説明

防水ハウジング

【課題】 ファインダ光学系を有するカメラを内蔵して水中などで使用することを目的とした防水ハウジングにおいて、内蔵カメラのピント板の表示手段を照明する機能を持たせることにより、撮影者に前記表示手段を視認し易くすることを目的とする。
【解決手段】 前記防水ハウジングは投光手段と、反射手段と、結像手段を有し、前記反射手段により前記投光光束を反射してファインダ光学系に導き、前記結像手段により、前記内蔵カメラのファインダ光学系を共有して、前記投光光束を前記内蔵カメラのピント板上で結像させ、ピント板の表示手段を照明する。また、防水ハウジング外部からの操作により、前記投光光束からのピント板の照明位置を調節する手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中撮影用の防水ハウジング、特に、撮影画面内の焦点検出フレームがアクティブな表示機能を持たないカメラを内蔵する防水ハウジングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラは撮影画面内に、焦点検出エリア、シャッタースピード、絞り、露出、撮影モードなどの撮影に関する情報を表示して、撮影者が撮影状況を撮影画面内を覗いたまま把握することが出来るよう設計されている。しかし、従来の防水カメラハウジングを使用した水中撮影では、撮影者は撮影画面内表示だけでは、水中での撮影に必要な撮影情報が不足しており、撮影状況を十分に把握できないことがしばしばある。
【0003】従来、このような防水ハウジングに収納されるカメラの撮影画面内表示で不足している撮影情報、例えば、外部ストロボによるTTL撮影時の適正露光撮影の成否、外部ストロボのチャージ完了、防水ハウジングへの水の浸入の有無などを、防水カメラハウジングに付属のLED発光ダイオードや電子ブザーによって、ファインダを覗いた状態で、観察者に視覚・聴覚により確認させるという提案がなされている。
【0004】しかしながら、撮影画面内に少なくとも一つの焦点検出エリアを有し、各焦点検出エリアにおいてデフォーカス情報を検出する焦点検出手段を有するカメラにおいて、水中撮影用の防水ハウジングに収納して、水中などの暗い環境下で撮影する場合に、焦点検出エリアが何処に配置されているのか確認し辛く、被写体の何処にピントを合わせているのか、撮影者自身が分からないという欠点があった。
【0005】これに対して、撮影画面内に配置された焦点検出エリアにアクティブな表示機能をを持たせ、赤外発光ダイオードなどを用いて、合焦した焦点検出エリアの表示を際立たせることにより、いずれの焦点検出エリアが合焦したのかを撮影者に分かり易くする、すなわち、スーパーインポーズ表示機能を有するカメラが提案されている。このようなカメラを水中撮影用の防水ハウジングに収納して用いれば、水中のような暗い環境下でも焦点検出エリアが撮影画面内の何処に配置されているのか確認し易く、被写体の何処にピントを合わせているのか分かり易くなる。
【0006】しかしながら、カメラにより操作部材の配列が異なることから、陸上で撮影することを目的としたカメラを収納し、水中撮影用の防水ハウジングに具備された操作部材により、ハウジング外部から収納されたカメラを操作する防水ハウジングでは、一般的にカメラ一機種にしか対応せず、他のカメラを水中で使用するためには、そのカメラに対応した防水ハウジングを用意しなければならない。このため、前記スーパーインポーズ表示機能を有するカメラを使用するためには、そのカメラに対応したハウジングが必要になるという課題が残る。
【0007】また、防水ハウジング側に水中などの暗い環境下においても、焦点検出エリアが撮影画面内の何処に配置されているのか確認し易くする機能を持たせるという提案はなされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】撮影画面内に少なくとも一つの焦点検出エリアを有し、焦点検出エリアにおいてデフォーカス情報を検出する焦点検出手段を有するカメラにおいて、焦点検出エリアにアクティブな表示機能を持たせ、LED発光ダイオードなどにより、合焦した焦点検出エリアの表示を際立たせることにより、いずれの焦点検出エリアが合焦したのかを撮影者に分かり易くする、すなわち、スーパーインポーズ表示機能を有するカメラが提案されている。このようなカメラを水中撮影用の防水ハウジングに収納して用いれば、水中のような暗い環境下でも焦点検出エリアが分かり易く、被写体の何処にピントを合わせているのかが分かり易くなる。
