電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路
【課題】従来の共振ゲート駆動回路においては、デューティー比50%での動作(パワーMOSFETのオン期間とオフ期間とが同じ期間となる動作)しか行うことができなかった。
【解決手段】パワーMOSFET素子Q3と、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q1・Q2を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第1の駆動部11と、前記第1の駆動部11における一方のスイッチング素子Q1と他方のスイッチング素子Q2との接続部P1と、前記パワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に設けられる共振インダクタL1と、前記共振インダクタL1とゲートGとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q4・Q5を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第2の駆動部12とを備える、パワーMOSFET素子Q3の共振ゲート駆動回路。
【解決手段】パワーMOSFET素子Q3と、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q1・Q2を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第1の駆動部11と、前記第1の駆動部11における一方のスイッチング素子Q1と他方のスイッチング素子Q2との接続部P1と、前記パワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に設けられる共振インダクタL1と、前記共振インダクタL1とゲートGとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q4・Q5を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第2の駆動部12とを備える、パワーMOSFET素子Q3の共振ゲート駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーMOSFET等の電圧制御型スイッチング素子を駆動するための共振ゲート駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力コンバータ用に用いられるパワーMOSFET等の電圧制御型スイッチング素子を駆動するための駆動回路が知られている。
このような電圧制御型スイッチング素子の駆動回路としては、該電圧制御型スイッチング素子のゲートに寄生する容量と、該ゲートに接続されるインダクタとで共振回路を構成し、この共振回路における共振現象を利用して消費電力の低減を図ったものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に示す駆動回路は、2個のパワーMOSFETを駆動する回路に構成されており、該パワーMOSFETの寄生キャパシタンス等で構成される共振キャパシタンスと、回路中の共振インダクタとで共振回路を構成している。
この特許文献1に示す駆動回路では、前記共振回路での共振現象を利用して、一方のパワーMOSFETのゲートに蓄えられた電荷を、他方のパワーMOSFETのゲートに移動させることで、該パワーMOSFETを交互にオンさせるように構成し、該パワーMOSFETのゲート駆動電力を削減するようにしている。
【特許文献1】特表2003−503994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のごとく、特許文献1に示した駆動回路では、確かにパワーMOSFETのゲート駆動電力を削減することができるが、各パワーMOSFETのゲート電圧は共振により正弦波状に変化することとなり、その形状を変えることができない。
従って、特許文献1の駆動回路においては、デューティー比50%での動作(パワーMOSFETのオン期間とオフ期間とが同じ期間となる動作)しか行うことができない。
そこで、本発明においては、電圧制御型スイッチング素子のゲート駆動電力を大幅に削減しつつ、任意のデューティー比にて動作することが可能な電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路は、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、電圧制御型スイッチング素子と、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第1の駆動部と、前記第1の駆動部における一方のスイッチング素子と他方のスイッチング素子との接続部と、前記電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられるインダクタと、 前記インダクタと電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第2の駆動部とを備える。
これにより、電圧制御型スイッチング素子のゲート駆動電力を大幅に削減しながら、該電圧制御型スイッチング素子を任意のデューティー比にて安定して動作することが可能となる。
【0006】
また、請求項2記載の如く、前記第2の駆動部における一対のスイッチング素子は、それぞれ対応する前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子のオンタイミングから所定の遅延時間だけ遅れてオンする。
これにより、電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路の電力消費をさらに抑えることができる。
【0007】
また、請求項3記載の如く、前記遅延時間は、前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子がオンしてから、前記インダクタと前記電圧制御型スイッチング素子のゲートの寄生容量との間での共振が完了するまでの時間に設定される。
これにより、電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路の動作を安定化しつつ、電力消費をさらに抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電圧制御型スイッチング素子のゲート駆動電力を大幅に削減しながら、該電圧制御型スイッチング素子を任意のデューティー比にて安定して動作することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0010】
図1に示す共振ゲート駆動回路1は、ゲートに加える電圧の大きさにより電流の制御が可能な電圧制御型スイッチング素子であるパワーMOSFET素子Q3を駆動するための回路であり、該パワーMOSFET素子Q3と、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q1・Q2を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第1の駆動部11と、前記第1の駆動部11における一方のスイッチング素子Q1と他方のスイッチング素子Q2との接続部P1と、前記パワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に設けられるインダクタL1と、前記インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q4・Q5を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第2の駆動部12とを備えている。
【0011】
前記第1の駆動部11における一方のスイッチング素子Q1は、P−ch MOSトランジスタに構成され、他方のスイッチング素子Q2は、N−ch MOSトランジスタに構成されており、該一方のスイッチング素子Q1のソースと他方のスイッチング素子Q2のドレインとが前記接続部P1にて接続されている。
