エンジン、船外機、および船舶
【課題】従来のエンジンの構造を大幅に変更することなく、触媒を搭載できるエンジンを提供すること。
【解決手段】エンジン6は、複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、第1通路49および第2通路51が形成された排気マニホールド25と、第1通路49および第2通路51を接続する接続通路50が形成された排気管26とを含む。第1通路49は、複数のシリンダからの排気が流入する複数の第1流入口49aと、複数の第1流入口49aに流入した排気を集合させる第1集合部49cと、第1集合部49cによって集められた排気を排出する第1排出口49bとを含む。第2通路51は、排気が流入する第2流入口51aと、第2流入口51aに流入した排気を排出する第2排出口51bとを含む。
【解決手段】エンジン6は、複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、第1通路49および第2通路51が形成された排気マニホールド25と、第1通路49および第2通路51を接続する接続通路50が形成された排気管26とを含む。第1通路49は、複数のシリンダからの排気が流入する複数の第1流入口49aと、複数の第1流入口49aに流入した排気を集合させる第1集合部49cと、第1集合部49cによって集められた排気を排出する第1排出口49bとを含む。第2通路51は、排気が流入する第2流入口51aと、第2流入口51aに流入した排気を排出する第2排出口51bとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン、前記エンジンを備える船外機、および前記船外機を備える船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、Vバンクの内側に排気を排出するV型エンジンを備える船外機が開示されている。一対の排気マニホールドは、Vバンクの内側に配置されている。一対の排気マニホールドから排出された排気は、シリンダブロックで合流した後、エンジンを支持するエキゾーストガイドに導かれる。
また、特許文献3には、触媒が搭載された直列エンジンを備える船外機が開示されている。排気マニホールドは、シリンダブロックの側部によって構成されている。触媒は、シリンダブロックの側方に配置された側面部材に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−159190号公報
【特許文献2】特開2002−349257号公報
【特許文献3】特開2009−97371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3に示すように、船外機用のエンジンに触媒を搭載することが提案されている。多気筒エンジンの場合、触媒は、最も下流側の排気ポートと排気マニホールドとの接続位置(最終接続位置)より下流側に配置される。しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のエンジンでは、最終接続位置とシリンダブロックとが近接しているので、触媒を配置するための十分なスペースが排気マニホールドにない。そのため、触媒が配置されるスペースを排気マニホールドに確保するために、排気マニホールドおよびシリンダブロックの形状を変更する必要がある。したがって、これらのエンジンに触媒を搭載する場合には、エンジンの形状を大幅に変更する必要がある。
【0005】
一方、特許文献3に記載のエンジンでは、触媒を収容する側面部材が、排気マニホールドと一体のシリンダブロックの側方に配置されている。排気マニホールドには、複数の排気ポートからの排気を側面部材内に導く排気通路が形成されている。さらに、エンジンを保持するエンジンホルダには、側面部材からの排気が導かれる排気通路が形成されている。すなわち、特許文献3に記載の船外機では、触媒を搭載するために、シリンダブロック、排気マニホールド、エンジンホルダの形状が変更されている。
【0006】
そこで、この発明の目的は、従来のエンジンの構造を大幅に変更することなく、触媒を搭載できるエンジン、前記エンジンを備える船外機、および前記船外機を備える船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施形態は、複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、前記複数のシリンダからの排気が流入する複数の第1流入口、前記複数の第1流入口に流入した排気を集合させる第1集合部、および前記第1集合部によって集められた排気を排出する第1排出口を含む第1通路と、排気が流入する第2流入口、および前記第2流入口に流入した排気を排出する第2排出口を含む第2通路とが形成された排気マニホールドと、前記第1排出口および第2流入口を接続する接続通路が形成された排気管とを含む、エンジンを提供する。前記エンジンは、前記接続通路に配置された触媒をさらに含んでいてもよい。
【0008】
この構成によれば、排気を導く第1通路および第2通路が、排気マニホールドに形成されており、第1通路および第2通路を接続する接続通路が、排気管に形成されている。したがって、排気管を経由して排気マニホールドから排気マニホールドに戻る排気通路が形成されている。複数のシリンダからの排気は、第1通路の複数の第1流入口から第1通路に流入し、第1通路第1の集合部によって集められる。そして、第1集合部によって集められた排気は、第1通路の第1排出口から接続通路に排出される。接続通路に流入した排気は、接続通路によって第2通路に導かれる。したがって、シリンダから排出された排気は、第1通路、接続通路、および第2通路をこの順番で通過する。そのため、排気マニホールドから排気管に排出された排気は、排気管から排気マニホールドに戻る。たとえば触媒を排気管内に配置すれば、排気マニホールドから排気管に排出された排気は、触媒によって浄化された後に排気管から排気マニホールドに戻る。したがって、排気マニホールドを変更するだけで、触媒が搭載されていない従来のエンジンに触媒を搭載した排気管を追加することができる。そのため、従来のエンジンからの変更箇所を少なくすることができる。
【0009】
前記シリンダブロックには、前記第2排出口に接続された第3通路が形成されていてもよい。すなわち、シリンダブロックには、排気マニホールドの第2通路に接続された第3通路が形成されていてもよい。
また、前記第1排出口および第2流入口は、異なる高さに配置されていてもよい。具体的には、前記第1排出口は、前記第2流入口より上方に配置されていてもよいし、前記第2流入口より下方に配置されていてもよい。この場合、前記触媒は、前記第1排出口および第2流入口の間の高さに配置されていてもよい。
【0010】
また、前記第1排出口および第2流入口は、同一平面で開口していてもよい。すなわち、第1排出口が開口する第1排出面と、第2流入口が開口する第2流入面とが、同一平面上に配置されていてもよい。第1排出面は、第2流入面と連続した平面であってもよいし、第2流入面とは異なる平面であってもよい。すなわち、第1排出口および第2流入口は、共通の面で開口していてもよいし、同一平面上に配置された互いに異なる2つの面で開口していてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1排出面および第2流入面を機械加工(たとえば、フライス加工)によって形成する場合に、第1排出面および第2流入面を同一の工程で加工できる。したがって、第1排出面および第2流入面の寸法精度を高めることができる。排気管は、ガスケットなどのシール部材を介して第1排出面および第2流入面に取り付けられる。第1排出面および第2流入面の寸法精度が低いと、排気管と排気マニホールドとの間に隙間が生じるおそれがある。したがって、第1排出面および第2流入面の寸法精度を高めることにより、排気管と排気マニホールドとの間のシール性を高めることができる。
【0012】
また、前記第2流入口および第2排出口は、異なる平面で開口していてもよい。すなわち、第2流入口が開口する第2流入面と、第2排出口が開口する第2排出面とが、互いに異なる2つの平面上に配置されていてもよい。
また、前記排気マニホールドには、前記第1通路と前記第2通路とを接続する排水路が形成されていてもよい。前記排水路は、前記第1通路の下端部に接続された上端部と、前記上端部よりも下方で前記第2通路に接続された下端部とを含んでいてもよい。排水路の流路面積は、接続通路の流路面積より小さいことが好ましい。
【0013】
また、前記エンジンのシリンダヘッドは、前記排気マニホールドと一体であってもよいし、前記排気マニホールドとは異なる部材であってもよい。
この発明の他の実施形態は、前記エンジンと、前記エンジンの動力をプロペラに伝達することにより、前記プロペラを回転させる動力伝達ユニットとを含む、船外機を提供する。この構成によれば、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0014】
また、この発明のさらに他の実施形態は、前記船外機と、前記船外機が取り付けられた船体とを含む、船舶を提供する。この構成によれば、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1実施形態に係る船舶の概略構成を説明するための側面図である。
【図2】クランク軸線に直交するエンジンの断面図である。
【図3】排気管が取り付けられている状態のエンジンの背面図である。
【図4】排気管が取り外されている状態のエンジンの背面図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る排気管の正面図である。
【図6】図5に示すVI−VI線に沿う排気マニホールドおよび排気管の断面図である。
【図7】この発明の第1実施形態に係るエンジン排気通路について説明するための概念図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係る船舶の概略構成を説明するための側面図である。
【図9】クランク軸線に直交するエンジンの断面図である。
【図10】排気管が取り付けられている状態のエンジンの背面図である。
【図11】排気管が取り外されている状態のエンジンの背面図である。
【図12】この発明の第2実施形態に係る排気マニホールドおよび排気管の断面図である。
【図13】この発明の第2実施形態に係るエンジン排気通路について説明するための概念図である。
【図14】この発明の第3実施形態に係るエンジン排気通路について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明における前後方向、左右方向、および上下方向は、エンジンを基準とする方向である。以下の説明では、クランク軸線が上下方向に延びるようにエンジンが配置されている場合について説明する。しかし、エンジンは、クランク軸線が水平方向に延びるように配置されていてもよいし、クランク軸線が水平方向に対して傾いた方向に延びるように配置されていてもよい。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、この発明の第1実施形態に係る船舶1の概略構成を説明するための側面図である。図1では、理解を容易にするために、エンジンカバー11の内部を透視した状態を示している。
船舶1は、船体2と、船体2を推進させる船舶推進装置3とを含む。船舶推進装置3は、船体2の後部(船尾)に取り付け可能なブラケット4と、上下方向に延びるステアリング軸線A1まわりに回動可能にブラケット4に連結された船外機5とを含む。
【0018】
船外機5は、エンジン6と、ドライブシャフト7と、歯車機構8と、プロペラシャフト9とを含む。さらに、船外機5は、エンジン6を収容するエンジンカバー11と、エンジンカバー11の下方に配置されたケーシング12とを含む。ドライブシャフト7は、ケーシング12内で上下方向に延びている。ドライブシャフト7の上端部は、エンジン6(具体的には、図2に示すクランクシャフト22)に連結されており、ドライブシャフト7の下端部は、歯車機構8を介してプロペラシャフト9の前端部に連結されている。プロペラシャフト9は、ケーシング12内で前後方向に延びている。プロペラシャフト9の後端部は、ケーシング12から後方に突出している。プロペラ10は、プロペラシャフト9の後端部に連結されている。エンジン6の回転は、ドライブシャフト7、歯車機構8、およびプロペラシャフト9によってプロペラ10に伝達される。これにより、プロペラ10が、プロペラシャフト9と共に回転し、船舶1を推進させる推力を発生する。ドライブシャフト7、歯車機構8、およびプロペラシャフト9は、エンジン6の動力をプロペラ10に伝達する動力伝達ユニットを構成している。
