説明

超広角MEMSスキャナ

【課題】
MEMSを用いた広角の光スキャナを実現する。
【解決手段】
光マイクロスキャナは、曲面反射板30を用いて広い回転角を実現する。本光マイクロスキャナは、入射ビーム25を受信し反射して反射ビーム35を生成する可動ミラー30と、可動ミラー30の直線変位を発生させる微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータ40とを含む。曲面反射板は、可動ミラーの直線変位に基づいて反射ビーム35の角度回転θを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光学MEMSに関し、特に、MEMEを使用する光スキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(Micro Electro-Mechanical System、MEMS)とは、微細加工テクノロジーにより共通のシリコン基板上に、機械要素と、センサと、アクチュエータと、エレクトロニクス(電子機器)とを集積化したものを意味する。例えば、マイクロエレクトロニクスは、通常、集積回路(IC)プロセスを使用して作製されるが、マイクロメカニカル部品は、当該プロセスと同様のマイクロ機械加工プロセスを用いて、シリコンウェハの一部を選択的にエッチング除去したり新しい構造層を付加することにより機械部品及び電気機械部品を形成して作製される。MEMSデバイスは、低コストで、バッチ生産が可能であり、標準的なマイクロエレクトロニクスと互換性を持つことから、分光測定、形状測定、環境センシング、屈折率測定(又は材料認識)、その他のセンサ用途に適した魅力的な候補である。さらに、MEMSデバイスはサイズが小さいので、モバイルデバイスやハンドヘルドデバイスにMEMSデバイスを一体的に組み込むことができる。
【0003】
さらに、MEMS技術は、様々な駆動技術を適用することにより、光波長選択性やダイナミックセンシングなどの、フォトニック装置としての新しい機能や特徴を実現することができる。光スキャナは、多くの産業分野において重要な要素であり、バー・コード・リーダ、自由空間でのレーザー走査、光通信及び光監視、レーザーレーダー、あるいは、光干渉断層撮影及び画像生成等々の分野で用いられている。MEMS技術を用いて光スキャナを作製することにより、新規かつ革新的な用途、たとえば、内視鏡、光学顕微鏡、あるいは、携帯性及び可動性を必要とする様々な用途において、光スキャナを使用することができるようになる。小型であること、作製コストが低いことなどの、バッチ生産と低消費電力に起因した、MEMS技術によって提供される本質的な利点に加えて、MEMSマイクロスキャナは、同一パッケージ内にレーザ光源をも組み込んだ一つの完結したシステムの実現を可能とする。
【0004】
このため、ここ10年の間に産業分野及び学術分野において、MEMS技術を使用する1次元及び2次元光マイクロスキャナについての研究が盛んに行われている。ほとんどの研究は、回転ミラーを用いた構成に基づいており、当該回転ミラーは、表面マイクロ機械加工技術を用いて基板平面に作製されるか、又は、SOI技術におけるDRIE(Deep Reactive Ion Etching、深堀反応性イオンエッチング)を使用して基板に垂直な平面内に構築される。駆動力としては、構造たわみを利用する電気加熱力(electrothermal force)や、櫛形駆動アクチュエータを用いた静電気力などが提案されている。
【0005】
現在の研究では、回転角の広いマイクロミラーを生成することに重点が置かれている。しかし、広い回転角(すなわち、40又は50度)を達成するには、マイクロエレクトロニクス技術においては一般に用いられていないポリアミドや磁性材料のような特殊な材料を用いることとなるため、回転ミラーを用いた構成のほとんどにおいて、その回転角はおよそ±10度の範囲が限度となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、MEMSを用いた広角の光スキャナを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、広い回転角を実現することのできる光マイクロスキャナに関する。一実施形態では、光マイクロスキャナは、入射ビームを受信するよう光学的に結合され、当該入射ビームを反射して反射ビームを生成する可動ミラーと、該可動ミラーに結合されて該可動ミラーに直線変位を発生させる微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータと、前記可動ミラーの直線変位に基づいて反射ビームの角度回転を生じさせる曲面反射板と、を含む。
【0008】
一例である実施形態では、可動ミラーは曲面反射板である。本実施形態では、曲面反射板は、直線方向に移動することができ、当該曲面反射板の各位置に応じて入射ビームの入射角が異なるように構成されている。
【0009】
他の一例である実施形態では、曲面反射板は、可動ミラーから反射された反射ビームを受信するように光学的に結合され、反射ビームを反射して第2の反射ビームを生成するよう動作可能に構成されている。本実施形態では、可動ミラーの直線変位は、曲面反射板に入射する反射ビームの横方向位置を変位させ、曲面反射板は、反射ビームの当該横方向の変位を第2の反射ビームの角度回転に変換する。
【0010】
さらに他の一例である実施形態では、光マイクロスキャナは、イメージングデバイス(画像生成デバイス)であり、入射ビームには、画像生成の対象である物体から曲面反射板に入射する光が含まれる。本実施形態では、曲面反射板は、入射ビームを可動ミラーへ向けて反射し、可動ミラーからの光を光検出器が受信して、物体画像の画素を計測する。可動ミラーの直線変位は、検出器に対し一度に1画素分の光を投影し、連続したデータストリームを生成して画像を表現する。
