説明

針位置検出装置および針位置補正装置

【課題】針位置の補正を的確に行うことができる針位置補正装置を提供すること。
【解決手段】 ソーラセル9上を運針する時刻表示用針2が、複数のソーラセルのうち、12時00分00秒位置にある境界部Sを通過した際に、境界部Sを挟む二つのソーラセルの発電量変化に基づいて、境界部Sを時刻表示用針2が通過した際の針境界部通過タイミングを検出する。この針境界部通過タイミングを予め定められた時刻である12時00分00秒と設定する。この針境界部通過タイミングにおいて、この設定された時刻である12時00分00秒と内部の現在時刻の秒時刻であるCPU時刻とを比較し、両時刻が合致していたならば、時刻表示用針2は正確な時刻を刻んでいると扱い、他方、両時刻が合致しない場合、時刻表示用針2は正確な時刻を刻んでいないと扱い、内部の現在時刻の位置に時刻表示用針2の針位置を合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラセルを利用した針位置検出装置および針位置補正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、標準電波を受信して、該標準電波の時刻コードに合わせて内部時刻を自動的に修正するアナログ表示時計が知られている。また、操作ボタンまたは操作スイッチを操作することで針をモータ駆動により回転させて、例えばアラーム時刻の設定など種々の設定を行わせるようにした電子時計もある。このような針の回転駆動により得られる機能は、時計の制御部が針位置を認識した状態で、針を回転駆動することで実現されている。
【0003】
ところで、アナログ表示部を有する電子時計においては、時計が強磁界に触れたときや、時計に強い衝撃が加わったときに、針位置が制御部の計時認識している針位置からずれてしまうことがある。この場合、実際の針位置を制御部が認識している針位置へ修正しないと、針により示される時刻が認識している針位置からずれたままとなってしまう。
そこで、近年の電子時計では、針位置検出装置を内部に設け、所定時刻ごとに針位置がずれていないか確認するようになっている。このような針位置検出装置において、針位置のずれが検出された場合には、針位置を自動修正する機能を備えている。
【0004】
このような針位置検出装置としては、例えば、針と連動する歯車に貫通孔等の透過孔を設け、この孔をフォト・インタラプタにより針位置を検出する構造が一般的である(例えば特許文献1)。
一方、従来、針位置を直接検出する針位置検出装置も知られている。この種の針位置検出装置の場合、針位置を直接検出するために特別の検出手段(例えば、特許文献2に示すような発光素子を用いた針位置検出手段、静電容量を利用した検出手段または磁気センサー等の検出手段)を備えている。
【特許文献1】特許第3514644号(特開2000−162336号公報)
【特許文献2】特開平08−82683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、後者の針位置検出装置の場合、針位置検出のために特別の検出手段(静電容量を利用した検出手段や磁気センサー等の検出手段)を必要としていたので、針位置検出装置が高価なものとなるという問題点があった。
また、前者の針位置検出装置を用いて針位置補正を行う場合、針を運針駆動するための歯車位置を内部の時刻であるCPU時刻に合わせることで針位置補正を行っている。
この針位置補正のために、従来の針位置検出装置にあっては、例えば、毎正時の時刻に、すなわち、一時間毎に、内部の現在時刻であるCPU時刻に対して歯車位置が合っているか否かを光学的なセンサーを用いて検出し、合っていない場合に、歯車を回転させ針位置の補正を行うなど、歯車の位置の検出を行う頻度が多く、そのために光学的なセンサーの光駆動および歯車の回転駆動のために多くの電源を消費するといった問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、針位置を直接的に検出することが可能出であり、構成が簡単で、比較的安価な針位置検出装置および針位置補正装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、消費電力の低減化を図りながら、針の実際の位置を正確かつ確実に検出することができる針位置検出装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、消費電力の低減化を図りながら、針位置の補正を的確に行うことができる針位置補正装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
時字が形成されている時字部材と、
前記時字部材に配設された複数のソーラセルと、
前記複数のソーラセル上を運針する時刻表示用針と、
現在時刻を計時する計時手段と、
前記複数のソーラセルのうち、隣設された二つのソーラセルの間で、かつ、予め定められた時刻位置に設けられた境界部と、
前記境界部を挟んだ二つのソーラセルの発電量の変化に基づいて、前記時刻表示用針の少なくとも一つが前記境界部を通過した際の通過タイミングの位置を、前記時刻表示用針の針位置として検出する針位置検出手段と、
を備えることを特徴とする針位置検出装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の針位置検出装置であって、前記針位置検出手段は、前記二つのソーラセルの発電量の変化が予め定められている変化以上である場合に、前記通過時刻を検出することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の針位置検出装置であって、前記針位置検出手段は、前記二つのソーラセルの発電量変化の方向が互いに逆の場合で、且つ、前記時刻表示用針の通常の運針方向で見た場合に前記二つのソーラセルのうち前記境界部の上流側に位置するソーラセルの発電量が増加するとき又は下流側のソーラセルの発電量が減少するときに、前記通過時刻を検出することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3いずれか一項に記載の針位置検出装置であって、前記時刻表示用針には秒針が含まれ、前記針位置検出手段は前記秒針の位置を検出することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、
