説明

コンバイン

【課題】収穫作業の開始時には刈取クラッチの入り操作を確実に行い、必要に応じて脱穀クラッチのみの入り操作も可能なコンバインを構成する。
【解決手段】作業クラッチレバー45が、切り位置OFFと、脱穀作業位置Mと、収穫作業位置ONとに操作自在に構成され、この操作を検出する脱穀位置センサ64と収穫位置センサ65とを備えている。これらのセンサの検出結果から脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを制御するクラッチ制御手段87を備えている。クラッチ制御手段87は、作業クラッチレバー45を切り位置OFFから収穫作業位置ONに操作する際に、脱穀作業位置Mを通過する際に脱穀クラッチCeを入り状態に設定せず、収穫作業位置ONにおいて脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを入り状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取前処理部への駆動力を断続する刈取クラッチと、脱穀処理部への駆動力を断続する脱穀クラッチと、人為的に操作される操作具を備えているコンバインに関し、詳しくは、単一の操作具で刈取クラッチと脱穀クラッチとを断続する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成されたコンバインとして特許文献1には、単一のクラッチ操作レバーの前後方向への操作で脱穀クラッチの入り切り操作を行い、この脱穀クラッチの入り位置においてクラッチ操作レバーの左右方向への操作で刈取クラッチの入り切りを行う構成が記載されている。この特許文献1では、クラッチ操作レバーの前後方向への人為操作力により脱穀クラッチの入り切り操作を行い、クラッチ操作レバーの左右方向への操作をスイッチで検出しアクチュエータの駆動力により刈取クラッチの入り切りが行われる。
【0003】
同様のコンバインとして特許文献2には、単一の脱穀・刈取クラッチレバーを備え、このレバーは前後方向への操作で、脱穀クラッチと刈取クラッチとを切りとする第一操作位置と、脱穀クラッチのみ入りとする第二操作位置と、脱穀クラッチと刈取クラッチとを入りとする第三操作位置とに操作できるように構成されている。また、脱穀・刈取クラッチレバーの操作ガイドが、第一操作位置から第二操作位置の操作領域と、第二操作位置から第三操作位置とをオフセットさせて形成されている。
【0004】
この特許文献2では、2つのレバー位置検出スイッチを備え、このレバー位置検出スイッチの検出に基づいてモータを作動させて脱穀クラッチと刈取クラッチとの入り切り操作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002‐171822号公報
【特許文献2】特開2005‐117953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
刈取前処理部と脱穀部とを備えたコンバインで、例えば、稲の収穫作業を行う際には、車体を圃場に導入し、脱穀処理部を作動させ、刈取前処理部を作動させた状態で車体の走行を開始する。また、自脱型のコンバインでは、収穫作業を開始する際には、刈取前処理部のデバイダの先端を圃場の植立穀稈の間に導くように、車体の操向制御を行い、刈取高さを適正にするように刈取前処理部の高さを調節している。
【0007】
このように開始時には、車体の操向制御や刈取前処理部の高さ調節等の操作のために作業者が注意を払うことから、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されるもののように単一のレバーの操作で脱穀クラッチと刈取クラッチとの断続を独立して行うものでは、脱穀クラッチのみを入り操作した状態で収穫作業を開始してしまうこともある。
【0008】
このような誤操作は、収穫作業の開始時には前述したように複数の操作に注意を払う必要があることから、脱穀クラッチを入り操作した時点で脱穀処理部が作動を行い、その作動音や作動に伴う振動が作業者に伝わることから、刈取クラッチも入り操作していると誤認識することが原因として考えられる。
【0009】
そこで、単一の操作レバーによって脱穀クラッチと刈取クラッチとを同時に入り切りするよう構成することも考えられるが、例えば、停車状態で脱穀クラッチのみ入り状態にして脱穀処理部に穀稈を人為的に供給する、所謂、枕扱き作業を行う観点や、収穫作業時に車体が枕地に達して刈取前処理部を上昇させて旋回する際に、刈取前処理部に接触した植立穀稈を意志に反して刈り取らない観点から脱穀クラッチのみを入り状態にする形態も必要とする。
【0010】
本発明の目的は、収穫作業の開始時には刈取クラッチの入り操作を確実に行い、必要に応じて脱穀クラッチのみの入り操作も可能なコンバインを合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、刈取前処理部への駆動力を断続する刈取クラッチと、脱穀処理部への駆動力を断続する脱穀クラッチと、人為的に操作される操作具を備えているコンバインであって、
前記操作具を、前記刈取クラッチと脱穀クラッチとが切り状態にあるホーム状態からの初期操作により前記刈取クラッチと脱穀クラッチとを入り状態にする収穫作業モードを現出し、この後の継続操作により、前記脱穀クラッチの入り状態を維持したまま前記刈取クラッチを切り状態にする脱穀作業モードを現出するクラッチ制御手段を備えている点にある。
【0012】
