偏向器であり、本実形態に係る偏向器(ポリゴンミラー406)は、多角形状(本実施形態では、六角形状)に配置された反射鏡を電動モータ(図示せず。)にて回転させることにより、光束を偏向させながら走査する回転多面鏡にて構成されている。
【0054】
また、fθレンズ407A、407B(以下、これらを総称するときは、fθレンズ407と記す。)は、ポリゴンミラー406によって等角速度で紙面左右方向(主走査方向)に走査される光束が感光ドラム510上にて等速度にて走査するように走査速度を変換する走査速度変換手段である。
【0055】
そして、fθレンズ407にて走査速度が変換された光束は、図2に示すように、複数枚のミラー410〜419及びトーリックレンズ420K、420Y、420M、420C(以下、これらを総称するときは、トーリックレンズ420と記す。)等から構成された光学部材にて感光ドラム510に結像される。
【0056】
なお、トーリックレンズ420は、光束の主走査方向と副走査方向とで曲率が異なるレンズであり、ポリゴンミラー406により規定された方向とは異なる方向に反射された光束を副走査方向に偏向する面倒れ補正手段である。
【0057】
そして、以上に述べた構成により、画像データに基づいて光源403から出射された光束は、シリンドリカルレンズ405A、405B(以下、これらを総称するときは、シリンドリカルレンズ405と記す。)を透過してポリゴンミラー406にて偏向走査され、fθレンズ407にて走査速度が等速化された後、ミラー410〜419によってその光路が折り返され、その後、トーリックレンズ420を経由してスキャナユニット400から各感光ドラム510に向けて結像されるように出射される。
【0058】
なお、ミラー410は全ての光束を全反射させることなく、光源403Cから出射された光束については反射させてミラー411に導き、光源403Kから出射された光束については屈折透過させてミラー413に導く。
【0059】
また、ケーシング430は、ポリゴンミラー406やミラー410〜419等のミラー類、及びfθレンズ407及びトーリックレンズ420等を収納する筐体であり、ミラー410〜419やfθレンズ407及びトーリックレンズ420等は、ケーシング430により塵埃から保護されている。
【0060】
なお、ケーシング430は、ミラー410〜419やトーリックレンズ420等が組み付け固定されたスキャナフレーム431、及びスキャナフレーム431のうちプロセスカートリッジ500と反対側を覆うスキャナカバー432等から構成されており、これら431、432は、PC/ABSポリマーアロイ製のインジェクション成形品である。
【0061】
また、ケーシング430内には、図3に示すように、ポリゴンミラー406にて偏向走査された光束を検出(受光)するBD(Beam Detect )センサ421が設けられており、BDセンサ421が光束を検出した時を基準とした各感光ドラム510毎の露光開始タイミングが制御される。
【0062】
つまり、BDセンサ421が光束を検出した時を基準として所定時間が経過した時に、光束が感光ドラム510における画像形成領域の走査方向端部に導かれたものと見なされ、感光ドラム510に静電潜像を形成するためのビデオ信号が半導体レーザ401に入力される。
【0063】
2.3.2.プロセスカートリッジ
4つのプロセスカートリッジ500K、500Y、500M、500Cはトナーの色が異なるのみで、その他は同一であるので、以下、プロセスカートリッジ500Cを例にその構造を説明する。
【0064】
プロセスカートリッジ500は、図1に示すように、スキャナユニット400の下方側において着脱可能に筐体103内に配設されており、このプロセスカートリッジ500は、感光ドラム510、帯電器520、及びトナー収容部530等を収納するケーシング560を有して構成されている。
【0065】
そして、感光ドラム510は、用紙に転写される画像を担持する感光体をなすもので、最表層がポリカーボネート等からなる正帯電性の感光層により形成される円筒状のものである。
【0066】
帯電器520は、感光ドラム510の表面を帯電させる帯電手段をなすもので、感光ドラム510の後側斜め上方において、感光ドラム510と接触しないように所定間隔を有して感光ドラム510と対向配設されている。
【0067】
なお、本実施形態に係る帯電器520は、タングステン等からなる帯電用ワイヤからコロナ放電を行うことにより感光ドラム510の表面に略均一に正電荷を帯電させるスコロトロン型帯電器を採用している。
【0068】
転写ローラ570は、搬送ベルト355を挟んで感光ドラム510と対向配置されて搬送ベルト355の回転と連動して回転するとともに、用紙が感光ドラム510近傍を通過する際に、感光ドラム510に帯電した電荷と反対の電荷(本実施形態では、負電荷)を印刷面と反対側から用紙に作用させることにより、感光ドラム510の表面に付着したトナーを用紙の印刷面に転写させる転写手段である。
