説明

車両用シート

【課題】取付け安定性を極力維持しつつ、フレーム部材に支持部材をコンパクトに着脱することにある。
【解決手段】係着機構が、第一取付け部位11と第二取付け部位12のいずれか一方の部位に設けた第一係着部及び第二係着部72と、一方の部位とは異なる他方の部位に設けた被係着部とを有し、第一取付け部位11と第二取付け部位12を重ね合わせて、第一係着部を、他方の部位一縁に当接させるとともに、第二係着部72を、前記一縁とは異なる他方の部位他縁に当接させ、第一係着部及び第二係着部72のいずれか一方を、被係着部に掛け入れることにより、フレーム部材6Fに対して支持部材20を係着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム部材と、フレーム部材に取付け可能な支持部材(乗員を支持可能な部材)を有する車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用シートとして、特許文献1に開示の車両用シートが公知である。この車両用シートは、シートクッションと、シートクッションに起立状態で連結するシートバックを有する。
そしてシートクッションは、フレーム部材と、支持部材を有する。フレーム部材は、シート骨格をなす略矩形の枠状部材であり、立設片を有する。立設片は、シート前後に延びる平板部材であり、フレーム部材の上面(支持部材を臨む面)に配設される。
また支持部材は、乗員を支持可能な部材であり、枠状体と、面状体を有する。枠状体は、フレーム部材(着座側)の外形形状に倣った形状の枠状部材であり、立設片を挿入可能な孔部を有する。また面状体は、弾性的に伸縮可能な面状の部材であり、枠状体の中央に張設される。
そして特許文献1の技術では、フレーム部材に枠状体を重ね合わせつつ、立設片を孔部に挿入する。そして立設片を、孔部から突出させたのちシート幅方向に屈曲させることで、フレーム部材に対して支持部材を(取外し不能に)固定することができる。
【0003】
ところでこの種の車両用シートでは、シートのメンテナンスやデザイン変更等を考慮すると、フレーム部材に対して支持部材が着脱可能であることが好ましい。
そこで特許文献2のシートバックでは、支持部材の内部が中空とされて、フレーム部材に被覆可能である。そしてフレーム部材の側面に、シート上下に延びる突出部(平板状)が形成されるとともに、枠状体の内部に、突出部を挿入可能な溝部が形成される。
そしてフレーム部材(起立状態)の上方から支持部材を下方にスライドさせて被せる。つぎに突出部を溝部に嵌込することにより、フレーム部材に対して支持部材を着脱可能に取付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4228355号明細書
【特許文献2】特許第4069307号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献2の技術では、フレーム部材(起立状態)の上方から支持部材を下方にスライド移動させる。このため車両内においては、天井などの他部材に支持部材が当たるなどして、支持部材の取付け作業に手間取ることがあった。
また特許文献2の技術では、突出部と溝部の係止により(一種類の係止構造により)支持部材を係止することから、フレーム部材に対する支持部材の係止力がやや弱い構成であった。このため乗員の着座動作などによって、フレーム部材に対して支持部材がガタつくことがあった(取付け安定性にやや欠ける構成であった)。
このため特許文献2の技術は、取付け安定性や作業性等を考慮すると、特許文献1の技術にすんなり採用できる技術ではなかった。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、取付け安定性を極力維持しつつ、フレーム部材に支持部材をコンパクトに着脱することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シートクッションやシートバックなどのシート構成部材を有する。そしてシート構成部材は、シート骨格をなすフレーム部材と、乗員を支持可能な支持部材を有する。
そして本発明では、係着構造を介して、フレーム部材に対して支持部材を着脱可能に取付ける。この種の構成では、取付け安定性を極力維持しつつ、フレーム部材に支持部材をコンパクトに着脱できることが好ましい。
【0007】
そこで本発明では、上述のフレーム部材が、その着座側の少なくとも一部に沿って形成された第一取付け部位を有するとともに、支持部材が、第一取付け部位に重ね合わせ可能な第二取付け部位を有する。
また係着構造が、第一取付け部位と第二取付け部位のいずれか一方の部位に設けた第一係着部及び第二係着部と、前記一方の部位とは異なる他方の部位に設けた被係着部とを有する。
【0008】