【0011】
さらに他の一例である実施形態では、光マイクロスキャナは分散素子型分光計(dispersive element spectrometer)であって、本分光計は、入射ビームを受信するよう光学的に結合され、当該入射ビームを回折して、曲面反射板の異なる位置に向かう、相異なる波長範囲を持つ複数の入射ビームを生成する回折格子を備えている。本分光計は、さらに、可動ミラーから複数の入射ビームのうちの1つに対応する反射ビームを受信するよう光学的に結合された検出器を備えており、可動ミラーの直線変位は、一度に複数の入射ビームのうちの1つを上記検出器に反射して、上記検出器に連続データストリームを生成させる。
【0012】
さらに他の一例である実施形態では、光スキャナは、2次元スキャナである。本実施形態では、可動ミラーは、第1の平面内で移動可能である第1の可動ミラーと、第1の平面に直交する第2の平面内で移動可能である第2の可動ミラーと、を含む。第1の可動ミラーは、入射ビームを受信するよう光学的に結合され、入射ビームを反射して第2の可動ミラーへ向かう第1の反射ビームを生成し、第2の可動ミラーは、第1の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、第1の反射ビームを反射して前記曲面反射板に向かう第2の反射ビームを生成する。さらに、曲面反射板は、第2の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、第2の反射ビームを反射して、前記第1の可動ミラー及び前記第2の可動ミラーのそれぞれの直線変位の結果として生成された第1の平面内及び第2の平面内における角度変位をもった第3の反射ビームを生成する。2次元光スキャナは、例えば、2次元イメージングデバイスに利用することができる。
【0013】
本発明の実施形態は、光マイクロスキャナを作製する方法をさらに提供する。この方法は、上面及び下面を有するシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハを準備するステップと、上記SOIウェハの上面に、入射ビームを受信するよう光学的に結合され、入射ビームを反射して反射ビームを生成する可動ミラーと、前記可動ミラーに結合され前記可動ミラーに直線変位を発生させる微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータと、前記可動ミラーの直線変位に基づいて反射ビームの角度回転を発生させる曲面反射板とを、フォトリソグラフィ的に画定するステップと、を含む。この方法は、さらに、SOIウェハの上面とSOIウェハの下面との間でエッチングを行って、上記可動ミラーと上記アクチュエータとを分離させるステップをさらに含む。
【0014】
本発明のより完全な理解は、添付図面と併せて利用されるときに以下の詳細な説明を参照して達成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る光マイクロスキャナの、動作の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る図1の光マイクロスキャナによって生成される、広い角度回転を示す図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る、360度の角度回転を発生することのできる光マイクロスキャナの一例を示す図である。
【図3B】本発明の実施形態に係る、360度の角度回転を発生することのできる光マイクロスキャナの一例を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る他のマイクロスキャナの一例を示す図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る他のマイクロスキャナの一例を示す図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る広角光マイクロスキャナの一例を備えた、イメージング・デバイスの一例を示す図である。
【図5B】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナの一例を備えたイメージング・デバイスの一例を示す図である。
【図5C】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナの一例を備えたイメージング・デバイスの一例を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る、分散素子型分光計の一例を備えた広角光マイクロスキャナの一例を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態に係る、分散素子型分光計の一例を備えた広角光マイクロスキャナの一例を示す図である。
【図7A】本発明の実施形態に係る2次元光マイクロスキャナの一例を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態に係る2次元光マイクロスキャナの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナの一例を備えた2次元イメージング・デバイスの一例を示す図である。
