説明

電池パック、電池パックの製造方法、蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システム

【課題】電池パックの信頼性を向上させる。
【解決手段】電池パックは、電池と、前記電池と接続され、端子部が形成される基板と、前記電池および前記基板の周囲に配され、前記端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、前記電池と前記基板と前記外装部材とを一体化するとともに、前記端子部と前記開口との間に孔が形成される成型部とを備え、前記端子部は、前記孔および前記開口を介して外部に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば2次電池の電池パックと、電池パックの製造方法、電池パックを使用した蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン2次電池等の電池を含む電池パックは、モバイル電子機器、電動車両、バックアップ電源等として広く使用されている。一般的に、電池パックは、1または複数の2次電池(セルとも称される)と、電池の電圧、電流、温度を検出する検出部を含む保護回路とがラミネートフィルム、合成樹脂ケース等の外装によって一体化されている構成とされる。電池パックは、認証抵抗、認証回路を有する場合もある。
【0003】
電子機器の小型軽量化実現のために、電池設計も軽く、薄型であり、かつ機器内の収納スペースを効率的に使うことが求められている。このような要求を満たす電池として、エネルギー密度および出力密度の大きいリチウムイオン2次電池が好適である。
【0004】
リチウムイオン2次電池は、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることができる正極及び負極を有する電池素子を備え、この電池素子を金属缶や金属ラミネートフィルムに封入すると共に、電池素子と電気的に接続した回路基板によって制御するようになっている。
【0005】
リチウムイオン2次電池に関して、多くの提案がなされている。例えば、下記特許文献1には、ケースと蓋体とによって電池素子を収納したリチウムイオン2次電池が記載されている。下記特許文献2には、ポリアミド系の合成樹脂を素材にして樹脂モールドを形成した電池パックが記載されている。下記特許文献3には、素電池の周囲に樹脂モールドを形成した電池パックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−244844号公報
【特許文献2】特開2009−117084号公報
【特許文献3】特開2004−362873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電池パックは、電池ケースと基板との間に空間が生じている。電池パックが振動した際に内部で基板が振動し、振動によって生じた隙間から水分や異物が混入してしまう問題があった。特許文献2の電池パックに使用されているポリアミド系の樹脂は、他の樹脂に比べて接着性が低いため、振動に弱く、電池パックが落下した際に内部の基板が破損しやすいという問題があった。さらに、樹脂層が剥がれやすいという問題があった。特許文献3の電池パックは、素電池の外周部のみに樹脂モールドを形成した構成であるため、電池パック全体の強度が劣るという問題があった。
【0008】
したがって、本開示の目的の一つは、例えば、耐衝撃性に優れ、信頼性が向上した電池パックを提供することにある。さらに、電池パックの製造方法、および、電池パックが使用される蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本開示における電池パックは、例えば、
電池と、電池と接続され、端子部が形成される基板と、電池および基板の周囲に配され、端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、電池と基板と外装部材とを一体化するとともに、端子部と開口との間に孔が形成される成型部とを備え、端子部は、孔および開口を介して外部に露出する電池パックである。
【0010】
本開示における電池パックの製造方法は、例えば、
電池と、端子部が形成される回路基板と、電池および回路基板の周囲に配され、回路基板と対向する位置に開口が形成される外装部材とからなる電池部品を、型の成型空間内に収納し、成型空間内に反応硬化性樹脂を注入し、注入した反応硬化性樹脂を硬化させ、開口を開放するとともに、開口と端子部との間に孔を形成する電池パックの製造方法である。
【0011】
本開示における蓄電システムは、例えば、
電池と、電池と接続され、端子部が形成される基板と、電池および基板の周囲に配され、端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、電池と基板と外装部材とを一体化するとともに、端子部と開口との間に孔が形成される成型部とを備え、端子部は、孔および開口を介して外部に露出する電池パックが、再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システムである。
【0012】
本開示における蓄電システムは、例えば、
電池と、電池と接続され、端子部が形成される基板と、電池および基板の周囲に配され、端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、電池と基板と外装部材とを一体化するとともに、端子部と開口との間に孔が形成される成型部とを備え、端子部は、孔および開口を介して外部に露出する電池パックを有し、
電池パックに接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。
【0013】
本開示における電子機器は、例えば、
電池と、電池と接続され、端子部が形成される基板と、電池および基板の周囲に配され、端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、電池と基板と外装部材とを一体化するとともに、端子部と開口との間に孔が形成される成型部とを備え、端子部は、孔および開口を介して外部に露出する電池パックから電力の供給を受ける電子機器である。
【0014】
本開示における電動車両は、例えば、
電池と、電池と接続され、端子部が形成される基板と、電池および基板の周囲に配され、端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、電池と基板と外装部材とを一体化するとともに、端子部と開口との間に孔が形成される成型部とを備え、端子部は、孔および開口を介して外部に露出する電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
電池パックに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両である。
【0015】
本開示における電力システムは、例えば、
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を有し、電力情報送受信部が受信した情報に基づき、電池パックの充放電制御を行う電力システムであり、
電池パックは、電池と、電池と接続され、端子部が形成される基板と、電池および基板の周囲に配され、端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、電池と基板と外装部材とを一体化するとともに、端子部と開口との間に孔が形成される成型部とを備え、端子部は、孔および開口を介して外部に露出する電池パックである。
【0016】
本開示における電力システムは、例えば、
電池と、電池と接続され、端子部が形成される基板と、電池および基板の周囲に配され、端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、電池と基板と外装部材とを一体化するとともに、端子部と開口との間に孔が形成される成型部とを備え、端子部は、孔および開口を介して外部に露出する電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から電池パックに電力を供給する電力システムである。
【発明の効果】
【0017】
少なくとも一つの実施形態によれば、例えば、電池パックの耐衝撃性が向上させることができ、電池パックの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本開示における電池パックの外観の例を示す斜視図である。
【図2】電池素子の外装フィルムによる被膜工程の一例の説明に用いる略線図である。
【図3】電池素子の一例の説明に用いる斜視図である。
【図4】電池部品の樹脂成形時の説明に用いる略線図である。
【図5】電池部品の断面の一例を示す略線図である。
【図6】成型部の成形工程の一例の説明に用いる略線図である。
【図7】金型に電池部品を収納した状態の一例を示す略線図である。
【図8】金型に反応硬化性樹脂を注入した状態の一例を示す略線図である。
【図9】反応硬化性樹脂が硬化した後に取り出された電池パックの一例を示す略線図である。
【図10】第1の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図11】第1の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図12】第1の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図13】第1の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図14】第2の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図15】第2の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図16】第2の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図17】第2の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図18】第3の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図19】第3の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図20】第3の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図21】第3の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図22】第3の実施形態における電池パックの製造方法の一例を説明するための略線図である。
【図23】電池パックの応用例を説明するための略線図である。
【図24】電池パックの他の応用例を説明するための略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
<2.第2の実施形態>
<3.第3の実施形態>
<4.応用例>
<5.実施例>
<6.変形例>
なお、以下に説明する実施形態等は、本開示の好適な具体例であり、これらの実施形態等に限定されないものとする。
【0020】
<1.第1の実施形態>
「電池パックの一例」
図1に示すように、電池パック1は、例えば、偏平な直方体の外観を有し、枠形状の外装部材(フレームとも称される)11、電池12および電池12の回路基板13が反応硬化性樹脂からなる成型部(外装体)10によって一体的に被覆された構成を有する。電池12は、例えばラミネートフィルムによって包装されたリチウムイオン2次電池である。
【0021】
