説明

ガイドチューブ装置および内視鏡システム

【課題】内視鏡の観察視野を固定した状態で測定対象物上の測定位置を移動させることができるガイドチューブ装置を提供する。
【解決手段】ガイドチューブ装置5は、可視光線を観察する内視鏡3の挿入部2を挿通するためのチャンネル4が設けられ、基端側を挿入部に取付けたときに挿入部に設けられた湾曲部14より先端側に位置するチューブ先端部42を有するチューブ本体40と、被照射領域W1に可視光線を照射し被照射領域に隣接する部分に対して被照射領域が反射する可視光線の明るさを内視鏡により視認可能に異ならせる発光部51、および、所定の受信方向Dからの可視光線を検出する受信部53を有し、被照射領域までの距離を測定する測定部と、被照射領域から受信部に向かう方向が受信方向となるように、発光部および受信部のチューブ先端部に対する向きを調節する向き調節部48と、を備え、発光部および受信部は、チューブ先端部に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドチューブ装置および内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡の挿入部を管路などに挿入し、周囲の形状を観察しながら、挿入部に設けられた、たとえば距離センサ(測定部)などの指向性を有するセンサを用いて管路内に配置された測定対象物までの距離を測定することが行われている。
一般的に、内視鏡には距離センサは備えられていないので、挿入部の外周面に取付けるガイドチューブ(チューブ本体)に距離センサを設け、挿入部にガイドチューブを、いわゆる後付けで取付け、ガイドチューブと内視鏡とにより内視鏡システムとして使用する方法が検討されている。
【0003】
内視鏡の挿入部に後付けでマイクロホンや温度センサなどのセンサを取付けるものとして、たとえば、特許文献1に記載されたガイドチューブが知られている。
このガイドチューブには、挿入部が挿通可能なチャンネルが形成されていて、チャンネルに挿入部が挿通された状態で、ガイドチューブの基端側に設けられた凸部が内視鏡の挿入部の基端側に形成された係合溝に係合することで、ガイドチューブが内視鏡に取付けられる。
特許文献1のガイドチューブでは、ガイドチューブを内視鏡に取付けたときに、マイクロホンおよび温度センサは、挿入部に設けられた湾曲部の基端側に位置するように設定されている。
挿入部から離間した場所には、スピーカおよびTVモニタが配置されていて、マイクロホンはスピーカに、温度センサはTVモニタにそれぞれ接続されている。
【0004】
そして、ガイドチューブが取付けられた挿入部を、たとえば、土砂で埋まった家屋の中に導入し、湾曲部の先端側に設けられた観察ユニットで前方を観察しながら、マイクロホンで検出した音をスピーカで再生するとともに、温度センサで検出した温度をTVモニタに表示する。このように家屋の中を観察することで、家屋内に閉じ込められた被災者の生存と、被災者が閉じ込められている状況とを確認することができるという。
【0005】
しかし、特許文献1のガイドチューブでは、ガイドチューブに挿入される挿入部の湾曲部を湾曲させると、挿入部の先端前方に設定される視野方向とマイクロホンおよび温度センサが測定する方向との関係が変化してしまう問題がある。そこで、内視鏡の挿入部にガイドチューブを取付けたときに、マイクロホンおよび温度センサが内視鏡の湾曲部より先端側に配置されるように構成されたガイドチューブが検討されている。
【0006】
また、特許文献2には、断面が略円形のライトガイド用光ファイバの中心に観察用光ファイバが、ライトガイド用光ファイバ内の観察用光ファイバから離間した位置に実写用ガラス筒が、それぞれ埋め込まれた光ファイバが開示されている。ライトガイド用光ファイバによって誘導された照明用の光は、ライトガイド用光ファイバの先端部から放射されて患部の照射面で反射され、反射された光は観察用光ファイバで集光されて基端部に案内され観察される。
一方で、実写用ガラス筒によってレーザー光が先端部に誘導され、先端部から照射されたレーザー光は照射面に光スポットを形成する。実写用ガラス筒は観察用光ファイバから所定の距離だけ離間して配置されているので、光ファイバの先端部と照射面との距離の大小によって、観察視野内における光スポットの観測位置が変化する。
【0007】
このように構成された光ファイバが内蔵され、光をライトガイド用光ファイバに導くハロゲン光源と、レーザー光を実写用ガラス筒に導くレーザー光源と、観察用光ファイバによって得られた画像を撮像する撮像装置と、撮像された画像を表示するモニタとを備えた内視鏡は、以下のように機能する。すなわち、モニタによる観察視野内の中心から光スポットまでの距離と、光ファイバの先端から照射面までの距離との関係に基づいて、光ファイバの先端部から照射面における光スポットが形成された部分までの距離を検出することができる。
このとき、観察視野内で距離が測定された位置(光スポットが形成された部分)を認識しながら、内視鏡による観察を行うことができる。
【0008】
このように、上記のガイドチューブに特許文献2で説明した内視鏡を取付けることで、挿入部の湾曲部を湾曲させた後であっても、観察視野に対する一定の方向に配置された測定対象物までの距離を、距離を検出した位置を内視鏡により目視で確認しながら測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1−152413号公報
【特許文献2】特開平8−285541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記のようにガイドチューブに内視鏡を取付けても、たとえば、内視鏡により観察しているときに、観察視野を固定した状態で、観察視野内の測定対象物の他の所望の部分までの距離を測定することができなかった。
