説明

電子部品搭載用基板および電子装置ならびに電子部品搭載用基板の製造方法

【課題】 電子部品の電極が接続される接続端子の隣接間隔を小さくすることが容易な電子部品搭載用基板を提供すること。
【解決手段】 電子部品の搭載部2を含む上面を有している絶縁基板1と、搭載部2において絶縁基板1の上面から突出して設けられた凸状端子3とを備えており、凸状端子3の側面が、その下端部から上端部に向かって外側に傾斜している電子部品搭載用基板9である。凸状端子3の上面に接続される導電性接続材5の一部が絶縁基板1の上面に広がることが抑制されるため、接続端子としての凸状端子3の隣接間隔を小さくすることが容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSIやIC等の半導体素子を含む電子部品を搭載するための電子部品搭載用基板、および電子部品搭載用基板に電子部品が搭載されてなる電子装置、ならびに電子部品搭載用基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIやIC等の半導体素子を含む電子部品においては、小型化および高密度化が求められている。この要求に対応して、電子部品の下面に多数の電極が配置され、これらの電極が、電子部品搭載用基板の接続端子に半田等の導電性接続材を介して接続される、フリップチップ実装が用いられている。
【0003】
電子部品がフリップチップ実装で搭載される電子部品搭載用基板として多用されているものは、セラミック焼結体等からなる絶縁基板の上面に、メタライズ層からなる接続端子が設けられたものである。
【0004】
接続端子と電子部品の電極とが互いに対向し合い、はんだ等の導電性接続材を介して互いに電気的に接続されて電子装置が形成される。接続端子は、絶縁基板を厚み方向に貫通する貫通導体等を介して絶縁基板の下面または側面等に電気的に導出される。
【0005】
このような電子部品搭載用基板は、例えばセラミックグリーンシート積層法によって製作される。すなわち、まず複数のセラミックグリーンシートを準備し、次に、複数のセラミックグリーンシートのうち所定のものに貫通孔を形成するとともに、その貫通孔内に金属ペーストを充填する、次に、セラミックグリーンシートの表面に接続端子となる金属ペーストを印刷し、その後、複数のセラミックグリーンシートを積層して焼成することによって、電子部品搭載用基板を製作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−267393号公報
【特許文献2】特開2005−086161号公報
【特許文献3】特開2006−005322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来技術においては、接続端子の隣接間隔を小さくすることが難しいため、電子部品搭載用基板の小型化および高密度化が容易ではないという問題点があった。これは、はんだ等の導電性接続材が、接続端子に対して接続される時には流動性を有しているため、その一部が絶縁基板の上面に広がる可能性があることによる。隣り合う接続端子の間で、広がった導電性接続材の一部によって電気絶縁性が低下する可能性がある。そのため、接続端子の隣接間隔を小さくすることが難しい。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、電子部品の電極が接続される接続端子の隣接間隔を小さくすることが容易な電子部品搭載用基板、および電子装置、ならびに電子部品搭載用基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様の電子部品搭載用基板は、電子部品の搭載部を含む上面を有している絶縁基板と、前記搭載部において前記絶縁基板の前記上面から突出して設けられた凸状端子とを備えており、該凸状端子の側面が、その下端部から上端部に向かって外側に傾斜していることを特徴とする。
【0010】
本発明の一つの態様の電子装置は、上記構成の電子部品搭載用基板と、電極を有しているとともに前記搭載部に搭載された電子部品とを備えており、前記電子部品の前記電極が前記電子部品接続用の前記凸状端子の上面に導電性接続材を介して接続されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の一つの態様の電子部品接続用基板の製造方法は、
複数のセラミックグリーンシートを準備するとともに、該複数のセラミックグリーンシートを積層してグリーンシート積層体を作製する工程と、
