説明

車両用アウトサイドミラー装置

【課題】異音の発生をさらに確実にかつさらに長期間に亘って防止することができる車両用アウトサイドミラー装置を提供する。
【解決手段】車両用アウトサイドミラー装置1は、ベース2と、シャフト3と、スプリング10と、ミラーアセンブリ4と、ワッシャ6と、を備える。ワッシャ6は中央部を両端部(内周縁側の端部と外周縁側の端部)に対して外側に円弧状に突出させた形状し、ミラーアセンブリ4の取付部12とワッシャ6の当接面に、環状線接触部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミラーアセンブリが車体(たとえば、ドアやフェンダやピラーなど)に対して傾倒(回転、回動)可能であるたとえばドアミラーなどの車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。すなわち、この発明は、手動格納型および電動格納型の車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用アウトサイドミラー装置は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用アウトサイドミラー装置について説明する。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、ミラーボデーをシャフトにクラッチを介して回動自在に嵌着し、クラッチに噛み合い力を与えるコイルスプリングをシャフトの外周に縮設し、コイルスプリングの受け面に複数の膨出条を形成してなるものである。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、手動もしくは電動により、クラッチが外れて、ミラーボデーがシャフトに対して使用位置と格納位置との間を回動したり、または、使用位置に位置するミラーボデーに荷重がかかると、クラッチが外れて、ミラーボデーがシャフトに対して回動して緩衝作用が働いたりするものである。そして、前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置は、ミラーボデーが回動する際に、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑るので、異音の発生を防止するものである。
【0003】
ところが、前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置は、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑る際に、コイルスプリングの先端が膨出条に引っ掛かる可能性があるので、異音の発生を確実に防止することができない可能性がある。
【0004】
そこで、この出願の発明者は、前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置の課題を解決した車両用アウトサイドミラー装置(特許文献2)を先に発明した。この車両用アウトサイドミラー装置は、相互に当接するミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方にシボ加工によるシボからなる非平滑面部を設けたものであって、異音の発生を確実に防止することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−117710号公報
【特許文献2】特開2009−90926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、異音の発生をさらに確実にかつさらに長期間に亘って防止することができる車両用アウトサイドミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、車体に固定されるベースと、ベースに固定されているシャフトと、そのシャフトの周囲に圧縮された状態で配置されているスプリングと、シャフトに傾倒可能に装備されているミラーアセンブリと、シャフトの周囲に配置されていてスプリングによりミラーアセンブリに当接されているワッシャと、を備え、相互に当接する前記ミラーアセンブリの当接面と前記ワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方には、環状線接触部が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、ワッシャのミラーアセンブリに当接する面およびその反対側の面には環状線接触部が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、相互に当接するミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面のうち少なくともいずれか一方にはシボ加工されたシボが設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、この発明(請求項4にかかる発明)は、シャフトとワッシャとには、ワッシャがシャフトの回転中心回りに回転するのを止める回転止め部が、それぞれ設けられていて、ワッシャが回転止め部によりシャフトにシャフトの回転中心回りに回転不可能に取り付けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、相互に当接するミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方に設けられている環状線接触部により、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面とが環状線接触の状態で相互に当接していて、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面との接触面積を極力減少させることができ、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面との密着による疑似固着(疑着、吸着)を防ぐことができる。これにより、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ミラーアセンブリがシャフトの回りに回転する際に、ベースおよびシャフトおよびスプリングなどを含む固定側のワッシャの当接面と回転側(傾倒側)のミラーアセンブリの当接面との間においてスライド(摺動)する。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、スプリングとワッシャとの間においてスライドするようなことがないので、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑る前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置のように、スプリングがそのスプリングの受け面に引っ掛かるようなことがなく、異音の発生を確実に防止することができる。
【0012】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、環状線接触部により、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面とが環状線接触の状態で相互に当接するので、シボによりミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面とが無数の点接触の状態で相互に当接する前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置と比較して、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面との間においてスムーズにスライド(摺動)することができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、異音の発生をさらに確実にかつさらに長期間に亘って防止することができる。すなわち、耐久性に優れている。
【0013】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ワッシャのミラーアセンブリに当接する面およびその反対側の面に環状線接触部を設けるものであるから、ワッシャをスプリングと共にシャフトやミラーアセンブリに組み付ける際に、ワッシャの組付方向(天地、上下、表裏など)がないので、一面に環状線接触部を設けたワッシャと比較して組付作業性が良い。
【0014】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、相互に当接するミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面のうち少なくともいずれか一方にはシボ加工されたシボ、すなわち、微細の凹凸が設けられているので、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面とが環状線接触部による環状線接触の状態とシボによる無数の点接触の状態とで相互に当接する。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、環状線接触部による環状線接触の状態とシボによる無数の点接触の状態との相乗効果により、ベースおよびシャフトおよびスプリングなどを含む固定側のワッシャの当接面と回転側のミラーアセンブリの当接面との間においてさらに確実にスライドすることができ、異音の発生をさらに確実にかつさらに長期間に亘って防止することができる。すなわち、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面との接触面積を極力減少させることにより、ミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面との密着による疑似固着を防ぐことができるので、ベースおよびシャフトおよびスプリングなどを含む固定側のワッシャの当接面と回転側のミラーアセンブリの当接面との間において、安定したスライドが得られる。
