説明

魚肉タンパク質加水分解物

本発明は、酵素処理した魚肉タンパク質分解物(FPH)の使用に関する。FPH原料は血漿中のコレステロールおよび肝臓中のトリグリセリド濃度を低下させる。FPHはまた血漿中において脂肪酸を好ましい構成に変え、ホモシステイン濃度を低下させる。本発明の好ましい態様は、抗アテローム性心保護剤としてのFPH原料の使用に関するものであり、薬学的組成物として、または機能性食品として提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素処理した魚肉タンパク質分解物(FPH)の使用に関する。FPH原料は血漿中のコレステロールおよび肝臓中のトリグリセリド濃度を低下させる。FPHはまた血漿中において脂肪酸を好ましい構成に変え、ホモシステイン濃度を低下させる。本発明の好ましい態様は、抗アテローム性心保護剤としてのFPH原料の使用に関するものであり、薬学的組成物として、または例えば機能性食品のような栄養学的組成物として提供される。
【背景技術】
【0002】
近年、特にサケに関する養殖産業はノルウェー国内および世界的にも大きく成長している。多くの魚は内臓を除いた全体の形で消費者に提供されるが、切り身の形態で販売されるものも相当ある。サケの50-70%は切り身にされ、残りの部分は魚粉やフィッシュエンシレージ等の低価格製品として売られている。
酵素処理により、魚肉および魚の骨もタンパク質に富む水性の画分に分けることができ、これを魚肉タンパク質加水分解物(FPH)と呼ぶ。酵素による加水分解工程は高度に制御可能であり生成物は再現性があり内容は明確である。
驚くべきことに、本発明者等は本発明による魚肉タンパク質加水分解物(FPH)がいくつかの有益な生物学的効果を有し、これら原料が薬学的または栄養学的な原料として使用できることを示した。
【0003】
我々は、FPHが血漿中のコレステロールおよびホモシステイン濃度を下げること、また肝臓のトリアシルグリセロール濃度を下げることを示した。これらの発見に基づくと、FPHが狭窄、動脈硬化、冠状動脈性心臓病、血栓症、心筋梗塞、脳梗塞、脂肪肝等に対して治療的および/または予防的効果を有することが期待される。魚肉タンパク原料による処置はこれら疾患に対する新しい治療法を提供する。
FPHは特に食品における機能性タンパクとして有用であり、特に動物飼料およびペットフードにおける天然プラズマの代替として有用に使用される。ペットフードとして使用する場合、脂肪や糖類、塩、香料、無機物等の追加成分を加えてもよい。製品はさらにその外観および質感を天然肉チャンクに似せてチャンク状に成型してもよい。本発明の生成物はさらに必要な栄養を含み、動物により容易に消化されまた味も良好である。
【発明の開示】
【0004】
本発明は動脈硬化、冠状動脈性心臓病、狭窄、血栓、心筋梗塞、脳梗塞および脂肪肝等の治療または予防のための薬学的または栄養学的な調製物のためのFPHに関する。
実験データは、本発明に従ってFPHが血漿中のホモシステイン濃度をあきらかに下げることを示した。ホモシステインは例えば動脈硬化、冠状動脈性心臓病、狭窄、血栓、心筋梗塞および脳梗塞のような病気のリスク因子であり、本発明のFPH原料はこれら病気の予防及び治療に効果的であると期待される。
データはさらに、肝臓中のトリアシルグリセロール濃度がFPHの摂取により低下することを示し、FPH原料が脂肪肝の予防及び治療に効果的であると期待される。
【0005】
本発明の更なる態様は高コレステロール血症の予防および/または治療に用いられる薬学的または栄養学的な組成物調製のためのFPHに関するもので、我々はFPH原料が血漿中のコレステロール濃度を低下することを示した。
更なる態様は、血漿中のホモシステイン濃度を下げるための薬学的または栄養学的な組成物調製のためのFPHの使用に関する。上記の疾患の前にホモシステイン濃度が高くなることが明らかにされている。FPHの摂取は一般にホモシステイン濃度低下作用を有するから本発明の原料は上記疾患の発症を予防しそのリスクを低下させるのに適している。
また、FPH原料が一般に心臓および動脈の保護特性を有することを示す結果があり、この原料が動脈および心臓関連疾患のリスクを低下することが期待される。
【0006】
本発明の目的は、予防薬若しくは治療薬として、または機能性食品若しくは飼料としてFPH原料を与えることである。この原料はヒトおよびヒト以外の動物にも与えられる。
本発明の好ましい態様は、魚肉タンパク質加水分解物を含む供給原料に関する。この原料は農業用の動物、例えば家禽類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;イヌやネコのような家庭内若しくはペット;サケ、タラ、ティラピア、二枚貝、カキ、ロブスター、カニ等の魚介類に用いることができる。
本発明の好ましい態様は、魚肉や骨を酵素処理して得られるFPH原料を使用する。好ましくは、酵素は組成物Protamex(商標)を使用し、魚はサケが好ましい。
【0007】
定義
動物
本願において、「動物」の語は例えばヒトおよび農場(農業的)の動物、特に家禽類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の経済上重要な動物、そして食肉や卵、ミルク等の消費物を産生する哺乳類を含む。さらには、サケ、タラ、ティラピア、二枚貝、カキ等の魚介類も含むと意図される。また、イヌ、ネコ等の家庭動物も包含する。
【0008】
処理
本発明の薬学的適用に関連して「処理」の語は病気の重症性を軽減することをいう。
予防
「予防」の語は、所定の病気を予防することをいい、即ち、症状の発現前に本発明の化合物を投与することである。これは、本発明化合物が予防薬として使用できること、または所定の病気の発病若しくはリスクを予防するために機能性食品若しくは飼料の成分として使用できることを意味する。
