説明

スイッチング素子の駆動回路

【課題】パワーデバイス(メインスイッチM)のゲートの印加電圧をバッテリ12の正電圧より高い電圧と負電圧との双方の電圧とする場合、電源装置の小型化が困難なこと。
【解決手段】バッテリ12、端子T3、スイッチング素子SW1、コンデンサC、スイッチング素子SW2、逆流防止用ダイオードD1、端子T1および充電用抵抗体14によって、メインスイッチMのゲート充電経路が構成される。また、放電用抵抗体16、端子T2、逆流防止用ダイオードD2、スイッチング素子SW3、コンデンサC,スイッチング素子SW4、および端子T4によって、メインスイッチMのゲート放電経路が構成される。さらに、端子T3、スイッチング素子SW6、逆流防止用ダイオードD4、コンデンサC、逆流防止用ダイオードD3、スイッチング素子SW5および端子T4によって、コンデンサCの充電経路が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動対象スイッチング素子の電流経路の一対の端部のいずれか一方に一対の電極のうちのいずれか一方が接続される直流電圧源を前記駆動対象スイッチング素子のオン状態用の電荷の供給手段として利用するスイッチング素子の駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化が求められるようになってきていることに起因して、電子機器に内蔵される電源にも小型化が求められるようになってきている。電子機器に内蔵される電源には、電力変換効率の良いスイッチング電源が広く用いられている。スイッチング電源は、リアクトルやコンデンサなど受動部品に蓄積されたエネルギをスイッチングにより充放電させてエネルギを変換する装置である。スイッチング電源は一般に、エネルギを蓄積する受動部品が体格の大半を占める傾向にある。したがって、受動部品の体格低減はスイッチング電源の小型化にとって必要不可欠な要望である。
【0003】
受動部品の小型化にとって、もっとも有効な手法の一つとして、スイッチング周波数を上昇させる手法が知られている。しかしながら、スイッチング周波数を向上することにより、単位時間当たりのスイッチング損失が増加しやすくなる。スイッチング損失が増加すると、スイッチング素子の発熱量が大きくなるため、放熱手段を大型化することとなりやすい。
【0004】
スイッチング損失を増加させないようにスイッチング周波数を上昇させる一手法として、高速でゲートを開閉するものがある。ただし、高速のスイッチングを実現するためには、高速スイッチングで増加する放射ノイズや伝導ノイズによる誤動作を回避しつつゲートを駆動することが要求される。したがって、スイッチング状態を切り替えるに際してゲートに印加する電圧を、オン状態に切り替わる電圧(スレッショルド電圧)から十分に離間させることが望ましい。すなわち、たとえば駆動対象スイッチング素子をIGBT等とする場合、ゲートに電圧を印加する手段の電圧は、オフ状態からオン状態への切り替え(ターンオン)に際しては、スレッショルド電圧より十分に高い電圧とし、オン状態からオフ状態への切り替え(ターンオフ)に際しては、十分に低い電圧とすることが望ましい。
【0005】
ただしこの場合、ターンオン時の電圧は、一般の論理回路の電源電圧より高く、ターンオフ時の電圧(負電圧)は、論理回路のグランド電位よりも低いため、駆動回路用の電源として、ターンオン用およびターンオフ用の電源の双方を、スイッチング素子の駆動のためだけに特に設けることとなる。しかし、これは、当初の目的であるスイッチング電源の小型化を妨げる要因となる。
【0006】
そこで従来、たとえば下記特許文献1に見られるように、駆動用の高電圧を、一般の論理回路の電源からチャージポンプによって昇圧することで生成し、また、もう1つのチャージポンプで論理回路の電源から負電圧を生成するものも提案されている。この方式では、トランジスタと二つのコンデンサで、ターンオン用の電圧とターンオフ用の電圧とを生成することができる。これらトランジスタは、駆動回路を構成する論理回路上に含めて集積させることができ体格増加にあまり寄与しないと考えられるので、この技術の適用による駆動回路の大型化は、もっぱら2つのコンデンサによるものとなるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2888513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、駆動対象となるスイッチング素子がパワーデバイスである場合、そのゲートの充放電電荷量は、比較的大きなものとなる。このため、上記コンデンサの静電容量も大きくなり、これを駆動回路を構成する論理回路に集積することができなくなる。そして、コンデンサを論路回路が形成される基板に対して外付けする場合には、以下の問題が生じる。
【0009】
まず第1に、コンデンサを外付けする場合、論理回路とコンデンサとは、論理回路を構成する集積回路のピンを介して接続されることとなる。このため、コンデンサ接続用のピンを増設することで論理回路のパッケージが大きくなり、結果として駆動回路の基板が大型化するという問題がある。
【0010】
第2に、高速スイッチングを行うためには、駆動対象とするスイッチング素子のゲートと駆動電源との間の電気経路を、電磁ノイズや配線に寄生するインダクタンスの影響を受けにくいようにできるだけ小さくする必要が生じる。このため、上記一対のコンデンサのそれぞれと、スイッチング素子のゲートとの間の配線を短くして上記電気経路によって構成されるループ経路の面積を小さくする必要が生じるが、コンデンサの数が多いと配線経路の取り回しが難しくなるためこれは困難である。
【0011】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、駆動対象スイッチング素子の電流経路の一対の端部のいずれか一方に一対の電極のうちのいずれか一方が接続される直流電圧源を前記駆動対象スイッチング素子のオン状態用の電荷の供給手段として利用する新たなスイッチング素子の駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0013】