該グリーンシート積層体の上面に有機樹脂層を積層する工程と、
前記樹脂層から前記グリーンシート積層体にかけて貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内に金属ペーストを充填する工程と、
前記グリーンシート積層体、前記有機樹脂層および前記金属ペーストを同時に加熱して、前記グリーンシート積層体および前記金属ペーストを焼成するとともに、前記有機樹脂層を除去する工程とを備えており、
前記貫通孔を形成する工程において、前記貫通孔を、前記樹脂層を貫通する部分において下端部から上端部に向かって漸次外側に開くように形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一つの態様の電子部品搭載用基板によれば、電子部品の搭載部に凸状端子が設けられているとともに、その凸状端子の側面が、その側面の下端部から上端部に向かって外側に傾斜していることから、電子部品の電極が接続される接続端子としての凸状端子の隣接間隔を小さくすることが容易である。
【0013】
すなわち、接続端子として機能する凸状端子が絶縁基板の上面から突出していることから、導電性接続材が接続される凸状端子の上面と絶縁基板の上面とが互いに離れている。また、凸状端子の側面が上記のように傾斜しているため、凸状端子の側面が、上面に対して垂直よりも大きな角度で接することになり、凸状端子の上面において表面張力で丸くなる導電性接続材の一部が凸状端子の側面に流れ出ることが抑制される。そのため、凸状端子の上面に接続される導電性接続材の一部が絶縁基板の上面に広がることが抑制される。
【0014】
本発明の一つの態様の電子装置によれば、上記構成の電子部品搭載用基板に電子部品が搭載され、電子部品の電極が凸状端子の上面に導電性接続材を介して接続されているため、隣り合う凸状端子同士の間における導電性接続材の広がりが抑制される。そのため、電子部品の電極が接続される凸状端子の隣接間隔を小さくすることが容易な電子装置を提供することができる。
【0015】
本発明の一つの態様の電子部品接続用基板の製造方法によれば、上記各工程を備えていることから、接続端子として機能する凸状端子が絶縁基板の上面から突出している電子部品搭載用基板を製作することができる。製作した電子部品搭載用基板において、上記本発明の一つの態様の電子部品搭載用基板と同様に、凸状端子に接続される導電性接続材の広がりが効果的に抑制される。したがって、電子部品の電極が接続される凸状端子の隣接間隔を小さくすることが容易な電子部品搭載用基板を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の実施形態の電子部品搭載用基板および電子装置を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
【図2】図1に示す電子部品搭載用基板および電子装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】図1に示す電子部品搭載用基板および電子装置の変形例における要部を示す断面図である。
【図4】(a)および(b)はそれぞれ図1に示す電子部品搭載用基板および電子装置の他の変形例における要部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の実施形態の電子部品搭載用基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の電子部品搭載用基板、電子装置および電子部品搭載用基板の製造方法について、添付の図面を参照して説明する。以下の説明における上下の区別は、電子部品搭載用基板および電子装置を実際に使用するときの上下を規定するものではない。
【0018】
図1(a)は本発明の実施形態の電子部品搭載用基板および電子装置を示す平面図であり、図1(b)は図1(b)のA−A線における断面図である。また、図2は図1に示す電子部品搭載用基板および電子装置の要部を拡大して示す断面図である。
【0019】
図1および図2において、1は絶縁基板,2は絶縁基板1の上面に含まれる搭載部,3は搭載部2に設けられた凸状端子である。絶縁基板1の上面の搭載部2に凸状端子3が設けられて、電子部品搭載用基板9が基本的に形成されている。また、電子部品搭載用基板9の搭載部2に電子部品10が搭載され、電子部品10の電極11が凸状端子3の上面に導電性接続材5を介して接続されて電子装置20が基本的に形成されている。図1(a)においては、見やすくするために電子部品10を省略している。