【図9A】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9B】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9C】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9D】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9E】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9F】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9G】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9H】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9I】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【図9J】本発明の実施形態に係る、広角光マイクロスキャナを作製する作製プロセスのステップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態による光マイクロスキャナは、180度あるいはそれ以上の角度に及ぶ超広角を提供する。幾何学的構造により、曲面反射板を用いて直線運動を空間内における光ビームの回転に変換する。この構造は、マイクロスキャナの走査角を大幅に増大させ、空間内において180度以上のほぼ完璧な回転を実現することができる。本発明の光マイクロスキャナは、バーコードリーダ、レーザー投影システム、光スキャナ、2次元あるいは3次元の光干渉断層撮影などの、マイクロスキャニングを必要とする用途のほか、赤外線(Infra Red、IR)、紫外線(Ultra Violet、UV)、又はX線による画像生成などの、イメージングの用途にも使用することができる。
【0017】
図1には、本発明の実施形態に係る光マイクロスキャナの一例が示されている。
光マイクロスキャナ10は、図9Aないし9Jを用いてより詳細に後述されるように、例えば、1回のリソグラフィステップと、古くからあるメタライゼーションと共に、従来のMEMS技術を用いて作製することができる。
【0018】
光マイクロスキャナ10は、光源20と、曲面反射板30と、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータ40とを含む。光源20は、例えば、レーザー光源、コリメートLED(collimated LED)、光ファイバ、その他のタイプの光源を用いることができる。光源20は、可視光、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線、又は、マイクロ波放射を生成するものとしてもよい。MEMSアクチュエータ40は、静電櫛形駆動アクチュエータ(electrostatic comb-drive actuator)あるいはその他のタイプのMEMSアクチュエータとしてもよい。曲面反射板30は、ミラーあるいはその他のタイプの反射面とすることができる。図1に示された曲面反射板30は、凸面形状を有している。しかし、他の実施形態では、曲面反射板30は、凹面形状を有していてもよい。
【0019】
曲面反射板30は、光源20から入射ビーム25を受信するように光学的に結合されており、入射ビーム25を反射して反射ビーム35を生成する。MEMSアクチュエータ40は、曲面反射板30に直線変位又は曲線変位を発生させる。曲面反射板30は、直線変位又は曲線変位を空間内の角度回転θに変換する。光源20に対する曲面反射板30の位置に応じて、入射ビーム25は、異なる入射角を持つこととなるので、反射ビーム35は異なる反射角をもつものとなる。これにより、光マイクロスキャナ10は、180度に及ぶ広い回転角をもった走査ビームを生成することができる。
【0020】
例えば、図2に示されるように、曲面反射板30は、入射ビーム25の方向と直交する方向に変位45を与えることができるので、光源20が固定されていても、曲面反射板30は異なる反射角を有する反射ビーム35を発生させることができる。すなわち、曲面反射板の直線変位45は、空間内における、ほぼ180度にわたる反射ビーム35の回転に変換される。
【0021】
図3A及び3Bに示すように、曲面反射板30の形状は、曲面反射板30の直線運動により空間内において360度の完全なビーム回転が発生するように設計することができる。図3A及び3Bでは、曲面反射板30は、部分回転楕円体又は球体の形状を有しており、この形状により、曲面反射板30が入射ビーム25と直交する方向へ直線変位45が与えられたとき、光源20からの入射ビーム25は、曲面反射板30の上面及び下面のいずれにも入射することができる。しかし、本実施形態では、走査角の一部分は、光源20によってマスクされることがある。
【0022】
図4A及び4Bは、本発明の実施形態に係る他の光マイクロスキャナの一例を示している。図4A及び4Bでは、(図1に示すように)曲面反射板30を変位させるためにMEMSアクチュエータを使用するのではなく、MEMSアクチュエータにより、ミラー50に直線変位を発生させる。ミラー50は、当該ミラーの直線的又は曲線的な運動45がビームの横方向の変位を発生させるように、運動方向45又は光入射ビーム25の方向に対して適切な角度(例えば、45度その他の角度)を持つように設定することができる。ビームの横方向の変位は、次に、曲面反射板30から反射されてビーム回転に変換される。これは、ミラー50の各位置において、それぞれ、曲面反射板の異なる傾斜部分に向けてビームが反射するためである。角度付きミラー50を平面ミラー又は曲面ミラーとし、曲面反射板30の曲率に起因して起こり得るビーム変形を補償してもよい。
【0023】
動作の一例として、移動ミラー50は、入射ビーム25を受信して反射するように光学的に結合され、移動ミラーの位置に応じて、固定曲面反射板30上の点に向けて反射ビーム55を生成する。曲面反射板30は、反射ビーム55を再び反射し、移動ミラー50の運動に基づいて、空間内に角度回転した第2の反射ビーム35を生成する。
【0024】
