説明

電力変換回路の制御装置

【課題】高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの直列接続体がコンデンサ16に並列接続された電力変換回路について、コンデンサ16の充電電圧を放電させる処理が煩雑化すること。
【解決手段】
電力変換回路において、コンデンサ16の放電処理を行う期間において、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnの少なくとも一方についてオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことにより双方をオン状態とすることでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うとともに、短絡させる処理を行うに際し、スイッチング素子Swp,Swnの損失が負荷を制御する際の損失よりも大きくなるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体が蓄電手段に並列接続された電力変換回路について、前記蓄電手段の充電電圧を規定電圧以下に制御する放電制御手段を備える電力変換回路の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1にみられるように、モータに接続されたインバータの一対の入力端子間に接続される蓄電手段(コンデンサ)を放電する制御を行うものも提案されている。ここでは、モータのトルクが略ゼロとなるようにしてインバータを操作することで、コンデンサの電荷を放電するようにしている。
【0003】
なお、この種の制御装置としては、他にも例えば下記特許文献2,3に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3289567号公報
【特許文献2】特開平9−201065号公報
【特許文献3】特開2003−348856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、上記制御装置の場合、コンデンサを放電させるために、モータにトルクが生じないようにしつつインバータを操作する必要があるため、その処理が煩雑なものとなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体が蓄電手段に並列接続された電力変換回路について、前記蓄電手段の充電電圧をより適切に放電することのできる電力変換回路の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0008】
請求項1記載の発明は、高電位側のスイッチング素子及び低電位側のスイッチング素子の直列接続体と、直列接続体に並列接続された蓄電手段とを有し、負荷を駆動する電力変換回路について、蓄電手段の充電電圧を規定電圧以下に制御する放電制御手段を備える電力変換回路の制御装置において、放電制御手段は、受電電圧を規定電圧以下に制御する期間において、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方についてオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことにより高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで蓄電手段の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであって、且つ短絡させる処理を行うに際し、スイッチング素子の損失が負荷を制御する際の損失よりも大きくなるように制御することを特徴とする。
【0009】
上記発明では、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方についてオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことにより高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とし、且つ短絡させる処理を行うに際し、スイッチング素子の損失が負荷を制御する際の損失よりも大きくなるように制御することによって蓄電手段の両電極を短絡させることで、蓄電手段の充電電圧を適切に規定電圧以下に放電することができる。
【0010】
請求項2記載の発明のように、スイッチング素子は、電圧制御型のスイッチング素子であって、放電制御手段は、短絡させる処理を行う際に、負荷を制御する際に導通制御端子に印加する電圧よりも小さい電圧を導通制御端子に印加することができる。
【0011】
請求項3記載の発明のように、放電制御手段は、前記充電電圧を規定電圧以下に制御する期間において、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子のいずれか一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うことができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、放電制御手段は、短絡状態とされる各1回の期間を予め設定された一定時間とすることを特徴とする。
【0013】
上記発明では、各1回の期間を予め定めれた一定時間とすることで、短絡状態が実現される期間を分割する処理を簡素化することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、放電制御手段は、蓄電手段の両電極間の電圧に基づき、短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することを特徴とする。
【0015】
短絡処理をする際に生じる熱エネルギは、蓄電手段の電圧とスイッチング素子を流れる電流との積に比例する。このため、蓄電手段の電圧が低くなるほど熱エネルギが小さくなる。上記発明では、短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することで、この点に鑑みた処理を行うことができる。