【0009】しかしながら、カメラにより操作部材の配列が異なることから、陸上で撮影することを目的としたカメラを収納し、水中撮影用の防水ハウジングに具備された操作部材により、ハウジング外部から収納されたカメラを操作する防水ハウジングでは、一般的にカメラ一機種にしか対応せず、他のカメラを水中で使用するためには、そのカメラに対応した防水ハウジングを用意しなければならない。このため、前記スーパーインポーズ機能を有するカメラを使用するためには、そのカメラに対応した防水ハウジングが必要になるという課題が残る。
【0010】また、撮影画面内において焦点検出エリアの表示が固定されている、すなわち、スーパーインポーズ表示機能を持たないカメラを防水ハウジングに内蔵して、水中などの暗い環境下で使用する場合には、焦点検出エリアが撮影画面内の何処に配置されているのか認識し辛く、被写体の何処にピントを合わせているのか、撮影者自身が分かり辛いという課題があった。
【0011】本発明は、上記課題に鑑みてなされた物であり、撮影画面内に少なくとも一つの焦点検出エリアを有し、各焦点検出エリアにおいてデフォーカス情報を検出する焦点検出手段を有し、焦点検出エリアの表示が撮影画面内に固定されている、すなわち、前記スーパーインポーズ表示機能を持たないカメラを内蔵して、水中などの暗い環境下で使用する防水ハウジングにおいて、防水ハウジング側にスーパーインポーズ表示機能に相当する機能を持たせることにより、水中などの暗い環境下での撮影においても、撮影者に焦点検出エリアが撮影画面内の何処にあるのか認識し易くし、被写体の何処にピントを合わせているのかを分かり易くすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】前記状況を解決する手段として、第一に、水中撮影用の防水ハウジングに内蔵されるカメラのファインダ近傍に位置する場所に防水ハウジングに付属の投光手段を設け、該投光手段により投光された光束の進行方向に、光束を集光させ、前記投光手段より投光された光束をピント板上に結像するための結像手段を設け、前記投光手段により投光された光束の波長領域のみを反射する反射手段を設け、内蔵カメラの接眼レンズから該投光手段により投光された光束を逆入射する。内蔵カメラの接眼レンズより逆入射した光束を内蔵カメラの接眼レンズ・ファインダ光路変更用のペンタプリズム・ピント板などで構成されるファインダ光学系の一部を共有することにより、ピント板上で結像し、撮影画面内の焦点検出エリアと共役なピント板上の領域を照射する。
【0013】第二に、前記防水ハウジングに内蔵されるカメラが撮影画面内に複数の焦点検出エリアを持つ場合、前記防水ハウジングに付属の前記投光手段から投光される光束の位置を防水ハウジングの外部から調節するための投光位置調節手段を設け、投光位置調節手段により、投光手段からの投光位置を調節することにより、前記投光手段により投光された光束のピント板上での結像位置を調節し、水中撮影時においても防水ハウジング外部からの操作により、撮影画面内に配置された複数の焦点検出エリアのうち、撮影者が選択した撮影画面内の任意の焦点検出エリアと共役なピント板上の領域を照射するよう、照射領域を変更する。
【0014】以上で、課題を解決しようとするものである。
【0015】その作用として、前記第一では、撮影画面内に少なくとも一つの焦点検出エリアを有し、各焦点検出エリアにおいてデフォーカス情報を検出する焦点検出手段を有し、該焦点検出エリアが撮影画面内に固定されたカメラを水中撮影用の防水ハウジングに内蔵して、水中のような暗い環境下において撮影を行う場合、撮影画面内の焦点検出エリアが見辛く、撮影画面内の何処にあるか確認し辛い場合においても、撮影画面内の任意の焦点検出エリアと共役なピント板上の領域が照射されているため、撮影者は撮影画面内配置された焦点検出エリアを容易に確認することが可能である。また、焦点検出エリアが確認し辛い場合であっても、照射領域そのものが焦点検出エリアを表す指標となるため、撮影画面内の何処に焦点検出エリアが配置されているのか容易に確認できる。さらに、撮影画面内の何処に焦点検出エリアがあるのか容易に確認することが出来きるようになることにより、撮影者が被写体の何処にピントを合わせているのか分かり易くなる。