【0019】
船外機5は、さらに、エンジン6を支持するエギゾーストガイド13を含む。エギゾーストガイド13は、船外機5の内部でエンジン6の下方に配置されている。エンジン6は、エギゾーストガイド13上にマウントされている。エンジン6は、内燃機関である。エギゾーストガイド13は、エンジン6を支持すると共に、エンジン6で生成された排気を下方に案内する。すなわち、船外機5は、エンジン6で生成された排気をプロペラ10に導くメイン排気通路14を形成している。メイン排気通路14は、エンジン6に形成されたエンジン排気通路15と、エキゾーストガイドに形成されたガイド排気通路16とを含む。メイン排気通路14は、プロペラ10のボス部(boss portion)の後端部で開口する排気出口17に接続されている。エンジン6で生成された排気は、メイン排気通路14に排出される。そして、メイン排気通路14内の排気圧が高まると、メイン排気通路14内の排気は、排気出口17から水中に排出される。
【0020】
図2は、クランク軸線A2に直交するエンジン6の断面図である。図2では、クランク軸線A2から後ろ向き(紙面の上向き)に広がるV字ラインV1を二等分する二等分線L1の右側と左側とで異なる高さの断面を示している。
エンジン6は、たとえば、V型6気筒の4サイクルエンジンである。エンジン6は、複数のシリンダ18が形成されたV字状のシリンダブロック19と、シリンダブロック19に取り付けられた一対のシリンダヘッド20とを含む。さらに、エンジン6は、複数のシリンダ18内にそれぞれ配置された複数のピストン21と、上下方向に延びるクランク軸線A2まわりに回転可能なクランクシャフト22と、ピストン21とクランクシャフト22とを連結するコネクティングロッド23とを含む。さらに、エンジン6は、空気をシリンダヘッド20に導く一対の吸気マニホールド24と、シリンダヘッド20から排出された排気を導く一対の排気マニホールド25と、一対の排気マニホールド25から排出された排気を導く排気管26とを含む。
【0021】
シリンダブロック19は、平面視においてV字状に配置された2つのバンク27を構成している。2つのバンク27は、V字ラインV1に沿って延びている。右側のバンク27は、上下方向に配列された複数のシリンダ18を含み、左側のバンク27は、上下方向に配列された複数のシリンダ18を含む。右側のバンク27に設けられたシリンダ18は、V字ラインV1を構成する右側の直線に沿って水平に延びており、左側のバンク27に設けられたシリンダ18は、V字ラインV1を構成する左側の直線に沿って水平に延びている。各シリンダ18の中心軸線は、V字ラインV1上に配置されている。
【0022】
一対のシリンダヘッド20は、それぞれ、2つのバンク27の後端部に取り付けられている。一対の吸気マニホールド24は、それぞれ、一対のシリンダヘッド20に接続されており、一対の排気マニホールド25は、それぞれ、一対のシリンダヘッド20に接続されている。図2では、シリンダヘッド20と排気マニホールド25とが一体である場合が示されている。排気マニホールド25およびシリンダヘッド20は、一体の部材であってもよいし、別々の部材であってもよい。吸気マニホールド24は、V字ラインV1の外側に配置されており、排気マニホールド25は、V字ラインV1の内側に配置されている。排気管26は、一対の排気マニホールド25に取り付けられている。排気管26は、V字ラインV1の内側に配置されている。
【0023】
各シリンダヘッド20は、複数のシリンダ18にそれぞれ対応する複数の燃焼室28と、燃焼室28ごとに設けられた吸気ポート29および排気ポート30とを含む。エンジン6は、吸気ポート29を開閉する複数の吸気バルブ31と、排気ポート30を開閉する複数の排気バルブ32と、吸気バルブ31および排気バルブ32を移動させるバルブ機構33とをさらに含む。右側のシリンダヘッド20に形成された複数の吸気ポート29は、右側の吸気マニホールド24に接続されており、左側のシリンダヘッド20に形成された複数の吸気ポート29は、左側の吸気マニホールド24に接続されている。同様に、右側のシリンダヘッド20に形成された複数の排気ポート30は、右側の排気マニホールド25に接続されており、左側のシリンダヘッド20に形成された複数の排気ポート30は、左側の排気マニホールド25に接続されている。共通のシリンダ18に対応する吸気ポート29の数は、1つであってもよいし、2つであってもよい。排気ポート30についても同様である。
【0024】
空気は、一対の吸気マニホールド24によってそれぞれ一対のシリンダヘッド20に導かれる。これにより、空気が、吸気マニホールド24および吸気ポート29を介して燃焼室28に供給される。また、燃焼室28で生成された排気は、排気ポート30によって排気マニホールド25に導かれる。排気ポート30は、燃焼室28からVラインの内側(二等分線L1側)に延びている。したがって、排気ポート30は、Vラインの内側で排気を排出する。排気ポート30から排出された排気は、排気マニホールド25を通過した後、排気管26内に流入する。したがって、各シリンダヘッド20から排出された排気は、共通の排気管26内に流入する。
【0025】
図3は、排気管26が取り付けられている状態のエンジン6の背面図であり、図4は、排気管26が取り外されている状態のエンジン6の背面図である。図5は、排気管26の正面図であり、図6は、図5に示すVI−VI線に沿う排気マニホールド25および排気管26の断面図である。
図3に示すように、排気管26は、締結部材の一例である複数のボルト34によって一対の排気マニホールド25に取り付けられている。図4に示すように、排気管26は、排気マニホールド25に対して取り外し可能である。左側の排気マニホールド25は、開口が形成された2つの固定部35を含み、右側の排気マニホールド25は、開口が形成された2つの支持部36を含む。2つの固定部35は、上下方向に間隔を空けて配置されており、2つの支持部36は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の固定部35および支持部36は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の固定部35および支持部36は、ほぼ同じ高さに配置されている。上側の固定部35および支持部36に形成された開口は、後述する第1排出口49bであり、下側の固定部35および支持部36に形成された開口は、後述する第2流入口51aである。
【0026】
排気管26は、左側の排気マニホールド25に固定されていると共に、右側の排気マニホールド25に移動可能に連結されている。具体的には、図5に示すように、排気管26は、開口が形成された2つの固定部37と、開口が形成された2つの挿入部38とを含む。2つの固定部37は、上下方向に間隔を空けて配置されており、2つの挿入部38は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の固定部37および挿入部38は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の固定部37および挿入部38は、ほぼ同じ高さに配置されている。上側の固定部37および挿入部38に形成された開口は、後述する中間流入口50aであり、下側の固定部37および挿入部38に形成された開口は、後述する中間排出口50bである。
【0027】
図4に示すように、排気マニホールド25の固定部35は、開口が形成された平坦な取付面35aを含む。同様に、図5に示すように、排気管26の固定部37は、開口が形成された平坦な取付面37aを含む。排気マニホールド25の2つの取付面35aは、同一平面上に配置されている。したがって、2つの取付面35aに形成された2つの開口(第1排出口49bおよび第2流入口51a)は、同一平面上で開口している。同様に、排気管26の2つの取付面37aは、同一平面上に配置されており、2つの取付面37aに形成された2つの開口(中間流入口50aおよび中間排出口50b)は、同一平面上で開口している。排気管26の取付面37aは、ガスケット(図示せず)を介して排気マニホールド25の取付面35aに取り付けられている。取付面35aおよび取付面37aは、取付面35aおよび取付面37aに形成された開口が向かい合うように重ねられている。固定部35および固定部37は、この状態で複数のボルト34によって固定されている。ボルト34は、固定部35および固定部37に設けられたボルト取付孔に取り付けられている。
【0028】
一方、図6に示すように、支持部36および挿入部38は、いずれも筒状である。上側の挿入部38は、上側の支持部36によって形成された挿入孔36aに挿入されている。同様に、下側の挿入部38は、下側の支持部36によって形成された挿入孔36aに挿入されている。挿入部38は、支持部36によって支持されている。支持部36の内周面と挿入部38の外周面との間は、支持部36および挿入部38の間に配置された複数のOリング39によってシールされている。挿入部38は、支持部36および挿入部38の間がシールされている状態で、挿入孔36aの中心軸線に沿う方向に支持部36に対して移動可能である。支持部36および挿入部38の相対位置は、エンジン6の組立誤差や、エンジン6の熱膨張によって変化する。すなわち、支持部36および挿入部38は、エンジン6の組立誤差や、エンジン6の変位を吸収するフローティング機構を構成している。
【0029】
図6に示すように、エンジン6は、排気管26内に配置された触媒40と、排気管26に取り付けられた上流側センサ41および下流側センサ42とを含む。触媒40は、たとえば、三元触媒(three-way catalyst)である。触媒40は、排気が通過できるように構成されたハニカム状である。上流側センサ41は、排気の流通方向に関して触媒40の上流側に配置されており、下流側センサ42は、排気の流通方向に関して触媒40の下流側に配置されている。上流側センサ41および下流側センサ42は、セラミック(たとえば、ジルコニア)によって形成された酸素濃度センサである。酸素濃度センサは、排気に含まれる成分の濃度を検出する排気濃度センサの一例である。排気マニホールド25から排気管26に導かれた排気は、触媒40によって浄化される。上流側センサ41は、触媒40の上流側で排気中の酸素濃度を検出し、下流側センサ42は、触媒40の下流側で排気中の酸素濃度を検出する。上流側センサ41および下流側センサ42の検出値は、エンジン6を制御するエンジンECU(Electronic Control Unit 図示せず)に入力される。エンジンECUは、排気中の酸素濃度を含むエンジン状態に基づいて、燃料噴射装置の燃料噴射量や点火プラグの点火時期などを調整する。
【0030】
図6に示すように、排気管26は、前方に開いたC字状の断面を有している。排気管26は、複数の配管(上配管44および下配管45)によって構成されている。排気管26は、1つの配管によって構成されていてもよい。排気管26は、冷却水が流通するウォータージャケット46を含む。ウォータージャケット46は、排気管26の外壁を構成している。触媒40は、ウォータージャケット46の内側に配置されている。ウォータージャケット46は、2つの挿入部38の間に配置された複数の冷却水配管47を介して、排気マニホールド25に設けられたウォータージャケット48に接続されている。冷却水配管47は、前後方向に延びている。冷却水配管47の前端部は、排気マニホールド25に挿入されており、冷却水配管47の後端部は、排気管26に挿入されている。冷却水は、冷却水配管47を介して2つのウォータージャケット(ウォータージャケット48およびウォータージャケット46)を行き来する。
【0031】
図7は、エンジン排気通路15について説明するための概念図である。以下では、図6および図7を参照する。
排気マニホールド25、排気管26、およびシリンダブロック19は、エンジン排気通路15を形成している。具体的には、図7に示すように、各排気マニホールド25は、共通のシリンダヘッド20に設けられた複数の排気ポート30を介して、複数のシリンダ18に接続された第1通路49を形成している。排気管26は、一対の第1通路49に接続された接続通路50を形成している。各排気マニホールド25は、さらに、接続通路50に接続された第2通路51を形成している。シリンダブロック19は、一対の第2通路51に接続された第3通路52を形成している。第3通路52は、エギゾーストガイド13に設けられたガイド排気通路16に接続されている。