【0016】
請求項6記載の発明は、放電制御手段は、スイッチング素子の温度の検出値に基づき、短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することを特徴とする。
【0017】
上記発明では、温度に応じて短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することで、スイッチング素子の温度が過度に上昇する事態を好適に回避することができる。
【0018】
請求項7記載の発明は、放電制御手段は、蓄電手段の充電電圧を規定電圧以下に制御する期間の開始からの経過時間に基づき、短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、 放電制御手段は、充電電圧を規定電圧以下に制御する期間において、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の双方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、電力変換回路は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、放電制御手段は、短絡させる処理を行う期間において、短絡させる処理を同時に実行する直列接続体を複数の直列接続体の全てとすることを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、電力変換回路は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、放電制御手段は、短絡させる処理を行う期間において、短絡させる処理を実行する直列接続体を変更することを特徴とする。
【0022】
短絡させる処理を行うことで、短絡させる処理に用いられるスイッチング素子の温度が上昇する。上記発明では、この点に鑑み、短絡させる処理を実行する直列接続体を変更することで、発熱量を複数の直列接続体に分散させることができ、ひいては特定の直列接続体のスイッチング素子の温度が過度に上昇する事態を回避することができる。
【0023】
請求項11記載の発明は、放電制御手段は、直列接続体を変更する処理を、スイッチング素子の温度の検出値に基づき実行することを特徴とする。
【0024】
上記発明では、スイッチング素子の温度の検出値に基づき、短絡させる処理を実行する直列接続体を変更することで、特定の直列接続体のスイッチング素子の温度が過度に上昇する事態をより的確に回避することができる。
【0025】
請求項12記載の発明は、電力変換回路は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、制御装置は、電力変換回路とは電気的に絶縁されたものであって且つ、電力変換回路の一部の直列接続体に限ってスイッチング素子の温度の検出値を取得する機能を有しており、放電制御手段は、一部の直列接続体に限って短絡させる処理を実行する。
【0026】
上記発明では、温度の検出値を利用しつつ短絡させる処理を実行することができるため、短絡させる処理に起因してスイッチング素子の温度が過度に上昇する事態を好適に回避することができる。
【0027】
請求項13記載の発明は、電力変換回路は、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、放電制御手段は、短絡させる処理を実行する直列接続体を、そのスイッチング素子の温度が最も低い直列接続体とすることを特徴とする。
【0028】
上記発明では、温度の最も低い直列接続体を短絡させる処理に利用することで、短絡させる処理に起因した過度の温度上昇が最も生じにくい直列接続体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかる駆動回路の回路構成を示す回路図。
【図3】同実施形態にかかる放電処理態様を示すタイムチャート。
【図4】同実施形態にかかるゲート電圧の設定態様を示すタイムチャート。
【図5】同実施形態にかかるゲート電圧の印加手法を示すタイムチャート。
【図6】第2の実施形態にかかる放電処理態様を示すタイムチャート。
【図7】第3の実施形態にかかる放電処理態様を示すタイムチャート。
【図8】第4の実施形態にかかる放電処理態様を示すタイムチャート。
【図9】第5の実施形態にかかる放電処理態様を示すタイムチャート。
【図10】第6の実施形態にかかるシステム構成図。
【図11】同実施形態にかかる放電処理態様を示すタイムチャート。
【図12】第7の実施形態にかかるシステム構成図。
【図13】同実施形態にかかる短絡処理を行う相の選択処理の手順を示す流れ図。
【図14】第8の実施形態にかかるシステム構成図。
【図15】同実施形態にかかる放電処理態様を示すタイムチャート。
【図16】上記第2の実施形態の変形例にかかるタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる電力変換回路の制御装置をハイブリッド車に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
図1に、本実施形態のシステム構成を示す。図示されるように、車載主機としてのモータジェネレータ10は、インバータIVおよびメインリレー14を介して高電圧バッテリ12やコンデンサ16に接続されている。インバータIVは、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの直列接続体が3つ並列接続されて構成されている。そして、これら各パワースイッチング素子Swpおよびパワースイッチング素子Swnの接続点が、モータジェネレータ10の各相にそれぞれ接続されている。
【0032】
