説明

超音波振動子、及び超音波モータ

【課題】簡略な構成の超音波振動子及び超音波モータを提供すること。
【解決手段】略直方体形状を呈する当該超音波振動子40の中心軸に垂直な断面を構成する短辺と長辺との長さの比率が、前記中心軸方向に伸縮する縦振動と、前記中心軸を捻れ軸とする捻れ振動と、の共振周波数を略一致させる比率に設定されており、前記縦振動と前記捻れ振動とが同時に励起されることで楕円振動が励起される超音波振動子40を次のように構成する。すなわち、当該超音波振動子40に励起される前記縦振動の節部且つ前記捻れ振動の腹部に対応する位置に配置された積層圧電素子40p振動子40と、前記積層圧電素子40pを前記中心軸方向における一方側と他方側とから挟み込む一対の弾性体である第1の弾性体40e1及び第2の弾性体40e2と、を超音波振動子40に具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧電素子等の超音波振動子、及び該超音波振動子を用いた超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、圧電素子等の振動子の振動を利用した超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギア無しで低速高推力が得られる点、保持力が高い点、高分解能である点、静粛性に富む点、及び磁気的ノイズを発生させない点等の利点を有している。
【0003】
具体的には、例えば、超音波振動子から成る振動体を、摩擦接触子を介して、被駆動部材であるロータに押し付けることで、前記摩擦接触子と前記ロータとの間に摩擦力を発生させ、この摩擦力によって前記ロータを駆動する。
詳細には、縦振動と捻れ振動とを超音波振動子に同時に発生させることで、それらの振動が合成された楕円振動を当該超音波振動子の端面に発生させ、該楕円振動を利用して前記ロータを回転させる。このような超音波モータに関連する技術としては、例えば特許文献1に次のような技術が開示されている。
【0004】
すなわち、特許文献1には、棒状弾性体と、該棒状弾性体の側面において該棒状弾性体に対して一体的に設けられた複数の保持用弾性体と、該複数の保持用弾性体により両端を保持された複数の積層型圧電素子と、これら積層型圧電素子と前記保持用弾性体との間に設けられた複数の振動検出用の圧電素子と、前記棒状弾性体の端面に設けた摩擦子と、該摩擦子に対して押圧手段により押圧された状態で配置されたロータと、前記複数対の積層型圧電素子のうちの各一対に対して、前記振動検出用の圧電素子から出力され信号の位相若しくは振幅に応じた所定の周波数、大きさの交番電圧であり互いに位相差を有する交番電圧を印加する電源手段と、を具備する超音波モータが開示されている。
【0005】
ここで、前記積層型圧電素子は複数対設けられている。詳細には、前記積層型圧電素子の変位方向と前記棒状弾性体の長手方向とが一定の鋭角を為し、且つ、積層型圧電素子の各対同士が互いに反対方向に傾斜して配置されている。
この特許文献1に開示されている超音波モータでは、前記棒状弾性体に縦振動と捻れ振動とを同時に励起して楕円振動を励起し、前記摩擦子によって前記ロータを回転駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−85172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
具体的には、特許文献1に開示されている技術では、1対もしくは複数対の積層型圧電素子が、当該積層型圧電素子を挿入可能な凹部を有する保持用弾性体と棒状弾性体との間に保持されている。そして、前記保持用弾性体を前記積層型圧電素子に突き当てて圧縮応力を印加した状態で、前記積層型圧電素子が、棒状弾性体に対してビスで固定される。
【0008】
従って、この特許文献1に開示されている構造を採用する場合、圧電素子を固定する為の保持用弾性体は必須の構成要件となり、この保持用弾性体及び圧電素子を配置する為の凹部を棒状弾性体に形成しなければならない。従って、特許文献1に開示されている技術では、振動体の構造を簡略化・小型化することは困難である。
【0009】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、簡略な構成の超音波振動子及び超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による超音波振動子は、
略直方体形状を呈する当該超音波振動子の中心軸に垂直な断面を構成する短辺と長辺との長さの比率が、前記中心軸方向に伸縮する縦振動と、前記中心軸を捻れ軸とする捻れ振動と、の共振周波数を略一致させる比率に設定されており、前記縦振動と前記捻れ振動とが同時に励起されることで楕円振動が励起される超音波振動子であって、
当該超音波振動子に励起される前記縦振動の節部且つ前記捻れ振動の腹部に対応する位置に配置された圧電素子と、