【0069】
トナー収容部530は、トナーが収容されたトナー収容室531、トナーを感光ドラム510に供給するトナー供給ローラ532及び現像ローラ533等を有して構成されており、本実施形態に係るトナー収容部530は、プロセスカートリッジ500の本体部に対して着脱可能となっている。
【0070】
そして、トナー収容室531に収容されているトナーは、トナー供給ローラ532の回転によって現像ローラ533側に供給され、さらに、現像ローラ533側に供給されたトナーは、現像ローラ533の表面に担持されるとともに、層厚規制ブレード534により担持されたトナーの厚みが所定の厚みにて一定(均一)となるよう調整された後、スキャナユニット400にて露光された感光ドラム510の表面に供給される。
【0071】
2.3.3.定着ユニット
定着ユニット600は、用紙の搬送方向において感光ドラム510より後流側に配設され、用紙に転写されたトナーを加熱溶融させて定着させるものである。
【0072】
具体的には、定着ユニット600は、用紙の印刷面側に配設されてトナーを加熱しながら用紙に搬送力を付与する加熱ローラ610、及び用紙を挟んで加熱ローラ610と反対側に配設されて用紙を加熱ローラ610側に押圧する加圧ローラ620等を有して構成されている。
【0073】
なお、加熱ローラ610は、現像ローラ533や搬送ベルト355等と同期して回転駆動され、一方、加圧ローラ620は、加熱ローラ610に接触する用紙を介して加熱ローラ610から回転力を受けて従動回転する。
【0074】
2.3.4.画像形成作動の概略
画像形成部200においては、以下のようにして用紙に画像が形成される。
すなわち、感光ドラム510の表面は、その回転に伴って、帯電器520により一様に正帯電された後、スキャナユニット400から照射される光束(レーザビーム)の高速走査により露光される。これにより、感光ドラム510の表面には、用紙に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0075】
次いで、現像ローラ533の回転により、現像ローラ533上に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム510に対向して接触するときに、感光ドラム510の表面上に形成されている静電潜像、つまり、一様に正帯電されている感光ドラム510の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、感光ドラム510の静電潜像は、可視像化され、感光ドラム510の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0076】
その後、感光ドラム510の表面上に担持されたトナー像は、転写ローラ570に印加される転写バイアスによって用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は定着ユニット600に搬送されて加熱され、トナー像として転写されたトナーが用紙に定着して、画像形成が完了する。
【0077】
2.4.レーザプリンタの制御系
図4はレーザプリンタ100の電気系を示すブロック図である。
そして、スキャナユニット400には、半導体レーザ401を発光させるための半導体レーザ駆動回路441、ポリゴンモータを駆動するためのポリゴンモータ駆動回路442、BDセンサ421、及び感光ドラム510上を走査される光束に関する特性を示す情報(以下、この情報を光束特性と呼ぶ。)が記憶されたフラッシュメモリ等の半導体記憶装置にて構成されたROM443等が搭載されている。なお、ROM443に記憶されている光束特性の詳細は、後述する。
【0078】
そして、BDセンサ421の出力信号、及びROM443に記憶されている光束特性は、レーザプリンタ100の本体側に搭載されている制御装置110により読み取られ、制御装置110は、BDセンサ421の出力信号、及びROM443に記憶されている光束特性に基づいて画像形成部200、フィーダ部300、半導体レーザ駆動回路441及びポリゴンモータ駆動回路442等を制御する。
【0079】
なお、制御装置110は、CPU、ROM及びRAM等から構成された周知のマイクロコンピュータであり、ROMに予め記憶されているプログラムに従って画像形成部200等を制御する。
【0080】
また、図5はレーザプリンタ100の起動時(電源投入時)に制御装置110にて実行される制御を示すフローチャートであり、レーザプリンタ100の電源が投入されると、先ず、レーザプリンタ100を制御するための各パラメータ(変数)等が初期化(イニシャライズ)された後(S10)、ROM443に記憶されている光束特性が読み込まれて制御装置110のRAMに記憶される(S20)。
【0081】
