説明

アームロック装置

【課題】コンパクトな構成でアームの回転を阻止するロック力を十分に大きくすることができるアームロック装置を提供する。
【解決手段】筒状のハウジング20の筒内には伝達筒26が回転可能に収容されており、伝達筒26には第2アーム14が連結されている。伝達筒26には電動モータ23の出力軸24が円板25を介して連結されている。円板25に形成されたフランジ29と伝達筒26に形成されたフランジ30との間においてハウジング20内には第1荷重受け筒31及び第2荷重受け筒32が収容されている。第1荷重受け筒31に形成された第1斜面331と第2荷重受け筒32に形成された第2斜面341との間にはローラベアリング35が介在されている。第1荷重受け筒31は、捻りバネ40のバネ力によってロック位置に保持され、捻りバネ40のバネ力がローラベアリング35を介してロック用のスラスト荷重に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結部に対して回転可能に連結されたアームの回転をロックするアームロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1アームに第2アームを回転可能に連結したロボットアーム機構(例えば、特許文献2参照)では、第1アームに対する第2アームの回転位置を所望の回転位置に特定する場合には、この特定された回転位置で第1アームに対して第2アームをロックする必要がある。このようなロックを行なうためのロック装置としては、例えば、特許文献1に開示のクランプ装置の採用が可能である。
【0003】
特許文献1に開示のクランプ装置では、弾性変形可能な弾性部材を高圧によって弾性変形させることによって、環状の出力フランジを包囲する環状のケースと前記出力フランジとが相互に締結(ロック)される。弾性部材は、圧力室に供給された流体圧(油圧あるいはエア圧)を直接受けて弾性変形するようになっている。
【特許文献1】特開平11−210715号公報
【特許文献2】特開2002−160188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースと出力フランジとを相互に締結(ロック)するための大きな力を流体圧によって得るには、流体圧出力機構を大型にしなければならないことから難しい。しかも、ケースと出力フランジとに対する弾性部材の接触部に単位面積当たりの流体圧を効率良く伝達する必要があるが、単位面積当たりの流体圧をそのまま他部位に伝えられる液体とは異なり、弾性部材によってこれを達成することは難しい。
【0005】
そのため、ロック状態における第1アームと第2アームとの間の捻り剛性(一方のアームに対する他方のアームの回転を阻止するロック力)を十分に大きくすることが難しい。
本発明は、コンパクトな構成でアームの回転を阻止するロック力を十分に大きくすることができるアームロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、アームと、前記アームに設けられた回転出力部と、前記回転出力部を回転させる回転駆動手段と、前記回転出力部の回転軸線の周りに回転可能に設けられた第1荷重受け部と、前記第1荷重受け部に対向するように、且つ前記回転出力部に押接可能に設けられた第2荷重受け部と、前記第1荷重受け部と前記第2荷重受け部との間に設けられ、前記第1荷重受け部を正転させる駆動力を楔効果でスラスト荷重に変換して前記第2荷重受け部に伝達する荷重増大手段と、前記スラスト荷重によって前記第2荷重受け部を前記回転出力部に押接するロック位置と、前記ロック位置に向けて正転可能なロック解除位置とに前記第1荷重受け部を切り換え配置する切り換え機構とを備えていることを特徴とする。
【0007】
回転出力部にアーム支持部を連結した場合、回転出力部が回転するとアームがアーム支持部に対して回転する。回転出力部に第2のアームを連結した場合、回転出力部が回転すると第2のアームが最初のアームに対して回転する。第1荷重受け部をロック位置に配置すると、回転出力部及びアームがロックされる。回転力を楔効果でスラスト荷重に変換する荷重増大手段は、大きなスラスト荷重を発生させるため、アームの回転を阻止するロック力を十分に大きくすることができる。又、このような荷重増大手段は、コンパクトに構成できる。
【0008】
