説明

電子錠制御システム

【課題】電子錠が正当な利用者以外の人によって不正に開錠される危険を少なくする。
【解決手段】電子錠制御装置は、操作部が電子錠の開錠を指示する操作を受け付けると、ROMに記憶されている電子錠IDを管理装置に送信する。管理装置は、送信されてきた電子錠IDを受信すると、受信した電子錠IDと対応付けて記憶されている電話番号を特定し、特定した電話番号宛にその電子錠IDを転送する。携帯電話機は、メロディー音を表す音声信号に、転送されてきた電子錠IDを重畳し、電子錠IDが重畳された音声信号に応じたメロディー音を放音する。電子錠制御装置は、放音されたメロディー音を収音すると、そのメロディー音を表す音声信号から電子錠IDを抽出し、抽出した電子錠IDとROMに記憶されている電子錠IDとが一致する場合には、電子錠を開錠させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子錠を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
施錠・開錠を電気的に行う電子錠が知られている。例えば、特許文献1には、ドアホン機能と電子錠の制御機能とを有する電話装置が開示されている。また、特許文献2には、利用者によって予め登録されたパスワードが発音されたときに、電子錠の施錠・開錠を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開平05−14532号公報
【特許文献2】特開平08−170458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1、2に記載の技術では、電子錠の施錠・開錠を行うには、電話装置を操作したり、パスワードを発音したりといった利用者の作業が必要となる。仮に、この作業内容が悪意のある人に知られてしまった場合には、正当な利用者以外の人によって電子錠が不正に開錠されてしまう恐れがある。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、正当な利用者以外の人によって電子錠が不正に開錠される危険を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る電子錠制御システムの第1の構成は、通信端末と、電子錠制御装置とを備え、前記通信端末は、前記電子錠制御装置から送信されてきた識別情報を取得し、音声を表す音声信号に当該識別情報を重畳して出力する重畳手段と、前記重畳手段から出力された音声信号に応じた音声を放音する放音手段とを備え、前記電子錠制御装置は、自装置に割り当てられた識別情報と、前記通信端末に割り当てられた通信アドレスとを対応付けて記憶する記憶手段と、利用者による操作を受け付ける操作手段と、前記操作手段が電子錠の開錠を指示する操作を受け付けると、前記記憶手段に記憶されている前記識別情報を、当該識別情報と対応付けて記憶されている前記通信アドレス宛に送信する送信手段と、前記通信端末の前記放音手段から放音された音声を収音し、当該音声を表す音声信号を出力する収音手段と、前記収音手段によって出力された音声信号から前記識別情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記識別情報と、前記記憶手段に記憶されている識別情報とが一致する場合には、前記電子錠を開錠させる開錠制御手段とを備えることを特徴とする。
【0005】
また、本発明に係る電子錠制御システムの第2の構成は、管理装置と、複数の通信端末と、複数の電子錠制御装置とを備え、前記管理装置は、各々の前記電子錠制御装置に割り当てられた識別情報と、複数の前記通信端末のいずれかに割り当てられた通信アドレスとを対応付けて記憶する通信アドレス記憶手段と、前記電子錠制御装置から送信されてきた識別情報を取得し、取得した当該識別情報と対応付けて前記通信アドレス記憶手段に記憶されている通信アドレスを特定する通信アドレス特定手段と、前記通信アドレス特定手段によって特定された通信アドレス宛に、前記取得した識別情報を転送する転送手段とを備え、各々の前記通信端末は、前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた識別情報を取得し、音声を表す音声信号に当該取得した識別情報を重畳して出力する重畳手段と、前記重畳手段から出力された音声信号に応じた音声を放音する放音手段とを備え、各々の前記電子錠制御装置は、自装置に割り当てられた識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、利用者による操作を受け付ける操作手段と、前記操作手段が電子錠の開錠を指示する操作を受け付けると、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報を前記管理装置に送信する識別情報送信手段と、前記通信端末の前記放音手段から放音された音声を収音し、当該音声を表す音声信号を出力する収音手段と、前記収音手段によって出力された音声信号から前記識別情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記識別情報と、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報とが一致する場合には、前記電子錠を開錠させる開錠制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の第3の構成は、上記第1の構成又は第2の構成において、前記通信端末の前記重畳手段は、前記識別情報を取得したときに放音する着信音を表す音声信号に当該取得した識別情報を重畳して出力し、前記通信端末の前記放音手段は、前記重畳手段から出力された音声信号に応じた着信音を放音することを特徴とする。
【0007】
本発明の第4の構成は、上記第2の構成において、前記通信端末は、利用者によって入力された認証情報を送信する認証情報送信手段を備え、前記管理装置の前記通信アドレス記憶手段は、前記通信端末に割り当てられた通信アドレスと、当該通信端末の利用者によって予め登録された認証情報とを対応付けて記憶し、前記管理装置の前記転送手段は、通信端末の前記認証情報送信手段から送信されてきた認証情報と、前記通信アドレス特定手段によって特定された通信アドレスに対応付けて前記通信アドレス記憶手段に記憶されている認証情報とが一致する場合には、当該通信アドレス宛に前記取得した識別情報を転送することを特徴とする。