外装部材11は、例えば、トップカバー部、ボトムカバー部、両側のサイドカバー部とから構成される。トップカバー部には、例えば、複数個の開口が形成されている。図1に示す例では、トップカバー部に開口14a、開口14b、開口14cが形成されている。なお、それぞれの開口を区別する必要がない場合は、開口14と適宜、総称する。
【0022】
成型部10における回路基板13の端子部とトップカバー部との間に、孔16が形成されている。例えば、所定の端子部と開口14aとの間に孔16aが記載されている。回路基板13に形成されている端子部が、孔16および開口14を介して、外部に露出している。例えば、孔16aおよび開口14aを介して正極端子の端子部が露出している。例えば、孔16bおよび開口14bを介してグランド用の端子部が露出している。例えば、孔16cおよび開口14cを介して負極端子の端子部が露出している。なお、開口は3個に限られない。例えば、電池パック1が接続される外部機器と通信を行うための通信端子が露出する開口15がトップカバー部に形成されていてもよい。
【0023】
なお、後述するように、正極と負極とをセパレータを介して巻回又は積層して成る素子を電池素子と称し、電池素子をラミネートフィルムによって被覆した構成を電池と称し、電池および回路基板を樹脂で一体に成型したものを電池パックと称する。
【0024】
上述したように、回路基板13と電池12を成型部10により一体的に固着している。しかしながら、回路基板13と電池12の位置関係は種々の形態を取ることができる。例えば、直接成形された電池と回路基板を別々に作成し、電池と回路基板とを嵌合、溶接するなどしても良い。
【0025】
回路基板13には、ヒューズ、熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)、サーミスタ等の温度保護素子を含む保護回路の他、電池パックを識別するためのID抵抗等の回路部品がマウントされ、更に複数個(例えば2個または3個)の端子部が形成されている。保護回路には、充放電制御FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)、2次電池の監視と充放電制御FETの制御を行うIC(Integrated Circuit)等が設けられている。
【0026】
熱感抵抗素子は電池素子と直列に接続され、電池の温度が設定温度に比して高くなると、電気抵抗が急激に高くなって電池に流れる電流を実質的に遮断する。ヒューズも電池素子と直列に接続され、電池に過電流が流れると、自身の電流により溶断して電流を遮断する。また、ヒューズはその近傍にヒータ抵抗が設けられており、過電圧時にはヒータ抵抗の温度が上昇することにより溶断して電流を遮断する。
【0027】
さらに、2次電池の端子電圧が例えば4.3V〜4.4Vを超えると、発熱・発火など危険な状態になる可能性がある。このため、保護回路は2次電池の電圧を監視し、電圧が4.3V〜4.4Vを越えて過充電状態となった場合には充電制御FETをオフして充電を禁止する。さらに2次電池の端子電圧が放電禁止電圧以下まで過放電し、2次電池電圧が0Vになると2次電池が内部ショート状態となり再充電不可能となる可能性がある。このため、2次電池電圧を監視して過放電状態となった場合には放電制御FETをオフして放電を禁止する。
【0028】
電池12の一例について説明する。電池12は、図2および図3に示すように、正極21と負極22とをセパレータ23a、23bを介して巻回又は積層して成る電池素子20を包装体であるラミネートフィルム27で包装したものである。図2に示すように、包装体であるラミネートフィルム27に形成した矩形板状の凹部27aに電池素子20が収容され、その周辺部(折曲部を除く三辺)が熱溶着・封止される。ラミネートフィルム27を接合する部分がテラス部である。凹部27aの両側のテラス部が凹部27aの方向に向けて折り曲げられる。
【0029】
なお、包装体であるラミネートフィルム27としては、従来公知の金属ラミネートフィルム、例えば、アルミニウムラミネートフィルムを用いることができる。アルミニウムラミネートフィルムとしては、絞り加工に適し、電池素子20を収容する凹部27aを形成するのに適したものがよい。
【0030】
通常、アルミニウムラミネートフィルムは、アルミニウム層の両面に接着層と表面保護層が配設された積層構造を有するもので、内側、即ち電池素子20の表面側から順に、接着層としてのポリプロピレン層(PP層)、金属層としてのアルミニウム層および表面保護層としてのナイロン層又はポリエチレンテレフタレート層(PET層)が配設される。
【0031】
また、包装体であるラミネートフィルム27としては、アルミニウムラミネートフィルムのほかに、一層又は二層のフィルムであり且つポリオレフィンフィルムを含むものとすることができる。ラミネートフィルム27の厚さは、例えば0.2mm以下である。
【0032】
図3に示すように、帯状の正極21と、セパレータ23aと、正極21と対向して配置された帯状の負極22と、セパレータ23bとが順に積層され、積層体が長手方向に巻回される。正極21および負極22の両面にはゲル状の電解質24が塗布されている。電池素子20からは、正極21と接続された正極リード25aと、負極22と接続された負極リード25bとが導出されている。正極リード25aおよび負極リード25bには、後に外装するラミネートフィルム27との接着性を向上させるために、無水マレイン酸変性されたポリプロピレン(PPa)等の樹脂片であるシーラント26aおよび26bが被覆されている。
【0033】
電池12の構成要素についてより具体的に説明する。但し、以下に述べる電池以外の電池に対しても、本開示を適用することができる。例えば電解質は、ゲル状のものに限らず、液状、固体状のものを使用しても良い。さらに、帯状の正極と、セパレータと、負極とを巻く形式ではなく、プレート状のこれらの構成要素を積層する形式の電池に対しても本開示を適用できる。
【0034】
(正極)
正極21は、正極活物質を含有する正極活物質層が正極集電体の両面上に形成されてなるものである。正極集電体としては、例えばアルミニウム(Al)箔,ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔が用いられる。
【0035】
正極活物質層は、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。正極活物質としては、LiXMO2(式中、Mは、一種以上の遷移金属を表し、xは、電池12の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である)を主体とする、リチウムと遷移金属との複合酸化物が用いられる。リチウム複合酸化物を構成する遷移金属としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)等が用いられる。
【0036】
このようなリチウム複合酸化物として、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等が挙げられる。また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。例えば、ニッケルコバルト複合リチウム酸化物(LiNi0.5Co0.52、LiNi0.8Co0.22等)がその例として挙げられる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。さらに、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2、V25等のリチウムを有しない金属硫化物または金属酸化物を使用してもよい。正極活物質としては、これら材料を複数混合して用いてもよい。
【0037】
また、導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。また、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が用いられる。また、溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が用いられる。
【0038】
(負極)
負極22は、負極活物質を含有する負極活物質層が負極集電体の両面上に形成されてなるものである。負極集電体としては、例えば銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔が用いられる。
【0039】
負極活物質層は、例えば負極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金またはリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料または金属系材料と炭素系材料との複合材料が用いられる。具体的に、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料としてはグラファイト、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等が挙げられ、より具体的には熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。さらに、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2、Li4Ti512といったLxTiyOz系等の酸化物を使用することができる。
【0040】
また、リチウムを合金化可能な材料としては多様な種類の金属等が使用可能であるが、スズ(Sn)、コバルト(Co)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)およびこれらの合金がよく用いられる。金属リチウムを使用する場合は、必ずしも粉体を結着剤で塗布膜にする必要はなく、圧延したリチウム金属板でも構わない。
【0041】
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が用いられる。また、溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン(MEK)、蒸留水等が用いられる。
【0042】
(電解質)
電解質は、リチウムイオン2次電池に一般的に使用される電解質塩と非水溶媒が使用可能である。非水溶媒としては、具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、またはこれらの炭酸エステル類の水素をハロゲンに置換した溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、複数種を所定の組成で混合してもよい。
【0043】
電解質塩としては、非水溶媒に溶解するものが用いられ、カチオンとアニオンが組み合わされてなる。カチオンにはアルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl-,Br-,I-,SCN-,ClO4-,BF4-,PF6-,CF3SO3-等が用いられる。具体的には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO22)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C25SO22)過塩素酸リチウム(LiClO4)等が挙げられる。電解質塩濃度としては、溶媒に溶解することができる濃度であれば問題ないが、リチウムイオン濃度が非水溶媒に対して0.4mol/kg以上2.0mol/kg以下の範囲であることが好ましい。
【0044】