この構成によると、収穫作業を行う際には操作具をホーム状態から初期操作を行うことにより脱穀クラッチと刈取クラッチとが入り状態になる収穫作業モードとなり収穫作業が可能となる。この後の継続操作により脱穀クラッチの入り状態を維持したままで刈取クラッチを切り状態にする脱穀作業モードが現出し、この脱穀作業モードでは、例えば、車体の旋回時に作業者の意図に反して植立穀稈を刈り取る不都合も阻止できる。その結果、収穫作業の開始時には誤操作を排除して刈取クラッチの入り操作を確実に行い、必要に応じて脱穀クラッチのみの入り操作も可能なコンバインが構成された。
【0013】
本発明は、前記操作具が、前記ホーム状態に対応する切り位置から前記収穫作業モードを現出する収穫作業位置に亘る操作領域で操作自在に構成され、この操作領域の中間位置に前記脱穀作業モードを現出する脱穀作業位置が配置され、前記操作具の操作位置を検出する操作位置センサを備えており、
前記クラッチ制御手段は、前記操作位置センサの検出結果に基づいて、前記切り位置から前記収穫作業位置への操作時に前記脱穀作業位置を通過する際に前記脱穀クラッチを入り状態に設定せず、前記収穫作業位置に達した際に前記刈取クラッチと脱穀クラッチとを入り状態に設定し、この後、前記操作具が前記脱穀作業位置に操作された際に前記脱穀クラッチのみを入り状態に設定しても良い。
【0014】
これによると、操作具が切り位置から収穫作業位置に操作された場合には、操作位置センサの検出に基づいてクラッチ制御手段が、脱穀クラッチと刈取クラッチを入り状態に設定し、操作具が切り位置から収穫作業位置に操作される操作領域の中間位置を通過する際にも脱穀クラッチが入り状態に設定されることはない。また、操作具が収穫作業位置から脱穀作業位置に戻し操作された場合には、操作位置センサの検出に基づいてクラッチ制御手段が、刈取クラッチを切り状態に設定するとともに脱穀クラッチを入り状態に設定(維持)する。
つまり、単一の操作具を切り位置から脱穀作業位置に操作しても脱穀クラッチだけが入り状態に達することはなく、この入り位置から収穫作業位置に操作した場合に脱穀クラッチと刈取クラッチとが共に入り状態に達する。そして、この後に、収穫作業位置から脱穀作業位置に戻すことで脱穀クラッチを入り状態を維持しながら刈取クラッチを切り状態に設定できる。
【0015】
本発明は、前記刈取クラッチと前記脱穀クラッチとを制御するアクチュエータを備え、前記クラッチ制御手段は、操作位置センサからの検出信号に基づいて前記アクチュエータの作動を行っても良い。
【0016】
これによると、操作位置センサの検出結果に基づいてアクチュエータを作動させて脱穀クラッチと刈取クラッチとの断続を容易に行える。
【0017】
本発明は、前記脱穀処理部に供給される穀稈の穂先位置に基づいて、この脱穀処理部に供給される穀稈の扱深さを自動設定する扱深さ調節を行う扱深さ作動部が備えられ、前記操作具の操作により前記収穫作業モードが開始された際に前記扱深さ作動部による扱深さ調節を開始しても良い。
【0018】
これによると、収穫作業時には扱深さ作動部を作動させる扱深さ制御が自動的に開始されるので、作業者が人為的にスイッチ類を操作することなく、最適な扱深さで穀稈を脱穀処理部に供給して効率的な脱穀作業を実現する。
【0019】
本発明は、前記刈取前処理部と脱穀処理部に動力を伝えるエンジンと、このエンジンの回転速度を制御するエンジン制御部とを備え、このエンジン制御部は、前記操作具の操作により前記収穫作業モードが開始された際に前記エンジンを定格回転速度に設定しても良い。
【0020】
これによると、収穫作業モードではエンジンが定格回転速度で駆動されるので、作業者が人為的にスイッチ類を操作することなく、収穫作業に必要な駆動力を刈取前処理部と脱穀処理部とに供給して無理のない駆動力で作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの伝動構造を模式的に示す図である。
【図4】運転部の平面図である。
【図5】操向レバーの側面と正面とを示す図である。
【図6】作業クラッチレバーの操作領域を示す平面図である。
【図7】フロント操作パネルとサイド操作パネルとの平面図である。
【図8】作業クラッチレバーの操作位置と検出形態を示す側面図である。
【図9】脱穀クラッチと刈取クラッチとの操作構造を模式的に示す図である。
【図10】穂先センサの配置を示す正面図である。
【図11】制御系の構成を示すブロック回路図である。
【図12】制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】別実施の形態(a)の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】別実施の形態(b)の作業クラッチレバーの操作領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1〜図3に示すように、左右一対のクローラ走行装置1で走行する走行車体Aの前部位置にキャビンBaを有した運転部Bと、刈取前処理部Dとを並列状態で配置すると共に、走行車体Aに刈取前処理部Dからの穀稈が供給される脱穀処理部Eと、穀粒を貯留するグレンタンクFとを備えてコンバインが構成されている。
【0023】
キャビンBaの内部の運転座席2の下方位置にエンジン3が配置され、走行車体Aの前部の中央位置にはエンジン3からの駆動力を左右のクローラ走行装置1に伝えるミッションケース4が備えられている。
【0024】