請求項1から4いずれか一項に記載の針位置検出装置と、
前記時刻表示用針を回転駆動させる歯車機構と、
前記針位置検出手段により検出された時刻表示用針の針位置を予め定められた時刻として設定し、この設定された針位置時刻と前記計時手段により計時されている内部時刻とが合致しているか否かを判断し、合致していないと判断された場合に、前記計時手段により計時されている内部時刻に前記時刻表示用針が合うように、前記歯車機構を駆動して、前記時刻表示用針の針位置を補正する針位置補正手段と、
を備えることを特徴とする針位置補正装置である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の針位置補正装置であって、
前記針位置補正手段は、
前記針位置検出手段により検出された時刻表示用針の針位置を予め定められた時刻として設定し、この設定された針位置時刻と前記計時手段により計時されている内部時刻とが合致しているか否かを判断し、この判断結果に基づいて補正の要否を判断する補正要否判断手段と、
前記補正要否判断手段によって補正の必要があると判断された場合に、前記歯車機構を駆動させて、前記計時手段で計時された現在時刻に対応する位置まで、前記時刻表示用針の針を移動させる針位置移動制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、歯車位置から針位置を検出するのではなく、針位置を直接的に検出しているので、正確に針位置の検出が行えることになる。
また、針位置を直接的に検出するにあたり、従来から配設されている複数のソーラセルを利用していることから、針位置検出のために特別の検出手段(静電容量を利用した検出手段や磁気センサー等の検出手段)を必要としないので、比較的安価な針位置検出装置および針位置補正装置が実現できる。
さらに、時刻表示用針が境界部を通過した時刻と内部時刻とがずれている場合に、当該内部時刻に合うように、可及的すみやかに歯車を回転駆動して針位置の補正ができるので、的確な針位置補正が可能となる。その上、実際に針位置が計時手段の現在時刻である内部時刻とずれている場合だけ針位置の補正を行うため、従来の場合のような毎正時に歯車の位置を光学的なセンサーを用いて検出し、検出結果に応じて歯車を回転駆動することがないことから、電力消費量を可及的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の実施の形態の時計モジュールを含むアナログ腕時計の要部を示す正面図、図2は、その矢印A−A線断面図、図3は針を回転させる歯車を裏蓋側からみた背面図である。
【0016】
この実施の形態の時計モジュール1は、例えば電子制御によって針を回転させる電子アナログ腕時計ATの本体ケースTK内に配置されている。本体ケースTKにはバンドBDが取り付けられている。この時計モジュール1の正面側の本体ケースTK上には風防ガラスFGが設けられており、本体ケースTKの底面側には裏蓋が設けられている。風防ガラスFGの下側には文字板5が設けられている。時計モジュール1は、この文字板5によって正面側が覆われ、かつ周囲が本体ケースTKに囲まれることによって遮光されている。なお、この実施の形態では、本体ケースTKの外周には、時刻修正を行うための操作スイッチ、モードを設定するための操作スイッチ類は一切設けられていない。
文字板5には、弧状で且つ同じ大きさの4つのソーラセル9(I,II,III,IV;以下、ソーラセル9を個別に述べるときはI,II,III,IVの符号を用いる。)が該文字板5の周方向に並べられて設けられている。
ここで、ソーラセルI,II,III,IVの延在領域について説明すれば、ソーラセルIは時計の9時から12時(正確には12時00分00秒)の領域、ソーラセルIIは時計の12時(正確には12時00分00秒)から3時の領域、ソーラセルIIIは3時から6時の領域、ソーラセルIVは6時から9時の領域に亘って配設されている。そして、隣り合うソーラセルの間にはソーラセルの存在しない4つの境界部Sが存在している。
また、文字板5の中央には、図2に示すように、秒針軸20a、分針軸25a、時針軸27aを挿通させるための貫通孔5aが設けられている。そして、この貫通孔5aには内部機構側から前面側に軸20a,25a,27aが挿通され、軸20a,25a,27aにおける文字板5の上に突出した部位に秒針2、分針3、時針4がそれぞれ固定されている。この秒針2、分針3および時針4は、対応する秒針軸20a、分針軸25aおよび時針軸27aが回転することで、文字板5の外周に沿って設けられている時字Tを指示し、この指示された時字Tの時刻を表示するようになっている。
【0017】
ここで、時針4が固定される時針軸27aと分針3が固定される分針軸25aは、図2に示すように、中空管状の軸として構成されている。このうち時針軸27aの中には分針軸25aが通され、一方、分針軸25aの中には秒針軸20aが通されている。この秒針軸20a、分針軸25aおよび時針軸27aは同一の回転軸を中心に回転可能となっている。
【0018】
また、秒針軸20a、分針軸25aおよび時針軸27aは、秒針車20、分針車25および時針車27にそれぞれ固着されている。そして、秒針車20、分針車25および時針車27は同一の回転軸を中心に回転可能となっている。
【0019】
図3には時計モジュール1の一部を構成する駆動系が示されている。同図においては、分針車25と時針車27は、秒針車20と同心の位置に重なった状態に配置されているので、図示はされていないが、図4においては、分針車25と時針車27は、秒針車20と同心の位置に重なった状態に配置されていることが図示されている。
この時計モジュール1の駆動系は、大別して、秒針2を回転駆動する第1駆動系11と、時針4と分針3とを連動させて回転駆動する第2駆動系12とから構成されている。この2系統の駆動系11,12はそれぞれ独立的に駆動可能となっている。
【0020】