図5Aに示されるように、光マイクロスキャナは、逆に、像又は点のアレイを画像化するのに用いることもできる。本実施形態では、光マイクロスキャナは、レンズ70と、曲面反射板30と、移動ミラー50と、検出器80と、画像プロセッサ90とを含む画像化装置95の内部に設けられている。検出器80は、例えば、光その他の電磁エネルギーの強度を検知又は測定することのできる任意の種類の光センサ又は光検出器とすることができる。画像プロセッサ90は、1台の処理装置でもよく、又は、複数の処理装置でもよい。このような処理装置は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブルロジックデバイス、ステートマシン、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は、回路及び/又は演算命令のハードコーディングに基づいて信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作する何らかの装置とすることができる。画像プロセッサ90は、これに関連付けられたメモリ及び/又はメモリ素子を有するものとすることができる。これらのメモリ又はメモリ素子は、1台のメモリ装置、複数のメモリ装置、及び/又は、当該プロセッサの組込回路で構成することができる。このようなメモリ装置は、リード・オンリー・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又は、デジタル情報を記憶する何らかの装置でもよい。
【0025】
動作の一例として、画像化対象である物体60から反射/散乱された光は、投影レンズを通して集められ、曲面反射板30に入射25する。曲面反射板は、入射ビーム25を反射して反射ビーム35を生成し、反射ビーム35は、集光されて、移動角度付きミラー50の前方の空間内に像を形成する。角度付きミラーの運動45により、一度に1画素分の光が反射ビーム55として検出器80に投影され、その結果、画像は連続ストリームに変換されて画像プロセッサ90に出力される。画像プロセッサ90は、連続データストリームから物体60の画像を再構成する。曲面反射板30は、広角視野の像又は移動角度付きミラー50によって走査される直線状の小部分の像を集めるため使用される。検出器のアレイを必要とせず、1台の検出器80だけで物体60の像全体を捕捉することができるので、図5Aに示された画像化装置95のコストは、検出器アレイを利用するイメージングデバイスと比べて大幅に低減される。
【0026】
図5B及び5Cに示すように、ミラー移動範囲が短く、像全体の幅をカバーできない場合、2台以上の移動ミラーM1及びM2を、これらに対応する検出器D1及びD2と共に用いて、像を走査することができる。本実施形態では、図5Bに示すように、像を曲面反射板30の両側に反射するようにしてもよいし、図5Cに示すように、像を曲面反射板の片側の長い範囲に反射して、異なる複数の移動ミラーによって当該範囲を連続的にカバーするようにしてもよい。画像プロセッサ90は、異なる画像部分間の同期を調整することにより、2つの連続データストリームから画像を再構成することができる。
【0027】
例えば、図5Bに例示されたイメージングデバイスの動作では、入射ビーム25は曲面反射板30によって反射され、曲面反射板30上の位置と入射ビーム25の入射角とに応じて、M1又はM2のうちのいずれか一方にそれぞれ向かう反射ビーム35a及び35bとなる。角度付きミラーM1及びM2は、それぞれ、反射ビーム35a及び35bを対応する検出器D1及びD2へ向けて反射し、第2の反射ビーム55a及び55bを生成する。各角度付きミラーM1及びM2の角度付きミラー運動45により、一度に1画素が検出器D1及びD2に投影される。検出器D1及びD2は、それぞれ連続データストリームを生成し、当該連続データストリームは(図5Aに示された)画像プロセッサに供給されて、画像の結合及び再構成が行われる。
【0028】
図5Cに例示したイメージングデバイスの動作では、入射ビーム25は、曲面反射板30によって反射されて反射ビーム35となる。曲面反射板30上の位置と入射角とに応じて、反射ビームは、M1又はM2のうちの一方へ向かう。M1及びM2は、反射ビーム35が角度付きミラーM1及びM2のうちの一方だけに受信されるように、実質的に重なり合わない直線運動の範囲を有している。角度付きミラーM1及びM2は、それぞれ、反射ビーム35を検出器D1及びD2へ向けて反射し、第2の反射ビーム55a及び55bを生成する。各角度付きミラーM1及びM2の角度付きミラー運動45により、一度に1画素が検出器D1及びD2に投影される。検出器D1及びD2は、それぞれ、連続データストリームを生成し、当該連続データストリームは(図5Aに示された)画像プロセッサに供給されて、画像の結合及び再構成が行われる。
【0029】
図示されていないが、他の実施形態では、像の異なる走査部分を異なる曲面反射板により1台の検出器に反射する場合、当該1台の検出器に対して2台の移動ミラーを設けてもよい。例えば、検出器は、曲面反射器である放物面の焦点に配置することができる。
【0030】
一般に、本発明に係る光マイクロスキャナの角度付き移動ミラーは、任意の用途において、検出器のアレイを1台の検出器に置き換えることを可能とする。さらに、本発明に係る光マイクロスキャナの、角度付き移動ミラーに組み合わされた曲面反射板は、異なる方向からの光を集めるための検出器のアレイを、1台の検出器に置き換えることを可能とする。
【0031】