ミッションケース4の上部には、走行方向の前後進の切り換えと走行速度の無段階の変速とを行う静油圧式の無段変速装置5が備えられている。ミッションケース4は、無段変速装置5から伝えられる走行速度を高低2段に切り換える副変速装置(図示せず)と、左右のクローラ走行装置1の駆動スプロケット1Sに伝えられる駆動力を断続する油圧作動型で操向クラッチ4Cとを内装している。
【0025】
エンジン3の第1出力プーリ3aと無段変速装置5の入力プーリ5aとに亘って無端ベルト6を巻回して動力伝動系が形成されている。
【0026】
刈取前処理部Dは、植立穀稈を分草するデバイダ11と、植立穀稈を多数の引起し爪で引き起こす複数の引起し装置12と、穀稈の株元を切断する刈取装置13と、刈り取られた穀稈を搬送する穀稈搬送装置14と、支持フレーム15とを備えている。この支持フレーム15は円筒状の部材で成り、前端側が斜め下方に向かう姿勢で配置され、その基端部が横向軸芯P周りで揺動自在に走行車体Aに支持されている。この支持フレーム15は昇降シリンダ16の駆動力で横向き軸芯P周りで揺動し、この揺動により刈取前処理部Dの昇降が実現する。
【0027】
支持フレーム15は内部に備えた駆動軸(図示せず)からの駆動力を刈取前処理部Dの引起し装置12と、刈取装置13と、穀稈搬送装置14とに対して伝える伝動ケースとして機能する。この支持フレーム15の基端部で横向軸芯Pと同軸芯上に、支持フレーム内部の駆動軸に駆動力を伝える刈取入力プーリ21を備え、この刈取入力プーリ21とミッションケース4の刈取出力プーリ22とに亘って無端ベルト23を巻回し、無端ベルト23に張力を作用させるテンションプーリ24を備えてベルトテンション式となる刈取クラッチCdが構成されている。
【0028】
脱穀処理部Eは、刈取前処理部Dから供給される穀稈を挟持搬送するフィードチェーン31と、フィードチェーン31で挟持搬送される穀稈の穂先部に扱き作用を与える扱胴32と、選別風を供給する唐箕33とを備えると共に、扱胴32の扱き作用によって穂先から分離した処理物を受網(図示せず)から漏下させ、唐箕33からの選別風と揺動選別部(図示せず)による比重選別により処理物から穀粒を選別回収する処理を行い、このように選別回収された穀粒をグレンタンクFに送り出す。
【0029】
エンジン3に一対の第2出力プーリ3bを備え、扱胴32に駆動力を伝える扱胴入力プーリ32bを備え、唐箕33に駆動力を伝える唐箕入力プーリ33bを備え、一方の第2出力プーリ3bと扱胴入力プーリ32bとに亘って無端ベルト26を巻回し、他方の第2出力プーリ3bと唐箕入力プーリ33bとに亘って無端ベルト26を巻回し、この一対の無端ベルト26に張力を作用させる一対のテンションプーリ27を備えてベルトテンション式の脱穀クラッチCeが構成されている。尚、脱穀クラッチCeは一対のテンションプーリ27と同時に操作することになる。
【0030】
グレンタンクFは、脱穀処理部Eからの穀粒を貯留する貯留部として機能するものであり、穀粒を搬出するアンローダ34を備えている。このアンローダ34は排出端の上下位置の調節と、縦軸芯周りでの旋回が可能な構造を有しており、穀粒の排出位置を任意に設定できるように構成されている。図面には示していないが、このコンバインでは、グレンタンクFの底部に備えた排出用のスクリューと、アンローダ34とに対してエンジン3の駆動力を伝える伝動系を備えている。
【0031】
〔運転部〕
前述したキャビンBaは、上部にルーフ36を備え、前部や側部にガラス37等を備えることで作業者の運転空間を形成し、この運転空間に前述した運転座席2が備えられている。図4に示すように、運転座席2の前部位置には、操向レバー41と、メータユニット42と、フロント操作パネルFPとが備えられ、運転座席2の左側部位置には主変速レバー43と、副変速レバー44と、作業クラッチレバー45と、サイド操作パネルSPとが配置されている。
【0032】
操向レバー41は、走行車体Aの操向制御と刈取前処理部Dの昇降制御とを実現する。つまり、この操向レバー41は非操作状態で図5に示す中立位置Nに保持され、この中立位置Nに保持されることで左右の操向クラッチ4Cを入り状態(伝動状態)に維持し、左右のクローラ走行装置1を等速駆動して走行車体Aを直進させる。また、操向レバー41を左右方向に揺動操作することにより揺動操作方向に対応した操向クラッチ4Cを切り操作(伝動を遮断する操作)して揺動操作方向へ走行車体Aを旋回(操向)させる。
【0033】
この操向レバー41を前方に揺動操作することにより、昇降シリンダ16を制御して揺動量(揺動角)に対応した速度で刈取前処理部Dを下降させ、操作を解除して中立位置Nに戻すことで刈取前処理部Dの下降が停止する。また、操向レバー41を後方に揺動操作することにより、昇降シリンダ16を制御して揺動量(揺動角)に対応した速度で刈取前処理部Dを上昇させ、操作を解除して中立位置Nに戻すことで刈取前処理部Dの上昇が停止する。
【0034】
更に、この操向レバー41のグリップ部には、走行車体Aのローリング制御を行う複数の操作スイッチ41aが備えられると共に、ボタン式の上昇スイッチ41Uと下降スイッチ41Dとが備えられている。上昇スイッチ41Uは押し操作することで、押し操作を継続しなくとも設定高さまで刈取前処理部Dを上昇させ、この上昇状態において下降スイッチ41Dを操作することで、押し操作を継続しなくとも、設定高さまで刈取前処理部Dを下降させる制御を実現する。尚、走行車体Aのローリング制御は左右のクローラ走行装置1の接地側を独立して上下作動させることによって実現するものあるが、公知の技術であるため構成や作動形態の説明は省略する。