挿入部およびガイドチューブを一体に移動させれば、距離を測定する位置を変えることができる。しかし、その場合には、観察視野が移動してしまい、測定対象物を観察しにくくなるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、内視鏡の湾曲部が湾曲するのに対応して測定する向きを変化させるとともに、内視鏡による観察視野を固定した状態で観察視野内で測定位置を確認しながら測定対象物上の測定位置を移動させることができるガイドチューブ装置、およびこのガイドチューブ装置を備える内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のガイドチューブ装置は、可撓性を有する材料で形成されるとともに可視光線を観察可能な内視鏡の挿入部を挿通するためのチャンネルが設けられ、基端側を前記挿入部に取付けたときに、前記挿入部に設けられた湾曲部より先端側に位置するチューブ先端部を有するチューブ本体と、測定対象物の被照射領域に可視光線を照射し前記測定対象物において前記被照射領域に隣接する部分に対して前記被照射領域が反射する可視光線の明るさおよび色彩の少なくとも一つを前記内視鏡により視認可能に異ならせる発光部、および、所定の受信方向からの赤外線、可視光線および音波の少なくとも一つを検出する受信部を有し、前記被照射領域における前記発光部からの距離、温度、および振動状態の少なくとも一つを測定する測定部と、前記被照射領域から前記受信部に向かう方向が前記受信方向となるように、前記発光部および前記受信部の前記チューブ先端部に対する向きを調節する向き調節部と、を備え、前記発光部および前記受信部は、前記チューブ先端部に接続されていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の他のガイドチューブ装置は、可撓性を有する材料で形成されるとともに非可視光線を観察可能な撮像素子を有する内視鏡の挿入部を挿通するためのチャンネルが設けられ、基端側を前記挿入部に取付けたときに、前記挿入部に設けられた湾曲部より先端側に位置するチューブ先端部を有するチューブ本体と、測定対象物の被照射領域に非可視光線を照射し前記測定対象物において前記被照射領域に隣接する部分に対して前記被照射領域が非可視光線の強度を前記内視鏡により視認可能に異ならせる発光部、および、所定の受信方向からの非可視光線、可視光線および音波の少なくとも一つを検出する受信部を有し、前記被照射領域における前記発光部からの距離、温度、および振動状態の少なくとも一つを測定する測定部と、前記被照射領域から前記受信部に向かう方向が前記受信方向となるように、前記発光部および前記受信部の前記チューブ先端部に対する向きを調節する向き調節部と、を備え、前記発光部および前記受信部は、前記チューブ先端部に接続されていることを特徴としている。
【0014】
また、上記のガイドチューブ装置において、前記発光部が照射する照射方向は前方に設定され、前記受信方向は前方から前記受信部に向かう方向に設定され、前記向き調節部は、前記チャンネルの軸線に交差する方向に延びる板状に形成され、板厚方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、先端側の面に前記発光部および前記受信部が配置された接続部材と、前記チューブ先端部に接続された本体部、および前記本体部から前方に突出し先端が前記接続部材の基端側の面に接続され前記本体部から突出する長さを調節可能な突出部を有する一対の長さ調節機構と、前記突出部が前記本体部から突出する長さを制御する突出長さ制御部と、を有し、前記接続部材の基端側の面における一対の前記長さ調節機構の前記突出部の先端が接続される位置は互いに異なることがより好ましい。
【0015】
また、上記のガイドチューブ装置において、前記チューブ先端部に設けられ、内部に空間が形成されるとともに、前記空間に前記発光部、前記受信部、前記接続部材、および一対の前記長さ調節機構を収容する保護部材を備えることがより好ましい。
【0016】
また、上記のガイドチューブ装置において、前記発光部が照射する照射方向は前方に設定され、前記受信方向は前方から前記受信部に向かう方向に設定され、前記向き調節部は、先端側から基端側に延びて形成され前記チャンネルに連通する貫通孔が設けられ、先端面に前記発光部および前記受信部が配置されるとともに、前記基端側が前記チューブ先端部に揺動可能に接続された接続部材と、前記接続部材の前記先端側において前記貫通孔の内面に配置された本体部、および前記チャンネルの先端から突出した前記挿入部に対し前記チャンネルの軸線に交差する方向に前記本体部から突出して当接し、前記本体部から突出する長さを調節可能な突出部を有する一対の長さ調節機構と、一対の前記長さ調節機構において、前記突出部が前記本体部から突出する長さを制御する突出長さ制御部と、を有し、一対の前記長さ調節機構は前記貫通孔の内面における対向する位置に配置されていることがより好ましい。
【0017】
また、上記のガイドチューブ装置において、前記チューブ先端部に設けられ、前記発光部、前記受信部、前記接続部材および前記長さ調節機構を覆うとともに、前記発光部および前記受信部の前方に開口が形成されたカバー部材を備えることがより好ましい。
【0018】
また、上記のガイドチューブ装置において、前記発光部および前記受信部は、前記接続部材の先端面に前記貫通孔を挟むように配置されていることがより好ましい。
【0019】
また、本発明の内視鏡システムは、上記のいずれか一項に記載のガイドチューブ装置と、前記内視鏡と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のガイドチューブ装置および内視鏡システムによれば、内視鏡の湾曲部が湾曲するのに対応して測定する向きを変化させるとともに、内視鏡による観察視野を固定した状態で観察視野内で測定位置を確認しながら測定対象物上の測定位置を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡システムの全体図である。
【図2】同内視鏡システムの内視鏡の全体図である。
