説明

DC/DC電力変換装置

【課題】DC/DC電力変換装置のリアクトルに電流が流れなくなり、充放電コンデンサの電圧制御ができなくなったとき、半導体素子の過電圧破壊を防止する。
【解決手段】直流電源10に接続されたリアクトル12と出力電圧の平滑用コンデンサ18a、18b間に直流電圧変換部23を設け、第1及び第2スイッチング素子13、14と、第1及び第2スイッチング素子13、14のオンオフにより充放電動作する充放電コンデンサ15と、充放電コンデンサ15の充電経路と放電経路を形成するダイオード16、17で構成する。ダイオード16、17と平滑用コンデンサ18aとの接続点と、充放電コンデンサ15の高電位側端子の間に接続された分圧抵抗24と、充放電コンデンサ15と並列に接続された分圧抵抗25と、充放電コンデンサ15の低電位側端子と、第1スイッチ素子13と平滑用コンデンサ18bの接続点の間に接続された分圧抵抗26を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流電圧を昇圧あるいは降圧した直流電圧に変換するDC/DC電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直流電圧を昇圧あるいは降圧した直流電圧に変換するDC/DC電力変換装置は、例えば、太陽光発電システム、ハイブリッド自動車などに使用されている。このDC/DC電力変換装置は、例えば、特開昭61−92162号公報(特許文献1)、特開2005−224060号公報(特許文献2)に開示されているように、図2に示す回路構成となっている。
【0003】
図2において、DC/DC電力変換装置100は、例えば太陽電池などの直流電源10からの入力電圧Vinを平滑化する入力コンデンサ11と、昇圧動作のためのリアクトル12と、リアクトル12に電圧を発生させる互いに直列接続された第1、及び第2のスイッチング素子13、14と、第1、及び第2のスイッチング素子13、14のオン・オフにより充放電動作する充放電コンデンサ15と、出力からの逆流を防止する互いに直列接続されたダイオード16、17と、出力電圧を平滑化する平滑用コンデンサ18とを備え、この平滑用コンデンサ18の電圧が目標電圧Voutになるように昇圧している。そして、目標電圧Voutを負荷である、例えば系統19に供給する。制御回路20は、入力コンデンサ11、充放電コンデンサ15、平滑用コンデンサ18の電圧、及び主回路21に接続された電流検出器22の検出電流を入力し、第1、及び第2のスイッチング素子13、14を制御する。なお、第1、及び第2のスイッチ素子13、14、充放電コンデンサ15、ダイオード16、17により、直流電圧変換部23を構成している。
【0004】
上記構成のDC/DC電力変換装置100は、制御回路20による第1、及び第2のスイッチ素子13、14のオン・オフ動作を利用して、リアクトル12へのエネルギーの蓄勢と放勢の量をコントロールし、直流から直流への電力変換を行う。また、このリアクトル12は大型で重いという課題があることから、コンデンサ11の充放電を利用してリアクトル12に印加される電圧を低減し、リアクトル12に必要なインダクタンス値を低減することにより、リアクトル12を小型、軽量化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−92162号公報
【特許文献2】特開2005−224060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、DC/DC電力変換装置に対し、直流を交流に変換するインバータと組み合わせてシステムが構成される場合がある。例えば、太陽光発電用電力変換システム、エアーコンディショナ、ハイブリッド自動車の電気駆動システム等がある。これらシステムに用いられるDC/DC電力変換装置は、電源の状態(例えば、太陽光発電システムにおける太陽電池の光の照射量)や負荷の状態(例えば、ハイブリッド自動車の電気駆動システムのモータの回転数)に応じて、その出力電圧をコントロールする。即ち、その電圧変換に係わる電圧比を制御している。この電圧比の調整は、一般的に、スイッチ素子の通流率、所謂、デューティファクタを制御することにより行われている。
【0007】
図2に示すDC/DC電力変換装置100を、太陽光発電パワーコンディショナに用いた場合、直流電源10、即ち、太陽電池が発電しているとき、リアクトル12に流れるリアクトル電流Iと第1、及び第2のスイッチング素子13、14のデューティファクタD1、D2で充放電コンデンサ15のコンデンサ電圧VCfを制御している。充放電コンデンサ15のコンデンサ電圧VCfは、次式で求められる。
【0008】
【数1】