【0020】
絶縁基板1は、半導体素子を含む電子部品10を搭載して保持するための基体であり、例えば、1辺の長さが約20〜60mm程度の四角板状に形成されている。絶縁基板1の厚みは、電子部品搭載用基板9において要求される機械的な強度や電気的な機能,低背化等の条件に応じて適宜設定されている。
【0021】
絶縁基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体,ガラスセラミック焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化珪素質焼結体およびムライト質焼結体等のセラミック焼結体によって形成されている。
【0022】
絶縁基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。
【0023】
まず、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等を主成分とする原料粉末を、有機溶剤、バインダと混練するとともに、ドクターブレード法やリップコータ法等の成形方法でシート状に成形して、セラミックグリーンシートを作製する。次に、セラミックグリーンシートを所定の形状および寸法に切断するとともに、上下に複数積層する。その後、このセラミックグリーンシートの積層体を約1300〜1600℃程度の焼成温度で焼成することによって絶縁基板1を製作することができる。
【0024】
絶縁基板1の上面の搭載部2は、半導体素子を含む電子部品10を搭載する、四角形状や楕円形状等の部位であり、図1および図2に示す例においては、絶縁基板1の上面の中央部が搭載部2とされている。
【0025】
凸状端子3は、電子部品10の電極11と電気的に接続される部位であり、例えば、電極11を外部の電気回路(図示せず)に電気的に接続するための導電路の一部として機能する。
【0026】
凸状端子3は、平面視において、例えば円形状や楕円形状,四角形状,角部が円弧状に成形された四角形状等のパターンである。凸状端子3は、半導体素子10の電極11がフリップチップ方式で接続される場合であれば、例えば、直径が約50〜150μm程度の円形状に
形成される。また、凸状端子3は、例えば銅や銀,パラジウム,白金,金,銅−タングステン,モリブデン,マンガン等の金属材料により形成されている。これらの金属材料は、メタライズ法やめっき法等の方法で、絶縁基板1に被着されている。
【0027】
凸状端子3の側面は、この側面の下端部から上端部に向かって外側に傾斜している。例えば図1に示す例においては、凸状端子3は、縦断面視で台形状またはいわゆるテーパー状となっている。言い換えれば、縦断面視において、凸状端子3の上面を外側に延長した仮想の面と側面との間の角度(側面の傾斜角度)θは、90℃(垂直方向)よりも大きな角度になっている。
【0028】
このような形状の凸状端子3は、例えば、形成しようとする凸状端子3と同様の形状および寸法の開口部を有する層状の被覆材(図示せず)を絶縁基板1の上面に配置しておいて、この被覆材の開口部内に凸状端子3となる金属材料を配置した後、被覆材を除去する方法で形成することができる。被覆材としては、有機樹脂材料、有機樹脂材料とガラス材料等の無機材料との混合材料、金属材料等を用いることができる。また、開口部内への凸状端子3となる金属材料の配置は、例えばその金属材料のペーストを開口部内に充填した後、その金属材料のペーストを加熱して焼結させるような方法によって行なうことができる。
【0029】
貫通導体4は、凸状端子3とともに、電子部品10の電極11を外部の電気回路に電気的に接続するための導電路の一部として機能している。凸状端子3にスズ−銀系のはんだ等の導電性接続材5を介して電気的および機械的に接続された電子部品10の電極11が、貫通導体4を介して絶縁基板1の側面や下面等の外表面に電気的に導出される。この導出部分が外部の電気回路と電気的に接続されて、電子部品10の電極11と外部の電気回路とが互いに電気的に接続される。導電性接続材5は、スズ−銀−銅系やスズ−銀−ビスマス系等の他のはんだでもよく、導電性接着剤等でもよい。
【0030】