【0016】前記第二では、前記内蔵カメラの撮影画面内に複数の焦点検出エリアが配置される場合、投光位置調節手段を用いて、水中撮影時においても、防水ハウジング外部からの操作により、投光手段から投光される光束の投光位置を調節することにより、投光手段より投光された光束が内蔵カメラのファインダ光学系の一部を介して、ピント板上に結像する位置を調節することが可能となり、撮影画面内に配置された複数の焦点検出エリアのうち、撮影者が選択した撮影画面内の任意の焦点検出エリアと共役なピント板上の領域を照射するよう、照射領域を変更することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】本実施例の水中撮影用防水ハウジングは、陸上での撮影を目的とした一眼レフカメラを内蔵して、防水ハウジングに付属の操作部材により、外部から内蔵カメラを操作するための防水ケースである。
【0018】図1は本発明にかかる水中撮影用防水ハウジングに内蔵する一眼レフカメラの要部概略図である。
【0019】図1において、図中1は撮影レンズであり、図1では便宜上2枚のレンズ1a、1bで示したが、実際は多数のレンズから構成されている。2は主ミラーで、観察状態と撮影状態に応じて撮影光路へ斜設されあるいは退去される。3はサブミラーで、主ミラー2を透過した光束をカメラボデイの下方へ向けて反射する。4はシャッタ、5は感光部材で、銀塩フィルムあるいはCCDやMOS型等の固体撮像素子よりなっている。
【0020】6は焦点検出装置であり、結像面近傍に配置されたフィールドレンズ6a、反射ミラー6b及び6c、2次結像レンズ6d、絞り6e、複数のCCDからなるラインセンサ6f等から構成されている周知の位相差方式を採用している。同図の焦点検出装置6は、図3に示すように撮影画面内300の複数のエリア(7個の測距点マーク301から307)と焦点検出エリアである焦点検出エリアと対応し、焦点検出可能なように構成されている。
【0021】7は撮影レンズ1の予定結像面に配置されたピント板、8はファインダー光路変更用のペンタプリズム、9、10は撮影画面内の被写体輝度を測定するための結像レンズと測光センサで、結像レンズはペンタプリズム8内の反射光路を介してピント板7と測光センサを共役に関係付けている。
【0022】ファインダ撮影画面内300の複数の領域(7個の測距点マークである焦点検出エリア301から307)を焦点検出可能なように構成されている。
【0023】23はファインダ視野領域を形成する視野マスク、24はファインダ視野外に撮影情報を表示するためのファインダ内LCDで、照明用LED(F−LED)25によって照明され、LCD24を透過した光が三角プリズム26によってファインダ内に導かれ、図3のファインダ視野外308に表示され、撮影者は該撮影情報を観察している。
【0024】31は撮影レンズ1内に設けた絞り、32は不図示の絞り駆動回路を含む絞り駆動装置、33はレンズ駆動用モータ、34は駆動ギヤ等からなるレンズ駆動部材、35はフォトカプラでレンズ駆動部材34に連動するパルス板36の回転を検知してレンズ焦点調節回路37に伝えている。レンズ焦点調節回路37は、この情報とカメラ側からのレンズ駆動量の情報に基づいてレンズ駆動用モータを所定量駆動させ、撮影レンズ1を合焦位置に移動させるようになっている。38は公知のカメラとレンズとのインターフェースとなるマウント接点である。39はカメラ本体を三脚に固定するための三脚固定穴である。
【0025】図2は、前記内蔵カメラを本提案の防水ハウジングに内蔵した状態の構成を示す。内蔵カメラに記載の番号は図1と同じものを表している。
【0026】同図中40は内蔵カメラを防水ハウジングに固定するための回転ネジからなる固定部材であり、内蔵カメラの三脚固定穴39にネジ止めすることにより、内蔵カメラ本体を防水ハウジング内に精密に固定する。
【0027】41aは防水ハウジングに付属のLED発光ダイオード(赤色光)であり、赤色光を投光する。LED発光ダイオード41aの電源は、不図示の防水ハウジングに付属の内蔵バッテリより供給し、電源スイッチ(不図示)により、ON/OFFの切換が可能である。