好適な例では、前記荷重増大手段は、前記第2荷重受け部に対向する前記第1荷重受け部の対向面に、前記正転方向に向かうにつれて降り坂となるように設けられた第1斜面と、前記第1荷重受け部に対向する前記第2荷重受け部の対向面に、前記正転方向に向かうにつれて昇り坂となるように設けられた第2斜面と、前記第1斜面と前記第2斜面との間に介在されたローラベアリングとを備えている。
【0009】
第1斜面、前記第2斜面及びローラベアリングを備えた荷重増大手段は、コンパクトな構成で回転力を大きなスラスト荷重に変換すると共に、ロック状態を簡単に解除する上で、特に好適である。
【0010】
好適な例では、前記第1斜面と前記第2斜面との対は、前記回転軸線の周りに3対以上設けられている。
このような構成は、スラスト荷重を偏荷重としないように前記回転軸線の周りに分散する。
【0011】
好適な例では、前記切り換え機構は、リニアアクチュエータと、前記第1荷重受け部を正転方向とは逆の方向に回転させる回転駆動力に前記リニアアクチュエータの直線駆動力を変換する駆動力伝達機構とを備えている。
【0012】
荷重増大手段が大きなスラスト荷重を発生させるため、リニアアクチュエータの直線駆動力は、小さくて済む。
好適な例では、前記切り換え機構は、前記第1荷重受け部を正転方向へ付勢するためのバネ部材を備え、前記第1荷重受け部が前記ロック位置に配置された状態では、前記バネ部材は、そのバネ力によって前記第1荷重受け部を前記ロック位置に保持する。
【0013】
バネ部材のバネ力によって第1荷重受け部をロック位置に保持する構成は、アームのロックを保持する上で簡便である。
好適な例では、前記アームは、外殻となる筒状ケースを備え、前記リニアアクチュエータは、前記筒状ケース内に収容されている。
【0014】
好適な例では、前記リニアアクチュエータは、流体圧シリンダであり、前記回転出力部及び前記流体圧シリンダは、前記アームの基端側と先端側とにそれぞれ設けられており、前記一対の流体圧シリンダの圧力室は、共通である。
【0015】
このような構成は、アームロック装置のコンパクト化に寄与する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアームロック装置は、コンパクトな構成でアームの回転を阻止するロック力を十分に大きくすることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1は、関節型ロボット10を示す。関節型ロボット10は、基盤11と、基盤11上に固定されたアーム支持部12と、アーム支持部12に回転可能に支持された第1アーム13と、第1アーム13に回転可能に連結された第2アーム14とから構成されている。
【0018】
図2(a),(b)は、第1アーム13の先端側の内部構造を示す。
図2(a)に示すように、第1アーム13の外殻となる筒状ケース15内には圧力室形成筒16が嵌入して固定されており、圧力室形成筒16の一端側〔図2(a)において左側〕にはシリンダ17が嵌合して固定されている。圧力室形成筒16内には圧力室161が形成されている。圧力室161は、供給ポート162及び電磁3方弁(図示略)を介して圧力流体(圧力油あるいは圧力エア)の供給源(図示略)に連通されている。シリンダ17にはピストン18がスライド可能に収容されている。圧力室161、シリンダ17及びピストン18は、リニアアクチュエータである流体圧シリンダを構成する。
【0019】
ピストン18にはカム板19がピストン18のスライド方向に延びるように一体形成されており、カム板19にはカム溝191が形成されている。筒状ケース15の先端〔図2(a)において左端〕には筒状のハウジング20がネジ21〔図1に図示〕によって連結して固定されている。
【0020】
図2(b)に示すように、筒状のハウジング20の端部には取り付けプレート22が連結して固定されており、取り付けプレート22には電動モータ23が取り付けられている。電動モータ23は、減速機内蔵のサーボモータである。電動モータ23の出力軸24は、取り付けプレート22を貫通して筒状のハウジング20内に突入しており、ハウジング20内の出力軸24には円板25が止着されている。円板25は、ラジアルベアリング28を介してハウジング20に回転可能に支持されている。円板25には伝達筒26が嵌合して固定されている。伝達筒26の中心軸線261は、出力軸24の回転軸線241に一致させてある。つまり、中心軸線261は、伝達筒26の回転軸線である。伝達筒26は、ラジアルベアリング28を介してハウジング20に回転可能に支持されている。
【0021】