【0035】
メータユニット42は、エンジン回転速度、副変速位置、燃料残量等が表示される。フロント操作パネルFPには、図7(a)に示すようにエンジン3の回転速度を設定するアクセル設定ダイヤル47と、車体のローリング制御の制御条件等を設定する複数のボタンやランプを有したローリング設定部48と、収穫作業時における走行車体Aの刈取条件を設定する複数のボタンを有した刈取条件設定部49とが備えられている。
【0036】
主変速レバー43は、前述した無段変速装置5を制御することにより走行車体Aの前進と後進との切換と、速度の設定を行う。副変速レバー44は、ミッションケース4の副変速装置を高低2段に変速する。
【0037】
作業クラッチレバー45は、脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを断続する操作具として機能するものであり、図6に示すようにホーム位置に対応する切り位置OFFから、収穫作業モードを実現する収穫作業位置ONに亘る直線的な操作領域において操作自在に構成され、この操作領域の中間位置に脱穀作業モードを実現する脱穀作業位置Mが配置されている。この作業クラッチレバー45の操作による脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとの制御形態は後述する。
【0038】
サイド操作パネルSPには、図7(b)に示すように走行車体Aの側部に出退自在に備えた分草杆(図示せず)の姿勢を決める一対の分草杆操作スイッチ51と、刈取前処理部Dの対地高さを設定するダイヤルやボタン類を有する刈高さ設定部52と、脱穀処理部Eの扱胴32に対する穀稈の挿入量を適正に維持する扱深さ制御を実現する扱深さスイッチ53と、前述した上昇スイッチ41U及び下降スイッチ41Dの操作による刈取前処理部Dの上昇時及び下降時において刈取クラッチCdの切り操作及び刈取クラッチCdの入り操作を実現するオートクラッチスイッチ54と、走行車体Aの走行速度を設定する車速設定ダイヤルやボタン類を備えた車速設定部55と、脱穀処理部Eにおいて揺動選別部の選別性能を設定するダイヤル及び唐箕33の風量を設定するダイヤル等を有した選別性能設定部56とを備えている。
【0039】
〔作業クラッチレバー・クラッチ制御機構〕
作業クラッチレバー45は、切り位置OFFにおいて脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを切り状態に維持し、収穫作業位置ONに操作されることで脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを入り状態に設定し、脱穀作業位置Mでは脱穀クラッチCeを入り状態に設定する。
【0040】
特に、この作業クラッチレバー45は、切り位置OFFから収穫作業位置ONに操作する際に脱穀作業位置Mに達しても脱穀クラッチCeの入り操作を行わずに、収穫作業位置ONまで操作されることで脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとが入り状態に設定され、この後に、脱穀作業位置Mに操作された場合に脱穀クラッチCeを入り状態に維持した状態で刈取クラッチCdのみを切り状態に設定する。
【0041】
また、このコンバインでは作業クラッチレバー45を、切り位置OFFから収穫作業位置ONに操作した場合には、エンジン3を定格回転速度まで上昇させると共に、扱深さ制御を開始する。
【0042】
図6及び図8に示すように、作業クラッチレバー45は、レバーガイド61の操作領域において直線的な操作を実現するように支軸62周りで揺動自在に支持されると共に、この作業クラッチレバー45と一体的に作動するカム体63が形成されている。このカム体63のカム面63Sに接触することで作業クラッチレバー45が脱穀作業位置Mにあることを検出する脱穀位置センサ64と、収穫作業位置ONにあることを検出する収穫位置センサ65とを操作位置センサとして備えている。
【0043】
図面には示していないが、作業クラッチレバー45は、切り位置OFFと、収穫作業位置ONと、脱穀作業位置Mとの何れの操作位置にも保持されるように摩擦式やボールデテント式等の操作位置保持機構からの保持力が作用する。
【0044】
尚、作業クラッチレバー45を切り位置OFFから操作した場合に、脱穀作業位置Mを含む領域に作業クラッチレバー45が操作された場合に脱穀位置センサ64が検出状態に達し、この検出状態は作業クラッチレバー45が収穫作業位置ONまで操作されても継続する。収穫位置センサ65は、作業クラッチレバー45が収穫作業位置ONを含む領域に達すると検出状態に達する。つまり、この検出系では、作業クラッチレバー45を脱穀作業位置Mを含む領域と、収穫作業位置ONを含む領域と、これらに含まれない領域(切り位置OFF)として検出される。
【0045】
操作位置センサとして機能する脱穀位置センサ64と収穫位置センサ65とはリミットスイッチで構成されるものであるが、例えば、操作位置センサとして近接センサや、フォトインタラプト型の非接触センサを用いることが可能であり、また、操作位置センサとしてポテンショメータを用い、作業クラッチレバー45の揺動角度を計測するように構成しても良い。特に、ポテンショメータを用いた場合には、作業クラッチレバー45の操作位置の検出精度を向上させる。
【0046】