【0028】41bは結像レンズであり、LED発光ダイオード41aより投光された光束を集光させ、内蔵カメラのファインダ光学系の一部を介して、撮影画面内300の焦点検出エリア(301〜307)と共役なピント板7上の領域で結像させる。
【0029】43は投光位置調節装置であり、磁気マグネットなどを使用することにより、防水ハウジング外部から、LED発光ダイオード41aと結像レンズ41bよりなる投光装置41を操作し、防水ハウジング外部から、LED発光ダイオード41aからの投光位置を調節し、ピント板7上での結像位置を調節する。
【0030】42は光分割器を内蔵したファインダピックアップであり、例えば可視光を透過し赤外光及び赤外寄りの可視光(赤色光)を反射するダイクロイックミラー42aと対物凹レンズ42bより成り立っており、内蔵カメラ本体のファインダ部12にファインダ枠を利用してファインダ倍率の低下を抑えつつアイポイントを延長する対物凹レンズを42bを付加的に取り付ける。
【0031】さらに、ダイクロイックミラー42aによりLED発光ダイオード41aより投光された赤色光を反射して、内蔵カメラの接眼レンズ11より逆入射し、ファインダ内に導く。
【0032】44は撮影者が水中撮影時に覗く、視野窓であり不図示の接眼凸レンズを備えいる。
【0033】これらの2分割されたレンズ部(対物凹レンズ42b・接眼凸レンズ(不図示))を内蔵カメラ本体下部で受け止めで、その三脚固定穴39を利用して内蔵カメラ本体を防水ハウジング内に精密に固定することにより、内蔵カメラの光軸と防水ハウジングの光軸を簡便に一致させ、光学的に結合させている。
【0034】また、撮影レンズより入射して、撮影レンズ1・主ミラー2・ピント板7・ペンタプリズム8・接眼レンズ11で構成されるファインダ光学系を介して、ダイクロイックミラー42aに到達する可視光の赤外寄りの波長域以外を透過して、撮影者の眼球15に到達し、撮影者にファインダ像を認識可能とする。
【0035】LED発光ダイオード41aにより投光された赤色光をダイクロイックミラー42aにより反射して、内蔵カメラの接眼レンズ11より逆入射してファインダ内に導き、ピント板7・ペンタプリズム8・接眼レンズ11で構成される内蔵カメラのファインダ光学系の一部を共有することにより、撮影画面内300の焦点検出エリア(301〜307)と共役なピント板上の領域で結像し、照射する。
【0036】図3に防水ハウジングに内蔵される内蔵カメラのファインダ視野内の表示状態を示す。ファインダ撮影画面内300に配置された301〜307は焦点検出エリアを示し、各焦点検出エリアにおいてデフォーカス情報を検出する焦点検出手段を有し、焦点検出可能である。
【0037】図1中の投光位置調節装置43を水平・垂直方向に移動させることにより、LED発光ダイオード41aより投光される赤色光の内蔵カメラの接眼レンズ11への入射位置を調節し、内蔵カメラ内部に配置された接眼レンズ11・ペンタプリズム8・ピント板7で構成されるファインダ光学系の一部を共有し、ファインダ光路と逆光路を辿ることにより、ファインダ撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリア(301〜307)の中から、撮影者が選択した任意の焦点検出エリアと共役なピント板上の領域で結像し、その領域周辺を赤色光で照射する。
【0038】図4は実施例の内蔵カメラ本体202の外観図(上面図)である。200はカメラ本体、201はレリーズ釦、202は外部モニタ表示装置としてのモニタLCD、203はシャッタスピード,絞り,測距点選択などを行う電子ダイヤル、205は測距点選択釦である。
【0039】図5は内蔵カメラの測距点選択の方法及び、そのときの外部表示LCD202の表示状態を表す。防水ハウジングに付属の測距点選択釦操作部材(不図示)により、防水ハウジング外部より内蔵カメラの測距点選択釦205を押し下げ、測距点選択状態に入る。防水ハウジングに付属の電子ダイヤル操作部材(不図示)により、防水ハウジング外部より内蔵カメラの電子ダイヤルを時計回りに1クリックごとに回転させることにより、図5(a)〜(g)のごとく、測距点が選択される。