【0015】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、シャフトの回転止め部とワッシャの回転止め部とにより、ワッシャがシャフトにシャフトの回転中心回りに回転不可能に取り付けられていて、ワッシャがシャフトの回転中心回りに回転するのを止めることができる。すなわち、ミラーアセンブリがシャフトの回りに回転する際に、ワッシャはシャフトに固定されていて回転しない。この結果、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、前記の請求項1の環状線接触部の作用とこの請求項4の回転止め部の作用との相乗効果により、ミラーアセンブリがシャフトの回りに回転する際に、ベースおよびシャフトおよびスプリングなどを含む固定側のワッシャの当接面と回転側のミラーアセンブリの当接面との間においてさらに確実にスライドする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例1を示す使用状態の平面図である。
【図2】図2は、同じく、ドアミラーを示す一部破断正面図であって、図1におけるII矢視図である。
【図3】図3は、同じく、シャフトおよびシャフトホルダおよび取付部およびワッシャおよびスプリングおよび止め具を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、同じく、シャフトおよびシャフトホルダおよび取付部およびワッシャおよびスプリングおよび止め具の組付状態を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図5】図5は、同じく、シャフトおよびワッシャおよび取付部の組付状態を示す一部拡大縦断面図(一部拡大垂直断面図)である。
【図6】図6は、同じく、取付部の底面図であって、図3におけるVI矢視図である。
【図7】図7は、同じく、取付部の底面図であって、図3におけるVII矢視図である。
【図8】図8は、同じく、ワッシャをシャフトに取り付ける前の状態を示す一部斜視図である。
【図9】図9は、同じく、ワッシャをシャフトにシャフトの回転中心回りに回転不可能に取り付けた状態を示す一部斜視図である。
【図10】図10は、同じく、中央部を肉厚形状としたワッシャを示す説明図である。
【図11】図11は、同じく、ワッシャの変形例であって、中央部にリブを設けたワッシャを示す説明図である。
【図12】図12は、同じく、ワッシャの変形例であって、両端部にリブを設けたワッシャを示す説明図である。
【図13】図13は、同じく、ワッシャの変形例であって、断面丸(もしくは楕円)形状としたワッシャを示す説明図である。
【図14】図14は、同じく、回転止め部の変形例であって、ワッシャの係合凸部とシャフトの溝の縁とから構成されている回転止め部を示す取り付ける前の状態の一部斜視図である。
【図15】図15は、同じく、回転止め部の変形例であって、ワッシャの係合凸部とシャフトの溝の縁とから構成されている回転止め部を示す取り付けた状態の一部斜視図である。
【図16】図16は、同じく、回転止め部の変形例であって、ワッシャの多数の小係合凸部または多数の小係合凹部とシャフトの多数の小係合凹部または多数の小係合凸部とから構成されている回転止め部を示す取り付ける前の状態の一部斜視図である。
【図17】図17は、同じく、回転止め部の変形例であって、ワッシャの多数の小係合凸部または多数の小係合凹部とシャフトの多数の小係合凹部または多数の小係合凸部とから構成されている回転止め部を示す取り付けた状態の一部斜視図である。
【図18】図18は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例2を示すミラーアセンブリの取付部とワッシャとの組付状態の一部拡大縦断面図(一部拡大垂直断面図)である。
【図19】図19は、同じく、中央部を肉厚形状としたワッシャを示す斜視図および一部拡大斜視図である。
【図20】図20は、同じく、ワッシャの変形例であって、中央部にリブを設けたワッシャを示す斜視図および一部拡大斜視図である。
【図21】図21は、同じく、ワッシャの変形例であって、両端部にリブを設けたワッシャを示す斜視図および一部拡大斜視図である。
【図22】図22は、同じく、ワッシャの変形例であって、断面丸(もしくは楕円)形状としたワッシャを示す斜視図および一部拡大斜視図である。
【図23】図23は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例3を示すミラーアセンブリの取付部(当接面の中央部を肉厚形状とした取付部)とワッシャとの組付状態の一部拡大縦断面図(一部拡大垂直断面図)である。
【図24】図24は、同じく、取付部の変形例であって、当接面の中央部にリブを設けた取付部を示す一部拡大縦断面図(一部拡大垂直断面図)である。
【図25】図25は、同じく、取付部の変形例であって、当接面の両端部にリブを設けた取付部を示す一部拡大縦断面図(一部拡大垂直断面図)である。
【図26】図26は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例4を示す電動格納ユニットおよびシャフトおよびワッシャの分解斜視図である。
【図27】図27は、同じく、電動格納ユニットおよびシャフトおよびワッシャを示す一部拡大縦断面図(一部拡大垂直断面図)である。
【図28】図28は、同じく、電動格納ユニットのギアケースを示す斜め上から見た一部斜視図である。
【図29】図29は、同じく、電動格納ユニットのギアケースを示す斜め下から見た斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例の4例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
図1〜図13は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例1を示す。なお、図10(A)は、中央部を肉厚形状としたワッシャの平面図(もしくは正面図)、図10(B)は、(A)におけるB−B線断面図、図10(C)は、(B)におけるC部の一部拡大断面図である。図11(A)は、中央部にリブを設けたワッシャの平面図(もしくは正面図)、図11(B)は、(A)におけるB−B線断面図、図11(C)は、(B)におけるC部の一部拡大断面図である。図12(A)は、両端部にリブを設けたワッシャの平面図(もしくは正面図)、図12(B)は、(A)におけるB−B線断面図、図12(C)は、(B)におけるC部の一部拡大断面図である。図13(A)は、断面丸(もしくは楕円)形状としたワッシャの平面図(もしくは正面図)、図13(B)は、(A)におけるB−B線断面図、図13(C)は、(B)におけるC部の一部拡大断面図である。
【0019】
「構成の説明」
以下、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置の構成について説明する。図1および図2において、符号1は、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置であって、この例では自動車(乗用車)用の手動格納型のドアミラーである。この実施例1のドアミラー1は、図示を省略するが、自動車の左右のドアDにそれぞれ装備されている。なお、この実施例1のドアミラー1は、自動車の右側のドアDに装備されるものであって、自動車の左側のドアに装備されるドアミラーは、この実施例1のドアミラー1とほぼ左右が逆となる。
【0020】
この実施例1のドアミラー1は、前記ドアDに固定されるベース2と、前記ベース2に固定されているシャフト3と、前記シャフト3にスプリング10および止め具(いわゆるプッシュナット)11およびワッシャ6および位置決め手段16、22を介して傾倒(回転、回動)可能に装備されているミラーアセンブリ4と、を備えるものである。
【0021】
前記シャフト3は、樹脂製(単なる樹脂性もしくはガラス繊維やカーボン繊維が含有されている樹脂製)もしくは金属製(ダイカスト製またはプレス製)の金型成型品(成形品)からなる。前記シャフト3は、図2〜図5に示すように、円筒形もしくは円柱形をなし、前記シャフト3の外周面には、成型品としての前記シャフト3を金型から容易に抜くために抜き勾配というテーパーが設けられている。すなわち、前記シャフト3の外周面は、一端(上端)から他端(下端)にかけて外径が徐々に大きくなるテーパー(傾斜面、テーパー面)をなす。この結果、前記シャフト3は、成型後、金型から抜け易くなる。
【0022】
前記ミラーアセンブリ4は、一方が開口しかつ他方が閉塞したミラーハウジング7と、前記ミラーハウジング7の開口部5に配置されかつ反射面8を有するミラーユニット(いわゆるミラー)9と、から構成されている。前記ミラーユニット9は、前記ミラーハウジング7に、リモートコントロールユニットやパワーユニット(図示せず)を介してほぼ垂直軸回りに左右方向およびほぼ水平回りに上下方向に反射面8の角度調整可能に取り付けられている。
【0023】
前記ミラーハウジング7は、前記シャフト3に前記スプリング10および前記止め具11および前記ワッシャ6および前記位置決め手段16、22を介して前記シャフト3回りに傾倒可能に取り付けられている取付部12を有する。前記取付部12は、前記シャフト3と同様に、樹脂製(単なる樹脂性もしくはガラス繊維やカーボン繊維が含有されている樹脂製)もしくは金属製(ダイカスト製またはプレス製)の金型成型品(成形品)からなる。前記取付部12は、前記ミラーハウジング7と別体のフレームやブラケットから構成されていて、前記ミラーハウジング7に一体に固定されている。
【0024】
前記取付部12は、図2〜図7に示すように、一端(上端)が開口し、かつ、他端(下端)が閉塞した中空状の断面凹形状をなす。前記取付部12の下端閉塞部の中央には、円形の透孔25が設けられている。前記取付部12の下端閉塞部は、前記ワッシャ6の受座部であって、その上面の当接面33は、平面をなす。
【0025】
前記シャフト3の他端には、シャフトホルダ14が一体に設けられている。前記シャフトホルダ14は、前記ベース2にスクリュー15により固定されている。この結果、前記シャフト3は、前記ベース2に固定されている。
【0026】
前記シャフトホルダ14の一面(上面。前記シャフト3が一体に設けられている側の面)と前記取付部12の一面(下面。前記シャフトホルダ14の一面と対向する面)とには、前記位置決め手段16、22が設けられている。前記位置決め手段16、22は、前記ミラーアセンブリ4を使用位置A(図1中の実線にて示す位置)と格納位置B(図1中の一点鎖線にて示す位置)とに位置決めするものである。前記位置決め手段は、前記取付部12の一面に設けられているノッチタイプの位置決め凸部22の外面と、前記シャフトホルダ14の一面に設けられていて前記位置決め凸部22が嵌合するノッチタイプの位置決め凹部16の内面と、から構成されている。