また、一方のスイッチング素子Q1のドレインには第1の電源電圧Vddが接続され、他方のスイッチング素子Q2のソースは接地されている。
前記一方のスイッチング素子Q1のゲートには駆動信号VinPが入力され、他方のスイッチング素子Q2には駆動信号VinNが入力される。
【0012】
さらに、第1の駆動部11においては、前記一方のスイッチング素子Q1と前記接続部P1との間に、一方のスイッチング素子Q1から接続部P1へ向う方向を順方向とするダイオードD1が接続されるとともに、前記接続部P1と前記他方のスイッチング素子Q2との間に、接続部P1から他方のスイッチング素子Q2へ向う方向を順方向とするダイオードD2が接続されている。
【0013】
このように構成される第1の駆動部11においては、一方のスイッチング素子Q1およびダイオードD1により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGに対して電流を流し出す方向にのみ駆動可能な回路が構成され、他方のスイッチング素子Q2およびダイオードD2により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGから電流を引き込む方向にのみ駆動可能な回路が構成されている。
【0014】
また、前記第2の駆動部12における一方のスイッチング素子Q4は、P−ch MOSトランジスタに構成され、他方のスイッチング素子Q5は、N−ch MOSトランジスタに構成されており、該一方のスイッチング素子Q4のソースと他方のスイッチング素子Q5のドレインとが、前記パワーMOSFET素子Q3のゲートGと接続される接続部P2にて接続されている。
また、一方のスイッチング素子Q4のドレインには第2の電源電圧Vdd2が接続され、他方のスイッチング素子Q2のソースには負の電源電圧−Vddが接続されている。
前記一方のスイッチング素子Q4のゲートには駆動信号VinP2が入力され、他方のスイッチング素子Q5には駆動信号VinN2が入力される。
【0015】
さらに、第2の駆動部12においては、前記一方のスイッチング素子Q4と前記接続部P2との間に、一方のスイッチング素子Q4から接続部P2へ向う方向を順方向とするダイオードD3が接続されるとともに、前記接続部P2と前記他方のスイッチング素子Q5との間に、接続部P2から他方のスイッチング素子Q5へ向う方向を順方向とするダイオードD4が接続されている。
また、一方のスイッチング素子Q4とダイオードD3との間には抵抗R1が接続され、ダイオードD4と他方のスイッチング素子Q5との間には抵抗R2が接続されている。
【0016】
このように構成される第2の駆動部12においては、一方のスイッチング素子Q4およびダイオードD3により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGに対して電流を流し出す方向にのみ駆動可能な回路が構成され、他方のスイッチング素子Q5およびダイオードD4により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGから電流を引き込む方向にのみ駆動可能な回路が構成されている。
【0017】
また、前記共振ゲート駆動回路1においては、前記接続部P1と接続部P2との間に共振インダクタL1が接続されている。
【0018】
前述のごとく構成される共振ゲート駆動回路1における一方のスイッチング素子Q1および他方のスイッチング素子Q2に、共通の矩形波となる駆動信号VinPおよび駆動信号VinNをそれぞれ入力した場合に生じる共振現象について説明する。
図2に示すように、パワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量に+の電荷が蓄積されている状態のときに、駆動信号VinP・VinNがLoからHiへ立ち上がると(図2における時刻t1)、一方のスイッチング素子Q1がオフするとともに他方のスイッチング素子Q2がオンする。
【0019】
他方のスイッチング素子Q2がオンすると、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量との間で共振を開始し、ゲート電圧VGが低下するとともに、共振インダクタL1の電流が負の方向に増加する。
ゲート電圧VGが低下して0Vになっても共振インダクタL1には電流が流れ続け、ゲート電圧VGは負の値にまで低下する。
その後、共振インダクタL1に蓄積されたエネルギーが全て放出されて、該共振インダクタL1の電流が0になると、ダイオードD2の働きにより電流の逆流が阻止され、共振現象が終了する。
【0020】
逆に、図3に示すように、ゲート電圧VGを−側から+側へ切り換える際に、駆動信号VinP・VinNがHiからLoへ立ち下がると(図3における時刻t2)、一方のスイッチング素子Q1がオンするとともに他方のスイッチング素子Q2がオフする。
【0021】
一方のスイッチング素子Q1がオンすると、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量との間で共振を開始し、ゲート電圧VGが上昇するとともに、共振インダクタL1の電流が正の方向に増加する。
ゲート電圧VGが上昇してvddの電圧になっても共振インダクタL1には電流が流れ続け、ゲート電圧VGは正の値にまで上昇する。
その後、共振インダクタL1に蓄積されたエネルギーが全て放出されて、該共振インダクタL1の電流が0になると、ダイオードD1の働きにより電流の逆流が阻止され、共振現象が終了する。
【0022】
このように、共振ゲート駆動回路1においては、駆動信号VinP・VinNをLoからHiへ切り換えてパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGを+電位から−電位へ変化させた後、および駆動信号VinP・VinNをHiからLoへ切り換えてパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGを−電位から+電位へ変化させた後に、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量との間での共振現象が自動的に停止するため、ゲート電圧VGを次に反転させるまでの時間を任意に設定することが可能である。
これにより、パワーMOSFET素子Q3を任意のデューティーで駆動することが可能となっている。
【0023】
図4には、共振ゲート駆動回路1によるパワーMOSFET素子Q3の駆動波形を示す。
図4によると、駆動信号VinP・VinNは0〜V1の振幅を有する信号であり、パワーMOSFET素子Q3の駆動開始後から数サイクル後に、ゲート電圧VGはパワーMOSFET素子Q3を充分に駆動することができるだけの大きな値(V2・V3)に達している。
また、駆動信号VinP・VinNは、オンタイムta(駆動信号VinP・VinNがLoである時間)がオフタイムtb(駆動信号VinP・VinNがHiである時間)よりも長くなっており、50%とは異なる(本例では50%よりも大きい)デューティーで駆動が行われている。
【0024】
このようにパワーMOSFET素子Q3を駆動する場合、例えば駆動信号VinP・VinNのHi時の電圧V1を4V、オンデューティーを75%、および電源電圧Vddを4Vとすると、パワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGの駆動波形の振幅は、GND(0V)と電源電圧Vdd(4V)との平均である2Vを中心とした+12V(=V3)〜−8V(=V2)の範囲となり、消費電流は62mAとなり、消費電力は248mWとなった。
【0025】
これに対し、図5に示すような共振回路がない駆動回路にてパワーMOSFET素子Q3を駆動する場合、パワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGの振幅を図4に示した場合と同様の+12V〜−8Vの範囲となるように電源電圧を設定すると、電源電圧は+12Vおよび−8Vとなり、消費電流は図4の場合と同様の62mAとなって、消費電力は1240mAとなる。