前記圧電素子を前記中心軸方向における一方側と他方側とから挟み込む一対の弾性体と、
を有することを特徴とする。
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明の第2の態様による超音波モータは、
略直方体形状を呈する当該振動子の中心軸に垂直な断面を構成する短辺と長辺との長さの比率が、前記中心軸方向に伸縮する縦振動と、前記中心軸を捻れ軸とする捻れ振動と、の共振周波数を略一致させる比率に設定されており、前記縦振動と前記捻れ振動とが同時に励起されることで楕円振動が励起される振動子と、
前記振動子の楕円振動発生面に当接し、前記楕円振動によって、前記中心軸を回転軸として回転駆動される被駆動体と、
前記振動子を前記被駆動体に対して押圧し、前記振動子の前記楕円振動発生面を前記被駆動体に対して圧接させる押圧機構部と、
を具備し、
前記振動子は、
前記振動子に励起される前記縦振動の節部且つ前記捻れ振動の腹部に対応する位置に配置された圧電素子と、
前記圧電素子を前記中心軸方向における一方側と他方側とから挟み込む一対の弾性体と、
前記一対の弾性体に与圧を加え、前記一対の弾性体と前記圧電素子とを圧接させる与圧部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡略な構成の超音波振動子及び超音波モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波振動子を適用した超音波モータの一構成例を示す正面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る超音波振動子の一構成例を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態に係る積層圧電素子の一構成例を示す図。
【図4A】積層圧電素子を図2において矢印A1で示す方向から観た斜視図。
【図4B】積層圧電素子を図2において矢印A2で示す方向から観た斜視図。
【図5A】振動子の概略構成を示す斜視図。
【図5B】捻れ1次振動モードにおける振動状態を破線で示した斜視図。
【図5C】縦1次振動モードにおける振動状態を破線で示した斜視図。
【図5D】捻れ2次振動モードにおける振動状態を破線で示す斜視図。
【図5E】捻れ3次振動モードにおける振動状態を破線で示す斜視図。
【図6】超音波振動子の寸法と、当該超音波振動子に励起される各振動モードにおける共振周波数の値との相関関係のグラフを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波振動子を適用した超音波モータの一構成例を示す正面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る超音波振動子の一構成例を示す斜視図である。
図1に示すように、本一実施形態に係る超音波モータは、ロータ機構部10と、押圧機構部20と、振動子40と、与圧機構50と、摩擦接触子14と、を具備する。
【0015】
前記ロータ機構部10は、シャフト11と、ベアリング12と、ロータ13と、を有する。
前記シャフト11は、当該シャフト11の径方向に略円板形状に凸の突起部であるシャフト突起部11tが所定位置に設けられた軸状部材である。このシャフト11は、後述する振動子40の貫通孔Hに挿通されており、このシャフト11の両端近傍部位には、後述する調節螺子25の内径面に形成された螺子山(めねじ)及び固定ナット23の内径面に形成された螺子山(めねじ)と螺合する螺子山(おねじ)が形成されている。
【0016】
また、このシャフト11は、後述するロータ機構部10の回転軸であり、後述する振動子40の捻れ振動の軸(捻れ軸)でもある。
前記ベアリング12は、シャフト11が挿通された軸受け部材であり、その内径面はシャフト11の外周面に対して結合され、且つ、その外径面はロータ13に対して固定されている。つまり、このベアリング12は、シャフト11を回転軸としてロータ13を回転可能に保持する軸受け部材である。
【0017】
前記ロータ13は、中心軸に貫通孔が形成された略円板形状を呈し、その上面にはベアリング12を収容する為の凹み部が形成されている。このロータ13の凹み部に収容されたベアリング12は、当該ロータ13に対して固定されて一体化されている。このロータ13は、後述する押圧バネ21と調節螺子25とによって、振動子40の上面40ueに設けられた摩擦接触子14に向かって押圧され、且つ、回転可能に保持されている被駆動体である。
【0018】
前記押圧機構部20は、押圧バネ21と、調節螺子25と、を有する。
前記押圧バネ21は、ベアリング12を介してロータ13を、振動子40に対して押圧する為のバネ部材であり、シャフト11に挿通されている。具体的には、この押圧バネ21は、例えば板バネやコイルバネ等である。
【0019】