【0008】
本発明の第5の構成は、上記第2の構成において、前記電子錠制御装置の前記識別情報送信手段は、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に所定の期限を表す期限情報を付加して前記管理装置に送信し、前記管理装置の前記転送手段は、前記取得した識別情報に付加された期限情報の表す所定の期限が過ぎた場合には、当該識別情報の転送を行わず、前記所定の期限が過ぎていない場合には、当該識別情報と前記期限情報とを転送し、又は、前記通信端末の前記重畳手段は、前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた前記期限情報の表す所定の期限が過ぎた場合には、前記取得した識別情報の重畳を行わず、前記所定の期限が過ぎていない場合には、前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた識別情報および期限情報を取得して、音声を表す音声信号に当該識別情報および期限情報を重畳して出力し、又は、前記電子錠制御装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって出力された音声信号から前記識別情報および期限情報を抽出し、前記開錠制御手段は、前記抽出手段によって抽出された前記期限情報の表す所定の期限が過ぎた場合には、前記電子錠の開錠を行わないことを特徴とする。
【0009】
本発明の第6の構成は、上記第2の構成において、前記電子錠制御装置は、前記操作手段が電子錠の開錠を指示する操作を受け付ける度に、当該操作を受け付けたときからその次の操作を受け付けるまでの期間又は当該操作を受け付けたときから所定の期間は有効な一時情報を生成する一時情報生成手段を備え、前記電子錠制御装置の前記識別情報送信手段は、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報と、前記一時情報生成手段によって生成された一時情報とを前記管理装置に送信し、前記管理装置の前記転送手段は、前記電子錠制御装置から送信されてきた前記一時情報と、前記取得した識別情報とを転送し、前記通信端末の前記重畳手段は、前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた一時情報および識別情報を取得し、音声を表す音声信号に当該取得した一時情報および識別情報を重畳して出力し、前記電子錠制御装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって出力された音声信号から前記一時情報および識別情報を抽出し、前記電子錠制御装置の前記開錠制御手段は、前記抽出手段によって抽出された前記識別情報と、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報とが一致し、且つ、前記抽出手段によって抽出された前記一時情報と、前記一時情報生成手段によって生成された一時情報とが一致する場合には、前記電子錠を開錠させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、正当な利用者以外の人によって電子錠が不正に開錠される危険を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[構成]
(電子錠制御システムの構成)
図1は、本実施形態に係る電子錠制御システム1の構成を模式的に示す図である。この電子錠制御システム1は、管理装置10と、複数の携帯電話機20と、複数の電子錠制御装置30とによって構成されている。なお、図では、ドア2、電子錠3及び電子錠制御装置30が1組しか示されていないが、実際にはこれらは複数組ある。電子錠制御装置30は、家のドア2に設けられた電子錠3を制御する装置である。この電子錠3は、電子錠制御装置30の制御に従って、ドア2の施錠又は開錠を行うようになっている。管理装置10は、複数の電子錠制御装置30を一括して管理する管理センターなどに設置されており、インターネットなどのネットワークNを介して各々の電子錠制御装置30に接続されている。また、この管理装置10は、公衆交換電話網や移動体通信網などを含む電話網Mを介して、各々の電子錠制御装置30の正当な利用者が所持する携帯電話機20と通信を行うようになっている。この電話網Mの移動体通信網は、図示していないが、携帯電話機20と無線通信を行う無線基地局や、無線基地局に接続された交換機などによって構成されている。
【0012】
(管理装置の構成)
次に、管理装置10の構成について説明する。図2は、管理装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この管理装置10は、制御部11と、第1通信部12と、第2通信部13と、記憶部14とを備えている。制御部11は、管理装置10の各部を制御するとともに、各種の処理を行う。この制御部11は、プログラムに従って処理を実行するCPU(Central Processing Unit)11aと、CPU11aによって用いられるプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)11bと、CPU11aのワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)11cなどを備えている。例えば、このCPU11aは、電子錠制御装置30の正当な利用者が所持する携帯電話機20の電話番号を特定する通信アドレス特定手段として機能する。
【0013】
第1通信部12は、ネットワークNに接続し、このネットワークNを介して電子錠制御装置30との通信を確立する。第2通信部13は、電話網Mに接続し、この電話網Mを介して携帯電話機20との通信を確立する。例えば、この第2通信部13は、CPU11aと協働して、電子錠制御装置30から送信されてきた電子錠IDを、その電子錠制御装置30の正当な利用者が所持する携帯電話機20に転送する転送手段として機能する。記憶部14は、ハードディスクなどを備えた通信アドレス記憶手段であり、携帯電話機20の利用者に対する音声メッセージを表す音声メッセージ情報や管理テーブルTなどを記憶している。
【0014】