そして本発明では、第一取付け部位と第二取付け部位を(シート着座側から)重ね合わせる。そして第一係着部を、他方の部位一縁に当接させるとともに、第二係着部を、前記一縁とは異なる他方の部位他縁に当接させる。
さらに第一係着部と第二係着部のいずれか一方を、被係着部に掛け入れることにより、フレーム部材に対して支持部材を係着する構成とした。
本発明では、フレーム部材に対して支持部材を、シート着座側から(コンパクトに)係着できる。そしてフレーム部材に対する支持部材の係着に際しては、第一係着部と第二係着部によって他方の部位を把持状態としつつ、第一係着部又は第二係着部を被係着部に掛け入れる構成である(取付け安定性に優れる構成である)。
【0009】
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、第一係着部と第二係着部が、一方の部位の外形に沿って交互に配置する。
本発明では、第一係着部と第二係着部を交互に配置することで、他の部位を、適度な把持力で保持することができる。このため他の部位を、第一係着部と第二係着部の間に比較的簡単に取付けることができるとともに、比較的簡単に両係着部から取外すことができる(着脱性能に優れる構成である)。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1発明によれば、取付け安定性を極力維持しつつ、フレーム部材に支持部材をコンパクトに着脱することができる。また第2発明によれば、支持部材の着脱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両用シートの一部透視斜視図である。
【図2】組付け前のフレーム部材と支持部材の斜視図である。
【図3】組付け途中のフレーム部材と支持部材の斜視図である。
【図4】シートバック一部の斜視図である。
【図5】支持部材の正面図である。
【図6】シートバック一部の縦断面図である。
【図7】シートバック一部の別の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図7を参照して説明する。各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8(いずれもシート構成部材の一例)を有する。
ヘッドレスト8は、一対のステー部材8aを有し、シートバック6の上部に取付けられる。一対のステー部材8aは、それぞれ棒状の部材であり、ヘッドレスト8下部に所定間隔をあけて並列配置させることができる。
【0013】
そしてシートバック6は、シートクッション4に対して起倒可能に連結する部材である(図1〜図3、図6を参照)。本実施例のシートバック6は、フレーム部材6Fと、支持部材20と、ボード部材9と、補完部材60を有する。ボード部材9は、樹脂製の平板部材であり、シートバック6の裏面に配設することができる。
本実施例では、後述の係着構造を介して、フレーム部材6Fに対して支持部材20を取付ける。この種のシート構成では、取付け安定性を極力維持しつつ、フレーム部材6Fに支持部材20をコンパクトに着脱できることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成によって、取付け安定性を極力維持しつつ、フレーム部材6Fに支持部材20をコンパクトに着脱可能に取付けることとした。以下、各構成について詳述する。
【0014】
[フレーム部材]
フレーム部材6F(略逆U字状の枠体)は、上部フレーム6aと、一対の側部フレーム6bと、一対の下部フレーム6cと、第一取付け部位11を有する(図2、図6及び図7を参照)。
上部フレーム6aは、シート上部をなす棒状部材(正面視で略逆U字状)であり、一対のサポート部材SMを有する。一対のサポート部材SMは、それぞれステー部材8aを挿入可能な筒状部材(略矩形)である。本実施例では、一対のサポート部材SMを、所定間隔をあけつつ、上部フレーム6aの後面側に並列配置する。
また一対の側部フレーム6bは、それぞれシート側部をなす平板部材であり、外面部16と、内面部17を有する。外面部16は、クランク状(横断面視)の部位であり、シート側部の外形をなす。また内面部17は、外面部16からシート内方に向かって張り出す部位である。
そして一対の下部フレーム6cは、それぞれシート下部において一対の側部フレーム6b間に橋渡しされた棒状部材である。
【0015】
(第一取付け部位)
第一取付け部位11は、フレーム部材6Fの着座側の少なくとも一部に沿って形成される部位であり、後述の被係着部77(係着構造の構成)を有する(図6、図7を参照)。
本実施例では、側部フレーム6b(外面部16,内面部17)に、第一取付け部位11を形成して、後述の第二取付け部位12に対面配置させる。このとき外面部16の着座側がシート幅方向に突出して、第一取付け部位11の外縁(一縁)を構成する。また内面部17(内端)が、第一取付け部位11の内縁(一縁とは異なる他縁)を構成する。