FPH-酵素処理魚肉タンパク質加水分解物
FPH原料は魚肉材料の酵素処理により得られるタンパク質加水分解物である。FPH原料はタンパク質及びペプチドに富む。
【0009】
本発明化合物の投与
薬学上の薬物として本発明の化合物は任意の適切な技術により動物に直接投与することができ、これには非経口、経鼻、経口、または経皮吸収が含まれる。局所的にまたは全身的に投与することができる。具体的な投与経路は、例えば動物の病歴等に依存する。好ましい投与経路は経口である。
非経口投与の例には皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、および腹腔内投与が含まれる。連続して投与する場合は本発明の化合物は通常一日1−4回、または例えばミニポンプを使用して皮下注入される。静脈投与用バッグの溶液もまた使用される。適切な用量を選択する際の主たる因子は、全体重または痩身に対する脂肪の比率の減少を評価して得られる結果、あるいは肥満の予防若しくは制御を評価し、または肥満の予防を評価する基準により得られる結果であり、これらは熟練者により適切と見なされる。
【0010】
ひとつの態様として、非経口投与のために、本発明化合物は望ましい程度の純度で薬学的に許容される担体と混合され投与可能な注射用の単位用量(溶液、懸濁液、乳化液)に剤形化される;該担体は即ち使用される濃度および用量では服用者に無毒でありその他の製剤成分と相性のよいものである。
通常は、本発明の化合物を液体の担体若しくは細かく細分化された固体の担体またはその両方に接触させて調製される。それから必要であれば生成物を所望の形態に整形する。
好ましくは、担体は非経口用の担体であり、より好ましくは服用者の血液と等張な溶液である。そのような担体基剤の例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液が含まれる。例えば固定油、オレイン酸エチル等の非水基剤、およびリポソームも有用である。
【0011】
また該担体は、等張性や化学的安定性を増強する物質のような少量の添加物を適宜含んでもよい。そのような物質は用いられる用量および濃度で無毒であり、例えばリン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、およびその他の有機酸またはその塩のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;免疫グロブリン;例えば、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニンのようなアミノ酸;セルロース若しくはその誘導体、グルコース、マンノース、デキストリンのような単糖、二糖及びその他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールやソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーまたはPEGのような非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0012】
経口の薬学的組成物のためには例えば、水、ゼラチン、ガム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、オイル、ポリアルケングリコール、石油ゼリー等の担体用材料が使用される。そのような薬学的組成物は単位用量形態でもよく、他の治療上の有用な物質や常用される薬学的な補助剤、例えば保存剤、安定化剤、乳化剤、緩衝剤等を追加的に含んでもよい。該薬学的組成物は例えば錠剤、カプセル、糖衣錠、アンプル等で慣用的な液剤中にあってもよく、ドライアンプルや坐剤のような慣用的用量形態であってもよい。
【0013】
加えて、本発明の化合物は具体的な病気を予防し若しくは有効な他の治療と組み合わせて適切に投与される。
本発明は以下の実施例を参考にしてより詳しく理解できる。しかしながら、これらは本発明の範囲を制限すると理解してはならない。
本発明のより好ましい態様は、FPH原料を含む栄養学的組成物に関し、任意の慣用的な方法で食品または飼料として製品化できる。
【0014】
実験項
以下の非制限的な実施例は発明を更に説明するのに役立つ。
試薬
[1-14C]パルミトイル-L-カルニチン(54Ci/mmol)はアマーシャムより購入した。リアルタイムRT−PCRの試薬はアプライド・バイオシステムズから購入した。他のすべての試薬は市販の販売元より、試薬級のものを入手した、
魚肉タンパク質加水分解物(FPH)
実施例1に記載の通り、切り身を取った後のサケの骨に残った新鮮な魚残骸よりFPHを調製した;Supro 530 EX大豆タンパクはデュポン・プロテイン・テクノロジー (セントルイス、MO、USA)より、ウシカゼインナトリウム塩 C-8654はシグマ-アルドリッチより入手した。
【0015】
動物と処理
4-5週齢の雄性肥満Zuckerラット、Crl:(ZUC)/faBR(チャールズリバー、ドイツ)で、実験開始時点で平均体重120±3gのものを、昼夜12時間サイクル、気温20±3℃、相対湿度65±15%の室内で飼育した。到着したラットを無作為に代謝ケージ内に分け、一群6匹ずつ、三実験群に分けた。ラットを実験条件に適合させ試験食で4日間飼育してから、排泄物を7日間集めた。部分的に精製した食餌はFPHまたはカゼイン(対照)の形態で20%の粗タンパク質(N x 6,25)を含有していた。
【0016】
【表1】

【0017】
大豆油の脂肪酸組成(g/100g脂肪):18:2n-6(54.1±0.5), 18:1n-9(21.8±0.2), 16:0(11.2±0.1), 18:3n-3(6.10±0.2), 18:0(3.7±0.1), 18:1n-7(1.5±0.1), 20:0(0.5±0.1), 22:0(0.50±0.1).