クラッチ制御機構として、図9に示すように、フレーム66に回転自在に支承した支軸67と一体回転するようにセクタギヤ68と第1カムプレート69と第2カムプレート70とを備え、セクタギヤ68に噛合するピニオンギヤ71を駆動するように電動モータで成るクラッチモータ72(アクチュエータの一例)をフレーム66に備えている。更に、支軸67の回転量を検出するためにポテンショメータで成る回転角センサ67Sを備えている。
【0047】
このクラッチ制御機構は、フレーム66に支持した軸体73に第1アーム74と第2アーム75とを揺動自在に支持している。第1アーム74の一端側には第1カムプレート69のカム面に接触自在な第1ローラ74Rを回転自在に支承し、第2アーム75の一端側には第2カムプレート70のカム面に接触自在な第2ローラ75Rを回転自在に支承している。また、第1アーム74の他端側に脱穀クラッチCeを操作する第1操作ワイヤ76のインナ部76aを連結し、第2アーム75の他端側に刈取クラッチCdを操作する第2操作ワイヤ77のインナ部77aを連結している。
【0048】
前述した脱穀クラッチCeのテンションプーリ27はテンションアーム27Aに支承され、このテンションアーム27Aは軸27S周りで揺動自在に支持され、このテンションアーム27Aに対して第1操作ワイヤ76のインナ部76aが連結している。これと同様に、刈取クラッチCdのテンションプーリ24はテンションアーム24Aに支承され、このテンションアーム24Aは軸24S周りで揺動自在に支持され、このテンションアーム24Aに対して第2操作ワイヤ77のインナ部77aが連結している。
【0049】
〔扱深さ制御機構〕
図3に示すように、前述した穀稈搬送装置14は、刈り取り直後の穀稈をフィードチェーン31に受け渡すように穀稈の株元を無端チェーンと挟持レールとで挟持搬送する株元搬送部14Aと、穀稈の穂先側を多数の係止爪によって係止搬送する穂先搬送部14Bとを備えており、株元搬送部14Aの搬送終端側には、株元をフィードチェーン31に受け渡す供給搬送部14AF(扱深さ作動部の一例)を備えている。
【0050】
この供給搬送部14AFは、軸芯Q周りで揺動自在に穀稈搬送装置14に支持され、この供給搬送部14AFの軸芯Q周りでの揺動により、この供給搬送部14AFからフィードチェーン31に受け渡す穀稈の稈身方向の位置を変更して扱深さ調節を行う扱深さ調節を実現する。
【0051】
この扱深さ制御機構は、供給搬送部14AFの軸芯Q周りでの揺動を行うように電動モータを有した扱深さ調整ユニット17を備えると共に、図10に示すように穀稈搬送装置14の搬送終端部に2つの穂先センサ19を備えている。穂先センサ19は穀稈の穂先部分に接触して揺動自在はセンサバー19aと、このセンサバー19aの揺動を検出するセンサ本体19bとを備えている。そして、制御時には、2つの穂先センサ19のセンサバー19aの中間位置に穀稈の穂先位置が存在するように供給搬送部14AFの揺動制御が行われる。
【0052】
〔制御構成〕
このコンバインでは、前述したように作業クラッチレバー45による脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとの制御を行うと共に、作業クラッチレバー45が切り位置OFFから収穫作業位置ONに操作された場合には、これと同時に、エンジン3を定格回転速度まで上昇させ、扱深さ制御を開始する。このような制御を実現するために図11に示す制御構成を備えている。
【0053】
このコンバインではマイクロプロセッサを有した制御装置81を有しており、この制御装置81に対し、操向レバー41の前後方向及び左右方向の揺動操作量を検出する操作検出ユニット41Sからの信号と、上昇スイッチ41Uからの信号と、下降スイッチ41Dとからの信号と、回転速度設定具として機能するアクセル設定ダイヤル47の設定位置を検出するポテンショメータ型のアクセル設定器47Sからの信号と、扱深さスイッチ53からの信号と、作業クラッチレバー45の操作位置を検出する脱穀位置センサ64及び収穫位置センサ65からの信号と、2つの穂先センサ19からの信号とが入力する入力信号系が形成されている。
【0054】
更に、この制御装置81は、昇降シリンダ16に対する作動油の給排を行う電磁制御型の昇降制御弁82と、左右の操向クラッチ4Cを制御する電磁制御型の操向制御弁83と、クラッチモータ72と、エンジン3の回転速度を制御するエンジン回転制御ユニット84(エンジン制御部の一例)と、扱深さ調整ユニット17とに制御信号を出力する出力信号系が形成されている。
【0055】
制御装置81には、刈取前処理部Dの昇降制御を実現する昇降制御手段85と、操向クラッチ4Cの制御を実現する操向制御手段86と、脱穀クラッチCe及び刈取クラッチCdの制御を実現するクラッチ制御手段87と、エンジン3の回転速度の制御を実現するエンジン回転制御手段88と、扱深さ制御を実現する扱深さ制御手段89とを備えている。
【0056】
昇降制御手段85と、操向制御手段86と、クラッチ制御手段87と、エンジン回転制御手段88と、扱深さ制御手段89とはソフトウエアで構成されるものを想定しているが、これに代えて、例えば、これらをロジック等の論理回路で構成することや、論理回路とソフトウエアとの組み合わせで構成するものでも良い。
【0057】
〔制御ルーチン〕
作業クラッチレバー45が作業者によって操作された際の制御の概要を図12のフローチャートに示している。この制御では制御の起動時(例えば、エンジン3の始動時)には作業クラッチレバー45が切り位置OFFにあることを想定しており、この状態でフラグは「0」にセットされる。
【0058】