前記調節螺子25は、略円筒形状を呈し、その内径面にはシャフト11の端部位に形成された螺子山(おねじ)と螺合する螺子山(めねじ)が形成されている。この調節螺子25をシャフト11に螺合させて螺子込んでいき、当該調節螺子25とベアリング12とで押圧バネ21を圧縮した状態で挟持する。この圧縮した状態の押圧バネ21が有する付勢力(押圧力)は、ベアリング12、ロータ13、及び摩擦接触子14を介して、振動子40に伝達される。換言すれば、ロータ13は、後述する振動子40の上面40ueに設けられた摩擦接触子14に対して圧接している。
【0020】
このように、ロータ機構部10を振動子40に対して押圧する押圧機構部20により、後述する摩擦接触子14によるロータ13の摩擦駆動が可能となる。
前記振動子40は、略直方体形状を呈し、中心軸に対応する位置に断面円形状の貫通孔Hが形成された積層圧電素子40pと、第1の弾性体40e1と、第2の弾性体40e2と、を具備する。
【0021】
前記積層圧電素子40pは、複数毎の圧電シートが後述するように積層されて成る圧電素子である。この積層圧電素子40pは、振動子40の長手方向中央部位(換言すれば振動子40の縦1次振動の節部近傍且つ捻れ2次振動の腹部近傍に対応する位置)に位置するように設けられている。この積層圧電素子40pの詳細な構成は図3乃至図6を参照して後述する。
【0022】
前記第1の弾性体40e1及び前記第2の弾性体40e2は、積層圧電素子40pを、当該振動子40の中心軸方向(シャフト11の軸方向;以降、単に中心軸方向と称する)に沿って一方側と他方側とから(図2においては積層圧電素子40の上下方向から)挟持するように設けられた弾性体(材料としては、例えばSUS等の金属を挙げることができる)である。
【0023】
なお、図2においては不図示であるが、第1の弾性体40e1のうちロータ13に対向する面(上面)40ueには、上述のシャフト突起部11tが収容される第1の溝部40e1−sが形成されている。同様に、図2においては不図示であるが、第2の弾性体40e2のうち当該振動子40の一端面を構成する面(下面)40deには、後述する固定ナット23が収容される第2の溝部40e2−sが形成されている。
【0024】
前記摩擦接触子14は、前記振動子40の上面40ueであって楕円振動(詳細は後述する)が発生する部位近傍に例えば接着固定により設けられ、ロータ13に対して接触(押圧バネ21による押圧力が掛かった際には“圧接”)する。この摩擦接触子14は、振動子40の振動(詳細は後述する)を駆動源として、ロータ13を摩擦駆動する。
【0025】
前記与圧機構50は、上述したシャフト突起部11tと、固定ナット23と、を具備する。
前記シャフト突起部11tは、シャフト11が振動子40の貫通孔Hに挿入された際に、第1の弾性体40e1に形成された第1の溝部40e1−sに収容され、前記中心軸方向において第1の溝部40e1−sと係合し(突き当たり)、前記中心軸方向における振動子40に対する当該シャフト11の位置を固定する。
【0026】
前記固定ナット23は、振動子40の貫通孔Hに挿通されたシャフト11のうち第2の弾性体40e2の下面40de側に露出した部位に捻じ込まれ、第2の弾性体40e2に形成された第2の溝部40e2−sに収容される。この固定ナット23は、第2の溝部40e2−sに対して圧接するまで捻じ込まれる。
【0027】
上述した構成の与圧機構50によって、振動子40は、前記中心軸方向における一方側と他方側とから、第1の弾性体40e1と第2の弾性体40e2とによって挟み込まれて締め付けられている(与圧を加えられている)。この振動子40に対する前記中心軸方向における締め付けによって、十分な大きさの圧縮与圧が積層圧電素子40pに対して印加される。
【0028】
この構造により、積層圧電素子40pの所謂“引っ張り応力”に対する弱さを補うことができる。また、第1の弾性体40e1及び第2の弾性体40e2を金属で構成することにより、振動子40の共振尖鋭度Qを高くすることができる。すなわち、積層圧電素子40pにおいて発生した超音波振動の増幅率を大きくすることができる為、振動子40において大振幅を発生させることが可能となる。
【0029】
以下、図3乃至図6を参照して、積層圧電素子40pの構成について詳細に説明する。図3は、積層圧電素子40の一構成例を示す図である。図4Aは、積層圧電素子40pを図2において矢印A1で示す方向から観た斜視図である。図4Bは、積層圧電素子40pを図2において矢印A2で示す方向から観た斜視図である。
【0030】
図3に示すように、積層圧電素子40pは、3種類の圧電シート(第1の圧電シート41、第2の圧電シート42、第3の圧電シート43:各圧電シートの詳細な構成は後述する)が積層されて成る。
詳細には、積層圧電素子40pは、第1の圧電シート41と第2の圧電シート42とが、所定の厚みを呈するまで交互に積層され、且つ、最上位に第3の圧電シート43が積層されて成る。