【図3】同内視鏡システムのブロック図である。
【図4】同内視鏡システムのガイドチューブ装置の全体図である。
【図5】同内視鏡システムの先端部の側面断面図である。
【図6】図5におけるA1方向矢視図である。
【図7】同内視鏡システムのLCDに表示された内容を説明する図である。
【図8】同内視鏡システムで接続部材を揺動させたときの先端部の側面断面図である。
【図9】図8におけるA2方向矢視図である。
【図10】本発明の第2実施形態の内視鏡システムの先端部の側面断面図である。
【図11】図10におけるA3方向矢視図である。
【図12】同内視鏡システムで接続部材を移動させたときの先端部の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る内視鏡システムの第1実施形態を、図1から図9を参照しながら説明する。内視鏡システムは、管路内などに挿入されて、管路内を観察するとともに測定対象物までの距離を測定する装置である。
図1に示すように、本内視鏡システム1は、前方を観察可能な長尺の挿入部2が設けられた内視鏡3と、挿入部2が挿通可能なチャンネル4が設けられたガイドチューブ装置5と、を備えている。
【0023】
図2に示すように、内視鏡3の基本構成は、挿入部2の先端の前方を観察する、いわゆる直視用の内視鏡装置と同様である。内視鏡3は、前述の挿入部2と、挿入部2の基端部に取付けられ挿入部2を操作する内視鏡操作部8と、内視鏡操作部8に接続された内視鏡本体9と、挿入部2で観察することにより取得された映像を表示する表示部10とを有している。
図3に示すように、挿入部2は、白色の可視光線を前方に照射する発光ダイオードを有する照明ユニット11、および可視光線を検出するCCD12aを有する観察ユニット12が先端部に設けられ挿入部2の先端に配置された先端硬質部13と、先端硬質部13の基端側に接続され湾曲可能な内視鏡湾曲部(湾曲部)14と、内視鏡湾曲部14の基端側に接続された可撓性を有する可撓管部15(図2参照)と、を有している。観察ユニット12は挿入部2の先端面にレンズ12bを有していて、レンズ12bは、挿入部2の前方の所定の視野角θ1内の測定対象物Wから反射された可視光線による像をCCD12aの受光面上に結像させる。このとき、視野角θ1に対応して撮像される測定対象物W上の範囲が、表示部10で表示される観察視野となる。
【0024】
図2に示すように、内視鏡操作部8には、内視鏡湾曲部14を湾曲操作するための湾曲操作ボタン18と、内視鏡本体9、表示部10、およびガイドチューブ装置5などを操作するための主操作ボタン19とが設けられている。
図2および図3に示すように、内視鏡本体9は、ケーシング23と、ケーシング23に内蔵され照明ユニット11を制御する照明制御部24、CCD12aが取得した映像などを処理する映像処理部25、内視鏡本体9全体としての制御処理を行う処理部26、および挿入部2や表示部10などに電力を供給する電源部27とを有している。処理部26は、照明制御部24および映像処理部25と電気的に接続されている。一方で、照明制御部24、映像処理部25は、接続ケーブル31および内視鏡操作部8を介して、照明ユニット11、観察ユニット12にそれぞれ接続されている。
ケーシング23の外面には、処理部26および電源部27に電気的に接続されたコネクタ32と、ガイドチューブ装置5の先端側を所定の位置に係止する係止部33とが取付けられている。
【0025】
表示部10は、ケーシング23に着脱自在に配設されている。表示部10は、映像などを表示するLCD36と、コネクタ32に着脱可能な配線37とを有している。
配線37をコネクタ32に接続することで、表示部10は電源部27から所定の電力を供給されるとともに、映像処理部25から送信された映像などをLCD36に表示することができる。
【0026】
図4に示すように、ガイドチューブ装置5は、可撓性を有する材料で形成されたチューブ本体40と、チューブ本体40の基端側に接続され内視鏡操作部8に着脱可能なチューブ接続部41とを有している。チューブ本体40は、たとえばウレタンなどの樹脂で形成されている。
チューブ本体40には、チューブ本体40の長手方向に沿って前述のチャンネル4が形成されている。チューブ本体40は、チャンネル4の軸線C回りに変形しにくい材料で形成されている。チューブ接続部41は、チャンネル4の軸線C回りの所定の向きで内視鏡操作部8に取付けられるように構成されている。すなわち、ガイドチューブ装置5のチャンネル4に内視鏡3の挿入部2を挿通させて、内視鏡操作部8にチューブ接続部41を取付けたときに、挿入部2とチューブ本体40との周方向の位置関係は一定になるように構成されている。
【0027】
図3および図5に示すように、チューブ本体40は、先端部に設けられたるチューブ先端部42と、チューブ先端部42の基端に接続された支持体43とを有している。
チューブ本体40のチャンネル4に内視鏡3の挿入部2を挿通した状態でチューブ接続部41を内視鏡操作部8に取付けたときに、チューブ先端部42は、挿入部2に設けられた内視鏡湾曲部14より先端側に位置するように設定されている。
【0028】
ガイドチューブ装置5は、チューブ接続部41の後述する通信制御部71との間で信号の送受信を行う通信制御部46と、測定対象物Wまでの距離を測定する距離測定部(測定部)47と、距離測定部47の後述する発光部51および受光部53のチューブ先端部42に対する向きを調節する向き調節部48と、を備えている。
【0029】
本実施形態では、距離測定部47として、レーザー光が照射されてから測定対象物で反射されて検出されるまでの時間に基づいて測定対象物までの距離を測定するTOF(Time Of Flight)型の距離センサが用いられている。
距離測定部47は、赤色のレーザー光L1を前方に照射する発光部51と、通信制御部46からの信号に基づいて発光部51を制御する光制御部52と、赤色の可視光線を検出する受光部(受信部)53と、受光部53で検出したレーザー光L1の信号を増幅する戻光検出部54と、発光部51から測定対象物Wまでの距離を算出する距離算出部55とを有している。