【0026】
このように、共振回路を備えた共振ゲート駆動回路1にてパワーMOSFET素子Q3を駆動した場合の消費電力が248nWであり、図5に示した共振回路がない駆動回路にてパワーMOSFET素子Q3を駆動した場合の消費電力が1240mAであって、共振ゲート駆動回路1での消費電力は、共振回路がない駆動回路での消費電力に対して5分の1程度に抑えられている。
【0027】
なお、本例では、共振ゲート駆動回路1をGNDと正の電源間で動作させているが、この動作を正の電源と負の電源間で行ったり、GNDと負の電源間で行ったりすることで、任意のゲート電圧VGを得ることが可能となる。
【0028】
また、前記共振ゲート駆動回路1においては、例えばオンデューティーを0%、または100%としてパワーMOSFET素子Q3の駆動を行った場合、スイッチング素子Q1・Q2による駆動のみであると、パワーMOSFET素子Q3の動作が不安定になる恐れがある。
【0029】
例えば、オンデューティーが0%でスイッチング素子Q2がオンしているときには、ゲート電圧VGはダイオードD2の順方向電圧降下により最大で+0.7V(0V+0.7V)の電圧を取り得るため、パワーMOSFET素子Q3が若干オンする可能性がある。
逆に、オンデューティーが100%でスイッチング素子Q1がオンしているときには、ゲート電圧VGはダイオードD1により最小で(Vdd−0.7V)の電圧を取り得るため、例えばVdd=4Vとした場合、ゲート電圧VGは最小で3.3Vまで低下することとなり、パワーMOSFET素子Q3が充分にオンできない可能性がある。
【0030】
そこで、本共振ゲート駆動回路1においては、前記第2の駆動部12を設けて、オンデューティーが0%または100%のときのパワーMOSFET素子Q3の動作を安定化させるようにしている。
第2の駆動部12においては、電源電圧Vdd2は第1の駆動部11の電源電圧Vddよりも高く、電源電圧−VddはGNDよりも低く設定されており、一方および他方のスイッチング素子Q4・Q5は図6に示すように駆動されている。
【0031】
つまり、駆動信号VinP2が入力される一方のスイッチング素子Q4は、駆動信号VinPにより駆動される第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1がオンしてから所定の時間dtPだけ遅れてオンするように制御され(オフは一方のスイッチング素子Q1と同時)、駆動信号VinN2が入力される他方のスイッチング素子Q5は、駆動信号VinNにより駆動される第1の駆動部11の他方のスイッチング素子Q2がオンしてから所定の時間dtNだけ遅れてオンするように制御され(オフは他方のスイッチング素子Q2と同時)ている。
このように、一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5のオンタイミングを遅延させることで、省電力化を図っている。
【0032】
なお、前記所定の時間dtP・dtNは、例えば、第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1または他方のスイッチング素子Q2がオンしてから共振回路による共振現象が停止するまでの時間に設定することが望ましい。
【0033】
このように一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5を駆動することで、例えば第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1をオンしてオンデューティー100%でパワーMOSFET素子Q3を駆動する際には、共振現象によるゲート電圧の−側から+側への遷移が完了した後に、一方のスイッチング素子Q4によりパワーMOSFET素子Q3を駆動して、電源電圧Vddより高い電位の電源電圧Vdd2(例えばVdd2=12Vに設定する)により、ゲート電圧VGが低下することを防止し、パワーMOSFET素子Q3の動作を安定化させることができる。
【0034】
また、第1の駆動部11の他方のスイッチング素子Q2をオンしてオンデューティー0%でパワーMOSFET素子Q3を駆動する際には、共振現象によるゲート電圧の+側から−側への遷移が完了した後に、他方のスイッチング素子Q5によりパワーMOSFET素子Q3を駆動して、GNDより低い電位の電源電圧−Vdd(例えば−Vdd=−8Vに設定する)により、ゲート電圧VGが上昇することを防止し、パワーMOSFET素子Q3の動作を安定化させることができる。
【0035】
以上のごとく、共振ゲート駆動回路1においては、第1の駆動部11および第2の駆動部12にてパワーMOSFET素子Q3を駆動することにより、パワーMOSFET素子Q3のゲート駆動電力を大幅に削減しながら、該パワーMOSFET素子Q3を任意のデューティー比にて安定して動作することが可能となっている。
また、共振ゲート駆動回路1は、低い電圧で動作しながら、高いゲート電圧VGでパワーMOSFET素子Q3を駆動することができるため、駆動回路をIC化することが容易となる。
【0036】
なお、本例においては、一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5のオン駆動は、第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1および他方のスイッチング素子Q2のオン駆動から所定の時間dtP・dtNだけ遅延させて行われるが、第2の駆動部12の抵抗R1・R2の抵抗値が充分に大きく、消費電力が小さい場合には、所定の遅延時間dtP・dtNを0(遅延なし)に設定することも可能である。
【0037】
また、所定の遅延時間dtP・dtNをもって一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5のオン駆動を行う場合には、第2の駆動部12に設けられている抵抗R1・R2を省略することもできる。
【0038】
また、第2の駆動部12においては、ダイオードD3・D4を省略することも可能である。このように、ダイオードD3・D4を設けない場合、例えば共振ゲート駆動回路1により駆動されるパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGに対して電源電圧Vdd2・−Vddの絶対値が小さく設定されているときには、一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5が有する寄生ダイオードがゲート電圧VGのクランプ回路として働く。
寄生ダイオードによりゲート電圧VGがクランプされることにより、ゲート電圧VGが異常に上昇することを防止することができる。
【0039】
また、前述のように、ゲート電圧VGをクランプして該ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するための構成としては、共振ゲート駆動回路を図7に示すような構成とすることもできる。
すなわち、図7に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、前記接続部P2と電源電圧Vdd2との間に接続され、接続部P2から電源電圧Vdd2へ向う方向を順方向とするダイオードD5と、前記接続部P2と電源電圧−Vddとの間に接続され、電源電圧−Vddから接続部P2へ向う方向を順方向とするダイオードD6とを備えている。
【0040】
この場合、ゲート電圧VGをクランプするためのクランプ電圧である電源電圧Vdd2は、電源電圧Vddよりも高く、かつパワーMOSFET素子Q3の+側の耐圧よりも低い電圧に設定し、同じく電源電圧−Vddは、GNDよりも低く、かつパワーMOSFET素子Q3の−側の耐圧よりも高い電圧に設定する。
【0041】