【0016】
[支持部材]
支持部材20は、乗員を支持可能な部材であり、フレーム部材6Fの着座側の形状に倣った形状(略矩形)を有する(図2、図5〜図7を参照)。
本実施例の支持部材20は、フレーム部材6Fよりも若干幅広い外形形状を有し、枠状体20aと、面状体20bと、第二取付け部位12を有する。
【0017】
(枠状体)
枠状体20aは、フレーム部材6Fに組付け可能な枠状の部材であり、典型的に樹脂製の部材である(図2、図5〜図7を参照)。
ここで枠状体20aの材質は特に限定しないが、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン,塩化ビニル樹脂,ポリエチレン)や、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂)を例示できる。
本実施例の枠状体20aは、中央が中空であるとともに、基本構成(上枠部22,一対の側枠部24,下枠部26)と、後述の組付け部位51,52を有する。下枠部26は、枠状体20a下部の平板部位である。
【0018】
そして上枠部22と側枠部24は、略L字状(断面視)をなしており、各々、外枠部30と、内枠部32と、複数の補強部34を有する(図5を参照)。
外枠部30は、枠状体20aの外形形状を構成する平板部位である。また内枠部32は、外枠部30の外縁から内方に向かって屈曲する部位であり、側方フレーム(内面部17)に対面することができる。そして補強部34は、外枠部30と内枠部32に跨って立設する平板部位(リブ状)であり、支持部材20を補強するための構成である。本実施例では、複数の補強部34を、枠状体20aの外周に沿って所定間隔で形成できる(なお図5では、便宜上、一つの補強部のみに符号を付す)。
【0019】
(第二取付け部位)
第二取付け部位12は、第一取付け部位11に重ね合わせ可能な部位であり、後述の第一係着部71と第二係着部72(係着構造の構成)を有する(図5〜図7を参照)。
本実施例では、側枠部24(外枠部30,内枠部32)に、第二取付け部位12を形成して、第一取付け部位11に対面配置する。そしてフレーム部材6Fに支持部材20を組付けることで、外枠部30を、外面部16に重ね合わせるとともに、内枠部32を、内面部17に重ね合わせる構成とする。
【0020】
(面状体)
面状体20bは、乗員を弾性的に支持する面状の部材であり、弾性的に伸縮可能な部材であることが望ましい(図1〜図3を参照)。
ここで面状体20bの種類は特に限定しないが、布帛(織物,編物,不織布)、皮革(天然皮革,合成皮革)、ネット体(繊維を網目状に織製した部材)を例示できる。なおネット体は、繊維(天然繊維や合成繊維)を二次元的に交絡させてもよく、繊維を三次元的に交絡させてもよい。
【0021】
本実施例では、面状体20b(ネット体)を、枠状体20aの中央(中空状)に取付けることができる(図6及び図7を参照)。なお枠状体20aに対する面状体20bの取付け方法は特に限定しない。
例えば枠状体20a(樹脂製)を成形する際に、成形型のキャビティ内などに面状体20bを張設する。そして成形型内に成形原料(溶融樹脂等)を流し込むことで、枠状体20aを成形しつつ面状体20bを一体的に取付けることができる。そして面状体20bの縁部(網目)に、支持部材20の樹脂が侵入固化することで、面状体20bの周端を枠状体20aに一体化することができる。
【0022】
(組付け部位)
本実施例では、枠状体20aに、複数の組付け部位(第一組付け部位51,第二組付け部位52)を設けることができる(図2〜図4を参照)。
第一組付け部位51は、支持部材20の上部側を、フレーム部材6Fに組付けるための部位である。そして第一組付け部位51は略矩形(上方視)の部位であり、上部フレーム6aに係合可能な係合部51aを有する(図4を参照)。
また係合部51aは、第一組付け部位51の後側から下方に湾曲する部位であり、複数の切込みが等間隔で形成される(櫛形状である)。
本実施例では、第一組付け部位51を上枠部22(後側)の中央に配設して、後方に(フレーム部材6Fを臨む向きに)張り出させる。そして後述するように、上部フレーム6aに係合部51aを係合することで、フレーム部材6Fに支持部材20を組付ける。
【0023】
また第二組付け部位52は、略横U字状(上方視)の部材であり、サポート部材SMに組付けることができる(図4を参照)。
本実施例では、一対の第二組付け部位52を、上枠部22(後側)に配設して、後方に張り出させる。このとき一対の第二組付け部位52を、それぞれサポート部材SMに対面するように所定間隔をあけて両側に並列配置する。そして支持部材20の組付け時においては、一対の第二組付け部位52内に、それぞれサポート部材SMを挿設して保持することができる。