3.ROM443に記憶されている光束特性
(1)感光ドラム510上を走査される走査線の走査直線性
前述したように、感光ドラム510上を走査される走査線(光束)により露光されて静電潜像が形成された後、現像剤が感光ドラム510に供給されることにより、感光ドラム510に現像剤像が形成される。そして、各感光ドラム510K、510Y、510M、510Cに形成された各現像剤像を用紙上で重ね合わせるように用紙に転写することにより、カラー画像が形成される。
【0082】
このとき、レーザプリンタ100では、BDセンサ421が光束を検出した時を基準時とし、その基準時からの経過時間に基づいて半導体レーザ401の発光タイミング(露光タイミング)が制御されるので、感光ドラム510上を走査させる走査線(光束)の走査速度が感光ドラム510毎に相違していると、各感光ドラム510毎に現像剤像の位置が相違してしまい、用紙に各現像剤像を転写したときに、色ずれが発生してしまう。
【0083】
したがって、走査線(光束)の走査速度、つまり走査線の走査直線性は、全ての感光ドラム510において同一であることが望ましい。
しかし、走査線の走査直線性は、fθレンズ407、ポリゴンミラー406及びケーシング430の寸法公差、これら部品の組み付け調整公差及びポリゴンモータの回転ムラ等の影響を受け、かつ、これらの影響を完全に排除することは非常に困難であるので、全て感光ドラム510において走査直線性を同一とすることは、現実的には難しい。
【0084】
そこで、本実施形態に係るスキャナユニット400では、スキャナユニット400の完成時にメーカにて検査された各感光ドラム510毎の走査直線性をROM443に記憶させるとともに、その記憶された各感光ドラム510毎の走査直線性に基づいて制御装置110が半導体レーザ401の発光タイミング(露光タイミング)を補正制御することにより、各感光ドラム510毎に現像剤像の位置が相違してしまうことを防止している。
【0085】
因みに、光束特性は、組立が完了したスキャナユニット400を専用の測定装置に装着することにより行われる。
なお、図6は、本実施形態における走査直線性の記憶形式を示す概念図であり、図6に示すように、本実施形態に係るROM443は、走査直線性として、複数の区間に分割された走査線の走査時間を、各区間毎に記憶している。具体的には、用紙の幅方向寸法(走査幅)を例えば4分割し、その分割された各区間を走査するに必要な時間をそれぞれROM443に記憶させている。
【0086】
(2)感光ドラム510上を走査される走査線の軌跡
感光ドラム510は、感光ドラム510上をその軸方向に走査される走査線(光束)により露光されるので、走査線の軌跡が湾曲又は傾いていると、感光ドラム510上に形成される現像剤像が歪んでしまい、用紙に形成される画像の品質が低下してしまう。
【0087】
そこで、本実施形態では、走査線の軌跡をROM443記憶させるとともに、その記憶された走査線の軌跡に基づいて制御装置110が半導体レーザ401の発光タイミング(露光タイミング)を補正制御することにより、現像剤像に歪みが発生することを防止している。
【0088】
なお、図7は本実施形態における走査線の軌跡の記憶形式を示す概念図であり、図7に示すように、本実施形態に係るROM443は、走査線の軌跡として、複数の区間に分割された走査範囲の分割点における、基準位置からの副走査方向(走査方向と直交する方向)のずれ量を記憶している。
【0089】
また、各感光ドラム510は用紙の搬送方向に直列に並んでいるので、各感光ドラム510毎に露光開始タイミングがずれているが、レーザプリンタ100では、各感光ドラム510に形成された現像剤像を重ね合わせてカラー画像を形成するので、各感光ドラム510に設定された露光開始位置に対して各走査線の走査開始位置は、全ての走査線において基準位置と一致している必要がある。
【0090】
そこで、本実施形態では、図8に示すように、感光ドラム510K上の所定位置L0を基準として、感光ドラム510K上の所定位置L0に対応する各感光ドラム510C、510M、510Yの基準位置L1〜L3と各走査線の走査開始位置とのずれ量も、走査線の軌跡としてROM443に記憶されている。因みに、図8は、副走査方向における、各走査線の走査開始位置と基準位置L1〜L3とのずれ量を示す概念図である。
【0091】
なお、本実施形態では、ポリゴンミラー406の同一反射面で反射される光束を1単位として、半導体レーザ401の発光タイミングが補正されることにより、各走査線の走査開始位置と基準位置L0〜L3とのずれが補正される。
【0092】
(3)各感光ドラム毎の露光開始タイミング
各感光ドラム510では、BDセンサ421が光束を検出した時を基準として露光開始タイミングが決定されるので、この露光開始タイミング(露光開始時)は、各感光ドラム510において、搬送される用紙に対して同一の位置に対応する必要がある。