図3は、記憶部14に記憶されている管理テーブルTの一例を示す図である。同図に示すように、この管理テーブルTには、「電子錠ID」と「電話番号」と「パスワード」とが対応付けられて記述されている。「電子錠ID」は、各々の電子錠制御装置30に割り当てられた識別情報である。「電話番号」は、電子錠制御装置30の正当な利用者の所持する携帯電話機20の電話番号である。この電話番号は、携帯電話機20に割り当てられた通信アドレスとして利用される。「パスワード」は、電子錠制御装置30の正当な利用者によって予め登録された文字や数字の列からなる情報である。例えば、管理テーブルTでは、電子錠IDとして「01」が割り当てられた電子錠制御装置30の正当な利用者が、「090−XXXX−XXXX」という電話番号が割り当てられた携帯電話機20を所持していることを表している。また、この正当な利用者によって登録されたパスワードが「1234」であることを表している。
【0015】
(携帯電話機の構成)
次に、携帯電話機20の構成について説明する。携帯電話機20は、利用者によって所持される通信端末である。図4は、携帯電話機20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この携帯電話機20は、制御部21と、操作部22と、表示部23と、無線通信部24と、収音部25と、放音部26と、音声処理部27とを備えている。制御部21は、携帯電話機20の各部を制御するとともに、各種の処理を行う。この制御部21は、上述した管理装置10の制御部11と同様に、プログラムに従って処理を実行するCPU21aと、CPU21aによって用いられるプログラムを記憶するROM21bと、CPU21aのワークエリアとして使用されるRAM21cなどを備えている。このROM21bには、着信音を表す音声情報や、メロディー音を表す音声情報などが記憶されている。
【0016】
操作部22は、各種の操作ボタンなどを備え、利用者の操作を受け付けて、その操作に応じた信号をCPU21aに供給する。この操作部22は、通話状態への移行を指示する通話ボタンや、0〜9の数字を入力するための数字入力ボタンなどを備えている。表示部23は、液晶ディスプレイなどを備え、CPU21aによって供給されるデータに応じた画像を表示する。無線通信部24は、アンテナなどを備え、電話網Mの無線基地局に無線で接続し、この電話網Mを介して管理装置10との通信を確立する。例えば、この無線通信部24は、CPU21aと協働して、利用者によって入力された認証情報であるパスワードを送信する認証情報送信手段として機能する。収音部25は、マイクロホンなどを備え、利用者から発せられた音声などを収音し、収音した音声を表す音声信号を音声処理部27に供給する。放音部26は、スピーカなどを備えた放音手段であり、音声処理部27から供給された音声信号に応じた音声を放音する。
【0017】
音声処理部27は、収音部25によって供給される音声信号や放音部26に供給する音声信号に各種の処理を施す。例えば、音声処理部27は、収音部25から供給された音声信号をA/D変換してCPU21aに供給する処理や、CPU21aによって供給されたデータをD/A変換して放音部26に供給する処理を行う。また、音声処理部27は、CPU21aによって供給されたデータをASK(Amplitude Shift Keying)方式やDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)方式などで変調して変調信号を生成した後、メロディー音を表す音声信号にその変調信号を重畳して出力する重畳手段として機能する。
【0018】
(電子錠制御装置の構成)
次に、電子錠制御装置30の構成について説明する。図5は、電子錠制御装置30の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この電子錠制御装置30は、制御部31と、操作ボタン32と、通信部33と、収音部34と、音声処理部35とを備えている。制御部31は、電子制御装置30の各部を制御するとともに、各種の処理を行う。この制御部31は、上述した管理装置10の制御部11と同様に、プログラムに従って処理を実行するCPU31aと、CPU31aによって用いられるプログラムを記憶するROM31bと、CPU31aのワークエリアとして使用されるRAM31cなどを備えている。例えば、このCPU31aは、電子錠3を開錠させる開錠制御手段として機能する。また、ROM31bは、識別情報記憶手段であり、自装置に割り当てられた電子錠IDを記憶する。
【0019】
操作ボタン32は、利用者による電子錠3の開錠を指示する操作を受け付ける操作手段であり、この操作に応じた信号をCPU31aに供給する。通信部33は、ネットワークNに接続し、このネットワークNを介して管理装置10との通信を確立する。例えば、この通信部33は、CPU31aと協働して、自装置に割り当てられた電子錠IDを送信する送信手段として機能する。収音部34は、マイクロホンなどを備えた収音手段であり、携帯電話機20などから発せられた音声を収音し、収音した音声を表す音声信号を出力する。音声処理部35は、収音部34によって出力された音声信号に各種の処理を施す。例えば、音声処理部35は、収音部34によって出力された音声信号から変調信号を抽出し、抽出した変調信号を復調して元のデジタルデータを生成する抽出手段として機能する。
【0020】
[動作]
次に、電子錠制御システム1の処理について説明する。図6は、電子錠制御システム1の処理を示すフロー図である。利用者は、電子錠3を開錠させたい場合、その電子錠3を制御する電子錠制御装置30の操作ボタン32を押す。利用者によって操作ボタン32が押下されると、電子錠制御装置30のCPU31aはその操作を検出する(ステップS10)。続いて、CPU31aは、ROM31bに記憶されている電子錠IDを読み出して、通信部33から管理装置10に送信する(ステップS20)。ここでは、「01」という電子錠IDがROM31bに記憶されており、この電子錠IDが管理装置10に送信される場合を想定する。
【0021】