請求項1記載の発明は、駆動対象スイッチング素子の電流経路の一対の端部のいずれか一方に一対の電極のうちのいずれか一方が接続される直流電圧源を前記駆動対象スイッチング素子のオン状態用の電荷の供給手段として利用するスイッチング素子の駆動回路において、コンデンサと、前記コンデンサの一方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか他方とを接続して且つ前記コンデンサの他方の端子を前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続する第1接続状態と、前記コンデンサの一方の端子を前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続して且つ前記コンデンサの他方の端子を前記一対の電極のうちのいずれか一方に接続する第2接続状態と、前記コンデンサの一方の端子を前記一対の電極のうちのいずれか一方に接続して且つ前記コンデンサの他方の端子を前記一対の電極のうちのいずれか他方に接続する第3接続状態と、を切り替え可能な切替回路とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記発明では、第1接続状態によって、駆動対象スイッチング素子の上記いずれか一方の端部と開閉制御端子との間の電位差を、直流電圧源の端子電圧とコンデンサの電圧との和とすることができる。すなわち、上記電位差を、直流電圧源の端子電圧のみを用いた場合よりも大きくすることができる。また、第2接続状態によって、駆動対象スイッチング素子の上記いずれか一方の端部と開閉制御端子との間の電位差を、コンデンサの電圧差とすることができる。すなわち、上記開閉制御端子の電位を上記いずれか一方の端部の電位よりもスレッショルド電位とは逆側に離間させることができる。さらに、第3接続状態によって、コンデンサを充電することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記切替回路は、前記コンデンサの一方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか他方との間を開閉する第1開閉手段と、前記コンデンサの他方の端子と前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子との間を開閉する第2開閉手段と、前記コンデンサの一方の端子と前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子との間を開閉する第3開閉手段と、前記コンデンサの他方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか一方との間を開閉する第4開閉手段と、前記コンデンサの一方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか一方との間を開閉する第5開閉手段と、前記コンデンサの他方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか他方とを接続する第6開閉手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記オン状態用の電荷は、正の電荷であり、前記第5開閉手段、および前記第6開閉手段は、いずれも整流手段が並列接続されたスイッチング素子であり、前記第5開閉手段、前記第3開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第5開閉手段、前記第1開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第5開閉手段、前記第4開閉手段および前記一対の電極のうちのいずれか一方の接続点との間には、前記第5開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されており、前記第6開閉手段、前記第2開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第6開閉手段、前記第4開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第6開閉手段、前記第1開閉手段および前記一対の電極のうちのいずれか他方の接続点との間には、前記第6開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されていることを特徴とする。
【0017】
上記第5開閉手段に直列接続された整流手段と第5開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段との協働で、第2接続状態において、第5開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段を介してコンデンサに電流が流れる事態を回避することができる。また、上記第6開閉手段に直列接続された整流手段と第6開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段との協働で、第1接続状態において、第6開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段を介してコンデンサの電荷が流出する事態を回避することができる。
【0018】
なお、第5開閉手段および第6開閉手段は、寄生ダイオードを有するMOS電界効果トランジスタであってもよい。これにより、スイッチング状態の切替の高速化が容易となる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明において、前記第1接続状態への切り替えを、前記第1開閉手段を閉状態とした後に前記第2開閉手段を閉状態に切り替えることで行う切替制御手段を備えることを特徴とする。
【0020】
上記発明では、コンデンサの電位を固定した後これを駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続することで、開閉制御端子のノイズに対する耐性を高めたり、第2開閉手段の開閉操作を簡易に行なったりすることができる。
【0021】