【0040】図6は防水ハウジング外部に付属の投光位置調節装置43の概略図である。43aは投光位置調節部材、43bはばね、43cは投光位置調節部材43aの磁気マグネット部であり、同図(a)のごとく、投光位置調節部材43aを押し込み、同図(b)のごとく、磁気マグネット部43aを防水ハウジング本体400に押し当てた状態で、同図(c)のごとく、水平方向及び垂直方向にスライドさせることにより、防水ハウジング内部に付属の投光装置41を移動させ、投光位置の調節を行う。
【0041】次に、本発明の防水ハウジングに内蔵カメラを収納して水中などの暗い環境下で撮影する場合の一連の流れを説明する。
【0042】本発明の防水ハウジングは一眼レフカメラなどのカメラを水圧下での水の浸入を完全に防止するよう内蔵するケース体の外部から操作するための操作部材を設け、さらに、その外部操作部材と内蔵カメラのレリーズ釦201とを電磁的ないし、機械的に緊密に接続するリンク系を設けて、防水ハウジングのケース体の外部からの操作でも内蔵カメラのレリーズ釦201を直接操作するのと同様に、レリーズ釦操作部材を押し込むでいくことにより、測光動作系が作動を開始して、焦点検出・合焦などの撮影準備が行われ、さらに押し込んでいくと、シャッター開放、ストロボ等の照明灯発光、撮影が行われる。
【0043】撮影者はまず、撮影者が意図する構図から、防水ハウジングに付属の測距点選択釦操作部材(不図示)により、防水ハウジング外部から内蔵カメラの測距点選択釦205を押し下げ、測距点選択に入る。さらに、防水ハウジングに付属の電子ダイヤル操作部材(不図示)により電子ダイヤル203を回転させることにより、撮影画面内300でピントを合わせる焦点検出エリアを、撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリア(301〜307)の中から決定する。
【0044】次に、比較的明るい場所(焦点検出エリア301〜307を表す測距点フレームが確認しやすい場所)において、予め防水ハウジングに付属のLED発光ダイオード41aの電源をONし、撮影画面内300に配置された焦点検出エリア301〜307の中から、撮影者が任意に選択した焦点検出エリアと共役なピント板上の領域で結像し、照射するように、投光位置調節装置43で照射位置を調節する。
【0045】投光位置調節装置43は図6に示すように、内蔵カメラの撮影画面内300に配置された焦点検出エリア(301〜307)に対応して、ピント板上の照射位置を変更可能なように水平方向及び垂直方向に移動可能であり、磁気マグネットを使用することにより、防水ハウジングの外部からの操作で投光装置41を移動させ、ピント板上の照射位置を調節する。
【0046】撮影者はLED発光ダイオードにより照射された焦点検出エリアを被写体のピントを合わせたい位置に合わせ、構図を決定する。
【0047】図7は内蔵カメラの測距点選択に対応して、ピント板上の照射位置を変更する方法を表す。図7(a)〜(g)の左上図は、図4の内蔵カメラの外部表示LCD202内の選択表示された測距点の位置を表している。左下図は、図2の投光位置調節装置43の操作部材の位置を表している。また、右図はそのときの撮影画面内300の様子を表しており、同図(a)〜(g)の501〜507はLED発光ダイオード41aによる照射領域を表している。
【0048】図7(a)は図4の電子ダイヤル203により、撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリア(301〜307)の中から、301を選択し、選択した測距点に対応させて、防水ハウジングに付属の投光位置調節装置43を図7(a)左下図の位置に移動させることにより、撮影者が選択した焦点検出エリア301と共役なピント板上の領域で結像し、図7(a)の右図のごとく、撮影画面内300において領域501を明るく照らし出す。
【0049】同様に、電子ダイヤル203により撮影者が選択した任意の焦点検出エリアに対応させて、防水ハウジングに付属の投光位置調節装置43を図7(b)〜(g)のごとく移動させることにより、撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリアの全て照射可能である。