【0093】
つまり、レーザプリンタ100では、走査線の走査方向は、用紙の記録面と平行であって、かつ、搬送させる用紙の搬送方向と直交する方向である。さらに、各感光ドラム510で形成された現像剤像を重ね合わせることによりカラー画像が用紙上に形成されるので、各感光ドラム510において、露光が開始された時の感光ドラム510上の位置は、用紙に対して同一の位置である必要がある。
【0094】
したがって、各感光ドラム510毎に、露光開始タイミングに対応する用紙上の位置がずれていると、現像剤像が用紙に転写されたときに、各現像剤像が相互にずれてしまうので、形成された画像に色ずれが発生してしまう。
【0095】
そこで、本実施形態に係るROM443では、各感光ドラム510毎の露光開始タイミングが記憶されている。なお、図9は露光開始タイミングのずれを示す概念図である。
そして、制御装置110は、ROM443に記憶された各感光ドラム510毎の露光開始タイミングに基づいて半導体レーザ401の発光タイミングを補正し、用紙に形成される画像に色ずれが発生することを防止している。
【0096】
(4)ポリゴンミラーの寸法公差
本実施形態では、感光ドラム510の本数に比べてBDセンサ421の数が少ないので、各感光ドラム510の露光開始タイミングは、各感光ドラム510に導かれる各光束毎にBDセンサを設けた場合と異なり、特定の光束(本実施形態では、感光ドラム510Kに導かれる光束)を検出したタイミングを基準時とし、その基準時からの経過時間に基づいて各感光ドラム510の露光開始タイミングが設定される。
【0097】
すなわち、図10及び図11に示すように、ポリゴンミラー406の反射面Aで反射した光束AがBDセンサ421にて検出されると、光束Aは、その検出した時からT1秒後を露光開始タイミングとして露光走査範囲内においてビデオ信号に基づいて制御される。
【0098】
一方、ポリゴンミラー406の反射面Eで反射した光束Eは、ポリゴンミラー406の反射面Aで反射した光束AがBDセンサ421にて検出した時からT2(>T1)秒後を露光開始タイミングとして露光走査範囲内においてビデオ信号に基づいて制御される。
【0099】
なお、図10はポリゴンミラー406による光束の偏向走査を示す説明図であり、図11は露光タイミングを示すタイムチャートである。
また、ポリゴンミラー406は、多角形状に配置された複数枚の反射面を回転させることにより、光源403から出射された光束を偏向走査する偏向器であるので、隣り合う反射面のなす角が設計中心値からずれていると、ポリゴンミラー406の反射面Aで反射した光束AがBDセンサ421にて検出した時からT2秒後における感光ドラム510上の光束Eの位置が設計中心値からずれてしまい、光束Eにより形成される静電潜像の位置がずれてしまう。
【0100】
そこで、本実施形態では、ポリゴンミラー406うち隣り合う反射面の垂線がなす角θ1(図10参照)に関する情報が、光束特性としてROM443に記憶されているとともに、制御装置110は、角度θ1に基づいて露光開始タイミングを補正している。
【0101】
なお、本実施形態では、ポリゴンミラー406うちBDセンサ421に向けて光束を偏向させる反射面の垂線と、ポリゴンミラー406を挟んでBDセンサ421と反対側に光束を偏向走査する反射面の垂線とのなす角θ2(図10参照)が、[360/n]×m±Δθとなり、かつ、Δθの絶対値が、25.4/[r×f]より小さい値となるようなポリゴンミラー406が用いられている。
【0102】
n:反射面の数(本実施形態では、6)
m:自然数(本実施形態では、2)
Δθ:回転多面鏡の隣り合う反射面のなす角の公差[rad]
f:fθレンズ407の焦点距離[mm]
r:解像度[dpi](例えば、600dpi)
4.本実施形態に係るレーザプリンタ(スキャナユニット)の特徴
本実施形態では、光束特性がROM443に記憶されているので、光束特性を計測する専用の計測器がなくても、サービスマンは勿論のことエンドユーザであっても、容易にスキャナユニット400を交換又は修理することができる。つまり、サービスマン又はエンドユーザは、レーザプリンタ100を特定サービスセンタに送ることなく、容易にレーザプリンタ100を修理することができる。
【0103】
また、スキャナユニット400に光束特性が記憶されているので、メーカにおいては、スキャナユニット400の組み立て専用ライン(工場)で光束特性が計測された場合であっても、レーザプリンタ100の完成組み立てライン(工場)で、ROM443に記憶されている光束特性を読み取ることにより、新たに光束特性を計測することなく、自動的に半導体レーザ401の発光タイミング等を調整することが可能となる。したがって、レーザプリンタ100の組み立て工数を低減して生産性を向上させることができるので、レーザプリンタ100の製造原価低減を図ることができる。