【0031】
以下、上述の各圧電シートの構成について説明する。
上述の第1の圧電シート41、第2の圧電シート42、及び第3の圧電シート43は、矩形のシート状の圧電素子であり、例えばハード系のチタン酸ジルコン酸鉛の圧電セラミックス素子(PZT)から成り、10μmから100μm程度の厚みを有する。
【0032】
詳細は後述するが、これら第1の圧電シート41及び第2の圧電シート42には、積層圧電素子40pにおける圧電活性化領域を構成する内部電極が設けられている。各内部電極は、例えば厚さ4μmの銀パラジウム合金等から成り、各圧電シート41,42は厚み方向に分極されている。
【0033】
ところで、図4Aに示すように、積層圧電素子40pは、中心軸(貫通孔H)に垂直な面内において、当該中心軸(貫通孔H)の周りに90度毎に区切った(短辺を二等分する二等分線L1と、長辺を二等分する二等分線L2とによって区切られた)、4つの領域40A、40B、40C、40Dから成る。
【0034】
前記第1の圧電シート41の電極形成面上には、当該積層圧電素子40pの4つの領域40A,40B,40C,40Dに対応する部位に、それぞれ内部電極41a,41b,41c,41dが形成されている。
同様に、前記第2の圧電シート42の電極形成面上には、当該積層圧電素子40pの4つの領域40A,40B,40C,40Dにそれぞれ対応する部位に、内部電極42a,42b,42c,42dが形成されている。
【0035】
詳細には、図3に示すように、前記第1の圧電シート41の電極形成面上には、内部電極41aと内部電極41bとが二等分線L1に対して対称を成すように設けられている。同様に、内部電極41cと内部電極41dとが二等分線L1に対して対称を成すように設けられている。ここで、内部電極41aと内部電極41cとは二等分線L2に対して対称を為している。同様に、内部電極41bと内部電極41dとは二等分線L2に対して対称を為している。
【0036】
ところで、各内部電極には各圧電シートの縁部位に向かって延出された露出部が設けられている。すなわち、第1の圧電シート41において、内部電極41a,41cには、それぞれ図3に示すように当該第1の圧電シート41の一方長辺の縁部位に向かって延出された露出部41ae,41ceが設けられている。内部電極41b,41dには、それぞれ当該第1の圧電シート41の他方長辺の縁部位に向かって延出された露出部41be,41deが設けられている。
【0037】
同様に、前記第2の圧電シート42の電極形成面上においては、積層された際に内部電極41a,41b,41c,41dにそれぞれ対応する位置に、内部電極41a,41b,41c,41dが設けられている。内部電極42a,42b,42c,42dには、それぞれ内部電極41a,41b,41c,41dの露出部41ae,41be,41ce,41deが延出されている辺に対応する辺(積層時に重なる辺)に延出された露出部42ae,42be,42ce,42deが設けられている。
【0038】
ここで、露出部41aeと露出部42aeとは、積層時に互いに重ならないように所定間隔だけずらして設けられている。同様に、露出部41beと露出部42beとについて、露出部41ceと露出部42ceとについて、及び露出部41deと露出部42deとについても、積層時に互いに重ならないように所定間隔だけずらして設けられている。
【0039】
前記第3の圧電シート43は、内部電極が設けられていない圧電シートである。すなわち、この第3の圧電シート43は、電気的に絶縁する為の圧電シートである。
また、図3に示すように各圧電シート41,42,43には上述の貫通孔Hを構成する貫通孔hが、二等分線L1と二等分線L2との交点に対応する位置に設けられている。
【0040】
ところで、上述の各内部電極は、それぞれ外部電極によって下記のように短絡されている。
《領域40A》
・内部電極41aの露出部41ae同士を、外部電極(A+相)101A+によって短絡する。
・内部電極42aの露出部42ae同士を、外部電極(A−相)101A−によって短絡する。
《領域40B》
・内部電極41bの露出部41be同士を、外部電極(B+相)101B+によって短絡する。
・内部電極42bの露出部42be同士を、外部電極(B−相)101B−によって短絡する。
《領域40C》
・内部電極41cの露出部41ce同士を、外部電極(C+相)101C+によって短絡する。
・内部電極42cの露出部42ce同士を、外部電極(C−相)101C−によって短絡する。
《領域40D》
・内部電極41dの露出部41de同士を、外部電極(D+相)101D+によって短絡する。
・内部電極42dの露出部42de同士を、外部電極(D−相)101D−によって短絡する。
【0041】
以下、積層圧電素子40pと、弾性体40e1、弾性体40e2とで構成される振動子40の寸法と、当該振動子40に励起される各振動モードにおける共振周波数の値との相関関係を、図5A乃至図5E、図6を参照して説明する。