【0050】防水ハウジングの外部より防水ハウジングに付属の不図示のレリーズ釦操作部材を押し込んでいく操作により、内蔵カメラの測光系が作動を開始して、焦点検出・合焦動作などの撮影準備が行われる。選択した焦点検出エリアが焦点検出可能であり、合焦すれば、撮影画面300外に合焦マークが点灯し、さらにレリーズ釦201を押し込んでいくことにより、シャッター開放、ストロボ等の照明灯発光、撮影が行われる。
【0051】(実施例の特有の効果)図8で、実施例の効果を説明する。図8(a)は従来の防水ハウジングを用いて、水中などの暗い環境下で撮影を行う場合の内蔵カメラの撮影画面を示す。撮影者はまず構図を決定するために、測距点を任意に選択し、撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリア(301〜307)の中から、撮影者が任意に選択した焦点検出エリア302を被写体401と撮影画面内300において、共役な位置になるよう重ね合わせる。
【0052】しかしながら、水中などの暗い環境下では撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリアを表す測距点フレーム自体が確認し辛く、撮影画面内300の何処に配置されているのかさえ分からないという状況に陥る。そのため、撮影者は被写体の何処にピントを合わせているのか全く分からないという状況で、感覚に頼って撮影を行うことになる。
【0053】例えば、同図(a)のごとく、撮影者は被写体401の眼に焦点検出エリア302を表す測距点フレームを撮影画面内300で共役な位置に重ね合わせて、ピントを合わせたくとも、水中などでの暗い環境下であるために、焦点検出エリア302を表す測距点フレームを確認できず、被写体401の何処にピントを合わせているのか分かなくなり、感覚に頼って撮影するため、被写体の眼以外の場所にピントが合ってしまい、構図も撮影者が意図していたものとは異なった構図となってしまう。
【0054】図8(b)は本提案の防水ハウジングを用いて、水中などの暗い環境下で撮影を行う場合の内蔵カメラの撮影画面を示す。領域502はLED発光ダイオード41aにより投光された赤色光をピント板7上の撮影画面内300の焦点検出エリア302と共役な位置に結像し、照射された領域を表しており、焦点検出エリア302の周辺が照射され、明るくなっているため、測距点フレームが確認し易くなる。
【0055】また、測距点フレームが確認し辛い場合においても、LED発光ダイオードから投光された赤色光により照射された領域502自体が指標となるため、被写体の何処にピントを合わせているのか、容易に確認できる。
【0056】例えば、同図(b)のごとく、撮影者は被写体401の眼に焦点検出エリア302を表す測距点フレームを撮影画面内300で共役な位置に重ね合わせてピントを合わせる場合、焦点検出エリア302を表す測距点フレームの周辺がLED発光ダイオード41aより投光された赤色光により照射され、明るく照らし出されている(照射領域502)ため、水中などの暗い環境下でファインダ内を覗いた場合においても、焦点検出エリア302を表す測距点フレームが確認し易く、被写体401の眼にピントを合わせることが容易となる。
【0057】また、焦点検出エリア302を表す測距点エリアが確認し辛い場合においても、LED発光ダイオードから投光された赤色光により照射された領域502自体が指標となるため、被写体401の眼にピントを合わせることが容易となる。さらに、撮影者の意図する被写体のポイントにピントを合わせることが容易となることにより、撮影者の意図した構図で撮影することが可能となる。
【0058】図9において、撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリア(301〜307)に対応する測距点フレームが存在する場合に、撮影者の測距点選択に対応して、赤色光の照射領域501〜507を切り替える例を示す。測距点任意選択モードにおいて、撮影者が構図を変えて撮影を行う場合、内蔵カメラで撮影者が任意に選択した焦点検出エリアである測距点フレームに合わせて、防水ハウジングに付属の操作部材(光束方向調整装置4)により、赤色光の照射領域を501〜507で切り替える。
