説明

高開放電圧による光電池アレイの始動

PVアレイ(2)をインバータ(3)経由でAC電力グリッド(4)に接続するために、最初は、インバータ(3)の入力側のDCリンク(7)が、AC電力グリッド(4)からプリチャージされる。DCリンク(7)のリンク電圧は、AC電力グリッド(4)に接続されるインバータ(3)によってプリセット値であって、PVアレイ(2)の開放電圧より低いプリセット値に合うよう調節され、そして次に、リンク電圧がプリセット値に合うよう連続的に調節される間、その開放電圧のPVアレイ(2)が、DCリンク(7)に直接接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、同時継続の特許文献1に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に光電池(PV)アレイをインバータ経由でAC電力グリッドに接続する方法に関する。より詳しくは、本発明はインバータの入力DCリンクがAC電力グリッドからプリチャージされるその入力側で、PVアレイを、DCリンクを含むインバータ経由でAC電力グリッドに接続する方法に関する。
【0003】
更に、本発明は一般にPVアレイからAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための器具に関し、および特にPVアレイからAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための器具であって、インバータ、インバータの入力側のDCリンク、DCリンクのリンク電圧用の電圧制御ユニット、PVアレイをDCリンクに接続するための少なくとも1個のスイッチおよびインバータをAC電力グリッドに接続するための少なくとも1個の幹線スイッチを備える器具に関する。
【背景技術】
【0004】
使用される回路部品を通して過剰な電流の発生を回避して使用される回路部品上での過剰な電圧の発生を回避するために光電池アレイをインバータ経由でAC電力グリッドに接続するとき、注意が必要とされる。これらの部品に過負荷をかける危険性は、原則として、より高電圧クラスまたはより高電流クラスの部品によって解消されることができる。この方法は、通常はしかしながら極端なコスト増大におよびより高電圧クラス部品のより低い効率に起因する電力損失に結びつく。したがって、光電池アレイをAC電力グリッドに接続する際に回路部品の高負荷を回避する方法および器具が、好まれる。
【0005】
これは、特にケーブル断面積を増大する必要性なしでより高電力を伝送することが可能であるために光電池アレイのより高出力電圧に向けた開発に関する状況にあてはまる。通常動作での光電池アレイのこの種のより高い出力電圧は、光電池アレイのさらにより高い開放電圧に付随する。これらの開放電圧は、それぞれのインバータのインバータブリッジを横切る許容電圧を容易に上回るかもしれない。
【0006】
特許文献2から、例えば、インバータのインバータブリッジに先行する、バックコンバータのようなDC/DCコンバータであって、光電池アレイとインバータとの間の電圧適応を与えるDC/DCコンバータを有することが公知である。バックコンバータは、しかしながら器具の複雑度を増大する。それはさらに追加的な電力損失を引き起こす。特許文献2は、インバータに高い開放電圧で光電池アレイを接続することを取扱わない。インバータに先行するバックコンバータの専用の動作によって光電池アレイの完全な開放電圧でインバータブリッジをロードすることを回避することが可能であるが、しかしながら、開放電圧が光電池アレイの通常動作中に生じる出力電圧まで低下したとき、更なる手段によってそれが電流経路で埋められない限り、通常動作中にバックコンバータによって引き起こされる追加的な電力損失が残るであろう。
【0007】
特許文献3から、接続ラインのうちの1本内に配置される抵抗器およびインバータブリッジに並列に接続される抵抗器によって実現される分圧器を用いてインバータのインバータブリッジを接続された光電池アレイの高い開放電圧から保護することが公知である。接続ライン内の抵抗器を短絡させてインバータブリッジに並列に接続される抵抗器を切ることによって、分圧器は通常動作で無効にされ、したがって、抵抗器に起因する継続した損失を回避する。特に通常動作でそれを切るために、分圧器は追加的な作用力を必要とする。
【0008】
一般的に光電池アレイから電気エネルギーを供給するためのインバータは、いわゆる最大パワーポイント(MPP)−トラッキングの実行を可能にするためにDCリンク用の電圧制御ユニットを有する。MPP−トラッキングでは、光電池アレイの出力電圧はDCリンクの電圧経由で光電池アレイが実際の動作条件を考慮して最大電力を得る値に合うよう調節される。
【0009】