【0027】
前記位置決め凸部22は、上辺(前記取付部12の一面側の辺)が長く下辺が短い逆台形(断面逆台形)をなす。前記位置決め凸部22の個数は、特に限定しないが、位置決めのバランスや製造コストなどを考慮すると、3個が好ましい。3個の前記位置決め凸部22は、前記取付部12の一面に前記シャフト3の回転中心O−Oを中心とする円周上に一体に設けられている。
【0028】
前記位置決め凹部16は、上辺(前記シャフトホルダ14の一面側の辺)が長く下辺が短い逆台形(断面逆台形)をなす。前記位置決め凹部16の個数は、前記位置決め凸部22の個数に合わせて3個である。3個の前記位置決め凹部16は、前記シャフトホルダ14の一面に前記シャフト3の回転中心O−Oを中心とする円周上に設けられている。
【0029】
前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とが嵌合することにより、前記ミラーアセンブリ4は、前記使用位置Aに位置決めされる。また、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22との嵌合状態が解除されると、前記ミラーアセンブリ4は、前記シャフト3の回転中心O−O回りに回転可能となり、前記使用位置Aと前記格納位置Bとの間を、また、前記使用位置Aと前方傾倒位置C(図1中の二点鎖線にて示す位置)との間を、回転する。
【0030】
前記シャフトホルダ14の一面(上面)と前記取付部12の一面(下面)とには、ストッパ手段29、30が設けられている。前記ストッパ手段29、30は、前記ミラーアセンブリ4が前記格納位置Bまたは前記前方傾倒位置Cに位置する際に、前記ミラーアセンブリ4が前記ドアDに当たるのを回避させるものである。前記ストッパ手段は、前記シャフトホルダ14の一面に設けられているストッパ凸部29の外面と、前記取付部12の一面に設けられていて前記ストッパ凸部29が嵌合するストッパ凹部(もしくは溝部)30の内面と、から構成されている。
【0031】
前記ストッパ凸部29は、図4、図6に示すように、回転中心O−Oを中心とする円弧の一部からなり、前記シャフトホルダ14の一面に前記シャフト3に沿って一体に設けられている。前記ストッパ凹部30は、図4、図6に示すように、回転中心O−Oを中心とする円弧の一部からなり、前記取付部12の一面に前記透孔25に沿って設けられている。
【0032】
前記ミラーアセンブリ4が前記シャフト3の回転中心O−O回りに回転して、前記ドアDに当たる直前であって、前記格納位置Bまたは前方傾倒位置Cに位置すると、前記ストッパ凸部29の端面31と前記ストッパ凹部30の端面32とが当接することにより、前記ミラーアセンブリ4が前記ドアDに当たるのを回避させる。なお、前記シャフトホルダ14の一面にストッパ凹部を設け、前記取付部12の一面にストッパ凸部を設けても良い。しかも、前記ストッパ凸部29と前記ストッパ凹部30との嵌合により、前記ミラーアセンブリ4が前記シャフト3の回転中心O−O回りに回転する際のガイドとなる。図1において、符号Eは、車両の後方を示し、符号Fは、車両の前方を示す。
【0033】
前記シャフト3には、複数本、この例では、4本の溝17が上端からほぼ中間までの間において、等間隔に設けられている。前記溝17は、前記シャフト3の上端部を残して貫通形状をなし、一方、前記シャフト3の上端部において連結形状(もしくは橋渡し形状)をなす。前記シャフト3の上端部における前記4本の溝17の連結部と貫通部との境の段部には、4個の係合部18がそれぞれ設けられている。また、前記シャフト3の前記4本の溝17の貫通部の両側面には、係止部19がそれぞれ設けられている。
【0034】
前記止め具11は、弾性を有する金属部材から構成されていて、円板形状のスプリング当接部20を有する。前記スプリング当接部20の全周縁は、一方向(下方向)にL字形状に折り曲げられている。このために、前記金属製の止め具11は、底が浅い丸皿形状をなす。前記スプリング当接部20の中央には、前記シャフト3が挿入する挿入孔21が設けられている。
【0035】
前記挿入孔21の縁から複数個、この例では、4個の係合爪部23が、前記シャフト3の挿入方向G(図3中の矢印Gを参照。前記スプリング当接部20の全周縁の折曲方向と反対側の方向)に、等間隔にそれぞれ設けられている。前記係合爪部23は、前記シャフト3の前記係合部18に弾性係合する。前記係合爪部23の幅は、前記シャフト3の前記溝17の幅と同等もしくは若干小さい。前記係合爪部23の前記シャフト3の周方向側の部分は、前記シャフト3の前記係止部19に係止する。
【0036】
前記スプリング10は、圧縮タイプのスプリング(圧縮コイルスプリング)を使用する。前記スプリング10の両端面34は、前記ワッシャ6と前記スプリング当接部20とにそれぞれ平面当接するように、切削加工により平面に加工されている。
【0037】
前記ワッシャ6は、たとえば、樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記ワッシャ6は、外形が円形をなす。かつ、前期ワッシャ6の中央には、前記シャフト3に嵌合するための透孔600が設けられている。前記ワッシャ6は、外径が前記取付部12の内径より若干小さい薄板のドーナツ形状をなす。前記ワッシャ6のうち、前記取付部12の当接面33と前記スプリング34の当接端面34とに当接する当接面35には、環状線接触部50が設けられている。
【0038】
前記ワッシャ6は、図10(A)、(B)、(C)に示すように、中央部を肉厚形状としたワッシャである。すなわち、前記ワッシャ6の径方向の断面形状は、前記ワッシャ6の両当接面35において、中央部を両端部(内周縁側の端部と外周縁側の端部)に対して外側に円弧状に突出させた形状をなすものである。この円弧状の頂点が前記環状線接触部50をなすものである。
【0039】
前記ワッシャ6の前記環状線接触部50を含む両当接面35には、シボ加工されたシボ(図示せず)が設けられている。なお、前記シボは、たとえば、株式会社棚澤八光社のシボNo.「GR−504」を使用する。
【0040】
前記ワッシャ6の前記透孔600の内周縁には、少なくとも1つ、この例では4つの直線辺601が設けられている。前記直線辺601は、円形の透孔の内周縁に4つの直線辺を周方向に等間隔に設けてなる。一方、前記シャフト3の外周面には、前記ワッシャ6の前記直線辺601が当接する少なくとも1つ、この例では4つの当接平面301が前記ワッシャ6の前記直線辺601に対応して設けられている。前記ワッシャ6の前記直線辺601と前記シャフト3の前記当接平面301とが前記回転止め部を構成する。
【0041】
「組付工程の説明」
以下、前記シャフト3に前記ミラーアセンブリ4を、前記スプリング10および前記止め具11および前記ワッシャ6および前記位置決め手段16、22を介して傾倒可能に組み付ける工程について説明する。
【0042】
まず、前記シャフト3を前記ミラーハウジング7の前記取付部12の前記透孔25中および前記取付部12中に、図3中の矢印G方向(前記ミラーハウジング7の下側から上側への方向)に、挿通させて、前記シャフトホルダ14の上面に前記取付部12の下面を載置させる。かつ、前記位置決め凹部16と位置決め凸部22とを嵌合させ、前記ストッパ凸部29と前記ストッパ凹部30とを嵌合させる。
【0043】
つぎに、前記シャフト3に前記ワッシャ6および前記スプリング10を、図3中の矢印G方向と逆方向(前記ミラーハウジング7の上側から下側への方向)に、順次落とし込んで前記取付部12の下端の上面に載置させる。すなわち、前記取付部12のワッシャ受座部の前記当接面33上に前記ワッシャ6の下面側の前記当接面35を載せ、かつ、前記ワッシャ6の上面側の前記当接面35に前記スプリング10の下面側の前記当接端面34を載せる。
【0044】
それから、前記シャフト3の4本の前記溝17に前記止め具11の4個の前記係合爪部23をそれぞれ合わせて、前記シャフト3に前記止め具11を図3中の矢印G方向と逆方向に落とし込む。このとき、前記シャフト3の外周面が上端から下端にかけて末広がりとなるテーパー形状をなすので、前記止め具11は、前記シャフト3の途中で止まる。すなわち、前記止め具11の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の前記溝17の前記連結部に当接する。
【0045】
つづいて、冶具(図示せず)を使用して、前記止め具11の前記スプリング当接部20を前記スプリング10の上面側の前記当接端面34に当接させた状態で、前記スプリング10のスプリング力に抗して前記止め具11を前記シャフト3に押し込む。すると、前記止め具11の前記係合爪部23が弾性変形して、前記止め具11の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の前記溝17の前記連結部に常時当接しながら図3中の矢印G方向と逆方向に落ちていく。
【0046】
そして、前記止め具11が押し込まれて、前記止め具11の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の前記溝17の前記連結部と前記貫通部との境の前記係合部18に達する。すると、弾性変形している前記止め具11の前記係合爪部23が元の状態に弾性復帰し、前記止め具11の4個の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の4個の前記係合部18にそれぞれ弾性係合する。前記止め具11の4個の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の4個の前記係合部18にそれぞれ弾性係合すると、前記止め具11の4個の前記係合爪部23の先端が前記シャフト3の4個の前記係合部18から外れない。すなわち、前記止め具11は、前記シャフト3から外れない。
【0047】
また、前記シャフト3の4本の前記溝17の貫通部の両側面の前記係止部19が、前記止め具11の4個の前記係合爪部23の前記シャフト3の周方向側の部分にそれぞれ係止する。
【0048】
この結果、図2および図4に示すように、前記止め具11は、前記シャフト3に固定される。また、前記スプリング10は、前記止め具11により前記シャフト3に固定される。すなわち、前記スプリング10は、前記止め具11の前記スプリング当接部20と前記取付部12上の前記ワッシャ6との間において圧縮された状態で前記シャフト3の周囲に配置される。