電子錠IDが送信されてくると、管理装置10のCPU11aは、この電子錠IDを第1通信部12によって受信する(ステップS30)。続いて、CPU11aは、記憶部14に記憶されている管理テーブルTにおいて、受信した電子錠IDと対応付けて記憶されている電話番号を特定する(ステップS40)。すなわち、CPU11aは、電子錠制御装置30から送信されてきた電子錠IDを取得し、記憶部14において、取得した電子錠IDと対応付けて記憶されている電話番号を特定する。この例では、電子錠IDとして「01」が受信されるため、図3に示した管理テーブルTにおいて、電子錠ID「01」と対応付けられた電話番号「090−XXXX−XXXX」が特定される。続いて、CPU11aは、特定した「090−XXXX−XXXX」という電話番号宛に第2通信部13から接続要求を送信することにより、その電話番号が割り当てられた携帯電話機20を呼び出す(ステップS50)。
【0022】
接続要求が送信されてくると、携帯電話機20のCPU21aは、この接続要求を無線通信部24によって受信することにより着信する(ステップS60)。このとき、CPU21aは、着信音を表す音声情報をROM21bから読み出して、音声処理部27に供給する。音声処理部27は、CPU21aによって供給された音声情報をアナログ信号である音声信号に変換して放音部26に供給し、この音声信号に応じた着信音を放音部26から放音させる。これにより、利用者に着信を知らせることができる。利用者は、着信音が鳴ると、操作部22の通話ボタンを押して、携帯電話機20を通話状態にする。利用者によって操作部22の通話ボタンが押下されると、携帯電話機20のCPU21aは、接続要求に対する応答を無線通信部24から行う(ステップS70)。
【0023】
携帯電話機20によって応答が行われると、管理装置10のCPU11aは、携帯電話機20の利用者に対してパスワードの入力を促す音声メッセージを表す音声メッセージ情報を記憶部14から読み出して、第2通信部13から送信する(ステップS80)。音声メッセージ情報が送信されてくると、携帯電話機20のCPU21aは、この音声メッセージ情報を無線通信部24によって受信して、音声処理部27に供給する。音声処理部27は、CPU21aによって供給された音声メッセージ情報をアナログ信号である音声信号に変換して放音部26に供給し、この音声信号に応じた音声メッセージを放音部26から放音させる(ステップS90)。音声メッセージが流れると、利用者は、この案内に従い、操作部22の数字入力ボタンを押して、自分が登録したパスワードである「1234」を入力する。利用者によって操作部22の数字入力ボタンが押されると、携帯電話機20のCPU21aは、入力されたパスワードをDTMF方式などにより無線通信部24から送信する(ステップS100)。
【0024】
携帯電話機20の利用者によって入力されたパスワードが送信されてくると、管理装置10のCPU11aは、そのパスワードを第2通信部13によって受信する。続いて、CPU11aは、受信したパスワードと、記憶部14の管理テーブルTにおいて電子錠ID「01」と対応付けられたパスワードとを照合する(ステップS110)。仮に、双方のパスワードが一致しなかった場合には、パスワードを入力した利用者が正当な利用者ではないことを意味するため、例えばエラーメッセージなどを第2通信部13から携帯電話機20に送信して、この処理を終了する。一方、双方のパスワードが一致した場合には、パスワードを入力した利用者が正当な利用者であることを意味するため、ステップS30において受信した電子錠IDを第2通信部13から携帯電話機20に転送する(ステップS120)。すなわち、CPU11aと第2通信部13とは協働して、携帯電話機20から送信されてきたパスワードと、記憶部14において、上述したステップS40にて特定された電話番号に対応付けて記憶されているパスワードとが一致する場合には、その電話番号宛に取得した電子錠IDを転送する。
【0025】
電子錠IDが送信されてくると、携帯電話機20のCPU21aは、その電子錠IDを無線通信部24によって受信する(ステップS130)。続いて、CPU21aは、メロディー音を表す音声情報を読み出して、受信した電子錠IDとこの音声情報とを音声処理部27に供給する。CPU21aによってこれらの情報が供給されると、音声処理部27は、まず、その電子錠IDを変調して変調信号を生成する。続いて、音声処理部27は、CPU21aによって供給された音声情報をアナログ信号である音声信号に変換し、生成した変調信号をこの音声信号に重畳して出力する(ステップS140)。すなわち、音声処理部27は、電子錠制御装置30から送信されてきた電子錠IDを取得し、音声を表す音声信号に電子錠IDを重畳して出力する。
【0026】
図7及び8を参照して具体的に説明すると、音声処理部27は、まず、図7に示す電子錠IDのバイナリデータd「01101・・・」に基づいて搬送波cの波形を変化させて、変調信号s1を生成する。図に示すように、変調信号s1は、バイナリデータdの「0」に相当する部分が振幅0となり、バイナリデータdの「1」に相当する部分が搬送波cの波形となる。なお、搬送波cの周波数は、人間の可聴域と重ならない帯域から適宜選択されるのが望ましく、例えば20kHz程度である。また、搬送波cの振幅は、重畳される音声信号の振幅よりも小さいことが望ましい。続いて、音声処理部27は、図8に示すメロディー音を表す音声信号s2に、生成した変調信号s1を重畳して、音声信号s3を生成する。このようにして、音声信号s3を生成すると、携帯電話機20の音声処理部27は、生成した音声信号s3を放音部26に供給し、この音声信号s3に応じたメロディー音を放音させる(ステップS150)。
【0027】
携帯電話機20を保持する利用者は、メロディー音が鳴ると、携帯電話機20を電子錠制御装置30に近づける。これにより、携帯電話機20から放音されたメロディー音は、空気中を伝搬して電子錠制御装置30に到達する。メロディー音が到達すると、電子錠制御装置30のCPU31aは、このメロディー音を収音部34によって収音する(ステップS160)。メロディー音を収音すると、収音部34は、そのメロディー音を表す音声信号s3を出力する。音声処理部35は、収音部34によって出力された音声信号s3から図8に示したような変調信号s1を抽出し、抽出した変調信号s1を復調して、図7に示した「01101・・・」というバイナリデータdを生成する(ステップS170)。具体的に説明すると、音声処理部35は、まず図7に示した搬送波cに用いた周波数を中心とする所定幅の帯域の成分を透過するバンドパスフィルタを用いて音声信号s3にフィルタ処理を施して、変調信号s1を抽出する。続いて、音声処理部35は、抽出された変調信号s1をその変調方式に応じた方式で復調し、バイナリデータdを生成する。すなわち、音声処理部35は、収音部34によって出力された音声信号から電子錠IDのバイナリデータdを抽出する。そして、音声処理部35は、生成したバイナリデータdを電子錠IDとしてCPU31aに供給する。