特許文献4が、光電池アレイとインバータとの間の光電池インバータインタフェースを開示する。始動プロセス中に、インバータのDCリンクはソフトスタートスイッチギアまたは光電池アレイを使用してインバータの動作電圧にプリチャージされる。光電池アレイの接続ラインのうちの1本内のコンタクタスイッチがまだ開いている間、インバータが次いでオンにされる。コンタクタスイッチをクローズすることによって光電池アレイがインバータのDCリンクに接続される前に、出力電圧を開放電圧から通常動作状態の下の出力電圧に低下させるためにシャントスイッチによって意図的に短絡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第09176900.0号明細書、名称「Zuschalten eines Photovoltaikfeldes mit hoher Leerlaufspannung」、2009年11月24日出願
【特許文献2】独国実用新案第202006001063U1号明細書
【特許文献3】日本国特開平11−312022号公報
【特許文献4】米国特許出願第2009/0167097A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それでも、光電池アレイをインバータ経由でAC電力グリッドに接続する方法に対する、かつ光電池アレイからAC電力グリッドに電気エネルギーを供給する器具に対する必要性において、同時に技術的複雑度を低く保つと共に、光電池アレイの高い開放電圧の課題に対処することが可能な方法およびインバータに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明はその入力側でDCリンクを含むインバータ経由でPVアレイをAC電力グリッドに接続する方法に関する。この方法は、次のステップ、すなわち、AC電力グリッドからインバータの入力DCリンクをプリチャージするステップと、AC電力グリッドに接続されるインバータを用いてDCリンクのリンク電圧をプリセット値に合うよう調節するステップであって、プリセット値がPVアレイの開放電圧より低いステップと、調節するステップを連続的に実行する間、PVアレイをDCリンクに接続するステップとを含む。接続するステップでは、その開放電圧のPVアレイが、DCリンクに直接接続される。
【0013】
別の態様において、本発明はPVアレイからAC電力グリッドに電気エネルギーを供給するための器具に関する。この器具は、インバータ、インバータの入力側のDCリンク、DCリンクのリンク電圧用の電圧制御ユニット、PVアレイをDCリンクに接続するための少なくとも1個のスイッチ、インバータをAC電力グリッドに接続するための少なくとも1個の幹線スイッチおよびPVアレイをインバータ経由でAC電力グリッドに接続するための接続コントローラを備える。接続コントローラは、最初は幹線スイッチをクローズし、そして、リンク電圧をPVアレイの開放電圧より低いプリセット値に合うよう調節するためにリンク電圧用の電圧制御ユニットを起動し、かつその後、電圧制御ユニットが、リンク電圧をプリセット値に合うよう連続的に調節する間、その開放電圧のPVアレイがDCリンクに直接接続されるように、PVアレイを接続するためのスイッチをクローズする。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明の検討の際に当業者に明白になる。請求項によって定められるように、全てのこの種の追加的な特徴および利点が本発明の有効範囲内で本願明細書に含まれることを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の図面を参照してよりよく理解されることができる。図面内の構成要素が必ずしも一定の比率であるというわけではなく、重点がその代わりに本発明の原理を明らかに例示することに置かれる。図面において、同様な参照番号がいくつかの図の全体にわたって対応する部分を示す。
【0016】
【図1】本発明に従う器具の単線接続図である。
【図2】本発明に従う方法の一実施態様のブロック図である。および、
【図3】図1に従う器具のインバータの一実施態様を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
光電池アレイを本発明に従うインバータ経由でAC電力グリッドに接続する方法において、インバータの入力側のDCリンクが、AC電力グリッドからプリチャージされる。DCリンクのリンク電圧は、少なくともプリチャージするステップの終わりに向けてAC電力グリッドに接続されるインバータによって、プリセット値に合うよう調節される。PVアレイが次いでDCリンクに接続され、そのリンク電圧がプリセット値に合うようなお連続的に調節される。その接続は、PVアレイの開放電圧をリンク電圧に以前に適応したかまたは同時に適応することなく実行される。電圧の既存の差異は、堅固に埋められる。これは、しかしながら、PVアレイから流れる得られる電荷が限定されるので、ならびに、一方ではDCリンクのバッファ容量によって、かつ他方ではすでに有効で、かつAC電力グリッドに電流を供給するインバータによってそれらが吸収されるので、何の負の影響も持たない。既存のおよび市販のインバータのリンク電圧用の電圧制御ユニットが、PVアレイが接続された後で、電力流の方向を、プリチャージするための方向から供給するための方向に変えるのに十分に高速であると判明し、この方法は、それが危機的レベルに達する前にリンク電圧の増大を防ぐ。また、この新規な方法を実現するとき、DCリンクの既存の容量は十分でかつPVアレイを接続する際に電圧の危機的上昇を回避するために増大される必要がない。