導電性接続材5を介した凸状端子3と電極11との接続は、導電性接続材5としてはんだが用いられる場合であれば、例えば以下のように行なわれる。すなわち、まず、スズ−銀はんだ等の、はんだペーストを凸状端子3の上面に塗布し、次に、凸状端子3の上面と電極11とが対向し合うように位置合わせしながら電子部品10を搭載部2上にセットし、その後、上記はんだペーストを加熱して溶融させた後に冷却して固化させる。これにより、凸状端子3の上面と電極11(下面)とが導電性接続材5を介して電気的および機械的に接続される。
【0031】
導電性接続材5は、凸状端子3上ではなく、電子部品10の電極11上に付着させておくようにしてもよい。電極11上に上記のようなはんだペーストを塗布しておき、これを加熱して半球状形成すれば、電極11にはんだがバンプ(図示せず)として付着された電子部品10を作製することができる。このはんだバンプ付き電子部品10が電子部品搭載用基板9の搭載部2に搭載され、はんだバンプがいったん溶融した後に固化してなる導電性接続材5を介して、電極11と凸状端子3とが電気的に接続される。
【0032】
なお、絶縁基板1の内部および下面等に、内部配線導体および外部接続用導体等の他の導体6が形成されていてもよい。他の導体6は、例えば上記凸状端子3および貫通導体4
とともに、電子部品10の電極11を外部の電気回路と電気的に接続するための導電路の一部として機能する。また、他の導体6は、複数の凸状端子3または貫通導体4同士を互いに電気的に接続させるための導電路として機能することもできる。
【0033】
図1に示す例においては、貫通導体4の下端から絶縁基板1の下面にかけて他の導体6が形成されている。この、他の導体6のうち絶縁基板1の下面に形成された部分が外部接続用導体となって、はんだや導電性接着剤等(図示せず)を介して外部の電気回路に電気的および機械的に接続される。
【0034】
このような電子部品搭載用基板9によれば、電子部品の搭載部2に凸状端子3が設けられているとともに、その凸状端子3の側面が、下端部から上端部に向かって外側に傾斜していることから、電子部品10の電極11が接続される接続端子としての凸状端子3の隣接間隔を小さくすることが容易である。
【0035】
すなわち、上記接続端子として機能する凸状端子3が絶縁基板1の上面から突出していることから、導電性接続材5が接続される凸状端子3の上面と絶縁基板1の上面とが互いに離れている。また、凸状端子3の側面が上記のように傾斜しているため、凸状端子3の側面の傾斜角度θが垂直方向よりも大きくなり、凸状端子3の上面において表面張力で丸くなる溶融状態のはんだ等の導電性接続材5の一部が、凸状端子3の側面に流れ出ることが抑制される。
【0036】
そのため、凸状端子3の上面に接続される、はんだ等の導電性接続材5の一部が絶縁基板1の上面に広がることが抑制される。したがって、電子部品10の電極11が接続される凸状端子3の隣接間隔を小さくすることが容易な電子部品搭載用基板9を提供することができる。
【0037】
また、凸状端子3は、例えば後述するように、絶縁基板1となるセラミックグリーンシートの上面に金属ペーストを印刷することなく形成することができる。そのため、凸状端子3の一部が絶縁基板1の上面に広がるようなことが抑制される。
【0038】
凸状端子3の高さ(絶縁基板1の上面と凸状端子3の上面との間の距離)は、複数の凸状端子3同士の隣接間隔、用いる導電性接続材5の材料や量(体積)、凸状端子3と電極11との接合時の加熱温度、凸状端子3および電極11の平面視における大きさ(面積)および生産性等の条件に応じて適宜設定すればよい。
【0039】
例えば、導電性接続材5がスズ−銀はんだであり、凸状端子3が平面視において直径約0.1mmの円形状であり、電極11が平面視において直径約0.05mmの円形状の場合であれ
ば、凸状端子3の高さは約0.05〜0.1mm程度に設定すればよい。
【0040】
また、凸状端子3の側面の傾斜角度は、導電性接続材5として用いられるはんだの溶融時における表面張力の大きさ、または凸状端子3の上面に対する接触角等の、はんだの濡れやすさを決める条件、および上記凸状端子3の高さを設定する条件と同様の条件に応じて、設定することができる。
【0041】
例えば、凸状端子3および電極11が上記と同様の形状および寸法の場合に、凸状端子3がタングステンのメタライズ導体からなり、導電性接続材5がスズ−銀はんだである場合であれば、傾斜角度は約60度以下であることが好ましい。また、凸状端子3の上面を含む上端部分における機械的な強度の確保等も考慮すれば、約30〜60度の範囲であることがより好ましい。