ポリマー電解質を用いる場合は、非水溶媒と電解質塩とを混合してゲル状とした電解液をマトリクスポリマに取り込むことでポリマー電解質を得る。マトリクスポリマは、非水溶媒に相溶可能な性質を有している。このようなマトリクスポリマとしては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドおよびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等が用いられる。また、フッ素系ポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体、フッ化ビニリデン(VdF)とトリフルオロエチレン(TFE)とを繰り返し単位に含む共重合体等のポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0045】
ポリマー電解質中にはSi、Al、Ti、Zr、Wの何れかを含む金属酸化物、乃至複合酸化物を含むことが好ましい。異常時の絶縁性を確保し、安全性、信頼性を高めると共に、高温時の膨れ抑制効果も期待できるからである。
【0046】
(セパレータ)
セパレータ23aおよび23bは、例えばポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンの多孔質フィルムが最も有効である。
【0047】
一般的にセパレータの厚みは5μm以上50μm以下が好適に使用可能であるが、7μm以上30μm以下がより好ましい。セパレータは、厚すぎると活物質の充填量が低下して電池容量が低下するとともに、イオン伝導性が低下して電流特性が低下する。逆に薄すぎると、膜の機械的強度が低下する。
【0048】
図4は、樹脂成型される前の段階における電池パック1の構成要素を示す。電池パック1は、上述したように、主要な構成要素として外装部材11、電池12、回路基板13を備える。そして、外装部材11と電池12と回路基板13とが成型部10によって一体化される。
【0049】
外装部材11は、例えば、枠形状とされ、外装部材11の内部に収納空間が形成されている。外装部材11の形状は、枠形状に限らず、コ字状や一面が開放された箱体などでもよい。例えば、外装部材11のトップカバー部には、回路基板13に形成されている端子部に対応した開口14a、開口14b、開口14cが形成されている。通信用の端子部に対応した開口15が形成されていてもよい。
【0050】
外装部材11のトップカバー部の内面と電池12の端面との間隙に、回路基板13が収納される。収納された回路基板13は、トップカバー部の内面に対して、例えば、リベット止めにより密着して固定される。回路基板13を外装部材11の内面に密着して固定することで、流動性の高い反応硬化性樹脂が回路基板13の端子部に流れ込むことを防止できる。さらに、後述の反応硬化性樹脂を充填し、成形を行う工程において、回路基板13を正確に位置決めできる。
【0051】
上述したように、回路基板13には、複数個の端子部が形成されている。例えば、正極端子の端子部17a、グランド用の端子部17b、負極端子の端子部17cの3つの端子部が回路基板13に形成されている。なお、個々の端子部を区別する必要がない場合は、端子部17と適宜、総称する。通信用の端子部18が回路基板13に形成されていてもよい。さらに、回路基板13には、上述した保護回路等の回路部品19がマウントされている。外装部材11に対して回路基板13が取り付けられると、開口14a、開口14b、開口14c、開口15を通じて端子部17a、端子部17b、端子部17cおよび端子部18が外部に露出する。
【0052】
さらに、外装部材11の内部の収納空間に電池12が収納される。そして電池12の正極リード25aと負極リード25bとが回路基板13の所定箇所に接続される。なお、樹脂成型される前の段階における電池パック1の構成要素を電池部品30と総称する。電池部品30を反応硬化性樹脂からなる成型部10により一体成型することで、電池パック1が形成される。
【0053】
「第1の実施形態における電池パックの製造方法について」
図5は、電池部品30の一例を示す。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、通信用の端子部18および開口15の図示を省略している。また、図7から図13、図15から図22までの図面では、説明の理解を容易にするために開口14を実線で示している。電池12の端面とトップカバー部の内面との間隙に回路基板13が収納されている。回路基板13の所定箇所に対して、電池12の正極リード25aおよび負極リード25bが接続されている。電池12および回路基板13の周囲には、外装部材11が配されている。外装部材11の、例えば、トップカバー部に開口14が形成されている。
【0054】
電池部品30に対して、例えば、上型41および下型42からなる金型を使用して成型部10が形成される。金型の上型41と下型42との接合面は、平面とされている。上型41および下型42は、例えば、金属、プラスチックまたはセラミックス材料からなる。例えば、下型42には、図示しない二個のゲート穴が設けられている。二個のゲート穴のうち、一のゲート穴は、硬化前の反応硬化性樹脂が流れ込む通路に使用され、他方のゲート穴は、成型時に反応硬化性樹脂が吐き出される通路として使用される。反応硬化性樹脂の詳細は後述するが、反応硬化性樹脂は、端子部17に対する接着性が弱い樹脂である。
【0055】
図6に示すように、例えば、下型42には、電池部品30とほぼ同一の大きさとされる成型用のキャビティCA1(成型空間)が形成される。キャビティCA1に電池部品30が収納され、電池部品30が収納された後に、上型41および下型42の接合面が密着される。そして、一のゲート穴を介して反応硬化性樹脂が注入される。反応硬化性樹脂の硬化後に、上型41および下型42が離型され、電池部品30が成型部によって被覆された電池パックが成形される。
【0056】
ところで、キャビティCA1内に電池部品30を収納した状態で反応硬化性樹脂を注入すると、端子部17が成型部によって埋没してしまう。この点について説明する。図7は、例えば、下型42のキャビティCA1に電池部品30を収納した状態を示す。図7に示す状態で、上型41と下型42とが接合し、図示しないゲート穴から反応硬化性樹脂50が注入される。図8は、キャビティCA1に反応硬化性樹脂50が注入された状態を示す。溶融した反応硬化性樹脂50が開口14に流れ込んでいる。反応硬化性樹脂50の硬化後に、上型41および下型42が離型し、キャビティCA1から電池パックが取り出される。
【0057】
図9Aは、取り出された電池パックを示す。電池パックには、反応硬化性樹脂50が硬化することにより成型部51が形成されている。成型部51により外装部材11、電池12、回路基板13が一体的に成形されている。図9Bは、トップカバー部の近傍を拡大して示したものである。図9Bに示すように、開口14に反応硬化性樹脂50が流れ込み、硬化した反応硬化性樹脂50によって開口14が封止されている。開口14が封止されているため、端子部17が外部に露出せず、端子部17が外装部材11の内部で埋没している。このため、端子部17を外部機器と接続することができない。
【0058】
そこで、第1の実施形態では、反応硬化性樹脂50が硬化した後に、開口14を開放するとともに、孔16を形成することで端子部17を外部に露出させる。例えば、外装部材11の外部における開口14の近傍に余剰樹脂部を形成し、余剰樹脂部を除去することで、端子部17を外部に露出させる。
【0059】
第1の実施形態では、例えば、上型43および下型44からなる金型が使用される。例えば、下型44には、電池部品30を収納するためのキャビティCA2が形成される。キャビティCA2は、さらに、空間Sを有する。空間Sは、下型44の、外装部材11の外部において開口14と連通する位置に形成される。図示は省略しているが、例えば、下型44には、溶融した反応硬化性樹脂50が流れ込む通路に使用されるゲート穴と、成型時に反応硬化性樹脂50が吐き出される通路として使用されるゲート穴とが形成されている。
【0060】
図10は、下型44のキャビティCA2に電池部品30が収納された状態を示す。図10に示すように、下型44には、電池部品30が収納された状態で、外装部材11の外部における開口14と連通する位置に、空間Sが形成されている。空間Sは、余剰樹脂部を形成するための空間とされる。空間Sは、例えば、端子部17の高さと略同一の高さを有する。なお、空間Sは、形成する余剰樹脂部の大きさ・形状に応じて、適切な大きさ・形状に設定される。
【0061】
図11は、上型43と下型44とが接合し、キャビティCA2に反応硬化性樹脂50が注入された状態を示す。注入された反応硬化性樹脂50は、開口14と連通する空間Sに流れ込む。注入された反応硬化性樹脂50が硬化する。そして、上型43と下型44とが離型し、キャビティCA2から電池パックが取り出される。
【0062】
図12は、取り出された電池パックを示す。この状態の電池パックには、余剰樹脂部60が形成されている。余剰樹脂部60は、空間Sで硬化した反応硬化性樹脂50と、端子部17から開口14に通じる空間で硬化した反応硬化性樹脂50とからなる。
【0063】
次に、図13Aに示すように、余剰樹脂部60を除去する。余剰樹脂部60を除去する処理は、例えば、余剰樹脂部60を把持した状態で余剰樹脂部60を折り曲げて、余剰樹脂部60を剥離して行われる。電動工具等の機械を使用して余剰樹脂部60を除去してもよい。ここで、反応硬化性樹脂50の端子部17に対する接着性は弱い。また、回路基板13と外装部材11のトップカバー部の内面との間の樹脂層の厚みは、トップカバー部の厚みに比して薄い。したがって、余剰樹脂部60は、外装部材11により規制された状態で、薄い樹脂層である、回路基板13と外装部材11のトップカバー部の内面との間の樹脂層から剥離される。開口14に対応する脚部を有する余剰樹脂部60が剥離されて、電池パック1が形成される。
【0064】
図13Bは、余剰樹脂部60が剥離された後の開口14の近傍を拡大して示したものである。余剰樹脂部60が剥離されることで、成型部10に対して孔16が形成され、孔16および開口14を介して端子部17が外部に露出する。例えば、正極端子の端子部17aが孔16aおよび開口14aを介して、外部に露出する。例えば、グランド用の端子部17bが孔16bおよび開口14bを介して、外部に露出する。例えば、負極端子の端子部17cが孔16cおよび開口14cを介して、外部に露出する。端子部17が外部に露出するため、電池パック1と外部機器とを電気的に接続することができる。
【0065】
なお、孔16の厚みは、一例として数十ミクロン程度とされる。外装部材11のトップカバー部の厚みは、例えば、数ミリ程度とされる。孔16の厚みをトップカバー部の厚みにより薄くすることで、余剰樹脂部60を容易に剥離できる。さらに、余剰樹脂部60を容易に剥離できるため、余剰樹脂部60を剥離した際に外装部材11が損傷することを防止できる。なお、余剰樹脂部60を剥離した後に、開口14および孔16に対してバリ取り処理が行われるようにしてもよい。
【0066】
なお、上述の製造方法において、反応硬化性樹脂50をキャビティCA2に充填するにあたっては、キャビティCA2に隙間が生じることを防ぐため、ある程度の圧力をかけて反応硬化性樹脂50を充填する必要がある。このため、圧力充填される反応硬化性樹脂50によって、電池部品30がキャビティCA2における所定位置から移動するのを抑えるために、種々の方策をとってもよい。例えば、反応硬化性樹脂50の注液を少なくとも2回以上に分け、注液しない部分によって電池部品30をキャビティCA2における所定位置に保持し得るようにしたうえで、反応硬化性樹脂50がキャビティCA2の隅々にまで流れこむようにしてもよい。例えば、同時に一体成形されるテープやゴム片、メッシュ状部品をセルに一周巻くなど位置決め部品を用いることができる。
【0067】
反応硬化性樹脂50の組成によっては、硬化時の発熱および二液混合から硬化までの硬化収縮が非常に大きくなるおそれがある。硬化時の発熱を抑制するためには、樹脂原料は十分に粘度の低い低分子の樹脂を吐出時は40℃以下の低温で吐出することが望ましい。キャビティCA2は、十分に容量の大きく、上型43および上型44は、熱伝導率の高いアルミやSUSなどの型を用いることが好ましい。硬化収縮については、金型に樹脂だまりを設け、必要樹脂量よりも十分に多い樹脂を吐出した上で、硬化収縮に伴う樹脂原料を樹脂だまりから供給する構造とすることが好ましい。