作業クラッチレバー45が切り位置OFFにある場合には、脱穀位置センサ64も収穫位置センサ65も非検出状態にある。このように脱穀位置センサ64と収穫位置センサ65との検出結果から作業クラッチレバー45が切り位置OFFにあることが判定された場合には、脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとが切り状態に維持される(#101〜#103ステップ)。
【0059】
次に、作業者によって作業クラッチレバー45が切り位置OFFから収穫作業位置ONまで操作された場合には、作業クラッチレバー45が操作領域の中間において脱穀作業位置Mに達したことを脱穀位置センサ64で検出するが、この検出のタイミングでは制御を行わない。そして、脱穀位置センサ64と収穫位置センサ65とが検出状態に達し、作業クラッチレバー45が収穫作業位置ONに達したことが判別されると、クラッチ制御手段87がクラッチモータ72を正転作動させて脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを入り状態に設定し、エンジン回転制御手段88がエンジン回転を定格回転速度に設定し、扱深さ制御手段89が扱深さを実行し、フラグを「1」にセットする(#104、#105ステップ)。
【0060】
フローチャートには示していないが、クラッチ制御手段87がクラッチモータ72を正転作動させる際には、この正転作動に先立ってアラームを作動させ、警報音やランプの点滅により、脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとが入り状態に切り替わることを作業者に認識させ、この後(数秒後)にクラッチモータ72を作動させる制御も行われる。
【0061】
クラッチモータ72が作動する際には前述した回転角センサ67Sの検出結果をフィードバックすることで第1カムプレート69と、第2カムプレート70との回転量が制御装置81で把握される。そして、クラッチモータ72の作動により第1カムプレート69が第1アーム74の第1ローラ74Rに接触することで第1操作ワイヤ76を介して脱穀クラッチCeを先に入り状態に設定する。この後、第2カムプレート70が第2アーム75の第2ローラ75Rに接触することで第2操作ワイヤ77を介して刈取クラッチCdを入り状態に設定する作動順序で作動が行われる。
【0062】
このように作業クラッチレバー45が収穫作業位置ONに操作された場合には、エンジン回転制御手段88が、アクセル設定ダイヤル47の設定位置に拘わらず、エンジン回転制御ユニット84を制御してエンジン回転速度を定格回転速度に設定する。これと連係して、扱深さ制御手段89が扱き深さ調整ユニット17を制御して扱深さ制御を実行するのである。
【0063】
このように、脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを入り状態に設定し、エンジン回転を定格回転速度に設定し、扱深さを実行することにより、作業者は操作の手間を掛けることなくこれらの制御を行える。また、エンジン3を定格回転速度に設定することにより、アクセル設定ダイヤル47が低回転速度に設定されている場合でも、駆動力不足に陥ることなく収穫作業を開始できるものにしており、人為的にアクセル設定ダイヤル47を操作する手間も軽減している。
【0064】
この状態で、アクセル設定ダイヤル47が作業者によって僅かでも操作されたことがアクセル設定器47Sからの信号から判別されると、エンジン回転制御手段88が、エンジン回転を、アクセル設定ダイヤル47の設定値に対応した回転速度に設定する制御が行われる(#106ステップ)。
【0065】
つまり、定格回転速度は、作業に必要な充分な駆動力を得るための回転速度に設定されている。これに対して、収穫作業ではエンジン3を必ずしも定格回転速度で稼動させる必要はなく、例えば、稲の作柄によっては、定格回転速度より少し低い回転速度でエンジン3を稼動させたいこともあり、このように設定される回転速度は圃場について略決まった値となることから、アクセル設定ダイヤル47を予め設定しておくことで、設定された回転速度でエンジン3を稼動させることを可能にしている。
【0066】
このフローチャートには示していないが、前述したように扱深さ制御が実行されている状態で、扱深さスイッチ53が人為的に操作されることにより、扱深さ制御を停止させることも可能である。
【0067】
この後には、作業クラッチレバー45が脱穀作業位置Mに操作されたことを脱穀位置センサ64と収穫位置センサ65との検出によって判定した場合には、クラッチ制御手段87がクラッチモータ72を逆転作動させて脱穀クラッチCeの入り状態を維持したまま刈取クラッチCdを切り状態に設定する(#107、#108ステップ)。
【0068】
また、作業クラッチレバー45が脱穀作業位置Mから収穫作業位置ONに操作されことを脱穀位置センサ64と収穫位置センサ65とからの信号で判別すると、クラッチ制御手段87がクラッチモータ72を正転作動させて脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを入り状態に設定する(#109、#110ステップ)。
【0069】
このように、クラッチモータ72が作動する際にも回転角センサ67Sの検出結果をフィードバックすることで第1カムプレート69と、第2カムプレート70との回転量が制御装置81で把握される。
【0070】