【0028】
電子錠IDが供給されると、CPU31aは、この電子錠IDと、ROM31bに記憶されている電子錠IDとを照合する(ステップS180)。仮に、双方が一致しなかった場合には、操作ボタン32を押下した利用者が正当な利用者ではないことを意味するため、CPU31aは例えばエラーメッセージなどを通信部33から管理装置10に送信して、この処理を終了する。一方、双方の電子錠IDとが一致した場合には、操作ボタン32を押下した利用者が正当な利用者であることを意味するため、CPU31aは電子錠3を開錠させる(ステップS190)。これにより、利用者は、ドア2を開けることができる。
【0029】
以上説明した実施形態によれば、仮に正当な利用者以外の人によって電子錠制御装置30の操作ボタン32が押されたとしても、電子錠制御装置30の電子錠IDは正当な利用者が所持する携帯電話機20にしか送信されないため、正当な利用者以外の人は、電子錠30を開錠させることができない。すなわち、電子錠3が正当な利用者以外の人によって不正に開錠される危険を少なくすることができる。また、電子錠3には、鍵穴が設けられていないため、ピッキングなどの犯罪行為が行われる心配がない。さらに、電子錠3は、従来の錠前のように鍵穴に鍵を差し込む必要がないため、暗闇でも容易に開錠を行うことができる。
【0030】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の各変形例を適宜組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した実施形態では、1台の管理装置10のみが設けられていたが、この管理装置10に代えて2台の管理装置10A、10Bを設け、管理装置10の機能をこれらの管理装置10A、10Bに分散させてもよい。この場合、管理装置10Aは、上述した制御部11、第1通信部12、記憶部14に加えて、管理装置10Bと通信を行う第3通信部を備える。また、管理装置10Bは、上述した制御部11、第2通信部13、記憶部14に加えて、管理装置10Aと通信を行う第4通信部を備える。つまり、管理装置10Aは、ネットワークNに接続されて、電子錠制御装置30との通信を担当し、管理装置10Bは、電話網Mに接続されて、携帯電話機20との通信を担当することになる。このとき、管理テーブルTは、管理装置10Aの記憶部14と管理装置10Bの記憶部14とにそれぞれ記憶されていてもよいし、管理装置10Aの記憶部14のみに記憶されていてもよい。次に、この変形例に係る動作について説明する。管理装置10Aは、上述したステップS30〜S40の処理を行った後、ステップS40において特定した電話番号を第3通信部から管理装置10Bに送信する。管理装置10Bは、管理装置10Aから送信されてきた電話番号に基づいて、上述したステップS50、S80、S110〜S120の処理を行う。この構成でも、上述した実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0031】
また、この構成において、管理テーブルTが管理装置10Bの記憶部14のみに記憶されていてもよい。この場合、管理装置10Aは、上述したステップS30の処理を行った後、ステップS30において受信した電子錠IDを第3通信部から管理装置10Bに送信する。管理装置10Bは、管理装置10Aから送信されてきた電子錠IDに基づいて、上述したステップS40〜S50、S80、S110〜S120の処理を行う。この構成によれば、異なるネットワーク毎に管理装置を設けた場合にも、上述した実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0032】
(変形例2)
上述した実施形態において、管理装置10のCPU11aは、ステップS50において携帯電話機20を呼び出してから応答が行われるまでの時間をカウントし、所定の時間を過ぎたら携帯電話機20の呼び出しを止めてもよい。これは、電子錠制御装置30の操作ボタン32を押したのが正当な利用者であれば、自分の携帯電話機20が呼び出されることがわかっているから、長い時間呼び出しを行う必要がないのに加えて、電子錠制御装置30の操作ボタン32を押したのが正当な利用者以外の人であれば、正当な利用者にとってはこの呼び出しが不要なものになるためである。また、この構成において、管理装置10のCPU11aは、所定の時間が過ぎても携帯電話機20から応答が行われなかった場合には、その旨を伝える通知情報を第1通信部12から電子錠制御装置30に送信してもよい。この場合、電子錠制御装置30には、画像、音声または発光で異常の発生を知らせる報知手段が設けられ、管理装置10から通知情報が送信されてきた場合には、この報知手段によって異常の発生を知らせる。
【0033】
(変形例3)
上述した実施形態において、電子錠制御装置30から送信される電子錠IDにタイムアウトとなる期限を表す期限情報を付加して、その期限が過ぎた場合には、上述した処理が中止されるようにしてもよい。この場合、電子錠制御装置30のCPU31aは、ステップS20において、ROM31bに記憶されている電子錠IDに、タイムアウトとなる期限を表す期限情報を付加して、通信部33から管理装置10に送信する。例えば、所定の期限が操作ボタン32の押下された時刻から10分以内であるとすると、「13:00」に操作ボタン32が押された場合には、その10分後である「13:10」という期限を表す期限情報が電子錠IDに付加される。電子錠IDの期限を確認する処理を電子錠制御装置30が行う場合、音声処理部35は、上述したステップS170において、収音部34によって出力された音声信号から電子錠IDと期限情報とを抽出する。そして、CPU31aは、音声処理部35によって抽出された期限情報が表す「13:10」という時刻が過ぎた場合には、上述したステップS180以降の処理を行わない。これは、電子錠制御装置30の操作ボタン32を押したのが正当な利用者であれば、全ての処理が速やかに行われるはずであるから、期限(タイムアウト)となる時間内にステップS170までの処理が行われなかった場合には、電子錠制御装置30の操作ボタン32を押したのが正当な利用者ではない可能性が高いからである。
