説明

電動産業車両

【課題】簡便な演算方法により、回生時及び力行時の双方において駆動部を高効率に駆動可能な電源システム装置を備えた電動産業車両を提供する。
【解決手段】電動産業車両の電源システム装置3を、鉛バッテリ2と、大容量キャパシタ13と、大容量キャパシタ13の電圧制御を行うDCDCコンバータ12と、鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13の充放電電力を制御するコントローラ11とから構成する。コントローラ11は、電動産業車両の駆動源である電動モータ4,6の力行動作時に、鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13の内部抵抗と、電動モータ4,6の負荷要求電力に基づいて、電源システム装置3の損失が最小となるように、鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13の電流配分を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ式フォークリフト等の電動産業車両に係り、特に、車両各部の駆動源に電源を供給する電源システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題や原油高騰の問題などに対処するため、各工業製品に対して省エネ志向が強まっている。これを受けて、これまでエンジンによる油圧駆動システム装置が中心であった建設や荷役などの各種産業分野で使用される産業車両についても、電動化による高効率化、省エネルギ化の事例が増加してきている。産業車両を電動化した場合、すなわち産業車両の動力源として電動モータを用いた場合、排気ガスの低減のほか、エンジンの高効率駆動(ハイブリッドの場合)、伝達効率の向上、回生電力の回収などの省エネルギ効果が期待できる。
【0003】
産業車両の中では、倉庫内や工場内で使用されることが多く、排ガスを出さないことが要求されるフォークリフトの電動化がいち早く進んでおり、バッテリの電力を用いて電動モータを駆動する「バッテリ式フォークリフト」が他の産業車両に先駆けて実用化されている。現在既に製品化されているバッテリ式フォークリフトは、電力源に二次電池として例えば鉛バッテリを使用し、この鉛バッテリの電力を用いて、直接走行用タイヤを電動モータで駆動し、走行を行う。また、荷物の昇降作業を行う荷役装置部分(リフト)においては、電動油圧システム装置が採用されており、専用の荷役モータで油圧ポンプを駆動し、発生した油圧でマスト部に設置された左右の油圧シリンダを作動させる構成となっている。
【0004】
図6に、従来知られている一般的なバッテリ式フォークリフトの電源システム装置の構成を示す。この図に示すように、本例の電源システム装置3はインバータ10、鉛バッテリ2、ならびにインバータ10に指令を与えるコントローラ11で構成される。バッテリ式フォークリフトのエネルギ源は鉛バッテリ2のみであり、この鉛バッテリ2の直流電力をインバータ10にて交流電力に変換して、負荷となる走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6を駆動する。電源システム装置3を構成するインバータ10は、2つのモータ4,6をそれぞれ独立して駆動するため、2つの電力変換器を有している。コントローラ11は、各モータ4,6から運転者の要求するパワー(特に図示していないが、アクセルやブレーキペダル、ならびに荷役用レバーにより決定される操作量)通りに動力が出力されるように、インバータ10を介して各モータ4,6を制御する。
【0005】
バッテリ式フォークリフトは、走行動作時に加減速を頻繁に繰り返しており、制動時には走行用電動モータ4により電気ブレーキがかけられるので、走行動作時において、かなりの量の回生電力を発生している。また、現状では、リフトを用いて持ち上げられた荷物を下降する際、油圧シリンダ内の圧油をリリーフして、リフトに蓄えられた位置エネルギを廃棄してしまっているが、このリフトの位置エネルギを利用して発電機を回す構成とすれば、回生電力としてエネルギを回収することも可能である。このように、バッテリ式フォークリフトでは、その動作内容からかなりの量の回生電力が発生できることがわかる。
【0006】
しかしながら、バッテリ式フォークリフトに使用されている鉛バッテリは、電動モータの回生電力等の短時間大電流での充電特性には優れていないので、電動モータの回生電力等を直接鉛バッテリに印加しても、ほとんどが損失になってしまい、回生電力等を有効利用することができない。そこで、最近では、鉛バッテリの低急速充電特性を補うために、大容量のキャパシタなどを併用して、電動モータやリフトからの回生電力の回収量を改善する技術が提案されている。