ビタミン(mg/kg食餌): 8mg vit.A(4000I.U.), 2mg vit.D3(1000I.U.),60mg vit.E(30I.U.), 0.1mg vit.K(0.05I.U.), 1000mg コリン酒石酸水素塩, 4mg チアミン, 3mg リボフラビン, 6mg ピリドキシン, 20mg ナイアシン, 8mg パントテン酸Ca, 1mg 葉酸, 5mg vit.B12(0.05I.U.).
ミネラル(g/kg食餌):8.5g CaCO3, 6.2g CaHP04x2H20, 12.3g KH2PO4, 1.4g MgCO3, 0.4 NaCO3, 0.8g NaCl, 0.02g CuS04x5H20, 0.002g NaF, 0.0002g KI, 0.2g FeSO4xH2O, 0.05g ZnSO4xH2O.
【0018】
動物には毎日成長のための要求を満たす分の食餌を等しく提供した。水道水は自由に摂取させた。環境に順応させた後ラットを22日または23日飼育した(22日目に各群からラット3匹を死亡させ23日目には残りのラットを死亡させた)。体重は週毎に測定した。飼育の終了時には0.2mL/100g体重のHypnorm(登録商標)/Dormicum(登録商標)(フェンタニル/フルアニゾン−ミダゾラム)の1:1溶液を皮下注射して動物を麻酔した。心臓に穿刺して血液を採取し(ヘパリン中に)、肝臓を切開した。液体窒素で肝臓の一部を直ちに冷凍し、残りの部分は氷冷してホモジナイズした。プロトコールはノルウェー国の生物学的動物生体実験審議会により認められた。
【0019】
細胞亜分画の調製
ラット肝臓は個別に氷冷スクロース溶液(10mmol/L HEPES緩衝液 pH7.4 および1mmol/L EDTA中0.25mol/L スクロース)中でポッターエルベージェム(Potter-Elvehjem)ホモジナイザーを用いてホモジナイズした。細胞亜分画はBerge,R.K.等(Berge,R.K., Flatmark,T. & Osmundsen, H.(1984)、「ペロキシソーム増殖因子によるラット肝臓のペロキシソームおよびミトコンドリア中の長鎖アシル-CoAヒドロラーゼ活性の増強」、Eur.J.Biochem., 141:637-644)に従って単離した。要約すると、ホモジネートを1000 x gで10分間遠心分離し、核分画から後核分画を分離した。ミトコンドリア-リッチな分画を10,000 x g、10分間の処理で該後核分画から調製した。後ミトコンドリア分画を23,500 x g、30分間遠心分離してペルオキシソーム-リッチな分画を調製した。ミクロソームリッチな分画を後ペルオキシソーム分画の100,000 x g、75分間処理で単離した。残った上澄を細胞質分画として集めた。これらの実験は0-4℃で実施し、分画は-80℃で保存した。タンパク質はバイオラッドのプロテインアッセイキット(バイオラッド、ヒロールズ、CA)で試験し、ウシ血清アルブミンを標準とした。
【0020】
酵素試験
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT-I)活性は基本的にBremerの記載〔Bremer, J.(1981)、「肝カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの活性におよぼす絶食の効果とマロニル-CoAによるその阻害」、Biochim Biophys Acta 663 :628-631〕に従って測定した。CPT-Iの試験には、20mmol/L HEPES pH 7.5、70mmol/L KCl、5mmol/L KCN、100μmol/L パルミトイル-CoA、10mgBSA/mL、および0.6mg組織タンパク/mLが含まれた。反応は200μmol/L[メチル-14C]L-カルニチン(200cpm/nmol)で開始した。CPT-IIの試験条件はBSAが除外され0.01% トリトン X-100が含まれること以外は同一であった。組織タンパク濃度は2.5pg/mLであった。アシル補酵素Aコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)はタンパク質130mgと14C-オレイル-CoAを基質として測定した。
【0021】
生成物はヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸(80:20:1)を移動相としてTLCプレート上で分離し、シンチレーションカウンター(ウィン・スペクトラル1414 液体シンチレーションカウンター、ウォーレック)で計測した。3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル(HMG)-CoAリダクターゼは、タンパク質80mgと14C-HMG-CoAを基質として測定した。生成物はアセトン:ベンゼン(1:1)を移動相としてTLCプレート上で分離し、シンチレーションカウンターで計測した。脂肪酸シンターゼはRoncariの記載〔Roncari,D.A.,(1981)、「ヒト肝臓の脂肪酸シンターゼ」、Methods Enzymol., 71 Pt C:73-79〕と同様にして、Skorve 等の変更〔Skorve,J., al-Shurbaji,A., Asiedu,D., Bjorkhem,I., Berglund,L.& Berge, R.K.(1993)、「脂血濃度が正常なラットにおけるS置換ヘキサンジオン酸(3-チアジカルボン酸)の低脂血効果のメカニズムについて」、J.Lipid Res.,34:1177-1185〕に従って測定した。アセチル-CoAカルボキシラーゼは、マロニル-CoA中に取り込まれるNaH14CO3量を測定して決定した。