【0034】
また、電子IDの期限を確認する処理を管理装置10が行ってもよい。この場合、管理装置10のCPU11aは、電子錠制御装置30から送信されてきた電子錠IDに付加された期限情報が表す「13:10」という時刻が過ぎた場合には、上述したステップS120においてその電子錠IDの送信を行わず、この時刻が過ぎていない場合には、上述した実施形態と同様にして、その電子錠IDと期限情報とを転送する。
あるいは、電子IDの期限を確認する処理を携帯電話機20が行ってもよい。この場合、携帯電話機20の音声処理部27は、管理装置10から転送されてきた期限情報の表す「13:10」という時刻が過ぎた場合には、上述したステップS140において電子錠IDの重畳を行わず、この時刻が過ぎていない場合には、上述した実施形態と同様にして、管理装置10から送信されてきた電子錠IDおよび期限情報を取得し、音声を表す音声信号にその電子錠IDおよび期限情報を重畳して出力する。
この電子IDの期限を確認する処理は、上述したように管理装置10、携帯電話機20又は電子錠制御装置30のいずれかで行われてもよいし、2つ以上の装置で行われてもよい。
【0035】
また、ここでは、操作ボタン32の押下された時刻から10分以内の時刻を所定の期限として設定した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、管理装置10が電子錠IDを受信した時刻を基準としてタイムアウトとなる期限を設定し、管理装置10のCPU11aが、設定した期限を表す期限情報を電子錠IDに付加して携帯電話機20に送信してもよい。
【0036】
(変形例4)
上述した実施形態では、正当な利用者によって登録されたパスワードが、管理装置10の記憶部14に管理テーブルTとして記憶されていたが、パスワードの格納場所は管理装置10に限らない。例えば、正当な利用者によって登録されたパスワードが、電子錠制御装置30のROM31bに記憶されていてもよい。この場合、電子錠制御装置30のCPU31aは、上述したステップS20において、ROM31bから電子錠IDとパスワードとを読み出して、通信部33から管理装置10に送信する。そして、管理装置10のCPU11aは、ステップS110において、電子錠制御装置30から送信されてきたパスワードと、利用者によって入力されたパスワードとを照合し、双方のパスワードが一致すれば、ステップS120の処理を行う。この構成によれば、利用者によって登録されたパスワードを管理装置10において一括して管理する必要がなくなる。また、このパスワードに代えて、利用者の指紋や虹彩、音声などの生体情報が利用者の認証情報として利用されてもよい。
【0037】
(変形例5)
上述した実施形態では、電子錠IDの照合によって電子錠3の開錠を行っていたが、さらに、ワンタイムパスワードの照合を行ってもよい。この場合、電子錠制御装置30のCPU31aは、一時情報生成手段として機能し、電子錠3の開錠を指示する操作である操作ボタン32の押下を受け付ける度に、その操作を受け付けたときからその次の操作を受け付けるまでの期間又はその操作を受け付けたときから所定の期間は有効な一時情報をワンタイムパスワードとして生成する。この一時情報は、ランダムな文字や数字の列からなる情報である。そして、CPU31aは、ステップS20において、ROM31bに記憶されている電子錠IDと生成したワンタイムパスワードとを、通信部33から管理装置10に送信する。
【0038】
この場合、管理装置10のCPU11aは、上述したステップS120において、電子錠制御装置30から送信されてきた電子錠IDとワンタイムパスワードとを転送する。また、携帯電話機20の音声処理部27は、上述したステップS140において、管理装置10から転送されてきた電子錠IDおよびワンタイムパスワードを取得し、取得した電子錠IDおよびワンタイムパスワードを変調して変調信号を生成し、メロディー音を表す音声信号にこの変調信号を重畳して出力する。さらに、電子錠制御装置30の音声処理部35は、上述したステップS170において、収音部34によって出力された音声信号から変調信号を抽出し、変調信号を復調して電子錠IDとワンタイムパスワードとを生成する。
【0039】
そして、電子錠制御装置30のCPU31aは、上述したステップS180において、上述と同様にして電子錠IDを照合するとともに、音声処理部35から供給されたワンタイムパスワードと、生成されたワンタイムパスワードとを照合し、双方の電子錠IDが一致し、且つ、双方のワンタイムパスワードとが一致する場合には、電子錠3を開錠させる。この構成によれば、各々の電子錠制御装置30のROM31bに記憶されている電子錠IDを不正に入手した人により、複数の電子錠3が一斉に開錠される危険を少なくすることができる。
また、この変形例5と上述した変形例3とを組み合わせてもよい。この場合、電子錠制御装置30から送信される電子錠IDには、ワンタイムパスワードに加えて、タイムアウトとなる期限を表す期限情報が付加され、その期限が過ぎた場合には処理が中止されるようになる。これにより、電子錠3のセキュリティーを一層高めることができる。
【0040】
(変形例6)
上述した実施形態では、管理装置10によってパスワードの照合が行われた後、電子錠IDが携帯電話機20に送信されていたが、このパスワードの照合を省略してもよい。この場合、管理装置10のCPU11aは、上述したステップS50において携帯電話機20を呼び出す時に、電子錠IDを付加した接続要求を第2通信部13から送信する。そして、携帯電話機20の音声処理部27は、管理装置10から送信されてきた接続要求に付加された電子錠IDを取得し、取得した電子錠IDを変調した変調信号を、電子錠IDを取得したときに放音する着信音を表す音声信号に重畳して、放音部26から放音させる。なお、電子錠IDの付加は、発番号通知サービスを提供するための既存の技術と同様の方法で行うことができる。これにより、利用者がパスワードを入力する手間を省くことができるとともに、電子錠IDの送信を速やかに行うことができる。
【0041】
(変形例7)