【0104】
また、ROM443が半導体にて構成されているので、バーコード等の記憶手段にて光束特性が記憶されている場合に比べて、より多くの情報を記憶させることができるとともに、光束特性(情報)を容易に利用することができ、スキャナユニット400の製造及びメインテナンス性を向上させることができる。
【0105】
また、複数個の感光ドラム510に光束を導くためのポリゴンミラー406やfθレンズ407等が1つのケーシング430に収納されているので、色毎(感光ドラム510毎)にスキャナユニットを設けたレーザプリンタ用のスキャナユニットと異なり、ROM443に記憶されている光束特性は、各光束間の相対的な位置ズレ特性も含まれたものとなり、実際にレーザプリンタ100で使用される状態と同様な光束特性をROM443に記憶させることができる。
【0106】
以上に説明したように、本実施形態によれば、例えば半導体レーザ401の発光タイミング等をより適切に調整することができるので、形成される画像の画質を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態では、1台のポリゴンミラー406にて複数個の光源403から出射された全ての光束を偏向走査するので、複数台のポリゴンミラー406を有する場合に比べて、光束特性として記憶すべき情報量を少なくすることができ、ROM443の大型化を抑制できる。
【0108】
ところで、偏向器として複数の反射面を有する回転多面鏡(ポリゴンミラー)を採用し、1台のポリゴンミラー406にて複数個の光源403から出射された全ての光束を偏向走査する手段としては、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法と、同一の反射面で偏向走査する手法とがあるが、同一の反射面で偏向走査する手法では、光源403から感光ドラム510まで光路が長くならざるを得ないので、光束の走査速度を等速化するfθレンズ407の設計が非常に難しくなる。
【0109】
一方、異なる2つの反射面で同時に偏向走査する手法では、fθレンズ407の設計が容易になるものの、異なる2つの反射面で同時に光束を偏向走査するので、例えば光源403の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0110】
これに対して、本実施形態では、複数の反射面を有し、複数本の光束を異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡(ポリゴンミラー406)を偏向器として用いていているので、fθレンズ407の設計が容易になるものの、各感光ドラム510毎の光束の特性がfθレンズ407の公差等で異なるので、例えば光源403の発光タイミング等を高い精度で制御する必要がある。
【0111】
しかし、本実施形態では、各感光ドラム510に対応した光束特性がROM443に記憶されているので、fθレンズ407の設計が容易にしつつ、例えば光源403の発光タイミング等を高い精度で制御することができる。
【0112】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、ポリゴンミラー406が特許請求の範囲に記載された偏向器に相当し、fθレンズ407が特許請求の範囲に記載された走査レンズに相当し、ミラー410〜419及びトーリックレンズ420が特許請求の範囲に記載された走査光学系に相当し、ケーシング430が特許請求の範囲に記載された筐体に相当し、ROM443が特許請求の範囲に記載された記憶装置に相当し、BDセンサ421が特許請求の範囲に記載された書出し基準位置検出センサに相当する。
【0113】
(第2実施形態)
本実施形態は、複数台のポリゴンミラー(偏向器)にて光源403から出射される光束を偏向走査するように構成したものである。
【0114】
図12は、本実施形態に係るスキャナユニット400の概略構造を示す図であり、本実施形態では、第1ポリゴンミラー406Aにて感光ドラム510K、510Cに導かれる光束が偏向走査され、第2ポリゴンミラー406Bにて感光ドラム510K、510Cに導かれる光束が偏向走査される。
【0115】
そして、本実施形態に係るROM443は、上記の光束特性に加えて、各ポリゴンミラー406A、406Bそれぞれの回転誤差に関する情報も記憶している。これは、各ポリゴンミラー406A、406Bの回転周期にずれがあると、第1ポリゴンミラー406Aにて走査された光束にて形成された静電潜像と第2ポリゴンミラー406Bにて走査された光束にて形成された静電潜像との間で位置ずれが発生してしまうからである。
【0116】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、偏向器として、回転多面鏡(ポリゴンミラー)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばレゾナントやガルバノ等を用いてもよい。