【0018】
これは、たとえリンク電圧が本発明に従って合うよう調節される値が、PVアレイの開放電圧と比べて非常に低くセットされても、すなわち、通常動作中のPVアレイの出力電圧より明確に上にあるPVアレイの開放電圧によってさえ、かつこのより低い出力電圧の値に合うよう調節されるリンク電圧によってさえあてはまる。たとえPVアレイの最大開放電圧が直接印加されても、すなわち、プリセット値に合うよう調節されるリンク電圧を有するDCリンクに対する、PVアレイとDCリンクとの間のいかなる以前の電圧適応も伴わずに、この新規な方法は、リンク電圧の危機的増大に結びつかない。したがって、PVアレイとDCリンクとの間の電圧適応のための何のDC/DCコンバータも必要ではない。
【0019】
すでに注意されたように、本発明の方法において、リンク電圧がPVアレイを接続する前に合うように調節される値は、好ましくはPVアレイの通常動作でPVアレイの通常の出力電圧に対応し、したがって、AC電力グリッドのピークの電圧をきちんと越える。驚くべきことに、例えば、既存のおよび市販のインバータでMPP−トラッキングのために使用される電圧制御ユニットは、AC電力グリッドから電気エネルギーをとることによって、リンク電圧をAC電力グリッドのピークの電圧よりさらに上にある値に合うよう調節することが可能である。このために、概して、インバータのインバータブリッジとAC電力グリッドとの間に設けられるインダクタがブーストコンバータにおけるような電圧制御ユニットによって使用される。リンク電圧をAC電力グリッドのピークの電圧より上の値に合うよう調節することを用いて、リンク電圧用の制御ユニットが、電気エネルギーをAC電力グリッドに供給して、したがって、DCリンクを放電させることがPVアレイを接続すると直ちに可能である安定動作点を有する。
【0020】
DCリンクの小さな容量によってさえもおよびリンク電圧用の遅く反応する電圧制御ユニットによってさえもリンク電圧の増大を危機的でないレベルに限定するために、リンク電圧がプリセット値に合うよう調節される間、PVアレイがDCリンクに順々に接続されるセグメントに分割されることができる。このように、それぞれのセグメントをDCリンクに接続する際にDCリンクに流れ込むことができる電荷、および、したがって、あり得るリンク電圧の増大が、更に限界を定められる。
【0021】
この新規な方法が、2つの主要なステップ(i)リンク電圧をプリセット値に合うよう調節するステップ、および(ii)リンク電圧がプリセット値に合うよう調節される間、PVアレイをDCリンクに接続するステップを含む。最初のステップ(i)は好ましくは、このステップがインバータをAC電力グリッドに接続するステップのすぐあとに続く、DCリンクに対する第1の受動プリチャージステップに、およびリンク電圧がAC電力グリッドのピークの電圧より上に押し上げられるような方法で、インバータのスイッチがクロック制御されるその後の能動プリチャージステップに、再分割される。第1のサブステップ、すなわち受動プリチャージステップで、AC電力グリッドからDCリンクに流れる充電電流は、DCリンクを予備的にプリチャージするためにインバータのインバータブリッジのフリーホイーリングダイオードを用いて整流化されることができる。この受動プリチャージステップ中に、インバータブリッジの全てのスイッチは開いている。それが例えばチョークまたは抵抗器を用いて系統的に限定されないならば、リンクをプリチャージし始める時に流れる充電電流があまりに高くなるかもしれない。概して、固有の抵抗器およびインバータのグリッドチョークおよび/またはインバータの出力のEMCフィルタのインピーダンスは、このために全て不十分である。したがって、DCリンクを予備的にプリチャージするための充電電流が幹線スイッチに並列に設置され、かつ電流限界決定装置が配置されるバイパスを通して導かれることが好まれる。代わりにまたはさらに、AC電力グリッドの電圧を上方へ変換するためのトランスが、DCリンクをAC電力グリッドのピーク電圧より上のリンク電圧にすでにプリチャージするためにバイパス内に設けられることができる。この最初の受動プリチャージステップが完了されたならば、インバータは共通幹線スイッチ経由でグリッドに接続され、そして次に、バイパスがさえぎられる。まさにこの瞬間に、リンク電圧をプリセット値に合うよう調節するための電圧制御ユニットもまた、起動される。リンク電圧用の電圧制御ユニットは、好ましくは、最初のステップ(i)の能動第2サブステップでかつ新規な方法の第2のステップ(ii)中に固定された値がリンク電圧にプリセットされることだけを除いて、MPP−トラッキングのための既知のおよび市販のインバータで使用されるのと同じ装置および方策を備える。
【0022】