【0022】
脂質の分析
バイエル社トリグリセリドとコレステロール酵素キット(バイエル、テリータウン、NY)およびPAP150ホスホリピド酵素キット(ビオメリュー、リヨン、フランス)を使用し、全肝臓およびヘパリン化血漿中の脂質をテクニコン・アクソン・システム(マイルズ、タリータウン、NY)で測定した。肝臓脂質は最初にBlighとDyerの記載〔Bligh,E.G. & Dyer,W.J.(1959)、「総脂質の抽出と精製の迅速法」、Can.J.Biochem.Physiol., 37:911-91〕に従って抽出した。
【0023】
排泄物中のステロール
排泄物中の総胆汁酸はSuckling等の記載〔Suckling,K.E., Benson,G.M., Bond,B., Gee,A., Glen,A., Haynes,C. & Jackson,B., (1991)、「ハムスターのコレスチラミン処理によるコレステロール低下と胆汁酸分泌」、Atherosclerosis 89: 183-190〕と同様にし、少しこれを変更して調製した。2mLのNaBH/エタノール(mg/mL)を乾燥して粉末とした糞便0.1g中に加えた。周辺温度で混合物を1時間反応させ、2mol/Lの塩酸50μlを添加して過剰のNaBHを除去した。試料より中性のステロールをn-ヘキサンで抽出し(2回続いて洗浄)、10mol/LのNaOH水溶液200μlを加えて110℃で終夜加水分解した。加水分解物240μlに水2.8mLを加えてボンドエルート(Bond Elut)C18カラム(バリアン、200mg、3mL)に付した;該カラムはあらかじめメタノール3mLと水3mLで活性化しておいた。カラムに保持された胆汁酸を20%メタノール-水3mLで2回洗浄してからメタノール3mLで溶出した。胆汁酸を45℃で風乾しイソプロパノール1mLで溶解した。テクニコン・アクソン・システムの総胆汁酸診断キット(Sigma 450A)を用いて総胆汁酸を酵素的に決定した。
【0024】
アミノ酸
食餌中のアミノ酸を6M HCl中110±2℃で22時間加水分解し、CohenとStrydom(34)の方法に従ってフェニルイソチオシアネートで誘導体化してから分析しアミノ酸を決定した。食餌中の総システインはシステインおよびシスチンを過ギ酸(88%):H2O2(30%)=9:1(v/v)で酸化しシステイン酸としてから決定した。その後、試料を6M HCl中110±2℃で22時間加水分解し、上記のアミノ酸分析に供した。肝臓および血漿中のアミノ酸は、既に記載した(24)とおり、後カラムニンヒドリン誘導体化のリチウムカラムを供えたバイオクロム20 プラスアミノ酸分析器(アマーシャム・ファルマシア・バイオテック、スウェーデン)で分析した。分析に先立って、肝臓試料に5%スルホサリチル酸を2倍量加えて抽出し脱タンパク化して、30分間氷冷し5,000 x gで15分間遠心分離した。上澄と内部標準(0.1mol/L HCl中、ノルロイシン2.5mmol/L)を4:1で混合した。血漿試料を内部標準(0.1mol/L HCl中、ノルロイシン1mmol/L)と1:1で混合し、10,000 x gで5分間遠心分離して上澄をフィルター管(除去 10kDa、バイオマックスPB ポリエーテルスルホン膜、ミリポア・コーポレーション、USA)に入れ、10,000 x gで更に30分間遠心分離した。
【0025】
脂肪酸組成
クロロホルム:メタノール=2:1(v/v)を用いて試料から脂肪酸を抽出した(35)。試料を濾過してけん化し、12%BF3-メタノールでエステル化した。肝臓および血漿中の総脂肪の脂肪酸組成をLieとLambertsenの記載〔Lie,0. & Lambertsen,G.(1991)、「HPLCおよびガスクロの組み合わせにより決定した、タラ(Gadus morhua)の7の組織におけるグリセロホスホリピドの脂肪酸組成」、J.Chromatogr., 565:119-129〕に従って分析した。脂肪酸メチルエステルは50mのCP-sil 88(クロムパック、ミデルブルグ、オランダ)溶融シリカキャピラリーカラム(i.d.0.32mm)を供えたカルロ・エルバ(Carlo Erba)ガスクロマトグラフィー〔冷却カラム注入、69℃/20s、25℃/minで160℃まで上昇、160℃で28min保持、25℃/minで190℃まで上昇、190℃で17min保持、25℃/minで220℃まで上昇、220℃で9min保持〕で分離した。メチルエステルの標準混合物(Nu-Chek-Prep、エリアン、MN、USA)を使用し、保持時間から脂肪酸を同定した。脂肪酸組成(重量%)はGLCにつないだ積算計(ターボクロム・ナビゲータ、バージョン4.0)で計算した。