通信制御部46、光制御部52、戻光検出部54および距離算出部55は、チューブ先端部42に配置されていて、発光部51および受光部53は後述する接続部材44に配置されている。
【0030】
通信制御部46は、通信制御部46に先端が接続されチューブ本体40内を通る電線58の本数を、たとえば3本にするために、複数の信号を1つの信号に重畳したり分離したりする処理を行う。光制御部52は、通信制御部46と電気的に接続されていて、通信制御部46から受信された信号に基づいて、発光部51への電力の供給状態を切替える。
発光部51が測定対象物Wにレーザー光L1を照射する、測定対象物Wの表面の一部である被照射領域W1は、観察ユニット12の視野角θ1内に位置するように調節される。
測定対象物Wの表面において、被照射領域W1、および被照射領域W1に隣接する隣接領域W2は、照明ユニット11により白色の可視光線で照明される。発光部51は、赤色のレーザー光L1を被照射領域W1に照射することで、隣接領域W2に対して被照射領域W1が反射する可視光線の色彩を使用者が内視鏡3のLCD36に表示された映像などにより視認可能となるように異ならせることができる。
【0031】
被照射領域W1と隣接領域W2とが内視鏡3により視認可能となるように色彩を異ならせるために、レーザー光L1の色彩は測定対象物Wの表面の色彩と異なるものを用いることが好ましい。また、たとえば、外界の光を遮断して被照射領域W1および隣接領域W2を白色光で100lx(ルクス)の照度で照明したときに、被照射領域W1を照射する赤色のレーザー光L1の単独の照度を150lx以上とすることが好ましい。
【0032】
受光部53には、PSD(Position Sensitive Detector)やCCDなどの、指向性が高く、前方から受信部に向かう所定の受信方向Dからの赤色の可視光線を検出する素子を適宜選択して用いることができる。
距離算出部55は、発光部51でレーザー光L1が照射された時から、被照射領域W1で反射されたレーザー光L1が受光部53で受光される時までの時間差に基づいて、発光部51から測定対象物Wの被照射領域W1までの距離を算出し、その結果を信号として通信制御部46に送信する。
【0033】
向き調節部48は、図3、図5および図6に示すように、先端面に前述の発光部51および受光部53が配置された接続部材44と、接続部材44の先端側に配置された二対の長さ調節機構61〜64と、長さ調節機構61〜64を制御する突出長さ制御部65(図3参照)とを有している。
接続部材44は、ゴムなどの弾性を有する材料で形成されている。接続部材44の基端はチューブ先端部42の先端に接続されていて、接続部材44はチューブ先端部42に揺動可能に接続されている。接続部材44には、先端側から基端側に延びる、言い換えればチャンネル4の軸線Cに平行に延びる貫通孔44aが形成されている。貫通孔44aは、チューブ本体40のチャンネル4に連通している。貫通孔44aの内径は、チャンネル4の内径に等しいかチャンネル4の内径より大きくなるように設定されている。
接続部材44の先端面には、前述の発光部51および受光部53が貫通孔44aを間に挟むように配置されている。
【0034】
一般的に、発光部51から測定対象物Wまでの距離は、発光部51と受光部53との間の距離に比べて十分大きくなっている。さらに本実施形態では、発光部51と受光部53との相対位置が変わらないように構成されているので、接続部材44の基端側を中心に接続部材44の先端側が揺動したときに、発光部51がレーザー光L1を照射する被照射領域W1から受光部53に向かう方向が受信方向Dとなる。
【0035】
図6に示すように、本実施形態では、長さ調節機構61〜64は、貫通孔44aの内面に貫通孔44aの軸線回りに等角度ごとに配置されている。すなわち、長さ調節機構61および長さ調節機構63、長さ調節機構62および長さ調節機構64は、互いに対向する位置に配置されている。
長さ調節機構61〜64の構成は同一であるので、ここでは、長さ調節機構61についてのみ説明する。
【0036】
図5に示すように、長さ調節機構61は、不図示のソレノイドを有する本体部61aと、本体部61aから貫通孔44aの中心部側に突没可能に移動する鉄芯(突出部)61bとを有している。ソレノイドに流す電流値を変化させることで、鉄芯61bが本体部61aから突出する長さを調節可能であるとともに、チャンネル4の先端から突出した挿入部2に対し鉄芯61bをチャンネル4の軸線Cに直交する方向に突出させて挿入部2の外周面に当接することができる。本実施形態では、内視鏡操作部8による操作を行っていない初期状態においては、接続部材44の先端面の法線はチャンネル4の軸線Cに平行になっている。
なお、後述するように、挿入部2の外周面と鉄芯61bの先端との挿入部2の長手方向の摩擦を低減させるために、鉄芯61bの先端部を半球状に形成したり、鉄芯61bの先端面に樹脂などをコーティングしたりすることが好ましい。
【0037】
長さ調節機構62、63、64は、本体部61aおよび鉄芯61bと同じ構成の本体部62aおよび鉄芯62b、本体部63aおよび鉄芯63b、本体部64aおよび鉄芯64bをそれぞれ有している(本体部62a、鉄芯62b、本体部64aおよび鉄芯64bは、不図示。)。
また、本実施形態では、長さ調節機構61の鉄芯61bおよび長さ調節機構63の鉄芯63bの突出量を調節することで、図7に示すLCD30に表示される被照射領域W1が方向Eに移動するように構成されている。
【0038】
これら長さ調節機構61〜64は、それぞれが突出長さ制御部65に電気的に接続されている。
突出長さ制御部65は、対向する位置に配置された長さ調節機構61および長さ調節機構63、長さ調節機構62および長さ調節機構64をそれぞれ組みにして、各本体部のソレノイドに所定の電流を流し、それぞれの鉄芯が本体部から突出する長さを調節する。