上述した実施形態では、複数の電子錠制御装置30を一括して管理する管理装置10が設けられていたが、このような一括管理を行う必要がない場合には管理装置10を設けなくてもよい。この場合、電子錠制御装置30には、電話網Mに接続し、その電話網Mを介して携帯電話機20との通信を確立する第5通信部が設けられる。また、電子錠制御装置30のROM31bは、記憶手段であり、上述した管理装置10の記憶部14と同様に、携帯電話機20の利用者に対する音声メッセージを表す音声メッセージ情報や、自装置に割り当てられた「電子錠ID」と、自装置の正当な利用者が所持する携帯電話機20の「電話番号」と、自装置の正当な利用者によって登録された「パスワード」とが対応付けられた管理テーブルなどを記憶する。そして、電子錠制御装置30のCPU31aは、上述したステップS10の処理の後、ステップS40〜S50、S80、S110〜S120の処理を行う。すなわち、CPU31aと通信部33とは協働して、操作ボタン32が電子錠3の開錠を指示する操作を受け付けたときに、ROM31bに記憶されている電子錠IDを、その電子錠IDと対応付けて記憶されている電話番号宛に送信する送信手段として機能する。この構成によれば、管理装置10を設けなくても上述した実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0042】
(変形例8)
上述した実施形態では、正当な利用者が所持する携帯電話機20の通信アドレスとして電話番号が使われていたが、これに限らない。例えば、携帯電話機20が電子メール機能を備えている場合には、上述した電話番号に代えてメールアドレスが使われてもよい。この場合、管理装置10のCPU11aは、上述したステップS120において、電子錠IDが記述された電子メールを携帯電話機20のメールアドレス宛に送信する。そして、携帯電話機20のCPU21aは、管理装置10から送信されてきた電子メールを無線通信部24によって受信し、受信した電子メールから電子錠IDを取得する。
【0043】
(変形例9)
上述した電子錠制御装置30は、来客を知らせるドアホンに適用されてもよい。また、電子錠制御装置30と電子錠3とが一体の装置として形成されてもよい。また、セキュリティーを高めるために、利用者の指紋、虹彩、声紋、静脈または顔形などを読み取って認証を行う生体認証装置を電子錠制御装置30に設けてもよい。この場合、電子錠制御装置30のCPU31aは、上述したステップS180の照合において双方の電子錠IDが一致し、且つ、生体認証装置によって正当な利用者であることが認証された場合には、電子錠3を開錠させる。
また、上述した実施形態では、本発明に係る通信端末を携帯電話機20に適用した場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。本発明に係る通信端末としては、例えば、上述した制御部21、無線通信部24、音声処理部27、放音部26などの構成を備えるPDA(Personal Digital Assistants)装置やカードキーなどの装置が適用されてもよい。
【0044】
(変形例10)
上述した携帯電話機20の音声処理部27の処理は、ハードウェア回路によって実現されてもよいし、CPU21aがプログラムを実行することによって実現されてもよい。同様に、電子錠制御装置30の音声処理部35の処理は、ハードウェア回路によって実現されてもよいし、CPU31aがプログラムを実行することによって実現されてもよい。また、管理装置10のCPU11a、携帯電話機20のCPU21a、電子錠制御装置30のCPU31aによって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る電子錠制御システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】上記電子錠制御システムの管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】上記管理装置に記憶されている管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】上記電子錠制御システムの携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図5】上記電子錠制御システムの電子錠制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】上記電子錠制御システムの処理を示すフロー図である。
【図7】上記携帯電話機における変調処理を説明する図である。
【図8】上記携帯電話機における重畳処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
1…電子錠制御システム、10…管理装置、11…制御部、11a…CPU、11b…ROM、11c…RAM、12…第1通信部、13…第2通信部、14…記憶部、20…携帯電話機、21…制御部、21a…CPU、21b…ROM、21c…RAM、22…操作部、23…表示部、24…無線通信部、25…収音部、26…放音部、27…音声処理部、30…電子錠制御装置、31…制御部、31a…CPU、31b…ROM、31c…RAM、32…操作ボタン、33…通信部、34…収音部、35…音声処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と、電子錠制御装置とを備え、
前記通信端末は、
前記電子錠制御装置から送信されてきた識別情報を取得し、音声を表す音声信号に当該識別情報を重畳して出力する重畳手段と、
前記重畳手段から出力された音声信号に応じた音声を放音する放音手段とを備え、
前記電子錠制御装置は、
自装置に割り当てられた識別情報と、前記通信端末に割り当てられた通信アドレスとを対応付けて記憶する記憶手段と、
利用者による操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段が電子錠の開錠を指示する操作を受け付けると、前記記憶手段に記憶されている前記識別情報を、当該識別情報と対応付けて記憶されている前記通信アドレス宛に送信する送信手段と、
前記通信端末の前記放音手段から放音された音声を収音し、当該音声を表す音声信号を出力する収音手段と、
前記収音手段によって出力された音声信号から前記識別情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記識別情報と、前記記憶手段に記憶されている識別情報とが一致する場合には、前記電子錠を開錠させる開錠制御手段とを備える
ことを特徴とする電子錠制御システム。
【請求項2】
管理装置と、複数の通信端末と、複数の電子錠制御装置とを備え、