【0007】
鉛バッテリに大容量のキャパシタを併用する技術は、これまでいくつかの事例が報告されている。その中でも、バッテリに対しDCDCコンバータを介して大容量キャパシタを並列接続したシステム装置において、キャパシタの内部抵抗をゼロとみなせるような電流指令を演算し、その電流がキャパシタに流れるように制御するものが、効率よく回生電力を回収する技術として特に注目される(非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】平成20年電気学会全国大会 No.4−144、「バッテリに並列接続したEDLCの制御方法」、著者:明電舎 宮本ほか
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1に記載の技術は、回生を行う際のキャパシタに流れる電流指令の演算方法として、バッテリ電圧に対する微分演算を用いているので、高い演算性能を有するコントローラを備えることが要求される。また、非特許文献1には、電力放電時の制御方法が開示されておらず、放電時にも効率のよい駆動が可能になるとはいえないので、この点に改良の余地がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便な演算方法により、回生(充電)時及び力行(放電)時の双方において駆動部を高効率に駆動可能な電源システム装置を備えた電動産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するため、車両の駆動部を駆動する電動モータと、該電動モータにモータ駆動電力を供給する電源システム装置とを備えた電動産業車両であって、前記電源システム装置が、短時間大電流での充電特性に劣る第1蓄電手段と、短時間大電流での充電特性に優れた第2蓄電手段と、該第2蓄電手段の電圧制御を行うDCDCコンバータと、前記第1蓄電手段及び前記第2蓄電手段の充放電電力を制御するコントローラとを備えたものからなる電動産業車両において、前記コントローラは、前記電動モータの力行動作時に、前記第1蓄電手段及び前記第2蓄電手段の各内部抵抗と前記電動モータの負荷要求電力に基づいて、前記電源システム装置の損失が最小となるように、前記第1蓄電手段及び前記第2蓄電手段の電流配分を決定するという構成にした。
【0012】
かかる構成によると、電動モータの力行動作時に、第1及び第2の蓄電手段の内部抵抗と電動モータの負荷要求電力に基づいて、電源システム装置の損失が最小となるように、第1蓄電手段及び第2蓄電手段の電流配分を決定するので、電源システム装置の高効率な利用が可能になる。よって、回生時における回生電力の回収量を改善する技術と組合わせることにより、回生時だけでなく、力行時における駆動部の駆動を高効率化することができる。また、第1及び第2の蓄電手段の内部抵抗と電動モータの負荷要求電力に基づいて第1蓄電手段及び第2蓄電手段の電流配分を決定するので、微分演算を行うことなく第1蓄電手段及び第2蓄電手段の電流配分を決定することができ、コントローラの負担を軽減することができる。
【0013】
また本発明は、前記構成の電動産業車両において、前記コントローラは、前記電動モータの回生動作時に、前記第2蓄電手段にのみ前記電動モータからの回生電力が流れるように、前記DCDCコンバータを制御するという構成にした。
【0014】
第2蓄電手段は、短時間大電流での充電特性に優れているので、かかる構成とすることにより、回生電力を効率良く回収することができる。
【0015】
また本発明は、前記構成の電動産業車両において、前記コントローラは、前記電動モータの回生動作時に、前記第1蓄電手段に流す電流指令値をゼロとし、この電流指令値と前記第1蓄電手段に流れる電流値との偏差がゼロになるように、前記DCDCコンバータをフィードバック制御するという構成にした。
【0016】
かかる構成によると、第1蓄電手段に流す電流指令値に対して第1蓄電手段に流れる電流値を加減算するだけでDCDCコンバータをフィードバック制御できるので、コントローラの負担を軽減することができる。
【0017】
また本発明は、前記構成の電動産業車両において、前記第1蓄電手段が二次電池であり、前記第2蓄電手段が大容量キャパシタであるという構成にした。
【0018】
鉛バッテリなどの二次電池及び大容量キャパシタを用いた電動産業車両は、技術的に確立しているので、かかる構成とすることにより、信頼性に優れた電動産業車両を実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡便な演算方法により、回生動作時及び力行動作時の双方において高効率駆動が可能な電源システム装置を備えた電動産業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一般的なバッテリ式フォークリフトの構成図である。