さらに、駆動対象スイッチング素子が電圧制御形のスイッチング素子である場合、コンデンサの電位を固定した後これを駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続することで、第2開閉制御手段の閉状態への切替によって開閉制御端子の印加電圧を急激に変化させることができる。このため、駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替速度を向上させることもできる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記オン状態用の電荷は、正の電荷であり、前記第3開閉手段は、整流手段が並列接続されたスイッチング素子であり、前記第3開閉手段、第1開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第3開閉手段、第5開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第3開閉手段、前記第2開閉手段および前記開閉制御端子の接続点との間には、前記第3開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されていることを特徴とする。
【0023】
上記逆方向を順方向とする整流手段によれば、開閉制御端子に負の電荷が充電されている状態で、第4開閉手段が閉状態となったり、第1開閉手段が閉状態であって且つ第2開閉手段が未だ開状態となったりする期間において、第3開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続される整流手段を介して開閉制御端子に正の電荷が充電される事態を回避することができる。
【0024】
なお、第3開閉手段は、寄生ダイオードを有するMOS電界効果トランジスタであってもよい。これにより、スイッチング状態の切替の高速化が容易となる。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記第2接続状態への切り替えを、前記第4開閉手段を閉状態とした後に前記第3開閉手段を閉状態に切り替えることで行う切替制御手段を備えることを特徴とする。
【0026】
上記発明では、コンデンサの電位を固定した後これを駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続することで、開閉制御端子のノイズに対する耐性を高めたり、第3開閉手段の開閉操作を簡易に行なったりすることができる。
【0027】
さらに、駆動対象スイッチング素子が電圧制御形のスイッチング素子である場合、コンデンサの電位を固定した後これを駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続することで、第2開閉制御手段の閉状態への切替によって開閉制御端子の印加電圧を急激に変化させることができる。このため、駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替速度を向上させることもできる。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記オン状態用の電荷は、正の電荷であり、前記第2開閉手段は、整流手段が並列接続されたスイッチング素子であり、前記第2開閉手段、前記第4開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第2開閉手段、前記第6開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第2開閉手段、前記開閉制御端子および前記第3開閉手段の接続点との間には、前記第2開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されていることを特徴とする。
【0029】
上記逆方向を順方向とする整流手段によれば、開閉制御端子に正の電荷が充電されている状態で、第4開閉手段が閉状態且つ第3開閉手段が開状態となったり、第5開閉手段が閉状態となったりする期間において、第2開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続される整流手段を介して開閉制御端子の電荷が流出する事態を回避することができる。
【0030】
なお、第2開閉手段は、寄生ダイオードを有するMOS電界効果トランジスタであってもよい。これにより、スイッチング状態の切替の高速化が容易となる。
【0031】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記第1接続状態、前記第3接続状態、前記第2接続状態および前記第3接続状態の各状態を順次実現する接続パターンが繰り返されるように、前記切替回路を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする。
【0032】
上記発明では、コンデンサの静電容量を小さくすることが容易となる。
【0033】
請求項9記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記第1接続状態および前記第2接続状態が1度ずつ実現される周期よりも前記第3接続状態が2度行なわれるまでの期間を長くすべく、前記切替回路を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする。
【0034】
上記発明では、コンデンサの充電頻度を低減することで、コンデンサの発熱や第3接続状態を実現する部品の発熱を低減することができる。
【0035】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記コンデンサの静電容量は、前記第2接続状態が実現されていないときにおける前記駆動対象スイッチング素子の前記いずれか一方の端部と前記開閉制御端子との間の静電容量よりも大きいことを特徴とする。
【0036】
上記発明では、コンデンサを用いて開閉制御端子に印加される電圧を安定させることが可能となる。
【0037】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発明において、前記駆動対象スイッチング素子の前記いずれか一方の端部と前記開閉制御端子との間に、抵抗体およびコンデンサの直列接続体を接続したことを特徴とする。