突出長さ制御部65は、不図示のメモリを有している。このメモリには、組となる長さ調節機構のそれぞれに流す電流値と、その電流値に対応して鉄芯の突出量が変化し、接続部材44の先端面の法線がチャンネル4の軸線Cに対して傾く角度の関係を表すテーブルなどが記憶されている。
【0039】
チューブ先端部42には、内部に所定の大きさの空間が形成され、前方に開口66aが形成されたカバー部材66が取付けられている。
カバー部材66に形成される空間の大きさは、カバー部材66が発光部51、受光部53、接続部材44および長さ調節機構61〜64を覆うとともに、後述するようにカバー部材66内で接続部材44が揺動したときに、接続部材44がカバー部材66の内面に接触しない大きさに設定されている。
【0040】
図3および図4に示すように、チューブ接続部41は、接続ケーシング70と、接続ケーシング70内に収容された通信制御部71および電力供給部72と、接続ケーシング70の表面に取付けられ内視鏡操作部8に着脱可能に構成された固定治具73と、通信制御部71および電力供給部72と電気的に接続された配線74とを備えている。
図3に示す電線58は、図4に示す保護部材75内を通して、基端が通信制御部71および電力供給部72に接続されている。
通信制御部71は、通信制御部46と同様に信号の重畳、分離処理を行う。
コネクタ32に配線74を接続することで、内視鏡3にガイドチューブ装置5が接続される。これにより、内視鏡3の内視鏡操作部8を操作することで、ガイドチューブ装置5を操作できるようになる。
【0041】
次に、以上のように構成された内視鏡システム1を管路内に挿入して測定対象物Wを観察するときの動作について説明する。
まず、使用者は、ガイドチューブ装置5のチャンネル4に内視鏡3の挿入部2を挿通させるとともに、固定治具73を内視鏡操作部8に装着することによりチューブ接続部41を挿入部2に取付ける。そして、コネクタ32に配線74を接続する。
この操作により、内視鏡本体9の電源部27はガイドチューブ装置5の電力供給部72に所定の電力を供給するとともに、ガイドチューブ装置5の通信制御部71と内視鏡3の処理部26との間で信号を送受信することができるようになる。
【0042】
続いて、使用者は、内視鏡操作部8を操作して、照明ユニット11から白色の照明光を照射して挿入部2の前方を照明するとともに、発光部51から赤色のレーザー光L1をガイド光として照射して距離測定部47で受信方向Dからの赤色の可視光線を検出し距離を測定しながら、不図示の管路内に、ガイドチューブ装置5を装着した挿入部2を挿入していく。
このとき、表示部10のLCD36には、観察ユニット12で検出された反射された赤色のレーザー光L1も含む可視光線による映像、および、発光部51からレーザー光L1が反射された位置までの距離が表示される。前述の距離は、所定の時間間隔ごとに測定値が更新される。
【0043】
必要に応じて、内視鏡操作部8の湾曲操作ボタン18を操作して内視鏡湾曲部14を湾曲させると、チューブ本体40は可撓性を有する材料で形成されているので、チューブ本体40のうち内視鏡湾曲部14の径方向外側に位置する部分も内視鏡湾曲部14に対応して湾曲し、内視鏡3の観察ユニット12の視野角θ1に対する発光部51および受光部53の向きが一定に保たれる。
使用者は、LCD30に表示される映像および距離を見て挿入部2の前方の状況を確認しながら、挿入部2およびガイドチューブ装置5を管路内に挿入していく。
【0044】
挿入部2の先端が測定対象物Wの近傍に達すると、図7に示すように、LCD30に測定対象物W、およびガイド光であるレーザー光L1が照射された被照射領域W1の映像、および発光部51から被照射領域W1までの距離Vが表示される。
【0045】
ここで、たとえば、測定対象物Wに対して挿入部2の先端面の相対位置を固定して観察視野を固定した状態で、距離を測定する位置を観察視野内の中央部の位置Pまで移動させる場合について説明する。
内視鏡操作部8を操作して、図7における被照射領域W1を移動させたい方向Eと、被照射領域W1を位置Pまで移動させるのに必要な接続部材44の先端面の傾き角度を入力すると、入力した情報は内視鏡操作部8で信号に変換されて通信制御部71、46を介して突出長さ制御部65に送られる。突出長さ制御部65は、受信した信号から傾き角度を認識し、メモリに記憶されたテーブルから傾き角度に対応する電流値を求め、長さ調節機構61、63のそれぞれに所定の値の電流を流す。
【0046】
これにより、図8および図9に示すように、長さ調節機構61の鉄芯61bの突出量が減少するとともに、長さ調節機構63の鉄芯63bの突出量が増加する。鉄芯61b、63bの先端は、挿入部2の外周面に当接しながらチャンネル4の軸線Cに平行に移動し、チャンネル4の軸線Cに対して接続部材44の先端面の法線M1は角度θ2傾き、被照射領域W1が位置Pに移動する。このように、内視鏡3の挿入部2による観察視野は固定した状態で、発光部51から観察視野の位置Pまでの距離が測定される。
【0047】
なお、図7において被照射領域W1を方向Eに直交する方向Fに移動させるときには、突出長さ制御部65は、組となる長さ調節機構62および長さ調節機構64の鉄芯62b、64bの突出量を調節する。
内視鏡3のレンズ12bに歪曲収差がある場合には、観察視野における中央部の距離を測定することで、LCD36により歪曲収差の少ない中央部の距離を確認しながらその近傍の映像を確認することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡システム1によれば、ガイドチューブ装置5のチャンネル4に内視鏡3の挿入部2を挿通させた状態で挿入部2にチューブ本体40を取付けたときに、チューブ本体40のチューブ先端部42は内視鏡湾曲部14より先端側に位置し、発光部51および受光部53はチューブ先端部42に接続されている。このため、内視鏡湾曲部14が湾曲するのに対応して、発光部51でレーザー光L1を照射する向きおよび受光部53で検出する向きを変化させることができる。