【0117】
また、上述の実施形態では、ポリゴンミラーの個数とBDセンサの個数とが一致していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、感光ドラム510の個数、つまり光源403の個数と同数のBDセンサを用いて、光束毎に露光開始タイミングを検出してもよい。
【0118】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタ100の要部を示す側断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスキャナユニット400の概略構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るスキャナユニット400の概略構成を表す上面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るレーザプリンタ100の電気系を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係るレーザプリンタ100の起動時(電源投入時)に制御装置110にて実行される制御を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態における走査直線性の記憶形式を示す概念図である。
【図7】本実施形態における走査線の軌跡の記憶形式を示す概念図である。
【図8】副走査方向における、各走査線の走査開始位置と基準位置L1〜L3とのずれ量を示す概念図である。
【図9】露光開始タイミングのずれを示す概念図である。
【図10】ポリゴンミラー406による光束の偏向走査を示す説明図である。
【図11】露光タイミングを示すタイムチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係るスキャナユニット400の概略構造を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
100…レーザプリンタ、103…筐体、105…排紙トレイ、107…排出部、
110…制御装置、180…略、200…画像形成部、300…フィーダ部、
301…給紙トレイ、303…給紙ローラ、307…搬送ローラ、
309…加圧ローラ、311…レジストローラ、313…レジストコロ、
350…搬送機構、351…駆動ローラ、353…従動ローラ、
355…搬送ベルト、360…ベルトクリーナ、390…排出ローラ、
400…スキャナユニット、401…半導体レーザ、402…コリメートレンズ、
403…光源、405…シリンドリカルレンズ、406…ポリゴンミラー、
407…fθレンズ、407A…fθレンズ、410〜419…ミラー、
413…ミラー、420…トーリックレンズ、421…BDセンサ、
430…ケーシング、431…スキャナフレーム、441…半導体レーザ駆動回路、
442…ポリゴンモータ駆動回路、500…プロセスカートリッジ、
510…感光ドラム、520…帯電器、530…トナー収容部、
531…トナー収容室、532…トナー供給ローラ、533…現像ローラ、
534…層厚規制ブレード、560…ケーシング、570…転写ローラ、
600…定着ユニット、610…加熱ローラ、620…加圧ローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の感光ドラムを有し、前記複数個の感光ドラムそれぞれに形成された現像剤像を重ね合わせることによりカラー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に適用され、
前記感光ドラムを露光して静電潜像を前記感光ドラムに形成する走査光学装置であって、
複数個の光源と、
前記光源から出射された光束を偏向走査する偏向器と、
前記偏向器にて偏向走査された各光束それぞれを、対応する前記感光ドラムに導く走査光学系と、
少なくとも前記偏向器及び前記走査光学系が組み付けられた筐体と、
前記感光ドラム上を走査される光束に関する特性が記憶され、かつ、半導体にて構成された記憶装置と
を備えることを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
1台の前記偏向器にて前記複数個の光源から出射された全ての光束を偏向走査することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記偏向器は、複数の反射面を有し、複数本の光束を、少なくとも異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡であり、
さらに、前記走査光学系は、少なくとも前記感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されていることを特徴とする請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、少なくとも前記各感光ドラム上を走査される走査線の走査直線性を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記走査線の走査直線性として、複数の区間に分割された前記走査線の走査時間を、各区間毎に記憶していることを特徴とする請求項4に記載の走査光学装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、少なくとも前記感光ドラム上を走査される走査線の軌跡を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記記憶装置は、前記走査線の軌跡として、複数の区間に分割された前記走査線の副走査方向の位置を、各区間毎に記憶していることを特徴とする請求項6に記載の走査光学装置。
【請求項8】
前記偏向器にて偏向走査された光束を検出する書出し基準位置検出センサを備え、
前記記憶装置は、少なくとも前記書出し基準位置検出センサが光束を検出した時を基準とした前記各感光ドラム毎の露光開始タイミングを、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の走査光学装置。
【請求項9】
前記記憶装置は、少なくとも前記回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線がなす角に関する情報を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項10】
前記偏向器にて偏向走査された光束を検出する、1個の書出し基準位置検出センサを備え、
前記走査光学系は、少なくとも前記感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されており、
前記回転多面鏡のうち前記書出し基準位置検出センサに向けて光束を偏向させる反射面の垂線と、前記回転多面鏡を挟んで前記書出し基準位置検出センサと反対側に光束を偏向走査する反射面の垂線とのなす角は、[360/n]×m±Δθで表され、
n:反射面の数
m:自然数
Δθ:回転多面鏡の隣り合う反射面のなす角の公差[rad]
f:走査レンズの焦点距離[mm]
r:解像度[dpi]
さらに、Δθの絶対値は、25.4/[r×f]より小さいことを特徴とする請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項11】
複数台の前記偏向器にて前記複数個の光源から出射された光束を偏向走査するとともに、前記複数台の偏向器は、複数の反射面を有して回転する回転多面鏡であり、
さらに、前記記憶装置は、少なくとも前記回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線のなす角に関する情報を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項12】
前記記憶装置は、少なくとも前記回転多面鏡それぞれの回転誤差に関する情報を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項11に記載の走査光学装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1つに記載の走査光学装置を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記記憶装置に記憶された光束に関する特性に基づいて前記画像形成手段の作動を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段は、電源投入時に、前記記憶装置に記憶された光束に関する特性を読み込むことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数個の感光ドラムを有し、前記複数個の感光ドラムそれぞれに形成された現像剤像を重ね合わせることによりカラー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に適用され、
前記感光ドラムを露光して静電潜像を前記感光ドラムに形成する走査光学装置であって、
複数個の光源と、
前記光源から出射された光束を偏向走査する偏向器と、
前記偏向器にて偏向走査された各光束それぞれを、対応する前記感光ドラムに導く走査光学系と、
少なくとも前記偏向器及び前記走査光学系が組み付けられた筐体と、
前記感光ドラム上を走査される光束に関する特性が記憶され、かつ、半導体にて構成された記憶装置と