【0049】
このとき、前記スプリング10の上下の前記当接端面34は、前記止め具11の前記スプリング当接部20と前記ワッシャ6の上側の前記当接面35の前記環状線接触部50にそれぞれ弾性当接する。また、前記ワッシャ6の下側の前記当接面35の前記環状接触部50は、前記取付部12のワッシャ受座部の前記当接面33に、環状線接触の状態で当接する。さらに、前記ワッシャ6の前記直線辺601は、前記シャフト3の前記当接平面301に当接する。
【0050】
これにより、前記ミラーアセンブリ4は、前記シャフト3に前記スプリング10および前記止め具11および前記ワッシャ6および前記位置決め手段16、22を介して傾倒可能に組み付けられる。そして、前記シャフト3と一体の前記シャフトホルダ14を前記ベース2に前記スクリュー15により固定することにより、この実施例1のドアミラー1が構成される。
【0051】
前記ドアミラー1は、ドアDに前記ベース2を固定することにより、ドアDに装備される。そして、前記ドアミラー1は、車体のドアDに固定される前記ベース2および前記シャフト3および前記シャフトホルダ14側の固定部と、前記ミラーユニット9を有していて前記シャフト3に傾倒可能に取り付けられている前記ミラーアセンブリ4および前記取付部12側の傾倒部と、から構成されている。
【0052】
車体のドアDに固定される前記ベース2および前記シャフト3および前記シャフトホルダ14側の固定部は、車体と常に一体に固定されている。一方、前記ミラーユニット9を有していて前記シャフト3に傾倒可能に取り付けられている前記ミラーアセンブリ4および前記取付部12側の傾倒部は、人や物に当たった際には、緩衝のために、前記シャフト3の回転中心O−O回りに傾倒(回転)する。
【0053】
固定部の前記シャフトホルダ14と傾倒部の前記取付部12とは、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とにより、使用位置Aに位置決めされている。前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22との嵌合状態が走行時の風圧などにより外れて前記ミラーアセンブリ4が前記シャフト3に対して傾倒しないように、また、傾倒部の前記ミラーユニット9の反射面8が走行時の路面の凹凸などによりぶれないように、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とには、テンションがかけられている。このテンションをかけるのには、前記スプリング10が使用されている。すなわち、前記スプリング10のスプリング力により、前記位置決め凹部16と前記位置決め凸部22とが相互に嵌合して、傾倒部の前記ミラーアセンブリ4が固定部の前記シャフト3にぶれないように適度な保持力で傾倒可能に保持されている。
【0054】
前記スプリング10は、前記シャフト3に固定されている前記止め具11により、前記止め具11の前記スプリング当接部20と前記取付部12上の前記ワッシャ6との間において圧縮された状態で前記シャフト3の周囲に配置されている。
【0055】
「作用の説明」
この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)は、以上のごとき構成からなり、以下、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)の作用について説明する。
【0056】
ドアDにベース2を固定してドアDに装備されたドアミラー1のミラーアセンブリ4を使用位置Aに位置させる。この使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4のミラーユニット9の反射面8で車両の後方を視認することができる。このとき、固定部のシャフトホルダ14と傾倒部の取付部12との間は、相互に嵌合状態の位置決め凹部16と位置決め凸部22とにより、使用位置Aに位置決めされている。また、この位置決め凹部16と位置決め凸部22とにはスプリング10のスプリング力(テンション)が作用しているので、自動車の走行時の風圧などによりミラーアセンブリ4がシャフト3に対して不用意に傾倒したり、走行時の路面の凹凸などによりミラーユニット9の反射面8が不用意にぶれたりするようなことはない。
【0057】
また、リモートコントロールユニットやパワーユニット(図示せず)を駆動させると、ミラーユニット9をほぼ水平軸回りに上下方向にまたほぼ垂直軸回りに左右方向に回動させることができ、これにより、ミラーユニット9の反射面8の位置をドライバーの目線に合わせて調整することができる。
【0058】
つぎに、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、位置決め凹部16と位置決め凸部22との嵌合状態が解除されて、ミラーアセンブリ4は、シャフト3の回転中心O−O回りに時計方向に回転する。このとき、ストッパ凸部29とストッパ凹部30との嵌合により、ミラーアセンブリ4の回転がガイドされる。
【0059】
ミラーアセンブリ4が格納位置Bに位置すると、嵌合状態が解除されたまま、ミラーアセンブリ4が格納位置Bに位置して格納される。このとき、ストッパ凸部29の端面31とストッパ凹部30の端面32とが当接して、ミラーアセンブリ2の回転が規制されてミラーアセンブリ2とドアDとの当接が回避される。
【0060】
また、格納位置Bに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに反時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、位置決め凹部16と位置決め凸部22との嵌合状態が解除されて、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回転中心O−O回りに反時計方向に回転する。ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置すると、嵌合状態が解除されている位置決め凹部16と位置決め凸部22とが再度嵌合して、ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置する。
【0061】
一方、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに反時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、位置決め凹部16と位置決め凸部22との嵌合状態が解除されて、ミラーアセンブリ4は、シャフト3の回転中心O−O回りに反時計方向に回転する。このとき、ストッパ凸部29とストッパ凹部30との嵌合により、ミラーアセンブリ4の回転がガイドされる。
【0062】
ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cに位置すると、ストッパ凸部29の端面31とストッパ凹部30の端面32とが当接して、ミラーアセンブリ2の回転が規制されて、ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cに位置し、かつ、ミラーアセンブリ2とドアDとの当接が回避される。
【0063】
また、前方傾倒位置Cに位置するミラーアセンブリ4を、手動によりシャフト3の回りに時計方向に、スプリング10のスプリング力よりも大きい力で回す。すると、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回転中心O−O回りに時計方向に回転する。ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置すると、嵌合状態が解除されている位置決め凹部16と位置決め凸部22とが再度嵌合して、ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置する。
【0064】
そして、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4にスプリング10のスプリング力よりも大きい力が作用すると、ミラーアセンブリ4は、前記の手動回転と同様に、シャフト3の回転中心O−O回りに時計方向または反時計方向に緩衝のために回転する。
【0065】
「効果の説明」
この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置(実施例1のドアミラー1)の効果について説明する。
【0066】
実施例1のドアミラー1は、相互に当接するミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とワッシャ6の下側の当接面35のうち、ワッシャ6の当接面35に設けられている環状線接触部50により、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35とが環状線接触の状態で相互に当接していて、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35との接触面積を極力減少させることができ、ミラーアセンブリ4の当接面33とワッシャ6の当接面35との密着による疑似固着を防ぐことができる。これにより、実施例1のドアミラー1は、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、ベース2およびシャフト3およびスプリング10および止め具11などを含む固定側のワッシャ6の当接面35と回転側のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33との間においてスライドする。
【0067】
この結果、実施例1のドアミラー1は、スプリング10とそのスプリング10の受面すなわち止め具11のスプリング当接部20およびワッシャ6の上側の当接面35との間においてスライドするようなことがない。このために、実施例1のドアミラー1は、コイルスプリングがコイルスプリングの受け面の複数の膨出条上を滑る前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置のように、スプリング10がそのスプリング10の受面すなわち止め具11のスプリング当接部20およびワッシャ6の上側の当接面35に引っ掛かるようなことがなく、異音の発生を確実に防止することができる。
【0068】