【図2】実施形態に係るバッテリ式フォークリフト用電源システム装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るバッテリ式フォークリフト用電源システム装置に備えられるDCDCコンバータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るバッテリ式フォークリフト用電源システム装置に備えられる要求電力演算部の構成を示すブロック図ある。
【図5】実施形態に係るバッテリ式フォークリフト用電源システム装置に備えられる電流分配部の構成を示すブロック図である。
【図6】従来例に係るバッテリ式フォークリフト用電源システム装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電動産業車両の実施形態を、バッテリ式フォークリフトを例にとり説明する。
【0022】
図1に示すように、実施形態に係るバッテリ式フォークリフト1は、走行用電動モータ4により駆動される駆動輪(タイヤ)5と、荷役用電動モータ6により駆動されるポンプ7と、ポンプ7から吐出される圧油にて駆動される油圧シリンダ8と、油圧シリンダ8の伸縮に応じて上昇又は下降するリフト9とを備えている。また、このバッテリ式フォークリフト1には、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6のエネルギ源として鉛バッテリ2を備えており、鉛バッテリ2に蓄えられた電力は、電源システム装置3により、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6に対して、それらの各要求パワーに応じた配分で配給される。したがって、実施形態に係るバッテリ式フォークリフト1は、走行用電動モータ4で駆動輪5を回転駆動することによって走行することができ、荷役用電動モータ6でポンプ7を回転駆動し、ポンプ7から吐出される圧油の流れを図示しない方向切換弁などで切り換えて、油圧シリンダ8を伸長又は収縮することによって荷物の上げ下ろしをすることができる。
【0023】
電源システム装置3は、図2に示すように、インバータ10に対して並列に接続された鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13と、大容量キャパシタ13に印加される電圧値を調整するDCDCコンバータ12と、鉛バッテリ2に流れる電流を検出するカレントセンサ14と、カレントセンサ14に流れる電流に応じてDCDCコンバータ12を制御すると共に、インバータ10に指令を与えるコントローラ11とから構成されている。
【0024】
この電源システム装置は、回生電力が発生した場合に、鉛バッテリ2にはその回生電力を流さず、大容量キャパシタ13にのみ電力を回収する。その際、コントローラ11は、図3に示すように、鉛バッテリ2に流れる電流Ibをカレントセンサ14により検出し、DCDCコンバータ12の制御系にフィードバックさせて、回生電力の回生制御を行う。即ち、コントローラ11が現在「回生動作」であると判断した場合には、鉛バッテリ2に流す電流指令Ibをゼロとして、カレントセンサ14の検出値Ibを電流指令Ibにフィードバックする。そして、この電流指令Ibと検出値Ibとの偏差ΔIbがゼロとなるように制御器20で比例積分などの制御演算を行い、大容量キャパシタ13の目標電圧VCを算出する。さらに、大容量キャパシタ13の目標電圧VCをDCDCコンバータ電圧制御系21に入力して、DCDCコンバータ12による大容量キャパシタ13の電圧制御を行う。
【0025】
以上が、回生モードにおける、大容量キャパシタ13を併用した電源システム装置3の制御動作例である。このように、鉛バッテリ2に流れる電流がゼロとなるようにDCDCコンバータ12を用いて大容量キャパシタ13の電圧を制御することにより、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6の回生モードにおいて、回生電力をすべて大容量キャパシタ13側に回収することが可能となる。これにより、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6のエネルギ源として、回生電力の受け入れ特性が低い鉛バッテリ2を用いる場合にも、高効率に回生電力の回収が可能となる。
【0026】