上記高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnのそれぞれの入出力端子間(コレクタおよびエミッタ間)には、高電位側のフリーホイールダイオードFDpおよび低電位側のフリーホイールダイオードFDnのカソードおよびアノードが接続されている。なお、上記パワースイッチング素子Swp,Swnは、いずれも絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)にて構成されている。また、パワースイッチング素子Swp,Swnは、その入力端子および出力端子間に流れる電流と相関を有する微少電流を出力するセンス端子STを備えている。
【0033】
一方、制御装置24は、低電圧バッテリ22を電源とするものであり、制御対象としてのモータジェネレータ10の制御量を制御すべく、インバータIVの入力電圧VDCを検出する電圧センサ17等の各種センサの検出値に基づき、上記インバータIVを操作する。詳しくは、制御装置24は、図示しない各種センサの検出値等に基づき、インバータIVのU相、V相、およびW相のそれぞれについてのパワースイッチング素子Swpを操作する操作信号gup,gvp,gwpと、パワースイッチング素子Swnを操作する操作信号gun,gvn,gwnとを生成し出力する。これにより、パワースイッチング素子Swp,Swnは、それらの導通制御端子(ゲート)に接続されるドライブユニットDUを介して制御装置24により操作される。ちなみに、インバータIVを備える高電圧システムと、制御装置24を備える低電圧システムとは、図示しないフォトカプラ等の絶縁手段によって絶縁されており、上記操作信号は、絶縁手段を介して高電圧システムに出力される。
【0034】
なお、以下では、パワースイッチング素子Swp、Swnを総括する場合、パワースイッチング素子Swと記載し、フリーホイールダイオードFDp,FDnを総括する場合、フリーホイールダイオードFDと記載する。また、上記操作信号gup,gvp,gwp,gcp,gun,gvn,gwn,gcnを総括する場合、操作信号gと記載する。
【0035】
ドライブユニットDUは、操作信号gに応じてパワースイッチング素子Swをオン・オフ操作する機能のみならず、パワースイッチング素子Swの入力端子および出力端子(コレクタおよびエミッタ)間を流れる電流の検出値が過度に大きいと判断される場合、パワースイッチング素子Swを強制的にオフ状態とする機能をも有する。詳しくは、パワースイッチング素子Swのセンス端子STから出力される微少電流に基づき、パワースイッチング素子Swの入力端子および出力端子間に流れる電流が閾値電流Ith以上となると判断される場合に、パワースイッチング素子Swを強制的にオフ状態とする機能を有する。具体的には、これは、センス端子STから出力される微少電流による抵抗体での電圧降下量と、閾値電流Ithに応じた閾値電圧Vthとの大小を比較する手段を備えて行われる。
【0036】
上記ドライブユニットDUは、パワースイッチング素子Swをオン状態とすべくその導通制御端子(ゲート)に印加する電圧値を可変設定する機能を有する電圧可変回路30を備える。これは、例えば図2(a)や図2(b)に例示する構成にて実現することができる。
【0037】
図2(a)では、電圧可変回路30の備えるトランスTの出力電圧を可変設定することでゲートに印加する電圧を可変設定する構成を例示している。すなわち、トランスTの2次側には、トランスTをフライバックコンバータとして機能させるためのダイオード31と、トランスTの2次側の両端に並列接続されたコンデンサ32と、コンデンサ32に並列接続された充電用スイッチング素子33および放電用スイッチング素子34の直列接続体とを備えている。一方、トランスTの1次側コイルC1aには、低電圧バッテリ22が並列接続されている。1次側コイルC1aおよび低電圧バッテリ22を備えるループ回路は、電圧制御部36によってスイッチング素子35がオン・オフ操作されることで開閉される。
【0038】
電圧制御部36は、スイッチング素子35のオン・オフの1周期に対するオン期間の比率(時比率)を操作することによって、トランスTの出力電圧を制御する。詳しくは、電圧制御部36では、トランスTの出力電圧をフィードバック制御する。トランスTの出力電圧を検出する手段は、以下のようにして構成されている。
【0039】
トランスTの1次側コイルC1bには、ダイオード37を介して、コンデンサ38が並列接続されている。コンデンサ38には、抵抗体R1,R2の直列接続体が接続されている。これら抵抗体R1,R2は、1次側コイルC1bの両端の電圧(コンデンサ38の両端の電圧)を分圧するものであり、抵抗体R1,R2の接続点の電圧が、トランスTの出力電圧の検出値となる。すなわち、1次側コイルC1bの電圧と2次側コイルC2の電圧とは、1次側コイルC1bと2次側コイルC2との巻数比に応じた一定の関係を有する。このため、1次側コイルC1bの両端の電圧を検出することで、2次側コイルC2の両端の電圧を間接的に検出することができる。
【0040】
ここで、上記抵抗体R2には、スイッチング素子39および抵抗体R3が並列接続されている。これにより、スイッチング素子39がオフ状態である場合には、1次側コイルC1bの電圧が抵抗体R1および抵抗体R2によって分圧されるのに対し、スイッチング素子39がオン状態である場合には、1次側コイルC1bの電圧が抵抗体R2,R3および抵抗体R1によって分圧される。このため、分圧値は、スイッチング素子39がオン状態とされる場合の方が低くなる。すなわち、電圧制御部36によって認識される電圧は、スイッチング素子39がオン状態とされる場合の方が低くなる。このため、電圧制御部36では、スイッチング素子39がオン状態とされる場合の方が、トランスTの出力電圧を高い側に制御するようになる。このように、スイッチング素子39のオン・オフは、電圧制御部36の目標電圧を可変とする処理と等価となっている。そして、このスイッチング素子39は、制御装置24によって操作される。
【0041】