図5Aは振動子40の概略構成を示す斜視図であり、図5Bは捻れ1次振動モードにおける振動状態を破線で示した斜視図であり、図5Cは縦1次振動モードにおける振動状態を破線で示した斜視図であり、図5Dは捻れ2次振動モードにおける振動状態を破線で示す斜視図であり、図5Eは捻れ3次振動モードにおける振動状態を破線で示す斜視図である。
図5Aに示されるように、振動子40は略直方体形状であり、中心軸100cに直交する矩形状の断面の短辺の長さをaとし、長辺の長さをbとし、中心軸100cに沿った高さをcとしている。以下の説明では、高さ方向を、縦1次振動モードの振動の方向、かつ、捻れ振動の捻れの軸方向とする。また、a,b,cの大小関係はa<b<cとする。この寸法は、図2に示す振動子40の寸法a,b,cに相当する。
ここで、図5B乃至図5Eには、捻れ振動の方向p1,p2、縦振動の方向q、及び振動の節Nを示している。節Nは、捻れ1次振動(図5B)及び縦1次振動(図5C)では高さ方向の中心位置に1つ存在し、捻れ2次振動(図5D)では高さ方向の2つの位置に存在し、捻れ3次振動(図5E)では高さ方向の3つの位置に存在する。
また、捻れ振動時に変位が最大となる位置近傍が捻れ振動の腹であり、捻れ1次振動(図5B)では、振動子40の高さ方向の上端、下端近傍、捻れ2次振動(図5D)では、振動子40の高さ方向の上端、下端、及び振動子の高さ方向の中心位置近傍、捻れ3次振動(図5E)では、振動子40の上下端近傍及び、振動子40上下端から全長の長さの1/3の長さだけ離れた位置近傍が腹の位置となる。なお、図5B乃至図5Eにおいて、実線は振動前の振動子40の形状を示しており、破線は振動後の振動子40の形状を示している。
図6は、振動子40の寸法と、当該振動子40に励起される各振動モードにおける共振周波数の値との相関関係のグラフを示す図である。
【0042】
図6に示すグラフにおいては、(短辺a/長辺b)の値を横軸にとり、当該振動子40に励起される各振動モードにおける共振周波数の値を縦軸にとっている。そして、図6に示すグラフに示すように、振動子40の寸法と共振周波数の値とは下記の関係を有する。
・縦1次振動モードにおける共振周波数の値は、(短辺a/長辺b)の値に依存せず、高さcに応じた略一定の値をとる。
・捻れ1次振動モード、捻れ2次振動モード、及び捻れ3次振動モードにおける共振周波数の値は、(短辺a/長辺b)の値の増加に従って、増加していく。
・捻れ1次振動モードにおける共振周波数は、(短辺a/長辺b)の値がどのような値であっても、縦1次振動モードにおける共振周波数と一致することは無い。
・捻れ2次振動モードにおける共振周波数は、(短辺a/長辺b)の値が0.6となる近傍で、縦1次振動モードにおける共振周波数と一致する。
・捻れ3次振動モードにおける共振周波数は、(短辺a/長辺b)の値が0.3となる近傍で、縦1次振動モードにおける共振周波数と一致する。
【0043】
本一実施形態に係る超音波モータでは、縦1次振動モードと捻れ2次振動モードとを利用する。従って、(短辺a/長辺b)の値が略0.6となるように、振動子40の短辺a及び長辺bの値を設定する。このように設計することで、縦1次振動モードにおける共振周波数と、捻れ2次振動モードにおける共振周波数と、を略一致させることができる。
【0044】
以下、本一実施形態に係る振動子40の作用について詳細に説明する。
本一実施形態においては、A相(A+相、A−相)に対応する圧電活性化領域及びB相(B+相、B−相)に対応する圧電活性化領域を駆動の為に利用し、C相(C+相、C−相)に対応する圧電活性化領域及びD相(D+相、D−相)に対応する圧電活性化領域を振動検出の為に利用する。つまり、A相及びB相を駆動相とし、C相及びD相を振動検出相とする。
《縦1次振動の励起》
駆動相であるA相に対応する外部電極101Aと、B相に対応する外部電極101Bとに対して、振動子の縦1次振動/捻れ2次振動の共振周波数に一致させた周波数であって且つ同位相の交流電圧を印加すると、A相及びB相に対応する圧電活性化領域は同相で振動し、その結果として、振動子40には縦1次振動が励起される。このとき、振動検出相であるC相に対応する圧電活性化領域とD相に対応する圧電活性化領域とには、互いに同一の電位が発生する。
《捻れ2次振動の励起》
駆動相であるA相に対応する外部電極101Aと、B相に対応する外部電極101Bとに対して、振動子の縦1次振動/捻れ2次振動の共振周波数に一致させた周波数であって且つ逆位相の交流電圧を印加すると、A相及びB相に対応する圧電活性化領域は逆相で振動し、その結果として、振動子40には捻れ2次振動が励起される。このとき、振動検出相であるC相に対応する圧電活性化領域とD相に対応する圧電活性化領域とには、互いに符号の異なる(逆極性の)電位が発生する。
《縦1次振動と捻れ2次振動とを同時に励起》