このうち第1駆動系11について説明すれば、この第1駆動系11は、第1ステッピングモータ17(図2参照)と、五番車18と、秒針車20とを含んで構成されている。この第1駆動系11は、第1ステッピングモータ17のロータ17cの動力をロータカナ17d、五番車18および五番車カナ18aを介して秒針車20に伝達し、秒針車20および秒針2を回転させるように構成されている。
【0021】
一方、第2駆動系12は、第2ステッピングモータ22(図2参照)と、三番車24と、中間車23と、分針車25と、図示略の日の裏車と、時針車27等とを含んで構成されている。この第2駆動系12は、第2ステッピングモータ22のロータ22cの動力をロータカナ22d、三番車24、三番車カナ24a、中間車23、中間車カナ23a、分針車25(図2参照)、分針車25のカナ25bから日の裏車、および日の裏車のカナ26a(図2参照)を介して時針車27(図2参照)に伝達し、分針車25および分針3と時針車27および時針4とを連動させて回転させるように構成されている。
【0022】
また、時計モジュール1は内部機構の一部として、図2に示すように、針位置補正装置の一部を構成する歯車位置検出部13を備えている。
この歯車位置検出部13は、複数の歯車(時針車27、分針車25、秒針車20、中間車23)に設けられた孔の重なり状態を検出するためのものである。この歯車位置検出部13は、電気的な駆動により光を発光する発光部31と、この発光部31から発せられた光を受光して検出信号を出力する受光部32とを備えている。この発光部31および受光部32が設置された位置が検出位置Pである。
【0023】
発光部31は発光ダイオードを備えている。一方、受光部32はフォトトランジスタを備えている。
また、発光部31と受光部32によって挟まれる複数の歯車(時針車27、分針車25、秒針車20、中間車23)の所定位置には、該複数の歯車が回転して所定時刻となった際に互いに重なる孔がそれぞれ形成されている。
そして、この歯車位置検出部13では、図4に示すように、上記複数の歯車の孔が検出位置Pで互いに重なると、発光部31の光がそれら孔を通過して受光部32に届いてそれが検出されるようになっている。この複数の歯車の孔が検出位置Pで重なったときの歯車位置が歯車位置の基準歯車位置となる。針と歯車の位置関係が適切に保たれている場合、初期歯車位置では秒針2、分針3、時針4は所定時刻(例えば12:00:00)を指し示す。
【0024】
ここで、秒針車20に形成された孔を図3に基づいて説明する。
秒針車20には、例えば、運針する秒針2と重なる位置に円形の第1光透過孔部21aが形成されている。また、秒針車20には、孔部21aと同一半径上、周方向に沿って長い第2長孔21bおよび第3長孔21cが形成されている。第1光透過孔部21aと第2長孔21bとの間は第1遮光部21dを形成し、第1光透過孔部21aと第3長孔21eとの間は第2遮光部21eを形成している。そして、第1遮光部21dの長さと第2遮光部21eの長さとは異なる長さに設定されている。また、第2長孔21bと第3長孔21cとの間の第3遮光部21fは、第1光透過孔部21aの位置から180度の位置に設定されている。
なお、第2長孔21bおよび第3長孔21cを形成したのは、この第2長孔21bまたは第3長孔21cを利用して時針車27、分針車25および中間車23の孔を合致させることを容易にするためである。
【0025】
分針車25には円形の1個の第2光透過孔部28(図2参照)が形成されている。この第2光透過孔部28は、秒針車20の第1光透過孔部21aと同一半径上に形成されている。
また、中間車23には、図3に示すように、円形の1個の第4光透過孔部30が形成されている。この第4光透過孔部30は、検出位置Pで分針車25の第2光透過孔部28の半径位置と重なる中間車23の半径位置に形成されている。
さらに、時針車27には、同一半径上で30度ごとに分割された位置に11個の円形の第3光透過孔部29が形成されている。時針4が11時を指し示すときに0時の位置に来る部位には円形の光透過孔部は形成されていない。この部分は遮光部となっている。この遮光部を設けた理由は、この遮光部を設けることで時針車27の基準歯車位置を的確に検知るためである。なお、第3光透過孔部29も、秒針車20の第1光透過孔部21a、分針車25の第2光透過孔部28と同一半径位置に形成されている。
【0026】
この歯車位置検出部13によれば、例えば、0時から12時の時間内であれば、11時50分を除いた1時間毎、すなわち、0時50分、1時50分、〜、10時50分となったときに分針車25の第2光透過孔部28と、時針車27の第3光透過孔部29と、中間車23の第4光透過孔部30とが、検出位置Pにおいて重なる。また、11時50分になったときには、時針車27の第4遮光部29aが検出位置Pに来て、孔が閉じた状態となる。
このような構成により、秒針車20の長孔21bまたは21cが検出位置Pに来るようにした状態で、分針車25と時針車27とを12時間分回転させつつその回転量をカウントしながら歯車位置検出部13で孔の開閉状態を判別していけば、一時間の回転ごとに第2〜第4光透過孔部28,29,30の重なりが検出されて、それにより分針車25の位置を検出することができるとともに、そのうち一時間分だけ第2〜第4光透過孔部28,29,30の重なりが検出されず、それにより時針車27の位置を検出することができる。
また、第2〜第4光透過孔部28〜30を検出位置Pに重ねた状態にして、秒針車20を60秒分回転させ、その回転量をカウントしながら歯車位置検出部13で孔の開閉状態を判別していくことで、秒針車20の第1光透過孔部21a、第1遮光部21d、第2長孔21b、第3遮光部21f、第3長孔21c、第2遮光部21eの検出パターンを得ることができ、それにより秒針車20の位置を検出することができる。
【0027】
なお、図2において、符号6は上部ハウジング、7は下部ハウジング、10は回路基板、14〜16は各歯車の軸を保持する軸受板、17aは第1ステッピングモータ17のコイルブロック、17bは第1ステッピングモータ17のステータ、22aは第2ステッピングモータ22のコイルブロック、22bは第2ステッピングモータ22のステータを指示している。
【0028】
次に、この腕時計の回路構成を図5のブロック図を用いて説明する。