【0059】例えば、図8(b)における構図から、図9(b)のごとく構図を変える場合、投光位置調節装置43の操作部材を水平方向に移動させることにより、防水ハウジング外部からLED発光ダイオード41aから投光されてピント板7上に照射される領域を、撮影画面内300において水平方向に移動させ、照射領域を503に調節することにより、撮影画面内300の焦点検出エリア303を表す測距点フレームの周辺が赤色光により明るく照らし出され、水中のなどの暗い環境下でファインダ内を覗いた場合でも、焦点検出エリア303を表す測距点フレームが確認し易く、被写体401の眼にピントを合わせることが容易となる。
【0060】また、図9(c)のごとく構図を変える場合では、投光位置調節装置43の操作部材を垂直方向に移動させることにより、防水ハウジング外部からLED発光ダイオード41aから投光されてピント板7上に照射される領域を、撮影画面内300において垂直方向に移動させ、照射領域を506に調整することにより、撮影画面内300の焦点検出エリア306を表す測距点フレームの周辺が赤色光により明るく照らし出され、水中のなどの暗い環境下でファインダ内を覗いた場合でも、焦点検出エリア306を表す測距点フレームが確認し易く、被写体401の眼にピントを合わせることが容易となる。
【0061】撮影画面内300に配置された複数の焦点検出エリア(301〜307)を表す測距点フレームの全てに対して、各焦点検出エリアと共役なピント板上の領域(501〜507)で結像し、照射することが可能となり、撮影者が内蔵カメラの測距点を任意に選択する場合において、水中撮影時に焦点検出エリアを切り替える場合においても、防水ハウジングの外部からの操作により選択した焦点検出エリアに対応した照射領域への切り替えが可能となる。
【0062】
【発明の効果】本発明において、陸上での撮影を目的とする撮影画面内に少なくとも一つの焦点検出エリアが配置され、各焦点検出エリアにおいてデフォーカス情報を検出する焦点検出手段を有し、各焦点検出エリアがアクティブな表示機能を持たない内蔵カメラを水中などで使用するための水中撮影用防水ハウジングにおいて、防水ハウジングに付属の一つの投光手段を有し、前記投光手段から投光された光束を集光し、撮影画面内に配置された各焦点検出エリアと共役なピント板上の領域において結像するための結像手段と、前記投光手段から投光された光束の波長領域の光束のみを反射する反射手段と、前記投光手段と結像手段とを同時に移動させることにより、防水ハウジング外部から投光手段からの光束の投光位置を調整するための投光位置調節手段とを有することにより、請求項1において、まず、前記投光手段により投光された光束を前記内蔵カメラの接眼レンズより逆入射し、内蔵カメラの接眼レンズ・ペンタプリズム・ピント板・主ミラーなどで構成されるファインダ光学系の一部を共有することが可能となり、内蔵カメラのファインダ光学系の一部をを共有することにより、前記反射手段により反射された反射光路をファインダ光路と逆の光路を辿ってピント板上に導き、前記結像手段及び投光位置調節手段により、撮影画面内に配置された任意の焦点検出エリアと共役なピント板上の領域で結像し、照射することを可能とする。
【0063】以上により、水中などの暗い環境下において撮影を行う場合において、撮影画面内に配置された焦点検出エリアを表す測距点フレームが確認し易くなり、背景などの影響により焦点検出エリアを表す測距点フレームが確認し辛い場合においても、投光手段により照射された照射領域が指標となるため、被写体において撮影者が意図する位置にピントを合わせることが容易となり、撮影者が意図する構図で写真を撮ることが可能となる。
【0064】請求項2において、内蔵カメラの撮影画面内に複数の焦点検出エリアが配置された場合において、防水ハウジングに付属の前記投光位置調節手段により、水中撮影時においても防水ハウジングの外部からの操作により、投光位置を調節することが可能であり、撮影者が内蔵カメラで任意に選択した焦点検出エリアと共役なピント板上の領域を照射することが可能となる。
【0065】以上により、水中撮影時に構図を変更したい場合においても、防水ハウジングの外部からの操作により、内蔵カメラの焦点検出エリアの変更、投光位置調節手段による投光位置の調節が行え、容易に構図を変更することが可能であり、撮影者の意図する構図で写真を撮ることが可能となる。また、一つの投光手段により撮影画面内に配置された複数の焦点検出エリアを照射することが可能である。