図2(b)では、ドライブユニットDUがレギュレータ36を備え、レギュレータ36の出力電圧を可変設定することでゲートに印加される電圧を可変設定する例を示している。ここで、出力電圧を可変設定するレギュレータ36としては、出力電圧を特定の固定値に制御するレギュレータ回路を2つ備えるなどして構成することができる。なお、レギュレータ36の出力電圧の切替の指示は、例えばトランスTの出力電圧によって行えばよい。
【0042】
<コンデンサ16の放電処理>
上記コンデンサ16は、インバータIVの直接の電源となるものであり、インバータIVと高電圧バッテリ12との距離が長い場合等であっても、インバータIVの入力端子の電位変動を抑制する機能を有する。ただし、例えば車両の走行が許可されない状況等にあっては、コンデンサ16に蓄えられた電荷を放電させることが望ましい。ここで、車両の走行が許可されない状況とは、例えばユーザによって車両の走行の意思がある旨の指示がなされずメインリレー14がオフとされたり、制御装置24がオフとされたりする状況である。また例えば、車両の衝突事故時等、制御装置24によってメインリレー14が強制的にオフ状態とされる状況である。
【0043】
本実施形態では、上記コンデンサ16の放電処理を、互いに直列接続された高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの双方をオンすることでコンデンサ16の両端を短絡させる処理とする。
【0044】
図3に、本実施形態にかかる放電処理態様を示す。詳しくは、図3(a)は、メインリレー14の状態の推移を示し、図3(b)は、U相の高電位側のパワースイッチング素子Swpの状態の推移を示し、図3(c)は、U相の低電位側のパワースイッチング素子Swnの状態の推移を示し、図3(d)は、コンデンサ16の電圧の推移を示す。
【0045】
図示されるように、メインリレー14がオフ状態となっていることを条件に、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの双方をオン状態とすることで、コンデンサ16を放電させる。そして、コンデンサ16の充電電圧がゼロとなることで高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの双方をオフ状態に切り替える。
【0046】
ここで、パワースイッチング素子Swのオン操作に際してゲートに印加する電圧は、インバータIVの操作によってモータジェネレータ10の制御量を制御する際にゲートに印加する電圧よりも低く設定している。図4(a)に、放電処理時とモータジェネレータ10の駆動時とにおけるパワースイッチング素子Swのエミッタおよびゲート間電圧(ゲート電圧Vge)を示す。これはドライブユニットDUの過電流保護機能によって定義される上記閾値電流Ith以上の電流をパワースイッチング素子Swに流さないための設定である。
【0047】
すなわち、図4(b)に示すように、パワースイッチング素子Swの入力端子および出力端子間に流すことのできる電流(コレクタ電流Ic)の最大値は、ゲート電圧Vgeが高いほど大きくなる。一方、コレクタ電流Icが同一であっても、ゲート電圧Vgeが高いほど入力端子および出力端子間の電圧降下(Vce)が大きくなる。このため、ゲート電圧Vgeが低いほどパワースイッチング素子Swに電流が流れる際の損失(導通損失)が大きくなる。したがって、本実施形態では、パワースイッチング素子Swに流れることが許容される最大電流としての上記閾値電流Ithよりも飽和電流が大きくなるように印加電圧を設定し、その代償としてドライブユニットDUに過電流保護機能を搭載している。なお、上記許容される最大電流とは、必ずしもパワースイッチング素子Swの定格電流のことではなく、例えば制御システムに対して要求される上限電流であってもよい。
【0048】
ところで、上記放電処理時には、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの双方がオン状態とされるため、これらパワースイッチング素子Swに流れる電流が非常に大きくなりうる。このため、ゲートに印加される電圧を通常時と同一としたのでは、ドライブユニットDUの過電流保護機能によってパワースイッチング素子Swが強制的に停止されるおそれがある。そしてこの場合、パワースイッチング素子Swを流れる電流が減少した段階で再度パワースイッチング素子Swをオン操作することで放電処理を行うことはできるものの、パワースイッチング素子Swがオン状態となりコンデンサ16の両端を短絡させる各1回の期間を自由に制御することができない。さらに、上記導通損失の低減効果を向上させるべくゲートに印加される電圧を十分に大きくしている場合には、放電処理開始に伴う突入電流が過度に大きくなり、過電流保護機能によってパワースイッチング素子Swがオフ状態とされるまでにパワースイッチング素子Swに過度に大きい電流が流れ、その信頼性が低下するおそれがある。このため、本実施形態では、特に、放電処理時にゲートに印加される電圧を、その飽和電流が上記閾値電流Ithとなる電圧Vg0よりも低くしている。
【0049】
図5に、本実施形態にかかる放電処理時においてゲートに印加される電圧の実施例を示す。ここで、図5(a)は、高電位側のパワースイッチング素子Swpと低電位側のパワースイッチング素子Swnとの双方のゲートに印加される電圧を電圧Vg0よりも低く設定する例を示している。また、図5(b)は、低電位側のパワースイッチング素子Swnのゲートに印加される電圧のみを電圧Vg0よりも低く設定する例を示している。さらに、図5(c)は、高電位側のパワースイッチング素子Swpのゲートに印加される電圧のみを電圧Vg0よりも低く設定する例を示している。
【0050】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0051】
(1)高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnを同時にオン状態とすることでコンデンサ16の両電極を短絡させる処理を行った。これにより、コンデンサ16の充電電圧を適切にゼロへと放電することができる。
【0052】