【0038】
上記発明では、開閉制御端子がコンデンサに接続されていない状態やコンデンサが直流電圧源に接続されていない状態において、開閉制御端子の電圧がノイズによって変動することを、上記直列接続体によって抑制することができる。しかも、開閉制御端子の充放電処理に際しては、上記直列接続体を構成する抵抗体によって直列接続体中のコンデンサの電荷の流出入量が制限されるため、スイッチング状態の切替速度の低下も抑制される。これは特に、駆動対象スイッチング素子の高速化を図るべく、上記いずれか一方の端部と開閉制御端子との間の容量を低減した際に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるスイッチングパターンを示すタイムチャート。
【図3】同実施形態にかかる駆動ICの回路の詳細を示す回路図。
【図4】第2の実施形態にかかるスイッチングパターンを示すタイムチャート。
【図5】第3の実施形態にかかるシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかるスイッチング素子の駆動回路の第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0041】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成図を示す。
【0042】
メインスイッチMは、本実施形態にかかる駆動回路が駆動対象とするパワースイッチング素子である。本実施形態では、メインスイッチMとして、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を想定している。
【0043】
メインスイッチMの開閉制御端子(ゲート)は、充電用抵抗体14を介して半導体集積回路(駆動IC10)の端子T1に接続されるとともに、放電用抵抗体16を介して駆動IC10の端子T2に接続されている。駆動IC10は、端子T3,T4をさらに備え、これらのそれぞれには、外部の直流電圧源(バッテリ12)の正極および負極のそれぞれが接続される。また、バッテリ12の負極は、メインスイッチMの電流経路の一対の端部のうちの一方(エミッタ)に接続されている。
【0044】
端子T3には、PチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子SW1)を介してコンデンサCの一方の端子aが接続されており、コンデンサCの他方の端子bは、PチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子SW2)、逆流防止用ダイオードD1を介して端子T1に接続されている。これにより、バッテリ12、端子T3、スイッチング素子SW1、コンデンサC、スイッチング素子SW2、逆流防止用ダイオードD1、端子T1および充電用抵抗体14を備えるメインスイッチMのゲート充電経路が構成される。なお、コンデンサCの静電容量は、メインスイッチMのゲートおよびエミッタ間の容量よりも大きく設定されている。詳しくは、メインスイッチMのゲートの一度の充電によって要求される電荷量の流出によっては、その電圧の変化が無視できる値に設定されている。
【0045】
上記端子T2には、逆流防止用ダイオードD2、NチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子SW3)を介してコンデンサCの一方の端子aが接続されており、コンデンサCの他方の端子bは、NチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子SW4)を介して端子T4に接続されている。これにより、放電用抵抗体16、端子T2、逆流防止用ダイオードD2、スイッチング素子SW3、コンデンサC,スイッチング素子SW4、および端子T4を備えるメインスイッチMのゲート放電経路が構成される。
【0046】
上記端子T3には、PチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子SW6)および逆流防止用ダイオードD4を介してコンデンサCの他方の端子bが接続されており、コンデンサCの一方の端子aには、逆流防止用ダイオードD3およびNチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子SW5)を介して端子T4が接続されている。これにより、端子T3,スイッチング素子SW6、逆流防止用ダイオードD4、コンデンサC、逆流防止用ダイオードD3、スイッチング素子SW5および端子T4を備えるコンデンサCの充電経路が構成される。
【0047】
制御装置20は、駆動IC10内のスイッチング素子SW1〜SW6のそれぞれに、操作信号ms1〜ms6のそれぞれを出力することで、これらスイッチング素子SW1〜SW6を操作し、ひいてはメインスイッチMを操作する。
【0048】
図2に、制御装置20によるメインスイッチMの操作手法を示す。詳しくは、図2(a)は、スイッチング素子SW1の状態の推移を示し、図2(b)は、スイッチング素子SW2の状態の推移を示し、図2(c)は、スイッチング素子SW3の状態の推移を示し、図2(d)は、スイッチング素子SW4の状態の推移を示し、図2(e)は、スイッチング素子SW5の状態の推移を示し、図2(f)は、スイッチング素子SW6の状態の推移を示し、図2(g)に、メインスイッチMのゲートおよびエミッタ間電圧(ゲート電圧Vge)の推移を示す。
【0049】
「モード1」
スイッチング素子SW1〜SW6がオフ状態となって且つメインスイッチMがオフ状態となる状態である。ここでは、メインスイッチMの電位は、負であって且つその絶対値が、バッテリ12の端子電圧Vccに等しくなる。
【0050】
「モード2」
スイッチング素子SW5,SW6をオン状態とすることで、バッテリ12によってコンデンサCを充電する状態である。これにより、コンデンサCの充電電圧がバッテリ12の端子電圧Vccから乖離する事態を回避する。
【0051】
「モード3」
バッテリ12によるコンデンサCの充電を終了し、スイッチング素子SW1〜SW6の全てがオフとなる状態である。