時計モジュール1は、次のような回路構成を備える。
すなわち、時計モジュール1は、第1ステッピングモータ17および第2ステッピングモータ22を含みアナログ表示時計の針2〜4の駆動を行う時計ムーブメント8と、歯車位置を検出する歯車位置検出部13と、歯車位置検出部13の受光部32の検出信号をデジタル化して取り込むADコンバータ34と、ソーラセル9の発電量を検出する発電量検出部50と、発電量検出部50の検出信号をデジタル化して取り込むADコンバータ51と、装置の全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)35と、制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)36と、CPU35に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random AcceSS Memory)37と、現在時刻を計時するためのクロックを形成する発振回路38および分周回路39と、電池電圧から各部の電源を生成し供給する電源部40と、時刻コードの含まれる標準電波を受信して取り込むアンテナ41および検波回路42と、時計表示部を照らす照明部43および照明駆動回路44と、アラーム出力を行うスピーカ45およびブザー回路46と、発振回路38および分周回路39に従って計時された現在時刻またはこの現在時刻を、標準電波を受信して修正した後の現在時刻をCPU時刻である内部の現在時刻として表示する現在時刻表示部47と、アラート(警告)表示を行うアラート表示部52等とを備える。
【0029】
ここで、CPU35について詳述すれば、CPU35は、日付や時刻を計時する時刻カウンタを備えている。この時刻カウンタは、分周回路39からのクロックによりカウントアップされて現在時刻の計時を行う。検波回路42により標準電波を受信した場合には、CPU35は、時刻コードが表わす現在時刻にこの時刻カウンタの現在時刻を内部の現在時刻として修正させる。
【0030】
また、CPU35は、時刻カウンタとは別に、歯車位置を計数する歯車位置カウンタを備える。この歯車位置カウンタは、時計ムーブメント8が第1ステッピングモータ17や第2ステッピングモータ22が作動するごとにカウントアップされて、そのカウンタ値に歯車位置を同期させる。そして、時刻カウンタと歯車位置カウンタの値とが同期するように時計ムーブメント8が制御されることで、現在時刻がアナログ表示時計の針2〜4により示される。
【0031】
ADコンバータ34は逐次比較タイプのものである。また、AD変換の際にADコンバータ34の出力信号の記憶を行う逐次比較レジスタや、ADコンバータ34の出力制御を行う論理回路等は、CPU35の内部に設けられている。
【0032】
発電量検出部50は各ソーラセル9(I,II,III,IV)の発電量を個別に検出するものである。発電量は電圧を示す信号としてADコンバータ51に出力される。ADコンバータ51は、上記ADコンバータ34と同じタイプのものである。なお、AD変換の際にADコンバータ51の出力信号の記憶を行う逐次比較レジスタや、ADコンバータ51の出力制御を行う論理回路等は、CPU35の内部に設けられている。
【0033】
次に、上記構成の腕時計における制御処理についてフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
図6は、腕時計内のCPU35により実行されるメイン制御処理のフローチャートである。
【0035】
この実施形態においては、CPU35によって電源投入時から図6のメイン制御処理が開始され、その後、このメイン制御処理のステップS1〜S5のループ処理が繰り返し実行されるようになっている。
すなわち、現在時刻表示部47の表示駆動などの表示処理を行う表示処理(ステップS1)、現在時刻を計時する計時処理(ステップS2)、ソーラセル9の発電量に基づいて針位置を検出する発電量針位置検出処理(ステップS3)、計時処理された現在時刻である内部時刻に対して針位置が正しくないと判断された場合に各歯車位置を検出して針位置を補正する針位置補正処理(ステップS4)、各種エラー処理などのその他の機能処理(ステップS5)、これらからなるループ処理が繰り返し実行される。なお、ステップ4の針位置補正処理は、ステップ3の発電量針位置検出処理で針位置が正しくないと判断された場合にのみ行われる処理である。
【0036】
次に、図6のステップS3で実行される発電量針位置検出処理を図7および図8のフローチャートと図9のソーラセルI,II,III,IVの発電量変化を示す図とを用いて説明する。なお、図9の横軸は時間を縦軸は発電量を示している。
【0037】
この発電量針位置検出処理は、実施形態の場合、互いに隣接した位置に配置されているソーラセルIとソーラセルIIの発電量の変化に基づいて所定地点を秒針2が通過したか否かを検出するための処理である。この実施形態では、前記所定地点としてソーラセルIとIIの境界部Sが選ばれ、この境界部Sが示す時刻は「12時00分00秒」と設定されている。したがって、秒針2の境界部Sを通過した通過時刻は、常に00秒となるようになっている。
【0038】
この発電量針位置検出処理に移行すると、CPUは、CPU35のレジスタの内容をイニシャライズし(ステップS11)、その後、ソーラセルIの発電量の変化が所定変化以上あるか否かを判別する(ステップ12)。
そして、CPU35は、ソーラセルIの発電量の変化が所定変化以上ない場合(ステップ12でNOのとき)には発電量針位置検出処理を終了してメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIの発電量の変化が所定変化以上である場合(ステップ12でYESのとき)には、CPU35は、変化開始タイミングにおける時刻It0と電圧Iv0をレジスタに記憶させ(ステップ13)、次のステップ14の処理を実行する。なお、この場合の「時刻It0」はCPU時刻を用いて計測された時刻である。