更に、この状態において、アクセル設定ダイヤル47が作業者によって僅かでも操作されたことがアクセル設定器47Sからの信号から判別されると、前述した通り、エンジン回転制御手段88が、エンジン回転を、アクセル設定ダイヤル47の設定値に対応したエンジン回転速度に設定する制御が行われる(#111ステップ)。
【0071】
また、アクセル設定ダイヤル47が作業者によって操作されない場合には、#106ステップと#109ステップとにおいて示した制御は行われず、作業クラッチレバー45が脱穀作業位置Mに操作された場合にも、エンジン3は定格回転速度で稼動し続け、この後に、作業クラッチレバー45が脱穀作業位置Mから収穫作業位置ONに操作されてもエンジン3は定格回転速度で稼動する。
【0072】
この後に、作業クラッチレバー45が切り位置OFFに操作されない場合には、作業クラッチレバー45の収穫作業位置ONと脱穀作業位置Mとの間で操作に対応したクラッチ制御を実現する。また、作業クラッチレバー45が切り位置OFFに操作されたことを脱穀位置センサ64と収穫位置センサ65とから判別した場合には、クラッチ制御手段87がクラッチモータ72を逆転作動させて脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを切り状態に設定し、フラグを「0」に設定する(#112、#113ステップ)。
【0073】
尚、フラグが「1」にセットされている場合には、前述した#107ステップからの制御が行われ、フラグが「0」にセットされた後には、前述した#102ステップからの制御が行われる。
【0074】
フローチャートには示していないが、制御装置81では、以下の制御も実現する。エンジン3が稼動している状態で操向レバー41が作業者によって前後方向に揺動操作された場合には、この揺動操作が操作検出ユニット41Sによって検出される。この検出に対応して昇降制御手段85が昇降制御弁82を制御することにより揺動量(揺動角)に対応した速度で刈取前処理部Dを下降又は上昇させるように昇降シリンダ16を作動させ、操向レバー41が中立位置Nに戻された場合には刈取前処理部Dの下降又は上昇を停止させる。
【0075】
また、操向レバー41が作業者によって左右方向に操作された場合には、この操作が操作検出ユニット41Sによって検出される。この検出に対応して操向制御手段86が操向制御弁83を制御することで対応する操向クラッチ4Cが切り操作され、走行車体Aが状態にあれば揺動操作方向へ車体を旋回(操向)させることが可能となる。
【0076】
〔実施例効果〕
このように本発明によると、作業クラッチレバー45を切り位置OFFから収穫作業位置ONに操作した場合には、この操作の途中において脱穀作業位置Mを通過する際にも脱穀クラッチCeだけを入り操作する現象を回避する。これにより、作業者が作業クラッチレバー45を切り位置OFFから収穫作業位置ONの方向に操作した場合に、この操作が不充分で脱穀クラッチCeだけが入り状態に達し、作動音や振動から作業者が収穫作業位置ONに操作されたものと誤認識する不都合を解消して脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを確実に入り状態に設定して円滑に収穫作業に移行できる。
【0077】
また、脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとが入り状態に設定された後には、作業クラッチレバー45を脱穀作業位置Mに操作することで、脱穀クラッチCeを入り状態に維持したまま刈取クラッチCdを切り状態に設定して枕扱き作業も可能となる。また、収穫作業時に走行車体Aが枕地に達して操向レバー41を後方へ操作することにより刈取前処理部Dを上昇させて旋回する際には、作業クラッチレバー45を脱穀作業位置Mに操作することで、例えば、刈取前処理部Dに植立穀稈が接触しても、その植立穀稈を作業者の意志に反して刈り取ることのない作業を実現する。尚、刈取前処理部Dを上昇させて走行車体Aを旋回させた後には操向レバー41を前方へ操作することで刈取前処理部Dを下降させ、作業クラッチレバー45を収穫作業位置ONに操作することで脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを入り状態に設定して収穫作業を継続できる。
【0078】
特に、作業クラッチレバー45を切り位置OFFから収穫作業位置ONに操作した場合にエンジン3を定格回転速度に設定することで、駆動力不足からエンジンストップに陥る不都合も回避できる。また、扱深さ制御も実行されるので、脱穀処理部Eに対して穀稈を適正な扱深さで供給して効率的な脱穀を実現する。
【0079】
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
【0080】
(a)操作具として、押し操作を電気的に検出する押しボタンを備え、この押しボタンの操作による制御形態を図13のフローチャートのように設定する。
具体的には、押しボタンが操作されないホーム状態では、脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを切り状態に維持する(#201、#202ステップ)。次に、押しボタンが初期操作によって押し操作された場合には脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとをともに入り状態に設定し(収穫作業モード)、エンジン回転を定格回転速度に設定し、扱深さ制御を実行する(#202、#203ステップ)。この後、押しボタンが操作されると、脱穀クラッチCeを入り状態に維持したまま刈取クラッチCdを切り状態に設定する(脱穀作業モード)。更に、押しボタンが操作された場合には脱穀クラッチCeを入り状態に維持したまま刈取クラッチCdの入り状態と切り状態とが交互に現れるように刈取クラッチCdの断続を行う(#204〜#207ステップ)。