回転出力部としての伝達筒26には第2アーム14が連結されている。回転駆動手段としての電動モータ23の作動により伝達筒26及び第2アーム14が一体的に中心軸線261を中心にして回転する。図1に鎖線で示す第2アーム14の位置は、実線で示す第2アーム14の位置から回転して移動した一例を示す。
【0022】
図2(b)に示すように、円板25の外周面にはフランジ29が一体形成されており、伝達筒26の外周面にはフランジ30が一体形成されている。フランジ29とフランジ30との間においてハウジング20内には第1荷重受け筒31及び第2荷重受け筒32が同軸的に収容されている。第1荷重受け筒31は、ハウジング20に対して回転可能であり、第1荷重受け筒31とフランジ29との間にはスラストベアリング36が介在されている。
【0023】
第2荷重受け筒32には位置規制用のネジ37が筒状のハウジング20に貫設された位置規制孔201を通って螺着されている。位置規制孔201には位置規制筒38が嵌入されており、位置規制筒38は、ネジ37の締め付けによって第2荷重受け筒32の外周面に固定されている。位置規制孔201に嵌入された位置規制筒38は、中心軸線261の周りの第2荷重受け筒32の回転を阻止しており、第2荷重受け筒32は、中心軸線261の周りに回転不能である。第2荷重受け筒32とフランジ30との間にはブレーキパッド39が設けられている。
【0024】
第2荷重受け筒32に対向する第1荷重受け筒31の対向面である端面33には複数の第1斜面331が形成されており、第1荷重受け筒31に対向する第2荷重受け筒32の対向面である端面34には複数の第2斜面341が形成されている。第1斜面331は、図2(a),(b)に矢印Rで示す方向に向かうにつれて降り坂となる形状であり、第2斜面341は、矢印Rで示す方向に向かうにつれて昇り坂となる形状である。第1斜面331と第2斜面341とは、互いに平行である。
【0025】
各第1斜面331と各第2斜面341との間にはローラベアリング35が介在されている。図6,7に示すように、本実施形態では、第1斜面331及び第2斜面341は、いずれも4つ設けられている。つまり、第1斜面331と第2斜面341との対は、中心軸線261の周りに4対設けられている。
【0026】
図2(b)に示すように、第1荷重受け筒31の筒内には捻りバネ40が収容されている。バネ部材としての捻りバネ40の不動端401は、ハウジング20に係止されており、捻りバネ40の可動端402は、第1荷重受け筒31に係止されている。図2(a)に示すように、第1荷重受け筒31にはロッド41の一端が連結して固定されており、ロッド41の他端には回転子42が取り付けられている。回転子42は、カム溝191に係合されている。ピストン18の往復動は、カム溝191と回転子42との係合を介してロッド41及び第1荷重受け筒31に伝えられ、第1荷重受け筒31が中心軸線261の周りに回動する。
【0027】
捻りバネ40のばね力は、第1荷重受け筒31を矢印R〔以下においては正転方向Rという〕の方向に付勢する。つまり、捻りバネ40のバネ力は、中心軸線261を中心にしてロッド41を正転方向に付勢しており、ピストン18は、捻りバネ40のバネ力によって圧力室形成筒16に向けて付勢されている。
【0028】
図2(a),(b)は、圧力室161内が圧力流体の圧力になっていない状態を示す。この状態では、ピストン18が捻りバネ40のバネ力によって圧力室形成筒16に接近した待機位置に配置され、第1荷重受け筒31が図2(a),(b)に示すロック位置に配置される。このロック位置は、これより正転方向Rへ第1荷重受け筒31を正転できない正転限界位置である。第1荷重受け筒31がロック位置に配置されると、捻りバネ40のバネ力(第1荷重受け筒31を正転させる駆動力)が第1斜面331、ローラベアリング35及び第2斜面341の楔効果によってスラスト荷重(中心軸線261の軸線方向に作用する荷重)に変換される。図2(a),(b)の状態では、伝達筒26及び第2アーム14が第1アーム13に対して回転不能である。
【0029】
図8(a)は、第1荷重受け筒31がロック位置にあるときの第1荷重受け筒31と第2荷重受け筒32との位置関係を模式的に示す展開図である。第1荷重受け筒31がロック位置にあるときには、捻りバネ40のバネ力を変換したスラスト荷重〔図8(a)に矢印Fで示す〕が捻りバネ40のバネ力よりも大きくなるように増大される。この増大割合は、第1斜面331及び第2斜面341の傾斜角度θ〔図8(a)に図示〕の大きさに依存する。
【0030】