ステップ14では、CPU35は、ソーラセルIIの発電量が所定変化以上ない場合(ステップ14でNOのとき)には発電量針位置検出処理を終了してメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIIの発電量が所定変化以上である場合(ステップ14でYESのとき)には、CPU35は、変化開始タイミングにおける時刻IIt0と電圧IIv0をレジスタに記憶させ(ステップ15)、次のステップ16を実行する。なお、この場合の「時刻IIt0」はCPU時刻を用いて計測された時刻である。
ここでのステップ12から15までの処理は、有効なデータのみ使用することでCPU35のデータ処理を軽減させるためのものである。
【0039】
ステップ16では、CPU35は、時刻It0と時刻IIt0の差の絶対値が0.1秒以下(すなわち、|It0−IIt0|≦0.1sec)か否かを判別する。通常状態において、秒針2がソーラセルIの上からソーラセルIIの上に移行する際にソーラセルIおよびソーラセルIIの発電量変化が生じる時刻の差は予め分かっているので、CPU35は、時刻It0と時刻IIt0の差でもって発電量変化が秒針2の移行により生じたものかどうかを判別するものとした。
そして、時刻It0と時刻IIt0の差の絶対値が0.1秒以下でない場合(ステップ16でNOのとき)には、CPU35は、秒針2の移行によらない発電量変化であるとして発電量針位置検出処理を終了しメイン制御処理に戻す。
一方、時刻It0と時刻IIt0の差の絶対値が0.1秒以下の場合(ステップ16でYESのとき)には、CPU35は、次のステップ17の処理を実行する。
【0040】
ステップ17では、CPU35は、ソーラセルIの発電方向とソーラセルIIの発電方向とが互いに逆方向になっているか否かを判別する。秒針2がソーラセルIの上からソーラセルIIの上に移行する場合には、ソーラセルIの発電方向とソーラセルIIの発電方向とが互いに逆方向になることから、CPU35は、ソーラセルIの発電方向とソーラセルIIの発電方向とが同方向の場合には、発電量変化が秒針2の移行によるものではないと判別するものとした。
そして、ソーラセルIの発電方向とソーラセルIIの発電方向とが同じである場合(ステップ17でNOのとき)には、CPU35は、秒針2の移行によらない発電量変化であるとして発電量針位置検出処理を終了しメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIの発電方向とソーラセルIIの発電方向とが逆方向である場合(ステップ17でYESのとき)には、CPU35は、次のステップ18の処理を実行する。
なお、ソーラセルIの発電方向とソーラセルIIの発電方向とが同方向となる場合とは全体光量変化が生じた場合である。この全体光量変化が生じる場合の一例としては例えば時計全体が突然に太陽光に曝されたり、暗闇に入ったりした場合が挙げられる。
【0041】
ステップ18では、CPU35は、ソーラセルIの発電量が増加方向となっているか否かを判別する。通常状態では、秒針2がソーラセルIの上からソーラセルIIの上に移行する場合にはソーラセルIの発電量が増加し、反対にソーラセルIIの発電量が減少することから、ソーラセルIの発電量が増加したか否かを判別することとした。反対にソーラセルIIの発電量が減少したか否かを判別してもよい。
そして、ソーラセルIの発電量が増加方向となっていない場合(ステップ18でNOのとき)には、CPU35は、アラート表示を行わせ(ステップ19)、発電量針位置検出処理を終了してメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIの発電量が増加方向となっている場合(ステップ18でYESのとき)には、CPU35は、次のステップ20の処理を実行する。
なお、ソーラセルIの発電量が減少する場合とは、例えば、針が逆方向に回転している場合である。
【0042】
ステップ20では、CPU35は、ソーラセルIの発電量変化が止まったか否かを判別する。
そして、CPU35は、発電量変化が止まらないうちは(ステップ20でNOのうちは)その発電量変化が止まるまでその判別処理を繰り返す。発電量変化が止まらない間は全体の発電量変化が分からず、発電量変化が秒針2の移行によるものか否かを判別できないからである。
一方、発電量変化が止まった場合(ステップ20でYESのとき)には、CPU35は、変化終了タイミングにおける時刻It1と電圧Iv1をレジスタに記憶させ(ステップ21)、次のステップ22の処理を実行する。なお、この場合の「時刻It1」はCPU時刻を用いて計測された時刻である。
ステップ22では、CPU35は、ソーラセルIIの発電量変化が止まったか否かを判別する。
そして、CPU35は、発電量変化が止まらないうちは(ステップ22でNOのうちは)その発電量変化が止まるまで判別処理を繰り返す。発電量変化が止まらない間は全体の発電量変化が分からず、発電量変化が秒針2の移行によるものか否かを判別できないからである。
一方、発電量変化が止まった場合(ステップ22でYESのとき)には、CPU35は、変化終了タイミングにおける時刻IIt1と電圧IIv1をレジスタに記憶させ(ステップ23)、次のステップ24の処理を実行する。なお、この場合の「時刻IIt1」はCPU時刻を用いて計測された時刻である。
【0043】
ステップ24では、CPU35は、時刻It1と時刻IIt1の差の絶対値が0.1秒以下(すなわち、|It1−IIt1|≦0.1sec)であるか否かを判別する。通常状態では、秒針2がソーラセルIの上からソーラセルIIの上に移行する際にソーラセルIおよびソーラセルIIの発電量変化が終了する時刻の差は予め分かっているので、CPU35は、時刻It1と時刻IIt1の差から発電量変化が秒針2の移行により生じたものかどうかを判別するものとした。
そして、時刻It1と時刻IIt1の差の絶対値が0.1秒以下でない場合(ステップ24でNOのとき)には、CPU35は、発電量変化が秒針2の移行により生じたものでないとして発電量針位置検出処理を終了しメイン制御処理に戻す。
一方、時刻It1と時刻IIt1の差の絶対値が0.1秒以下の場合(ステップ24でYESのとき)には、CPU35は、次のステップ25の処理を実行する。
【0044】