【0026】
血漿中のトリアシルグリセロールリッチなリポタンパク分画からクロロホルム-メタノール混合物を用いて脂肪を抽出し、シリカゲルプレートの薄層クロマトグラフ上で、ヘキサン-ジエチルエーテル-酢酸(80:20:1, v/v/v)を用いて展開しローダミン6G(0.05%メタノール溶液、Sigma)とUV照射で検出して分離した。スポットをかき取り、内部標準としてヘンエイコサエン酸(21:0)を含むチューブに入れた。エステル化のため試料にBF3-メタノールを加えた。中性のステロールおよび非けん化物を除くため、脂肪酸メチルエステル抽出物を0.5mol/L KOHのエタノール-水(9:1)溶液中で加熱した。
【0027】
回収された脂肪酸を再度BF3-メタノールでエステル化した。メチルエステルをフレームイオン化検出器と温度制御可能な気化注入口、AS 800オートサンプラー、極性の高い膜厚0.20μmのSP2340相(スペルコ)を含むキャピラリーカラム(60m x 0.25mm)を備えたGC800O Topガスクロマトグラフィー(カルロ・エルバ・インスツルメント)で分析した。最初の温度は130℃、1.4℃/minで最終214℃まで加熱した。注入口の温度は235℃であった。検出器の温度は235℃で水素(25mL/min)、空気(350 mL/min)および調製用の窒素ガス(1.6mL/min)を使用した。キャリアーガスとして水素ガスを一定の量(1.6mL/min)で流し、試料を分析した。分割比は20:1であった。メチルエステルは標品(ラロダン・ファイン・ケミカルズ、マルモ、スウェーデン)と比較して同定し、マススペクトル測定で確認した。脂肪酸の定量は、ヘンエイコサエン酸を内部標準としてクロムカード(Chrom Card) A/D 1.0 クロマトグラフィー・ステーション(カルロ・エルバ・インスツルメント)を用いて行った。
【0028】
アシルCo-Aエステル
肝臓中のアシルCo-Aエステルは逆相の高速液体クロマトグラフで測定した。凍結した肝臓100mgを氷冷下1.4mol/LのHC1O4溶液および2mmol/LのD-ジチオスレイトール中でホモジナイズして10%(w/v)のホモジネートを得、これを12,000 x gで1分間遠心分離した。0.5mol/Lのトリエタノールアミンを含む122μlの3mol/L K2CO3溶液を氷冷して、500μlの上澄に加えた。10分間氷冷した後、溶液を12,000 x g、4℃で1分間遠心分離した。上澄40μlを高速液体クロマトグラフのカラムに注入しDemoz et al (39)の記載に従いアシルCo-Aエステルを測定した。但し、以下の条件を変更して使用した;溶出緩衝液AはpH5.00に調節し、グラディエント溶出は以下の通りであった;0分、83.5%A;10分、55%A;17分、10% A;溶出速度は1.0mL/min。
【0029】
血漿中のトリアシルグリセロールリッチなリポタンパク分画の単離
血漿中のトリアシルグリセロールリッチなリポタンパク分画は、密度1.063g/mLの血漿3mLを15℃、105,000 x gで19時間超遠心分離を行うことにより調製した。チューブをスライスし、各チューブ上端の浮遊している分画を集めた。該分画を塩化ナトリウム150mmol/L、リン酸ナトリウム16mmol/Lおよびリン酸カリウム4 mmol/L、pH7.4、窒素ガスにて飽和した液に対して透析を行った。
【0030】
リアルタイム定量的RT-PCR
トリゾール(ギブコ BRL)を用いて総RNAを精製し、逆転写酵素キット(アプライド・バイオシステムズ)を使用して1μgの総RNAを全体積100μl中に逆転写した。RNAが省略された反応は陰性対照とし、RNAが希釈された反応は標準曲線とした。プライマーエキスプレス(アプライド・バイオシステムズ)を用いて、ラットのΔ、ΔおよびΔデサチュラーゼ、ペロキシソーム増殖活性受容体(PPAR)αおよびグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)に対するプライマーおよびタックマン・プローブをデザインした。GAPDHおよび18S rRNAを内因性対照として用いた。18S rRNAのプライマーおよびタックマン・プローブはアプライド・バイオシステムズより購入した。
【0031】
各試料について3回、ABI 7900 配列検出システム(アプライド・バイオシステムズ)上でリアルタイムPCRを実行した。Δ、ΔおよびΔデサチュラーゼ、PPAR-αおよびGAPDHについての各反応液20μlには3μlのファーストストランドcDNA、1x ユニバーサルマスターミックス(アプライド・バイオシステムズ)、300nmol/Lの各前進若しくは後退プライマー、および250nmol/Lのタックマン・プローブが含まれる。18S rRNAの反応には、3μlのファーストストランドcDNA、1x ユニバーサルマスターミックス(アプライド・バイオシステムズ)、1x18Sプローブ/プライマー反応混合物が含まれる。反応はすべてアプライド・バイオシステムズが一般に推奨する以下のサイクル・パラメータを用いて行った;50℃で2分間、95℃で10分間、続いて95℃で15秒および60℃で1分を40回繰り返し。それぞれの未知の試料につきCtリーディング(境界のサイクル番号)によりデサチュラーゼ、PPAR-α、GAPDHおよび18S rRNAの量を計算した。GAPDHおよび18S rRNAに対して結果を標準化した。GAPDHについてのみ標準化した結果を示すが、18S rRNAについての標準化も同様であった。