【0068】
「成型部の詳細」
電池パック1の成型部10の詳細について説明する。成型部10は、熱と反応して硬化する熱硬化性樹脂、紫外線と反応して硬化する紫外線硬化樹脂などの反応硬化性樹脂50により構成される。成型部10は、反応硬化性樹脂50が硬化されることにより形成された樹脂成形部材である。
【0069】
例えば、反応硬化性樹脂50の電池12の表面に対する第1の接着強度(接着性)と、反応硬化性樹脂50の端子部17に対する第2の接着強度(接着性)との関係は、(第1の接着強度)>(第2の接着強度)とされる。さらに、例えば、第1の接着強度と、第2の接着強度と、反応硬化性樹脂50の外装部材11に対する第3の接着強度(接着性)との関係は、(第1の接着強度)>(第3の接着強度)>(第2の接着強度)とされる。一例として、第1の接着強度は 30(N/mm2)であり、第2の接着強度は 4(N/mm2)であり、第3の接着強度は 10(N/mm2)である。もちろん、上述の接着強度は一例であり、反応硬化性樹脂50の組成によって異なる接着強度になる。
【0070】
第1の接着強度(接着性)を強くすることにより、外部からの衝撃の電池12への影響を低減でき、電池パック1の耐衝撃性を高めることができる。第2の接着強度を弱めることで、例えば、余剰樹脂部60を容易に剥離できる。第3の接着強度を、例えば、第1の接着強度より弱くし、第2の接着強度より強くすることで、外装部材11を成型部10により支持しつつ、余剰樹脂部60を容易に剥離できる。以下、反応硬化性樹脂50の詳細について説明する。
【0071】
<反応硬化性樹脂>
反応硬化性樹脂50としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0072】
<ウレタン樹脂>
ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとから製造されるものである。ウレタン樹脂としては、以下で定義する絶縁性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。絶縁性ポリウレタン樹脂は、25±5°C、65±5%RHで測定した体積固有値(Ω・cm)が、1010Ω・cm以上の硬化物を得ることができるものをいう。絶縁性ポリウレタン樹脂としては、誘電率が6以下で(1MHz)、絶縁性破壊電圧が15KV/mm以上のものが好ましい。
【0073】
絶縁性ポリウレタン樹脂は、ポリオールの酸素含有率、溶出イオン濃度または溶出イオンの種類の数などを調整することによって、得られる絶縁性硬化物の体積固有抵抗値を、1010Ω・cm以上、好ましくは1011Ω・cm以上に調整して得ることができる。特に体積固有抵抗値が1011Ω・cm以上であると、硬化物の絶縁性が良好に保持され、2次電池の保護回路基板と一括封止できる。体積固有抵抗値の測定は、JIS C 2105に従って行う。25±5°C、65±5%RHで、サンプル(厚さ:3mm)に500Vの測定電圧を印加し、60秒後の数値を測定する。
【0074】
ウレタン樹脂としては、ポリエステルポリオールを用いたポリエステル系、ポリエーテルポリオールを用いたポリエーテル系、その他のポリオールを用いたウレタン樹脂などが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、ポリオールは、粉体を含有してもよい。この粉体として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、カーボンなどの無機粒子、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリウレタン、ポリフェノールなどの有機高分子の粒子などが使用できる。これらは、単独または混合物として使用できる。粒子の表面は表面処理が施されても良く、ポリウレタン、ポリフェノールはフォーム粉で使用されてもよい。さらに、本開示において使用される紛体には多孔質のものも含まれる。
【0075】
<ポリオール>
<ポリエステル系>
ポリエステル系のポリオールは、脂肪酸とポリオールとの反応物である。脂肪酸としては、例えば、リシノール酸、オキシカプロン酸、オキシカプリン酸、オキシウンデカン酸、オキシリノール酸、オキシステアリン酸、オキシヘキサンデセン酸のヒドロキシ含有長鎖脂肪酸などが挙げられる。
【0076】
脂肪酸と反応するポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンおよびトリエタノールアミンなどの3官能ポリオール、ジグリセリンおよびペンタエリスリトールなどの4官能ポリオール、ソルビトールなどの6官能ポリオール、シュガーなどの8官能ポリオール、これらのポリオールに相当するアルキレンオキサイドと脂肪族、脂環族、芳香族アミンとの付加重合物や、該アルキレンオキサイドとポリアミドポリアミンとの付加重合物などが挙げられる。なかでも、リシノール酸グリセライド、リシノール酸と1、1、1−トリメチロールプロパンとのポリエステルポリオールなどが好ましい。
【0077】
<ポリエーテル系>
ポリエーテル系のポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、4、4' −ジヒドロキシフェニルプロパン、4、4' −ジヒドロキシフェニルメタンなどの2価アルコールまたはグリセリン、1、1、1−トリメチロールプロパン、1、2、5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加重合物などが挙げられる。
【0078】
<その他のポリオール>
その他のポリオールとして、主鎖が炭素−炭素よりなるポリオール、例えば、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、AN(アクリロニトリル)やSM(スチレンモノマー)を上述した炭素−炭素ポリオールにグラフト重合したポリオール、ポリカーボネートポリオール、PTMG(ポリテトラメチレングリコール)などが挙げられる。電池パックに直接成形するには弾性回復力が高く、耐薬品性に優れ、カーボネート系よりコストパフォーマンスに優れるポリエーテル系ポリオールを用いるのが好ましい。
【0079】
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートなどが使用できる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリトリレンポリイソシアネート(粗TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが挙げられる。この他に、上記ポリイソシアネートをカルボジイミドで変性したポリイソシアネート(カルボジイミド変性ポリイソシアネート)、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、エチレンオキシド変性ポリイソシアネート、ウレタンプレポリマー(例えばポリオールと過剰のポリイソシアネートとの反応生成物であってイソシアネート基を分子末端にもつもの)なども使用できる。これらは単独または混合物として使用してもよい。これらの中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネート、エチレンオキシド変性ポリイソシアネートが好ましい。
【0080】
反応硬化性樹脂50の性状により、電池パック1の耐熱性、難燃性、耐衝撃性、水分バリア性などの特性を向上することができる。例えば、ウレタン樹脂を用いた場合には、剛直なベンゼン環構造を持った上で最も低分子なイソシアネートであるジフェニルメタジンイソシアネート(MDI)をハードセグメント構造として用い、主剤のポリオールと硬化剤のイソシアネートの重量混合比率(主剤/硬化剤)を1以下、好ましくは0.7以下にすることが好ましい。これにより、架橋密度が高く、剛直で対称性のある分子鎖をもつ構造が得られ、耐熱性と良好な構造強度、ウレタン結合による難燃性の向上、注液性の高い樹脂粘度が得られる。
【0081】
但し、ジフェニルメタジンイソシアネート(MDI)成分が多いほど強度や水分バリア性の面では優れた特性を示すが、80wt%を越えるとMDIによるハードセグメント構造が多すぎて耐衝撃性に劣る結果となる。耐候性が特に要求される場合には、MDIに無黄変性のポリイソシアネートであるXDI系、IPDI系、HDI系を混合して用いることが好ましい。また架橋密度を高めるために主剤に架橋剤として低分子のトリメチロールプロパンなどを加えることが好ましい。
【0082】
反応硬化性樹脂50は、JIS K−7110 Izod Vノッチで求められる、衝撃強度が6kJ/m2 以上であることが好ましく、10kJ/m2 以上であることがより好ましい。衝撃強度が6kJ/m2 以上であると、1.9m落下試験および1m落下試験で優れた特性を持つからである。衝撃強度が10kJ/m2以上であると、市場で最も発生確率が高いと想定される落下試験で非常に優れた特性を得ることができるからである。ここで分子量分布(数平均分子量/重量平均分子量)が高いほど樹脂の流動性、成形性が向上するが、耐衝撃性は悪くなっていく傾向があるので、流動性は少なくとも粘度が80mPa・s以上であることが好ましく、200mPa・s以上600mPa・s以下の範囲で粘度を調節すると好適に使用できるため、より好ましい。
【0083】
反応硬化性樹脂50は、0.05mm以上0.4mm未満の厚みでのUL746C3/4インチ炎燃焼試験の規格で、延焼面積が25cm2 以下である難焼性が確保されることが好ましい。
【0084】
反応硬化性樹脂50として、ウレタン樹脂を用いた場合には、難燃性ポリオールとして、式(1)で表される構造を含むものが好ましい。ウレタン樹脂の構造内部に難燃成分を付与することで樹脂厚みが薄い場合に特に難燃性向上に効果があり、構造強度も確保できるからである。
PO(XR)3 ・・・・式(1)
(R=H、アルキル基、フェニル基、X=S、O、N、(CH2 )n :nは1以上の整数)
【0085】
上述のウレタン樹脂を用いない場合でも、反応硬化性樹脂50は、厚みが薄い場合にはガラス転移点(ガラス転移温度)を低くすれば、耐衝撃性が向上すると共に、樹脂がバーナーの炎で収縮し、実質の樹脂の厚みが厚くなって延焼しにくくなり、難燃性を向上できる。一方、ガラス転移点が低すぎたり、ガラス転移点が高すぎたりすると、強度や安全性が低下する傾向にある。
【0086】
したがって、反応硬化性樹脂50のガラス転移点は、60°C以上150°C以下であり、且つ溶融(分解)温度が200°C以上400°C以下であることが好ましい。さらに、ガラス転移点は、85°C以上120°C以下が好ましい。溶融(分解)温度は、240°C以上300°C以下がより好ましい。ガラス転移点が60°C未満であると、45°Cの環境温度で外装としての強度を確保するのが難しくなる。ガラス転移点が150°Cを超えると、誤使用時に電池が蓄えたエネルギーを放出するのが遅れて重大事故につながるおそれがある。
【0087】
ガラス転移温度を60°C以上150°C以下としても溶融(分解)温度が200°C以上400°C以下にすると、溶融分解による吸熱反応の寄与により、難燃性が向上する。溶融(分解)温度が200°C未満だと炭化の促進および断熱層の形成初期に吸熱することになるので、かえって難燃性に寄与できない。溶融(分解)温度が400°Cを超えても吸熱のタイミングが遅すぎてやはり難燃性に寄与できない
【0088】