ステップ25では、CPU35は、ソーラセルIの遮光比率(電圧Iv0と電圧Iv1の差をソーラセルIの最大発電量Ivmaxで割ったもの)が0.01より大で0.05よりも小(すなわち、0.01<|Iv0−Iv1|/Ivmax<0.05)であるか否かを判別する。この場合の「0.01」、「0.05」の値は時計が使用される環境(日向、日陰、室内等)を考慮して定められた、秒針2の移行に基づく遮光比率である。この条件を満たさない発電量変化は秒針2による発電量変化でないものとした。
そして、ソーラセルIの遮光比率が0.01より大で0.05よりも小の範囲内にない場合(ステップ25でNOのとき)には、CPU35は、発電量針位置検出処理を終了してメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIの遮光比率が0.01より大で0.05よりも小の範囲内にある場合(ステップ25でYESのとき)には、CPU35は、次のステップ26の処理を実行する。
ステップ26では、CPU35は、ソーラセルIIの遮光比率(電圧IIv0と電圧IIv1の差をソーラセルIIの最大発電量IIvmaxで割ったもの)が0.01より大で0.05よりも小(すなわち、0.01<|IIv0−IIv1|/IIvmax<0.05)であるか否かを判別する。この場合の「0.01」、「0.05」の値は時計が使用される環境(日向、日陰、室内等)を考慮して定められた、秒針2の移行に基づく遮光比率である。この条件を満たさない発電量変化は秒針2による発電量変化でないものとした。
そして、ソーラセルIIの遮光比率が0.01より大で0.05よりも小の範囲内にない場合(ステップ26でNOのとき)には、CPU35は、発電量針位置検出処理を終了してメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIの遮光比率が0.01より大で0.05よりも小の範囲内にある場合には、CPU35は、次のステップ27の処理を実行する。
【0045】
ステップ27では、ソーラセルIの発電量変化速度がα以上(すなわち、(Iv1−Iv0)/|It0−It1|≧α)であるか否かが判断される。この場合のαの値は、通常の環境下で時計が使用された際に予測される発電量変化の下限値である。この条件を満たさない発電量変化速度の場合に、CPU35は、秒針2による発電量変化でないものとした。
そして、ソーラセルIの電圧変化速度がα以上でない場合(ステップ27でNO)には、CPU35は、発電量針位置検出処理を終了してメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIの電圧変化速度がα以上の場合(ステップ27でYES)には、CPU35は、ステップ28の処理を実行する。
ステップ28では、ソーラセルIIの電圧変化速度が−β以下(すなわち、(IIv1−IIv0)/|IIt0−IIt1|≦−β)であるか否かが判断される。この場合の−βの値は、通常の環境下で時計が使用された際に予測される発電量変化の上限値である。この条件を満たさない発電量変化速度の場合に、CPU35は、秒針2による発電量変化でないものとした。
そして、ソーラセルIIの電圧変化速度が−β以下でない場合(ステップ28でNO)には、CPU35は、発電量針位置検出処理を終了してメイン制御処理に戻す。
一方、ソーラセルIIの電圧変化速度が−β以下の場合(ステップ28でYES)には、CPU35は、ステップ29の処理を実行する。
【0046】
ステップ28でYESの場合には秒針2が境界部Sを通過した蓋然性が高いので、ステップ29では、CPU35は、秒針2の境界部通過時刻である00秒時刻と内部時刻であるCPU時刻とのずれを検出する。
秒針2の位置ずれがない場合、秒針2は予め定められた時刻である00秒時刻と同じ時刻に境界部Sを通過するはずである。一方、秒針2の位置ずれがある場合、秒針2は予め定められた時刻である00秒時刻と同じ時刻に境界部Sを通過しないことになる。したがって、秒針2が境界部Sを実際に通過した時刻を監視すれば、秒針2の位置を検出できる。
この場合の境界部Sとしては、ソーラセルIまたはソーラセルIIの発電量変化が生ずべき点や、ソーラセルIまたはソーラセルIIの発電量変化が止むべき点を採用したり、発電量変化が生ずべき点と発電量変化が止むべき点との間の点を採用することができる。
【0047】
ここまでが発電量針位置検出処理である。
【0048】
次に、図6のステップ4の発電量針位置補正処理について説明する。
互いに隣接した位置に配置されているソーラセルIとソーラセルIIの発電量の変化に基づいて、当該変化タイミングを示す境界部通過時刻である00秒時刻と内部時刻であるCPU時刻とがずれないで互いに合致している場合には、秒針を含む各針を運針駆動するための歯車の位置の調整は不要である。
ユーザにとっての関心事は針位置の正確さにあり、針が正確に現在時刻を表示(指示)しているのであれば時計の目的は達成されるから、この場合には針位置の補正は不要である。一方、境界部通過時刻である00秒時刻と内部時刻であるCPU時刻とが合致していない場合には秒針を含む各針位置の調整が必要となる。
この合わせこみを行うために、複数の歯車(時針車27、分針車25、秒針車20、中間車23)に形成された第1〜第4の光透過孔部21a,28,29,30が検出位置Pで正しく重なる状態(初期歯車位置)まで該複数の歯車を回転させて針2の位置をその時のCPU時刻である内部時刻に合致させる処理を行う。
この方法によれば、上記複数の歯車を基準状態まで一旦戻した上で、該複数の歯車を回転させてすべての針位置をその時のCPU時刻である内部時刻に合致させるので的確な時刻合わせが行えることになる。
次に、本実施形態における針位置補正処理を図10のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
図6における針位置補正処理S4において、CPU35は、図7に示す発電量位置検出処理におけるステップ29で検出された秒針2のずれから針位置補正の要否を判断する(ステップ30)。