【0081】
また、アクセル設定ダイヤル47が作業者によって僅かでも操作されたことがアクセル設定器47Sからの信号から判別されると、エンジン回転制御手段88が、エンジン回転を、アクセル設定ダイヤル47の設定値に対応した回転速度に設定する制御が行われる(#208ステップ)。
【0082】
脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとの制御はクラッチ制御手段87が現出するものであり、このクラッチ制御手段87は、押しボタンが数秒以上押し操作されたことが検出されると、脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを切り状態に設定する(#209、#210ステップ)。
【0083】
(b)図14に示すように、操作具のとしての作業クラッチレバー45の操作領域に切り位置OFF、収穫作業位置ON、脱穀作業位置Mの順序で操作位置を配置する。
このよう各操作位置を配置することで、作業クラッチレバー45を切り位置OFFから操作した場合には収穫作業位置ONにおいて必ず脱穀クラッチCeと刈取クラッチCdとを入り状態に設定できる。
【0084】
(c)操作具をレバー型に構成した場合、操作領域を直線状に形成する必要はなく、例えば、特許文献1にも示されるように直交する2つの操作経路で構成することや、階段状に構成しても良い。又、操作具をレバー型ではなく、アクセル設定ダイヤル47と同様に回転操作型に構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、脱穀クラッチと刈取クラッチとを備えている自脱型や普通型のコンバイン全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
3 エンジン
14AF 扱深さ作動部(供給搬送部)
45 操作具(作業クラッチレバー)
64 操作位置センサ(脱穀位置センサ)
65 操作位置センサ(収穫位置センサ)
72 アクチュエータ(クラッチモータ)
84 エンジン制御部(エンジン回転制御ユニット)
87 クラッチ制御手段
Cd 刈取クラッチ
Ce 脱穀クラッチ
D 刈取前処理部
E 脱穀処理部
ON 収穫作業位置
OFF 切り位置
M 脱穀作業位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取前処理部への駆動力を断続する刈取クラッチと、脱穀処理部への駆動力を断続する脱穀クラッチと、人為的に操作される操作具を備えているコンバインであって、
前記操作具を、前記刈取クラッチと脱穀クラッチとが切り状態にあるホーム状態からの初期操作により前記刈取クラッチと脱穀クラッチとを入り状態にする収穫作業モードを現出し、この後の継続操作により、前記脱穀クラッチの入り状態を維持したまま前記刈取クラッチを切り状態にする脱穀作業モードを現出するクラッチ制御手段を備えているコンバイン。
【請求項2】
前記操作具が、前記ホーム状態に対応する切り位置から前記収穫作業モードを現出する収穫作業位置に亘る操作領域で操作自在に構成され、この操作領域の中間位置に前記脱穀作業モードを現出する脱穀作業位置が配置され、前記操作具の操作位置を検出する操作位置センサを備えており、
前記クラッチ制御手段は、前記操作位置センサの検出結果に基づいて、前記切り位置から前記収穫作業位置への操作時に前記脱穀作業位置を通過する際に前記脱穀クラッチを入り状態に設定せず、前記収穫作業位置に達した際に前記刈取クラッチと脱穀クラッチとを入り状態に設定し、この後、前記操作具が前記脱穀作業位置に操作された際に前記脱穀クラッチのみを入り状態に設定する請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記刈取クラッチと前記脱穀クラッチとを制御するアクチュエータを備え、前記クラッチ制御手段は、前記操作位置センサからの検出信号に基づいて前記アクチュエータの作動を行う請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記脱穀処理部に供給される穀稈の穂先位置に基づいて、この脱穀処理部に供給される穀稈の扱深さを自動設定する扱深さ調節を行う扱深さ作動部が備えられ、前記操作具の操作により前記収穫作業モードが開始された際に前記扱深さ作動部による扱深さ調節を開始する請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記刈取前処理部と脱穀処理部に動力を伝えるエンジンと、このエンジンの回転速度を制御するエンジン制御部とを備え、このエンジン制御部は、前記操作具の操作により前記収穫作業モードが開始された際に前記エンジンを定格回転速度に設定する請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−92092(P2011−92092A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249249(P2009−249249)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】