しかも、実施例1のドアミラー1は、環状線接触部50により、ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35とが環状線接触の状態で相互に当接するので、シボによりミラーアセンブリの当接面とワッシャの当接面とが無数の点接触の状態で相互に当接する前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置と比較して、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35との間においてスムーズにスライドすることができる。この結果、実施例1のドアミラー1は、異音の発生をさらに確実にかつさらに長期間に亘って防止することができる。すなわち、耐久性に優れている。
【0069】
特に、実施例1のドアミラー1において、環状線接触部50は、ミラーアセンブリ4の回転中心O−Oを中心とする環状形状をなすので、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回転中心O−O回りに回転する方向と、環状線接触部50の環状形状の方向とが一致するので、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回転中心O−O回りにスムーズに回転することができる。その上、環状線接触部50は、中央部を外側に円弧状に突出させた円弧形状の頂点からなるものであるから、環状線接触部50の表面が滑らかであり、その結果、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回転中心O−O回りにスムーズに回転することができる。
【0070】
また、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33に当接する面35およびその反対側の面35、すなわち、ワッシャ6の両面35に環状線接触部50をそれぞれ設けるものであるから、ワッシャ6をスプリング10と共にシャフト3やミラーアセンブリ4の取付部12に組み付ける際に、ワッシャ6の組付方向(天地、上下、表裏など)がないので、一面に環状線接触部を設けたワッシャと比較して組付作業性が良い。
【0071】
さらに、実施例1のドアミラー1は、図面では省略したが、ワッシャ6の当接面35にシボ加工されたシボ、すなわち、微細の凹凸を設けたので、ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35とが環状線接触部50による環状線接触の状態とシボによる無数の点接触の状態とで相互に当接する。この結果、実施例1のドアミラー1は、環状線接触部50による環状線接触の状態とシボによる無数の点接触の状態との相乗効果により、ベース2およびシャフト3およびスプリング10などを含む固定側のワッシャ6の当接面35と回転側のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33との間においてさらに確実にスライドすることができ、異音の発生をさらに確実にかつさらに長期間に亘って防止することができる。すなわち、実施例1のドアミラー1は、ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35との接触面積を極力減少させることにより、ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35との密着による疑似固着を防ぐことができるので、ベース2およびシャフト3およびスプリング10などを含む固定側のワッシャ6の当接面35と回転側のミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33との間において、安定したスライドが得られる。
【0072】
さらにまた、実施例1のドアミラー1は、シャフト3の回転止め部の当接平面301とワッシャ6の回転止め部の直線辺601との当接により、ワッシャ6がシャフト3にシャフト3の回転中心O−O回りに回転不可能に取り付けられていて、ワッシャ6がシャフト3の回転中心O−O回りに回転するのを止めることができる。すなわち、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、ワッシャ6はシャフト3に固定されていて回転しない。この結果、実施例1のドアミラー1は、環状線接触部50の作用と回転止め部301、601の作用との相乗効果により、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、ベース2およびシャフト3およびスプリング10などを含む固定側のワッシャ6の当接面35と回転側のミラーアセンブリ3側の取付部12の当接面33との間においてさらに確実にスライドする。
【0073】
しかも、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の透孔600の内周縁に4つの直線辺601を設け、かつ、シャフト3の外周面に4つの当接平面301を設けるだけでよいので、構造が簡単であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0074】
「ワッシャの必要性の説明」
ここで、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間にワッシャ6を介在させる必要性について説明する。すなわち、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、スプリング10の当接端面34が回転スライド面とならないようにするために、ワッシャ6を介在させる必要があるのである。
【0075】
ワッシャ6を使用せずに、スプリング10の当接端面34が回転スライド面となると、以下の不具合がある。すなわち、シャフト3に固定されている止め具11のスプリング当接部20とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする。このために、回転スライドするスプリング10の当接端面34により、止め具11のスプリング当接部20が削られたり、引っ掻き音などの異音が発生したりする。
【0076】
また、スプリング10の当接端面34は、平面研削してあるものの、コストの関係上、一点一点手仕上げなどによる滑らかな平面仕上げとはなっていない。このために、スプリング10の当接端面34の平面研削にはばらつきが有り、取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする際に、引っ掛かりが生じる。すなわち、取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間における摩擦状態が安定しない。このために、取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間において、スライドしたり、スライドせずにスプリング10がねじれたりする。スプリング10のねじれの応力が取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間における引っ掛かりの摩擦力よりも上回ると、スプリング10のねじれが戻り、スプリング10から叩き音などの異音が発生したりする。
【0077】
このために、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33とスプリング10の当接端面34との間にワッシャ6を介在させて、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに回転する際に、ワッシャ6とスプリング10とが一体となって、取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35との間においてスライドして、スプリング10の当接端面34が回転スライド面とならないようにする必要がある。
【0078】
ところが、現実においては、取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35との間においてスライドせずに、ワッシャ6の当接面35とスプリング10の当接端面34との間においてスライドするものがある。このために、スプリング10の当接端面34が回転スライド面とならないようにするために、ワッシャ6を介在させる目的が達成することができない。
【0079】
以下、取付部12の当接面33とワッシャ6の当接面35との間においてスライドせずに、ワッシャ6の当接面35とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする原因について説明する。すなわち、前記の原因は、ワッシャ6の当接面35が取付部12の当接面33と同様に平面(実施例1のドアミラー1のように、環状線接触部50が設けられていない平面)であるからである。ワッシャ6の当接面が取付部12の当接面33と同様に平面である場合においては、鋼材のワッシャ6と樹脂の取付部12との摩擦係数μが約0.18〜約0.3(樹脂材により異なる)であり、かつ、鋼材のスプリング10と鋼材のワッシャ6との摩擦係数μが約0.45前後であっても、前記の現実のように、摩擦係数が小さいワッシャ6の当接面35と取付部12の当接面33との間においてスライドせずに、摩擦係数が大きいワッシャ6の当接面とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする。
【0080】
すなわち、ワッシャ6の当接面35が平面である場合においては、取付部12の平面の当接面33とワッシャ6の平面の当接面35とが、平面同士で接触して押し付けられている状態(荷重がかかっている状態)にあるので、たとえば、ガラスの平滑な面同士を重ねると相互に吸着しているような現象と同様に、相互に吸着している状態にある。このために、ワッシャ6の当接面35が平面であることが、摩擦係数が小さいワッシャ6の当接面35と取付部12の当接面33との間においてスライドせずに、摩擦係数が大きいワッシャ6の当接面とスプリング10の当接端面34との間においてスライドする原因である。
【0081】
そこで、ワッシャ6の当接面35と取付部12の当接面33との間においてスライドさせて、ワッシャ6の当接面35とスプリング10の当接端面34との間においてスライドさせないようにする対策としては、ワッシャ6の当接面35と取付部12の当接面33との間にグリスを塗布することがある。このグリスを塗布する場合には、グリス塗布による組付タクト上に課題があり、かつ、グリス費などのコスト高となり、グリスの漏洩などの課題があり、グリスによる部品の性能劣化などの課題がある。