【0066】請求項3,4において、前記投光手段より投光された光束の波長領域のみを反射手段により反射して、内蔵カメラの接眼レンズより逆入射して、内蔵カメラのファインダ光学系に導き、また、撮影レンズより入射してファインダ光学系を介して、接眼レンズまで到達する光束の前記投光手段の光束の波長領域以外の光束を透過することにより、撮影レンズから取り込んだ像を撮影者に認識可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の内蔵カメラ本体の要部概略図
【図2】 実施例の防水ハウジング及び内蔵カメラ本体の要部概略図
【図3】 ファインダ視野内の表示状態の説明図
【図4】 実施例の内蔵カメラ本体の外観図(上面図)
【図5】 測距点選択の説明図
【図6】 投光位置調節装置の概略図
【図7】 内蔵カメラの測距点選択と防水ハウジングの投光位置選択によるファインダ撮影画面内照射領域の説明図
【図8】 撮影画面と被写体での実施例効果の説明図、(a)従来例、(b)本実施例
【図9】 撮影画面と被写体での実施例効果の説明図、(a)撮影画面内の照射領域、(b)水平移動、(c)垂直移動
【符号の説明】
7 ピント板
8 ペンタプリズム
11 接眼レンズ
15 撮影者の眼
41 投光装置
41a LED発光ダイオード
41b 結像レンズ
42 ピックアップファインダ
42a ダイクロイックミラー
42b 対物凹レンズ
43 投光位置調節装置
200 本カメラ
300 ファインダ撮影画面内
301,302,303,304,305,306,307 測距点マーク
501,502,503,504,505,506,507 撮影画面内照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピント板、ペンタプリズムからなるファインダー光学系を有し、撮影者が、前記ファインダー光学系より、観察することで、認識可能な前記ピント板に表示手段を有するカメラがあって、前記カメラを内蔵し、水中での撮影を行うことを可能とする防水ハウジングにおいて、前記内蔵カメラのファインダー光学系の延長上に有って、撮影者が、前記防水ハウジング外部から前記内蔵カメラの撮影画面を観察する為の接眼部を有し、前記防水ハウジングの前記接眼部近傍に1つの投光手段を有し、前記投光手段の投光光束をピント板で結像させるための結像手段を有し、前記防水ハウジングの前記接眼部に前記投光手段の投光光束を、前記内蔵カメラのファインダー光学系に導く反射手段を有し、前記ピント板の表示手段を照明することを特徴とする防水ハウジング。
【請求項2】 前記内蔵カメラのピント板の表示手段とは、撮影画面内に少なくとも1つの焦点検出エリアを有し、前記焦点検出エリアのデフォーカス情報に基づいて、撮影レンズのピント調整が可能なカメラの撮影画面内に配置された前記焦点検出エリアに対応するピント板の測距点マークであることを特徴とする請求項1記載の防水ハウジング。
【請求項3】 前記投光手段とは、ある一定の波長領域の光束を投光し、前記反射手段とは、前記投光手段からの投光光束のみを反射し、投光光束以外の波長領域の光束を透過するよう設定された部材であることを特徴とする請求項1記載の防水ハウジング。
【請求項4】 前記結像手段とは、前記投光光束を、前記反射手段と、前記内蔵カメラのピント板・ペンタプリズムからなるファインダ光学系の一部を介して、ピント板上で結像させ、撮影画面内に配置された焦点検出エリアに対応するピント板の測距点マークを照明することを特徴とする請求項1又は2記載の防水ハウジング。
【請求項5】 防水ハウジング外部からの操作により、前記投光光束からのピント板の照明位置を調節する手段を有することを特徴とする請求項1記載の防水ハウジング。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図8】
image rotate


【図7】
image rotate


【図9】
image rotate


【公開番号】特開2003−114474(P2003−114474A)
【公開日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−309502(P2001−309502)
【出願日】平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】