一方、走行用電動モータ4からトルクを発生させて、バッテリ式フォークリフト1を走行したり、荷役用電動モータ6からトルクを発生させてリフト9を昇降する力行動作時には、走行用電動モータ4、荷役用電動モータ6及びインバータ10が、そのときの動作(作業)に必要な電力をコントローラ11に要求する。コントローラ11は、この要求電力に応じて鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13より電力を取りだす。その際、力行動作においても、前述の回生動作と同様に、高効率で電源システム装置3を制御することが必要である。前述の回生動作では、鉛バッテリ2の回生電力受け入れ特性が低いために、発生する回生電力のすべてを大容量キャパシタ13で回収するように制御した。これに対して、力行動作では、鉛バッテリ2は大容量キャパシタ13と同等の放電特性を有するため、鉛バッテリ2と大容量キャパシタ13を併用して、走行用電動モータ4、荷役用電動モータ6及びインバータ10からの要求パワーを賄うようにする。このとき、鉛バッテリ2と大容量キャパシタ13の電力分配は、当然ながら放電時の損失が最小となるように分配することが好ましい。そこで、コントローラ11は、鉛バッテリ2と大容量キャパシタ13の各々の内部抵抗を推定し、走行用電動モータ4、荷役用電動モータ6及びインバータ10の要求パワーを満足するように、鉛バッテリ2と大容量キャパシタ13の負担電力を決定する。
【0027】
図4に、力行動作時における鉛バッテリ2と大容量キャパシタ13の電力分配を演算する電流分配部30の構成を示す。この図から明らかなように、本例の電流分配部30は、要求電力演算部25と、内部抵抗演算部26と、電力分配部27とからなる。なお、この電流分配部30は、コントローラ11内に設けられる。
【0028】
要求電力演算部25は、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6の回転数及び温度、図示しないアクセルペダルやリフト昇降レバー等から出力されるトルク指令値、並びにインバータ10の温度を入力し、その時々で必要な電力を演算する。この要求電力演算部25のより具体的な構成を図5に示す。この図から明らかなように、本例の要求電力演算部25は、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6のそれぞれについて、モータ回転数とトルク指令値の乗算に基づいて出力を演算すると共に、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6のそれぞれについて、そのモータ温度とインバータ10の温度とから損失演算部31,32にて各モータ動作点での損失を演算し、各モータ4,6の出力と損失を合計して、全要求電力を求める。
【0029】
内部抵抗演算部26は、図4に示すように、鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13の温度を入力して、各蓄電装置についての内部抵抗値を算出する。内部抵抗値演算部26には、各蓄電装置2,13に関し、温度に対する内部抵抗特性が記憶されており、この記憶された特性に基づいて内部抵抗値が算出される。
【0030】
図4の電力配分部27では、要求電力演算部25にて求められた全要求電力と、内部抵抗演算部26にて求められた内部抵抗値を用いて、鉛バッテリ2と大容量キャパシタ13の電力分配を決定する。このときの電力配分方法としては、電源システム装置3の損失が最小になるようにすることが好ましい。一般に、抵抗体に電流を流した際に発生する損失Wlossは、電流をI、抵抗をRとすると、数1で表される。
【0031】
loss=I×R ・・・(数1)
数1から明らかなように、損失Wlossは、電流Iの2乗及び抵抗値Rのそれぞれに比例する。よって損失Wlossを最小にするためには、できるだけ抵抗Rが小さい蓄電装置の電力分担分を増やすようにする。
【0032】
但し、大容量キャパシタ13の容量は、鉛バッテリの1/100程度のオーダであり、使用できる電力は限りがある。よって、損失を最小にできる電力配分が可能な条件は、それを賄える程度の電力を大容量キャパシタ13が蓄えているときであり、大容量キャパシタ13に蓄えられている電力が減少してきた場合には、残された電力の範囲で可能な限り損失を最小にする電力配分とする。電力配分決定後は、前述の回生動作時と同様に、図3の制御ブロックに基づいてDCDCコンバータ12の制御を行う。即ち、鉛バッテリ2に流れる電流Ibをカレントセンサ14により検出し、DCDCコンバータ12の制御系にフィードバックさせる。このとき、鉛バッテリの電流指令Ib*は、電力配分部27にて算出された鉛バッテリ2の電力配分量に基づいて決定される。例えば、鉛バッテリ2の電力配分量を鉛バッテリ2の電圧値で除した値を電流指令Ib*に用いればよい。以上のように、配分された2つの電力のうち、鉛バッテリ2に流れる電流のみを制御することにより、要求電力と鉛バッテリ2の電力の差分を、自動的に大容量キャパシタ13から負担することができるようになる。