【0032】
図6に示すように、第1通路49は、複数の排気ポート30にそれぞれ接続された複数の第1流入口49aと、複数の第1流入口49aに流入した排気を集合させる第1集合部49cと、第1集合部49cによって集められた排気を排出する第1排出口49bとを含む。複数の第1流入口49aは、それぞれ異なる高さに配置されている。第1排出口49bは、一番下の第1流入口49aより上方に配置されている。第1集合部49cは、上下方向に延びている。第1集合部49cは、各第1流入口49aから流入した排気を集合させると共に、第1排出口49bに導く。そして、第1排出口49bの近傍に達した排気は、接続通路50に向けて第1排出口49bから後方向に排出される。
【0033】
図6に示すように、接続通路50は、前方に開いたC字状の通路である。図7に示すように、接続通路50は、一対の排気マニホールド25の第1排出口49bにそれぞれ接続された一対の中間流入口50aと、一対の排気マニホールド25の第2流入口51aにそれぞれ接続された一対の中間排出口50bとを含む。さらに、接続通路50は、一対の中間流入口50aと一対の中間排出口50bとの間に配置された触媒収容部50dと、各中間流入口50aと触媒収容部50dとを接続する上流部50cと、触媒収容部50dと各中間排出口50bとを接続する下流部50eとを含む。上流部50cは、下流部50eより上方に配置されている。触媒収容部50dは、上流部50cと下流部50eとの間の高さに配置されている。触媒40は、触媒収容部50dに配置されている。触媒収容部50dは、一対の中間流入口50aから一対の中間排出口50bに流れる排気の経路上に配置されている。上流部50cは、一対の中間流入口50aから上流部50cに流入した排気を集合させると共に、下方向に導く。したがって、上流部50cに流入した排気は、触媒40を上から下に通過し浄化される。そして、浄化された排気は、下流部50eによってさらに下方向に導かれ、第2通路51に向けて中間排出口50bから前方向に排出される。
【0034】
図6に示すように、第2通路51は、排気が流入する第2流入口51aと、第2流入口51aに流入した排気を排出する第2排出口51bとを含む。第2通路51は、前後方向に延びている。第2通路51は、第1通路49より下方に配置されている。したがって、第2流入口51aおよび第2排出口51bは、第1排出口49bより下方に配置されている。触媒40は、第1排出口49bおよび第2流入口51aの間の高さに配置されている。第1排出口49bおよび第2流入口51aは、同一平面で開口している。また、第2流入口51aおよび第2排出口51bは、互いに異なる平面で開口している。図7に示すように、一対の第2通路51の第2流入口51aは、それぞれ、一対の中間排出口50bに接続されている。第2通路51は、第2流入口51aから第2通路51に流入した排気を前方向に導く。そして、排気は、第3通路52に向けて第2排出口51bから排出される。
【0035】
図7に示すように、第3通路52は、一対の第2排出口51bにそれぞれ接続された一対の第3流入口52aと、ガイド排気通路16に接続された第3排出口52bとを含む。さらに、第3通路52は、一対の第3流入口52aにそれぞれ接続された一対の第3分岐部52cと、各第3分岐部52cと第3排出口52bとを接続する第3集合部52dとを含む。一対の第3流入口52aから一対の第3分岐部52cに流入した排気は、第3集合部52dで集合する。第3通路52は、排気を下方向に導く。そして、排気は、ガイド排気通路16に向けて第3排出口52bから排出される。
【0036】
このように、第1通路49は、排気ポート30から流入した排気を上方向に導く。そして、第1通路49は、接続通路50に向けて排気を後方向に排出する。図6に示すように、接続通路50は、排気の流通方向を後方向から下方向に方向転換させた後、下方向から前方向に方向転換させる。そして、接続通路50は、第2通路51に向けて排気を前方向に排出する。第2通路51は、第3通路52に向けて排気を前方向に導く。したがって、燃焼室28で生成された排気は、排気ポート30、第1通路49、接続通路50、第2通路51、および第3通路52をこの順番で通過する。このようにして、排気が、エンジン6からエギゾーストガイド13に導かれる。したがって、排気は、触媒40によって浄化された後、エンジン6から排出される。
【0037】
前述のように、第1通路49および第2通路51は、接続通路50によって接続されている。さらに、図6に示すように、第1通路49および第2通路51は、排気マニホールド25に形成された排水路53によって接続されている。排水路53は、第1通路49の下端部(第1集合部49cの下端部)に接続された上端部53aと、上端部53aよりも下方で第2通路51に接続された下端部53bとを含む。排水路53の流路面積は、接続通路50の流路面積より小さい。具体的には、排水路53の最大流路面積は、接続通路50の最小流路面積よりも小さい。したがって、排気ポート30から第1通路49に排出された排気は、接続通路50に流入する。仮に、第1通路49から排水路53に排気が流入したとしても、その流量は非常に小さい。そのため、殆ど全ての排気は、触媒40によって浄化された後、船外機5の外部に排出される。
【0038】
エンジン6は、燃料を燃焼させることにより動力を発生する。ガソリンなどのように水素原子を含む燃料の燃焼に伴って生成される排気は、水分を含む。エンジン6が低速で回転している場合や、エンジン6の出力が小さい場合には、第1通路49内の温度が比較的低い。そのため、排気が冷却されて、第1通路49内で水(凝縮水)が生成される場合がある。また、エンジン6が停止されると第1通路49の温度が低下していく。そのため、第1通路49内に存在する排気が、エンジン6の停止後に第1通路49の内壁面に接触し、結露が発生する場合がある。第1通路49で生成された水は、第1通路49の下端部に集まる。したがって、第1通路49で生成された水は、第1通路49から排水路53に排出され、さらに、排水路53から第2通路51に排出される。そのため、第1通路49で生成された水が燃焼室28に逆流して、エンジン6が失火(misfire)することを防止できる。
【0039】
船外機5は、外水(船外機5の外の水)を内部に取り込んで、前述のウォータージャケット46、48を含むエンジン6のウォータージャケットに供給する。具体的には、図1に示すように、船外機5は、船外機5の外面(ケーシング12の外面)で開口する取水口54と、冷却水路55を介して取水口54からエンジン6のウォータージャケットに水を送るウォーターポンプ56とを含む。ウォーターポンプ56は、ドライブシャフト7に連結されている。ウォーターポンプ56は、エンジン6によって駆動される。すなわち、エンジン6が回転すると、船外機5の外の水が、ウォーターポンプ56によって、エンジン6のウォータージャケットに送られる。したがって、船外機5の外の水がエンジン6に供給される。そのため、エンジン6は、通常の自動車用エンジンよりも冷却能力が高い。すなわち、自動車に備えられている循環式の冷却装置では、温まった冷却水がエンジン6に供給される場合がある。その一方で、船外機5の外の水の温度、つまり海や湖の水温は、エンジン6の運転状況による影響を受けないので、ほぼ一定の温度の冷却水がエンジン6に供給される。そのため、エンジン6が安定して冷却される。このように、船外機用のエンジンは、自動車用のエンジンよりも冷却能力が高いため、凝縮水が発生し易い。したがって、排水路53を設けることにより、エンジン6の失火を確実に防止できる。
【0040】
以上のように第1実施形態では、排気マニホールド25および排気管26が、触媒40を配置するための通路を形成し、従来技術と同構造のシリンダブロック19の排気通路に接続している。したがって、触媒40が搭載されていない従来のエンジンの排気マニホールドを変更するだけで、このエンジンに触媒40を搭載できる。さらに、一対の排気マニホールド25から排出された排気が、共通の排気管26内に流入し、排気管26内に配置された触媒40によって浄化されるので、2つのバンク27にそれぞれ対応する2つの触媒40を設けなくてもよい。したがって、排気濃度センサなどの触媒40に関連する装置を2セット設けなくてもよい。そのため、部品点数の増加を抑制できる。
【0041】
さらに、第1実施形態では、排気管26は、一方の排気マニホールド25に固定されており、他方の排気マニホールド25に移動可能に接続されている。排気管26や排気マニホールド25を含むエンジン6を構成する各部品が寸法公差を有しているので、排気管26が全ての箇所で一対の排気マニホールド25に固定される場合、寸法のばらつきに起因する隙間が、排気管26と排気マニホールド25との間に生じるおそれがある。よって、排気管26の一部(挿入部38)を排気マニホールド25に移動可能に接続することにより、寸法のばらつきを吸収できる。これにより、排気管26および排気マニホールド25のシール性を高めることができる。したがって、排気管26と排気マニホールド25との間から排気が漏れることを防止できる。
【0042】
さらに、第1実施形態では、2つの取付面35aが排気マニホールド25に設けられており、2つの取付面37aが排気管26に設けられている。排気管26の取付面37aは、ガスケット(図示せず)を介して排気マニホールド25の取付面35aに取り付けられている。2つの取付面35aは、同一平面上に配置されており、2つの取付面37aは、同一平面上に配置されている。したがって、機械加工による取付面35aおよび取付面37aの寸法精度を高めることができる。そのため、排気管26および排気マニホールド25のシール性をさらに高めることができる。これにより、排気管26と排気マニホールド25との間から排気が漏れることを防止できる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、一対の排気マニホールドにそれぞれ対応する一対の排気管が設けられていることである。
以下の図8〜図13において、前述の図1〜図7に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図8は、この発明の第2実施形態に係る船舶201の概略構成を説明するための側面図である。図9は、クランク軸線A2に直交するエンジン206の断面図である。図8では、理解を容易にするために、エンジンカバー11の内部を透視した状態を示している。また、図9では、V字ラインV1を二等分する二等分線L1の右側と左側とで異なる高さの断面が示されている。
【0045】
第2実施形態に係る船舶201は、船舶推進装置を除き、第1実施形態に係る船舶1と同様の構成を備えている。すなわち、図8に示すように、船舶201は、第1実施形態に係る船舶推進装置3に代えて、船舶推進装置203を含む。船舶推進装置203は、ブラケット4と、ステアリング軸線A1まわりに回動可能にブラケット4に連結された船外機205とを含む。船外機205は、エンジンを除き、第1実施形態に係る船外機5と同様の構成を備えている。すなわち、船外機205は、第1実施形態に係るエンジン6に代えて、エンジン206を含む。
【0046】
図9に示すように、エンジン206は、たとえば、V型6気筒の4サイクルエンジンである。エンジン206は、シリンダブロック19と、一対のシリンダヘッド20と、複数のピストン21と、クランクシャフト22と、コネクティングロッド23と、一対の吸気マニホールド24と、一対の排気マニホールド25とを含む。さらに、エンジン206は、一対の排気マニホールド25から排出された排気を導く一対の排気管226を含む。一対の排気管226は、複数のボルト34(図12参照)によって、それぞれ一対の排気マニホールド25に取り付けられている。排気管226は、V字ラインV1の内側に配置されている。
【0047】
図10は、排気管226が取り付けられている状態のエンジン206の背面図であり、図11は、排気管226が取り外されている状態のエンジン206の背面図である。図12は、排気マニホールド25および排気管226の断面図である。