前記管理装置は、
各々の前記電子錠制御装置に割り当てられた識別情報と、複数の前記通信端末のいずれかに割り当てられた通信アドレスとを対応付けて記憶する通信アドレス記憶手段と、
前記電子錠制御装置から送信されてきた識別情報を取得し、取得した当該識別情報と対応付けて前記通信アドレス記憶手段に記憶されている通信アドレスを特定する通信アドレス特定手段と、
前記通信アドレス特定手段によって特定された通信アドレス宛に、前記取得した識別情報を転送する転送手段とを備え、
各々の前記通信端末は、
前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた識別情報を取得し、音声を表す音声信号に当該取得した識別情報を重畳して出力する重畳手段と、
前記重畳手段から出力された音声信号に応じた音声を放音する放音手段とを備え、
各々の前記電子錠制御装置は、
自装置に割り当てられた識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
利用者による操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段が電子錠の開錠を指示する操作を受け付けると、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報を前記管理装置に送信する識別情報送信手段と、
前記通信端末の前記放音手段から放音された音声を収音し、当該音声を表す音声信号を出力する収音手段と、
前記収音手段によって出力された音声信号から前記識別情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記識別情報と、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報とが一致する場合には、前記電子錠を開錠させる開錠制御手段とを備える
ことを特徴とする電子錠制御システム。
【請求項3】
前記通信端末の前記重畳手段は、
前記識別情報を取得したときに放音する着信音を表す音声信号に当該取得した識別情報を重畳して出力し、
前記通信端末の前記放音手段は、前記重畳手段から出力された音声信号に応じた着信音を放音する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子錠制御システム。
【請求項4】
前記通信端末は、
利用者によって入力された認証情報を送信する認証情報送信手段を備え、
前記管理装置の前記通信アドレス記憶手段は、
前記通信端末に割り当てられた通信アドレスと、当該通信端末の利用者によって予め登録された認証情報とを対応付けて記憶し、
前記管理装置の前記転送手段は、通信端末の前記認証情報送信手段から送信されてきた認証情報と、前記通信アドレス特定手段によって特定された通信アドレスに対応付けて前記通信アドレス記憶手段に記憶されている認証情報とが一致する場合には、当該通信アドレス宛に前記取得した識別情報を転送する
ことを特徴とする請求項2記載の電子錠制御システム。
【請求項5】
前記電子錠制御装置の前記識別情報送信手段は、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報に所定の期限を表す期限情報を付加して前記管理装置に送信し、
前記管理装置の前記転送手段は、前記取得した識別情報に付加された期限情報の表す所定の期限が過ぎた場合には、当該識別情報の転送を行わず、前記所定の期限が過ぎていない場合には、当該識別情報と前記期限情報とを転送し、
又は、前記通信端末の前記重畳手段は、前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた前記期限情報の表す所定の期限が過ぎた場合には、前記取得した識別情報の重畳を行わず、前記所定の期限が過ぎていない場合には、前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた識別情報および期限情報を取得して、音声を表す音声信号に当該識別情報および期限情報を重畳して出力し、
又は、前記電子錠制御装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって出力された音声信号から前記識別情報および期限情報を抽出し、前記開錠制御手段は、前記抽出手段によって抽出された前記期限情報の表す所定の期限が過ぎた場合には、前記電子錠の開錠を行わない
ことを特徴とする請求項2記載の電子錠制御システム。
【請求項6】
前記電子錠制御装置は、
前記操作手段が電子錠の開錠を指示する操作を受け付ける度に、当該操作を受け付けたときからその次の操作を受け付けるまでの期間又は当該操作を受け付けたときから所定の期間は有効な一時情報を生成する一時情報生成手段を備え、
前記電子錠制御装置の前記識別情報送信手段は、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報と、前記一時情報生成手段によって生成された一時情報とを前記管理装置に送信し、
前記管理装置の前記転送手段は、前記電子錠制御装置から送信されてきた前記一時情報と、前記取得した識別情報とを転送し、
前記通信端末の前記重畳手段は、前記管理装置の前記転送手段から転送されてきた一時情報および識別情報を取得し、音声を表す音声信号に当該取得した一時情報および識別情報を重畳して出力し、
前記電子錠制御装置の前記抽出手段は、前記収音手段によって出力された音声信号から前記一時情報および識別情報を抽出し、
前記電子錠制御装置の前記開錠制御手段は、前記抽出手段によって抽出された前記識別情報と、前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報とが一致し、且つ、前記抽出手段によって抽出された前記一時情報と、前記一時情報生成手段によって生成された一時情報とが一致する場合には、前記電子錠を開錠させる
ことを特徴とする請求項2記載の電子錠制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−263892(P2009−263892A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111482(P2008−111482)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】