反応硬化性樹脂50は、粘度が80mPa・s以上1000mPa・s未満であることが好ましい。粘度をこの範囲に調整することにより、電池12の最大面の被覆不良を抑制することができ、これにより、電池パック1の特性劣化を抑制することができる。さらに、反応硬化性樹脂50は熱可塑性樹脂よりも硬化までの時間が長いために流動性が優れる。しかしながら、粘度が高いと型の保持力も増大して生産装置が高価かつ生産性が低くなってしまい、電池パック1の外装部材11の薄肉化による体積エネルギー密度の向上と低コストが達成できない。粘度が低すぎると今後は逆に流動性が高すぎるために成型形金型からのバリ、回路基板への樹脂の染み出しにより生産速度が低下し、不良率があがるおそれがある。
【0089】
反応硬化性樹脂50(例えばウレタン樹脂)は、接着性であるために金属に強い接着性を持っており、熱可塑性樹脂とも極性基で接着して強靱な一体構造を得ることが可能である。熱可塑性のポリアミド樹脂も接着性を持つものの、接着力が弱いために、物理的な接着強化と高い充填圧力が必要であるが、反応硬化性樹脂50では、そうした制約がない。ウレタン樹脂の接着性と凝集構造の関係は明らかではないが、架橋密度を上げていくと接着性は落ちる傾向が見いだされた。したがって、接着部材として表面に活性水素が多い部材、ウレタン樹脂と水素結合を作りやすい極性基の多い部材を用いるのが好ましい。
【0090】
同様に部材との嵌合部にアンダーカット部を設けることで部材との分離を防ぐことや、部材表面を粗化したり、切れ込みを入れたりすることで実質の接着面積を増やすことは好ましい。さらに、硬化時の温度条件でウレタン樹脂の凝集構造をコントロールし、低温にすることで表面の極性基を増やして接着性を向上することや、高温にすることで接着性を落とし、金型との離型性をコントロールすることが好ましい。
【0091】
<添加剤>
反応硬化性樹脂50に、充填剤、難燃剤、消泡剤、防菌剤、安定剤、可塑剤、増粘剤、防黴剤、他の樹脂などの添加剤を含ませてもよい。
【0092】
難燃剤としては、トリエチルフォスフェート、トリス(2、3ジブロモプロピル)フォスフェートなどを用いることができる。その他の添加剤としては、三酸化アンチモン、ゼオライトなどの充填剤や顔料、染料などの着色剤を用いることができる。その他の添加剤としては、三酸化アンチモン、ゼオライトなどの充填剤や顔料、染料などの着色剤を用いることができる。
【0093】
<触媒>
反応硬化性樹脂50に、触媒を添加してもよい。触媒はイソシアネートとポリオール化合物の反応やイソシアネートの二量化、三量化を進行させる役割で添加され、公知の触媒を使用することができる。具体的にはトリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ペンタメチルヘキサンジアミン、ジメチルアミノエチルエーテル、トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、トリジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、三級アンモニューム塩などの三級アミンを用いることができる。
【0094】
金属系イソシアヌレート化触媒は、ポリオールの100重量部に対して0.5重量部以上20重量部以下の範囲で使用するのが好ましい。金属系イソシアヌレート化触媒が0.5重量部より少ないと、十分なイソシアヌレート化が起こらないので好ましくない。また、ポリオール100重量部に対する金属系イソシアヌレート化触媒の量を20重量部より多くしても、添加量に応じた効果が得られない。
【0095】
金属系イソシアヌレート化触媒としては、例えば、脂肪酸金属塩を挙げることができ、具体的には、ジブチルチンジラウレート、オクチル酸鉛、リシノール酸カリウム、リシノール酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウム、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0096】
他に触媒としては、有機スズ化合物が用いられ、例えば、トリ−n−ブチルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジクロライド、トリメチルチンハイドロオキサイドなどがあげられる。これら触媒はそのまま用いてもよいし、酢酸エチルなどの溶媒に、濃度が0.1〜20%となるように溶解して、イソシアネート100質量部に対して、固形分として0.01〜1質量部となるよう添加してもよい。このように、上記触媒の配合量は、そのまま、または溶剤に溶解した状態のいずれの場合においても、固形分として、イソシアネート100質量部に対して0.01〜1質量部となるよう添加するのが好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5質量部である。すなわち、触媒の配合量が0.01部未満のように少な過ぎると、ポリウレタン樹脂成形体の形成が遅く、樹脂状に硬化せず成形が困難となる。逆に、1質量部を超えると、樹脂の形成が極端に速くなり、形状維持ポリマー層として成形しにくいからである。
【0097】
<金属酸酸化物フィラー>
成型部10に金属酸化物フィラーを含むようにしてもよい。金属酸化物フィラーとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)の酸化物、またはこれら酸化物の任意の混合物を挙げることができる。このような金属酸化物フィラーは、この成型部10の硬さを向上する機能を果たし、反応硬化性樹脂50を含む層と接触した状態で配置され、例えば、この金属酸化物フィラーを反応硬化性樹脂50を含む層に混入してもよく、この場合、反応硬化性樹脂50を含む層の全体に亘って均一に散在していることが好ましい。
【0098】
金属酸化物フィラーの混入量は、反応硬化性樹脂50を含む層のポリマー種などに応じて適宜変更することができる。しかしながら、反応硬化性樹脂50を含む層の質量に対する混入量が3%未満の場合には、成型部10の硬さを十分に高め得ないことがある。一方、混入量が60%を超える場合には、製造時の成形性やセラミックの脆性による問題が発生することがある。したがって、反応硬化性樹脂50を含む層の質量に対する金属酸化物フィラーの混入量を2〜50%程度とすることが好ましい。
【0099】
また、金属酸化物フィラーの平均粒径を小さくすると、硬度が上がるものの成形時の充填性に影響して生産性に不具合を来たす可能性がある。一方、金属酸化物フィラーの平均粒径を大きくすると、目的の強度を得にくくなって電池パックとしての寸法精度を十分に得ることができない可能性がある。したがって、金属酸化物フィラーの平均粒径を0.1〜40μmとすることが好ましく、0.2〜20μmとすることがより好ましい。
【0100】
さらに、金属酸化物フィラーの形状としては、球状や鱗片状や板状や針状など様々な形状を採用することができる。特に限定されるものではないが、球状のものは、作製し易く平均粒径の揃ったものを安価に得られるので好ましく、針状でアスペクト比の高いものは、フィラーとして強度を高め易いので好ましい。さらに、鱗片状のものは、フィラーの含有量を増したときに充填性を高め得るので好ましい。なお、用途や材質に応じて、平均粒径の異なるフィラーを混合して用いたり、形状の異なるフィラーを混合して用いたりすることが可能である。
【0101】
成型部10は、金属酸化物の他に各種添加剤を含有することが可能である。例えば、反応硬化性樹脂50を含む層中に、紫外線吸収剤や、光安定剤や、硬化剤またはこれらの任意の混合物を添加して、金属酸化物フィラーと共存させることができる。
【0102】
<内部離型剤>
反応硬化性樹脂50は接着性に優れるが、接着性が強すぎると、例えば、余剰樹脂部60を剥離する際に外装部材11等の変形や損傷による外観不良を引き起こす虞がある。このため、カルナバワックスなどの天然系ワックス、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィン系ワックス、モンタン酸アミドなどのアミド系ワックス、モンタン酸エステルなどのエステル系ワックス、シリコーンオイルなどのシリコーン化合物、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸の金属塩類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの内部離型剤を添加することが好ましい。
特に、内部離型剤としてダイキン ポリフロンMPA FA500Hなどの繊維状フッ素系高分子を用いると、燃焼時に発煙物質並びに滴下物が生じたとしても滴下を抑制し、延焼を防止するので、生産性だけでなく難燃性も向上させることができるので好ましい。
【0103】
<エポキシ樹脂>
ここで、本開示に使用できるエポキシ樹脂について説明する。エポキシ樹脂は、エポキシプレポリマーと硬化剤とから製造されるものである。プレポリマーには、粉体を含有してもよい。この粉体として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、カーボンなどの無機粒子、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリウレタン、ポリフェノールなどの有機高分子の粒子などが使用できる。これらは、単独または混合物として使用できる。粒子の表面は表面処理が施されても良く、ポリウレタン、ポリフェノールはフォーム粉で使用されてもよい。さらに本開示において使用できる紛体には多孔質のものも含まれる。
【0104】
<プレポリマー>
ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、有機カルボン酸類のグリシジルエーテルなど公知のエポキシプレポリマーを用いることができる。さらに、本開示では、これらの1種又は2種以上を使用することができる。シクロヘクセンオキシドやエポキシ化ポリブタジエンなどの内部エポキシ型よりも、グリシジルエーテル型ないしグリシジルエステル型が硬化速度の上で好ましい。グリシジルエーテル型には例えばビスフェノールAのエポクロルヒドリン縮合物が挙げられる。またビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いるのが粘度の上で好ましい。
【0105】
<硬化剤>
硬化剤としては、アミン類、およびケチミンなどのアミン変性体、ポリアミド樹脂、イミダゾール類、ポリメルカプタン、酸無水物、光・紫外線硬化剤などが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0106】
<アミン類>
鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミンなどが挙げられる。鎖状脂肪族アミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、AMINE248などのヘキサメチレンジアミンおよびその誘導体が好ましい。環状脂肪族アミンはN-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、イソフオロンジアミン、ラミロンC-260、Araldit HY-964、S Cure211 乃至212、ワンダミンHM、1、3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、およびその誘導体が好ましい。
【0107】
脂肪芳香族アミンは、m−キシレンジアミン、ショーアミンX、アミンブラック、ショーアミンブラック、ショーアミンN 、ショーアミン1001、ショーアミン1010、およびその誘導体が好ましい。
【0108】
芳香族アミンは、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、およびその誘導体が好ましい。ポリメルカプタンは液状ポリメルカプタンおよびポリスルフィド樹脂をアミン類と混合して用いることが好ましい。
【0109】
酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、およびその誘導体が好ましい。メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、およびその誘導体がさらに好ましい。
【0110】
光・紫外線硬化剤としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスフェート、およびその誘導体が好ましい。電池パック1に直接成形するには、耐薬品性に優れ、速硬化性のアミン系硬化剤、乃至アミン系硬化剤より基板の腐食がしにくい酸無水物類を用いるのが好ましい。
【0111】
反応硬化性樹脂50の性状により、電池パック1の耐熱性、難燃性、耐衝撃性、水分バリア性などの特性を向上することができる。
【0112】
「外装部材の詳細」
外装部材11の詳細について説明する。外装部材11を構成する材料としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。電池パックとして切り替え頻度の大きな、トップ、ボトムなどの形状変化に対して、熱硬化性樹脂より成形サイクルが短い熱可塑性樹脂を用いることにより、迅速かつ安価に対応できるからである。
【0113】
さらに、外装部材11を構成する材料としては、ポリカーボネート、ポリプロピレンが好ましく、最も好ましいのはリン系難燃材ないしシリコン系難燃材を用いたポリカーボネートである。
【0114】
外装部材11と反応硬化性樹脂50からなる成型部10との接着性は、本開示における電池パック1の生産性と製品の接着強度を両立する上で重要である。本開示における発明者は検討の結果、外装部材11の材料に添加される難燃剤を調整することで、接着性が100倍以上変動することを見いだした。難燃剤を使用することで、外装部材11と成型部10との接着性を適切にコントロールでき、例えば、余剰樹脂部60を容易に剥離できるとともに、成型部10により一体的に被覆される電池パック1の強度を確保することができる。
【0115】
ポリプロピレンないしポリカーボネートに添加するリン系難燃材は公知のものを用いることが出来るが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート(TPP)、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリス2−エチルヘキシル)(TOP)が好ましく、TOPが最も好ましい。他にリン酸アンモニウム(APP)を単独、ないし窒素系有機物を混合して用いることは好ましく、エチレンジアミン、ポリトリアジンピペラジン、ペンタエリスリトール、トリヒドロキシエチルイソシアネートと混合使用することは好ましい。APPと混合使用するにはトリヒドロキシエチルイソシアネートが最も好ましい。
【0116】
ポリカーボネートにシリコン系難燃材を用いると燃焼時にChar層の生成が促進されるため、難燃性の向上に役立つだけでなく、接着性をコントロールできる。このため、例えば、余剰樹脂部60を容易に除去でき、生産性が向上する。
【0117】
シリコン系難燃材はシリコンポリマー粉末を添加するよりも共重合体とすることが好ましく、シリコンポリマーの主骨格にフェニル基を導入することが好ましい。シリコン種の添加・共重合量が高すぎると、電池12と外装部材11の接着が取れなくなり、充放電サイクルに伴う電池パック1の膨張収縮、高温保存に伴う膨れ、衝撃、ねじりに伴う応力により、剥離する虞がある。逆にシリコン種の添加・共重合量が低すぎると、例えば、余剰樹脂部60を除去する処理が簡便に出来なくなるので、シリコン種の添加・共重合量は0。2%以上、15%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは1%以上10%以下である。
【0118】
<2.第2の実施形態>
「第2の実施形態における電池パックの製造方法について」
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態において、電池パックの外観、構造等は、第1の実施形態における電池パック1と同様であるので、重複した説明を省略する。第2の実施形態では、電池部品30を成型空間内に収納した状態で樹脂を注入する。そして、開口14を開放するとともに、開口14と端子部17との間に孔16を形成する。例えば、封止部材を使用して孔16を形成する。以下、詳細に説明する。
【0119】
図14は、第1の実施形態で説明した下型44のキャビティCA2を示す。上述したように、下型44には、空間Sが形成されている。第2の実施形態では、キャビティCA2において、空間Sと、電池部品30が収納された際に、端子部17から開口14までの空間に対応する空間とを、封止部材61により封止する。封止部材61は、例えば、ゴム状の素材のものであり、開口14に応じた脚部を備えるものである。
【0120】
図15は、キャビティCA2に電池部品30を収納した状態を示す。キャビティCA2の空間Sが封止部材61により封止されている。さらに、開口14が封止部材61の脚部により封止されている。なお、電池部品30を先にキャビティCA2に収納した後に、封止部材61をキャビティCA2に収納してもよい。
【0121】
図16は、キャビティCA2に電池部品30を収納した状態で、反応硬化性樹脂50を注入した状態を示す。反応硬化性樹脂50は、例えば、下型44に形成されているゲート穴を介してキャビティCA2に注入される。封止部材61に遮蔽されるため、反応硬化性樹脂50は、封止部材61により封止された空間には、注入されない。注入された反応硬化性樹脂50が硬化する。
【0122】
反応硬化性樹脂50が硬化した後に電池パックが取り出される。そして、図17に示すように、取り出された電池パックから封止部材61が除去される。例えば、封止部材61を把持した状態で封止部材61を折り曲げることで、封止部材61が除去される。電動工具等の機械を使用して封止部材61が除去されてもよい。封止部材61が除去されることで、開口14が開放されるとともに、成型部10における外装部材11と端子部17との間に孔16が形成される。そして、孔16および開口14を介して端子部17が外部に露出する。例えば、孔16aおよび開口14aを介して端子部17aが外装部材11の外部に露出する。このようにして、第2の実施形態における電池パック1が形成される。第2の実施形態では、余剰樹脂部60を必要としないため、電池パック1の製造にともなうコストを低減できる。さらに、外装部材11、反応硬化性樹脂50および端子部17に対する接着性が弱い封止部材61を使用することで、封止部材61を除去する処理を容易に行うことができる。
【0123】
<3.第3の実施形態>
「第3の実施形態における電池パックの製造方法について」
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態において、電池パックの外観、構造等は、第1の実施形態における電池パック1と同様であるので、重複した説明を省略する。第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に電池部品30を成型空間内に収納した状態で樹脂を注入する。そして、開口14を開放するとともに、開口14と端子部17との間に孔16を形成する。例えば、第3の実施形態では、電池部品30における端子部17から開口14に通じる空間に、マスキング剤を塗布する。その後に、反応硬化性樹脂50を注入し、反応硬化性樹脂50の硬化後にマスキング剤を除去することで開口14を開放するとともに、成型部10に孔16を形成する。以下、詳細に説明する。
【0124】
図18は、電池部品30にマスキング剤62を塗布した状態を示す。マスキング剤62は、端子部17から開口14までの空間に塗布される。例えば、端子部17aから開口14aまでの空間にマスキング剤62aが塗布される。例えば、端子部17bから開口14bまでの空間にマスキング剤62bが塗布される。例えば、端子部17cから開口14cまでの空間にマスキング剤62cが塗布される。マスキング剤62によって、開口14が封止される。
【0125】
図19に示すように、マスキング剤62が塗布された電池部品30が、金型に収納される。なお、第3の実施形態では、余剰樹脂部を形成するため、または、封止部材により封止する空間を金型に形成する必要はない。例えば、上述した上型41と下型42とからなる金型を使用できる。下型42のキャビティCA1に、マスキング剤62が塗布された電池部品30が収納される。
【0126】
そして、図20に示すように、下型42の図示しないゲート穴を介して、反応硬化性樹脂50が注入される。マスキング剤62により遮蔽されるため、反応硬化性樹脂50は、マスキング剤62によりマスクされている空間には注入されない。反応硬化性樹脂50が硬化した後に、上型41および下型42が離型し、電池パックが取り出される。
【0127】
図21は、取り出された電池パックの断面を示す。この段階では、開口14は、マスキング剤62により封止されている。そして、図22に示すように、取り出された電池パックからマスキング剤62が除去され、電池パック1が形成される。マスキング剤62が除去されることで、開口14が開放されるとともに、成型部10の、端子部17と開口14との間に孔16が形成される。例えば、開口14aと端子部17aとの間に孔16aが形成される。例えば、開口14bと端子部17bとの間に孔16bが形成される。例えば、開口14cと端子部17cとの間に孔16cが形成される。
【0128】
孔16および開口14を介して端子部17が外部に露出する。例えば、孔16aおよび開口14aを介して端子部17aが外部に露出する。例えば、孔16bおよび開口14bを介して端子部17bが外部に露出する。例えば、孔16cおよび開口14cを介して端子部17cが外部に露出する。端子部17が外部に露出するため、端子部17を外部機器に対して接続できる。
【0129】
「マスキング剤について」
マスキング剤62は、反応硬化性樹脂50や外装部材11に対する接着性が弱い材料が使用される。例えば、素ねりされた天然ゴム、ネオプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等に、ロジン系、テルペン系、C5 系又はC9 系の石油系粘着付与樹脂を混合したものに、必要に応じて可塑剤やオイル、天然ワックス(マイクロクリスタリンワックス等)、合成ワックス(ポリエチレンワックス、塩素化パラフィン等)を添加したゴム系粘着剤がマスキング剤62として用いられることが好ましい。
【0130】
アクリル酸やアクリル酸アルキルエステル等を共重合して得られるアクリル系粘着剤や、ポリシロキサンを主成分としたシリコン系粘着剤を用い、テトラクロロエチレン、トルエンなどの有機溶剤に必要な成分を溶解した後、塗工・乾燥を行ったり、重合で用いた有機溶剤を塗工後乾燥させることが好ましい。
【0131】
プロピレン単独重合体(RT2100)、プロピレン・エチレン共重合体(RT2200〜2500)、プロピレン・ブテン−1共重合体(RT2700)等の非晶質オレフィン系ポリマーに増粘剤を添加した非晶質オレフィン系粘着剤を用いることが好ましい。
【0132】
以上、複数の実施形態で説明したようにして、電池パックが製造される。少なくとも一の実施形態による電池パックにより、以下に例示する効果が得られる。電池パックは、外装部材により機械的強度を確保できる。さらに、端子部が外部に露出するように必要な箇所のみに孔を形成し、他の箇所に孔を形成する必要がない。そして、内部では、反応硬化性樹脂からなる成型部により電池、回路基板、外装部材が一体的に成形される。このため、電池パックの耐衝撃性が向上するとともに、電池パックの内部に水分や異物が混入することを防止でき、電池パックの信頼性、耐電気的保護能力、絶縁性、耐食性が向上する。さらに、低コストで電池パックを製造することができ、電池パックの生産性を向上できる。
【0133】
<4.応用例>
上述した電池パック1の応用例について説明する。なお、電池パック1の用途は、以下に示す応用例に限られることはない。