を備えることを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
1台の前記偏向器にて前記複数個の光源から出射された全ての光束を偏向走査することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記偏向器は、複数の反射面を有し、複数本の光束を、少なくとも異なる2つの反射面で同時に偏向走査する回転多面鏡であり、
さらに、前記走査光学系は、少なくとも前記感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されていることを特徴とする請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、少なくとも前記各感光ドラム上を走査される走査線の走査直線性を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記走査線の走査直線性として、複数の区間に分割された前記走査線の走査時間を、各区間毎に記憶していることを特徴とする請求項4に記載の走査光学装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、少なくとも前記感光ドラム上を走査される走査線の軌跡を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記記憶装置は、前記走査線の軌跡として、複数の区間に分割された前記走査線の副走査方向の位置を、各区間毎に記憶していることを特徴とする請求項6に記載の走査光学装置。
【請求項8】
前記偏向器にて偏向走査された光束を検出する書出し基準位置検出センサを備え、
前記記憶装置は、少なくとも前記書出し基準位置検出センサが光束を検出した時を基準とした前記各感光ドラム毎の露光開始タイミングを、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の走査光学装置。
【請求項9】
前記記憶装置は、少なくとも前記回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線がなす角に関する情報を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項10】
前記偏向器にて偏向走査された光束を検出する、1個の書出し基準位置検出センサを備え、
前記走査光学系は、少なくとも前記感光ドラム上を走査される光束の走査速度を等速化する走査レンズを有して構成されており、
前記回転多面鏡のうち前記書出し基準位置検出センサに向けて光束を偏向させる反射面の垂線と、前記回転多面鏡を挟んで前記書出し基準位置検出センサと反対側に光束を偏向走査する反射面の垂線とのなす角は、[360/n]×m±Δθで表され、
n:反射面の数
m:自然数
Δθ:回転多面鏡の隣り合う反射面のなす角の公差[rad]
f:走査レンズの焦点距離[mm]
r:解像度[dpi]
さらに、Δθの絶対値は、25.4/[r×f]より小さいことを特徴とする請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項11】
複数台の前記偏向器にて前記複数個の光源から出射された光束を偏向走査するとともに、前記複数台の偏向器は、複数の反射面を有して回転する回転多面鏡であり、
さらに、前記記憶装置は、少なくとも前記回転多面鏡のうち隣り合う反射面の垂線のなす角に関する情報を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項12】
前記記憶装置は、少なくとも前記回転多面鏡それぞれの回転誤差に関する情報を、前記光束に関する特性として記憶していることを特徴とする請求項11に記載の走査光学装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1つに記載の走査光学装置を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記記憶装置に記憶された光束に関する特性に基づいて前記画像形成手段の作動を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段は、電源投入時に、前記記憶装置に記憶された光束に関する特性を読み込むことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−46548(P2008−46548A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224327(P2006−224327)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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