スラスト荷重Fは、第2荷重受け筒32をブレーキパッド39に圧接すると共に、ブレーキパッド39をフランジ30に圧接する。これにより、伝達筒26がロックされる。スラスト荷重Fの反力は、スラストベアリング36を介してフランジ29で受け止められる。
【0031】
図4(a),(b)は、圧力室161内が圧力流体の圧力になっている状態を示す。この状態では、ピストン18が捻りバネ40のバネ力に抗して圧力室形成筒16から遠ざかった作動位置に配置され、ピストン18が待機位置から作動位置に配置されると、第1荷重受け筒31が正転方向とは逆方向に回転される。これにより、第1荷重受け筒31が図4(a),(b)に示すロック解除位置に配置される。ピストン18を待機位置から作動位置へ駆動する圧力室161内の圧力流体の圧力は、ピストン18を直線駆動する直線駆動力である。
【0032】
第1荷重受け筒31のロック解除位置は、これより正転方向Rへ第1荷重受け筒31を正転可能な位置である。第1荷重受け筒31がロック解除位置に配置されると、第1斜面331、ローラベアリング35及び第2斜面341の楔効果が無くなり、捻りバネ40のバネ力がスラスト荷重に変換されることはない。図4(a),(b)の状態では、伝達筒26及び第2アーム14が第1アーム13に対して回転可能である。
【0033】
図8(b)は、第1荷重受け筒31がロック解除位置にあるときの第1荷重受け筒31と第2荷重受け筒32との位置関係を模式的に示す展開図である。
ハウジング20、取り付けプレート22及び伝達筒26は、回転出力部(伝達筒26)を有すると共に、第1アーム13の一端に設けられた連結部43を構成する。第1荷重受け筒31は、回転出力部としての伝達筒26の回転軸線〔中心軸線261〕の周りに回転可能に設けられた第1荷重受け部である。第2荷重受け筒32及びブレーキパッド39は、第1荷重受け筒31に対向するように、且つ中心軸線261の周りに回転不能に、且つ伝達筒26に押接可能に設けられた第2荷重受け部を構成する。
【0034】
電動モータ23は、回転出力部としての伝達筒26を回転させる回転駆動手段である。第1斜面331、第2斜面341及びローラベアリング35は、第1荷重受け筒31と第2荷重受け筒32との間に設けられると共に、第1荷重受け筒31を正転させる駆動力を楔効果でスラスト荷重に変換して第2荷重受け筒32に伝達する荷重増大手段を構成する。圧力室161、シリンダ17及びピストン18は、直線駆動力を発生させるリニアアクチュエータを構成する。捻りバネ40、ロッド41、回転子42、カム溝191及び前記リニアアクチュエータは、正転方向の正転限界位置となるロック位置と、正転可能なロック解除位置とに第1荷重受け筒31を切り換え配置する切り換え機構を構成する。ロッド41、回転子42及びカム溝191は、前記リニアアクチュエータの直線駆動力を回転駆動力に変換して第1荷重受け筒31に伝達する駆動力伝達機構を構成する。
【0035】
図3(a),(b)に示すように、図2(a),(b)に示す連結部43と同じ構成の連結部43Aが第1アーム13の基端側にも設けられており、又、図2(a),(b)に示すその他の機構(回転駆動機構、荷重増大手段及び駆動力伝達機構)と同じ機構が第1アーム13の基端側にも設けられている。図3(a),(b)において、連結部43を除いて図2(a),(b)に示す機構と同じ構成部には同じ符号が付してある。圧力室161内の圧力流体の圧力は、連結部43A側におけるピストン18にも作用する。つまり、連結部43側のリニアアクチュエータを構成するピストン18及び連結部43A側のリニアアクチュエータを構成するピストン18の駆動源である圧力室161は、共通である。
【0036】
連結部43Aにおける伝達筒26は、アーム支持部12に連結して固定されている。従って、連結部43Aに設けられた電動モータ23が作動されると、第1アーム13が連結部43Aの伝達筒26の中心軸線261を中心にして回転する。図1に鎖線で示す第1アーム13の位置は、実線で示す第1アーム13の位置から回転して移動した一例を示す。
【0037】
図3(a),(b)は、圧力室161内が圧力流体の圧力になっていない状態を示す。この状態では、連結部43A側のピストン18が捻りバネ40のバネ力によって圧力室形成筒16に接近した待機位置に配置され、連結部43A側の第1荷重受け筒31が図3(a),(b)に示すロック位置に配置される。図3(a),(b)の状態では、伝達筒26及び第1アーム13がアーム支持部12に対して回転不能である。
【0038】