図10および図11に示すように、排気管226は、排気マニホールド25に対して取り外し可能である。図11に示すように、右側の排気マニホールド25は、2つの固定部35を含む。同様に、左側の排気マニホールド25は、2つの固定部35を含む。右側の2つの固定部35は、上下方向に間隔を空けて配置されており、左側の2つの固定部35は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の2つの固定部35は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の2つの固定部35は、ほぼ同じ高さに配置されている。上側の固定部35に形成された開口は、後述する第1排出口49bであり、下側の固定部35に形成された開口は、後述する第2流入口51aである。
【0048】
一対の排気管226は、それぞれ、一対の排気マニホールド25に固定されている。具体的には、図10に示すように、右側の排気管226は、2つの固定部37を含む。同様に、左側の排気管226は、2つの固定部37を含む。右側の2つの固定部37は、上下方向に間隔を空けて配置されており、左側の2つの固定部37は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の2つの固定部37は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の2つの固定部37は、ほぼ同じ高さに配置されている。図12に示すように、上側の固定部37に形成された開口は、後述する中間流入口250aであり、下側の固定部37に形成された開口は、後述する中間排出口250bである。排気管226の固定部37は、排気マニホールド25の固定部35に対向している。
【0049】
図11に示すように、排気マニホールド25の固定部35は、開口が形成された平坦な取付面35aを含む。図12に示すように、4つの固定部35に設けられた4つの取付面35aは、同一平面上に配置されている。したがって、4つの取付面35aに形成された4つの開口(第1排出口49bおよび第2流入口51a)は、同一平面上で開口している。同様に、排気管226の固定部37は、開口が形成された平坦な取付面37aを含む。4つの固定部37に設けられた4つの取付面37aは、同一平面上に配置されており、4つの取付面37aに形成された4つの開口(中間流入口250aおよび中間排出口250b)は、同一平面上で開口している。取付面35aおよび取付面37aは、取付面35aおよび取付面37aに形成された開口が向かい合うように重ねられている。固定部35および固定部37は、この状態で複数のボルト34によって固定されている。
【0050】
図10に示すように、エンジン206は、一対の排気管226内にそれぞれ配置された2つの触媒40と、触媒40より上流側で排気管226に取り付けられた2つの上流側センサ41と、触媒40より下流側で排気管226に取り付けられた2つの下流側センサ42とを含む。図12に示すように、排気管226は、前方に開いたC字状の断面を有している。排気管226は、上配管244および下配管245によって構成されている。排気管226は、1つの配管によって構成されていてもよい。排気管226は、冷却水が流通するウォータージャケット46を含む。ウォータージャケット46は、排気管226の外壁を構成している。触媒40は、ウォータージャケット46の内側に配置されている。ウォータージャケット46は、排気マニホールド25のウォータージャケット48に接続されている。
【0051】
図13は、エンジン排気通路215について説明するための概念図である。以下では、図12および図13を参照する。
図13に示すように、メイン排気通路214は、エンジン206に設けられたエンジン排気通路215を含む。排気マニホールド25、排気管226、およびシリンダブロック19は、エンジン排気通路215を形成している。具体的には、各排気マニホールド25は、共通のシリンダヘッド20に設けられた複数の排気ポート30を介して、複数のシリンダ18に接続された第1通路49を形成している。各排気管226は、第1通路49に接続された接続通路250を形成している。各排気マニホールド25は、さらに、接続通路250に接続された第2通路51を形成している。シリンダブロック19は、一対の第2通路51にそれぞれ接続された一対の第3通路252を形成している。各第3通路252は、エギゾーストガイド13に設けられたガイド排気通路16に接続されている。共通の排気マニホールド25に形成された第1通路49および第2通路51は、排気管226に形成された接続通路250によって接続されていると共に、排気マニホールド25に形成された排水路53によって接続されている。
【0052】
図12に示すように、接続通路250は、前方に開いたC字状の通路である。接続通路250は、排気マニホールド25の第1排出口49bに接続された中間流入口250aと、排気マニホールド25の第2流入口51aに接続された中間排出口250bとを含む。さらに、接続通路250は、中間流入口250aと中間排出口250bとの間に配置された触媒収容部250dと、中間流入口250aと触媒収容部250dとを接続する上流部250cと、触媒収容部250dと中間排出口250bとを接続する下流部250eとを含む。上流部250cは、下流部250eより上方に配置されている。触媒収容部250dは、上流部250cと下流部250eとの間に配置されている。触媒40は、触媒収容部250dに配置されている。上流部250cは、中間流入口250aから上流部250cに流入した排気を下方向に導く。したがって、上流部250cに流入した排気は、触媒40を上から下に通過し浄化される。そして、浄化された排気は、下流部250eによってさらに下方向に導かれ、第2通路51に向けて中間排出口250bから前方向に排出される。
【0053】
第1通路49は、排気ポート30から流入した排気を上方向に導く。そして、第1通路49は、接続通路250に向けて排気を後方向に排出する。図12に示すように、接続通路250は、排気の流通方向を後方向から下方向に方向転換させた後、下方向から前方向に方向転換させる。そして、接続通路250は、第2通路51に向けて排気を前方向に排出する。第2通路51は、第3通路252に向けて排気を前方向に導く。したがって、燃焼室28で生成された排気は、排気ポート30、第1通路49、接続通路250、第2通路51、および第3通路252をこの順番で通過する。このようにして、排気が、エンジン206からエギゾーストガイド13に導かれる。
【0054】
以上のように第2実施形態では、排気マニホールド25および排気管226が、触媒40を配置するための通路を形成している。したがって、従来のエンジンの排気マニホールドを変更するだけで、このエンジンに触媒40を搭載できる。そのため、従来のエンジンからの変更箇所を少なくできる。さらに、排気マニホールド25に設けられた2つの取付面35aが同一平面上に配置されており、排気管226に設けられた2つの取付面37aが同一平面上に配置されているので、機械加工による取付面35aおよび取付面37aの寸法精度を高めることができる。そのため、排気管226および排気マニホールド25のシール性を高めることができる。これにより、排気管226と排気マニホールド25との間から排気が漏れることを防止できる。
【0055】
[他の実施形態]
この発明の第1および第2実施形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1および第2実施形態では、エンジンがV型エンジンである場合について説明した。しかし、図14に示すように、エンジンは、複数のシリンダ18(たとえば、4つのシリンダ18)が直線状に配列された直列エンジン306であってもよい。
【0056】
また、前述の第1および第2実施形態では、排気マニホールドに設けられた第2通路が、シリンダブロックに設けられた第3通路を介してガイド排気通路に接続されている場合について説明した。しかし、第2通路は、ガイド排気通路に直接接続されていてもよい。
また、前述の第1および第2実施形態では、第1通路から第2通路に水を排出する排水路がエンジンに設けられている場合について説明した。しかし、排水路がエンジンに設けられていなくてもよい。
【0057】
また、前述の第1実施形態では、一対の中間排出口が、排気管に設けられており、一対の排気マニホールドから排気管に排出された排気が、両方の排気マニホールドに戻る場合について説明した。しかし、中間排出口の数が一つであり、一対の排気マニホールドから排気管に排出された排気が、片方の排気マニホールドだけに戻るように、排気マニホールドおよび排気管が構成されていてもよい。
【0058】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
以下に、特許請求の範囲に記載された構成要素と前述の実施形態における構成要素との対応関係を示す。
シリンダ:シリンダ18
シリンダブロック:シリンダブロック19
第1流入口:第1流入口49a
第1集合部:第1集合部49c
第1排出口:第1排出口49b
第1通路:第1通路49
第2流入口:第2流入口51a
第2排出口:第2排出口51b
第2通路:第2通路51
排気マニホールド:排気マニホールド25
接続通路:接続通路50、250
排気管:排気管26、226
エンジン:エンジン6、206
第3通路:第3通路52、252
触媒:触媒40
排水路:排水路53
排水路の上端部:上端部53a
排水路の下端部:下端部53b
シリンダヘッド:シリンダヘッド20
プロペラ:プロペラ10
動力伝達ユニット:ドライブシャフト7、歯車機構8、プロペラシャフト9
船外機:船外機5、205
船体:船体2
船舶:船舶1、201
【符号の説明】
【0059】
1 :船舶
2 :船体
5 :船外機
6 :エンジン
7 :ドライブシャフト
8 :歯車機構
9 :プロペラシャフト
20 :シリンダヘッド
25 :排気マニホールド
26 :排気管
30 :排気ポート
37 :固定部
38 :挿入部
40 :触媒
49 :第1通路
49a :第1流入口
49b :第1排出口
49c :第1集合部
50 :接続通路
50a :中間流入口
50b :中間排出口
50c :上流部
50d :触媒収容部
50e :下流部
51 :第2通路
51a :第2流入口
51b :第2排出口
52 :第3通路
52a :第3流入口
52b :第3排出口
52c :第3分岐部
52d :第3集合部
53 :排水路
53a :上端部
53b :下端部
201 :船舶
205 :船外機
206 :エンジン
226 :排気管
250 :接続通路
250a :中間流入口
250b :中間排出口
250c :上流部
250d :触媒収容部
250e :下流部
252 :第3通路
A2 :クランク軸線
V1 :V字ライン
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン、前記エンジンを備える船外機、および前記船外機を備える船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、Vバンクの内側に排気を排出するV型エンジンを備える船外機が開示されている。一対の排気マニホールドは、Vバンクの内側に配置されている。一対の排気マニホールドから排出された排気は、シリンダブロックで合流した後、エンジンを支持するエキゾーストガイドに導かれる。
また、特許文献3には、触媒が搭載された直列エンジンを備える船外機が開示されている。排気マニホールドは、シリンダブロックの側部によって構成されている。触媒は、シリンダブロックの側方に配置された側面部材に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−159190号公報
【特許文献2】特開2002−349257号公報
【特許文献3】特開2009−97371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3に示すように、船外機用のエンジンに触媒を搭載することが提案されている。多気筒エンジンの場合、触媒は、最も下流側の排気ポートと排気マニホールドとの接続位置(最終接続位置)より下流側に配置される。しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のエンジンでは、最終接続位置とシリンダブロックとが近接しているので、触媒を配置するための十分なスペースが排気マニホールドにない。そのため、触媒が配置されるスペースを排気マニホールドに確保するために、排気マニホールドおよびシリンダブロックの形状を変更する必要がある。したがって、これらのエンジンに触媒を搭載する場合には、エンジンの形状を大幅に変更する必要がある。