駆動相であるA相に対応する外部電極101Aと、B相に対応する外部電極101Bとに対して、振動子の縦1次振動/捻れ2次振動の共振周波数に一致させた周波数であって且つ所定の位相差(例えば90度の位相差)の交流電圧を印加すると、振動子40には縦1次振動と捻れ2次振動とが同時に励起される。このとき、振動子40の上端面(弾性体40e1の上面40ue)には楕円振動が励起される。この上面40e1に励起された楕円振動を駆動源として、この上面40ueに設けられた摩擦接触子14によりロータ13が摩擦摺動される(回転駆動される)。
【0045】
なお、A相に対応する外部電極101Aと、B相に対応する外部電極101Bとに印加する交流電圧の位相差を反転させると、振動子40の上面40ueに励起される楕円振動の回転方向が反転する。このような性質を利用してロータ13の回転方向を制御する。
【0046】
ところで、振動子40に縦1次振動と捻れ2次振動とが同時に励起された場合、振動検出相であるC相に対応する圧電活性化領域に発生した電位と、D相に対応する圧電活性化領域に発生した電位との差を演算することで、振動検出信号のうち縦1次振動に係る成分が相殺されて、捻れ2次振動に係る成分のみを検出することができる。
【0047】
これは、C相に対応する圧電活性化領域とD相に対応する圧電活性化領域とは、上述したように縦1次振動モードでは同一振幅且つ同位相の電位を発生し、捻れ2次振動モードでは同一振幅且つ逆位相の電位を発生することによる。
詳細には、上述の外部電極101C−と外部電極101D−との間を電気的に接続し、外部電極101C+と外部電極D+との間の電位差を取り出す(検出する)ことで、振動検出信号として捻れ2次振動成分のみを取り出す(検出する)ことができる。
このようにして取得した振動検出信号と、駆動相に印加する交流電圧との位相差は、共振振動時には所定の位相差となることが知られている。一般に超音波モータはモータ自身の発熱による温度上昇や周囲環境の温度変動、負荷の変動により共振周波数が変動するが、この位相差を所定の値に保つように駆動周波数を制御することで、常に共振周波数付近で駆動することができるので、効率の良い安定した駆動が可能となる。なお、振動検出信号に基づいた周波数追尾に係る技術自体は本願発明の特徴部ではないので、周波数追尾に係る技術については詳細な説明は省略する。
【0048】
尚、C相に対応する圧電活性化領域に発生した電位と、D相に対応する圧電活性化領域に発生した電位との和を演算することで、振動検出信号のうち捻れ2次振動に係る成分が相殺されて、縦1次振動に係る成分のみを検出することができる。詳細には、上述の外部電極101C−と外部電極101D+との間を電気的に接続し、外部電極101C+と外部電極D−との間の電位差を取り出す(検出する)ことで、振動検出信号として縦1次振動成分のみを取り出す(検出する)ことができる。必要に応じて縦1次振動成分を振動検出信号として用いても良い。
【0049】
以上説明したように、本一実施形態によれば、簡略な構成の超音波振動子及び超音波モータを提供することができる。具体的には、本一実施形態に係る超音波振動子及び超音波モータは、下記の効果を奏する。
・超音波振動子を構成する一つの圧電素子を、当該超音波振動子の中心軸方向について一対の弾性体で挟み込む構造であり、且つ、単純な直方体形状を呈する簡略な構造である。
・超音波振動子を構成する圧電素子が、当該超音波振動子の上下方向(圧電シートの積層方向)について一対の弾性体によって挟み込まれて与圧された状態で保持されている為、上下方向に引っ張る力が当該圧電素子に加えられた場合であっても、破損しにくい。
・一般に、圧電素子は、上下方向に引っ張られる力(引っ張り応力)に対しては脆い為、大きな振幅の振動を励起させること(大きな入力電圧を印加すること)は、当該超音波振動子の破損に繋がってしまう。他方、本一実施形態では、上述したように圧電素子を弾性体で挟み込み且つ与圧を掛けることで、簡略な構造ながら、従来の圧電素子と比較して同じ出力を得る為の入力信号を印加した際の破損可能性を低減させることができる。
・従って、従来の超音波振動子と比較して、本一実施形態に係る超音波振動子には大きな振幅を発生させことができる。また、従来の超音波モータと比較して、本一実施形態に係る超音波モータによれば大きな出力を得ることができる。
・C相(C+相、C−相)に対応する圧電活性化領域及びD相(D+相、D−相)に対応する圧電活性化領域を振動検出の為に利用し、検出した信号に基づいて所謂周波数追尾駆動することで、常に駆動に最適な周波数の駆動信号で安定駆動することが可能となる。
【0050】
上述したように、本一実施形態に係る超音波振動子は、縦1次振動と捻れ2次振動とを利用する超音波振動子として従来にない構造を採り、該構造に基づく格別な効果を奏するものである。
なお、振動子40を構成する圧電素子として、本一実施形態においては積層圧電素子40pを用いた例を説明しているが、積層型の圧電素子の代わりに、単板型の圧電素子を用いても同様の効果を得ることができる。