このように、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3との間に前記ダイオードD5・D6を設けることで、ゲート電圧VGのクランプ時のエネルギーを電源電圧Vdd2・−Vddにて回収することができ、少ない損失でゲート電圧VGのクランプを行うことが可能となっている。
【0042】
また、図8に示すように構成することでもゲート電圧VGのクランプを行うことができる。
すなわち、図8に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、GNDとパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードZD1・ZD2とを備えている。
【0043】
このように、ツェナダイオードZD1・ZD2を設けることで、該ツェナダイオードZD1・ZD2によりゲート電圧VGをクランプして、ゲート電圧VGが一定値以上に上昇しないようにすることができ、該ゲート電圧VGが異常上昇してパワーMOSFET素子Q3の耐圧以上になることを防止できる。
【0044】
また、図9に示すように構成することでもゲート電圧VGの異常上昇を防止することができる。
すなわち、図9に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、前記接続部P1と共振インダクタL1との間に位置する接続部P3とGNDとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードZD3・ZD4とを備えている。
【0045】
このように、ツェナダイオードZD3・ZD4を設けることで、ゲート電圧VGがツェナダイオードZD3・ZD4のツェナ電圧以上に昇圧された場合、共振現象によるゲート電圧VGの変化後の保持状態において、ゲートGの電荷が共振インダクタL1を通じてツェナダイオードZD3・ZD4側へ放電することとなるため、ゲート電圧VGがツェナ電圧以上に上昇することを防止できる。
【0046】
また、図10に示すように構成することでもゲート電圧VGの異常上昇を防止することができる。
すなわち、図10に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、前記接続部P3と電源電圧Vdd2との間に接続され、接続部P3から電源電圧Vdd2へ向う方向を順方向とするダイオードD7と、前記接続部P3と電源電圧−Vddとの間に接続され、電源電圧−Vddから接続部P3へ向う方向を順方向とするダイオードD8とを備えている。
【0047】
このように、ダイオードD7・D8を設けることで、図9に示した場合と同様に、ゲート電圧VGが異常上昇しようとしたときに、ゲートGの電荷が共振インダクタL1を通じてダイオードD7・D8側へ放電することとなるため、ゲート電圧VGが異常上昇することを防止できる。
【0048】
また、前述のごとく、第1の駆動部11の他方のスイッチング素子Q2のオン状態を保持してパワーMOSFET素子Q3をオフした状態に保持する場合、ゲート電圧VGがダイオードD2の順方向電圧降下により最大で+0.7Vの電圧となり得るため、パワーMOSFET素子Q3が若干オンする可能性があるが、このような場合にパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGを確実の0Vに保持するために、次のような構成をとることもできる。
【0049】
つまり、図11に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、GNDとパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に挿入された抵抗R3とを備えている。
このように、抵抗R3を設けることでも、パワーMOSFET素子Q3のオフ時にゲート電圧VGを確実に0Vに保持することができる。
【0050】
また、前記第1の駆動部11および共振インダクタL1を備えたパワーMOSFET素子Q3の駆動回路においては、図12に示すように、GNDとパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に、パワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量に比べて大きな容量のキャパシタC1を挿入することで、ゲートGの寄生容量のばらつきによる共振周波数のばらつきを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】共振ゲート駆動回路を示す回路図である。
【図2】共振ゲート駆動回路の第1の駆動部における他方のスイッチング素子Q1がオンした際の共振現象時の動作波形を示す図である。
【図3】共振ゲート駆動回路の第1の駆動部における一方のスイッチング素子Q2がオンした際の共振現象時の動作波形を示す図である。
【図4】共振ゲート駆動回路の動作波形を示す図である。
【図5】共振回路を有さない駆動回路を示す回路図である。
【図6】第1の駆動部における第1の駆動部および第2の駆動部の駆動波形を示す図である。
【図7】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、共振インダクタとパワーMOSFET素子との間の接続部と+側の電源電圧との間に接続され、該接続部から+側の電源電圧へ向う方向を順方向とするダイオード、および前記接続部と−側の電源電圧との間に接続され、−側の電源電圧から前記接続部へ向う方向を順方向とするダイオードを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図8】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、GNDとパワーMOSFET素子のゲートとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードとを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図9】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、第1の駆動部とGNDとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図10】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、第1の駆動部と共振インダクタとの間の接続部と+側の電源電圧との間に接続され、該接続部から+側の電源電圧へ向う方向を順方向とするダイオード、および前記接続部と−側の電源電圧との間に接続され、−側の電源電圧から前記接続部へ向う方向を順方向とするダイオードを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図11】パワーMOSFET素子のオフ時にゲート電圧を確実に0Vに保持するために、GNDとパワーMOSFET素子のゲートとの間に挿入された抵抗を備えた駆動回路を示す回路図である。
【図12】GNDとパワーMOSFET素子のゲートとの間に、パワーMOSFET素子のゲートの寄生容量に比べて大きな容量のキャパシタを挿入して、ゲートの寄生容量のばらつきによる共振周波数のばらつきを減少させるように構成した駆動回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0052】
1 共振ゲート駆動回路
11 第1の駆動部
12 第2の駆動部
D1・D2 第1の駆動部のダイオード
D3・D4 第2の駆動部のダイオード
G (パワーMOSFET素子の)ゲート
VG ゲート電圧
Q1・Q2 第1の駆動部のスイッチング素子
Q3 パワーMOSFET素子
Q4・Q5 第2の駆動部のスイッチング素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーMOSFET等の電圧制御型スイッチング素子を駆動するための共振ゲート駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力コンバータ用に用いられるパワーMOSFET等の電圧制御型スイッチング素子を駆動するための駆動回路が知られている。