【0009】
この式より理解されるように、リアクトル12にリアクトル電流Iが流れないとき、充放電コンデンサ15のコンデンサ電圧VCfが制御不能になる。また、系統19と接続されているため、充放電コンデンサ15や平滑用コンデンサ18、および第1、及び第2の半導体素子13、14に系統電圧が印加され、漏れ電流の関係で充放電コンデンサ15のコンデンサ電圧VCfは0〜Voutまで不定となる。漏れ電流が大きい素子では、素子に印加される電圧は小さくなるが、漏れ電流が小さい素子では、素子に印加される電圧は大きくなる。
【0010】
このように、従来のDC/DC電力変換装置には、充放電コンデンサ15のコンデンサ電圧が0〜Vout[V]で不定となり、第1、及び第2のスイッチ素子13、14、ダイオード16、17、充放電コンデンサ15の何れかに過電圧が印加されることになった場合、第1、及び第2のスイッチ素子13、14、ダイオード16、17などの半導体素子の過電圧破壊が発生する可能性があった。
【0011】
この発明は、前記の問題点に鑑みてなされたもので、DC/DC電力変換装置を構成するリアクトルに電流が流れなくなり、充放電コンデンサの電圧制御ができなくなったとき、半導体素子の過電圧破壊を防止するDC/DC電力変換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るDC/DC電力変換装置は、直流電源に接続されたリアクトルと出力電圧の平滑用コンデンサとの間に直流電圧変換部を設け、前記直流電圧変換部は、第1、及び第2のスイッチング素子と、前記第1、及び第2のスイッチング素子のオン・オフにより充放電動作する充放電コンデンサと、前記充放電コンデンサの充電経路と放電経路を形成するダイオードと、を有するDC/DC電力変換装置において、前記ダイオードと前記平滑用コンデンサとの接続点と、前記充放電コンデンサの高電位側端子の間に接続される第1の分圧抵抗と、前記充放電コンデンサと並列に接続される第2の分圧抵抗と、前記充放電コンデンサの低電位側端子と、前記第1のスイッチ素子と前記平滑用コンデンサの接続点の間に接続される第3の分圧抵抗と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係るDC/DC電力変換装置によれば、DC/DC電力変換装置を構成するリアクトルに電流が流れなくなり、充放電コンデンサの電圧制御ができなくなったとき、半導体素子の過電圧破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1に係るDC/DC電力変換装置を説明する回路図である。
【図2】従来のDC/DC電力変換装置を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係るDC/DC電力変換装置について好適な実施の形態を説明する。なお、この実施の形態により発明が限定されるものではなく、諸種の設計的変更を含むものである。
【0016】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るDC/DC電力変換装置を説明する回路図である。図1において、DC/DC電力変換装置200は、ダイオード17のカソード側と平滑用コンデンサ18aとの接続点aと、充放電コンデンサ15の高電位側端子bの間に第1の分圧抵抗24を接続し、充放電コンデンサ15と並列に第2の分圧抵抗25を接続し、充放電コンデンサ15の低電位側端子cと、第1のスイッチ素子13と平滑用コンデンサ18bの接続点dの間に第3の分圧抵抗26を接続したものである。なお、その他の構成については図2に示す従来装置と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。また、図2で示した第1、及び第2のスイッチ素子13、14を制御する制御回路と、負荷の図示を省略している。
【0017】
前述のように、従来のDC/DC電力変換装置においては、充放電コンデンサ15のコンデンサ電圧が不定となり、第1、及び第2のスイッチ素子13、14、ダイオード16、17、充放電コンデンサ15の何れかに過電圧が印加されることになった場合、第1、及び第2のスイッチ素子13、14、ダイオード16、17などの半導体素子の過電圧破壊が発生する可能性がある。
【0018】
しかし、実施の形態1に係るDC/DC電力変換装置200では、分圧抵抗24〜26を挿入することにより、充放電コンデンサ15に印加される電圧V2は、分圧抵抗24〜26の分圧比のみで決まる次の式2となる。
V2={R2/(R1+R2+R3)}Vout・・・・・式2
【0019】
このように、DC/DC電力変換装置200は、出力電圧Voutを分圧して均等化し、充放電コンデンサ15のコンデンサ電圧VCfを一定に保つことができるため、第1、及び第2のスイッチ素子13、14、ダイオード16、17などの半導体素子の過電圧破壊を防止することができ、低耐圧、低損失の半導体素子やコンデンサを使用することができる。また、各半導体素子に印加される電圧を推定することができ、耐圧や損失を加味した主回路設計を行うことができる。
【0020】
また、近年、太陽光発電システムの高機能化が求められている中、実施の形態1に係るDC/DC電力変換装置200をこの太陽光発電システムに用いた場合、付加価値として、入力電流が流れないときの系統電圧安定化機能を実現できる。
【符号の説明】
【0021】
10 直流電源(太陽電池)
11 入力コンデンサ
12 リアクトル
13 第1のスイッチング素子
14 第2のスイッチング素子
15 充放電コンデンサ
16、17 ダイオード
18 平滑用コンデンサ
19 負荷(系統)
20 制御回路
21 主回路
22 電流検出器
23 直流電圧変換部
24、25、26 分圧抵抗
100、200 DC/DC電力変換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に接続されたリアクトルと出力電圧の平滑用コンデンサとの間に直流電圧変換部を設け、前記直流電圧変換部は、第1、及び第2のスイッチング素子と、前記第1、及び第2のスイッチング素子のオン・オフにより充放電動作する充放電コンデンサと、前記充放電コンデンサの充電経路と放電経路を形成するダイオードと、を有するDC/DC電力変換装置において、
前記ダイオードと前記平滑用コンデンサとの接続点と、前記充放電コンデンサの高電位側端子の間に接続される第1の分圧抵抗と、
前記充放電コンデンサと並列に接続される第2の分圧抵抗と、
前記充放電コンデンサの低電位側端子と、前記第1のスイッチ素子と前記平滑用コンデンサの接続点の間に接続される第3の分圧抵抗と、を備えたことを特徴とするDC/DC電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−239324(P2012−239324A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107134(P2011−107134)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】