(2)高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの少なくとも一方の導通制御端子に印加する電圧を、飽和電流が閾値電流Ithよりも小さくなる値とした。これにより、放電処理によって、過電流保護回路が動作することを回避することができる。
【0053】
(3)コンデンサ16の電圧に基づき放電処理を終了した。これにより、放電処理の終了時を適切に判断することができる。
【0054】
(4)メインリレー14が開状態であることを条件に放電処理を行った。これにより、高電圧バッテリ12の電荷が高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnを介して放電される事態を回避することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0056】
図6に、本実施形態にかかる放電処理態様を示す。なお、図6(a)〜図6(d)は、先の図3(a)〜図3(d)に対応している。
【0057】
図示されるように、本実施形態では、上記放電処理期間において、U相の高電位側のパワースイッチング素子Swpをオンした状態で低電位側のパワースイッチング素子Swnを複数回オン・オフする処理を行う。これにより、1の放電処理期間において、高電位側のパワースイッチング素子Swpと低電位側のパワースイッチング素子Swnとの双方がオン状態となる期間が複数回形成されることとなる。このため、双方がオン状態となる期間同士の間の期間においては、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの双方ともに電流が流れず、この期間におけるこれらの発熱を回避することができる。このため、放電処理によるパワースイッチング素子Swの温度上昇を好適に抑制することができる。
【0058】
なお、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの双方がオン状態となる各1回の期間は、予め定められた一定時間とされる。この時間は、放電処理によるパワースイッチング素子Swの過度の温度上昇を回避する観点から予め適合される。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0060】
(5)高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことでコンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行った。これにより、パワースイッチング素子Swの温度上昇を好適に抑制することができる。 つまり、短絡させる処理を行う場合、スイッチング素子の温度が上昇するおそれがある。この点、短絡状態が実現される期間を分割することで、スイッチング素子の温度上昇を好適に抑制することができる。
【0061】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0062】
図7に、本実施形態にかかる放電処理態様を示す。なお、図7(a)〜図7(d)は、先の図3(a)〜図3(d)に対応している。
【0063】
本実施形態では、放電処理期間における低電位側のパワースイッチング素子Swnの1のオン時間を、コンデンサ16の電圧が低下するほど長くする。これは、パワースイッチング素子Swにおける発熱量が、コンデンサ16の放電エネルギ量相当となって且つ、この放電エネルギ量が、コンデンサ16の電圧と電流との積に比例することに鑑みたものである。このため、コンデンサ16の電圧が低下することで放電エネルギ量が減少する。したがって、コンデンサ16の電圧が低いほど、パワースイッチング素子Swの発熱量が小さくなることから、長時間オン状態としてもパワースイッチング素子Swの温度が過度に上昇することを回避することができると考えられる。
【0064】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果や、先の第2の実施形態の上記(5)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0065】
(6)コンデンサ16の両電極間の電圧に基づき、コンデンサ16の両電極が短絡状態とされる各1回の期間を可変設定した。これにより、パワースイッチング素子Swの発熱量がコンデンサ16の電圧に依存することに鑑み、発熱量が過度に大きくならないように放電処理を行うことができる。
【0066】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0067】
図8に、本実施形態にかかる放電処理態様を示す。なお、図8(a)〜図8(d)は、先の図3(a)〜図3(d)に対応している。
【0068】
本実施形態では、上記放電処理期間において、U相の高電位側のパワースイッチング素子Swpと低電位側のパワースイッチング素子Swnとの双方を複数回オン・オフする処理によって、コンデンサ16の両電極の短絡状態を複数回形成する。これにより、高電位側のパワースイッチング素子Swpと低電位側のパワースイッチング素子Swnとの発熱量の均一化を図ることができる。
【0069】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0070】
図9に、本実施形態にかかる放電処理態様を示す。なお、図9(a)〜図9(c)および図9(h)は、先の図3(a)〜図3(c)および図3(d)に対応している。また図9(d)は、V相の高電位側のパワースイッチング素子Swpの状態の推移を示し、図9(e)は、V相の低電位側のパワースイッチング素子Swnの状態の推移を示し、図9(f)は、W相の高電位側のパワースイッチング素子Swpの状態の推移を示し、図9(g)は、W相の低電位側のパワースイッチング素子Swnの状態の推移を示す。
【0071】