また、測定対象物Wに対する挿入部2の位置は固定したままで、向き調節部48により被照射領域W1から受光部53に向かう方向が受信方向Dとなるように、発光部51および受光部53のチューブ先端部42に対する向きを調節することで、距離を測定している被照射領域W1を内視鏡3の観察視野内で確認しながら、被照射領域W1を移動することができる。
したがって、観察視野を固定して観察を容易に行いながら、観察視野内の様々な位置での距離を測定することができる。
【0049】
向き調節部48は、接続部材44と、長さ調節機構61、63と、突出長さ制御部65とを有している。このため、突出長さ制御部65により対向する位置に配置された長さ調節機構61、63の一方の鉄芯の突出量を減少させるとともに他方の鉄芯の突出量を減少させることで、向き調節部48の先端面に配置された発光部51および受光部53をチューブ先端部42に対して傾けることができる。そして、被照射領域W1から受光部53に向かう方向が受信方向Dとなるように、発光部51および受光部53のチューブ先端部42に対する向きを調節することができる。
【0050】
ガイドチューブ装置5はカバー部材66を備えるので、発光部51または受光部53が管路の内面に接触するなどして、発光部51または受光部53の向きが意図することなく変化してしまうのを防止することができる。
また、発光部51および受光部53は、接続部材44の先端面に貫通孔44aを挟むように配置されている。このため、チャンネル4の軸線Cに平行に見たときに、接続部材44の中央部に貫通孔44aが形成されることになる。管路内において径方向のほぼ中央から挿入部2で観察することで、管路の全周にわたり観察しやすくすることができる。
【0051】
なお、本実施形態では、組となる一対の長さ調節機構の一方に代えて、接続部材44の貫通孔44aの内面に配置され、内視鏡3の挿入部2を径方向に付勢する弾性部材を備えるように構成してもよい。
このように構成しても、接続部材44の貫通孔44aの内面に互いに対向するように配置された長さ調節機構および弾性部材により、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10から図12を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10および図11に示すように、本実施形態の内視鏡システム80は、前記第1実施形態の内視鏡システム1のガイドチューブ装置5に代えてガイドチューブ装置81を備えている。ガイドチューブ装置81は、ガイドチューブ装置5の向き調節部48に代えて向き調節部82を有している。
【0053】
向き調節部82は、チャンネル4の軸線Cに直交する方向に延びる板状に形成された接続部材85と、チューブ先端部42および接続部材85にそれぞれ接続された二対の長さ調節機構91〜94と(長さ調節機構92、94は図示しない。)、長さ調節機構91〜94を制御する前述の突出長さ制御部65(図3参照)と、を有している。
また、チューブ先端部42には、内部に所定の大きさの空間が形成された保護部材86が取付けられている。
【0054】
接続部材85、長さ調節機構91〜94、および前述の発光部51、受光部53は、保護部材86に形成された空間に収容されている。
接続部材85には、板厚方向に貫通する貫通孔85aが形成されている。接続部材85は、貫通孔85aがチャンネル4の前方に位置するように配置され、貫通孔85aの内径はチャンネル4の内径より大きく設定されている。チャンネル4の先端から突出した挿入部2は、接続部材85の貫通孔85aに挿通されている。
接続部材85の先端側の面には、発光部51および受光部53が貫通孔85aを挟むように配置されている。
長さ調節機構91〜94は、接続部材85の基端側に、チャンネル4の軸線C周りに等角度ごとに配置されている。
長さ調節機構91〜94の構成は同一であるので、ここでは、長さ調節機構91についてのみ説明する。
【0055】
長さ調節機構91は、長さ調節機構61と同様に、不図示のソレノイドを有する本体部91aと、本体部91aから接続部材85側に突没可能に移動し先端が接続部材85の基端面に接続された鉄芯(突出部)91bとを有している。
本体部91aは、保護部材86を挟んでチューブ先端部42に接続されている。
ソレノイドに流す電流値を変化させることで、鉄芯91bが本体部91aから突出する長さを調節することができる。本実施形態では、内視鏡操作部8による操作を行っていない初期状態においては、接続部材85の先端面の法線はチャンネル4の軸線Cに平行になっている。
長さ調節機構92、93、94は、本体部91aおよび鉄芯91bと同じ構成の本体部92aおよび鉄芯92b、本体部93aおよび鉄芯93b、本体部94aおよび鉄芯94bをそれぞれ有している(本体部92a、鉄芯62b、本体部94aおよび鉄芯94bは、不図示。)。
接続部材85の基端側の面において、長さ調節機構91〜94の鉄芯91b〜94bの先端が接続される位置は互いに異なっていて、鉄芯91b〜94bの先端は、チャンネル4の軸線C周りに等角度ごとにずれた位置に接続されている。
【0056】
突出長さ制御部65が有する不図示のメモリには、組となる長さ調節機構のそれぞれに流す電流値と、その電流値に対応して鉄芯の突出量が変化し、接続部材85の先端側の面の法線がチャンネル4の軸線Cに対して傾く角度の関係を表すテーブルなどが記憶されている。
保護部材86における発光部51および受光部53の前方にあたる部分には、開口86a、86bが形成されている。開口86a、86bには、レーザー光L1および反射光が透過可能な透明部材87、88が取付けられている。
【0057】
以上のように構成された内視鏡システム80において、測定対象物Wに対して挿入部2の先端面の相対位置を固定して観察視野を固定した状態で、距離を測定する位置を移動させる手順について説明する。