新規な方法の第2のステップ(ii)は、必要に応じてPVアレイの個々のセグメントを接続するサブステップに再分割されることができる。PVアレイ全体が接続されるとすぐに、リンク電圧用の制御ユニットがリンク電圧を固定された値によっての代わりにMPP−トラッキングによって決定される変数値に合うよう調節するために割り当てられることができる。
【0023】
新規な方法を使用する時にリンク電圧がインバータの完全性を危険にさらすであろう望ましくなく高い値までなお上昇する場合には、インバータの動作は、損傷を回避するために危機的電圧から止められることができる。PVアレイは、次いでインバータからすぐに切り離される。リンク電圧がDCリンクの容量に対して共通に実現された放電装置を用いて危機的でないレベルに低下したとき、リンク電圧をプリセット値に合うよう調節する間にPVアレイを接続するための新規な試行が実施されることができる。
【0024】
本発明に従う器具は、最初はインバータをAC電力グリッドに接続するための幹線スイッチをクローズして、次いでリンク電圧をプリセット値に合うよう調節するリンク電圧用の制御ユニットを起動し、かつその後にだけPVアレイを接続するためのスイッチをクローズする接続コントローラを備える。すでに上に示唆されたように、幹線スイッチは並列の電流経路を設けるためのいくつかのスイッチ、例えば、インバータを電流限界決定装置経由でAC電力グリッドに最初接続するための第1のスイッチ、および電力を消散する電流限界決定装置がもはや必要でないとき、インバータをAC電力グリッドに後ほど直接接続するための第2のスイッチ、を含むことができる。また、PVアレイを接続するためのスイッチは、各々がPVアレイのセグメントだけをインバータに接続する複数の部分的スイッチに再分割されることができる。
【0025】
この新規な器具において、インバータブリッジのスイッチはPVアレイの開放電圧より低い許容使用電圧を有することができ、およびしたがって、より高い許容使用電圧を有するスイッチと比べてより安価でかつより少ない電力を消散する。
【0026】
インバータブリッジの上流で、特にPVアレイをインバータブリッジに接続するためのスイッチの間に、新規な器具のインバータがDCリンクだけを有することができる。つまり、電圧適応のためのDC/DCコンバータは、PVアレイをインバータに接続するためのスイッチの上流にも下流にも設けられる必要がない。好ましくは、この種のDC−DCコンバータは、関連する作用力を節約してかつ関連する電力損失を回避するために、新規な器具には完全に欠けている。
【0027】
新規な器具の更に好ましい詳細は、本発明に従う方法に関する状況ですでに説明された。
【0028】
次により詳細に図面を参照して、図1はPVアレイ2をインバータ3経由でAC電力グリッド4に接続する役に立つ器具1を例示する。PVアレイ2は、各々、別々のスイッチ6経由で、インバータ3の入力リンクである(ここでは図で区別されない)DCリンク7に、別々に接続されることができる別々のセグメント5に分割される。その出力で、インバータ3は幹線スイッチ8経由でAC電力グリッド4に接続可能である。EMCフィルタ9が、幹線スイッチ8とインバータ3との間に設けられる。補助幹線スイッチ10が、幹線スイッチおよびEMCフィルタ9に並列に設けられる。EMCフィルタ9のそれと比べて非常に高いインピーダンスを有するチョーク11が、補助幹線スイッチ10と直列に接続される。本発明の根底にある課題は、PVアレイ2およびそのセグメント5の各々が、それがインバータ3と両立するより、より高い開放電圧を有することである。通常動作での、PVアレイ2およびそのセグメント5の出力電圧、すなわち、電流がAC電力グリッド4に供給される時の出力電圧は、しかしながら、インバータ3に無害である。これらの条件のもとでPVアレイ2をインバータ3に安全に接続するために、図2で示す以下の諸ステップがとられる。
【0029】
最初、補助幹線スイッチ10がインバータ3をAC電力グリッド4に接続するためにクローズされる。これは、交流電流がAC電力グリッドからインバータ3に流れる結果を有する。インバータ3の内部の構成を示す図3から、出力ライン12を通して流れるこのAC電流が、各々インバータブリッジ14のスイッチのうちの1つに逆並列に接続される、インバータ3のインバータブリッジ14のフリーホイーリングダイオード13によって、入力ライン18を通して流れる直流に整流化されることが明白になる。この直流が、AC電力グリッドのピーク電圧までインバータ3のDCリンク7のコンデンサ16を充電する。このように流れる充電電流は、図1のチョーク11によって限定される。この限定は、AC電力グリッドのピーク電圧までのプリチャージプロセス全体中に必要でない。むしろ、プリチャージするステップ中に、幹線スイッチ8がすでにクローズされて、補助幹線スイッチ10がオープンされることができる。DCリンク7を受動的にプリチャージするステップの後、AC電力グリッドのピーク電圧とリンク電圧との間の電圧差異が受動的にプリチャージするステップによって低下された後でのみ、インバータ3が起動される、すなわち、(ここで表されない)コントローラがインバータのスイッチ15をクロック制御する。