【0042】
なお、上記電子部品搭載用基板9における凸状端子3は、その露出する表面にニッケルや金等のめっき層(図示せず)が被着されていてもよい。このようなめっき層が被着されていれば、凸状端子3の酸化腐食がより効果的に抑制される。
【0043】
上記めっき層は、図3に示すように、凸状端子3の露出する表面のうち上面のみに被着されていてもよい。図3は、図1および図2に示す電子部品搭載用基板9および電子装置20の変形例における要部を拡大して示す断面図である。図3において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
【0044】
図3に示す例において、凸状端子3の露出する表面のうち上面にはめっき層7が被着されているとともに、側面にはめっき層7が被着されていない。めっき層7は、例えばニッケルめっき層や銅めっき層,金めっき層等を含むものであって、少なくとも最表層が金めっき層とされているものである。このような場合には、はんだ等の導電性接続材5が凸状端子3の側面に流れることがより効果的に抑制される。そのため、導電性接続材5の一部が、凸状端子3の側面を経て絶縁基板1の上面に広がるようなことがより効果的に抑制される。なお、上記めっき層7を有する電子装置20においては、最表層の金めっき層が導電性接続材5内に拡散している場合が多いため、めっき層7における金めっき層の有無を検知することは難しい。
【0045】
凸状端子3の上面のみにめっき層7を被着させるには、例えば上記のように層状の被覆材に設けた開口部内に凸状端子3となる金属材料を配置した後、被覆材を除去する前に、金属材料の露出している面(凸状端子3の上面となる面)にめっき層7を被着させればよい。めっき層7は、電解めっき法または無電解めっき法等の方法で被着させることができる。
【0046】
上記構成の電子部品搭載用基板9において、絶縁基板1の上面から内部に向かって、絶縁基板1の厚み方向の少なくとも一部を貫通する貫通導体4が形成されており、その貫通導体4と凸状端子3とが互いに一体的に形成されている場合には、より信頼性の高い電子部品搭載用基板9および電子装置20を形成することができる。
【0047】
すなわち、この場合には、凸状端子3のうち電子部品10と絶縁基板1との熱膨張率の差に起因する熱応力が、凸状端子3のうち絶縁基板1側の端部(下端部)に集中しやすい傾向がある。これに対して、凸状端子3と貫通導体4とが一体的に形成されていれば、凸状端子3の下端部に作用する熱応力が貫通導体4側にも分散される。そのため、凸状端子3の機械的な破壊をより効果的に抑制することができる。したがって、より信頼性の高い電子部品搭載用基板9および電子装置20を提供することができる。
【0048】
この場合、貫通導体4の平面視における形状および寸法(貫通導体4が平面視で円形状の場合であれば、その直径)は、この貫通導体4と一体的に形成される凸状端子3の下端における形状および寸法と同様であってもよく、異なっていてもよい。両者の形状および寸法が同様であれば、凸状端子3の下端面と貫通導体4の上端面とが互いに全面にわたって接続され合うため、凸状端子3と貫通導体4との間の付着の強度を高くする上で有利である。また、凸状端子3の下端面と貫通導体4の上端面のいずれか一方が他方に比べて大きい場合には、両者の間で位置ずれが生じたときに、その位置ずれを吸収して、互いの電気的な接続を確保する上で有利である。
【0049】
図4(a)および(b)は、それぞれ図1および図2に示す電子部品搭載用基板9および電子装置20の他の変形例における要部を拡大して示す断面図である。図4において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
【0050】
図4(a)に示す例においては、凸状端子3の下端が、絶縁基板1の上面に形成された他の導体6と接続され、他の導体6を介して貫通導体4と電気的に接続されている。この場合には、絶縁基板1の上面に形成された他の導体6を介して、凸状端子3を外部の電気回路と電気的に接続させることや、複数の凸状端子3同士を互いに電気的に接続させることもできる。
【0051】
図4(b)に示す例においては、凸状端子3の下端が、絶縁基板1の上面に形成された他の導体6と電気的に接続されており、凸状端子3の直下(平面視で凸状端子3と重なる位置)には貫通導体4が形成されていない。この場合にも、絶縁基板1の上面に形成された他の導体6を介して、凸状端子3を外部の電気回路と電気的に接続させることや、複数の凸状端子3同士を互いに電気的に接続させることもできる。