内視鏡操作部8を操作して、図12に示すように、突出長さ制御部65により長さ調節機構91の鉄芯91bの突出量を増加させるとともに長さ調節機構93の鉄芯93bの突出量を減少させることで、接続部材85が移動してチャンネル4の軸線Cに対して接続部材85の先端面の法線M2が傾き、移動した後の被照射領域W1に対する距離が測定される。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡システム80によれば、内視鏡3の内視鏡湾曲部14が湾曲するのに対応して距離を測定する向きを変化させるとともに、内視鏡3による観察視野を固定した状態で観察視野内で測定位置である被照射領域W1を確認しながら測定対象物上の被照射領域W1を移動させることができる。
接続部材85の基端側の面において、長さ調節機構91〜94の鉄芯91b〜94bの先端が接続される位置は互いに異なっているので、鉄芯91b〜94bの突出量を相対的に変化させることで、チャンネル4の軸線Cに対して接続部材85の先端面の法線M2を傾けることができる。
さらに、長さ調節機構91〜94はチューブ先端部42および接続部材85にそれぞれ接続され、挿入部2は接続部材85の貫通孔85aに挿通されているので、前記第1実施形態の内視鏡システム1に比べて、内視鏡3の挿入部2に外力を与えることを抑えて長さ調節機構91〜94の鉄芯91b〜94bの突出量を変化させることができる。
【0059】
ガイドチューブ装置5は保護部材86を備えるので、発光部51または受光部53が管路の内面に接触するなどして、発光部51または受光部53の向きが意図することなく変化してしまうのを防止することができる。
【0060】
本実施形態では、長さ調節機構の本体部は、保護部材86を挟んでチューブ先端部42に接続されるように構成したが、本体部がチューブ先端部42に直接接続されるように構成してもよい。
【0061】
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態および第2実施形態では、発光部51が赤色のレーザー光L1を照射し、被照射領域W1と隣接領域W2との色彩を異ならせることで、使用者が被照射領域W1と隣接領域W2とを視認可能となるように構成した。しかし、発光部が所定の照度以上の白色の可視光線を照射して隣接領域W2より被照射領域W1の明るさを異ならせることで、使用者が被照射領域W1と隣接領域W2とを視認可能となるように構成してもよい。
このとき、たとえば、被照射領域W1および隣接領域W2を白色光で100lxの照度で照明したときに、被照射領域W1を照射する白色の可視光線の単独の照度を150lx以上とすることが好ましい。
【0062】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、受信部である受光部53が検出した被照射領域W1で反射された赤色の可視光線の検出結果に基づいて、測定部である距離測定部47が発光部51から被照射領域W1までの距離を測定するとした。しかし、たとえば、受信部が被照射領域W1からの赤外線(非可視光線)を検出し、その検出結果に基づいて測定部が被照射領域W1における温度を測定するように構成してもよいし、受信部が被照射領域W1からの音波を検出し、その検出結果に基づいて測定部が被照射領域W1における振動状態を測定するように構成してもよい。
なお、非可視光線は赤外線に限ることなく、紫外線でもよい。
また、たとえば特許第3920907号公報に記載されているように、測定部が、測定対象物の被照射領域に可視光線などのレーザー光を照射し、被照射領域で反射される音波を測定することで被照射領域に生じている傷を検出するように構成してもよい。
【0063】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、長さ調節機構がソレノイドおよび鉄芯を有するとした。しかし、長さ調節機構としては、突出部の突出量を調節できる機構であればこれに限定されず用いることができる。長さ調節機構の他の例としては、ボイスコイルモータと永久磁石を組み合わせたもの、圧電素子、静電力を利用したアクチュエータなどを挙げることができる。
【0064】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、発光部51が赤色のレーザー光L1を照射し、観察ユニット12が有するCCD12aが可視光線を検出するものとし、発光部51は、照射するレーザー光L1により被照射領域W1と隣接領域W2とが内視鏡3により視認可能となるように色彩を異ならせるとした。
しかし、発光部が赤外線を照射し、内視鏡3のCCDが赤外線を検出可能なものであり、発光部は、自身が照射する赤外線により被照射領域と隣接領域とが内視鏡により視認可能となるように赤外線の強度を異ならせるように構成してもよい。同様に、発光部が紫外線を照射し、CCDが紫外線を検出可能なものであり、発光部は、自身が照射する紫外線により被照射領域と隣接領域とが内視鏡により視認可能となるように紫外線の強度を異ならせるように構成してもよい。
前記第1実施形態および第2実施形態では、対向する位置に配置された二対の長さ調節機構61〜64を備えたが、長さ調節機構は少なくとも一対備えられていればよい。
【0065】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、管路の内径がガイドチューブ装置の外径に対して一定以上大きいときには、カバー部材66および保護部材86は備えられなくてもよい。
前記第1実施形態および第2実施形態では、距離測定部47としてTOF型の距離センサを用いた。しかし、これに限ることなく、三角測量方式や位相差検出方式などの距離センサを用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 内視鏡システム
2 挿入部
3 内視鏡
4 チャンネル
5 ガイドチューブ装置
14 内視鏡湾曲部(湾曲部)
40 チューブ本体
42 チューブ先端部
44、85 接続部材