【0052】
「モード4」
メインスイッチMのゲートに正の電荷を充電する処理を行うべく、スイッチング素子SW1をオンとした状態である。
【0053】
このとき、メインスイッチMのゲート電圧Vgeは負となっているため、スイッチング素子SW1のドレインの電位よりも低くなっている。しかし、逆流防止用ダイオードD2によって、スイッチング素子SW1、スイッチング素子SW3の寄生ダイオードを介してメインスイッチMのゲートに電荷が流出する事態は阻止される。またこのとき、スイッチング素子SW1のソースの電位よりもコンデンサCの他方の端子b電位の方が高くなっている。しかし、逆流防止用ダイオードD4によって、スイッチング素子SW6の寄生ダイオードを介してコンデンサCの電荷が放電される事態は回避される。
【0054】
「モード5」
メインスイッチMのゲートに正の電荷を充電する処理を行うべく、スイッチング素子SW2をオンとした状態である。これにより、端子T1の電圧は、バッテリ12の端子電圧Vccの2倍となるため、メインスイッチMのゲート電圧Vgeは、バッテリ12の端子電圧Vccの2倍にまで充電される。
【0055】
なお、このモード5とするに先立ち、モード4においてスイッチング素子SW1をオン状態としたのは次の3つの理由による。まず第1に、スイッチング素子SW2がオン状態となる際におけるそのドレイン側の電位を固定し、伝導ノイズや放射ノイズに対する耐性を高めるためである。第2に、スイッチング素子SW2がオン状態となる際におけるそのドレイン側の電位を固定することで、メインスイッチMのゲートに印加される電圧を急激に変化させることができ、ひいてはメインスイッチMのオン状態への切替速度を向上させるためである。第3に、スイッチング素子SW2をオン状態とするための回路にとってスイッチング素子SW2のソースの電位を固定した状態とすることが便宜なためである。なお、この回路については、後述する。
【0056】
「モード6」
メインスイッチMのゲートの充電が完了し、スイッチング素子SW1,SW2をオフとした状態である。
【0057】
「モード7」
スイッチング素子SW5,SW6をオン状態とすることで、バッテリ12によってコンデンサCを充電する状態である。これにより、コンデンサCの充電電圧がバッテリ12の端子電圧Vccから乖離する事態を回避する。
【0058】
「モード8」
バッテリ12によるコンデンサCの充電を終了し、スイッチング素子SW1〜SW6の全てがオフとなる状態である。
【0059】
「モード9」
メインスイッチMのゲートから正の電荷を放電させる処理を行うべく、スイッチング素子SW4をオンとした状態である。
【0060】
このとき、コンデンサCの一方の端子aの電位が負となるが、逆流防止用ダイオードD3によって、スイッチング素子SW5の寄生ダイオードを介してコンデンサCの一方の端子aに正の電荷が流入する事態を回避することができる。
【0061】
「モード10」
メインスイッチMのゲートから正の電荷を放電させる処理を行うべく、スイッチング素子SW3をオンとした状態である。これにより、メインスイッチMのゲート電圧は、負となって且つその絶対値がコンデンサCの充電電圧に等しくなる。
【0062】
なお、モード10に先立ちスイッチング素子SW4をオン状態とするのは、次の3つの理由による。まず第1に、スイッチング素子SW3のドレインの電位を固定した状態でメインスイッチMのゲートとの接続を行うことで、伝導ノイズや放射ノイズに対する耐性を高めるためである。第2に、スイッチング素子SW3がオン状態となる際におけるそのドレイン側の電位を固定することで、メインスイッチMのゲートに印加される電圧を急激に変化させることができ、ひいてはメインスイッチMのオフ状態への切替速度を向上させるためである。第3に、スイッチング素子SW3をオン状態とするための回路にとってスイッチング素子SW3のソースの電位を固定した状態とすることが便宜なためである。なお、この回路については、後述する。
【0063】
上記モード10の処理によってメインスイッチMの放電が完了することで(負の電荷の充電が完了することで)、上記モード1に戻ることとなる。
【0064】
図3に、上記スイッチング素子SW1〜SW4の駆動部分の回路構成を示す。
【0065】
図に示す定電流源CSは、抵抗体の機能を有するものであるが、駆動IC10に作り込むうえではトランジスタを用いた定電流源とすることが便宜であるため、採用したものである。図示されるように、NチャネルMOS電界効果トランジスタSW4,SW5については、操作信号ms4,ms5が直接入力される。
【0066】
これに対し、スイッチング素子SW1のゲートは、バッテリ12に並列接続された定電流源CSおよびNチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子30)の直列接続体の接続点に接続されている。そして操作信号ms1によってスイッチング素子30がオンとされることで、スイッチング素子SW1のゲートの電位を低下させ、ひいてはこれをオン状態に切り替える。
【0067】
また、スイッチング素子SW2のソースおよびゲート間には、定電流源CSが接続されており、スイッチング素子SW2のゲートは、NチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子32)を介してバッテリ12の負極に接続されている。これにより、スイッチング素子SW1がオン状態となることでコンデンサCの他方の端子bの電位がバッテリ12の負極電位よりも高くなった状態で、操作信号ms2によってスイッチング素子32をオンとすることで、スイッチング素子SW2のゲートの電位をソースの電位に対して低下させることができる。なお、スイッチング素子SW1がオン状態となる前においては、スイッチング素子32をオン状態としたとしても定電流源CSに電流が流れず、スイッチング素子SW2はオン状態とならない。
【0068】