【0024】
[係着構造]
係着構造は、フレーム部材6Fに対して支持部材20を係着するための構造であり、第一係着部71と、第二係着部72と、被係着部77を有する(図5〜図7を参照)。
そして本実施例では、被係着部77を、第一取付け部位11に設けるとともに、第一係着部71及び第二係着部72を、第二取付け部位12に設ける。
【0025】
(被係着部)
被係着部77は、第一係着部71に掛止め可能な部位である(図6及び図7を参照)。
本実施例の被係着部77は、側部フレーム6b(外面部16の着座側)に設けた貫通孔である。このように被係着部77を、外面部16の着座側に形成することで、後述の第一係着部71(係止爪74)を挿入可能とする。
【0026】
(第一係着部)
第一係着部71は、外枠部30からシート内に向かって突出する部位であり、ガイド部位73と、係止爪74と、当接部位75を有する(図6を参照)。
ガイド部位73は、外枠部30の途中からシート内に向かって傾斜して突出する部位(横断面視で三角状)である。また係止爪74は、ガイド部位73先端の突出部位である。そして当接部位75は、係止爪74と内枠部32の間に形成された部位(横断面視で矩形状)である。
本実施例では、第一係着部71の突出寸法を調節するなどして、外面部16(第一取付け部位11の外縁)に対して当接部位75を当接しつつ、係止爪74を、被係着部77(貫通孔)に掛け止める構成とする。
【0027】
(第二係着部)
本実施例の第二係着部72は、第二取付け部位12(内枠部32)からシート後方に向かって突出する部位(断面視で略長方形状)である(図7を参照)。
本実施例では、第二係着部72の形成位置を調節するなどして、内面部17の内縁(第一取付け部位11の他縁)に第二係着部72を当接させる構成とする。
【0028】
そして本実施例では、第一係着部71と第二係着部72を、枠状体20aの外形に沿って交互に配置する(図4を参照)。
このように第一係着部71と第二係着部72を交互に配置することで、第一取付け部位11を、適度な把持力で保持することができる。このため第一取付け部位11を、第一係着部71と第二係着部72の間に比較的簡単に取付けることができるとともに、比較的簡単に両係着部から取外すことができる(着脱性能に優れる構成である)。
【0029】
[車両用シートの組付け作業]
図1〜図4を参照して、フレーム部材6Fに対して支持部材20を組付ける。本実施例では、第一組付け部位51を上部フレーム6aに引掛けることで、支持部材20のシート上下方向の位置決めをすることができる。
つぎに第一組付け部位51を回転中心として、支持部材20(下部側)をフレーム部材6Fに近づく方向に回転させて、フレーム部材6Fの着座側から支持部材20を組付ける。そしてサポート部材SMを第二組付け部位52に挿入することで、支持部材20の上部側をフレーム部材6Fに取付けることができる。
【0030】
つぎに図5〜図7を参照して、第一取付け部位11と第二取付け部位12を(シート着座側から)重ね合わせる。このとき第一取付け部位11は、ガイド部位73(傾斜部位)に沿って移動して、第二取付け部位12に案内される。
そして両取付け部位11,12が重ね合されることで、第一係着部71(当接部位75)が外面部16(他方の部位外縁)に当接するとともに、第二係着部72が内面部17(他方の部位内縁)に当接する。
さらに被係着部77に係止爪74を挿入することで、第一係着部71に被係着部77が掛け入れられる。これにより支持部材20をフレーム部材6Fに取付けることができる。
【0031】
(補完部材)
本実施例では、支持部材20の両側に、それぞれ補完部材60を配設できる(図6及び図7を参照)。
本実施例の補完部材60は、支持部材20を補完しつつフレーム部材6Fを被覆する部材であり、表皮部6Sと、クッション材6Pを有する。
表皮部6Sは、布帛、皮革、ネット体で構成することができるとともに、複数の表皮ピースにて形成することができる。またクッション材6Pは、略半形状(横断面視)の部材であり、ポリウレタンフォームなどの弾性を有する材質で構成できる。
本実施例では、クッション材6Pを支持部材20の側方に配置しつつ、クッション材6Pを表皮部6Sで被覆する。そして表皮部6Sの一端側を面状体20bに縫着するとともに、表皮部6Sの他端側を枠状体20aに縫着する。
そして補完部材60が、シート側方位置でシート前側に向かって突出することで、乗員の側部を支持できる(サイドサポートとして機能できる)。
【0032】
[支持部材の取外し作業]
図6及び図7を参照して、補完部材60を適宜取外したのち、フレーム部材6Fから支持部材20を取外すことができる。
このとき本実施例では、内枠部32に対して外枠部30をシート外方に湾曲させる(両枠部を拡開変形させる)などして、外枠部30から側面部16を離間させる。このように側面部16を離間させつつ、第一係着部71を被係着部77から抜け外すことで、フレーム部材6Fに対して支持部材20を着座側から(比較的簡単に)取外すことができる。