図5(a),(b)は、圧力室161内が圧力流体の圧力になっている状態を示す。この状態では、連結部43A側のピストン18が捻りバネ40のバネ力に抗して圧力室形成筒16から遠ざかった作動位置に配置され、連結部43A側の第1荷重受け筒31が図5(a),(b)に示すロック解除位置に配置される。図5(a),(b)の状態では、伝達筒26及び第1アーム13がアーム支持部12に対して回転可能である。
【0039】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)回転力を楔効果でスラスト荷重に変換する荷重増大手段は、第1斜面331及び第2斜面341の傾斜角度θを適正に設定することによって大きなスラスト荷重を発生させる。そのため、第1アーム13及び第2アーム14の回転を阻止するロック力を十分に大きくすることができる。又、楔効果を用いた荷重増大手段は、コンパクトに構成できる。
【0040】
(2)第1斜面331と第2斜面341との間にローラベアリング35を介在する構成は、ロック位置にある第1荷重受け筒31をロック位置からロック解除位置側へ容易に逆転することを可能にする。第1斜面331、第2斜面341及びローラベアリング35は、コンパクトな構成で回転力を大きなスラスト荷重に変換すると共に、ロック状態を簡単に解除する上で、特に好適である。
【0041】
(3)中心軸線261の周りに第1斜面331と第2斜面341との対を4対設けた構成は、第2荷重受け筒32に作用するスラスト荷重を偏荷重としないように中心軸線261の周りに分散する上で好適である。
【0042】
(4)荷重増大手段が大きなスラスト荷重を発生させるため、リニアアクチュエータの直線駆動力、つまりピストン18を駆動する圧力流体の圧力は、小さくて済む。又、ピストン18の受圧面積も大きくしなくても済むため、第1アーム13の小径化が可能である。
【0043】
(5)捻りバネ40は、そのバネ力によって第1荷重受け筒31をロック位置に保持する。捻りバネ40のバネ力によって第1荷重受け筒31をロック位置に保持する構成は、常に一定のスラスト荷重で第1アーム13及び第2アーム14のロックを保持する上で、簡便な構成である。
【0044】
(6)筒状ケース15内に流体圧シリンダ(圧力室形成筒16、シリンダ17及びピストン18)を収容した構成では、第1アーム13を構成する筒状ケース15が流体圧シリンダを支持する部材として利用される。第1アーム13内を流体圧シリンダ(リニアアクチュエータ)の設置スペースとして有効利用する構成は、第1アーム13のコンパクト化に寄与する。
【0045】
(7)連結部43側の流体圧シリンダの圧力室161と連結部43A側の流体圧シリンダの駆動源である圧力室161とを共通にした構成は、アームロック装置のコンパクト化に寄与する。
【0046】
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○第1斜面331と第2斜面341との対は、3対あるいは5対以上であってもよい。
○ロッド41の一端を第1荷重受け筒31に回動可能に連結し、ロッド41の他端をピストン18に回動可能に連結してもよい。つまり、第1荷重受け筒31とロッド41とがクランク機構を構成するようにしてもよい。
【0047】
○捻りバネ40のばね力によって第1荷重受け筒31をロック解除位置に保持し、圧力室161内を圧力流体の圧力にしたときに第1荷重受け筒31をロック位置に保持するようにしてもよい。
【0048】
○捻りバネの代わりに、引っ張りバネあるいは圧縮バネを用いてもよい。
○連結部43A及び連結部43Aに付属する回転駆動機構、荷重増大手段及び駆動力伝達機構のみを第1アーム13に設け、第1アーム13に設けられていた連結部43を第2アーム14に設け、連結部43に付属する回転駆動機構、荷重増大手段及び駆動力伝達機構を第2アーム14に設けるようにしてもよい。
【0049】
○ブレーキパッド39を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一実施形態を示す斜視図。
【図2】(a)は、第1荷重受け筒をロック位置に保持した状態を示す断面図。(b)は、図2(a)のA−A線断面図。
【図3】(a)は、第1荷重受け筒をロック位置に保持した状態を示す断面図。(b)は、図3(a)のB−B線断面図。
【図4】(a)は、第1荷重受け筒をロック解除位置に保持した状態を示す断面図。(b)は、図4(a)のC−C線断面図。
【図5】(a)は、第1荷重受け筒をロック解除位置に保持した状態を示す断面図。(b)は、図5(a)のD−D線断面図。
【図6】第1荷重受け筒をロック位置に保持した状態を示す部分斜視図。