すなわち、ソーラセル9上を運針する時刻表示用針2が、複数のソーラセルのうち、12時00分00秒位置にある境界部Sを通過した際に、境界部Sを挟んで隣設された二つのソーラセルの発電量を検出し、その二つのソーラセルの発電量変化に基づいて、境界部Sを時刻表示用針2が通過した際の針境界部通過タイミングを検出したところ、この検出された針境界部を通過した時刻(予め定められた時刻である12時00分00秒)が内部の現在時刻の秒時刻であるCPU時刻(このCPU時刻は正確な時刻を刻んでいるものとする)と合致しているかを判断する。この秒針2のずれから針位置補正の要否を判断する(ステップS30)。
そして、CPU35は、針位置補正が不要と判断した場合(ステップS30でNO)、図6に示す針位置補正処理のステップ31の初期歯車位置検出処理とステップ32の針位置自動修正処理をすることなく、図6に示すメイン制御処理に戻す。
一方、CPU35は、針位置補正が必要と判断した場合(ステップ30でYES)、ステップ31の初期歯車位置検出処理とステップ32の針位置自動修正処理とを実行する。
ステップ31の初期歯車位置処理では、最初に、図4に示すように、時針車27の孔29、分針車25の孔28、秒針車20の孔21aおよび中間車23の孔30が互いに合致する位置まで、当該歯車機構を回転駆動する。
この歯車機構を回転駆動の順序は、各種あるが、この実施の形態の場合、以下の手順で行っている。
すなわち、まず、ステップS31の基準歯車位置検出処理においてCPU35は、ステッピングモータ17の制御を行って、秒針車20の長孔21bまたは21cが検出位置Pに来るようにする。そして、次に、CPU35はステッピングモータ22の制御を行って、分針車25と時針車27とを12時間分回転させつつその回転量をカウントしながら歯車位置検出部13で孔の開閉状態を判別していく。すると、歯車位置検出部13では一時間の回転ごとに第2〜第4光透過孔部28,29,30の重なりが検出され、そのうち一時間分だけ第2〜第4光透過孔部28,29,30の重なりが検出されないこととなる。このしくみを利用し、CPU35は、ステッピングモータ22を制御し、分針車25および時針車27を初期歯車位置に戻す。
次に、CPU35は、ステッピングモータ17を制御し、秒針車20を60秒分回転させ、その回転量をカウントしながら歯車位置検出部13で孔の開閉状態を判別する。そして、図4に示すように、時針車27、分針車25、秒針車20および中間車23の各孔29、28、21a、30を互いに合致させる。この歯車位置が初期歯車位置である。
【0050】
次に、ステップ32の針位置自動修正処理において、CPU35はステッピングモータ17,22を制御し、その時のCPU時刻である内部時刻に対応する位置まで各歯車を回転駆動して、これら歯車と連動する針位置の補正を行い針位置補正が完了する。
【0051】
以上のような構成を備えている実施の形態によれば、歯車位置から針位置を検出するのではなく、針位置を直接的に検出しているので、正確に針位置の検出が行えることになる。
また、針位置を直接的に検出するにあたり、従来から配設されている複数のソーラセルを利用していることから、針検出のために特別の検出手段(静電容量を利用した検出手段や磁気センサー等の検出手段)を必要としないので、比較的安価な針位置補正装置が実現できる。
さらに、境界部通過時刻が内部時刻に対してずれていると検出された場合に、可及的すみやかに歯車を回転駆動して針位置の補正ができるので、的確な針位置補正が可能となる。そればかりでなく、針位置の補正を実際に複数のソーラセルを用いて検出された針位置が内部時刻であるCPU時刻に対してずれた場合だけ行うため、例えば、毎正時に歯車の位置を光学的なセンサーを用いて検出し、検出結果に応じて歯車を回転駆動させる場合と比較して、電力消費量を可及的に低減することができる。
さらにまた、針位置と内部の現在時刻とがずれていると検出された場合に、可及的すみやかに歯車を回転駆動して針位置の補正ができるので、従来の場合と異なり、現在時刻に対してずれている針を使用者の操作スイッチの操作で修正する必要がなく、また、現在時刻を示す位置に針位置を可及的に移動させておくことができることから、この実施の形態のように、操作スイッチまたは操作ボタン類を一切不要とすることができ、その分、小型軽量で安価な時計を提供することができる。
【0052】
[第2実施形態]
図11には第2実施形態に係る時計モジュール100が示されている。
この第2実施形態に係る時計モジュール100が第1実施形態の時計モジュール1と異なる点は、ソーラセルI,IIとソーラセルIII,IVの大きさが異なっている点、すなわち、ソーラセルI,IIはソーラセルIII,IVに比べて小さいものとなっている点である。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材には同一符号をその説明を省略する。
この第2実施形態に係る時計ムーブメント100によれば、秒針2の通過を検出するためのソーラセルI,IIが小さいので、秒針2の通過に伴うソーラセルI,IIの発電量変化が大きいので、秒針2の通過をより的確に判別することができる。
【0053】
{第3実施形態]
図12には第3実施形態に係る時計モジュール200が示されている。この第3実施形態に係る時計モジュール200が第1実施形態の時計モジュール1と異なる点は、ソーラセルI,II,III,IVの境界部Sの位置が異なっている点である。すなわち、この第3実施形態に係る時計モジュール200においては、ソーラセルIIの端が時字Tの12時の中心と合致するようにされている。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材には同一符号をその説明を省略する。
【0054】
{第4実施形態]
図13には第4実施形態に係る時計モジュール300が示されている。この第4実施形態に係る時計モジュール300が第1実施形態の時計モジュール1と異なる点は、ソーラセルI,II,III,IVの境界部Sの位置が異なっている点である。すなわち、この第3実施形態に係る時計モジュール300においては、ソーラセルIの端が時字Tの12時の中心と合致するようにされている。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材には同一符号をその説明を省略する。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0056】