スイッチ15は、コンデンサ16を横切るリンク電圧をAC電力グリッド4のピーク電圧より上にあるプリセット値に合うよう調節するためにクロック制御される。能動的にプリチャージするこのステップにおいて、EMCフィルタのインダクタと共にインバータ3のスイッチ15が、ブーストコンバータとして働く。PVアレイ2からAC電力グリッド4に電気エネルギーを供給するための典型的動作電圧と同程度であるリンク電圧のプリセット値が調節されるときにだけ、図1に従うスイッチ6がPVアレイ2をインバータ3に接続するために順々にクローズされる。この接続ステップは、PVアレイ2のそれぞれのセグメント5の開放電圧とプリセット値に合うよう連続的に調節されるリンク電圧との間のいかなる電圧差異も無視して実行される。しかしながら、それぞれのセグメント5からリンク7に流れる電荷が限定されて、コンデンサ16のサイズに起因して、リンク電圧の比較的遅い増大に単に結びつくだけであるので、堅固にPVアレイ2を接続するこの手順は危機的でないと判明する。この増大は、インバータ3の電圧制御ユニットがリンク電圧の切迫した増大に十分迅速に反応することができ、かつスイッチ15の適切なクロッキングによって、すなわちAC電力グリッドに電流を供給することによって、それを補正することができるように、少なくとも十分遅い。したがって、リンク電圧のプリセット値よりはるかに上にある開放電圧で堅固にPVアレイを接続するにもかかわらずインバータ3両端に何の過剰な電圧も生じない。例外的な場合にリンク電圧がそれでも危機的値に達するならば、インバータ3はスイッチ15をオープンすることによってブロックされ、図1のスイッチ6が再びオープンされる。コンデンサ16を横切るリンク電圧は、次いで放電抵抗器として図3内に表される放電装置17を用いて低下する。その後、接続のための新規な試みがなされることができる。三相のインバータとしてここで表されるインバータ3は、同様に単相のインバータであることもできる。PVアレイ全体が接続されるとすぐに、リンク電圧用の制御ユニットがリンク電圧を固定された値によっての代わりにMPP−トラッキングによって決定される変数値に合うよう調節するように割り当てられることができる。
【0030】
多くの変形および変更が、本発明の趣旨および原理から実質的に逸脱することなく本発明の好ましい実施態様になされることができる。全てのこの種の変更および変形は、以下の請求項に記載の、本発明の範囲内で本願明細書に含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0031】
1 器具
2 PVアレイ
3 インバータ
4 AC電力グリッド
5 セグメント
6 スイッチ
7 DCリンク
8 幹線スイッチ
9 EMCフィルタ
10 補助幹線スイッチ
11 チョーク
12 出力ライン
13 フリーホイーリングダイオード
14 インバータブリッジ
15 スイッチ
16 コンデンサ
17 放電装置
18 入力ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PVアレイ(2)をその入力側でDCリンク(7)を含むインバータ(3)経由でAC電力グリッド(4)に接続する一方法であって、前記方法が、以下のステップ、すなわち、
−前記AC電力グリッド(4)から前記インバータ(3)の前記入力DCリンク(7)をプリチャージするステップと、
−前記AC電力グリッド(4)に接続される前記インバータ(3)を用いて前記DCリンク(7)のリンク電圧をプリセット値に合うよう調節するステップであって、前記プリセット値が前記PVアレイ(2)の開放電圧より低いステップと、
−前記調節するステップを連続的に実行する間、前記PVアレイ(2)を前記DCリンク(7)に接続するステップと、を含み、
前記接続するステップにおいて、その開放電圧の前記PVアレイ(2)が、前記DCリンク(7)に直接接続されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記調節するステップにおいて、前記リンク電圧が合うよう調節される前記プリセット値が前記AC電力グリッド(4)のピーク電圧より高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PVアレイ(2)がセグメント(5)に分割され、そして、前記接続するステップにおいて、前記セグメント(5)が前記DCリンク(7)に順々に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プリチャージするステップにおいて、前記AC電力グリッド(4)から前記DCリンク(7)に流れる充電電流が、前記インバータ(3)のインバータブリッジ(14)のフリーホイーリングダイオード(13)を用いて整流化されることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プリチャージするステップにおいて、充電電流を限定するためのチョーク(11)が、前記AC電力グリッド(4)と前記インバータ(3)との間に接続されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記