【0033】
以上説明したとおり本実施例では、フレーム部材6Fに対して支持部材20を、シート着座側から(コンパクトに)係着できる。
また本実施例では、第一係着部71と第二係着部72によって第一取付け部位11を把持状態としつつ、第一係着部71を被係着部77に掛け入れる(取付け安定性に優れる構成である)。
また本実施例では、第一係着部71と第二係着部72を交互に配置することで、第一取付け部位11を、適度な把持力で保持できる(着脱性能に優れる構成である)。
このため本実施例によれば、取付け安定性を極力維持しつつ、フレーム部材6Fに支持部材20をコンパクトに着脱することができる。
【0034】
本実施形態の車両用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、第二取付け部位12に、第一係着部71及び第二係着部72を設けるとともに、第一取付け部位11に被係着部77を設ける例を説明した。これとは異なり、第一取付け部位11に、第一係着部71及び第二係着部72を設けるとともに、第二取付け部位12に被係着部77を設けることもできる。
また本実施形態では、第一係着部71を、被係着部77に掛け入れる例を説明した。これとは異なり、第二係着部72を、被係着部77に掛け入れる構成とすることもできる。
【0035】
(2)また本実施形態では、第一係着部71及び第二係着部72を交互に(断続的に)形成する例を説明した。これとは異なり、第一係着部71及び第二係着部72の少なくとも一方を、第二取付け部位12に連続状に形成することができる。
(3)また本実施形態では、第一係着部71の係止爪74を、被係着部77(貫通孔)に挿入係止する例を説明した。これとは異なり被係着部77に、シート側方に張り出す凸部を設けることができる。そして被係着部77(凸部)を、係止爪74に掛け入れることで、第一係着部71に被係着部77を掛け入れることもできる。
【0036】
(4)また本実施形態では、第二係着部72を、第一取付け部位11の内縁に係着する例を説明したが、第二係着部72の係着位置を限定する趣旨ではない。例えば第二係着部72を、内枠部32の中央に形成するとともに、内面部17の中央に孔部を形成する。そして第二係着部72を孔部に挿入することで、孔部の周縁(他縁の他例)に係着することができる。また第二係着部は、略矩形状、略長方形状、略半円形状などの各種の形状をとることができる。
(5)また本実施形態では、シートバック6を、シート構成部材の一例として説明した。本実施例の構成は、シートクッション等の各種シート構成部材に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6F フレーム部材
8a ステー部材
11 第一取付け部位
12 第二取付け部位
20 支持部材
20a 枠状体
20b 面状体
60 補完部材
71 第一係着部
72 第二係着部
77 被係着部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションやシートバックなどのシート構成部材を有するとともに、前記シート構成部材が、シート骨格をなすフレーム部材と、乗員を支持可能な支持部材を有し、係着機構を介して、前記フレーム部材に対して前記支持部材を着脱可能に取付ける構成の車両用シートにおいて、
前記フレーム部材が、その着座側の外形の少なくとも一部に沿って形成された第一取付け部位を有するとともに、前記支持部材が、前記第一取付け部位に重ね合わせ可能な第二取付け部位を有し、
前記係着機構が、前記第一取付け部位と前記第二取付け部位のいずれか一方の部位に設けた第一係着部及び第二係着部と、前記一方の部位とは異なる他方の部位に設けた被係着部とを有し、
前記第一取付け部位と前記第二取付け部位を重ね合わせて、前記第一係着部を、前記他方の部位一縁に当接させるとともに、前記第二係着部を、前記一縁とは異なる他方の部位他縁に当接させ、前記第一係着部及び前記第二係着部のいずれか一方を、前記被係着部に掛け入れることにより、前記フレーム部材に対して前記支持部材を係着する車両用シート。
【請求項2】
前記第一係着部と前記第二係着部が、前記一方の部位の外形に沿って交互に配置する請求項1に記載の車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−251670(P2011−251670A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128742(P2010−128742)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】