図6A及び6Bでは、検出器アレイを1台の検出器に置き換えることのできる、本発明に係る光マイクロスキャナの他の構成として、分散素子型分光計(dispersive element spectrometer)100を用いた構成が示されている。図6Aから分かるように、分光計100は、光源100と、投影レンズ120と、回折格子130と、曲面反射板30と、移動角度付きミラー50と、検出器140と、プロセッサ150とを含む。光源20は、例えば、レーザ光源、コリメートLED、光ファイバ、又はその他のタイプの光源とすることができる。光源20は、可視光(図示)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線、又はマイクロ波放射を生じるものとすることができる。回折格子130は、光を異なる方向に進むいくつかのビームに分離し回折する光学部品である。これらのビームの方向は格子の間隔と光の波長とに依存するので、回折格子は分散素子として機能する。図6Aには透過型格子130が示されているが、他の実施形態では、反射型格子を使用することもできる。
【0032】
検出器140は、例えば、光その他の電磁エネルギーの強度を検知又は測定することのできる任意のタイプの光センサ又は光検出器とすることができる。プロセッサ150は、1台の処理装置でもよく、又は、複数の処理装置でもよい。このような処理装置は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブルロジックデバイス、ステートマシン、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は、回路及び/又は演算命令のハードコーディングに基づいて信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作する何らかの装置でもよい。プロセッサ150は、当該プロセッサに関連付けられたメモリ及び/又はメモリ素子を有することができ、当該メモリ及び又はメモリ素子は、1台のメモリ装置、複数のメモリ装置、及び/又は、当該プロセッサの組込回路で構成することができる。このようなメモリ装置は、リード・オンリー・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又は、デジタル情報を記憶する何らかの装置でもよい。
【0033】
動作の一例として、光源100からの光は、投影レンズ120を介して回折格子130に投影される。回折格子130は、各色/波長の光が、曲面反射板30への入射ビーム25として異なる位置に向かうように設計されている。曲面反射板30は、図6Aにおいては凹面形状を有するものとして示されているが、他の実施形態においては、曲面反射板30は、凸面形状を有するものとすることができる。曲面反射板30は、各色/波長の光を反射して、それぞれ移動角度付きミラー50へ向かう反射ビーム35を生成する。角度付きミラーの運動45により、反射光35をスキャンして、角度付きミラー50が一度に1つの色/波長55を1台の検出器140へ反射するようにすることができる。プロセッサ150は、検出器140から連続データストリームを受信し、検出器140が各測定を行った時の角度付きミラー50の位置情報を用いて、着目した色/波長毎の強度を決定することができる。
【0034】
IR及びUV分光計では検出器アレイが高価となり得るが、本発明の光マイクロスキャナをこのような分光計に用いれば、1台の検出器で構成することができるので、IR及びUV分光計のコストを大幅に低減することができる。本発明の光マイクロスキャナによれば、ミラー50の位置とサイズを適切に選択するだけで、付加的なコストを生ずることなく、分解能を改善することが可能となる。例えば、反射ミラーのサイズによってスペクトル分解能が決定されるように、幅狭ミラー50を用いることができる。本実施形態では、ミラーサイズは、回折格子130のスリット(開口部)のサイズ、又は、検出器140の画素サイズと等しくすることができる。
【0035】
他の実施例として、空間におけるミラーエッジの位置によって表される或るミラー位置xにおいて、マイナス無限大からxまでの総電力が検出器140に反射されるように、幅広移動ミラー50を用いることができる。本実施形態では、検出器140によって測定された電力は、
【数1】

によって与えらる。ここで、F(x)は、ミラーの移動軌跡において当該ミラーによって覆われたラインのx方向の電力分布であり、座標xが波長(又は、光周波数)を表すことから、F(x)は、分散素子によって作り出された空間内のスペクトル分布でもある。F(x)を知ることが、分光計測定の目的である。P(x)からF(x)を得るため、プロセッサ150は、xについての単純な微分、すなわち、
【数2】

を適用することができる。よって、P(x)を測定し、xについて微分すれば、関数F(x)、すなわち、スペクトルを得ることができる。本実施形態では、F(x)を特定する際の分解能は、ミラーサイズではなく、むしろx方向での最小のミラーステップ運動に依存する。最小ミラーステップ運動は、電子駆動回路によって制限されるだけであるので、ミラーステップ運動を単純に縮小すれば分解能を高めることができる。他の実施形態では、分解能は、ソフトウェアによっても調整することができる。
【0036】
しかし、本構成において検出器140によって測定される電力は、小型ミラー構成において測定される電力より遙かに高く、FTIR分光計における多重化効果と同様の効果により分光計の信号対雑音比が大幅に増す。したがって、他の実施形態では、本構成を、図6Bに示されるような2台の検出器D1及びD2を用いて構築することもできる。図6Bでは、2台の検出器D1及びD2は相補的に動作し、したがって、
【数3】

であり、一方、
【数4】

である。したがって、
【数5】

である。結果として、スペクトルのための微分出力がプロセッサ150に出力され、(当該プロセッサ150内部での単純な減算により)信号に関連する雑音の少なくとも一部を除去することができ、かつ、光源110における何らかの変動の効果も除去することができる。さらに、検出器によって集められた電力はミラー位置の関数であり、これを微分することにより、強度分布をミラーエッジ位置の関数として取得することができる。
【0037】