図示されるように、本実施形態では、直列接続された高電位側のパワースイッチング素子Swpと低電位側のパワースイッチング素子Swnとの双方をオン状態とする相を、放電処理期間の途中で切り替える。詳しくは、図9では、U相、V相、およびW相の全部が放電処理に用いられるように、上記相を所定時間毎に変更する。
【0072】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0073】
(7)放電処理期間において、コンデンサ16の両電極を短絡させる処理を実行する相を変更した。これにより、特定の相のパワースイッチング素子Swの温度が過度に上昇する事態を回避することができる。
【0074】
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0075】
図10に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図10において、先の図1に示した部材に対応する部材については、便宜上同一の符号を付している。
【0076】
本実施形態では、感温ダイオードSDによるU相の低電位側のパワースイッチング素子Swnの温度THの検出結果が、制御装置24に出力可能とされている。なお、これ以外のパワースイッチング素子Swについても感温ダイオードが設けられて且つドライブユニットDU内で温度を把握するようにしてもよい。この実施形態の特徴は、温度検出結果のうち制御装置24に出力可能なものがU相に限られることにある。
【0077】
図11に、本実施形態にかかる放電処理態様を示す。なお、図11(a)〜図11(d)は、先の図3(a)〜図3(d)に対応している。また、図11(e)は、U相の低電位側のパワースイッチング素子Swnの温度THである。
【0078】
図示されるように、本実施形態では、放電処理期間において、検出される温度THが上昇するほど、低電位側のパワースイッチング素子Swnの1のオン時間を短縮する。これにより、単位時間当たりの発熱量を低下させることができ、ひいてはパワースイッチング素子Swの温度が過度に上昇する事態を好適に回避することができる。
【0079】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0080】
(8)パワースイッチング素子Swの温度の検出値に基づき、コンデンサ16の両電極を短絡状態とする各1回の期間を可変設定した。これにより、パワースイッチング素子Swの温度が過度に上昇する事態を好適に回避することができる。
【0081】
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0082】
図12に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図12において、先の図1に示した部材に対応する部材については、便宜上同一の符号を付している。
【0083】
本実施形態では、全相についてパワースイッチング素子(低電位側のパワースイッチング素子Swn)の温度THu、THv、THwを制御装置24に出力可能な構成とする。そして、本実施形態では、これら温度THu、THv、THwに基づき、コンデンサ16の両電極を短絡させるのに用いる相を選択する。
【0084】
図13に、上記選択に関する処理の手順を示す。この処理は、制御装置24によって、メインリレー14がオフされることをトリガとして実行される。
【0085】
この一連の処理では、まずステップS10において各相のパワースイッチング素子Swの温度THu、THv、THwを取得する。そして、これらのうち最低温度がU相の温度THuである場合(ステップS12:YES)、U相を用いてコンデンサ16の両電極を短絡させる処理を行う(ステップS16)。一方、これらのうち最低温度がV相の温度THvである場合(ステップS14:YES)、V相を用いてコンデンサ16の両電極を短絡させる処理を行う(ステップS18)。また、これらのうち最低温度がW相の温度THwである場合(ステップS14:NO)、W相を用いてコンデンサ16の両電極を短絡させる処理を行う(ステップS20)。
【0086】
なお、この一連の処理は、放電処理期間において繰り返し実行されるようにしてもよい。この場合、パワースイッチング素子Swの温度変化に応じて利用される相が変更されることとなる。
【0087】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0088】
(9)パワースイッチング素子Swの温度が最も低い相を利用してコンデンサ16を放電させた。これにより、放電処理によるパワースイッチング素子Swの過度の温度上昇が最も生じにくい相を利用することができる。
【0089】
(第8の実施形態)
以下、第8の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0090】
図14に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図14において、先の図1に示した部材に対応する部材については、便宜上同一の符号を付している。
【0091】
図示されるように、本実施形態では、インバータIVは、コンバータCVおよびメインリレー40を介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、コンバータCVは、コンデンサ16と、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの直列接続体と、パワースイッチング素子Swpおよびパワースイッチング素子Swnの接続点と高電圧バッテリ12とを接続するリアクトルLとを備えている。なお、コンバータCVの入力端子には、コンデンサ42が接続されている。
【0092】
図15に、本実施形態にかかる放電処理態様を示す。なお、図15(a)〜図15(d)は、先の図3(a)〜図3(d)に対応している。
【0093】