【0033】
このように、本例の電動産業車両は、走行用電動モータ4及び荷役用電動モータ6の力行動作時に、鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13の内部抵抗と各電動モータ2,4の負荷要求電力に基づいて、電源システム装置3の損失が最小となるように、鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13の電流配分を決定するので、電源システム装置3の高効率な利用が可能になる。よって、回生時における回生電力の回収量を改善する技術と組合わせることにより、回生時だけでなく、力行時における駆動部の駆動を高効率化することができる。また、微分演算を行うことなく鉛バッテリ2及び大容量キャパシタ13の電流配分を決定できるので、コントローラの負担を軽減することができる。
【0034】
なお、DCDCコンバータ12としては、昇圧型の変換器を用いることもできるし、昇降圧型の変換器を用いることもできる。昇圧型の変換器を用いた場合には、大容量キャパシタ13の電圧が鉛バッテリ2の電圧以下になったときに、DCDCコンバータ12の上側アーム素子をONに切り換えて、各電動モータ4,6への電力供給を鉛バッテリ2に切り換える。また、DCDCコンバータ12として、昇降圧型の変換器を用いた場合には、各電動モータ4,6の力行動作時において、鉛バッテリ2が所定の電圧範囲内で動作するように、DCDCコンバータ12を制御する。
【0035】
また、本実施例では鉛バッテリ2と大容量キャパシタ13を併用した電源システム装置3を例にとって説明したが、電源システム装置3に備えられる2つの蓄電装置の組合せは、これに限定されるものではなく、例えば二次電池としてリチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリなどの短時間大電流での充電特性に劣る第1蓄電手段と、短時間大電流での充電特性に優れた第2蓄電手段との組合せであれば足りる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、バッテリ式フォークリフト等の電動産業車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 バッテリ式フォークリフト
2 鉛バッテリ
3 電源システム装置
4 走行用電動モータ
6 荷役用電動モータ
9 リフト
10 インバータ
11 コントローラ
12 DCDCコンバータ
13 大容量キャパシタ
25 要求電力演算部
26 内部抵抗演算部
27 電力分配部
30 電流分配部
31,32 損失演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動部を駆動する電動モータと、該電動モータにモータ駆動電力を供給する電源システム装置とを備えた電動産業車両であって、前記電源システム装置が、短時間大電流での充電特性に劣る第1蓄電手段と、短時間大電流での充電特性に優れた第2蓄電手段と、該第2蓄電手段の電圧制御を行うDCDCコンバータと、前記第1蓄電手段及び前記第2蓄電手段の充放電電力を制御するコントローラとを備えたものからなる電動産業車両において、
前記コントローラは、前記電動モータの力行動作時に、前記第1蓄電手段及び前記第2蓄電手段の各内部抵抗と前記電動モータの負荷要求電力に基づいて、前記電源システム装置の損失が最小となるように、前記第1蓄電手段及び前記第2蓄電手段の電流配分を決定することを特徴とする電動産業車両。
【請求項2】
前記コントローラは、前記電動モータの回生動作時に、前記第2蓄電手段にのみ前記電動モータからの回生電力が流れるように、前記DCDCコンバータを制御することを特徴とする請求項1に記載の電動産業車両。
【請求項3】
前記コントローラは、前記電動モータの回生動作時に、前記第1蓄電手段に流す電流指令値をゼロとし、この電流指令値と前記第1蓄電手段に流れる電流値との偏差がゼロになるように、前記DCDCコンバータをフィードバック制御することを特徴とする請求項2に記載の電動産業車両。
【請求項4】
前記第1蓄電手段が二次電池であり、前記第2蓄電手段が大容量キャパシタであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電動産業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−50153(P2011−50153A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195527(P2009−195527)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】