【0134】
「応用例としての住宅における蓄電システム」
本開示を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図23を参照して説明する。例えば住宅101用の蓄電システム100においては、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102c等の集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108等を介し、電力が蓄電装置103に供給される。これと共に、家庭内発電装置104等の独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0135】
住宅101には、発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、各種情報を取得するセンサ111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。発電装置104として、太陽電池、燃料電池、風車等が利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置105b、テレビジョン受信機105c、風呂105d等である。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cである。電動車両106は、電動アシスト自転車等でもよい。
【0136】
蓄電装置103は、2次電池又はキャパシタから構成されている。例えば、リチウムイオン電池によって構成されている。リチウムイオン電池は、定置型であっても、電動車両106で使用されるものでも良い。この蓄電装置103に対して、上述した本開示の電池パックが適用可能とされる。スマートメータ107は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
【0137】
各種のセンサ111は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種センサ111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサ111からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報を、インターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0138】
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0139】
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
【0140】
各部を制御する制御装置110は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、家庭内発電装置104、電力消費装置105、各種センサ111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
【0141】
以上のように、電力が火力102a、原子力102b、水力102c等の集中型電力系統102のみならず、家庭内発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0142】
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0143】
「応用例としての車両における蓄電システム」
本開示を車両用の蓄電システムに適用した例について、図24を参照して説明する。図24に、本開示が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0144】
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、バッテリー208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。バッテリー208に対して、上述した本開示の電池パック1が適用される。
【0145】
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。バッテリー208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0146】
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力をバッテリー208に蓄積することが可能である。
【0147】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力がバッテリー208に蓄積される。
【0148】
バッテリー208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0149】
図示しないが、2次電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
【0150】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本開示は有効に適用できる。
【0151】
<5.実施例>
本開示の理解を容易にするために、実施例および比較例について説明する。なお、本開示の内容は、以下の実施例および比較例の内容に限定されるものではない。
【0152】
実施例1〜実施例9、および、比較例1〜比較例4について表1を参照して説明する。表1に示す各項目は、以下の内容を示す。
項目a:反応硬化性樹脂の材料
項目b:反応硬化性樹脂に添加される内部離型剤
項目c:外装部材の材料
項目d:外装部材に添加される難燃剤
項目e:反応硬化性樹脂の最大降伏応力(N/mm2
項目f:反応硬化性樹脂と外装部材との接着性(N/cm2
項目g:反応硬化性樹脂の線収縮率(%)
項目h:反応硬化性樹脂の流入防止条件
(手法1:第1の実施形態に示した余剰樹脂部を形成する方法)
(手法2:第2の実施形態に示した封止部材を使用する方法)
(手法3:第3の実施形態に示したマスキング剤を使用する方法)
項目i:トップカバー部と回路基板との間に形成される孔の厚み
項目j:硬化方式
項目k:硬化時間
項目l:反応硬化性樹脂のガラス転移点(Tg)(℃)
項目m:電池包装体
項目n:定格エネルギー密度(Wh/l)
項目o:ひねり試験での最大角度
項目p:耐電気的保護能力NG数(n=100中)
【0153】
なお、測定および評価は、以下の方法により行った。
【0154】
(反応硬化性樹脂の最大降伏応力)
JIS K7161、7162に規定されたプラスチック−引張り特性の試験方法により引張り最大降伏応力を確認した。装置は、島津製作所製のAGS-5kNXを用いた。
【0155】
(反応硬化性樹脂と外装部材との接着性)
JIS K6850に規定された接着剤−剛性被着剤の引張せん断接着強さ試験方法により、せん断接着強さを確認した。装置は島津製作所製のAGS-5kNXを用いた。サンプルは電池パックを解体して反応硬化性樹脂材料部と外装部材部の接着層を切り出し、引張り試験装置の掴み部にそれぞれ、反応硬化性樹脂材料部と外装部材部を固定して試験した。
【0156】
(反応硬化性樹脂の線収縮率)
ASTM(D2566−79)に規定された半円柱型ステンレス容器(半径1.5cm、長さ25.4cm)に反応硬化性樹脂を注型して各種硬化条件で硬化させ、硬化後に成形品を脱型し、次式により線収縮率を測定した。
線収縮率(%)=〔(ステンレス型の長さ)一(成形物の長さ)〕/(ステンレス型の長さ)×100
【0157】
(ガラス転移点)
熱機械分析装置TMA(ThermoMechanical Analyzer)としてエスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA/SS7100を用い定荷重応力測定モードで昇温速度10℃/minで測定して得た応力−温度曲線のうち、急激に応力が軟化した温度の接線を用いガラス転移温度(Tg)とした。
【0158】
(定格エネルギー密度)
23℃の温度下において、上限4.2Vで15時間の1Cの定電流定電圧充電と、終止電圧2.5Vまでの1Cの定電流放電を繰り返し行い、定格エネルギー密度を1サイクル目の放電容量から求めた。
定格エネルギー密度(Wh/l)=(平均放電電圧(V)×定格容量(Ah)/電池パックの体積(l)
なお、1Cは、電池の離郎容量を1時間で放出可能な電流値を示す。
【0159】
(ひねり試験)
アイコーエンジニアリングMODEL-5125VRを使用し、回転スピード1rpmで最大300Nの応力でひねったときの最大角度を求めた。試験終了後に、外観異常、電気特性に変化があったもの、最大角度が大きいものを不良とし、外観異常、電気特性に変化がなく、最大角度が小さいものを良品とした。良品の最大角度を表1に記載した。ひねり試験後に部品の剥離が発生したものもNGとする。
【0160】
(耐電気的保護能力)
鉄粉を混入した上で振動試験を実施し、その後に回路基板の動作確認を行った。確認項目は、過充電保護機能、過放電保護機能、回路基板がスリープ状態での抵抗値とした。確認項目全てに異常がない場合をOKとし、項目のうち、一つの項目でも異常が認められた場合をNGとした。電池パック100個あたりのNG数を表1に記載した。
【0161】
(実施例1)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ビスフェノールAのエポクロルヒドリン縮合物AMINE248を使用した。外装部材として、ポリプロピレンを使用した。電池パックは、第1の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0162】
(実施例2)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ビスフェノールAのエポクロルヒドリン縮合物AMINE248を使用した。外装部材として、ポリプロピレンを使用した。電池パックは、第2の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0163】
(実施例3)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ビスフェノールAのエポクロルヒドリン縮合物AMINE248を使用した。外装部材として、ポリプロピレンを使用した。電池パックは、第3の実施形態による製造方法によって作製した。内部離型剤として、カルナバワックスを添加した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0164】
(実施例4)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ポリエステル系ポリウレタンを使用した。外装部材として、ポリプロピレンを使用した。電池パックは、第1の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0165】
(実施例5)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ポリエステル系ポリウレタンを使用した。外装部材として、ポリカーボネートを使用した。電池パックは、第2の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0166】
(実施例6)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ポリエーテル系ポリウレタンを使用した。外装部材として、リン系難燃剤ポリカーボネートを使用した。外装部材に、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)を添加した。電池パックは、第3の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0167】