本発明の光マイクロスキャナは、2次元スキャン動作に拡張することもできる。図7Aは、直交する運動経路を有する2台のミラー50a(M1)及び50b(M2)を用いた2次元スキャナの概略図を示している。図7Aでは、スキャンはXY平面内で行われる。これを行うため、2台のミラーのうちの一方(M1)はXZ平面と45度の角度を為し、他方のミラー(M2)はXY平面と45度の角度を為し、入力光源20はY方向に光を放出する。したがって、光ビームは、光源20から放出されて、M1、M2へと向かい、その後、XYドメイン内に配置された光マイクロスキャナの上方のエリアに向かう。ビームのX位置45bは、ミラーMを移動することにより制御でき、ビームのY位置45aは、ミラーM位置によって制御できる。Mの移動距離L及びMの移動距離Lにより、大きさL×Lのエリアが完全にスキャンされる。
【0038】
図7Bに例示する実施形態では、Mは、少なくともミラーMの走行範囲に等しい長さをもつ長い反射面を有している。2つのミラーによりカバーされたエリアは、次に、曲面反射板30を再び使用してX変位がθビーム回転85に変換され、Y変位がφビーム回転95に変換されて、空間内の広い角度範囲がスキャンされる。曲面反射板30は球体として示されているが、曲面反射板30は、放物面又は楕円面のような何らかの3次元反射板であればよい。使用される表面を表す式に従って、空間内の角度θ、φと、対応する平面(エリア)内の変位X及びYとの間の関係を決定するアルゴリズムを確定することができる。さらに、カバーすべき角度範囲に応じて、球体の4分の1(又は、いくらかの部分)があれば十分な場合もあるので、完全な球体は必要とされない。他の実施形態では、球体の代わりに円柱を使用することもできる。ただし、このような実施形態のスキャン動作では、1つの平面内において広い角度範囲をカバーし、次に、ステップdxだけ移動させて、別の平面内で同じ角度範囲で再度スキャンを行い、これを同様に繰り返す。すなわち、このスキャン動作では、1つの平面内において角度方向のスキャンを行い、この平面に垂直な方向においては直線的なスキャンを行う。
【0039】
2台の移動ミラーM1及びM2を用いる上記2次元スキャンニング技術は、イメージング(画像生成)用途に使用することもできる。本実施形態では、小さなエリア(L×L)に投影された像を、2台の移動ミラーM1及びM2を使用してスキャンし、その後に、連続的な一連のデータを1台の検出器を用いて集めて再現することができる。検出器のアレイをたった1台の検出器と2台の移動ミラーとによって置き換えることができるので、IRイメージングデバイスなど多くのイメージングデバイスのコストを大幅に低減することができる。このようなイメージングデバイスにおける一画素に相当する領域の大きさは、ミラー運動の速度や検出器の面積(又は入射瞳)のほか、検出器の背後にあるデータ捕捉システム(画像プロセッサ)により決定することができる。
【0040】
例えば、図8は、本発明の一実施形態による広角光マイクロスキャナを備えた2次元イメージングデバイスの一例を示している。図8では、2台の傾斜ミラー50a(M1)及び50b(M2)が反対方向に移動する。したがって、2台のミラーM1及びM2の辺は、2つの軸X及びY、すなわち、スキャン対象である像の2つの次元を表わしている。画像全体のスキャンは、1つのミラー、すなわち、M1を、X方向にステップdxだけ移動させつつ、M1の一つの位置に対し第2のミラーM2により一本のイメージラインの全体をスキャンすることで実行することができる。このスキャン動作は、画像エリア160の全体が検出器30によって測定されるまで、各X位置ごとに繰り返すことができる。その後、微分を実行して、最終的な像を取得することができる。
【0041】
上記構造は、微小電気機械システム(MEMS)テクノロジーを用いて作製することができる。本発明の実施形態に係る広角光マイクロスキャナを作製するための作製プロセスステップの一例を、図9Aないし9Jに示す。図9Aでは、SOIウェハ(層200ないし220)の上でアルミニウムをスパッタするステップを実行し、アルミニウム層230を形成する。アルミニウム層230は、その後に行われるSOIウェハの上部シリコン層220についての、DRIEを用いたエッチングを行う際の、マスクとしての機能を果たす。図9Bでは、フォトレジスト材料240をアルミニウム層の上にスピン塗布する。図9Cでは、リソグラフィステップを実行して、マイクロスキャナを形成する。フォトレジスト材料240におけるリソグラフィパターンは、図9Dに示すように、アルミニウム層に対する塩素プラズマエッチングによって、アルミニウムマスク230に転写される。その後、図9Eに示すように、ウェハに対し、SOIの酸化物エッチストップ層210に達するまでDRIEを実行する。次に、図9Fに示すように、残りのアルミニウムマスク230を、Aluエッチを用いて除去する。
【0042】
次に図9Iでは、シャドーマスク260を用いて、マイクロミラーと反射面の選択的メタライゼーション270を行うと共に、接続パッドを作製する。図9Iに示されるように、シャドーマスク260をSOI基板200ないし220の上に置き、上部シリコン層220の望ましい部分にCr/Au270を選択的にスパッタリングする。IR領域で行われるイメージング用途の場合には、イメージングに必要とされる投影レンズも、(SOI技術を用いる場合には)同じ方法で作製することができる(SiはIRにおいて透明であるためである)。図9Jに示されるように、櫛形フィンガー、スプリング、及び、移動ミラーのような移動構造体は、HFにより埋込SiO層210をエッチングすることで分離されるが、固定構造体は、その下にSiOのエリアが広く存在するため分離されない。
【0043】