チョーク(11)が、前記プリチャージするステップの最初の部分中にだけ前記AC電力グリッド(4)と前記インバータ(3)との間に接続されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プリチャージするステップにおいて、充電電流を限定するための抵抗器が、前記AC電力グリッド(4)と前記インバータ(3)との間に接続されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記抵抗器が、前記プリチャージするステップの最初の部分中にだけ、前記AC電力グリッド(4)と前記インバータ(3)との間に接続されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プリチャージするステップにおいて、整流化される前に充電電流を変換するためのトランスが、前記AC電力グリッド(4)と前記インバータ(3)との間に接続されることを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記トランスが、前記プリチャージするステップの一部中にだけ、前記AC電力グリッド(4)と前記インバータ(3)との間に接続されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接続するステップを完了した後に、前記DCリンク(7)の前記リンク電圧がMPP−トラッキングによって決定される変数値に合うよう調節されることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
PVアレイ(2)からAC電力グリッド(4)に電気エネルギーを供給するための器具(1)であって、前記器具が、
−インバータ(3)、
−前記インバータ(3)の前記入力側のDCリンク(7)、
−前記DCリンク(7)のリンク電圧用の電圧制御ユニット、
−前記PVアレイ(2)を前記DCリンク(7)に接続するための少なくとも1個のスイッチ(6)、
−前記インバータ(3)を前記AC電力グリッド(4)に接続するための少なくとも1個の幹線スイッチ(8、10)、および
−前記PVアレイ(2)を前記インバータ(3)経由で前記AC電力グリッド(4)に接続するための接続コントローラ、を備え、
前記接続コントローラが、最初は前記幹線スイッチ(8、10)をクローズし、そして、前記リンク電圧を前記PVアレイ(2)の開放電圧より低いプリセット値に合うよう調節するために前記リンク電圧用の前記電圧制御ユニットを起動し、かつその後、前記電圧制御ユニットが前記リンク電圧を前記プリセット値に合うよう連続的に調節する間、その開放電圧の前記PVアレイ(2)が前記DCリンク(7)に直接接続されるように、前記PVアレイ(2)を接続するための前記スイッチ(6)をクローズすることを特徴とする器具(1)。
【請求項13】
前記インバータ(3)のスイッチ(15)が、前記PVアレイ(2)の前記開放電圧より低い許容電圧のために設計されていることを特徴とする請求項12に記載の器具(1)。
【請求項14】
いくつかのスイッチ(6)およびいくつかのPVセグメント入力端子が、前記PVアレイ(2)を前記DCリンク(7)にセグメント毎に接続するために設けられることを特徴とする請求項12または13に記載の器具(1)。
【請求項15】
前記インバータ(3)が前記AC電力グリッド(4)から前記DCリンク(7)への充電電流を受動的に整流化するフリーホイーリングダイオード(13)を備えたインバータブリッジ(14)を備えることを特徴とする請求項12ないし14のいずれかに記載の器具(1)。
【請求項16】
前記インバータ(3)と前記AC電力グリッド(4)との間の電流経路内に一時的に組み込まれることが可能な充電電流を限定するためのチョーク(11)が設けられることを特徴とする請求項15に記載の器具(1)。
【請求項17】
前記インバータ(3)と前記AC電力グリッド(4)との間の電流経路内に一時的に組み込まれることが可能な充電電流を限定するための抵抗器が設けられることを特徴とする請求項15または16に記載の器具(1)。
【請求項18】
前記インバータ(3)と前記AC電力グリッド(4)との間の電流経路内に一時的に組み込まれることが可能な充電電流を変換するためのトランスが設けられることを特徴とする請求項15、16または17に記載の器具(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−511946(P2013−511946A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539364(P2012−539364)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068086
【国際公開番号】WO2011/064232
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(504109698)エスエムエー ソーラー テクノロジー アーゲー (14)
【Fターム(参考)】