スイッチング素子SW3のゲートは、定電流源CSを介してコンデンサCの一方の端子aに接続されるとともに、ダイオード34およびPチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子36)を介してバッテリ12の正極に接続されている。そしてスイッチング素子36のゲートは、バッテリ12に並列接続された定電流源CSおよびNチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子38)の直列接続体の接続点に接続されている。これにより、スイッチング素子SW4がオン状態となることでコンデンサCの一方の端子aの電位がバッテリ12の負極電位よりも低くなった状態で、操作信号ms3によってスイッチング素子38をオンとすることで、スイッチング素子SW3のゲート電位をそのソースに対して低下させることができる。なお、スイッチング素子SW4がオン状態となる前においては、スイッチング素子38をオン状態としたとしても、スイッチング素子SW3のゲートの放電はなされない。
【0069】
スイッチング素子SW6のゲートは、バッテリ12に並列接続された定電流源CSおよびNチャネルMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子40)の直列接続体の接続点に接続されている。そして操作信号ms6によってスイッチング素子40がオンとされることで、スイッチング素子SW6のゲートの電位を低下させ、ひいてはこれをオン状態に切り替える。
【0070】
以上のように、本実施形態によれば、単一の直流電圧源(バッテリ12)を用いてメインスイッチMのゲートにバッテリ12の端子電圧よりも高い正の電圧と、バッテリ12の負極電位よりも低電位となる負の電圧とを印加することができる。このため、単一のバッテリ12によって、メインスイッチMの高速駆動を可能とする。しかも、この際、駆動IC10に対して外付けされるコンデンサCが1つのみであるため、コンデンサを接続するための駆動IC10の端子数を最小限とすることができ、ひいては駆動IC10の大型化を抑制することができる。また、コンデンサCを外付けすることでゲートの充放電経路が長くなる事態をも好適に抑制することができる。
【0071】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0072】
(1)コンデンサCの一方の端子aとバッテリ12の正極とを接続して且つコンデンサCの他方の端子bをメインスイッチMのゲートに接続する第1接続状態(モード5)と、コンデンサCの一方の端子aをメインスイッチMのゲートに接続して且つコンデンサCの他方の端子bをバッテリ12の負極に接続する第2接続状態(モード10)と、コンデンサCの一方の端子aをバッテリ12の負極に接続して且つコンデンサCの他方の端子bをバッテリ12の正極に接続する第3接続状態(モード2,7)と、を切り替え可能とした。これにより、第1接続状態によって、メインスイッチMのゲートにバッテリ12の端子電圧Vccよりも大きい正の電圧を印加することができる。また、第2接続状態によって、メインスイッチMのゲートに負の電圧を印加することができる。さらに、第3接続状態によって、コンデンサCを充電することができる。
【0073】
(2)スイッチング素子SW5の寄生ダイオードとは逆方向を順方向とする逆流防止用ダイオードD3を備えた。これにより、第2接続状態において、スイッチング素子SW5の寄生ダイオードを介してコンデンサCに電流が流れる事態を回避することができる。
【0074】
(3)スイッチング素子SW6の寄生ダイオードとは逆方向を順方向とする逆流防止用ダイオードD4を接続した。これにより、第1接続状態において、スイッチング素子SW6の寄生ダイオードを介してコンデンサCの電荷が流出する事態を回避することができる。
【0075】
(4)スイッチング素子SW3の寄生ダイオードとは逆方向を順方向とする逆流防止用ダイオードD2を備えた。これにより、スイッチング素子SW3の寄生ダイオードを介して、モード2の期間においてメインスイッチMのゲートを充電する経路が構成されたり、モード4の期間においてバッテリ12の電荷が流出したりする事態を回避することができる。
【0076】
(5)スイッチング素子SW2の寄生ダイオードとは逆方向を順方向とする逆流防止用ダイオードD1を備えた。これにより、モード7の期間やモード9の期間において、スイッチング素子SW2の寄生ダイオードを介してメインスイッチMのゲートの電荷が流出する事態を回避することができる。
【0077】
(6)第1接続状態(モード5)、第3接続状態(モード2)、第2接続状態(モード10)および第3接続状態(モード7)の各状態を順次実現する接続パターンを繰り返した。これにより、コンデンサCの静電容量を小さくすることが容易となる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0078】
図4に、本実施形態にかかるメインスイッチMの操作手法を示す。なお、図4(a)〜図4(f)は、図2(a)〜図2(f)のそれぞれに対応している。
【0079】
図示されるように、本実施形態では、スイッチング素子SW1,SW2をオン状態とすることによるゲート充電処理と、スイッチング素子SW3,SW4をオン状態とすることによるゲート放電処理とを複数回繰り返した後に、スイッチング素子SW5,SW6をオン状態とすることでコンデンサCを充電する。これにより、スイッチング素子SW5,SW6の単位時間当たりの発熱量を低減することができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0080】
図5に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図5において、先の図1に示した部材に対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
【0081】