各実験群について、動物6匹の平均±SEMを結果として報告する。統計処理は一元的Anova Dunettの試験(プリズム、グラフパッド)によった。
【実施例1】
【0032】
魚肉タンパク質加水分解物の調製
切り身を取った後のサケの骨に残った新鮮な魚肉残骸よりFPHを調製した。切り身を取った後の新鮮なアトランティック・サーモン(Salmon salar, L.)の頭のない残骸を生産ラインから直接取り出して−20±2℃で冷凍した。一週間以内に冷凍した残骸を酵素的加水分解工程に提供した。
酵素的加水分解はProtamex(商標)を用いて、pH約6.5、温度55±2℃にて行った。Protamex(商標)はノボエンザイムAS(バクスバード、デンマーク)より購入したバチルス・プロテアーゼであり、食品用途の酵素に求められる純度を満たす。水に対するサケ残骸の比率は1.14であった。加水分解では基質に対し、11.1AU/kg粗タンパク質の比率で酵素を使用した。酵素処理を60分間行った後、105分間で温度を98℃にまで高めた。
【0033】
大きな骨は加水分解槽に残ったが、小さな骨は加水分解物を網で濾過して除去した。その後、不溶分画を二層分離器(ウェストファリア、ドイツ、SC.35-26-177、15kW、7200 rpm)で除去し、残った混合物を三層分離器(ウェストファリア、ドイツ、SB-7-36-+76、76.4kW、8520 rpm)でサケ油、乳化分画および水性分画に分離した。水性分画を濃縮し(ニトロアトマイサー、デンマーク、薄膜式エバポレーター、Ff100)、名目上の分子量限界100,000の限外濾過膜(PCIメンブランシステムズ、UK、PF100、2.65m)で濾過し最終的に当該限外濾過液をスプレードライで乾燥した(ニロアトマイザー、デンマーク、P-63タワー、Tin=200℃、Tout=84℃)。
UF分画を魚肉タンパク質加水分解物(FPH)と呼び、以下の実験に使用した。FPH原料はタンパク質約83%、灰分10%および脂質約2%を含む(乾燥重量で)。アミノ酸組成を表2に示す。
【0034】
【表2】

【実施例2】
【0035】
FPHは血漿中のコレステロール低下作用を示す。
肥満Zuckerラットに総タンパク源として20% FPHを含む食餌を与えた。FPHは前述のとおり脂肪酸を含まない魚肉タンパク質加水分解物である。
FPHで飼育したZuckerラットにおいて血漿中のコレステロールは、食餌タンパクとしてカゼインを与えたラットと比較して、49%低下した。結果を図1に示す。FPHが明らかに血漿中のコレステロール濃度を低下させ、コレステロール低下薬として使用できることが示される。
【実施例3】
【0036】
FPHは肝臓中のトリアシルグリセロール濃度を低下させる。
図2はFPHが肝臓のトリアシルグリセロール濃度を約50%低下させることを示す。このことは本発明化合物が脂質低下薬として使用でき、脂肪肝の予防と治療に有効であることを示す。
【実施例4】
【0037】
FPHはアシル-CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼを阻害する。
アシル-CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)は、脂肪酸アシル-CoAがエステル化されてコレステロールとなる反応を触媒する。コレステロールエステルはそれから油滴として細胞質内に蓄えられるか、または遊離のコレステロールとともにVLDLの一部として分泌される。こうして、ACATはVLDL分泌において主要な役割を果たしていて、続くコレステロールエステルの蓄積と心血管病のリスクにおいても同様である。Zuckerラットの本実験において、FPHタンパクはトリアシルグリセロール-リッチなリポタンパク分画中の脂肪クラスの組成を変化させ、つまり、カゼインで飼育したラットと比較して、コレステロールエステルとホスホリピド量が低下し、トリアシルグリセロール量が多くなった。
【0038】
さらに図3は、カゼインで飼育したラットと比較して、FPHタンパクで飼育したラットではACAT活性が減少することを示す。動脈硬化(46-49)の進行においてACAT活性が重要な役割を担っているとの強力な証拠があり、この発見はFPHおよび大豆タンパクが心保護作用を有することを示す。
図3はカゼインで飼育したZuckerラットと比較して、FPHで飼育したラットではACAT活性が約30%減少したことを示す。
【実施例5】
【0039】
FPHはミトコンドリア内のβ酸化を増大させる。
図4はFPHはミトコンドリア内のβ酸化を増大させることを示す。