【0082】
そこで、この発明すなわち実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の当接面35を平面としないために、ワッシャ6の当接面35の中央部を肉厚形状として、ワッシャ6の当接面35に環状線接触部50を設けるものである。この結果、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の平面ではない当接面35の環状線接触部50と取付部12の平面の当接面33との間において平面吸着の現象が起こらず、このために、ワッシャ6の平面ではない当接面35の環状線当接部50と取付部12の当接面33との間においてスライドして、ワッシャ6の平面ではない当接面35の環状線当接部50とスプリング10の当接端面34との間においてスライドしない。これにより、以上に述べたように、実施例1のドアミラー1は、異音の発生を確実に防止することができる。
【0083】
しかも、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の当接面35が環状線接触部50により平面とならないので、ワッシャ6の当接面35と取付部12の当接面33との間において確実にスライドさせることができて、ワッシャ6の当接面35とスプリング10の当接端面34との間において確実にスライドさせないようにすることができる。この結果、ワッシャとミラー側の密着がなくなって本来の材質特有の摩擦係数で作動するため、実施例1のドアミラー1は、ワッシャ6の当接面と取付部12の当接面33との間にグリスを塗布する必要がないので、組付タクトがグリス塗布の場合と比較して向上し、かつ、グリス費などが不要となってコスト安となり、グリスの漏洩などがなく、グリスによる部品の性能劣化などもない。
【0084】
「ワッシャの変形例の説明」
図11(A)、(B)、(C)は、ワッシャの変形例を示す説明図である。この変形例のワッシャ60は、中央部にリブを設けたワッシャである。すなわち、ワッシャ60の径方向の断面形状は、ワッシャ60の両当接面35の中央部にほぼ半円形のリブを設けた形状をなすものである。この半円形のリブの頂点が環状線接触部51をなすものである。
【0085】
図12(A)、(B)、(C)は、ワッシャの変形例を示す説明図である。この変形例のワッシャ61は、両端部にリブを設けたワッシャである。すなわち、ワッシャ61の径方向の断面形状は、ワッシャ61の両当接面35の両端部(内周縁側の端部と外周縁側の端部)にほぼ半円形のリブをそれぞれ設けた形状をなすものである。この半円形のリブの頂点が環状線接触部52をなすものである。この図12(A)、(B)、(C)に示すワッシャ61は、当接面35における環状線接触部52を2条(2本)設けたので、当接面35における環状線接触部51を1条(1本)設けた前記の図11(A)、(B)、(C)に示すワッシャ60と比較して、摩耗を半減できる。
【0086】
図13(A)、(B)、(C)は、ワッシャの変形例を示す説明図である。この変形例のワッシャ62は、断面丸(もしくは楕円)形状としたワッシャである。このワッシャ62の断面丸(もしくは楕円)の頂点が環状線接触部53をなすものである。なお、このワッシャ62において、環状線接触部53を便宜上ワッシャの当接面とする。
【0087】
図11に示すワッシャ60および図12に示すワッシャ61および図13に示すワッシャ62は、図10に示すワッシャ6と同様に、各ワッシャ60、61、62の透孔600の内周縁に4つの直線辺601を設けてなるものである。なお、図11に示すワッシャ60および図12に示すワッシャ61および図13に示すワッシャ62は、図10に示すワッシャ6と同様に、環状線接触部51、52、53を含む両当接面35には、シボ加工されたシボ(図示せず)を設けても良い。図11に示すワッシャ60および図12に示すワッシャ61および図13に示すワッシャ62は、図10に示すワッシャ6とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0088】
「回転止め部の変形例の説明」
図14および図15は、回転止め部の変形例を示す一部斜視図である。以下、この変形例における回転止め部について説明する。
【0089】
すなわち、ワッシャ63には、前記シャフト3に嵌合するためのほぼ円形の透孔602が設けられている。前記ワッシャ63の前記透孔602の内周縁には、前記シャフト3の前記溝17の縁すなわち前記係止部19に係合する少なくとも1個この例では4個の係合凸部603が、前記ワッシャ63の中心に向かって一体に設けられている。前記ワッシャ63の前記係合凸部603と前記シャフト3の前記溝17の縁すなわち前記係止部19とがこの変形例における回転止め部を構成する。
【0090】
この変形例における回転止め部は、ワッシャ63の係合凸部603がシャフト3の溝17の縁すなわち係止部19に係合することにより、ワッシャ63がシャフト3の回転中心O−O回りに回転するのを止めることができる。しかも、この変形例における回転止め部は、止め具11の係合爪部23がシャフト3の溝17の縁すなわち係止部19に係合することにより、スプリング10がワッシャ63と止め具11との間において圧縮された状態で配置される。このように、この変形例における回転止め部は、シャフト3の溝17の縁すなわち係止部19が、止め具11の係合爪部23が係合する係合部と、ワッシャ63の係合凸部603が係合する係合部と、兼用するので、構造が簡単となり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0091】
図16および図17は、回転止め部の変形例を示す一部斜視図である。以下、この変形例における回転止め部について説明する。
【0092】
すなわち、ワッシャ64には、前記シャフト3に嵌合するためのほぼ円形の透孔604が設けられている。前記ワッシャ64の前記透孔604の内周縁には、多数の小係合凸部(または多数の小係合凹部)605が設けられている。前記シャフト3の外周面には、前記ワッシャ64の前記多数の小係合凸部(または多数の小係合凹部)605がそれぞれ係合する多数の小係合凹部(または多数の小係合凸部、いわゆる、セレーション、スプライン)305が前記シャフト3の軸方向に設けられている。前記ワッシャ64の前記多数の小係合凸部(または多数の小係合凹部)605と前記シャフト3の前記多数の小係合凹部(または多数の小係合凸部)305とがこの変形例における回転止め部を構成する。
【0093】
この変形例における回転止め部は、ワッシャ64の多数の小係合凸部(または多数の小係合凹部)605をシャフト3の多数の小係合凹部(または多数の小係合凸部)305に係合することにより、ワッシャ64がシャフト3の回転中心O−O回りに回転するのを止めることができる。このように、この変形例における回転止め部は、ワッシャ64の透孔604の内周縁に多数の小係合凸部(または多数の小係合凹部)605を設け、一方、シャフト3の外周面に多数の小係合凹部(または多数の小係合凸部)305をシャフト3の軸方向に設けるものであるから、シャフト3にワッシャ64を組み付ける際に、シャフト3とワッシャ64との位置決め(シャフト3の回転中心O−Oを中心とした回転方向もしくは周方向の位置決めなど)がないので、組付作業性が良く、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0094】
図14、図15に示すワッシャ63および図16、図17に示すワッシャ64は、図10に示すワッシャ6のように、径方向の断面形状が中央部を両端部に対して外側に円弧状に突出させた形状をなしていて、この円弧状の頂点が環状線接触部50をなすもの、あるいは、図11に示すワッシャ60のように、径方向の断面形状が中央部にほぼ半円形のリブを設けた形状をなしていて、この半円形のリブの頂点が環状線接触部51をなすもの、あるいは、図12に示すワッシャ61のように、径方向の断面形状が両端部にほぼ半円形のリブをそれぞれ設けた形状をなしていて、この半円形のリブの頂点が環状線接触部52をなすもの、あるいは、図13に示すワッシャ62のように、断面丸(もしくは楕円)形状として、断面丸(もしくは楕円)の頂点が環状線接触部53をなすものに、回転止め部としての係合凸部603および多数の小係合凸部(または多数の小係合凹部)605を設けるものである。
【実施例2】
【0095】
図18〜図22は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例2を示す。なお、図19(A)および(B)は、中央部を肉厚形状としたワッシャの斜視図および一部拡大斜視図である。図20(A)および(B)は、中央部にリブを設けたワッシャの斜視図および一部拡大斜視図である。図21(A)および(B)は、両端部にリブを設けたワッシャの平斜視図および一部拡大斜視図である。図22(A)および(B)は、断面丸(もしくは楕円)形状としたワッシャの斜視図および一部拡大斜視図である。図中、図1〜図17と同符号は、同一のものを示す。
【0096】
この実施例2における車両用アウトサイドミラー装置(実施例2のドアミラー)は、前記の実施例1のドアミラー1が回転止め部(シャフト3の当接平面301とワッシャ6、60、61、62の直線辺601とから構成されている回転止め部)を設けているドアミラーに対して、回転止め部を設けていないドアミラーである。
【0097】
すなわち、図18、図19に示すワッシャ6Aは、図10に示すワッシャ6とほぼ同様に、中央部を肉厚形状としたワッシャである。すなわち、前記ワッシャ6Aの径方向の断面形状は、前記ワッシャ6Aの両当接面35において、中央部を両端部に対して外側に円弧状に突出させた形状をなすものである。この円弧状の頂点が環状線接触部50をなすものである。前記ワッシャ6Aの前記環状線接触部50を含む両当接面35には、シボ加工されたシボ(図示せず)が設けられている。そして、前記ワッシャ6Aの中央には、円形の透孔600Aが設けられていて、回転止め部としての直線辺が設けられていない。
【0098】
図20に示すワッシャ60Aは、図11に示すワッシャ60とほぼ同様に、中央部にリブを設けたワッシャである。すなわち、前記ワッシャ60Aの径方向の断面形状は、前記ワッシャ60Aの両当接面35の中央部にほぼ半円形のリブを設けた形状をなすものである。この半円形のリブの頂点が環状線接触部51をなすものである。なお、前記ワッシャ60Aの前記環状線接触部51を含む両当接面35には、シボ加工されたシボ(図示せず)を設けても良い。そして、前記ワッシャ60Aの中央には、円形の透孔600Aが設けられていて、回転止め部としての直線辺が設けられていない。