【0051】
ところで、上述の例では、積層圧電素子40pを、中心軸(貫通孔H)に垂直な面内において当該中心軸(貫通孔H)の周りに90度毎に区切って成る(短辺を二等分する二等分線L1と、長辺を二等分する二等分線Lとによって区切られた)4つの領域40A、40B、40C、40Dの全ての領域に圧電活性化領域を設けているが、これら4つに区切られた領域40A、40B、40C、40Dのうち少なくとも互いに隣接する2つの領域に圧電活性化領域を設ければ駆動が可能となる。
[第1変形例]
以下、本発明の一実施形態に係る超音波振動子及び超音波モータの第1変形例について説明する。説明の重複を避ける為に、上述の一実施形態との相違点について説明する。
【0052】
本第1変形例に係る超音波振動子及び超音波モータでは、A相(A+相、A−相)、B相(B+相、B−相)、C相(C+相、C−相)、及びD相(D+相、D−相)にそれぞれ対応する圧電活性化領域の全てを駆動の為に利用する。つまり、A相、B相、C相及びD相の全てを駆動相とする。
【0053】
例えば、A相及びD相に第1の交流電圧を印加し、且つ、B相及びC相に第1の交流電圧とは位相の異なる(例えば位相差が90°である)第2の交流電圧を印加する。
以上説明したように、本第1変形例によれば、前記一実施形態に係る超音波振動子及び超音波モータと同様の効果を奏する上に、駆動に利用する圧電活性化領域を増加させたことで出力を増大させた超音波振動子及び超音波モータを提供することができる。
[第2変形例]
以下、本発明の一実施形態に係る超音波振動子及び超音波モータの第2変形例について説明する。説明の重複を避ける為に、上述の一実施形態との相違点について説明する。
【0054】
本第2変形例に係る超音波振動子及び超音波モータでは、縦1次振動と捻れ2次振動とをそれぞれ別個の駆動相で振動子40に励起させる。例えば、A相及びB相を利用して捻れ2次振動を振動子40に励起させ、C相及びD相を利用して振動子40に縦1次振動を励起させる。
【0055】
具体的には、A相に対応する外部電極101Aと、B相に対応する外部電極101Bとに対して、振動子の縦1次振動/捻れ2次振動の共振周波数に一致させた周波数であって且つ互いに逆位相(位相差180°)の交流電圧を印加すると、A相及びB相に対応する圧電活性化領域は逆相で振動し、その結果として、振動子40には捻れ2次振動が励起される。
【0056】
一方、C相に対応する外部電極101Cと、D相に対応する外部電極101Dとに対して、振動子の縦1次振動/捻れ2次振動の共振周波数に一致させた周波数であって且つ互いに同位相の交流電圧を印加すると、C相及びD相に対応する圧電活性化領域は同相で振動し、その結果として、振動子40には縦1次振動が励起される
そして、上述の交流電圧をA相、B相、C相、D相にそれぞれ対応する外部電極101A,101B,101C,101Dに同時に印加し、且つ、A相及びB相に印加する交流電圧と、C相及びD相に印加する交流電圧との位相差を所定の値とすることで、縦1次振動と捻れ2次振動とが同時に振動子40に励起され、振動子40の上端面(弾性体40e1の上面40ue)には楕円振動が励起される。この上面40e1に励起された楕円振動を駆動源として、摩擦接触子14を介して当該振動子40に対して加圧接触しているロータ13が、摩擦接触子14による摩擦摺動で回転駆動される。
【0057】
なお、A相及びB相に印加する交流電圧と、C相及びD相に印加する交流電圧との位相差を反転させると、振動子40の上面40ueに励起される楕円振動の回転方向が反転する。このような性質を利用してロータ13の回転方向を制御する。
【0058】
以上説明したように、本第2変形例によれば、前記一実施形態と同様の効果を奏する上に、下記の効果を奏する超音波振動子及び超音波モータを提供することができる。
・駆動に利用する圧電活性化領域を増加させたことにより、出力を増大させることができる。
・縦1次振動と捻れ2次振動とを、互いに別個の圧電活性化領域を利用して振動子40に励起させる為、振動子40の上面40ueに励起させる楕円振動の楕円形状を制御しやすい(当該超音波モータの制御が容易となる)。
【0059】
なお、本第2変形例では、C相及びD相の両方に対応する圧電活性化領域を駆動の為に利用しているが(駆動相としているが)、何れか一方のみを駆動相として用い、他方を振動検出相として用いても勿論よい。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0060】