このような電圧制御型スイッチング素子の駆動回路としては、該電圧制御型スイッチング素子のゲートに寄生する容量と、該ゲートに接続されるインダクタとで共振回路を構成し、この共振回路における共振現象を利用して消費電力の低減を図ったものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に示す駆動回路は、2個のパワーMOSFETを駆動する回路に構成されており、該パワーMOSFETの寄生キャパシタンス等で構成される共振キャパシタンスと、回路中の共振インダクタとで共振回路を構成している。
この特許文献1に示す駆動回路では、前記共振回路での共振現象を利用して、一方のパワーMOSFETのゲートに蓄えられた電荷を、他方のパワーMOSFETのゲートに移動させることで、該パワーMOSFETを交互にオンさせるように構成し、該パワーMOSFETのゲート駆動電力を削減するようにしている。
【特許文献1】特表2003−503994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のごとく、特許文献1に示した駆動回路では、確かにパワーMOSFETのゲート駆動電力を削減することができるが、各パワーMOSFETのゲート電圧は共振により正弦波状に変化することとなり、その形状を変えることができない。
従って、特許文献1の駆動回路においては、デューティー比50%での動作(パワーMOSFETのオン期間とオフ期間とが同じ期間となる動作)しか行うことができない。
そこで、本発明においては、電圧制御型スイッチング素子のゲート駆動電力を大幅に削減しつつ、任意のデューティー比にて動作することが可能な電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路は、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、電圧制御型スイッチング素子と、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第1の駆動部と、前記第1の駆動部における一方のスイッチング素子と他方のスイッチング素子との接続部と、前記電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられるインダクタと、 前記インダクタと電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第2の駆動部とを備える。
これにより、電圧制御型スイッチング素子のゲート駆動電力を大幅に削減しながら、該電圧制御型スイッチング素子を任意のデューティー比にて安定して動作することが可能となる。
【0006】
また、請求項2記載の如く、前記第2の駆動部における一対のスイッチング素子は、それぞれ対応する前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子のオンタイミングから所定の遅延時間だけ遅れてオンする。
これにより、電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路の電力消費をさらに抑えることができる。
【0007】
また、請求項3記載の如く、前記遅延時間は、前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子がオンしてから、前記インダクタと前記電圧制御型スイッチング素子のゲートの寄生容量との間での共振が完了するまでの時間に設定される。
これにより、電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路の動作を安定化しつつ、電力消費をさらに抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電圧制御型スイッチング素子のゲート駆動電力を大幅に削減しながら、該電圧制御型スイッチング素子を任意のデューティー比にて安定して動作することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0010】
図1に示す共振ゲート駆動回路1は、ゲートに加える電圧の大きさにより電流の制御が可能な電圧制御型スイッチング素子であるパワーMOSFET素子Q3を駆動するための回路であり、該パワーMOSFET素子Q3と、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q1・Q2を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第1の駆動部11と、前記第1の駆動部11における一方のスイッチング素子Q1と他方のスイッチング素子Q2との接続部P1と、前記パワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に設けられるインダクタL1と、前記インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子Q4・Q5を備えた、前記パワーMOSFET素子Q3駆動用の第2の駆動部12とを備えている。
【0011】
前記第1の駆動部11における一方のスイッチング素子Q1は、P−ch MOSトランジスタに構成され、他方のスイッチング素子Q2は、N−ch MOSトランジスタに構成されており、該一方のスイッチング素子Q1のソースと他方のスイッチング素子Q2のドレインとが前記接続部P1にて接続されている。
また、一方のスイッチング素子Q1のドレインには第1の電源電圧Vddが接続され、他方のスイッチング素子Q2のソースは接地されている。
前記一方のスイッチング素子Q1のゲートには駆動信号VinPが入力され、他方のスイッチング素子Q2には駆動信号VinNが入力される。
【0012】
さらに、第1の駆動部11においては、前記一方のスイッチング素子Q1と前記接続部P1との間に、一方のスイッチング素子Q1から接続部P1へ向う方向を順方向とするダイオードD1が接続されるとともに、前記接続部P1と前記他方のスイッチング素子Q2との間に、接続部P1から他方のスイッチング素子Q2へ向う方向を順方向とするダイオードD2が接続されている。
【0013】
このように構成される第1の駆動部11においては、一方のスイッチング素子Q1およびダイオードD1により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGに対して電流を流し出す方向にのみ駆動可能な回路が構成され、他方のスイッチング素子Q2およびダイオードD2により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGから電流を引き込む方向にのみ駆動可能な回路が構成されている。
【0014】
また、前記第2の駆動部12における一方のスイッチング素子Q4は、P−ch MOSトランジスタに構成され、他方のスイッチング素子Q5は、N−ch MOSトランジスタに構成されており、該一方のスイッチング素子Q4のソースと他方のスイッチング素子Q5のドレインとが、前記パワーMOSFET素子Q3のゲートGと接続される接続部P2にて接続されている。
また、一方のスイッチング素子Q4のドレインには第2の電源電圧Vdd2が接続され、他方のスイッチング素子Q2のソースには負の電源電圧−Vddが接続されている。
前記一方のスイッチング素子Q4のゲートには駆動信号VinP2が入力され、他方のスイッチング素子Q5には駆動信号VinN2が入力される。
【0015】
さらに、第2の駆動部12においては、前記一方のスイッチング素子Q4と前記接続部P2との間に、一方のスイッチング素子Q4から接続部P2へ向う方向を順方向とするダイオードD3が接続されるとともに、前記接続部P2と前記他方のスイッチング素子Q5との間に、接続部P2から他方のスイッチング素子Q5へ向う方向を順方向とするダイオードD4が接続されている。
また、一方のスイッチング素子Q4とダイオードD3との間には抵抗R1が接続され、ダイオードD4と他方のスイッチング素子Q5との間には抵抗R2が接続されている。
【0016】