44a、85a 貫通孔
47 距離測定部(測定部)
48、82 向き調節部
51 発光部
53 受光部(受信部)
61〜64、91〜94 長さ調節機構
61a〜64a、91a〜94a 本体部
61b〜64b、91b〜94b 鉄芯(突出部)
65 突出長さ制御部
75 保護部材
85a 貫通孔
D 受信方向
W 測定対象物
W1 被照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する材料で形成されるとともに可視光線を観察可能な内視鏡の挿入部を挿通するためのチャンネルが設けられ、基端側を前記挿入部に取付けたときに、前記挿入部に設けられた湾曲部より先端側に位置するチューブ先端部を有するチューブ本体と、
測定対象物の被照射領域に可視光線を照射し前記測定対象物において前記被照射領域に隣接する部分に対して前記被照射領域が反射する可視光線の明るさおよび色彩の少なくとも一つを前記内視鏡により視認可能に異ならせる発光部、および、所定の受信方向からの赤外線、可視光線および音波の少なくとも一つを検出する受信部を有し、前記被照射領域における前記発光部からの距離、温度、および振動状態の少なくとも一つを測定する測定部と、
前記被照射領域から前記受信部に向かう方向が前記受信方向となるように、前記発光部および前記受信部の前記チューブ先端部に対する向きを調節する向き調節部と、
を備え、
前記発光部および前記受信部は、前記チューブ先端部に接続されていることを特徴とするガイドチューブ装置。
【請求項2】
可撓性を有する材料で形成されるとともに非可視光線を観察可能な撮像素子を有する内視鏡の挿入部を挿通するためのチャンネルが設けられ、基端側を前記挿入部に取付けたときに、前記挿入部に設けられた湾曲部より先端側に位置するチューブ先端部を有するチューブ本体と、
測定対象物の被照射領域に非可視光線を照射し前記測定対象物において前記被照射領域に隣接する部分に対して前記被照射領域が非可視光線の強度を前記内視鏡により視認可能に異ならせる発光部、および、所定の受信方向からの非可視光線、可視光線および音波の少なくとも一つを検出する受信部を有し、前記被照射領域における前記発光部からの距離、温度、および振動状態の少なくとも一つを測定する測定部と、
前記被照射領域から前記受信部に向かう方向が前記受信方向となるように、前記発光部および前記受信部の前記チューブ先端部に対する向きを調節する向き調節部と、
を備え、
前記発光部および前記受信部は、前記チューブ先端部に接続されていることを特徴とするガイドチューブ装置。
【請求項3】
前記発光部が照射する照射方向は前方に設定され、
前記受信方向は前方から前記受信部に向かう方向に設定され、
前記向き調節部は、
前記チャンネルの軸線に交差する方向に延びる板状に形成され、板厚方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、先端側の面に前記発光部および前記受信部が配置された接続部材と、
前記チューブ先端部に接続された本体部、および前記本体部から前方に突出し先端が前記接続部材の基端側の面に接続され前記本体部から突出する長さを調節可能な突出部を有する一対の長さ調節機構と、
前記突出部が前記本体部から突出する長さを制御する突出長さ制御部と、
を有し、
前記接続部材の基端側の面における一対の前記長さ調節機構の前記突出部の先端が接続される位置は互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載のガイドチューブ装置。
【請求項4】
前記チューブ先端部に設けられ、内部に空間が形成されるとともに、前記空間に前記発光部、前記受信部、前記接続部材、および一対の前記長さ調節機構を収容する保護部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のガイドチューブ装置。
【請求項5】
前記発光部が照射する照射方向は前方に設定され、
前記受信方向は前方から前記受信部に向かう方向に設定され、
前記向き調節部は、
先端側から基端側に延びて形成され前記チャンネルに連通する貫通孔が設けられ、先端面に前記発光部および前記受信部が配置されるとともに、前記基端側が前記チューブ先端部に揺動可能に接続された接続部材と、
前記接続部材の前記先端側において前記貫通孔の内面に配置された本体部、および前記チャンネルの先端から突出した前記挿入部に対し前記チャンネルの軸線に交差する方向に前記本体部から突出して当接し、前記本体部から突出する長さを調節可能な突出部を有する一対の長さ調節機構と、
一対の前記長さ調節機構において、前記突出部が前記本体部から突出する長さを制御する突出長さ制御部と、
を有し、
一対の前記長さ調節機構は前記貫通孔の内面における対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガイドチューブ装置。
【請求項6】
前記チューブ先端部に設けられ、前記発光部、前記受信部、前記接続部材および前記長さ調節機構を覆うとともに、前記発光部および前記受信部の前方に開口が形成されたカバー部材を備えることを特徴とする請求項5に記載のガイドチューブ装置。
【請求項7】
前記発光部および前記受信部は、前記接続部材の先端面に前記貫通孔を挟むように配置されていることを特徴とする請求項3または5に記載のガイドチューブ装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のガイドチューブ装置と、
前記内視鏡と、
を備えること特徴とする内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−78709(P2012−78709A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225790(P2010−225790)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】