【0052】
図5(a)〜(c)は、それぞれ本発明の実施形態における電子部品接続用基板の製造方法を工程順に示す断面図である。図5において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。以下の説明において、上記電子部品搭載用基板9および電子装置20における説明と同様の事項については説明を省略する。
【0053】
まず、図5(a)に示すように、複数のセラミックグリーンシート31を準備するとともに、その複数のセラミックグリーンシート31を積層してグリーンシート積層体32を作製する。セラミックグリーンシート31は、前述したように焼成されて絶縁基板1となるものであり、前述した絶縁基板1の作製方法と同様の材料を用い、同様の方法で作製することができる。セラミックグリーンシート31を積層する際には、上下方向に加圧して上下のセラミックグリーンシート31間の密着性を高めるようにしてもよい。
【0054】
次に、作製したグリーンシート積層体32の上面に有機樹脂層33を積層する。有機樹脂層33となる有機樹脂材料としては、ポリプロピレン樹脂等の炭化水素系の有機樹脂材料が挙げられる。
【0055】
有機樹脂層33は、例えば上記の有機樹脂材料を有機溶剤と混合して流動性を持たせたものをグリーンシート積層体32の上面に塗布し、その後、有機溶剤を除去することによって、グリーンシート積層体32の上面に積層することができる。また、上記の有機樹脂材料をシート状に成形したものを、グリーンシート積層体32の上面に貼り付けて積層する方法で積層することもできる。
【0056】
有機樹脂層33は、凸状端子3となる金属ペーストを充填するための貫通孔(後述)を絶縁基板1の上面に設けるためのものである。凸状端子3の高さは、有機樹脂層33の厚みと同じ程度の寸法になる。そのため、有機樹脂層33の厚みは、形成しようとする凸状端子3の高さと同じ程度の厚みに設定する。
【0057】
次に、図5(b)に示すように、樹脂層33からグリーンシート積層体32にかけて貫通する貫通孔34を形成する。貫通孔34は、グリーンシート積層体32の厚み方向の一部を貫通するものでもよい。
【0058】
貫通孔34は、例えばレーザ加工やドリル加工等の方法で形成することができる。貫通孔34のうち樹脂層33を貫通する部分は、凸状端子3を形成するための部分である。次の工程において、凸状端子3となる金属材料が貫通孔34内に充填される。そのため、この工程において形成する貫通孔34は、樹脂層33を貫通する部分において下端部から上端部に向かって漸次外側に開くように形成する必要がある。
【0059】
貫通孔34について、樹脂層33からグリーンシート積層体32の厚み方向の一部にかけて貫
通するものを形成した場合には、前述したような、凸状端子3と貫通導体4とが一体的に形成された電子部品搭載用基板9を製作することができる。
【0060】
次に、上記形態で形成した貫通孔34内に金属ペースト35を充填する。金属ペースト35を作成する金属材料は、前述した凸状端子3および貫通導体4となる金属材料を用いることができる。金属材料としてタングステンを用いる場合であれば、タングステンの粉末を有機溶剤および有機バインダとともに混練して、所定の粘度に調整することによって金属ペースト35を作製する。貫通孔34内への金属ペースト35の充填は、例えばスクリーン印刷法によって行なう。
【0061】
なお、グリーンシート積層体32にも貫通孔34を形成するとともに貫通孔34内に金属ペースト35を積層する場合には、有機樹脂層33を積層する前に、この積層体32における貫通孔34の形成および金属ペースト35の充填をしておいてもよい。
【0062】
その後、グリーンシート積層体32、有機樹脂層33および金属ペースト35を同時に加熱して、グリーンシート積層体32および金属ペースト35を焼成するとともに、有機樹脂層35を除去する。これによって、図5(c)に示すような電子部品搭載用基板9aを製作することができる。
【0063】
このとき、上記のように、貫通孔34が有機樹脂層33からグリーンシート積層体32の厚み方向の一部にかけて貫通したものであれば、金属ペースト35のうち凸状端子3となる部分と貫通導体4となる部分とが同時焼成されて、一体的に形成された凸状端子3と貫通導体4となる。
【0064】