図示されるように、本実施形態では、メインスイッチMのゲートおよびエミッタ間に、抵抗体50およびコンデンサ52の直列接続体を接続する。これは、メインスイッチMの高速化とメインスイッチMのノイズに対する耐性の向上との好適な両立を図るための設定である。すなわち、メインスイッチMを高速化するうえでは、そのゲートおよびエミッタ間の容量を小さくすることが望ましい。一方、容量を小さくする場合、ゲート電圧がノイズによって変動しやすくなり、ひいてはメインスイッチMがノイズによって誤動作しやすくなる。ここで、上記抵抗体50およびコンデンサ52によれば、メインスイッチMのゲート電圧Vgeが「2Vcc」となった後にも、コンデンサ52の充電電圧をこれよりも低い状態とすることが可能となる。そして、抵抗体50の抵抗値を大きくすることでゲート電圧Vgeが「2Vcc」となる時点でのコンデンサ52の充電電圧を低くするほど、メインスイッチMのスイッチング状態の切替速度を大きくすることができる。しかも、ゲートにノイズが重畳したとしても、抵抗体50を電流が流れることで、ゲート電圧の変動を抑制することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0082】
「逆流防止用の整流手段について」
上記第1の実施形態等において、モード2でコンデンサCの充電処理を行なわず、且つスイッチング素子SW2をオンした後にスイッチング素子SW1をオンするなら、逆流防止用ダイオードD2を削除しても、スイッチング素子SW3の寄生ダイオードを介したゲート充電を回避することができる。
【0083】
上記第1の実施形態において、モード7でコンデンサCの充電処理を行なわず、且つスイッチング素子SW3をオンした後にスイッチング素子SW4をオンするなら、逆流防止用ダイオードD1を削除してもよい。
【0084】
スイッチング素子SW5やスイッチング素子SW6として、サイリスタ等、逆バイアスに対して逆方向の電流を許容しないものを用いるなら、逆流防止用ダイオードD3,D4を削除してもよい。
【0085】
なお、「駆動対象スイッチング素子について」の欄も参照のこと。
【0086】
「開閉手段について」
ダイオードが並列接続されたトランジスタとしては、MOS等の電界効果トランジスタに限らず、たとえば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等であってもよい。
【0087】
開閉手段がMOS電界効果トランジスタに限らないことについては、「逆流防止用の整流手段について」の欄や、「駆動対象スイッチング素子について」の欄の記載も参照のこと。
【0088】
「切替制御手段について」
第1接続状態への切り替えに際し、スイッチング素子SW1をオン状態に切り替えた後にスイッチング素子SW2をオン状態に切り替えるものに限らず、たとえばこれらを同時としてもよい。ただし、この場合、スイッチング素子SW2のゲート駆動回路部分を先の図3に示した構成に対して変更する。
【0089】
第2接続状態への切り替えに際し、スイッチング素子SW4をオン状態に切り替えた後にスイッチング素子SW4をオン状態に切り替えるものに限らず、たとえばこれらを同時としてもよい。ただし、この場合、スイッチング素子SW3のゲート駆動回路部分を先の図3に示した構成に対して変更する。
【0090】
「コンデンサCの充電処理(操作手段)について」
コンデンサCの充電処理については、先の図2および図4に例示したものに限らない。たとえばメインスイッチMのオン状態への切り替えとオフ状態への切り替えとを周期とした場合の複数周期に1度、メインスイッチMのオン状態時に充電処理を行なってもよい。また、オン状態への切り替えおよびオフ状態への切り替えからなるパターンの複数周期に一度充電処理を行うものにも限らず、所定時間経過時であって且つメインスイッチMがオン状態またはオフ状態で定常となっているときに充電処理を行うものであってもよい。
【0091】
なお、コンデンサCの充電処理が先の図2および図4に例示したものに限らないことについては、「逆流防止用の整流手段について」の欄の記載も参照のこと。
「駆動対象スイッチング素子について」
IGBTに限らず、たとえばパワーMOS電界効果トランジスタ等の電界効果トランジスタであってもよい。この際、Nチャネルのものに限らず、Pチャネルのものであってもよい。ただし、Pチャネルの場合、オン状態用の電荷は、負の電荷となり、また、直流電圧源は、駆動対象スイッチング素子の高電位側の端部(ソース)に接続される。
【0092】
さらに、電圧制御形のスイッチング素子に限らず、バイポーラトランジスタ等の電流制御形のスイッチング素子であってもよい。ここで、バイポーラトランジスタとする場合には、スイッチング素子SW1〜SW6としてもバイポーラトランジスタ等を用いることが望ましい。そしてこの場合、スイッチング素子SW1〜SW6が電流の流通方向を一方向に規制する逆阻止性を有するため、ダイオードD1〜D4を備えなくてよい。
「ゲート抵抗について」
充電用抵抗体14の接続箇所としては、上記実施形態において例示したものに限らず、たとえばスイッチング素子SW2およびコンデンサC間であってもよい。
【0093】
放電用抵抗体16の接続箇所としては、上記実施形態において例示したものに限らず、たとえばスイッチング素子SW3およびコンデンサC間であってもよい。
【0094】
充電用抵抗体14および放電用抵抗体16を共通の抵抗体としてもよい。
【符号の説明】
【0095】
M…メインスイッチ(駆動対象スイッチング素子の一実施形態)、SW1〜SW6…スイッチング素子(第1開閉手段〜第6開閉手段の一実施形態)、C…コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動対象スイッチング素子の電流経路の一対の端部のいずれか一方に一対の電極のうちのいずれか一方が接続される直流電圧源を前記駆動対象スイッチング素子のオン状態用の電荷の供給手段として利用するスイッチング素子の駆動回路において、
コンデンサと、
前記コンデンサの一方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか他方とを接続して且つ前記コンデンサの他方の端子を前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続する第1接続状態と、前記コンデンサの一方の端子を前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に接続して且つ前記コンデンサの他方の端子を前記一対の電極のうちのいずれか一方に接続する第2接続状態と、前記コンデンサの一方の端子を前記一対の電極のうちのいずれか一方に接続して且つ前記コンデンサの他方の端子を前記一対の電極のうちのいずれか他方に接続する第3接続状態と、を切り替え可能な切替回路とを備えることを特徴とするスイッチング素子の駆動回路。