【0099】
図21に示すワッシャ61Aは、図12に示すワッシャ61とほぼ同様に、両端部にリブを設けたワッシャである。すなわち、前記ワッシャ61Aの径方向の断面形状は、前記ワッシャ61Aの両当接面35の両端部にほぼ半円形のリブをそれぞれ設けた形状をなすものである。この半円形のリブの頂点が環状線接触部52をなすものである。なお、前記ワッシャ61Aの前記環状線接触部52を含む両当接面35には、シボ加工されたシボ(図示せず)を設けても良い。そして、前記ワッシャ61Aの中央には、円形の透孔600Aが設けられていて、回転止め部としての直線辺が設けられていない。
【0100】
図22に示すワッシャ62Aは、図13に示すワッシャ62とほぼ同様に、断面丸(もしくは楕円)形状としたワッシャである。前記ワッシャ62Aの断面丸(もしくは楕円)の頂点が環状線接触部53をなすものである。なお、前記ワッシャ62Aの前記環状線接触部53を含む両当接面には、シボ加工されたシボ(図示せず)を設けても良い。また、このワッシャ62Aにおいて、環状線接触部53を便宜上ワッシャの当接面とする。そして、前記ワッシャ62Aの中央には、円形の透孔600Aが設けられていて、回転止め部としての直線辺が設けられていない。
【0101】
図18、図19に示すワッシャ6A、図20に示すワッシャ60A、図21に示すワッシャ61A、図22に示すワッシャ62Aは、円形透孔600Aの内径が前記シャフト3の外径よりも大きいので、前記シャフト3に遊嵌(すなわち、前記ワッシャ6の内周面と前記シャフト3の外周面と間に隙間を有した状態で外側から嵌合する状態)することができる。
【0102】
この実施例2のドアミラー(図18、図19に示すワッシャ6A、図20に示すワッシャ60A、図21に示すワッシャ61A、図22に示すワッシャ62A)は、環状線接触部50、51、52、53により、ミラーアセンブリ4の当接面33とワッシャ6の当接面35との密着による疑似固着を防ぐことができる。この結果、この実施例2のドアミラーは、シャフト3の回転止め部の当接平面とワッシャ6A、60A、61A、62Aの回転止め部の直線辺との当接により、ワッシャ6A、60A、61A、62Aがシャフト3にシャフト3の回転中心O−O回りに回転不可能に取り付けられていなくとも、異音の発生を確実に防止することができる。
【0103】
特に、この実施例2のドアミラーは、ワッシャ6A、60A、61A、62Aがシャフト3に対して固定されないが、ワッシャ6A、60A、61A、62Aおよびシャフト3に回転止め部(直線辺601、当接平面301、係合凸部603、多数の小係合凸部(または多数の小係合凹部)605、多数の小係合凹部(または多数の小係合凸部)305)を設ける必要が無い。この結果、この実施例2のドアミラーは、シャフト3にワッシャ6A、60A、61A、62Aを組み付ける際に、シャフト3とワッシャ6A、60A、61A、62Aとの位置決め(シャフト3の回転中心O−Oを中心とした回転方向もしくは周方向の位置決めなど)がないので、組付作業性が良く、組付作業時間を短縮することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【実施例3】
【0104】
図23〜図25は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例3を示す。図中、図1〜図22と同符号は、同一のものを示す。
【0105】
この実施例3における車両用アウトサイドミラー装置(実施例3のドアミラー)は、前記の実施例1のドアミラー1および実施例2のドアミラーがワッシャ6、60、61、62、63、64、6A、60A、61A、62Aの当接面35に環状線接触部50、51、52、53を設けているのに対して、ミラーアセンブリ4側の取付部12の当接面33に環状線接触部54、55、56を設けるものである。
【0106】
すなわち、図23において、取付部12のシャフト3の回転中心O−Oを中心とする径方向の断面形状は、取付部12の当接面33において、中央部を両端部に対して外側に円弧状に突出させた形状をなすものである。この円弧状の頂点が前記環状線接触部54をなすものである。
【0107】
図24において、取付部12のシャフト3の回転中心O−Oを中心とする径方向の断面形状は、取付部12の当接面33の中央部にほぼ半円形のリブを設けた形状をなすものである。この半円形のリブの頂点が環状線接触部55をなすものである。
【0108】
図25において、取付部12のシャフト3の回転中心O−Oを中心とする径方向の断面形状は、取付部12の当接面33の両端部にほぼ半円形のリブをそれぞれ設けた形状をなすものである。この半円形のリブの頂点が環状線接触部56をなすものである。
【0109】
この実施例3のドアミラーは、前記の実施例1のドアミラー1および実施例2のドアミラーとほぼ同様の作用効果を達成することができる。なお、この実施例3のドアミラーにおいては、前記の実施例1のドアミラー1のワッシャ6、60、61、62、63、64および実施例2のドアミラーのワッシャ6A、60A、61A、62Aおよび両当接面が平面をなす通常のワッシャ(図示せず)を使用しても良い。
【実施例4】
【0110】
図26〜図29は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例4を示す。図中、図1〜図25と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置について説明する。
【0111】
前記の実施例1、2、3においては、手動により、ミラーアセンブリ4をシャフト3に対して使用位置Aと格納位置Bとの間を傾倒(回転、回動)させる手動格納型の車両用アウトサイドミラー装置であるのに対して、この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、電動により、ミラーアセンブリ4をシャフト3に対して使用位置Aと格納位置Bとの間を傾倒(回転、回動)させる電動格納型の車両用アウトサイドミラー装置である。
【0112】
この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、前記ミラーアセンブリ4を前記シャフト3に対して使用位置Aと格納位置Bとの間を電動により傾倒(回転、回動)させる電動格納ユニット36を備える。前記電動格納ユニット36は、前記シャフト3と、シャフトホルダ14と、ケーシングとしてのギアケース37およびカバー38と、モータ39と、回転力伝達機構としての減速機構40およびクラッチ機構41と、プレート42と、電気回路基板43と、を備えるものである。前記ギアケース37が前記の実施例1の取付部12に相当する。
【0113】
前記減速機構40は、前記モータ39に連結されている第1段目のギアとしての第1ウォームギア44と、前記第1ウォームギア44に噛み合う第2段目のギアとしてのヘリカルギア45と、前記ヘリカルギア45と同期回転する第3段目のギアとしての第2ウォームギア46と、前記第2ウォームギア46が噛み合う最終段目のギアとしてのクラッチギア47と、から構成されている。
【0114】
前記クラッチ機構41は、前記クラッチギア47と、クラッチホルダ48と、スプリング10と、止め具11と、ワッシャ6と、を備える。前記クラッチ機構41は、前記シャフト3に、下側の前記ワッシャ6および前記ギアケース37を順次嵌め合わせた後に、上側の前記ワッシャ6前記クラッチホルダ48、前記クラッチギア47、前記スプリング10、を順次嵌め合せ、前記止め具11で前記スプリング10を圧縮状態にすることによって構成されている。
【0115】
前記下側のワッシャ6の上側の当接面35の環状線接触部50と前記ギアケース37のワッシャ受座部の下側の当接面49とが相互に当接する。また、前記上側のワッシャ6の下側の当接面35の環状線接触部50と前記ギアケース37のワッシャ受座部の上側の当接面49とが相互に当接する。さらに、前記上下両側のワッシャ6の直線辺601が前記シャフト3の当接平面301に当接する。
【0116】
この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、モータ39を駆動させると、クラッチギア47とクラッチホルダ48とが続状態にあり、ミラーアセンブリ4が電動によりシャフト3の回りに、使用位置Aと格納位置Bとの間を傾倒(回転、回動)する。また、ミラーアセンブリ4を手動によりシャフト3の回りに回転させると、クラッチギア47とクラッチホルダ48とが断状態となり、ミラーアセンブリ4が手動によりシャフト3の回りに、使用位置Aと格納位置Bとの間、および、使用位置Aと前方傾倒位置Cとの間を傾倒(回転、回動)する。さらに、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4にスプリング10のスプリング力よりも大きい力が作用すると、クラッチギア47とクラッチホルダ48とが断状態となり、ミラーアセンブリ4が前記の手動回転と同様に、シャフト3の回転中心O−O回りに時計方向または反時計方向に緩衝のために回転する。すなわち、ミラーアセンブリ4がシャフト3の回りに、使用位置Aと格納位置Bとの間、および、使用位置Aと前方傾倒位置Cとの間を傾倒(回転、回動)する。
【0117】
この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1、2、3における車両用アウトサイドミラー装置とほぼ同様の作用効果を電動および手動の双方において、達成することができる。すなわち、図27に示すように、上側のワッシャ6の下面の当接面35とギアケース37の上面との間、および、下側のワッシャ6の上面の当接面35とギアケース37の下面との間においてスライドするので、上側のワッシャ6の上面とクラッチホルダ48の下面との間、および、下側のワッシャ6の下面とシャフトホルダ14の上面との間においてスライドするようなことはない。この結果、この実施例4における車両用アウトサイドミラー装置は、スプリング10の叩き音、および、スライド変化による電動作動音の波打ちが減少するので、品質が向上する。
【0118】
この実施例4の車両用アウトサイドミラー装置においては、前記の実施例1、2の車両用アウトサイドミラー装置におけるワッシャ60、61、62、63、64、6A、60A、61A、62Aを使用しても良い。