脂肪酸酸化の増加はFPHの脂質低下作用の後にある重要な因子である。脂肪酸異化作用の増加はエステル化に利用できる脂肪酸の量を減少させ、肝臓によるVLDLの産生と分泌を低下させる。図4から、FPHが対照と比べてパルミトイル-補酵素Aの酸化を有意に増加させることが分かる。
【実施例6】
【0040】
FPHは脂質の恒常性に干渉する
このデータは脂質の遊離FPH原料が脂質の恒常性に干渉し、内因性のリガンド蓄積を促進し得ることを示す。PPARaにおける肝mRNAレベルは変化しない(データ示さず)が肝、血漿およびトリアシルグリセロールリッチなリポタンパク質分画の脂肪酸組成がカゼイン飼育したラットに比してFPH飼育したラットで変化した;そして該変化は肝臓及び血漿中で平行ではない(表3−7)。飽和脂肪酸(14:0)と(16:0)の肝臓中濃度は減少したが、FPHで飼育したラット、特にカゼイン飼育したラットに比して大豆タンパク質で飼育したラットにおいて(18:0)が増加した。FPH飼育ラットでは、(18:1n-9)を含むモノ不飽和脂肪酸の肝臓中濃度が減少した。結果的にFPH飼育ラットでは、(18:1n-9)/(18:0)の比が54減少した。しかし、肝臓のΔデサチュラーゼ・mRNAレベルは食餌のタンパク質では変化しなかった(データは示さず)。肝臓とは対照的に、血漿中の飽和およびモノ不飽和脂肪酸では逆の効果が認められた(表5、6)。
【0041】
FPH飼育した血漿中では飽和脂肪酸(14:0)および(16:0)が増加した。FPH飼育ラット中、モノ不飽和脂肪酸(18:1n-9)および(16:1n-7)は1.3-1.5倍増加し、(18:0)に対する(18:1n-9)の比も増加した。トリアシルグリセロールリッチなリポタンパク質分画(表7)では、飽和脂肪酸およびモノ不飽和脂肪酸についてわずかな変化しか認められなかった;即ち、FPH飼育および大豆タンパク質飼育ラットでホスホリピド中の(16:1n-7)が減少した。(18:ln-9)/(18:0)の比はトリアシルグリセロールリッチなリポタンパク質分画中では概して変化しなかった。n-6脂肪酸では、肝臓中の(18:3n-6)は変化せず、(18;2n-6)は増加したが2倍未満であった。一方、(20:3n-6)および(20:4n-6)はFPH飼育の場合数倍増加した。この結果、(18:3n-6)/(18:2n-6)の比が減少し、Δ不飽和化の減少が示された(データ示さず)。実際、肝臓のΔデサチュラーゼ発現は減少した(データ示さず)。更に、(20:4n-6)/(20:3n-6)の比が減少しΔ不飽和化減少が示されたがこれは肝臓のΔデサチュラーゼmRNAレベル低下と一致した(データ示さず)。
【0042】
(20:4n-6)/(18:2n-6)の比の2倍の増加および(20:4n-6)/(18:3n-6)の比の3倍と5倍の増加がFPH飼育動物で認められた。従って、肝臓のエロンガーゼ活性の増加が期待される。FPH飼育動物の血漿中で(18:2n-6)濃度が増加し、一方、(20:4n-6)濃度は低下した。結果的に、血漿中で(20:4n-6)/(18:2n-6)の比は54減少した。更に、カゼイン飼育したラットに対してFPH飼育したラットでは(20:4n-6)/(20:3n-6)の比は60%減少した。加えて、有意ではないが、FPH飼育した動物では(18:3n-6)/(18:2n-6)および(20:4n-6)/(18:3n-6)の比が減少する傾向があった。トリアシルグリセロールリッチなリポタンパク質分画中では脂肪酸の組成は血漿中と似ており、即ち、(18:2n-6)は増加し、(20:4n-6)は減少し、結果的に(20:4n-6)/(18:2n-6)、(20:4n-6)/(18:3n-6)および(20:4n-6)/(20:3n-6)はFPH飼育したラットでそれぞれ49-68%、53-65%および35-37%減少した。測定したすべての肝臓中のn-3脂肪酸は両方のFPH飼育ラットで増加した。(18:3n-3)はFPH飼育ラットの血漿中で1.8増加した。(20:5n-3)はFPH飼育ラットで有意に増加(44%増加)し、一方、DHAはFPH飼育により低下した(27%減少)。トリアシルグリセロールリッチなリポタンパク質分画中ではn-3脂肪酸のパターンはホスホリピド中でのみ変化し、(20:5n-3)および(22:5n-3)がFPH飼育ラット中で増加した。これは血漿中の結果と似ていた。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
【表7】

【実施例7】
【0048】
FPHは血漿中のホモシステイン濃度を減少させる。
ホモシステインレベルの上昇、即ち高ホモシステイン血症の動脈疾患との関連が提唱されており、ラットの血漿試料中のホモシステイン濃度を測定した。
血漿の総ホモシステイン量を全自動蛍光試験で測定した。血漿30μlを30μlのNaBH4/DMSO溶液(6mol/L)で還元した。1.5分経過後、蛍光試薬モノブロモビマン/アセトニトリル溶液(25mmol/L)20μlを加えて3分間反応させた。試料20μlを直ちにHPLCに注入し強酸性のカチオン交換カラム、それからカラム変更してシクロヘキシルシリカカラムで分析した。該SCXカラムはアイソクラチックに、そしてCHカラムはメタノールの直線的グラディエント(5分間で17%から35%へ)を用いてギ酸緩衝液20mmol/Lで溶出した。ホモシステインは保持時間4.5分で溶出した。結果を表8に示す。