(実施例7)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ポリエーテル系ポリウレタンを使用した。外装部材として、リン系難燃剤ポリカーボネートを使用した。外装部材に、リン酸アンモニウムトリヒドロキシエチルイソシアネートを添加した。内部離型剤として、ステアリン酸亜鉛を添加した。電池パックは、第1の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0168】
(実施例8)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ポリエーテル系ポリウレタンを使用した。外装部材として、シリコン系難燃剤ポリカーボネートを使用した。外装部材に、主骨格にフェニル基を導入したシロキサンとPCの共重合体を添加した。内部離型剤としてシリコーンオイルを添加した。電池パックは、第1の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0169】
(実施例9)
成型部を形成する反応硬化性樹脂として、ポリエーテル系ポリウレタンを使用した。外装部材として、シリコン系難燃剤ポリカーボネートを使用した。外装部材に、主骨格にフェニル基を導入したシロキサンとPCの共重合体を添加した。電池パックは、第1の実施形態による製造方法によって作製した。実施例8とは、電池包装体が異なり、実施例9では、電池包装体として、真空蒸着ポリプロピレンフィルム単層を使用した。内部離型剤としてPTFEを添加した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0170】
(比較例1〜比較例4)
比較例1〜3では、成型部を形成する反応硬化性樹脂として、熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリカーボネート、熱可塑性ポリプロピレン、熱可塑性ポリアミド)を使用した。比較例4では、成型部を形成する反応硬化性樹脂として、フェノールノボラック系エポキシ樹脂メチルテトラヒドロ無水フタル酸を使用した。外装部材に、ポリプロピレンを使用した。電池パックは、第1の実施形態による製造方法によって作製した。他の条件は、表1に示す通りである。
【0171】
(測定結果)
測定結果を表1に示す。
【0172】
【表1】

【0173】
(評価)
表1から得られる評価の一例について説明する。表1に示すように、実施例1〜実施例9の電池パックの定格エネルギー密度は、比較例1〜比較例4の電池パックの定格エネルギー密度より大きい。
【0174】
実施例1〜実施例9の電池パックは、ひねり試験を行った場合に、外観の異常が発生せず、電気特性に変化はない。そして、最大角度が得られている。これに対して、比較例1、比較例2の場合は、ひねり試験を行った場合に、外装部材が外れる不具合が生じた。比較例3の場合は、反応硬化性樹脂からなる成型部に損傷(樹脂外れ)が発生した。
【0175】
実施例1〜実施例9において、耐電気的保護能力の試験のNG数は、1または0であった。これに対して、比較例1〜比較例3は、実施例に対してNG数が多く生じた。なお、比較例4は、接着性が強固であるため、余剰樹脂部を剥離することができなかった。
【0176】
以上から、実施例は、比較例より良好な結果が得られている。体積エネルギー密度、ひねり試験および耐電気的保護能力の試験のNG数の結果から、実施例1〜実施例9の中でも、難燃剤を含み、孔の厚みが小さい実施例6〜実施例9がより好ましい。
【0177】
<6.変形例>
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限られることなく、種々の変形が可能である。例えば、リチウムイオン2次電池以外の2次電池に対しても本開示を適用できる。さらに、電池パックにおいて、開口や端子部が形成される位置や個数は適宜、変更可能である。例えば、サイドカバー部等のトップカバー部とは異なる箇所に、開口が形成されてもよい。
【0178】
上述した実施形態では、単一の電池が成型部によって被覆されていると説明したが、複数の電池からなる電池群が成型部によって被覆されていてもよい。そして、電池群を構成するそれぞれの電池の端子部が孔および開口を介して外部に露出するようにしてもよい。
【0179】
なお、各実施形態および変形例における構成等は、技術的矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0180】
本開示は、例えば、以下の構成をとることもできる。
(1)
電池と、
前記電池と接続され、端子部が形成される基板と、
前記電池および前記基板の周囲に配され、前記端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、
前記電池と前記基板と前記外装部材とを一体化するとともに、前記端子部と前記開口との間に孔が形成される成型部とを備え、
前記端子部は、前記孔および前記開口を介して外部に露出する電池パック。
(2)
前記成型部は、反応硬化性樹脂からなり、
前記電池の表面に対する前記反応硬化性樹脂の第1の接着強度と、前記端子部に対する前記反応硬化性樹脂の第2の接着強度との関係が、
(第1の接着強度)>(第2の接着強度)
である(1)に記載の電池パック。
(3)
前記第1の接着強度と、前記第2の接着強度と、前記外装部材に対する前記反応硬化性樹脂の第3の接着強度との関係が
(第1の接着強度)>(第3の接着強度)>(第2の接着強度)
である(2)に記載の電池パック。
(4)
前記反応硬化性樹脂は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である(1)乃至(3)の何れか1に記載の電池パック。
(5)
前記外装部材は樹脂からなり、前記樹脂に難燃剤が添加される(1)乃至(4)の何れか1に記載の電池パック。
(6)
電池と、端子部が形成される回路基板と、前記電池および前記回路基板の周囲に配され、前記回路基板と対向する位置に開口が形成される外装部材とからなる電池部品を、型の成型空間内に収納し、
前記成型空間内に反応硬化性樹脂を注入し、前記注入した前記反応硬化性樹脂を硬化させ、
前記開口を開放するとともに、前記開口と前記端子部との間に孔を形成する電池パックの製造方法。
(7)
(1)〜(5)の何れか1に記載の電池パックが、再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
(8)
(1)〜(5)の何れか1に記載の電池パックを有し、前記電池パックに接続される電子機器に電力を供給する蓄電システム。
(9)
(1)〜(5)の何れか1に記載の電池パックから電力の供給を受ける電子機器。
(10)
(1)〜(5)の何れか1に記載の電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記電池パックに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両。
(11)
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を有し、
前記電力情報送受信部が受信した情報に基づき、(1)〜(5)の何れか1に記載の電池パックの充放電制御を行う電力システム。
(12)
(1)〜(5)の何れか1に記載の電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から前記電池パックに電力を供給する電力システム。
【符号の説明】
【0181】
1・・・電池パック
10・・・成型部
11・・・外装部材
12・・・電池
13・・・回路基板
14(14a、14b、14c)・・・開口
16(16a、16b、16c)・・・孔
17(17a、17b、17c)・・・端子部
50・・・反応硬化性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池と接続され、端子部が形成される基板と、
前記電池および前記基板の周囲に配され、前記端子部と対向する位置に開口が形成される外装部材と、
前記電池と前記基板と前記外装部材とを一体化するとともに、前記端子部と前記開口との間に孔が形成される成型部とを備え、
前記端子部は、前記孔および前記開口を介して外部に露出する電池パック。
【請求項2】
前記成型部は、反応硬化性樹脂からなり、
前記電池の表面に対する前記反応硬化性樹脂の第1の接着強度と、前記端子部に対する前記反応硬化性樹脂の第2の接着強度との関係が、
(第1の接着強度)>(第2の接着強度)
である請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1の接着強度と、前記第2の接着強度と、前記外装部材に対する前記反応硬化性樹脂の第3の接着強度との関係が
(第1の接着強度)>(第3の接着強度)>(第2の接着強度)
である請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記反応硬化性樹脂は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記外装部材は樹脂からなり、前記樹脂に難燃剤が添加される請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
電池と、端子部が形成される回路基板と、前記電池および前記回路基板の周囲に配され、前記回路基板と対向する位置に開口が形成される外装部材とからなる電池部品を、型の成型空間内に収納し、
前記成型空間内に反応硬化性樹脂を注入し、前記注入した前記反応硬化性樹脂を硬化させ、
前記開口を開放するとともに、前記開口と前記端子部との間に孔を形成する電池パックの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電池パックが、再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
【請求項8】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電池パックを有し、前記電池パックに接続される電子機器に電力を供給する蓄電システム。
【請求項9】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電池パックから電力の供給を受ける電子機器。
【請求項10】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記電池パックに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両。
【請求項11】
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を有し、
前記電力情報送受信部が受信した情報に基づき、請求項1〜5の何れか1項に記載の電池パックの充放電制御を行う電力システム。
【請求項12】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から前記電池パックに電力を供給する電力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−243548(P2012−243548A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112119(P2011−112119)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Wi−Fi
2.Bluetooth
3.ZIGBEE
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】