【0005】
一方、特許文献3に記載のエンジンでは、触媒を収容する側面部材が、排気マニホールドと一体のシリンダブロックの側方に配置されている。排気マニホールドには、複数の排気ポートからの排気を側面部材内に導く排気通路が形成されている。さらに、エンジンを保持するエンジンホルダには、側面部材からの排気が導かれる排気通路が形成されている。すなわち、特許文献3に記載の船外機では、触媒を搭載するために、シリンダブロック、排気マニホールド、エンジンホルダの形状が変更されている。
【0006】
そこで、この発明の目的は、従来のエンジンの構造を大幅に変更することなく、触媒を搭載できるエンジン、前記エンジンを備える船外機、および前記船外機を備える船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施形態は、複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、前記複数のシリンダからの排気が流入する複数の第1流入口、前記複数の第1流入口に流入した排気を集合させる第1集合部、および前記第1集合部によって集められた排気を排出する第1排出口を含む第1通路と、排気が流入する第2流入口、および前記第2流入口に流入した排気を排出する第2排出口を含む第2通路とが形成された排気マニホールドと、前記第1排出口および第2流入口を接続する接続通路が形成された排気管とを含む、エンジンを提供する。前記エンジンは、前記接続通路に配置された触媒をさらに含んでいてもよい。
【0008】
この構成によれば、排気を導く第1通路および第2通路が、排気マニホールドに形成されており、第1通路および第2通路を接続する接続通路が、排気管に形成されている。したがって、排気管を経由して排気マニホールドから排気マニホールドに戻る排気通路が形成されている。複数のシリンダからの排気は、第1通路の複数の第1流入口から第1通路に流入し、第1通路第1の集合部によって集められる。そして、第1集合部によって集められた排気は、第1通路の第1排出口から接続通路に排出される。接続通路に流入した排気は、接続通路によって第2通路に導かれる。したがって、シリンダから排出された排気は、第1通路、接続通路、および第2通路をこの順番で通過する。そのため、排気マニホールドから排気管に排出された排気は、排気管から排気マニホールドに戻る。たとえば触媒を排気管内に配置すれば、排気マニホールドから排気管に排出された排気は、触媒によって浄化された後に排気管から排気マニホールドに戻る。したがって、排気マニホールドを変更するだけで、触媒が搭載されていない従来のエンジンに触媒を搭載した排気管を追加することができる。そのため、従来のエンジンからの変更箇所を少なくすることができる。
【0009】
前記シリンダブロックには、前記第2排出口に接続された第3通路が形成されていてもよい。すなわち、シリンダブロックには、排気マニホールドの第2通路に接続された第3通路が形成されていてもよい。
また、前記第1排出口および第2流入口は、異なる高さに配置されていてもよい。具体的には、前記第1排出口は、前記第2流入口より上方に配置されていてもよいし、前記第2流入口より下方に配置されていてもよい。この場合、前記触媒は、前記第1排出口および第2流入口の間の高さに配置されていてもよい。
【0010】
また、前記第1排出口および第2流入口は、同一平面で開口していてもよい。すなわち、第1排出口が開口する第1排出面と、第2流入口が開口する第2流入面とが、同一平面上に配置されていてもよい。第1排出面は、第2流入面と連続した平面であってもよいし、第2流入面とは異なる平面であってもよい。すなわち、第1排出口および第2流入口は、共通の面で開口していてもよいし、同一平面上に配置された互いに異なる2つの面で開口していてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1排出面および第2流入面を機械加工(たとえば、フライス加工)によって形成する場合に、第1排出面および第2流入面を同一の工程で加工できる。したがって、第1排出面および第2流入面の寸法精度を高めることができる。排気管は、ガスケットなどのシール部材を介して第1排出面および第2流入面に取り付けられる。第1排出面および第2流入面の寸法精度が低いと、排気管と排気マニホールドとの間に隙間が生じるおそれがある。したがって、第1排出面および第2流入面の寸法精度を高めることにより、排気管と排気マニホールドとの間のシール性を高めることができる。
【0012】
また、前記第2流入口および第2排出口は、異なる平面で開口していてもよい。すなわち、第2流入口が開口する第2流入面と、第2排出口が開口する第2排出面とが、互いに異なる2つの平面上に配置されていてもよい。
また、前記排気マニホールドには、前記第1通路と前記第2通路とを接続する排水路が形成されていてもよい。前記排水路は、前記第1通路の下端部に接続された上端部と、前記上端部よりも下方で前記第2通路に接続された下端部とを含んでいてもよい。排水路の流路面積は、接続通路の流路面積より小さいことが好ましい。
【0013】
また、前記エンジンのシリンダヘッドは、前記排気マニホールドと一体であってもよいし、前記排気マニホールドとは異なる部材であってもよい。
この発明の他の実施形態は、前記エンジンと、前記エンジンの動力をプロペラに伝達することにより、前記プロペラを回転させる動力伝達ユニットとを含む、船外機を提供する。この構成によれば、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0014】
また、この発明のさらに他の実施形態は、前記船外機と、前記船外機が取り付けられた船体とを含む、船舶を提供する。この構成によれば、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1実施形態に係る船舶の概略構成を説明するための側面図である。
【図2】クランク軸線に直交するエンジンの断面図である。
【図3】排気管が取り付けられている状態のエンジンの背面図である。
【図4】排気管が取り外されている状態のエンジンの背面図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る排気管の正面図である。
【図6】図5に示すVI−VI線に沿う排気マニホールドおよび排気管の断面図である。
【図7】この発明の第1実施形態に係るエンジン排気通路について説明するための概念図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係る船舶の概略構成を説明するための側面図である。
【図9】クランク軸線に直交するエンジンの断面図である。
【図10】排気管が取り付けられている状態のエンジンの背面図である。
【図11】排気管が取り外されている状態のエンジンの背面図である。
【図12】この発明の第2実施形態に係る排気マニホールドおよび排気管の断面図である。
【図13】この発明の第2実施形態に係るエンジン排気通路について説明するための概念図である。
【図14】この発明の第3実施形態に係るエンジン排気通路について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明における前後方向、左右方向、および上下方向は、エンジンを基準とする方向である。以下の説明では、クランク軸線が上下方向に延びるようにエンジンが配置されている場合について説明する。しかし、エンジンは、クランク軸線が水平方向に延びるように配置されていてもよいし、クランク軸線が水平方向に対して傾いた方向に延びるように配置されていてもよい。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、この発明の第1実施形態に係る船舶1の概略構成を説明するための側面図である。図1では、理解を容易にするために、エンジンカバー11の内部を透視した状態を示している。
船舶1は、船体2と、船体2を推進させる船舶推進装置3とを含む。船舶推進装置3は、船体2の後部(船尾)に取り付け可能なブラケット4と、上下方向に延びるステアリング軸線A1まわりに回動可能にブラケット4に連結された船外機5とを含む。
【0018】
船外機5は、エンジン6と、ドライブシャフト7と、歯車機構8と、プロペラシャフト9とを含む。さらに、船外機5は、エンジン6を収容するエンジンカバー11と、エンジンカバー11の下方に配置されたケーシング12とを含む。ドライブシャフト7は、ケーシング12内で上下方向に延びている。ドライブシャフト7の上端部は、エンジン6(具体的には、図2に示すクランクシャフト22)に連結されており、ドライブシャフト7の下端部は、歯車機構8を介してプロペラシャフト9の前端部に連結されている。プロペラシャフト9は、ケーシング12内で前後方向に延びている。プロペラシャフト9の後端部は、ケーシング12から後方に突出している。プロペラ10は、プロペラシャフト9の後端部に連結されている。エンジン6の回転は、ドライブシャフト7、歯車機構8、およびプロペラシャフト9によってプロペラ10に伝達される。これにより、プロペラ10が、プロペラシャフト9と共に回転し、船舶1を推進させる推力を発生する。ドライブシャフト7、歯車機構8、およびプロペラシャフト9は、エンジン6の動力をプロペラ10に伝達する動力伝達ユニットを構成している。
【0019】
船外機5は、さらに、エンジン6を支持するエギゾーストガイド13を含む。エギゾーストガイド13は、船外機5の内部でエンジン6の下方に配置されている。エンジン6は、エギゾーストガイド13上にマウントされている。エンジン6は、内燃機関である。エギゾーストガイド13は、エンジン6を支持すると共に、エンジン6で生成された排気を下方に案内する。すなわち、船外機5は、エンジン6で生成された排気をプロペラ10に導くメイン排気通路14を形成している。メイン排気通路14は、エンジン6に形成されたエンジン排気通路15と、エキゾーストガイドに形成されたガイド排気通路16とを含む。メイン排気通路14は、プロペラ10のボス部(boss portion)の後端部で開口する排気出口17に接続されている。エンジン6で生成された排気は、メイン排気通路14に排出される。そして、メイン排気通路14内の排気圧が高まると、メイン排気通路14内の排気は、排気出口17から水中に排出される。
【0020】
図2は、クランク軸線A2に直交するエンジン6の断面図である。図2では、クランク軸線A2から後ろ向き(紙面の上向き)に広がるV字ラインV1を二等分する二等分線L1の右側と左側とで異なる高さの断面を示している。
エンジン6は、たとえば、V型6気筒の4サイクルエンジンである。エンジン6は、複数のシリンダ18が形成されたV字状のシリンダブロック19と、シリンダブロック19に取り付けられた一対のシリンダヘッド20とを含む。さらに、エンジン6は、複数のシリンダ18内にそれぞれ配置された複数のピストン21と、上下方向に延びるクランク軸線A2まわりに回転可能なクランクシャフト22と、ピストン21とクランクシャフト22とを連結するコネクティングロッド23とを含む。さらに、エンジン6は、空気をシリンダヘッド20に導く一対の吸気マニホールド24と、シリンダヘッド20から排出された排気を導く一対の排気マニホールド25と、一対の排気マニホールド25から排出された排気を導く排気管26とを含む。
【0021】
シリンダブロック19は、平面視においてV字状に配置された2つのバンク27を構成している。2つのバンク27は、V字ラインV1に沿って延びている。右側のバンク27は、上下方向に配列された複数のシリンダ18を含み、左側のバンク27は、上下方向に配列された複数のシリンダ18を含む。右側のバンク27に設けられたシリンダ18は、V字ラインV1を構成する右側の直線に沿って水平に延びており、左側のバンク27に設けられたシリンダ18は、V字ラインV1を構成する左側の直線に沿って水平に延びている。各シリンダ18の中心軸線は、V字ラインV1上に配置されている。
【0022】