(図9Eに示された)DRIEエッチングにボッシュプロセスを使用する実施形態では、ボッシュプロセスの周期的性質に起因してミラー表面が粗くなる場合がある。このため、図9Gに示すように、表面に薄い酸化物層250を成長させ、次に、図9Hに示すように、構造体分離前にHFによりこの薄い酸化膜層を取り除くことは、より滑らかなミラー表面の確保に役立つ場合がある。しかし、図9Eにおいて極低温DRIEプロセスが用いられる場合には、より滑らかな表面がエッチング後に直接的に得られるので、図9G及び9Hに示したプロセスステップは不要であろう。さらに、このプロセスは、極低温ではフォトレジスト材料とシリコンとの間により高い選択性を持つ傾向があるので、図9Aに示されたアルミニウムマスクが不要となる場合もある。
【0044】
2次元スキャン又はイメージングの用途の場合にも、図9Aないし9Jに示された同じプロセスフローを用いて構造体が作製することができる。ただし、基板平面に対し45度の角度をもつ反射面を得るために、マスク開口部をウェハ結晶面に対して適切な方向に配置して行う異方性エッチングや時間制御異方性エッチング(time controlled anisotropic etching)を実行する場合がある。さらに、2次元スキャン用途における反射球体(又は、一般に曲面反射板)は、システム全体のパッケージングの一部として、カバー用基板の上に独立に作製してもよい。
【0045】
当業者によって認識されるように、本願において記載された革新的な概念は、広範囲の用途に亘って変形され、変更される可能性がある。したがって、特許主題の範囲は、検討された特定の典型的な教示のいずれにも限定されるべきではなく、その代わりに、請求項に記載された事項によって定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射ビームを受信するように光学的に結合され、前記入射ビームを反射して反射ビームを生成する可動ミラーと、
前記可動ミラーに結合され、前記可動ミラーに直線変位を発生させる微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータと、
前記可動ミラーの直線変位に基づいて反射ビームに角度回転を生じさせる曲面反射板と、
を備える光マイクロスキャナ。
【請求項2】
前記可動ミラーは前記曲面反射板であり、前記曲面反射板は、直線方向に移動可能であって、前記曲面反射板の各位置に応じて入射ビームの入射角が異なるように構成されている、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項3】
前記曲面反射板は、前記可動ミラーから反射された反射ビームを受信するように光学的に結合され、反射ビームを反射して第2の反射ビームを生成する、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項4】
前記可動ミラーの直線変位は、前記曲面反射板に入射する前記反射ビームの横方向変位を生じさせ、前記曲面反射板は、前記反射ビームの横方向変位を第2の反射ビームの角度回転に変換する、請求項3に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項5】
入射ビームを前記可動ミラーの方へ出射する光源をさらに備え、前記可動ミラーの直線変位は、前記光源の平面に垂直である、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項6】
前記可動ミラーは、入射ビームの平面に関してある角度で固定されている、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項7】
前記角度は45度である、請求項6に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項8】
前記可動ミラーは、平面ミラー又は曲面ミラーのうちのいずれかである、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項9】
前記曲面反射板は、凸面形状又は凹面形状のうちの一方を有している、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項10】
前記光マイクロスキャナは、イメージングデバイスであり、
前記入射ビームは、画像化対象である物体から前記曲面反射板に入射する光を含み、
前記曲面反射板は、入射ビームを前記可動ミラーへ向けて反射するよう構成されており、
さらに、
前記可動ミラーから反射ビームを受信するように光学的に結合され、物体の画像の画素を測定する検出器を備え、
前記可動ミラーの直線変位は、一度に1画素分の光を前記検出器に投影して、画像を表現する連続データストリームを生成する、
請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項11】
前記曲面反射板から反射された他の入射ビームから、他の反射ビームを生成するよう光学的に結合された他の可動ミラーであって、当該他の反射ビームを前記検出器へ出射して、前記光検出器に前記画像の異なる部分を表現する他の連続データストリームを生成させるように構成された可動ミラーと、
前記連続データストリームに基づいて前記物体の画像を生成する画像プロセッサと、
をさらに備える、請求項10に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項12】
前記他の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、前記画像の前記異なる部分に対応する前記他の連続データストリームを生成する検出器をさらに備える、請求項11に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項13】
前記光マイクロスキャナは、分散素子型分光計であり、さらに、
入射ビームを受信するよう光学的に結合され、当該入射ビームを回折して、前記曲面反射板の異なる位置に向かう、相異なる波長範囲を持つ複数の入射ビームを生成する回折格子と、