【0049】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】酵素処理した魚肉タンパク質加水分解物(FPH)が血漿中のコレステロールを低下させることを示す。
【図2】酵素処理した魚肉タンパク質加水分解物(FPH)が肝臓中のコレステロールを低下させることを示す。
【図3】酵素処理した魚肉タンパク質加水分解物がACAT酵素を阻害することを示す。
【図4】酵素処理した魚肉タンパク質加水分解物がミトコンドリアのβ酸化を増加することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における動脈硬化、冠状動脈性心臓病、狭窄、血栓症、心筋梗塞、脳梗塞および脂肪肝の治療および/または予防のための薬学的または栄養学的組成物の調製における、酵素処理した魚肉タンパク質加水分解物(FPH)原料の使用。
【請求項2】
高コレステロール血症の治療および/または予防のための薬学的または栄養学的組成物の調製における、FPH原料の使用。
【請求項3】
血漿中のホモシステイン濃度を低下させるための薬学的または栄養学的組成物の調製における、FPH原料の使用。
【請求項4】
薬学的または栄養学的な心臓保護組成物の調製における、FPH原料の使用。
【請求項5】
当該動物がヒトである、請求項1−4のいずれかに記載されたFPH原料の使用。
【請求項6】
当該動物が、家禽類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタのような農業用動物である、請求項1−5のいずれかに記載されたFPH原料の使用。
【請求項7】
当該動物が、イヌ、ネコのようなペット動物または家庭内動物である、請求項1−5のいずれかに記載されたFPH原料の使用。
【請求項8】
当該動物が、サケ、タラ、ティラピア、二枚貝、カキ、ロブスター、カニのような魚介類である、請求項1−5のいずれかに記載されたFPH原料の使用。
【請求項9】
当該魚肉原料が切り身を取った後のサケの骨に残った新鮮な魚残骸である、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
該加水分解がバチルスプロテアーゼ複合体(商標:Protamex)により行われる、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
酵素による加水分解がpH5.0から8.0の領域、好ましくは6.0から7.0、最も好ましくは約6.5において行われる、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
酵素による加水分解が温度40℃から70℃の範囲、好ましくは50℃から60℃、最も好ましくは約65℃において行われる、請求項1に記載の使用。
【請求項13】
当該組成物が、例えば動物の食餌やペットフードのような食料品または食品添加物としての品質である、請求項1から12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
以下の工程
a) 新鮮な魚残骸を、pH5.0から8.0の領域、好ましくは6.0から7.0、最も好ましくは約6.5で、かつ温度は40℃から70℃の範囲、好ましくは50℃から60℃、最も好ましくは約65℃においてプロテアーゼ酵素により加水分解する工程;
b) 温度を約90℃から99℃に上昇させる工程;
c) 傾斜および濾過により不溶物分画を除去し、得られた混合物を三層分離器で油状分画、乳化分画および水層分画に分離する工程;そして
d) 該水層分画を単離して名目上の分子量限界が10,000の限外濾過膜で濾過してスプレードライする工程、
を含むことを特徴とする、酵素処理した魚肉タンパク質加水分解物(FPH)の製造方法。
【請求項15】
FPH原料中にタンパク質が70%から90%の範囲、好ましくは80%から85%、最も好ましくは約83%含まれる、請求項14の製造方法。
【請求項16】
FPH原料中のアミノ酸含量が表2で与えられる、請求項14の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−527384(P2007−527384A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518570(P2006−518570)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/NO2004/000202
【国際公開番号】WO2005/002605
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506177866)ベルゲ・バイオメッド・アクティーゼルスカブ (2)
【氏名又は名称原語表記】Berge Biomed AS
【Fターム(参考)】