図示されるように、本実施形態では、メインリレー40がオフ状態とされることを条件として、コンバータCVの高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnがオン状態とされ、これによりコンデンサ16の両電極間が短絡される。これにより、コンデンサ16を放電させることができる。なお、この際、低電位側のパワースイッチング素子Swnをオン状態とすることで、コンデンサ42の電荷も放電される。
【0094】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0095】
(10)メインリレー40が開状態であることを条件に、コンデンサ16の放電処理を行った。これにより、高電圧バッテリ12の電荷が、コンバータCV、高電位側のスイッチング素子Swpおよび低電位側のスイッチング素子Swnを介して放電される事態を回避することができる。
【0096】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0097】
<オン状態およびオフ状態の繰り返し処理について>
オン状態およびオフ状態の繰り返し処理としては、下側アームで行うものや、上下アーム双方で行うものに限らず、例えば上側アームで行うものであってもよい。この際、オン状態とする期間を、上記第3,6の実施形態に例示されるように可変設定してもよい。
【0098】
さらに、各1回のオン時間の可変設定手法としては、上記第3、6の実施形態で例示したものに限らない。例えば、放電処理の開始からの経過時間に応じて可変設定してもよい。この場合、放電処理の開始からの経過時間が長いほどコンデンサ16の電圧が低下すると考えられることから、経過時間が長くなるほどオン時間を長くする設定とすればよい。もっとも、経過時間が長くなるほどパワースイッチング素子の温度が高くなると考えられるため、高温時における発熱を抑制する観点からは、経過時間が長くなるほどオン時間を短くする設定としてもよい。
【0099】
<短絡処理を行うパワースイッチング素子について>
同時期に短絡処理を行うパワースイッチング素子としては、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの直列接続体からなる1組のパワースイッチング素子に限らない。例えば、全相のパワースイッチング素子によって同時に短絡処理を行ってもよく、また、コンバータCVのパワースイッチング素子を更に加えてもよい。また例えば、1の高電圧バッテリ12に複数のインバータが接続される構成において、これら複数のインバータの少なくとも1相ずつを同時に短絡処理を実行するために用いてもよい。さらに例えば、1のインバータの1の相が、高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnの直列接続体を複数備えて構成される場合において、これら複数の直列接続体を同時に短絡処理に用いたり、一部の直列接続体のみを短絡処理に用いたりしてもよい。
【0100】
なお、複数の直列接続体を同時期に短絡処理に用いる場合や、先の第5の実施形態に例示されるように複数の直列接続体を順次短絡処理に用いる場合であっても、これら短絡処理を、パワースイッチング素子のオン状態およびオフ状態の繰り返しによって短絡状態を複数回生成する処理としてもよい。図16に、上記第2の実施形態において、全相の直列接続体(全レッグ)を同時に短絡処理に用いる場合を例示する。
【0101】
また、コンバータCVを備える場合であっても、コンバータCVを短絡処理に用いることなく、インバータIVの高電位側のパワースイッチング素子Swpおよび低電位側のパワースイッチング素子Swnを用いて短絡処理を行ってもよい。
【0102】
<短絡処理を行うパワースイッチング素子の切替について>
放電処理期間において、同時期に短絡処理を行うパワースイッチング素子Swを変更する手法としては、先の第5の実施形態や第7の実施形態において例示した手法に限らない。例えば短絡処理を実行しているパワースイッチング素子Swの温度の検出値が所定温度以上となる場合に変更するようにしてもよい。また例えば、コンデンサ16の電圧の低下量に応じて変更するようにしてもよい。
【0103】
<温度検出機能について>
制御装置24によって取得可能なパワースイッチング素子Swの温度としては、低電位側のパワースイッチング素子Swnの温度に限らない。また、制御装置24によって取得可能なパワースイッチング素子Swの温度を全相のパワースイッチング素子の温度とするものや1の相のパワースイッチング素子の温度とするものに限らない。さらに、1の高電圧バッテリ12に接続される複数のインバータを備える場合、制御装置24によって取得可能なパワースイッチング素子Swの温度を、各インバータ毎に少なくとも1相の温度としてもよく、さらに、これら複数のインバータのいずれか一方のパワースイッチング素子Swの温度としてもよい。
【0104】
<放電制御における充電電圧の目標値について>
充電電圧を規定電圧以下に制御するものとしては、ゼロに制御するものに限らない。ただし、放電制御における充電電圧の目標値は、メンテナンス作業時等において感電が懸念されなくなる電圧の最高値以下とされることが望ましい。
【0105】
<その他>
・パワースイッチング素子Swとしては、IGBTに限らず、例えばパワーMOS型電界効果トランジスタであってもよい。
【0106】
・パワースイッチング素子にて構成される電力変換回路としては、インバータIVやコンバータCVに限らない。例えば、高電圧バッテリ12の電圧を降圧して低電圧バッテリ22に供給する降圧コンバータであってもよい。
【0107】
・車両としては、ハイブリッド車に限らず、例えば電気自動車であってもよい。また、車両に搭載される駆動装置にも限らない。
【符号の説明】
【0108】
10…モータジェネレータ、12…高電圧バッテリ、16…コンデンサ、24…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位側のスイッチング素子及び低電位側のスイッチング素子の直列接続体と、前記直列接続体に並列接続された蓄電手段とを有し、負荷を駆動する電力変換回路について、前記蓄電手段の充電電圧を規定電圧以下に制御する放電制御手段を備える電力変換回路の制御装置において、