【請求項2】
前記切替回路は、
前記コンデンサの一方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか他方との間を開閉する第1開閉手段と、
前記コンデンサの他方の端子と前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子との間を開閉する第2開閉手段と、
前記コンデンサの一方の端子と前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子との間を開閉する第3開閉手段と、
前記コンデンサの他方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか一方との間を開閉する第4開閉手段と、
前記コンデンサの一方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか一方との間を開閉する第5開閉手段と、
前記コンデンサの他方の端子と前記一対の電極のうちのいずれか他方とを接続する第6開閉手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項3】
前記オン状態用の電荷は、正の電荷であり、
前記第5開閉手段、および前記第6開閉手段は、いずれも整流手段が並列接続されたスイッチング素子であり、
前記第5開閉手段、前記第3開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第5開閉手段、前記第1開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第5開閉手段、前記第4開閉手段および前記一対の電極のうちのいずれか一方の接続点との間には、前記第5開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されており、
前記第6開閉手段、前記第2開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第6開閉手段、前記第4開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第6開閉手段、前記第1開閉手段および前記一対の電極のうちのいずれか他方の接続点との間には、前記第6開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されていることを特徴とする請求項2記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項4】
前記第1接続状態への切り替えを、前記第1開閉手段を閉状態とした後に前記第2開閉手段を閉状態に切り替えることで行う切替制御手段を備えることを特徴とする請求項2または3記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項5】
前記オン状態用の電荷は、正の電荷であり、
前記第3開閉手段は、整流手段が並列接続されたスイッチング素子であり、
前記第3開閉手段、第1開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第3開閉手段、第5開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第3開閉手段、前記第2開閉手段および前記開閉制御端子の接続点との間には、前記第3開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されていることを特徴とする請求項4記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項6】
前記第2接続状態への切り替えを、前記第4開閉手段を閉状態とした後に前記第3開閉手段を閉状態に切り替えることで行う切替制御手段を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項7】
前記オン状態用の電荷は、正の電荷であり、
前記第2開閉手段は、整流手段が並列接続されたスイッチング素子であり、
前記第2開閉手段、前記第4開閉手段および前記コンデンサの接続点または前記第2開閉手段、前記第6開閉手段および前記コンデンサの接続点と、前記第2開閉手段、前記開閉制御端子および前記第3開閉手段の接続点との間には、前記第2開閉手段を構成するスイッチング素子に並列接続された整流手段とは逆方向を順方向とする整流手段が接続されていることを特徴とする請求項6記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項8】
前記第1接続状態、前記第3接続状態、前記第2接続状態および前記第3接続状態の各状態を順次実現する接続パターンが繰り返されるように、前記切替回路を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項9】
前記第1接続状態および前記第2接続状態が1度ずつ実現される周期よりも前記第3接続状態が2度行なわれるまでの期間を長くすべく、前記切替回路を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項10】
前記コンデンサの静電容量は、前記第2接続状態が実現されていないときにおける前記駆動対象スイッチング素子の前記いずれか一方の端部と前記開閉制御端子との間の静電容量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項11】
前記駆動対象スイッチング素子の前記いずれか一方の端部と前記開閉制御端子との間に、抵抗体およびコンデンサの直列接続体を接続したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−5005(P2013−5005A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130912(P2011−130912)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】