一対のシリンダヘッド20は、それぞれ、2つのバンク27の後端部に取り付けられている。一対の吸気マニホールド24は、それぞれ、一対のシリンダヘッド20に接続されており、一対の排気マニホールド25は、それぞれ、一対のシリンダヘッド20に接続されている。図2では、シリンダヘッド20と排気マニホールド25とが一体である場合が示されている。排気マニホールド25およびシリンダヘッド20は、一体の部材であってもよいし、別々の部材であってもよい。吸気マニホールド24は、V字ラインV1の外側に配置されており、排気マニホールド25は、V字ラインV1の内側に配置されている。排気管26は、一対の排気マニホールド25に取り付けられている。排気管26は、V字ラインV1の内側に配置されている。
【0023】
各シリンダヘッド20は、複数のシリンダ18にそれぞれ対応する複数の燃焼室28と、燃焼室28ごとに設けられた吸気ポート29および排気ポート30とを含む。エンジン6は、吸気ポート29を開閉する複数の吸気バルブ31と、排気ポート30を開閉する複数の排気バルブ32と、吸気バルブ31および排気バルブ32を移動させるバルブ機構33とをさらに含む。右側のシリンダヘッド20に形成された複数の吸気ポート29は、右側の吸気マニホールド24に接続されており、左側のシリンダヘッド20に形成された複数の吸気ポート29は、左側の吸気マニホールド24に接続されている。同様に、右側のシリンダヘッド20に形成された複数の排気ポート30は、右側の排気マニホールド25に接続されており、左側のシリンダヘッド20に形成された複数の排気ポート30は、左側の排気マニホールド25に接続されている。共通のシリンダ18に対応する吸気ポート29の数は、1つであってもよいし、2つであってもよい。排気ポート30についても同様である。
【0024】
空気は、一対の吸気マニホールド24によってそれぞれ一対のシリンダヘッド20に導かれる。これにより、空気が、吸気マニホールド24および吸気ポート29を介して燃焼室28に供給される。また、燃焼室28で生成された排気は、排気ポート30によって排気マニホールド25に導かれる。排気ポート30は、燃焼室28からVラインの内側(二等分線L1側)に延びている。したがって、排気ポート30は、Vラインの内側で排気を排出する。排気ポート30から排出された排気は、排気マニホールド25を通過した後、排気管26内に流入する。したがって、各シリンダヘッド20から排出された排気は、共通の排気管26内に流入する。
【0025】
図3は、排気管26が取り付けられている状態のエンジン6の背面図であり、図4は、排気管26が取り外されている状態のエンジン6の背面図である。図5は、排気管26の正面図であり、図6は、図5に示すVI−VI線に沿う排気マニホールド25および排気管26の断面図である。
図3に示すように、排気管26は、締結部材の一例である複数のボルト34によって一対の排気マニホールド25に取り付けられている。図4に示すように、排気管26は、排気マニホールド25に対して取り外し可能である。左側の排気マニホールド25は、開口が形成された2つの固定部35を含み、右側の排気マニホールド25は、開口が形成された2つの支持部36を含む。2つの固定部35は、上下方向に間隔を空けて配置されており、2つの支持部36は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の固定部35および支持部36は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の固定部35および支持部36は、ほぼ同じ高さに配置されている。上側の固定部35および支持部36に形成された開口は、後述する第1排出口49bであり、下側の固定部35および支持部36に形成された開口は、後述する第2流入口51aである。
【0026】
排気管26は、左側の排気マニホールド25に固定されていると共に、右側の排気マニホールド25に移動可能に連結されている。具体的には、図5に示すように、排気管26は、開口が形成された2つの固定部37と、開口が形成された2つの挿入部38とを含む。2つの固定部37は、上下方向に間隔を空けて配置されており、2つの挿入部38は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の固定部37および挿入部38は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の固定部37および挿入部38は、ほぼ同じ高さに配置されている。上側の固定部37および挿入部38に形成された開口は、後述する中間流入口50aであり、下側の固定部37および挿入部38に形成された開口は、後述する中間排出口50bである。
【0027】
図4に示すように、排気マニホールド25の固定部35は、開口が形成された平坦な取付面35aを含む。同様に、図5に示すように、排気管26の固定部37は、開口が形成された平坦な取付面37aを含む。排気マニホールド25の2つの取付面35aは、同一平面上に配置されている。したがって、2つの取付面35aに形成された2つの開口(第1排出口49bおよび第2流入口51a)は、同一平面上で開口している。同様に、排気管26の2つの取付面37aは、同一平面上に配置されており、2つの取付面37aに形成された2つの開口(中間流入口50aおよび中間排出口50b)は、同一平面上で開口している。排気管26の取付面37aは、ガスケット(図示せず)を介して排気マニホールド25の取付面35aに取り付けられている。取付面35aおよび取付面37aは、取付面35aおよび取付面37aに形成された開口が向かい合うように重ねられている。固定部35および固定部37は、この状態で複数のボルト34によって固定されている。ボルト34は、固定部35および固定部37に設けられたボルト取付孔に取り付けられている。
【0028】
一方、図6に示すように、支持部36および挿入部38は、いずれも筒状である。上側の挿入部38は、上側の支持部36によって形成された挿入孔36aに挿入されている。同様に、下側の挿入部38は、下側の支持部36によって形成された挿入孔36aに挿入されている。挿入部38は、支持部36によって支持されている。支持部36の内周面と挿入部38の外周面との間は、支持部36および挿入部38の間に配置された複数のOリング39によってシールされている。挿入部38は、支持部36および挿入部38の間がシールされている状態で、挿入孔36aの中心軸線に沿う方向に支持部36に対して移動可能である。支持部36および挿入部38の相対位置は、エンジン6の組立誤差や、エンジン6の熱膨張によって変化する。すなわち、支持部36および挿入部38は、エンジン6の組立誤差や、エンジン6の変位を吸収するフローティング機構を構成している。
【0029】
図6に示すように、エンジン6は、排気管26内に配置された触媒40と、排気管26に取り付けられた上流側センサ41および下流側センサ42とを含む。触媒40は、たとえば、三元触媒(three-way catalyst)である。触媒40は、排気が通過できるように構成されたハニカム状である。上流側センサ41は、排気の流通方向に関して触媒40の上流側に配置されており、下流側センサ42は、排気の流通方向に関して触媒40の下流側に配置されている。上流側センサ41および下流側センサ42は、セラミック(たとえば、ジルコニア)によって形成された酸素濃度センサである。酸素濃度センサは、排気に含まれる成分の濃度を検出する排気濃度センサの一例である。排気マニホールド25から排気管26に導かれた排気は、触媒40によって浄化される。上流側センサ41は、触媒40の上流側で排気中の酸素濃度を検出し、下流側センサ42は、触媒40の下流側で排気中の酸素濃度を検出する。上流側センサ41および下流側センサ42の検出値は、エンジン6を制御するエンジンECU(Electronic Control Unit 図示せず)に入力される。エンジンECUは、排気中の酸素濃度を含むエンジン状態に基づいて、燃料噴射装置の燃料噴射量や点火プラグの点火時期などを調整する。
【0030】
図6に示すように、排気管26は、前方に開いたC字状の断面を有している。排気管26は、複数の配管(上配管44および下配管45)によって構成されている。排気管26は、1つの配管によって構成されていてもよい。排気管26は、冷却水が流通するウォータージャケット46を含む。ウォータージャケット46は、排気管26の外壁を構成している。触媒40は、ウォータージャケット46の内側に配置されている。ウォータージャケット46は、2つの挿入部38の間に配置された複数の冷却水配管47を介して、排気マニホールド25に設けられたウォータージャケット48に接続されている。冷却水配管47は、前後方向に延びている。冷却水配管47の前端部は、排気マニホールド25に挿入されており、冷却水配管47の後端部は、排気管26に挿入されている。冷却水は、冷却水配管47を介して2つのウォータージャケット(ウォータージャケット48およびウォータージャケット46)を行き来する。
【0031】
図7は、エンジン排気通路15について説明するための概念図である。以下では、図6および図7を参照する。
排気マニホールド25、排気管26、およびシリンダブロック19は、エンジン排気通路15を形成している。具体的には、図7に示すように、各排気マニホールド25は、共通のシリンダヘッド20に設けられた複数の排気ポート30を介して、複数のシリンダ18に接続された第1通路49を形成している。排気管26は、一対の第1通路49に接続された接続通路50を形成している。各排気マニホールド25は、さらに、接続通路50に接続された第2通路51を形成している。シリンダブロック19は、一対の第2通路51に接続された第3通路52を形成している。第3通路52は、エギゾーストガイド13に設けられたガイド排気通路16に接続されている。
【0032】
図6に示すように、第1通路49は、複数の排気ポート30にそれぞれ接続された複数の第1流入口49aと、複数の第1流入口49aに流入した排気を集合させる第1集合部49cと、第1集合部49cによって集められた排気を排出する第1排出口49bとを含む。複数の第1流入口49aは、それぞれ異なる高さに配置されている。第1排出口49bは、一番下の第1流入口49aより上方に配置されている。第1集合部49cは、上下方向に延びている。第1集合部49cは、各第1流入口49aから流入した排気を集合させると共に、第1排出口49bに導く。そして、第1排出口49bの近傍に達した排気は、接続通路50に向けて第1排出口49bから後方向に排出される。
【0033】
図6に示すように、接続通路50は、前方に開いたC字状の通路である。図7に示すように、接続通路50は、一対の排気マニホールド25の第1排出口49bにそれぞれ接続された一対の中間流入口50aと、一対の排気マニホールド25の第2流入口51aにそれぞれ接続された一対の中間排出口50bとを含む。さらに、接続通路50は、一対の中間流入口50aと一対の中間排出口50bとの間に配置された触媒収容部50dと、各中間流入口50aと触媒収容部50dとを接続する上流部50cと、触媒収容部50dと各中間排出口50bとを接続する下流部50eとを含む。上流部50cは、下流部50eより上方に配置されている。触媒収容部50dは、上流部50cと下流部50eとの間の高さに配置されている。触媒40は、触媒収容部50dに配置されている。触媒収容部50dは、一対の中間流入口50aから一対の中間排出口50bに流れる排気の経路上に配置されている。上流部50cは、一対の中間流入口50aから上流部50cに流入した排気を集合させると共に、下方向に導く。したがって、上流部50cに流入した排気は、触媒40を上から下に通過し浄化される。そして、浄化された排気は、下流部50eによってさらに下方向に導かれ、第2通路51に向けて中間排出口50bから前方向に排出される。
【0034】
図6に示すように、第2通路51は、排気が流入する第2流入口51aと、第2流入口51aに流入した排気を排出する第2排出口51bとを含む。第2通路51は、前後方向に延びている。第2通路51は、第1通路49より下方に配置されている。したがって、第2流入口51aおよび第2排出口51bは、第1排出口49bより下方に配置されている。触媒40は、第1排出口49bおよび第2流入口51aの間の高さに配置されている。第1排出口49bおよび第2流入口51aは、同一平面で開口している。また、第2流入口51aおよび第2排出口51bは、互いに異なる平面で開口している。図7に示すように、一対の第2通路51の第2流入口51aは、それぞれ、一対の中間排出口50bに接続されている。第2通路51は、第2流入口51aから第2通路51に流入した排気を前方向に導く。そして、排気は、第3通路52に向けて第2排出口51bから排出される。
【0035】