【0119】
また、この実施例4の車両用アウトサイドミラー装置においては、ギアケース37の上下両当接面49(図28および図29中の格子ハッチングが施されている面)のうち少なくともいずれか一方の当接面49に前記の実施例3の車両用アウトサイドミラー装置における環状線接触部54、55、56を設けても良い。この場合においては、前記の実施例1のドアミラー1のワッシャ6、60、61、62、63、64および実施例2のドアミラーのワッシャ6A、60A、61A、62Aおよび両当接面が平面をなす通常のワッシャ(図示せず)を使用しても良い。
【0120】
「実施例以外の例の説明」
以下、前記の実施例1、2、3、4以外の例について説明する。この実施例1、2、3、4においては、乗用車のドアDに装備されるドアミラー1について説明するものである。ところが、この発明においては、その他の自動車用アウトサイドミラー装置、たとえば、乗用車のフェンダに装備されるフェンダミラーやトラックのフェンダやピラーなどに装備されるトラックミラーなどであっても良い。すなわち、車体に固定されるベースおよびシャフト側の固定部と、そのシャフトに傾倒可能に取り付けられているミラーユニット(ミラー)およびミラーアセンブリ側の傾倒部と、から構成されている自動車用アウトサイドミラー装置であっても良い。
【0121】
また、前記の実施例1、2、3、4においては、ミラーハウジング7が一体構造のものである。ところが、この発明においては、ミラーハウジングが本体部とその本体部を覆うカバー(化粧カバー、ガーニッシュ、シェルフレーム)とから構成されている別体構造のものであっても良い。
【0122】
さらに、前記の実施例1、2、3、4においては、位置決め手段が取付部12の一面に設けられているノッチタイプの凸部22とシャフトホルダ14の一面に設けられていて凸部が嵌合するノッチタイプの凹部16面とから構成されているものである。ところが、この発明においては、シャフトホルダ14の一面にノッチタイプの凹部を設け、取付部12の一面にノッチタイプの凸部を設けても良い。
【0123】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、位置決め手段がノッチタイプの凹部凸部すなわち断面台形の凹凸から構成されているものである。ところが、この発明においては、位置決め手段として、ボールとそのボールが嵌合する嵌合凹部とから構成されているもの、また、半球形の凹凸から構成されているもの、さらに、断面半円形の凹凸から構成されているもの、さらにまた、断面三角形の凹凸から構成されているものなどであっても良い。
【0124】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、係合爪部23を4個設けてなるものである。ところが、この発明においては、係合爪部を製品の仕様(大きさなど)により、3個、5個以上設けても良い。
【0125】
さらにまた、前記の実施例1、2、3においては、取付部12がミラーハウジング7と別体のフレームやブラケットから構成されていて、そのミラーハウジング7に一体に固定されているものである。ところが、この発明においては、取付部とミラーハウジングとが一体構造のものであっても良い。
【0126】
さらにまた、前記の実施例1、2、3においては、取付部12として、一端(上端)が開口しかつ他端(下端)が閉塞した中空状の断面凹形状をなしていて下端閉塞部の中央に透孔25を設けた1重の円筒形状の取付部12を使用するものである。ところが、この発明においては、下端閉塞部の透孔の縁から円筒部を一体に設けた2重の取付部を使用しても良い。
【0127】
さらにまた、前記の実施例1、2、4においては、ワッシャ6、60、61、62、63、64、6A、60A、61A、62Aの両面(ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に当接する面およびその反対側の面)35に環状線接触部50、51、52、53を設けるものである。ところが、この発明においては、ワッシャの一面(ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に当接する面)に環状線接触部を設けるものであっても良い。しかも、この発明においては、ワッシャの一面に環状線接触部を設け、他面を平面のままとし、このワッシャの平面の他面とスプリングの当接端面とを当接させることにより、ワッシャの平面の他面とスプリングの当接端面との間の摩擦抵抗力が大きくなり、その分、ワッシャとスプリングとが一体化してワッシャの平面の他面とスプリングの当接端面との間においてスライドせず、一方、ワッシャの一面の環状線接触部とミラーアセンブリとの間においてさらに確実にスライドし易くなる。
【0128】
さらにまた、前記の実施例1、2、3、4においては、ワッシャ6、60、61、62、63、64、6A、60A、61A、62Aの両面(ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に当接する面およびその反対側の面)35に環状線接触部50、51、52、53を設け、または、ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に環状線接触部54、55、56を設けるものである。ところが、この発明においては、ワッシャの両面もしくは一面に環状線接触部を設け、かつ、ミラーアセンブリ4の取付部12の当接面33またはギアケース37の当接面49に環状線接触部を設けても良い。すなわち、相互に当接するミラーアセンブリ4の当接面33、49とワッシャ6、60、61、62、63、64、6A、60A、61A、62Aの当接面35のうち、少なくともいずれか一方に環状線接触部を設けても良い。
【0129】
さらにまた、前記の実施例1、2、4においては、ワッシャ6、60、61、62、63、64、6A、60A、61A、62Aの環状線接触部50、51、52、53を含む両当接面35にはシボ加工されたシボを設けられている。ところが、この発明においては、ワッシャの環状線接触部を含む両当接面にシボを設けなくても良いし、また、ワッシャの両当接面のうち環状線接触部を設けた一当接面にシボを設けても良い。
【0130】
さらにまた、前記の実施例1、2、3においては、固定部のシャフト3およびシャフトホルダ14と、傾倒部のミラーアセンブリ4および取付部12との間には、介在部材が介在されていない。ところが、この発明においては、固定部のシャフト3およびシャフトホルダ14と、傾倒部のミラーアセンブリ4および取付部12との間に、介在部材(例えば、プレート)を介在させて、ノッチタイプの位置決め凸部の外面と、その凸部が嵌合するノッチタイプの位置決め凹部の内面との摩耗を防止するようにしても良い。
【符号の説明】
【0131】
1 ドアミラー(車両用アウトサイドミラー装置)
2 ベース
3 シャフト
301 当接平面(回転止め部)
305 多数の小係合凹部または多数の小係合凸部(回転止め部)
4 ミラーアセンブリ
5 開口部
6、60、61、62、63、64、6A、60A、61A、62A ワッシャ
600、600A、602、604 透孔
601 直線辺(回転止め部)
603 係合凸部(回転止め部)
605 多数の小係合凸部または多数の小係合凹部(回転止め部)
7 ミラーハウジング
8 反射面
9 ミラーユニット
10 スプリング
11 止め具
12 取付部
14 シャフトホルダ
15 スクリュー
16 位置決め凹部(位置決め手段)
17 溝
18 係合部
19 係止部
20 スプリング当接部
21 挿入孔
22 位置決め凸部(位置決め手段)
23 係合爪部
25 円形の透孔
29 ストッパ凸部(ストッパ手段)
30 ストッパ凹部(ストッパ手段)
31 端面
32 端面
33 取付部の当接面
34 スプリングの当接端面
35 ワッシャの当接面
36 電動格納ユニット
37 ギアケース
38 カバー
39 モータ
40 減速機構
41 クラッチ機構
42 プレート
43 電気回路基板
44 第1ウォームギア
45 ヘリカルギア
46 第2ウォームギア
47 クラッチギア
48 クラッチホルダ
49 ギアケースの当接面
50、51、52、53、54、55、56 環状線接触部
A 使用位置
B 格納位置
C 前方傾倒位置
D ドア(車体)
E 車両の後方
F 車両の前方
G 挿入方向
O−O 回転中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーアセンブリが車体に対して傾倒可能である車両用アウトサイドミラー装置において、
前記車体に固定されるベースと、
前記ベースに固定されているシャフトと、
前記シャフトの周囲に圧縮された状態で配置されているスプリングと、
前記シャフトに傾倒可能に装備されている前記ミラーアセンブリと、
前記シャフトの周囲に配置されていて、前記スプリングにより前記ミラーアセンブリに当接されているワッシャと、
を備え、
相互に当接する前記ミラーアセンブリの当接面と前記ワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方には、環状線接触部が設けられている、
ことを特徴とする車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項2】
前記ワッシャの前記ミラーアセンブリに当接する面およびその反対側の面には、前記環状線接触部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項3】
相互に当接する前記ミラーアセンブリの当接面と前記ワッシャの当接面のうち、少なくともいずれか一方には、シボ加工されたシボが設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項4】
前記シャフトと前記ワッシャとには、前記ワッシャが前記シャフトの回転中心回りに回転するのを止める回転止め部が、それぞれ設けられていて、
前記ワッシャは、前記回転止め部により、前記シャフトに前記シャフトの回転中心回りに回転不可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用アウトサイドミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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