このように構成される第2の駆動部12においては、一方のスイッチング素子Q4およびダイオードD3により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGに対して電流を流し出す方向にのみ駆動可能な回路が構成され、他方のスイッチング素子Q5およびダイオードD4により、パワーMOSFET素子Q3のゲートGから電流を引き込む方向にのみ駆動可能な回路が構成されている。
【0017】
また、前記共振ゲート駆動回路1においては、前記接続部P1と接続部P2との間に共振インダクタL1が接続されている。
【0018】
前述のごとく構成される共振ゲート駆動回路1における一方のスイッチング素子Q1および他方のスイッチング素子Q2に、共通の矩形波となる駆動信号VinPおよび駆動信号VinNをそれぞれ入力した場合に生じる共振現象について説明する。
図2に示すように、パワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量に+の電荷が蓄積されている状態のときに、駆動信号VinP・VinNがLoからHiへ立ち上がると(図2における時刻t1)、一方のスイッチング素子Q1がオフするとともに他方のスイッチング素子Q2がオンする。
【0019】
他方のスイッチング素子Q2がオンすると、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量との間で共振を開始し、ゲート電圧VGが低下するとともに、共振インダクタL1の電流が負の方向に増加する。
ゲート電圧VGが低下して0Vになっても共振インダクタL1には電流が流れ続け、ゲート電圧VGは負の値にまで低下する。
その後、共振インダクタL1に蓄積されたエネルギーが全て放出されて、該共振インダクタL1の電流が0になると、ダイオードD2の働きにより電流の逆流が阻止され、共振現象が終了する。
【0020】
逆に、図3に示すように、ゲート電圧VGを−側から+側へ切り換える際に、駆動信号VinP・VinNがHiからLoへ立ち下がると(図3における時刻t2)、一方のスイッチング素子Q1がオンするとともに他方のスイッチング素子Q2がオフする。
【0021】
一方のスイッチング素子Q1がオンすると、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量との間で共振を開始し、ゲート電圧VGが上昇するとともに、共振インダクタL1の電流が正の方向に増加する。
ゲート電圧VGが上昇してvddの電圧になっても共振インダクタL1には電流が流れ続け、ゲート電圧VGは正の値にまで上昇する。
その後、共振インダクタL1に蓄積されたエネルギーが全て放出されて、該共振インダクタL1の電流が0になると、ダイオードD1の働きにより電流の逆流が阻止され、共振現象が終了する。
【0022】
このように、共振ゲート駆動回路1においては、駆動信号VinP・VinNをLoからHiへ切り換えてパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGを+電位から−電位へ変化させた後、および駆動信号VinP・VinNをHiからLoへ切り換えてパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGを−電位から+電位へ変化させた後に、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量との間での共振現象が自動的に停止するため、ゲート電圧VGを次に反転させるまでの時間を任意に設定することが可能である。
これにより、パワーMOSFET素子Q3を任意のデューティーで駆動することが可能となっている。
【0023】
図4には、共振ゲート駆動回路1によるパワーMOSFET素子Q3の駆動波形を示す。
図4によると、駆動信号VinP・VinNは0〜V1の振幅を有する信号であり、パワーMOSFET素子Q3の駆動開始後から数サイクル後に、ゲート電圧VGはパワーMOSFET素子Q3を充分に駆動することができるだけの大きな値(V2・V3)に達している。
また、駆動信号VinP・VinNは、オンタイムta(駆動信号VinP・VinNがLoである時間)がオフタイムtb(駆動信号VinP・VinNがHiである時間)よりも長くなっており、50%とは異なる(本例では50%よりも大きい)デューティーで駆動が行われている。
【0024】
このようにパワーMOSFET素子Q3を駆動する場合、例えば駆動信号VinP・VinNのHi時の電圧V1を4V、オンデューティーを75%、および電源電圧Vddを4Vとすると、パワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGの駆動波形の振幅は、GND(0V)と電源電圧Vdd(4V)との平均である2Vを中心とした+12V(=V3)〜−8V(=V2)の範囲となり、消費電流は62mAとなり、消費電力は248mWとなった。
【0025】
これに対し、図5に示すような共振回路がない駆動回路にてパワーMOSFET素子Q3を駆動する場合、パワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGの振幅を図4に示した場合と同様の+12V〜−8Vの範囲となるように電源電圧を設定すると、電源電圧は+12Vおよび−8Vとなり、消費電流は図4の場合と同様の62mAとなって、消費電力は1240mAとなる。
【0026】
このように、共振回路を備えた共振ゲート駆動回路1にてパワーMOSFET素子Q3を駆動した場合の消費電力が248nWであり、図5に示した共振回路がない駆動回路にてパワーMOSFET素子Q3を駆動した場合の消費電力が1240mAであって、共振ゲート駆動回路1での消費電力は、共振回路がない駆動回路での消費電力に対して5分の1程度に抑えられている。
【0027】
なお、本例では、共振ゲート駆動回路1をGNDと正の電源間で動作させているが、この動作を正の電源と負の電源間で行ったり、GNDと負の電源間で行ったりすることで、任意のゲート電圧VGを得ることが可能となる。
【0028】
また、前記共振ゲート駆動回路1においては、例えばオンデューティーを0%、または100%としてパワーMOSFET素子Q3の駆動を行った場合、スイッチング素子Q1・Q2による駆動のみであると、パワーMOSFET素子Q3の動作が不安定になる恐れがある。
【0029】
例えば、オンデューティーが0%でスイッチング素子Q2がオンしているときには、ゲート電圧VGはダイオードD2の順方向電圧降下により最大で+0.7V(0V+0.7V)の電圧を取り得るため、パワーMOSFET素子Q3が若干オンする可能性がある。
逆に、オンデューティーが100%でスイッチング素子Q1がオンしているときには、ゲート電圧VGはダイオードD1により最小で(Vdd−0.7V)の電圧を取り得るため、例えばVdd=4Vとした場合、ゲート電圧VGは最小で3.3Vまで低下することとなり、パワーMOSFET素子Q3が充分にオンできない可能性がある。
【0030】
そこで、本共振ゲート駆動回路1においては、前記第2の駆動部12を設けて、オンデューティーが0%または100%のときのパワーMOSFET素子Q3の動作を安定化させるようにしている。
第2の駆動部12においては、電源電圧Vdd2は第1の駆動部11の電源電圧Vddよりも高く、電源電圧−VddはGNDよりも低く設定されており、一方および他方のスイッチング素子Q4・Q5は図6に示すように駆動されている。
【0031】
つまり、駆動信号VinP2が入力される一方のスイッチング素子Q4は、駆動信号VinPにより駆動される第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1がオンしてから所定の時間dtPだけ遅れてオンするように制御され(オフは一方のスイッチング素子Q1と同時)、駆動信号VinN2が入力される他方のスイッチング素子Q5は、駆動信号VinNにより駆動される第1の駆動部11の他方のスイッチング素子Q2がオンしてから所定の時間dtNだけ遅れてオンするように制御され(オフは他方のスイッチング素子Q2と同時)ている。