前記放電制御手段は、前記受電電圧を規定電圧以下に制御する期間において、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の少なくとも一方についてオン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことにより前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで前記蓄電手段の両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うものであって、且つ前記短絡させる処理を行うに際し、前記スイッチング素子の損失が前記負荷を制御する際の損失よりも大きくなるように制御することを特徴とする電力変換回路の制御装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、電圧制御型のスイッチング素子であって、
前記放電制御手段は、前記短絡させる処理を行う際に、前記負荷を制御する際に前記導通制御端子に印加する電圧よりも小さい電圧を前記導通制御端子に印加することを特徴とする請求項1に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項3】
前記放電制御手段は、前記充電電圧を規定電圧以下に制御する期間において、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子のいずれか一方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項4】
前記放電制御手段は、前記短絡状態とされる各1回の期間を予め設定された一定時間とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項5】
前記放電制御手段は、前記蓄電手段の両電極間の電圧に基づき、前記短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項6】
前記放電制御手段は、前記スイッチング素子の温度の検出値に基づき、前記短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することを特徴とする請求項1〜3及び5のうちいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項7】
前記放電制御手段は、前記蓄電手段の充電電圧を規定電圧以下に制御する期間の開始からの経過時間に基づき、前記短絡状態とされる各1回の期間を可変設定することを特徴とする請求項1〜3、5及び6のうちいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項8】
前記放電制御手段は、前記充電電圧を規定電圧以下に制御する期間において、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の双方について、オン状態およびオフ状態を複数回繰り返すことで前記両電極の短絡状態を複数回生成する処理を行うことを特徴とする請求項1,2,4〜7のうちいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項9】
前記電力変換回路は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、 前記放電制御手段は、前記短絡させる処理を行う期間において、該短絡させる処理を同時に実行する前記直列接続体を前記複数の直列接続体の全てとすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項10】
前記電力変換回路は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、 前記放電制御手段は、前記短絡させる処理を行う期間において、該短絡させる処理を実行する前記直列接続体を変更することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項11】
前記放電制御手段は、前記直列接続体を変更する処理を、前記スイッチング素子の温度の検出値に基づき実行することを特徴とする請求項10記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項12】
前記電力変換回路は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、 当該制御装置は、前記電力変換回路とは電気的に絶縁されたものであって且つ、前記電力変換回路の一部の直列接続体に限ってスイッチング素子の温度の検出値を取得する機能を有しており、 前記放電制御手段は、前記一部の直列接続体に限って前記短絡させる処理を実行することを特徴とする請求項1〜7、9のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
【請求項13】
前記電力変換回路は、前記高電位側のスイッチング素子および前記低電位側のスイッチング素子の直列接続体を複数備え、 前記放電制御手段は、前記短絡させる処理を実行する直列接続体を、そのスイッチング素子の温度が最も低い直列接続体とすることを特徴とする請求項1〜8、10〜12のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−259700(P2011−259700A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210915(P2011−210915)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【分割の表示】特願2009−233534(P2009−233534)の分割
【原出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】