図7に示すように、第3通路52は、一対の第2排出口51bにそれぞれ接続された一対の第3流入口52aと、ガイド排気通路16に接続された第3排出口52bとを含む。さらに、第3通路52は、一対の第3流入口52aにそれぞれ接続された一対の第3分岐部52cと、各第3分岐部52cと第3排出口52bとを接続する第3集合部52dとを含む。一対の第3流入口52aから一対の第3分岐部52cに流入した排気は、第3集合部52dで集合する。第3通路52は、排気を下方向に導く。そして、排気は、ガイド排気通路16に向けて第3排出口52bから排出される。
【0036】
このように、第1通路49は、排気ポート30から流入した排気を上方向に導く。そして、第1通路49は、接続通路50に向けて排気を後方向に排出する。図6に示すように、接続通路50は、排気の流通方向を後方向から下方向に方向転換させた後、下方向から前方向に方向転換させる。そして、接続通路50は、第2通路51に向けて排気を前方向に排出する。第2通路51は、第3通路52に向けて排気を前方向に導く。したがって、燃焼室28で生成された排気は、排気ポート30、第1通路49、接続通路50、第2通路51、および第3通路52をこの順番で通過する。このようにして、排気が、エンジン6からエギゾーストガイド13に導かれる。したがって、排気は、触媒40によって浄化された後、エンジン6から排出される。
【0037】
前述のように、第1通路49および第2通路51は、接続通路50によって接続されている。さらに、図6に示すように、第1通路49および第2通路51は、排気マニホールド25に形成された排水路53によって接続されている。排水路53は、第1通路49の下端部(第1集合部49cの下端部)に接続された上端部53aと、上端部53aよりも下方で第2通路51に接続された下端部53bとを含む。排水路53の流路面積は、接続通路50の流路面積より小さい。具体的には、排水路53の最大流路面積は、接続通路50の最小流路面積よりも小さい。したがって、排気ポート30から第1通路49に排出された排気は、接続通路50に流入する。仮に、第1通路49から排水路53に排気が流入したとしても、その流量は非常に小さい。そのため、殆ど全ての排気は、触媒40によって浄化された後、船外機5の外部に排出される。
【0038】
エンジン6は、燃料を燃焼させることにより動力を発生する。ガソリンなどのように水素原子を含む燃料の燃焼に伴って生成される排気は、水分を含む。エンジン6が低速で回転している場合や、エンジン6の出力が小さい場合には、第1通路49内の温度が比較的低い。そのため、排気が冷却されて、第1通路49内で水(凝縮水)が生成される場合がある。また、エンジン6が停止されると第1通路49の温度が低下していく。そのため、第1通路49内に存在する排気が、エンジン6の停止後に第1通路49の内壁面に接触し、結露が発生する場合がある。第1通路49で生成された水は、第1通路49の下端部に集まる。したがって、第1通路49で生成された水は、第1通路49から排水路53に排出され、さらに、排水路53から第2通路51に排出される。そのため、第1通路49で生成された水が燃焼室28に逆流して、エンジン6が失火(misfire)することを防止できる。
【0039】
船外機5は、外水(船外機5の外の水)を内部に取り込んで、前述のウォータージャケット46、48を含むエンジン6のウォータージャケットに供給する。具体的には、図1に示すように、船外機5は、船外機5の外面(ケーシング12の外面)で開口する取水口54と、冷却水路55を介して取水口54からエンジン6のウォータージャケットに水を送るウォーターポンプ56とを含む。ウォーターポンプ56は、ドライブシャフト7に連結されている。ウォーターポンプ56は、エンジン6によって駆動される。すなわち、エンジン6が回転すると、船外機5の外の水が、ウォーターポンプ56によって、エンジン6のウォータージャケットに送られる。したがって、船外機5の外の水がエンジン6に供給される。そのため、エンジン6は、通常の自動車用エンジンよりも冷却能力が高い。すなわち、自動車に備えられている循環式の冷却装置では、温まった冷却水がエンジン6に供給される場合がある。その一方で、船外機5の外の水の温度、つまり海や湖の水温は、エンジン6の運転状況による影響を受けないので、ほぼ一定の温度の冷却水がエンジン6に供給される。そのため、エンジン6が安定して冷却される。このように、船外機用のエンジンは、自動車用のエンジンよりも冷却能力が高いため、凝縮水が発生し易い。したがって、排水路53を設けることにより、エンジン6の失火を確実に防止できる。
【0040】
以上のように第1実施形態では、排気マニホールド25および排気管26が、触媒40を配置するための通路を形成し、従来技術と同構造のシリンダブロック19の排気通路に接続している。したがって、触媒40が搭載されていない従来のエンジンの排気マニホールドを変更するだけで、このエンジンに触媒40を搭載できる。さらに、一対の排気マニホールド25から排出された排気が、共通の排気管26内に流入し、排気管26内に配置された触媒40によって浄化されるので、2つのバンク27にそれぞれ対応する2つの触媒40を設けなくてもよい。したがって、排気濃度センサなどの触媒40に関連する装置を2セット設けなくてもよい。そのため、部品点数の増加を抑制できる。
【0041】
さらに、第1実施形態では、排気管26は、一方の排気マニホールド25に固定されており、他方の排気マニホールド25に移動可能に接続されている。排気管26や排気マニホールド25を含むエンジン6を構成する各部品が寸法公差を有しているので、排気管26が全ての箇所で一対の排気マニホールド25に固定される場合、寸法のばらつきに起因する隙間が、排気管26と排気マニホールド25との間に生じるおそれがある。よって、排気管26の一部(挿入部38)を排気マニホールド25に移動可能に接続することにより、寸法のばらつきを吸収できる。これにより、排気管26および排気マニホールド25のシール性を高めることができる。したがって、排気管26と排気マニホールド25との間から排気が漏れることを防止できる。
【0042】
さらに、第1実施形態では、2つの取付面35aが排気マニホールド25に設けられており、2つの取付面37aが排気管26に設けられている。排気管26の取付面37aは、ガスケット(図示せず)を介して排気マニホールド25の取付面35aに取り付けられている。2つの取付面35aは、同一平面上に配置されており、2つの取付面37aは、同一平面上に配置されている。したがって、機械加工による取付面35aおよび取付面37aの寸法精度を高めることができる。そのため、排気管26および排気マニホールド25のシール性をさらに高めることができる。これにより、排気管26と排気マニホールド25との間から排気が漏れることを防止できる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、一対の排気マニホールドにそれぞれ対応する一対の排気管が設けられていることである。
以下の図8〜図13において、前述の図1〜図7に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図8は、この発明の第2実施形態に係る船舶201の概略構成を説明するための側面図である。図9は、クランク軸線A2に直交するエンジン206の断面図である。図8では、理解を容易にするために、エンジンカバー11の内部を透視した状態を示している。また、図9では、V字ラインV1を二等分する二等分線L1の右側と左側とで異なる高さの断面が示されている。
【0045】
第2実施形態に係る船舶201は、船舶推進装置を除き、第1実施形態に係る船舶1と同様の構成を備えている。すなわち、図8に示すように、船舶201は、第1実施形態に係る船舶推進装置3に代えて、船舶推進装置203を含む。船舶推進装置203は、ブラケット4と、ステアリング軸線A1まわりに回動可能にブラケット4に連結された船外機205とを含む。船外機205は、エンジンを除き、第1実施形態に係る船外機5と同様の構成を備えている。すなわち、船外機205は、第1実施形態に係るエンジン6に代えて、エンジン206を含む。
【0046】
図9に示すように、エンジン206は、たとえば、V型6気筒の4サイクルエンジンである。エンジン206は、シリンダブロック19と、一対のシリンダヘッド20と、複数のピストン21と、クランクシャフト22と、コネクティングロッド23と、一対の吸気マニホールド24と、一対の排気マニホールド25とを含む。さらに、エンジン206は、一対の排気マニホールド25から排出された排気を導く一対の排気管226を含む。一対の排気管226は、複数のボルト34(図12参照)によって、それぞれ一対の排気マニホールド25に取り付けられている。排気管226は、V字ラインV1の内側に配置されている。
【0047】
図10は、排気管226が取り付けられている状態のエンジン206の背面図であり、図11は、排気管226が取り外されている状態のエンジン206の背面図である。図12は、排気マニホールド25および排気管226の断面図である。
図10および図11に示すように、排気管226は、排気マニホールド25に対して取り外し可能である。図11に示すように、右側の排気マニホールド25は、2つの固定部35を含む。同様に、左側の排気マニホールド25は、2つの固定部35を含む。右側の2つの固定部35は、上下方向に間隔を空けて配置されており、左側の2つの固定部35は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の2つの固定部35は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の2つの固定部35は、ほぼ同じ高さに配置されている。上側の固定部35に形成された開口は、後述する第1排出口49bであり、下側の固定部35に形成された開口は、後述する第2流入口51aである。
【0048】
一対の排気管226は、それぞれ、一対の排気マニホールド25に固定されている。具体的には、図10に示すように、右側の排気管226は、2つの固定部37を含む。同様に、左側の排気管226は、2つの固定部37を含む。右側の2つの固定部37は、上下方向に間隔を空けて配置されており、左側の2つの固定部37は、上下方向に間隔を空けて配置されている。上側の2つの固定部37は、ほぼ同じ高さに配置されており、下側の2つの固定部37は、ほぼ同じ高さに配置されている。図12に示すように、上側の固定部37に形成された開口は、後述する中間流入口250aであり、下側の固定部37に形成された開口は、後述する中間排出口250bである。排気管226の固定部37は、排気マニホールド25の固定部35に対向している。
【0049】
図11に示すように、排気マニホールド25の固定部35は、開口が形成された平坦な取付面35aを含む。図12に示すように、4つの固定部35に設けられた4つの取付面35aは、同一平面上に配置されている。したがって、4つの取付面35aに形成された4つの開口(第1排出口49bおよび第2流入口51a)は、同一平面上で開口している。同様に、排気管226の固定部37は、開口が形成された平坦な取付面37aを含む。4つの固定部37に設けられた4つの取付面37aは、同一平面上に配置されており、4つの取付面37aに形成された4つの開口(中間流入口250aおよび中間排出口250b)は、同一平面上で開口している。取付面35aおよび取付面37aは、取付面35aおよび取付面37aに形成された開口が向かい合うように重ねられている。固定部35および固定部37は、この状態で複数のボルト34によって固定されている。
【0050】
図10に示すように、エンジン206は、一対の排気管226内にそれぞれ配置された2つの触媒40と、触媒40より上流側で排気管226に取り付けられた2つの上流側センサ41と、触媒40より下流側で排気管226に取り付けられた2つの下流側センサ42とを含む。図12に示すように、排気管226は、前方に開いたC字状の断面を有している。排気管226は、上配管244および下配管245によって構成されている。排気管226は、1つの配管によって構成されていてもよい。排気管226は、冷却水が流通するウォータージャケット46を含む。ウォータージャケット46は、排気管226の外壁を構成している。触媒40は、ウォータージャケット46の内側に配置されている。ウォータージャケット46は、排気マニホールド25のウォータージャケット48に接続されている。
【0051】