このように、一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5のオンタイミングを遅延させることで、省電力化を図っている。
【0032】
なお、前記所定の時間dtP・dtNは、例えば、第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1または他方のスイッチング素子Q2がオンしてから共振回路による共振現象が停止するまでの時間に設定することが望ましい。
【0033】
このように一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5を駆動することで、例えば第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1をオンしてオンデューティー100%でパワーMOSFET素子Q3を駆動する際には、共振現象によるゲート電圧の−側から+側への遷移が完了した後に、一方のスイッチング素子Q4によりパワーMOSFET素子Q3を駆動して、電源電圧Vddより高い電位の電源電圧Vdd2(例えばVdd2=12Vに設定する)により、ゲート電圧VGが低下することを防止し、パワーMOSFET素子Q3の動作を安定化させることができる。
【0034】
また、第1の駆動部11の他方のスイッチング素子Q2をオンしてオンデューティー0%でパワーMOSFET素子Q3を駆動する際には、共振現象によるゲート電圧の+側から−側への遷移が完了した後に、他方のスイッチング素子Q5によりパワーMOSFET素子Q3を駆動して、GNDより低い電位の電源電圧−Vdd(例えば−Vdd=−8Vに設定する)により、ゲート電圧VGが上昇することを防止し、パワーMOSFET素子Q3の動作を安定化させることができる。
【0035】
以上のごとく、共振ゲート駆動回路1においては、第1の駆動部11および第2の駆動部12にてパワーMOSFET素子Q3を駆動することにより、パワーMOSFET素子Q3のゲート駆動電力を大幅に削減しながら、該パワーMOSFET素子Q3を任意のデューティー比にて安定して動作することが可能となっている。
また、共振ゲート駆動回路1は、低い電圧で動作しながら、高いゲート電圧VGでパワーMOSFET素子Q3を駆動することができるため、駆動回路をIC化することが容易となる。
【0036】
なお、本例においては、一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5のオン駆動は、第1の駆動部11の一方のスイッチング素子Q1および他方のスイッチング素子Q2のオン駆動から所定の時間dtP・dtNだけ遅延させて行われるが、第2の駆動部12の抵抗R1・R2の抵抗値が充分に大きく、消費電力が小さい場合には、所定の遅延時間dtP・dtNを0(遅延なし)に設定することも可能である。
【0037】
また、所定の遅延時間dtP・dtNをもって一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5のオン駆動を行う場合には、第2の駆動部12に設けられている抵抗R1・R2を省略することもできる。
【0038】
また、第2の駆動部12においては、ダイオードD3・D4を省略することも可能である。このように、ダイオードD3・D4を設けない場合、例えば共振ゲート駆動回路1により駆動されるパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGに対して電源電圧Vdd2・−Vddの絶対値が小さく設定されているときには、一方のスイッチング素子Q4および他方のスイッチング素子Q5が有する寄生ダイオードがゲート電圧VGのクランプ回路として働く。
寄生ダイオードによりゲート電圧VGがクランプされることにより、ゲート電圧VGが異常に上昇することを防止することができる。
【0039】
また、前述のように、ゲート電圧VGをクランプして該ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するための構成としては、共振ゲート駆動回路を図7に示すような構成とすることもできる。
すなわち、図7に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、前記接続部P2と電源電圧Vdd2との間に接続され、接続部P2から電源電圧Vdd2へ向う方向を順方向とするダイオードD5と、前記接続部P2と電源電圧−Vddとの間に接続され、電源電圧−Vddから接続部P2へ向う方向を順方向とするダイオードD6とを備えている。
【0040】
この場合、ゲート電圧VGをクランプするためのクランプ電圧である電源電圧Vdd2は、電源電圧Vddよりも高く、かつパワーMOSFET素子Q3の+側の耐圧よりも低い電圧に設定し、同じく電源電圧−Vddは、GNDよりも低く、かつパワーMOSFET素子Q3の−側の耐圧よりも高い電圧に設定する。
【0041】
このように、共振インダクタL1とパワーMOSFET素子Q3との間に前記ダイオードD5・D6を設けることで、ゲート電圧VGのクランプ時のエネルギーを電源電圧Vdd2・−Vddにて回収することができ、少ない損失でゲート電圧VGのクランプを行うことが可能となっている。
【0042】
また、図8に示すように構成することでもゲート電圧VGのクランプを行うことができる。
すなわち、図8に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、GNDとパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードZD1・ZD2とを備えている。
【0043】
このように、ツェナダイオードZD1・ZD2を設けることで、該ツェナダイオードZD1・ZD2によりゲート電圧VGをクランプして、ゲート電圧VGが一定値以上に上昇しないようにすることができ、該ゲート電圧VGが異常上昇してパワーMOSFET素子Q3の耐圧以上になることを防止できる。
【0044】
また、図9に示すように構成することでもゲート電圧VGの異常上昇を防止することができる。
すなわち、図9に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、前記接続部P1と共振インダクタL1との間に位置する接続部P3とGNDとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードZD3・ZD4とを備えている。
【0045】
このように、ツェナダイオードZD3・ZD4を設けることで、ゲート電圧VGがツェナダイオードZD3・ZD4のツェナ電圧以上に昇圧された場合、共振現象によるゲート電圧VGの変化後の保持状態において、ゲートGの電荷が共振インダクタL1を通じてツェナダイオードZD3・ZD4側へ放電することとなるため、ゲート電圧VGがツェナ電圧以上に上昇することを防止できる。
【0046】
また、図10に示すように構成することでもゲート電圧VGの異常上昇を防止することができる。
すなわち、図10に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、前記接続部P3と電源電圧Vdd2との間に接続され、接続部P3から電源電圧Vdd2へ向う方向を順方向とするダイオードD7と、前記接続部P3と電源電圧−Vddとの間に接続され、電源電圧−Vddから接続部P3へ向う方向を順方向とするダイオードD8とを備えている。
【0047】
このように、ダイオードD7・D8を設けることで、図9に示した場合と同様に、ゲート電圧VGが異常上昇しようとしたときに、ゲートGの電荷が共振インダクタL1を通じてダイオードD7・D8側へ放電することとなるため、ゲート電圧VGが異常上昇することを防止できる。
【0048】
また、前述のごとく、第1の駆動部11の他方のスイッチング素子Q2のオン状態を保持してパワーMOSFET素子Q3をオフした状態に保持する場合、ゲート電圧VGがダイオードD2の順方向電圧降下により最大で+0.7Vの電圧となり得るため、パワーMOSFET素子Q3が若干オンする可能性があるが、このような場合にパワーMOSFET素子Q3のゲート電圧VGを確実の0Vに保持するために、次のような構成をとることもできる。