前記可動ミラーから前記複数の入射ビームのうちの1つに対応する反射ビームを受信するよう光学的に結合された検出器と、
を備え、
前記可動ミラーの直線変位は、一度に複数の入射ビームのうちの1つを前記検出器に反射して、前記検出器に連続データストリームを生成させるように構成されている、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項14】
前記複数の各入射ビームの波長範囲は、それぞれ、異なる単一の波長を含み、前記可動ミラーは、前記回折格子のスリットのサイズと実質的に等しいサイズを有している、請求項13に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項15】
前記複数の各入射ビームの波長範囲は、複数の重なり合う波長を含み、
前記連続データストリームを微分して各波長の強度を算出するプロセッサをさらに備える、請求項13に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項16】
前記曲面から反射された前記複数の入射ビームを受信するよう光学的に結合され、他の相補的な連続データストリームを生成する検出器をさらに備え、
前記プロセッサは、前記連続データストリーム及び前記他の相補的な連続データストリームを微分して各波長の強度を算出する、請求項15に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項17】
前記光スキャナは、2次元スキャナであり、
前記可動ミラーは、第1の平面内で移動可能である第1の可動ミラーと、第1の平面に直交する第2の平面内で移動可能である第2の可動ミラーとを含み、
前記第1の可動ミラーは、入射ビームを受信するよう光学的に結合され、入射ビームを反射して第2の可動ミラーへ向かう第1の反射ビームを生成し、
前記第2の可動ミラーは、第1の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、第1の反射ビームを反射して前記曲面反射板に向かう第2の反射ビームを生成し、
前記曲面反射板は、第2の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、第2の反射ビームを反射して、前記第1の可動ミラー及び前記第2の可動ミラーのそれぞれの直線変位の結果として生成された第1の平面内及び第2の平面内における角度変位をもった第3の反射ビームを生成するよう構成されている、
請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項18】
前記光スキャナは、2次元イメージングデバイスであり、
前記可動ミラーは、第1の平面内で移動可能である第1の可動ミラーと、第1の平面に直交する第2の平面内で移動可能である第2の可動ミラーとを含み、
前記曲面反射板は、入射ビームを受信するよう光学的に結合され、入射ビームを反射して前記第1の可動ミラーへ向かう第1の反射ビームを生成し、
前記第1の可動ミラーは、第1の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、第1の反射ビームを反射して第2の可動ミラーへ向かう第2の反射ビームを生成し、
前記第2の可動ミラーは、第2の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、第2の反射ビームを反射して第3の反射ビームを生成し、
さらに、
前記第2の可動ミラーから第3の反射ビームを受信するよう光学的に結合され、第3の反射ビームに対応する2次元画像の画素を測定する検出器を備え、
前記第1の可動ミラー及び前記第2の可動ミラーの直線変位は、2次元において一度に1つ画素分の光を前記検出器へ投影して、前記検出器に2次元画像を表現する連続データストリームを生成させるよう構成されている、
請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項19】
前記曲面反射板と前記可動ミラーとは、単一のリソグラフィステップにおいて位置決めされ加工される、請求項1に記載の光マイクロスキャナ。
【請求項20】
上面及び下面を有するシリコン・オン・インシュレータ(silicon on insulator、SOI)ウェハを準備するステップと、
入射ビームを受信するよう光学的に結合され、入射ビームを反射して反射ビームを生成する可動ミラーと、前記可動ミラーに結合され前記可動ミラーに直線変位を発生させる微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータと、前記可動ミラーの直線変位に基づいて反射ビームの角度回転を発生させる曲面反射板とを、前記SOIウェハの上面にフォトリソグラフィ的に画定するステップと、
前記SOIウェハの前記上面と前記SOIウェハの前記下面との間でエッチングを行って、前記可動ミラーと前記アクチュエータとを分離させるステップと、
を含む、光マイクロスキャナを作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【公表番号】特表2012−524294(P2012−524294A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505965(P2012−505965)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031416
【国際公開番号】WO2010/121148
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511248294)シーウェア システムズ (5)
【氏名又は名称原語表記】SI−WARE SYSTEMS
【Fターム(参考)】