10…ロータ機構部、 11…シャフト、 11t…シャフト突起部、 12…ベアリング、 13…ロータ、 14…摩擦接触子、 20…押圧機構部、 21…押圧バネ、 23…固定ナット、 25…調節螺子、 40…振動子、 40p…積層圧電素子、 40e1…第1の弾性体、 40e2…第2の弾性体、 40e1…第1の溝部、 40e2…第2の溝部、 40ue…上面、 40de…下面、 40…積層圧電素子、 40A,40B,40C,40D…領域、 41a,41b,41c,41d…内部電極、 41ae,41be,41ce,41de、42ae,42be,42ce,42de…露出部、 41…第1の圧電シート、 42…第2の圧電シート、 43…第3の圧電シート、 50…与圧機構、 101A,101B,101C,101D…外部電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状を呈する当該超音波振動子の中心軸に垂直な断面を構成する短辺と長辺との長さの比率が、前記中心軸方向に伸縮する縦振動と、前記中心軸を捻れ軸とする捻れ振動と、の共振周波数を略一致させる比率に設定されており、前記縦振動と前記捻れ振動とが同時に励起されることで楕円振動が励起される超音波振動子であって、
当該超音波振動子に励起される前記縦振動の節部且つ前記捻れ振動の腹部に対応する位置に配置された圧電素子と、
前記圧電素子を前記中心軸方向における一方側と他方側とから挟み込む一対の弾性体と、
を有することを特徴とする超音波振動子。
【請求項2】
前記圧電素子は、複数枚の圧電シートが前記中心軸方向に積層されて成る圧電素子であって、前記中心軸方向に分極された複数の圧電活性化領域を有し、
前記複数の圧電活性化領域は、前記長辺を二等分する第1の二等分線と、前記短辺を二等分する第2の二等分線とによって、前記中心軸周りに90度毎に区切られた4つの領域のうち少なくとも互いに隣接する2つの領域に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波振動子。
【請求項3】
前記複数の圧電活性化領域は、前記4つの領域の夫々に一つずつ存在し、互いに隣接する2つの領域の圧電活性化領域は当該超音波振動子の駆動の為の圧電活性化領域であり、
他の2つの領域の圧電活性化領域は当該超音波振動子に励起された振動を検出する為の圧電活性化領域である
ことを特徴と請求項2に記載の超音波振動子。
【請求項4】
前記複数の圧電活性化領域は、前記4つの領域の夫々に一つずつ存在し、全ての領域の圧電活性化領域は当該超音波振動子の駆動の為の圧電活性化領域である
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波振動子。
【請求項5】
略直方体形状を呈する当該振動子の中心軸に垂直な断面を構成する短辺と長辺との長さの比率が、前記中心軸方向に伸縮する縦振動と、前記中心軸を捻れ軸とする捻れ振動と、の共振周波数を略一致させる比率に設定されており、前記縦振動と前記捻れ振動とが同時に励起されることで楕円振動が励起される振動子であって、当該振動子に励起される前記縦振動の節部且つ前記捻れ振動の腹部に対応する位置に配置された圧電素子と、前記圧電素子を前記中心軸方向における一方側と他方側とから挟み込む一対の弾性体と、を備える振動子と、
前記振動子の楕円振動発生面に当接し、前記楕円振動によって、前記中心軸を回転軸として回転駆動される被駆動体と、
前記振動子を前記被駆動体に対して押圧し、前記振動子の前記楕円振動発生面を前記被駆動体に対して圧接させる押圧機構部と、
前記一対の弾性体に与圧を加え、前記一対の弾性体と前記圧電素子とを圧接させる与圧部と、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項6】
前記圧電素子は、複数枚の圧電シートが前記中心軸方向に積層されて成る圧電素子であって、前記中心軸方向に分極された複数の圧電活性化領域を有し、
前記複数の圧電活性化領域は、前記長辺を二等分する第1の二等分線と、前記短辺を二等分する第2の二等分線とによって、前記中心軸周りに90度毎に区切られた4つの領域のうち少なくとも互いに隣接する2つの領域に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記複数の圧電活性化領域は、前記4つの領域の夫々に一つずつ存在し、互いに隣接する2つの領域の圧電活性化領域は当該振動子の駆動の為の圧電活性化領域であり、他の2つの領域の圧電活性化領域は当該振動子に励起された振動を検出する為の圧電活性化領域である
ことを特徴と請求項6に記載の超音波モータ。
【請求項8】
前記複数の圧電活性化領域は、前記4つの領域の夫々に一つずつ存在し、全ての領域の圧電活性化領域は当該振動子の駆動の為の圧電活性化領域である
ことを特徴とする請求項7に記載の超音波モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−217229(P2012−217229A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79057(P2011−79057)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】