このような電子部品接続用基板9aの製造方法によれば、上記各工程を備えていることから、絶縁基板1の上面となるセラミックグリーンシート31の表面(特に、絶縁基板1の上面となる表面)に金属ペーストを印刷することなく凸状端子3を形成することができる。また、凸状端子3となる金属ペースト35は、隣り合う凸状端子3同士に間において有機樹脂層33によって隔てられている。そのため、凸状端子3の一部が絶縁基板1の上面に広がることを抑制して、電子部品搭載用基板9aを製作することができる。
【0065】
また、有機樹脂層33の除去が容易であるため、上記構成の電子部品搭載用基板9,9aの生産性が高い。
【0066】
また、製作した電子部品搭載用基板9aにおいて、上記実施形態の電子部品搭載用基板9と同様に、凸状端子3に接続される導電性接続材5の広がりも効果的に抑制される。したがって、電子部品10の電極11が接続される凸状端子3の隣接間隔を小さくすることが容易な電子部品搭載用基板9aを製造する方法を提供することができる。
【0067】
なお、絶縁基板1の内部および下面等に他の導体6を形成する場合には、絶縁基板1となるセラミックグリーンシート31の主面や、あらかじめ形成しておいた貫通孔(図示せず)の内部に、上記凸状端子3となる金属ペースト35と同様の金属ペーストを塗布または充填しておけばよい。この、他の導体6となる金属ペーストを印刷または充填したセラミックグリーンシート31を積層した後に焼成すれば、例えば図1に示したような、内部および下面に他の導体6を有する電子部品搭載用基板9,9aを製作することができる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・・絶縁基板
2・・・・搭載部
3・・・・凸状端子
4・・・・貫通導体
5・・・・導電性接続材
6・・・・他の導体
7・・・・めっき層
9,9a・電子部品搭載用基板
10・・・・電子部品
11・・・・電極
20・・・・電子装置
31・・・・セラミックグリーンシート
32・・・・グリーンシート積層体
33・・・・有機樹脂層
34・・・・貫通孔
35・・・・金属ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の搭載部を含む上面を有している絶縁基板と、
前記搭載部において前記絶縁基板の前記上面から突出して設けられた凸状端子とを備えており、
該凸状端子の側面が、その下端部から上端部に向かって外側に傾斜していることを特徴とする電子部品搭載用基板。
【請求項2】
前記絶縁基板の前記上面から内部に向かって前記絶縁基板の厚み方向の少なくとも一部を貫通する貫通導体をさらに備えており、
該貫通導体と前記凸状端子とが一体的に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載用基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子部品搭載用基板と、
電極を有しているとともに前記搭載部に搭載された電子部品とを備えており、
前記電子部品の前記電極が前記電子部品接続用の前記凸状端子の上面に導電性接続材を介して接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
複数のセラミックグリーンシートを準備するとともに、該複数のセラミックグリーンシートを積層してグリーンシート積層体を作製する工程と、
該グリーンシート積層体の上面に有機樹脂層を積層する工程と、
少なくとも前記樹脂層を厚み方向に貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内に金属ペーストを充填する工程と、
前記グリーンシート積層体、前記有機樹脂層および前記金属ペーストを同時に加熱して、前記グリーンシート積層体および前記金属ペーストを焼成するとともに、前記有機樹脂層を除去する工程とを備えており、
前記貫通孔を形成する工程において、前記貫通孔の前記樹脂層を貫通する部分における内側面を、下端部から上端部に向かって外側に傾斜させることを特徴とする電子部品搭載用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−115244(P2013−115244A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260289(P2011−260289)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】