【0049】
つまり、図11に示す駆動回路は、前記第1の駆動部11と、前記共振インダクタL1と、GNDとパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に挿入された抵抗R3とを備えている。
このように、抵抗R3を設けることでも、パワーMOSFET素子Q3のオフ時にゲート電圧VGを確実に0Vに保持することができる。
【0050】
また、前記第1の駆動部11および共振インダクタL1を備えたパワーMOSFET素子Q3の駆動回路においては、図12に示すように、GNDとパワーMOSFET素子Q3のゲートGとの間に、パワーMOSFET素子Q3のゲートGの寄生容量に比べて大きな容量のキャパシタC1を挿入することで、ゲートGの寄生容量のばらつきによる共振周波数のばらつきを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】共振ゲート駆動回路を示す回路図である。
【図2】共振ゲート駆動回路の第1の駆動部における他方のスイッチング素子Q1がオンした際の共振現象時の動作波形を示す図である。
【図3】共振ゲート駆動回路の第1の駆動部における一方のスイッチング素子Q2がオンした際の共振現象時の動作波形を示す図である。
【図4】共振ゲート駆動回路の動作波形を示す図である。
【図5】共振回路を有さない駆動回路を示す回路図である。
【図6】第1の駆動部における第1の駆動部および第2の駆動部の駆動波形を示す図である。
【図7】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、共振インダクタとパワーMOSFET素子との間の接続部と+側の電源電圧との間に接続され、該接続部から+側の電源電圧へ向う方向を順方向とするダイオード、および前記接続部と−側の電源電圧との間に接続され、−側の電源電圧から前記接続部へ向う方向を順方向とするダイオードを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図8】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、GNDとパワーMOSFET素子のゲートとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードとを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図9】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、第1の駆動部とGNDとの間に挿入され、逆直列に接続した一対のツェナダイオードを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図10】ゲート電圧VGの異常な上昇を防止するために、第1の駆動部と共振インダクタとの間の接続部と+側の電源電圧との間に接続され、該接続部から+側の電源電圧へ向う方向を順方向とするダイオード、および前記接続部と−側の電源電圧との間に接続され、−側の電源電圧から前記接続部へ向う方向を順方向とするダイオードを備えた駆動回路を示す回路図である。
【図11】パワーMOSFET素子のオフ時にゲート電圧を確実に0Vに保持するために、GNDとパワーMOSFET素子のゲートとの間に挿入された抵抗を備えた駆動回路を示す回路図である。
【図12】GNDとパワーMOSFET素子のゲートとの間に、パワーMOSFET素子のゲートの寄生容量に比べて大きな容量のキャパシタを挿入して、ゲートの寄生容量のばらつきによる共振周波数のばらつきを減少させるように構成した駆動回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0052】
1 共振ゲート駆動回路
11 第1の駆動部
12 第2の駆動部
D1・D2 第1の駆動部のダイオード
D3・D4 第2の駆動部のダイオード
G (パワーMOSFET素子の)ゲート
VG ゲート電圧
Q1・Q2 第1の駆動部のスイッチング素子
Q3 パワーMOSFET素子
Q4・Q5 第2の駆動部のスイッチング素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御型スイッチング素子と、
直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第1の駆動部と、
前記第1の駆動部における一方のスイッチング素子と他方のスイッチング素子との接続部と、前記電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられるインダクタと、
前記インダクタと電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第2の駆動部とを備える、
ことを特徴とする電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路。
【請求項2】
前記第2の駆動部における一対のスイッチング素子は、それぞれ対応する前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子のオンタイミングから所定の遅延時間だけ遅れてオンする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路。
【請求項3】
前記遅延時間は、前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子がオンしてから、前記インダクタと前記電圧制御型スイッチング素子のゲートの寄生容量との間での共振が完了するまでの時間に設定される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路。
【請求項1】
電圧制御型スイッチング素子と、
直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第1の駆動部と、
前記第1の駆動部における一方のスイッチング素子と他方のスイッチング素子との接続部と、前記電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられるインダクタと、
前記インダクタと電圧制御型スイッチング素子のゲートとの間に設けられ、直列接続された相補的な一対のスイッチング素子を備えた、前記電圧制御型スイッチング素子駆動用の第2の駆動部とを備える、
ことを特徴とする電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路。
【請求項2】
前記第2の駆動部における一対のスイッチング素子は、それぞれ対応する前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子のオンタイミングから所定の遅延時間だけ遅れてオンする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路。
【請求項3】
前記遅延時間は、前記第1の駆動部における一対のスイッチング素子がオンしてから、前記インダクタと前記電圧制御型スイッチング素子のゲートの寄生容量との間での共振が完了するまでの時間に設定される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電圧制御型スイッチング素子の共振ゲート駆動回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−42633(P2008−42633A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215695(P2006−215695)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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