【図7】第1荷重受け筒をロック解除位置に保持した状態を示す部分斜視図。
【図8】(a)は、第1荷重受け筒をロック位置に保持した状態を示す模式図。(b)は、第1荷重受け筒をロック解除位置に保持した状態を示す模式図。
【符号の説明】
【0051】
13…第1アーム。15…外殻としての筒状ケース。161…リニアアクチュエータとしての流体圧シリンダを構成する圧力室。17…リニアアクチュエータとしての流体圧シリンダを構成するシリンダ。18…リニアアクチュエータを構成するピストン。20…連結部を構成するハウジング。191…駆動力伝達機構を構成するカム溝。22…連結部を構成する取り付けプレート。23…回転駆動手段としての電動モータ。241…回転軸線。26…回転出力部としての伝達筒。261…回転軸線としての中心軸線。31…第1荷重受け部としての第1荷重受け筒、32…第2荷重受け部を構成する第2荷重受け筒。331…荷重増大手段を構成する第1斜面。341…荷重増大手段を構成する第2斜面。33,34…対向面としての端面。35…荷重増大手段を構成するローラベアリング。39…第2荷重受け部を構成するブレーキパッド。40…切り換え機構を構成するバネ部材としての捻りバネ。41…駆動力伝達機構を構成するロッド。42…駆動力伝達機構を構成する回転子。43,43A…連結部。R…正転方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームと、
前記アームに設けられた回転出力部と、
前記回転出力部を回転させる回転駆動手段と、
前記回転出力部の回転軸線の周りに回転可能に設けられた第1荷重受け部と、
前記第1荷重受け部に対向するように、且つ前記回転出力部に押接可能に設けられた第2荷重受け部と、
前記第1荷重受け部と前記第2荷重受け部との間に設けられ、前記第1荷重受け部を正転させる駆動力を楔効果でスラスト荷重に変換して前記第2荷重受け部に伝達する荷重増大手段と、
前記スラスト荷重によって前記第2荷重受け部を前記回転出力部に押接するロック位置と、前記ロック位置に向けて正転可能なロック解除位置とに前記第1荷重受け部を切り換え配置する切り換え機構とを備えているアームロック装置。
【請求項2】
前記荷重増大手段は、前記第2荷重受け部に対向する前記第1荷重受け部の対向面に、前記正転方向に向かうにつれて降り坂となるように設けられた第1斜面と、前記第1荷重受け部に対向する前記第2荷重受け部の対向面に、前記正転方向に向かうにつれて昇り坂となるように設けられた第2斜面と、前記第1斜面と前記第2斜面との間に介在されたローラベアリングとを備えている請求項1に記載のアームロック装置。
【請求項3】
前記第1斜面と前記第2斜面との対は、前記回転軸線の周りに3対以上設けられている請求項2に記載のアームロック装置。
【請求項4】
前記切り換え機構は、リニアアクチュエータと、前記第1荷重受け部を正転方向とは逆の方向に回転させる回転駆動力に前記リニアアクチュエータの直線駆動力を変換する駆動力伝達機構とを備えている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアームロック装置。
【請求項5】
前記切り換え機構は、前記第1荷重受け部を正転方向へ付勢するためのバネ部材を備え、前記第1荷重受け部が前記ロック位置に配置された状態では、前記バネ部材は、そのバネ力によって前記第1荷重受け部を前記ロック位置に保持する請求項4に記載のアームロック装置。
【請求項6】
前記アームは、外殻となる筒状ケースを備え、前記リニアアクチュエータは、前記筒状ケース内に収容されている請求項4又は請求項5に記載のアームロック装置。
【請求項7】
前記リニアアクチュエータは、流体圧シリンダであり、前記回転出力部及び前記流体圧シリンダは、前記アームの基端側と先端側とにそれぞれ設けられており、前記一対の流体圧シリンダの圧力室は、共通である請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のアームロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−307626(P2008−307626A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156415(P2007−156415)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(594120674)株式会社パボット技研 (21)
【Fターム(参考)】