図13は、エンジン排気通路215について説明するための概念図である。以下では、図12および図13を参照する。
図13に示すように、メイン排気通路214は、エンジン206に設けられたエンジン排気通路215を含む。排気マニホールド25、排気管226、およびシリンダブロック19は、エンジン排気通路215を形成している。具体的には、各排気マニホールド25は、共通のシリンダヘッド20に設けられた複数の排気ポート30を介して、複数のシリンダ18に接続された第1通路49を形成している。各排気管226は、第1通路49に接続された接続通路250を形成している。各排気マニホールド25は、さらに、接続通路250に接続された第2通路51を形成している。シリンダブロック19は、一対の第2通路51にそれぞれ接続された一対の第3通路252を形成している。各第3通路252は、エギゾーストガイド13に設けられたガイド排気通路16に接続されている。共通の排気マニホールド25に形成された第1通路49および第2通路51は、排気管226に形成された接続通路250によって接続されていると共に、排気マニホールド25に形成された排水路53によって接続されている。
【0052】
図12に示すように、接続通路250は、前方に開いたC字状の通路である。接続通路250は、排気マニホールド25の第1排出口49bに接続された中間流入口250aと、排気マニホールド25の第2流入口51aに接続された中間排出口250bとを含む。さらに、接続通路250は、中間流入口250aと中間排出口250bとの間に配置された触媒収容部250dと、中間流入口250aと触媒収容部250dとを接続する上流部250cと、触媒収容部250dと中間排出口250bとを接続する下流部250eとを含む。上流部250cは、下流部250eより上方に配置されている。触媒収容部250dは、上流部250cと下流部250eとの間に配置されている。触媒40は、触媒収容部250dに配置されている。上流部250cは、中間流入口250aから上流部250cに流入した排気を下方向に導く。したがって、上流部250cに流入した排気は、触媒40を上から下に通過し浄化される。そして、浄化された排気は、下流部250eによってさらに下方向に導かれ、第2通路51に向けて中間排出口250bから前方向に排出される。
【0053】
第1通路49は、排気ポート30から流入した排気を上方向に導く。そして、第1通路49は、接続通路250に向けて排気を後方向に排出する。図12に示すように、接続通路250は、排気の流通方向を後方向から下方向に方向転換させた後、下方向から前方向に方向転換させる。そして、接続通路250は、第2通路51に向けて排気を前方向に排出する。第2通路51は、第3通路252に向けて排気を前方向に導く。したがって、燃焼室28で生成された排気は、排気ポート30、第1通路49、接続通路250、第2通路51、および第3通路252をこの順番で通過する。このようにして、排気が、エンジン206からエギゾーストガイド13に導かれる。
【0054】
以上のように第2実施形態では、排気マニホールド25および排気管226が、触媒40を配置するための通路を形成している。したがって、従来のエンジンの排気マニホールドを変更するだけで、このエンジンに触媒40を搭載できる。そのため、従来のエンジンからの変更箇所を少なくできる。さらに、排気マニホールド25に設けられた2つの取付面35aが同一平面上に配置されており、排気管226に設けられた2つの取付面37aが同一平面上に配置されているので、機械加工による取付面35aおよび取付面37aの寸法精度を高めることができる。そのため、排気管226および排気マニホールド25のシール性を高めることができる。これにより、排気管226と排気マニホールド25との間から排気が漏れることを防止できる。
【0055】
[他の実施形態]
この発明の第1および第2実施形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1および第2実施形態では、エンジンがV型エンジンである場合について説明した。しかし、図14に示すように、エンジンは、複数のシリンダ18(たとえば、4つのシリンダ18)が直線状に配列された直列エンジン306であってもよい。
【0056】
また、前述の第1および第2実施形態では、排気マニホールドに設けられた第2通路が、シリンダブロックに設けられた第3通路を介してガイド排気通路に接続されている場合について説明した。しかし、第2通路は、ガイド排気通路に直接接続されていてもよい。
また、前述の第1および第2実施形態では、第1通路から第2通路に水を排出する排水路がエンジンに設けられている場合について説明した。しかし、排水路がエンジンに設けられていなくてもよい。
【0057】
また、前述の第1実施形態では、一対の中間排出口が、排気管に設けられており、一対の排気マニホールドから排気管に排出された排気が、両方の排気マニホールドに戻る場合について説明した。しかし、中間排出口の数が一つであり、一対の排気マニホールドから排気管に排出された排気が、片方の排気マニホールドだけに戻るように、排気マニホールドおよび排気管が構成されていてもよい。
【0058】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
以下に、特許請求の範囲に記載された構成要素と前述の実施形態における構成要素との対応関係を示す。
シリンダ:シリンダ18
シリンダブロック:シリンダブロック19
第1流入口:第1流入口49a
第1集合部:第1集合部49c
第1排出口:第1排出口49b
第1通路:第1通路49
第2流入口:第2流入口51a
第2排出口:第2排出口51b
第2通路:第2通路51
排気マニホールド:排気マニホールド25
接続通路:接続通路50、250
排気管:排気管26、226
エンジン:エンジン6、206
第3通路:第3通路52、252
触媒:触媒40
排水路:排水路53
排水路の上端部:上端部53a
排水路の下端部:下端部53b
シリンダヘッド:シリンダヘッド20
プロペラ:プロペラ10
動力伝達ユニット:ドライブシャフト7、歯車機構8、プロペラシャフト9
船外機:船外機5、205
船体:船体2
船舶:船舶1、201
【符号の説明】
【0059】
1 :船舶
2 :船体
5 :船外機
6 :エンジン
7 :ドライブシャフト
8 :歯車機構
9 :プロペラシャフト
20 :シリンダヘッド
25 :排気マニホールド
26 :排気管
30 :排気ポート
37 :固定部
38 :挿入部
40 :触媒
49 :第1通路
49a :第1流入口
49b :第1排出口
49c :第1集合部
50 :接続通路
50a :中間流入口
50b :中間排出口
50c :上流部
50d :触媒収容部
50e :下流部
51 :第2通路
51a :第2流入口
51b :第2排出口
52 :第3通路
52a :第3流入口
52b :第3排出口
52c :第3分岐部
52d :第3集合部
53 :排水路
53a :上端部
53b :下端部
201 :船舶
205 :船外機
206 :エンジン
226 :排気管
250 :接続通路
250a :中間流入口
250b :中間排出口
250c :上流部
250d :触媒収容部
250e :下流部
252 :第3通路
A2 :クランク軸線
V1 :V字ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、
前記複数のシリンダからの排気が流入する複数の第1流入口、前記複数の第1流入口に流入した排気を集合させる第1集合部、および前記第1集合部によって集められた排気を排出する第1排出口を含む第1通路と、排気が流入する第2流入口、および前記第2流入口に流入した排気を排出する第2排出口を含む第2通路とが形成された排気マニホールドと、
前記第1排出口および第2流入口を接続する接続通路が形成された排気管とを含む、エンジン。
【請求項2】
前記シリンダブロックには、前記第2排出口に接続された第3通路が形成されている、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記接続通路に配置された触媒をさらに含む、請求項1または2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記第1排出口および第2流入口は、異なる高さに配置されており、
前記触媒は、前記第1排出口および第2流入口の間の高さに配置されている、請求項3に記載のエンジン。
【請求項5】
前記第1排出口および第2流入口は、同一平面で開口している、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記第2流入口および第2排出口は、異なる平面で開口している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記排気マニホールドには、前記第1通路の下端部に接続された上端部と、前記上端部よりも下方で前記第2通路に接続された下端部とを含み、前記第1通路と前記第2通路とを接続する排水路が形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項8】
前記排気マニホールドと一体のシリンダヘッドをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のエンジンと、
前記エンジンの動力をプロペラに伝達することにより、前記プロペラを回転させる動力伝達ユニットとを含む、船外機。
【請求項10】
請求項9に記載の船外機と、
前記船外機が取り付けられた船体とを含む、船舶。
【請求項1】
複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、
前記複数のシリンダからの排気が流入する複数の第1流入口、前記複数の第1流入口に流入した排気を集合させる第1集合部、および前記第1集合部によって集められた排気を排出する第1排出口を含む第1通路と、排気が流入する第2流入口、および前記第2流入口に流入した排気を排出する第2排出口を含む第2通路とが形成された排気マニホールドと、
前記第1排出口および第2流入口を接続する接続通路が形成された排気管とを含む、エンジン。
【請求項2】
前記シリンダブロックには、前記第2排出口に接続された第3通路が形成されている、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記接続通路に配置された触媒をさらに含む、請求項1または2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記第1排出口および第2流入口は、異なる高さに配置されており、
前記触媒は、前記第1排出口および第2流入口の間の高さに配置されている、請求項3に記載のエンジン。
【請求項5】
前記第1排出口および第2流入口は、同一平面で開口している、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記第2流入口および第2排出口は、異なる平面で開口している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記排気マニホールドには、前記第1通路の下端部に接続された上端部と、前記上端部よりも下方で前記第2通路に接続された下端部とを含み、前記第1通路と前記第2通路とを接続する排水路が形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項8】
前記排気マニホールドと一体のシリンダヘッドをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のエンジンと、
前記エンジンの動力をプロペラに伝達することにより、前記プロペラを回転させる動力伝達ユニットとを含む、船外機。
【請求項10】
請求項9に記載の船外機と、
前記船外機が取り付けられた船体とを含む、船舶。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−108355(P2013−108355A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251413(P2011−251413)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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