上記実施形態では、CPU時刻である内部時刻と境界部通過時刻とが合致していない場合、直ちに、針補正処理を行ったが、許容値を設け、この許容値を超えた場合のみ針補正処理を行うようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、弧状で且つ同じ大きさの4つのソーラセル9(I,II,III,IV;以下、ソーラセル9を文字板5の周方向に並べられて設けておき、これら4つのソーラセル9を用いて、秒針2の境界部通過時刻のみを検出するようにしたが、これら4つのソーラセル9の内側に4つずつのソーラセルを設けておき、分針3および時針4の境界部通過時刻も検出するようにしてもよい。
さらに、この実施の形態では、本体ケースの外周には、時刻修正を行うための操作スイッチ、モードを設定するための操作スイッチ類は一切設けられていないが、これらの操作スイッチ類を設けるようにしてもよい。
さらに、この実施の形態では、時字が形成されている時字部材として、文字板を用いた場合について説明しているが、見切板、ベゼルに時字を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の第1実施形態に係る腕時計の要部を示す正面図である。
【図2】図1の腕時計の矢印A−A線断面図である。
【図3】針を回転させる歯車機構の構成を裏蓋側からみた背面図である。
【図4】図3に示す歯車機構の斜視図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る腕時計の回路構成を示すブロック図である。
【図6】CPUにより実行されるメイン制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のメイン制御処理におけるステップS3の針位置検出処理の処理手順の前半部を示すフローチャートである。
【図8】図7の針位置検出処理の処理手順の後半部を示すフローチャートである。
【図9】ソーラセルの発電量変化を示す図である。
【図10】図6のメイン制御処理におけるステップS4の針補正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】この発明の第2実施形態に係る腕時計の時計モジュールを示す正面図である。
【図12】この発明の第3実施形態に係る腕時計の時計モジュールを示す正面図である。
【図13】この発明の第4実施形態に係る腕時計の時計モジュールを示す正面図である。
【符号の説明】
【0059】
1,100,200,300 時計モジュール
2 秒針
3 分針
4 時針
5 文字板(時字部材)
13 歯車位置検出部
35 CPU
50 発電量検出部
9(I,II,III,IV) ソーラセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時字が形成されている時字部材と、
前記時字部材に配設された複数のソーラセルと、
前記複数のソーラセル上を運針する時刻表示用針と、
現在時刻を計時する計時手段と、
前記複数のソーラセルのうち、隣設された二つのソーラセルの間で、かつ、予め定められた時刻位置に設けられた境界部と、
前記境界部を挟んだ二つのソーラセルの発電量の変化に基づいて、前記時刻表示用針の少なくとも一つが前記境界部を通過した際の通過タイミングの位置を、前記時刻表示用針の針位置として検出する針位置検出手段と、
を備えることを特徴とする針位置検出装置。
【請求項2】
前記針位置検出手段は、前記二つのソーラセルの発電量の変化が予め定められている変化以上である場合に、前記通過時刻を検出することを特徴とする請求項1に記載の針位置検出装置。
【請求項3】
前記針位置検出手段は、前記二つのソーラセルの発電量変化の方向が互いに逆の場合で、且つ、前記時刻表示用針の通常の運針方向で見た場合に前記二つのソーラセルのうち前記境界部の上流側に位置するソーラセルの発電量が増加するとき又は下流側のソーラセルの発電量が減少するときに、前記通過時刻を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の針位置検出装置。
【請求項4】
前記時刻表示用針には秒針が含まれ、前記針位置検出手段は前記秒針の位置を検出することを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の針位置検出装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれか一項に記載の針位置検出装置と、
前記時刻表示用針を回転駆動させる歯車機構と、
前記針位置検出手段により検出された時刻表示用針の針位置を予め定められた時刻として設定し、この設定された針位置時刻と前記計時手段により計時されている内部時刻とが合致しているか否かを判断し、合致していないと判断された場合に、前記計時手段により計時されている内部時刻に前記時刻表示用針が合うように、前記歯車機構を駆動して、前記時刻表示用針の針位置を補正する針位置補正手段と、
を備えることを特徴とする針位置補正装置。
【請求項6】
前記針位置補正手段は、
前記針位置検出手段により検出された時刻表示用針の針位置を予め定められた時刻として設定し、この設定された針位置時刻と前記計時手段により計時されている内部時刻とが合致しているか否かを判断し、この判断結果に基づいて補正の要否を判断する補正要否判断手段と、
前記補正要否判断手段によって補正の必要があると判断された場合に、前記歯車機構を駆動させて、前記計時手段で計時された現在時刻に対応する位置まで、前記時刻表示用針の針を移動させる針位置移動制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の針位置補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−66143(P2010−66143A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233162(P2008−233162)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】